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これからのオールウインドシステム

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          (言葉の)本質は沈黙にあるということ、そのことを徹底的に考えること。

                                  

                                                      

                                 Takaaki Yoshimoto
                                             25 Nov, 1924 - 16 Mar,2012  

 

 

  

● これからのオールウインドシステム Ⅰ

【RE100倶楽部:スマート風力タービンの開発 Ⅸ】

昨夜は、ケニアにおける新興邦人企業の大規模太陽光発電の建設の記事の掲載と「エネルギーハーベ
スティング技術とその事業展開の現況確認を行った後、「フライホール蓄電装置」と「相逆転二段羽
根車と内外二重回転子発電装置」の特許事例について考察。今回は後者の風力発電と小形水力発電に
ついて触れてみる。

● よりコンパクトに!どこでも!風況に依存せず!風さえあれば発電 

【特許事例】特開2013-194609 風力発電システム

【要約】

風車発電機構と充放電装置とを備え、風車発電出力の充放電装置への送電と、充放電装置から系統へ
の出力とにより、系統への出力を平滑化する風力発電システムであって、揚水発電機構を備え、充放
電装置から電力供給を受けた揚水発電機構による揚水と、揚水の落差を利用した揚水発電機構による
水力発電及び水力発電出力の充放電装置への送電とを、数十秒乃至数分の比較的短い所定時間ピッチ
で選択的に行い、前記選択は、直前のピッチでの風車発電出力平均値と、直前のピッチ終了時点での
充放電装置蓄電量とに基づいて行い、風車発電機構と充放電装置とを備え、風車発電出力の充放電装
置への送電と、充放電装置から系統への出力とにより、系統への出力を平滑化する風力発電システム
であって、充放電装置の大容量化を招くことなく、系統への出力を安定的に平滑化できる風力発電シ
ステムの提供である。

図1

 【符号の説明】

A  風力発電システム  B  風車発電機構  C  揚水発電機構  D  制御装置  E  ポンプ水車機構  
1 風車発電機  2  風車用インバータ  3  電力量計  4  充放電装置  5  連系用インバータ  6  上
部貯水タンク  7  下部貯水タンク  8  連通路  9  電磁弁  10  ポンプ水車  11  誘導発電電動機
12  発電電動機用インバータ  13  双方向チョッパ  14、15  羽根車  16  ポンプ・水車部  17  モー
タ・発電機部  18、19  回転子

風車発電出力の経時変動は大きいので、系統への出力を安定的に平滑化するためには、風車発電の余
剰電力を蓄電する充放電装置の大容量化が必要であるが、充放電装置は一般に高価であり、大容量化
は、風力発電システムの高価格化を招き、風力発電システムの普及促進を妨げる。そこで、①風車発
電機構と②充放電装置とを備え、③風車発電出力の充放電装置への送電と、④充放電装置から系統へ
の出力とにより、系統への出力を平滑化する風力発電システムであって、充放電装置の大容量化を招
くことなく、系統への出力を安定的に平滑化できる風力発電システムを提供することを目的とする。

上記課題を解決するために、①風車発電機構と②充放電装置とを備え、③風車発電出力の充放電装置
への送電と、④充放電装置から系統への出力とにより、系統への出力を平滑化する風力発電システム
であって、⑤揚水発電機構を備え、充放電装置から電力供給を受けた揚水発電機構による揚水と、揚
水の落差を利用した揚水発電機構による水力発電及び水力発電出力の充放電装置への送電とを、数十
秒乃至数分の比較的短い所定時間ピッチで選択的に行い、⑥直前のピッチでの風車発電出力平均値と、
直前のピッチ終了時点での充放電装置蓄電量とに基づいて行うことを特徴とする風力発電システムで
である。

この風力発電システムでは、風車発電の余剰電力を充放電装置に蓄電すると共に、揚水発電機構の貯
水の位置エネルギーに変換して蓄積するので、必要に応じて揚水の落差を利用した揚水発電機構によ
る水力発電出力を風車発電出力と共に系統に出力することにより、充放電装置を大容量化することな
く、系統への出力を安定的に平滑化できる。

