権勢とは何ですか。福の神の前で低頭し、人のいのちを供え物にすること、
それが権勢じゃないですか。
郭沫若 『歴史小品』
※ 人を殺してはいけない、人殺しは嫌だ、と思っていても、人殺しがある。
殺人は、社会生活での様々な規制によって強く封じ込められているだけで、
人間の潜在意識に殺人への欲望がないとは言えない。どんな時代の権力者
も多数の人々をやすやすと殺せるのは、彼が社会の規制に縛られないので、
その欲望を勝手に現わすからだ。
【デジタル革命渦論最新版:レズレスカメラの完成!】
15日、日立製作所は、従来のようなガラスのレンズを使わないカメラ技術を開発したと発表。国
内メーカーとして初となる「レンズレスカメラ」方式は、代わりに同心円パターンの特殊なフィル
ムを使い動画像を取り込みピント調整後、このモアレ(干渉縞)やフーリエ変換をコンピュータ上
で画像処理し撮影画像とする。これにより、薄く、軽くなり、車やロボッに搭載しやすくなる画期
的な撮像システム(基本特性は『デジタル革命渦論』に記載済み)となる。この技術を使うと平面
だけでなく奥行きのある画像情報が取得でき、撮影後でも映像のピントを自由に調整できる。例え
ば監視カメラに採用すれば、ぼやけている人物の顔を後からくっきりさせることができ、あらゆる
機器をインターネットでつなぐ「モノのインターネット(IoT)」向けの製品として、2018年ご
ろの実用化を目指すと同社は説明している。
スマートフォンに代表されるモバイル機器や、デザイン性が求められるロボットなどに搭載される
カメラには、搭載場所の制限を受けることのない薄型軽量化と、高性能化の両立が求められている。
それらの要求に対応したカメラ技術として、近年、撮影後に画像処理を行うことを前提としたコン
ピュテーショナルフォトグラフィ技術――計算機による演算を前提とした光学系を導入することで、
今までのカメラでは不可能だった機能を実現――の研究開発が展開されている。同心円パターンを
重ね合わせることによって生じるモアレ縞――規則正しい繰り返し模様が重なると、その繰り返し
間隔の違いによって現れる粗い縞模様――の原理を利用することで、薄型軽量のレンズレスカメラ
でありながら、画像処理の計算量を300分の1まで減らすとともに、ライトフィールドカメラの
ように撮影後のピント調整機能を合わせ持つカメラ技術この技術の特徴はおおきく2つある。
● モアレ縞を用いた撮影画像処理技術
外側ほど間隔が狭くなる同心円パターンのフィルムを画像センサーの直前に置き、入射する光線が
作る影に、画像処理内で同じ同心円パターンを重ね合わせると、光線の入射角に対応した間隔のモ
アレ縞が生じることに着目しました。このモアレ縞を利用し、フーリエ変換――空間周波数領域と
空間領域との間で信号を変換する数学的操作――と呼ばれる広く普及した簡単な画像処理で撮影画
像を得ることができる技術を確立。
● 撮影後のピント調整技術
入射する光線がフィルムを通じて画像センサー上に作る影に重ねる同心円パターンの倍率を変える
と、ピント位置を移動させることができる技術を確立しました。撮影後に倍率の異なる同心円パタ
ーンを重ね合わせて画像処理を行うことで、自由にピントを調整することが可能。今回開発した技
術の性能を測定するため、1センチメートル角の画像センサーと、そこから1ミリメートル離した
位置に同心円パターンのフィルムを配置して実証実験を行った結果、標準的なノートパソコンで毎
秒330フレーム――TVなど一般的に動画で使用される1秒あたりのフレーム数―― で動画撮影
できることを確認。今回開発したカメラ技術を、モバイル機器や車、ロボットを初めとしたあらゆ
るものへの適用をめざすとともに、IoT( Internet of Things )技術を基盤とした超スマート社会――
必要なモノ・サービスを、必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供し、社会の様々なニーズにき
め細やかに対応でき、あらゆる人が質の高いサービスを受けられ、年齢、性別、地域、言語といっ
た様々な違いを乗り越え、活き活きと快適に暮らすことのできる社会実現できる。
「レンズレスカメラ」については、『超薄膜レンズの衝撃』(2016.06.07)や『超界面工学の此岸
』(2016.06.16)で「ネオコン工学の此岸:超薄膜メタレンズ」にふれている。「同心円パターンを
