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量子ドットアレイ工学

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● たこ焼きの世界展開

昨年末、和食がユネスコ無形文化遺産に登録認定されこともあり、日本食の世界的ブームが続き、海外でも
日本料理店が数多く見られるようになったが、東南アジアのインドネシアでは、B級グルメの代表格、たこ
焼きが人気を集めている――インドネシアの首都ジャカルタでは今、日本の「たこ焼き」を売る屋台が見ら
れるとか。具にはたこ以外にも、鶏肉や牛肉などさまざまあり、ソースは現地の味覚にあわせ、辛いものも
用意されている。すしや天ぷら異なり、たこ焼きは値段が4個で百円ほどと、屋台で食べる食事と同じくら
いの手ごろな値段で、気軽に日本食が食べられるため若い人の間で人気を集めている。

たこ焼きのビジネスを始めた現地の創業者は、インターネット上に投稿された「たこ焼きの作り方」の映像
を何度も見ながら研究。イスラム教の戒律で、アルコールが含まれるみりんを口にすることが禁止されてい
るため、イスラム教徒向けの「ハラル」の認証を受けた地元のソースの中で、日本のソースに似た味のもの
を探し、ジャカルタで5年前に1号店を開店し、その後、気軽に日本の味が楽しめると人気になり、今では
40店舗を構えるまでに成長。日本語の「おいしい」にちなんだオイシ・タコのブランドを2009年に立ち上
げたこの創業者は、インターネットでたこ焼きを知り、丸い形に「独特な魅力がある。これは売れる」と感
じたと話す。調理法をネットで学び、料理学校を卒業した妻と開業し、フランチャイズ加盟店はジャワ島以
外にもスマトラ島、マルク諸島にも広がったが、「都市部だけでなく、郊外でも売れるようになった。ビジ
ネスとしては将来有望だよ」と笑顔で語っている。

ところで、「たこ焼き」は英文では "Soft Oqtopas Ball " となるが、何度も日本に来日し、和食の魅力にとり
つかれたインドネシアジョグジャカルタ王室のグスティー・パンバユン王女の依頼により、2007年インドネ
シアにたこ焼店、その名も「TAKOYAKI(たこ焼き)店」がオープンすることになった経緯がある。
このブログ(『透明スピーカーとたこ焼き』2010.09.08)は、<ボール・フード>として、ソフトタイプ、ハ
ードタイプを含めたものとして事業展開することを提案していたり、あるいは「ボールフードこと新的小籠
包」(『今夜の3つのテーマ』 2014.08.29) とした応用展開させた事業提案も掲載していたが、アレンジ
メントは現地でという方針はこのニュースを見る限り正しいようだ。

 


【オールソーラーシステム完結論 21】 

● 量子ドットアレイ工学

昨夜の「量子スケール工学(4)」の括りでは、照準がぼけるであろうと考え、「量子ドットアレイ工学」
として整頓/整理 し直すことに。

平面上に規則的に配置された超微細なドット配置のナノドットは、例えば高密度記録媒体、光学素子、人工
半導体等の基本構造である。その効率的な形成方法が、ナノテクノロジ実用化のために、ナノドット形成の
低コスト化、高効率化は、例えば太陽光発電効率の向上や、量子ドットによる超格子半導体の開発、大容量
の次世代デバイスの開発等に今後不可欠である。従来のナノドットの形成方法は、フォトリソグラフィ法や
EBリソグラフィ法によるものが広く知られている(下図参照)。これらは、基板上にフォトマスクを用い
て露光された部分と露光されていない部分のパターンを生成し、エッチング等で基板表面にナノドットパタ
ーンを形成する。

また、規則的に配置するナノドットを形成方法として、例えば、基板上に金属薄膜が形成された基板を、F
IB(Focused IonBeam)加工を用い、金属薄膜及び基板に格子状の溝を形成し、焼鈍することで、金属属膜
が表面張力により凝集し、ナノドットを形成する技術が開示されている。さらに、基板上に形成した金属薄
膜に、押し込み工具を用いて微細パターンを形成し焼鈍する技術が開示されているが、金属薄膜の溝の部分
に生ずる歪エネルギと表面エネルギが駆動力となり金属薄膜が分離すると共に金属薄膜が分離後に自己組織
化により球状のナノドットが形成する。

しかし、上述の従来技術によるナノドットの形成方法は、何れも例えば半導体基板上にナノドットが形成す
るもので、ナノドットを例えば太陽電池セルの受光効率向上やLEDの発光効率向上に用いようとした場合、
直接太陽電池セルやLEDの半導体基板上にナノドットを形成する必要があったので、ナノドット形成の焼
鈍時の熱処理等により太陽電池セルやLED側に損傷を与える可能性がある。また、直接基板に形成するも
のであるため汎用性も低い。

このように、直径数10ナノメートル以下のドットを規則的に配列させるナノドットアレイの作製が目標とな
る。下図のような「超微細塑性加工と焼鈍融合法」(吉野雅彦東京工業大学准教授)の事例では、従来法の
フォトリゾグラフィ法、電子線リゾグラフィ法や自己組織化法、あるいは焼鈍法と比較し(1)プロセスが
簡便設備が簡便微細なドット寸法に適している、(2)ドット寸法、配置が規則的寸法・配置を自在に制御
できるメリットがあるというもの。 

 
そして、関連特許の「特開2013-176821 ナノドットアレイ板製造方法」によると、アレイ状のナノパターン
が配列されるナノドットアレイ板の製造方法は、基板を提供する過程(ステップS1)と、複数のナノドッ
トを形成する過程(ステップS2)と、転移板を設ける過程(ステップS3)と、転移板を基板から剥離す
る過程(ステップS4)とからなる。ステップS2では、基板と各ナノドットの接触角が90度よりも大き
い複数のナノドットを形成する。ステップS3では、複数のナノドットが形成される基板上に、各ナノドッ
トが付着し転移する転移板を設ける。ステップS4では、転移板にナノドットが付着した状態で転移板を基
板から剥離しナノドットアレイ板とすることで、分子材料等のフィルム上にアレイ状のナノパターンが配置
可能なナノドットアレイ板製造方法である。

 
図1を補足すると、まず、基板10を提供する(ステップS1)。基板10は、例えば石英ガラス、水晶ウ
エハ、サファイア、一般的なガラスが利用可能である。さらに、SiやGe、GaAs等、半導体基板材料
を用いることも可能で、ナノドットアレイ板は、最終的には基板10から剥離されるものであるため、基板
自体はどのようなものであっても良い。但し、ナノドットアレイ板を剥離後、基板を洗浄して再利用するこ
とも可能であり、耐久性や耐洗浄性の高いものが望ましいという。また、基板10上に、アレイ状に立体状
の複数のナノドット50を形成する(ステップ2)。この際、基板10と各ナノドット50の接触角は90
度より大きくなるように形成する。ここで、接触角とは、下図3の基板10とナノドット50の拡大図に示
されるように、ナノドット50の接線と基板10とのなす角で、接触角が90度より大きいと、ナノドット
50の本体に対して基板10との接触面が内側に入り込むようになる。つまり、ナノドット50の上部から
みて負角が生ずるように形成すれば良しとする。

 

図2は、ナノドットアレイ板製造方法の複数のナノドットを形成する過程の一例の説明の概略断面図。まず
図2(a)に示されるように、基板10上に、金属薄膜20を形成する。金属薄膜20は、例えばスパッタ
コーティングを用いて形成すれば良い。なお、金属薄膜20の厚さを略一定に制御可能であれば、これに限
されず、例えば真空蒸着、めっき等の方法を用いて金属薄膜を形成しても良い。また、金属薄膜20の材料
は、例えばAu、Pt、Ag、Ni、Al、Cu、Fe、Co等の金属元素及びその合金、化合物、有機物
等であれば良い。

次に、図2(b)に示されるように、形成すべきナノドットに対応する所望の微細パターン形状を有する押
し込み工具を金属薄膜20が貫通しない程度に金属薄膜20上に押し込み、金属薄膜20上に所望の微細パ
ターンの溝を形成する。溝30は、基板10まで達さないように、金属薄膜20が貫通しない程度に基板10
の表面近くまで形成される。押し込み工具40は、金属薄膜20が貫通しないように、例えば押圧力制御に
より押し込み力が制御されれば良い。

そして、図2(c)に示されるように、基板を焼鈍することで球状のナノドットを形成する。具体的には、
金属薄膜20に溝30が形成された基板10を、金属薄膜20の融点以下の温度で焼鈍(アニール)する。
焼鈍により、金属薄膜20の溝30の部分に生ずる歪エネルギと表面エネルギが駆動力となり金属薄膜20
が分離すると共に金属薄膜20が分離後に自己組織化により球状のナノドット50となる。つまり、格子状
に形成された溝30に沿って金属薄膜20が分裂し、基板10上に所望のパターンに規則的に配置される球
状のナノドットが形成される。

ここで、ナノドットアレイ板製造方法において重要な点は、焼鈍の際、基板10と各ナノドット50の接触
角が90度より大きくなる条件で焼鈍することである。例えば、基板10にSi基板を用い、金属薄膜20
としてAuを用いた場合について具体的に説明する。例えば、5nmの膜厚のAu薄膜に対して、押し込み
工具により押し込み力を0.2N〜0.6Nでスクエア状のグリッドパターンを100nmピッチで形成す
る。その後、600度〜700度で10分間焼鈍する。これにより、接触角が90度よりも大きいナノドッ
ト50が基板10上に形成される。――中略――ここで、焼鈍条件としては、用いられる基板と金属薄膜の
種類に応じて、膜厚や温度等を調整することで決定されれば良い。特に、焼鈍温度が、転移板へのナノドッ
トの転移率を制御するのに効果的である。焼鈍温度が高すぎると、ナノドットがよりフラットとなり得るた
め、接触角が90度以下になってしまう可能性がある。また、焼鈍温度が高すぎると、基板とナノドットの
凝着力も高くなり得るため、転移率が低下する原因にもなる。逆に、焼鈍温度が低すぎると、金属薄膜が十
分に球状のナノドットとならない可能性もある。したがって、膜厚や種類に応じて、ナノドットの接触角が
90度よりも大きくなるよう、最適な焼鈍条件を決定すれば良い。

次に、図2(d)に示されるように、このような複数のナノドット50が形成された基板10上に、各ナノ
ドット50が付着し転移する転移板60を設ける(ステップS3)。ここで、転移板60は、例えばプラス
チックやシリコーン樹脂、PDMS(ポリジメチルシロキサン)等、高分子材料であれば良い。転移板60
として高分子材料を、ナノドット50を包み込むように設ける。ここで、包み込むとは、接触角が90度よ
りも大きくなるように形成されたナノドット50の内側に入り込んだ部分にまで高分子材料が入り込んでい
る状態を言う。これは、例えば硬化前に粘度の低い高分子材料を基板上に塗布し、ナノドットを包み込むま
で安定させた後に硬化させても良い。また、例えば、硬化前の高分子材料を基板上に塗布した後、真空チャ
ンバ内で保持することで高分子材料内の気泡を除去すると共に、密着性を高めた上で硬化させても良い。

そして、図2(e)に示されるように、転移板60にナノドット50が付着した状態で、転移板60を基板
10から剥離する(ステップS4)。これにより、高分子材料かならなるフイルム状のナノドットアレイ板
が完成する。ここで、仮に転移板60がナノドット50の内側まで入り込んでいないような場合では、転移
板への転移率が下がってしまう。しかしながら、本発明の第1実施例のナノドットアレイ板製造方法におい
ては、ナノドット50が接触角が90度よりも大きく形成されると共に、転移板60がナノドット50を包
み込むように設けられている。したがって、転移板60を剥離する際に、ナノドット50が転移板60側に
確実に付着し、基板10から転移板60と共に剥離しやすくなるため、転移板への転移率が大幅に向上する。

また、転移板が、高分子材料のシリコーン樹脂やPDMS等のような、不完全硬化材料の場合、粘着性を有
するため、上述の包み込み効果と相まって、より転移率が向上する。(後略) 

以上、今夜はこの程度にとどめておきたい。


春樹ワールド フルスロットル

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 【魔術的現実主義ってなんだ】

ドイツ大手日刊紙ウェルト(電子版)は4日、同紙の「ウェルト文学賞」を今年は村上春樹に授与する
ことを発表。授賞式は11月7日にベルリンで行われる。授賞理由として、選考委員会は「村上氏は最も
重要な現代日本の作家」であり、「欧米近代という巨大な伝統をポップカルチャーなどの影響と結び付
けている」と評価。1990年代の作品「ねじまき鳥クロニクル」などを挙げて「日本の大都市生活者
の意識を超感覚的な世界に自然に導く魔術的現実主義とも言うべき独特の作風を打ち立てた」と述べて
いる(時事通信、2014.10.04 20:51)。1999年に創設されたこの文学賞は、ハンガリーのイムレ・ケ
ルテース氏をノーベル文学賞の受賞の2年前の2000年に選出するなど、これまで15人を選んでい
るが、日本人が選ばれるのは今回が初めて。

ところで、なぜドイツなのか疑問に思って、ネットで下調べすると――日本を代表する“グローバル作
家”と評されている村上春樹氏が65歳の誕生日を迎える2日前の2014年1月10日、最新作『色彩を持た
ない多崎つくると、彼の巡礼の年』のドイツ語版(Die Pilgerjahre des farblosen Herrn Tazaki)が発売され
た。13年10月に発売日が公表されて以来、ファンもマスコミもこの日を待ちわびていた。そして当日、
全ては予想通りに進行していった。多くの書店では最も目立つ入り口付近に新刊が平積みにされ、電子
書籍版も同日に発売。新聞の書評やラジオでの報道なども、318ページに及ぶ村上作品をむさぼり読もう
とする読者の興奮をあおり、大きな盛り上がりを見せた(「特集 村上春樹をめぐる世界の旅  村上春樹
作品のドイツ語訳に関する一考察
」2011.02.24、日地谷=キルシュネライト・イルメラ)――で、その
理由らしことが掲載されていた。





