お前さんと私を除いて世界中がヘンである。いや、お前さんさえ少しヘンである。
ローバート・オーエン
All the world is queer save thee and me, and even thou art a little queer.
※ all the world「世界中の人々」である。queerr「おかしい」「ヘンな」
たいてい、頭が、である。save は「(助けるでなく)を除いて」と
いう前置詞。thou art は you are の古い形。
● 日本でマイナス成長が日常茶飯事に
予測通り2期連続マイナス成長のリセッションに入った。設備通しが低調、中国経済の減速が響いた
と言い訳しているが、ネット消費増税の影響である。「日本でマイナス成長が日常茶飯事に――2期
以上連続は過去20年で7回」(Bloomberg.co.jp 2015.11.17)という見出しがめをひいたので掲載する。
それによると、(1)日本は7-9月期に2四半期連続のマイナス成長になった。海外の経済事象や
国内の自然災害がその原因ではない。日本は過去20年で7回、2四半期以上連続のマイナス成長を
経験しており、そのうち2回は12年の安倍政権発足後だ。四半期当たりの平均成長率はプラス0.8
%。一方、中国はこの間に絶え間なく成長を続け、日本を抜いて世界2位の経済大国となった。(2)
ジャパンマクロアドバイザーズの大久保琢史チーフエコノミストは、16日の日本の国内総生産(G
DP)発表後のリポートで、労働人口の急速な縮小に伴い、日本の潜在成長率は極めてゼロに近いと
指摘。さらに日本にとってゼロ成長や緩やかなマイナス成長はもはや大した問題ではないと分析した。
(3)日本の7-9月期GDPは前期比年率0.8%減で、4-6月期は0.7%減。昨年の2期連続
のマイナス成長の引き金となったのは消費増税だった。今回のマイナス成長は、設備投資の減少のほ
か、多数の企業が生産増より在庫調整を進めることを決めたことが要因となった。(4)BNPパリ
バ証券の白石洋シニアエコノミストは、マイナス成長に頻繁に陥るようになったため、事情をさらに
深く調べる必要があるとの見方を示した。同氏は今回の2期連続マイナス成長を日本がデフレに逆戻
りしているという見方に結びつけるのは誤りだと指摘。物価の傾向を考える際にはGDPだけではな
く、労働市場のひっ迫も考慮することが重要だと分析した、と報告している。しかし、これをデフレ
でないと言い切るところが、「帯に短し、襷に長し」といった見識しか披露できない日本の政府、官
僚、アナリストの実力というわびしさの限り。時代が大きく変わっているのだ、誰か優れた見識の持
ち主はいないのだろうか。
Takuji Okubo
● 大阪ダブル選挙の行方は
大阪府知事選挙が告示され、大阪府知事選挙に維新新の会の現職の松井一郎、自民党推薦する新人で
大阪府議会議員の栗原貴子、無所属新人で元高校教諭の美馬幸則の3人。かたや、大阪市長選挙は、
吉村洋文(大阪維新の会)、中川暢三(元大阪市北区長)、高尾英尚(無所属)、柳本顕(無所属・
自民党推薦・共産党大阪府委員会支援・民主党大阪府連支援、元大阪市会議員)4人が立候補してい
る。昨日の毎日新聞デジタルによると、市長選では、吉村洋文がリード。柳本顕が追う展開。知事選
では松井一郎が、栗原貴らに対して優位に立っているとしながらも、両選挙とも3割の人が態度を決
めておらず、終盤に情勢が変わる可能性もあると報じている。
時代が大きく変化しそれに機動力発揮し、百万人を超える住民の自治(独立心)を醸成し、住民の安
全を保障、多様な住民福祉へのインフラおよびサービスを提供する仕組みを変えていくこと、そして、
経済的な地盤沈下を食い止め向上することが求められていることは誰しも認めることで、それが大阪
都構想だと考えるのは極自然なこと考えていた。ところが、笑ってしまうことになる。既成政党がこ
ぞって反対しているのだ(そんなことはわかっていたんだろう?すいません!)。中央集権の悪弊を
打ち払い地方分権を進めるには先ず、税制を変える――(1)応益税である消費税は自治体に還元す
る(全国全体:五百兆×5%≒25兆円)、(2)法人税は自治体別逆累進制の導入、(3)国家安
全保障・社会(福祉)保障費は応能税の所得税担保の一元化、(4)納税・社会福祉カードの完全義
化の4つである。
それと併行し、高度な情報・消費・多様・共生社会の現在化に地方自治(そして行政)体制への構造
改革――(1)行政能力の向上、(2)財政能力の向上、(3)自治能力の向上の3つを行う。その
ための改革(あるいは再編)コストは十全に担保されるべきだと考えている。つまり、構造改革によ
