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静謐は信なり。

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 【オールソーラーシステム完結論 16】

 ● 三次元量子ドットLED実用化に道!

東北大学・原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)および流体科学研究所(IFS)の寒川誠二教授・
肥後昭男助教グループは北海道大学大学院情報科学研究科の村山明宏教授、東京大学大学院工学
系研究科の中野義昭教授らの研究グループと共同で、バイオテンプレート技術と融合して世界で
初めて高均一・高密度・無欠陥の6層積層した3次元ガリウム砒素/アルミニウムガリウム砒素量子
ドットを作製することに成功。さらにこの量子ドットを用いて発光ダイオード(Light Emitting
Diode:LED)を作製し、電流注入によるLEDからの発光を世界で初めて実現したと公表(2014.09.
04)。尚、この研究グループは、バイオテンプレート極限加工により損傷がなく10倍高密度の量
子ドットの作製発光させ、高速通信用量子ドットレーザー実現に向け前進させている(下図参照)。

 

※ バイオテンプレート

生体超分子を用いて無機材料を配置したり合成する手法。これまでに奈良先端技術大学院大学の
山下教授と寒川教授は生体内で鉄量調整たんぱく質・フェリチンを用いて、光リソグラフィー技
術の限界22ナノメーターより微小なナノ粒子配列を加工マスクとする超微細エッチング加工に
成功している。フェリチンは外径12ナノメーター、内径7ナノメーターで、鉄酸化物ナノ粒子
を持つ。自己組織化能を利用してフェリチンをシリコンあるいは化合物半導体基板上に2次元配
置し、たんぱく質殻部分を熱処理またはオゾン処理で除去すると、2次元配置された7ナノメー
トル径鉄ナノ粒子の分散配列ができる。この鉄ナノ粒子をマスクとして中性粒子ビームエッチン
グ加工すると無欠陥でサイズの揃った高密度で等間隔なナノメートルオーダーの量子ナノ円板構
造が作製できる。今回は開発したバイオテンプレート技術をガリウムヒ素に応用した。

 

ガリウム砒素などの化合物半導体はシリコンに比べて光の発光効率や吸光効率が極めて高く、特
に化合物半導体の量子ドットレーザは、ナノスケールの構造から生じる量子効果によって、(1)
より単色化され(2)高強度な光を(3)低消費電力で温度の影響少なく発光できることが期待
され、その実用化が精力的に検討されているが、(1)従来の加工法では、微細化に限界がある
ばかりではなく、(2)脆弱な化合物半導体では激しく欠陥が生成されるため、発光効率が大き
く劣化する問題点がある。(3)また、損傷を回避するために開発された量子ドット作製法では、
サイズや密度、位置などの制御が難しく、高効率な発光の実現や発光波長の制御が不可能だった。  

鉄などの金属微粒子を内包したたんぱく質が、特殊な処理をした表面に自発的に規則正しく配列
した構造を作る性質を用いて、金属微粒子を化合物基板の上に高密度(面密度:1×1011cm-2)に
等間隔(20ナノメートル)間隔)で配置した。その後、たんぱく質だけを除去して金属微粒子を加工
マスクとして中性粒子ビームによる無損傷エッチングを行うことにより、ナノメートルオーダの
欠陥のないガリウム砒素/アルミニウムガリウム砒素が6層に積層した柱状の構造(ピラー構造)
が20ナノメーター間隔で高密度(6×1011cm-3)に配列した構造を世界で初めて形成した。作製さ
れた高均一・高密度・無欠陥の積層ガリウム砒素/アルミニウムガリウム砒素ピラー構造は、量子
ドットLEDやレーザの量子ドット構造として極めて有望で、従来に比べて10倍以上の発光強
度が期待される。

化合物半導体量子ドットレーザおよび発光ダイオード低消費電力光素子として、また超高速光変
調素子として、飛躍的に高まる通信需要に応えユビキタス情報化社会を支える重要な技術であり、
広く研究されている。これらのデバイスを実現するにはナノメートルオーダでサイズや密度、位
置などの制御された量子ドット構造を作製することが求められているが、従来のトップダウン型
のリソグラフィ技術とエッチング技術に依存した微細加工技術では大きな困難が予想される。現
状のリソグラフィ技術では光源やレンズ系の設計において22ナノメートルよりも微細なパターン
形成することは技術的・経済的に大きな壁がある。また、プラズマエッチングでは、ナノメート
ルスケールの構造形成においてはプラズマからの紫外線照射による表面欠陥生成が大きな問題と
なっている。特に化合物半導体はシリコンに比べて不安定な材料でプラズマに対して脆弱である
ため、プラズマエッチングによる欠陥のないナノ構造作製は不可能であると言われてきた。一方、
ボトムアップ法で量子ドットを形成する手法としては、格子ひずみを利用した自己形成量子ドッ
ト作製法が一般的だが、この手法は寸法のばらつきを十分に抑えることができない、ドットの密
度に限界(109−1010 ?-2)がある、サイズに制限がある(数10ナノメートル程度)、材料を自
由に選択することができない、ひずみに伴う格子欠陥が不可避であるなどの問題がある。そのた
め、十分な性能の量子ドットレーザやLEDの実現には、良好な量子効果を持つナノ構造の再現性の
よい欠陥の発生しない作製技術の確立が急務となっていた。

 

この研究では、バイオテンプレート極限加工法により化合物半導体(ガリウム砒素)の無損傷エ
ッチングを実現することで、室温にて量子効果を示す厚さ数nm、直径10nm 程度のナノピラー構
造を、無欠陥、均一、高密度(1011?-2以上)、等間隔(20ナノメートル)で2次元配置できる
ことを初めて示しました。有機金属気相成長装置(MOVPE)を用いて、GaAs/AlGaAs のウェハを
バイオテンプレートと中性粒子ビームの組み合わせで極限加工することで、GaAs のナノディス
クが積層した高さ100nm 程度のピラーを欠陥なく作製することに成功。さらに、MOVPE 装置を使
ってアルミニウムガリウム砒素バリア層を再成長させ保護膜を形成(パッシベーション)するこ
とで高品質界面の実現に成功し、世界で類をみないトップダウンエッチングで作製した量子ナノ
ディスク構造を内部に持つLED構造の作製に成功。

精密な量子ドットデバイス製造技術が急速に波及していくと、量子ドット型太陽電池が普及し、
30%超の廉価で高高変換効率のソーラーパネルが普及し、持続可能な社会が意外と早く実現で
きると確信している。これは面白いことだが、サムソン電子はいち早く量子ドットディスプレイ
の生産に乗り出すという ^^;。

  

 

 

● 吸引力は他社の20倍 自律型清掃ロボが登場!



 

あのデジタルモーターのサイクロン掃除機がダイソンがやってくれました。高いデザイン性で人
気の英国の家電メーカー、ダイソンが4日、ロボット掃除機を開発したと発表した。来年春、世
界に先駆けて日本で売り出す。米アイロボット社の「ルンバ」を追い日本メーカーも相次ぎ参入
しているが、ダイソンは、独自技術を使った吸引力の強さをアピールする。価格は未定だが10
万円以上になる見込みだ。360度を見渡せるカメラを持ち、家具の配置や段差を自分で把握し
て隅々まで掃除する。同社のこれまでの掃除機と同じように、吸い込んだ空気を竜巻のように回
転させてゴミを分離する、「サイクロン」と呼ばれる技術を使っている。

電池が少なくなると、自らスタンドに帰り、充電が終わると、中断した地点に戻って掃除を再開
する。外出先からスマートフォンで「月曜の午後3時から」などと掃除機に指示も出せる。創業
者のジェームズ・ダイソン氏は「吸引力は他社のロボット掃除機の20倍。しっかり掃除できる」
と話しているが、ジェームズ・ダイソンは、「日本を制すれば世界を制する」をひたすら信じて
いるかのうようだ。 

 




朝からの雨、修理したが雨漏りの心配があるというので彼女は浮かぬ顔。そこで、わたしを信じないさいと諭した
が、結果は上々。" 静謐は信なり。"そんなことを考えていたら、若かりしころは失敗の連続だったが、それでも自
分を信頼し乗り越えてきたことを思い出していた。"若気の至り"とはいえ燃えるような情熱があったればこそと、老
いた自分を叱咤したが、夏の疲れが取れないでいる。                                                             


ポスト・城郭都市巡礼の明日

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● 身近なマルチメデイア・ツール

 

 

A:カメラ   背後の赤外線ダイオードで7ミリメートルの半径内のドットパターンを読み取り、位
        置情報を送信し画像処理し、自動的にペンの文字情報の翻訳や数式計算を実行する。
B:プロセッサ 位置追跡アルゴリズムをサムスンアーム9プロセッサが実行する。
C:OLED  ペンの読み取り情報を単語変換しディスプレイに表示する。
D:メモリ   2つのギガバイトで、ペン情報と音声情報(100時間超)を保存する。USB対応ドック
        にペン接続すると、ユーザーはデータをアップロードできる(要量250メガバイト)。
E:録音ヘッド ペン付属マイクとイヤホーンの双方でステレオ録音が可能。

以上は6年前の性能仕様の話。いまは下図のようにWIFI機能が加わり高級ボールペン様態として進
化中ですぞ!

 

 【遺伝子組み換え作物論 29】  

  

    ? 教師や生徒に対する洗脳


  「教育活動」に見せかけて子どもや教師を洗脳するのも、バイテク産業の常とう手段である。
  米国では1991年から、アグリビジネス業界が、教師のために無料で快適な三日間の夏期研修
 をシカゴで開催している。バイオテクノロジーや工業式農業といった、近代的農業技術の素靖らし
 さを教師に「教える」ことが目的である。ただし、参加するためには、アグリピジネスに関する
 様々なパンフレットなど「研修で配布される資料を使って新たな学習教材を作成する」ことが条件
 とされている。
  1999年には全米で5000以上の学校に、『Biotechnology in our food chain―an on line inform-
     ation service(現代の世界−−入イオテクノロジーとあなた)』と題する立派な冊子が配布された。
  遺伝子組み換え技術を称賛するこの冊子を製作したのはバイテク産業であり、彼らの目的はこの
 冊子を世界中に配布することだった。たとえば2001年には、「スコットランド開発公社(SE)」
  が、教師や環境運動家、消費者団体の反対を押し切って、14万部の冊子をスコットランドの学校
  に配布した。


                                                                 第8章 バイテク産業に対して広がる抗議活動


   バイテク企業は、巨大な権力を駆使して政治の機能を衰退させてきた。しかしそれにも関わらず
 世界中の人々が抗議を拡大しており、遺伝子組み換え作物が侵略する速度は確実に落ちている。モ
 ンサント社の理想は、15年から20年以内に世界の種子を100%遺伝子組み換えに代えること
 だったが困難となりつつある。
  1996年に商業栽培が開始されて十数年経つが、遺伝子組み換え作物の作付面積は、世界の耕
 作地の5%であり、大規模に生産しているのは6ヵ国だ。
  その生産国でさえ、米国以外の国々では強い反対が起きている。主要な作物は、トウモロコシ、
 大豆、ナタネ、綿の4種類であり、ほとんどが家畜の飼料や繊維、食用油として使われている。
  新たに開発された作物も、次々と失敗に終わっている。2004年頃までの事例を紹介しよう。
  1999年頃に商品化された遺伝子組み換えジャガイモは、マクドナルドなどのファストフード
 店でフライドポテトとして販売されたが、消費者から不人気たったため販売を中止した。

  ・2003年、モンサント社は、医薬品の遺伝子組み換え作物を生産することを断念した。
  ・2004年3月、バイエル社は、英国やEU諸国における遺伝子組み換え大豆の商品化を断念
   した。
  ・2004年4月、スペインは、シンジェンタ社が開発した遺伝子組み換えトウモロコシの販売
   を中止した。このトウモロコシによって、抗生物質が人間に効かなくなる危険性をEUから警
   告されこたと、原因だった。
  ・2004年5月、シンジェンタ杜は、すでにEUで認可を受け、農家に販売していた遺伝子組
   み換えトウモロコシの種子の販売を自主的に中止した。消費者から強い反発を受けたことが理
   由たった。
  ・2004年5月、モンサント社はオーストラリアにおける遺伝子組み換えナタネの販売計画を
   中止することを余儀なくされた。連邦政府が商業栽培を認可したわずか四ヵ月後に、各州政府
   が栽培の禁止や延期を決定したためだ。
  ・2004年5月、モンサント杜は、遺伝子組み換え小麦の栽培を世界的に断念すると発表した。
   小麦は人間にとって主要な食用作物であり、栽培に反対していた自然食品業界にとっても重要
   な勝利だった。モンサント社が断念した理由の一つは、遺伝子組み換え作物の商業栽培が始ま
   ってから8年経った段階でも、小麦の開発が順調に進まず、農家も栽培を望んでいなかったこ
   とがある。そしてもう一つの理由は、パンの原料である作物が遺伝子組み換えになることに、
   大多数の消費者が強く反対したことによる。


  (I)遺伝子組み換えフリーゾーン

  
  遺伝子組み換え作物が各地で急速に普及したことによって、市民の問題意識も高まり、遺伝子組
 み換え作物を栽培しないことを決定・宣言した地域も増えている。
  2004年に「ガーディアン」紙に掲載された記事は次のように報じている。

  「フランスの1000の町、ギリシャの半数以上の県、オーストリアの九つの州、そして英国で
 も多数の自治体が、遺伝子組み換え作物の栽培を禁止している」
  2003年6月にはスロバニア全域と、オーストリアとイタリアの一部地域が、「遺伝子組み換
 えフリーゾーン(遺伝子組み換え作物を栽培しないことを決定した地域」を宣言した。2005年
 の時点で欧州全域では、172の州や県、四五〇〇の市町村が遺伝子組換えフリーゾーンを宣言し
 た。イタリアでは7割の州、27の県、2000の町で宣言している。
  その他にもドイツやスイスの一部、スペインのバスク自治州、ブラジルで二番目に大豆を生産し
 ているパラナ州、フィリピンのボホール州、カナダのパウエルリバー地域、そしてボリビアとクロ
 アチアも宣言した。スイスでは2005年11月に国民投票が行なわれ、遺伝子組み換え作物の国
 内栽培を少なくとも五年間は全面禁止することが賛成多数で決まっ超。アフリカのザンビアも遺伝
 子組み換え作物の栽培を禁止する計画であり、アイルランドでも2005年4月に、1000の地
 域で遺伝子組み換えフリーゾーンを宣言した。
  中国では米国から大量に輸入されている大豆に代えて、世界最大規模の非遺伝子組み換えの大豆
 畑を開拓することを計画している

  (2)試験栽培に反対する直接行動

  遺伝子組み換えに反対する人々の要求を各国政府が無視してきたため、試験栽培の畑に入りこん
 で、遺伝子組み換え作物を刈り取る直接行動も増えている。
  EUは、1988年から新しい遺伝子組み換え作物の承認を一時中止していたが、承認手続きを
 再開することを2003年に発表した。そこで、フランスではその夏、遺伝子組み換え作物に反対
 する「農民同盟(CP)」が各地で活発に直接行動を展開した。「農民同盟」ピカルディー地区の
 ブルーノ・ギャロ代表は、「遺伝子組み換え作物に反対する戦いを通して、我々の決意の固さを示
 す必要がある」と語る。彼らの戦略のIつが直接行動によって、人々に遺伝子組み換え作物の危険
 性を知らせることなのである。こうした影響を受けてバイエル社は、「フランスで試験栽培を継続
 するか検討中である」と発表した。

  英国でも2003年9月にバイエル社が、「現在、英国では試験栽培が行なわれるたびに、作物
 が引き抜かれる状況が続いている。事態が改善されるまで、英国での試験栽培から撤退する」と発
 表した。直接行動の成果が実証される結果となった。
  インドでは2003年9月に、バンガロールで試験栽培を行なっていたモンサント社の研究所を、
 40人の農民が破壊した。モンサント社は、「温室が破壊され、貴重な植物を失ったことに深刻な
 危機感をもっている」と警戒している。実はこの地域で3ヵ月間に70人もの農民が白殺していた
 がその原因は、干ばつや借金だけでなく、遺伝子組み換え作物にあった。研究所の破壊は、モンサ
 ント社に激怒した人々の抗議活動だったのである。カルナータカ州「農民組合(FA」のナンジュ
 ンダスワミ教授は、「抗議行動に参加した人々は、以前からモンサント社に対し、"インドから撤
 退せよ"という警告文を送っていた」と指摘する。試験栽培に開わっていた農民たちも、抗議活動
 に参加していた。
 
  ブラジルでは2003年6月に、100万人が参加する団体「土地なし農民運動(MS工」のメ
 ンバー約200人から2000人が、モンサント社が所有する農園を襲撃したと報じられた。同年
 だけでもこうした事件が、三回も起きている。「土地なし農民運動」の指導者アフォンソ・アラン
 テスは次のように指摘する。
  「モンサント社は、ブラジルでも遺伝子組み換え作物の商業栽培を始めるために、この施設で種
 子を生産していた。しかし、この施設は法律に違反している。彼らは、種子開発を研究していただ
 けだと言い訳するが、実際は、商品化に向けた種子を生産していたのだ」

  (3)連帯する人々

  ニュージューランドでも遺伝子組み換え作物の栽培を一時凍結していた。しかし、その再開が
 決定された2003年、反対運動家たちは遺伝子組み換え作物の導入を絶対に阻止すると宣言した。
  一時凍結を求める市民センター(PMEA」のレンク・ロックフォードは次のように語る。

  「私たちは議会に請願を出し、法案も提出した。新聞に投稿し、市民にアピールするため国会前
 で裸になるパフォーマンスまで行なった。できることのすべてを実行したが、政治家は誰も聞き入
 れなかった。残された方法は、直接行動しかなかったのだ」
 
  オークランドの運動家ペニー・ブライトも同様に語る。

  「不当な行為が法律になってしまった時、それに反対するのは市民の義務である。遺伝子組み換
 え作物を栽培するのなら、私たちが引き抜く」

  英国でも同様に、NGO「緑の手袋の誓い(Green Gloves Pledge)」が全国で菜園や園芸に関わ
  る人々を集め、園芸用の手袋をはめて、試験栽培中の遺伝子組み換え作物を引き抜いた。2004
 年春には、3300人がこの「誓い」に署名した。その結果、幸いにも、バイエル社は英国におけ
 る遺伝子組み換え作物の商業栽培から撤退することを決め、この活動は終了した。
  日本の消費者も、積極的に運動を展開してきた。2002年12月には、愛知県の農業試験場と
 モンサント社との共同開発による遺伝子組み換えイネに反対するキャンペーンが実施され、開発は
 中止となった。さらに2003年11月には、岩手県における開発にも40万7000名の反対署
 名が集まり、農水省の担当者は、岩手県における試験栽培の中止を発表した。
  ハワイでも、コーヒーの生産者が団結して、遺伝子組み換えコーヒーの商品化と試験栽培に反対
 する共同声明と決議を農務局に送り、ハワイにおける開発を阻止した。
  米国のカリフォルニア州メンドシーノ群では、2004年3月に住民投票を行ない、遺伝子組み
 換え作物の栽培を条例で禁止しか米国初の地域になった。バイテク産業は、住民投票を失敗に終わ
 らせるために、60万ドル以上も使ってキャンペーンを展開した。その全のほとんどはモンサント
 社、デュポン社、ダウ社などが設立したロビー団体「クロップライフ・アメリカ」が提供してい加。
  さらにカリフォルニア州では、トリニティー群とマリン群、アーケータ市でも住民投票が行なわ
 れたが、禁止条例の制定には失敗した。ただしその一方、2005年4月には、米国東部のニュー
 イングランド地方で、100近くの町が遺伝子組み換え作物の栽培を規制する決議を行なった。

                    リーズ、アンディ 著 『遺伝子組み換え食品の真実』  

                                       この項つづく    

 

 
● ポスト・城郭都市巡礼の明日 ラ・コリーナ近江八幡

 

そんなことで?「シャーレ水ヵ浜」のランチ帰りに、旧厚生年金会館跡地の工事現場をのぞいて帰って
きた。ラ・コリーナ近江八幡にオープンする、たねや・クラブハリエのメインショップの建物設計は、
例の長野県出身の建築史家・建築家の藤森照信氏(『スターウォーズ巡礼の明日』、2013.05.10/『城郭
都市巡礼の明日
』、2014.05.13)。ユニークな建物を作ることで知られ、ひっぱりだこだというからチ
ョットした運命的な香りが漂った。 

ナノスケールノズル工学

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● 過冷却水の科学 

科学進歩の不可逆性により、わたしたちの常識はたちどころに覆されてしまう経験に慣れてしまっいるようにも思える。
例えば、ペットボトルに水を入れ、冷凍庫でゆっくり冷やす→水の融点(0℃)以下の温度に冷却されたとき、熱力学
的に安定な結晶が現われず、不安定な液体状態を保持(過冷却水:supercooling water)→これを取り出し外部から衝撃を
与える(解除過程)→ペットボトルの中の水が、一瞬にして氷になる「過冷却水」もその1つ。



自然界で水が過冷却している現象が一般的にみられるのは、雲を構成している水滴粒子である。通常−20℃程度でも、
過冷却していることが多く、それ以下になると凍結する割合が多くなる。非常に純粋な直径数マイクロメートル程度の
微少水滴は40℃近くまで過冷却が可能であることが実験的に確かめられている。不安定相の中に安定相が生成される過
程を核生成(nucleation)過程という。水だけでは核生成が起こる(凍結の過程)には、水の分子の小群(クラスター)
が偶然に氷状の構造に配列されたときに起こる。このような分子の凝集は 絶えず発生・消滅を繰り返している。温度
が低いほどその分子凝集の大きさは増大し、また発生頻度も増加する。そして ある大きさ(臨界径)に達すると核生
成に至る。この水自身だけで起こる核生成を均一核生成(homogeneous nucleation) とか、自発核生成(spontaneous nu-
cleation)という。水の自発凍結温度は−40℃と言われている。この温度以下では水だけで確実に凍結が起こるという。 

この現象をナノフルイディックス(Nanofluidics)という、「ナノスケールの空間に閉じ込められた液体の移動現象と化学
反応」という新領域創成科学からも説明されている(上図参照)。例えば、マイクロスケールのガラス管に電解質水溶液
を流した場合、壁近傍を除いて大部分は電気的に中性の液体となるが、ナノスケールのガラス管の場合、管の直径はデ
バイ長さ(=静電気力の特性長さ=表面電荷を打ち消すのに必要な距離≒電気二重層の厚み)と同程度になり、管の内
部はすべて電気二重層の内部となり、実質的に対イオンのみが管の内部に入るため、管の両端に圧力差を与え、液体を
駆動させると、対イオンのみが管を通り抜けるので電流・電圧が発生するので、力学的エネルギーを電気エネルギーに
変換する装置に応用できる。そこで、さらに小さい直径数ナノメートルのガラス細孔の場合は、点電荷−点電荷の相互
作用だけでなく、点電荷−双極子モーメントの相互作用も考慮した表面電荷のない細孔でも、細孔表面の僅かな双極子
モーメントの分布で静電気障壁が形成され、細孔内部の水は細孔の壁に強く拘束し、バルクの水のように水素結合のネ
ットワーク形成できず誘電率が低下→水の静電遮蔽効果が低下→静電気力支配拡大する。

つまり、直径数ナノメートルの細孔内の水が水素結合のネットワークを形成できない状態は、例えば、細孔内の水の凝
固点が下がることとも関係があり、0℃以下でも機能する吸湿材、霜のつかない表面などが実現できる可能性がある。
また、わずかな表面の違いによりイオン流が変化するため、様々な機能をもつ選択透過膜への応用展開できる。以上が、
氷点でも水か凍らない非常識の常識の話。

 
  
※遺伝子解析費用は2万分の1にまで削減!


