天災は忘れた頃にやってくる / 寺田 寅彦
北陸新幹線の福井駅先行開業の議論が進む中、敦賀以西のルート問題が、にわかに焦点に浮上し
てきた。27日に東京都内で開かれた建設促進同盟会の大会には、関西広域連合長の井戸敏三兵
庫県知事が初めて出席し「北陸新幹線は大阪までつながってこそ、なんぼのもん」と発言した。
背景には北陸の市場や人が関東に吸い取られ、東京一極集中が加速するという危機感がある。フ
ル規格による大阪までの早期延伸で北陸、関西の足並みがそろった形だが、ルートに関しては北
陸3県で温度差もあるという(「福井新聞」2015.05.29)。
大会のあいさつで、西川知事は政府与党に対し、フル規格での大阪までの整備を要望。「フル規
格とは、どこかの駅で(東海道新幹線の)こだまに乗り換えるのとは意味が違う」と述べ、暗に
米原ルートを否定した。そして「きょうは井戸知事からもそうしたごあいさつがいただけると思
う」と付け加え、これを受けた井戸知事は「早くフル規格で大阪まで乗り入れていただきたい」
と発言。ルートには触れなかったが「敦賀以西のルート問題を議論する与党検討委員会では発言
する機会がほしい」と訴えた。井戸知事の姿勢を西川知事をはじめ北陸3県の知事は高く評価し
「意味のある大会となった」と口をそろえた。大会に参加した小浜市の松崎晃治市長も「若狭ル
ートを実現するための第一歩となった」と手応えを口にしたという(同上)。
このブログで北陸新幹線の延長ルートをめぐり『中央日本周回新幹線構想』(2015.03.17),『
(中央)日本周回新幹線構想Ⅱ』(2015.03.17)を掲載しているから、基本的な考えだけを付け
加えておきたい。
(1)敦賀市を日本海経済圏構想の主要都市(そのほかに、札幌、新潟、松江、下関の4つ)と
おき、(2)脱原発産業都市化促進地域に指定、「逆格差法人税制」(要法制)の対象として、
税率を平均値の0~25%に引き下げる。(3)交通網強化として、(あ)敦賀港の再整備、(
い)「敦賀ー大阪」の新幹線整備(「梅田と「新大阪」の選択残)、(う)「敦賀ー名古屋」の
新幹線整備というもの。このときの列車が「フリーゲージトレイン(軌間可変電車)」を採用す
る。敦賀から下関の北陸・山陰新幹線は「フル規格」でもよいが、新幹線の世界展開事業には、
「フリーゲージトレイン(軌間可変電車)」が敷設費用や事業費用効果でも、敷設汎用性・市場
規模・技術的(~時速5百キロ超)側面から有利と思われる。「敦賀から世界へ!」。このキャッ
チ・コピーは面白いとおもうが?!
※ 尚、米原をジャンクとするのは、湖西線は強風対策がいること、JR米原駅周辺は広大な平地
が所有施設内に残っており建設費が割安になるという理由から(2015.05.31 12:50)。
国立がん研究センタの緑茶とコーヒーの摂取量と全死亡率の疫学的調査結果よると、緑茶摂取で
心疾患などによる死亡リスクの低下がみられた。この理由は、緑茶に含まれるカテキン(血圧や
体脂肪、脂質の調整)やカフェイン(血管保護、呼吸機能改善)などの効果が推定されている。
また、限定的ではあるが、女性で外因による死亡リスクの低下がみられたが、テアニンやカフェ
イン(認知能力や注意力の改善)の効果かもしれないという(上図/上)。
また、コーヒー摂取で死亡リスクの低下が見られたのは。コーヒーに含まれるクロロゲン酸が血
糖値を改善し、血圧を調整する効果がある上に、抗炎症作用や、コーヒーに含まれるカフェイン
が血管内皮の機能改善効果や、気管支拡張作用があり、呼吸器機能の改善効果が、循環器疾患や
呼吸器疾患死亡リスク低下に寄与しているのではないかという(上図/下)。全がん死亡では他
の部位のがんも総合して分析を行ったので有意差がなくなったのでは推測している。これらを踏まえ、一
日4杯までのコーヒー摂取は死亡リスクの低下を示唆ししているのではないかとしている。
尚、缶コーヒー、インスタントコーヒー、レギュラーコーヒーを含むコーヒーの摂取頻度を尋ねており、また
カフェインとカフェイン抜きコーヒーを分けていないの配慮すること。
疫学的な調査のため説明要因が多すぎる上に説明要因の範囲も不確定(当たり前だが)、ムード、
モードやそれを包括した外環環境といった「飲み方」、リラクゼーションを感じる?感じない?
