34 喧噪の虚しさ / 雷天大壮(らいてんたいそう)
※ 大壮とは、大(陽)が壮んであること、また大いに壮んであること、
陽気が下から盛りあがり、上の陰気を衰えさせる形である。陰気な
ことはすべて忘れて陽気に派手にさわぎながら行く状態。したがっ
て、外見ほどには実質をともなわない憾みがある。まさに天(乾)
上に雷鳴(震)がとどろきながら、一向に雨の気配がないという卦
象そのままである。こういう特には、自分自身をいま一度ふりかえ
ってみる必要がある。事業を拡張するのもよい、力を頼んで突き進
む時でもある。しかし、甘い気持でいると大失敗を刻招くこと必定
である。
● 今宵もほっとウイスキーとひとり鍋: 大根と豆腐のおろし鍋
材 料:大根 6㎝(150g) 大根おろし 12㎝(300g)、豆腐1/2丁(150g)水 2カッブ、
刻み大根葉 少々、調味料:昆布 5g、塩 小さじ
作り方:①大根は半月切り、豆腐は4等分、②鍋に見ずと昆布、塩、大根を入れて火に
かけ大根が柔らかくなれば、大根おりし、豆腐、刻み大根場をちらし火を通す。
最近は、ものすごく疲れるときは、ストレートを前酒としてぶっ込んでから、鍋を突き、
ウイスキーにお湯を注ぎ頂き、身体をホカホカ疲れ癒している。本当に便利になった。
その年の五月から翌年の初めにかけて、私は狭い谷間の入り口近くの、山の上に住ん
でいた。夏には谷の奥の方でひっきりなしに雨が降ったが、谷の外側はだいたい晴れ
ていた……それは孤独で静謐な日々であるはずだった。騎士団長が顕(あらわ)れる
までは。
村上春樹 著『騎士団長殺し』 第1部 顕れるイデア編
24日、村上春樹が複数巻にわたる長編としては『1Q84』(新潮社)以来7年ぶりとなる
作品『騎士団長殺し』(新潮社)を出版。
当然、読むべきだろうが、今のところその余裕はない。気が向けば感想を、小説「火花」
の時のように掲載していこう(いまは偏頭痛がひどいので、行ければの話だが)。ところ
で、「村上春樹が新作『騎士団長殺し』に込めたメッセージとは? 昨年末に語った歴史
修正主義批判との関係は」(新田 樹、LITERA)では、こんなタイトルで、ドナルド・
トランプ大統領や安倍晋三首相やその支持者への批判や日本大震災と原発事故に触れつつ、
人間の生活を犠牲にしてもとにかく効率と経済的利潤を追い求める新自由主義的価値観へ
の批判をあげ、回の『騎士団長殺し』に排外主義や歴史修正主義への批判が含まれている
可能性はかなり高いと言えるだろうと。昨年10月、デンマークれたハンス・クリスチャン・
アンデルセン文学賞の授賞式に参加した村上春樹の、アンデルセンの小説『影』を取り上
げ象徴的なスピーチを次のよう紹介しているが、これは読んでみないとわからない。
アンデルセンが生きた19世紀、そしていま私たちが生きる21世紀でも、必要なときに、
自分の影と向き合い、立ち向かい、ときには協力だってしなければいけません。それ
には“正しい”知恵と勇気が必要です。もちろん、かんたんなことではありません。
ときには危険が生じることもあるでしょう。でも、それを避けていたら、人は正しく
成長し成熟することはできません。最悪の場合、『影』の物語の学者のように、自ら
の影に滅ぼされて終わってしまうかもしれない。
影と向き合わなければならないのは、ひとりひとりの個人だけではありません。社会
や国家もまた、影と向き合わなければなりません。すべての人に影があるのと同じよ
うに、すべての社会や国家にもまた、影があります。明るく輝く面があれば、そのぶ
ん暗い面も絶対に存在します。ポジティブな部分があれば、その裏側にはかならずネ
ガティブな部分があるでしょう。
ときに、私たちはその影やネガティブな部分から目を背けがちです。あるいはこうし
た面を無理やり排除しようとします。なぜなら人は、自らのダークサイドやネガティ
ブな性質を、できるだけ見ないようにしたいものだからです。しかし彫像が確固たる
立体のものとして見えるためには、影がなくてはなりません。影がなければ、ただの
薄っぺらい幻想にしかなりません。影を生み出さない光は、本物の光ではありません。
どんなに高い壁を築いて侵入者が入ってこないようにしても、どんなに厳しく異端を
