※ 衆と楽しみを分かつ:荘暴(斉の臣)が孟子に会ってたずねた。
「先日、王にお目通りしたとき、王は音楽が大好きだと話されま
した。わたしは、なんともお答えしなかったのですが、いかがで
しょう、王が音楽好きになるというのは」「結構ではありません
か。お国が泰平に近づくしるしですよ」、それからしばらくして、
孟子は宣王に謁見した。「このあいだ、荘暴に『音楽が好きだ』
と話されたそうですね」、宣王は顔を赤らめて、「いや、わたし
のは固い音楽ではなくて、俗っぽいほうで……」
「あなたが音楽を好まれるのは、お国が奏平に近づくしるしです。
俗曲でも固い音楽でも同じことです」「というと?」「いったい、
音楽というものは、一人で演奏するのと、ほかの人と一緒とでは、
どちらが楽しいものでしょう」「それは、ほかの人と一緒のほう
が楽しい」、「では少数の人と楽しむのと大勢の場合とでは?」
「もちろん大勢のほうだ」、「その楽しみのことで申し上げたい
のです。かりにあなたが演奏会を催されたとします。その笛や太
鼓の音を聞きつけた人民が、眉をしかめて、『王さまは音楽を楽
しんでおられるが、そんならどうして、おれたちをこんなどん底
生活にたたきこんでおくんだ。親子は会えもしない。兄弟妻子は
離ればなれだ』、あるいは狩猟にお出かけになったとします。そ
の車馬の音を聞き、旗飾りを眺めた人民が、眉をしかめて、
『王さまは狩りを楽しんでおられるが、そんならどうして、おれ
たちをこんなどん底生活にたたきこんでおくんだ。親子は会えも
しない。兄弟妻子は離れぱなれだ』、人民がこう不平をいうのも、
あなたが楽しみを人民と分かちあわないからにほかなりません。
かりにあなたが演奏会を催されたとします。その笛や太鼓の音を
聞きつけた人民が、うれしそうな顔で、『王さまはどうやらお元
気らしいな。そうでなくては、音楽を楽しまれるはずがない』あ
るいは狩猟にお出かけになったとします。その車馬の音を聞き、
旗飾りを眺めた人民が、うれしそうな顔で、『王さまはお元気ら
しいな。そうでなくては、狩りを楽しまれるはずがない』、人民
がこういうのは、ほかでもない、人民と楽しみを分かちあえばこ
そです。もしあなたが人民と楽しみを分かちあわれるなら、天下
の王者になれるのです」
【解説】人間は、喜びを他人と分かちあいたいという感情をもつ。
ところが、それを相手が受け入れないのは、これを阻害する要因
があるからにほかならない。その阻害要因を発見して除去し、連
帯意識をスムーズに流通させることIこれは指導者だけでなく、
よりよき人間関係をつくる要諦であろう。ちなみに、当時の流行
であった女楽などは、相当あやしげなものであったらしく、国王
がそれに耽って国を滅ぼした例さえあったという。荘暴が心配の
あまり孟子にたずねたのは、このためである。
5月25日、ロンドンの大英博物館では、江戸時代の浮世絵師である葛飾北斎の晩年の作を中心に紹介す
る北斎展「Hokusai: beyond the Great Wave」 が開催された。日本美術に関してはその所蔵品の多さと、ス
タッフの知識の豊かさで定評のある同博物館が、2013 年の春画展以降、久々に放つ大規模な日本美術展
で評判を読んでいる。北斎については、このブログで初めて触れている(『北斎から千波へ』、2011.05.
