彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の井伊
軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ-。
海洋レーダーで「日本の海を安全で豊かに」
元SBモバイル副社長の84歳起業家が挑む前例主義
ソフトバンクモバイル副社長、通信半導体大手の米クアルコム副社長、同
社日本法人会長などを歴任した松本徹三氏、84歳。その年齢をまったく感
じさせず、精力的に動き回る。2年前に海洋情報サービスを提供するORNIS
(Ocean Radar Network Information Services、東京・台東区)を設立し、
代表取締役会長CEO(最高経営責任者)に就任した。2028年初めごろまでに
は日本全国の海岸線に海洋レーダー施設を約200カ所設置する予定。海洋レ
ーダーで「日本の海を安全で豊かに」するのが目的で、それを実現するた
めに、日本の「縦割り体制」や「何事も惰性でしか動かない前例主義」と
戦う日々の対談(「一歩先への道しるべとは」)が目に止まる。84歳で
起業するとはと感心したの書き留める。
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松本徹三氏。1939年11月東京生まれ。大阪府立北野高校卒業後、京都大学
法学部へ。1962年に伊藤忠商事大阪本社に入社し、輸出繊維機械課に配属。
韓国ソウル、米国シカゴ・ニューヨーク駐在などを経て1985年から伊藤忠
アメリカのエレクトロニクス部長、東京本社の通信事業部長などを歴任。
1998年から8年半クアルコムジャパン社長・会長。2006年10月から4年半ソ
フトバンクモバイル取締役副社長。現在、ORNIS代表取締役会長CEO、一
般財団法人 高IQ者認定支援機構代表理事
図1.4年で5 Nodeの微細化を進めるIntelの計画
インテルの不振の原因
インテルの不調は、2つのミスジャッジに起因するという(8月29日、EE
TimesJapan)。スマホの“破壊的イノベーション”により、PC用プロセッサ
の売上も低迷した上に、22年11月30日、OpenAIがChatGPTが公開されデ
ータセンター向けのAI半導体は、NVIDIAがほぼ独占、毎年、新しいプロセ
ッサをリリースするIntelのプロセッサのビジネスモデルが崩壊する。11年
の22nmまでうまく機能していたものが、13年に立ち上がる14nmが1年遅
れの14年になり、さらに、2016年に立ち上げようとした10nmは、5年以上
も立ち上らず、Intelの「チック・タックモデル」が崩壊。人員削減の後遺
症でさらに、14nmの立ち上げが1年遅れ、10nmの立ち上げが5年以上遅延。
図2 PCとスマホの出荷台数 出所:IDCデータ
図3 データセンタ向け半導体の出荷額
Intelが4年で進めると発表した5 Nodeの疑問
intel 7は、基本的に以前10nmと同じプロセスで、Intelが初めて最先端の
EUV(極端紫外線)露光装置を適用するintel 4は自社のプロセッサ用であ
り、intel 3はファウンドリー用。intel 4はintel 3と同じで、intel 4と
intel 3は、EUVのマスク枚数の点から、7nm+(6nmと呼ぶ)に近い。20A
は自社のプロセッサ用、18Aはファウンドリー用で、20Aと18Aは同じプロ
セスである。この20Aと18Aは、Gate All Around(GAA)を採用。3nmに
近いプロセス。結局、Intelが発表した「4年で5 Node」は、実質的に「4年
で3 Node」その上、intel 4は、2023年12月から量産開始予定の触れ込みが、
歩留りが
上がらず、流れているウエハーも随分少ない。
さらに最近、関係筋から聞いた話では、intel 4とintel 3よりも、20Aと18A
(の特に18A)を優先し立ち上げようとしている。その理由が、TSMCが2
nmを立ち上げるよりも早く、18Aを立ち上げて、そのカスタマーを獲得し
たいとの目論見。Intelの微細化の計画は混乱を極めているように見える。
初めてEUVを使うintel 4とintel 3が十分量産に出来ていないと疑問視され
ている。それを横に置いておいて、これまた初めてGAAを採用する18Aを
先に立ち上げは、Intelの微細化計画は破綻しているのではと見られている。
【集約】Intelの微細化の混乱は、2014年から10年以上も続き、その原因が、
2005~2009年に2万人の社員をリストラしたことにあり 今後、Intelは、
22年から24年にかけて、3万人以上を首切りしようと計画の中、EUVを15層
以上使い、初めてGAA採用しようとしている18Aが予定通り立ち上りに疑問
視されている。さらに、Intelは2023年12月に、TSMCやSamsung Electronics
に先んじて、NA(開口数)が0.55のHigh NAを導入。ことし24年末までに、
High NAを6台導入すると聞いているが、NA=0.33のEUVですら、満足に使
いこなしているとは言い難く、High NAを6台も立ち上げも危ぶまれている。