従来の揚水発電は、例えば夜間と昼間と言った長い時間スパンでの電力供給の平滑化を図るものであ
ったが、充放電装置から電力供給を受けた揚水発電機構による揚水と、揚水の落差を利用した揚水発
電機構による水力発電及び水力発電出力の充放電装置への送電とを、数十秒乃至数分の比較的短い所
定時間ピッチで選択的に行うことにより、揚水発電を、時々刻々変動する風車発電出力の平滑化に利
用するものであり、揚水発電の新規な利用方法を提案するものである。

風車発電出力は数十秒乃至数分の比較的短い所定時間ピッチで山谷に変動する場合が多いので、充放
電装置から電力供給を受けた揚水発電機構による揚水と、揚水の落差を利用した揚水発電機構による
水力発電及び水力発電出力の充放電装置への送電とを、数十秒乃至数分の比較的短い所定時間ピッチ
で選択的に行うのが合理的である。

尚、直前のピッチでの風車発電出力平均値と、直前のピッチ終了時点での充放電装置蓄電量とに基づ
いて、フィードバック方式で行えば、風車発電出力と充放電装置蓄電量の時々刻々の変動に応じた選
択が可能になる。ここで、好ましい態様において、ピッチは1~2分ピッチである。

風車発電出力の経時変化の計測データによれば、1~2分のピッチで中程度の山谷が発生する場合が
多いので、充放電装置から電力供給を受けた揚水発電機構による揚水と、揚水の落差を利用した揚水
発電機構による水力発電及び水力発電出力の充放電装置への送電とを、1~2分ピッチで選択的に行
うのが合理的である。好ましい態様では、選択開始直後の1ピッチは、系統への出力に等しい出力の
揚水発電機構による水力発電を行い、水力発電出力を充放電装置を介して系統へ出力する。

選択開始直後は、直前のピッチが存在しないので、とりあえず系統への出力に等しい出力の揚水発電
機構による水力発電を行い、水力発電出力を充放電装置を介して系統へ出力するのが好ましい。また、
好ましい態様においては、揚水発電機構は、上下一対の貯水タンクと、上タンクと下タンクとの間の
連通路の途上に配設されたポンプ水車機構とを備え、ポンプ水車機構は、互いに周方向逆向きに回転
する一組の羽根車がケーシング内に同軸に配設されたポンプ・水車部と、内外二重回転子形発電電動
機を有するモータ・発電機部とを有し、この一組の羽根車はそれぞれ前記モータ・発電機部の内外の
各回転子に結合されている。

上下一対の貯水タンクと、上タンクと下タンクとの間の連通路の途上に配設されたポンプ水車機構と
により、揚水発電機構を構成することができる。互いに周方向逆向きに回転する一組の羽根車がケー
シング内に同軸に配設されたポンプ・水車部と、内外二重回転子形発電電動機を有するモータ・発電
機部とを有し、この一組の羽根車はそれぞれモータ・発電機部の内外の各回転子に結合されたポンプ
水車機構は、前後段羽根車の相反回転トルクが同じ状態で、ひいては羽根車を流れる水流の角運動量
変化が前後段で同じ状態で、運転される特徴を有しており、ポンプ及び水車運転の両運転状態で、ガ
イドベーン等の補助機械なしで軸方向流入流出を実現できる。この特徴は、ポンプ(揚水)運転と水
車運転とを瞬時に切り換える必要が生じた場合に、瞬時切り換えを確実に実現するのに有利である。

【実施例】

上図1に示すように、風力発電システムAは、風車発電機構Bと、揚水発電機構Cと、両者の作動を
制御する制御装置Dとを備えている。風車発電機構Bは、風車発電機1と、風車発電機1の交流出力
を直流に変換する風車用インバータ2と、電力量計3と、充放電装置4と、充放電装置4の直流出力
を系統への交流出力に変換する連系用インバータ5とを備えている。

揚水発電機構Cは、上部貯水タンク6と、下部貯水タンク7と、上下貯水タンク間の連通路8と、連
通路8を開閉する電磁弁9と、連通路8の途上に配設されたポンプ水車10と、ポンプ水車10を駆
動し又ポンプ水車10により駆動される誘導発電電動機11と、充放電装置4の直流出力を誘導発電
電動機11の励磁電流(交流)に変換し、また誘導発電電動機11の交流出力を直流に変換する発電
電動機用インバータ12とを備えている。発電電動機用インバータ12と充放電装置4とは、双方向
チョッパ13を介して接続されている。