印刷したフィルム」と触れているだけでその詳細はわからない。ここでは単に印刷インクとして解
し、以下のように考察していくこととする。
● ベース技術の特許事例
【概要】
同一平面上に、赤外線放射率が高い第1の領域材料と、第1の領域に隣接し赤外線放射率が低い第
2の領域材料とを用いて、隣接する第1の領域と第2の領域とからなるパターンを有することを特
徴とするサーモグラフ用のレンズの分解能評価用パターンで、1枚のチャートにより、温度差のコ
ントラストを観測できるパターンを作り込むことができる技術。
【図面の簡単な説明】
【図1】赤外線サーモグラフ装置の一構成例を示す機能ブロック図
【図2】0.2ミリメートル幅のみに高温部を持つ理想的の温度分布(ステップ入力)に対して、
様々なカットオフ空間周波数(fc)をもつガウシャンフィルタを通過させた場合の出
力応答を計算した例を示す図
【図3A】本実施の形態によるステップ応答の測定技術を示す図であり、レンズの分解測定用の
パターンを含む分解能測定系の斜視図
【図3B】本実施の形態によるステップ応答の測定技術を示す図であり、レンズの分解能を測定
するための測定パターンの断面図
【図4】サーモグラフのステップ応答のレンズ依存を示す図
【図5A】測定用ストライプパターンであり、fbとして、0.125、0.25、0.5、
1、2、4、8、16回/ミリメートルの8種を作製した様子を示す図
【図5B】コルトマンの補正によりSWRF(矩形波レスポンス関数)をMTF(変調伝達関数)
に変換する様子を示す図
【図6】図5A,Bの測定結果を示す図
【図7】市松模様の格子縞パターン例を示す図
【図8】様々な大きさの市松模様をLTCC上に形成し、実測値と波形合成値とを比較した結果
を示す図
【図9】本実施の形態による処理の流れの一例を示す図
【図10A】下図は、1608mmサイズ面実装抵抗器の斜視図。上図は、各種のレンズを用い
た場合の温度の位置依存性の実測値を示す図。
【図10B】ガウシャンフィルタの通過計算値の温度の位置依存性を示す計算値であり、25μm
レンズにて測定した結果を真値と仮定し、この真値(2次元温度分布画像)を様々
な半波長を持つガウシャンフィルタを通過させた場合の計算結果を示す図
【図11】市松模様のパターンの変形例である同心円状パターンの一例を示す図
【図12】抵抗器などの部品における表面ホットスポットを測定する様子を示す図
上図は、例えば、太陽電池パネルの不具合箇所(ホットスポット)を赤外光をカメラで取り込み検
出する方法ですでに応用されているものである。
画像評価/鮮鋭度評価法
この特許の第5実施形態に次のように例示されている(下図参照)。
図11に示すように、赤外線放射率の異なるドーナツ状の領域が同心円に配置されている。例えば、
絶縁基板上に金属からなる領域29が同心円状に形成されている。市松模様では水平方向、垂直方
向の測定のみが可能であるが、同心円パターンを用いて中心を固定すれば、角度方向に対して柔軟
な測定が可能になる。レンズの評価の一つとして、中心部分と周辺部分の解像度の差があるが、そ
れに対応することが可能になる。赤外線放射率の違う材料で赤外線的コントラストが出るように配
置したパターンを基板上に形成し、基板全体の温度を上昇させることで、放射率の違いが鮮明に画
像に表れ、現実には作れない高温と低温のくっきりした境界をもつ微細画像を測定観測上で得るこ
とができる。
また、そのパターンを用いて測定した測定値に適切な関数のフィルタを掛けて変換した値が、有限
要素法を用いて計算したシミュレーション値と良く一致することが確認でき、この発明パターンの
測定値が真値に近い値として測定できることが確認された。放射の違いから温度測定値の違いとし
て測定できるため、同一面にエッジのある温度差を作り出すことができるため、光学的MTF測定
と同様に微細なパターンのみならず、同心円形状、放射状、格子縞模様等必要とする様々な形状の
パターンを簡便に作り出すことが可能である。
さらに、基板にめっき、塗布をしての形成であるが、赤外線放射率の高い材料と赤外線放射率の低
い材料を薄板上に加工して材質を重ね合わせた形状や、赤外線放射率の高い基板上に赤外線放射率
の低い金属インクを塗布するということも可能である。という、従来からある群画像処理技術を応
