29 一難去ってまた一難 / 坎為水(かんしすい)
※ 四大難卦(屯、習坎、謇、困)のひとつである。炊は険難に陥る
ことを意味し、この卦は、炊(かん)が二つ重なっていて(習)、
つぎつぎに険難に陥ることを表わすのである。こんな時にどうす
るかにより、人間の真価が決まる。国難に打らひしがれるか、そ
れとも苦労を重ねることによっておのれをきたえ、勇気と力を養
うか。いますぐ困難と解決ずることはむずかしい。何物をも恐れ
ぬ新年と、姑息を排しだ至誠とを持って激流に立ち向かう以外に
はない。身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ、である。
『ばら色の人生』/映画「麗しのサブリナ」より
オードリー・キャスリーン・ヴァン・へームストラ・ヘプバーン・ラストン(Audrey Ka-
thleen Van Heemstra Hepburn-Ruston)とはオードリー・ヘプバーンの本名。上の写真は、
オードリーの不朽の名作 『麗しのサブリナ』の映画の1シーン。さらに最上部写真は、
1995年のシドニー・ポラック監督作の映画のリメイク板――オリジナル版でハンフリー・
ボガート役をハリソン・フォード、ウィリアム・ホールデンの役をグレッグ・キニアが
演じる。音楽はジョン・ウィリアムズ。ところで、オードリーが車の中で口ずさんむ歌
は 『La vie en rose(ラ・ヴィ・アン・ローズ)』。邦題は『バラ色の人生』で、フラン
スを代表する歌手エディット・ピアフが作詞したシャンソンの名曲。「ラ・ヴィ・アン・
ローズ」(フランス語:La Vie en rose)は、1946年のエディット・ピアフ(Édith Piaf)
の代表曲で、ピアフ作詞、ルイギ作曲。日本語では「ばら色の人生」の邦題でも知られ
る。
この歌がヒットした当初、ピアフの同僚や彼女らとは予想外ので大ヒットする。後に、
ック・デイヴィッドによって英語詞が作られ、後のアルバムの多くにこの歌が収録され
ることに。エディット・ピアフは、フランスで最も愛されている歌手。1963年10月10日
に死去、ショパン、マリア・カラス、イヴ・モンタンなども眠るパリ最大の墓地、ペー
ル・ラシェーズ墓地に埋葬される。エディット・ピアフの有名な曲は、『ばら色の人生
La vie en rose』、『愛の賛歌 Hymne à l'amour』、『ミロール Milord』、『水に流して
Non, je ne regrette rien』など。日本でピアフといえば、岩谷時子訳詞・日本語版『愛の讃
歌』を歌った越路吹雪がいる。1979年にエディット・ピアフの生涯を描いた演劇『愛の
讃歌』を初演した美輪明宏などが有名である。
Hold me close and hold me fast
The magic spell you cast
This is la vie en rose
When you kiss me, Heaven sighs
And though I close my eyes
I see la vie en rose
When you press me to your heart
I"m in a world apart
A world where roses bloom
And when you speak
Angels sing from above
Every day words
Seem to turn into love songs
Give your heart and soul to me
And life will always be
La vie en rose
I thought that love was just a word
They sang about in songs I heard
It took your kisses to reveal
That I was wrong, and love is real
Hold me close and hold me fast
The magic spell you cast
This is la vie en rose
When you kiss me, Heaven sighs
And though I close my eyes
I see la vie en rose
When you press me to your heart
I"m in a world apart
A world where roses bloom
And when you speak
Angels sing from above
Every day words
Seem to turn into love songs
Give your heart and soul to me