1.風車発電機構Bの作動を説明する。

風車発電機1の交流出力が、風車用インバータ2を介して直流出力に変換されて、充放電装置4に送
電される(風車発電機1の出力が直流の場合は風車用インバータ2は不要である)。風車発電機1の
出力値は電力量計3により検知され、制御装置Dに入力される。充放電装置4の蓄電量も制御装置D
に入力される。制御装置Dから系統への出力指令が充放電装置4に出力されると共に、電圧/周波数
制御指令が連系用インバータ5に出力され、充放電装置4の直流出力が連系用インバータ5を介して
所定電圧/周波数の交流出力に変換されて、系統に出力される。

2.揚水発電機構Cの水車運転作動(水力発電作動)を説明する。

制御装置Dから開度制御指令が電磁弁9に出力されて電磁弁9の開度が制御される。制御装置Dから、
励磁電流出力指令が充放電装置4に出力されると共に、励磁電圧制御指令が発電電動機用インバータ
12に出力される。充放電装置4の直流出力が双方向チョッパ13により昇圧され、次いで発電電動
機用インバータ12により三相交流に変換されると共に電圧と周波数が調整されて、励磁電流として
発電電動機11に供給される。電磁弁9によって流量制御された水流が、上部貯水タンク6から連通
8を通って下部貯水タンク7へ流れ、連通路8の途上に配設されたポンプ水車10を回転駆動し、ポ
ンプ水車10は発電電動機11を駆動して発電する。発電電動機11の三相交流出力は、発電電動機
用インバータ12により直流出力に変換され、双方向チョッパ13により降圧された後、充放電装置
4に送電される。

揚水発電機構Cのポンプ運転作動(揚水作動)を説明する。

制御装置Dから、励磁電流出力指令が充放電装置4に出力されると共に、励磁電圧制御指令と相入替
指令とが発電電動機用インバータ12に出力される。充放電装置4の直流出力が双方向チョッパ13
により昇圧され、次いで発電電動機用インバータ12により三相交流に変換され電圧および周波数が
調整されると共に相入替えされる。相入替えにより、発電電動機用インバータ12の3相のうち2相
が入替わって、ポンプ水車10の回転方向が水車運転の時とは逆方向になり、ポンプ運転(揚水作動
)が開始される。直後に、制御装置Dから全開制御指令が電磁弁9に出力されて電磁弁9が全開し、
下部貯水タンク7内の水が上部貯水タンク6へ押し上げられ、上部貯水タンク6に貯水される。

図2

所定日の15時40分から16時10分まで行われたフィールド試験により得られた、風車ロータ径
2m、定格出力1.2kW(風速11.5m/s)の風車発電機1の出力の経時変化生データを図2に
示し、上図2の生データから得られた1分間平均出力の経時変化を図3に示す。下図3において、黒
塗領域は、系統への平滑出力を63Wとする場合の不足電力を示し、ハッチング領域は系統への平滑
出力を63Wとする場合の余剰電力を示す。

雨3

揚水発電機構Cを使用せず、風車発電機構Bと制御装置Dのみを用いて、15時40分から16時
10分まで、系統への63Wの平滑出力を維持する場合には、15時40分から15時46分までの
不足電力3.56Whが15時40分の時点で充放電装置4に蓄電されており、以降不足電力は充放
電装置4からの出力で賄い、余剰電力は充放電装置4に蓄電すると仮定すると、16時10分の時点
で、7.15Whの電力が充放電装置4に蓄電されていることになり、充放電装置4の必要蓄電容量
は、7.15Whとなる。

図2から1~2分のピッチで中程度の山谷が発生していることが分かる。そこで、風車発電機構Bに
よる発電を継続的に行うと共に、揚水発電機構Cによる揚水と、揚水の落差を利用した揚水発電機構
Cによる水力発電とを、1分ピッチで選択的に行い、系統への63Wの継続的な平滑出力を維持する
場合をシミュレーションする。シミュレーションは以下の条件下に行う。

