もしも悪魔が存在せず、人間か悪魔を創造したのなら、
人間は自分の顔形に似せて悪魔を創造したのだ、と私は思う。
ドストエフスキー 『カラマーゾフの兄弟』
I think if the devil doesn't exist、 but man has created him,
he has created him in his own image and likeness.
これは、聖書の「神は自分に似せて人間を創り給うた; God created man in his own image」
を もじったもので、悪魔は人間みたいという痛烈な言葉ということになる。
● 「口これをいいて、身必ずこれを行なう]
告子が墨子に自慢した。
「わたしには、国を治める手腕があります」
「あなたには"治める"という意味がわかっていないようだ。口にしたことは必ず実行する、
これが"冶める"ということだ。
あなたは日でばかり自慢して、なにも実行していない。いいかえれば、自分の身を瓜して
いるのだ。自分自身すら治められない者が、国を冶めることなどできるはずがない。さし
あたり、あなたは自分の身を乱さぬようにすることだ」
《解説》「非儒篇」と対応して読ひとき、儒家批判についてはひしろ本祠のほうが現代
的な説得力をもつ。風俗習慣の面よりも人間心理の面をを素材にしているからであろう
と説明される。
秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」
マイケル・ピルズベリー 著
野中香方子 訳
ニクソン政権からオバマ政権にいたるまで、米国の対中政策の中心的な立場にいた著者マイケ
ル・ピルズベリーが、自分も今まで中国の巧みな情報戦略に騙されつづけてきたと認めたうえ
で、中国の知られざる秘密戦略「100年マラソン(The Hundred-Year Marathon)」の全貌を描い
たもの。日本に関する言及も随所にあり、これからの数十年先の世界情勢、日中関係、そして
ビジネスや日常生活を見通すうえで、職種や年齢を問わず興味をそそる内容となっている。
【目次】
序 章 希望的観測
第1章 中国の夢
第2章 争う国々
第3章 アプローチしたのは中国
第4章 ミスター・ホワイトとミズ・グリーン
第5章 アメリカという巨大な悪魔
第6章 中国のメッセージポリス
第7章 殺手鍋(シャショウジィエン)
第8章 資本主義者の欺瞞
第9章 2049年の中国の世界秩序
第10章 威嚇射撃
第11章 戦国としてのアメリカ
謝 辞
解 説 ピルズベリー博士の警告を日本はどう受け止めるべきか
森本敏(拓殖大学特任教授・元防衛大臣)
第1章 中国の夢
天無二日 土無二王――天に二日無し、土にニ王無し
『礼記』曾子問
1950年代、中国はソ連を共産圏のリーダーとして認め、従属していた。脆弱な
国のふりをして、技術的に進んだソ連から支援を引き出そうとしたのだ。しかし、従
属は毛沢東の好みではない、ということをソ連は知っていた。ソ連は、中国を恐れ、
信用していなかった。しかし、米中が同盟を結ぶことをそれ以上に恐れていたので、
アメリカに偽りのメッセージを送った。
1961年末、アナトーリ・ゴリツィンという男がヘルシンキのCIAのトップに
接触し、亡命の意思を伝えた,CIAの協力により、ゴリツィンは家族とともに、フ
ィンランドの首部ヘルシンキからスウェーデンの首部ストックホルムまで飛行機で逃
亡した(※)、ゴリツィンはウクライナ出身の45歳になるKGB幹部で、戦略計画部
門で働いた後、フィンランドのソビエト大使館にイヴァン・クリノフという偽名で派
遣されていた。ストックホルムから空路アメリカに向かった肢は、ソビエトの対西洋
作戦の情報ファイルを携えていた。彼は、「西側が接触した最も価値の高い亡命者」
と呼ばれ(※)、後にテレピドラマ『ミッション・インポッシブル(訳註*邦題は『
スパイ大作戦』)この登場人物のモデルにもなった。中ソ関係についてきわめて貴重な
情報をもたらし、それは、その後の数年間、アメリカの外交および情報コミュニティ
に多大な影響を及ぼした。
当初から、アメリカの諜報機関の職員はゴリツィンを信用した。ゴリツィンは、西
側で活動する何人ものソ連のスパイの名を明かし、自分が信用できることを示した。
最大の貢献は、英国の秘密情報部の工作員キム・フィルビーがソ連のスパイだったこ
とを腿露したことだ。
またゴリツィンは謀略家で、後に、英国の首相ハロルド・ウィルソンはKGBのス
パイだと主張した。彼の情報操作の一つは、中国とソピエトが共産主義の盟主の座を
めぐって争い、決裂した、という噂に関するものだ。「そのような噂に根拠はない。
中国人がアメリカから貴重な情報を盗めるよう、KGBが仕立てた嘘だ」とゴリツィ
ンは断言し、こう警告した。
「いずれソ連から亡命者が来て、中ソ決裂の証拠を持っていると主張するだろう。そ
れがいつであれ、この人物を信用してはならない」
2年以上後に、この予言は的中した。
※ Jeanne Vertefeuille が Golitsyn に同行した。Sander Grimes amd Jeanne Vertefeuille
Circle of Treason; A CIA Account of Traitor Aldrich Ames and the Men He Betrayed (Ann-
apolis MD; Noval Insitute Press, 2013), 4. また, laine Shannon,"Death of the Pcrfect Spy,
"Time, June 24, 2001,http;/content.time.conl/time/magazine/article/0,9171,1648863,00.h-
tml; Tennent H. Bagly, spymaster; Starting Cold War Revelations of a Soviet KGB Ciefe
(New York; Skyhorse Publishing, 20013).
