彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の井伊
軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ-。
【季語と短歌:11月7日】
秋深し天霧小雨木枯らしか
高山 宇 (赤鬼)
【海水有価物回収水素製造並びに炭素化合物製造事業論 ⓷】
⬛ 高性能を維持できる光触媒のシート
11月5日、産総研は,グリーン水素を安価に製造できる可能性を秘めた光触
媒-電解ハイブリッドシステムの流通型装置を開発し,水分解の理論電解電
圧(1.23V)よりも小さい0.9V以下の電解電圧で水素と酸素を分離製造でき
ることを実証。
太陽光や風力などの再生可能エネルギーから製造されるグリーン水素は,
脱炭素化への大きな貢献が期待されているが,主に電解で製造されるグリ
ーン水素は他の手法より製造コストが高くなる。
✳️光触媒―電解ハイブリッドシステムによる水分解反応の概要出所:産総研
【要点】
・高性能を維持できる光触媒のシート化手法を開発
・本手法に用いた可視光応答性光触媒が10000時間以上の疑似太陽光照射
でも劣化しないことを確認
・光触媒と電解を組み合わせた、水素と酸素を分離製造可能な水分解用小
型流通型装置の屋外実証に成功
【概要】産総研は、グリーン水素の製造コストを削減するための候補技術
として、“光触媒-電解ハイブリッドシステムによる水分解法”を研究。こ
の手法では、水を酸素へ酸化しながらFe3+イオンをFe2+イオンへ還元する
光触媒反応と、Fe2+イオンをFe3+イオンへ酸化しながら水を水素へ還元電
解反応とを組み合わせることで、全体反応として水素と酸素を別々に製造
できる水分解が進行。前段の光触媒反応では、光エネルギーが鉄塩水溶液
中に化学エネルギーとして貯蔵される。後段の電解では、その貯蔵された
化学エネルギーを水素製造のためのエネルギーとして利用でき、必要電解
電圧が、通常の水分解で必要となる値(1.23 V)と比較して小さくなる。
結果、水素製造に必要な電力消費量を削減できるのが特徴。
産総研は以前に、可視光応答性のWO3光触媒の反応速度を向上できる表面
処理手法を開発、前段の光触媒反応の効率を10倍以上に向上させている(
2010年3月11日 産総研プレス発表)。しかし、光触媒反応は光触媒粉末
を懸濁させた反応溶液へ光照射評価し、実際に後段の電解と組み合わせ、
光触媒で製造したFe2+イオンを効率よく消費しながら水素を低電圧で製造
する全体システムのイメージがなかった。
図1 光触媒シート(25 cm2)を内包した反応槽の(A)外観写真および詳
細構成、(B)PEMセルと組み合わせた流通型反応装置、および(C)0.9 V
印加した条件での水素生成由来の電流値の試験結果。
次に、先ほどの光触媒シートを13倍程度に大型化(25 cm2 ⇒ 330 cm2)し、
水素および酸素ガスを水上置換で捕集しました。ここではまず、光触媒シ
ートに光照射のみを行い、光触媒反応の速度をFe2+イオンの生成速度で評
価。その結果、図2左側に示されたグラフの通りFe2+イオンが効率よく生
成し、それに対応する化学量論量の酸素ガスが発生した。
この時の光エネルギーの化学エネルギーへの変換効率は0.31%と従来の懸
濁状態での評価に匹敵する効率が得られました。続いて光照射を停止し、
200 mAの定電流モードで電解反応を実施した結果、0.9 Vよりも低い印加
電圧で電流が流れ始め(図2右側)、消費された電気量に対応して化学量論
量の水素が捕集できました。このように、光触媒反応と電解反応を別々に
駆動させた場合であっても、高い光触媒性能が保たれ、かつ電力消費量を
削減して水素を製造できました。光触媒反応で鉄塩水溶液中に貯蔵された
化学エネルギーは2カ月程度大気下で放置しても減少しないことが確認され
ている。そのため、需要に合わせた水素発生のタイムシフトにも対応でき
る。
図2 光触媒シート(330 cm2)を内包した反応槽を用いた実証実験の評価
結果。(原論文の図を引用・改変したものを使用)。
図3には、光触媒の長期耐久性試験の結果について示します。図3(A)のよ
うに、ウォーターバスを用いて液温を35℃に制御した環境下で、10000 µmol
のFe3+イオンが含まれる鉄塩水溶液中に沈降させた光触媒へ疑似太陽光を
