死に臨んだとき、わたしの最期の瞬間を支えてくれるものは、
この先になにがあるのかというかぎりない好奇心だろうね。
オットー・ペテルソン
少し天気が悪そうだが、彼女が出かけようというので車を「ラコリーナ」まで走らせる。
オープンから三度目だが、屋根の芝の緑が美しくなっているだろうと期待していたが、
写真のように鮮やかな緑の屋根に変っていた。そして、夏の日差しを浴びた芝屋根から
水が滴り、ほどよく建屋内が空調されている。前庭一面のいまは小さいおかめ笹は、次
にきたときには、どれほど成長しているだろうか? 刈り込み長はどれほどなのか?と
想像しながら帰ってきた。
Dutch Windwheel の形はちょうど“羽根のない扇風機”のように立った2つの輪を重ね
たような形で、真ん中が空洞になっている。先進技術 「EWICON」(下図特許図参照)
により、その空洞部分を通る風を生かして発電し、百%再生可能エネルギーでの運用。
外周側のリングには、レールで動く観覧車を用意。30人乗りの40のキャビンを搭載
され、30分で一周回する。ゲストはロッテルダムの風景をこの巨大なコースター上で
くつろぎ、内側のリングでは、パノラマレストラン、スカイロビーやホテル、商業施設
などが入居できる――こんな計画が、オランダのロッテルダム市の――特殊な形状のク
リーンエネルギービル「Dutch Windwheel」が注目を集めている。この仕組みは、まずプ
ラスに帯電した水を空気中に放出する→プラスに帯電した粒子は陰極側へ移動→風によ
り陰極側への移動が妨げられ、むしろ離される動きが発生→電気的な位置エネルギーが
増える→増加した電気を集めることで発電するという形だ。既に小型のものは実証実験
で成果が得られている(下動画クリック)。
尚、この先進的な風力発電機構は、発電に機械の可動部が不要となるため、機械の摩耗
が少なく、メンテナンスコストや騒音、移動影の影響なども低減することができるとい
う利点を持つ。
【要約】帯電エアロゾル風電変換発電装置に帯電した水滴が風の流れに分散する。25
~35ミクロンのオリフィスの15psig(約0.1MPa)の水圧ジェットで分散孔径が25
~50ミクロンの水滴をつくり、キロワットからメガワット級の風電変換発電装置のた
めに複数のオリフィスを配列する。このシステムは、外部電力を用いず、太陽光とまた
は重力で水回収と圧力再生を行なえる。
US 4206395
【要約】この新規考案は、熱電変換発電装置である。特に、無羽根風力発電装置は、荷
電水滴を介し電力変換し、荷電水滴電極とグランド間の電気負荷として回路形成させる。
このように、風力発電は荷電水滴の電熱力学プロセス変換で、風力流体で高電圧で大電
力を発生させることが出来る。
【要約】この風力発電システムは、モジュール電源ユニット(110)から構成され、各
モジュール式電力ユニット(110)は、36のエアジェットトンネル(106)から構成さ
れている。また、各エアジェットトンネル(106)は、フレーム(104)のウィンドウの
端に一方の端部に取り付けられたカンチレバー(102)とカスケード接続フレーム(104)
に取り付けられたカンチレバーアレイで構成されている。
さらに、カンチレバー(102)は2つ層間にはさまれた真鍮層(130)で構成され、それ
ぞれの層(126)は、電極ポリビニリデンフルオライド(PVDF)(128)の層に取り付
け、各モジュール式電力ユニット(110)は、ケース(108)に取り付け、ケースのセッ
トは、台座(116)に取り付け、パネル(114)に取り付けられた上、カンチレバーアレ
イ(117)が強風で電力変換する電気調整回路と一体配線される。
US 4523112
【要約】この新規考案は、電熱力力学(ETD)また帯電エアロゾル、熱電発電装置とし
て公知されている。(1)亜音速流れの中に円錐状に広がる超音速ジェットを備えた二
流体混合流の境界層で分離させ、少なくとも百倍、オリフィス部断面のオリフィス下流
に帯電させたエアロゾル形態――荷電エアロゾルの電荷密度が、ジェット軸線に沿い減
少し行き運動量の全てがの電力変換される。(2)この方法で、超音速ジェットが配列
されている。(3)「対流セル」は対流を提供する分離ダクト壁なしの超音波ジェット
配列方法である。(4)単一処理の超臨界ランキンサイク法である。
※ 8907504 Molecular mill method and apparatus for its use
8067878 Bladeless wind power generator
4523112 Electrothermodynamic (ETD) power converter with conical jet
4433,48 Charged aerosol wind/electric power generator with solar and/or gravitational regeneration
4395648 Electrothermodynamic (ETD) power converter
4206396 Charged aerosol generator with uni-electrode source
● 太陽光から水素へ変換効率22%!