【ナノスケールノズル工学】

『デジタル革命渦論』をベースとしたバイオインフォマテックなどのの生物工学の進展はめざましい。例えば、生体分
子はヌクレオチドからなる長鎖状分子であり、その配列は生体のゲノム/ポストゲノミックな遺伝子発現情報と直接的
に関連する。個体の一生の間に起こるヌクレオチド配列の変異または転位は、多くの場合、遺伝的異常または悪性腫瘍
といった病状を引き起こすが、他の場合には、各個体間の配列の少しの相違が、集団の遺伝的構成の多様性を反映する。
遺伝子配列の相違による、特定の個体は、薬物療法を含む環境からの刺激およびシグナルに対して異なる反応を示し、
ある患者が特定の組成物に対し良好な反応を示す一方で、他の患者は反応がない、または不都合な副作用を示しすこと
がある。

このように、遺伝的多様性および医学的・薬理学的意味合いを研究する集団遺伝学、メディカルゲノミックス、薬理ゲ
ノム学の分野は、大規模な配列の解析および大量のサンプル数を必要とし、生成される配列情報は、ヘルスケア、医薬
品業界にとり有用なもである。癌ゲノミクス、またその診断は、腫瘍形成へ至るゲノム不安定性を科学させている。こ
のように、全ての分野が核酸などのバイオポリマー分子の直線的な配列、バイオポリマーのメチル化のパターンなどの
エピジェネティックなバイオマーカーの迅速決定技術の恩恵を受ける。このことは、細胞1個よりもさらに少ない極少
量のサンプルの利用が求められ、細胞の状態のモニタリング能力、癌細胞の悪性ステージといった病気の発生・進行の
解析学習能力の飛躍的に向上するだろう。

● エピゲノム解析技術


また、ほとんどのゲノム/エピゲノム解析技術はの現状は、大きな集団に対し、広大なゲノム領域を解析するため高価
すぎるままである。ゲノム解析のコストをいわゆる「$1,000ゲノム」のマイルストーンまで、少なくとも4桁低
くするという目標を達成するためには、分子分析の新たな技術を必要としている("The Quest for the $1.000 Human
Genome" 2006.07.18  The New York Times)。そこで、高速シーケンシングのために開発された1つの技術は遺伝子を糸
のように通すナノスケール孔利用を含め、歴史的には、「ナノ細孔(Nanopore)」の概念が電圧印加でRNAおよびD
NA鎖を孔に通した時のイオン電流検出器型生体分子装置を利用しているが、生体系はpH、温度、電界に敏感で、生
体分子は、高感度のオンチップ半導体プロセスに組み込むことができなかった。また、固体状態の物質に人工的なナノ
細孔の設計/製造では、従来の膜開孔形成方法では、DNAまたはRNAなどの長鎖状生体ポリマーの真の1分子シー
ケンシングに必要な、より長いチャネルを形成できずにいた。そこで、下図の新規考案のようなナノスケールノズルあ
るいはナノスケールチャンネルが、バイオナノ ジェノミックス インク社より、(1)ナノチャネルは約0.5ナノメートルか
ら〜約1マイクロメートルの範囲の内径で、(2)長さは約10ナノメートルの直線状の狭窄ナノチャネルを製造する方法とナノノズル
装置アレイ構成が提案されている。

 
尚、この方法は、高分子による狭窄の通過に関連して発生する少なくとも1つのシグナルの測定、1つのシグナルの分子の1、ま
たはそれ以上の特徴との関連付けを含む(高分子によるナノチャネルの狭窄の通過に関連して発生するシグナルの測定の概略
を描いた、図1a、2a、および3aに表書)。適切なシグナルは、例えば、(1)電荷のシグナル、(2)光学的なシグナル、(3)電磁気
的なシグナル、(4)磁器のシグナル、またはそれらのあらゆる組合せを含む)。電気的なシグナルは、例えば、市販の様々な電流
計および増幅器を用いて測定することが可能で、例えば、適切なシグナル測定装置は、約1ナノボルト、または1マイクロボルト、
または1ミリボルト、または1ボルトまたはそれ以上からの一定電圧を、タンクおよびナノチャネルの部分の流体に接した電極を通
して印加することが可能で、また、電極間の電流を毎秒複数回にわたって測定も可能。さらに、少なくとも約100ヘルツ、約1キロ
ヘルツ、10kHz、100kHz、約1メガヘルツ、約10メガヘルツ、の帯域幅を有し、一旦測定がナノ秒、マイクロ秒、ミリ秒のスケー
ルの変形変換し、電流を作り出せる。電流の増幅はピコ秒から可能で。sDNAの輸送速度は、古典的な「パッチクランプ増幅器
(「パッチクランプ法による細胞膜電流の測定」)を通してマイクロ秒あたり約40塩基とするのも可能である。

 

   ● 今夜の一曲

 

   Well it's raining and it's pouring
    and my old man, well he is snoring 

         rainy day stay 

          well my brother, he builds a puzzle
          on the blue rug with lazy bubbles 

          rainy day please stay   

         rain rain don't go away, the sun can come back another day         
         rainy day please stay 

        well my mother, she doesn't bother with the dishes in the kitchen
         rainy day please stay


                                   “ Rain ”
                                Priscilla Ahn

プリシラ・アーン(1984年3月9日 - )は韓国系アメリカ人のシンガーソングライター。1984年3月9日、ペンシルベニア
州育ち。8歳頃より教会で歌い始める。母親からピアノを教わり父親の勧めで14歳からギターを始め、曲を書くように
なる。16歳から地元のコーヒーハウスで弾き語りを始め、17歳でシンガー・ソングライターになることを考えるように
なり、19歳でロサンゼルスへ移り、本格的に音楽活動をスタート。2008年、ブルーノート・レコードと契約、アルバム
『グッド・デイ』でメジャー・デビュー。2009年、フジロック・フェスティバルに参加している。スタジオジブリアニ
メの大ファンで、ジブリ作品に使われた曲ばかりのカヴァー・アルバムを作りたいという思いから着想された日本と欧
米の名ポップ・ソングのカヴァーアルバム『ナチュラル・カラーズ』を2012年発表しているほど。ジブリ作品からは「
風の谷のナウシカ」、「やさしさに包まれたなら」のカヴァーが収録。2012年10月、NHK BSプレミアムで放送されたテ
レビドラマ『そこをなんとか』の主題歌「アイル・ビー・ヒア」を担当。2013年3月、マツモトキヨシのCM曲「Story  は
街角に/Stop, Look, Lie」を書きおろし、2013年12月に三鷹の森ジブリ美術館に招かれてクリスマス・コンサートを行う。
2014年、スタジオジブリ映画『思い出のマーニー』の主題歌「Fine On The Outside」を担当。 2014年5月23日ジブリファ
ンに向けてメッセージ動画を公開。2014年7月23日、自身初のベストアルバムとなる「プリシラ・アーン・ベスト」を発
表。

プリシラのこの曲は、アルバムは上の2008年06月10日にリリースされたブルーノート·レコードアルバムの『グッドデ
(モーニングソング)−』に収められている。日常の何気ない一齣を切り取り、さりげなく歌ったアンニュイな一曲。 
 

結晶サイトエ学

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● 演色性を巡る「2」と「3」の抗争


国立大学法人東北大学・多元物質科学研究所の垣花眞人教授の研究グループは、青色光励起により強い
赤色発光を示すシリケート系酸化物蛍光体を開発。この研究では、これまで緑色蛍光体として知られて
きたEu2+賦活カルシウムケイ酸塩に対し、「結晶サイト工学」の概念に基づいてEu2+ 置換サイトを制御
することで、酸化物としては初めてとなる実用的な青色光励起・赤色蛍光体を実現。この蛍光体は照明
およびバックライト用高演色白色LED素子の応用展開が期待されている。従来の照明素子に比べて  低
消費電力、長寿命であり、照明分野での省エネルギーを実現が可能だ。同様の理由から、白色LEDは、
平面ディスプレーや携帯電話などの液晶パネルのバックライト光源として広<使用されているが、照明
用途の白色LED素子の多くは、青色LEDと黄色蛍光体(YAG:Ce)を組み合わせた二波長型と呼ばれるタイプ
は、得られる白色光は赤色の光が弱<、照明用光源として使用するには演色性が低い。




● 結晶サイトエ学

母結晶においてドーパントが占有すサイト(支配領域)を制御することで、物質の特異な機能を引き出す
ことができる。蛍光体の物質探索においては、新しい物質探索技術である。

これに対して、青色LEDに緑色蛍光体と赤色蛍光体を組み合わせた三波長型白色LEDは、二波長型で不足す
る緑色と赤色領域の光(上図参照)を補うことができ、高い演色性を実現できるが、現在までに青色光照射
で強い緑色発光を示す蛍光体が多数報告されてきたが、赤色蛍光体の実用的な蛍光体は、数種類の窒化物
のみに限られていた。これらの窒化物蛍光体の合成には特殊な製造工程を必要とする。今後、蛍光灯代替
など、白色LEDをより多種多様な光源へ利用するためには、より簡便な手法で合成可能な赤色蛍光体が求
められていた。Eu2+を少量調合したCa2SiO4が、紫外線励起により強い緑色発光を示すことは、古くから知
られてきた。下図に示すように、低濃度のEu2+を賦活したCa2Si04蛍光体(Ca1.9Eu0.1Si04)は、励起波長365nm
において、520nm付近を最大強度とするブロードな緑色発光を示しす。これに対して、今回、垣花グループが
発見した高濃度のEu2+を調合したCa 1.9 Eu0.8Si04は、波長365nmで励起した場合でも、最大発光波長を650n
mとする強い赤色発光を示す。このCa1.2Eu0.8SiO4赤色蛍光体開発には、「結晶サイトエ学」の概念を利用し
たEu2+の置換サイト制御が重要な鍵となっている。 Eu2+は、Ca2Si04のCaサイトに置換することができる。
ここでCa2SiO4は、大き<分けて2種類のCaサイト[Ca(1n)およびCa(2n):n=1-3]をもつ。

Ca(1n)サイトの平均Ca-O距離は、Ca(2n)サイトのそれに比べて長くなっています。結合距離が短くなると結
晶場が強くなるため、Eu2+からの発光が長波長化することが一般的に知られています。このことから、Eu2+
武活Ca2SiO4では、Eu2+をCa(2n)サイトに置換することで長波長の発光が得られると期待されるが、Eu2+イ
オンはCa2+イオンに比べて大きいために、空間的により広いサイトであるCa(2n)サイトに選択的に置換さ
れます。ここで、Eu2+賦活量を多<すると、Eu2+の一部は、Ca(2n)サイトにも置換されるだろうと発想。実際
に、Eu2+の賦活量を大きく変化させると発光スペクトルが顕著に変化し、Eu2+賦活量が20mol%(Ca1.6Eu0.4Si
O4)以上になると、長波長発光が発現することがわかった(上図)。続いて、リートベルト解析により、
Ca(1n)およびCa(2n)サイトにおけるEu2+占有率について調べてみると、緑色発光を示す低濃度賦活試料(Ca1.9
Eu0.8SiO4)では、大半のEu2+はCa(1n)サイトに置換され、Ca(2n)サイトヘの置換は.0.2%程度にとどまってい
るが、長波長発光を示す高濃度賦活試料(Ca1.4Eu0.6SiO4およびCal.2Eu0.8SiO4)では、Eu2+はCa(1n)サイト
だけでなく、Ca(2n)サイトにも2.5〜3.5mol%も置換された(下表参照)。このように、これまで緑色蛍光体と
して知られていたEu2+調合Ca2SiO4蛍光体に対して、「結晶サイトエ学」の概念に基づいきEu2+の置換サイト
を制御することで、高強度な赤色発光を得ることに成功する。



今夜は、目に見えない微量な蛍光体の成分配合と精製条件を変えることで人間的な物理特性の演色性を欲
求を満足させ、環境リスク本位制的な品質をも満足させることができる蛍光体、つまり発光ダイオード材
料の開発事例を学び、人間の欲望の多様性をまた新たな段階にあることも学びそれなりに科学・工学の面
白さも触発されたわけだが、その反面なぜそこまでして「高演色性」に拘るか不思議に感じる自分がいた
のもの確かで、実に不思議だ。 

 

 

 【遺伝子組み換え作物論 30】  

 



                                        第8章 バイテク産業に対して広がる抗議活動

   (4)バイテク産業の経営状況

  「社会科学研究所(ISIS)」は次のように報告している。

  「バイテク企業の株価は2000年がピークだったが、その後は急落している。米国でも欧州で
 も産業平均を下回っている。遺伝子産業では大量の解雇が起きており、数千人が職を失った。多く
 の企業が2桁の赤字を出している」。遺伝子産業が好調な時代は過ぎ去ったのである。
  米国では2002年に、バイテク業界全体で116億ドルという記録的な損失を出した。
 2001年に68億ドルだった損失が、71%も増加したのである。主なバイテク企業の損失を合
 計すると、2005五年までの累計で460億ドルにのぼる。米国の主要なバイテク企業318社
 のうち、2003年までの3年間、続けて黒字を出しだのは約20社だけだった。
  欧州でも同様に、バイテク産業の売上高は低下しており、従業員数も減少した。2002年には、
 研究開発への投資が11%減少した。科学誌『ネイチャー・バイオテクノロジー』(2002年3
 月号)の記事は、欧州における遺伝子組み換え作物の衰退を次のように伝えている。
 
  ・欧州委員会の調査によると、EU圈での試験栽培は1998年と比較して87%も減少した。
  ・近年では、遺伝子組み換え作物の研究開発を依頼されても、主要な農家化学企業の3分の2が
   断るようになった。
  ・欧州委員会の調査によれば、「欧州では市民の大多数が、遺伝子組み換え作物はほとんど価値
   がなく、社会的に危険であると考えている」
  ・欧州で実施されていた初期段階の開発事業は海外に移転しており、この傾向は今後も続くと思
   われる。 

  「社会科学研究所(ISIS)」も次のように報告する。
  「各社は次々と不採算の農業バイテク部門を切り離しており、2002年からはモンサント杜の
 経営状況も揺らぎはじめている。採算性が急激に悪化し、米国とアルゼンチンにおける種子の販売
 高も減少している」。2002年末には、モンサント社の最高経営責任者が交代した。
  モンサント社は、2003年10月には欧州から撤退を始めた。従業員を世界全体で九%削減し、
 1億8800万ドルの損失を出した。株価も約6%下がっている。2003年から2004年にか
 けては多くの作物の商品化を中止した

    
    (5)拒否された遺伝子組み換え小麦

  遺伝子組み換え作物がそれほど素晴らしいものであるのなら、なぜモンサント社はこれほど多く
 の反対にあうのだろう。とりわけ、遺伝子組み換え小麦を商品化しようとした時には、米国とカナ
 ダの「全国農民組合(NFU)」「米国トウモロコシ生産者協会(ACGA」「カナダ小麦委員会
 (CWB)」やその他の有機農業団体など200以上の団体が、中止を求めてロビー活動を展開し
 た。
  とくに危機感をもったのが、年間40億ドルの小麦を輸出するカナダの農家だった。「カナダ小
 麦委員会」は、「我々の販売先の3分の2は遺伝子組み換え小麦を歓迎していないし、一般の小麦
 に混入する可能性もある」と批判した。カナダの農家も87%が、一般の小麦を生産できるなら、
 遺伝子組み換え小麦は栽培したくない」と回答した。そのため、カナダの農業団体はモンサント社
 に対して遺伝子組み換え小麦からの撤退を求める意見広告を主要紙に掲載した。さらには最終手段
 として、「場合によっては裁判所に訴える」とまで主張したのである。

  「米国小麦連合会(USWA」も販売先や製粉業者、消費者の意向を調査したところ、そのほと
 んどが反対であることがわかった。米国も2002年には、36億ドルの小麦を輸出していた。
  小麦の販売先の一人は次のように語っている。

  「消費者が、遺伝子組み換え小麦でつくったパンを買いたいと言うまで、遺伝子組み換え小麦は
 生産しないでほしい。もしも少しでも遺伝子組み換え小麦の生産を始めたら、それが遺伝子組み換
 えだろうと、一般の小麦だろうと我々は購入しないだろう」

  アルジェリア、エジプト、EU、韓国、中国、フィリピン、インドネシア、マレーシア、そして
 最大の顧客である日本などの輸入業者も、繰り返し明確に「遺伝子組み換え小麦を受け入れること 
 はできない」と伝えてきた。
  最終的にはさすがのモンサント社も商品化をあきらめざるをえなくなり、2004年5月には、
 世界中で遺伝子組み換え小麦の事業から撤退すると発表した。「ニューヨーク・タイムズ」紙は、
 「モンサント社は、遺伝子組み換え小麦によって、数十億ドルもの輸出市場を失うことを危惧した
 米国農家に屈服する結果となった」と報じた。

 「食糧とバイオテクノロジーに開する信徒運動」のマイケル・ローゼマイヤーは、「米国の農家が
 遺伝子組み換え小麦を拒否したことで、モンサント杜は他の作物の開発についても躊躇するように
 なるかもしれない」と指摘する。
  しかし残念なことに、誰もが予測したとおり、遺伝子組み換え小麦を断念したはずのモンサント
 社は、カナダで秘密裏に試験栽培を続けている。カナダの遺伝学者ショー・カミンズは、「この現
 実こそ、カナダの規制当局がモンサント社に対してまったく従属的な立場にあることを示している」
 と批判する。

    (6)戦争は終わらない

  いくつかの勝利もあったが、安心はできない。小さな闘いに勝利したからといって、戦争が終わ
 ったわけではない。これまでバイテク企業は、数十億ドルも投資してきた。最後の最後まで、彼ら
 がこの事業から撤退することはありえないのだ。NGO「ジーン・ウオッチUK」のスー・メイヤ
 ーは、「ガーディアン」紙(2004年5月)の記事の中で次のように指摘している。
 
  「遺伝子組み換え飼料を家畜に与えることは今後も続くだろうし、人々が知らないうちに生産量
 が増える可能性もある。さらには、遺伝子組み換え作物をバイオ燃料や工業用化学薬品の原料、あ
 るいは牧草など食品以外の用途に使用するために、開発を進める可能性もある」
  さらにスー・メイヤーは新興国や途上国の将来について言及している。

  「バイテク産業にとって、途上国の市場は大きな魅力だ。すでに、インドに遺伝子組み換え綿を
 導入させたことで、アジアの巨大な綿市場に進出する足場を築いた。南アフリカも、アフリカ大陸
 に進出するために利用されたのだ」
  バイテク企業と農業化学企業にとって、アフリカは重要なターゲットだ。巨大な市場が存在して
 いるうえに、ほとんどの農民は種子を自家採取しており、これまではほとんど農薬を使用していな
 いからだ。バイテク企業は、東南アジアでも遺伝子組み換えトウモロコシを一挙に普及させようと
 している。こうした途上国には、食糧援助と称して遺伝子組み換え作物を送ることが、バイテク企
 業にとって新たな市場を開拓するための重要な手段となっている。

  旧共産主義諸国でも、すでにブルガリアとルーマニアでは遺伝子組み換え作物を商業栽培してい
 るため、地方全域で混入や交雑が起きる可能性がある。しかもこれら旧ソビエト連邦から新たに独
 立した国々では、事実上、まったく規制がされていない。モンサント社とデュポン社の子会社パイ
 オニア社はこの状況を利用して、遺伝子組み換え作物を広範に普及させようとしている。EUと国
 境を接し、EU加盟を希望している国々で遺伝子組み換え作物が広がれば、何の表示もされていな
 い遺伝子組み換え大豆やトウモロコシが、違法のままEU域内に輸入される可能性もあるのだ。
  現在旧共産主義圈で遺伝子組み換え作物を栽培しているのは、チェコ、ポーランド、スロバキア、
 ルーマニアだが、その面積はわずかである。
 

                    リーズ、アンディ 著 『遺伝子組み換え食品の真実』   

                                      この項つづく     

 

 ● デジタル南京錠

 

 

波長変換粒子工学

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 【オールソーラーシステム完結論 17】


今夜も、昨夜にひきつづき蛍光体の話。

日立化成が、発電変換効率向上できる波長変換粒子を開発。 WCP(Wavelength Conversion Particles)は、
長波長光(可視光)を短波長光(紫外光)に変換することで向上させる。この粒子を挿入した太陽電池
カプセル材シート(波長変換膜)を使用した場合、アクリル系樹脂に分散させたことで優れた耐久性を
もつこの太陽電池モジュールは、JIS C8919準拠の屋外試験で、従来の太陽電池封止材を用いた太陽電池
モジュールと比較し、2.2%変換効率を高めることが期待できるという。これらの粒子は製造プロセスを
変更や生産性に支障なく、変換効率の増大に寄与する。さらに、この技術の波長変換を使用することで
光学材料および他のアプリケーションの識別、偽造防止、信頼性などの新しい機能を追加できるという。

Wavelength conversion particles from Hitachi Chemical boost cell efficiencies by over 2%, 2014.09.09 PVTEC


従来の結晶シリコン太陽電池モジュールは以下のような構成特徴をもつ。

(1)表面の保護ガラス(カバーガラスともいう)は、耐衝撃性を重んじて強化ガラスが用いる。(2)
封止材(通常、エチレンビニルアセテートコポリマーを主成分とする樹脂、充填材ともいう)との密着
性をよくするために、片面はエンボス加工による凹凸パターンが施されている。また、その凹凸パター
ンは内側に形成、太陽電池モジュールの表面は平滑である。(3)保護ガラスの下側には太陽電池素子
及びタブ線の保護封止に封止材及びバックフィルムが設けている。

 一般に太陽光スペクトルのうち、360nm以下の短波長域及び1200nm以上の長波長域の光は、
結晶シリコン太陽電池における発電には寄与しない。このようなことは、スペクトル不整合、あるいは、
スペクトルミスマッチと呼ばれる。



(1)このため、蛍光物質(発光材料ともいう)を用い、太陽光スペクトルのうち、発電に寄与しない
紫外域または赤外域の光を波長変換することにより、発電に寄与しうる波長域の光を発光する層を太陽
電池受光面側に設ける手法が提案されている。(2)また、蛍光物質である希土類錯体を、封止材中に
含有させる方法も提案がされている。(3)さらに、従来から太陽電池用透明封止材として熱硬化性を
付与したエチレン−酢酸ビニル共重合体が広く用いられている。

