もしも悪魔が存在せず、人間か悪魔を創造したのなら、
人間は自分の顔形に似せて悪魔を創造したのだ、と私は思う。
ドストエフスキー 『カラマーゾフの兄弟』
秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」
マイケル・ピルズベリー 著
野中香方子 訳
ニクソン政権からオバマ政権にいたるまで、米国の対中政策の中心的な立場にいた著者マイケ
ル・ピルズベリーが、自分も今まで中国の巧みな情報戦略に騙されつづけてきたと認めたうえ
で、中国の知られざる秘密戦略「100年マラソン(The Hundred-Year Marathon) 」の全貌を描い
たもの。日本に関する言及も随所にあり、これからの数十年先の世界情勢、日中関係、そして
ビジネスや日常生活を見通すうえで、職種や年齢を問わず興味をそそる内容となっている。
【目次】
序 章 希望的観測
第1章 中国の夢
第2章 争う国々
第3章 アプローチしたのは中国
第4章 ミスター・ホワイトとミズ・グリーン
第5章 アメリカという巨大な悪魔
第6章 中国のメッセージポリス
第7章 殺手鍋(シャショウジィエン)
第8章 資本主義者の欺瞞
第9章 2049年の中国の世界秩序
第10章 威嚇射撃
第11章 戦国としてのアメリカ
謝 辞
解 説 ピルズベリー博士の警告を日本はどう受け止めるべきか
森本敏(拓殖大学特任教授・元防衛大臣)
第1章 中国の夢
諜報活動についてジョン・ル・カレのスパイ小説やジェームズ・ボンドの映画のよう
なイメージを抱いていたかどうかはともかく、わたしはじきに現実を知った,わたしの
コードネームは007のように洗練された謎めいたものではなかった※。中ソ問題につ
いて最も詳細な報告は、CIAが長明的に行ってきた研究(ESAUおよびPOLO)
によるもので※、築まった証拠は複雑だった。キッシンジヤー率いるNSC(国家安全
保障会議)のスタッフの間では、中国との関係を深めるべきかどうかについて意見が分
かれた’&vは、ニクソン大統領が1969年2月の会議で表明した見方を支持した、
それは、中国はソ連よりも危険な脅威であり、村中のミサイル防衛が必要だ、というも
のだ、そういうわけで、その年の11月まで、キッシンジャーのアドバイザーらは「中
国への開国」に反対していた。当時キッシンジャーは、大統領の訪中の可能性を尋ねら
れ、「その可能性は低い」と答えている※。
※イアン・フレミングのコードネームの利用とコードネーム"007"については以下の研究
を参照。Donald McCormick, 17F; The Life of Ian Fleming (London: Peter Owen Publishers、
1954);Nicholas Rankin Ian Fleming'sCommandos; The Story of the Legendary 30 Assault
Uni (New York; Oxfored University Press, 2011); John Pearson, The Life of Ion Fleming (N-
ew York; Bloomsbuy, 2013); Craig Cabell, Ian Fleming's Secret War (Barnsley, UK; Pen and
Sword, 2008).
※例えば次を参照。HaI Ford, “Sovict Thinking about thc Dangcr of a Sino-US RaPProchcmcnt,
”CIA lntclligcncc RCPort. Directoratc of lntelligene, Reference Tide; ESAU LI, Feb 1974,
http://www.foia.cia.gov/sites/dcfault/filcs/documen_convcrsions/14/esau-50.pdf.
※H.R.Haldeman, THe Ends of Power (New York; Dell, 1978),91; Roger Morris Memorandum
for Henry Kissinger, November 18, 1969, declassified memo, Subject: NSSM 63, Sion-Soviet
Rivalry――A Dissenting View, Nixon Presidential; August 19, 1969, Nixson Memorandandum
to Henry Kissinger, Secret、Augist 19, 1969, Nixon Presidential Library. キッシンジャーとハ
ルデマンの関係についてより深く知るには以下を参照。Robert Dallek, Nixon and Kissinge;
Partner in Power (New York; HarperCollins, 2007), chpter 11.