や気の置けない仲間と一緒?一緒でないないとかそんな些細なことが大きく影響するストレス性
心因が結構効くかもしれない。また、ポリフェノール含有量の側面で考えれば、赤ワインが一番
(上図の比較例の場合)のようになるし、クロロゲン酸を多く含まれる作物を多い方から、コー
ヒー、向日葵の種、茶、ブルーベリー、パセリ、サツマイモ、ジャガイモ、トマト、リンゴ、梨、
茄子、ゴボウなどいうが、高含有量のコーヒーでも、焙煎は深いとクロロゲン酸含有量が低下す
るので要注意(融点は208℃)。こんなことが気になるのはテレビ放送される俳優や芸人の訃
報が立て続いているためで、コーヒーは香りが好きだが好みと言う程ではない。それでも大腸癌
に効果がありそうだとかいうと、今夜のようにネットサーフしている。ところで、コーヒーと緑
茶をワインに加えたオリジナル・カクテルを創作してみようかとも考えているが、イラチで無精
な性格がなせる技なのかもしれないが、下図のような事例報告もあり、アルコールと適量の緑茶
をブレンドして好みで飲んでいる。
デンソーは28日、超小型電気自動車を「移動する電源」として利用できる独立電源ネットワーク
システム「Pico Grid System(ピコグリッドシステム)」を開発したと発表。同社の安城製作所で、
同システムを使った構内移動のための運用を開始しているという。ピコグリッドシステムは、小
規模な太陽光発電と蓄電池、超小型EVを使って電力を供給する独立型の直流分散電力システムに
、車両管理システムを組み合わせたもの。太陽光で発電した電力は、直流のままで超小型EVや蓄
電池に蓄えることができる(上図)。このため、一般的な太陽光発電システムのように直流から
交流への電力変換による損失が発生しないので、効率的に再生可能エネルギーを活用できる。ま
た、電力を蓄えた超小型EVを「移動する電源」として使用すれば、災害時などに商用電源が停止
した場合でも必要な場所への電源供給が可能になるということだ。ところで、ピコとは国際単位
系の接頭辞の1つで、基礎となる単位の10-12倍の量を表すが、そのまま日本語に訳すと「漠電力
網」ということになるが、マイクロ・ナノなどの言葉が踊る昨今ゆえ、1ピコワット、1ピコ秒
を制御する電力網を意味して命名されたのかと推測するしかないが、いろんなことを考えるもの
ですね。「第5次産業革命」ならの『デジタル革命渦論』ということですね。
※ 産業(工学)革命の推移
第1次 焼き畑・去勢
第2次 石器・木器・銅器・鉄器
第3次 活字印刷・製版・製本・交通
第4次 蒸気機関・地下化石(原子力)燃料
第5次 電気通信・半導体・ナノ(「デジタル革命」)
第6次 ?(超身体・未来エネルギー)
「古賀の乱ってなんだ "I am not ABE"」(『進撃のヘーリオス Ⅱ』2015.04.04)で 触発され
るように、積んでおいた本を取り出し読みはじめた。そして、この国の政体を考えみよう。その
結果、どのようになろうとも未来志向できる手がかりを明らかにしたという動機から掲載してい
きたい。まずは第5章から読み進める。
福島のメルトダウンは必然だった…政府閉鎖すら起こる2013年の悪夢とは!?家族の
生命を守るため、全日本人必読の書。「日本の裏支配者が誰か教えよう」。経産省の現役幹
部が実名で証言。発電会社と送電会社を分離する発送電分離。このテーマについて本気で推
進しようとした官僚が何人かいた。あるいは核燃料サイクルに反対しようとした若手官僚も
いた。しかし、ことごとく厚い壁に跳ね返され、多くは経産省を去った。私も十数年前、発
送電分離をパリのOECDで唱えたことがあるが、危うく日本に召喚されてクビになるとこ
ろだった。その理由とは何だったのか――。(「序章」より)。改革が遅れ、経済成長を促す
施策や産業政策が滞れば、税収の不足から、政府を動かす資金すらなくなる。そう、「政府
