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自爆することはない。

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● ぶれるエネルギー政策 原発回帰リスク考

経済産業省は2030年の電源構成について、28日午後に原案を公表。原発は20%から22%、再生可能エ
ネルギーは22%から24%で、原発回帰が鮮明になったと報じた(「電源構成2030年、原発回帰鮮明に 
政府案」 毎日新聞 2015.04.28)。  それによると、経済産業省は28日、2030年の総発電量に
占める電源ごとの割合(電源構成)について、原発を20?22%、再生可能エネルギーを22~24
%とする政府案をまとめた。原発を新増設するか、原則40年の運転期間を延長しなければ実現しな
い水準で、安倍政権の原発回帰の姿勢が鮮明になった。28日に開いた同省の有識者委員会に提示し、
大筋で了承された。政府が電源構成をまとめるのは10年以来で、東京電力福島第1原発事故後初め
て。政府案は、30年の総発電量を13年度より1割多い1兆650億キロワット時と想定。原発
比率を10年度実績(自家発電含む)の26.4%から4~6ポイント低くする一方、再生エネは2
倍以上にする。再生エネの内訳は、水力8.8~9.2%程度▽太陽光7%程度▽風力1.7%程度
▽バイオマス3.7~4.6%程度▽地熱1~1.1%程度。

再生エネ比率を原発より高めることで、脱原発を求める世論の理解を得たい考え。だが、40年ルー
ルを厳格に運用した時の依存度(約15%)を上回る水準としたことに対し、「政府のエネルギー基
本計画で定めた、原発依存度を可能な限り引き下げるとの方針に矛盾する」との批判も出ている。ま
た、電気料金抑制のため、運転(燃料)コストが安く、昼夜問わず一定規模の発電を行う原発や石炭
火力などの「ベースロード電源」を12年度実績(38%)を上回る56%程度を確保。火力発電、
原発の燃料コストと、再生エネ固定価格買い取り制度にかかる費用との合計を13年の9.7兆円か
ら引き下げる方針も示した。政府案は、与党協議や国民からの意見募集を経て、5月下旬にも正式決
定されるとのこと(同上)。

 

● 原発の発電コストの算定根拠に疑問

これは、2月18日から4月27日まで6回にわたる「発電コスト検証ワーキンググループ」の議論を
もとに、2014年と2030年の電源別の発電コストをまとめたもの。同様の発電コストは震災直後
の2011年12月に当時の民主党政権下で試算していたが、その後の状況変化をふまえて再検討した
ものであるが、これに対して、日本のエネルギー政策の方向性を左右する重要な指標の1つが
電源別の発電コスト想定。政府の委員会が2014年と2030年の発電コストを試算した。予想通り
最も安く見積もった電源は原子力で、電力1kWhあたり10.1円である。安全対策費や核燃料サイ
クル費用を過小に評価だと指摘されている(スマートジャパン「2030年の発電コストが決まる、
原子力は10.1円、太陽光は12.7円」2015.04.28)。それによると、2014年の発電コストから見
ていくと、最も安い電源は原子力である(下図)。1kWhあたりのコストは10.1円になった。た
だしいくつかの条件が付く。すでに廃炉が決まった発電設備を除いて43基がすべて稼働する前
提。新規制基準に基づく追加の安全対策費や、使用済み燃料のサイクル費用についても、火力
発電の二酸化炭素対策費用と比べ桁違いに小さく見込む、と指摘し、原子力に次いで発電コス
トが低いのは一般水力(小水力を除く)の11.0円である。続いて石炭火力の12.3円、LNG(液化
天然ガス)火力の13.7円の順になる。石油火力は15種類の電源の中でも最高の30.6円で、5種類
ある再生可能エネルギーよりも高い。二酸化炭素排出量を含めて考えると、早急に規模を縮小
していく必要があると解説しているが、水力発電より原子力発電がコストが低いというはいか
にも説得力がないように映る。 

 

● 放射性廃棄物の処理費は0.04円!?

コストの算定が難しい点では、原子力が最たるものと言える。いまだ再稼働のめどが立ってい
ない発電設備が大半を占めているにもかかわらず、43基が運転することを前提にして2030年
の発電コストを算定した。稼働する発電設備が少なくなれば、当然ながら1kWhあたりの発電コ
ストは上昇する。原子力の発電コストの内訳をみると、6種類の費用が入っている(上図)。
このうち建設費を中心とする資本費と運転維持費は算定しやすいが、残る4つの費用は不確定
な要素を含むが、とくに「追加的安全対策費」と「核燃料サイクル費用」は格段に増える可能
性が大きい。

そして、追加的安全対策費は電力会社が1基あたり約1000億円と見込んでいるのに対し601億円
しか見込まず、43基の中には老朽化した発電設備も多く、実際には1000億円を大きく上回る
安全対策費の追加が必要になるだろうと指摘される。従って、核燃料サイクル費用に関しても
非現実的な前提をもとに過小見積だ。いまだに核燃料のサイクル設備が稼働していないにもか
かわらず、使用済みの燃料を20年から45年かけて100%再処理できることを想定し、費用を試算。
さらに、高レベルの放射性廃棄物の処理費に至っては、電力1kWhあたりわずか0.04円しか計上
されてないが、最終処分場のめども立っていない状況では、そもそも費用を試算すること自体
が不可能で、もはや原子力発電のコストが安くないことは広く知られている。今回の試算をう
のみにする国民が決して多くないことを政府は早く認識すべきであると結むすんでいる。

 

これらの意見などを踏まえると、政府自民党寄りの、経済産業省の今回の「2030年 電源構成(
案)」は、再稼働ありきの「ゴリ押し姿勢」が露骨になったものであるとが理解できるだろう。
青色発光ダイオードの発明者でありノーベル物理学賞受賞者の天野浩・名古屋大教授が、NH
Kのインタビューに答え、総電力の30%の原子力発電量程度は発光ダイオードやパワー半導
体で十分代替可能だと指摘するように、原発稼働"ゼロ"の現状を踏まえれば、さらには太陽光
発電を代表とする再生可能エネルギーの技術進歩や普及で十分たり得るだろう。まして、現在
の「製造責任」や「社会的責任」の経済活動倫理に照らし合わせれば、使用済み核燃料の廃棄
物処理法も未解決なまま売電することなど全くの不可解で、すぐさま、小規模な試用発電設備
のみを残し、残りのすべての原発を廃炉扱いとするのが原則であろう。

みかたを変えて考えてみよう。ネパール中部で25日、マグニチュード(M)7・8の強い地震
(東日本大震災の30倍の強度)が発生、首都カトマンズなどで5000名?の死者、多数のビルや
家屋が倒壊しているように、火山・地震といった地殻が活動期にあるような昨今、同程度の地
震が中南海トラフで発生すれば、福島第一原子力発電所は再倒壊、放射性物質、汚染水、汚染
残土による汚染を引き起こすだろう。また、その上、新たな甚大な原子力発電所事故が1箇所
だでも発生すれば、この国が滅亡に至るような惨劇やダメージを抱くことはたやすいだろう。
敢えて言うなら、再稼働させなくても同様な惨劇やダメージがひき起こされるだろう。悪いこ
とは言わない、自爆することはない。直ちに、この案は見直すべきである。

Millions of tonnes of radioactive soil and debris, filmed by drone footage, can be seen
packed in black bags in a temporary storage site at Tomioka, Fukushima prefecture,
Thursday.

 

 


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