ところが、発電に寄与しない光を発電に寄与しうる波長域の光に波長変換する技術課題は、(1)波長
変換層に蛍光物質が含有されているの蛍光物質が、一般的に形状が大きく、入射した太陽光が波長変換
フィルムを通過する際に、太陽電池素子に十分届かず、発電に寄与しない割合が増加する場合がり、波
長変換層で紫外域の光を可視域の光に変換しても、入射した太陽光に対する発電される電力の割合(発
電効率)があまり高くならない問題や、(2)蛍光物質による吸収や散乱損失のため、蛍光物質を導入
しない場合よりも、発電効率が下がってしまう問題があった。

また、蛍光物質として用いられる希土類錯体が、封止材として広く用いられているエチレンビニルアセ
テート(EVA)と共に加水分解しやすく、経時的に劣化してしまい、波長変換された光を太陽電池素
子へ導入が困難であったり、(3)蛍光物質である希土類錯体をEVAに分散させた場合、EVAの加
水分解により酸が発生し、希土類金属錯体の加水分解が誘発され、蛍光を呈さなくなり、目的の波長変
換効果が得られなくなる問題、(4)希土類金属錯体分子同士は凝集しやすく、凝集体が、励起波長を
散乱させ蛍光体としての希土類金属の利用効率が更に低下するという問題や、さらに、(5)目的の波
長変換効果を得るには、紫外線を吸収し、赤色の蛍光を発するユーロピウム錯体がもっとも有効な蛍光
物質のひとつであるが、例えばその代表的な錯体、Eu(TTA)3Phenは、その励起波長が、上
図2に示すように錯体単独では420nmに励起端がみられるが、その錯体の状態、特に封止方法の違
いにより励起波長が異なる場合があり、樹脂封止体では400nmよりも短波長域に励起帯がある。こ
のような波長帯に励起帯がある場合、太陽光スペクトルのうち、強度が弱い部分の波長により励起させ
ることになり、蛍光強度はその分小さくなるという問題。また、(6)代表的な封止材であるEVAは、
紫外線照射により、上図3に示すように劣化が起こり、特に400nmから短波長域へ向けて散乱損失
が大きくなる。これによる結晶シリコン太陽電池素子の感度が犠牲になる部分は少ないものの、波長変
換効果には影響が大きく、このようなEVAの光劣化を軽減するために、一般には、紫外線吸収剤がE
VA中に配合されるが、図3に示すように紫外線吸収剤の吸収は、Eu(TTA)3Phenのような
通常のユーロピウム錯体の励起波長と重なっているためユーロピウム錯体の励起が妨げられる問題や、
(7)また十分な波長変換効果を得るには、紫外線吸収剤の配合量を少なくしなければならない。EV
Aの光劣化と、その対策である紫外線吸収剤の配合は、Eu(TTA)3Phenのような通常のユー
ロピウム錯体を用いる以上のトレードオフ関係となる問題がある。

 
以上のことを踏まえ、今回の球状蛍光体は、最大励起波長が400nm以上の蛍光物質及びこれを含む透明材
料を含有し、その励起スペクトルは、340nm以上380nm以下の波長域における励起スペクトル強度が、球状
蛍光体の最大励起波長の励起スペクトル強度の50%以上で、また波長変換型太陽電池封止材は、球状蛍光
体と、封止樹脂を含む光透過性の樹脂組成物層を備えた波長変換粒子/波長変換膜の新規考案されたもので
ある。

 

 

以上、波長変換蛍光体粒子とその製造方法の開発によるシリコン結晶系太陽電池の変換効率向上事例を
考察した。地味な改良作業とは言えさすがの”クール。ジャパン”といえる事例でもある。「恐るべし
日の丸ソーラー」である。

 

● ブラッドオレンジの苗とアランチェッロ


レモンリキュールもほぼ飲める状態になってきた(もう少しデカンテーションさせるつもりでいる)。
急遽、ブラッドオレンジの苗木と9号ウッドプランターをたまったポイントを使い、通販注文し、1日
でウッドプランターが届く。これはポイントで只である。なるほど、ポイントの魅力とはとはグイグイ
と通販会社に引き寄せられる魅力を実感。しかし、ポント制度は現金主義には不要だが、カード主義に
は魅力だろう。ただし、それは購入価格の正当性をゆがめかねない仕掛けが仕組まれているので注意が
必要だとも実感した。さて、自家製のブラッドオレンジのリキュールは2年後の話になるが、明日は柑
橘類の培養土の事例を研究することにし、早急に培養土を発注しないと苗木が届いてしまう。 

デジタルモータ工学

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● モントリオール議定書の勝利!?

今月10日、南極大陸の上に毎年現れるオゾンホールの成長が停止し10年を経て縮小し始め
ると、世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)の研究者が公表した。これは、1987年
に採択された「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」の環境方針の取り組
みの成果だと評価されるものだ。もっとも、このまま縮小していくのかどうかについては、今
以上に注視していく必要があるという条件が付く。しかし、同世界気象機関(WMO)は9日に、
2013 年の大気中の温室効果ガス量が過去最高を記録した――原因は二酸化炭素(CO2)濃度の
急上昇で、地球温暖化の勢いが増す恐れがある――と公表 しているから、なんとも複雑な思いであ
る。 

 



【デジタルモーター工学】

● デジタルモータはどこまで進化するか!?

静謐は信なり。』で取り上げた、ダイソンのサイクロン掃除機に使用している「DDM V4」
などのブラシレス直流モータをCMでは、”デジタルモータ”として呼ばれていたので、その
背景をもう少し納得できる説明があるのではと考え、いつものようにネット検索してみた。と
ころで、このモータは昨年、ダイソン社がシンガポールに新モーター製造施設「Dyson West
Park(ダイソン ウエスト パーク)」を新設し稼働を開始。約5000万ポンド(約71億円)を投
資した新工場で、独自開発の「ダイソン デジタル モーター(DDM)」を年間400万台生産。
これにより、DDMの生産能力を約2倍に増強すると発表している(2013.01)。新工場では、
コードレスタイプのハンディークリーナー「Dyson Digital Slim DC45」に搭載している小型ブラ
シレスDC(直流)モーター「DDM V2」のほか、新型モーターの「DDM V4」を生産するとい
う。DDM V2はハンディークリーナーの搭載タイプで、DDM V4 は同社が海外で発売するハン
ドドライヤー「AirBlade(エアブレード)シリーズ」の新モデルに搭載しているとのこと。  

さて、モータの歴史は、19世紀初頭の電磁現象の発見から。現在までに、直流(DC)モータ、誘
導(インダクション)モータ、同期モータと数々のモータが開発されてきた。ブラシレスモータ
は、永久磁石型同期(Permanent Magnet Synchronous motor : PMSM)モータとして長年の歴史があ
るが、始動が難しく速度可変も難しいため高価な制御機構を使った産業用途以外普及しなかっ
たが、近年、(1)強力な永久磁石が開発されたこと(2)半導体素子によるインバータ制御
が容易になったこと、(4)及び省エネ意識の高まりや商品性の向上により、幅広い分野で急
速に発展している。



ここで、ダイソンがCMでブラシレス(直流モーター)のことを"デジタル・モータ"と呼称した
ことで、この呼び名が広がり、将来にはこの呼び方が定着するかもしれない状況にある。従来
の掃除機用モーターなどは、ブラシで機械的に回転磁界を作って回転子を追従させていたけれ
ど、マイコンでシーケンシャル(デジタル的)に回転磁界を発生させ回転力を作る。要はプロ
グラムでその回転周期をつくっているので、いくらでも回転数を上げることができる動作原理
であるが、毎分1万回以上の高速になれば、ベアリングが摩擦(摺動)熱のためもたないだろ
うと考えられている。

ところで、ダイソン社のモーター製造責任者で研究開発担当者は「DDM V4 は背面に取り付け
た制御回路で直流電流を高速で切り替えることで、起動後 0.7 秒と短時間で毎分9万回転もの
高速回転を達成できる。高い精度が求められるので、ほとんどの工程を自動化しており、ロボ
ットで組み立てている」という。また、「DDM V4」は約7年の開発期間を経て製造にこぎつ
けたといい、最大で毎分9万回も高速回転するローターが壊れなくするためにかなりの時間を
かけ、「モーターがコンパクトでパワフルなだけでなく、クリーナー全体の空気の流れなどを
最適化することで効率のいいコンプレッサを実現できたのが強みだ」と説明している。また、 
ハンディークリーナでは DC45 で初めてDCモーターを採用したが、キャニスタータイプでは、
2009年に発売した「DC12」で DCモータ「DDM X20」(コードネーム)を採用。その後発売
された「DC26」や「DC36」「DC46」ではAC(交流)モーターに戻ったが、小型化が大きな
課題だったからという。「DC26やDC36、DC46では次期モーターの開発期間の関係で、ACモ
ータを採用。当時の技術では、DC12で採用していた『X20』に比べてACモーターの方が小型化
できたからだ。 DDM X20に対し、DDM V4の方はかなり小型になっている。

 
特開2011-229387 ブラシレスモータの制御

この先、デジタルモーターが小型・高速・静粛・振動などの性能/品質/コストで進化するに
は、より磁力の強い材料の開発や制御センサ(温度・位置)・制御回路などのの開発向上に期
待するしかないが、その開発代がどの程度のものかわからない。参考までに2つの新規考案事
例を上図に掲載しておく。 

 ● 林檎時計で何かが変わる!?

 

『デジタル革命渦論』は ウェアラブルデバイスがいよいよ普及期に入ろうとしている。"おし
ゃべりする林檎時計”の登場だ? そうかと思うと、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使って
目の難病治療を目指す理化学研究所などのチームが、今夕、iPS細胞から作った網膜細胞を
患者に移植する手術を先端医療センター病院(神戸市)で実施したことが公表された。面白い
時代だ。

 

人工培土工学

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● エボラ出血熱 死者2400人超

エボラ出血熱には実用化された治療薬はなく、予防のためのワクチンもない。一度エボラウイルスを
撃退した人の体内に存在する抗体を輸血することでエボラ出血熱が治った人の血液を治療に使うこと
を思いく。この療法は、狂犬病治療のために数十年前に開発さ、ヒトや動物の血液あるいは血液製剤
を使用。血液や血清を患者体内に挿入。リベリアでエボラウイルスに感染して治療を受けている米国
人医師のリック・サクラ(Rick Sacra)氏に、エボラ出血熱が治った別の米国人医師ケント・ブラント
リー(Kent Brantly)氏の血漿を輸血している。そのサクラ氏の容体は快方に向かっているが、その理
由が(1)ブラントリー氏の血漿なのか、(2)サクラ氏に投与された別の実験薬なのか、(3)単
に近代的な病院で治療を受けているからなのかは不明確であるという。 

さらに、仏パスツール研究所のウイルス学者、ノエル・トルド(Noel Tordo )氏は、エボラ出血熱が
治った人の血清には、エボラウイルスを無力化するほどの抗体が多く含まれていないと指摘。狂犬病
の場合は、ヒトあるいは動物の体内の抗体の大半はウイルスを無力化するが、エボラの場合はよく分
かっていないが、この輸血方法が有効であれば、簡単で低コストの対応できる。今月行われた世界保
険機構(WHO)の会議で、血液療法と回復期の血清療法がすぐに利用できるものであるということで
一致。衛生栄養学の後進国では、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)や 肝炎ウイルス、あるいは梅毒など
の汚染拡大のリスクを熟慮し対応しなければならないと報じられている(AFP NEWS 2014.09.13)。

※インドネシアのメダンの患者は9日夜、北スマトラ州の病院で高熱で死亡した。最近ナイジェリア
 から帰国したばかりなので、エボラ出血熱感染の可能性がある(2014.09.11 新華ニュース)。

 

● 柑橘類農法の高度化 

ブラッドオレンジの苗木届き、早速9号ウッドプランター(H9D-GC)に移し替える(「みかんの土」
は届いていないから市販の腐葉土を使用)。ところで、化学肥料が多用される背景には、品質の維持
や安定性から有機人工土壌の製造は非常に難しいとされ、有機土壌では、植物に供給される無機成分
が、微生物による有機物の分解によって生成されるため定量化が難しいとの考えられている。下図の
新規考案事例によれば、人工培養土:ポリビニルホルマール(PVF)樹脂多孔質体―ビニロン発泡体−
を人工培養土が提案されている。それによると、

(1)土壌微生物による物質循環を考慮した土壌の診断方法:対象土壌におけるアンモニア減少率、
  フィチン酸からのリン酸生成活性、及び堆肥からのカリウム生成活性を用いて算出される循環活
  性指標、と土壌における土壌バクテリア数を用いて土壌診断を行うこと、得られた診断結果に基
  づき、指標を改善するための処理を行うこと(後述する)。
(2)土壌中の全炭素・全窒素・全リン酸の重量比を一定の範囲に調整:微生物数を高レベルで維持
  でき、この微生物活性によって物質循環が促進され、有機物が効率良く植物が利用できる形態に
  変換され、有機肥料を効率良く利用する。
(3)従来の堆肥は、窒素成分の含有量が顕著に低く、窒素−リン−カリウムのバランスが悪くなっ
  ていたことから、高濃度の窒素成分を有する有機物(大豆カス、油カスなど)を窒素源として使用
  し糞尿を含む有機物(馬糞など)と有機物を混合するだけでなく、発酵させることで植物の生育を
  促進させる高品質新規堆肥とする。

を踏まえ、従来作製されている各種培養土壌や人工土壌は、化学肥料を使用しているものがほとんど
であるが、有機農法または自然農法による農作物の栽培に適した土壌の診断や作製方法に関するもの
は植物の生育という点(生産性)ではさらに改善が必要があると指摘し、ポリビニルホルマール(PVF
 )樹脂多孔質体が保水性に優れ且つ微生物保持能が高いため、このPVF 樹脂多孔質体と各種土壌を混
合して人工土壌を作製することで、化学肥料を使用せず、植物の生育に優れる新規人工土壌を提供す
る。(1)水耕栽培用 ポリビニルアセタール樹脂多孔質体の配合割合が10〜70容量%含有し、(2)
有機資材や化学肥料を含有させた、黒土、赤土、赤玉土ヴェルデナイト、ゼオライト、パーライト、
バーミキュライト、腐葉土、鹿沼土、砂、水苔、ピートモス、培養土、真砂土、ココナッツファイバ
ー、くん炭からなる群の中の少なくとも1種である土を含有する。(3)ここで有機資材とは、バー
ク堆肥、馬糞堆肥、鶏糞堆肥、牛糞堆肥、豚糞堆肥、海藻堆肥、稻ワラ、籾殻、大豆粕、魚粉、油粕、
米ぬか、水草、おから、及びペプチドから選択される少なくとも1種をさし、以上の条件の人工土壌
という特徴をもつ。

 JP 2014-143931 A 2014.8.14

上図は、黒土とPVFスポンジの混合土壌の栽培試験の結果を示すグラフ。黒土とPVFスポンジを9:1〜
1:9(v/v)の割合で混合し、さらに10容量%となるように牛フン堆肥を添加して培養土を調製した。エ
ラーバーは標準偏差を示す。

● 微生物で土壌の肥沃度を測定  

WO2010/107121 新規土壌診断方法」開示されているのは、下記(I)〜(III)を用いて算出される
循環活性指標:(I)対象土壌におけるアンモニア減少率、(II)対象土壌におけるフィチン酸からの
リン酸生成活性、及び(III)対象土壌における堆肥からのカリウム生成活性、並びに(IV)土壌におけ
る土壌バクテリア数を用いて土壌診断を行うことを特徴とする土壌の診断方法、土壌の品質管理方法、
並びに土壌の改善方法だとある(上/下図参照)。

これまでの一般的な土壌診断手法は、土壌中の窒素・リン酸・カリなど、化学的性質を調べるものが
ほとんどで、土壌中での有機物など生物的性質を調べる評価手法は難しかった。 しかし、久保教授
の研究チームが開発したSOFIXは、土壌中の微生物量や微生物による窒素やリン酸などの分解・
循環活性などを定量的に調べることで、世界で初めて生物的性質を使った分析を可能にした。従来の
土壌診断では、対象となる農作物が違えば同じ土壌でも異なる処方箋が必要だったが、SOFIXで
示される指標は、「その土壌で育つ植物の活性を示すものであり、どんな農作物でも、さらには樹木
などでも、栽培する品種ごとに異なる処方箋は必要ない」というメリットがある。

 

 

※ 指標測定方法:廃水処理に用いたP60μmで4×4×4 mmのPVFスポンジ)の総細菌数をeDNA(enviro-
nmental DNA)法(Aoshima et al., 2006, Appl. Microbiol. Biotechnol. 71: 875-880)に従って測定
したところ、1×108 cells/gと高い微生物保持能を示した。さらに同じPVF担体を用いて、金魚を飼
育し、自然環境を再現した水槽の水質維持試験を行った。PVF担体中の細菌数は2.5×109 cells/g-sample
まで達した。この細菌数は、土壌中の細菌数に匹敵することから、PVFスポンジは微生物保持能の高
い担体である。

※ 溶性の PVA(ポリビニルアルコール 一般呼称:ポバール)に酸を触媒としてホルムアルデヒドを
結合させるホルマール化反応により不溶性物質の PVF(ポリビニルホルマール)を製造する。その工
程で気孔生成剤を加え、気孔の形成を行い不溶性のPVFが完成後この気孔生成剤を抽出。完成した PVF
は多孔質体となり立体的樹枝網目状連続気孔を形成している。 

このような人工培土を利用し、各営農対象作物の地下茎根の特徴パラメーターを割り出し、SOFIXなどの肥
沃度を自動モニタリング管理し制御できれば、生産性を高めことができるだろうと考えている。その一歩として
庭木を兼用した、ブラッドオレンジのちいさな栽培試験が昨日からはじめたと言うわけである。

【オールソーラーシステム完結論 18】

 

● 太陽光発電が日本の農業を救える?

前項の人工培土を穀物や根菜類へ応用展開が進めば、広大な農地はダウンサイジングし、面積当たりの収
穫量が上がり生産性が向上し、ドローンを使った、種まきや、収穫や監視作業の自動化も進む。また、耕耘機
やコンバイン作業の自動化も進展しているだろう。そのときエネルギーはどうするのか?その答えがソーラー
シェアリングなのだ。




昨日、「環境ビジネス」(2014.AU)が届いた。地球温暖化対策や雇用創出、非常時のエネルギー確保
など、多様なメリット持つ太陽光発電が、日本の経済成長の推進力という面でも導入の加速化が求め
られている。太陽光発電のメリットと必要性について、環境省の地球温暖化対策中長期ロードマップ
検討会の提言をもとに、”ソーラーシェアリング 太陽光発電が日本の農業を救う”を特集していた。
日本の農業は大きな岐路に立だされ、農家の平均年齢は66歳を超え、農地を継承する担い手も、減少
の一途を辿っている。耕作放棄地も農地全体の1割近くにも及び、2012年には再生可能エネルギーの
全量固定価格買取制度が導入され、メガソーラーブームが起きて土地需要が増大。地代が高騰するに
応じて、農地転用への期待が高まった。 2000kW級の太陽光発電(PV)の年間賃貸料は一反(10a)約15万
円といわれるのに比べ、農地の賃貸料は田が約1万2千円、畑が約9800円と大きな開きがあるという。


 

CHO技術研究所・実証試験場(千葉県市原市)

しかし、太陽光発電(PV)の事業主体が地域外の事業者であれば、充電収入が地元を潤すこともな
く農耕地が減少して食料自給率をさらに下げる。そうした中で、注目されているのが農業を継続しな
がら売電で安定収入を確保することができるソーラーシェアリングという政策だというから、「オー
ルソーラーシステム完結論 ?」(『地上の星☆HERO』、2014.07.14)で紹介したことのより具
体的な実証試験などの事例研究が掲載・紹介されている。また、2013年3月末、農林水産省の通知によ
り、優良農地も一時転用の許可を受け、農地に支柱に立て、営農を継続しながら上部空間に太陽光発
電設備を設置することが認めらる。ただし、?太陽光発電設備の下部の農地の単収が、同じ年の地域の平
均的な単収と比較して2割以上減少しない ?太陽光発電設備の下部の農地で生産された農産物の品
質に著しい劣化が認められない ?太陽光発電設備の下部の空間が十分に確保され、農作業に必要な
機械等を効率的に利用することができることなど、太陽光発電設備の下部の農地における営農の適切
な継続が確保が条件となり営農と発電の両立を図っている。

さらに、高齢化、過疎化が進む農村を活性化する地域交流拠点をつくろうと仲間たちとソーラーシェ
アリングに工夫を凝らし、いずれ引き継ぐ農地の有効活用事例――バイオマス等の技術を利活用し6
次産業化も視野に、農業の未来像を描き、昨年4月、千葉県市原市で、ソーラーシェアリング、 750
ヘクタールの畑の地上3.5mの架台に100wのソーラーパネル348枚を設置した「ソーラーシェアリング−
上総鶴舞発電所」の事例も紹介されている。


さらに、先進的ブドウ農家がブドウ棚に住宅用太陽光発電の汎用パネルを設置し、高級ブドウの栽培
と発電の両立に成功し、エネルギーの地産地消を目指す、パネルは時間や天候により、コンピュータ
制御で角度を調整し、ブドウを傷めない雨除け、日除けの役割も果たすした、長野県須坂市のブドウ
農家の岡木由行農園(2012年夏から、ブドウ棚の一角に太陽光パネルを設置「須坂市スマートアグリソ
ーラー
」)の事例報告等々掲載されている。以上、今号の特集は、ひょっとすると、世界の営農者の
バイブルに価するのではないかと思える内容だ。実に面白い。

 

 

カラー表示工学

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【カラー表示工学】 

シャープは12日、過酷な環境に強く直射日光下でも鮮明に表示できる新型ディスプレーの量産を2017
年にも始める方針を明らかにした。オートバイなどの車載用途を中心に売り込む方針だ。出資を受けて
いる米半導体メーカー、クアルコムの子会社と共同開発したもの。量産するのは「MEMS−IGZO
ディスプレイ」。シャープとクアルコム子会社、ピクストロニクスが共同開発した。LED(発光ダイ
オード)を光源とし、色を表現するために光を制御する部分で、それぞれが得意とする技術を持ち寄っ
た。発色に応じて消費電力を減らすことができるほか、高温や低温などの変化に強いという。開発には
シャープの米子工場(鳥取県米子市)の液晶パネルの生産ラインを活用し、設備投資金額を抑えた。年
度内に自動車やタブレット端末のメーカーにサンプルを出荷。量産技術を高めコスト低減を進めたうえ
で、自社製品への応用も進めると公表した。