And life will always be
La vie en rose
この映画は、1954年に米国、日本で公開されている。随分古い作品になるが、「ローマ
の休日」に次ぐ、ビリー・ワイルダー監督の手になる、ほのぼのとした。ロマンティッ
ク・コメディが何ともその時代の郷愁に誘われ思わずブログ・アップの仕儀となり、切
のない叙情に包まれる。
【量子ドット工学講座32:最新量子ドット技術特許事例】
● 特開2017-028906 光電変換装置 京セラ
従来の単接合タイプの光電変換装置は、光電変換層を形成する材料としてシリコンを用
いていため、実用上の光電変換効率はせいぜい15%程度に止まっている。近年、地球
温暖化対策や原発事故の教訓から火力発電や原子力発電を見直す動きがあり、これに伴
って、自然エネルギーを利用した発電が推進されているが、太陽電池に代表される光電
変換装置は、光電変換効率のさらなる向上が待ち望まれている。
シリコンの半導体基板上に、シリコンよりもバンドギャップの大きい量子ドット集積膜
105を積層した、図5に示すような光電変換装置100を提案した、図5(a)は、
従来の光電変換装置100の一例を示す断面模式図であり、(b)は、(a)の構成に
おける回路図である。101は第1の導体層、103はシリコン基板、105はシリコ
ン基板よりもバンドギャップの大きい光電変換層(この場合、量子ドット集積膜)、1
07は第2の導体層である。第2の導体層107が光の入射側に位置する場合には、第
2の導体層107として透明導電膜が用いられる。
図6は、図5に示した光電変換装置の電流-電圧線の概念図である。図6において、実
線はシリコン基板の電流-電圧曲線、破線はシリコン基板よりもバンドギャップの大き
い量子ドットの集積膜105の電流-電圧曲線に対応する。光電変換装置100の光電
変換効率は、開放電圧をVoc、短絡電流密度(短絡電流Iscを太陽電池の受光面積で
割った値)をJscとしたときに、おおかた、これらの積を入射光強度で割った値として
示される。また、吸収できる光の波長領域は光吸収層(光電変換層という場合がある)
を構成する材料のバンドギャップ(シリコン基板の場合、約1.1eV)を上限とする
領域に限られる。このため光電変換装置100の光電変換効率を向上させるには、より
高いバンドギャップを有し、自ずと開放電圧(Voc)を高めることのできる光吸収層
の形成が必要になってくる。
しかしながら、量子ドット集積膜105は、シリコン基板103に比べて、バンドギャ
ップが大きい分、照射される光量に対する発電量(最大出力(Pmax))の変化が大き
いことから、例えば、日照量の低い条件下では、短絡電流(Isc)が大きく低下してし
まい、光電変換層105としての機能を果たすどころかほぼ絶縁体になってしまう場合
がある。このため、シリコン基板103上に量子ドット集積膜105を積層した光電変
換装置100においては、シリコン基板100側で出力される電流を外部に出力させる
ことが困難になるおそれがあった。従ってこの考案は、バンドギャップの異なる複数の
光電変換層を備えている場合でも光電変換層から出力される電流を外部へ出力させやす
い光電変換装置を提供することを目的とする。
この事例の光電変換装置は、①直列に接続された、②バンドギャップの異なる、③複数の光電
変換層と、④この複数の光電変換層のうちバンドギャップの大きい光電変換層を迂回するバイ
パス回路とを備えているとともに、⑤このバイパス回路が、センサー部と、センサー部の計測し
た測定値が規定値以上にあるときにオープン状態となり、⑥この規定値を下回ったときにショー
ト状態となるスイッチ部とを備えているものである。この事例では、バンドギャップの異なる複数
の光電変換層を備えている場合でも光電変換層から出力される電流を外部へ出力させやすく
することができる。
【要約】
直列に接続されたバンドギャップの異なる複数の光電変換層1、3と、複数の光電変換
層1、3のうちバンドギャップの大きい光電変換層3を迂回するバイパス回路9とを備
えているとともに、バイパス回路9が、センサー部17と、センサー部17の計測した
測定値が規定値以上にあるときにオープン状態となり、その規定値を下回ったときにシ
ョート状態となるスイッチ部19とを備え、バンドギャップの異なる複数の光電変換層
を備えている場合でも光電変換層から出力される電流を外部へ出力させやすい光電変換
装置を提供する。
JP 2017-28906 A 2017.2.2
【符号の説明】
1、3光電変換層 5電極層 7透明導電膜 9バイパス回路 11配線 11a(配
線の)切断箇所 13(配線11の)一方端 15(配線11の)他方端 17センサ
