アメリカのように若くして成功した人を気持ちよく褒め称えるような
風土が欲しいですね。そうでないとチャレンジしようという若者が続
かないので、わが国の永続的発展に寄与しません。
孫 正義
テスラモーターズが7人乗りの電気自動車を日本で販売開始。バッテリーの容量が60~100
キロワットアワーの4種類あり、航続距離は最長542キロメートルとなる。従来の5人乗りの
モデルと同様に前輪と後輪にモーターを搭載して全輪駆動で走行する。価格は895万円からで、
国の補助金適用する見込み。テスラモーターズが日本国内で9月12日から、7人乗りSUV(ス
ポーツ・ユーティリティ・ビークル)の「Tesla Model X」の販売を開始(上写真)。これまで商
用車では日産自動車の「e-NV200ワゴン」に7人乗りの車種があったが、乗用車では初めて7人
乗りの電気自動車が市販される。米国では15年9月からModel Xを販売中。ステラの戦略は電気
自動車(モータ+バッテリー複合技術)の高品質化(価格は量産化で逓減)で他社を先行にある。
今回のモデルの最大の特徴は、航続距離が日産リーフの約2倍という点。Tesla Model Xにはバッテ
リーの容量が60kWhキ(ロワット時)、75kWh、90kWh、100kWhの4種類のモデルがある。
100kWhを搭載したモデルの航続距離は642キロメートル。日産自動車の5人乗り電気自動車
「日産リーフ」の最新モデルが30kWhのバッテリーを搭載して航続距離が280kmであ。単純比
較で約2倍。テスラモーターズのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)は電気自動車の優位性
から、トヨタ自動車などの燃料電池車に対抗する姿勢を鮮明にしており、住宅用太陽光発電と蓄電
事業にも投資拡大を続けており、ここでの戦略を「住宅のオール電化との複合技術とその拡張」を
見据る。つまり「拡張オール電化時代」のパイオニアを狙っているように看える。
【百パーセント再エネ時代の此岸】
● 平面集光型太陽光発電工学
9月15日の残件、スイスのインソライト(Insolight)社の集光型太陽光パネルで36.4%の変換
効率を達成を受けを調べみたものの思いの外手間取る。その前に平面集光型太陽電池方式のお復習
いをし、インソライト社の知財構成を考え、高変換効率フラットソーラの実用化を展望する。
まず、太陽電池は、(1)集光型と(2)非集光型に大別される。これらの内、集光型太陽電池は
太陽光を集光器(solar concentrator)で集光し、集光された光を太陽電池セルに照射することにより
発電。(1)集光型太陽電池は、(2)非集光型に比べ高い変換効率が得られるという利点がある
が、集光型太陽電池は、直達光(direct light)を集光器に照射する必要があり、拡散光(diffuse light)
を集光器に照射してもほとんど発電しない。また、太陽光の追尾装置(tracking system)が必要とな
り、システムが高コスト、複雑、かつ、かさ高くなる。そのため、従来の集光型太陽電池を都市環
境で使用するのは困難というのが特徴。そこで、最近は蛍光集光器(Luminescent solar concentrator)
が提案されている(下図参照)。「蛍光集光器」とは、導光板(wave-guiding plate)に蛍光材料を
埋め込んだものである。蛍光集光器に光が入射すると、蛍光材料が光を吸収し、吸収波長よりも長
い波長の光を放出する。放出された光の大部分は、導光板内で全反射を繰り返す。そのため、導光
板の端面に光電変換素子を装荷すれば、全反射した蛍光をセルの受光面に照射する。
特開2016-157716 蛍光集光発電モジュール 株式会社豊田中央研究所
このように、蛍光集光器は、直達光だけでなく拡散光も発電に利用でき、追尾装置も不要。また、
蛍光集光器は、色彩や形状の選択の自由度が大きいため、蛍光集光器を建物の壁面に設置すること
つまり、蛍光集光器を用いて建物一体型太陽電池(Building Integrated Photovoltaics)の構築も容易と
なる。
太陽光発電の欠点の一つは、日射量の変動に伴い出力が変化する。雨天、曇天のような一日単位の
変動に対し、詳細精密な天候予測に基づく発電計画と、広い範囲の地域にわたる発電システムのネ
ットワーク化により対応することができる。また、時間単位の変動に対しては、固体高分子型燃料
