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青森→新潟沖の洋上風車

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         いまでは人工的に遺伝そのものがゆがめられてしまう。まさに現代の脅威
       といっていい。私たちの文明をおびやかす最後にして最大の危険なのだ。

                                  レイチェル・カーソン

 

 

● 秋田県沿岸洋上から12万世帯分の電力を供給

秋田県の2つの港に建設する洋上風力発電所の開発計画が動き出す。まず、環境影響評価の手続き
を開始する。計画では能代港と秋田港の港湾区域に合計で最大34基の大型風車を設置して170
メガワットの発電能力を発揮。21~22年の運転開始を目指す。洋上風力発電所を建設する場所
は、秋田県の北部にある能代港と中部にある秋田港の2ヵカ所。いずれも秋田県が管理する港湾区
域の中で、陸地から2キロメートル以内の範囲。

能代港と秋田港は年間の平均風速が毎秒6.5~7メートル以上になり、風力発電に適した場所であ
ることがわかっている。洋上風力発電の設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は標準で30
%程度、170メガワットの発電設備の場合には年間の発電量4億4万キロワットアワー)を見込む。
一般家庭の使用量(年間3600キロワットアワー)に換算して12万4千世帯分に相当。

発電設備の設置方法は海底に固定する着床式で、基礎構造はモノパイル式とジャケット式の2種類を
検討(上図)。モノパイル式は水深が330メートル以内の砂質の海底に適している一方、ジャケッ
ト式は50メートル程度の水深まで対応できて泥質や岩質の海底にも設置することができる。


 
能代港の対象区域の水深は最大で20メートル程度、秋田港でも30メートル程度で、海底が砂質で
あればコストが低いモノパイル式を採用する可能性が大きいが、コストを除けば、施工や撤去の容易
さや環境影響の点では2つの方式で一長一短がある。環境影響評価は5段階。完了までに3年程度を
要して、順調に手続きが進めば18年に工事を開始し、21~22年に運転開始する。

規模は新潟は村上市沖合の220メガワット44基18万世帯(24年度稼働予定)に続く(2015.02.
09)。

※ 出典:スマートジャパン 2015.08.26「最大34基で170MWの洋上風力発電所、環境影響評価が秋田
  県で始まる」

 

【超高齢社会論 Ⅶ: 下流老人とはなにか】 
 

 秋葉原通り魔事件が "ワーキングプアー" に 象徴される、過剰競争と自己責任の原理がもたら
す格差拡大社会の歪みとして発生したように、まもなく、日本の高齢者の9割が下流化する。本
書でいう下流老人とは、「生活保護基準相当で暮らす高齢者、およびその恐れがある高齢者」で
ある。そして今、日本に「下流老人」が大量に生まれている。この存在が、日本に与えるインパ
クトは計り知れないと指摘したように、神奈川県小田原市を走行中の東海道新幹線で焼身自殺し
た事件――71歳の林崎春生容疑者による「下流老人の反デフレテロ」ではないかとブログ掲載
(極東極楽 2015.07.02 )。『下流老人』の著者である藤田孝典は、「東京都杉並区の生活保護
基準は、144,430円(生活扶助費74,630円+住宅扶助費69,800円 【特別基準に
おける家賃上限】)である。資産の状況やその他の要素も検討しなければならないが、報道が事
実だとすれば、年金支給額だけでは暮らしが成り立たないことが明白だといえる。要するに、生
活保護を福祉課で申請すれば、支給決定がされて、足りない生活保護費と各種減免が受けられた
可能性がある。月額2万円程度、生活費が足りない(家賃や医療費などの支出の内訳にもよる)。
生活に不安を抱えどうしたらいいか途方に暮れる男性の姿が思い浮かぶ」と語っている(YAHO
O!ニュース「新幹線火災事件と高齢者の貧困問題ー再発防止策は 「貧困対策」ではないか!?」
2015.07.02)を受け、藤田 孝典著『下流老人』の感想を掲載していく。    

  目 次     

  はじめに
  第1章 下流老人とは何か
  第2章 下流老人の現実
  第3章 誰もがなり得る下流老人―「普通」から「下流」への典型パターン
  第4章 「努力論」「自己責任論」があなたを殺す日
  第5章  制度疲労と無策が生む下流老人―個人に依存する政府
  第6章 自分でできる自己防衛策―どうすれば安らかな老後を迎えられるのか
  第7章 一億総老後崩壊を防ぐために
  おわりに 