モナシュ大学(Monash University)の研究チームによって、新たに開発された水素の生
成装置は、従来のエネルギー変換効率の世界記録である18%を突破し、22%を達成
した公表。周知の通り、再生可能エネルギーを利用した発電が普及するにつれ、その発
電量の不安定さや変動幅の大きさが注目され、そのための「エネルギーの貯蔵」がテー
マとなっているが、蓄電池は蓄電容量に対しコストが高いが、太陽光発電などで得たエ
ネルギーを「水素」変換し貯蔵するエネルギーを水素として保存する「Power to Gas」が
注目されている。この方法の利点は、エネルギー密度の高さや大量に貯蔵できる点、長
期保存してもエネルギーが減ることがない点、使用時に排出されるのが水だけでクリー
ンな点である。一方で、変換効率や利用効率の低さが課題となっている。今年4月には
理研がエネルギー変換効率15.3%を実現している。
※ Renewable fuels from concentrated solar power: towards practical artificial photosynthesis,
Energy Environ. Sci., 2015,8, 2791-2796
● 色素導入高分子太陽電池に光明!
高分子太陽電池に高い濃度で導入できる色素を開発した。色素を導入すると可視光領域
外の近赤外領域の太陽光を吸収できるようになり、エネルギー変換効率が約3割向上し
単セル素子で変換効率15%の、印刷技術で大量に生産できる高分子太陽電池の実用化
につながると期待される。
変換効率の向上には高分子材料とフラーレン(炭素原子の構造物)の層の界面に沿って
近赤外領域を吸収する色素が分布する必要がある。だが、色素を高濃度で導入すると界
面以外の場所に散らばり発電効率が低下する。京都大学大学の伊藤紳三郎教授らの研究
グループは、せっけんなどの界面活性剤が水と油の界面に自発的に集まる原理に着目し
た。高分子材料とフラーレンそれぞれに親和性を示す二つの性質の色素を作製。従来の
3倍の濃度を界面部分に安定的に導入できたことで変換効率が向上した(2015.08.28)。
このように、メインテーマの高変換効率太陽電池開発に併走するかのように、高分子系
太陽電池開発も実用段階に突入する「ネクスト・ステージ」にわたしたちはいる。
秋葉原通り魔事件が "ワーキングプアー" に 象徴される、過剰競争と自己責任の原理が
もたらす格差拡大社会の歪みとして発生したように、まもなく、日本の高齢者の9割が
下流化する。本書でいう下流老人とは、「生活保護基準相当で暮らす高齢者、およびそ
の恐れがある高齢者」である。そして今、日本に「下流老人」が大量に生まれている。
この存在が、日本に与えるインパクトは計り知れないと指摘したように、神奈川県小田
原市を走行中の東海道新幹線で焼身自殺した事件――71歳の林崎春生容疑者による「
下流老人の反デフレテロ」ではないかとブログ掲載(極東極楽 2015.07.02 )。『下流
老人』の著者である藤田孝典は、「東京都杉並区の生活保護基準は、144,430円
(生活扶助費74,630円+住宅扶助費69,800円 【特別基準における家賃上限】
)である。資産の状況やその他の要素も検討しなければならないが、報道が事実だとす
れば、年金支給額だけでは暮らしが成り立たないことが明白だといえる。要するに、生
活保護を福祉課で申請すれば、支給決定がされて、足りない生活保護費と各種減免が受
けられた可能性がある。月額2万円程度、生活費が足りない(家賃や医療費などの支出
の内訳にもよる)。生活に不安を抱えどうしたらいいか途方に暮れる男性の姿が思い浮
かぶ」と語っている(YAHOO!ニュース「新幹線火災事件と高齢者の貧困問題ー再発防
止策は 「貧困対策」ではないか!?」2015.07.02)を受け、藤田 孝典著『下流老人』
の感想を掲載していく。
目 次
はじめに
第1章 下流老人とは何か