(1)ポンプ水車10として揚程及び落差が2mのポンプ水車を使用する。当該ポンプ水車10のポ
  ンプ運転作動時のエネルギー効率は、実測に基づき0.7とし、ポンプ水車10の水車運転作動
  時のエネルギー効率は、実測に基づき0.9とする。即ち、風車発電の余剰電力1Whをポンプ
  水車10のポンプ運転作動によって上部貯水タンク6内の貯水の位置エネルギーに変換し、次い
  で、この位置エネルギーをポンプ水車10の水車運転作動によって電力エネルギーに変換した場
  合、0.63Whの電力エネルギーが得られることとする。インバータ5、12、電磁弁9、制
  御装置Dの駆動に必要な電力は平滑出力やポンプ駆動に要する電力に比べて微少なので無視する
  こととする。

(2)15時40分の時点で、充放電装置4の蓄電量は零であり、上部貯水タンク6には、ポンプ水
  車10の水車運転作動とポンプ水車10による発電電動機11の駆動とにより5.0Whの電力
  に変換される量の位置エネルギーに相当する量、即ち1019リットルの水が貯水されているこ
  ととする。

(3)15時40分~15時41分の間は、系統への出力63Wに等しい出力の揚水発電機構Cによ
  る水力発電を行い、当  該水力発電出力を充放電装置4、連系用インバータ5を介して系統へ
  出力する。揚水発電機構Cによる揚水と、揚水の落差を利用した揚水発電機構Cによる水力発電
  との1分ピッチでの選択は、後述ごとく、直前のピッチでの風車発電出力平均値と、直前のピッ
  チ終了時点での充放電装置蓄電量とに基づいて、フィードバック方式で行うが、選択開始直後は、
  直前のピッチが存在しないので、とりあえず系統への出力に等しい出力の揚水発電機構による水
  力発電を行い、当該水力発電出力を充放電装置4、連系用インバータ5を介して系統へ出力する。

(4)15時41分以降の各1分間は、直前の1分間の風車発電出力平均値と直前の1分間終了時点
  での充放電装置4の蓄電量とに基づいて、充放電装置4から電力供給を受けた揚水発電機構Cに
  よる揚水と、揚水の落差を利用した揚水発電機構Cによる水力発電及び水力発電出力の充放電装
  置4への送電と、を選択的に行う。
  より具体的には、直前の一分間の風車発電出力平均値が63W未満の場合には、直前1分間分の
  不足電力を次の1分間に揚水発電機構Cによる水力発電によって補充して、系統に63W出力す
  る。

直前の1分間の風車発電出力平均値が63W以上であって、且つ直前の一分間終了時点での充放電装
置4の蓄電量が3Wh以下の場合には、次の1分間では揚水発電機構Cによる水力発電は行わず、揚
水発電機構Cによる揚水も行わない。直前の1分間の風車発電出力平均値が63W以上であって、且
つ直前の1分間終了時点での充放電装置4の蓄電量が3Whを超える場合には、次の1分間では揚水
発電機構Cによる水力発電は行わず、3Whからの超過分の蓄電力を揚水発電機構Cに供給して揚水
し、貯水の位置エネルギーに変換して上部貯水タンク6に蓄積する。

シミュレーション結果を下図4に示す。図4において、上部貯水タンクへ揚水された水の位置エネル
ギーの欄と、ピッチ終了時の上部貯水タンクの貯水の位置エネルギーの欄と、に記載したエネルギー
値(Wh)は、揚水の落差を利用した水力発電による電気エネルギーへの変換後の値である。図4か
ら分かるように、充放電装置4の蓄電量の最大値は、16時10分の時点での3.95Whである。



尚、16時10分の時点での上部貯水タンクの貯水量は367リットルである。

上記シミュレーションにおいては、揚水発電機構Cによる揚水と、揚水の落差を利用した揚水発電機
構Cによる水力発電とを、1分ピッチで選択的に行うことにより、充放電装置4の蓄電容量を3.9
5Whに設定すれば、換言すると風車発電機構Bのみで系統への63Wの継続的な平滑出力を維持す
る場合の約半分まで充放電装置4の蓄電容量を減らしても、系統への63Wの継続的な平滑出力を維
持することができた。