● IGZO技術

今回の基本技術の1つであるIGZOは、インジウム (Indium) 、ガリウム (Gallium) 、亜鉛 (Zinc) 、
酸素 (Oxide) から構成されるアモルファス半導体の略称で、これを利用する液晶ディスプレイ形式の
呼称だ。アモルファスシリコンを用いるTFT形式液晶が静止画表示時も定期的なリフレッシュに電力
を消費するのに対し、IGZOはリーク電流が少なく、リフレッシュ回数低減により静止画表示時の電
力消費を抑制して消費電力低減が可能である。電子移動度はアモルファスシリコン比20〜50倍であり、
TFT回路の小型化による高開口率化や高精細化が期待される。ただし、視野角および発色性は発展途
上という技術特徴をもつ――1985年に合成に初めて成功し、1995年に「透明アモルファス酸化物半導体」
の一種として設計指針を提唱し、2004年にアモルファスIGZO TFT開発、2009年c-axis aligned crystal
(CAAC)構造を発見、2012年量産技術を確立。

● MEMS光学技術 

既存のカラーディスプレイより厚さを薄くし、輝度向上させ、エネルギー効率を高める技術は、時間−
多重光シャッター(time-multiplexed optical shutter:TMOS) とよばれるもの。勿論、このデバイ
スはMEMS(メムス:Micro Electro Mechanical Systems)は、機械要素部品、センサ、アクチュエ
ータ、電子回路を一つのシリコン基板、ガラス基板、有機材料などの上に集積化したデバイスを指す。
プロセス上の制約や材料の違いなどにより、機械構造と電子回路が別なチップになる場合があるが、こ
のようなハイブリッドの場合もMEMSという。主要部分は半導体集積回路作製技術にて作るが、立体
形状や可動構造を形成するための犠牲層エッチングプロセスをも含む。液晶や有機ELカラー表示装置
に比べ、より明るく、安価な表示装置が提供できるということだ。表示部への光の流れを制御するため
「MEMSシャッター」を使用し画素形成する。不透明膜と導光板とで立体的に隔離された構造の各画
素は静電気で接合し発光し、離合し遮光することで表示する(上図参照)。

さて、電流注入型有機EL表示装置は寿命・耐久・コスト面でなかなか浮上しないのはなぜなのか?
メーカの開発力不足と一言で片付けもできるが、実にジレたいではないか。それなら、このわたしがや
ってみせようかと思ったりもする。が、それはない。 ^^;。

 

 【遺伝子組み換え作物論 31】  

 

 

                           第9章 建設的な未来に向かうために

        「もしも、遺伝子組み換え作物に代わる解決方法があるなら、それを選択するこ
        とに反対する人はいないだろう」
         ――ハドソン顧問弁護士 
          (ニュージーランド王立協会)こ退仏子操作に関する生命科学不ットワーク)



  (1)広い視野で考えよう


  農薬を使わずに、食糧を増産させる方法は実は無故にあるのだ。しかもそれは、バイテク企業を
 儲けさせるだけの巨額でムダな投資を必要とせず、何千人もの科学者を袋小路の研究に縛りつける
 こともない。ひと握りのバイテク企業に特許権を認めて、世界中の農民を奴隷にすることもない。
 農薬を使わない持続可能な農業を途上国に普及させて、地域コミュニティの発展に寄与すること。
 これこそ途上国における貧困を、根本的に解決する技術なのである。
  しかし、バイテク企業はこうした農業に何の関心もない。持続可能な農業によってメリットを
 享受できるのは、農民や地域の経済、消費者と環境だけだからだ。結局、遺伝子組み換え作物には、
 何の価値があるのだろうか。大量の農薬を使用して、遺伝子組み換え技術を用いた呉楽は、農業化
 学企業とその後援者である米国政府にしか利益をもたらさない。グローバリゼーションを進めるこ
 とは、今後も新興国や途上国の農民を先進国に依存させることに他ならないのだ。

      ? もう一つの品種改良
  
   遺伝子組み換えではないバイオテクノロジー

  実は、遺伝子操作の他にも大きな可能性をもつバイオテクノロジーがある。それが「マーカー利
 用選抜(MAS)」、一般的には「ゲノミクス」と呼ばれる技術である。この技術を利用すれば遺
 伝子の機能を分析することで品種改良に必要な情報を得ることができる。
  植物の中には収量や品質など、それぞれ特有の有用な性質をもつ遺伝子が存在する。そこでこの
 遺伝子を見つけ出して品種改良に生かせば、遺伝子組み換え技術を使わなくても、植物がもってい
 る本来の能力を引き出せるのだ。しかもこの技術なら反対もなく、特許権にもつながらない。
  「DNAマーカー」とは、その品種や個体に特有のDNAの配列のことである。そこで研究者は、
 このDNAマーカーを目印として、目的とする有用な遺伝子を見つけ出すことができる。この技術
 を使えば、植物の交配を何度も繰り返して選抜する必要がなく、初期段階の昌枝改良は実験室でで
 きる。畑で植物を育てて交配させ、よいものを選抜するという作業をくり返す必要がないので、時
 間も費用も節約できる。しかも、一代限りの「ハイブリッド種」のように、回一品種としての特性
 を保持できないこともない。在来種のように、その種子がもっている有用な性質を、何世代も持続
 させることができるのだ。こうして、野菜の栄養素を増やす、病気への抵抗を強める、食味をよく
 するなど、様々な改良を進めることができるのである。
  この技術に開する報告書は次のように述べている。

  ・中国では、研究者のデング・キユンが、DNAマーカーを使って野生穫のイネと中国で最高の
   ハイブリッド穫のイネを交配させ、収穫量を三割も増加させるイネの開発に成功した。緑の革
   衛以上に収穫量が増加した。
  ・インドのバンガロールでは、研究者のH・E・シャシダハルが、乾燥地に生息する品種を集め、
   DNAマーカーを使って、亜流が行なわれていない土地でも高収量が期待できるイネの開発を
     進めている。
  ・西アフリカでは、耐乾燥性のアフリカ米と高収量のアジア米を交配した一般穫のイネである
    ”ネリカ米”が開発された。”ネリカ米”は雑草より早く生育するので除草剤の必要がなく、
   絹害虫に強く、干ばつにも強い。しかも、従来の品種より32%もタンパク質が豊富である。

  モンサント杜で品種改良を担当する責任者も、その可能性を認めている。
  「無数に存在する品種の中から最上の品種を育てることは、数字を当てるゲームのような作業だ。
 その点、DNAマーカーを使う品種改良は、大きな可能性を秘めている」
  遺伝子組み換え作物の開発担当者だからといっても、たとえば乾燥耐性の性質を生み出すために
 必要な、遺伝子の複雑な相互作用に精通しているわけではない。だからこそ、英国では「耕地作物
 研究所」とシンジェンタ社とが、遺伝子組み換え技術でなく、DNAマーカーを使って耐乾燥性の
 甜菜を開発している。小麦や穀物以外の作物についても、この方法によって取扱量を二倍以上に増
 やすことが期待されている。カルジーン社で開発拒当の副社長だったボブ・グッドマン教授も次の
 ように語っている。
  「科学的見地からすれば、遺伝子組み換え作物をめぐる議論は、もうすぐ過去のものになるだろ
 う。科学はつねに進化している。我々はすでに、遺伝子の構造や機能を解析して応用する時代に
 入っているのだ」

     伝統的な品種交配

  農民たちが長年にわたって品種改良してきたイネは、誇大に宣伝された遺伝子組み換えイネより、
 けるかに優良な性質を愉えている。こうした在来種は教百年にわたる試行錯誤によって改良されて
 きたのだ。様々な在来種の中には、洪水や干ばつ、塩分にも耐性をもつイネがある。いくつかの品
 種を紹介する。

  ・インドの西ベンガル州には、乾燥耐性のイネが七八種類もある。ウッタラーカンド州に54種、
   ケーフラ州にも約40種の乾燥耐性イ不があると言われる。
  ・普通のイネは2〜3日の浸水で枯れてしまうが、インドの農民は12〜15日の浸水にも耐え
   るイネを開発してきた。
  ・西ベンガル州では、塩分の多いマングローブの地帯でも3種のイネを栽培しており、14%の
   塩分濃度でも成長するという。オリッサ州、ケ士フラ州、カルナータカ州でも塩分耐性のイネ
   が多数、栽培されている。

   ? 持続可能な有機農業

  有機農業は、除草剤、殺虫剤、ナメクジ駆除薬や化学肥料などの農薬を一切使用しない。もちろ
 ん遺伝子組み換え種子は用いない。有機畜産では、牛などの家畜は自由に歩き回ることができ、治
 痕跡を除いて、抗生物質を使うこともなければ、成長ホルモン剤などの薬品使用は禁止されている。
 有機農業が遺伝子組み換え作物よりも環境によいことは明らかだ。
  先進国でも、有機農法によって収穫量が低下することはほとんどなく、次第に増加している。さ
 らに、途上国では肥料の使用量を減らし、農薬を使用しなくても環境に適応した農法を導入するこ
 とで、収穫量を3倍から四倍も増加させている。その他にも、土壌を肥沃にし、人々の健康や環境
 に悪影響を与えないといった数々のメリットがある。さらには、大気中の二酸化炭素を土壌が吸収
 する量が増え、生産地から消費地まで食料を運ぶ距離も短くなる。農家は自給自足が可能となり、
 地域コミュニティの経済や社会にも貢献する。

  ジュールズ・プレティ教授(英国エセックス大学・環境社会学部)によれば、アフリカとアジア
 では900万人近くの農民が持続可能な農業を営んでおり、その耕作面積は2900万ヘクタール
 におよぶ。1980年代以降、17ヵ国で45のプロジェクトが実施され、73万戸の農家が食糧
 生産量を大きく増加させた。多くのプロジェクトでは、穀物の収穫量を50%から100%も増産
 した。
  飢餓のために食糧援助に頼っていた国の一つ、エチオピアでも食禄を自給し、地元の市場で農産
 物を販売できるようになった。ブラジルのアマゾンでも、長年にわたって培ってきた有機農法を導
 入することで、農産物の生産量を増加させた。工業式農業によってやせ細ってしまった熱帯雨林地帯
 の土地を肥沃にすることで、最大880%も収穫量を増加させたのである。
  科学誌『ニュー・サイエンティスト』の論説も次のように語っている。
  ”有機農業”という言葉は、貧しい人々には無縁な”高級品" のように聞こえるかもしれない。
  しかし実際は、持続可能な農業〃こそ科学的にも正論なのである。真の必要性に取り紙むことで、
 現実に成果を上げている。持続可能な農業を研究の中心に据えて、新しい農業革命に資金を援助す
 べき時代が来ているのだ」  

                    リーズ、アンディ 著 『遺伝子組み換え食品の真実』   

                                      この項つづく     

 

● チェーンがない折り畳み自転車

 

 


単為結果工学

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● 単為結果工学 

農研機構が、訪花昆虫による授粉や果実肥大を促進させる植物ホルモン剤施用等の着果促
進処理が不要な、したがって、省力栽培が可能で、収量性の高いナス新品種 「あのみのり
2号」の育成したことを公表した。この「あのみのり2号」 は、強い単為結果性 (受精し
なくても果実が着果・肥大する性質―通常の植物では、風等による振動や訪花昆虫等によ
って柱頭(めしべ)に花粉が受粉し、受精し種子ができることによって果実が肥大。この
受粉や受精せず種子ができなくても、正常に果実が善果・肥大する性質)という言葉に惹
かれた。

最低気温がおよそ15℃未満の低温期や寒冷地でのナス栽培は、着果や果実の肥大を安定化す
るため、ミツバチ等の訪花昆虫の利用や、植物ホルモン剤の処理するのが当たり前だった。
しかし、植物ホルモン剤の処理に要する労力は栽培に要する全労働時間の約2〜3割を占
める煩雑な作業であり、また、訪花昆虫を利用する場合、受精能力のある花粉形成には最
低温度を17℃程度以上に制御しなければならない。さらに、訪花昆虫の利用にば種々の制
約かあり――広く使われるセイョウオオマルハナバチの場合、外来生物法に従い、飛散防
止用ネットの使用や使用済み巣箱の完全殺虫処理等が必要で、これらの問題を根本解決に
は、受粉作業が不要となる単為結果性を有したナスの開発が必要であった。

遺伝子組み換えでなく、交配育種で地道な品種改良ことの労力を考えると大変だな〜ぁと
感心しつつも、たとえば「自律交配作業飛行ロボット」が手法が 開発されれ
ば生産性が向上するのでは考えた。


ところで、初代「あのみのり」は、イタリアから導入したナス品種「Talina」を、国内品種
の「中生真黒」や「なす中間母本農1号」と交雑した後代から選抜した系統間の一代雑種
(F1)(である下図参照)。

 

 

 

●  熟成コーヒー工学

コーヒーが好きというほどのものでもなく、「琥珀色の香り」と表現できそうなニオイは
文句なく好きなのだが、時折排便を促進の朝食の食後に飲み程度で、緑茶が圧倒的多い。
ところが、緑茶同様コーヒー生産者や飲食業者などの意図があるのか、盛んに健康促進に
有効だという情報が流されているようだ。



その1つに、ピラジン化合物という成分が血液の流れを良くするというものがあり、2つ
めには、主要成分であるクロロゲン酸には動脈硬化や各種のガンの原因にもなる活性酸素を
除去する働きがあるというもの。3つめは、カフェインで、「コーヒーを飲みすぎると、カフェインの昇
圧作用で血圧が上がる」といわれていたが、米国の研究結果では、コーヒーを飲んで高血圧にな
ることはなく、むしろ高血圧になりにくいというように変わってきたいるし(多く含まれ
るカフェインは、心筋に直接作用して、心筋機能を穏やかにするため、心臓にかかる圧力
が減るらしい)、4つめに腎臓に働いて利尿効果があり、高血圧治療に利尿剤を服用して
副作用を心配するならら、コーヒーを飲んだ方がよいという情報――コーヒーを毎日1〜
3杯飲んでも、全く飲まなくても、高血圧を発症する頻度には関係がないことが分かって
います。しかし、4〜6杯以上となると高血圧になる危険性がより減る傾向にある――も
ある。5つめには、大腸がんにもなりにくいという米国の疫学情報がある。

● 香りを楽しめて高血圧が解消されるピラジン

しかも、コーヒーの香りだけで、高血圧が改善されるともいわれ、ちょっと、大げさだと
思うけれど、コーヒーの香り成分に含まれるピラジンは、血栓を溶かす作用があり→コー
ヒーの香り成分ピラジンには、血液をサラサラにする働きがあり→ピラジンといっても、
実に多くの種類があり→そのどれもが血小板凝集制御作用を持っていという(上図参照)。
この働きにより、血栓は出来にくくなり、血液の粘度も下がり、血液がサラサラになると
のことだが、このニオイ成分というより、リラックスゼーション(緊張緩和)の神経作用
の方が、ある種のホルモン作用機能によるものではともおもえる。因みに、コーヒー、チ
ョコレート、ニンニクの3つの作物のピラジンが含まれているというが、ピラジンは、コ
ーヒー以外にも、大麦やポップコーン、小麦粉、カマンベールチーズ、マッシュルーム、
緑茶、味噌、納豆など、様々な食品に含まれているというから、ここは「医食同源」の精
神に立ち返るみる必要もありそうだ。

● 熟成コーヒー生豆の焙煎方法

コーヒーは、アカネソウ科ココア属の植物から採ったコーヒー豆(核の皮を除去した種子
)の実を乾燥し、煎じて粉末にしたものを飲料としたものである。コーヒー豆は、そのま
までは飲めず、必ず焙煎して用いられ、コーヒーの魅力は味・香りに加えて興奮作用を持
つ成分が含まれる。その中で苦味は、タンニンとその化合物糖分が焙煎によりカラメルに
変わったもので、カフェインも苦味にプラスしている。これらの苦味は、総合的にコーヒ
ーの魅力的なバランスのとれたものとして存在している。香りもコーヒー独特のもので、
焙煎のとき発生するカラメルとピラジンなどによる。苦味同様バランスのとれた風味にな
るという。

従来、コーヒー豆は、回転ドラムの内部に入れられ、この回転ドラムを回転、撹拌しなが
ら下方からガスバーナー等で加熱することで焙煎されているが、コーヒー豆はよく乾燥し
ている状態と水分が少しある状態とでは加熱(焙煎)したときの化学反応に違いを生じる。
コーヒー豆に水分が多いと最初に煮たような状態になってしまい、その段階で豆に変化が
起こり、良い味や香りが出ない。香ばしい匂いをもたらすピラジンの生成はよく乾燥して
いないと起こらず、コーヒー豆に水分がある場合はピラジンではなく、メラノイジンとい
う醤油をこがしたような匂いが出てくるという。

生豆は通常産地で収穫から2ヶ月後日本に入ってくるが、この当年ものをニュークロップ
と呼び、1年たったものをPAST CROPと呼ぶ。特に長期に渡って寝かせたものを
OLD CROPと呼ぶ。コーヒー豆は農産物であり、鮮度は味に影響。新しい豆はそれ
ぞれの銘柄が持つ豆の個性が鮮明でパンチの効いた味が楽しめるが、一般的にNEW C
ROPは新鮮でシャープな感じの味、PAST CROPはフラットな感じの味、OLD
CROPはくすんだ感じの味を呈する。ニュークロップは米にたとえると新米だ。長期間
寝かせるに従い、乾燥していき概して本来の味は薄れる。新しい豆ほど、概して味は良い
が、濃い緑色をして水分を多く含み(15%〜20%前後)、焙煎するとメラノイジンの
成分が出やすく本来のコーヒーの呈味成分が出にくい。また、焙煎された豆は約8〜9%
前後の水分含有率となり、そのためコーヒー一杯当り約8〜12gの焙煎豆が必要となる
という。

そこでし、焙煎時のコーヒー生豆の水分の違いによる味と香りに着目し、焙煎コーヒー豆
の理想の約5%の水分含有率となるよう前処理したコーヒー生豆を熱風乾燥させる焙煎方
法を見つけ、コーヒー生豆に低遠赤外線を照射したのち、軟水に浸漬し、次いで、軟水か
ら取り出したコーヒー生豆を乾燥させることで、焙煎コーヒー豆の理想である約5%の水
分含有率となるよう前処理したコーヒー生豆を熱風乾燥させる焙煎方法が、この新規考案
(特開2002-017261)だという。もっとも、コックテイル堂のように標高五百メートルの
丘陵地での自然乾燥で数十ヶ月熟させたコーヒーの方が香り高いのかも知れないが、これ
試飲するのも手ではある。




秋なすの季節。十月の誕生日で九十一になる母がこのまま秋を越せるのか微妙である。
秋風に祈る日がつづく。

 

プラズマクラスター工学

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● プラズマクラスター技術 喘息患者の気道炎症レベルが低減

わけあり(2つの理由で)、ここ2週間自室のソファーで寝ているが、今朝3時目が覚め、部屋にある
シャープの「プラズマクラスター」のきれいモニターが真っ赤に発光していることに気づく。理由は、
体臭、缶ビールからの蒸発拡散物、その他・・・?。とりあえず、「プラズマクラスターシャワー」モ
ードで様子を見ること、十数分経て正常状態のグリーンを発光したことを確認し再び寝たが、朝、ネッ
ト記事を閲覧していると、シャープが19日、臨床研究で、軽症と中症の小児アトピー型ぜんそく患者の
気道炎症を低減すると発表。これは、東大医学部付属病院臨床研究支援センターへ委託した臨床研究で。
ぜんそく持ちの子供の呼吸機能が改善する可能性を示唆。同研究は6〜15才の小児アトピー型ぜんそく
患者130人を対象に同研究用に作ったイオン発生量が市販品より4倍多い専用機を各家庭に設置。気道
炎症レベルを示す指標の改善を確認できたとし、同社は今後も臨床研究も含む効果実証で、同技術の付
加価値を高めていくことを公表していた。

● 気道炎症レベルを表す指標の一つの呼気中一酸化窒素濃度で評価:FeNO値

この臨床研究は、小児アトピー型の軽症、および中症の喘息患者 130人を対象とし、自宅の寝室、居間
子供部屋の内、被験者の滞在時間が長い22つの部屋にイオン濃度約100,000個/cm3の臨床研究専用イオ
ン発生装置を設置、個人ランダム化クロスオーバー二重盲検比較法(下図参照)にて前期後期各8週間
の観察を実施。今回、臨床研究では、小児アトピー型喘息の気道炎症レベルが低減し、プラズマクラス
ター技術が実生活環境でヒトの健康に対して貢献することがわかったいう。同社はこれまでに、喘息の
主要抗原のひとつであるダニアレルゲンに対して、プラズマクラスターイオンによるダニの死がい・糞
に含まれる浮遊ダニアレルゲンの抑制効果を実証、またダニアレルゲン抑制メカニズムの解明も行って
いる。

 

 

● 流量センサ工学 水道メーターのスマート化 

小さなバーバーポール』 (2014.07.11)で掲載した、電力量計のスマート化の技術展望は電力収支
バランス管理システムは電力であったが、ふと、それじゃ水道(上下水道)やガスではづなんだという
疑問が湧いたので早速、ネゥト検索考察する、基本的には両者ともセンサの種類や計測原理は同じと考
えられる。今回は水道メーターに限定した。ここで、従来からの流量メーターの種類は(1)流速式と
(2)容量式と(3)(1)と(2)の組み合わせ式に分けられ、これまでの水道メーターは(1)が
99%と占めていた、なかでも羽根車式で電磁式やベンチュリー菅分流式は採用されずにきた。工業用に
は圧倒的に電磁式(磁気抵抗素子)方式が採用されている(下図参照)。

 

尚、上図新規考案は、直読式水道メーターのリットル針11の指針に磁石10を装着し、リットル針11の上
方に磁気センサ手段12を配置し回転を検出する。その際、磁気センサ手段12を2個の磁気センサ12a、
12bで構成し、その検出出力が90°の位相差となるようにし、この位相差からリットル針11の回転方向
が検出でき、回転方向に基づき計量値の加減算を行えば、メーター指示と一致きる。さらに、磁気検出
により、汚れや経年変化による検出精度の低下を防止することで、長期間に亘って安定してデジタルデ
ータに変換させる新規考案である。

また、参考までに気体の流量を正確に測定することのできる超音波流量計および超音波流量計用の超音
波吸収体を記載する。なお、前述した、超音波式ドップラ流量計は、従来の機械-電磁(電子)式と比
べ、コンパクト化が図れスマート化できると考えられている方式である。

 



以上、電力量計につづき、上下水、ガスの積算流量計のデジタル化、コンパクト化によるスマートグリ
ッドシステムの要素技術を俯瞰することとなった。尚、最下図に参考に、漏洩検知装置及び漏洩検知方
法――検知部6と、減衰器1とを有し、検知部6は、流体5が流れる配管2に設置し、第1の方向(z
方向)の振動を検知。なお、その他の方向を検知してもよく、減衰器1は、配管2に設置され、第1の
方向(z方向)と異なる方向の振動の中の少なくとも一部を減衰し、検知部6は減衰器1で減衰した後
の振動を検知して、外来振動の影響を抑制し、漏洩検査の精度を高めることで、上下水道、ガス配管網
の保全の品質を高め合わせて安全、安心を担保することができる――技術の新規提案例を記載しておく。
 

