彦根藩の当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救った
と伝えられる招き猫と井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時
代の井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと
兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-。
【季語と短歌:4月9日】
母と子が散歩するセミナリオ
高山 宇
『短歌十首貫徹集⓷』
行く春の温度差激し記憶とどめ熱き夏を記録するかも
自らの先も分からずその先を何故行くのかと問う未来かな
次世代に贈るソーラ構想す今夜も途上小さく吐息
ヒバリ鳴きサギ戯れし水田の耕運機らは誇り高かけり
異常時にそなえIF(人工農業)化し多期作ながら鳥と共生
🪄水田地域におけるサギ類の保全生態学的研究 ー高島市におけるサギ類の生息場所利用
を通してー

📌 本日下見。徒歩で片道2キロ(4km/h)、30分、往復とな
やれば、北口でタクシーで往復するのがよさそうです(1日のスケジ
ュール、年恰好、天候不順など考慮すると)、彦根在住の自家用車で
往復できれば、1台あれば3名が乗車でき、2往復(安土駅と博物館
間)で可能。現在三名のイベント参加者となっています(笑)。
📌「滋賀の山々」(わたしブログ集の『彦根市民の飲み水を守る会』
(閉鎖状態)の登頂記も「安土山」起点に反時計周りに転載してきた
が(同様にカヤックやパラグライダー(モータグライダー※墜落事故
など危険なので控えられているが)、さらにはダブル・ジツプロープ
コース)をDX化した親子で楽しめる「ナショナル・トレッキング」構
想していたが閲覧して頂けない(笑)。
✳️ 次世代ペロブスカイト系フィルム型太陽電池
2️⃣ 特開2024-177790 ホール輸送材料及びホール輸送材料を用いた
太陽電池 株式会社アイシン( 審査前)
※【詳細説明】の続きから
【0055】 R1及びR3における-CnH2n+1は、アルキル基
であり、直鎖及び分枝の別を問ない。また、その鎖長はn=1~8の
範囲内である限りは特に制限はない。具体的には、メチル基、エチル
基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、
s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネ
オペンチル基、t-ペンチル基、s-ペンチル基、2-メチルブチル
基、1-エチルプロピル基、2-エチルプロピル基、n-ヘキシル基、
イソヘキシル基、ネオヘキシル基、t-ヘキシル基、2,2-ジメチル
ブチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、1-エチ
ルブチル基、2-エチルブチル基、1-プロピルプロピル基、n-ヘ
プチル基、イソヘプチル基、s-ヘプチル基、t-ヘプチル基、2,
2-ジメチルペンチル基、3,3-ジメチルペンチル基、1-メチル
ヘキシル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、4-メ
チルヘキシル基、1-エチルペンチル基、2-エチルペンチル基、3-
エチルペンチル基、1-プロピルブチル基、2-プロピルブチル基、
n-オクチル基、イソオクチル基、t-オクチル基、ネオオクチル基、
2,2-ジメチルヘキシル基、3,3-ジメチルヘキシル基、4,4
-ジメチルヘキシル基、1-メチルヘプチル基、2-メチルヘプチル
基、3-メチルヘプチル基、4-メチルヘプチル基、5-メチルヘプ
チル基、1-エチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、3-エチル
ヘキシル基、4-エチルヘキシル基、1-プロピルペンチル基、2-
プロピルペンチル基、3-プロピルペンチル基等が挙げられる。
