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Channel: 極東極楽 ごくとうごくらく
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エネルギ-と環境 ⑱

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彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救った
と伝えられる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時
代の軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜
(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-。ひこにゃんのお誕生日
は、2006年4月13日。
【季語と短歌:9月18日】 【今日の短歌研究:シュルレアリスム②】


【読書日誌:村上春樹著『街とその不確かな壁』】

P1-C16
 尾根から下ってきた水の流れは、今では堅く塗り込められた東門のわ
きから壁の下をくぐり抜け、その姿を我々の前に現し、街の中央を横切
って流れる。人間の脳が左右に分割されているのと同じように、街はそ
の川によっておおよそ南北半分ずつに分割されている。
 川は西橋を過ぎたあたりで向きを左に変え、緩やかな弧を描きながら
、小高い丘の間を抜けて南の壁に達する。そして壁の手前で流れを止め
、深い「溜まり」を形成し、その底にある石灰岩の洞窟に呑み込まれて
いく。南の壁の外には、ごつごつとした石灰岩地の荒原が見渡す限り続
いているということだ。それはずいぶん荒ぶれた、奇怪きわまりない風
景であるらしい。そしてその荒原の地下には、無数の水路が血管のよう
に張り巡らされているという。暗黒の迷宮だ。
 ときおりそのような暗黒の川筋から迷い出てきたらしい不気味な姿の
魚が、川岸に打ち上げられた。そんな魚たちの多くは目を持たなかった
(あるいは小さな退化した目しか持たなかった)。そして太陽ので不快
きわまりない異臭を放った。とはいえ、実際に私がそのような魚を目撃
したわけではない。ただそういう話を聞いただけだ。そのような不穏な情
報を別にすれば、川の流れはどこまでも優美で
清々しいものだった。それは辺りに様々な季節の花を咲かせ、通りに
地よい水音を響かせ、獣たちに新鮮な飲み水を提供した。川は名前を
待たない。ただの「川」でしかない。街が名前を持だないのと同じよ
うに。
 南の壁のすぐそばにあるその「溜まり」について様々な興味深い話
を聞いているうちに、私はどうしても自分の目でそれを見てみたくな
った。でも一人でそこまで歩いて行けるほど、私は街の地理に詳しく
はない。溜まりに行くには険しい丘を越えなくてはならず、その道筋
はかなり荒廃しているという話だ。だから私は君に案内を頼むことに
する。いつか曇った午後、一緒に南の溜まりを見に行くことはできな
いだろうかと、私は尋ねる。
 君は私の申し出についてしばらく考え込んでいる。薄い唇がまっす
ぐ堅く結ばれている。
 「溜まりにはできるだけ近づかない方がいいのよ」と君は言う(君
は今では私に慣れ、比較的親しい口調で話をするようになっている)。
「ずいぶん危険な場所なの。何人もの人がそこに落ちて穴に吸い込ま
れ、そのまま行方知れずになった。そのほかいろんな怖い話がつたわ
っている。だから街の人たちはあのあたりには近寄らないようにして
いる」
 「離れたところから眺めるだけだよ」と私は君を説得する。「どん
なものか見てみたいんだ。水辺に近寄らないようにすればいいんだろ
う」
 君は小さく首を振る。「いいえ、どれだけ注意しても、あそこの水
は人を呼び寄せるの。溜まりにはそういう力がある」
 それは人々をそこに近づけないようにするため、意図的に流布され
た作り話ではなかろうかと私は疑う。壁の外の世界については、恐ろ
しい噂が人々の間で囁かれていたが、そのお部は辺りに様々な季節の
花を咲かせ、通りに心地よい水音を響かせ、獣たちに新鮮な飲み水を
提供した。川は名前を待たない。ただの「川」でしかない。街が名前
を持だないのと同じように。南の壁のすぐそばにあるその「溜まり」
について様々な興味深い話を聞いているうちに、私はどうしても自分
の目でそれを見てみたくなった。でも一人でそこまで歩いて行けるほ
ど、私は街の地理に詳しくはない。溜まりに行くには険しい丘を越え
なくてはならず、その道筋はかなり荒廃しているという話だ。だから
私は君に案内を頼むことにする。いつか曇った午後、一緒に南の溜ま
りを見に行くことはできないだろうかと、私は尋ねる。
 君は私の申し出についてしばらく考え込んでいる。薄い唇がまっす
ぐ堅く結ばれている。
 「溜まりにはできるだけ近づかない方がいいのよ」と君は言う(君
は今では私に慣れ、比較的親しい口調で話をするようになっている)。
「ずいぶん危険な場所なの。何人もの人がそこに落ちて穴に吸い込ま
れ、そのまま行方知れずになった。そのほかいろんな怖い話がつたわ
っている。だから街の人たちはあのあたりには近寄らないようにして
いる」
 「離れたところから眺めるだけだよ」と私は君を説得する。「どん
なものか見てみたいんだ。水辺に近寄らないようにすればいいんだろ
う」
 君は小さく首を振る。「いいえ、どれだけ注意しても、あそこの水
は人を呼び寄せるの。溜まりにはそういう力がある」
 それは人々をそこに近づけないようにするため、意図的に流布作り
話ではなかろうかと私は疑う。壁の外の世界については、いろんな恐
ろしい噂が人々の間で囁かれていたが、そのおおかたは根も葉もない
ものだった。溜まりについての話(不吉な伝承)もそんな類いの脅し
ではあるまいか。その溜まりは何はともあれ壁の外の世界に通じてい
るわけだし、もし街が住人を壁の外に出したくないと思えば、そこに
人を近づかせないための心理的な仕掛けを施すのもあり得ることだ。
そのようなおどろおどろしい話を聞けば聞くほど、私は溜まりに対し
てますます興味を抱くようになった。最後には君も根負けし、私と溜
まりまで短い徒歩旅行(あるいは長い散歩)をすることに同意する。
 「ぜったい水辺に近づかないと約束してくれる?」
 「近づかないよ。遠くから見るだけだ。約束する」
 「道は相当荒れていると思うわ。崩れたりしているかもしれない。
行き来する人はほとんどいないし、私が最後に通ったのもずいぶん以
前のことだし」
「君が行きたくないのなら、かまわない。一人で行くから」
君はしっかり首を振る。「いいえ、あなたが行くのなら、私も行く」
(P116-118)                     つづく