● ソニーのグローバル戦略は裏目に

かつて日本の製造業が高い競争力を持っていた時代、電機メーカー各社は、圧倒的な魅力を持つ大ヒッ
ト商品を打ち出せた成功体験は、高い利益率を狙うグローバル戦略を採用し邁進してきた。ソニーの代
表的な製品であるウォークマンやトリニトロンはその典型的な例だろう。そして、現在の日本メーカー
は、このような経営戦略の幻想が地に着かないことが明白にされている。それならば、出来るところか
らコツコツ利益を積み上げる以外にない、そんな中、プラズマディスプレイに社運をかけた"自惚れ路
線?”から脱したパナソニックは3期ぶりの黒字転換している。また、電機の半菅半民の日立は、情報
システム、建機、重電などを傘下に抱えながら、真っ先に業績回復を実現している。このようなリソー
ス分散手法の経営が、グローバルスタンダードに勝ることも体験しているわけで、ソニーが今後、業績
の回復には、部門ごとにコスト削減を徹底し、小さな利益を積み上げていくことしかない。かつての成
功体験と失敗から早く抜け出し、身の丈に合った経営を行うしかないだろうという見方が、正解のよう
に思える。

 

 

半導体工学

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    桜花かなしき秋のゆふくれにちらは命も露とけぬへし        本居 宣長

    益荒男がたばさむ太刀の鞘鳴りに幾とせ耐えし今日の初霜    三島由紀夫




夏が過ぎ、足早に秋がきているようだが、日中の日差しはまだ厳しいものがある。それにしても気鬱で、
気が折れ時間が増えてきた。それでは、夢が、ミッションが果たせぬ。弱音と復元力の鍔迫り合いがつ
づいている。そんな心情を詩に託すとどうか? というわけで、上の二首となった。つまり秋の気鬱に
は、このぐらいのコントラを抱え込むことで、ショック療法が効くというわけだが、さて、今朝の朝食
に彼女がヨーグルトにカルピスの白桃濃厚ソース(「ウェルチ」ピーチ100)かけたものだしてきた。こ
れは嬉しい一品だ。それなら絹ごし豆腐にも合うかもしれないと、昼食に即興でこしらえ食す。賽子切
りした方が良かったが、めんつゆぶっかけの冷や奴仕立てでも悪くなかった。これはいけるだろう。




● ハーブ寄せ植え準備

庭に咲く草花も衣替え?ということで、早々と来春のハーブの寄せ植え準備に入り、6種類の種(カモ
ミール、スイートマジョラー、バジル、ラベンダー、タイム、ディル)を取り寄せる。さて、室内用、
室外用のデザインをどう描くこれから楽しみだ。


 

 

 【遺伝子組み換え作物論 32】  

 

                           第9章 建設的な未来に向かうために

     ? 何をすべきか 

  「遺伝子組み換え作物の本質とは、生態系の破壊である。その危険性を計測することはできない。
 遺伝子組み換え食品を禁止する以外に、問題を防ぐ方法はないのだ」――ハルシュ・ナラン博士(
 英国リーズ大学・主任研究員、微生物学者、BSE加入問に感染する可能性を最初に指摘した研究
 者)
 
  結局、遺伝子組み換え物質を食品に混入させないためには、遺伝子組み換え作物、遺伝子組み換
 え由来の添加物や酵素、遺伝子組み換えサプリメントやビタミン剤、遺伝子組み換え飼料など、す
 べての生産を禁止しなければならない。さらには、遺伝子組み換え作物の輸入と、野外における試
 験栽培、遺伝子組み換え勤物の生産を禁止すること。そして遺伝子組み換え作物に特許権を認めて
 はならない。最終的には、世界の農業と食糧生産の仕組みを、根本的に見直すべきなのである。 

  (2)私たちにできること

  ? 具体的な行動

 ・あなたが、遺伝子組み換え食品を食べることを望まず、自然で人間的な農業に転換したいと
  思うのなら、オーガニックの食品を購人してほしい。遺伝子組み換え原料を使わないことが、
  オーガニックの基準だからである。
 ・理想を言えば、地元の農産物や中小企業の食品を販売せず、小売店を廃業させてしまう巨大な
  スーパーマーケットでの買い物を止めることだ。地元の商店や、農産物の直売所、有機農産物
  の産直使を利用しよう。
 ・NGOのメンバーになり、遺伝子組み換え作物に反対するキャンペーンに参加しよう。
 ・選挙では、環境保護に積極的に取り組む政党に投票しよう。
 ・友人や家族に、遺伝子組み換えの問題点を伝えよう。この本を貸してあげよう。

   ? 遺伝子組み換え食品を食べない方法

   遺伝子組み換え飼料を与えられた家畜

  ほとんどの肉、養殖魚、乳製品、鶏卵は、遺伝子組み換え飼料を与えた家畜から生産されるが、
 それが食品に表示されることはない。加工食品にも、こうした畜産物が含まれていることを覚えて
 おこう一先進国では一般的に、牛、豚、鶏などの家畜の餌として遺伝子組み換えトウモロコシや大
 豆粕が多量に与えられている。また、乳牛には、遺伝子組み換え綿実や、アルファルファ(牧草)
 などが給餌されている

   遺伝子組み換え由来の食品原料

  EUでは2004年4月から、遺伝子組み換え原料が0.9%以上、混入しているすべての食品
 (畜産物を除く)に表示が義務づけられた。それ未満の混率なら表示されない。わずかな量だと思
 うかもしれないが、表示違反や混入の可能性もあるため、遺伝子組み換え食品を完全に避けるため
 には、加工食品を買わない方が賢明である。
  一般的に加工商品の80%には、トウモロコシや大豆、ナタネ、綿実、甜菜などの遺伝子組み換
 え原料が含まれていると言われる。こうした遺伝子組み換え作物が、食品の原料として使用されて
 いる例としては、食用油、大豆タンパク、大豆レクチン、コーンシロップ、コーンスタフチなど
 様々なものがある。

   その他の食品

  ・多くの乳製品、シリアル、ジャム、ジュース、食用油、甘味料、ダイエット食品、飲料、ワイ
   ン、ビールなどは、「遺伝子組み換え酵母」を使用して製造されている。
  ・多くのチーズも、[キモシン」と呼ばれる遺伝子組み換え酵母を使用して製造されている。
  ・多くの食品添加物も、遺伝子組み換え作物を原料にしている。たとえば、ベビーフード、シリ
   アル、ソフトドリンク、ダイエット良品に使用されることの多い「リボフラビン(ビタミンB
   2など)」や、「カラメル」「キサンタンガム」にも遺伝子組み換え原料が使用されている可
   能性がある。
  ・サプリメント、ビタミン、医薬品にも遺伝子組み換え原料が使用されている可能性がある。

                                      第10章 結び

  本書は、この世界が優先すべき重要事項を完全に逆転させていることを明らかにしようとしてき
 た。その原因は、政治家や官僚、科学者やジャーナリストだけでなく、政府の諮問委員会や国際機
 関、科学的な研究開発への融資団体や科学雑誌に至るまで、あらゆる場所で巨大企業が影響力を行
 使しているためである。彼らは、誤った科学的情報をくり返し流すことによって、遺伝子組み換え
 作物の安全性と有効性を主張してきた。その誤りを正そうとした科学者は、中傷され抑圧されてき
 た。結局は、公共の利益よりも企業の利益の方が優先されてきたのである。政治家もこうした状況
 を放置し、マスコミも企業に都合のいい情報しか流さない。
 要するに、この世界は巨大企業の活動を管理できなくなっている。いやむしろ、巨大企業の側が、
 この世界を支配していると言う方が適切だろう。
 
  それでも、遺伝子組み換え作物という暗雲の中から希望の兆しも見えてきた。あくどい不正、非
 情な陰謀、共謀による策略、腐敗した科学的主張といった、バイテク企業のロビー活動にも関わら
 ず、企業活動を規制しようとする人々の活動が世界中に広がりつつあるのだ。
  世界の支配層が、恥知らずで過激な行為を公然と実行してきたために、世界中で反対運動が起き
 ている。私たちがどこに住んでいようとも、彼らのルールを拒否することはできるのだ。たとえば、
 こうした企業の製品を購入しないことは、消費者にとって強力な武器である。結局、私たちが払っ
 た金が、彼らの血液になっているのだ。彼らの商品を購入しなければ、たちどころに倒産する。多
 くの人々が商品に反対する手紙を送ったり、抗議活動に参加したりすることも、企業活動に対する
 強力なメッセージになる。さらに重要なことは、企業活動を監督することを政府に要請することだ。
 ジョージ・モンビオは次のように主張する。

  「政治とは、本来衝突を避けるためのシステムである。政治家は、権力を行使することで問題を
 防ぎ、紛争を抑制する立場にあるのだ。だからこそ言い換えれば我々は、あえて問題を提起する必
 要があるのだ。実際の行動によって民主主義を具体化しなければならない。様々な合法的な抗議活
 動がある。議会で反対すること、議員に要請すること、報道機関に働きかけること、断固とした非
 暴力の直接行動を展開すること。問題を大きくすることで、政府とは誰のための代表なのか、政治
 家に理解させる必要があるのだ」

  現実に、直接行動は大きな成果をあげてきた。1999年11月、米国のシアトルでも歴史的
 な勝利があった。世界貿易機関(WTO)の閣僚会議が、多くの人々の抗議行動と、途上国の反対
 によって失敗に終わったのだ。2003年9月に、メキシコのカンクンで開催されたWTOの会議
 でも、途上国が先進国における農業補助金制度を断念させたことで、WTOの正当性はさらに弱体
 化した。数年前まで、誰も止められないと考えていた最強の国際機関WTOが、人々の抗議行動に
 よって暴走を弱めることに成功したのである。
  最後に、「保守主義の父」として知られる英国の政治哲学者エドマンド・パーク(1729年〜
 1797年)が残した重要な言葉を記して本書を閉じよう。
 
  「悪魔がこの世で勝利するために必要なのは、善良な人が何も行動もしないことである」

                    リーズ、アンディ 著 『遺伝子組み換え食品の真実』   

 

                                      この項つづく   





 

【半導体工学】

イチジク農地で作物を栽培しながら太陽光発電を行う「ソーラーシェアリング」の実験を、大阪(羽曳
野市)でも進められているという。このように再生可能エネルギーの運用がこのまま進めば、年間発電
量が2030年には総発電量の2割程度を占めると経産省・資源エネルギー庁は試算予測しているが、目標
をほぼ達成できるというニュースも届く昨今、太陽光発電、光電変換素子技術の進展は著しい。ところ、
で山形大学らの研究グループは、従来のシリコン系太陽電池の製造法と比べ短時間で低温度で生産時間
短縮可能なの製法が提案されていることを知る(下図参照)。



この製法の特徴は(1)第一導電薄膜型シリコン結晶、同多結晶、同アモルファスに対応する第二導電
薄膜層にゲルマニウム結晶、同多結晶ゲルマニウムを全体にあるいは部分的にシリコンに加えることで
半導体層を従来法の1000℃以下で成膜でき、(2)異物含有量による発電能力低下を抑制できる上
に加え、(3)pn接合界面に薄い酸化膜を設けることで、再結合を抑制し、発電電流の低下を抑制す
ることができる構造であり、(4)なによりも、これまでシリコン−ゲルマニウム太陽電池では、量子
井戸構造をとらないと太陽電池として使用できないとされてきたことも覆す特徴をもっている(詳細は
上図をダブルクリック)。このことで、従来製法より優位に製造できるというものである。このことは、
このブログテーマの『オールソーラーシステム完結論』で主張してきたように、これまでのシリコン系
太陽電池の最高変換効率28%超を実現させる群ドリブン技術に加わったことを意味する、実に興味深
い改良技術である。


 

 

 

高次脳情報処理工学

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【今夜の二つの疑問】 

● スリープ野菜

テレビ広告で”スリープ野菜”なる言葉が気になった。額面通りに受け取れば”眠れる冷蔵庫の野菜達”
とでもなるような童話、お伽噺の世界となるが、メーカーのホームページを広げると一目で納得する。



そこで、野菜を眠らせる目的原理とメカニズムに納得してみたが、発光ダイオードと光触媒(酸化チタ
ン)で保管空間で、エチレンガス――野菜や果物は、エチレンという植物ホルモンの作用で生長し、熟
成し、収穫した後も呼吸をしてエチレンガスを放出、老化し腐るが、植物の生長には必要不可欠なもの。
収穫後は自らや周辺の野菜や果物までも傷めることになる。バナナの熟成促進の場合はこのエチレンを
利用するが――を二酸化炭素と水蒸気に分解し、二酸化炭素が発光ダイオードの光を利用し呼吸代謝を
維持するというもの。このエチレン除去には、このような光分解以外に、ゼオライト(多孔質の鉱石)
と過マンガン酸カリウム混合物でゼオライトでガスを吸収し、過マンガン酸カリウムで分解し二酸化炭
素と水蒸気に変える方法がある。ただし、この種の商品例では、寿命が百リットル前後の大型冷蔵庫の
野菜室で約4ヶ月で定期的に交換する必要があり面倒なことと、購入廃棄過程のモルダールシフトの環
境的側面からマイナスイメージがぬぐえない。とはいえ、局部照射で保管空間全体の喚気効率の是非が
わからず疑問符がつくが、メーカ試験結果のデータ(ネット上での)からでは問題なさそうに思える。



とはいえ、このメーカ技術の独自性(新規性)側面からの評価はどうなんだろうとネット検索してみた。
そうすると、「特開2003-169542 切り花の強制開花処理方法及び強制開花処理装置」の先行しているこ
とに気づく。その概要は、切り花の強制開花処理方法で、蕾状態の切り花の茎切り口を水中に浸漬した
状態で、波長が400nm〜700nmの光量子束密度である光合成有効光量子束密度(PPFD)が50μmol−2{
s−1  以上の高強度光の照射を切り花に対して行い、切り花の光合成作用を利用して開花エネルギーを
供給し開花の促進を行うもので、PPFDとしては100μmolm−2s−1以上が好ましい――というものだが、
ここでは、エチレン対策は収穫時期を限定すること以外の記述はない。

 

● ハイレゾ音源 

株式会社電通サイエンスジャムは、鼓膜では聞き取れないとされる高周波を含む“ハイレゾ音源”をヘ
ッドホンで聴いた場合「脳が快感を感じる」ということを公表。これは長岡技術科学大学との共同研究
でまとめたもの。それによると“ハイレゾ音源”――これはCDスペック(44.1kHz/16bit)を上回る高音質オ
ーディオを指す。その臨場感あふれる音がマニアの間で広がり、この半年でハイレゾ音源対応の楽曲数が前
年の2倍に、また昨年ソニーから発売されたハイレゾ音源に対応ウォークマン「ZX1」が7万円を超え
る価格にも関わらず品切れになっているという。



ところが、このハイレゾ音源は、実は人間の耳の可聴帯域を越える周波数も含む音源で、「人はハイレ
ゾ音源と従来の音源を聴き比べても、その良さや違いを明確に認識できない」という疑問があり論争と
なっていたが――ハイレゾ音源は耳だけでなく、脳でしっかりと感じ取り、心に届いていることが判明したという
のだが、これにより人の抗えない本能を刺激するため――音楽の新たな豊かさ、その価値を提供する可能
性を秘めていると期待されている。また、研究メンバーの長岡技術科学大学中川匡弘教授は、「“耳で
は聞こえていないはず”のハイレゾ音源を耳だけで聴取しても、脳はポジティブな反応を示す」という
従来の定説を覆すほどの結論であり、脳機能・感性の研究者として、久々に身震いするほどの驚きの研
究結果となりました」と話したという。

●  高次脳情報処理工学

前述したように、ヒトの感性は脳の活動によって特徴付けられていると考えられ、脳の活動状態は脳波
などにより観測可能であり、現在さまざまな研究が行われている。脳波信号は、筋運動――このことが
半導体のスイッチング機能例えられるように――必要とせず、MEGfMRIなどに比べ、比較的容
易に測定でき、脳の活動状態を反映しているという長所を持っているため、様々な分野への応用が注目
されている。また、脳波がフラクタル性を持つ事が示され、脳波信号にフラクタル解析を施すことによ
り脳の活動状態を解明しようとする研究が行われてきている。また被験者が測定した帯域制限された複
数の脳波信号から選択した2つの脳波信号の差や積から、それらの信号をフラクタル次元解析し、フラ
クタル次元を特徴的に用いて、感性(「怒り」「悲しみ」「喜び」「リラックス」)を定量的に評価す
る手法として、感性フラクタル次元解析手法が提案されている。

近年、教育工学の分野でメタ認知活用の有効性が注目されているが、「メタ認知」は下図1に示すよう
に分類され、「メタ認知的モニタリング」活動は学習効果に大きな影響を与えるとされている。ここで、
自己の思考・感情そのものを対象としてモニタリングすることが「メタ認知的モニタリング」で、メタ
認知をしている自分とそれを取り巻く世界を対象としてモニタリングすることが「メタメタ認知的モニ
タリング」と呼ばれる。「メタ認知的モニタリング」は、自己の思考の誤りに気付き修正を行う上で不
可欠であり、自己学習能力に影響を与えると考えられている。しかしながら従来は、被験者がメタ認知
状態またはメタメタ認知状態にあるか否かを客観的に判定する技術がなかった。



このため、脳波差信号演算手段2は、被験者の脳の複数の領域のうち側頭葉を含む複数の領域から測定
した複数の脳波信号から、選択した複数組の2つの異なる脳波信号についてそれぞれ脳波差信号を求め
自己アフィンフラクタル次元演算手段3は、複数の脳波差信号のそれぞれから、自己アフィンフラクタル次元
を求め、認知状態判定手段4が、安静状態、メタ認知状態またはメタメタ認知状態に意図的になること
ができる基準者から得た脳波信号をリファレンスデータとして用いて、予め定めた判定基準に基づいて、
自己アフィンフラクタル次元のデータを入力として、被験者が安静状態、メタ認知状態またはメタメタ
認知状態のいずれにあるのかを判定し、被験者がメタ認知状態またはメタメタ認知状態にあるか否かを
客観的に判定できる認知状態判定装置を提案されている(上図、新規考案)。

また上図は、脳波処理装置の音発生手段で音を発生し、脳波計測手段は、この音発生手段からの音を聞
いている利用者の脳波を計測し、計測された脳波を対象として統計的分析を行い判別分析し、そのる分
析結果に基づき判別分析を行い、音質に対する利用者の客観的な評価として判別結果を出力する脳波処
理装置の提案である。

このようにヒトの自己環境を脳科学領域から電算機を駆使委し、高次な脳情報を処理し解析する試みが
進化してきている。これを高次脳処理あるいは高度脳情報処工学と呼称するとして、さらには感性工学
と呼称し、「ヒトの自己環境」と「ヒトのこころ」と「ヒトの精神」とを紐つけする試みが加速されて
きていことを確認することとなった。

 

植物培養工学

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 【遺伝子組み換え作物論 33】   

 

 

                                          解説

                            世界の食料支配を狙うパイテク企業


  「それほど遺伝子組み換え食品が素晴らしいものであるのなら、なぜ世界中で反対運動が起きて
 いるのか」「匪界中で消費者や農民が反対しているのに、なぜ遺伝子組み換え作物が拡大している
 のか」この二つの本質的な問いに対する回答が本書である。

  周知のように、米国政府と巨大企業の結びつきは極めて根深い。まるで企業が政府を形成してい
 るかのようであり、その仕組みが本書で紹介する「回転ドア」である。日本の「天下りは省庁から
 民間企業や独立法人、行政法人などの外郭団体へと上から下ヘの一方通行だ。それに対して、アメ
 リカは、政府や官庁と民間企業との間を往来する。「回転ドア」は、農業や食晶業界にとどまらず、
 金融や軍事などあらゆる分野に存在する。さらに問題なのは、政権が交代しても「回転ドア」は継
 続することである。たとえばバイテク産業では共和党のブッシュ政権の時代から「回転ドア」が形
 成されたが、民主党に政権交代してもそれは続いている。民主党のオバマ大統領は2008年の大
 統領選挙では公約として「遺伝子組み換えの食品表示の義務化」をすることを.一時主張していた
 が、当選後はいっさい語らなくなったし、それどころか「米国食品医薬品局(FDA」上級顧問と
 して、モンサント社の副社長マイケル・テラーを任命している。

  ちなみに2012年の大統領選挙と同日に、カリフォルニア州では、「遺伝子組み換え表示の義
 務化」に対する住民投票が行なわれた。97万人以上の署名が集まり、事前調査の段階では賛成
 60%、反対25%たった、ところが、住民投票の結果は賛成47%対反対53%で、否決されて
 しまったのである。バイテク企業が4560万ドルを投じ、テレビやラジオで約二週間、集中的に
 反対キャンペーンを展開したからだ。資金を拠出した企業はモンサント(810万ドル)デユポン
 540万ドル)、ダウ・ケミカル(200万ドル)、BASF(200万ドル)、シンジエンタ(
 200万ドル)バイエル(200万ド)となど本書に登場するバイテク企業だけではない。ペプシ
  コーラ(214万ドル)、クラフトフーズ(195万ドル)、コカ・コーラ(170万ドル)、ネ
 スレ(131万ドル)、ケロッグ(79万ドル)、デルモンテ(87万ドル)、キャンベル(50
 万ドル)、ハインツ(90万ドル)など日本でも有名な大手食品4企業も参加した。企業による反
 対キャンペーンでは、「遺伝子組み換え食品の安全性は米国政府が保証している」とアピールし、
 「わざわざ表示すれば食品価格が上がる」という脅しが消費者に対して功を奏したのである。本書
 でも2002年にオレゴン州で実施された「住民投票潰し」の事例が紹介されているが、カリフォ
 ルニア州では、オレゴン州の時の10倍近くの費用をかけて反対キャンペーンが展開された。

  「なぜ、アメリカ人は皆、遺伝子組み換え食品を積極的に推進するのか」という疑問をよく聞く
 が、実は米国内でも日本より数多くの団体が反対運動を行なっている。しかし、マスコミが遺伝子
 組み換えの問題や危険性を報道することはほとんどないし、巨大企業と一体となった政府・官庁の
 政策をくつがえすことは極めて困難な状況である。福島第一原子力発電所で大事故が起きた後でさ
 え、脱原発が進まない日本の状況と重ね合わせてもらえば理解していただけると思う。
  今やモンサント社は世界の種子の23%、大豆の70%を支配している。そしてモンサント、デ
 ュボン(ハイオニア・ハイブリッド)、シンジエンタの3社が世界の種子の半分を支配していると
 いわれる。

   暴走する遺伝子組み換え作物

  すでに米国の大豆の93%、トウモロコシの88%は、遺伝子組み換え作物に切り替わった。私
 は、1996年に米国で商業栽培が始まってから2年〜3年に一度は、米国を視察する機会があっ
 た。毎回、現地で感じたのは、「遺伝子組み換え作物は、崩壊に向かって暴走している」という思
 いである。
 