※ Rohert Buchar. And Reality Be Damned...Undoing American; What Media Didin't Tell You
About the End Of the Cold Wa r and the Fall of Communism in Europe (Durham, CT; Eloq-
uent Book, 201), 211, n. 9.
1964年1月に、ユーリ・ノセンコというKGBの工作員が、ジュネーブでCI
A職員に接触し、しばらく後に亡命した。肢は二重スパイで、西側のために諜報活動
をしていたことがソ連にばれたのだ。モスクワに召喚されたが、行けば収監は確実
で、おそらくさらに悪い結果が待っているとわかっていたので、アメリカヘの亡命を
決意したのだった。ノセンコは、中ソ関係について一般的な見方と矛盾する多くの情
報をもたらした。特に、中ソの分裂は深刻だという彼の主張は、それに根拠がないと
するゴリツィンの主張と真っ向から対立つた。実際はどうかというと、当時、中ソの
分裂は深刻な局面を迎えており、国境地帯での衝突が頻発し、全面戦争まで懸念され
ていた※。ノセンコは、ゴリツィンは亡命してきたのではなく、KGBの命を受けて
アメリカに潜入し、米中が同盟を結ぶのを阻むために偽の情報を流した、と主張した。
さらに肢は、毛沢東は共産主義体制の盟主の座のみならず、世界秩序の支配者という
地位を担っている、と不吉な予言をした。
※ Johon Limond Hart, The CIA's Russians (Annapolis, MD;Naval Insitute Press, 2003), 137.
ゴリツィンとノセンコの対立する主張は、アメリカ政府を困惑させた。共産主義の
二大国家の分裂という情報は非常に魅力的で、それが事実なら、亀裂を利用しない手
はない,しかし、両国は思想的に結びついているので、西側がくさびを打ち込もうと
すれば、団結して抵抗するはずだ――こうした葛藤を経て、アメリカの情報コミュニ
ティでは、次第にゴリツィンを信じ、ノセンコを信用しないという合意が形成されて
いった。だがそれは、その後数十年間になされた中国に関する数多くの合意と同じく
間違っていた。
ノセンコは独房に入れられ、話を撤回するまでそこにいることを命じられた。しか
し3年たっても、主張も自信も揺るがなかった。ついに何人かのアメリカ人アナリス
トが、ノセンコがちらつかせたもの、つまり、米国が中国と手を結ぶことを、ソ連が
警戒しているのは真実ではないかと考えるようになった。CIAとFBIは真相を明
かすために、世界規模で情報収集を始め、わたしもその一員になった。
1969年、アメリカの情報コミュニティがこの論争を解決するには、二つの要素
が必要とされた。一つは、KGBの対諜報活動部門に送り込んだスパイで、もう一つ
はソビエト共産党の高位のメンバーに接触できる人物だ。だが、残念ながらどちらも
手中になかったので、あるもので我慢するしかなかった,それは、ソ連の人がたくさ
ん出入りするニューヨークの組織、国連剌務局でたまたま働いていたひとりの平凡な
大学院生である。
当時、わたしは24歳で、コロンビア大学のある教授の紹介で、国連事務総長のオ
フィスで政務官として働いていた。下っ端ながら、その部門でポストを得た唯一のア
メリカ人だった。わたしは秘密情報収扱許可を(以前 の政府関係の仕事から)得て
おり、また、世界中の国連職員のトップに接触できたので、FBIとCIAにとって
はスカウトするのに最適の人材だった。
4月のどんよりと曇った月曜の午前8時35分、わたしは国連本部ビルがある一番街
42帳面の角に立って、駆が途切れるのを待っていた。1ブロックの道を外交官用ナ
ンバープレートをつけた黒いリムジンが占拠し、ニューヨーカーの怒りをかっていた。
