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恒産と恒心のハザマ

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                         梁恵王篇 「仁とは何か」  /  孟子        

                               

      ♚ 恒産なければ恒心なし:「どうもわたしには、自信が持てそうもない。
        ひとつ、相談相手となって指導していただきたい。微力ながらなんとか
        やってみたいと思うが」
        「生活が不安定でも良心を失わないのは、ごく限られた人だけです。一
        般の人は、生活が安定しなければ良心を失います。そしていったん堕落
        すれば、人はしたい放題、伺をするかわかりません。当然罪も犯します。
        罪を犯させておいて、それから捕えて罰するのでは、人民を捕り網にか
        けるようなものです。仁徳ある為政者が人民を捕り網にかけるような政
        治をしてよいものでしょうか。したがって、名君ともなれば、人民が親
        に満足な暮しをさせ、妻子も十分養えるような政治をします。豊作の年
        にはもちろん、不作の年でも餓死者を出さないようにし、そのうえで人
        民をひっぱっていきます。人民もこうなればよろこんでついて来ます。
 
        ところが現状はどうでしょう。どうみても両親に満足な暮しをさせ、妻
        子をも十分養えるような政治は行なわれていません。豊作の年にも生活
        難にあえいでいるほどですから、不作の年には死者続出です。たとい死
        なずにすんでも、食べることに精いっぱいですから、礼を修め義を行な
        う余裕などと孟 うていありません。もし天下の王者をお望みなら、ま
        ず政治の根本を正すべきです。五畝の宅地を利用して桑を植えるよう奨
        励すれば、五十すぎの老人には絹の服を着せてやれます。

        家畜が繁殖するよう飼育法を指導すれば、七十すぎの老人には肉を食膳
        にそなえてやれます。農繁期に農民を徴用にかり出さなければ、百畝の
        田で八人家族の一家が飢えることはありません。そのうえで教育を重視
        し、孝・梯の道徳を徹底させれば、白髪まじりの老人が重い荷物を持ち
        歩くような状態はなくなります。老人は絹を着、肉を食べ、人民は飢え
        もこごえもしない政治、そういう政治を行なって、しかも王者になれな
        かったという例はないのです」

        【解説】 まず相手の興味をひき、ついで自信を持たせ、一転して相手
        の誤りに一撃をくわえ、まいったところで自分の主張を納得させる。孟
        子の巧妙な弁舌を示す一章。孟子のいう仁義が、修身教科書的な”精神
        論”でないことは、この一章によっても明らかだ。物質的な良づけがな
        ければ、百の説教も用をなさない。刑罰を考える前に、生活の安定をは
        かれというのである。

 

   No.81



【風力発電篇:「Tsetsii Wind Farm」運転開始】

10月6日、ソフトバンクグループのSBエナジー株式会社は、モンゴルのNewcom LLC社の合弁会社は、
モンゴル国ゴビ砂漠での出力規模5万kW(50メガワット)の風力発電所「Tsetsii Wind Farm(ツェツィ
ーウィンドファーム」の営業運転を開始したことを公表。「Tsetsii Wind Farm」は、モンゴル国内の電力
需給逼迫の緩和への貢献および自然エネルギーの促進と同国の持続的な経済発展および気候変動の緩和に
寄与を目的にClean Energy Asiaが発電事業者となり建設した風力発電所で、このプロジェクトで発電する
電力はモンゴル国内けの送電網に接続し、モンゴルでの国内消費を目的に供給する。

Jan. 29 ,2015

モンゴルでは国全体で113万kW(1,130MW)の電源設備容量を設置、その電源構成は。石炭火力68%、
ディーゼル6%、自然エネルギー6%、水力2%と自然エネルギーの割合が低い。また、同国は経済成長
にともなう電力の需給逼迫が喫緊の課題となり、気候変動の影響を受ける国も8位(下表)に位置付けら
れており、自然エネルギーなどの安心安全な電源の設置が必要とされる国の一つ。モンゴルでは2015年に
エネルギーセクターの中長期目標・計画(2015‐2030年)を定めた国家電力政策が国会で承認され、総発
電容量に占める自然エネルギーの割合を2020年までに20%、2030年までに30%まで引き上げることを
目標(上図)とし、国際金融機関やドナー国と協力してエネルギー分野の投資促進を行うこと、ゴビ地域
の豊富な太陽光、風力資源を活用することなどが定められ、同国政府は温室効果ガスの排出削減にも積極
的に取り組んでおり、2国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism:JCM)で、日本と最初に覚書の締
結を行った国でもある。



