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デジタル革命の聖地

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       歓楽の功罪 / 雷地予(らいちよ)

                               


      ※ 予には三つの意味がある。たのしみ、おこたる、あらかじめ、で
        「歓楽」にうつつを抜かせば、「油断」して思わぬ失敗をする。
        「あらかじめ」警戒してゆかねばならない。卦の形から見れば、
        地上(三三坤)に陽気が雷動くする(震:しん)春である。今や
        冬のうちに蓄えてきたエネルギーをすべて発散すべきときである。
        これまでの不遇はまったく今日のための予備段階であったわけだ。
        準備完了。油断せず、歓びの境遇を切り開いてゆくがよい。

 

 Feb. 1, 2017

● 酸化物系で世界最高性能の導電率を実現

-高い安全性と信頼性を実現した小型全固体リチウム二次電池を開発-

今月1日、産業技術総合研究所のグループは、①単結晶を固体電解質部材として用いる
ことで、内部短絡しない全固体リチウム二次電池を実現、②常温製膜技術であるAD法
より強固な電極-電解質界面を形成、③化学的に安定な酸化物系材料からなる安全な小
型全固体電池――酸化物系で世界最高性能の導電率を実現――を開発したことを公表。

リチウム二次電池は、高いエネルギー密度をもつことから、さまざまな機器で使用され
エネルギー密度の向上や安全性確保、長寿命化が要望され、安全性の観点から、可燃性
の有機電解液に替わり、不燃性である硫化物や酸化物の無固体電解質を用いた全固体リ
チウム二次電池の開発が進められているが、特に素材として安定性の高い酸化物系固体
電解質材料は、①リチウムイオン導電率や内部短絡(ショート)、②電極と固体電解質
の界面の接合強度などの課題があった。

今回、酸化物系固体電解質材料であるガーネット型酸化物について、現在世界最高のリ
チウムイオン導電率をもつ単結晶を初めて合成し、固体電解質部材に用いた。また、産
総研の常温製膜技術であるエアロゾルデポジション法(AD法)により正極を固体電解質
表面に作成して、強固に接合した電極-電解質界面を実現。これらにより、今回開発し
た全固体リチウム二次電池は、従来の全固体リチウム二次電池よりも高い安全性と信頼
性をもち、医療用途などへの応用が期待されるとのこと。

また、フローティングゾーン溶融法(FZ法) ――単結晶成長方法のひとつで、溶融帯を
空中に浮遊させる。溶融帯は上下の原料棒によって表面張力で支えられ、溶融帯をゆっ
くりと移動させ、単結晶が成長。るつぼを使用しないため、るつぼ材の混入がない。ま
た、溶融帯が局所的で、条件を工夫することで、揮発性が高い材料でも単結晶の育成が
可能――を用いてこれまで合成が困難と思われていた固体電解質材料であるガーネット
型酸化物単結晶
を合成した。FZ法の条件を工夫し、世界ではじめて安定な単結晶成長を
実現する。得られた単結晶を用いて作製した固体電解質部材は、従来の焼結体よりも稠
密ちゅうみつであり、金属リチウムの貫通を防ぐことができる。短絡試験の結果、10
mA/cm2 の大電流でも内部短絡せず、信頼性が高いことがわかった。また、25 ℃で導電
率10-3 S/cmを超える、現時点で酸化物系固体電解質材料では世界最高のリチウムイオ
ン導電率を示す。これは有機電解液と同等以上のリチウムイオン導電率である(上図1)。

さらに、電極と固体電解質の接合が強固でなく、これまでの課題を解決するためAD法
を応用。ガーネット型酸化物単結晶を用いた固体電解質部材を基材とし、正極のニッケ
ル系酸化物材料を本法により製膜し、密着性が高い電極-電解質界面を形成する。負極
には金属リチウムを使用。これらにより25 ℃で可逆的な充放電が可能で、短絡・発火の
危険性がほぼ全くない高い安全性と高い信頼性を併せ持つ、直径5 mm、厚さ0.7 mm小型
全固体リチウム二次電池を実現する(上図2)。