【0056】
基(I)において、R2a1、R2a2、R2b1、及び、R2b2は
、独立して、-H、-F、及び、-CF3から選択され、R2a1、
R2a2、R2b1、及び、R2b2は、同一であっても異なっていて
もよいが、R2a1とR2a2は、少なくとも一方が-Hであり、R2b1
とR2b2は、少なくとも一方が-Hである。したがって、R2a1、
R2a2、R2b1、及び、R2b2として、-F、又は、-CF3を導
入する場合には、R2a1及びR2a2の何れか一方、及び/又は、R
2b1及びR2b2の何れか一方に導入される。【0057】
基(II)において、R2a1及びR2a2は、独立して、-H、-F
、及び、-CF3から選択され、R2a1及びR2a2は、同一であっ
ても異なっていてもよいが、R2a1とR2a2は、少なくとも一方が
-Hである。したがって、R2a1及びR2a2として、-F、又は、
-CF3を導入する場合には、R2a1及びR2a2の何れか一方に導
入される。【0058】
式(II)において、R4は、-H、-CnH2n+1、-O-Cn
H2n+1、及び、-S-CnH2n+1から選択され、ここで、nは
、1~8の何れかの整数である。R4における-CnH2n+1、並び
に、-O-CnH2n+1、及び、-S-CnH2n+1中の-CnH
2n+1は、アルキル基であり、アルキル基の定義は、上記で説明した
通りである。【0059】
基(II)において、Yが、1又は2であり、チオフェン環が存在
する場合、R5は、当該チオフェン環の3位又は4位に導入される。
R5は、-H及び-CnH2n+1から選択され、ここで、nは、1~
8の何れかの整数である。R5における-CnH2n+1は、アルキル
基であり、アルキル基の定義は、上記で説明した通りである。
【0060】 基(III)、基(IV)、基(V)において、RD
は、好ましくは、以下の基(I´)から選択される。【0061】
【化20】
【0062】 基(III)、基(IV)、基(V)中の2つのRD
、すなわち基(I´)は異なっていても同一であっても良いが、好まし
くは同一の基として構成される。【0063】
基(I´)において、各置換基はそれぞれ独立して選択されるもので
あり、R1´は、-H、-CnH2n+1、-O-CnH2n+1、及び、
-S-CnH2n+1から選択され、ここで、n=1~8の整数であり、
R3´は、-H、-CnH2n+1、-O-CnH2n+1、及び、-S-
CnH2n+1から選択され、ここで、n=1~8の整数であり、なお、
R1´とR3´は、同一であっても、異なっていていてもよいが、同時に
-Hであることはない。したがって、R1´及びR3´は、少なくとも一
方が、-CnH2n+1、-O-CnH2n+1、及び、-S-CnH2n+1
から選択される。【0064】
R1´及びR3´における-CnH2n+1は、アルキル基であり、直鎖
及び分枝の別を問ない。また、その鎖長はn=1~8の範囲内である
限りは特に制限はない。アルキル基の定義は、上記で説明した通りで
ある。【0065】
基(I´)において、R2a1´、R2a2´、R2b1´、及び、R2b2
´は、それぞれ独立して、-H、-F、及び、-CF3から選択され、
R2a1´、R2a2´、R2b1´、及び、R2b2´は、同一であっても異
なっていてもよいが、R2a1´とR2a2´は、少なくとも一方が-H
であり、R2b1´とR2b2´は、少なくとも一方が-Hである。した
がって、R2a1´、R2a2´、R2b1´、及び、R2b2´として、-
F、又は、-CF3を導入する場合には、R2a1´及びR2a2´の何
れか一方、及び/又は、R2b1´及びR2b2´の何れか一方に導入さ
れる。【0066】
D部として、好ましくは、4-(ビス(4-アルコキシフェニル)
アミノ)フェニル基であり、特に好ましくは4-(ビス(4-メトキ
シフェニル)アミノ)フェニル基である。好ましくは、ビス(4-ア