こうして、気乗りのしない「物語」を再開することにした。





❏ レーザー金属積層造形機の販売を開始9月17日、DMG森精機は,従来機に比べ積載容量の拡大と高精度な積層
を実現したSLM(Selective Laser Melting)方式のレーザー金属積層
造形機「LASERTEC 30 SLM 3rd Generation」の販売を開始(価格は1億
3130万円(税別)。近年,幅広い業界で製品開発スピードが加速し,新しい製品や部品が短
期間で製作,販売されるようになっている。複雑形状の部品をスピーデ
ィーに加工できるAMの需要が年々増加。さらに必要な部分にのみ積層
行なうアディティブマニュファクチャリングは,無駄な切りくずの発生
低減させるため環境にも配慮したサステナブルな加工方法となる。この
製品は,同社の工作機械の設計ノウハウを反映し,試作品製造だけでな
く量産加工にも活用できるよう開発した。具体的には同社の金属積層造
機としては初めて,熱対称構造の鋳鉄製フレームを使用することで高性
を実現した。Z軸にはマグネスケール製スケールを搭載し,位置決め精
度を向上させている。 

❏ 軟X線吸収分光計測で電子状態を解析
9月17日、分子科学研究所,理化学研究所,名古屋大学は,水溶液中
のポルフィリン金属錯体の軟X線吸収分光計測から,その金属―配位
子間の非局在化を中心金属と配位子を分離した電子状態解析により明
らかにした。
図1 : (a) 金属錯体水溶液のXAS計測の模式図。Fe, Co L2,3吸収端か
ら金属錯体の中心金属が、窒素K吸収端からその配位子の電子状態が
分かる。金属錯体への水分子の配位構造も調べた。(b) FePPIX, CoPPIX, 
PPIXの窒素K吸収端XASスペクトル。配位子のC=N π*ピークから、金属
錯体の配位子の電子状態が分かる。つまり,この研究で開発した溶液
の金属錯体のXAS計測では,機能を発現した状態での金属錯体の電子状
態解析が可能なため,金属錯体が関わる様々な生化学現象のメカニズ
ムの解明が期待される。
【完全循環水電解水素製造技術概論 ⑥】
エネルギーをみんなにそしてクリーンに
世界で電力を使えない人は6億7500万人です。環境リスク本位制時代に
あっては、完全循環利用が設計理念となる。

