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エネルギーと環境 189

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彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
根藩の当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代
の井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)
と兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-。

【季語と短歌:3月26日】

   
  巴御前出陣図(東京国立博物館所蔵)

         黄砂吹き巴御前ぞ桜舞う 

                高山  宇(赤鬼)

図1 これがファイバー電池

✳️ 豊田中研が革新電池
   電極構造の3次元化で容量と出力を両立

 豊田中央研究所は2022年11月9日、電池技術の学会「第63回 電池討
論会」で、独自開発した「ファイバー電池」について発表した。1コ
マ20分の発表枠を連続3コマ使った発表(講演番号2C15~17)で、多
くの参加者の注目を集めた。これまで2次元的であった電池の電極構
造を、3次元(3D)化する画期的な提案をおこなった。

当初は“1次元”の糸。ただし、このファイバー電池は、それ一本の外
見はほぼ1次元、つまり直径が最大0.3mm(300μm)の細い糸と区別
がつかない(図1)。この糸は大きく3層に分かれ、中心に負極となる
炭素繊維のより線、その外側に隔壁(セパレーター)層、そして正極
層から成る。製造も一般の糸の加工と同様、糸巻きに巻いたより線を
引き出して、セパレーター層、次に正極層を塗工し、それらを乾燥後
に再び糸巻きに巻き取る、一種のロール・ツー・ロール(R2R)式で
行う。 ⏭️ 容量と出力のトレードオフを回避
ただし、この糸のままでは容量が少なすぎて実用にはなりにくい。豊
田中央研究所はなぜこのような糸状の電池を開発したのか。それは、
これまでの2次元的な電池に限界があったためだ。具体的には、容量
と出力を同時に高めることが難しかったのである(図2)。

図2 これまでの電池は容量優先か出力優先かのトレードオフに
図2 これまでの電池は容量優先か出力優先かのトレードオフに 既存のLiイオン2次電池はエネルギー密度と出力を同時に高めるのが
難しく、どちらか一方を高めるともう一方が低減してしまう課題があ
った。その要因は容量を高めようとして正極や負極を厚くすると電子
やLiイオンの移動抵抗値が高まるため。同じ電池でも出力を高めると
その影響で実質的な容量が低下する(出所:豊田中央研究所の講演内
容を基に日経クロステックが作成).   これまでのリチウム(Li)イオ
ン2次電池(LIB)は2次元的だった。その場合、電池の容量は、電極
材料の厚みに依存する。電極材料が同じであれば、厚みを増やせば一
定程度までは計算上の容量を増やせる。ところが、電極を厚くすると
今度は、電極中を移動する電子やLiイオンの移動抵抗が大きくなり、
大きな電流を流すことが難しくなる。

無理に高い電圧を印可して急速充電しても、思うようには電流が流れ
ず、発熱が大きくなる。さらには、厚い電極中の活物質を使い切れず、
実質的な電池容量が大幅に低下する。これを繰り返すと電池寿命にも
大きく影響する。これとは逆に、正極と負極をそれぞれ非常に薄くす
る電池の設計もある。この場合、電子やLiイオンは電極中の移動距離
が減り、移動抵抗値が小さくなるので大きな電流を取り出しやすくな
る。ところが、今度は計算上の容量自体が減ってしまうため、大きな
出力を長く続けるのが難しい。もちろん、セルを多数並べれば全体と
しての容量を増やせる。小さな電池を多数使うのは、初期の米Tesla(
テスラ、当時はTesla Motors)の戦略でもあった。しかし、小容量の
セルごとに集電体や筐(きょう)体を実装していては、エネルギー密
度は高まらない。バイポーラー型という、セルをタブなしに直列に積
層する手法が解決策の1つだが、正極と負極で集電体を共有するため、
本来正負極で異なる最適な集電体の材料を選べないなどの課題がある。
これは電池の内部抵抗値が高まる要因になる。

1️⃣ 特開2023-039466 負極層 トヨタ自動車株式会社
【要約】下図1のごとく、固体電池用の負極層であって、前記負極層
は、負極活物質と、結着剤と、炭素繊維と、セラミック繊維と、を含
み、前記セラミック繊維は、前記負極層中に1.7~4.1体積%含
まれることを特徴とする負極層。固体電池の充放電サイクル特性を良
好にすることができる負極層を提供することを目的とする。