尚、AD法は、ノズル技術系統から当初から技術調査を行ってきている。その当時の感想
は製造プロセスの環境・安全的側面で懸念がある見ていたが本筋での技術課題は「前実
用段階」と評価している。その意味では、「実用段階」と見て良いだろう。

それでは、製造過程の技術課題を同上研究所の保有特許から垣間のぞいてみよう。

● 事例研究:特開2016-100069  リチウム固体電池の製造方法

【要約】

本発明は、Liイオン伝導性が高い固体電解質膜を有し、固体電解質膜の両面で強固な
界面接合を形成したリチウム固体電池の製造方法を提供することを主目的とする。エア
ロゾルデポジション法(AD法)により、正極活物質層上に、硫化物固体電解質材料か
ら構成され、結着材を含有しないCSE1を成膜し、負極活物質層上に、硫化物固体電
解質材料から構成され、結着材を含有しないASE1を成膜する成膜工程と、上記CS
E1および上記ASE1を対向させ、プレスすることにより、上記CSE1および上記
ASE1が一体化したSE1を形成するプレス工程と、を有し、上記プレス工程におい
て、上記CSE1および上記ASE1の緻密性を向上させることとで、上記CSE1お
よび上記ASE1の界面が消失した上記SE1の形成を特徴とするリチウム固体電池の
製造方法を提供する。

【符号の説明】

 1  正極集電体   2  正極活物質層   3  固体電解質膜   4  負極集電体  5 負極活物質
層   11  チャンバー   12   台座   13   基板 14 ロータリーポンプ   15  ガスボンベ  
16  原料粉末   17  エアロゾル発生器  18 ノズル

現在市販されているリチウムイオン電池は、可燃性の有機溶媒を含む電解液が使用され
ているため、短絡時の温度上昇抑制装置や短絡防止の装置が必要となる。これに対し、
電解液を固体電解質層に変えて、電池を全固体化したリチウム固体電池は、電池内に可
燃性の有機溶媒を用いないため、安全装置の簡素化が図れ、製造コストや生産性に優れ
る。

例えば、硫化物系固体電解質スラリーを結着材――通常、Liイオン伝導性を有
しないため、結着材を有する固体電解質膜のLiイオン伝導度は、固体電解質膜
に含まれる硫化物系固体電解質自体のLiイオン伝導度よりも低い。 例えば、正極活物質層上にAD法により固体電解質膜を形成した場合、固体電解
質膜は、正極活物質層との間に強固な界面接合が形成できるが、負極活物質層と
の間には同等の界面接合を形成できない。このように、AD法を用いた場合、固
体電解質膜の両面で強固な界面接合を形成することは困難である。 

図1は、本発明のリチウム固体電池の製造方法の一例を示す概略断面図である。図1に
おいては、まず、正極集電体1上に正極活物質層2を形成し、正極活物質層2上に、エ
アロゾルデポジション法(AD法)により、硫化物固体電解質材料から構成され、結着
材を含有しない固体電解質膜3(CSE1)を直接成膜する(図1(a))。次に、負
極集電体4上に負極活物質層5を形成し、負極活物質層5上に、AD法により、硫化物
固体電解質材料から構成され、結着材を含有しない固体電解質膜3(ASE1)を直接
成膜する(図1(b))。

図2において、チャンバー11の内部には、台座12が設置され、その台座12上には
基板13が配置されている。また、チャンバー11の内部の圧力は、ロータリーポンプ
14により任意の減圧状態に制御可能である。一方、原料粉末16は、エアロゾル発生
器17の内部で、ガスボンベ15から供給される搬入ガスによってエアロゾル化される
さらに、エアロゾル化した原料粉末は、チャンバー11の内部に配置されたノズル18か
ら基板13に向かって噴射される。基板13の表面上では、粒子の塑性変形とともに堆
積が生じ、固体電解質膜が成膜される。