 第3章 誰もがなり得る下流老人―「普通」から「下流」への典型パターン 

  【近い未来編】

                       「一億総老後崩壊」の時代

  ここまでは現状に即して高齢期における下流化のリスクと、そのパターンを解説してきた。
 しかし、下流化は、高齢期あるいは高齢明間近の歳になってはじめて起こり得る問題ではな
 い。わたしが本書を執筆しようと思った理由にもつながるが、現在少しずつ顕在化してきた
 高齢者の下流化は、これからはじまるであろう地殻変動の序章にすぎない。
  だから、ここからはむしろ「これから」に焦点をあてる。現在働いている方にとっては、
 むしろこちらのほうが「自分事」として重要なパートかもしれない。

  若年期もしくは青年明においても、下流化の芽はいろいろなところに見ることができる。
  超高齢社会を迎えているわが国において、多くの人がイメージしている「穏やかな老後」
 はごく一握りの人にしかやってこないかもしれないことを、わたしたちは知っておく必要が
 あるだろう。
  ここからは高齢者照代ではなく現役世代に焦点を移し、「近い将来」多くの人が下流老人
 になる危険性について解説していく。今働いている現役照代は、さらに過酷である。

                           もらえる年金が減るおそれ

  まずは、年金の問題だ。高齢者になり会社を退職すれば、収入は自ずと「年金」に頼らざ
 るを得なくなる。では実際に、どれほどの金額がもらえるのか。
  内閣府の「平成26年版高齢社会白書」によれば、自分たちが将来世帯で受け取れると思
 う年金額は「月額10万~20万円]だと思っている人々が多い。「10万円くらい」が
 19・8%と最多で、次いで「15万円くらい」が19・1%、「20万円くらい]が16・
 2%となっている。

  これらは概ね妥当な回答であり、実際に20万円以下で暮らさざるを得ない高齢者世帯が
 多数を占める。つまり、現在の働く世代が高齢者になった際、大部分の人が「相対的貧困」
 層か生活保護基準レベルの年収しか得られないのだ,
  たとえば、現在(2015年時点)65歳の人で20歳から60歳まで40年問(480か
 月)厚生年金保険料を払ったとする。仮に、年収が(現在の給与所得者の平均年収である約
 )400万円を超えており、平均月給与が38万円だったとしても、年間の合計支給額は約
 198万円で、月に直すと約16万5000円しかもらえないことになる。

  あるいは、そこまでの収入がない場合はどうだろう。40年間の平均給りが月25万円だ
 った場合、年間の支給額は約157万円であり、月額約13万円にしかならない(日本年金
 機構の基準により著者が概算)。要するに、一般水準の給与をもらっていても「老後にもら
 える年金額は月20万円を下回る」ということだ。しかも忘れてはいけないのは、年金受給
 者には課税や保険料徴収がある。実質の手取り金額は数万円減少することが確実である。
 
  人によっては「一人暮らしなら月に14万~15万ももらえれば十分だ」と思われるかも
 しれない。しかし、20代の15万円と70代の15万円では、まるで重みが違う。高齢に
 なるほど、いかに想定外の問題に見舞われるリスクが高まるかは、これまでに説明したとお
 りだ。

  また今後、年金制度を維持するために今よりも受給額が減る可能性も高い。
  それにもかかわらず、いまだこの国の「年金信仰」は堅く、厚い。「平成26年版高齢社
 会白書」によれば、高齢期の生計を「公的年金」で、支えようと思う人は約8割を超えてい
 る。次いで「貯金または退職金の取り崩し」が46・2%であり、「自分の給与に関する収
 入」が45・6%、「民間の個人年金」が15・2%である。年金への依存度が非常に高い
 のが現在の日本社会の特徴である。


  だが実際には、第2章で見たようにすでに年金だけでは暮らせない人々から、たくさんの相
 談が寄せられている。
  高齢者の貧困は、死に直結する。1日に2食しか食べられず、栄養状態が悪い人は珍しくな
 い。また、病気になった際には、病院に受診することをためらうため、重篤化してからの受診
 になる。そして自宅に訪問させてもらうと、住宅の補修費が出せないため、壁や天井、窓に穴
 が開いたまま、すきま風がすごい環境で暮らしている人もいる。繰り返すが、これらの人々は
 決して無年金ではなく、一定金額の年金をもらっている人なのだ,

  もらえる年金の減額もあり得る現役世代にとって、もはや年金だけで十分な生活を維持する
 ことは、ほぼ不可能と言っても過言ではないだろ。

  年収400万円以下は下流化のリスクが高い(「一億総下流」の時代 がやってくる)