【エネルギータイリング事業篇:最新電力管理システム】


● 電気事業者向け最新電力制御技術

❏ 特開2017-184617 電力管理システム、電力管理方法、及び制御装置 京セラ株式会社

【概要】

電力の自由化により、従来の電力会社だけではなく、特定規模電気事業者(=電気事業者)も電力使用者(
=需要家)に対して電力を供給することができるようになったが、電気事業者は電力会社と比べると大規
模な発電設備や送電設備を持たず、送電設備も所有していない場合が多い。そのため電気事業者は、電力
会社の設備を借りながら事業を進めることとなるため、顧客が翌日消費すると見込まれる電力の需要計画
値(=計画値)を電力会社に事前に連絡し、この計画値に見合った電力を自身での発電や別途調達した電
力により供給義務を負う。

一方、需要家側の電力需要量は、需要家の日々の活動だけでなく、気象条件の変化や突発的な事象等によ
り大きく影響を受け、気象変化や突発的事象の計画値と使用実績値のギャップが生じ、このとき、大規模
な発電設備を持たない電気事業者は、電力供給の予備が少なく電力の供給不足が発生、電力供給不測が発
生しても電力会社の送電網を借りている場合は、電力会社の電気が需要家には供給されるため需要家が電
力不足で困ることはないが、電気事業者は電力会社から高額の補償金を請求され、この補償金が経営圧迫
の一因となる。

そのため、電力の供給不足が発生した場合の需給バランスを取るが、需要家側に設置した補助電源に指示
を出し発電を行い、この発電によりアンバランスを緩和/解消するが、従来技術では、補助電源の容量や
定格出力に制限があるため、最適な需給バランスがとれないアンバランスが生じた場合に単純に蓄電池を
充放電し、アンバランスを緩和、解消できなかった。このように、従来よりも補償金の支払いを抑えた電
力制御をできる電力管理システム、電力管理方法、及び電力管理装置の提供にあっては、下図ののごとく、
制御装置(32)が需要家施設(3)における電力需要の計画値に応じ、蓄電池(31)を充放電させ、
需要家施設(3)における電力の需給バランスを調整する電力管理システムであって、制御装置(32)
は、需要家施設(3)における単位時間満了時点での電力の使用実績の予測値を算出し、計画値と予測値
との変動幅を算出し、変動幅に基づき、蓄電池(31)の翌日に用いる充放電制御アルゴリズムを選択で
きるにする。
JP 2017-184617 A 2017.10.5

 

● 複数蓄電出力の統配電最新技術

❏ 特開2017-184607  配電システム及び電力合成回路 パナソニックIPM株式会社

【概要】 

蓄電池とパワーコンディショナを含む蓄電システムを、複数並列設置法が普及してきている。複数の蓄電
システムを並列に設置したシステムでは一般的に、系統連系時は各々が独立に負荷に交流電力を供給する。
一方、系統の停電により自立運転時に使用される自立出力線には、絶縁や、単相2線から単相3線に変換
することを目的にトランスが挿入されることが多い。このように自立運転時は、複数のパワーコンディシ
ョナから出力される交流電力が合成される。この場合、トランスを、複数のパワーコンディショナの単相
2線を合流した後の配線に挿入されるとした場合、合流後の配線は電力が大きくなり、大きな定格容量の
トランスを使用する必要があり、トランスが大型化しコストも高くなる。自立運転する際は、各々の交流
電力を合成させて負荷に供給させる。

そこで、メインのパワーコンディショナの自立出力線に上記トランスを挿入し、単相3線に変換された後
の配線に、サブのパワーコンディショナが単相2線の交流電力を重畳することが考えられる。自立運転時
は系統電圧が存在しないため、メインのパワーコンディショナは規定の交流電圧を生成する必要がある。
サブのパワーコンディショナも、メインのパワーコンディショナと同期して交流電圧を生成する連携形態
もあるが、サブのパワーコンディショナは電圧を規定せず、負荷電流を並列数で按分した電流を出力する
連携形態もある。

一般に、後者の連携形態ではメインのパワーコンディショナの方が、サブのパワーコンディショナより消
費電力が大きくなる。その場合、メインのパワーコンディショナに接続された蓄電池の方が、サブのパワ
ーコンディショナに接続される蓄電池より容量の減りが早くなる、が。メインのパワーコンディショナの
自立出力線にこのトランスを挿入し、単相3線に変換された後の配線に、サブのパワーコンディショナが
単相2線の交流電力を重畳する方式では、メインとサブを交代させることができない。従って蓄電池の容
量が不揃いとなる。このように、系統と独立に、並列接続された複数の分散型電源から負荷に電力を供給
する際、出力線に挿入されるトランスを小型化しつつ、複数の分散型電源の負担を平準化することができ
る配電システム及び電力合成回路の提供にあたり、下図のごとく、交流電力を単相2線で出力する第1電
源装置10と、交流電力を単相2線で出力する第2電源装置20と、第1コイルと第2コイルの両方が単
相3線式のトランスT1と、単相3線式の第1スイッチと、単相3線式の第2スイッチと、を備える。第
1コイルの第1端子、中点端子、第2端子は、第1スイッチの入力側の第1端子、第2端子、第3端子に
それぞれ接続され、第2コイルの第1端子、中点端子、第2端子は、第2スイッチの入力側の第1端子、
第2端子、第3端子にそれぞれ接続される。第1スイッチの出力側の第1端子、第2端子、第3端子と、
第2スイッチの出力側の第1端子、第2端子、第3端子がそれぞれ接続するものである。