000002
図1 本開示の負極層の一例を示す断面模式図符号の説明】
11  負極活物質 12  結着剤 13  固体電解質 14  炭素繊維
15  セラミック繊維 100  負極層
【発明の効果】  本開示固体電池用の負極層は、固体電池の充放電サ
イクル特性を良好にすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】  固体電池用の負極層であって、
  前記負極層は、負極活物質と、結着剤と、炭素繊維と、セラミック
繊維と、を含み、前記セラミック繊維は、前記負極層中に1.7~
41体積%含まれることを特徴とする負極層。
【詳細説明】
(実施例1)
[正極の作製]
  転動流動造粒コーティング装置でLiNbO3コートを行った正極
活物質(LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2、平均粒径10μm)
と、硫化物系固体電解質(10LiI・15LiBr・75(0.
75Li2S・0.25P2S5)(mol%)、平均粒径0.5μm
)と、導電材(VGCF-H)と、バインダー(PVDF)を、重
量比で、正極活物質:硫化物系固体電解質:導電材:バインダー=
85.4:12.7:1.3:0.6となるように秤量し、分散媒
(ジイソブチルケトン)とともに混合した。得られた混合物を、超
音波ホモジナイザー(UH-50、株式会社エスエムテー製)で分
散させることにより、正極層用スラリーを得た。得られた正極層用
スラリーを、正極集電体(Al箔、厚さ15μm)上に、アプリケー
ターによるブレードコート法により塗工し、100℃で30分間乾燥
させた。その後、1cm2の大きさに打ち抜くことにより、正極層お
よび正極集電体を有する正極を得た。
[負極の作製]
  負極活物質(Si粒子、平均粒径2.5μm)と、硫化物系固体電
解質(10LiI・15LiBr・75(0.75Li2S・0.2
5P2S5)(mol%)、平均粒径0.5μm)と、炭素繊維(V
GCF-H)と、バインダー(SBR)とセラミック繊維(Sigma
-Aldrich社製酸化アルミニウム(製品番号:551643)
)を、重量比で、負極活物質:硫化物系固体電解質:炭素繊維:バ
インダー:酸化アルミニウム=45.7:43.3:6.4:1.4
:2.7となるように秤量し、分散媒(ジイソブチルケトン)とと
もに混合した。得られた混合物を、薄膜旋回型高速ミキサー(フィ
ルミックス30-L型、プライミクス株式会社製)で分散させるこ
とにより、負極層用スラリーを得た。得られた負極層用スラリーを、
負極集電体(Ni箔、厚さ22μm)上に、アプリケーターによる
ブレードコート法により塗工し、100℃で30分間乾燥させた。
この時のアプリケーターのギャップ(隙間)は、正極活物質容量を
207mAh/g、負極活物質容量を3579mAh/gとした場
合に、1cm2当たりの負極活物質重量が正極容量/負極容量の比
が3となるように調整した。その後、1cm2の大きさに打ち抜く
ことにより、負極層および負極集電体を有する負極を得た。負極層
の体積を100体積%としたときのセラミック繊維は、2体積%で
あった。負極層中には、セラミック繊維は、炭素繊維に対して体積
比で0.28含まれていた。
[固体電解質層の作製]
  硫化物系固体電解質(10LiI・15LiBr・75(0.75
Li2S・0.25P2S5)(mol%)、平均粒径2.0μm)
とバインダー(SBR)を、重量比で、硫化物系固体電解質:バイ
ンダー=99.6:0.4となるように秤量し、分散媒(ジイソブ
チルケトン)とともに混合した。得られた混合物を、超音波ホモジ
ナイザー(UH-50、株式会社エスエムテー製)で分散させるこ
とにより、固体電解質層用スラリーを得た。得られた固体電解質層
用スラリーを、支持体(Al箔、厚さ15μm)上に、アプリケータ
ーによるブレードコート法により塗工し、100℃で30分間乾燥
させた。その後、1cm2の大きさに打ち抜くことにより、Al箔
を有する固体電解質層を得た。
[固体電池の作製]
  得られた固体電解質層と、正極を対向させて固体電解質層と正極層
とを重ね合わせ、ロールプレス法により、線圧1.6t/cmでプ
レスした後、固体電解質層からAl箔を剥離することにより、正極
層上に固体電解質層を転写した。正極層上に転写された固体電解質
層と、負極を対向させて固体電解質層と負極層とを重ね合わせ、1
軸プレス機により、面圧5.0t/cm2でプレスした後、集電用
のタブを正負極集電箔上に配置し、ラミネート封止することにより、
固体電池を得た。
[充放電評価]
  作製した実施例1~4、比較例1~2の各固体電池を25℃の恒温
槽内で0.364mAhで4.05Vまで定電流充電を行った後、
4.05Vにて定電圧充電を電流値が0.036mAhになるまで充
電を行い、0.364mAhで2.5Vまで定電流放電を行った後、
2.5Vにて定電圧放電を電流値が0.036mAhになるまで放電
を行った。これを3回繰り返した。
  サイクル特性評価は60℃の恒温槽で3.64mAhで4.05V
まで定電流充電を行った後、4.05Vにて定電圧充電を電流値が1.
21mAhになるまで充電を行い、3.64mAhで2.5Vまで
定電流放電を行った後、2.5Vにて定電圧放電を電流値が1.2
1mAhになるまで放電を行った。これを30回繰り返し、30サ
イクル後放電容量維持率を評価した。30サイクル後放電容量維持
率は、以下の式から算出した。結果を表1に示す。また、セラミッ
ク繊維0体積(vol)%添加に対する初期抵抗率と30サイクル
後の抵抗増加率を算出した。結果を図2に示す。
  30サイクル後放電容量維持率(%)=(30サイクル後放電容量
/1サイクル目放電容量)×100【0056】
【表1】
000003