用し「レンズレスカメラ」(あるいは「デジタルレンズレスカメラシステム(DRLCS)」と呼称して
もよいだろうか)を実現させた。画質など実際に見たことがないのでこの発明の実力がどの程度の
ものわからないが、デジタル革命の第5則である「イレージング」に該当する革命産物であること
に変わりない。
【量子ドット工学講座24:自己免疫疾患における診断的決定】
今日は、そんなもんで、こんなもんで、「レンズレスカメラ」の画像処理技術記事で釘付け状態に
なり、予定の最新光電変換素子技術の調査作業は一頓挫するが、なんとか作業をはじめるが、いき
なり「特開2016-185147 自己免疫性T細胞の単離および処理のためのペプトイドリガンド」(下図)
に記載された「量子ドット」の記述に眼にとまり釘付けになる。
【概要】
第一の検出可能標識により標識された健常対象に由来する第一のT細胞――リンパ球の一種で、骨
髄の幹細胞に由来し、胸腺で分化する免疫担当細胞。同じ骨髄幹細胞由来のB細胞と形態的に酷似
する。機能をもとに4種類に分類でき、B細胞の抗体産生細胞への分化を助けるヘルパーT細胞、
抑制するサプレッサーT細胞、アレルギー反応を誘発するエフェクターT細胞,標的細胞を破壊す
るキラーT細胞が存在する――集団、および第二の検出可能標識により標識された自己免疫疾患を
もつ対象に由来する第二のT細胞集団を準備し、第一と第二のT細胞集団を、複数の候補リガンド
(特定の受容体(receptor; レセプター)に特異的に結合する物質)に接触させ、第一および第二の
T細胞集団と候補リガンドとの結合を査定し、このリガンドが第二のT細胞集団には結合するが第
一のT細胞集団には結合しない場合、このリガンドは自己免疫性T細胞によっては認識されるが健
常T細胞によっては認識されない、
自己免疫性T細胞により特異的に認識されるリガンドを同定する方法で、自己反応性T細胞により
認識されるペプトイドは、様々な型の自己免疫疾患を同定するために使用され得、そのような集団
を治療の標的とするためにも使用、多発性硬化症や自己免疫性脳脊髄炎のような自己免疫疾患――
異物を認識し排除するための役割を持つ免疫系が、自分自身の正常な細胞や組織に対してまで過剰
に反応し攻撃を加えてしまうことで症状を起こす、免疫寛容の破綻による疾患の総称――をもつ個
体からの自己反応性T細胞集団の同定方法に関する特許技術。
この「自己免疫疾患における診断的決定」において、医師が、オーバーラップする症状のセットを
もつ様々な疾患(複雑な医療現象)を容易に識別→患者の症状の根底の生理学的基礎を正確に同定
→早期介入/疾患管理着することを実現する。実際、多くの自己免疫疾患の処置は、進行を遅くし、
症状を解決するが、疾患を防止/治癒できないケースが多く、重度症状発生の遅延に、これらの疾
患の早期診断能力が決定的となる。さらに、不正確診断に起因の「試行錯誤」なしに、症状解決の
正確な薬物の投与きれば、(1)医療費を削減、(2)患者の不快/危害が回避される。
このため、この発明に直ちに適用可能であると考えられる3種の具体的なアッセイ(検定)――①
酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、②量子ドット、③検出キット――が提案され、その1に「
量子ドット」がある。以下その箇所を以下のように抜粋転記する。
種の局面において細胞集団を標識するため、量子ドットを有利に使用する。量子ドットとは、
励起子が、三つ全ての空間的次元において制限されている半導体である。結果として、それら
は、バルク半導体のものと、不連続分子のものとの中間の特性を有する。それらは、当時Bell
LabsにいたLouis E.Brusにより発見された。研究者は、トランジスター、太陽電池、LED、およ
びダイオードレーザーにおいて量子ドットを研究している。量子ドットは、医学的画像化のた
めの薬剤としても調査されており、キュービットとして使用されることが望まれる。
量子ドットを作製するためのいくつかの方式が存在する。一般に、量子ワイヤ、量子井戸、お
よび量子ドットは、化学的方法もしくはイオン注入により作製されたナノ結晶において、また
は最先端リソグラフィー技術により作成されたナノ装置において、高度エピタキシャル(adva-