※ 半導体微細加工技術力は開発から作りこみにより趨勢が決まり、スマ
ホの急伸で両面作戦は経営力と資金力で決まる。「奢れる平家久しから
ずや」ではないが、「情報端末機器の多様化とデータセンタ向け仕様用
仕様で変化する」とおき、「選択と集中」を「首切り」なしで切り開く
ことが上策である。
⬛ インテルAI PC向け初インテル® Core™ Ultra デスクトップ・プロセッサ
10月10日、IntelはデスクトップAI PC向けの新たなプロセッサ「Core Ultra
200S(Arrow Lake-S)」シリーズを発表。以前の第14世代チップと比較して
低温で効率的に動作し、AIタスクを高速化するためのNPUも搭載。Core
Ultra 200Sシリーズは、次世代Performance-cores(Pコア)を最大8個、次世
代Efficient-cores(Eコア)を最大16個搭載、マルチスレッドのワークロードで
前世代製品より最大14%のパフォーマンス向上を実現。またエンスージア
スト(上級者)向けとして初めてNPUを搭載したデスクトップPC向けプロセ
ッサでもあるとのこと。Core Ultra 200Sシリーズには、以下の5つのモデル
がラインナップされている。24コア(Pコア8個・Eコア16個)の「Core Ultra
9 285K」が589ドル(約8万8800円)、20コア(Pコア8個・Eコア12個)の「Core
Ultra 7 265K」が394ドル(約5万8600円)、20コア(Pコア8個・Eコア12個)でGPU
コア非搭載の「Core Ultra 7 265KF」が379ドル(約5万6400円)、14コア(Pコア
6個・Eコア8個)の「Core Ultra 5 245K」が309ドル(約4万6000円)、14コア(
Pコア6個・Eコア8個)でGPUコア非搭載の「Core Ultra 5 245KF」が294ドル
(約4万3700円)。
⬛ 微生物による金属腐食を予測、インフラ保全コスト削減
10月15日、海洋研究開発機構(JAMSTEC)ら共同研究グル-は、水環境
にさらされた大規模なインフラ施設における微生物の金属腐食リスクを予
測する技術開発に乗り出す。採取したサンプルを使って、現場で腐食のリ
スクを予測・診断できる簡易キットなどを開発する。まずは、福島第一原
子力発電所(1F)の廃炉作業に役立てることを想定し、石油・化学工場な
どへの適用にも広げる。金属腐食の対策には、年間6兆円超ものコストが
かかっているが、微生物による影響はこれまで正確には把握できていなか
った。診断技術などについてもほとんど確立されておらず、対策ができ
ずにいた。微生物が関与した腐食は、酸素や塩分などに起因する通常の腐
食と比べ、局部的に穴が開くなどの深刻な腐食を招きやすいため、リスク
評価や早期の診断技術が期待される。
図1.開発が進む3Dプリンター用樹脂フィラメント(左)と開発品を使用し
た3Dプリンター造形品(右)
⬛ セルロールナノファイバーと再生PAで3Dプリンター用材料販売
10月15日、旭化成は、付加製造(AM)装置(3Dプリンター)向け樹脂材
料の開発・提供でイタリアAquafil(アクアフィル)と協業。両社はこのほ
ど、Aquafilの再生ポリアミド(PA)6「ECONYL(エコニール)」を旭化
成が使用するための覚書(MOU)を締結。旭化成のセルロースナノファ
イバー(CNF)とECONYLを組み合わせて樹脂材料を開発し、自動車や航
空宇宙などの分野に提供する(上図)。
Aquafilは、PAのリサイクル技術を持つ繊維メーカー。ECONYLは、使用済
みの漁網やカーペットを原料とする廃PAをモノマーに解重合し、再度重合
した再生PA6だ。旭化成は、ベースポリマーに耐熱性の高いCNFとECONYL
をコンパウンドした3Dプリンター用樹脂材料を開発。開発品は、十分な造
形性と強度を持ち、精密な造形精度と強度が求められる分野で、3Dプリン
ター用材料としての採用が見込めるという。フィラメントとペレットでの
提供を想定し、まず2025年に欧州・米国・日本で提供を始める予定。
⬛ 米住宅太陽光の現状
平均出力が3倍、加州では6割に蓄電池を併設米国における分散型太陽光設
備の最新トレンド
2024年8月、米エネルギー省(DOE)の研究所であるローレンス・バークレ
ー国立研究所(LBNL)が、2023年度(1~12月)における分散型太陽光発
電の米国市場に関する統計データ分析を発表。
図1 米穀の米国のセグメント別・太陽光発電の出力規模の推移
(注:折線=中間値、左=住宅用、右=非住宅用、出所:Lawrence Berkeley
National Laboratory)
「分散型太陽光発電」とは、屋根置き、または地上設置(野立て)で連系
出力5MW以下のシステムで、住宅用と非住宅用両方の太陽光を対象として
いる。非住宅用システムについては、さらに大規模と小規模に分類分けし
ており、「小規模」は太陽光パネルの出力が100kW以下、「大規模」は同
100kW以上5MW未満となっていてメガクラスの太陽光発電所も含まれてい
る。
システムサイズの規模範囲を見てる。データを小さい順に並べた時の中央