2️⃣  特開2021-015751  リチウムイオン電池 トヨタ自動車株式会社
   株式会社豊田中央研究所(特許有効)
【要約】下図1のごとく、リチウムイオン電池は、正極10と負極2
0とが立体的に隣接する三次元電極構造を有する。負極20は、炭
素繊維束21を含む。炭素繊維束21は、複数本の炭素繊維からな
る。隔壁30は、複数本の炭素繊維の各々の表面を被覆している。
隔壁30は、PVDF-HFPを含む。電解液は、コポリマーに含
浸されている。正極10は、第1活物質および第2活物質を含む。
第1活物質は、層状構造を有するリチウムニッケルコバルトマンガ
ン複合酸化物である。第2活物質は、スピネル型構造を有するリチ
ウムマンガン複合酸化物である。第1活物質と第2活物質とは、質
量比で「第1活物質/第2活物質=85/15から50/50」の
関係を満たしている。三次元電極構造を有するリチウムイオン電池 において、充放電サイクルに伴う抵抗増加を抑制する。
000002
図1 本実施形態における三次元電極構造を示す概略図

図2 図1のxy平面に平行な概略断面図
【符号の説明】10  正極、20  負極、21  炭素繊維、25  炭素
繊維束、30 隔壁、100  電極複合体。
【発明の効果】、本開示によれば、三次元電極構造を有する電池に
おいて、充放電サイクルに伴う抵抗増加が抑制され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】  正極と負極とが立体的に隣接する三次元電極構造を有
する、リチウムイオン電池であって、  前記正極、前記負極、隔壁お
よび電解液を含み、前記負極は、炭素繊維束を含み、
    前記炭素繊維束は、複数本の炭素繊維からなり、
前記炭素繊維束は、50μm以上300μm以下の束径を有しており、
前記隔壁は、前記複数本の炭素繊維の各々の表面を被覆しており、
前記隔壁は、5μm以上30μm以下の厚さを有しており、
前記隔壁は、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの
コポリマーを含み、  前記電解液は、前記コポリマーに含浸されてお
り、前記正極は、前記隔壁を挟んで前記負極と対向しており、
前記正極は、第1活物質および第2活物質を含み、
前記第1活物質は、層状構造を有するリチウムニッケルコバルトマ
ンガン複合酸化物であり、
前記第2活物質は、スピネル型構造を有するリチウムマンガン複合
酸化物であり、前記第1活物質と前記第2活物質とは、質量比で
前記第1活物質/前記第2活物質=85/15から50/50の関
係を満たしている、チウムイオン電池。  
《供試電池の評価》
  供試電池の充放電が3サイクル実施された。サイクル条件は以下の
とおりである。
  温度環境:25℃
  充電:上限電圧 4.1V、電流レート 0.1C
  放電:下限電圧 2.5V、電流レート 0.1C
  ここで「C」は、電流レートの単位である。1Cの電流レートにお
いては、電池の定格容量が1時間で放電される。
  3サイクル後、供試電池のSOC(state of charge)
が50%に調整された。SOCの調整後、0.5Cの電流レートに
より、供試電池が2秒間通電された。2秒後の電圧が測定された。
同様に、1C、2C、4Cおよび6Cの各電流レートにおいて、通
電2秒後の電圧が測定された。二次元座標に測定結果がプロットさ
れた。二次元座標の横軸は電流であり、縦軸は電圧である。二次元
座標における近似直線の傾きから、IV抵抗が算出された。IV抵
抗は、供試電池の内部抵抗に相当する。【0093】
  IV抵抗の測定後、充放電が20サイクル実施された。サイクル条
件は以下のとおりである。【0094】
  温度環境:40℃
  充電:上限電圧 4.1V、電流レート 0.5C
  放電:下限電圧 2.5V、電流レート 0.5C
  20サイクル後、上記と同様に、IV抵抗が測定された。下記式に
より、抵抗増加率が算出された。
  抵抗増加率=(Rcyc-Rini)/Rini
  式中「Rini」は、20サイクル実施前(初期)のIV抵抗を示す。
  式中「Rcyc」は、20サイクル実施後のIV抵抗を示す。
  下記表1に抵抗増加率が示される。下記表1の「抵抗増加率」の欄
に示される値は、各例における抵抗増加率が、実施例1における抵
抗増加率で除された値である。抵抗増加率が低い程、充放電サイク
ルに伴う抵抗増加が抑制されていると考えられる。本実施例におい
ては、抵抗増加率が1.15以下であれば、充放電サイクルに伴う
抵抗増加が抑制されているとみなされる。

