私が成功することができたのは、仕事場に時計がなかったおかげである。
トーマス・エジソン
I owe my success to the fact that I never had a clock in my workroom.
Thomas Edison
February 11, 1847 – October 18, 1931
四国電力、「30日等出力制御枠」に到達】
四国電力は今月26日、太陽光発電の接続と契約申し込みが、「30日等出力制御枠」に到達した、と発
表。四国電力の同制御枠は257万キロワットであった。22日には太陽光発電の接続済みと契約申し込
み済みの設備量の合計が制御枠に達したためである。これにより25日以降の契約申し込みについては、
指定電気事業者制度の下での受け付けとなり、系統に接続する場合には、無制限・無補償の出力抑制(出
力制御)が条件となる。
ところで、出力制御には3つのルールが存在する。発電設備の接続可能量の空きは、地域によって差があ
るため、地域と発電設備容量で適用されるルールが異なる。
(1)360時間ルール:電力会社が自社の発電設備の出力を抑制しても電力の供給量が需要量を上回る
場合、年間360時間を上限に、無補償で出力を抑制するよう要請できるルール。
(2)指定ルール:国から指定を受けた電力会社が、接続申込みが接続可能量を超えた場合、それ以降に
接続を申込んだ接続発電設備を対象に、上限時間なく無補償で出力を抑制するよう要請できるルール。
指定を受けている電力会社:北海道電力、東北電力、北陸電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖
縄電力。
(3)30日ルール:電力会社が自社の発電設備の出力を抑制しても電力の供給量が需要量を上回る場合
、600キロワット以上の発電設備に対し、年間30日を上限に、無補償で出力を抑制するよう要請で
きるルール(~15年1月25日以前に接続申込の場合)。
固定価格買取制度(FIT)による出力抑制の上限値は、15年1月の運用見直しによって「30日」(30
0日ルール)から、「360時間」(360時間ルール)に変わった。四国電力の場合、1月25日以降の
申し込み分に関しては、年間360時間を超えて出力抑制を行う場合でも、無補償となることを前提に、
接続が可能となる。
これを評価するか?1つは太陽光・風力は発電量が変動すること。2つめは分散型のため配送電系の設備
維持のコスト負担配分をどうするかの問題と、需要量の変動との調整であり、究極的には、地産地消まで
の過渡的制度の変遷だが、ベース電源論議と大きくかかわる。家庭レベルで考えれば、百パーセントの自
給自足かあるいは電力供給先の選択ということになるが、そのいつの現れが四国電力の3「0日等出力制
御枠」の到達し、太陽光は無制限・無無補償である。そして、それは太陽光発電と蓄電の技術革新により
制度も変容していく。
【イネの遺伝子を使ってポプラの木質を増強】
地球温暖化の抑制に、枯渇する化石燃料の代替の植物由来の燃料や材料の開発が進められているが、植物
由来バイオエタノールやバイオマテリアルは、食糧生産との競合問題になり、食糧とことなる木質を原料
とした第二世代のバイオエタノールやバイオマテリアルの開発が急がれていたが、産総研(産業総合技術
研究所)はこのほど、イネの遺伝子を使ってポプラの木質を増強開発に成功(Jan 27th, 2016)。植物の木
質生産性の向上は重要な課題の一つであるが、これまで木質生産を増強しようとすると植物の成長に悪影
響が生じるといった問題があるが、植物の成長を阻害せずに木質生産性を向上させることができるとのこ
と。
【DNA情報からトマトの甘さや収量を高精度に予測】
このの技術は、シロイヌナズナの木質生産を制御するNST1転写因子と NST3転写因子の相同遺伝子のイネ
の木質生産を制御するOsSWN1転写因子が木質生産を活性化できる。その遺伝子をポプラの繊維細胞で発
現するが、イネのOsSWN1遺伝子を繊維細胞で発現させるので、シロイヌナズナのNST3遺伝子の植物体内
での発現部位決定する領域(プロモーター)を使用。NST3転写因子遺伝子は繊維細胞で発現し、そのプロ
モーターは繊維細胞での遺伝子発現を誘導。これらを組み合わせた遺伝子構造(上図)を、シロイヌナズ
ナに導入(遺伝子組換え)したところ、位でも木質生産が見られ、木質が過剰蓄積することを発見。一方
比較対照としてOsSWN1転写因子のかわりにシロイヌナズナが本来持つNST3転写因子を用いた場合、その
ような現象はほとんど見られない。次にこの遺伝子構造の中のイネOsSWN1遺伝子に、転写因子の活性を強
化する領域(VP16)を付加して、ポプラに導入(遺伝子組換え)すると、約115センチメートルの幼植
物ではシロイヌナズナと同様に木質生産できる。本来木質生産が起きる繊維細胞では、組換えポプラでは
木質がより厚く蓄積していた。
この成果から今後は、光合成能力の強化など他のバイオマス生産向上技術と組み合わせ、生産量増加を目
指すほか、増強された木質中のリグニンを改変し、加工性や糖の抽出量の向上を目指す。また、ポプラだ
けでなく、ユーカリやアカシアなどの樹木への今回の技術の適用を検討し、30年を目途に木質由来バイ
オエタノールの生産効率を50%%向上、全世界で栽培する木質生産用植物の20%にこの技術を適用し
年間約4千万トンのC二酸化炭素排出削減を目指すとのこと。
農研機構は、甘いトマトは収量が少ない傾向があり、甘くて収量も多いトマト品種の育成は困難とされて