  本書で指摘しているように、除草剤に枯れない、"スーパー雑草"ほどこの大豆畑でも見かけるよ
 うになった。すでに除草剤耐性雑草は12種類にも増えており、遺伝子組み換え作物の商業栽培が
 始まって13年(1996年〜2008年)の間に、遺伝子組み換え作物の生産農家は、一般の作
 物生産農家より、17万2400トンも多くの除駆剤を使用したと言われる。
  害虫抵抗性トウモロコシを食べた「根切り虫(ルートリーム)が死なずに生きのびているという
 報告か増えており、害虫の発生エリアも拡大している。

  

  しかし、こうした問題は、「想定外」どころか、当初から専門家たちが指摘したように「耐性」
 を雑草や害虫が身につけた結果である。もはやモンサント杜もこの現実を心定しない。それどころ
 か2010年には新商品「スマート・スタック」を打ち出した。それまでの遺伝子組み換え作物は  
 除草剤耐性と害虫抵抗性のため3〜4種類の遺伝子を導入していたが、それではもはや効果が薄く
 なりつつある。そこでこの新商品は、8種類もの遺伝子を導入しているのだ。それは、「芯食い虫
 (コーンボアラー)」に殺虫性をもつ3種類の遺伝子と、「根切り虫(ルート・リーム)に殺虫性
 をもつ5種類の遺伝子、そして「ダウ・ケミカル社」と「モンサント社」の除草剤に耐性をもつ2
 種類の遺伝子である。今のところ種子代が高価なため利用する農家は少ないが、いずれこの新商品
 が普及した場合、雑草と害出は耐性を身につけ、対策がさらに困難になるとの問題が指摘されてい
 る。遺伝子組み換え作物の有効性は失なわれつつあるのだ。
 
  ところがもはや米国では、非遺伝子組み換え作物の生産が困難になっている、種子が手に入らな
 いからだ。一般種の需要が少なすぎるため、次々に種子会社が撤退した。たとえばトウモロコシの
 一般種子の開発・販売を行なっている大手種子企業は、「パイオニア・ハイブリッド社」だけにな
 っている(ただしかつては世界第1位の売上高を誇った「パイオニア社」も1999年に「デュボ
 ン社」に買収されて100%子会杜になっており、主要な販売種子は遺伝子規み換えである).米
 国農務省USDA)の調査によれば、非遺伝子組み換えトウモロコシの作付面積は12%存在して
 いることになるが、「パイオニア・ハイブリッド社」による独自の調査と試算では、もはや4%程
 度しかないと推測している。

  しかも非遺伝子組み換えトウモロコシの種子を開発・生産している同社でさえ「遺伝子組み換え
 種子の混入率については上限を設定していない」と言う。もはや米国では交雑・混入を防ぐことが
 できなくなったため、有機農業を断念する農家が増えている,しかも遺伝子汚染は米国だけの話で
 はない。遺伝子組み換えナタネの商業栽培を認可していないEUでも全域で確認されている。、オ
 ーストラリアでは、隣人が栽培した遺伝子組み換えナタネに汚染されたために有機認証を取り消さ
 れた農家が、隣人を相手取って訴訟を起こした。

                                   リーズ、アンディ 著 『遺伝子組み換え食品の真実』   

                                       この項つづく   

 

● 植物培養工学:オゾン水殺菌

植物工場が本格している。なかでも、固形培地や水中に根系を形成させ、生育に必要な栄養成分を液肥
と希釈水とを所定比率で混合した養液(培養液)を介して与えて、土壌を用いることなく作物などの植
物を栽培する養液栽培はそのコア技術あるいは装置/機構である。ところで、養液栽培で発生する植物
の主な病害としては、青枯病、萎ちょう病、根腐病などがあり、これら病害における病害虫の侵入経路
の多くは、(1)種子による伝染、(2)空気中からの伝染、(3)水や養液による伝染、(4)およ
び育苗資材や(5)ホース・水道管などからの伝染である。特に、栽培ベッド内や養液タンク内の養液
に病原菌が混入した場合には、壊滅的な被害に拡大するリスクがあり、これが養液栽培の生産安定や面
積拡大の阻害要因の一つとなっている。

病害防除の対策には、(1)紫外線照射による方法、(2)超音波による方法、(3)加熱殺菌による
方法などが研究されているが、いずれも実用化していない。(4)近年、オゾンを用いた消毒・殺菌に
よる方法が検討されているが、(1)オゾンを直接吹き込む法は、過剰オゾンガスが、培養液調整槽上
部の排ガスパイプを経由して栽培ベッドが設置されている栽培施設内の空気中に排出され、植物のクロ
ロシス(白化)障害が生じたり、作業者への健康被害や関連設備什器の劣化なるどのリスクがある。ま
た(2)培養液中の微量成分が酸化物を生成し、沈殿物として析出し培養液組成が大きく変化、あるい
は、植物に栄養障害が発生するリスクがある。なお、培養液の成分中、マンガン>鉄>カルシウムの順
に酸化されやすく、高濃度のオゾンガスは比較的酸化されにくいカルシウムまでも酸化するため、栄養
障害が生じる。

因みに、未溶解のオゾンガスが栽培施設内の空気中に排出され、オゾンガスによる植物の障害が生じる
が、0.3ppmのオゾンガス濃度で植物に致命的な障害を与えるとされる。

 

そこで、上図のように、植物が配置される栽培ベッド1と、このベッドに供給する養液タンク2と、原
水から所定濃度のオゾン水を生成し、生成したオゾン水を養液タンク2と栽培ベッド1のいずれか一方
か双方に供給する電解型オゾン水生成装置3を備える養液栽培設備100で、植物がオゾンガスによる
障害を受けにくく、オゾンによる養液を殺菌でき、さらにオゾン養液殺菌の養液組成の変化を少なくし
たオゾン水を用いた養液栽培設備と養液栽培方法の提案されている。 

図2は、この電解型オゾン水生成装置3が固形電解質膜61の一面と他面とに、直流電圧を印加した陽
極電極62と陰極電極63とを重ね、陽極電極62側に供給された水道水を図に示すように、この電解
型オゾン水生成装置3は、固形電解質膜61の一面と他面とに、直流電圧を印加した陽極電極62と陰
極電極63とを重ね、陽極電極62側に供給された水道水を(正確には、陽極電極62側に供給された
水道水、および陰極電極63側に供給された水道水の双方を)電気分解して、陽極電極62側において
オゾン水を得るように構成されている。

また、図3は、電解方式またはガス溶解方式により生成されたオゾン水における時間経過に伴うオゾン
水濃度の減衰傾向を示すグラフ。図4は、電解方式またはガス溶解方式により生成されたオゾン水に
おける時間経過に伴うオゾンガス脱気量の増加傾向を示すグラフ。この図に示すグラフの横軸は、経過
時間(分)であり、縦軸は、オゾン濃度(mg/L)である。また、図における電解方式で生成された
オゾン水の温度は、12.1℃、ガス溶解方式により生成されたオゾン水の温度は、10.1℃である。
このように、ガス溶解方式により生成されたオゾン水では、オゾン水濃度の半減期(オゾン水濃度が半
分になる時間)が10分〜15分程度であるが、電解方式により生成されたオゾン水では、60分以上
である。尚、混合後のオゾン水濃度が0.01mg/L以上、好ましくは3.0mg/L以上であるこ
とが望ましい。




上図の浄化装置は、循環水を循環させる循環経路(11)を備え、循環経路(11)は、相互に切換え可能
で、水浄化ユニット(60)を有する浄化経路(12)と、浄化経路(12)を経由しない通常経路(13)と
で構成。浄化ユニット(60)は、循環水中で放電を行う放電部(62)と循環水に超音波を照射する超音
波発生部(94)を有している。放電部(62)は、循環水中で放電を生起する電極対(64,65、464,465、
564,565、664,665)と、電源部(70)とを有し、放電によって循環水中に水酸ラジカルを生成するよう
に構成、超音波発生部(94)は、生成した水酸ラジカルが変化して生成する循環水中の過酸化水素を水
酸ラジカルに変換するように構成することで、水耕栽培システムの循環水を簡単な設備で効率良く浄化
できる。



過酸化水素濃度が十分に上昇した後、水に超音波を照射すると、水中の過酸化水素が分解され再び水酸
ラジカルが発生する。超音波照射により発生した水酸ラジカルは再び結合して過酸化水素に戻る。この
ため、上図に示すように過酸化水素から水酸ラジカルへの変換と、水酸ラジカルから過酸化水素への変
換とが循環して生じる。但し、殺菌等の水の浄化に使われた水酸ラジカルは水に変化するので、放電を
停止して超音波照射のみを行った場合には、過酸化水素の濃度は徐々に低下する。過酸化水素により水
を十分に殺菌しようとすると、水中の過酸化水素の濃度を高くしなければならず、過酸化水素は、低濃
度では比較的安全であるが濃度が高くなると植物に悪影響をおよぼすおそれがある一方、水酸ラジカル
は、過酸化水素と比べてはるかに高い殺菌能力を有している。従って、低い濃度においても水を十分に
殺菌することができるが、水酸ラジカルは不安定でありすぐに反応して過酸化水素となってしまう。こ
のため、水酸ラジカルにより水の殺菌を行うためには、水酸ラジカルを連続的に発生させなければなら
ない。放電の場合、水が分解されて水酸ラジカルが発生し、連続的に運転を行うと水中の過酸化水素濃
度がどんどん上昇する一方、超音波照射の場合には、過酸化水素から水酸ラジカルへの変換は生じるが
、水の分解は生じないので、水酸ラジカルの生成を連続的に行っても、過酸化水素の濃度が上昇するこ
とはない。従って、放電により過酸化水素を発生させ、超音波により水酸ラジカルを発生させることに
より、放電のみを用いて殺菌を行う場合よりもはるかに効率良く殺菌を行うことができ、過酸化水素の
濃度を低く抑えることができる。

最近はオゾン水製造システムも改善されてきている。上図は、その1つ事例で、オゾンガスの原料にな
る気体を導入する気体吸込手段と、オゾンガスを発生するオゾン発生手段とで液体を混合し、オゾン液
を生成する気液混合手段と、オゾン液を気液分離する気液分離手段とが循環経路で接続されたオゾン液
生成装置で、気液分離手段は、外部からの気体を導入する気体導入機構を備えていることを特徴とし、
オゾン液の濃度が低下させることなく、オゾン液を安定供給できるオゾン液生成装置が実現できるとい
うもの。

ここでは、水耕栽培の培養水の殺菌であったが、根菜類の培土の殺菌をオゾンガスを定期的に吹き込む
ことで、培土の有用成分(酵素や栄養素またはバクテリア)に与えるダメージを極力抑制することも考
えている。これに関しては残件扱いとする。


血中循環腫瘍細胞スキャン工学

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 【遺伝子組み換え作物論 34】    

 

 

 

                                          解説

                    日本でも広がる遺伝子汚染と試験栽培

  日本の各地でも遺伝子組み換えナタネが確認されている。市民による「遺伝子組み換えナタネ全
 国調査」が2005年から始まっているが、2012年の調査ではこれまでで最高の15都道府県
 で遺伝子組み換えナタネが確認された。過去の調査と農水省の発表を発表を合計計すると20府県
 に達する。こうした遺伝子組み換えナタネの多くは、海外から輸入されたナタネが港から工場に運
 ばれる途中でこぼれ、道端で自生したものと推定される。
  さらに2011年4月には沖縄県において、台湾産種苗「台農5号」という未承認の遺伝子組み
 換えパパイヤか栽培・流通されていたことが判明し、8000本が伐採された。ところが翌201
 2年に、民家の庭先や道端で生育していたパパイヤを腹水省と環境省が調査したところ、696本
 のうち、59本(8・5%)か遺伝子組み換えだったのである。

  ところが問題はそれにとどまらない。実は日本各地で、遺伝子組み換え作物の試験栽培が行なわ
 れているのだ。2000年代前牛までは、「JT(日本たばこ産業)」などの大企業や、農業試験
 場(愛知農栗試験場、全農平塚農業試験場Jが熱心だったが、目本の消費者の反発と採算に合わな
 いことを考慮して、多くが撤退した。現在は海外のバイテク企業と大学が中心になっている,
  日本国内で商業栽培は開始されていないとはいえ、全国各地で遺伝子組み換え作物の試験栽培が
 行なわれているのだ、以下は2012年度に実際に行なわれた試験栽培の一覧である(参照「有機
 農業ニュースクリップ」2012年8月12日、539号)。

 ■ 日本モンサント
 茨城県河内町(遺伝子組み換え・大豆、綿、ナタネ、トウモロコシ)
 栃木県那須塩原市の畜産草地研究所(遺伝子組み換え・低リグニン・アルファルファ)

 ■ デュポン
 栃木県宇都宮市清原工業団地(遺伝子組み換え・トウモロコシ、ナタネ)

 ■ シンジェンタジヤパン
 静岡県島田心神座の同社中央研究所(遺伝子組み換え・除草剤耐性大豆)

 ■ ダウ・ケミカル日本
 福岡県の同社小郡開発センター(遺伝子組み換え・除草剤耐性大豆、綿)

 ■ バイエル・クロップサイエンス
 宮崎県宮崎市・宮崎大学(遺伝子組み換え・綿)

 ■ 農業生物資源研究所
 茨城県つくば市の同研究所(遺伝子組み換え・複合病害抵抗性イネ、遺伝子組み換え・スギ花
 粉症緩和米)

 ■ 筑波大学
 茨城県つくぱ心(遺伝子組み換え・耐冷性ユーカリ)

 ■ 東北大学
  宮城県大崎心鳴子温泉の複合生態フィールド教育研究センター(遺伝子組み換え・紫外線抵抗
  性イネ、紫外線感受性イネ)

  問題はこれらの試験栽培が、外部から遮断された温室内ではなく、野外の「隔離圃場」で栽培が
 行なわれていることにある。「隔離圃場」とは、植物によって花粉の飛距離が異なるため、植物ご
 とに「隔離」距離が定められている一般の田畑である。フェンスや防風網で囲んでいるだけで、鳥
 や虫の出入りさえ自由であり、花粉が飛散しないように外界と完全に遮断されているわけではない
  農水省が2004年に設定した隔離距離は次の通りである。しかしその後、北海道などの栽培試
 験によって、この隔離距離を超えての交雑か確認された。このため、北海道の栽培規制条例は、北
 海道独自の隔離距離を2005年に設定した。()内が北海道の条例が規制している距離である。

  トウモロコシ  600m(1200m)
  ナタネ     600m(1200m)
  ダイズ      10m(20m)
  イネ       30m(300m)
  テンサイ   1000m(2000m)

 さらに風による花粉の拡散対策として「開花期の屯‐均風速が毎秒3mを超えない場所を選定して
 行なうものとする]「台風等の特段の強風が想定される場合には、防風ネットによる抑風又は除雄
 (花粉飛ばないように雄しべを取り除く作業)を行なうものとする」との交雑防止措置が追加され
 ている。だが、遺伝子組み換え作物の花粉や種子をコントロールできないことは、すでに世界中で
 明らかになっている。日本で商業栽培が始まらなくても、試験栽培が各地で増えるほど、一般の作
 物との遺伝子汚染や交雑は増え続けるだろう。そしてそれこそがバイテク企業の狙いなのである。

                              TPPに破壊される「遺伝子組み換え表示」

  私たちにとってさらに取要な問題は、米国のバイテク企業やアグリビジネスの狙いが世界市場の
 拡大にあることだ。むろん日本も例外ではない。その突破口かTPPである。かつては米国流の自
 由貿易を推進する中心の機関がWTO(此県貿易機関)だったが、世県全体の統一ルールをつくる
 ことは容易ではない。本書の第10章で指摘しているように、1999年に米国のシアトルで開催さ
 れたWTOの閣僚会議は途にに国と10万人のデモ隊のカによってとん挫し、以降、2001年か
 ら開始された「ドーハラウンド」は膠着状態に陥っている。そこで新たな交渉手段として打ち出さ
 れたのが「自由貿易協定(FTA)」や、「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)」などの数ヵ
 国・多国間における自由貿易体制の構築だった。

  TPPは知的所有権や保険分野など日本の経済と社会を大きく変えてしまうことが予測される。
 とりわけ影響を受けるのか農業食料分野である。「例外なき関税の撤廃」によって日本の農業は壊 
 滅的な打撃を受けるだろう。TPPには国内法や条例よりも優位になる「投資家・国家控訴(IS
 D条項」がある。ISD条項は、米国企業が進出先の国・自治体の政策や規制によって不利益を受
 けた場合、世界銀行傘下の仲裁機関に提訴できる規定である。そのため日本がTPPに参加すれば、
 地産地酒を推進する条例、遺伝子組み換えの栽培を規制する条例、遺伝子組み換え食品の表示を義
 務づけた法令などが、米国企業から「自由な競争を阻害する」として訴えられる可能性が高いので
 ある。

 「TPPに参加すると日本に遺伝子組み換え作物・食品が大量に輸入される」といった噂がある。
 ところが残念なことにある意味で、これは誤解である。なぜならすでに日本には、大量の遺伝子組
 み換え作物・食品が輸入されているからである。
  日本は1600万トンのトウモロコシを輸入しているが、ほとんどが米国産であり、その米国で
 生産しているトウモロコシのうち、88%か遺伝子組み換えである。大豆、ナタネ、綿、甜菜、ア
 ルファルファも米国では遺伝子組み換えに切り替わっており、大量に輸入している。2012年9
 月25日現在、日本で流通が承認されている遺伝子組み換え食品や飼料用原料は190品目もある。
 トウモロコシ(119品種)、大豆(11品種)、ナタネ(18品種)、綿(27品種)、甜菜(
 3品種)、アルファルファ(3品種)、パパイヤ(1品種)、ジャガイモ(8品種)などである。

  これほど輸入されているにもかかわらず、日本の消費者に「遺伝子組み換え食品を食べている」
 実感がないのは、日本の表示制度が。ザル法‘だからである。つまり、例外規定・が多すぎるの
 で、ほとんどの食品には表示しなくてよいことになっているのだ。

  第一の例外規定が、検査で検出できない食品である。原料に遺伝子組み換え作物を使用していて
 も、加工後の製品から、組み換えDNAやそこから生じたタンパク質か現在の技術で検出できなけ
 れば、表示の対象外とされる。そのため、トウモロコシやナタネ、綿実を原料とする「食用油」や、
 大豆を原料とする「醤油」、あるいは「コーンフレーク」など多くの加工食品が表示対象外となる。
 結局、大豆製品で表示義務があるのは、豆腐、納豆、味噌である。トウモロコシ製品であれば、コ
 ーンスナック菓子、トウモロコシ缶詰程度しかないのだ。

  第二の例外規定は、表示の対象か、上位3品目に限られていることだ。加工食品は多種類の原料
 からつくられている。ところか重量で”上位3品目”だけか表示の対象であり、4品目からは表示
 する必要がないのだ。
 
  第三の例外規定は、5%までの混入を許容していることだ。つまり、全体の重量に占める割合が
 5%に達していない原料は、表示しなくてもよいのである。

                    リーズ、アンディ 著 『遺伝子組み換え食品の真実』   

                                       この項つづく   

 

 

 

【血中循環腫瘍細胞スキャン工学】

 

順天堂大学大学院の十合晋作准教授は、創薬ベンチャーのオンコリスバイオファーマとの共同臨床研究
により、がんの最も初期段階「ステージIa」にある非小細胞肺がん患者の約3割で、血中を浮遊する
微小ながん細胞(血中循環腫瘍細胞=CTC)の検出に世界で初めて成功したことを公表。CTCは、
がん治療後にも血中を循環することで他の部位に転移して再発する要因。約50人の非小細胞肺がん患
者を対象に、7・5ミリリットルの血液を採取。オンコリスバイオファーマが開発した遺伝子改変アデ
ノウイルス「テロメスキャンF35(OBP―1101
)」と混ぜて検出した。 CTCの検出では、
非小細胞肺がん患者の約3割から検出したという最先端の報告があるが、がんが最も進んだ「ステージ
IV」と呼ばれる段階での事例。今回成功したステージIaでは、がんがほとんど進行していないため、
通常は胸部CTで発見しても、炎症なのかがんなのかの判別が難しといわれるもの。

 

 

 



細胞のがん化でテロメラーゼ酵素が作用し活性化されがん細胞が増殖。オンコリスバイオファーマ社の
開発した癌細胞を破壊することができるように遺伝子改変された5型のアデノウイルスであるOBP-301
(テロメライシン®)は、がん細胞特異的に増殖がん細胞を溶解する抗腫瘍剤――正常な細胞には機能し
ない――であるが、このOBP-301(テロメライシン®)にクラゲの発光遺伝子を組み入れたものがOBP-401
(テロメスキャン®)で、炎症性細胞などのテロメラーゼ陽性細胞で特異的に蛍光発光を促す検査用ウイ
ルスである。 これを応用展開すれば、少量の採血で様々ながん腫瘍の早期発見の検査が可能になるばか
りか、がん腫瘍以外の炎症性細胞の検査ができそうだ。 そうすれば、ネガティブな評価が先行する遺伝
子組み換え食物とは異なり、遺伝子改変ウィルスを使用した腫瘍性・炎症性細胞スキャン工学では、ポ
ジティブな評価になるだろう。

史上最強力士の登場

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● 鳶色の瞳の誘惑


朝窓を開けると、いい香りだ。なんだろうと、ルージュピエールドゥロンサールに目をやれど、それ
ではない。むしろ金木犀の香りだ、もう咲いているのだろうかと不思議に思い、裏庭から玄関に周り
込むと、有楽斉窓を横にしたような粗末な葦のシェードの横に今朝咲きの "鳶色の瞳の誘惑の香り"
を放っていた。

 

●  電気配線接点工学

自動車用のコネクター端子にはスズメッキした銅板が用いられているが、スズ表面にはスズ酸化膜が
形成される。スズ酸化膜は絶縁体であり、その厚さは 10 nm程度と非常に薄いことから、スズ酸化膜
がコネクターの金属接触や電気抵抗にどのような影響を及ぼしているかを詳細に把握することはこれ
まで非常に困難であった。コネクターを小型化するため、スズ酸化膜表面の金属接触と接触電気抵抗
との関連を詳細に解析する必要性が増していて、そのための新しい評価装置の実現が強く求められて
いたが、このほど産総研と矢崎総業が、電子顕微鏡中でコネクターの接触を観察しながら、接触荷重
と電気抵抗を同時に計測し、酸化スズ膜の割れ目にスズが入り込んで良好な電気接点が作られること
――電気接点で電気が流れるメカニズムを解明――を発見し、この成果から、銅板にスズメッキを施
して製品化されている自動車ワイヤーハーネス用コネクターの小型・軽量化のための評価装置を開
発した。「小さなことからコツコツと」を地でいく発明だ。

 

 【遺伝子組み換え作物論 35】    

  