ルコキシフェニル)アミノ基等であり、特に好ましくは、ビス(4-
メトキシフェニル)アミノ基であってもよい。また、好ましくは、テ
トラキス-4-アルコキシフェニルカルバゾール基であってもよく、
特に好ましくは、テトラキス-4-メトキシフェニルカルバゾール基
である。これらに限定するものではないが、このようなフェニル基で
置換した三級アミン基を有するものが特に好ましい。また、上記基に
含まれるアルコキシ基は、メトキシ基の他に、エトキシ基、プロポシ
キ基、ブトキシ基等から好ましく選択される。
【0067】A部には、A部を構成するフルオレン環上の9位に炭素
間二重結合を介して置換基RAが導入されている。ここで、置換基RA
は、以下の基(VI)で表される5-アルキル-2-チエニル基とし
て構成することが好ましい。なお、基中の波線は、A部を構成するフ
ルオレン環上の9位の炭素間二重結合との結合位置を示す。
【0068】【化21】
【0069】 基(VI)において、R6は-CmH2m+1基であり、
直鎖及び分枝の別を問ない。また、その鎖長はm=6~16の範囲内
である限りは特に制限はなく、好ましくはm=8~12の範囲内であ
る。-CmH2m+1基はアルキル基であり、アルキル基の定義は上記
で説明した通りである。例えば、上記で説明したアルキル基の具体例
のうち、炭素原子数6~8のアルキル基に加え、直鎖又は分枝のノニ
ル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラ
デシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基等が挙げられる。好まし
くは、n-へキシル基、1、2、3、4、又は、5-メチルへキシル
基、1、2、3、又は、4-エチルへキシル基、1、2、又は、3-
プロピルへキシル基、1、又は、2-ブチルへキシル基、1-ペンチ
ルへキシル基等が例示できる。なお、R6は、ヘテロ原子を含んで
されるものではない。
【0070】A部としては、好ましくは、フルオレン環上の9位に二
重結合を介して置換基RAとして5-(2-エチルへキシル)-2-
チエニル基が導入されたものであるが、これに限定するものではない。
【0071】〔本実施形態に係るホール輸送材料の好適例〕
本実施形態に係るホール輸送材料の好適例は、下記の一般式(2)
で表される化合物である。以下、一般式(2)のホール輸送材料は
「DHCF-17」と称する場合がある。【0072】【化22】
【0073】 本実施形態に係るホール輸送材料の好適例の1つであ
るDHCF-17について、その構造について詳細に説明する。DH
CF-17は、D-A-D型構造を有する。A部はフルオレン環とし
て構成される。フルオレン環上の2位及び7位で、それぞれD部と連
結している。各D部として、4-(ビス(4-メトキシフェニル)ア
ミノ)フェニル基が導入され、フルオレン環上の9位に炭素間二重結
合を介して5-(2-エチルへキシル)-2-チエニル基が導入され
ている。【0074】
〔本実施形態に係るホール輸送材料の合成方法〕
本実施形態に係るホール輸送材料の合成方法は、下記の実施例1に
記載の合成方法を参照して容易に合成することができる。なお、実施
例1は、本実施形態に係るホール輸送材料の好適例であるDHCF-
17の合成方法の一例を示すものであるが、これらに限定するもので
はなく、適宜他の方法を用いて合成することができる。
【0075】 本実施形態に係るホール輸送材料の好適例は、D-A-
D型構造を有し、A部には、炭素原子と水素原子からなるフルオレン
環が配置される。A部には、A部を構成するフルオレン環上の9位に
炭素間二重結合を介して置換基(好ましくは、5-アルキル-2-チ
エニル基)が導入されている。更に、A部のフルオレン環上の2位及
び7位にそれぞれD部が導入された構造を有する。合成に際しては、
D部を導入する2位及び7位がBr等のハロゲン原子により置換され