2ヵ月前に国連事務局で働くようになってから、何度も往来した道だ。だが、その日
の仕事は、それまでとは違っていた。わたしはアメリカ政府のスパイとして働くこと
にハロ意したのだ。
CIAの「ピーター」、FBIの「スミス」がそれぞれわたしとの連絡を担った。
彼らは国家安全保障担当補佐官ヘンリー・キッシンジャーから、中ソ断絶の可能性に
ついてソ連側の情報を集めるよう、命じられていた。中国がどのようなパートナーに
なるか、信頼できるか、気まぐれか、危険かといったことに関心は払われなかった。
アメリカの情報コミュニティが唯一関心を寄せていたのは、中ソを分かつくさびとし
て北京を利用できるかどうか、ということだった。すべては、1969年8月にニク
ソン大統領の主催でカリフォルニア州サクラメントにある「西部のホワイトハウスー
(カリフォルニア州議事堂)で開かれることになっていた、アジアの将来について話
し合う会議の下準備だった。
この項つづく
今月6日、刈り取った水草を、活性酸素使い短時間で分解処理する技術を下水道処理施設開発
を手がけるアオヤマエコシステム(大津市)が開発。びわ湖で異常繁茂する水草を処理し、処
理物も有機肥料として有効利用できる。同社がつくった処理機の中で、電圧をかけて発生させ
た活性酸素を入れながら40~50℃で水草をかき混ぜると、酸化されて細胞膜が破壊され、
出てきた水分が蒸発し、乾燥した土状の処理物になる。水草はほとんどが水分で、50キロの
しめった水草が約24時間後に1キロになる。汚泥処理法を同社が応用し、今年度の「県イノ
ベーション創出支援事業補助金事業」に採択された。今年7月から試験的に水草800キロを
処理したところ、汚泥よりも効率よく処理できることがわかった。
さて、この処理法は「活性酸素種の簡易な発生方法のフェントン法の改良」技術である。有機
リン系農薬の例では、窒素、リンを含有した有機化合物該処理装置は、被処理水供給手段,過
酸化水素添加手段,鉄イオン添加手段,pH調整手段で構成、過酸化水素を添加し、鉄イオン
添加は、2価の鉄イオンを、pH調整剤を添加し、所定の弱酸性に維持し分解処理される。し
かし、処理水が酸性である場合を除いて、生成する鉄水酸化物がフロックを形成し、大量の鉄
汚泥が発生するという問題がある。
同社の方法は、活性酸素種発生剤――金属(M)、炭(C)を含有、金属(M)、炭(C)と
が接触し炭/金属複合体(MC)――と過酸化水素、次亜ハロゲン酸、酸素からなる群より選
ばれる少なくとも1種と水とを必須構成体として構成される。活性酸素種の製造方法は、金属
水の存在下で接触させて活性酸素種を発生させ酸化分解物を生成させる。過去、わたしたちも、
フェントン法を検討したことがあったが、過酸化水素の取り扱い上(使用量が大きい)、安全
サイドに考え、生物処理法を採用した経験をもつが、その当時から改良が進んでいるようだ。
今月5日、富士フイルム株式会社は、シミの原因となるメラニン色素を含む「メラノソーム」
が表皮細胞で分解される際に、タンパク質分解酵素「カテプシンV」が関与することを発見。
カテプシンVは、細胞内の消化器官「ライソソーム」に存在する酵素で、その量が減少すると
ケラチノサイトにメラノソームの蓄積が多くなり、ケラチノサイトの細胞分裂が抑制されるこ
も確認。この結果は、カテプシンVの増減がターンオーバーによるメラニンの排出に関与し、
また、米ぬか脂質に含有される成分「オリザノール」に、カテプシンV産生促進作用とメラノソ
ーム分解促進作用があるを確認。さらには、本成分を世界最小クラス20ナノメートルサイズ
で安定分散させた「ナノオリザノール」の開発に成功する。粒子径を小さくすることとで、皮
膚への浸透性向上が期待されている。