次に、図1(c)に示すように、CSE1およびASE1を対向させ、プレスする。こ
れにより、CSE1およびASE1が一体化した固体電解質膜(SE1)を形成する(
図1(d))。特に、本発明においては、プレス工程において、CSE1およびASE1
の緻密性を向上させることにより、CSE1およびASE1の界面が消失したSE1を
形成する。このことにより、結着材を有しないCSE1およびASE1からSE1を形
成するため、Liイオン伝導性が高い固体電解質膜を有するリチウム固体電池を得るこ
とができる。また、AD法で正極活物質層側にCSE1を成膜し、同じくAD法で負極
活物質層側にASE1を成膜し、CSE1およびASE1を接合してSE1を形成する
ため、SE1の両面で強固な界面接合を形成したリチウム固体電池を得ることができる。

成膜工程:本発明における成膜工程は、AD法により、正極活物質層上に硫化物
固体電解質材料から構成され結着材を含有しない固体電解質膜(CSE1)を成
膜し、負極活物質層上に硫化物固体電解質材料から構成され結着材を含有しない
固体電解質膜(ASE1)を成膜する工程である。 プレス工程:プレス工程は、上記CSE1および上記ASE1を対向させ、プレ
スすることにより、上記CSE1および上記ASE1が一体化した固体電解質膜
(SE1)を形成する工程である。また、プレス工程において、CSE1およびA
SE1の緻密性を向上させることにより、CSE1およびASE1の界面が消失
したSE1を形成する。 リチウム固体電池:AD法により固体電解質膜を形成することで、急速充電に適
したリチウム固体電池を得ることができる。急速充電を行う場合、図7に示すよ
うに、負極集電体4に近い負極活物質51にまでLiイオンが挿入されず、負極
活物質層5の固体電解質膜3側の表面で電池反応が生じる。その結果、負極活物
質層5の固体電解質膜3側の表面電位が下がり、Liが析出する。

ここで、図8(a)に示すように、塗工法で形成した固体電解質膜3は、硫化物
固体電解質材料の粒子31の粒界が存在する。さらに、通常は、硫化物固体電解
質材料の粒子31を結着させるための結着材(図示せず)も含有する。そのため
、塗工法で形成した固体電解質膜3には、負極活物質層5で析出したLiが、正
極活物質層(図示せず)に至るパスが存在する。これに対して、図8(b)に示
すように、AD法で形成した固体電解質膜3は、硫化物固体電解質材料が塑性変
形した緻密な膜であるため、粒界はほとんど存在しない。さらに、通常は、結着
材も含有しない。そのため、AD法で形成した固体電解質膜3では、負極活物質
層5にLiが析出したとしても、Liが正極活物質層(図示せず)に至るパスが
極めて少ない。このように、AD法により固体電解質膜を形成することで、急速
充電リチウム固体電池を得ることができる。

尚、AD法において、原料粉末が基板に衝突する衝突速度は、所望のCSE1が得られ
る速度であれば特に限定されるものではないが、例えば100m/s~600m/sの
範囲内であることが好ましい。、衝突速度は、M. Lebedev et al., "Simple self-selective me-
thod of velocity measurement for particles in impact-based deposition", J. Vac. Sci. Technol. A
18(2), 563-566(2000)に記載された方法により測定できる。具体的には、衝突速度測定器
を用いて測定を行い、下記1式より最大速度Vmaxおよび最小速度Vminを算出できる。 
式中、rはノズルの回転半径であり、Tはノズルの回転周期であり、δはスリット幅で
あり、Lはスリットおよび基板の距離であり、αはエアロゾルの広がり角度であり、
d1はスリットを通過して基板に最も早く着弾した粉体の位置であり、d2はスリットを
通過して基板に最も遅く着弾した粉体の位置である。 

【図7】急速充電時の状態を示す模式図である。
【図8】塗工法で形成した固体電解質膜と、AD法で形成した固体電解質膜との違いを
    説明する概略断面図である。
【図9】実施例1におけるプレス前後のAD-SEの断面画像である。
【図10】実施例1で得られた評価用積層体の固体電解質膜(プレス後のAD-SE)
    の膜厚およびLiイオン伝導度の測定結果である。
【図11】実施例2および比較例1で得られた評価用積層体の固体電解質膜のLiイオン
        伝導度の測定結果である。
【図12】実施例3における負極活物質層上に形成されたAD-SE(接合前)の断面画
        像である。
【図13】実施例4、5および比較例2で得られた評価用電池の出力および放電容量の測
        定結果である。
【図14】AD法で固体電解質膜を形成した場合、および、塗工法で固体電解質膜を形成
        した場合における入力性能の違いを説明するグラフである。
【図15】AD法で形成した固体電解質膜と、塗工法で形成した固体電解質膜との違いを
        示す断面画像である。
【図16】硫化物固体電解質材料の圧縮破壊試験の結果である。