たA部フルオレンと、A部に導入を所望する置換基においてA部への
導入位置にアルデヒド基が導入された化合物とを、クネーフェナーゲ
ル縮合反応(Knoevenagel condensation reaction)等により反応さ
せて、フルオレン環上の9位に炭素間二重結合を介して所望の置換基
を導入した中間体化合物を得る。続いて、得られた中間体化合物の2
位及び7位に当該技術分野で公知のクロスカップリング等によりD部
を導入することにより本実施形態に係るホール輸送材料を合成するこ
とができる。上記した好適例であるDHCF-17は、D部として4
-(ビス(4-メトキシフェニル)アミノ)フェニル基が導入され、
5-(2-エチルへキシル)-2-チエニル基がA部に炭素間二重結
合を介して導入されている。具体的には、下記の実施例1のように、
DHCF-17の合成に際して、まず、2,7-ジブロモ-9H-フ
ルオレンと、5-(2-エチルへキシル)チオフェン-2-カルバル
デヒドとのクネーフェナーゲル縮合反応により、A部を構成するフル
オレン環に二重結合を介して置換基(5-(2-エチルへキシル)-
2-チエニル基)を導入した中間体化合物を合成することができる。
続いて、かかる中間体化合物と、4-メトキシ-N-(4-メトキシ
zフェニル)-N-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,
2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)アニリンとを鈴木-宮
浦カップリング反応させることでDHCF-17を合成することがで
きる。
【実施例】【0076】
本発明を、以下の実施例をもって詳細に説明する。【0077】
(実施例1)ホール輸送材料(DHCF-17)の調製
本実施例で調製を行ったホール輸送材料は、下記の一般式(2)で
表される「DHCF-17」と称するものであり、A部を構成するフ
ルオレン環上の2位及び7位それぞれに、D部として4-(ビス(
4-メトキシフェニル)アミノ)フェニル基を導入すると共に、A部
を構成するフルオレン環上の9位に、炭素間二重結合を介して5-(
2-エチルへキシル)-2-チエニル基を導入した化合物である。合
成スキームを要約する図5に基づいて説明する。【0078】
DHCF-17の合成に際して、まず、2,7-ジブロモ-9H-
フルオレン(1)と、5-(2-エチルへキシル)チオフェン-2-
カルバルデヒド(2)とのクネーフェナーゲル縮合反応により、A部
を構成するフルオレン環に二重結合を介して置換基を導入した中間体
化合物(3)を合成した。続いて、中間体化合物(3)と、4-メト
キシ-N-(4-メトキシフェニル)-N-(4-(4,4,5,5
-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニ
ル)アニリン(4)との鈴木-宮浦カップリングによりDHCF-1
7を合成し、定法により精製した。以下に、DHCF-17の合成及
び精製の詳細を説明する。
【0079】(合成)
[工程1]中間体化合物(3)(db-Fluoro-TPA-EH
T)の合成
250mLの丸底フラスコに、2,7-ジブロモ-9H-フルオレン
(1)(1.60g、4.9382mmol)、5-(2-エチルヘ
キシル)チオフェン-2-カルバルデヒド(2)(1.44g、6.
4197mmol)、), テトラブチルアンモニウムブロミド(TBA
B)(0.56g、1.7283 mmol)及び乾燥トルエン(50
mL)を加えた。続いて、40%の水酸化ナトリウム(NaOH)(
50mL)を反応混合物に加えた。反応混合物をアルゴン雰囲気下で、
18時間、70~80℃で加熱した。反応終了後の反応混合物を冷却
後、反応混合物を水に注ぎ、ジクロロメタン(以下、「DCM」と称
する場合がある)で抽出した。続いて、ブライン溶液で洗浄し、有機
層を真空下で濃縮して粗生成物を得た。得られた粗生成物を、溶出液