老化とともに、シミが増えてきたが、安全性を確認し商品化されたお世話になろうと思ってみ
るが、ここは写真基剤の1つであるゼラチンの知財を持つ究開発富士フイルムならでの事業展
開に脱帽。
● 世界初 グラビアオフセット印刷適用電子回路形成技術
今月5日、㈱SCホールディングスはこのほど、グラビアオフセット印刷をベースに独自の技
術を応用し、さまざまな線幅が混在する複雑な電子回路においても、複数回の印刷を行うこと
なく容易に一括形成を可能とする世界初の製版技術を確立したと発表。16年1月までにこの
技術を使った印刷版の商品化を予定。装置開発やシステムインテグレーションなどの提供も視野
に入れ、プリンテッドエレクトロニクス分野のリーディングカンパニーを目指す。近年、ウエ
アラブル端末や有機EL照明などの電子デバイスの量産において、印刷技術を活用し、簡易か
つ低コストで製造できるプリンテッドエレクトロニクスに注目が集まっている。この技術を使
った回路形成には、スクリーン印刷(孔版)やグラビア印刷(凹版)を応用した方法があり、
特に精密な電子デバイスの製造には、複雑で微細な回路形成が可能なグラビアオフセット印刷
が適しているが、この印刷方法で線幅の異なる回路を一括形成する場合、転写不良による回路
の断線や不均一な膜厚が形成されてしまう可能性があるため、同一線幅の回路ごとに描き分け
られた複数の印刷版を用意した上で、複数回に分けて印刷を行う必要があり、量産体制の確立
への大きな課題となっている。
製版技術・画像処理技術に加え、半導体・液晶関連の製造装置で定評のある表面処理技術や、
プリント基板関連の直接描画技術を応用。グラビアオフセット印刷方法をベースに、世界で初
めて電子回路の一括形成を可能にする製版技術を開発しました。この新技術は、電子回路の製
版データ作成時にインクの材質や粘度、印圧情報を考慮し、回路の線幅に応じて最適な深度を
持つ印刷版を製作するもので、回路の一括形成時における線切れや膜厚の不均一性などの転写
不良を解消。プリンテッドエレクトロニクスでは難しいとされてきた生産性とコスト面での課
題を一気に解決する画期的な技術になる。
【参考特許】
オフセット印刷法でパターンが形成された基板を量産するには、各工程を順次に実行する個々
の装置を並べ、製造ラインを構築することが考えられるが、電子機器向け基板を量産するのに
好適な製造ラインがなかった。このパターン転写システムは、下図1のように、ブランケット
91と印刷版93を洗浄する第一洗浄部11と、ブランケット91に転写剤を塗布する塗布部
41と、転写剤が塗布されたブランケット91と印刷版93を貼り合わせることで、ブランケ
ット91にパターンを転写する転写部51と、パターンが転写されたブランケット91を基板
9に貼り合わせることで、基板9にパターンを転写する転写部53とで構成。また、パターン
転写システム1は、転写部51でブランケット91にパターンを転写した印刷版93と、転写
部53にて基板9にパターンを転写したブランケット91を、第一洗浄部11に向けて搬送す
る受渡搬送部23で構成で、電子機器向け基板の量産に好適な技術――(1)印刷版の再利用
で数量削減、(2)ブラケットの再利用で数量削減、(3)パターン転写システムの占有面積
を小さくできる、(4)ブランケットと印刷版の位置決めを容易にできる、(5)装置がシュ
リンク(ダウンスペーシング)できる、(6)2つの異なるブラケットが処理できる――を提
供する。
このようにして、電子回路パターンを銅板などで形成し、印刷用ローラーのブラケットに取り
付け機能性インクを塗り乾燥させれば、「1→N」型生産方式(類似例:石油精製)で大量に
製品でき、コストは一挙に逓減することができるが、版の管理が再現性の鍵となる。それと、
有機溶剤などを使うので安全衛生面(例:胆管ガン)に注意を要する。