「村上氏の新刊の発売は、今や一大イベントになりつつある。もちろん、書店前に長蛇の列ができるJ.K.
ローリングの『ハリー・ポッター』シリーズなどに比べると騒ぎは控えめだ。それでも、最近は発売に
合わせて手の込んだプロモーションが行われており、村上作品の人気ぶりがうかがえる。あるいは逆に
捉えるべきなのかもしれない。3部作『1Q84』の時は、第1部・2部の刊行に先駆けて、ドイツの読者
のために特設サイトが設けられたのだが、そんな頭の良い販売戦略が、特に若い読者たちの村上熱を強
力に押し上げたのだ、と。注目すべきは、『1Q84』と『色彩を持たない〜』のドイツ語版が、英語版に
先駆けて出版されたことである。『色彩を持たない〜』の英語版(Colorless Tsukuru Tazaki and His Years
of Pilgrimage)の発売予定は14年の8月だが、多くの言語がこれに先行している。韓国語版は13年夏に、
スペイン語版、ルーマニア語版、ハンガリー語版、ポーランド語版、セルビア語版、中国語版は13年秋
に刊行済みだし、オランダ語版は14年1月に発売。日本語版の刊行から翻訳版の発売までのタイムラグ
は一作ごとに縮まってきており、これも村上氏が高い市場価値を持つ世界的に著名な作家である証左と
いえる。」と、英国よりドイツで先んじて出版されたことが強調されている点だ。

そして、その背景に、村上文学の普及においてとりわけ重要な役割を果たしているのが翻訳家であるユ
ルゲン・シュタルフ――「パン屋再襲撃」(85年)、「ローマ帝国の崩壊・1881年のインディアン
蜂起・ヒットラーのポーランド侵入・そして強風世界」(86年)などの短編を翻訳し、87年から88年に
かけて文芸誌に発表。さらに91年、彼は若手翻訳者との共訳で、長編小説『羊をめぐる冒険』を老舗出
版社インゼルから刊行。それらの作品はドイツの批評家の間で“驚くほどアメリカの香りがする”日本
からの新鮮な声として好評を博し、さらに多くの村上作品を受け入れる素地を作った――の影響が大き
いという。ところで、ドイツで初期の成功を収め、英語など各国語への翻訳が進むにつれて、村上は、
米国のエージェントを介し、より厳格な手続きを求め。90年代前半、ドイツではシュタルフが短編集を
企画し、英語版の版権の交渉中であり、収録作品は自分で選びたい著者の意向が働き、ドイツ語への翻
訳が認められず企画が断念されたが、タラ・ネバの話、ドイツ人の好みに合わせて選ばれたその短編集
が実現していれば、ドイツ語圏におけるその後の村上文学の受け入れられ方は違っていたかもしれない
ともいう。そのことを踏まえても、『羊をめぐる冒険』の次にドイツで出版されたのは短編集ではなく、
長編小説『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』(85年)だったからだ。しかも『世界の
終わり〜』は、すでに89年から90年にかけて、数回にわたって文芸雑誌に抄訳が掲載されていたにもか
かわらず、ドイツ語の完訳版が刊行されたのは91年の英語版発売後のため、日本文学の関係者や出版関
係者、そして読者の間には、「日本の作品が海外で成功するには英語版が欠かせない」というバイアス
がかかったという。





村上春樹自身、米国文学の翻訳を行い、自分の作品中に米国的要素が多い。が、しその後、なぜ『国境
の南、太陽の西』(92年)と『ねじまき鳥クロニクル』(94年〜95年)が英語版からドイツ語に翻訳さ
れるようになったかの理由は明らかではない。『国境の南〜』は、ドイツでは2000年に『危険な恋人
(Gefährliche Geliebte)』のタイトルで刊行されたが、この作品はやがて文学界に大論争を巻き起こし、
文学とメディアの関係を変えたといわれるが、その頃すでに、ドイツの人気テレビ番組「文学四重奏団
(Literarisches Quartett)」に作品が取り上げられるほど著名な作家になっていたが、著者自身、米国から
の重訳が望んだことになる。少なくともドイツではそう受け止められたという。

そこで、英語版が底本として使われなくなったとしたら、各国語版のための編集はこれからどのように
行われていくのだろうか、それとも、最近の村上作品は海外市場を念頭に置いて執筆されているため、
編集など必要ないものに仕上がっているのだろうか。日本文学や翻訳を研究する者にとっては非常に興
味深いテーマである。ちなみにドイツの翻訳出版物では、原語から直接ドイツ語に翻訳される作品が88
%を占め、英語など他言語から重訳される作品は12%にすぎず、この割合は1868年から現在までほぼ一
定しており、後者のパターンが用いられるのは、主にマンガ、犯罪小説、ミステリーなど大衆向けの出
版物である。この数字をどう捉えるべきか、ドイツ語以外の言語の状況はどうなのかなど、十分に考察
する必要があるだろうと結んでいる。


ところで、ドイツでは、初期作品の新訳に加えて、最近注目を集めているのはイラスト入りの短編であ
るという。2012年、「パン屋襲撃」「パン屋再襲撃」の2篇をドイツ人画家カット・メンシックの
イラストで構成した書籍が発売されたが、これは日本でも刊行された。2013年には同じメンシック
の挿画で『ふしぎな図書館(Die unheimliche Bibliothek)』の新版も出版されている。こうしたビジュア
ル・ブックの登場で、村上文学は故郷日本への逆輸入も含めた、グローバルな規模での新たなチャンネ
ルを獲得しているのだと評価されている。 

また、『ねじまき鳥クロニクル』は、1995年に読売文学賞を受賞し、1999年、英訳版 『The
Wind-Up Bird Chronicle』として、国際IMPACダブリン文学賞にノミネートされている。なお、英訳を担
当したジェイ・ルービンによれば、本作がまだ『新潮』に連載中のときに村上本人から依頼を受けたと
いう。2003年には翻訳者のルービンが第14回野間文芸翻訳賞を受賞している。なお、この長編小説は、
私自身熱心に読み込まず、本棚に積まれていたと言うほどの印象しかない(賃金労働に没頭していたと
いうと言い訳がましい気がするが)――長編小説「ねじまき鳥クロニクル」は全三巻からなり、第一巻
が「泥棒カササギ」、第二巻が「予言する鳥」、第三巻が「鳥刺し男」というタイトルを付され、全体
のタイトルとして「ねじまき鳥クロニクル」を用いている。いづれも鳥にちなんだ命名であるが、この
作品は実に三巻計1400ページに上る大長編小説で、日本の小説としては型破りに長いものとなっている。

 

    

 

この長編の「時代設定と時間軸」的側面は、「第1部 泥棒かささぎ編」と「第2部 予言する鳥編」は
本編の始まる前に、それぞれ 「1984年6月から7月」「1984年7月から10月」と記され、第1部の第1章「火曜
日のねじまき鳥、六本の指と四つの乳房について」と第2章「満月と日蝕、納屋の中で死んでいく馬たちについ
て」は、物語全体の前奏曲のように、「僕」が30歳になったことを機に「四月のはじめにずっとつとめ
ていた法律事務所を辞めて一週間ばかりたった頃から」の回想シーンとなっている。また、「第3部 鳥
刺し男編」では本編の前に明示的な記載はないが、第3章の「冬のねじまき鳥」で第2部終了以降、すな
わち1984年10月からの出来事がダイジェスト的に叙述され、実際に物語が動き出すのは第4章「
冬眠から目覚める、もう一枚の名刺、金の無名性」の1985年3月半ばから。

物語の終わりは、第38章「アヒルのヒトたちの話、影と涙」で、「路地」で「僕」が出会った頃は16歳
だった笠原メイの17歳時の手紙の内容と最終章である第41章「さよなら」における笠原メイとの再会の
記述から1985年12月であることがわかる。さらに最終章ではクミコの初公判が1986年春頃に
あることが示唆され、第1章「笠原メイの視点」、第2章「首吊り屋敷の謎」は、それぞれ1985年
12月7日付けの週刊誌を読んだ笠原メイからの手紙と、その週刊誌の記事からなっており、第1部とは
逆に、未来の時間軸から始まる円環構造をとっている。

以上のように、ネット検索で散文的な備忘録調に記載してきたが、「ウェルト文学賞」を彼が受賞する
ことが決まったことは、今年度のノーベル文学賞の授与が暗示されていることを感じるのは、このわた
しだけだろうか?また、授与理由の1つになるであろう「魔術的現実主義」 こそは「夢、幻想、霊魂―
―村上春樹の世界」の特徴――展開する幻夢が厳然とし語られる世界と現実世界との間に”クリアーな
隔膜”で仕切られているという”了解”(安堵感)を感じ取ることができる優れた「仮構力」にある。
 

何だ神田の不思議足袋

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● 「付け足し言葉」をもじる 

台風18号の接近でテレビに釘付け。強風状態にはいりいつものところが雨漏り。これはいけない手直
しだと思っていたが、浜松市に上陸前にはその心配がなくなったものの補修の準備を考えていたが、テ
レビは新幹線の雨量計が危険レベルに入り運休させているというので「何だ神田の大明神」(付け足し
言葉)をもじり「何だ神田の不思議足袋」(「足袋」を「旅」と捩る)と言いながらネット検索。とこ
ろで東海道新幹線では、これまでも雨量計やレーダ情報を活用し、沿線各地の雨量監視を強化、必要に
応じ運転規制を実施し、適切な警備体制を構築しているとか。こうした集中豪雨に対する当社の監視体
制は従来よりも、高精度の雨量レーダ(XバンドMPレーダ)を活用した独自のシステムを、東海道新
幹線沿線の保線所に試験導入して保安監視していという。それはそれで、緻密な高付加価値な世界に誇
る"Shinkansen"システムというわけですな。





以上のように、今日、気になった出来事を「何だ神田の不思議の足袋」とランダムに思い浮かべ、好奇
心のラリーを続けることに。


【オールソーラーシステム完結論 22】 


● 気象衛星データから日射量を演算

 

ここまで「オールソーラーシステム完結論」シリーズを掲載し本日で第22回目になるが、全景が見渡
せるようになるにつれ、もうこれと言って取り上げるテーマがなくなった、つまり、関係者たちの自律
的に研究開発が進みゴールに向かう段階にあるというこを強く意識するようになった。

そのなかで、2つのニュースが興味を惹いた。その1つが、気象衛星データからの日射量を演算するシ
ステムだ。気象衛星「ひまわり」の観測データに基づき、地上に届く太陽光の量を高い精度で把握する
技術を、東京大学大気海洋研究所の中島映至教授らのチームが6日までに開発した。太陽光発電を大規
模に導入する場合に不可欠とされる発電量の予測に活用できるという。同研究所の竹中栄晶特任研究員
は、ひまわりのデータから太陽光の反射や散乱の影響を分析し、日本や周辺の地上や海に届く太陽光の
量を1キロ四方ごとに短時間で計算するモデルを開発。

千葉県の太陽光発電施設で、モデルによる推定発電量と実際の発電量がほぼ一致すると確かめた。雲の
動きや太陽光の量の変化を分析することによって、6時間程度先の発電量の予測が可能になると見込め
るという。太陽熱利用や農作物の収穫量の予測に関する実証実験も進めている。7日に打ち上げ予定の
ひまわり8号による観測が始まると、データの更新間隔が短くなり予測精度が増すという。


  




● PID抑制高透明性封止フィルム

もう1つは、太陽電池パネルの封止材の改良のニュース。住友化学は太陽電池の封止材に使うエチレン
酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)「スミテート」で太陽電池の急激な出力低下を起こすPID現象を大
幅に抑え、透明性も向上した新グレードを開発したというニュース。従来品は同現象で太陽電池の発電
量が94%低下したが、開発品の低下率は2%と大幅に改善できる。封止材メーカーが評価中で、2015
年の量産出荷を目指す。PID現象は多数の太陽電池を直列・高電圧で使うと出力が急激に落ちる。表
面保護剤で発生したナトリウムイオンが封止材を通過し、セルに到達することで発生する。開発品は同
イオンを通さない封止材を作成できるため、EVAの酢酸ビニル濃度を低下させることなくPID現象
を抑制可能。同濃度が28%の製品で発電量低下率が2%、32%の製品で6%に抑えられるというもの。

エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン単独重合体および、エチレン−不飽和エステル共重合体
からなる群より選ばれる少なくとも一種のエチレン系樹脂と、前記エチレン系樹脂100質量部に対し
て、酸化ビスマス系イオン捕捉剤、酸化アンチモン系イオン捕捉剤、リン酸チタン系イオン捕捉剤、リ
ン酸ジルコニウム系イオン捕捉剤および、ケイ酸アルミニウム系イオン捕捉剤からなる群より選ばれる
少なくとも一種のイオン捕捉剤0.001質量部以上5質量部以下と、シランカップリング剤0.001
質量部以上5質量部以下とを含有する太陽電池用封止シートだが(下表参照)、こういった緻密な改良
は日本人に得意な領域だ。

※  Potential Induced Degradation 現象。太陽電池を高電圧下で長期間使用した場合に、パネルの中をイオ
  ンが移動することによって劣化が生じ、出力が大幅に低下する現象。
※ 電圧1000V、温度60℃、湿度85%、パネルガラス表面に水を張った過酷な条件での96 時間の促進試
  験を実施し、発電量の低下率を計測。






● ガーリックはパウダーかオイル抽出か 



乾燥タイプで生のにんにくに直接触れずに使えるので、手に臭いがつかず便利。スパゲッティや炒めも
の、肉料理などに手軽にガーリックの風味づけができ、魚介や肉のくさみ取りに使う場合は、調理中か
下ごしらえに使うのがポイントとなるといわれる。冷奴に、オリーブオイルをかけ、ハウス食品の粗挽
きガーリックを降りかけ、そこに醤油、食酢、ラー油を降りかけ、そこに家で取れた柚を添えれば、実
に簡単に美味しく健康にも良い一品、トーフ・アヒージョが完成する。 ここ数日間必ず食しているが、
ガーリック・パウダーの粒径についてこれで良いのか気になって考え込むことになった。つまり、ガー
リックオイルにした方がよいのだろうかと。パウダーなら粒径と食感の最適化解を求めば済んでしまう
話なのだが、冷奴には昆布茶のように微粉末が良く、粗挽きに拘る理由はないように思えたが、微粉末
ガーリックは1つの商品に確実になるものと勝手に思い込んでいるのだ(下図はニンニクのまるごとパ
ウダー化する方法とその装置の新規考案)。

 

● バンウンダリー・ハウス

日本建築士事務所協会連合会(日事連)の「2014年度日事連建築賞」の受賞作品が決まった。千葉県鎌
ケ谷市の住宅街と農地の境界の市街化調整区域に建つ木造陸屋根の平屋住宅。この住宅は、駐車スペー
スを除いた敷地全体に開口のほとんどない閉鎖的な外壁を配し、2つの小さな中庭を囲んで迷路的に内
部空間が展開するコートハウス形式で、内向性の高い特異な外形、内部空間を形成している。部の細か
な対応を含め、密度の高いデザインの優れた建築として評価されたという(下図ダブルクリック)。と
ころで「バウンダリー」とは、境界にある、境界に位置するというような意味合いで使われる言葉だ。