ー部 17a光量センサー 17b電流センサー 17c温度センサー 19スイッチ
部 21接触部材 23コイル
● 特開2017-036411 グラフェン量子ドット発光体の製造方法
特定の波長を吸収し蛍光を発する発光体の一つにグラフェン等の炭素材料が構成成分とされ
る炭素系発光体が挙げられる。中でも、炭素系発光体で近年注目を集めているGQDは、他の
発光体に比較して、安全性、価格、さらには、化学的安定性における優位性が期待されている。
しかしながら、優れた発光特性を有するGQDを、高収率で再現性良く製造できる手法
は確立されておらず、優れた発光特性を有するGQDの高収率で再現性の良い製法が切望さ
れている。既存の製法は、トップダウン法とボトムアップ法の2種類に大別される。トッ
プダウン法は、原料の黒鉛や炭素繊維に酸化剤を作用させて、酸化グラフェンとして微粒子
(微ディスク)を切り出した後、切り出した酸化グラフェン微粒子(微ディスク)をそのまま、または、
還元して、GQDに仕上げる手法である。
他方のボトムアップ法は、低分子量の糖類やアミノ酸類を原料に縮合を繰り返しながら
グラフェン量子ドットを作製する手法である。生成物に適切なドープを施すことで極め
て高い量子収率を示すGQDがシステインを原料に焼成する乾式法で作製されているも
のの残念ながら収率は極めて低い。また、ボトムアップ法において、湿式法でGQD製
造する方法が開示されているが、得量や収率は低く、さらに、再現性にも問題を有して
いる。
発明のGQDの製造方法は、液体ヘテロ原子含有化合物又はヘテロ原子含有化合物を溶
解若しくは分散させた液に均一または不均一の貴金属触媒または半導体触媒を添加して
加熱することを特徴とする。前記貴金属触媒が、Pt、Pd、Ir、Rh、Ru及びRe、
並びにPt、Pd、Ir、Rh、Ru及びReのイオン、並びにPt、Pd、Ir、Rh、
Ru及びReと遷移金属との合金、のうちのいずれかであり、前記半導体触媒が、Si、
Ge及びSn並びにSi、Ge及びSnの酸化物のうちのいずれかである、高い量子収
率を示し、発光スペクトルの半値幅の狭い狭帯発光し、優れたグラフェン量子ドットを
高収率で再現性良く簡便に合成できる新規な手法を提供する。
【実施形態】
0.1gを仕込んだ冷却器を備えた丸底フラスコ内を十分減圧しアルゴンで
置換することで脱酸素を行った。 その後、ベンジルアルコール10gをシ
ュレンク・システムで雰囲気の空気がフラスコ内に混入しないように注意深
く仕込んだ。続いてオイルバスで加熱し、反応液を間欠的にサンプリングし
ながらGQDの生成を反応液の蛍光を測定しながら追跡し、蛍光強度が一定
になったところを反応の終点とした。
反応液の蛍光が最大になった時点における発光スペクトルのピーク波長と半
値幅を表1に記載した。反応終了後の反応液から磁石を使用して上記の貴金
属を含有した合金微粒子触媒を担持した炭素粒子を回収した。触媒を除去し
た反応終了後の反応液を細孔サイズ0.45μPTFE製フィルター(ミリ
ポア社製)で濾過し得られた濾液をロータリーエバポレーターで濃縮乾燥し
た。
得られた固形分を、真空乾燥機(5Tollx60℃x1日)でさらに乾燥
し粗製GQDを得た。得られた粗製GQDの収率を表1に記載した。粗製G
QDは、さらに、前記した方法により精製を加えることで高純度化が可能で
ある。
実施例2
ベンジルアルコールに代えてオクチルアミン10gを使用した以外は実施例1と同様
にして行った。
実施例3
白金ニッケル合金微粒子を担持した炭素粒子に代えて粒子径1~10μのシ
リコン粒子0.1gを使用し、反応終了後の反応液を細孔サイズ0.45μ
PTFE製フィルター(ミリポア社製)で濾過し、磁石を用いることなく反
応後触媒を回収した以外は実施例1と同様にして行った。図1に、実施例3
で合成されたGQDのTEM写真を示す。生成したGQDは、平均粒径約4
nmで、約2nmから約6nmの粒径分布を持っていた。
図2に、実施例3で合成されたGQDの蛍光スペクトルを示した。発光スペ
クトルは450nmで励起した場合、530nmにピークを持つ緑色の光で
あることを示すと共に、半値幅約100nmの比較的狭帯域発光しているこ
とが見て取れる。すなわち青色LED(ピーク波長約450nm)で励起し
た場合、上質な緑発光が得られることを意味する。また、他の波長、例えば、
365nm、400nm、500nm、550nm励起した場合、各々異な
るピーク波長の発光を得られることが見て取れる。
実施例4
白金ニッケル合金微粒子を担持した炭素粒子に代えて塩化白金酸水和物30
mgを使用した以外は実施例3と同様にして行った。この場合、触媒として
用いた塩化白金酸やその変成物を含んだ状態で粗製GQDを得た。
実施例5