閉鎖」すら起こりかねないのだ。いや、そうした危機感を煽って大増税が実施され、日本経
済は奈落の底へと落ちていくだろう。タイムリミットは、ねじれ国会を解消するための参議
院議員選挙がある2013年、私はそう踏んでいる。(「まえがき」より)
古賀 茂明 著『日本中枢の崩壊』
目 次
序 章 福島原発事故の裏で
第1章 暗転した官僚人生
第2章 公務員制度改革の大逆流
第3章 霞が関の過ちを知った出張
第4章 役人たちが暴走する仕組み
第5章 民主党政権が躓いた場所
第6章 政治主導を実現する三つの組織
第7章 役人―その困った生態
第8章 官僚の政策が壊す日本
終 章 起死回生の策
第1章 暗転した官僚人生
鳩山大臣を操る総務官僚
基本法では、人事に関する機能をすべて内閣に集めて、内閣人事局という組織を作ることになっ
ている。
政府には、人事に関連する組織として、まず、第三者機関である人事院、そして総務省の
人事・恩給局、行政管理局、さらに財務省の主計局に給与共済課というものがあり、
それぞれがバラバラに機能している。これでは、時代のニーズの変化に対応してスピーデ
ィに組織を改編し、人員を配置し、もっとも適切な人物を各ポストに就けるのが難しい。
たとえば、産業として衰退してしまった農業を所管する農水省がいまだに巨大な組織を待
っていて、局長もたくさんいる。他方で、環境問題の重要性が高まっているのに、まだ環境
省の陣容が十分でない――こうした判断を総理がしたとしよう。本来であれば、農水省の組
織に大鉈を振るってスリム化し、環境省の組織を拡大する、定員もそれに合わせて増減させ
る、差し引き余剰人員が出れば、リストラをする。そして、環境省にまだ優秀な人材か少な
ければ、他省庁や民間から優秀な人材を登用する。これを総理主導で迅速に行うことか必要
だ。
ところか、いまはどうなっているか。まず、農水害が自分で自分の組織を切ることは考え
られない。組織や定員の査定は総務省の行政管理局がやるが、彼らには常に前年との比較で
仕事か増えたか減ったかという尺度しかないので、組織に大鉈を振るうなどということは無
理だ。
一方で、環境省かたとえば新しい局を作るという要求を行政管理局に出しても、だったら
他の局を潰せというようなこと(スクラップ・アンド・ピルド)を要求する。各省縦割りで
しか査定しないからである。
また、定員を大幅に増やすのもむずかしい。一人増やすだけでも膨大な資料を要求される。
仮に局と課をいくつか作る、あるいは、それと併せて課長補佐、係長、専門職などを置くと
いう要求が認められても、さらに、人事院にお伺いを立てて、その局長は重要な局長か、課
長は重要な課長か、補佐は何級か等々、さらに細かい査定を受けなければならない。そして、
給料全体は主計局の給与共済諌がしっかり査定をしているという具合だ。
しかも、その後に一番重要な人事は各省がそれぞれ勝手に行う。これで、その時々の行政
ニーズに即応した組織体制を形成し、しかも適材適所で有能な人材が配置できると考える人
はいないだろう。
この点は、民h党も強く批判していて、特に「3M」と呼ばれた松本国明、松井孝治、馬
淵澄夫各氏は国会でもこの問題を取り上げていた。
特におもしろい指摘は、馬淵氏が強調していたが、組織や定員を査定する総務省行政管理
局の総括担当管理官(査定の取りまとめを行う筆頭管理職)と、各ポストの重要性を判断し
て格付けを行う人事院の給与第二課長が、財務省出向者の指定席になっている事実である。
馬淵氏は、これに主計局の給与共済課を併せれば、政府の組織・給与を財務省が完全に支
配していると指摘し、強く批判したのだ。これはなるほどもっともだ、と事務局員も納得し
ていた。
ところが、これらの機能を一つにして内閣人事局に集めようという至極まっとうな考えが
すんなり通るほど、霞が関は甘くない。
当初、事務局幹部は、そういう大きな改正は無理だといって、とりあえず、総務省の人事・