として石油エーテル:DCM=1:4を用いて、カラムクロマトグラ
フィー(シリカゲル100~200メッシュ)で精製し、中間体化合
物(3)(db-Fluoro-TPA-EHT)を固体として得た
(収量:1.60g、収率:61%)。【0080】
[工程2]DHCF-17の合成
工程1で得られた中間体化合物(3)(db-Fluoro-TP
A-EHT)(0.30g、0.56mmol)、4-メトキシ-N
-(4-メトキシフェニル)-N-(4-(4,4,5,5-テトラ
メチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)アニ
リン(4)(0.54g、1.2444mmol)及び炭酸カリウム
K2CO3)(0.39g、2.83mmol)を、乾燥トルエン(
14mL)及び水(7mL)に溶解した。続いて、反応混合物をアル
ゴン雰囲気下で30分間脱気した後、Pd(PPh3)4(0.04
g、0.034mmol)を加えた。反応混合物をアルゴン雰囲気下
で、110℃で18~20時間還流した。反応終了後の反応混合物を
室温に冷却した。続いて、反応混合物をDCMで抽出し、水、ブライ
ン溶液で洗浄した後、有機層を分離して濃縮し、DHCF-17の粗
生成物を得た。
【0081】(精製及び確認)
工程2で得られた粗生成物を、溶出液としてn-ヘキサン:DCM
=3:7を用いて、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル100~
200メッシュ)に供して精製し、薄橙色の固体のDHCF-17を
得た(収量:0.30g、収率:54.15%)。得られたDHCF
-17に対して、1H NMR分析、質量分析(以下、「Mass」と
称する場合がある)、高速液体クロマトグラフィー分析(以下、「HP
LC」と称する場合がある)、及び、紫外可視近赤外分光分析(以下、
「UV-Vis」と称する場合がある)を行い、DHCF-17の合
成及び精製を確認した。
図6に1H NMR分析の結果を
図7に質量分析の結果を、
図8に紫外可視近赤外分光分析の結果を示す。
【0082】(比較例1)DHCF-3の調製
比較例3として調製を行ったホール輸送材料は、下記の一般式(E)
で表される「DHCF-3」と称するものであり、上記〔背景技術〕
の項で説明した特許文献1(特開2023-46046号)に記載の
化合物である。詳細には、DHCF-3は、A部を構成するフルオレ
ン環上の2位及び7位それぞれに、D部として4-(ビス(4-メト
キシフェニル)アミノ)フェニル基を導入すると共に、A部を構成す
るフルオレン環上の9位に、炭素間二重結合を介して、D部と同一の
基である4-(ビス(4-メトキシフェニル)アミノ)フェニル基を
導入した化合物である。合成及び精製は、上記特許文献1の記載に基
づいて行うことができるが、以下に簡単に説明する。
【0083】(合成)
2,7-ジ(4-(ビス(4-メトキシフェニル)アミノ)フェニル)
-9H-フルオレン(1)(0.01g、0.13mmol)と、4
-(ビス(4-メトキシフェニル)アミノ)ベンズアルデヒド(2)
(0.056g、0.17mmol)、TBAB(0.015g、
0.45mmol)及び乾燥トルエン(8mL)を、25mLの丸底
フラスコに加えた。続いて、40%の水酸化ナトリウム(NaOH)
(6mL)を加えた。この反応混合物を、アルゴン雰囲気下で、8時
間にわたって加熱還流した。冷却後、反応混合物を水に注ぎ、DCM
で抽出した。続いて、ブライン溶液で洗浄し、真空中で濃縮し、粗生
成物を得た。
【0084】(精製)
得られた粗生成物を、溶出液として石油エーテル:DCM=5:95
を用いて、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル:100~200
メッシュ)に2~3回供して精製し、黄色固体のDHCF-3を得た
(収量:0.10g、収率:71.02%)。