再生可能エネルギーシステム・燃料電池・蓄電池・脱二酸化炭素及び
メタネ-ションシステム・電気自動車・水素燃料製造システム・水(
海水電解システム)など開発・生産段階から織り込んだ設計(経済の
社会への埋め込み政策)をシリ-ズで考察していく。今回は、4日目。
--------------------------------------------------------------❏ 酸素発生電極で起きる反応過程を直接観察
7月30日(45日ほど遅れ)、高エネルギー加速器研究機構は,酸素発生
電極で起きる反応過程を直接観察できる手法「波長分散型(エネルギー
一括測定型)軟X線吸収分光法」を世界で初めて開発


太陽光を用いて水を水素と酸素に分解できる半導体光触媒は,生成した
水素をエネルギーとして使用できるため,環境負荷の低い次世代エネル
ギー源の一つ。この半導体光触媒はp型半導体材料でできた水素発生電
極とn型半導体材料でできた酸素発生電極を組み合わせてデバイスとし
て用いられている。酸素発生電極は水素発生電極に比べ,性能のボトルネックになっている
ため,システム全体の性能向上のために,酸素発生電極の性能向上が必
須となっている。一方で,電極上での酸素発生の反応過程には未だ不明
点が多い。特に,光触媒による水分解反応は固液界面での反応を扱うた
め,この固液界面でどのような化学種が生成し,どのように反応が進行
するかがデバイスの特性を左右すると考えられる。

研究グループは今回,モデル触媒として,本多・藤嶋効果で知られる酸
化チタンに着目し,波長分散型(エネルギー一括測定型)軟X線吸収分
光法を用いることで,酸化チタンの固液界面における化学反応(酸素発
生反応)を観察。この手法を用いると,さまざまなエネルギーを持つ軟
線の吸収の大きさを一度に測定することができるため,化学反応中に現
れる化学種の時間変化をリアルタイム観察することができる。


軟X線吸収分光法は金属酸化物半導体の表面・界面における化学種やそ
の電子状態を観察できる強力な手法。電位をスキャンしながら(または
UV光や可視光を照射しながら)固液界面の触媒反応時の電極/電解質
溶液界面に生じる化学種をリアルタイムかつオペランド測定することで,
触媒電極表面近傍に吸着した中間体や発生した酸素を観察することがで
きた。これにより,水分解時の酸素発生電極の表面近傍に生じた中間体
や酸素を,反応させながら観察することができた。水素燃料を活用した
社会のカーボンニュートラル化をはじめとする社会課題の解決に向けた
材料開発への貢献が期待される成果となる。
【論文情報】
・Real-time and operando observation of intermediates on TiO2 hotoelectro-
catalysis by soft X-ray absorption spectroscopy
・Electrochemistry Communications 165, 107771 (2024
・DOI: https://doi.org/10.1016/j.elecom.2024.107771---------------------------------------------------------------
【鍵語】海水電解 水素製造 カ-ボンゼロ
2.特開2024-103338 水電解システム及びその制御方法 株式会社日
  立製作所
【要約】下図4のごとく、水電解システムは、電力変換器の交流側接
続端が交流電力系統に接続されており、少なくとも1つの電解スタッ
クと、少なくとも1つの電解スタックに遮断器が接続されて構成され
る直列回路が電力変換器の直流側接続端に接続されており、コントロ
ーラは、直列回路から電解スタックを解列する前に、電力変換器が直
流側接続端に流す電力を低下させる速度を、交流電力系統の電圧の振
幅の基準値からの差分が所定値未満となる速度としながら、直流側接
続端に流す前記電力を低下させ、遮断器が内部の直流回路を切断可能
な電力に到達した際に、直流回路に接続された遮断器を切断して、直
列回路から電解スタックを解列する。
図4.解列時のシステム動作および系統電圧を示すタイムチャート
3 三菱重工業株式会社.特開2024-110487 反応器およびカーボン
リサイクルシステム 
【要約】下図1のごとく、炭酸カルシウムおよび水素を含む原料から、
一酸化炭素および前記水酸化カルシウムを生成するための反応器は、前
記炭酸カルシウムおよび前記水素を供給するための少なくとも一つの入
図1.カーボンリサイクルシステムの概略構成を示す図
【符号の説明】10、10A~10C :反応器 11、11B~11C
:反応器本体 12、12B~12C :入口ポート(第1入口ポート)
13 :第1原料供給ライン 14 :入口ポート(第2入口ポート)
15 :第2原料供給ライン 16、16B :出口ポート 18 :触媒
30 :第1貯蔵部 32 :加圧ホッパ 33 :開閉バルブ 34 :
制御バルブ 40 :水素供給源 40A :水電解装置 50 :固気分
離装置 60 :変換装置 70 :第2貯蔵部 
【発明の効果】本発明の少なくとも幾つかの実施形態によれば、上記構
成の反応器において、炭酸カルシウムCaCO3と水素との反応により、一酸化炭素および水酸化カルシウムCa(OH)2が生成される。水酸化
カルシウムCa(OH)2は、水溶液中において炭酸イオンと反応し、
炭酸カルシウムCaCO3に容易に変換可能である。このため、上記構
成の反応器を採用することで、カルシウムのリサイクル経路の実現が可
能となる。よって、炭酸カルシウムCaCO3をカーボンキャリアとし
て利用したカーボンリサイクルシステムの経済合理性を改善することが
できる。
口ポートと、前記入口ポートを介して供給される前記炭酸カルシウムお
よび前記水素を反応させて、前記一酸化炭素および前記水酸化カルシウ
ムを生成するための反応器本体と、前記反応器本体から前記一酸化炭素
及び前記水酸化カルシウムを含む反応生成物を取り出すための少なくと
も一つの出口ポートと、を備えるたる炭酸カルシウムをカーボンキャリ
アとして利用する場合の経済合理性に優れた反応器およびカーボンリサ