住宅地と農地の間にある、ある意味とらえどころのないこの敷地で、何を手がかりにデザインするかを
考えた結果、都市型の建築ではなく、より自然と密接に寄り添う建築をつくることをコンセプトとして
いる。生活する人々が日々自然によって五感を刺激され、自然と建築が境目なくなだらかにつながって
いくような住空間を目指す。その実現のために、以下に述べる様々なデザイン要素を取り入れた。まず、
迷路のような建築構成と、屋内外に設けられた16のトップライトにより、内部と外部がシームレスにつ
ながり、内外の区別なくランダムに植栽を点在内させることで、自然と建築が共存する住空間を作り出
す。壁の構成は、内壁は62mm厚さの集成材を凸凹に組み合わせ、弁柄入りの柿渋で仕上げ、外壁は焼き
杉を磨き上げた上で凸凹をつけることで、内外の壁が同じように繋がって見える工夫をしている。床は
内部・外部とも人研ぎ仕上げとなっている。彦根市のような「田園城郭都市ゾーン」のように都市郊外
の住居スペースに比較的恵まれている地域向け住宅で、関東圏でいえば千葉県などがそれに該当する地
域だろう。欲を言えば、わたしが考えている住宅イメージとは異なる(合掌造りをイメージとした住宅
を構想している)。

 

 

 
● 滋賀の新種米「大粒ダイヤ」が完成

これは、いままでのお米が変わるというビックなニュースだ。コメの代表的品種「コシヒカリ」に味が
似て、収量が1・5倍ほど多い新品種「大粒ダイヤ」を、滋賀県草津市の種苗販売会社が開発した。面
積当たりの収量が多いため生産コストを下げられるといい、安い輸入米が増えるとされる環太平洋連携
協定(TPP)に対抗する「切り札にしたい」と意気込んでいるという。開発したのは、トオツカ種苗
園芸(遠塚政弘)が、同市内の肥料卸会社と協力し、10年間かけて品種改良した。3年前から滋賀県
内などで試験栽培し、今年5月、種苗法に基づき新品種として登録。この大粒ダイヤは、飼料用米の
「ホシアオバ」と、コシヒカリを品種改良した「夢ごこち」を掛け合わせた。同社によると、稲穂がコ
シヒカリより5割ほど長く、粒も大きめでやや縦長の飼料米の特性を持ちながら、コシヒカリに味が近
いのが特徴。福井県内の農協で分析した結果、米のおいしさを示す食味値が、福井県産や富山県産のコ
シヒカリとほぼ同じ80〜85点だったという。収量はコシヒカリの約1・5倍あり、食用にも飼料用
にも利用できるという。

また、稲の軸が太く、台風などでも倒れにくいといい、今年約6ヘクタールで大粒ダイヤを育てた東近
江市伊庭町の山路哲也さんは「夏場の激しい雨でも全く倒れず、育てやすかった」と話す。 コシヒカ
リに比べてやや甘味が少なく、すし飯に適しており、粒が大きいため炊いた時に粒と粒の間にできる隙
間が増え、おにぎりの食感も良くなる。このため回転ずしチェーンやコンビニが注目しているという。
遠塚社長は「田んぼが維持できなくなれば、大雨の時に水をためる機能も美しい田園風景も失われる。
少しでも農家の経営に役立てば」と話している(京都新聞 2014.10.06)。 さて、農産物生産の高次化
は「オールソーラーシステム完結論」と同様に、大きなデザインのところでは完成しているが、まさか、このよう
な育種工学の事例が、この湖国のお膝元から発信されなんて驚きだ。

以上、好奇心のラリーは尽きないということを確認した訳だが、時期が時期だけにバイオリズムは減退の最中に
突入しつつあるから、明日はどうなるかわからない夜である。

British Rail Class 395

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● 世界を変えた 新幹線開発50年  

 

今年は新幹線が誕生50周年になるということで特集番組が放映されていたが、英国へ導入された新幹線
車両の「クラス395電車 (British Rail Class 395)」が紹介されていた。この車両は、英国のサウスイースタ
ン鉄道の高速列車用電車で、ロンドンから英仏海峡トンネルの入口があるケント県フォークストン間の高
速新線・CTRLの速達化を目的として、2009年12月から最高速度225km/h (140mph) での運行開始されたが、
投げ槍を意味するジャベリンの愛称がある。また、2012年に開催されたロンドンオリンピックの会場アク
セス用列車オリンピックジャベリン (Olympic Javelin) としても使用され、英国内の高速新線を使用した
高速列車に使用される電車編成であり、日本の車両メーカー(日立製作所)が初めて製作した欧州の高速
鉄道車両として注目されている。また、2009年12月18日に英国を襲った大寒波で、英仏海峡トンネルを走
っていたユーロスターの車両がトンネル内で故障し、およそ500人の乗客と乗員がトンネル内に閉じ込めら
れる事故が発生したが、このトンネル内に閉じ込められた乗客の救出に、クラス395電車が救援列車として
英仏海峡トンネルを走行させ、乗員乗客全員を16時間ぶりに救出している。さらに、2010年4月14日には、
この車両メーカーである日立製作所が第39回日本産業技術大賞「内閣総理大臣賞」を受賞している。

この「A-train」の技術を用いたダブルスキン構造(アルミニウム合金製)車体の車両設計にあたり、英国
と欧州の規格(RGS及びTSI)を満たす必要があり、先頭形状について新幹線車両設計時に使用されたトン
ネル微気圧波シミュレーション技術が用いられており、編成は両端の制御車と中間電動車4両からなる6
両固定編成(最大で2編成を併結した12両編成での運行が可能)で。電気方式は高速線区間の交流電化
(25,000V・架空電車線方式)と在来線の直流電化(750V・第三軌条方式)の双方に対応。パンタグラフ
は両端の制御車に設置され仕様で、また、保安装置はETCS(ヨーロッパの鉄道における統一システム)、
TVM430(LGVやCTRLで使用されている自動列車制御装置)、Train Protection & Warning System(自動列車停
止装置)、KVB(セント・パンクラス駅構内で使用されている地上信号方式)を搭載。その他、GPSを用い
て列車の位置を演算しホーム上の定位置に列車を止める装置を装備するという。この番組で受注から運用
に至る経緯を知るだけで、如何に新幹線技術とそのシステムが優れ、英国で定着したかが短時間でわかる
ようになっている。



● 3次元プリンターは建築法を一新させる!

 

これは『高次脳情報処理工学』の「Team of 3D-printing "Minibuilder" robots print large-scale structures on site」
続編になるかもしれないが、記事で紹介されていた3次元プリンタによる「小型建築ロボットチーム」が
大規模建造物への挑戦のうねりが始まっている。「できこないないよね!」と半信半疑だったわたも、つ
い最近、煉瓦積みのDIYを学ぶ必要に迫られあれこれ下調べしているうちに、ふと、3次元プリンタの
(1)マルチノズル印刷、(2)3次元姿勢制御、(3)マテリアルイノベーション、そして、(4)デ
ジタル技術のこの4つでなりたっているんで、1個1個の煉瓦を積み重ねていけば、後は、耐震構造など
の側面的要素の付加などで対応可能だということに気が付いた。この工法が世界に定着すには素数十年か
かかるとも、建造物大変革をもたらすこと必至と思われる。自由の女神像などは簡単?に建像できてしま
うかもね。^^;。





● 飛翔するドローンロボット



ドローンのモーダル利用もさることながら、高性能で多機能なカメラを搭載させドローンによるメガソー
ラーの保守管理や放牧地や農耕地での監視サービス利用が先行する可能性が出てきている。さらにこのド
ローンにロボット機能を強化し、テレメトリックな従来型から脱皮し、掃除・洗浄、あるいは上写真のよ
うにワイヤー敷設することで走路や住居など建造物建設の支援ロボとして利用するサービスが創業されて
いく可能性も見えてきた。もっとも、下図のルノー社の電動モビルのドローンを搭載し、空中撮影、目的
地の観測捜索が簡単に行え、さらに、釣りや狩り、農産物の収穫などの行楽を倍増させるだろう。





● 発光ダイオードで話題爆発 世界をリードする結晶工学立国


青色発光ダイオード(LED)の開発で、ノーベル物理学賞受賞が決まった米カリフォルニア大サンタバ
ーバラ校の中村修二教授は7日、同大構内で、「やっときたかと思った。とてもうれしい」と、ほっとし
た様子で喜びを語った。現地時間午前2時すぎ、サンタバーバラの自宅で寝ていたところ、スウェーデン
の王立科学アカデミーからの受賞の連絡の電話で起こされた。すぐに大学の同僚に伝えた。研究所に行き、
大学関係者から手渡されたアップルサイダーで乾杯したという。お祝いのメールがたくさん来ているが、
見られないと気にしていた。「私に最初に投資してくれた日亜化学工業の創業者、小川信雄氏(故人)に
感謝したい。私の研究の成果が認められたことはうれしい。若い人に研究の成果をつなげていってほしい
」と語ったという(毎日新聞、2014.10.08)。

そして、授賞理由の一つは、人類の生活向上に貢献したことだった。電気が通らない村でも、LED技術
を使えば太陽光や手動で明るい光源ができ、省エネ、地球温暖化防止に貢献できる。常々アメリカンドリ
ームを口にし、「ジャパニーズドリームは存在しない」と言いきっていた。2000年から研究の場を米
国に移し、米国籍を取った。「私は四国の田舎育ち。田舎の若い人に希望を与えられたのではないかと思
う」と語り、「チャンスは自分で切り開ける」と強調した。と同社ニュースは報じている。この吉報に接
し、中村修二教授のノーベル賞の可能性をいち早くから教えてもらった同郷でオゾン発生装置などを製造
販売会社社長であったことを思い出していた(関連する新聞記事の切り抜きなど熱心に送っていただいて
いる)。

もっとも、青色発光ダイオードの開発は、国内の科学技術政策担当者や大学関係者からは「戦後最大の成
功モデル」と評されているという。それは単に照明、携帯電話やテレビのバックライト、信号機といった
応用分野の広さだけが理由ではない。大学の基礎研究で生まれた技術シーズを国内の企業に移転し、産業
化に結びつけた「お手本」のような事例だからだと。そして、総額56億円。中央官庁が産業育成などを議
論する場で度々登場するこの数字は、青色LEDの基礎研究に関わる赤崎氏の特許から、同氏がかつて所属し
た名古屋大を含む国が得た実施料収入を示している。調査が行われた2006年時点で、国有特許の実施料収
入の実に約9割を青色LEDが占めていた計算になる。その恩恵にあずかる名古屋大もまた、国内大学の特許
収入ランキングで長くダントツの首位に立ってきたという、もののだ、ここで1つ注意が必要なのは、赤
崎勇名城大学教授の特許に絡んで国に入った実施料収入の大半は、豊田合成による製品化によって得られ
た資金であり、LED素子メーカーの最大手の日亜化学工業は中村氏の開発した基礎技術をもとに実用化を
進めており国に特許収入は入っていないという(日経ビジネス「ノーベル賞受賞、青色LEDの産官学モデ
ルがうまくいった理由」 2014.10.07)。

このニュースでは、この成功例は今後も上手く行かないだろうとこのように警告している――青色発光ダ
イオードを開発した頃とは違い、企業や大学も長期的なテーマに取り組める余裕はなくなってきている。
東京工業大学の細野秀雄教授が生み出した酸化物半導体「IGZO」など、「第2の青色LED」として期待さ
れる次の種は確実に存在する。環境激変のなかで、基礎研究と産業を結ぶ仕組みを機能させ続けることが、
必要になる――と指摘しているがこれはたいへん重要な指摘だ。

● 高効率な熱電変換材料開発

前述した2つの事例の先端的な結晶工学の技術開発(青色発光ダイオードなど)だけではなく、様々な機
能性人造化合物が世界に先駆け――このブログでも「現代の錬金術」と喩えてきたように極東のこの地で
誕生して来ているのだが、その最新事例として、産業技術総合研究所(産総研)と広島大学は今月6日、天
然硫化銅鉱物の一種コルーサイトと同じ結晶構造の人工鉱物「Cu26V2M6S32(M=Ge、Sn)」を合成し、400℃
付近で高い熱電変換性能を示したことを公表(詳細は、アメリカ物理学会誌「Applied Physics Letters」に
掲載――最下図をダブルクリック)。これはコルーサイトCu26V2M6S32は、Cu(銅)とS(硫黄)を主成分とし
立方晶(等軸晶)系の結晶構造を持つが、天然のCu26V2M6S32はMとして毒性元素のAs(ヒ素)を含んでいる。
また、Mの中に含まれるAs、Sb(アンチモン)、Ge(ゲルマニウム)、Sn(スズ)の割合がさまざまで、熱電特
性が一定ではないと考えられている。そこで今回、AsとSbを含まないM=GeとM=Snを人工的に合成し熱電特
性の評価を行った。 

 

これは、構成元素を千℃以上の高温において直接反応させ、この粉砕試料を加圧しながら高温で焼結させ、
高密度試料を得て、物性測定を行った結果、これらの試料がp型の金属的な電気伝導性を示し、400℃(673K)
で、高い無次元熱電変換性能指数ZT=0.7(Ge)、0.6(Sn)を示す。この値は熱電変換効率に換算すると6~7%
程度に相当し、また、コルーサイトでは、構成元素の一部を価電子数の異なる元素で置換すればホールキ
ャリア密度を容易に調節できるので、今後、既存材料を上回る高いZTが得られるものと期待され、同物質
が、低毒性で地殻中の埋蔵量が豊富なCu、Sn、Sを主成分としており、レアメタルレスの熱電変換材料のた
め、環境負荷の低い高効率熱電発電の実現に大きく寄与することが期待される。

 

 
このように、半導体化合物や新規人造化合物、結晶物あるいは非結晶物(アモルファス)など無機物を始
め、鉄・非鉄金属材料を使った超磁性体・超剛性体、あるいは炭素繊維や最近話題となってい蜘蛛糸繊維
なとの有機材料開発などなど、世界のあらゆる分野のマテリアルイノベーション技術がこの極東の地で生
まれ世界に発信・贈与・貢献し、これからもトップランナーであり続けていくことは間違いない。 

ハルキ 来年に期待

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● モーニング・エッグ・レシピ

我が家は厨房に入るべからず――しかし、調理訓練したい。その場は簡単な卵料理からだ。そんな
ことを漠然と思ってきたが、テレビを観ていると奥義が深いことを改めて認識し感心しもした。頃
合いがくれば蜂起しょう!

