彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦
国時代の軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)
と兜(かぶと)を合体させて生まれたキラクタ「ひこにゃん」。
【季語と短歌:源氏物語から学ぶ②】
嘆きわび空に乱るるわが魂を結びとどめよしたがひのつま
六条御意所呈き言
「葵」の帖より
光源氏の正妻・葵の上への嫉妬と自己嫌悪に
苦しみ、ついに物の怪となって源氏の前に現れ、
歌を詠む。
【わたしの経済論⑦:為替と円安】
前回は、1372夜 『貨幣論』 ジョン・メイナード・ケインズで松岡正
剛が「モラル・サイエンス」(ロバート・スキデルスキー『なにがケ
インズを復活させたのか?-ポスト市場原理主義の経済学』)に触れ
ていた。要は「自由放任の終焉」に触れていたわけで、「経済学のゆ
らぎ」である。そう、あの「常温核融合」騒動である。これも運命と
いうわけかと。
第3章 海を渡りつつ、悪例になるな
安下で「海外ビジネス投資支援室」新設は愚行
中国のカントリーリスクは計り知れない。
今後もウイグルの人権問題などで、中国に工場を持つ企業が痛い目に
遭う事例が増えてくる可能性もある。
では、昨今の円安傾向によって、生産拠点の国内回帰が進むかといえ
ば、これもなかなか難しい。もしそういう事例があったとしてもレア
ケースにすぎない。
企業にしてみれば、長期計画に基づいて本社や工場をどこにつくるか
という話だから、決定してもすぐ実行に移せるわけではない。 円安
が定着するかどうかも考慮しなければならず、一時的に円安になった
からといってすぐに意思決定はできないだろう。
国内回帰する際に困ることの1つが電気料金の高さだ。企業が工場を
つくるときは必ず電気料金を気にする。生産拠点を国内回帰させよう
と思っても、日本は電気料金が高いから、そういう点も含めて考える
必要がある。
一応、国としても「サプライチェーン対策のための国内投資促進事
業費補助金」をはじめ、国内回帰のための補助金も7000億円くら
いは出しているが、それでは足りない。そんな状況下で政府は22年
8月、国内の中小・中堅企業の海外進出を支援する「海外ビジネス投
資支援室」を内閣官房に設置した。これはとんでもないことで、本来
やるべきことは真逆だ。円安のいまだからこそ、国内回帰をどんどん
進めるために「国内復帰推進ビジネス室」でもつくったほうがいい。
こういうことをするのは政府のセンスのなさを感じてしまう。
誰がこれを考えたのかはわからないが、財務省の入れ知恵だろう。本
来、これは経産省の仕事だが、この手の話は中小企業庁が担当してい
るからバッティングしてしまう。だから財務省にポストを与えて、官
邸につくらせたのかもしれない。
もし筆者なら、絶対に逆のことをする。そのほうが景気回復するし、
雇用面からみても工場は海外ではなく国内につくったほうがはるかに
いいからだ。
とにかく、いまは猛烈に円安にしておいて、企業が国内に帰ってこざるを得ない状況にすればいい。
金利を上げればロシアの悪例の二の舞いになる
ここまでは中国を中心に語を進めてきたが、ほかの海外の悪例から学
ぶことも大切だ。本章の最後に、ロシアについてみよう。
「悪い円安諸」を唱える人は、だいたい金利を上げろという。これは
素人意見で、本当に為替を語りたいなら経済の原理原則をきちんと知
るべきだ。
たとえば変動相場制を採用している国なら、「為替の動きについて対
応してはいけない」というのが原則としてある。それを忘れて焦った
あげく、間違った判断を下してしまったのがロシア中央銀行だった。
22年2月、ロシア中央銀行は政策金利を9・5%から倍以上の20%ま
で引き上げた。その背景にはウクライナヘの軍事侵攻がある。欧米諸
国から経済制裁を受けて、ロシア通貨のルーブルが2月末には1ドル
約115ルーブル前後まで急落した。
ルーブルが下落したときに国内金利を上げると、ルーブルが一見高く
なるように見えるが、それによって経済がさらに悪くなる。その結果
3月には一時1ドルー50ルーブルまでさらに急落し、最安値を更新
した。
この政策は最も初歩的な過ちの典型だった。本来、2月の時点では何
もしないのが正解なのだが、ロシアの金融当局は金利を上げてしまっ
たのだ。その後、ロシア中央銀行は政策金利を徐々に引き下げ、22年
6月に9・5%まで回復。それで為替が戻り、23年2月現在はIドル
69ルーブル前後まで持ち直している。
こうした悪例があるにもかかわらず、日本では為替が少し円安になっ
たからと大騒ぎして、ただちに利上げをすべきだと主張する人が少な
くない。そのほとんどが経済理論を知らない素人なのだが、実はその
バックに財務省の影が見え隠れする。
財務省は「原油価格と原材料費が上昇し、円安になった。円安になる
と原材料費がさらに上がって、最後はインフレになる」などという理
屈で、緊縮政策へ誘導しようとしているのだ。
しかし、日本はなかなかインフレにはならない。単に製造コストが上
がるだけで、それを価格に転嫁しきれないのがいまの日本の経済状況
である。
たしかにその点て中小企業は大変だが、そこで緊縮財政をしようもの
なら、経済はたちまち冷え切ってしまう。
ただちにやるべき正しい政策はガソリン減税、消費減税なのだが、財
務省にはそれを絶対にしたくない一派がいる。
その一派からレクチャーを受けて、口裏を合わせている金融系エコノ
ミストやマスコミたちが、一斉に「金利を上げろ」との大合唱をして
いるのだ。
もちろんそれで経済が活性化するわけがない。マクロ経済においては
金利を上げることは経済抑制政策であり、財政出動しないということ
を意味する。日本はロシアの悪例の轍を踏んではならない。
※
と結んでおわるが、このようにわたしなら、現代数理工学を駆使して
(いまは、データーサイエンス学部が急速拡大しているが)で説明解
析するだう(言うは易しだが)、高橋教授は果敢である。
この項つづく
【光電融合電子デバイス革命①】
現実世界と仮想空間が混然一体となった高度なデジタル社会。膨大な
情報量を処理するため世界中でデータセンター需要は右肩上がりとな
り、電力消費量は爆発的に増える見通しだ。このままではカーボンゼ
ロ実現のお荷物になりかねず、米国のグーグルやアップルなどGAFAは
発電時に温暖化ガスを出さない再生可能エネルギーの導入を急ぐ。
2年前、この難局を乗り切るには電力消費量そのものを大幅に減らす
技術革新を起こすしかない。限界を突破しようと、国内通信のガリバ
ー、NTTが開発を進める「光の半導体」計画が公表。
NTT、「光の半導体」で限界突破 電気から技術転換
【今夜のシネマソング】