いたが農業DNA情報からトマトの甘さや収量を高精度に予測する手法を開発した(2016.1.21)。この予測
手法を応用したコンピューターシミュレーションから、甘くて収量も多いトマトの育成が可能なことが予
測でき、この手法を用い甘くて収量も多いトマト品種を、効率的かつ短期間に育成することが可能となる。
【
【シリコンフォトニクスの画期的な光入出力技術】
これも産総研の研究成果の話。通常、シリコン光配線はウェハ面内に形成される。今回の開発では、シリ
コン光配線の先端をイオン注入によりウェハ面に対して垂直方向に立体湾曲加工して、ウェハ面に垂直な
方向から光集積回路へ光入出力できるようにする。曲げ半径を3μmまで小型化でき、実用化への見通しが
得られたという。表面垂直方向から近接させた光ファイバーとの光結合損失特性は2デシベル(dB)程度
と高効率であり、波長依存性・入射角度依存性・偏光依存性も小さく、従来表面光結合の主流技術であっ
た回折格子型光結合器とは動作原理が異なる画期的な光結合素子。データセンター内外の短中距離大容量
光通信や半導体チップ間信号伝送などの光インターコネクションへの応用が期待される。
今回のシリコン光配線の立体湾曲加工では、まずシリコン光配線の先端部の周囲の石英ガラスクラッド材
料を除去しシリコン材料を露出させた片持ち梁(はり)構造を形成した(下図1a)。次にこの構造にイオ
ン注入を行い立体湾曲加工した(図1b)。イオンの種類、加速エネルギー、注入量で曲げ加工量を制御で
きるが、今回は従来に比べて注入量を大きくして曲げ半径約3 μmという小型構造を実現した(図1c)。そ
の後、さらに石英ガラスクラッド材料をこの構造の上に製膜して立体湾曲光結合器を完成させている。
シリコン光回路の入出力端にこの立体湾曲光結合器を形成したテストチップを試作し、表面垂直方向から
接近させた光ファイバーと光結合させて性能を評価した。その結果、光結合損失値が最小で約2dBという
高効率の光結合が、1535ナノメータから1610ナノメータの広い波長領域でほぼフラットな波長特性で得られるこ
とを確認(図2)。さらに入射角度依存性と偏光依存性も小さいことが確認でいる。今回開発した技術は
ウェハ段階での検査用途に直ちに応用可能な特性を持っている。特に波長依存性、偏光依存性、入射角度
依存性が小さいという特性は、検査技術の機構的許容度を大幅に増すので、検査用途から実用化を目指す。
【半導体レーザーでマイクロキャパシター】
東北大学は16年1月26日、青紫色半導体レーザーを用いて高分子フィルム上に微細なカーボン電極構
造を直接描画することで、平面構造で高性能なフレキシブルマイクロスーパーキャパシターを実現したと発表した。
同大学では、「安価なカーボン材料による平面型スーパーキャパシターとしては世界最高の静電容量を有
する」としている。これにより平面型マイクロスーパーキャパシター(電気二重層キャパシター)は、小
型で低コスト、高エネルギー効率な青紫色半導体レーザーを用いた描画によって、フレキシブルな高分子
フィルム平面上に集積化して形成できる。そのため、ウェアラブル・フレキシブル電子デバイスなどの電
源用途の応用が期待されるという。
スーパーキャパシターは、通常、2つの電極による積層構造となるが、平面型では 2つの微細なくし形の
電極が、平面上で向かい合った構造となる。そのため、積層型の従来スーパーキャパシターよりも平面型
は薄く、フレキシブルで、同一平面内に多数の微細なキャパシターを集積できる特長を持つ。平面型スー
パーキャパシターの作製は、これまで感光性の材料を用いたフォトリソグラフィー法が用いられてきた。
ただ、フォトリソグラフィー法は、複数の製造プロセスが不必要。それに対し、レーザー直接描画法は、
レーザー光を照射した場所に対し、選択的に一段階でカーボン電極構造を形成できる。そのため、平面型
スーパーキャパシタの低コスト量産技術構築につながる。
● 半導体レーザーで描画装置を小型化
レーザー直接描画法を用いる場合、これまでは炭酸ガスレーザーなど比較的大掛かりな装置が必要になっ
ている。これに対し、同グループは、より小型でエネルギー消費の少ないレーザー描画装置の開発を行っ
てきた。その中で、今回、数センチ角という比較的小さな青紫色半導体レーザー(発振波長405nm)を
用いたレーザー直接描画装置を新たに開発し適用。フレキシブルなポリイミドフィルム上へのマイクロキ
ャパシタ構造の形成条件を最適化して、35ナノファラディ/平方センチメートルの静電容量を持つ平面
型マイクロスーパーキャパシターを実現した。35mF/cm2という静電容量は、従来までの最高値の2倍以上
だというという。
● 短波長光で、カーボン層の表面積拡大
性能が向上した理由について、炭酸ガスレーザー光は10ミクロン付近の赤外線であるのに対し、青紫色
半導体レーザー光は405ナノメータとより短波長の光であり、レーザー光を照射するポリイミドフィル
ムでの吸収効率が高いことが挙げられる」と説明。より短波長の光により、特異な多孔質構造で表面積の
大きなカーボン層が形成され、スーパーキャパシターの静電容量の向上につながったとみられている。わ
たしもこの手の実験は行っていたが、まさか半導体レーザーのスクラッブで、フレキシブル薄膜太陽電池
の制作試験は行ったことがあるが、平面キャパシターを量産化するなどとは考えもしなかった。これは面白
い。
関西電力、高浜原発3号機を再稼働 3年11カ月ぶり、朝日新聞デジタル(上捨身クリック)