わたしは何時間もかけてESAUおよびPOLOの報沿書を読んだが、中国の野望に
ついての記述には大いに驚かされた。1960年から62年にかけて、CIAの「IRO
NBARK」と名づけられた一連の作戦のもと、ソビエトの極秘文書の数千ページがミ
ノックスカメラで密かに撮影された。信じがたいことにその文書には、モスクワの軍指
導者が中国をNATO同盟国に並ぶ軍事的脅威と見なしていることが記されていた。ま
た、ニューヨークのFBIが、三つのスパイ作戦(コードネームは、SOLO、TOP
HAT、FEDORA)を遂行してきたこともわたしは知った。それらはソ連共産党内
部の上層部から信頼できる情報を引き出すことに成功していた※。。しかしFBIとC
IAは、さらに詳細な情報の収集をわたしに求めた。国連本部巾務局のオフィスは国連
ピルの35階を占めていた。そこで出会った最も印象的なソ連の職員は、アルカディ・シ
ェフチェンコという名の、小太りで白髪の社交的な人物だった。当時39歳のシェフチェ
ンコは酒豪で、特にマティーニを好み、マンハッタンのフレンチービストロ、ラ・プテ
ィートーマルミートで長話をするのが常だった,わたしは彼と親しくなり、よくランチ
をともにしたが、その席で彼は、国連のプロトコルなどまやかしだと笑い飛ばした。例
えば、母国の職員との付き合いは控えるようにとされているが、ロシア人の職員は皆、
毎日のように彼のオフィスにやってきて情報交換し、指示を仰ぐのだと言った。
1969年4月、シェフチェンコは、信頼できる友人になっていたわたしに、ひと月
前に中ソ国境で中国軍が行った蛮行の詳細を詰った。y連軍の中隊を待ち伏せして奇襲
攻撃を什掛けたそうだ。アメリカの諜報機関職員の大半が知らない情報だった。またシ
ェフチェンコはこう教えてくれた,「ソ連の指導者は、中国が共産圏の支配、ひいては
世界支配を目論んでいると考え、中国人を憎み恐れている」。何十年もの間、中国はソ
連の援助に頼る弱者を巧みに演じてきた。その中国があからさまな挑戦を仕掛けてきた
ことに、ソ連の人々はショックを受けていたのだ。
シェフチェンコと国連本部ビルのノースデレゲイツ・ラウンジでコーヒーを飲みなが
ら話した時のことは、特によく覚えている。シェフチェンコの中国の将来についてのジ
ョークにわたしは大笑いした,こんなジョークだ。
ソ連の指導者レオニード・ブレジネフがニクソン大統領に電話をかけてきた,
ブレジネフが言う。
「KGBによると、あなたは2000年に何か起きるかを予測できるスーパーコンピ
ユーターを持っているそうですね」
「ええ、持っていますよ」
この項つづく
特開2015-142667
光を用いることで非侵襲に血液中のグルコース濃度すなわち血糖値を計測する血糖値計測装置が知られている。血糖値は、食事や運動等によって一日のうちでも大きく変動するため、こまめに計測する必要がある。そこで、糖尿病患者等が自分で血糖値を計測・管理するため、継続的な使用を前提とした携帯型の血糖値計測装置が望まれている。但し、携帯型であるが故に、バッテリー動作が前提となる。使用可能時間や、充電や電池交換の頻度などの観点からは大容量のバッテリーが望ましいが、携帯性の観点からは小型・軽量である小容量のバッテリーが望ましい。何れの観点においても、重要な技術が、消費電力の低減である。
消費電力の低減を図る技術として、例えば、計測を間欠的に行う技術が特許文献1に開示されている。
ところで、継続的な血糖値の計測は、血糖値が低い低血糖状態の速やかな検出を目的としてなされる。低血糖状態は、命に関わる危険な状態であるため、速やかな検出が要求される。特許文献1のような計測を間欠的に行う技術を採用する場合、設定する計測間隔が長すぎると、低血糖状態の検出が遅れる危険性(リスク)がある。低血糖状態の速やかな検出のためには計測間隔が短いほうが良く、その場合には消費電力の低減効果はあまり望めない。