nced epitaxial)技術により成長させられる。コロイド半導体ナノ結晶は、伝統的な化学的過程
と同様に、溶液に溶解した前駆化合物から合成される。コロイド量子ドットの合成は、前駆物
質、有機界面活性剤、および溶媒から構成される三成分系に基づく。反応媒体を十分に高い温
度に加熱すると、前駆物質が化学的にモノマーへ変換される。
モノマーが十分に高い過飽和レベルに到達すると、ナノ結晶成長が核形成過程から始まる。成
長過程中の温度は、ナノ結晶成長のための最適条件を決定するための重大因子のうちの一つで
ある。それは、合成過程中の原子の再配置およびアニーリングを可能にするのには十分に高く、
結晶成長を促進するのには十分に低くなければならない。ナノ結晶成長中に厳密に制御されな
ければならない別の重大因子は、モノマー濃度である。ナノ結晶の成長過程は、二つの異なる
型「フォーカシング」および「デフォーカシング」で起こり得る。高いモノマー濃度では、臨
界サイズ(ナノ結晶が成長もしないし縮小もしないサイズ)が比較的小さく、ほぼ全ての粒子
が成長する。この型においては、より小さな粒子は、大きい粒子より速く成長し(より大きな
結晶は小さな結晶より多くの原子を成長するために必要とするため)、ほぼ単分散の粒子を与
えるサイズ分布の「フォーカシング」がもたらされる。
存在する平均ナノ結晶サイズが臨界サイズより常にわずかに大きいよう、モノマー濃度が維持
された場合、サイズフォーカシングは最適となる。モノマー濃度が成長中に枯渇した場合、臨
界サイズが、存在する平均サイズより大きくなり、オストワルド熟成の結果として、分布の「
デフォーカシング」が起こる。
セレン化カドミウム、硫化カドミウム、砒化インジウム、およびリン化インジウムを含む種々
の半導体を作製するためのコロイド法が存在する。これらの量子ドットは、10~50原子の直径
を有する量子ドット体積内に100~100,000個の原子しか含有し得ない。これは、約2~10ナノ
メートルに相当し、10ナノメートルの直径では、ほぼ3百万個の量子ドットを一列に並べ、ヒ
トの親指の幅に適合させることができる。大量の量子ドットが、コロイド合成を介して合成さ
れ得る。コロイド合成は、現在のところ、最も安価であり、ベンチトップ条件で実施され得る
という利点を有する。それは、全ての異なる型の合成の中で最も低毒性であることが認められ
ている。
自己集合した量子ドットは、典型的には、10~50ナノメートルのサイズである。リソグラフィ
ーによりパターン化されたゲート電極により、または半導体ヘテロ構造における二次元電子ガ
ス上でのエッチングにより画定された量子ドットは、百ナノメートルを越える横寸法を有し得
る。ある量子ドットは、より大きなバンドギャップを有する別の材料に埋め込まれた一つの材
料の小さな領域である。これらは、いわゆるコアシェル構造であり得、例えば、コアにCdSeを
有し、シェルにZnSを有するか、またはオルモシル(ormosil)と呼ばれる特別な型のシリカに
由来し得る。
量子ドットは、ウェルの厚みにおける単層変動のため、量子井戸構造で自然に発生することが
ある。分子線エピタキシー(MBE)および有機金属気相エピタキシー(MOVPE)において、
ある種の条件の下では、材料が格子不整合の基質上で成長する時、自己集合した量子ドットが
自然に核形成する。得られた歪みは、二次元「湿潤層」の上に、コヒーレントに(coherently)
歪んだアイランドを生ずる。この成長モードは、ストランスキ・クラスタノフ(Stranski-Krast-
anov)成長として公知である。アイランドは、その後、量子ドットを形成するため、埋め込ま
れ得る。この製作法は、量子暗号(即ち、単一光子源)および量子計算における適用の可能性
を有する。
この方法の主要な限界は、製作のコスト、および個々のドットの位置付けの制御の欠如である。
個々の量子ドットは、遠隔ドープされた量子井戸または横方向量子ドットと呼ばれる半導体ヘ
テロ構造に存在する二次元電子ガスまたはホールガスから作出され得る。試料表面は、レジス
トの薄層によりコーティングされる。次いで、横方向パターンが、電子ビームリソグラフィー
によりレジストにおいて画定される。次いで、このパターンが、エッチングまたは電子ガスと
電極との間への外部電位の適用を可能にする金属電極の沈着により(リフトオフ(lift-off)過