照射した。その結果、240時間の光照射後に、Fe3+イオンの約8割が光触媒
反応によりFe2+イオンへ変換された。このFe2+イオンの生成量を基準とし
触媒を再利用、再度同様の光触媒反応を評価し続けた。42サイクル繰り返
した際のFe2+イオンの生成量を比較した結果が図3(B)の、計10080時間
の光照射実験の間、Fe2+イオン生成量が保たれていた(劣化確認できず)。
この総照射光量は日本の屋外太陽光照射の約7年分に相当する。
図4は、実際の太陽光を利用した野外実験の評価結果を示す。今回の野外試
験では、電解と光触媒反応を同時駆動させた。その結果、試験当日の日射量
の推移(図4(A))に応じて水素生成の電流値が観測されました(図4(B)
)。生成した水素量は、通電量から見積もられる理論量と良い相関が確認
され(図4(C))、投入電力はほぼ全て水素生成のために利用されている。
このように光量が変動する実際の太陽光を利用した場合にも、照射された
光量に応じて理論量の水素が生成することを確認できる。
図4. 光触媒―電解ハイブリッドシステムによる水分解の野外実証試験。
(A)日射量の推移、(B)水素生成電流の推移、(C)水素生成量の推移。
※原論文の図を引用・改変したものを使用している。
【掲載論文】
掲載誌:ACS Applied Materials & Interfaces
論文タイトル:Demonstration of Scalable Water Splitting into H2 and O2 by a Flow-Type Photocatalysis-Electrolysis Hybrid System Using a Highly Stable Photocatalyst
DOI:https://doi.org/10.1021/acsami.4c12781
◾ 最新二酸化炭素処理装置・二酸化炭素処理方法
1. 特開2024-144824 二酸化炭素処理装置、二酸化炭素処理方法 本田技研
工業株式会社
【要約】図1のごとく、二酸化炭素を回収する際のエネルギー消費量を低減
するとともに、二酸化炭素を電気化学的に還元する際の反応効率を向上する
ことを目的とする。
【解決手段】二酸化炭素を吸収する吸収装置2と、吸収装置2で吸収された
二酸化炭素を含む電解液から空気成分を除去する除去装置3と、吸収装置
2で吸収された二酸化炭素を電気化学的に一酸化炭素に還元する電解セル
41を有する電気化学反応部4と、電気化学反応部4に電力を供給する太
陽光発電装置5と、を備える、二酸化炭素処理装置100。
図1 本発明の実施形態に係る二酸化炭素処理装置を示す模式図
【符号の説明】1 CO2回収設備 2 吸収装置 3 除去装置 4 電気
化学反応部 5 太陽光発電装置 6 気液分離部 7 酸素分離部 5 第
2気液分離部 21 CO2吸収部 31 負圧チャンバー 32 減圧装置
41 電解セル 100 二酸化炭素処理装置
【発明の効果】本発明によれば、二酸化炭素を回収する際のエネルギー消
費量を低減するとともに、二酸化炭素を電気化学的に還元する際の反応効
率を向上することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 二酸化炭素を吸収する吸収装置と、前記吸収装置で吸収され
た二酸化炭素を含む電解液から空気成分を除去する除去装置と、前記吸収
装置で吸収された二酸化炭素を電気化学的に一酸化炭素に還元する電解セル
を有する電気化学反応部と、前記電気化学反応部に電力を供給する太陽光
発電装置と、を備える、二酸化炭素処理装置。
【請求項2】前記吸収装置は、二酸化炭素を強アルカリの電解液に溶解さ
せて吸収する二酸化炭素吸収部を備え、前記電気化学反応部には、前記二
酸化炭素吸収部で電解液に溶解された二酸化炭素が供給される、請求項1
に記載の二酸化炭素処理装置。
【請求項3】前記電解セルは、カソードと、アノードと、前記カソードと
前記アノードの間に設けられたイオン交換膜と、前記カソードに隣接して
設けられ、二酸化炭素が溶解した電解液が流れるカソード側液流路と、前
記アノードに隣接して設けられ、電解液が流れるアノード側液流路と、を
備える、請求項1に記載の二酸化炭素処理装置。
【請求項4】二酸化炭素を電気化学的に還元する二酸化炭素処理方法であっ
て、夜間電力も含めた発電所から送電される電力を用いて常時、二酸化炭素