【0085】 下記に、実施例1及び比較例1で合成した各ホール輸
送材料の構造を要約する。【化23】
【0086】(実施例2)太陽電池10の作製
以下、実施例2として、太陽電池10の作製例を示す。なお、上記
したChem. Mater., 2018, 30, 4193-4218等の公知技術を参照して作
製することができる。【0087】
一例をあげると、透明基板21にはフッ素ドープ酸化スズ(FTO)
ガラス(23mm×14mm×1.6mm)を使用した。このFTO
ガラスにレーザースクライブを施してFTOを除去した凹部221を
形成し、十分に洗浄した。次に、ブロッキング層3としてTiO2緻
密膜をスプレー熱分解法(SPD法)により形成した。更に、市販の
TiO2ナノ粒子ペーストをエタノールで希釈した溶液を滴下し、ス
ピンコートにより塗布し、100℃で乾燥させた。乾燥後、450℃
で焼成することで、多孔質半導体41となるTiO2ナノ粒子層を形
成した。焼成後、室温まで冷却した。【0088】
次に、ペロブスカイト層44を形成するための、ペロブスカイト前駆
体溶液の調製を行った。初めに、FAI(CH(NH2)2I)を秤
量し、この中にあらかじめ調製しておいた1.7MのPbI2/ジメチ
ルホルムアミド(DMF)+ジメチルスルホキシド(DMSO)溶液
を注入して、FAPbI3溶液を調製した。次に、MAI(CH3N
H3I)を秤量し、この中にあらかじめ調製しておいた1.7MのP
bBr2/ジメチルホルムアミド(DMF)+ジメチルスルホキシド
(DMSO)溶液を注入して、MAPbBr3溶液を調製した。
【0089】 最後に、FAPbI3溶液とMAPbBr3溶液、及び、
あらかじめ調製しておいた1.7MのCsI/ジメチルスルホキシド
(DMSO)溶液を混合してスピンコートに供する前駆体溶液を調製
した。【0090】
ペロブスカイト層44の製膜は、上記した前駆体溶液をTiO2多孔
質膜上に滴下し、スピンコートにより塗布した。塗布完了後、100℃
で60分間加熱を行い、続いて室温まで冷却した。【0091】
続いて、ホール輸送層5の調製を行った。ホール輸送材料としては、
上記実施例1で合成したDHCF-17、上記比較例1で合成したD
HCF-3をそれぞれ用いた。各ホール輸送材料溶液を最終濃度30
mMとなるように秤量し、その10重量%に相当するTPFBを秤量
し、ホール輸送材料に添加した。ホール輸送材料とTPFBの混合物
を、クロロベンゼンに溶解させることでホール輸送材料溶液を調製し
た。なお、ドーパントして汎用されるコバルト錯体(FK209)は
添加しなかった。ホール輸送層5の製膜は、ホール輸送材料溶液をペ
ロブスカイト膜上に滴下し、スピンコート法により形成した。
【0092】 ホール輸送層5の製膜後、真空蒸着法で約100nm
の金を製膜して、これを取り出して電極6とし、これを積層した。
【0093】(実施例3)太陽電池10の電池性能評価
本実施例では、太陽電池10の電池性能評価を行った。ここでは、
上記実施例1で合成したDHCF-17、上記比較例1で合成したD
HCF-3をホール輸送材料として用いる太陽電池10について検討
した。【0094】
本実施例で検討を行った実施例1のDHCF-17(一般式(2))、
及び、比較例1のDHCF-3(一般式(E))のホール輸送材料は、
何れもD-A-D型構造を有し、D部として4-(ビス(4-メトキ
シフェニル)アミノ)フェニル基をA部のフルオレン環上の2位及び
7位それぞれに導入したものである。A部は何れもフルオレン環とし
て構成されているが、A部に導入された置換基の点で相違する。詳細
には、実施例1のDHCF-17では、A部を構成するフルオレン環
上の9位に、炭素間二重結合を介して5-(2-エチルへキシル)-
2-チエニル基が導入されているのに対して、比較例1のDHCF-
3では、A部を構成するフルオレン環上の9位に、炭素間二重結合を
介してD部と同一の4-(ビス(4-メトキシフェニル)アミノ)フ