電池などの起動時間が短い発電装置を用い出力変動を抑制できる。一方、太陽が一時的に雲に隠れ
ることによる秒~分単位の日射変動に対し、発電装置の出力調整では応答できない。このため、2
次電池、例えばNaS電池の充放電による対応が必要となり、2次電池の価格、重量及び体積に問
題があり発電単価を押し上げる要因となる。
上図の蛍光集光発電モジュールは、光の強度が変動する外部光源から放出される光を1種、2種以
上の蓄光材料で蓄光し、この材料から放出される蛍光を集光するための蛍光集光器から放出される
蛍光を受光し、電力変換する光電変換素子を備える、蓄光材料の発光寿命τは、5Tf(但し、Tf
は、外部光源からの光の強度の変動に要する時間)以上が好ましく、外部光源の放出光の強度が秒
~分単位で変動する場合も、2次電池を用いることなく、光電変換素子の出力変動を抑制すること
が可能な蛍光集光発電モジュールが公開されている。
Sep. 15, 2016
ところで、インソライト(Insolight)社の特許技術などを調べてみた範囲ではそれらしものがなく、
特定できない。下図の特許事例の、集光型Ⅲ-Ⅴ族化合物半導体太陽光発電システムモジュールよう
なレンズ集光型を想定してみたが、構造が気に入らないということもあり、スイス連邦工科大学ロ
ーレンヌ校(EPFL)発のベンチャー企業ということから、スイス連邦工科大学ローレンヌ校(EPFL)
の公開特許を調べる。
US 9331228 Concentrated photovoltaic system modules using III-V :
集光型III-V族化合物半導体太陽光発電システムモジュール
下図の「US9206998 Self-tracking solar concentrator:自己追跡太陽集光器」は、短波長光成分と長波長
の光成分を含む太陽光取り込むための、レンズ(101)、導光層(102)及び自己適応結合機能(103)
から構成し、レンズは、自己適応型の結合機能に長波長成分を集光するため導光層に隣接配置する。
前出の「蛍光集光発電モジュール」とはことなり、図1aは、軸上での自己追跡太陽集光器デバイス
の断面図で、ガラス導光層(平面)に対し垂直な方向の光が、ダイクロイックビームスプリッタ(二
色性分光器)を通過した赤外光を熱結合機能を加熱形成点にレンズ(101)で集光され、熱結合機能
――パラフィンワックス及びカーボンブラックの混合物――は、エッジ(104)で出力する導光短波
長光(可視光+紫外光+近赤外光)をプドープリズムで反射・集光し、光電変換素子でエネルギー変
換する。自己適応結合機能(103)層では赤外+近赤外を熱変換することで、マイクロスケールで作
動する光学部品に埋め込まれた液体で従来小型化されたシステムでは実現できなかった機能性と位置
決め制御を実現する、コンパクトで高性能な光学デバイスの新世代を実現する光学流体機器領域(閃
光工学)で自己追跡(追尾)型太陽電池技術であるいう、こんな程度にしか理解(一知半解)できな
かった。
US9206998 Self-tracking solar concentrator:自己追跡太陽集光器
これ以外にも、国内の直近の集光型太陽光発電に関する公開特許技術を調べてみたが、この中で、集
光能力のある円や楕円等の曲面をもつ断面形状の集光平板型太陽電池(特開2016-127250 「集光型柱
状太陽光発電装置 株式会社システムトークス」下図参照)に注目。
特開2016-127250 集光型柱状太陽光発電装置 株式会社システムトークス
このように看ていくと、変換効率30%超クラスの薄型平面太陽電池等電池にメカニックな自動追跡
装置を不要とする集光型を一般住宅や商業・工業施設のルーフトップ型に加える必要があるし、また
技術的にも実用可能な段階にあると判断する。これが今回の修正した展望である。変換効率だけみる
と問題なさそうな太陽光発電だが、発電量が天候により大きく変動する短所を認めざるをえない。例
えば、ソフトバンクエナジー社の国内のメガソーラーの稼働状況を看ると、直近の日変動率(=ばら
つき÷平均値×100%)は37%もある。理想を言えば2%以内に抑えたい。マクロ的には蓄電池
の飛躍的な高品質化があり、ミクロ的には散乱光や変換波長幅の拡大など数多くの課題が残っている。
多々あるが、今夜は、テスラの電気自動車と太陽光発電システム事業の販売戦略を併せて考えてみた。
こうしてみると再生可能エネルギー事業の「未来の仕事」は山積している。諸君!頑張ろうではない
か。