を回収する第1工程と、前記第1工程で回収された二酸化炭素を強アルカ
リ水溶液からなる電解液に接触させ、二酸化炭素を電解液に溶解させて吸
収させる第2工程と、前記第2工程で吸収された二酸化炭素を含む電解液
に含まれる空気成分を除去する第3工程と、昼間電力および太陽光発電装
置で発生した電力を用いて、電解セルにより二酸化炭素を電気化学的に一
酸化炭素に還元する第4工程と、を含む、二酸化炭素処理方法。
2. 特開2024-144805 一酸化炭素の除去方法及び除去装置 国立研究開
発法人産業技術総合研究所 他
【要約】前記方法は、一酸化炭素を含有する被処理気体と、オゾンとを触
媒部で接触させることによる、一酸化炭素の除去方法であって、前記触媒部
が、少なくともゼオライトを含む担体に対して、銀およびOMS-2型マン
ガン酸化物を担持させているものであることを特徴とする。前記装置は、オ
ゾン発生部、及び一酸化炭素を含有する被処理気体と、前記オゾン発生部で
発生させたオゾンとを触媒で処理する触媒部を含む、一酸化炭素の除去装置
であって、前記触媒部が、少なくともゼオライトを含む担体に対して、銀
およびOMS-2型マンガン酸化物を担持させているものであることを特
徴とする。
3. 特開2024-138056 エタノール 積水化学工業株式会社
【概要】現在、日本国内で廃棄されている可燃性ごみは約6,000万トン
/年にも及ぶ。そのエネルギー量は約200兆キロカロリーに相当し、日
本国内のプラスチック原料用ナフサの持つエネルギー量を大きく上回って
おり、これらのゴミも重量な資源であるといえる。これらごみ資源を石油
化学製品に転換できれば、石油資源に依らない究極の資源循環社会を実現
することが可能となる。上記観点から、特許文献1および2等には、廃棄
物から合成ガス(CO及びH2を主成分とするガス)を製造し、その合成
ガスから発酵法によりエタノールを製造する技術が開示されている。
特許文献3においても指摘されているように、廃棄物から製造した合成ガ
ス中には、解明されていない多種多様な不純物が含まれており、そのなか
には微生物にとって毒性をもつものも存在するため、合成ガスから微生物
発酵によりアルコールを生産する上でその生産性が大きな課題となってい
た。また、合成ガスを微生物発酵して得られたアルコールにも、合成ガス
中の不純物に起因した種々の成分が含まれており、これらの成分は蒸留等
の精製処理によっても完全には除去できない。そのため、合成ガスの微生
物発酵により得られたアルコールからの誘導品開発が大きな技術課題であ
った。
図 200㎜対応ウエハー洗浄装置 図 基板向けAI検査計測ソリューション
◾SCREENホールディングスは 今年1月29日に半導体ウエハーやプリント
基板向けの最新AI検査計測ソリューションを,新ブランド「SCRAIS」とし
て立ち上げ,2024年6月から販売を開始(右図)しているが、11月06日、
200mm対応ウエハー洗浄装置の発売を公表。近年,EV・自動運転関連の
車載デバイスや電力制御用機器を中心に,次世代のパワーデバイスへの需
要が急速に高まっている。また,半導体製造装置メーカーにおいては,デ
バイスの製造プロセスにおける省エネルギー化をはじめ,環境負荷の低減
が責務となっている。このような動向を背景に同社は,200mmウエハーに
対応したスピンスクラバ「SS-3200 for 200mm」を開発した。この装置は,
スピンスクラバのデファクトスタンダード「SS-3200」で評価の高いウエ
ハー洗浄技術,チャンバー設計,搬送システム,プラットフォームなどを,
200mm対応装置として継承し,最適化したとのこと。
今日の楽曲『アリス 心にしみるベスト二曲』
❤️ 「遠くで汽笛を聞きながら」
❤️ 「秋止符」
● 今日の言葉:肩関節唇断裂
肩関節は、上腕骨の上部先端にある上腕骨頭(じょうわんこっとう)とい
うボール状の部分と、肩甲骨の関節窩(かんせつか)と呼ばれるくぼみで
構成されている。小さな皿に大きなボールが載っているイメージだ。他の
関節と比べると不安定なため、前後や上下に動かないよう支えて安定させ
る役目を、筋肉や靱帯(じんたい)、さらに軟骨状組織の「関節唇」が担
っている。肩関節唇の役割は、この前後上下に肩がずれないように止めて
おく車止めのような役割で、肩の受け皿に当たる肩甲骨関節窩の輪郭を覆
う繊維状の組織。野球選手の投手に多い怪我。