恩給局の一部(人事院勧告に基づいて給与法の改正案を作ることなどを行う部局)を移管す
るだけにしようと画策した。私か、行政管理局や人事院の機能も移管すべき、としつこくい
うと、「君は素人だからそんなこというけどねぇ、無理なんだよ。できるはずないんだよ」
と抵抗する。しかし、私がいうことは.E論なので、面と向かって完全に否定はできない。
われわれのチームは関連する機能をすべて移管する前提で法案策定作業を進めた。
総務省はもちろん徹底抗戦だった。当時の鳩山邦夫総務大臣を使って、組織・定員の査定
機能移管はダメだというのだ。ところが、マスコミの批判もあって、途中から路線転換を試
みる。それは、組織・定員の査定機能だけでなく、たとえば、行政改革全般や行政の情報化
の推進のような業務を担当する部局まで一緒に内閣人事局に移管するという案だ。実は、こ
の案は当初から改革推進本部嘔務局にいた、部の守旧派グループが密かに温めていた案であ
る。
これは何を意味するか――。
総務省は、旧自治省、旧郵政省、旧総務庁が統合されてできた役所だ。統合によって次官
ポストは一つになった。その後、旧三省庁で順番に次官を出していたが、旧自治省の力が圧
倒的に強く、旧総務庁はもっとも力が弱かった。2007年に退官した旧総務庁出身の次官
が同庁出身・最後の次官になるだろうといわれている。そこでこの旧総務庁グループが焼け
太り大作戦を企んだというのだ。
つまり、行政管理局を人事・恩給局と一緒に内閣人事局に移管して、そのなかの最大勢力
となる。そこで主要ポストを握って、霞か関の人事・組織のクピ根っこを押さえる。すなわ
ち、旧三省庁のうちの最弱部隊が、政府中枢の最重要部局を乗っ取るということだ。
鳩山大臣はこの方針転換にもつき合わされて、甘利大臣と最後まで戦う。一時は他の事務
局幹部が私の知らないところでこの案を呑む約束をしてしまい、内閣人事局の名称を「内閣
人事・行政管理局」という名前にする案まで自民党に提示され、ほとんど決着寸前まで行っ
たが、幸い民主党や公明党、自民党の改革派か大反対してくれて、これは頓挫した。
鳩山大臣もお人よしだ。こんな陰謀につき合わされて、まことにお気の毒だと思った。
公務員の「守護神」人事院 vs. 甘利大臣
もう一つ、忘れられない戦いかあった。
2009年1月30日に開催予定だった国家公務員制度改革推進本部の会議が流れた。同
本部は総理を本部長とし、各省大臣が出席して公務員制度改革について議論して政策を決定
する機関だ。この会議に谷公士人事院総裁が呼ばれた。しかし、谷総裁は、この会議をボイ
コットしたのだ。
話は2008年夏以降繰り広げられた人事院の機能を内閣人事局に移管すべきかどうかと
いう論争に遡る。先述した通り、当初から人事院は聖域だというのが事務局幹部の固定観念
だった。公務員にはスト権などのいわゆる労働基本権が与えられておらず、とても「弱い」
立場に置かれてかわいそうなので、それを補う目的で「中立的な」第三者として、公務員の
処遇などを決める機関が必要だということで人事院が置かれている。
ところが、この人事院というのが不可思議な組織で、総裁は元官僚(当時は元郵政省事務
次官が渡りの末就任していた,現在は元厚生労働省事務次官)で、事務局は上から下まで全
部国家公務員だ。つまり、第三者といいながら、実は公務員が公務員の給料などの待遇を決
めているのである。よく、公務員の待遇は一般民間企業に比べて良すぎるのではないかとい
う批判があるか、それは当たり前である。自分で自分の給料を決めているのだから。
しかも、このようなお手盛りの仕組みが、長年の悪しき慣行によって、ほとんど憲法上の
要請であるかのごとく聖域に祭りヒげられてしまっていた。特に「五五年体制」での自民党
と社会党の裏談合時代の名残もあり、その仕組みを自民党は、過去に認めてしまっていたの