《結果と考察》
  実施例1に係る供試電池は、三次元電極構造を有する。比較例1に
係る供試電池は、二次元電極構造を有する。実施例1は、比較例1
に比して、低い抵抗増加率を示した。【0100】
  実施例1から3、比較例2の結果において、隔壁の厚さが5μm以
上30μm以下である時、抵抗増加率が低い傾向がみられる。比較例
3においては、正極と負極とが短絡していた。隔壁が過度に薄いた
めと考えられる。【0101】
  実施例1、4および5、比較例4および5の結果において、炭素繊
維束の束径が50μm以上300μm以下である時、抵抗増加率が低
い傾向がみられる。【0102】
  実施例1、6および7、比較例6および7の結果において、第1活
物質と第2活物質とが、質量比で「第1活物質/第2活物質=85/
15から50/50」の関係を満たしている時、抵抗増加率が低い
傾向がみられる。

3️⃣ 特開2025-37339  評価装置及び評価方法  株式会社豊田中央研究所  
4️⃣ 特開2024-80872  蓄電デバイス 株式会社豊田中央研究所
【要約】下図1のごとく、蓄電デバイスは、正極活物質を含み、板状
の正極基部の主面から複数の正極櫛歯が互いに間隔をあけて突出した
櫛歯構造を有する正極と、負極活物質を含み、板状の負極基部の主面
から複数の負極櫛歯が互いに間隔をあけて突出した櫛歯構造を有し、
負極櫛歯が正極櫛歯と互い違いとなり、負極櫛歯の先端が正極基部の
主面に対向し負極基部の主面が正極櫛歯の先端に対向するように配置
された負極と、負極と正極との間に介在し、キャリアイオンを伝導す
るイオン伝導媒体と、を備え、櫛歯構造の櫛歯同士の間に存在する櫛
溝の延在方向に垂直な断面において、主面に平行な方向の寸法を幅と
すると、前記正極櫛歯の幅及び前記負極櫛歯の幅は、110μm以上
250μm以下の同じ値であり、基端から先端まで一定であるもので
ある。
000002
図1. 大電流時のエネルギー密度をより高める。
【符号の説明】
10  蓄電デバイス、20  正極、22  正極基部、23  主面、24  
正極櫛歯、25  櫛溝、26  正極端用櫛歯、27  面、30  負極、
32  負極基部  33  主面、34  負極櫛歯、35  櫛溝、36  負極端
用櫛歯、37  面、40  分離膜、42  正極集電体、44  負極集電体、
W,wp,wxp,wn,wxn  幅、T,tp,tn,ts  厚み、
hp,hn  高さ、D  奥行き。
【発明の効果】この蓄電デバイスでは、大電流時のエネルギー密度を
より高めることができる。このような効果が得られる理由は、例えば、
正極櫛歯の幅及び負極櫛歯の幅を、110μm以上250μm以下の同
じ値であり、基端から先端まで一定であるものとすると、大電流時に、
電極内でのイオン伝導がより円滑に行われるためと推察される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】  正極活物質を含み、板状の正極基部の主面から複数の
正極櫛歯が互いに間隔をあけて突出した櫛歯構造を有する正極と、
  負極活物質を含み、板状の負極基部の主面から複数の負極櫛歯が互
いに間隔をあけて突出した櫛歯構造を有し、前記負極櫛歯が前記正極
櫛歯と互い違いとなり、前記負極櫛歯の先端が前記正極基部の主面に