上記シミュレーションの結果を踏まえて以下が言える。

(1)風車発電機構と充放電装置とを備え、風車発電出力の充放電装置への送電と、充放電装置から
  系統への出力とにより、系統への出力を平滑化する風力発電システムに、揚水発電機構を付設し、
  充放電装置から電力供給を受けた揚水発電機構による揚水と、揚水の落差を利用した揚水発電機
  構による水力発電及び水力発電出力の充放電装置への送電とを、比較的短い所定時間ピッチで選
  択的に行うことは、充放電装置の大容量化を抑制するのに有効である。

  尚、本揚水発電機構は、300°C以上の環境を保持するために大規模な周辺機器を必要とするNA
   S 電池、高価で充放電の時間が遅くかつ劣化しやすいLiイオン電池などに比べ、運転コストがか
  からず簡素で耐用年数が長く、メンテナンス性も格段に優れている。また、これら電気的なキャ
  パシタは大容量化が極めて困難であるが、本揚水発電機構は落差/揚程、タンク容量、流体密度
  を変えることで処理能力を簡単かつ自由に設計でき、風力発電の規模を問わず如何なる風量発電
  所にも適用できる。また、数か所の発電所を一括して集中処理することも可能であり、充放電装
  置のみで系統出力の平滑化を図る従前の風力発電システムに比べて経済的である。この選択を、
  直前のピッチでの風車発電出力平均値と、直前のピッチ終了時点での充放電装置蓄電量とに基づ
  いて、フィードバック方式で行えば、風車発電出力と充放電装置蓄電量の時々刻々の変動に応じ
  た選択ができる。

(2)従来の揚水発電は、例えば夜間と昼間と言った長い時間スパンでの電力供給の平滑化を図るも
  のであったが、充放電装置から電力供給を受けた揚水発電機構による揚水と、揚水の落差を利用
  した揚水発電機構による水力発電及び水力発電出力の充放電装置への送電とを、比較的短い所定
  時間ピッチで選択的に行うことにより、揚水発電を、出力が時々刻々変動する風車発電による電
  力供給の平滑化に利用できる。

(3)図2から分かるように、風車発電出力は1~2分のピッチで中程度の山谷が発生する場合が多
  いので、揚水発電機構による揚水と、揚水の落差を利用した揚水発電機構による水力発電及び水
  力発電出力の充放電装置への送電とを、1~2分ピッチで選択的に行うのが合理的である。

ポンプ水車10と誘導発電電動機11とを、下図5に示す互いに周方向逆向きに回転する一組の羽根
車14、15がケーシング内に同軸に配設されたポンプ・水車部16と、内外二重回転子形電動機を
有するモータ・発電機部17とを有し、前記一組の羽根車14、15はそれぞれ前記モータ・発電機
部17の内外の各回転子18、19に結合されたポンプ水車機構Eによって構成しても良い。ポンプ
水車機構Eは、前後段羽根車14、15の相反回転トルクが同じ状態で、ひいては羽根車を流れる水
流の角運動量変化が前後段で同じ状態で、運転される特徴を有しており、ポンプ及び水車運転の両運
転状態で、ガイドベーン等の補助機械なしで軸方向流入流出を実現できる。この特徴は、ポンプ運転
(揚水作動)と水車運転(発電作動)とを瞬時に切り換える必要が生じた場合に、当該瞬時の切り換
えを確実に実現するのに有利である。



尚、ポンプ水車機構Eの詳細については、特許第424524号公報を参照されたい。

誘導発電電動機11に代えて、永久磁石式同期発電機を使用しても良い。この場合は、充放電装置4
から永久磁石式同期発電機へ向かう励磁電流は必要ない。揚水発電機構による揚水と、揚水の落差を
利用した揚水発電機構による水力発電及び水力発電出力の充放電装置への送電とを、風車発電出力と
充放電装置の蓄電量の時々刻々の変動に応じて時々刻々に選択的に行う態様は上記実施例に限定され
ない。制御の時間ピッチ、制御開始時の上部貯水タンク6の貯水量や充放電装置4の蓄電量、揚水選
の判断基準となる充放電装置4の蓄電量等は適宜選択して良い。 

● よりコンパクトに!どこでも!水況に依存せず!水圧さえあれば発電 

この方式の風力発電は、小形水力発電にも展開されていることをこのブログで――世界最強の落差1
メートル小水力発電――掲載している(「世界最強の小水力発電」2016.10.20、下図参照)。

 