06)。
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葛飾北斎 (1760年~1849年)は、「富嶽三十六景」や「北斎漫画」などで世界的にも知られる、日本を代
表する江戸時代後期の浮世絵師。生前から画工として名声が高かったが、名誉を求めず、衣食住に無頓着
でひたすら作画に没頭した奇人としても知られる。代表作「富嶽三十六景」発表当時の北斎は70代。以降
90歳で死去する間際まで、晩年になってもその創作意欲が衰えることはなかった。1849年、浅草にある遍
照院の仮宅にて死去。一点に安住することなく常に自己変革に努め、その生涯に転居数が93回、改号(改
名)数が30にも及んだとされる。北斎の作品が海外に知られたのは1830年代、日本からフランスに陶磁器
が送られた際に、それを包んだ紙が「北斎漫画」だったことからという。しかし長崎の出島に滞在するオ
ランダ人の間では既にその画力の高さが広まっており、北斎は彼らから委託され、何枚もの作品を描いて
いた。
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昨夜、「北斎インパクト~世界が愛した超絶アート~」(2017年10月7日(土) 午後9時00分(90分))をみ
る。それによると、いま、葛飾北斎がブーム、だと言う。日本では、広重、写楽、歌麿など、数多くの浮
世絵師の一人。ところが海外では全く事情が違い、あの「波」の絵は、モナ・リザと並んで最も有名な絵
画の一つと言っても過言ではないほど、巨大な影響力をもった存在。ルイ・ヴィトンやティファニーなど、
誰もが憧れるブランドの商品に、北斎のデザインが大きな影響を与えてきたが、今年に入り、イギリス・
オーストラリア・ポーランドと、世界各地で北斎の大規模な展覧会が開かれ、特に話題となったのが、今
年の夏に開かれた、大英博物館の展覧会。会期中、北斎の作品を見に、何と十万人もの人が訪れたという。
才絵師の評価が、海外と日本の北斎人気のギャップが大きい。レオナルド・ダビンチに匹敵するといわれ
あまりに巨大な業績ゆえ、その全貌が見えにくいうえ、明治以降、傑作といわれる作品の多くが海外に流
出してしっている。もともと美人画から生命力あふれる多様な生き物たち、不気味なお化け、さらには、
番組では紹介が難しい春画しゅんが(巨大タコと美女の絵など)の傑作まで、あまりに多ジャンルの作品を
3万点近くも描いてしまったので、国内ではいわゆる美術史的な評価が、長く定まらなかったと開設され
ているが、わたしが小布施町でみた北斎はまごうことなき天才いや天才を凌ぐ鬼才であることを瞬時に了
解している。
さて、番組では、海外ではモネ・ゴッホ・ドガといったスター画家たちに多大な影響を与えただけでなく、
欧州の現代史や、社会思想にまで複雑にかかわり、あまりに大きな影響に驚愕する内容になっている。例
えば『富嶽三十六景』はポーランドのヤシェンスキーはパリ留学でエドモンド・ゴンクールとの付き合いもあり、浮
世絵の虜になり、北斎に感銘を受け、フェリックス"マンガ"ヤシェンスキーと名乗ったエピソードも残っている。彼は
国を分割されたポーランドは長く独立を守り独自の文化を守った日本を模範にし、その象徴である浮世絵のような、
オリジナルの何かを想像すべきと主張、フェリックス・ティコティンが同じように感じたかどうかは定かではないが、当
時のポーランドで同じように感じた人は少なからいてポーラーポーランドを独立へと導いている。、さて、今年初め、
北斎の展覧会を企画する大英博物館から、ある申し出があり、NHKが開発した8K超高精細画像を使い、
北斎の作品を撮影、その画像を研究に役立てることに成功する。通常のテレビ(ハイビジョン)の16倍の
解像度をもつ8Kで北斎作品を拡大してみれば、北斎の天才的な技法の秘密を解明できるのでは、という期
待とともに、国際共同制作で調査。その結果は、想像を上回るものとなり、北斎が作品に込めた意図や意
味が、8K画像から次々と明らかにさせる展開となっている。
May 19, 2017 theguardian
Oct. 7. 2017 NHK BS