対向し前記負極基部の主面が前記正極櫛歯の先端に対向するように配
置された負極と、前記正極と前記負極との間に介在し、キャリアイオ
ンを伝導するイオン伝導媒体と、を備え、
  前記櫛歯構造の前記櫛歯同士の間に存在する櫛溝の延在方向に垂直
な断面において、前記主面に平行な方向の寸法を幅とすると、前記正
極櫛歯の幅及び前記負極櫛歯の幅は、110μm以上250μm以下の
同じ値であり、基端から先端まで一定である、  蓄電デバイス。
【請求項2】  前記正極櫛歯の幅及び前記負極櫛歯の幅は、150μm
以上210μm以下である、請求項1に記載の蓄電デバイス。
【請求項3】  前記正極櫛歯の幅及び前記負極櫛歯の幅は、170μm
以上190μm以下である、請求項1に記載の蓄電デバイス。
【請求項4】  前記断面において、前記主面に垂直な方向の寸法を厚み
とすると、前記正極基部の厚みは、40μm以上60μm以下であり、
前記負極基部の厚みは、40μm以上60μm以下である、請求項1~
3のいずれか1項に記載の蓄電デバイス。
【請求項5】前記負極は、前記正極と体積が同じである、請求項1~
3のいずれか1項に記載の蓄電デバイス。
【請求項6】  請求項1~3のいずれか1項に記載の蓄電デバイスで
あって、
  前記正極に電気的に接続された正極集電体と、
  前記負極に電気的に接続された負極集電体と、
  を備えた、蓄電デバイス。
【請求項7】  前記キャリアイオンは、リチウムイオンである、請求
項1~3のいずれか1項に記載の蓄電デバイス。
【発明を実施するための形態】【実施例】【0031】
  以下には、本開示の蓄電デバイスを具体的に検討した例を、実施例
として説明する。なお、実験例2~8が実施例に相当し、実験例1,
9,10が比較例に相当し、実験例11~13が参考例に相当する。
[蓄電デバイス]
  実験例1~13では、図2A~2H,3A~3B,4A~4Cの蓄
電デバイスを検討した。なお、図2A~2H,3A~3B,4A~4
Cは、図1の正面図に対応する。実験例1~10の蓄電デバイスは、
いずれも、厚みT(集電体を除く厚み)は600μm、奥行きDは
3000μmとした。実験例11~13の蓄電デバイスについては、
厚みT(集電体を除く厚み)は、それぞれ720μm、840μm、
960μmとし、奥行きDはいずれも3000μmとした。また、セパ
レータの厚みは20μmとした。実験例1~13において、正極活物
質は、スピネル型のリチウムマンガン複合酸化物(LMO)とした。
負極活物質は、黒鉛(大阪ガス製、MCMB25-10)とした。イ
オン伝導媒体(イオン伝導膜)は、エチレンカーボネート(EC)と
ジメチルカーボネート(DMC)とをEC:DMC=1:2の体積比
で混合した混合液に1.0MのLiPF6を加えた電解液と、ポリフッ
化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体(PVdF-
HFP)とで構成されたゲル電解質とした。正極活物質の含有量は、
正極20の質量全体に対して90質量%とし、負極活物質の含有量は
負極30の質量全体に対して95質量%とした。正極20は、多孔体
であり、その空隙率は63体積%とした。負極30は、多孔体であり、
その空隙率は50体積%とした。以下に、実験例1~13の具体的な
寸法等を説明する。【0033】