 

● フッ素化合物系高性能な油分分離剤の開発

三菱マテリアルは8日、世界で初めて油と水を瞬時に分離することができるフッ素系化合物を開発。
厨房や工場などの油汚れ防止や油水分離フィルターとして河川や海の油流出事故の復旧作業、石油
資源の採掘現場での利用など多用途での採用を働きかけるとしている。上図のフッ素化合物で表面
処理したフィルターを使った油水分離装置は、同化合物は独自のフッ素化技術と有機合成技術によ
り、一つの化合物に水になじむ親水性と油を弾く撥油性を持たせた。これにより油の付着を防止し、
水で簡単に除去でき、またフィルターに塗布することで、水だけを透過させる油水分離膜である。

同社は「重力で油水分離ができるためエネルギーや特別な薬剤も不要。分離した油も資源として再
利用できる」とアナウンス。これまで「親水撥油剤」としてフッ素系材料に酸化チタンや酸化ケイ
素を混合した素材はあったが、十分な親水撥油性を確保できなかった。「撥水撥油剤」は、水も油
も寄せ付けない防汚特性をもち、汚れの予防策として防水機能付の衣類やスポーツ用品をはじめ、
スマートフォンやタブレットPCの画面における指紋汚れ防止などに、主に利用されている。

一方「親水剤」は、水に馴染むことで洗浄を容易にする易洗浄特性をもち、雨や水で容易に汚れが
除去できるよう、建物の外壁や窓ガラス、自動車ボディなどに利用されている。また、上記の両特
性を併せ持つ「親水撥油剤」として、フッ素系材料と、酸化チタンあるいはシリカを複合化した素
材があり、建物の外壁に利用された例はあるものの、瞬時に十分な親水撥油性はもちえなかった。

この新規考は、含窒素ペルフルオロアルキル化合物の誘導体をカチオン型以外の各種溶媒可溶化基
にしたフッ素系界面活性剤を選択する。高い表面張力低下能を有し、界面活性剤として有用な含窒
素ペルフルオロアルキル基を有する新規なフッ素系界面活性剤を提供することにある(上図ダブル
クリック参照)。

・フッ素系界面活性剤の界面活性能評価

上記実施例1~6にて合成したフッ素系界面活性剤の界面活性能評価を行うため、水溶液中での表
面張力測定を行った。また、沈殿の有無については10%硫酸溶液へ1000ppm添加した系にて25℃、
1週間放置した後の結果である。なお、表面張力測定は、協和界面科学社製自動表面張力計CBV
P-Z型を用い、Wilhelmy法により測定を行った。また、比較例として、ペルフルオロオクタン酸
(PFOA)のアンモニウム塩であるC7F15CO2NH4(比較例1)と、カチオン型界面活性剤で
あるO(C4F8)NCF2CF(CF3)CONHC3H6N+(CH3)3・I-(比較例2)と、について
も測定を行った。評価結果を下記表1に示す。表1に示すように、実施例(1~6)のフッ素系界面
活性剤は、従来のペルフルオロオクタン酸(PFOA)のアンモニウム塩である比較例1やカチオ
ン型界面活性剤である比較例2と比較して、同添加量で優れた界面活性能を持ちながら、沈殿物の
発生が起きない均一な系で扱うことが可能なフッ素系界面活性剤であることがわかる。

(アニオン型の場合) 上記式(1)に示す原料のうち、XがCOの場合(カルボン酸系の場合)は水
溶液化したMOH(MはLi,K,CaOH,MgOH等)へ、XがSO2の場合(スルホン酸系
の場合)は水溶液化したMOH(MはLi,Na,K,R2R3R4R5N+,CaOH,MgOH等、
R2~R5は水素原子またはそれぞれ独立した炭素数1~20までの直鎖もしくは分岐状のアルキル基)
へ、それぞれ滴下して中和反応させた後に乾固し、目的物が可溶かつ副生するMZまたはMZ2が不
溶の溶媒を用いて乾固して得た個体から目的物を抽出し、さらにこの抽出溶媒を乾固することによ
り、目的物を得ることができる。必要に応じて、この塩を硫酸等の酸を用いてカルボン酸またはス
ルホン酸に変換し、蒸留した後に再度MOHで所望の塩にすることで、高純度化することも また、
上記式(1)中に示されるYが、NR1(CH2)mCO2M2(M2はH,R2R3R4R5N+,H3O,
Li,Na,K,Ca,Mg、mは1~4の整数、R1は水素原子または炭素数1~10のアルキル
基、R2~R5は水素原子またはそれぞれ独立した炭素数1~20までの直鎖もしくは分岐状のアルキ
ル基)の化合物は、上記式(1)に示す原料を、NR1H2で示されるアルキルアミンと反応すること
によってアミド化し、さらに、例えばクロロ酢酸塩のようなハロゲン化アルキルカルボン酸塩と反
応することによって製造可能である。以下、両性型・ノニオン型・オリゴマー型についても同様に
それぞれの反応条件でつくることができるがここでは割愛する。 

 


● ノーベル化学賞は「超解像蛍光顕微鏡」の研究開発グループへ

スウェーデン王立科学アカデミーは8日、2014年のノーベル化学賞を、米ハワードヒューズ医学研
究所のエリック・ベトツィック・グループリーダー、独マックス・プランク生物物理化学研究所所
長のシュテファン・ヘル教授、米スタンフォード大学教授のウィリアム・モエナー教授に贈ると発
表。授賞理由は「超高解像度の蛍光顕微鏡の開発」。受賞理由は、光学顕微鏡は光の波長の半分が
分解能の限界だったが、受賞者らは蛍光分子を使うことでこの限界を避け、光学顕微鏡で生きた細
胞のナノレベルの世界を観察できるようにした。ナノスコピーと呼ばれるこの手法で、細胞内部に
おける分子の経路を視覚化し、脳内の神経細胞間でどのようにシナプスを作るか見ることができる。
パーキンソン病やアルツハイマー病、ハンチントン病などのたんぱく質や、受精卵が胚に分かれて
いく時のたんぱく質を追跡できるようになった。

 

ヘル氏が2000年に開発したのはSTED顕微鏡。二つのレーザー光が使われ、一つは蛍光分子を光
らせる刺激で、もう一つはほかのナノメートルサイズ以外の蛍光を打ち消す役を果たしている。ベ
トツィック氏とモエナー氏がそれぞれ別に基礎を築いた2つ目の手法が単一分子顕微鏡だ。この手
法は個々の分子の蛍光オン・オフを可能にする。散在する分子が光るのを同じ部分で何度も画像し、
重ねることでナノレベルの高精細の画像が得られる。

※光学顕微鏡は微細な構造を非破壊・非接触に観測できる最も簡便な手法として、生物学、化学、
物理学といった数多くの分野で使われている。この光学顕微鏡は、光の持つ「回折限界」と呼ばれ
る壁に阻まれて、従来は光の波長の半分程度(サブマイクロメートル)の分解能しかない。この
「回折限界」を乗り越えてナノメートルの空間分解能を持つ新しい光学顕微鏡(超解像蛍光顕微鏡)
について研究されてきたが、超解像蛍光顕微鏡を使って、細胞、高分子、発光素子等の機能をナノ
メートルの解像度で明らかにされてきた。具体的には、(1)分子一つを観る単一分子分光計測、
(2)蛍光スポットを回折限界以下に小さくすることにより超解像を実現するStimulated Emission
Depletion (STED) Microscopy、(3)個々の単一分子をナノメートルの精度でマッピングすることに
より像を再構成するLocalization Microscopyについて研究されている。



【要約】

試料に照射する複数の励起光を基準信号の周波数と同一周波数かつ前記基準信号の位相に対して所
定の位相差でそれぞれ強度変調する励起光変調部と、複数の励起光により発生した複数の蛍光を検
出する蛍光検出部と、蛍光検出部による検出信号から抽出された所定の周波数成分における位相と、
基準信号の位相との関係から位相情報を生成する位相情報生成部と、蛍光検出部による検出信号か
ら抽出された所定の周波数成分の振幅から振幅情報を生成する振幅情報生成部と、蛍光検出部によ
る検出信号から周波数成分を除いた成分から成分情報を生成する成分情報生成部と、位相情報、振
幅情報、及び成分情報に基づいて複数の蛍光のそれぞれの強度信号を算出する強度信号算出部と、
を備えることで、検出器で受光した複数の蛍光を容易に分離できる蛍光顕微鏡を提供する。

以上の機構でもって、従来複数の蛍光試薬から発光する蛍光を光学フィルタで分離して異なる検出
器に導く場合、発生する蛍光の波長帯域が極めて接近、もしくは一部重なっているため、蛍光を完
全に分離することは困難であったが、蛍光検出部で受光した複数の蛍光を演算により分離できる。

 

 

● 映画『ラスベガスをぶっつぶせ』

忌中につき、あれこれと、法事にまつわる用事や挨拶回りをこなし、台風19号の足取りを予定と
重ね合わせをしながら時間の移ろいの早さと漠たる心境が重なり気鬱な雰囲気の中で過ごす。目の
疲労が取れず、お世話になったさざなみ苑への挨拶終え、昼食にビタミンB群の摂取ということで
彼女と外食。帰宅し、ラベンダーとカモミーユの種まき、オリーブの鉢植えなど庭の手入れなどを
行う。衛星放送のプレミアムシネマで気鬱さ晴らしに『ラスベガスをぶっつぶせ』を鑑賞。青春の
蹉跌のシーンに触れ、落ち込むこころをなんとが食い止めていた。




マサチューセッツ工科大学で優秀な成績を収める学生ベン・キャンベル。彼は優秀な成績を収めて
親友たちとロボットコンテスト用の工学ロボットの研究をする一方、バーではスポーツ系サークル
の集まりを遠巻きに眺めるオタク系学生だった。彼の夢は、卒業後にハーバード大学医学部に進学
して医師になること。それには、学費30万ドルが必要だったが、奨学生試験に失敗、資金繰りに頭
を悩ませある日、ベンはミッキー・ローザ教授に声を掛けられる。ローザ教授はベンの数学の才能
に気付き、自分が主宰するブラックジャック必勝法の研究グループに誘ってきた。一度は誘いを断
ったベンだが、進学の資金稼ぎと、研究メンバーの一人に以前から憧れていた女性ジルがいたこと
で、参加を決意する。持って生まれた才能をフルに発揮して、必勝法“カード・カウンティング”
を習得していく。



メンバーの中でもずば抜けたセンスを発揮した彼は、仲間とともに週末のラスベガスに乗り込み大
勝ちし週末にラスベガスで贅沢を謳歌するセレブと、ボストンで普通の学生として過ごす平日とい
う二重生活が始まる。ジルとの仲も親密になるが、ラスベガスでの生活に慣れるにつれ、次第に地
味な学生生活に物足りなさを覚えてくる一方、カジノ側は勝ち続けるベンたちに目をつけられ、ル
ール違反者を取り締まるコールは彼らの手口を見抜き、カジノからの追放を画策。さらにチーム内
の仲間割れ、ボストンの友人たちとの不和、ジルとの間に生じる微妙な心のズレなど、不穏な事態
が立て続けに発生。周囲に立ち込める暗雲に気付かぬまま、いつものようにラスベガスへ乗り込む
がチームは史上最悪の事態に巻き込まれてしまう。


残された時間に カードを引く勇気はあるのかどうか。そして、ブラックジャックかどうか。


※ 「来年こそお祝いを」村上さんノーベル賞逃す。

 

デクサマニー降臨

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● 自閉症って何だ

人の気持ちを理解することが困難な自閉症の患者に「オキシトシン」と呼ばれるホルモンを投与し、
コミュニケーション能力の改善を目指す大規模な臨床試験を金沢大学や東京大学などのグループが、
来月から始める。研究グループは、効果が確認されれば、薬としての承認を目指す「治験」を行う
予定で、自閉症の初めての治療薬になる可能性があると期待さるという(NHK 2014.10.10)。

ところで、大規模な臨床試験を始めるのは金沢大学や東京大学など国内の4つの大学の研究グルー
プ。自閉症の患者120人を2つのグループに分け、一方のグループには、「オキシトシン」と呼
ばれるホルモンを鼻からスプレーで投与し、もう一方のグループには、偽薬を投与。オキシトシン
は女性の体内で母乳の分泌を促すなどの働きをするが、東京大学のグループが自閉症の男性患者に
投与したところ、顔の表情などから他人の気持ちを読み取るテストでコミュニケーション能力の改
善が確認されたという。4つの大学の研究グループは大規模臨床試験で実際に薬として使えるかど
うか、より詳しいデータを得るためで、これにより国内で120万人に上るとされ自閉症の患者に
は根本的な治療法がなかったが、再来年までに結果をまとめ、効果が確認されれば、薬としての承
認を目指す「治験」を行うという。




※このオキシトシンは既にブラジルなどで販売、国内では、「アトニン-O注」(製造販売元 あ
すか製薬株式会社、販売 武田薬品)、「オキシトシン注射液F」(富士製薬工業株式会社)とし
て製造販売されているが、オキシトシン使用時に血圧上昇から脳出血に至る副作用がある(「薬害
オンブズバースン会議
」)。

 

しかし、やっかいなのは臨床における薬害リスクではない。自閉症を了解することだと思えた。つ
まり、「自閉症」というその名前から、 "他人に対して心を閉ざし、自分の殻に閉じこもってしまう病
気"と思うっていたが、これは間違いで、自閉症は心の病気でなく、親の育て方や環境が原因ではな
い、脳の特性によって起こる発達障害だという。自閉症では脳の特性のために、目や耳から入ってきた
情報を整理し、それらを意味のあるまとまったこととして認知することが難しくなるんだという。最
近では医学心理学研究の進歩により、以前に比べて自閉症についての正しい理解も得られるようにな
ったが、発症の仕組みなど、残念ながらまだ解明されていないという背景も、わたし(たち)を正
しい理解を妨げ、了解を遅らせる原因――なんでもかんでも脳科学で 説明できるのかという漠たる疑
問を晴らすことに成功していないのだ。日本では120万人が自閉症で苦しんでいるというが、適正な治療方
法が見つかり解決できればそれにこしたことはない。


【オールソーラーシステム完結論 23】 


● 蓄電網の現代神「デクサマニー」降臨 ?(『蓄電ネットワーク構築』)

 
LEDと太陽電池の3・11以降の伸長は著しく、後者は今や一大産業までに急成長を遂げており
半導体製造産業・情報通信産業の興隆に並び越えるものになっているが、ここに来て、その電力供
給量の著しい拡大は既存の送電システムの許容を大幅に越え問題となっている。そんな矢先、エナ
リスは、9日、大量の蓄電池を需要家に設置し、遠隔で充放電の管理を行うことで、電力の需給を
調整する新たなバッテリーマネジメントサービスを開始すると発表。蓄電池の設置台数は1万台を
目標として、今後、2015年度末までに順次導入していくと公表(2014.10.10「環境ビジネス」)。

再生可能エネルギー買取の新規契約中断を一部の電気事業者が発表するなど、固定価格買取制度の
課題が指摘される中、同社はバッテリーマネジメントは再生可能エネルギー普及にむけた突破口に
なると捉えている。このサービスは、電力代理購入サービスと組み合わせて、エナリスが東芝ITコ
ントロールシステムから大量調達した蓄電池を需要家に提供することで、初期費用を格段に抑える。
また、エナリスの需給管理ノウハウを生かし、蓄電池の充放電を遠隔で効果的に制御するもの。こ
れにより、再生可能エネルギーの出力変動や気温変化によって生じる電力の需要と発電の差を軽減
する効果が期待され、需要家側におけるエネルギーバランスを最適化することができる。需要家は、
ピークカット制御により契約電力を削減するとともに、安価な夜間電力を蓄電し昼間に放電するこ
とで、電力料金を削減できるという。

災害などによる停電時のバックアップ電源としても使用でき、電力小売事業者は、発電量が需要量
に対して不足した場合に義務付けられている電力補給に要する費用を削減することが可能になる。
今回採用された東芝ITコントロールシステムの蓄電池システムは、最大出力10kW、容量9.9kWh。東
芝製リチウムイオン二次電池「SCiB™」が搭載されており、約1万回以上の充放電が可能な長寿命、
高い安全性、低温動作などの優れた特性を評価し採用に至りったという。




エナリスは、新電力の需給管理代行業務などを通じて培った需要予測や気象予報士による発電予測
など、エネルギーの流通情報に関する独自の技術と経験を有する。すでに同社が管理する電力規模
は約2百万キロワットに達し、エネルギーマネジメントシステム(EMS)の販売実績は約1万件の
実績を有し、同社はこれらの管理実績を生かしてバッテリーマネジメントサービスを実用化してい
る。

また、複数の電力会社が再生エネルギー買取の新規契約を見合わせている昨今の状況は、蓄電池が
普及していない現在の電力システムのもとで出力変動の大きい自然エネルギーが増加したことによ
り、電力の需要と供給のバランスが崩れることが大きな原因の一つと指摘。同社は再生可能エネル
ギーが大量に系統接続される未来社会にむけて、電力系統の安定化に資するサービスを構築してい
くとともに、電力システム改革の将来を見据え、ビジネスチャンスとして様々な取り組みを進めて
いく考えだという。

つまりは。「個別充電システム」とともに「ゾーン充電システム」の整備が追いついていない実態
があらわになったというわけで、エナリス社という「泉の女神」(デクサマニー)が降臨するとい
ういうわけですな。これは面白い。



● リン酸鉄リチウム蓄電池貯蔵システムの魅力

ドイツの自動蓄電機器(Sonnenspeicher:ASD)社より、リン酸鉄リチウム蓄電池貯蔵システムを同プ
レハブメーカーのウェーバーハウス社に供給すると公表(2014.10.09 PVRECH "German prefabricated
homebuilder picks lithium iron phosphate for storage")。ドイツでは配送電線網(グリッド)の安定のた
め太陽光発電システム出力の70%容量の自家消費を法律規制されている(メーカー保証は90%)。
また、昨年以来、ドイツはリチウムイオン電池システムのコストの一部に対する補助金を提供してき
ているが、安全性と高効率性を評価しウェーバーハウスはADSを採用する。

 

  

 

 ← Double ZeroHouse 3.0

● リン酸鉄リチウムイオン電池の特徴は何だろう?

 

【要約】

非水電解質電池において安価で資源的に豊富な元素を用いた正極活物質を使用して、安定した充放電サ
イクル性能を実現するため、電子導電性物質にて表面の少なくとも一部が被覆された、平均組成が
(化1)で示されるオリビン構造を有するリチウムリン酸化合物の一次粒子どうしが、電子導電性
物質を介して接合してなる二次粒子を含み、N-メチル-2-ピロリドン吸油量が25g/100g
以上35g/100gであ
る正極活物質を用いる。

(化1) LixM11-sM2sPO4

ただし、M1は鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)
、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)からなる群より選ばれる少なくとも1種を示す。M2は2
族~15族から選ばれる元素のうちM1を除く少なくとも一種を示す。x、sはそれぞれ0≦x≦
1.2、0≦s≦1.0の範囲内の値である。

 

上図の新規考案を提案しているソニー社によると、(1)防災拠点などで、災害時の非常用電源と
して使用されることの多い蓄電池。だからこそ災害に強く、二次災害の原因にならない電池を選択
する必要を挙げ――分子構造が安定し、安全性の高い、オリビン型リン酸鉄リチウムイオン電池を
採用。自己発熱が少なく、熱化学反応しない、安全性の高い電池。国内のS-JET 認証・SBA 認証は
もちろん、世界で始めて北米の安全規格のUL1973認証を取得し、さらに安全性に関わる試験は、火
災時を想定したバーナーでの燃焼試験・洪水時を想定した浸水試験・ビル倒壊等を想定した釘さし
試験などの過酷な試験を含む14種類以上の項目を実施――クリアしているという。(2)また、公
共・産業用に活用される業務用の蓄電池は、長期利用できること。すなわち、エコでランニングコ
ストのかからないことが求められ、一般的に電池の寿命は、充電から放電の深さ(充放電領域)に
よって劣化が加速。オリビン型リン酸鉄リチウムイオン電池は、最も過酷な充放電領域(0~100%)
でサイクル試験を実施。その過酷な条件下でも、10,000回以上の充放電を実現させているとのこと
(上図参照)。(3)さらに、災害対策用の蓄電システムでは、夜間に必要とされる電力を、日中
の太陽光パネルの発電で充電して備えることが必要。太陽光発電の余剰電力で充電できる時間は、
一日3時間程度になります。この時間内に充電を完了できることが求められが、オリビン型リン酸
鉄リチウムイオン電池は、約1時間でほぼ満充電が可能だという(下図参照)。 

※ 以上、現状を踏まえ、コストダウンが重要課題となる。

 




以上、グリッド問題のほとんどである蓄電システム問題の解決を持つばかりの状況にある。

ヘラクレスの選択

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    日はしづみ茗荷の花の淡く黄なり夕習はしの畑道ゆけば / 佐々木信綱




 

 




【イスラム国に手を焼く欧米】


最近、かしましく?イスラム国の関するニュースが流れてくるので、ヘラクレス信仰(武闘信
仰)とサイクス・ピコ協定に象徴される植民地主義と、イスラム教・キリスト教・ユダヤ教に
みられる一神教と、石油産出とテチス海(テーテュース神の名を冠した太古の海洋)の地球科
学文明史と、さらには先進国社会の陰影と世代間ギャップについて考えてみたいと思った。

イスラム過激派組織「イスラム国」に参加するためシリアに渡航しようとしたとして、警視庁
公安部は6日、刑法の私戦予備および陰謀の疑いで、北海道大学に在籍し、現在は休学中の学
生ら複数の日本人から任意で事情を聴くとともに、大学生の住居とみられる東京都杉並区の一
軒家など関係先数カ所を家宅捜索したという(毎日新聞 2014.10.07)。

また、過激組織「イスラム国」がシリア北部のトルコ国境沿いの町アインアルアラブへの攻勢
を強め、国際社会に懸念が広がっている。米軍の空爆は目立った効果を上げておらず、国境の
町が陥落すれば、シリアで始まった長い戦いの厳しさを印象付けることになる。アインアルア
ラブは、イスラム国の勢力圏に取り残されたクルド人勢力の拠点。イスラム国は町を手に入れ
ることで、国境を越えて来るヒト、モノの流れを確実に掌握できるようになるとされる。国連
は、中心部に取り残された高齢者や郊外の市民ら計約1万2700人がイスラム国に虐殺される恐れ
があると警告している。危機の高まりを受け、米軍は6日以降、アインアルアラブ周辺での空爆
を強化。イスラム国の拠点ラッカ周辺などでの爆撃は減り、アインアルアラブに迫るイスラム
国部隊への攻撃が急増した。ただ、こうした動きとは裏腹に、米政府は冷めた見方も表明して
いる。ケリー国務長官は「一歩身を引き、戦略的目的を理解することが重要だ」と述べ、アイ
ンアルアラブ救済だけに目を奪われてはならないと指摘したという(時事通信 2014.10.11)。



さらには、ジョンソン・ロンドン市長は、11日付の英紙デーリー・テレグラフのインタビュー
で、イスラム過激派によるテロに警戒感が高まる中、ロンドンで数千人が治安当局の監視対象
になっていると明らかにした。英国は8月、テロ警戒レベルを5段階で上から2番目の「重大」
に引き上げた。情報機関は、主に過激組織「イスラム国」や国際テロ組織アルカイダからの脅
威だとしている。英政府は、約 500人の英国人がイラクやシリアで戦闘に加わっているとみて
いる。ジョンソン市長は「彼らが帰国すれば、われわれは彼らへの対処を真剣に行わなければ
ならない」と指摘したと伝えた(時事通信 2014.10.11)。  

 

また、シリア内戦の和平調停にあたる国連のデミストゥラ特使は10日、シリア北部のトルコ
国境に近い都市アインアルアラブ(クルド名=コバニ)が過激派組織「イスラム国」に制圧さ
れた場合、1万2千人以上の民間人が「虐殺される恐れがある」と警告した。スイス・ジュネ
ーブの国連欧州本部での記者会見で述べた。同特使によると、アインアルアラブには高齢者ら
700人が取り残され、民間人約1万2千人が周囲に逃れているという。同特使は、トルコか
ら「十分な装備」を備えた「義勇兵」が向かうことを認めるべきだと主張したと報じている。
(朝日デジタル 2014.10.12 16:00)





イスラム教、キリスト教、ユダヤ教や一神教の特徴については、ネット上知りうる程度で特別
に掲載することはないので割愛する。また「イスラム国の指導者」のアブー・バクル・アル=
バグダーディーについてもネット上で知りうる情報以外のものもないので同様である。ここで、
触れておきたいのは「外へのジハード」であり、「イスラーム世界を拡大あるいは防衛するた
めの行為、戦い」で、多くの宗門が教徒を拡大包摂する行為――「戦争の家」=非イスラーム
世界を「イスラームの家」に包摂(=討伐)する行動――はその地域特有の、地政学的な特色
により変化するというものであるが、サイクス・ピコ協定までの宗教戦争や欧州列強の植民地
支配、それ以降の第二次大戦以降のイスラエル建国、中東戦争、冷戦時の代理戦争、石油支配
メジャーと産油国の抗争、イラン革命、イ・イ戦争、アフガニスタ紛争、湾岸戦争、イラク戦
争など、極めて戦闘的なジハードを惹起することは不可抗であったろう。




● 欧米のヘラクレスの選択

欧米列強の武力でもって、軍隊を進駐させる、あるいは、デジタル技術を駆使した無人戦闘機
でもって爆撃し脅迫するといった他国民族や文化的な支配、資源略奪が続く限り、イスラーム
のジハード終わらないことは明白であって、ヘラクレス信仰(武闘派・武器取引・唯銃主義な
ど含めた)を捨てる賢明な『ヘラクレスの選択』を決断してもなお、これまでの諸行の罪深さ
を考慮すれば、関係国の完全和解の最終ゴールへの道のりは遙かに遠いものと考えなければな
らない。翻って、中東のイスラーム国家の民主主義の成熟や経済貧困・格差の是正も同時に行
わなければ、不安定なものとなる。もっとも、これは「内なるジハード」に内包されると考え
るから、生活水準の一括的引き上げと民主化の推進は関係国民の努力の成果によるだろう。

その上で、身近な非ヘラクレス信仰的支援を世界各国の若者達の非政府的ボランティアが可能
な機構――虚無的な武力支援に走ることのないような仕組み――の構築に各国政府が積極的援
助することが大切なんだろうと考えてみた。

  

  

   

 

● 近日、映画上映! 

 

 

 

 

今年の夏の異常気象の影響か、 茗荷(みょうが)が豊作。裏庭で大きな茗荷が摘れたと彼女
が盛ってきたのでデジカメするが焦点がぼけもう一つ。それにしても我が家に定着したから、
茗荷ピクルスを創作してみようか? これは残件扱い。 

第4のエコカー登場

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● 広島カープとデミオの快進劇

マツダの小型車「デミオ」の受注が好調だ。9月9日の予約開始から半月足らずで販売目標の月5千台
を上回る7千台以上の注文が舞い込んでいる。好調な受注は新開発の環境と燃費性能に優れた1500
ccの小排気量ディーゼルエンジンを搭載したモデルを設定したことが大きく、全受注の7割近くに達
しているもようだという。ガソリンに比べて安価な軽油が使え、しかも燃費は1リットル当たり30キ
ロメートル。国内で200万円を切る唯一のディーゼル車に、マツダはハイブリッド車(HV)、電気
自動車(EV)、軽自動車に続く「第4のエコカー」として期待を一身に担っている(産経新聞 2014.
10.12)。

マツダはこれまで小型化、低価格が難しかったディーゼル車にどう立ち向かったのかその秘密を探る。  

通常のディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンに比べて大きく、大気汚染の原因になる排ガス中の窒
素酸化物(NOx)を処理する高価な装置を装着する必要があり、小型車への搭載が難しく、価格も高
額になる――マツダが開発した小型のディーゼルエンジンは、この処理装置部分をなくした――ガソリ
ンエンジンに比べて圧縮比の高いディーゼルエンジンは、空気と燃料が混ざり合う前に局所的に不均一
な燃焼が始まってしまうため、NOxが生成されたり、酸素不足の燃焼によってPM(スス)などの有
害物質が発生するが、一般的なディーゼルエンジンの圧縮比は16~18程度。マツダは独自技術「ス
カイアクティブ」で14という低圧縮比のディーゼルエンジンをすでに開発。今回のデミオも14.8
と小型車で最も低い数値を達成。つまり、低圧縮化によって燃焼室内の温度が下がるので、空気と燃料
がきれいに混ざり合う時間を確保でき、均一な燃焼により有害物質の発生量を抑制に成功する(下図参
照)。↓


【解説】軽油を主体とした燃料が気筒内に供給され、その燃料が圧縮自己着火により燃焼するディーゼ
ルエンジンでは、NOx排出量の低減を目的の1つとして、その幾何学的圧縮比を、例えば15以下と
いった比較的低い圧縮比にすることが行われている。つまり、低い圧縮比は気筒内の燃焼を緩慢にし、
NOxの生成を抑制する。また、エンジンの低圧縮比化は機械抵抗損失を低減させるため、エンジンの
熱効率を向上させる点でも有利である。ところが、ディーゼルエンジンの幾何学的圧縮比を低く設定し
た場合には、圧縮端温度がその分、低くなってしまうため、例えばエンジンの低負荷かつ低回転の運転
領域においては自着火条件を満足し難くなってしまう。また特に、ディーゼルエンジンにおいては、供
給される燃料の性状によって、セタン価が低いほど着火性能が低くなってしまうため、運転条件及び燃
料の性状に係る要因が組み合わさったときには、自着火条件がさらに成立し難くなってしまう。 

このため、エンジン1は、少なくとも相対的に低負荷かつ低回転である特定運転状態にあるときに、既
燃ガスの一部を気筒11a内に存在させるEGR手段を備える。EGR手段は、少なくともその一部が
エンジン1内に形成されかつ、通路長が所定長さ以下のEGR通路51とEGR制御弁51aと制御器
10とを含んで構成される。特定運転状態にあるときには、エンジン1は、気筒11a内の全ガス重量
Gと燃料の重量Fとの関係が、30≦G/F≦60を満足するように運転され、制御器10は、EGR
率が、エンジン1の幾何学的圧縮比εに対して、
(10-α)×(15-ε)+20-α≦EGR率≦60[%]
(但しα=0.2×外気温度[℃])を満たすように、EGR制御弁の開度を制御することで、自動車
搭載用の、特に低圧縮比(12~15)のディーゼルエンジン1において、燃料の着火性を確実に確保
する。
--------------------------------------------------------------------------------------------


→これを実現したコア技術は、圧縮比を低くすると、環境により着火しない場合がある。これを使用環
境に応じ適切に燃料を噴射することで低温時でも確実に着火――1回の燃焼の間に最大8回の燃料噴射
が可能――できるようにし解決した。つまり、高価な排ガス浄化装置がなくとも、世界でも厳しい排ガ
ス規制のポスト新長期(国内)、EURO6(欧州)に対応。ガソリン車との価格差を大きく縮小し、
価格の安い小型車への搭載を実現したというわけだが、課題はこれだけではない。小型化すれば表面積
が大きくなり熱損失(冷却損失)が大きくなるが――これを、ピストン上面が段形状をしたエッグシェ
イプと呼ばれる燃焼室(下図参照)を採用することで、ピストンが下がる際に発生する冷たい空気の流
入と温かい空気の流出を抑制する。

さらに、従来は噴射する燃料が燃焼室の壁に当たり、その壁面付近で燃焼するため熱が逃げやすくなっ
ていたが、燃料を噴射する距離を短くすることで、燃焼室の中心で燃料が燃えるよう工夫し、燃焼室の
外壁から熱が漏れる冷却損失を低減する(下図参照)。


【要約】ディーゼルエンジンのインジェクタ4は、燃焼室3の中心Pを挟んで相対向する位置に配置さ
れた第1噴射弁4Aおよび第2噴射弁4Bを有する。第1噴射弁4Aおよび第2噴射弁4Bの双方を通
る直線を対称軸SL、当該対称軸SLで燃焼室3の平面領域を二分した場合の一側を第1領域D1、他
側を第2領域D2としたとき、第1噴射弁4Aは第1領域D1に向けて燃料を噴射し、第2噴射弁4B
は第2領域D2に向けて燃料を噴射する。第1噴射弁4Aおよび第2噴射弁4Bから噴射される噴霧に
は、対称軸SLに対し7°以上15°以下の角度r1をもって噴射される噴霧が含まれることで、燃焼
室内の空気の利用率を高めてスート(煤煙)の発生量を低減する。

--------------------------------------------------------------------------------------------

日本ではこれまで、ディーゼル車は二酸化炭素の排出量がガソリン車に比べ少ないものの、黒煙をまき
散らすイメージが強いため敬遠されてきたため、「HV、EV、軽自動車が「エコカー御三家」であっ
たが、マツダのクリーンディーゼル車が普及価格帯の小型車にも入ってきたことで、ディーゼルが第4
のエコカーとして公認されるか注目を浴びることとなった。こういった環境技術開発を早く着手し、ト
ラックなどの産業用ディーゼル・エンジンの改良がなされなったのかについては、このブログでも掲載
指摘したが、ここにきてやっと実現したので、ホットした気持ちになった。さすが、マツダ!このよう
にマツダの躍進を考えながら、クライマックスシリーズで阪神タイガースに敗れたとはいえ、広島カー
プの躍進とダブルところがあるように思えたが、これは無理っぽいか?!

● マツダ「新型デミオ=HAZUMIコンセプト」発表




 


スマート発酵工学

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【オールバイオマスシステム完結論 Ⅰ】

今夜はスマート発酵工学(『玉葱の涙から目薬』)の話。
「オールソーラーシステム完結結論」シリーズを掲載しているが、「東ガスと東大、藻類バイオ燃料
を効率抽出-加熱処理、航空機向け」(日刊工業新聞 2014.10.13)のニュースが飛び込んでき読み込
んでいたが、簡単に言ってしまえば、太陽光を利用する意味(光合成)では、この間のノーベル物理
学賞の受賞した青色発光ダイオードではないが人工光も必要かもしれないのだから、オールソーラー
システムとして処理してもいいが、航空機用ケロシン(ジェット燃料)向けに2030年までの実用化を
ゴールにしているというのなら、バイオマス発電を含めた「オールバイオマスシステム」の実用化を
前倒しの意味を込め、ソーラーと同様にシリーズ「完結結論」として掲載できるんじゃないかと考え
た。もっとも、NPDソーラーバズ社の調査報告(2014.10.13)によると、2018年までに、高い変換
効率シリコン系ソーラーパネルの急速な伸長が起きると予想(下図参照)していることだし、バイオ
マスも開発速度バランスから2030年から前倒する必要があるという動機もあった。



 

 

さて、東京ガスと東京大学は藻類からバイオマス燃料油を効率的に抽出する技術を確立。従来は藻類
をいったん乾燥させてから油分の炭化水素を取り出していた。これを低温の加熱処理に置き換えられ
ることを発見し、抽出に必要なエネルギー量を半減。さらに抽出残さを発酵させ、発生したメタンガ
スを燃料に熱電併給することでエネルギー効率を一層、高めることに成功したという。






新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)との共同研究として13年度まで4年間の研究で
実証した。光合成によって石油に近い炭化水素を生成する微細藻類「ボツリオコッカス・ブラウニー
」を培養液中で濃縮し、加熱処理後、水分を含んだまま溶媒で抽出したところ、最大で9割以上の炭
化水素を回収できた。「従来は圧力釜のような中で200~300℃くらいまで熱するのに対し、加
熱処理では90℃でも十分、油が取れる」(東大大学院の芋生憲司教授)ことを確認したという。単
位当たりの投入エネルギーは従来の8・1メガジュールから4・1メガジュールに半減。回収した炭
化水素の発熱量はいずれも14メガジュール台でほぼ同じ。また、抽出残さを微生物で発酵させる際
溶媒のヘキサンが残っていると微生物の働きを弱めてしまうため、ヘキサン濃度の上限を明確にした。
その上でメタン発酵の実証を行ったところ、エネルギー回収率で70%以上を達成。この結果、全体
のエネルギー収支で5・3以上、エネルギー回収率で0・7以上の当初目標を達成したという。

 

 

 

以上、駆け足で(いつものことながら)でこの成果と展望を俯瞰した。昨夜のマツダのディーゼルエ
ンジンの開発ではないが、木質バイオマスペレットのガス化プロセスにも応用できそうだし(ピッチ
生成の抑制)、多角的に技術改良を進めていけば、例えば、スマート発酵工学的な視点から進めてい
けば、前倒しも結構いけるんじゃないかと思えた。



● 天気予報で物流を変える初の試み



天気予報で物流を変える取組として「需要予測の精度向上による食品ロス削減及び省エネ物流プロジ
ェクト」を実施するという。日本気象協会が気象情報を核として高度な需要予測を行った上、食品メ
ーカー(製)、卸売事業者(配)、小売事業者(販)と需要予測の情報を共有し、食品ロスの削減と、
返品・返送、回収、廃棄、リサイクルなどで不要に発生している二酸化炭素の5%削減を目指す試み。
製・配・販を気象情報でつなぎ、協業してムダを削減する事業は国内で初めての試みだという。これ
は面白そうだ。

 


● 360度見渡すことができる個人用潜水艇

世界にはいろんなことを考えるひとが多くて楽しいね。
 

 

 

多剤耐性遺伝子とは

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● 多剤耐性細菌感染症ってなんだ 

ほとんどの抗生物質が効かなくなる「GES-5」と呼ばれるタイプの「多剤耐性遺伝子」が国内で
初めて大阪府内の病院の複数の患者から検出され、専門家は、早期発見のための検査態勢を早急に整
える必要があることを公表(NHK  2014.10.14)――それによると、大阪府立公衆衛生研究所がこ
とし1月に明らかになった府内の病院での院内感染の患者11人を詳しく調べた結果明らかになった。
患者はいずれも緑膿菌(りょくのうきん)と呼ばれる細菌に感染し、菌からは、ほとんどの抗生物質
が効かなくなる「GESー5」と呼ばれる多剤耐性遺伝子が国内で初めて検出。「GESー5」は、
院内感染の原因となるさまざまな細菌に入り込み、抗生物質に強い耐性を示す「多剤耐性菌」に変化
させる力がある遺伝子のことで、数年、ヨーロッパや南米で頻繁に院内感染のケースが報告され、ギ
リシャで同定――単離した化学物質が何であるかを決定――され、各国の専門機関が警戒を呼びかけ
ていたもの。



「GES(guiana extended spectrum の略)ー5」と同じようにほとんどの抗生物質が効かなくなる 多剤
耐性遺伝子は、国内ではこれまでに5種類が確認され、検査態勢が整えられているという。耐性菌に
詳しい名古屋大学の荒川宜親教授によれば「国内のほかの病院でもすでに広がっている可能性もある。
早期に院内感染に気づき対策を取れるよう各地の衛生研究所などで検査態勢を早急に整えるべきだ」
と指摘しているが、普通の「緑膿菌」は環境や人・動物などありとあらゆるところに生息しているが、
「多剤耐性緑膿菌」は日常的に抗菌薬を使用している病院などにのみ分布するといい、対策としては
病院内の感染対策と抗菌薬の適正な使用が主となる一方、日常生活においてはこの多剤耐性緑膿菌と
の接触がないために感染のリスクはほとんどなく、仮に通院等で病院に行きこの菌と接触したとして
も、自然に排除され問題とはならないという。このため、普通に生活していれば恐れる必要は全くな
いという。

 

ということは入院しなければ問題ないというレベルのものらしいが、不気味ながするのはこのわたし
だけというのだろうか。もう少し掘り下げて考えてみたいということで、ほぼ終日に渡り、ネット検
索に入りお陰で眼精疲労などがピークに達する――GESが、guiana extended spectrumの略で、ESB
Lが、Extended-spectrum β -lactamases の略で基質特異性拡張型βラクマターゼの意。βラクマターゼ
って言うのは、βラクタム系抗生物質っていうのを分解して無毒化するタンパク質で、よく知られて
いるのはペニシリン。 薬剤耐性菌は、このβ-ラクマターゼを合成し、抗生物質を無毒化するが、問
題のGESは、β-ラクマターゼが分解できる抗生物質の種類が増え、パワーアップした遺伝子とタン
パク質――超強力な(いろんな種類の菌を殺せる)カルパペネムという抗生物質を分解する能力を獲
得――抗生物質は効かなる。今回死者を出した緑膿菌はもともとペニシリンが効きにくい上にカルパ
ペネムも効かない。つまり、本人の免疫力頼みとなるが、対処方法はそれだけかとなると、どうも、
それだけではないらしい。

 

つまり、多剤耐性(multiple drug resistance)は、ある微生物が作用機序の異なる2種類以上の薬剤に
対する耐性を示し、多剤耐性の発生機序としてはかつては突然変異によってのみ起こると考えられて
いたが、現在では薬剤に対する耐性の遺伝子をもったプラスミドの伝達もその要因の一つであると考
えられるようになってきた(なお、作用機序が同一の薬剤による耐性は1種類の耐性とみなす。多剤
耐性を起こした菌に対しては、従来使用されていた薬剤が治療効果を失うため、医学上問題となる)。
したがって、多剤耐性菌の蔓延の要因の一つとして抗生物質の不用意な使用が問題になっている。こ
れは平均寿命と健康寿命との関係性に看られるようであり、あるいは、"偏重思考"(柔軟性を失い、
凝り固まった精神状態)に陥らぬような生活スタイルが求められている。 

因みに、現段階で耐性菌の種類は17種類――(1)メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)(2)バ
ンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)(3)バンコマイシン低度耐性黄色ブドウ球菌(VISA)(4)バ
ンコマイシン耐性腸球菌(VRE)(5)多剤耐性緑膿菌(MDRP)(6)多剤耐性結核菌(MDR-TB)(7)
ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)(8)ラクタマーゼ陰性アンピシリン耐性インフルエンザ菌(BLNAR)
(9)広範囲薬剤耐性結核菌(XDR-TB)(10)ペニシリナーゼ産生淋菌(PPNG)(11)薬剤耐性HIV
(12)アマンタジン耐性インフルエンザウイルス(13)タミフル耐性インフルエンザウイルス
(14)クロロキン耐性マラリア(15)多剤耐性アシネトバクター(MRAB)(16)ニューデリー・メタ
ロベータラクタマーゼ(NDM-1)(17)カルバペネマーゼ(OXA48型)産生能獲得、肺炎桿菌と大腸菌
がある(※この他に「交差耐性」という1種類だけでなく同時に別の種類耐性を獲得することがある
の要注意)。

【参考】

http://glycoforum.gr.jp/science/glycomicrobiology/GM05/GM05E.html
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3414013/
http://www.chemotherapy.or.jp/journal/jjc/06103/061030287.pdf
http://ac.els-cdn.com/S092485790800054X/1-s2.0-S092485790800054X-main.pdf?_tid=121935a4
-5457-11e4-861e-00000aab0f01&acdnat=1413369547_205e5deb9a989fb877dfb39ee13c048e

http://www.dspace.up.ac.za/bitstream/handle/2263/14075/Weldhagen_GES(2006).pdf?sequence=1
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● 不倒不屈の稲の開発

実りの秋は台風の季節。近年多発している大型台風に耐えられる作物の育成は重要な課題。最強のイ
ネで知られる倒れにくい品種「リーフスター」の遺伝変異を調べ、低リグニン性と茎が強い性質を併
せ持つ謎を、東京農工大学大学院農学研究院の大川泰一郎准教授らが解明した。倒伏しにくい強稈性
の作物の品種づくりに道を開く成果。名古屋大学、富山県農林水産総合技術センター、農業生物資源
研究所との共同研究で、英科学誌「Scientific Reports」オンライン版に公表(2004.10.09)。

それによると、地球温暖化で集中豪雨や大型台風が最近増え、風雨による倒伏被害が拡大している。
茎が強くて倒れにくいイネの品種改良が世界中で必要になってきた。大川准教授らは2008年、食味が
良いコシヒカリと旧中国農業試験場(広島県福山市)で育成された中国117号をかけあわせて、強風で
も倒れない新品種リーフスターを作った。この新品種は茎が強くて長いにもかかわらず、茎の強度を
高めるリグニンが少なかった。リグニンが少ないのに、なぜ茎が強いのか謎だったもの。

 

解析結果、リーフスターではリグニン合成酵素の遺伝子が変異していた。茎が太い中国117号よりもリ
グニン含有量がさらに低い理由がわかる。このリグニン合成酵素の変異は中国117号から引き継がれた
ものでなく、選抜する過程でコシヒカリの遺伝子に偶発的に生じた変異に由来。リーフスターの茎の
構造を蛍光顕微鏡や走査型電子顕微鏡で観察した。細胞壁を構成するセルロースとヘミセルロースの
密度が高く、茎の外周部に位置する皮層繊維組織が発達し、二次壁がよく肥厚していた。内側にある
柔組織細胞の一次壁も厚かった。このような形質が低リグニンでも茎の強度を高める原因となってい
た。この形質は中国117 号ではなく、茎が細く強度が弱くても皮層繊維組織がよく発達するコシヒカ
リから受け継がれたことも確かめたという。この成果は、フィリピンなどでもスーパー台風の被害が
増えており、猛烈な強風でも倒れないイネの品種がこれからは必要になっている。リーフスターが備
える特性は、茎を強くする方法を示している点で有利であり、リーフスターよりもさらに茎が太くて
強いイネ品種を作るころで、かのイネ科植物の育種の新しい指針にもなるという。

 

エボラ出血熱非常事態宣言。

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● "スイートホーム・トレーニング法"のプログラミング

「あさイチ」で4分運動でシェイプ・アップとかで放送されていたのをチラ見していたので、テンションが
上がらず、運動不足もあり、どのようなものかと実践を試みた。というのも中陰法要での親戚との世間話で、
ヨガやジムなどの健康維持が話題に上ったことが刺激になったことが関係している。さてその話題の「タバ
タ・プロトコル」とは20秒の運動と10秒の休憩を8回繰り返す(30×8=240秒)、つまり4分か
けて行う運動。1週間に3回(4×3=12分/週)行うだけで持久力や瞬発力アップ、さらにはダイエッ
トにつながるといいものらしい(実践したことなし)。その驚くべき効果と、運動が苦手な方でもできる手
軽な方法をが世界中で話題になっているという(これってノーベル賞もらえる。そんなことないってか?)。

田畑泉立命館大学スポーツ健康科学部長が新規考案したもが、海外で大人気!動画投稿サイトや新聞・雑誌
でさかんに取り上げられている――「Tabata Protocol」は、Universal Pictures International Entertainment社(英国
:ユニバーサル社)が目にとまる。この田畑教授の監修のもと開発したトレーニングプログラム「tabata™  4
minute fitness-scientifically proven」のDVDは、英国内で昨年12月の販売され、現在、販売枚数は1万3千枚
を超え、さらに160ヵ所のトレーニングジムが採用し、多くの受講者を集めている。「血圧の上昇や怪我の確
率が高くなる高強度運動が、一般の人に安全に実施してもらうには、信頼の置ける組織による適切な指導が
必要だと思っていた。そのタイミングで、世界的な知名度と信頼のあるユニバーサル社から連絡を受けたの
は幸いであった」と田畑教授がこう述べているほどだ。

このトレーニング法は、1990年当時、スピードスケートのナショナルチームでは、80年代に活躍したスピー
ドスケートの黒岩彰選手を輩出した入沢孝一氏が率いていたが、そこに田畑教授も体力コーチとして加わる。
運動生理学など最新のスポーツ科学をジュニアチームに教え、入沢氏が以前から実施していたインターバル
トレーニングも練習に取り入れたが、そのトレーニングがなぜが効果があるのか誰もわからなかったいう。
そこで田畑教授は、入沢式インターバルトレーニングの研究を開始、1996年に研究結果を発表した。高強度
の運動――20秒と休息10秒×8セットのインターバルトレーニングを週3回・6週間行うことにより、
持久力を示す「有酸素性エネルギー(最大酸素摂取量:VO2 max, maximal oxygen consumption)」が10%、
中距離の能力を示す「無酸素性のエネルギー(酸素借・無酸素性作業閾値:Anaerobics Threshold )」が30
%も改善することを証明する。




この論文を世に出すにあたり、多くの教科書に紹介されるであろうことは期待していたと(田畑教授)とい
うこの「Tabata Protocol」は、実際に欧米で使用されている教科書に引用される。田畑教授は、このトレーニ
ング法が疲労困憊に至る(実際にやってみると運動が終わった後10分位、立てないほどきつい)運動なの
で、モティベーションの高い競技選手しか実際に行わないと思っていが、最近では女性を含む多くの一般人
が「Tabata Protocol」を行なうように。想定外の展開であった。海外のフィットネス界では広く知れ渡ってい
る“Tabata”だが、その発信はほとんどが英語。言語の壁もあり、日本での認知度はまだまだ低いという。

この高強度インターバルトレーニング(High-intensity interval training,HIIT, HIT)というべき「タバタ・プロ
トコル」を我が家のルームランナーに適用させ"スイートホーム・トレーニング法”のプログラム化をこの法
要を契機に確立させたいと考えたが、完成したらまたブログ掲載する。 

 ● マグネット式靴紐

● 無侵襲生体計測工学

予防医療の観点から、家庭や職場で手軽に利用できる血液成分検査装置、あるいは無侵襲生体計測(しんし
ゅう、invasion)が高い関心を集めている。例えば、心筋梗塞や脳梗塞につながる糖尿病・動脈硬化・高脂血
症を予防するために摂取カロリー管理や健康管理の指標を目に見える化技術が求められているが、生活習慣
病への危機感から、脂肪吸収を抑える特定保健用食品など注目を集めている昨今、脂質摂取量への関心の高
さが分かる。しかし、食事で摂取した成分が体重や体脂肪の増減として反映されるまでには時間がかかり、
現在の体重計・体脂肪計だけではこのような日々の食事の質的管理は行えないため、微弱な生体透過光を効
率よく測定し、血中成分を分析できる分光装置の実現が求められていた。 



このため産業技術総合研究所の光センシング研究グループは、つい最近、微弱な生体透過光を効率よく測定
し、血中成分を分析できる分光装置の試作機を完成させた公表(上図参照)。この試作機は、近赤外光を高
感度で高速に分光分析することが可能で、持ち運びが容易なことが特徴。生体を透過した微弱な光の連続的
な変動をとらえることができるので、血中に含まれる脂質を、採血することなくリアルタイムでモニタリン
グすることができる。家庭や職場で日常のカロリー管理ができ、メタボリックシンドロームの予防などへの
貢献、さらに、さまざまな疾患と関連する物質の無侵襲モニタリングへの展開も期待されているという。

開発ポイントは、生体組織に入射した光はすぐに減衰してしまうため、光を用いて生体内部の情報を得るに
は、光を照射した表面近くで拡散反射される光を測定する手法が主流だが、より正確な生体内情報を得るに
は、生体を透過した光を用いるほうがよいが、従来の検出技術では、透過光が微弱なため長時間の測定(露
光)が必要で、測定中に体が動き信号がうまく取得できず、動的な変化に追従できないなどの問題があった。
照射する光源の強度を強くすれば、それだけ透過光も強くなるので、測定のSN比(信号対ノイズ比)は向上す
るが、安全性の点で、生体に照射できる光の強度には限界があった。

そこで、(1)広い面積から光を集めることで微弱な光でも高速で分光できるようにし(2)これらの問題
を解決し、従来の分光器の1千倍以上の高感度を実現し、(3)安全な光入射強度で生体からの透過光のリ
アルタイムの分光計測を可能にしたことにある。今回試作した装置では、(4)透過した光のスペクトルを
求める手法として、光源面積を制限することがないフーリエ分光法をベース技術として採用し。さらに、奥
行きのある生体に対しても透過光を効率よく装置に導入する工夫を加え、偏光特性を効果的に利用するとい
った工夫も行ったという(関連新規考案を上図に掲載)。 

ところで、特別養護老人ホームの看取り期間、母は血中酸素濃度計(パルスオキシメータ)で酸素濃度と脈
拍数をひとさし指にセンサを装着して測定したが、これは赤色発光ダイオード(LED)を使用し下図の構
成した装置などで測定――電池を含めて軽量でポケットに入れても邪魔になら ず、ネックストラップも付い
ているため携帯には非常に便利です。医療機関(病棟やリハ室)、福祉施設、教育機関などの施 設のほか、
訪問看護ステーション・リハステーションやスポーツクラブなどの現場、高齢者や長期のケアが必要な方に
は家庭 でも簡単に利用できる――していることを知ったが、 検出方法が定まれば、「デジタル革命基本則
」に従い、(1)ダウンサイジング、(2)デフレーション(3)イレイジング(=ワイヤレス)(4)エ
クスパンションなどが進行していくが、産総研の試作機は、フーリエ分光法をベース技術として採用してい
るために、ある程度(1)(2)は進むだろうが、(3)は基本的にかなわないだろう。
もっとも、血中の酸素濃度計以外の脈拍や、血中成分を分析を同時に測定できるので第6則の拡張も進展し
ていくだろうし、「タバタ・プロトコル」や「スイートホーム・トレーニング法」 などの複合管理測定シス
テム(下図参照)として"テレメトリー(遠隔測定)”も進んでいくだろうから、平均寿命と健康年齢の格差
是正に貢献し、さらには、医療費の軽減にも役立つだろうと考えられる。

 

●  進化する発光ダイオード(LED) 

ことしのノーベル物理学賞受賞した中村修二米カリフォルニア大サンタバーバラ教授が、「能力のある人が
きちんと評価される米国の素晴らしさを実感し、日本との落差を再認識した」と語ったことが印象的だった
が、「ダイオードの発光効率を50パーセントから、百パーセントにもっていきたい」と語っていたことも
印象的だった。発光ダイオードも太陽電池も『デジタル革命渦論』の基本6則に従うため、高効率化とコス
ト逓減が同時進行していく。前者は、回路基板を含め、注入された電流を百%発光させるためには、デバイ
スの輝度アップロスを近似"ゼロ"に持って行く必要があり、そのために抵抗を近似"ゼロ"にしなければなら
ないが、中村教授は実現の具体的なイメージを持っているのだろうと勝手に思い込んでいる。

ところで、米Texas Instruments(TI)社は2014年9月30日、高電圧LEDストリングの電流安定化回路を簡素化す
る450Vリニア・コントローラ「TPS92410」を発表。新製品は、マルチプライヤ回路や、調整可能な位相調光
検出回路のほか、アナログ調光入力や駆動回路の保護機能を内蔵しており、オフラインAC電源や通常のDC電
源で動作するダウンライト、各種照明機器、電灯などの設計を簡素化することができるという。「TPS92410」
は入力電圧範囲が9.5V~450Vと広く、高電圧LEDストリングのスタンドアロン型電流安定化回路として動
作する。また、TIの「TPS92411」フローティング・スイッチとの組み合わせにより、交流電源によるリニア
直接駆動アプリケーションへの給電にも使用できる。UVLO(電圧低下ロックアウト)、MOSFET過電圧保
護、過熱フォールドバック機能により、故障時のドライバとLEDの損傷を防止し、また、「TPS9241」と
の組み合わせにより、ドライバとLED回路の保護機能のほか、インダクタ・フリーで低電流リップルLED
照明ソリューションを提供する。EDシャットオフ機能付きのアナログ調光入力ピンも備え、「MSP430F5172」
超低消費電力マイコンや、SimpleLink ZigBee「CC2530」ワイヤレス・マイコンを使って、マイコン搭載のイ
ンテリジェント照明機器で光度の調整機能を簡単に実現できる。TPS92410はすでに供給中で、パッケージは
13ピンSOICで、千個受注時の単価は0.65米ドルとのこと。いまやLEDとSB(ソーラーバッテリ)の進化と
普及は常識だ。

 

 

● 3次元プリンタカー見参

Local Motorsという米スタートアップ企業が、この世界初の3Dプリンタで出力した電気自動車を制作し、IMTS
(International Manufacturing Technology Show)2014で展示した。パーツ数が49個だけで、完成までの工程はおよ
そ44時間が必要となり、最高時速は64.3キロにも達するとのこと。来年の発売を予定し、価格は1.8万ドルを
想定しているという。これから、どう変化するかわからないがこれも1つのオーダーメイド型生産(ポスト・
モダン)方式となるから面白しろい。

 

● エボラ出血熱非常事態宣言

エボラ「あと60日が勝負。負ければ人類が敗北」 国連が悲壮な訴えを行った。国連のエボラ出血熱対策
(ここでは以降略して「エボラ熱」と呼称する)チーフ、アンソニー・バンバリー氏が14日、NYであっ
た国連安全保障理事会に西アフリカからテレビ中継で参加し、「エボラ出血熱を今止められなかったら、世
界は完全に未曽有の事態になる」と警告。また、エボラとの闘いをレースに例え、「(エボラは)我々より先
を行き優勢だ」とし、12月までの60日間が闘いになると語ったと言う。この60日間は感染者の70%
を療養施設に収容し、死亡者の70%を2次感染なく埋葬しなければ、感染拡大は止まらないとのことだ。
このため西アフリカなどの現場では複雑なオペレーション(対策)が必要とされており、「そのうち一つに
でも失敗すれば、我々は敗北する」と強調している。これは浮かれている場合ではない!・・・・(今夜は
阪神タイガースの優勝だから、これは大いに盛り上げたい) ^^;。

 

秋晴れに百舌鳥の高鳴き

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【水ヶ浜と城フェス】

昨日と今日は好天気に恵まれ、近江八幡の水ヶ浜と彦根の城フェスを訪れ二人で楽しんだ。城フェスは、
地域の魅力を体現するキャラクター全国各地から集う「ご当地キャラ博in彦根」が開催され、今回の7
回目は42都道府県から242体が集結。多くの人でにぎわっていた。彦根市のひこにゃんなどが開会を
宣言した後、中心街にはさまざまな工夫を凝らしたご当地キャラ(ローカル・キャラクター・コスチュー
ム)が登場。記念撮影を求める人たちでごった返していた。