イクルシステムを提供する。
図1.カーボンリサイクルシステムの概略構成を示す図
【符号の説明】10、10A~10C :反応器 11、11B~11C
:反応器本体 12、12B~12C :入口ポート(第1入口ポート)
13 :第1原料供給ライン 14 :入口ポート(第2入口ポート)
15 :第2原料供給ライン 16、16B :出口ポート 18 :触媒
30 :第1貯蔵部 32 :加圧ホッパ 33 :開閉バルブ 34 :
制御バルブ 40 :水素供給源 40A :水電解装置 50 :固気分
離装置 60 :変換装置 70 :第2貯蔵部 
【発明の効果】本発明の少なくとも幾つかの実施形態によれば、上記構
成の反応器において、炭酸カルシウムCaCO3と水素との反応により、一酸化炭素および水酸化カルシウムCa(OH)2が生成される。水酸化
カルシウムCa(OH)2は、水溶液中において炭酸イオンと反応し、
炭酸カルシウムCaCO3に容易に変換可能である。このため、上記構
成の反応器を採用することで、カルシウムのリサイクル経路の実現が可
能となる。よって、炭酸カルシウムCaCO3をカーボンキャリアとし
て利用したカーボンリサイクルシステムの経済合理性を改善することが
できる。
4.特開 2020-176309水電解システム及びその制御方法 本田技研工
 業株式会社
【要約】下図1のごとく、水電解システム10は、酸素ガスよりも高
圧の水素ガスを製造する。ペルチェ冷却器84は、水素ガス流路18
の気液分離器80と背圧弁20との間に設けられ、水素ガスを冷却し
て除湿する。温度センサ86は、ペルチェ冷却器84の周辺温度を測
定して温度測定値を出力する。圧力センサ78は、水素ガス流路18
のカソード14と背圧弁20との間の水素ガスの圧力を測定して圧力
測定値を出力する。制御部22は、温度測定値が、圧力測定値に対応
する水の凝固点を超える目標温度となるように、ペルチェ冷却器84
による冷却温度を制御する。目標温度の少なくとも一部は、圧力測定
値が高いほど低くなる。小型且つ簡素な構成で、水素ガスを効果的に
除湿できる水電解システム及び制御方法の提供。
【符号の説明】10…水電解システム 12…アノード 14…カソー
ド 16…水電解装置 18…水素ガス流路 20…背圧弁 22…制
御部 78…圧力センサ 80…気液分離器 82…脱圧弁 84…ペ
ルチェ冷却器 86…温度センサ 96…ペルチェ素子
【発明の効果】  水素ガスに含まれる水の凝固点は、該水素ガスの圧
力に応じて変化し、水素ガスが高圧であるほど水の凝固点は降下し、
水素ガスが低圧であるほど水の凝固点は上昇する。この水電解システ
ムのペルチェ冷却器では、温度測定値が、水素ガスの圧力測定値に対
応する水の凝固点を超える目標温度となるように水素ガスを冷却する。
目標温度の少なくとも一部は、圧力測定値が高いほど低くなる。この
ため、上記のように水素ガスを冷却することで、水素ガスに含まれる
水分が凍結しない範囲で、該水素ガスを凝固点に近づけて、飽和水蒸
量を効果的に低減させることが可能となる。その結果、ペルチェ冷却
器を用いた小型且つ簡素な構成で、水素ガスを効果的に除湿すること
が可能となる。


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