第2章 下流老人の現実
第3章 誰もがなり得る下流老人―「普通」から「下流」への典型パターン
第4章 「努力論」「自己責任論」があなたを殺す日
第5章 制度疲労と無策が生む下流老人―個人に依存する政府
第6章 自分でできる自己防衛策―どうすれば安らかな老後を迎えられるのか
第7章 一億総老後崩壊を防ぐために
おわりに
第4章 「努力論」「自己責任論」があなたを殺す日
「真に」救うべき人間など1人もいない
そうはいっても、日本にはお金がない。周知のとおり、国の借金は1千兆円を突破
した。だから少ない財源をもって「どこから救済していくか」という政策の議論にな
る。そうなると、次にはじまるのが「高齢者のなかでもより困窮しているのは誰か」
という順位づけだ,みんな困窮しているにもかかわらず、最も困窮していろ人々の救
済がなされるまで我慢を強いられることになる。
現実問題として、緊急度に応じてある程度の優先順位づけがなされることは仕方が
ないだろう,しかしこの論理が非常に危険なのは「あの人は大変。でもこの人はまだ
我慢すべきだ」という価値の押しつけ合いが始まることだ。要するに、「みんな大変
なんだから、お前も我慢しろ」という横並び意識を助長しかねない。
あるいは高齢者より、一生懸命働いても貧しいシングルマザーや子どもの貧困を救
うほうが先だと思うかもしれない,最悪の場合、子どもと高齢者のどちらを救うべき
か、といった命の軽重を天秤にかけるような議論の在て方になりかねない。じつは貧
困問題を扱う支援団体や福祉行政では、このような少ない予算をめぐって、すでに奪
い合いが始まっており、各領域でその領域のみの主張が見受けられる。
子どもの貧困対策を進めたい支援団体は、子どもの予算を手厚くしろと主張し、障
害者団体は障害者の貧困対策を求める。もちろん母子世帯の貧困対策も若者の貧困対
策も同じである,このようにそれぞれの分野に主張が暖小化され、双方とも困窮して
いるにもかかわらず、争いが生じることとなる。
他の分野も同じである。生活保護受給者に対し、「もらいすぎだ」とバッシングす
る年金受給者や低賃金の労働者がいる。これらの人々の主張は、生活保護をもらいす
ぎというよりも、自分たちの待遇や生活環境を先に改善しろというものではないか。
これらの議論は、本質的には間違いであるが、もっともらしく聞こえるため一定の
理解を得てしまう,このような不tな議論は終わりにしたい。
わたしが言いたいのは、「真に」救うべき人間など1人もいない、ということだ.
困っている者は、みな.様に救うべき者なのだ。それは財源が豊富にある場合の理
想論だと言われるかもしれないが、その理想を追求するのが政治、そしてわたしたち
の役割であろう。子ども、若者、高齢者と「連鎖」していくのが貧困問題であり、そ
れゆえに教育、福祉、介護と、賢なる分野が連携して横断的な施策を打ち出さなけれ
ば、本質的な解決は見込めない。
あたかも真に救うべき人間(とそうでない人間)がいるような論理を通用させては
ならないのだ。
ここでも、政府の"借金"に自縛され、社会福祉政策が萎縮していることがうかがる。何度
も掲載してきたが、(1)有効な需要があり(2)十分な生産力がある限り、"借金"など
という幻想は、著者がここで展開されているように政治問題(共同幻想)としてしか存在
せず、そこに残されているのは(1)の有効需要に対する政策の国民への「合意形成」だ
けであり、また(2)については、教育訓練などを含めた労働力のミスマッチの解消法と
有効需要を実現する供給力の調整方法と、それに対する信用担保(貨幣)であり、税制で
の裏付け、さらには、応能税(=所得税及び法人税)の見積・徴収担保であり、総合的に
は、(1)と(2)のバランス(経済目標としては「2~3%のインフレ目標」あるいは
「目標雇用率」)調整が残されいるだけである。
さて、次回は「第5章 制度疲労と無策が生む下流老人-個人に依存する政府」。
この項つづく