程)、電子ガスまたはホールガスに移され得る。そのような量子ドットは、主に、電子または
ホールの輸送、即ち、電流を含む実験および適用にとって興味深い。
量子ドットのエネルギースペクトルは、幾何学的サイズ、形、および制限ポテンシャルの強度
を制御することにより操作され得る。また、原子とは対照的に、トンネルバリアにより量子ド
ットを伝導動線に接続することは比較的容易であり、従って、それらの調査のためのトンネル
分光法の技術の適用が可能である。量子ドットにおける制限は、(外部電極、ドープ、歪み、
または不純物により生じた)静電ポテンシャルからも発生し得る。
電気化学的技術により、量子ドットの高度に規則正しいアレイを自己集合させることもできる。
金属上で量子ドットを含むナノストラクチャーの自発的集合をもたらす電解液-金属界面におけ
るイオン反応を引き起こすことにより鋳型が作出され、次いで、その金属が、選ばれた基質上
でのこれらのナノストラクチャーのメサエッチングのためのマスクとして使用される。
従来の小規模な量子ドット製造は、「高温二重射出」と呼ばれる過程に頼っていたが、これは
大量の量子ドットを必要とする大部分の商業的適用にとっては非実用的である。より大量の一
貫した高品質の量子ドットを作出するための再現性のある方法は、分子クラスターの完全性が
維持され、予め製作された種鋳型として機能するような条件の下で、分子クラスター化合物の
存在下で、化学的前駆物質からナノ粒子を作製することを含む。クラスター化合物の個々の分
子は、ナノ粒子成長が開始し得る種または核形成点として機能する。このように、適当な核形
成部位が分子クラスターにより系内に既に提供されているため、高温核形成工程はナノ粒子成
長を開始させるのに必要でない。この方法の有意な利点は、高度に大規模化可能であるという
点である。
現代の生物学的分析においては、様々な種類の有機色素が使用されている。しかしながら、年
々、さらなる柔軟性がこれらの色素に要求されるようになってきており、伝統的な色素はその
期待に応えられないことが多い。このため、量子ドットは、急速に代用されるようになり、い
くつかの点で伝統的な有機色素より優れていることが見出された。その中で最も直ちに明白な
ものの一つは、(高い量子収量による)明るさ、および(はるかに少ない光退色を可能にする)
安定性である。量子ドットは、伝統的な蛍光性レポーターより20倍明るく、百倍安定してい
ると推定されている。単一粒子の追跡のためには、量子ドットの不規則な明滅が、軽微な欠点
である。
高感度の細胞画像化のための量子ドットの使用は、過去十年で大きく進歩した。量子ドットの
改善された光安定性は、例えば、高分解能三次元画像へ再構築され得る、多くの連続する焦点
面画像の取得を可能にする。量子ドットプローブの極めて高い光安定性を活用する別の適用は、
長期間にわたる分子および細胞のリアルタイム追跡である。研究者は、4ヶ月以上にわたり、
マウスのリンパ節に量子ドットを観察することができた。半導体量子ドットは、予め標識され
た細胞のイン・ビトロ――in vitroとは、“試験管内で(の)”という意味で、試験管や培養器
などの中でヒトや動物の組織を用いて、体内と同様の環境を人工的に作り、薬物の反応を検出
する試験のことをさす。 分子生物学の実験などにおいて用いらる。 in vitroの語源はラテン語
で「ガラスの中で」という意味――の画像化のためにも利用されている。リアルタイムで単細
胞遊走を画像化する能力は、胚形成、癌転移、幹細胞治療薬、およびリンパ球免疫学のような
いくつかの研究 領域にとって重要であると予想される。
※ 以上文面では、注釈加筆修正箇所あり。
これは、特許申請文書というより学術書といった方が良いだろうが、大凡、医療関係の特許文書は
このような特徴と傾向をもつが、参考になったので打ち込むことにした。全文は上載の参考図をダ
ブクリされたし。
● 今夜の一枚
16日、男子テニスのATPワールドツアー・ファイナルズ(イギリス/ロンドン、室内ハード)、グ
ループ・ジョン マッケンローの予選ラウンドロビンが行われ、第5シードの錦織圭は第1シードで
世界ランク1位のアンディ・マレー(英国)に7-6 (11-9), 4-6, 4-6で敗れ、1勝1敗となった。
グループ2位をめざし頑張れ!