DOI: 10.1021/acsami.6b12744

● ガラス基板上で人工光合成 ギ酸の合成効率を15倍に

先月20日、大阪市立大学のグループは、太陽光を利用し二酸化炭素を燃料源の一種で
あるギ酸に変換することのできる触媒分子群(太陽光-ギ酸合成システム)を、ナノメ
ートルサイズの無数の孔をもつ板状のガラスの中に配置する事で、従来型の溶液に分散
した触媒システムと比べて約15倍の効率でギ酸合成反応を進めることに成功したこと
を公表している。

それによると、太陽光-ギ酸合成システムを固定する基板として、光をよく透過し、か
つ、ナノメートルサイズの孔を無数に持つガラス板(多孔質ガラス板)に注目。多孔質ガ
ラス板の厚さは1 mmあり、孔は表から裏まで貫通。この孔の中に、太陽光-ギ酸合成シ
ステムを高密度に固定することで、溶液中に均一に分散させた触媒システムの約15倍
の性能を持つ、太陽光で二酸化炭素をギ酸に変換するガラス板の開発に成功する(下図)。

Jan. 20, 2017

ところで、この成果報告に注目するのは、「里山薪ストーブ普及事業構想」の燻薪(く
んしん)製造工程で使用する木酢による防腐処理のこのシステムを組み込むことを検討
しているため(「爆弾低気圧の解」2017.01.24)。詳しくは、「里山薪ストーブ普及」
(「彦根市民の飲み水を守る会」2017.01.23)願参照。


 

 

 ● 今夜の一曲

メンデルスゾーン: 弦楽八重奏曲 Octet in Es , Op.20

弦楽八重奏曲 変ホ長調 作品20は、フェリックス・メンデルスゾーンが1825年の秋(作
曲者がまだ16歳のとき)に作曲した室内楽曲で、もはや習作の域を越えた古典的な完成
度の高さにより有名となる。この八重奏曲は、複弦楽四重奏曲という編成が採られる。
4つのヴァイオリン、2つのヴィオラ、2つのチェロだが、現在では、弦楽合奏用の作
品として演奏される。このような場合には演奏者が規定数以上に膨れることも珍しく
ない。またアルトゥーロ・トスカニーニは、1947年にNBC交響楽団の団員を率いて本作
を上演した際に、チェロパートの部分にコントラバスを重ねた独自の版を用いる。

【楽曲構成】

アレグロ・モデラート・コン・フォーコ Allegro moderato con fuoco アンダンテ Andante 「スケルツォ」。アレグロ・レジェリッシモ Scherzo: Allegro Leggierissimo プレスト Presto

   jesea 2017/0201

● デジタル革命の聖地は何処に?

電通で若い女子社員が過労死(自殺)しているが、経験から言うと月に時間外勤務を百
時間×3ヶ月続けると身体に異常をきたす。まぁ、これも労働の質によりバラツキがあ
るがそう思っているが、現在の自宅労働を考えると月150時間はざらで、通勤時間を
差し引いても考えられないような労働時間だ。もっとも、趣味みたいなところがあるの
で?これを彼女に指摘されると、時と場合により心に余裕がなければ、ムカつくことも
しばしば。さて、それはさておき、デジタル革命の聖地はどこだろうとふと考えた。米
国が該当するのは大凡の見方だろうし、スティーブ・ジョブをはじめその予言者は沢山
いてそうだが、これが第5次産業革命で、その分析を行い未来を予言した者は米国では
いないと考えている。世界中で数名該当しそうだが、日本にもひとりいる。その意味で
は、日本もデジタル革命の聖地なのだろう。

                                    


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