図2 実験例1~8の蓄電デバイスの構成の概略を示す説明図

(実験例1)  図2Aの蓄電デバイスを検討した。正極基部の厚みtp
は50μm、正極櫛歯の幅wpは100μm、本数は8本、正極端用櫛
歯の幅wxpは50μm、本数は1本とした。負極基部の厚みtnは
50μm、負極櫛歯の幅wnは100μm、本数は8本、負極端用櫛歯
の幅wxnは50μm、本数は1本とした。この蓄電デバイスの幅W
は、2040μmである。(中略)【0036】
[評価]
  エネルギー密度は、COSMOL Multiphysics Software packageを使
い、連続体シミュレーションによって評価した。連続体シミュレーシ
ョンでは、Doyle, et al., J. Electrochem. Soc., 143, 1890 (1996). に記
載の電池モデル(porous electrode theory と concentrated solution
theory を組み合わせたモデル)を使用した。なお、電流密度は、蓄電
デバイスの幅Wと奥行きD(例えば実験例1では2040μm×3000
μm)で構成される面で定義されるものとした。電流密度はXC=X×
3.16mA/cm2で表される。つまり、1C=3.16mA/cm2
であり、6C=18.96mA/cm2であるものとした。また、エネ
ルギー密度は、蓄電デバイスの幅Wと厚みT(例えば実験例1では
2040μm×600μm)で構成される面で定義されるものとした。
なお、上記の点以外は、上述した非特許文献1(Miyamoto et al., Cell
Rep. Phys. Sci., 2, 100504 (2021))に記載された方法に従った。
【0037】
[結果と考察]
  表1に、実験例1~13の正極基部の厚み、負極基部の厚み、正極櫛
歯の幅、負極櫛歯の幅、蓄電デバイスの厚みをまとめた。また、表2
に、実験例1~10の蓄電デバイスのエネルギー密度を示した。
【0038】
  まず、正・負極櫛歯の幅について、実験例1~10を用いて検討し
た。エネルギー密度を比較したところ、実験例2~8では、5C及び
6CのCレートにおいて、非特許文献1,2において最適化された構
造である実験例10よりも高い値を示した。なお、実験例10は、実
験例2~8と同様、正・負極櫛歯の幅が基端から先端まで一定である
が、正極櫛歯の幅が負極櫛歯の幅より大きく、正極:負極の体積比が
6:4である。また、実験例2~8では、1C~6Cの全てのCレー
トにおいて、非特許文献2において最適化された構造である実験例9
と同等以上の値を示し、5C及び6CのCレートにおいて、実験例9
よりも高い値を示した。なお、実験例9は、実験例2~8と同様、正・
負極櫛歯の幅がいずれも110μm以上250μmの同じ値で、正極:
負極の体積比が5:5であるが、正・負極櫛歯の幅が基端から先端ま
で一定ではなく先端側が細くなっている。以上より、正・負極櫛歯の
幅が110μm以上250μm以下の同じ値であり、基端から先端まで
一定である実験例2~8では、エネルギー密度が良好で、特に5C以
上のハイレートでのエネルギー密度が良好であり、好ましいことがわ
かった。実験例2~8のうち、正・負極櫛歯の幅が130μm以上
230μm以下である実験例3~7では、5C以上のハイレートでの
エネルギー密度がより良好であり、正・負極櫛歯の幅が150μm以
上210μm以下である実験例4~6では、5C以上のハイレートで
のエネルギー密度がさらに良好であり、正・負極櫛歯の幅が170μm
以上190μm以下である実験例5では、5C以上のハイレートでの
エネルギー密度が一層良好であり、好ましいことがわかった。このよ
うに、正・負極櫛歯の幅を180μmに近づけることで、ハイレート
でのエネルギー密度をより高めることができることがわかった。

【図5】実験例5,11~13のラゴンプロット。

【0039】次に、正・負極基部の厚みについて、実験例5,11~
13を用いて検討した。図5に、実験例5,11~13のラゴンプロ
ットを示す。なお、図5の横軸のパワー密度は、印加電流に比例する
ため、図5では、右側のプロットほど高い電流値(ハイレート)での
性能を示す。図5に示すように、正・負極基部の厚みを薄くするほど、
例えば50μmに近づけるほど、ハイレートでのエネルギー密度をよ
り高めることができ、好ましいことがわかった。なお、実験例11~
13では、実験例5よりもハイレートでのエネルギー密度が低いもの
の、正・負極基部の厚みが実験例11~13と同じで、正・負極櫛歯
の幅が110μm未満や250μm超過であったり、正・負極櫛歯の幅
が異なるものに比べれば、高いエネルギー密度が得られると推察された。
【0040】
表l
000003