【特許事例】特許5541760 没水式発電機 

 【要約】

没水式発電機であって、外側回転電機子と外側回転電機子に対峙し外側回転電機子とは逆方向に回転
する内側回転電機子とを有する内外二重回転電機子形発電機構と、軸心を一致させて配設され軸心の
延在方向に対する翼の捩れ方向が互いに逆方向の一組のプロペラとを備え、前記一組のプロペラの一
方は前記内外の回転電機子の一方に、前記一組のプロペラの他方は前記内外の回転電機子の他方に、
それぞれ連結されており、更に、内外二重回転電機子形発電機構を外部環境に対して密閉して収容す
るケーシングを備え、没水状態で水流中に置かれて稼働し、稼働時に没水式発電機に働く浮力Fは
没水式発電機に働く重力Wよりも大(係留索を用いて係留する場合にはF>W+係留索に働く重力-係
留索に働く浮力)である。

【符号の説明】

A  没水式発電機 B  没水式発電システム 1a  外軸 1b  内軸 2a  外側回転電機子 2b  内
側回転電機子 3  発電機構 4a  前段プロペラ 4b  後段プロペラ 5  ケーシング 6、6’ アー
ム 7  スリップリング 8  係留索 9  アンカー 10  ストッパー 11  支柱 100  海底や河
底 200  フロート

ここで、一旦、金元敏明(元)九州工業大学大教授らの  「風況を選ばない高出力インテリジェント 風力発電機
の実用化研究」  から離れ、フライホイールに使われる磁気軸受技術(下図参照)、反撥型磁気軸につ
いて考えてみる。

 

【反撥型磁気軸受技術動向】

地球温暖化や燃料資源の不足の面から、様々な産業で省エネルギー商品の開発が活発に行われており,
省エネルギーを実現するための手段として小型・軽量化が求められ、かつ、高速化による高性能化も
進んでいる。自動車においては、燃費を左右する軽量化は最も重要な課題の一つであり、自動車の電
動化の流れが進み、アクチュエータアプリケーションは従来のエンジンや油圧システムから電気モー
タに置き換わろうとしている。航空機においても,飛行制御の高度化によりアクチュエータアプリケ
ーションは油圧システムから電動アクチュエータ方式へ移行しつつある。このように小型、高速なモ
ータを用いた回転機械は今後様々な産業分野において増加する。

反面、回転機械の小型・軽量化により剛性低下するため、高速化が進むと,固有振動数と実用回転速
度領域の周波数が近接し、振動が発生する。特に高速域では系の変位が大きくなり、ばね特性が線形
と見なせる領域を超え、非線形振動が発生しやすい。また、系の変位が比較的小さい範囲でも回転機
械を構成する要素が非線形ばね特性を持ち、非線形振動が発生する場合もある。ばね特性が非線形と
なる要因として、磁気軸受の磁気力、ロータとステータのクリアランス(補助軸受等)、玉軸受のクリ
アランス、静止部品間のクリアランス、回転軸の幾何学的非線形性、回転軸のクラック等がある。こ
れらのことから、振動解析、振動対策の重要性が以前にも増している(「反発型磁気軸受で支持され
る回転軸系の危険速度通過のための振動解析と制振」水貝智洋、2017.06.22)。

1-2-1 磁気軸受

磁気力により軸を非接触に支持できる磁気軸受は、摩擦・摩耗がなく高精度・超高速回転が可能で、
機械的損失が極めて少なく、メンテナンス不要。永久磁石の反発力を利用した反発型磁気軸受(RMB)
は、半径方向を永久磁石の反発力で受動支持する。1軸制御の反発型磁気軸受は、半径方向を反発型
磁気軸受で支持し、軸方向のみを電磁石で制御することで非接触浮上を得る簡易な支持方式である。
上図1-1に1軸制御の反発型磁気軸受の構成例を示す。摩擦・磨耗がない。メンテナンス不要など
の従来の吸引型磁気軸受(能動的)の利点を有するとともに、制御設備等の簡素化によりコストの削
減が可能。装置全体の小型化が可能という利点がある。