る便益性の算定方式を創造規定することだと。「多様性」と「選択と集中」は局面によってはアンベ
バレントにあるが時間軸を強く意識し、住民の合意形成(対議会制の尊重)を基本都市、運営方法の
改革(区長選挙制、各種会議体・組織制度の改廃など)を3年程度かけ、大阪都への移行を完了する
(目標2020年)。というイメージでこのダブル選挙を眺めている。ここは維新に「義」と「利」
ありだと。
● 移動式水素ステーション登場
移動式水素ステーションが登場した。川崎市、相模原市、横浜市の3つの市で、移動式水素ステーシ
ョンによる水素提供が始まる。JX日鉱日石エネルギーの水素供給設備を搭載し大型トラックで搬送方
式。コスト課題が影響し普及の遅れが指摘される水素ステーションだが、定置式より設置費用が抑え
られる移動式ステーションの採用は増るという。巡回する移動式水素ステーションは25トントラッ
クで、外形寸法は長さ約12×幅約2.5×高さ約3.8メートル。水素の充填圧力は70メガパスカ
ルで、燃料電池車(FCV)1台当たり約3分で充填できる。充填台数は水素ステーション1台につき、
FCV換算で約3台まで。一刻も早く水素社会へとの意気込みがあふれている移動車の登場である。面
白い。
農研機構、株式会社やまびこ、みのる産業株式会社らは、共同で温室内における農薬散布作業を無人
で行い、散布ムラが少なく、防除効果の高い防除機を開発。これは農薬の噴霧粒子に静電気の力を付
加して作物体への付着性能を向上させる静電散布と、噴霧方向に風を送るエアアシストの技術とを組
合せ、作物列の間を自動的に往復散布。これにより、農薬被曝量や労働負担を大幅に低減するととも
に、手散布と同等に散布ムラの少ない防除作業を行う。これまでに、キュウリ、メロン、トマト栽培
の防除試験を行った結果、従来の手散布並みの防除効果を得るとともに、面積あたりの散布量の削減
の見通せたとのこと。
静電気と風の力を利用散布装置で、散布ムラの少ない防除作業を実現
園芸施設は、大規模化が進み、さらに閉鎖された高湿度下の空間内で露地栽培よりも病害虫の大量発
生を招きやすいこと等で、農薬散布作業が頻繁に行われている。栽培面積の拡大とともに労働負担の
大きい作業の一つ。一般に防除作業は、農薬被曝を避けるため、カッパ、手袋、マスク、ゴーグルな
どを装着して行うが、高温・多湿となる真夏のような環境下ではさらに厳しい作業となっていた。
ところで、こんなところにも、みのる産業株式会社が絡んでいるとは少し驚いた。特許?それらはす
でに調査済みだ。一次産業の高度化は避けられない。「再エネ」も(1)太陽電池、(2)バイオマ
ス。(3)蓄電池ですべてまかなえる。地熱?マグマだまりの調査必要だ。
【超伝導エレクトロニクス工学のススメ】
● チタン酸リチウムの超伝導状態を制御
超伝導体は核磁気共鳴画像法(MRI)により医療分野で活躍し、送電ケーブルやリニアモーターカーな
どへの応用が期待される重要な技術。この超伝導現象を電子デバイスへと適用する超伝導エレクトロ
ニクスも、実用化に向けた研究が行われ、超伝導状態と常伝導状態のスイッチングには、非常に多く
の電子が必要だが、超伝導状態を制御できるほどの電子をそのまま扱う基盤技術が存在せず、実用化
への道のりは遠いと考えられていた。そこで、東工大吉松公平助教と大友明教授らの研究グループの
研究で、電子とイオンをペアで扱うリチウムイオン電池に着目。イオンを同時に移動させることで、
従来よりも遥かに多くの電子を超伝導体に与えることができるとがわかったという。
(1)チタン酸リチウム薄膜を負極に用いたリチウムイオン電池セルを形成
(2)セルの充放電によりチタン酸リチウムの超伝導ー常伝導状態の制御に成功
(3)超伝導エレクトロニクス応用につながる新技術を発見。
それによると、高品質なチタン酸リチウム薄膜を作製し、その薄膜を負極としたリチウムイオン電池
構造を形成(上図)した。この電池に対し、充電・放電操作を行い、同時にチタン酸リチウム薄膜の
電気抵抗を測定。その結果、超伝導状態のチタン酸リチウム薄膜にリチウムイオンを挿入する充電反
応を行うと、常伝導状態への転移が観測された。一方、チタン酸リチウム薄膜からリチウムイオンを
脱離する放電反応を行なうことで、超伝導状態を回復させることに成功した(下図)。
チタン酸リチウムの可逆的な超伝導転移の様子。初期状態と放電状態では11ケルビンで抵抗率が、
0になり、超伝導状態が発現している。一方で、充電状態では抵抗率が0にならず常伝導状態となっ
ている。さらに初期状態と放電状態の超伝導転移温度が一致しており、可逆的な転移であることがわ
かる。