『薬膳:透明なリフレッシュ野菜のスープ』
先回に引き続いて、薬膳スープのレシピについて。材料は、ニラ、ニンジン、セロリ3茎、ニンニク2片、ケー
ルまたはチャード(または葉の緑の混合物)、乾燥シタケキノコ (またはブレンドきのこ) 、一握りの
新鮮なイタリアンパセリ 、大豆、ショウガ、ターメリック、海塩、黒コショウ、水、バター(またはエキ
ストラバージンオリーブオイル大さじ1) 。調理もか簡単。野菜を大まかに大きめのものに切り刻む 。
ターやオリーブオイルを除くすべての成分を、炊飯器に入れ、水を加え、加熱は高い場合は5~6時間、
低い温度では場合は10~12時間に設定、最後に、バター、オリーブオイルを加え頂く。尚、濃厚ブロ
ストは具材・香辛料をミキサーに入れ液状化し冷蔵庫内で保存(1週間)、冷凍保存は3ヶ月間。
ところで最近は食品加工技術進歩し便利な商品が出回っている。例えば、味の素の『鍋キューブ』 。この
ブイヨンを使用し、非クリアースープだけれど(下表特許参照)、具材を選択しアレンジすれば薬膳(デ
トックス)スープが作り得る。便利になったものだと再確認。
● 濁りのある液状食品の清澄を抑制し、粘性付与した調味料組成物
❏ 特開2015-006147 :濁りのある液状食品の清澄化を抑制する調味料組成物及び方法
味の素株式会社
従来より、白湯鍋等の濁りのあるスープは、幅広い消費者に支持されている。その理由としては、濃厚な
旨味やコクといった食味が高く評価され、その独特な乳白色の外観や、なめらかな食感が好まれているこ
とも、広く支持されている。一方、乳化剤及び増粘剤を併用することで、シチューやカレーの固形ルウの
表面に発生するファットブルーム(fat bloom:はチョコレートなどに生じる劣化現象)を防止し得る。濁
りのあるスープは、調理の際に生肉等を投入すると、濁りが減少してスープが清澄化し、好ましい外観が
損なわれ、商品価値が落する課題があり、スープが低温時に生肉等を入れ、その後に加熱を行った場合、
顕著に清澄化する。インスタントラーメンや、カレー、やシチューのルウ等も濁りのあるスープの一種の
これらの調理は肉の加熱後に調味料を投入に清澄化が起こる懸念がないが、鍋料理等では生肉を調味料と
同時に調味料の添加後に投入し調理を行うため、スープの清澄化が起こって商品価値が低下するという課
題がある。この清澄化に対し、定の乳化剤と増粘多糖類とを、特定の重量比で併用することにより、濁り
のあるスープにおける清澄化を抑制でき、液状食品に好ましい粘性を付与し得ることを次の条件で見いだ
す。
1種である乳化剤、並びに(B)増粘多糖類を含有し、乳化剤と増粘多糖類との重量比が、A:B
=2: 8~9:1である、調味料組成物。 増粘多糖類が、ガム類及びアルギン酸類よりなる群から選択される少なくとも1種である、前項1
記載の組成物。 乳化剤の含有量と増粘多糖類の含有量との合計が、3~23重量%である、前項1、2項に記載の
組成物。 調味料が、濃縮調味料である、前項1~3のいずれか1つに記載の組成物。 固体状である、前項1~4のいずれか1つに記載の組成物。 濁りのある液状食品の調理用である、前項1~5のいずれか1つに記載の組成物。 濁りのある液状食品が、乳化食品である、前項1~6のいずれか1つに記載の組成物。 (A)レシチン及びHLB値が7~16である親水性乳化剤よりなる群から選択される少なくと
も1種である乳化剤、並びに (B)増粘多糖類を添加する工程を含み 乳化剤と増粘多糖類との
重量比が、A:B=2:8~9:1である、濁りのある液状食品の清澄化を抑制する方法。 濁りのある液状食品の清澄化が、液状食品に非加熱の動物性たんぱく質を添加した後、液状食品を
加熱することにより生じるものである、前項8記載の方法。
JP 2015-6147 A 2015.1.15
※ HLB値(エイチエルビーち)とは界面活性剤の水と油(水に不溶性の有機化合物)への親和性の程度を表
す値である。 HLBは、Hydrophilic-Lipophilic Balanceの頭文字を取ったものである。
次回は、薬膳材料と効能と最適組み合わせんについて考えてみよう。