真空中での使用が可能,環境を潤滑油等で汚染しないなど優れた特徴を持つことから、さまざまな産
業において実用化されつつある。ターボ分子ポンプ、ターボ冷凍機、工作機械用スピンドル、人工心臓、
エネルギー貯蔵用フライホイール、人工衛星などで利用,実用化への検討が進められている。最近で
は、自動車の電動化と燃費向上の要求に対応し、自動車用の運動エネルギー回生システムへの適用も
試みられている。磁気軸受の方式には電磁石の吸引力を利用して軸を支持する吸引型と,永久磁石の
反発力を利用して軸を支持する反発型がある。電磁石の吸引力を利用した能動型磁気軸受(AMB) は、
位置検出手段を用いた閉ループ制御により軸を定位置に保持するため、種々の制御手法を適用するこ
とによってある程度任意に軸受特性の設計可能だ。

これまで、能動型磁気軸受における制御技術に関する研究は盛んに行われており、回転中の振動制御
に関するものも多い。野波は、各モードごとに臨界減衰を実現するように制御力を決定し、少ないセ
ンサとアクチュエータで多くのモードを制御する準モード制御法を提案している。また、反発型と比
較して、剛性を高くすることができ、主危険速度より低速側でも比較的高速域まで利用することがで
きる。一般に軸受は、回転体の持つ6自由度のうち回転を除く5自由度を拘束する必要があり、5軸
全てを電磁石で支持すると装置が大がかりになり非常にコストがかかる。

装置の小型化を図るため、永久磁石内蔵型(ハイブリッド)磁気軸受を提案している。電磁石は電流
の2乗に比例した吸引力を発生するため、従来の能動型磁気軸受はバイアス磁束を与える電流を常に
流す必要があるが、バイアス磁束を永久磁石で与えることによりコンパクト化に成功している。また、
磁気軸受とモータを含めたドライブ装置全体の小型化を図るため、磁気軸受とモータの機能を一体化
した非接触浮上モータ(ベアリングレスモータ) の研究開発も活発に行われている。


永久磁石の反発力を利用した反発型磁気軸受(RMB) は,半径方向を永久磁石の反発力で受動的に支持
する。1軸制御の反発型磁気軸受は、半径方向を反発型磁気軸受で支持し、軸方向のみを電磁石で制
御することで非接触浮上を得る簡易な支持方式である。図1-1に1軸制御の反発型磁気軸受の構成
例を示す。摩擦・磨耗がない,メンテナンスが不要などの従来の吸引型磁気軸受の利点を有するとと
もに、制御設備等の簡素化によりコストの削減が可能,装置全体の小型化が可能という利点がある.し
かしながら、永久磁石対によって受動安定となる軸の剛性は、能動型の剛性に比べて小さい.そのた
め,高負荷荷重が求められる装置や瞬時的な外乱が加わる装置での利用には適していない。さらに、
反発型磁気軸受は永久磁石の反発力を利用しているため強い非線形性を有する。は反発型磁気軸受の
復元力特性を理論的に解析し,それがハードスプリング様式(漸硬系)の非線形剛性を有することを
明らかにする。

また、着磁方向を周期的に変化させて並べ、その周期と剛性、非線形特性の関係を調べる。また、ラ
ジアル軸受、アキシアル軸受と磁気継ぎ手について、2つのリング状磁石を用いて様々な着磁方向、
配置パターンの磁石の場合の剛性を調べる。さらに、磁石を重ねることで剛性が向上することを明ら
かにし、着磁方向を回転させて重ねる剛性向上法を提案した。この方法により4倍の体積増加に対し
剛性を12倍高めることに成功する。さらにこの復元力特性は、磁石の大きさやギャップ(空隙)、
製作時や組立時の誤差,軸方向の変位により変化し、これにより振動特性も変化すると考えられる。
これらの点については、反発型磁気軸受のギャップを変化させた場合の半径方向剛性と軸方向剛性を
調べ、軸方向変位に対する復元力特性の変化を調べたが、これらは線形特性の変化を明らかにするにと
どまっており、非線形性の変化についてはほとんど調べてられていない。

以上、今夜もこの辺で切り上げ、この続きは次回に、そして、もう一度、「風況を選ばない高出力イ
ンテリジェント風力発電機の実用化研究」に戻り、「事業理念・美順ビジョン」に移る。


  ● 今夜の一品

エネルギーハーベストデバイスの1事例、「振動発電+スーパーキャパシタ-無性通信」(上写真ダ
ブクリ)。

 


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