相手の弱みをにぎったとおもったときが、じつはいちばん隙ができる機会で、危ないときである
吉本 隆明
Takaaki Yoshimoto 25 Nov, 1924-16 Mar, 2012
フィンランドのボルター社製の小型ウッドガス発電機が秋田で稼働する。フィンランド土木協会は
10年に同国内の「独立エネルギー・エコビレッジ建設事業」向けに導入、11年に完成、余剰電
気はオウル電力社に送電してきた実績がある。今回、話題となっているのは、北秋田市で屋内にこ
の小型ユニットを道の駅に設置して、電力と熱を自給自足する。木質チップを燃焼しガス化させ発
電。発電能力は40キロワット、同時に20~百キロワット相当の熱を供給する。秋田県の北部に
広がる北秋田市は面積の83%がスギの森林が占め。その多くは伐採した後の残材が大量に放置さ
れており未利用の資源を利用する。
導入するバイオマス発電設備はフィンランドのボルター社が開発した製品だ。日本国内では3月4
日に、再生可能エネルギーの発電事業を手がける電現ソリューションが製品名「Volter 40」で発売
する。一見してバイオマス発電設備の外観は、洗練された北欧デザインとなっている。そのサイズ
は長さ4.8メートル、幅1.2メートル、高さ2.5メートル、重さ4.5トンある。設置場所はコ
ンクリートのフロア設置。工場組み立てユニットを設置するだけと短期期間導入できる。
「Volter 40」の内部には木質チップを燃焼してガスを発生させる装置のほか、ガスエンジン発電機
や熱回収装置などを収容。自動運転の機能を備え、ユニットの側面にあるコントロールパネルのほ
かに、インターネット経由で遠隔から操作も可能。発電能力は40キロワットで、1年間に780
0時間(24時間運転×325日)稼働でき、年間の発電量は最大で31万2千キロワット時、一
般家庭の使用量(年間3600キロワット時)換算すると87世帯分に相当。さらに回収した熱か
ら85℃の温水を作ると電力に換算して百キロワット相当、空調に利用する場合には20キロワッ
ト相当。電力と熱を合わせたエネルギー効率は78%で、都市ガスを利用する一般的なコージェネ
レーション(熱電併給)システムと同等の水準だという。
※ Combined Heat and Power (CHP):熱電併給システム
燃料に使う木質チップは6.3センチメートル以下の大きさのもので、水分量は15%以下に抑え
る必要がある。1時間あたり38キログラム(年間に320トン)の木質チップを消費する。北秋
田市では間伐材や林地残材などが年間に2700トンも発生している。この全量を使うと、6台の
「Volter 40」をフル稼働させることが可能。
すでに国内1号機を市内の「道の駅たかのす」に設置することが決まっている。道の駅で消費する
電力と熱を供給する計画で、地域の木質バイオマス資源を使ってエネルギーを地産地消する取り組
みになる。さらにVolter Japanの本社工場にも2号機を設置して、北秋田市を拠点に全国各地に導入
事例を拡大していくということである。
米国の特許から2件。2件とも技術研究報告書のような内容になっており、こ
れもビックデーターと人工知能の情報技術を総動員し包括的網羅しようとする
意志が感じ取れるが、反面、新規性が暈かされている。さて、1つめは、JP
タブラトリーズ社の「特開2016-028238 ナノ構造の変形、破壊、および変換に
基づくモニタリング装置およびモニタリング方法」。
JP 2016-28238 A 2016.2.25
● 要約
基板53上にナノ構造体であるナノワイヤ51および端子54を有する2つの
の電極52からなるデバイスで構成される。ナノ構造体の特性は、その周辺環
境(エネルギー、電磁放射線、圧力、磁性など)の変化よって、ナノ構造サイ
ズなどが減少など、その特性に急激な変化が起こるので、端子54を介して分
析機器でナノ構造体の特性変化を検知し、その特性変化に基づき、周辺環境変
化をモニタリングすることで、ナノ構造の物理的破壊、化学的破壊、および生
物学的破壊に基づくデバイスを提供するというもの(下図)。
問題は、と言うかここからが振るっている。ナノ工学や量子工学に疎いひとに
も、下図のように「量子ドット」の入門書にのように掲載されていることであ
る。面倒くさいが熟っくりと目を通してみると結構面白い。新しい時代が、事
業が動き新しい社会分野が誕生していることを感得していただければ幸甚の次
第。
2つめは、ナノシス・インク社の「特開2016-028152 ナノ構造の分散のための
官能基を有するマトリックス」。前記、特許のごとくここでも、「ナノ半導体
結晶の構造×機能マトリクス入門書」の趣がする特許である。
JP 2016-28152 A 2016.2.25
● 要約
特定の実施形態において、これらの半導体ナノ結晶は、特定波長の光を吸収ま
たは放射するようにサイズおよび組成を有する。これらのナノ結晶には、最小
部分の光がこれらのマトリックスにより散乱されるように、重合体類を含む種
々なマトリックス物質との混合を可能にする配位子が含まれ得る。これらのマ
トリックスを、任意に、これらの配位子から作る。本発明のマトリックスは、
屈折率適合用途において利用することもできる。他の実施形態において、半導
体ナノ結晶はマトリックス内に埋め込まれ、ナノ結晶密度勾配を形成し、それ
ゆえに、有効屈折率勾配を作る。本発明のマトリックスは、光学素子上のフィ
ルターおよび反射防止コーティングとして、ならびに低周波数変換層としても
使用することができる。半導体ナノ結晶を含むマトリックスを生成するプロセ
スも提供する。Ⅱ~Ⅵ族のシェルを用いてリン化インジウムナノ構造およびコ
アシェルナノ構造を生成する方法、ならびに高量子効率で小規模の、および、
または、狭いサイズ分布を有するナノ構造についても記載し、半導体ナノ結晶
を添加したマトリックスを提供する。