  1960年代に池田内閣により推し進められた「所得倍増計画」によりどの家庭も一隊に生
 活水準の向上が図られた。1968年には日本の国民総生産(GNP)が世界第2位に達し、
 国民に享受されたのが「1億総中流」社会である。
  当時の社会では、隣の家が持っているものは、自分の家にもあるのが当たり前で、いわゆる
 新・三鮪の神器(カラーテレピ・クーラー・自動巾)が普及した時期でもあった。
  現代において、この1億総中流の「意識」はいまだ崩れていない。2014年6月に実施さ
 れた「国民生活に関する世論調査」(内閣府)では、男女ともに9割以上の人が自分の生活を
 「中流」だと認識しているそうだ。


  だが、あえて断言しよう。それは幻想である。
  これからの日本社会に、もはや中流は存在しない。いるのは「ごくひと握りの富裕層」と
 「大多数の貧困層」の2つであろう。隣の家庭も自分と同じくらいだから安心、ではない。わ
 たしたちは全員が緩やかに、しかし確実に貧困に足を踏み大れている。
  自分がどれくらいの生活水準にあるのか。それを測る指標はいくつかあるが、一番わかりや
 すいのが年収だろう,国税庁の調査によると、2014年時点における日本の民間企業の従業
 員や役員が昨年一年間に得た平均給与は、414万円とされる(注‥一人あたりの給与であっ
 て世帯合計ではない)。

  しかし先述のとおり、平均年収400万円では、高齢期に「ギリギリ」の生活を強いられる
 ことになる。
  また、これも繰り返しになるが、注意しなければならないのは、年収400万円程度という
 のは平均値であって、中央値ではないことだ。一部の大金持ちが、平均値を押し上げているこ
 とを忘れてはならない。実際のボリュームゾーンはこれよりももっと低く、年収400万円以
 下で暮らしている生産年齢人口はたくさんいるし、むしろそちらが多数派といえる。

                             強烈な格差の行き着く先

  このような上位数%が極めて高所得を得ているために発生する「富の一極集中化」は、日本
 のみならず、どの先進国でも起こっている。
  2014年5月、OECDは「過去約30年間における上位1%の所得割合の推移」を発表し
 た。これによると上位1%の人たちの所得割合は、1981年と2012年で比較したとき、
 アメリカは8・2%から20%に、日本でも7・5%から10%に上昇している。要するにア
 メリカでは、全労働者が得る所得のうち、上位1%の人々がその20%を、日本では10%を
 独占しているということだ。

 
  一方で、アメリカでは、下位10%の人たちの収入額は2000年からの8年間で約10%減
 少したことも指摘されている。つまり、双方向のベクトルで経済格差が広がっていることがわ
 かる。
  アメリカほど顕著ではないものの、日本でも今後、経済格差がますます拡大していくことは
 明らかであろう。そしてこのことは、今のような現役時代の報酬比例で厚生年金を支払ってい
 くしくみや国民年金だけでは、もはや暮らしが成り立たなくなることを意味する。
  そして、ごく一握りの富裕層と大多数の貧困層に分化しつつある社会において、もはや平均
 年収は自分の生活水準を測るうえで何の意味も持たない。「普通]だから「安心」とは、まっ
 たく言えないのだから。

                        昔と今の400万は価値が全然違う

  ただ、将来の年金受給額を示されただけではピンと来ない方も多いだろう。現在ごく人並み
 に生活できている高齢者で現役時代に年収400万円以ドだった人はたくさんいるし、貯蓄だ
 って十分にできているではないか、と思うかもしれない。
  だが、昔と今の「年収400万円」では、意味合いが大きく違ってくる。結論からいえば、
 昔はさまざまな形であった「見えざる恩恵」が、現在はことごとく消滅したというのが、その
 理由だ。

  たとえば第一章でもすでに指摘したが、今後は子どもが親の面倒を見る高齢明の生活を家族
 が扶助することはほとんど絶望的になる。
  先に見たとおり、65歳以上の高齢者の子どもとの同居率は、昭和55(1980)年の約7
 割から平成24(2012)年には42・3%まで下がっている。一方で、高齢者の独居世帯
 は、着実に増加の一途をたどっている。
  高齢の親と一緒に住んでいた経験がある人はとくに、自分の老後に対してもつい同じような
 イメージを抱いてしまいがちだ。しかし、もう老後に子どもと暮らすという選択肢は失われつ
 つある。

  今は高齢者の孤立が拡大する人口にすぎないと言えよう。家族による扶助が見込めないのな
 ら、当然年金とそれ以外の収入や貯蓄で自活する道を探るしか方法はない。
  また「失われた恩恵」のもう一つは、企業の福利厚生の手厚さの違いだ。たとえば昔は、現
 金で支払われる給与以外に住宅補助(社員寮)や各鮪f当をはじめとする補助が、多くの企業
 で用意されていた。そのような手当がなければ、従業員が築まらなかったとも言える,