ェニル基が導入されている。
【0095】 表1及び図9に太陽電池10の電池性能評価の結果を
示す。表1は、太陽電池10の短絡電流密度(以下、「Jsc」と
称する場合がある)、開放電圧(以下、「Voc」と称する場合があ
る)、フィルファクター(以下、「FF」と称する場合がある)、変
換効率の各パラメータを要約したものである。なお、FFとは、電流
と電圧の積が最大となる点における最大出力Pmaxを(Voc×Js
c)で割って算出し、変換効率(PCE(%))は、(Voc×Js
c×FF÷入射光強度)で算出したものである。【0096】
【表1】
【0097】 表1の結果より、実施例1のDHCF-17の変換効
率は21.0%と、20%以上であり、比較例1のDHCF-3より
も高い太陽電池特性を示した。A部に導入する置換基の相違により、
電池性能が変化することが判明した。詳細には、かかるA部に導入す
る置換基の相違により、A部の電子吸引性や、A部に導入された置換
基とD部との立体的干渉の度合いに起因して、分子内での電荷移動特
性に相違が生じ、その結果、太陽電池特性に変化が生じたと考えられ
る。つまり、実施例1のDHCF-17では、A部の電子吸引性が向
上すると共に、A部に導入された置換基とD部との立体的干渉が解消
した結果、分子内のプッシュ-プル効果が大きくなり、電荷移動特性
が向上した結果、太陽電池特性が向上したことが考えられる。
【0098】 更に、実施例1のDHCF-17は、分子内及び分子
間のホールの移動がスムーズに行われることから、分子の酸化が抑制
され耐久性が高くなることが想定される。更に、DHCF-17にお
いて、A部を構成するフルオレン環上にアルキル基を導入したことか
ら、溶媒への溶解性が良好であり、DHCF-17を適当な溶媒に溶
解させた後、スピンコートによる塗布法等のウェットプロセス等によ
りホール輸送層5を形成でき、太陽電池10の作製が簡便となるとの
利点もある。【0099】
また、TPFBを添加することで耐久性の高い太陽電池10を構築
できることも判明した。TPFBの添加はホール輸送材料と共に溶媒
に溶解させるだけの簡便な工程で行うことができるとの利点もある。
【0100】(実施例4)種々のホール輸送材料の合成
実施例1のDHCF-17においてD部を構成する基を改変したホー
ル輸送材料を合成した。合成を行った化合物の構造を以下に示す。こ
れらの化合物は、上記した実施例1の工程2において、工程1で得ら
れた中間体化合物とカップリングする化合物をD部の構造に応じて変
形することにより合成することができる。【化24】【0101】
これらの化合物についても、DHCF-17と同様の特性を有するこ
とが期待できる。例えば、DHCF-41は、上記実施例2および3
と同様に太陽電池10を作製し、その電池性能評価を行ったところ、
下記表2及び図10に示す通りDHCF-3と同等の光電変換効率を
示し、優れた太陽電池特性を示した。【0102】
【表2】
【0103】 上述した実施形態では、下記の構成が想起される。
(1)下記の一般式(1)で表されるドナー-アクセプター-ドナー
(D-A-D)型構造を有するホール輸送材料。【化25】
〔一般式(1)中、 2つのD部は、同一の構造を有する領域であり、
各D部は、下記の基(I)、基(II)、基(III)、基(IV)
、及び、基(V)から選択される1つの構造を有し、【化26】
(基(I)中、 XとYは、それぞれ独立して、0、1、2の何れ
かの整数である R1は、-H、-CnH2n+1、-O-CnH
2n+1、及び、-S-CnH2n+1から選択され、ここで、n=
1~8の整数であり、 R3は、-H、-CnH2n+1、-O-Cn
H2n+1、及び、-S-CnH2n+1から選択され、ここで、n=
1~8の整数であり、 ただし、R1とR3は、同時に-Hであるこ
とはなく、 R2a1、R2a2、R2b1、及び、R2b2は、それぞ
れ独立して、-H、-F、及び、-CF3から選択され、ここで、