排除しようとしても、どんなに自分の都合にいいように歴史を書き換えようとしても、
そういうことをしていたら結局は私たち自身を傷つけ、滅ぼすことになります。影と
ともに生きることを辛抱強く学ばなければいけません。自分の内に棲む闇を注意深く
観察しなくてはなりません。ときには暗いトンネルのなかで、自らのダークサイドと
向き合わなければなりません。もしそうしなければ、やがて、あなたの影はもっと大
きく強くなり、ある夜、あなたの家のドアをノックするでしょう。「帰ってきたよ」
とささやきながら。傑出した物語は多くのことを教えてくれます。時代や文化を超え
て学ぶべきことを。
Michael J. Aziz
【RE100倶楽部:突然のデクサマニーの返礼 2】
● 米ハーバード大 最長の寿命、大容量化できる有機物蓄電池
9日、米ハーバード大学の研究チームが再生可能エネルギーに由来する電力を蓄える用途
に適する蓄電池を開発。長寿命、大容量、低コストという3つの特徴を備える。有機物に
電荷を蓄えるレドックスフロー電池で実現したという(スマートジャパン「最長の寿命、
大容量化できる有機物蓄電池」2017.02.23)。レドックスフロー方式は、昨年、産業総合
研究所らのグループの研究成果を報告して以来である)「デグサマニーの返礼Ⅰ:安価か
つ環境に優しい共融系二次電池」(「おしまいの断片・考」2016.06.08)。
電力源に占める再生可能エネルギーの割合が60%を超え、さらに高まっていったとき何
が起こるかというと、①国際間の電力融通や②需要側を制御するデマンドレスポンスが一
般化すると同時に、③膨大な電力をいったん蓄え、数時間後に放出する蓄電池の普及が進
むとみられる。このような蓄電池には3つ前提条件――①システムコストが低いこと、②
10年単位の寿命があること、③大容量が容易―――を実現できることであり、さらに、
この3つを兼ね備えたリチウムイオン蓄電池の開発が困難と見られている。そこで、米エ
ネルギー省(DOE:Department of Energy)は、3つの条件を満たす蓄電池を開発するため
の資金を提供。例えば、1キロワット時当たり百ドル未満という目標を示している。
同研究グループは、充放電を千回(サイクル)繰り返した場合でも、初期容量の99%を
維持できた。上図からは、充放電1回当たりの容量維持率(Capacity retention)が99.9989%
であることが分かる。500サイクル後も初期容量の99.5%を維持できているという。DOEの
Energy Storage Research at the Office of Electricityでディレクターを務めるImre Gyukは、発表
資料の中で「今回の研究は、サイクル寿命を大幅に改善し、コストを大幅削減した将来の
電池を目指す上で重要な意味を持つ。効率的で寿命の長いレドックスフロー電池は、電力
網のインフラストラクチャの一部として標準となると期待している」と述べているが、そ
の特徴は、以下の3つ。
蓄電池の容量が増加する 低コスト サイクル寿命が長い
● 中性の溶液で低コスト化
研究チームによれば、現在、ほとんどのレドックスフロー電池は、電池内部の化学反応に
耐える高価な高分子膜を、イオン交換膜として用いている。装置コストに占める割合は高
く、総コストの3分の1を占めることさえある。高価な高分子膜を安価な炭化水素の膜(
陰イオン交換膜)に置き換えるには、膜の両面の水溶液を中性に保つことで実現でき、さ
らに。非腐食性であるため、安価な材料を使って、タンクやポンプなどの電池の構造を作
くれるメリットもある。
先行研究では、有機物である①メチルビオロゲンのモノマー(単分子)やポリマー(高分
子)を、負極側の溶液に溶かし、②正極側にはやはり有機物である安定ニトロキシドラジ
カルの一種であるTEMPO((2,2,6,6-tetramethylpiperidine 1-oxyl) )や③フェロセン誘導体を用
いる提案があった。レドックスフロー電池に利用するには、電荷を蓄える性質、つまり、