                                          解説                  

                  TPPに破壊される「遺伝子組み換え表示」


  こうした例外だらけの表示ルールだからこそ、日本ではほとんどの食品に遺伝子組み換え原料が
 使用されているにも関わらず、表示されていない。それに対してEUでは、遺伝子組み換え原料を
 0・9%以上含んでいるすべての食品・飼料について、表示が義務づけられている(遺伝子組み換
 え飼料を給餌された食肉などの畜産物は表示の対象外)。日本でもEUでも[遺伝子組み換え」と
 表示された食品を見かけることは、ほとんどない。しかしその理由は大きく違っている。EUでは、
 消費者の抵抗感を配慮して食品メーカーが遺伝子組み換え原料を使用しないからであり、日本では
 大豆に使用されていても、制度が。ザルであるため表示されないだけなのである。

  そのため日本では 2011年12月に、安全性審査を経ていない未承認の遺伝子組み換え食品
 添加物が長年に渡って輸入され、国内で大量に流通していた事件が発覚した。日本において「遺伝
 子組み換え食品添加物」は、次の16品目が承認されている。α−アミラーゼ(6品目)、キモシ
 ン(2品目)、プルラナーゼ(2品目)、リパーゼ(2品目)、リボフラビン(1品目)、グルコ
 アミラーゼ(2品目)、α−グルコシルトランスフエラーゼ(2品目)。(上記のうち「リボフラ
 ビン」はビタミンB2、その池は酵素)。

  2011年11月5日に厚生労働省が発表した「未承認添加物」は、「5−グアニル酸ニナトリ
 ウム」「5'−イノシン酸ニナトリウム」で、これらは7年近くもの間、年間600〜700トンも
 輸入されていたといううまみ調味料の原材料として、だしやスープ、かまぼこなどの水産加品、ハ
  ム、ソーセージなどの食肉製品など、約180〜200万トン程度の加工食品に使用されたと推計
 されている。
  さらに同年12月22日には「リボフラビン」「キシラナーゼ」か輸入されていたことが判明し
 た。「リボフラビン」は医薬品原料として過去3年間に約82トン(うち約36トンを添加物とし
 て使用)、「キシラナーゼ」はパンをつくる際の酵素として、過去3年間に0・6トン輸入されて
 いた。
 
  驚くのは第1に、長年にわたって検疫所の検査をすり抜けてきたことである。日本の場合、「遺
 伝子組み換え微生物由来の添加物」は、検出検査が技術的に不可能であるという理由から、。製品
 のトレーサビリティ情報(遺伝f組み換え出来に関する記載)ヽを義務化していなかったために、
 ノーチエツクで輸入されていたのである(EUでは、製品に遺伝子組み換え由来であることを記載
 することか義務化されている)。
  そして第2に、「リボフラビン」「キシラナーゼ」を輸入していたのがドイツのバイテク企業「
 BASF杜」の日本法人「BASFジャパン」であったことだ。同グループは、遺伝子組み換え技
 術の研究開発を専門的に行なっている企業であり、遺伝子組み換えの承認手続きについては十分な
 知見を有している。それにも関わらず、「未承認添加物の輸入・販売]と「医薬品原材料の食品添
 加物への転用」という二重の食品衛生法違反を犯したのである。

  そして第3に、厚生労働省は違法状態を認識しながら、これらの添加物の輸入・販売の取りやめ
 を指示しただけで、「キシラナーゼ」を除いて、それらを使用した食品の版売中止を求めなかった
 ことである。その他の添加物については、事件の発覚後も放置したまま、食品安全委員会において
 安全性審査の手続きを開始し、事後承認したのである。


 

    しかし日本がTPPに参加すれば、こうした "ザル法" に近い表示制度でさえ、米国が許さない
  可能性が高いことは、カリフォルニアの事例を見ればわかる。事実、米国政府はTPPの構成国で
 あるニュージーランドに対して、遺伝子組み換え食品の表示撤廃に向けて圧力をかけている。日本
 においても、「遺伝子組み換え原料不使用」といった表示を許さず、食品添加物や農薬の承認数の
 拡大、食品への放射線照射の認可、農薬の残留基準の大幅引き上げなどを強要することが予測され
 る。「自由貿易の障害となる」というアメリカ流の「正義」は、"食の安全゜の分野でも強要される
 のである。


                        日本の食料生産に終止符を打つTPP

  TPPの本質は、アメリカ主導で徹底的な規制緩和を断行することであり、その重要な武器が「
 例外なき関税撤廃」にある、TPP参加によって日本の食料自給率は2011年の39%から13
 %にまで低下すると試算されている。
  現在の自給率39%とはどの程度の状況だろうか。日本は年間1600万トンのトウモロコシを
 輸入している。主食のコメは、ほぼ、百%自給しているが生産量が800万トンだから、その2倍
 の量に相当するトウモロコシを輸入しているのだ(穀物としてのトウモロコシの自給率はゼロ%に
 近いスイートコーンなどの生野菜は国内自給されているが、冷凍トウモロコシも米国等から大量に
 に輸入されている)。大豆の自給率も5%程度で、約300〜400万トンが輸入されている。輸
 入先の米国、ブラジルで生産されている大豆のほとんどは遺伝子組み換え大豆になった。小麦の自
 給率は12%である。

  ちなみに牛・豚・鶏など家畜に与える濃厚飼料(トウモロコシや大豆粕など、牧草を除く飼料)
 の自給率は約10%しかない(輸入されるトウモロコシの七割は阿用なのだ)。結局、輸入が医ま
 れば肉や牛乳などの畜産物はもとより、食用油、味噌、醤油などもたちまち欠乏することになる。
 2009年に読売新聞が行なった試算によれば、現在の日本の自給力で縁日の食事をまかなおうと
 しても、米、さつまいも、野菜が中心、たまに魚で、996キロカロリーしか摂取できないという
 (出典:『食ショック』、読売新聞社「食ショック」取材班、中火公論新杜.2009年)。千キ
 ロカロリーとは1〜2歳の幼児が一日に必要なエネルギーであり、一般的な成人の摂取カロリーは
 1800〜2200キロカロリーである。しかもカロリーだけでなく、タンパク質や油など多くの
 栄養素が不足して、飢餓状態になる。

  それでもいまだに日本では「海外から安い食料を輸入すればよい」という楽観論が蔓延している
 が、すでに世界の食料在庫は底をつき始めている。その大きな要因は2つある。1つめは、新興国
 で肉類・食油の需要が急増していることである。2つめは、世界的な異常気象だ。すでに中国は食 
 料輸入国に転じている。
  20012年8月には、アメリカ中西部の穀倉地帯を中心とする歴史的な干ばつ被害により、シ
 カゴ商品取引所における大豆、トウモロコシの価格がついに史上最高値にはねヒかっか。しかも米
 国内の需要のうち、半分はエタノール燃料のために使用され、期末在庫率は5・55%しかない。

  そのうえ、深刻な毀常気象が毎年、世界的な現象になっている。2012年はオーストラリア、
 ロシア、ウクライナ、インド、タイ、東アフリカなどでも干ばつが広がった。米国に次ぐ世界第2
 位の小麦輸出国オーストラリアでは、全体の3分の1以上の小麦を生産している西オーストラリア
 州で降雨量が記録的な低水準になり、2012年の小麦生産高は前年の2割誠に落ちこむと予測さ
 れた。

  穀物の主要輸出国であるロシアとウクライナでも、トぱつのために小麦、トウモロコシなどの収
 穫が2割程度落ちこみ、両国が輸出規制に乗り出すとの観測が出た。インドでも深刻な干ばつが、
 広がり、過去四〇年間で最悪の干ばつを記録した2009年より状況は悪いと.言われて、農作物
 輸出を制限する可能性がある。ちなみに2011年、世界的な食料不足が発生した際、「農産物の
 輸出禁止」を実施したのはロシア(小麦、大麦)、インド(小麦)、インドネシア(米)、ハング
 ラデシユ(米Jなどで12ヵ国。「輸出税の賦課や輸出枠設定」を行なったのは、フィリピン(米)、
 台湾(米)、アルゼンチン(小麦、トウモロコシ、大.腿、牛肉)、ミャンマー(米)、ウクライ
 ナ(小麦トウモロコシ)など8ヵ国もあった。


                     リーズ、アンディ 著 『遺伝子組み換え食品の真実』   

                                        この項つづく  

 

 

● 史上最強の力士登場

 

破竹の逸ノ城だ。白鵬もすごいがそれを越えてしまうほどの史上最強の横綱の誕生を予感させる。

 

 


無線給電舗装工学

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自家製レモンのアランチェッロが完成した。途中調整で氷砂糖を追加した。このリキュールの特徴はス
ターアニスの代わりに五香粉を加え、塩を加えているところにある。試飲の感想は? 百点満点の85点
というところか、かなりの出来映えと自己満足している^^;。


【オールソーラーシステム完結論 19】

 


インテリジェント・ペイブメント・パネル』(あるいは『ソーラー舗装時代』)で掲載したが、日本
でもその動きが出てきたようだ(「電化フロア電動カートの開発 ―走行中の電動カートにワイヤレス
で連続給電可能」2014.09.25、大成建設 プレスリリース)。それによると、大成建設は、豊橋技科大
と共同で屋内を走行する搬送システムなどの電動カートに対して建物の床からワイヤレスで電力を供給
する「電化フロア電動カート」を開発し、国内で初めて人が乗車した走行中の電動カートにワイヤレス
給電することに成功したという。そのシステムの特徴は以下の通り。

(1) 電化フロアを適用することで、電動カートへの充電やバッテリーの搭載・交換が不要となる。ま
 た連続走行でき走行距離の課題が解決する。
(2) 電化フロアは特殊な建材ではなく一般建築部材で構成されるため、容易に安価に設置できる。
(3) 電化フロアの床仕上げはアスファルト系部材、コンクリート系部材のいずれかが選択でき、生産
 施設や物流施設などの幅広い用途に利用可能で、新築だけでなく既存床上にも適用できる。

 
これを「無線給電舗装工学」というべきかどうかわからぬが、これでいよいよ「オールソーラーシステ
ム」のゴールにまた一歩近くなったようだ。これは実に楽しい。

 【遺伝子組み換え作物論 36】    

  

 

                                          解説  

                    日本の食料生産に終止符を打つTPP            

   「食料自給できない国は、国際的な圧力と危険にさらされている国だ」と語ったのはブッシユ大
 統領(任期2001年〜2009年)であり、「食料が100%自給できない国は独立国家ではな
 い」と主張したのはフランスのドゴール大統領(任期1959年〜1969年)だった。食料自給
 を国家戦略の基本に据える両国の自給率は.120%を超えている,そのため、米国では農家に対
 して毎年1兆円の差額保証を実施。EU各国でも農果所得の95‰程度が補助金である。
  ところが日本の自給率は戦後一貫して低ドしてき。牛はは本来、草食動物であるため、穀物は食
 べない、そこで日本でも戦後の一時期は、スイスのように山間の牧草を利用した「山地酪農」を目
 ざした人々もいた。しかし1961年に制定された一農業基本法」を契機として、米国の余剰穀物
 であるトウモロコシや大豆粕を輸入して濃厚飼料として与えることで、乳脂肪を高めて乳量を増や
 す。酪農の大規模化=工業化が全国的に進められたことによって、日本の小規模・放牧酪農は壊滅
 的な状態になった。その後は、果物や牛肉も米国から輸入を要求されたことで、国内の農業は風前
 の灯火となった。まさしく米国の戦略によって日本の食料政策か決定され、まさに今、TPPによ
 って完全に崩壊させられようとしている。そのうえ、日本政府は財政難を理由に、農家の戸別所得
 保障制度の予算さえ削減しようとしているのだ。

  1990年代にはワールド・ウォッチ研究所のレスター・R・ブラウンの著書『だれか中国を養
 うのか?−迫りくる食糧危機の時代』(今村奈良臣訳訳、ダイヤモンド杜、1995年)が話題に
 なった。工業化による耕地減少と水不足によって、中国が食料輸入大国となる時、世界は大混乱に
 陥ると指摘して大論争を呼んだ。その優、確かに中国では、人口の増加と、急激な経済成長、富裕
 層の拡大と食生活の変化が進み、2004年以降、農産物の輸入額か輸出額をト回り、現在の食料
 自給率は95%と言われる。中国は、米国に次ぐ世界第二位の対日農産物輸出国であり、2011
 年の日本の輸入額は野菜や鶏肉など5890億円に上回る(日本からの輸出は160億円)。しか
 しすでにトウモロコシや大豆については、中国は輸入大国になっている。つまり、心配すべきは日
 本の食料事情なのである。1965五年には1千万人いた日本の農民は、1980年には500万
 人となり、2010年には260万人となった。これは全人口の2%であり、しかも平均年齢65
 .8歳だ。TPPに参加して安い食料が押し寄せ、日本の農業が崩壊した優になって、異常気象や
 干ばつ、人口増加によって世界中が食料不足に陥り、わずかしかない食料輸出国が輸出規制を実施
 したら、誰が日本国民を養ってくれるのだろうか?


                             遺伝子組み換え食品の危険性

  そして最も危惧されるのが遺伝子組み換え食品の危険性である。英国のプシュタイ博士をはじめ、
 これまで遺伝子組み換えの危険性を指摘してきた多くの学者・研究者は、バイテク企業のロビー団
 体から細部の矛盾や不備を指摘されて権威を失墜し、職を失ってきた。本来なら、より精密な条件
 で同様の安仝性試験を行なうべきだが、バイテク産業はもちろん、政府機関もそれを封じてきた。
  それでも近年では各国の研究機関において、安全性を確認する試験か行なわれるようになってい
 る。フランス・カーン大学の分子生物学および内分泌学者ジレ・エリック・セラリーニなどが行な
 った動物実験では、「除草剤耐性トウモロコシ(NK603)」と「除味剤ラウンドアップ」の有
 害性が示された。これらを含む餌をラットに与えたところ、雌は乳がんと脳下垂体異常が多く、雄
 では肝機能障害と肝臓の肥大、皮膚がん、消化器系への影響がみられた。また雄の牛分以上、雌の
 70%上が早期にに死亡したという。この実験は世界中に波紋を投げかけ、フランス政府は保険衛
 生当局に調査を要請した。(出典「バイオジャーナル」2012年10月134号、市民バイオテ
 クノロジー情報室)。

  これまでモンサント社などは、"Bt毒素は特定の昆虫にしか作用せず、ほ乳類や人間には影響
 しない"と主張してきた。ところが、フランスーカーン大学の研究チームは、殺虫成分Bt毒素が
 人間の細胞の生存能力に有害な影響を及ぼすことを示唆している。

  もう1つの懸念は、除草剤ラウンドアップの食品や飼料への残留である.ラウンドアップの主成
 分グリホサートは、わずかな濃度の残留でも人体に有害であることは、様々な研究が指摘している。
  しかも世界最大の売りトげを誇る除草剤「ラウンドアップ(グリホサート」は、遺伝子組み換え
 作物だけでなく広く一般に雑草に使用されている(日本でもホームセンターや通信販売でも購入で
 きる)。そのためか、ドイツの大学が行なった研究では、都市生活者の尿サンプルから「グリホサ
 ート」が検出され、しかもその濃度は飲料水基準の5〜20倍だったという(出典『バイオジャー
 ナル』2012年4月127号。市民バイオテクノロジー情報室)。
 
  異常気象、干ぱつ、飢餓の発生により、世界中が食料の輸出を規制した時、米国は国内消費を抑
 えても、日本に食料を分けてくれるのだろうか。そしてその時、遺伝子組み換えトウモロコシや大
 豆の危険性が明確になっていたとしても、日本はありがたく輸入させてもらうことになるのだろう
 か。それはまさしく本書の第六章で紹介されている、食糧援助を理由にして遺伝子組み換え作物の
 受け入れを強要されたアフリカと同じ状況に、日本が陥ることになるのだ。 


                       遺伝子組み換え作物を拒否し、高い自給率を維持するEU

  米国の政策をそのまま受け入れてきた日本と異なり、ヨーロッパでは基本的に遺伝子組み換え拒
 否を貫いている。スペイン、ポルトガルでは栽培面積が増えているものの、全体的には撤退傾向に
 あり、7ヵ国がGM作物を禁止している。そもそもEU諸国の中でGM作物の商業栽培を認めてい
 るのはスペイン(トウモロコシ)のみであり、その他は試験栽培の段階にある。EUで遺伝子組み
 換え作物か普及しない理由は4つある。

  第一には、消費者の強力な抵抗と政府・企業に対する不信感があるためだ。1980年代後半に
 英国から欧州、そして世界に広がったBSE(ぃわゆる狂牛病)について英国政府は人への感染を
 否定し続け、その可能性を認めたのはなんと1996年(米国で遺伝子組み換え食品の商業栽培が
 始まった年)たった。

                     リーズ、アンディ 著 『遺伝子組み換え食品の真実』   

                                        この項つづく  

 

 

 

● 秋桜を飾る

木曽の御嶽の突然の水蒸気爆発で多数の死傷者がでた模様。穏やかな秋の日に、内外に不穏なる風が戦
ぐかのようだ。口をついて出てくる言の葉は

 "Keep my peace mind, and then keep your peace mind."

との祈りの言の葉。

 

薄膜離合工学

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【薄膜離合工学】

薄くて柔らかいフィルムとガラスを簡単に接合し、剥離する技術を東大の須賀唯知教授とランテクニカ
ルサービスで開発。フィルム上に電子回路を作る際にガラスで支持して搬送できる。ウエアラブル端末
などのフレキシブル基板の製造プロセスに提案し、2―3年での実用化を目指す。フレキシブル基板の
製造方法をガラス基板上への樹脂の塗布から、ガラスと樹脂のフィルムの貼り合わせに変更でき、従来
は大面積を均一に塗布することが難しく歩留まりが低かったが、膜厚や表面粗度が均一なフィルムは量
産されており、貼り合わせで品質とコストを抑えられる。接合フィルムは薄膜トランジスタ(TFT)
などのプロセスで、従来と同じガラスの搬送系を使える。電子回路を形成した後は、簡単に剥がせ数百
℃の高温にも耐える特徴をもつ(2014.09.29 日刊工業新聞)。

これまでウェハー等の接合が常温で出来るが、硝子も常温で接合できる可能性は指摘されていた。ディ
スプレイに限らず、硝子を基板として使用するデバイスは多くあり、これらの接合は接着材等を使用し
て接合してきたが、近年、厳しい環境下での使用、水分の透過の抑制の要求が多くなり、無機物質同士
の常温での接合が求められてきた。硝子の常温接合の産業分野での応用に大きく寄与できる。硝子常温
接合の成功に続き、フィルムの常温接合にも成功しているが、同様に硝子とフィルムの異種素材同士の
常温接合にも成功。フィルムの常温接合の成功は、デイスプレー以外の多くの分野−例えば医療分野、
宇宙関係などの有機系接着剤が使用しにくい分野への応用が期待されている。


もともと、東大の須賀唯知教授らの常温接合技術は10年ほど前に提案されていたもの(参考「特開2003-
249620 
半導体の接合方法およびその方法により作成された積層半導体」)。接合部の表面に、アルゴン
などのプラズマ照射し照射洗浄することで、大気中で接合する(上図の装置概説図をダブルクリック)。

以上の技術を踏まえ、上図のように、高さが異なる電子部品4の電極端子4aを基板1の複数の電極2
aに載置する部品載置工程と、複数の電子部品のうち高さが最も高い電子部品と高さが最も低い電子部
品との高さの差よりも厚い有機フィルム5を複数の電子部品に載置する有機フィルム載置工程と、所定
の温度に加熱された押さえ部材58の平面状の押さえ面58aを有機フィルムに押し当て電子部品側に
第1の圧力を付与し、有機フィルムの被押さえ面5aの高さを均一にする有機フィルム加圧工程と、加
圧部材58の平面状の加圧面58aを被押さえ面に押し当て加圧部材により、電子部品側に第2の圧力
を付与しながら、所定の時間加熱し複数の電子部品の各電極端子を基板の各電極に接合する接合工程と
を備えることで、複雑で精密な電子部品の電極端子と基板の電極との良好な接合状態を確保した上で生
産性の向上を図り基板の小型化を図る方法が提案されている。あとは、信頼性(堅牢性・耐久性)の品
質要求事項に合致するかどうかである。この技術は有機薄膜系太陽電池などの可撓性電子デバイスの製
造には欠かせないものとなる。

 

 

 【遺伝子組み換え作物論 37】    

 

  

 


                      遺伝子組み換え作物を拒否し、高い自給率を維持するEU

  第二に、強固な市民社会の存在である。米国政府は「回転ドア」によって企業に半分乗っ取ら
 れた状態にある。ベルギーの首都にあるEU議会も巨大企業のロビー団体に包囲されてはいるか、
 市民のロビー団体も多数ある。2004年に現在の食品表示制度が実現したのも、「消費者連合
 体、農協、消費生活協同組合、グリーンピース、地球の友」が連携してEU議会に対して働きか
 けた成果だった。
 
  第三に、モンサント杜との競合にEUのバイテク企業が勝てなかったためである。米国政府の
 支援を受けたモンサント社は王のごとく振る舞える。自ら法令を制定し、対立者を粉砕するが、
 消費者・農家が強く反対するEU諸国に本社を置くバイテク企業はそうはいかない。結局、年々、
 EU域内における試験栽培の数も減り、アジア・アフリカに撤退している。
 
  そして第四に、EUが食料生産・輸出国であることだ。フランスの食料自給率は120%、低
 い英国でさえ65%ある。先に述べたように、多額の補助金を費やして農業を保護してきた成果
 である(ただし、不足分はアフリカからの輸入で補っているため、アフリカもEU巾場を失って
 までも米国から遺伝子組み換え作物を輸入はできないという板挟みにある、そのためこの点につ
 いては、アフリカの農業にとって不公平であるとしてEUは批判を浴びてきた)。

  こうして日本の表示がほとんど"ザル"であるのと対象的に、EUでは表示か徹底されてきた。
 そしてさらに2013年1月23日に、欧州委員会は遺伝子組み換え作物の承認手続きを201
 4年末まで凍結することを決定した(バイテク企業や米国からの反撃も予測されるため、今後の
 展開は予断を許さない)。米国の政策をそのまま受け入れてきた日本と異なり、ヨーロッパでは
 基本的に遺伝子組み換え拒否してきた。
  いずれにせ「消費者と農民と政府」とがスクラムを組んで食の安全と自給を守ることこそが本
 来の「国益]のはずである。

                                    終わらぬ闘い

  闘いは今も終わってはいない。バイテク産業は次から次へと新たな商品を繰り出しており、
 2012年だけでも次のような事例が報告されている。(以F、出典『バイオジャーナル』市民
 バイオテクノロジー情報室)