である。その後何回か、その仕組みの変革に挑戦する動きはあったが、結局、何十年もの間
敗れ続けていたのである。
あるとき、自民党の行政改革推進本部の幹部会があったが、その席上で世の中では改革派
で通っている石原伸晃議員ですら、「人事院からの機能移管なんて絶対にできるはずがない
よ。僕だってやろうとしたけどできなかったんだよ」と半ば諦め顔で忠告してくれた。私は、
「それなら、なおさらやらなければ」と、決意を新たにした。
実はあまり知られていないが、人事院が強く反発したのにはもう一つ裏の理由がある。そ
れは、彼らの天下り利権の確保である。人事院は直接、民間企業や団体を所管していないし、
補助金や規制の権限も持っていない。従って、普通に考えれば、天下りを民間団体などに押
しつけることはできないはずだ。しかし、実際には毎年ちゃんと幹部は天下りしている。そ
のほとんどは、各省庁の所管団体だ。
先ほど述べた通り、各省は、局長や課長、課長補佐などのポストの重要度を人事院に説明
して、その格付けを決めてもらわなければならない。当然のことながら、なるべく格付けを
上げて、より高い給料のポストにしたい。各ポストの重要度は本来、各省庁の経営管理事項
だが、わが国では労働問題だとして、人事院が労働組合の意向を汲んで決めるのである。
民間企業では、課長ポストの重要度の位置づけは経営者が決めることであって、労働組合
と交渉して決めるなどということは考えられない。しかし、公務員の世界では、こういうお
かしな仕組みがまかり通っている。
このように、各省庁に対して強力な査定権限を持っているので、人事院から天下り先を要
求された省庁は簡単には断れない。省庁側としても、ただで要求を呑むわけではない。当然、
見返りとして、査定で夢心を加えてもらおうという魂胆だ。いわば、官と官の贈収賄みたい
なものである。
さて、自民党内でも厭戦気分が強かったにもかかわらず、甘刊大臣は、この悪しき慣行に
終止符を打つべく、人事院の査定権限を内閣人灘局に移管しようとした。人賀院の幹部が天
下りできなくなるのだから、たいへんな騒ぎになり、ついには、冒頭に述べた、谷総裁の内
閣の会議ポイコットヘと展開していくのである。
われわれは、マスコミに丁寧に訴えた。いかに人事院の抵抗が理不尽なものか。その甲斐
あって、中立公正な第三者機関であるはずの人事院に対するイメージは地に落ち、公務員の
利権擁護機関だという認識か急速に広かった。
これが、官僚、特に一部の官邸官僚の思惑を打ち砕く。彼らは人事院の谷総銭と結託して、
麻生総理を公務員の守護神にしようと奎んでいたらしい。甘利大臣ががんぱっても、最後は
総理のところで急進的な改革を潰そうとしていたというから驚きだ。
しかし、麻生政権はすでに末期症状を呈していた。人事院側に肩入れして、少しでも支持
率が下がったらもう致命的だという理由で、結局、官邸官僚の抵抗もそこまでとなり、人事
院からの権限移管の案か固まることになった。
私は、この話が決着した後、「谷総裁にはお気の毒なことをしたなあ」と事務局の若手と
話していたのだが、「そんなことないんじやないですか」との答え。皮肉なことに、甘利大
臣との大乱闘を演じた谷総裁の霞が開での評判はウナギ上りで、官僚仲間のあいだで英雄と
なってしまったというのだ。出身省の旧郵政官僚幹部(現・総務省の一部)は、「立派な先
輩を持って鼻が高い」といっていたというから、霞が関がいかに世の中と遊離しているのか
がよく分かる。普通なら「恥ずかしくて外を歩けない」と思っても良さそうなものだが。
全国の若者達がろくに職に就けない、就けても諸経費扱いの劣悪な非正規社員扱いの職場で働
かなければならない実態に目を瞑り既得権益の「目的なき」拡大を繰り返す国家官僚と既得権
守旧派の職業政治委員達に付ける薬はない。さて、次回は「官僚の二枚舌」に焦点が当てられ
る。
この項つづく
同上で咲き始めた、色待宵草=ゴデチア、母の形見でもある。