表2
000004
6️⃣特開2024-057324 樹脂多孔質体の製造方法、および樹脂多孔質体
 トヨタ自動車株式会社
7️⃣特開2024-017774  圧延ロール装置のロール交換機構  プライム
  アースEVエナジー株式会社
8️⃣ 特開2023-163623 蓄電デバイス用電極、蓄電デバイス及び蓄電
   デバイス用電極の製造方法  株式会社豊田中央研究所
【発明の効果】  本開示は、Siを含む多孔体の活物質層と集電体と
の接合性をより高めることができる。このような効果が得られる理由
は以下のように推察される。
例えば、多孔質シリコンに集電体を接合する際に、加圧圧着すること
が考えられるが、加圧により多孔体の空隙率が減少してしまうことが
あり、加圧には限度がある。また、Alを用いてSiを多孔化する場
合、酸やアルカリによりAlを除去することがあるが、多孔化前に集
電体を加圧圧着したのちにAlを除去すると、集電体の接合性が低下
することがあった。本開示では、集電体を構成する元素及びSiと共
晶系合金を形成する金属Mの膜体を介して活物質層と集電体とを接合
するためAlの除去によっても接合強度の低下をより抑制することが
できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】  SiとAlとを少なくとも含み空隙を有し板状の多孔質
シリコン材料を電極活物質として有する活物質層と、
  集電体と、
  前記活物質層と前記集電体との間に介在し、前記集電体を構成する元
素及びSiと共晶系合金を形成する金属Mの膜体と、
  を備えた蓄電デバイス用電極。
【請求項2】  前記多孔質シリコン材料は、一体形状を有し結着材を
含まない、請求項1に記載の蓄電デバイス用電極。
【請求項3】  前記膜体は、Snからなる、請求項1又は2に記載の
蓄電デバイス用電極。
【請求項4】  前記膜体は、その厚さが50nm以上300nm以下
の範囲である、請求項1又は2に記載の蓄電デバイス用電極。
【請求項5】  前記膜体と前記活物質層との間に300nm以下の厚
さのSi膜が形成されている、請求項1又は2に記載の蓄電デバイス
用電極。
【請求項6】  (1)~(5)のいずれか1以上の特徴を有する、請求
項1又は2に記載の蓄電デバイス用電極。
(1)前記多孔質シリコン材料は、Si及びAlの全体を100at
%としたときにSiを90at%以上の範囲で含む。
(2)前記多孔質シリコン材料は、空隙率が10体積%以上50体積
%以下の範囲である。
(3)前記多孔質シリコン材料の板状体は、その厚さが10μm以上
50μm以下の範囲である。
(4)前記多孔質シリコン材料の板状体は、1つの面に前記膜体を介
在して前記集電体が加熱圧着されている。
(5)前記集電体はCuを含む。
【請求項7】  正極活物質を含む正極と、
  請求項1又は2に記載の蓄電デバイス用電極である負極と、
  前記正極と前記負極との間に介在しリチウムイオンを伝導するイオン
伝導媒体と、 を備えた蓄電デバイス。
【請求項8】  SiとAlとを少なくとも含み空隙を有さない板状の
シリコン合金である前駆体と集電体との間に、前記集電体を構成する
元素及びSiと共晶系合金を形成する金属Mの膜体を介在させた状態
で、該前駆体及び該集電体を150℃を超える接合温度で加熱圧着す
る接合工程と、
  前記シリコン合金に含まれるAl成分を除去して板状の形状を有す
る多孔質シリコン材料の活物質層を形成する電極化工程と、
  を含む蓄電デバイス用電極の製造方法。
【請求項9】前記接合工程では、Snからなる前記膜体を用いる、請
求項8に記載の蓄電デバイス用電極の製造方法。
【請求項10】前記接合工程では、厚さが50nm以上300nm以
下の範囲である前記膜体を用いる、請求項8又は9に記載の蓄電デバ
イス用電極の製造方法。
                                                                           この項了

     『君のひとみは10000ボルト  1978年』


● 
今日の言葉:安心で高電流密度型全固体リチウム蓄電池システムも実
      用化達生段階でることが伺えました。後は、安心で廉価
      な水素製造システムの実用化です。日本人でよかったと。



         春が来ても、鳥たちは姿を消し鳴き声も聞こえない。
                春だというのに自然は沈黙している。

                        レイチェル・カーソン 『沈黙の春』


                         


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