白金ニッケル合金微粒子を担持した炭素粒子に代えて10重量%パラジウム微粒
子担持炭素粒子0.3gを使用した以外は実施例3と同様にして行った。
実施例6
未使用の30重量%の白金ニッケル合金(白金:ニッケル=1:3 モル:モル)微粒
子を担持した炭素粒子に代えて、実施例1で使用後、磁石を用いて回収し、ヘキサ
ン続いてエタノールで十分洗浄し濾別後乾燥することで再生した30重量%の白金
ニッケル合金微粒子を担持した炭素粒子を使用した以外は実施例1と同様にして
行った。
実施例7
ベンジルアルコールに代えて、アルギン酸の5重量%水溶液を使用した以外は実
施例1と同様にして行った。
比較例1
白金ニッケル合金微粒子を担持した炭素粒子を使用しない以外は、実施例1と同
様にして行った。
比較例2
白金ニッケル合金微粒子を担持した炭素粒子を使用しない以外は、実施例2と同
様にして行った。 表1には、実施例1から6ならびに比較例1および2で得られたG
QDの発光特性と収率を一覧した。発光特性として、450nmの光で励起した場合
の発光スペクトルのピーク波長および半値幅を記載した。
全実施例で良好な収率を得、100nm前後の狭帯域発光するGQDが得られた。
さらに、不均一触媒系では触媒の回収が容易で、繰り返し使用も可能なことが示さ
れた。一方、比較例ではGQDは実質的に生成しなかった。
【産業上の利用可能性】
この事例での製造方法で製造されるGQDは、液晶ディスプレーや照明の光源とし
て使用される(青色)LEDの波長変調材料や、太陽電池の変換効率の改善が期待
される波長変換材料や、高性能なバイオ・プローブとして使用されることが期待さ
れる。
【ケルボニー化事業の展望】
枯渇の心配のある代表格がハードウッドだ。主に広葉樹の硬くて腐朽にも強い材である。
家具のほかフローリング、ウッドデッキなど内装材、外構材などに使われる材は不足気
味となっている。樹種で言えば、ケヤキやブナ、ミズナラのほか、チーク、ウォルナッ
ト、マホガニーなど。いずれも人気が高く、需要は増えている。だが、日本国内はおろ
か世界中で過伐が進んで、資源が底を尽きつつある。とくに熱帯産ハードウッドは、多
くが天然林から違法伐採されたもので、使うこと自体が問題視されるようになった。し
かし成長が遅いので植林される例は少ない。そこに朗報。意外な解決法が登場している。
針葉樹材(ソフトウッド)を広葉樹材(ハードウッド)に変える、というも技術が登場
したのだ。それをケボニー化と呼ぶ。
簡単に説明すると、サトウキビやトウモロコシなど農業廃棄物から抽出した物質を針葉
樹材に加圧加熱しながら含浸させる。柔らかい針葉樹材の細胞壁に染み込ませると重合
して、木質成分の一つヘミセルロースが増えたような状態になり、広葉樹材のような硬
い材質になる。比重は何十%も高くなり、木質は硬く、曲げ強度も上がり、寸法安定性
が増す。何より腐朽や磨耗にも強くなる。
このケボニー化技術(下図参照)は、カナダのシュナイダー教授が発明し、数年前から
ノルウェーで製造が始まり市販されるようになった。主にラジアータパインやスコッチ
パイン材をケボニー化してウッドデッキや屋根、桟橋、変わったところではギターやカ
トラリーなどの食器類にも使われる。これらの品質は30年保証がつけられるという。日
本への導入例はまだわずかだが、保育園や個人邸のデッキなどがある。
腐朽や磨耗に強い木質素材としては、①表面に樹脂塗装をしたものや、②WPCと呼ば
れる木粉にプラスチックを混ぜて固めた複合素材がよく使われる。しかし、こちらは木
質というよりプラスチックに近い。見た目もテカテカ光るし、手触りも木と似て非なる
もの。燃やす以外のリサイクルもできない。同じく薬剤を注入した防腐木材なども環境
によいとは言えない。しかし、ケボニー材は、色が濃く重厚な雰囲気となり、手触りも
木材そのもので、廃棄後もリサイクルできる。見た目が自然木そっくりなたげでなく、
成分に重金属や石油由来のものは含まず、ノルウェーのエコラベルも取得している。
例えば、スギ材をケボニー化する試験を行うと、ラジアータパインやスコッチパイン材
などよりずっと優秀な成績が出た。芯まで含浸できて、比重が40%程度上がり、硬度、
寸法安定性、耐腐朽性なども飛躍的に向上した。また材に粘りがあってひび割れなども
起こさない。もしかしたら、スギはケボニー化に最適な材なのかもしれない。とすれば、
スギが世界中で求められる日が来るかもしれない。 ここは、セルロース(あるいはリグニン)
ナノファイバーとの特性差による棲み分けが進むものと考えるし、多様性(選択の自由
度の拡大)を考える望ましい。有り体に申せば、持続可能な社会に向け、住宅建築、木
工家具、フローリング、ウッドデッキなど内装材、外構材、日曜雑貨品領域の進化に大
いに期待するものである。