JP 2017-184607 A 2017.10.5

【符号の説明】

1  配電システム、  2  負荷、  10  第1電源装置、  11  第1蓄電部、  12  第1電力変換部、  13  第1制御部、 
20  第2電源装置、  21  第2蓄電部、  22  第2電力変換部、  23  第2制御部、  31  第1太陽電池、  32  第
2太陽電池、  T1  トランス、  RY1  第1リレー、  RY2  第2リレー、  RY3  第3リレー、  RY4  第4リレー、  CT1 
第1電流センサ、  CT2  第2電流センサ、  CT3  第3電流センサ

 ● 電気システム構成要素過熱火災防止最新技術

❏ 特開2017-184604 導体温度検出器 ソーラーエッジ テクノロジーズ リミテッド社

【概要】 

コネクタ導体の欠陥で電気システムにおける構成要素が過熱し、場合により火災の原因となる。過熱の際
に、アーク検出回路が常に起動されるとは限らない。導体の過熱は、発電及び変換中の太陽の暴露と構成
要素加熱で、システム構成要素温度が既に高い場合、電力システム――太陽光発電及び風力発電システム
――が重大な問題となり、コネクタは、経時的な電気的接触機構の侵食で過熱する傾向があり得る。論理
回路――システムセンサ/デバイスに隣接しないコネクタや導体領域――を含む構成要素に隣接しない電
力システムの部分の過熱検出が特に困難な作業なケース、システムにおける構成要素の過熱を迅速検出に
効果的な解決法が必要とされている。

JP 2017-184604 A 2017.10.5


 ● 影の出力低下/ホットスポット解決する最新技術

❏ 特開2017-184577 太陽電池発電システム 三菱ケミカル株式会社

【概要】 

 一般的に太陽電池モジュールは大きな起電力を得るには、各太陽電池セルが直列接続された太陽電池セル
ユニットを並列接続構造とする。このようなタイプは、使用中に受光面の一部に様々な要因によって影が
生じた際に、影の部分のセルが直列に接続された方向と逆方向に接続されたダイオードとして振る舞いで、
大きな抵抗となり、直列接続方向の電流が抑制され出力が低下することになる。さらには、影が生じた太
陽電池セルは、過大な逆バイアス電圧負荷がかかることにより局所的に熱が発生し(ホットスポット)、
その結果、該太陽電池セルに不可逆的な欠陥が発生する。

このような問題に対し、各セルユニットに流れる電流量の制限で、局所的に発生する熱の問題を解決する
技術が知られている。また、直列接続の段数nが次式(1)を充足する太陽電池モジュール構成で、電圧
を調整して局所的に発生する熱を抑制する技術が知られている。

    n<Rshm/2.5/Vpm×Ipm+1・・・(1)

このように、太陽電池モジュールに影がかかった際に生じる出力の低下と、ホットスポットと呼ばれる局
所的な熱の問題を解決する技術を提供にあたり、下図のごとく太陽電池モジュールが複数並列に接続され
た太陽電池発電システムであって、この太陽電池モジュールは、太陽電池セルが直列接続された太陽電池
セルユニットを少なくとも有し、少なくとも2つの太陽電池モジュールで、直列接続の太陽電池セルユニ
ットに中間電極線が配置し、かつ、中間電極線どうしが接続されている太陽電池発電システムの構成/構
造で問題をを解決する。

JP 2017-184577 A 2017.10.5

【符号の説明】

100、100´  太陽電池セルユニット 11  素子基板 12  下部電極 13  光電変換層 14 
上部電極 14´  上部電極導通部 200  太陽電池発電システム 20a、20b、20n  薄膜太
陽電池モジュール 21  集電線 22  中間電極線 23  導線