【0006】
本発明は、こうした事情に鑑みてなされたものであり、消費電力の低減を図ることを目的とする。
消費電力の低減を図ること。
【解決手段】血糖値計測装置10において、血糖値予測部166は、使用者の血糖値を予測する。発光部111は、使用者の生体内に向けて計測光を照射する。発光制御部161、計測点候補設定部164、光量制御方法決定部168、及び計測点選択部169は、予測された血糖値に基づいて1回の計測当たりの計測光の光量を制御する。受光制御部162、吸光スペクトル生成部170、及び血糖値算出部171は、使用者からの反射光を受光して血糖値を計測する。
【選択図】図10
現在、糖尿病患者などが自分で血糖値を計測するための携帯型の血糖値測定装置として、光を用いた非侵襲式の血糖値測定装置の開発が進められている。血糖値は食事や運動などによって一日のうちでも大きく変動するため、こまめに測定する必要がある。そこで、継続的な使用を前提とした携帯型の血糖値測定装置が望まれる。ただし、携帯型であるが故に、バッテリー動作が前提となる。使用可能時間や、充電や電池交換の頻度等の観点からは大容量のバッテリーが望ましいが、携帯性等の観点からは小型・軽量である小容量のバッテリーが望ましい。何れの観点においても、重要な技術の1つが、消費電力の低減である。
【0003】
消費電力の低減を図る技術として、例えば、血液成分を測定する装置において、測定を間欠的に行う技術が特許文献1に開示されている。
ところで、継続的な血糖値の測定は、血糖値が低い低血糖状態の速やかな検出が第1の目的である。特許文献1のような測定を間欠的に行う技術を採用する場合、設定する測定間隔が長すぎると、低血糖状態の検出が遅れる危険性(リスク)がある。低血糖状態は、命に関わる非常に危険な状態であるため、速やかな検出が要求される。そのため、測定間隔を如何に設定するかが重要なポイントとなる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、携帯型の血糖値測定装置において、低血糖状態の速やかな検出を可能としつつ、消費電力の低減を図ることが可能となる新たな技術を提供することにある。
上記課題を解決するための第1の形態は、使用者の血糖値を測定する測定部と、前記測定部による測定結果に基づいて前記測定部の測定間隔を設定する測定間隔設定部と、を備えた血糖値測定装置である。
【0008】
また、他の形態として、使用者の血糖値を測定することと、前記測定の結果に基づいて前記測定の間隔を設定することと、を含む血糖値測定方法を構成しても良い。
【0009】
この第1の形態等によれば、使用者の血糖値の測定結果に基づいて、測定間隔を設定することができる。つまり、血糖値に応じて測定間隔を動的に変更できるので、例えば、低血糖状態に近づいていると判断される場合には測定間隔を短くするといったことが可能となり、低血糖状態の速やかな検出を可能としつつ、消費電力の低減を図ることができる。
【0010】
第2の形態として、第1の形態の血糖値測定装置であって、前記測定間隔設定部は、前記測定結果が第1の範囲の場合に第1の測定間隔に設定し、前記第1の範囲よりも低い第2の範囲の場合に前記第1の測定間隔よりも短い第2の測定間隔に設定する、血糖値測定装置を構成しても良い。
【0011】
この第2の形態によれば、測定結果が第1の範囲の場合には、第1の測定間隔に設定され、測定結果が第1の範囲よりも低い第2の範囲である場合には、第1の測定間隔よりも短い第2の測定間隔に設定される。つまり、血糖値の高低に応じて、測定間隔が少なくとも2段階に変更して設定される。これにより、測定した血糖値が低い場合には、測定間隔を短く設定する、すなわち測定頻度を高くすることで、低血糖状態を速やかに検出することができる。