  ところが昨今の経済不況や雇用環境の変化により、これらの福利厚生はことごとくカットさ
 れてしまったし、ボーナスや退職金の額も著しく減額、もしくは消失してしまった。
  たとえば、東和銀行経済研究所が取引先の中小企業に行ったアンケート調在を見ると、平成
 26年冬のボーナスを「支給しない」と答えた企業は28・4%である。
  さらに、大阪シティ信用金庫の調査では、大阪府内の中小企業で、平成26年屁のボーナスを
 「支給しない一企業は40・6%にのぽった。大多数の労働者が中小企業で働いていることを
 考えれば、この実態は深刻だろ。


                 4割の世帯は、老後の資金がほとんどない

  これらボーナスの消失は、生活に多大な影響を及ぼす。
  ひとつは貯蓄額だ。たとえば平成26年の総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)」
 によると、現在働いている「勤労者世帯(2人以上の世帯)」の平均貯蓄残高は1290万円
 となっている。意外に多いと思われるかもしれないが、これも平均値のトリックであり、中央
 値は741万円だ。
  100万円単位の間隔で見れば、割合としては「100万円未満」が12・4%と最も多く
 「500万円未満」の世帯は全体の39・5%を占める。すでに見てきたように、この数字は
 非常に厳しい。一概には言えないが、仮に貯蓄が500万円未満で、高齢期に突入したら、下
 流化リスクは相当高いだろう。

  昔は給料をすべて使わなくても生活できていたものが、現在はその大半を使わなければ生活
 できなくなっている。加えて、社員寮や住宅手当など、企業による福利厚生が少なくなったこ
 ともあり、生活を維持するためのコストは年々上昇している。
  また、とくに都市部では携帯電話やパソコンがないと不便なことのほうが多くなりつつある。
 インターネットを中心としたインフラも「誰もが端末を持っていること」を前提にシステム化
 されつつある。それらの商品を買わなければ、普通の社会生活を送ることができなくなるよう
 な土台が築かれつつあるのだ。本来であれば、生活の文化レベルが上がっている分、それに比
 例して年収も上がっていかなければならないが、実態は伴っていない。

  さらに、日本銀行資金循環統計(2014年第4四半期速報)によれば、国内の金融資産の
 合計額は1694兆円(2014年)であり、その多くを60歳以上の高齢者が保有している。
 現時点での高齢者は、高度経済成長の追い風もあり、資産形成に有利な条件も整っていたため
 圧倒的に恵まれた世代と言える。つまり、現在の高齢者はこれから高齢者になる青年層に比べ
 て、相当に豊かなはずである。
  それにもかかわらず、すでに、下流化が起こりはじめていることの深刻さを、わたしたちは
 もっと危機感をもって受け止めなければならないのではないか。


                          非正規は下流に直結する

  さらに深刻なのは、非正規雇用者だ。2014年現在、国内の総労働人口に占める非正規雇
 用者の割合は37・4%。20年前が20・3%だったことから見ても、大幅に増えている。
 もともと非正規雇用者は、通訳など高度な専門技術を要する人たちが、フリーランスで仕事を
 請け負っているところから導入された。そのような極わずかな専門職から徐々に拡大し、現在では
 一般的な働き方として定着してきている。

  とくに広がりを見せたのが、2000年ごろだ。その頃「フリーター」という概念が生まれ
 新しい雇用形態として一般に広まっていった。当時は自由で新しい働き方として「かっこいい
 」というようなプラス評価をする風潮もあったが、実態は企業側の人件費のカットに貢献し
 ているだけで、格差拡大の要因になったことは誰もが知るところであろ。

  これは多くの人がすでに実感として持っていると思うが、非正規雇用者の最大のリスクは、
 厚生年金や社会保険に加入していないなど、福利厚生が弱いことだ。そのため、非正規雇用を
 続けていた場合、老後に受給できるのは、基本的に国民年金だけという場合も少なくない。そ
 れに加え、正規社員のようなボーナスや昇給、退職金もない。「稼いだ給料」―「現在の生
 活費十老後資金」であるため、極めて下流に直結しやすい。


                  非正規は正規の3分の1しかもらえない

  たとえば同じ「年収400万円」でも、厚生年金をかけている場合と、国民年金だけの場合
、受給額にどれくらの差が生じるのだろうか。
  実際にモデルを立てて計算してみると、非正規雇用者の場合、国民年金部分の釣78万円し
 か支給されない。第1章で、首都圏で暮らす一人暮らしの高齢者の生活保護費が概ね年額釣1
 50万円と述べた。約78万円で1年間を過ごすことは、多くの場合、不可能である。

