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ペロブスカイト型が注目される理由

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         国家なんてなくても民衆はちゃんと生きていけるんですよ。
        国家が滅んだら、その国の民衆も滅んじゃうか、死んじゃうかといえば、
                そんなことはありません。

                                                                                           
                              Takaaki Yoshimoto 25 Nov, 1924 - 16 Mar, 2012          

 

● モンゴル初のメガソーラーが建設へ

シャープらはモンゴル初のメガソーラー事業に参画する。16年7月下旬に着工し同年12月に商業
運転を開始する予定だという。 新たに建設する太陽光発電所は、モンゴル国(通称モンゴル)ダル
ハン市の敷地29万1千平方メートルに建設、出力規模(モジュール容量)は10メガワット、年間
予測発電量は約1万4182メガワット時。想定される温室効果ガス排出削減量は年間で約1万47
46トン(CO2換算)としている。

シャープの太陽光発電に関する技術やノウハウを導入することで、エネルギー源を主として石炭に依
存するモンゴル国にクリーンなエネルギーを供給し、温室効果ガス排出量の削減に貢献する。加えて、
二国間クレジット制度により、日本の温室効果ガス排出量削減目標の達成にも貢献する。シャープは、
太陽電池モジュールや架台、インバーターなどの周辺機器の供給に加え、発電所の設計やエンジニア
リングを行う。重光商事は、日本での太陽光発電所運営のノウハウを生かし、本発電所の共同事業経
営を今後25年にわたり支援していく。 



【ストップ・ザ・温暖化:へーリオスの快走 Ⅱ】 

● 結晶材料のナノスケールの山と谷に隠された変換効率

周知の通り、ハイブリッド型ペロブスカイト太陽光電池の研究開発は、09年の宮坂力桐蔭横浜大学
教授らのチームによりスタート。その変換効率の直近のレコードでは22.1%――セル変換効率で
の最高値は韓国化学研究所(KRICT)と韓国の蔚山科学技術大学校(UNIST)が開発、但し、セル面
積は0.1平方センチメートルと非常に小さいが、EPFL Laboratory of Photonics and Interfaces、Professor
of Physical ChemistryのMichael Graetzelの研究チームがSDカード大と比較的大きな寸法のセルで20
%を超えるセルを開発している(ブログ「ストップ・ザ・温暖化:へーリオスの快走 Ⅰ」2016.06.12)。
また、製造コストの廉価な技術開発も同時並行し進捗してきている(ブログ「ペロブスカイト太陽電
池製造技術:塗布型太陽電池向け材料、変換効率18%超」2016.05.18)。

ペロブスカイト太陽電池とは 

『ペロブスカイト太陽電池』と称する特殊な結晶構造を持つもので、現在主流のシリコン系に比べ、
格段に安く太陽電池を作れる。炭素などの有機物、鉛などの金属、ヨウ化物や塩化物といったハロゲ
ン化物で構成する“有機無機ハイブリッド型”簡単に製作でき、高い発電効率が得られることで注目
される。シリコン系に必要な高温加熱や高真空プロセスが要らず、基板の上で多孔質の酸化チタンに
溶液を塗布して乾かすだけで作製できる。1平方メートル当たり150円程度の原材料を塗るだけで
発電できる特徴がある。そもそも『ペロブスカイト太陽電池』は09年に桐蔭横浜大学 宮坂力教授ら
のチームがペロブスカイト結晶の薄膜を発電部に使用、太陽電池として動作することを突き止る。当
初は発電効率が低く注目されなかったが、12年に米科学誌『サイエンス』の“10.9%”の発電効
率を実現したニュースことで注目を浴びる。  

その後、世界各国から高効率化したとの成果が次々と発表され、14年にシリコン系と比べてもヒケ
を取らない約20%の変換効率を達成。物質・材料研究機構(NIMS)の開発チームがペ、ロブスカイ
ト太陽電池の製造プロセスで製品バラつき原因の水分や酸素を排除することで、理想的な半導体特性
を実現。また東京大学の瀬川浩司教授は壁や人が発する赤外光を吸収して発電する“色素増感型”太
陽電池を『ペロブスカイト太陽電池』と組合わせることで、シリコン系を超える発電効率の高い太陽
電池の開発に成功。『ペロブスカイト太陽電池』は今や世界中が注目、日本発の画期的な発明(もう
1つのノーベル賞候補)である。

さらに、ペロブスカイト材料の特性を理解することは、太陽電池の耐用年数を延ばし、品質を向上に
欠かせないが、沖縄科学技術大学院大学のヤビン・チー准教授らのグループは、この有機‐無機ペロ
ブスカイト材料の原子間力顕微鏡の分解能について世界に先駆けて調べ、その成果を米国化学会誌
(Journal of the American Chemical Society)に発表している(ブログ「ペロブスカイト結晶構成する原
子を視覚化」2016.01.13)。

昨年末8日には、科学技術振興機構と京都大学の研究グループが、電池の不安定性を改善し、理論限
界への設計指針を発表。材料となる溶液を印刷することで容易に作製でき、製造コストを大幅に低減
する決め手は、「トラップの密度を一定以下に減ず」ことで、それによると電流が発生する効率は、
ほぼ百%で、電圧も理論限界に漸近――ペロブスカイト結晶の粒径が大きくなるほど、短絡電流密度
(JSC)、開放電圧(VOC)、曲線因子(FF)のいずれも大きな値を示し、エネルギー変換効率は、
粒径が最も大きな5百ナノメートルの時に、世界最高レベルの19.4%を示す―――まで向上する可
能があるという(ブログ「ペロブスカイト太陽電池の安定性を改善、結晶シリコン波の効率に道」20
15.12.13)。


この変化を英国メーカーのOssilaが制作した下のグラフを参照すると急激な変化がわかる。ここで、
高変換効率の太陽電池が競合する中で、このブログで昨年末に掲げた『テッペンを取りに行く!』、
つまり、「変換効率30%超」のターゲットにこのハイブリッド型ペロブスカイト太陽電池が突如、
ダーク・ホースが登場する。



今月4日、米国はローレンス・バークレー国立研究所の研究チームが、ペロブスカイトの結晶構造を
細かく分析し、結晶面により変換効率が大きく違うことを突き止る。部分的な結晶面により理論上の
最大値である31%近くの効率を達成することを突き止め。科学誌「Nature Energy」に論文を発表す
る。

  doi:10.1038/nenergy.2016.93

※ 原子間力(走査型プローブ)顕微鏡の分解能 10ナノメートル

ちなみに現在大量生産されているシリコン太陽電池の変換効率は17%から20%ほど。もしもペロ
ブスカイトの結晶方位を精密に制御きれば「ペロブスカイトの理論上の効率限界に達することも可能
かもしれない」と画像解析担当したDavid Ginger 教授はが語っているが、結晶材料のナノスケールの
山と谷に隠されたペロブスカイト型太陽電池の効率を高める秘密の発見は、「量子ドット太陽電池の
製造技術」と共通するナノテクノロジー(「ネオコン創業論」)課題でもあるが、ペロブスカイト型
も30%超時代に突入する日も案外早く来るのかもしれない。 

 Dip-pen nanolithography / Wikipedia

 

  


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