  ・米国では、初めての遺伝子組み換え動物食品となる「遺伝子組み換えサケ」の承認をめぐり
   食品医薬品局(FDA)内での審議が続いている(2012年12月21日、食品医薬品局
   は、「環境に重要な影響は与えない」とする環境影響評価濫案を公表した)。
  ・ブラジル市街地では、英国のバイテク企業「オキシテック杜」か開発したデング熱対策の遺
   伝子組み換え蚊を1000万匹放出した。さらに今後、年間400万匹生産するため施設の
   稼働を開始している。同じ蚊は、パナマとインドでも放出される予定である(熱帯・亜熱帯
   地域に分布する『熱帯縞蚊」は、デング熱などの感染症を媒介する。そこで野生の雌と交配
   しても蚊の幼虫が生きられないように遺伝子組み換えした雄を大量に放出して、蚊の数を減
   らすことか目的と言われている)。
  ・遺伝子組み換え蚊を開発した英国「オキシテック杜」は、アブラナ科の害虫コナガを減少さ
   せるため不妊化したコナガの雄を開発した。
  ・米国食品医薬品局(FDA)は、遺伝子組み換えニンジンから製造される治療薬を認可した。
  ・カナダのバイテク企業「オカナガン・スペシャリティフルーツ杜」は、茶色に変色しないよ
   うに改変した遺伝子組み換えリンゴ「Arctic Apple」を開発し、米国に申請を行なった。
  ・ブラジルでは[スザノ製紙」傘下の企業が、バイオマスとパルプ生産のために成長を早めた
   遺伝子組み換えユーカリ植林の承認を得た(ブラジルのバルプメーカー「スザノ製紙」は、
   2010年に植林バイオテクノロジーで有名な英国資本「フューチャージーン社」を買収。
   遺伝子組み換え技術で植林の生産を大幅に拡大する計画をもっている)。
  ・オーストラリアでは、モンサント社とバイエル・クロッブサイエンス杜による遺伝子組み換
   え小麦の開発か進んでおり、早ければ2015年には商業栽培を開始することが予測されて
   いる。

  ちなみに本書は英国で活動するNGO団体「GMウオッチ」の元編集者の執筆によるため、遺
 伝子祖み換え推進に積極的だったプレア首相(任期1997年〜2007年)の労働党政権にお
 ける様々な動向について詳細に説明している。ただし翻訳にあたってはその多くを省略した。遺
 伝子組み換え問題に関しては、英国と日本との直接的な関わりは少ないためである。

  しかもこの間、英国では市民による強力な反対運動に圧倒されて、バイテク企業が撤退を余儀
 なくされ、商業栽培はおろか、試験栽培さえ困難な現状にあった。ところがその英国でも最近で
 はローザムステッド研究所で遺伝子組み換え小麦の試験栽培が始まっている。英国では、試験栽
 培が行なわれれば反対派の農民や環境保護運動家が、逮捕覚悟で遺伝子組み換え作物を引き抜く
 活動を展開してきた。むろんこうした活動に対しては賛否両論あるが、「非暴力直接行動」の意
 義か社会的に認知されている英国ならではの状況と言える。今後もバイテク企業と市民との闘い
 は、世界中でもさらに激しさを増していくことだろう。 

                    リーズ、アンディ 著 『遺伝子組み換え食品の真実』 



以上、翻訳者の「解説」でこのテーマは終わとなるが、遺伝子組み換え作物が将来に与える悪影響と
は 例えてみてば、これが「毒リンゴ」かどうか試しに食べてみてもその答えが出るまでに、長時間
かかるというものばかりのような気がする。戦後の杉花粉症は、日本の植林政策の結果であり、高度
経済成長とともに大量消費されたディーゼル燃料などの地下化石燃料の燃焼ガスとの複合汚染と相ま
って進行してものであることに気付くのがずっと後のことであったように、食物アレルギーなど閾値
が下がって日本人の2人に1人から近似全員が何らかの食物アレルギーをもつようになる日がやがて
やってくるかもしれない。そのとき、原発事故は起こらないと言っていた為政者の多くがいなくなっ
ているように、関係者の誰もが無責任で終わってしまう可能性もある。そのようなことが起きぬよう、
賢明な選択と行動が取れるようにと、この書物は警告してくれている。 

※日本では「天下り」や「天登り」という言葉があるが、米国では「回転ドアー」という言葉に該当
 するという。しかし、"スピード感"という点でこちらの方が「貪欲さ」のスケールの大きさの違い
 が伝わってくるようだった。 ^^;。

                                          この項了  

 

● 今日の名言 

新世代自動車はエネルギーを持った 走るデバイスになる / 和田 憲一郎


※エレクトリフイケーシヨンコンサルティング代表

 

母に贈る感謝の言葉

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  父母に/手を引かれては/空を駈け/秋桜の道を帰りゆく




 

 母に見守られて過ごした現歳月。灸卓を囲み、談笑する何気ない
 日常が何よりの幸せだったと改めて感じます。阪神ファンの母と
 一緒にテレビに釘付けになって、選手の名前を叫びながら日本一を
 喜んだことも良い思い出です。母の笑顔はいつも家族と共に
 ありました。時間を見つけては国内銀行やお遍路に出かけ、
 夫婦の絆を確かめていた在りし日。父を支え、私達子供を育て
 どんな時も明るさを忘れなかった母に我が家は守られてきました。
 かけがえのない存在をなくし、まだ気持ちの整理もつかず、戸惑う
 こともあるかもしれませんが、皆で力をあわせて明日への一歩を
 踏み出します。
 今は旅立つ母に「ありがとう」と伝え、大空へと見送ります。

 
                       2014年9月30日 享年91

                   『母に贈る感謝の言葉』




 

 



                                                         合掌


   






景気回復にほど遠い数値

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【景況速読 2014秋】

● 景気回復にほど遠い計量数値ばかり

 高橋洋一の『俗論を撃つ!』(2014.09.18 ダイヤモンドオンライン)の、『最近の金融経済情勢と金融政策運営
(2014.09.16 日本銀行)の景況報告の読解によると、(1)消費増税の影響は、東日本大震災で消費低迷した2011
年3月〜11月の9ヵ月連続減以来の長さで、統計が容易に入手できる1982年4月以降、32年間で最悪であり(上図1)、
(2)過去に消費税増税した1989年、1997年との比較でも、7月の数字をみると、89年7月0.0%、97年7月3.0%と
過去の消費増税時には消費はほとんど戻っていたが、今回は▲5.7%。7月段階で4〜7月の平均は▲0.6%、97年7
月では▲1.2%であり、今回の▲5.2%はそれらと比べてもダントツに悪い(同上図2)。(3)金融政策と財政政策
を一体とし発動の影響で回復していたが、今年4月からの緊縮政策により、潜在GDPの試算(高橋洋一による)で
は、実際のGDPとのギャップは12兆円(同上図3)で、景気低迷しているといい、(4)景気回復には、5%への
消費減税。あるいは、軽減税率を導入して、全品目5%の軽減税率の適用、あるいは、事後所得税減税、あるいは、
これまで増税した分をすべてはき出すような減税と財政支出が必要と指摘している。 


さらに、『やはり景気はよくない ツッコミどころ満載の麻生財務大臣発言』(2014.10.02 同ダイヤモンドオンライ
ン「高橋洋一の俗論を撃つ!」)では、(1)前期比で見た各四半期GDPの伸び率は上図1のごとく、1〜6月期
を平均しプラスにみえるが、それ以前の巡航速度の2%より――可処分所得減による消費減で――下回っている。ま
た、(2)8月の家計調査、住宅着工、鉱工業指数(9月30日公表)、7月の機械受注(9月10日公表)でも同傾向
を示す(上図3参照)、(3)図4の在庫循環図の典型的なパターン――景気回復の初期には、まず出荷の増加に伴
ってそれまで積み上がっていた製品在庫が減少に転じる。次に、在庫調整が進展して在庫が適正水準に近づくと生産
の増加テンポが速まって在庫の減少が止まる。さらに、景気が成熟化して出荷の増勢が鈍化すると在庫が増加に転じ、
最後は、景気後退局面で、出荷が減少する中で、在庫が積み上がっていく――が。 ぐるっと一周すると危険領域なの
だが、8月のデータでついにほぼ一周になっているとし、景気循環の終わりを示唆していると警告している。

このように、景況を表す諸計量数値に対し、わたし(たぢ)は素直に受け入れる――反論があれば、それに反駁検証
提示、あるいは、根拠計量数値を示し低て欲しい――立場にある。さて、同ダイヤモンドオンラインでは、真壁昭夫
信州大学教授の『なぜ政策を総動員しても景気回復が本格化しないか?−金利低迷と期待収益率で考える資本主義の
終焉リスク』 (2014.09.02)で、「資本主義の終焉」の云々の議論はさておき、次の文章が眼を惹いたが――アベノ
ミクスが国内外から注目された理由の1つは、わが国社会を変革する可能性を信じたからに他ならない――の指摘こ
そ、わたし(たち)が抱え込んでしまっている"タブー"を破壊する「新しい革新的政策原理の構築」――これらはこ
のブログで掲載してきた『デジタル革命』の第4基本則(デフレーション)と密接に絡む「処方箋」と関連する。


 そうした状況を解決するためには、単に中央銀行がお金を印刷して供給すればよいというものではない。人々の
 リスク回避的心理状況を氷解させることと、行き詰まった閉塞感を打ち破る改革(イノベーション)を提示する
 ことが必要になる/たとえば、人口減少・少子高齢化が進むわが国でも、今まで存在しなかった革新的な新製品
 が開発されるとき、人々はそれを購入するだけの購買力を十分に持っている。それが現実のものになると、消費
 は盛り上がるはずだ/アベノミクスが国内外から注目された理由の1つは、わが国社会を変革する可能性を信じ
 たからに他ならない。問題は、効果的なイノベーションを実現できるか否かだ。構造的な改革によって社会全体
 の効率が上がると、企業が儲けられる案件も出てくるだろう。何よりも、期待収益率が上昇することによって、
 資本主義の終焉を避けることが可能になるはずだ。


                                              この項了

 
【大容量を超低消費電力で扱えるネットワーク技術】

国内の通信ネットワークの総トラフィックは年率20%から40%で増大しているという(上図参照)。今後のインター
ネット上の動画、高精細映像の普及、放送と通信の融合などによる、トラフィックの需要の増大が続き、現在の千倍
以上のトラフィック容量になると予想している。現在、ルータでパケットと呼ばれる単位で情報をやり取りするネッ
トワークが使われている。比較的小さな情報の取り扱いに適すが、情報量の増大に比例し、消費電力が増大に、今後
の高精細映像など大きな情報量のトラフィックの需要に対し、ルータの消費電力増大が大きな制限要因となる。この
ため、激増する情報、特に大容量の映像情報を抜本的に低消費電力で扱うことのできる新しいネットワーク技術の開
発が望まれていた。




この問題の解決に、産業技術総合研究所は電子的なルータを使わない、光スイッチ回線交換型の新しい「ダイナミッ
ク光パスネットワーク
」を提案し、このネットワーク実現に向けてプロジェクトを開始し、2010年にはこのネットワ
ークのプロトタイプを公開実験で低消費電力性を実証(2010.08.24)。今回、情報の粒度に応じパス(経路)を切り
替えるスイッチを開発し、これらを階層的に配置。小粒度から大粒度の情報を扱えるようにする。また、これにより、
利用者を多く収容し、超低消費電力で、高精細映像などの大きな情報を扱うことができるネットワークを実証すると
いう。

● 本件のネットワーク技術の特徴

1.約6 kWの消費電力で現在の国内全通信情報量の約36倍にあたる90 Tbpsを収容可能
2.光パス(経路)のネットワークの利用者数を数千万までに拡張可能
3.8Kスーパーハイビジョンなど超高精細映像コンテンツでた実証実験 

【二酸化炭素からポリウレタン原料を効率的に合成】 

また、前述の産業技術総合研究所は二酸化炭素(CO2)とアミン、スズアルコキシド化合物とを反応させて、芳香族
ウレタンを高収率で得る新しい反応プロセスを開発した。芳香族ウレタンは、現在医農薬品などに用いられる化学物
質であるが、ポリウレタンの原料として非常に有望であると公表(2014.09.30)。現在、ポリウレタンの製造には、
猛毒で腐食性の強いホスゲンが原料として用いられ、製造過程で多量の廃棄物が副生するため、より環境に調和した
製造プロセスへの転換が強く望まれていた(上図参照)。今回は安価で豊富に存在するCO2とアミン、アルコールを原
料に用いることで、理論上廃棄物が全く生成しない理想的な環境調和型ウレタン合成法の開発に取り組んできたが、
これまでに開発した技術では合成できるウレタンの種類が限られ、ポリウレタン原料の元になる芳香族ウレタンを合
成できなかったが、今回、CO2加圧下でアミンとスズアルコキシド化合物を反応させると、芳香族ウレタンが高収率で
合成できたという。

 

●  本件の合成技術の特徴

1.二酸化炭素を用いてポリウレタンの原料を合成する新しい反応プロセス
2.二酸化炭素とアミン、スズアルコキシド化合物との反応で芳香族ウレタンが高収率で生成
3.猛毒のホスゲンを使わない、環境に調和したポリウレタン製造プロセスの実現に期待

※ 特開2006-022043カルバミン酸エステルの製造方法 

尚、今回の発明合成法は、スズアルコキシド化合物をアミンと同量以上用いるものの、反応後にスズ残留物を回収し、
水を取り除きながらアルコールと反応させるとスズアルコキシド化合物が再生。次の反応に再使用できるため、反応
プロセス全体で消費されるのはCO2と芳香族アミン、アルコールだけで、化学式上の副生成物は水だけで、この方法で
は、原料などに塩素を一切使用しないことが特長。このため、再使用可能なスズアルコキシド化合物を用い、プロセ
ス全体では、CO2、芳香族アミン、アルコールから、ポリウレタン原料の元となる芳香族ウレタンを、効率的に合成で
きるので、環境調和性、経済性に優れた反応プロセスで、ポリウレタン製造プロセスの革新につながる可能性がある。



● Make It Wearable Finalists - Meet Team Nixie
 




● リストバンド型ドローン

量子スケール工学(4)

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【オールソーラーシステム完結論 20】 

● 量子スケール工学(4)

国内大手の家電・ソーラーパネルメーカー(シリコン系)は今年に入り、軒並み、次世代ソーラーの変換効率
目標を25%超へ照準を合わせた。中でも、量子ドット(量子スケール)シリコン結晶系ソーラーパネルの開
発研究(量子ドット型太陽電池)は、理論的には変換効率を60%以上にまで高められ、実用化に向けた期待が高まっ
ている。周知のごとく、量子ドットの直径を変えることで、吸収する光の波長を制御する量子サイズ効果を利
用し、紫外光から近赤外光にわたって幅広い光を電力に変換することでエネルギー変換効率を高めることがで
きる高効率の量子ドット型太陽電池は、サイズの異なる量子ドットで、多層量子ドットアレイ構造作製するこ
とにより実現可能である。下図10は、理想的な量子ドット型太陽電池の概念的断面図で、シリコン基板81
上に母材となるSiO2膜82中にサイズの異なるSi量子ドット84が順に整列している(富士通株式会社)。




また、上図11・12は、量子ドットサイズとバンドギャップの関係の説明図であり、Siの最高占有分子軌
道と最低非占有分子軌道は、分子、クラスター、ナノ粒子、バルクと原子の数が増加するにしたがって順次分
離する特性をもつ。右端に示すように、バルクになると各軌道が連続し、LUMO(最低非占有分子軌道)は
伝導帯となり、HOMO(最高占有分子軌道)は価電子帯となるので、集合する原子数を少なくすればバンド
ギャップが大きくなる。実際に、QDIP(Quantum Dot Infrared Photodetector:量子ドット型赤外線検知素子
において、量子ドットのサイズが小さくなると吸収波長が短波長側にずれることが確認されている。図12は
従来の量子ドット型太陽電池の製造工程の説明図であり、まず,図12(a)に示すようにシリコン基板81
上に、SiO2膜82とSiOx(x<2)膜83を交互に積層する。次いで、図12(b)に示すように、
熱処理を行うことでSiリッチなSiOx膜83中でSi量子ドット84が析出して、量子ドットアレイ構造
が形成される。このようなSiOx膜83中でのSi量子ドット84の析出は、SiO2と比較してSiリッ
チなSiOxの構造が不安定であり、SiとSiO2に分離した方がより安定となるために起こる現象である。
なお、SiOx膜83はSi量子ドット84の析出によりほぼSiO2組成の酸化シリコン膜85となる。


しかし、従来の製造方法では作成される量子ドットのサイズや位置のバラツキが大きいため、デバイスを作成
した際に特性のバラツキを生じてしまうという問題があり、その事情を上図13を参照して説明する―図13
に示すように、従来の方法では、熱処理前に大きさの揃ったSiクラスターは存在しないので、熱処理による
SiOx層83中でのSi量子ドット84の形成は偶発的に起こるもので、形成されるSi量子ドット84の
サイズもバラツキが大きくなる。したがって、量子ドットアレイデバイスの製造方法において、形成されるSi
量子ドットのサイズや位置の制御が目的となる。

開示する一観点からは 基板上に化学量論比の組成SiAからなる第1の層を成長させる第1の成膜工程と、第
1の層上に化学量論比よりSiリッチな組成SiA1−x(x<1)からなり、内部に面内方向位で位置制御さ
れたSiクラスターを含む第2の層を成長させる第2の成膜工程とをSiクラスターが積層方向で互いに投影
的に重なるように交互に成長させて積層構造を形成する工程と、積層構造を熱処理することで、Siクラスタ
ーを成長核としてSi量子ドットを成長させる工程とをもつことを特徴とする量子ドットアレイデバイスの製
造方法で、この開示の量子ドットアレイデバイスの製造方法では、形成されるSi量子ドットのサイズや位置
を制御することが可能となり、量子ドットアレイデバイスの特性のバラツキを少なくすることができるという
新規考案である。

● 事例1

 

次に、上図2・3を参照し、実施例1の量子ドットアレイデバイスの製造工程が説明されている。図2(a)
に示すように、Si基板11上に、プラズマCVD法を用いて、厚さが2ナノメートルのSiO2層12を堆
積した後、引き続いて、厚さが4ナノメートルのSiリッチなSiOx層13を堆積。なお、x=1.00と
する。次いで、図2(b)に示すように、クラスターイオンビーム法を用いてSi原子数が100個のSiク
ラスター14をSiOx層13上に30ナノメートルのピッチで堆積させる。次いで、図2(c)に示すよう
に、厚さが4ナノメートルのSiリッチなSiOx層15を堆積する。次いで、図2(d)に示すように、厚
さが2ナノメートルのSiO2層12を堆積した後、引き続いて、厚さが4メートルのSiリッチなSiOx
層13を堆積している。

次いで、図3(e)に示すように、Siクラスター14の堆積、SiリッチなSiOx層15の堆積、SiO2
層12の堆積、及び、SiリッチなSiOx層13の堆積を交互に繰り返すことによって、積層構造16を形
成する。繰り返し数は6回とする。 次いで、図3(f)に示すように、1100℃で熱処理することによっ
て、Siクラスター14を成長核としてSi量子ドット17を析出させる。この時、SiOx層13及びSi
Ox層15は一体化してほぼSiO2組成の酸化シリコン層18となる。このように、本発明の実施例1にお
いては、クラスターイオンビーム法を用いてクラスターサイズの揃ったSiクラスターを位置制御して堆積さ
せているので、熱処理により析出するSi量子ドットの位置とサイズを精度良く制御することが可能になる。

● 事例2

次に、図4・5を参照して、本発明の実施例2の量子ドットアレイデバイスの製造工程を説明する。まず、図
4(a)に示すように、Si基板11上に、プラズマCVD法を用いて、厚さが2ナノメートルのSiO2層
12を堆積した後、引き続いて、厚さが10ナノメートルのSiリッチなSiOx層19を堆積する。なお、
x=1.00とする。次いで、図4(b)に示すように、クラスターイオンビーム法を用いてSi原子数が
1万個のSiクラスター20をSiOx層19中に30ナノメートルのピッチで打ち込む。次いで、図4(c)
に示すように、厚さが2ナノメートルのSiO2層12を堆積した後、引き続いて、厚さが9nmのSiリッ
チなSiOx層21を堆積する。

次いで、図5(d)に示すように、SiリッチなSiOx層21中にSi原子数が5000個のSiクラスタ
ー22を30ナノメートルのピッチで打ち込む。SiO2層12の堆積、SiリッチなSiOx層の堆積、Si
クラスターの打ち込みをSiOx層の厚さが順次薄くなり、SiクラスターのSi原子数が順次少なくなるよ
うに交互に繰り返すことによって、積層構造31を形成する。繰り返し数は6回とし、図における符号23,
25,27,29はSiリッチなSiOx層であり、符号24,26,28,30はSiクラスターである。

次いで、図5(e)に示すように、1100℃で熱処理することによって、Siクラスターを成長核としてSi
量子ドット32〜37を析出させる。この時、SiOx層19,21,23,25,27,29はほぼSiO2
組成の酸化シリコン層38〜43となる。このように、事例2では、クラスターイオンビーム法を用いてクラ
スターサイズの揃ったSiクラスターを位置制御して打ち込んでいるので、熱処理により析出するSi量子ド
ットの位置とサイズを精度良く制御することが可能になる。また、SiリッチなSiOx層の堆積工程を半分
にすることができる。また、Si量子ドットのサイズを積層方向に沿って順次小さくしているので、広い波長
範囲で感度を有する太陽電池を構成することが可能になる。

 
● 事例4

次に、下図8・9を参照して、本発明の実施例4の量子ドットアレイデバイスの製造工程を説明する。まず、
図8(a)に示すように、n型SiC基板61上に、MOCVD法を用いて厚さが2ナノメートルのSiC層
62を堆積した後、引き続いて、厚さが2nmのSiリッチなSiCx層63を堆積する。なお、x=0.5
とする。次いで、図8(b)に示すように、開口部65を有するレジストパターン64を設ける。次いで、図
8(c)に示すように、レジストパターン64をマスクとしてクラスターイオンビーム法を用いてSi原子数
が100個のSiクラスター66をSiCx層63中に30ナノメートルのピッチで打ち込む。図9(d)に
示すように、レジストパターン64を除去した後、SiC層62の堆積、SiリッチなSiCx層63の堆積
及び、Siクラスター66の打ち込みを交互に繰り返し、最後にp型SiC層67を成膜することによって、
積層構造68を形成する。繰り返し数は6回とする。



次いで、図9(e)に示すように、1200℃で熱処理することによって、Siクラスター66を成長核とし
てSi量子ドット69を析出させる。この時、SiCx層63はほぼSiC組成の炭化シリコン層70となる。
この時、Si量子ドット69のサイズはSiCx層63の厚さに規定されて2nm程度の粒径になるので、7
30ナノメートルの単色光に近い狭い波長帯で発光する赤色発光ダイオードとなる。このように、事例4では
母材を半導体で構成しているので、サイズの揃った量子ドットによる単色発光ダイオードを実現することがで
きるという。

 


以上、長々と掲載してしまった。この作業の間、疲れの睡魔に何度も、何度も襲われてしまい、作業を中断。
アルコールの力も借りなんとか記載できた。多忙を極めた彼女は彼女で、無理をせずコンビニで加工食品を買
って用をたせばいいのにと忠告したにも拘わらず、夕食仕度の途中、包丁で指先を切傷していた。こんなこと
も、ここ暫くは続くだろう。
 

 

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