  そして正社員(厚生年金加入者)と比較した場合、老後の年金は1年間で約110万円の差
 が生まれる。仮に、65歳から20年生きるとしたら約2200万円、30年なら約3300万円
 もの差が生じる。
  同じ年収でも厚生年金に加入しているか否かで、老後の年金受給金額には、相当な違いがあ
 る。逆に言えば、厚生年金に加入していない場合、現役時にそれだけ多くの貯蓄をつくらなけ
 ればならないことを意味する。

  平均年収を得ている正規雇用者であってもリスクが高いのだから、非正規雇用者の下流化の
 リスクがどれだけ高いかは、語るまでもない。
  非正規雇用者が40%前後の社会において、このような収入格差は、もはや「自己責任」で片
 づけていい問題とは言えないだろう。そして、このような雇用問題を改善する手段として、と
 かく「さらなる経済成長」が叫ばれがちだが、経済が成長すれば、非正規雇用が減り、劇的に
 正社員が増えてみなが幸せになる、ということもない。皮肉にも、国の資料がそれを証明して
 いる。

  財務省「法人企業統計調査」によれば、企業の利益剰余金(狭義の内部助田保を指す)は増
 加傾向にあり、1988年に100兆円を超え、2004年に200兆円、そして12年には
 300兆円を突破し、14年9月では過去最高の324兆円を記録している。
  景気の浮き沈みに関係なく、一貫して企業は内部留保を蓄え続けているのだ。企業が保有す
 る現預金も相変わらず多い。これでは利益が投資や人件費などに還元されず、一部の人や企業
 にしかお金が回っていかな 「富裕層がさらに豊かになれば、貧困層にも富が自然としたたり
 落ちる」と言われる、いわゆるトリクルダウン政策も、貧困問題の改善に寄与していない。今
 後も企業が得た利益は、内部留保の拡充になるだけであろう。

  しかし実際には、企業は人件費に利益を配分できるはずだ。だからこそ、労働条件や賃金の
 向上が一向に図られないことについて、そろそろ、正規雇用や非正規雇用など雇用条件に関係
 なく、一枚岩となって、企業や経営陣に改善を要求しなければならないだろう。
  退職後、高齢者になったときに「さて、これからどうしていくか」と考えてもすでに遅い。
 今のうちから声を上げ、少しでもより良い環境に変えていくことが急務である。


では、格差をなくし、経済成長する方法ないのか?この項おのおわりで問いかけているが、答えは
簡単だ。所得格差をなくし、有効需要を拡大すれば良い。出口は見えている......


                                     この項つづく

 

 

● "レジデンス強化"の公共事業の全国展開を急げ!

台風15号は25日、熊本県荒尾市付近に上陸後、九州北部を縦断し、日本海へ抜けた。熊本県水
俣市の男性1人が行方不明になったほか、強風で転倒するなどして九州・山口各県で少なくとも計
55人が負傷し、24日の沖縄県内の軽傷者10人を含め、台風15号によるけが人は65人とな
った。気象庁によると、最大瞬間風速は、鹿児島県枕崎市45.9メートル/鹿児島市45メート
ル/長崎県雲仙市43.5メートル/熊本市41.9メートル。長崎県雲仙市では観測史上最大の
1時間あたり134.5ミリ、福岡市早良区や佐賀市三瀬村でも解析雨量で約120ミリの猛烈な
雨を観測。

これほどの規模で、死者が出なかったことは「台風の防災システムの充実」がうまく機能したのか
もしれないが、大規模な土砂崩れがなかったことの影響したのかもしれないが、人為的な地球温暖
化による影響の大きさは序の口にすきない。さて、上の写真のように、被害地での電信柱が倒壊を
目にする回数が増加するばかり。「ライフラインの埋設化」をこのブログでも指摘・掲載してきた。
「地方創生」などといったチマチマとした政策など後回しにして、"レジデンス強化"の公共事業を
実行に移せとここで主張したい。"人命は地球より重し"である。

 



● 非シリーズ的日本近現代史雑感: 満州事変から日中戦争

三橋貴明などの若い評論家の発言を目耳していると、日本の近現代史の認識があまりにも煽情的な
ので、いまさら近現代史のお温習いでもないが、サクサクっとネットからピックアップ(下図)。
山形有朋のが発案した天皇と直結した統帥権がひとり歩き、ウルトラナショナリズムに変貌し、国
家官僚(武官)――これをわたし(たち)は"征韓論遺制"と呼んでいる――が暴走した。と、いう
ことになる。

  

    


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