【0012】
第3の形態として、第1又は第2の形態の血糖値測定装置であって、前記測定結果を記憶する記憶部を更に備え、前記測定間隔設定部は、前記記憶部に記憶された測定結果を用いて血糖値を予測する予測部を有し、予測結果を用いて前記測定間隔を設定する、血糖値測定装置を構成しても良い。
【0013】
この第3の形態によれば、測定結果を記憶し、記憶された測定結果を用いて血糖値を予測し、その予測結果を用いて測定間隔が設定される。従って、例えば、測定結果の時系列変化に基づいて将来的な血糖値或いは血糖値の変化を予測することが可能となり、血糖値予測の精度向上を図ることができる。この結果、より適切な測定間隔の設定を可能とすることができる。
【0014】
第4の形態として、第3の形態の血糖値測定装置であって、前記測定間隔設定部は、前記予測結果が所定条件を満たす時点を判定する判定部を有し、当該時点までに前記測定部による次の測定が行われるように前記測定間隔を設定する、血糖値測定装置を構成しても良い。
【0015】
この第4の形態によれば、予測結果が所定条件を満たす時点を判定し、その時点までに次の測定が行われるように、測定間隔が設定される。所定条件を、例えば血糖値が所定値よりも低い低血糖状態と判断することができる条件とすることで、低血糖状態になると予測される時点より前に、血糖値の測定を行うことができ、従って、低血糖状態、或いは低血糖状態に近づいているか否かを速やかに検出することが可能となる。
【0016】
第5の形態として、第3又は第4の形態の血糖値測定装置であって、前記使用者の予定行動を取得する取得部を更に備え、前記測定間隔設定部は、前記予定行動に基づいて前記予測結果を調整する予測結果調整部を有する、血糖値測定装置を構成しても良い。
【0017】
この第5の形態によれば、使用者の予定行動に基づいて、血糖値の予測結果が調整される。これにより、血糖値を変化させる外的要因を考慮してより高精度に血糖値を予測し、より適切な測定間隔の設定を行うことができる。
【0018】
第6の形態として、第5の形態の血糖値測定装置であって、前記予測結果調整部は、前記予定行動が運動又はインスリン投与に係る行動である場合に前記予測結果に含まれる血糖値の予測値を低下させる方向に調整する、血糖値測定装置を構成しても良い。
【0019】
この第6の形態によれば、使用者の予定行動が運動又はインスリン投与に係る行動である場合に、血糖値の予測値が低下する方向に調整される。一般的に、血糖値は、運動やインスリン投与によって低下するからである。
【0020】
第7の形態として、第5又は第6の形態の血糖値測定装置であって、前記予測結果調整部は、前記予定行動が食事に係る行動である場合に前記予測結果に含まれる血糖値の予測値を上昇させる方向に調整する、血糖値測定装置を構成しても良い。
【0021】
この第7の形態によれば、予定行動が食事に係る行動である場合に、血糖値の予測値が上昇する方向に調整される。一般的に、血糖値は、食事によって上昇するからである。携帯型の血糖値測定装置において、低血糖状態の速やかな検出を可能としつつ、消費電力の低減を図ることが可能となる新たな技術を提供すること。
【課題】携帯型の血糖値測定装置において、低血糖状態の速やかな検出を可能としつつ、消費電力の低減を図ることが可能となる新たな技術を提供すること。
【解決手段】血糖値測定装置10は、使用者2の手首等に装着され、光を用いた非侵襲の測定装置であり、使用者2の血糖値を間欠的に測定する。測定間隔は、測定した血糖値に応じて設定される。例えば、測定した血糖値が低い場合には、測定間隔を短く設定する。