複数の電気的状態を安定に採る性質が必要。3種類の有機物はこの条件を満たしているが、
これら3つの有機物には寿命、電力量という共通の課題があった
そこで、登場するのが、官能基は炭素と水素、窒素からなるビストリメチルアンモニオプ
ロピル基(BTMAP)(下図)だ!BTMAPの効果は大きく、主な効果は分解抑制と高い溶
解度にある。ビオロゲンの両端にBTMAPを付加することで分解が極めて起こりにくくなった。
さらに1リットル中に2モル(mol)ものビオロゲン誘導体を溶解できるようになる。蓄えら
れる電荷が増え、BTMAPを付加することで、1分子当たりに蓄えられる電子の数が従来の
2個から4個に増え、蓄電量が増える。
ビオロゲン分子(上)と官能基を付加した誘導体 BTMAPを青色で示す。
出典:米ハーバード大学
※ BTMAPを付加した後も、濃度と寿命の関係は残っている。例えば、0.75M/l~1.00M/l
という先図に示した比較的低濃度の溶液では1サイクル当たりの容量維持率は99.9989%
(1日当たり99.967%)だが、高濃度(2M/l)の場合は、同99.9943%(同99.90%)とわず
かに低下。正極側に適した分子としてフェロセンは理想的な分子だが水に全く溶けない。
このため、ビオロゲンの安定性を高める手法を応用し、ビオロゲンと全く同じBTMAP官能
基を2つフェロセンに付加する(下図)。溶解度は同じく2M/l。水溶性フェロセンはレド
ックスフロー電池に用いる分子としては全く新しいカテゴリーとなり、BTMAPには他の利
点もあり、陰イオン交換膜は、ビオロゲン誘導体とフェロセン誘導体を分離し、塩化物イ
オン(Cl-)だけを通さなければならないが、左右の誘導体が混合すると性能が低下する。
BTMAPを追加することで、電極と誘導体の電荷のやり取りにはあまり悪影響を与えず、陰
イオン交換膜を塩化物イオンが通過する頻度(クロスオーバー速度)を引き下げることに
成功する。
フェロセン分子(左)と官能基を付加した誘導体 ビオロゲンと同じBTMAPを付加した。電
子を放出すると2つのベンゼン環ニはさまれた鉄がFeIIIに変化、受け取ると再びFeIIに戻る
出典:米ハーバード大学
※ 私たちは、塩化第二鉄の電解再生の実験の経験があり、このようなフローバッテリの
研究開発に注目している。
風力発電や太陽光発電に由来する電力を大規模に蓄電し、ある程度の時間維持し、必要に
応じて外部に供給するには大型で寿命が長く、低コストな電池が必要だ。重量やエネルギ
ー密度よりもこれらの性質が優先される。
※ 関連特許 特開2009-295922 エネルギー貯蔵デバイス 株式会社カネカ
【要約】
0.1M以上の濃度で電解液中に溶解したビオロゲン誘導体塩、もしくビピリジル誘導体
塩を負極活物質として用い、正極として遷移金属錯体、アニリン系低分子化合物、中性ラ
ジカル化合物、π共役高分子から選択された少なくとも一つの活物質を使用し、さらに電
極として、活性炭素、繊維状炭素、多孔質炭素等を電極として使用する。例えば、少なく
とも正極、負極、電解液、セパレータ、少なくとも一部が前記電解液中に溶解した活物質
からなり、該活物質が含窒素芳香族化合物、及び/または含窒素芳香族化合物の四級化ア
ンモニウム塩である事を特徴とするエネルギー貯蔵デバイスで、容量密度の大きなエネル
ギー貯蔵デバイスを提供する。
● 今夜の一曲
モーツァルト: 弦楽四重奏曲 String Quartet No.19「不協和音」, in C, K.465
弦楽四重奏曲第19番ハ長調K.465『不協和音』は、ヴォルフガング・アマデウス・モーツ
ァルトによって、1785年に作曲された。ハイドン・セット全6曲中最終曲。第一楽章の冒頭
22小節に、きわめて大胆な和声効果をもつ序奏がおかれていることから『不協和音』の愛
称で知られるが、序奏以外はモーツァルトらしい明快な曲で、室内楽の中でも屈指の名作
の一つ。
【楽曲構成】
れている。チェロはハ、ヴィオラは変イ、第2ヴァイオリンは変ホ、第
1ヴァイオリンはイの音で開始する。 第2楽章:Andante cantabile 第3楽章:Menuetto 第4楽章:Allegro