の値が「中央値」で、最小値から数えて20%に位置する値が「20パーセン
タイル」そして、80%に位置する値が「80パーセンタイル」となる。
住宅用システムの20パーセンタイルの出力規模は4.8kWで、80パーセンタ
イルは11.1kWとなっている。非住宅の小規模システムの20パーセンタイル
は6.8kW、80パーセンタイルは39.5kW、そして非住宅の大規模システムの
20パーセンタイルは145.7kW、80パーセンタイルは805.3kWと非住宅用の
規模範囲が広いことがわかる。
米住宅太陽光、平均出力が3倍、加州では6割に蓄電池を併設
モジュール変換効率20.8%に上昇
太陽電池モジュール(太陽光パネル)の変動米国における分散型太陽光設
備の最新トレンドモジュール変換効率20.8%まで高まる。
上昇太陽電池モジュール(太陽光パネル)の変換効率を見てみると、2002
年の住宅用に使用されたモジュールの変換効率は中間値12.7%だったが、
2023年時点では、変換効率の中間値は20.8%まで高まった。非住宅用の変
換効率も住宅用と同じようなトレンドが見られた(図2)。
図2 米国の米国のセグメント別・分散型太陽光発電のモジュール変換効率
と単結晶シェアの推移
(注:折線=変換効率の中間値、棒グラフ=単結晶モジュールのシェア、
左=住宅用、右=非住宅用、出所:Lawrence Berkeley National Laboratory)
LBNLは、過去数年間の変換効率の上昇は、単結晶シリコンタイプのセル
(発電素子)の市場シェアの拡大と「裏面不動態型セル」(PERC: Passivated
Emitter and Rear Cell)やTOPCon(Tunnel Oxide Passivated Contacts)技術
を含むセルアーキテクチャの継続的な革新を反映していると分析している。
ハワイでは95%、加州では60%が蓄電池併設
蓄電池の分散型太陽光発電への併設が増加する。2023年には、
すべての新規住宅用太陽光発電への併設率は12%、非住宅用への併設率は
8% だった(図3)。
図3●米国のセグメント別・分散型太陽光発電の蓄電池併設率の推移
(左=住宅用、右=非住宅用、出所:Lawrence Berkeley National Laboratory)
しかし、州別に見てみると、ハワイ州が飛び抜けて高く、2023年・住宅
用への併設率は実に95%に達している。太陽光導入量で米国をリードする
カリフォルニア州における併設率は14%、その他のほとんどの州では4~
10%になっている。カリフォルニア州では今後、太陽光への蓄電池の併設
が急速に増加することが予測されている。その理由は、分散型太陽光市場
を支えてきた「ネットメータリング(net-metering)」の運用が大きく変
更され、買取価格が大きく削減された。「ネットメータリング」とは、分
散型発電設備の所有者に対する電力料金の算定手法だ。住宅用などの分散
型太陽光発電システムの発電量から、電力消費量を差し引いて余剰電力量
が発生した場合、余剰分を次の月に繰り越せる、つまり、消費量を発電量
で「相殺」する仕組みである最初のネットメータリングでは、余剰電力が
発生した場合、半永久的に小売価格で翌月に繰越されていたが、2023年4
月以降に配電網に連系された分散型設備の余剰電力の買取価格は、太陽光
発電電力が系統に流れる時の「グリッドの価値」、つまり電力会社が他の
場所からクリーン電力を購入する「回避コスト」に匹敵する。ちなみに、
回避コストは小売価格の約25%と大きな削減となる。
この価格設定にした狙いは、同州が、太陽光発電への蓄電池併設を促し、
昼間は発電量を貯め、夕方のピーク時に太陽光発電をグリッドに送り込む
ことにより、系統運用の信頼性を保ちつつ、化石燃料の使用を削減する。
LBNLによると、ハワイ州に比べるとカリフォルニア州の併設率はまだ低い
が、2023年4月以降に連系された住宅用太陽光への併設率は約60%にまで
上がった。
米住宅太陽光、平均出力が3倍、加州では6割に蓄電池を併設
米における分散型太陽光設備の最新トレンド
図4●米国のセグメント別・分散型太陽光発電のシステム設置価格の推移
(注:折線=中間値、左=住宅用、中=小型非住宅用、右=大型非住宅用、
出所:Lawrence Berkeley National Laboratory)
[過去10年間の設置価格は、年間約0.1~0.2ドル/Wという比較的安定したペ
ースで下降している。これまでシステム価格の急落は、モジュール コスト
の低下が原因であったが、近年の価格低下の傾向は、主にソフトコストの
変化が影響していると、LBNLは分析している。2022年から2023年にかけて、
住宅用システムの設置価格の中央値は、実質(インフレ調整済み) で、
約0.1ドル/W下がり、過去10年間と同じ傾向を維持していることになる。
対照的に、非住宅用システムの設置価格の中央値は、15年ぶりに0.1~0.2
ドル/W上昇となったという。LBNLは、インフレの変動や、開発期間の延
期などにより非住宅用価格は影響を受けやすいと説明している。
● 今日の寸評: