「天下の人を悪みて人を賊する者を分名せんに、兼か別か、すなわち必ず別なりと曰わん」
「これ、言うて兼を非とし、択べば兼を取る。すなわちこれ言行払(もと)るなり」
「万方(ばんぼう)罪あらば朕が身に当たる、朕が身罪あるも、万方に及ぼすことなかれ」
「言として讐いざるはなく、徳として報いざるはなし、われに投ずるに桃をもってせば、
これに報ゆるに李(すもも)をもってせん」
墨子 『兼愛』
※ ひとをみな。"われ"と思い、差別するな。たがいに相手を認めあえ。それが混乱を救う唯
一の道だ、と墨子はいう。。”そんなあまいことで……”という批判にたいし、墨子は反
論をたたみかける。「非攻」と表裏をなす代表的論文である。単に"人材を尊べ"という徳
目ではない。能力よりも縁故や情実がものをいう社会を、墨子は反論をたたみかける。
「非攻」と表裏をなす代表的論文である。
※ 兼愛と別愛 「兼」には、分かれている者を一つに合するという意味がある。「別」はそ
の反対である。墨子の時代には、周代の政治秩序をよりどころにした「封建」制度はすで
に没落解体の途上にあったが、まだ遺制としてかなり根強く生き残っており、世襲的な貴
族の身分制、つまり「別」(差別構造)が社会進歩のガンになっていた。墨子は、こうい
う血族の制約をのりこえて、身分差のない「兼」(共同体)の社会をつくる必要があると
説くのである。
【中国の思想: 墨子Ⅴ】
公輸――墨子と戦争技術者
尚賢――人の能力を正当に評価せよ
兼愛――ひとを差別するな
非攻――非戦論
節葬――葬儀を簡略にせよ
非楽――音楽の害悪
非命――宿命論に反対する
非儒――儒家批判
親士――人材尊重
所染――何に染まるか
七患――君子の誤り七つ
耕柱――弟子たちとの対話
貴義――義を貴しとなす
公孟――儒者との対話
《解説》以上は「兼愛・下」を訳した。
墨子の文体は、どちらかといえば泥くさい。『老子』の文体などに典型的に示されるように、中国古典の
文章は、一般に、表現の簡潔を尊び、論理的な手続きを賠して飛躍する傾向があるが、墨子の文体にはそ
ういう特色はみられない。かれはひとつの原理をあらゆる角度から説明し、くどいまでに一歩一歩論理を
積みあげていく。委曲を尽くそうとして、かえってくり返しに終わっている場合もあるほどである。技術
者出身であり、民衆のなかに終始したことが、その語り口、文体にも反映しているとみることができよう。
「兼愛」は字づらから想像されるような”あまいもの”ではない。根底に流れるものは、救世への気味で
ある。時に世は戦国時代、封建領主間の対立抗争は激化し、戦乱があいついで起こっていた。国と国とが
戦争を起こしたばかりでなく、卿大夫間にもたえず紛争が起きていた。
戦争で苦しひのは、きまって民衆である。かれらは、兵役にかり出され、略奪にあい、家や田畑を焼か
れ、一家離散の憂き目にあった。墨子の「兼愛」思想は、こういう民衆の苦しみのなかからうまれたもの
である。キリストが、貧しい圧迫されたナザレの大工の子であったように、墨子もまた悲惨に耐えてきた
工匠の子であった。
したがって、墨子のいう「兼愛」は、慈善や博愛とは、まったくおもむきを異にする。かれは、現実を
美化しようとするのではない。「兼愛」によってのみ「万民の大利」がはかれるという、広い意味での実
利主義から発しているのである。
「兼愛交利」――人類が平等に愛し合い、お互いの利益のために尽くすという思想はまた、「汝の敵を愛
せよ」というキリストの教え、また、[かれはわれのうちにあり、われはかれのうちにあり」とする古代
インドの宗教と、一脈通じるものがある。「別は非なり」と、墨子は喝破したが、キリストが人みな平等
の"神の国"を説いたように、墨子もまた身分差のない「兼」の社会を夢みたのである。
【ミッドナイトのカーヴァー】
隣 家
その女はパイでもいかがと僕らを家に招いて御亭主の
話を始めた。昔は御亭主もこの家に一緒に
住んでいたのだけれど、車にのせられて療善所に運ばれた。主人ったら
この立派な樫村の天井に
ちゃちな断熱材を貼ろうとしたんですよ、と女は言う。それが
何かが変だという最初の徴候でしてね、そのあとすぐ
卒中の発作でしょう。今じゃ植物人間。まあそれはそれとして
次は息子。猟場番人がうちの息子の耳に
ピストルの銃身つっこんで、
撃ち金を起こしたんです。でも息子はそんな間違ったことなんか
しちゃいませんし、猟場番人はあの子にとっちゃ叔父にあたるんですよ
ひどい話じゃありませんか?
そんなわけでみんな仲たがい。誰も彼も
順に血がのぼってしまい、昨今はろくに
口もきかないという有り様。この大きな骨は
息子が河口で拾ってきたものです。
人間の骨でしょうかね? 腕の骨とか
その類いのものかしら? 彼女はその骨を窓のところに戻す。
花を盛った鉢のとなりに。
娘は一日じゆう部屋に閉じこもって
自分の自殺未遂についての詩を書きつづけています。
そんなわけで娘をお目にかけられませんの。あの子
もう誰にも会おうとしやしません。書いた詩をびりびり破いて
また頭から書き直しているんです。でもそのうち
ちゃんと書き上げるかもしれませんね。ねえ、信じられますか、
車が魚釣りするなんて? おとなりの庭に
放り出してあるまるで霊柩車みたいな
Next door
【トナショナルトレッキング構想: レッキング力の5箇条】
自分の体力、技術、経験を過信せす、計画段階から念入りな努力をする。 機会かあれ.ほとりあえず出かける、というのも間違ってはいない。だが、それは安全度が高い山だけにすべきだ。あまりな
じみのない山ならば事前調査怠らず、いざというときに自分の力で対処できるという自信と充分な情
報を持ってから、トレッキングに向かうように心がける。歩く山に関する地名などは、スラスラ出て
くるように覚えよう。実際に歩いているときにトレッカー同士で正確な情報交換かできるようになり、
危険情報も速やかに頭に入る。 だが、ほんのちょっとたけ、「冒険」もしてみる。自分の実力とりも著しく離れた山を選ふと、もし
ものときには即、遭難の恐れかある。さすがにそれは避けるべきだか、気楽なトレッキングばかり続
けていると、上達の速度が遅くなる。今まで山小屋泊まりだった人は、同じ場所でテント泊に挑戦し
てみるのもいい。たとえ豪雨にあったとしても、そのときは小屋泊まりにチェンジすればいいのだ
から、安全な冒険だろう。 てきるたけ数多く、実際に山へと向かう。毎回念入りな計画を立てるのは大変だが、「回数」をこな
すことによって、自分好みのトレッキングスタイルが見えてくる。標高が高い岩山が面自いと思って
いたのに何かの拍子に緑が深い低山が好きになってしまうこともあるだろう。また人間の体には筋力
や歩幅に差があり、疲労度の少ない歩き方を覚えるには、慣れた人の真似をしても自分には合わない
場合も多い。自分にとってラクな歩きの「型」を見つける最短距離は、とにかくたくさん歩いてみる
ことに尽きるのだ。 自分のトレッキング道具の便い方を、しっかり覚える。どんなに優れた道具でも、使い方を間遺えて
いては、充分な機能を発揮しない。例えば、最近ではトレッキングポールを持つ人が増えたが、正し
い使い方をしている人は、半分にも満たない。バックバックのフィッティングもキチンとしていない
と、体が痛むばかりだ。説明書を読み、あとは経験を積みなから、効果的な使用法をマスターしよう。
道具に慣れれば慣れるだけ、トレッキングはラクになる。 グルーフ行動でも、「ひとりで歩いている」とイメージし、状況を考えてみる。 集団でいると、判
断を誰かに任せがちになる。もちろん集団行動ではリーダーの決定に従うべきだが、「自分ならばど
うするか」を常に意識しておくと、トラブルか起きたときや、いつかひとりで山に入るときのイメー
ジトレーニングになり、安全に対する判断力か増す。また周囲のトレッカーの行勣にも注意しよう。
見習うべき人には教えを請いたいが、反面教師も多いはずだ。
ナショナルトレッキング構想のなかには、野外料理やテント野営で天才観察やご来光を拝む楽しみなど、ハ
イク&フライだけでなくキャンピングも楽しい。文学に造詣の深いトレッカーなら、休憩中に宮沢賢治の「
春と修羅」の詩を朗読し、仲間に披露するのも、あるいは、仲間とマスゲームに興じるもの楽しい。、
わたくしといふ現象は
仮定された有機交流電燈の
ひとつの青い照明です
(あらゆる透明な幽霊の複合体)
風景やみんなといつしよに
せはしくせはしく明滅しながら
いかにもたしかにともりつづける
因果交流電燈の
ひとつの青い照明です
(ひかりはたもち その電燈は失はれ)
―― 中略 ――
おそらくこれから二千年もたつたころは
それ相当のちがつた地質学が流用され
相当した証拠もまた次次過去から現出し
みんなは二千年ぐらゐ前には
青ぞらいつぱいの無色な孔雀が居たとおもひ
新進の大学士たちは気圏のいちばんの上層
きらびやかな氷窒素のあたりから
すてきな化石を発掘したり
あるいは白堊紀砂岩の層面に
透明な人類の巨大な足跡を
発見するかもしれません
すべてこれらの命題は
心象や時間それ自身の性質として
第四次延長のなかで主張されます
宮沢賢治 『春と修羅』
【量子ドット電子革命 Ⅳ:癌医療に展開する量子ドット】
がんは、全年齢の人に影響し得るクラスの疾患で。患者におけるがんを処置・診断療法に、体内でのナノキ
ャリアの標的化送達が、薬物送達技法・画像診断技法の潜在的な新しい手法として話題となっている。残念
ながら、がんを有効に処置・診断できるナノキャリアベース生成物を作製には障害が依然と存在し、がんを
処置・診断し、患者の個別化ケア促進方法の提供できる新しい標的化送達法が必要とされている。
この標的化送達用組成物(targeted delivery composition)に被験体におけるがん状態などの疾患状態の処置・
診断の使用方法を提供が提案されている。下図の発明では、この標的化送達用組成物が、治療剤、診断剤、
これらの組合せを含むナノキャリア、および式:A-[(EG)(P)]n-Tを有するコンジュゲートを
含み、ナノキャリアおよびコンジュゲートが記載されている。この標的化送達用組成物は、式:(DT)-
[(EG)(P)]m-Tを有するコンジュゲートを含み詳細に記載している。
この標的化送達用組成物と組成物の作製・使用法は、薬物送達・画像診断分野――例えば、標的化送達用組
成物は、別々の数のモノマーの合成できる連結基を含み、特定の長さ・化学的特性をもつよう調整でき、こ
の完全にカスタマイズ化されたモノマーで、1つのタイプのみのモノマーや任意の順序で複数のタイプのモ
ノマーに調製可能だ。この連結基は、単純な自動合成を固相支持体上で合成もできき、連結基に加え標的化
送達用組成物が、通常の投与量で投与された場合に、他の点で患者に毒性となり得る作用物質をより低い用
量で利用することで疾患をより有効に処置――に使用できる。
開示されている、ナノキャリアを含む標的化送達用組成物――(a)治療剤もしくは診断剤またはこれらの
組合せを含むナノキャリアと、(b)式:A-[(EG)(P)]n-Tを有するコンジュゲートであって、
式中、Aは、上記コンジュゲートを上記ナノキャリアに結合させるための結合成分であり、[(EG)(P)
]nは連結基であり(式中、下付き文字のnは、1~約40の整数であり、各EGは、トリエチレングリコ
ール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレ
ングリコール、およびオクタエチレングリコールからなる群から独立して選択され、Pは、ホスフェートお
よびチオホスフェートからなる群から独立して選択される)、および、Tはターゲティング剤であるコンジ
ュゲートとを含む――のナノキャリア特性は、例えば、サイズは、上記ナノキャリアのタイプ・用途・技術
分野で一般に周知の他の要因に依存。適当な粒子は、球体、スフェロイド、平型、板形状、管、立方体、直
平行六面体、長円形、楕円、円柱、円錐体、角錐とすることができる。適当なナノキャリアは、約1nm~
約千nm、約10nm~約2百nm、および約 50nm~約150nmの最大寸法(例えば、直径)のサイズの範
囲と規定する。
さらに、ナノキャリアには様々な材料で作製でき、脂質、ポリマー、シリカ、金、酸化鉄などの金属材料な
どを含め、1つの物質または様々な物質の任意の組合せを含み、リポソーム、ミセル、リポタンパク質、脂
質被覆バブル、ブロックコポリマーミセル、ポリマーソーム、ニオソーム、酸化鉄粒子、金粒子、シリカ粒
子、デンドリマー、または量子ドット――セレン化カドミウム、硫化カドミウム、ヒ化インジウム、リン化
インジウムなどを含めた半導体材料などのを挙げることができるとしている。
さすが、カドニウムやインジウムなどと聞けば退いてしまうところがあるが用法・用量次第ということで体
を正すことに。以上、医療分野にも量子ドットの適用新規考案を参考掲載した。