R2a1とR2a2は、少なくとも一方が-Hであり、R2b1とR
2b2は、少なくとも一方が-Hである。)【化27】
(基(II)中、 XとYは、それぞれ独立して、0、1、2の何れ
かの整数である R1は、-H、-CnH2n+1、-O-CnH2n+1、
及び、-S-CnH2n+1から選択され、ここで、n=1~8の整数
であり、 R3は、-H、-CnH2n+1、-O-CnH2n+1、及
び、-S-CnH2n+1から選択され、ここで、n=1~8の整数で
あり、 ただし、R1とR3は、同時に-Hであることはなく、 R2a1
とR2a2は、それぞれ独立して、-H、-F、及び、-CF3から選
択され、ここで、R2a1とR2a2は、少なくとも一方が-Hであり、
R4は、-H、-CnH2n+1、-O-CnH2n+1、及び、-S
-CnH2n+1から選択され、ここで、nは、1~8の何れかの整数
であり、 Yが1又は2であって、R5が存在する場合には、R5は
、基(II)中のチオフェン環の3位又は4位に導入され、-H及び
-CnH2n+1から選択され、ここで、nは、1~8の何れかの整数
である。)
【化28】
【化29】
【化30】
(基(III)、基(IV)、及び、基(V)中、 XとYは、それ
ぞれ独立して、0、1、2の何れかの整数であり、 2つのRDは、そ
れぞれ独立して、下記の基(I´)で表される構造を有し、
【化31】
(基(I´)中、 X´とY´は、それぞれ独立して、0、1、2の何れ
かの整数である R1´は、-H、-CnH2n+1、-O-CnH2n+1、
及び、-S-CnH2n+1から選択され、ここで、n=1~8の整数
であり、 R3´は、-H、-CnH2n+1、-O-CnH2n+1、及
び、-S-CnH2n+1から選択され、ここで、n=1~8の整数で
あり、 ただし、R1´とR3´は、同時に-Hであることはなく、
R2a1´、R2a2´、R2b1´、及び、R2b2´は、それぞれ独立し
て、-H、-F、及び、-CF3から選択され、ここで、R2a1´と
R2a2´は、少なくとも一方が-Hであり、R2b1´とR2b2´は、
少なくとも一方が-Hである。))
一般式(1)中、 RAは、下記の基(VI)で表される構造を有し、
【化32】
(基(VI)中、 R6は、-CmH2m+1であり、ここで、m=6~
16の整数である。)〕【0104】
本実施形態に係るホール輸送材料は、安定的かつ効率的にホールを
捕捉し移動させることができる優れたホール輸送特性を有している。
詳細には、本構成のホール輸送材料は、D-A-D型構造を有し、A
部を炭素原子と水素原子からなるフルオレン環等の電子受容性基を含
んで構成すると共に、フルオレン環上の2位及び7位それぞれに4-
(ビス(4-メトキシフェニル)アミノ)フェニル基等の電子供与性
基を含むD部を導入し、更に、フルオレン環上の9位に炭素間二重結
合を介して5-アルキル-2-チエニル基を導入して構成されている。
このように構成することにより、A部の電子吸引性が向上すると共に、
A部の置換基とD部との立体的な干渉が解消されることで、ホール輸
送材料の分子内でのプッシュ-プル効果が大きくなり、分子内の電荷
移動特性が向上する。結果として、分子内での電子の移動がスムーズ
になりHOMO-LUMOの電荷分離がより明確になる。つまり、本
実施形態に係るホール輸送材料は、HOMO及びHOMO-1準位で
D部に電子が集中し、LUMO準位でA部に電子が集中する。このよ
うに、本構成のホール輸送材料は、分子内での電荷移動特性が向上し
たことから優れたホール輸送特性を発揮することができる。更に、ヘ
テロ原子を含まないフルオレン環をA部に用いることにより、〔先行
技術の〕項で説明したLD29等で生じていたヘテロ原子の不対電子
対(ローンペア)による電子吸引性の阻害が解消され、より効果的に
ホール輸送材料として機能し得る。【0105】
この項つづく
春だというのに自然は沈黙している。
レイチェル・カーソン 『沈黙の春』