 ● 電効率を低下させず、発電効率の高い熱光発電最新技術

❏ 特開2017-184567  熱光発電装置及び熱光発電システム 大阪瓦斯株式会社

【概要】 

一般に、物体を加熱すると、物体を構成する物質および物体の温度に応じたスペクトルを有する光――輻
射光を生じる。この輻射光を太陽電池セルで捉え発電する装置を、熱光発電(TPV)装置という。この
熱光発電装置は、特定の波長をより多く含んだ輻射光を発する(輻射する)熱輻射光源と、熱源からの熱
を熱輻射光源に供給する熱供給部と、光電変換素子を備えた光電変換部と、を含んで構成される。熱輻射

光源は、例えば板状の金属材料からなる基材の一方を吸熱面とし、他方を輻射面として構成される。熱供
給部は、熱輻射光源の吸熱面と対向する状態で接触して配置され、光電変換部は、熱輻射光源を挟んで熱
供給部とは反対側に、輻射面と対向して配置される。すなわち、光電変換部は、熱供給部に対向して配置
される。このような熱光発電装置は、熱供給部と、熱輻射光源の吸熱面とが対向して接触して配置するた
め、熱輻射光源の面積を任意に増やせない上、熱輻射光源の種類(例えば光透過性の材料の場合)により
熱供給部から光電変換部の光電変換素子で変換できない波長の輻射光が漏えいし、光電変換部での発電に
寄与せず損失になる。この場合、光電変換部は光電変換部の光電変換素子で変換できない波長の輻射光に
より加熱され、発電効率をさらに低下させてしまう。

このように発電効率の高い熱光発電装置の提供にあたり、下図のごとく、熱を輻射光に変換する熱輻射光
源として、熱光変換素子12を備えた平板状の輻射部10と、熱源から供給された熱を輻射部10に供給
する熱供給部20と、輻射光を受光して発電する光電変換素子31を備えた平板状の光電変換部30との
構成/構造で問題解決する。

JP 2017-184567 A 2017.10.5
 
【符号の説明】

1 :熱光発電システム 10  :輻射部  11 :赤外透明基板 12:熱光変換素子 20 :熱供給部(支持部) 30 :
光電変換部 31 :光電変換素子 32 :熱吸収部 40  :冷却部 50  :遮蔽部 51 :光反射体 52 :断熱材
60 :空間 61 :真空容器 100:熱光発電装置

【電気自動車篇:高性能発電機】

 ● 軽量でエネルギー変換効率の高い回転電機

❏ 特開2017-184579 回転電機 スズキ株式会社 

【概要】 

動力源として回転電機が各種装置に搭載されている。このような回転電機としては、高残留磁束密度のネ
オジム磁石を回転子の鉄心内部に埋め込んだ永久磁石式の同期モータであるIPM(Interior Permanent Ma-
gnet)型が多用されている。本事例のIPM型の回転電機は、永久磁石が埋め込まれている回転子と、回転
子に対面する複数のティース間のスロットにコイルが収容されている固定子と、を備える回転電機で、回
転子で、永久磁石が形成する磁極間のq軸上に、磁束の通過経路を導く透磁率の小さな整流空隙を備え、
前記整流空隙が、q軸上において複数個所に分離されるように配置される。つまり、IPM型では、軽量
化でエネルギ変換効率の向上する回転電機の提供にあっては、下図のごとく。永久磁石16がV字型に埋
め込まれている回転子12と、当該回転子に対面する複数のステータティース15間のスロット18にコ
イルが収容されている固定子11と、を備える回転電機10であって、回転子において、永久磁石が形成
する磁極間のq軸上に、磁束の通過経路を導く透磁率の小さな整流空隙30を備え、当該整流空隙は、q
軸上において複数個所に分離されるように配置する構成/構造を特色とする。

JP 2017-184579 A 2017.10.5

 【符号の説明】

10 回転電機(IPM型) 11 固定子 12 回転子 12a 外周面 13 回転軸 15 ステータティース 16 永久磁石
17 V字空間 17b、17c フラックスバリア 18 スロット 20 センタブリッジ 21 センタ溝 22 サイド溝 23 サイ
ドエンド溝 30、31、32 整流空隙 35、36 連結ブリッジ G エアギャップ

● 今夜の一言:恒産と恒心のハザマ

巻頭のの孟子の「恒産なければ恒心なし」のように、「恒産」された生活水準が飛躍的に高まった先進諸
国では、古代世界と異なり衣食住が事足りているかのように見える国内社会でも、何とも気味悪い殺人事
件がとぎれることなく起きている。当事者にあっては、わたしたちの想像を超えた「破滅衝動」誘因する
背景があるのだろうが、それが、世界的なとどまることを知らない「格差社会」や、複雑化した人間関係の軋轢」
に忌諱しているのか、はたまた、現代社会に合致した倫理の欠落に由来するのか、あくまでも個別動機によるも
のか、この薄気味悪い現象を解く手がかりをわたし(たち)はもっていない。さて、どうするか?

 


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