 

  



 

 

 

● 成長を続ける太陽光発電市場 2兆5千億円規模

経済産業省が今年8月に開催した新エネルギー小委員会で太陽光発電協会(JPEA)が発表した集計結果に
よると、2011年度の時点で約6700億円だった太陽光発電システムの国内市場は大幅に拡大し、2013年度に
は約2兆5000億円に達したことが分かったという(EconomicNews 2014.10.18)。2兆5000億円という市場規
模は国内の白物家電市場に匹敵するもので、太陽光パネルの設置はもちろん、パワーコンディショナーや
受変電設備などの設備に加え、住宅関連、工事や設計などの関連事業を含む市場は、2020年に予定されて
いる「省エネ基準適合住宅の義務化」に向けて、今後も成長すると見込まれている。

また、同調査によると太陽光パネルの販売出荷額での海外流出率は一割以下の9.3%に留まっており 2兆
円以上が国内で還流したことになっている。また、関連事業に従事した人員も含めると約21万人の雇用を
生み出しており、節電面だけでなく、我が国にとって大きな経済効果をもたらしていることが分かる。と
くに、住宅関連では固定買取制度や消費税の増税による駆け込み需要などもあいまって、個人住宅向けの
伸び率が大きかったと評価している。

また、同調査によると、(1)住宅メーカーなどの企業も太陽光発電は今、最も力を注いでいる商品の一
つだ。しかしながら、ただ単にソーラーパネル搭載の住宅というだけではなく、各社それぞれにコンセプ
トやターゲットの異なる商品の展開を行っているので、住宅購入や導入を考える際には、自分の要望や家
庭のライフスタイルに合ったものを選択したいものだ。(2)例えば、木造住宅の大手メーカーである住
友林業では、「グリーンスマート」という太陽光発電システムを標準搭載した商品を展開しているが、木
材のもつ素材性能を活かした工夫の数々で、冷暖房機器に頼りすぎない生活を提案している。ソーラーシ
ステムの発電効率は同じでも、使う量が減ればそれだけ節電になるし、売電収入も増えるというわけだ。
家電量販店大手のヤマダ電機の連結子会社であるヤマダ・エスバイエルホームも、業界で一、二を争うほ
ど太陽光発電に力を注いでいるメーカーの一つだ。家電量販店傘下の強みを活かし、消費者ニーズに沿っ
たエコを提案し、話題のHEMSなども積極的に取り入れている。(3)また、全国の工務店ネットワーク・
ジャーブネットを主宰するアキュラホームも、太陽光発電設備の導入について、面白い試みを続けている。
10kW以上の太陽光発電を標準搭載した「太陽を活かす家-秋」では、同社の試算によると「全量買取制度
(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)」を活用することで、なんと当初20年間の住宅ローン支払い
負担額が実質0円になるという。また、搭載量が10kWに満たない顧客に対しては、顧客同士の電力をまとめ
て電力会社に売電するシステム「屋根貸し共同事業プラン」を構築し、屋根面積の少ない狭小地や3階建
ての住まいでも、全量買取制度の恩恵が得られるプランを提案している。(4)いずれにしても、太陽光
発電搭載住宅選びのポイントは、長期のライフプランにある。目先の買い取り価格だけではなく、長期に
渡って住まうことを想定して、長く快適に暮せる住宅を選びたいものだ。と結んでいる。




● 成長を妨げる理由と成長を推進する理由

この記事を忖度すると、消費者が賢く、省エネ・環境調和した生活を選択せよと主張しているようである
が、現状全量固定価格買取制度の設定値に拘わらず、風力・地熱・バイオマス・天然ガス(未由来確定)
を複合的に配慮した選択――太陽光発電に偏重せず――をとって欲しいと主張しているようである。ある
いは、経団連の榊原定征会長が8日、原発の再稼働について、「安全が確認された原発は、速やかに再稼
働すべきだ。国民全体の願いでもある」と述べた―東日本大震災の被災地で、東北電力女川原発(宮城県)
の防潮堤工事などを視察した後、報道陣に語った(朝日新聞 2014.10.08)――という既得権益勢力からの
圧力を配慮しているかのような主張にも看うけられる。

確かに、買取価格の設定額の見直しは必要ではあるが「原発再稼働先にありき」の議論には、丁寧な説明
を要することは当然で、それすらないできないのでは論外であろう。言い換えれば、この<環境リスク本
位制時代>にあって、再生可能なエネルギーで最もプライオリティー(優先度)の高いもが、太陽光発電
システムであると判断するなら、むしろ逆に、例えば、原発廃炉に要する費用相当分を前倒しに先行投資
し、人為的地球温暖化による大規模気象変動リスク対策のバーゲン・パワー(切り札)とすべきであろう
――例えば、5ヵ年の投資金額を1千億円とし(1)変換効率を15%→25%、(2)電力蓄電システ
ムの全国敷設を目標とすれば、5年×2千人=1万人の関連雇用創出(一次雇用)と研究開発費(2次雇
用を含む)が可能であり、全量固定価格買取設定費=C×15/25=3/5・C(円/キロワットアワ
ー※)に価格逓減できるはずで、高すぎるかどうか(最適価格算出)はそういった議論を経ずしてなされ
ているならそれは余りにも稚拙であると言わざるをえないであろう。

※例えば、C:40円/Kwhとすると24円/Kwhとなる。  
 

● 重量計付スーツケース

重量計を内蔵したスーツケース。荷物の重さが一目でわかるようになり、空港で超過料金を払うことを防
ぐことができる。2種類のサイズから選べるという。


 



キャッスル・ロードはゆるキャラと親子連れでごった返していたが、現実世界と仮想空想世界をいとも
簡単に行き来できる子とも達のパワー、純粋無垢なエネルギーに圧倒される。なぜか、ご当地キャラに
スター・ウォーズのダース・ベイダーやストームトルーパーも紛れていたのに驚き、デジカメしていた。

 

界面*粒界工学

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【オールソーラーシステム完結論 24】 

● 電荷の輸送障壁の解明ツール

 

産総研の研究グループによると、通常、有機薄膜太陽電池は、電荷の受け渡しを行う2種類の分子
(ドナー分子とアクセプター分子)が複雑に混ざり合い(下図1(b)、(c))、発電層内部に自己組
織化したナノ構造を形成して高い変換効率が実現する。しかし、発電層内のナノ構造と電荷の輸送
との関係はほとんど解明されておらず、変換効率を向上させるための指針を得ることが難しい状況
だったが、有機薄膜太陽電池の変換効率の向上に関する研究開発を積極的に進めている(2014年4月
17日/2014年5月8日の2回に渡りプレス発表)。今回、発電層内部の電荷輸送を簡便に定量評価す
る手法を開発(次下の新規考案説明図参照)し、ナノ構造と電荷輸送との関係を明らかにした上で、
変換効率の向上を目指す研究を進めてきている。


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● 新規考案概要

一般に、太陽電池の発電性能は、電池製造後に屋内の大気環境下で評価される。測定対象の電池に
擬似太陽光を照射し、標準条件(電池温度:25℃、分光分布:基準太陽光、放射強度:100mW/cm2)
の下で電流-電圧特性が測定される。発電効率は、照射光強度に対する電流-電圧積の最大値を百
分率で表した数値として定義され、発電性能の指標として広く用いられている。従来、この発電性
能は、電池製造後に評価され、製造工程の途中において予測する方法は無かった。

太陽電池にはいくつかの種類があり、そのうちの一つの種類として太陽光を光電変換して光起電力
として取り出す構成の薄膜太陽電池(例えば、薄膜シリコン太陽電池、化合物薄膜太陽電池、有機
薄膜太陽電池等)が知られている。この薄膜太陽電池は、省資源・低コスト化が可能であり、次世
代の太陽電池として期待されている。薄膜太陽電池は、基板洗浄、電極形成、発電層形成、スクラ
イビング等の工程を経て製造されるが、とりわけ、発電層の形成は、発電性能を決定する最も重要
な工程である。通常、発電層は、不純物抑制の観点から、減圧下でのプロセス技術(プラズマ化学
気相堆積法、スパッタ法、蒸着法、熱化学気相堆積法、分子線エピタキシー法)を用いて製造され
る。 

従来、薄膜太陽電池の発電層の製造条件(プロセス条件)を最適化し発電性能を向上させる場合、
プロセス条件を変更し、その都度、電池を作製し発電性能を評価していた。発電性能の評価には、
上述の通り、多くの工程を経て太陽電池を作製する必要があり、本工程のプロセス条件の最適化に
は、多くの時間と労力を要する課題を抱えていた。また、発電層は減圧下で製造されるのに対し、
発電性能は大気環境下で評価される。そのため、発電層の製造工程において、減圧下にて発電性能
を予測する手法の開発が望まれていた。


(1)この太陽電池の製造工程における発電性能の予測方法は、基板側から透明電極、発電層及び
裏面電極の順で、また、基板側から裏面電極、発電層及び透明電極の順で積層された構造の太陽電
池の製造工程の発電性能の予測方法で、複数の透明電極また、裏面電極に対し発電層が積層された
工程段階の基板に対し、波長領域の異なる第1と第2のポンプ光を同時に、または交互に照射する
照射ステップと、発電層の形成時もしくは発電層の形成後に、複数の透明電極また、裏面電極のう
ち隣接する2つの透明電極または、裏面電極に対し、照射ステップにより第1のポンプ光を照射し
たときの2つの透明電極間と裏面電極間の第1の電流と、第2のポンプ光を照射したときの2つの
透明電極間と裏面電極間の第2の電流とをそれぞれ測定する電流測定ステップと、電流測定ステッ
プにより測定された第1及び第2の電流の電流比を算出する電流比算出ステップと、電流比算出ス
テップで算出された電流比に基づき、製造後の太陽電池の曲線因子及び発電効率を予測するステッ
プとを含む特徴をもつ。

(2)上の目的達成のため、太陽電池の製造工程の異常検知方法は、基板側から透明電極、発電層
及び裏面電極の順で、または基板側から裏面電極、発電層及び透明電極の順で積層された構造の太
陽電池の製造工程における異常検知方法で、複数の透明電極と裏面電極に対し、発電層が積層され
た工程段階の基板に対し、波長領域の異なる第1及び第2のポンプ光を同時に、交互に照射する照
射ステップと、発電層の形成時、または発電層の形成後、複数の透明電極と裏面電極のうち隣接す
る2つの透明電極と裏面電極に対し、照射ステップにより第1のポンプ光を照射したときの2つの
透明電極間と、裏面電極間の第1の電流と、第2のポンプ光を照射したときの2つの透明電極間と、
裏面電極間の第2の電流とをそれぞれ測定する電流測定ステップと、電流測定ステップにより測定
された第1及び第2の電流の電流比を算出する電流比算出ステップと、電流比算出ステップにより
算出された電流比が所定値以下であるか否かを判定し、電流比が所定値以下のときプロセス異常と
判定する判定ステップとを含む特徴ともつ。
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このように、有機薄膜太陽電池は、安価、フレキシブルで、意匠性に優れる次世代太陽電池として
近年注目を集めており、変換効率と耐久性の向上に向けた研究開発が世界各地で進められているが、
開発した電荷の輸送特性を評価する手法では、試料に2種類のレーザー光(ポンプ光およびプローブ
光)を照射し、それぞれの光によって励起される光電流を測定する(図2)。ポンプ光は光励起キ
ャリア(正負の電荷)を生成するための光で、その光子のエネルギーは半導体のバンドギャップよ
りも大きい。そのため、ポンプ光によって励起される光電流を測定することで電荷の流れやすさが
評価できる。一方、プローブ光は輸送障壁によって捕捉された電荷(トラップ電荷)を輸送レベル
にまで引き上げて取り出すための光で、その光子のエネルギーは、半導体のバンドギャップより小
さく、輸送障壁の高さより大きくする必要がある。そのため、プローブ光によって励起されるトラ
ップ電流はトラップ電荷の量を反映する。また、これらの電流比から、トラップ電荷の定量値(ト
ラップ電荷密度)が得られ、この値は太陽電池の変換効率を決める重要な指標になるというもの。

 

この評方法を用いて、これらのナノ構造の異なる試料について、電荷の輸送特性を調べ太陽電池特
性と比較したところ(図4)、ポンプ光励起の光電流はドナー分子の割合が20%で最大となり(
図4(a))、トラップ電荷密度はドナー分子の割合が50%で最小になった(上図4(a))。太陽電
池特性はドナー分子の割合に対し強く依存し、変換効率はドナー分子の割合50%で最大となった
(図4(b))。変換効率とトラップ電荷密度を比較すると(図4(a)、(b))、曲線の形が反転し、
ちょうど相反関係となり、トラップ電荷を低減すると高い変換効率が得られることが示唆されてい
る。 

従って、トラップ電荷密度がドナー分子の割合に対し、U字型の依存性を持つことから(図4(a))、
ドナー分子とアクセプター分子の界面が電荷の輸送障壁となると考えられる。また、アクセプター
分子が過剰になると正電荷の移動が妨げられ(図1(b))、逆に、ドナー分子が過剰になると負電荷
の移動が妨げられるためと考えられる(図1(c))。ドナー分子とアクセプター分子が60%ずつの
場合には、両者の界面、すなわち輸送障壁が最も少なくなるためトラップ電子密度が最小になる。
また、トラップ電荷密度がナノ結晶からなるC60単成分薄膜で最大になったのは、結晶の粒界が輸送
障壁として働くためと考えられる(図1(a))――電荷の輸送障壁が界面と粒界であることを突き止
めたという。また1つ、これで実用化のための有力なツールが開発されたことになる。これは面白
い。  

● デクサマニー降臨 Ⅱ

「大型のリチウムイオン蓄電池を設置した事業用太陽光発電所としては国内初の事例だと考えている」
(エジソンパワー)。同社が蓄電池を納入するのは、御船ホールディングスが鹿児島県天城町(徳之
島)に立ち上げる出力1.99MWの大規模太陽光発電所「御船徳之島太陽光発電所」(下図参照)。2014
年8月に着工し、2017年3月に運転を開始する予定というもの(スマートジャパン 2014.08.14)。
この記事の見出しは、「サムスンと組んで国内を制覇か、太陽光発電所+大容量蓄電池」とかなりき
な臭いものとなっているが、各地で大規模太陽光発電所の設置件数が増えていく中、系統に太陽光発
電所を接続する余裕がなくなってきた。連系線の容量が不足している場合は、設備投資によって接続
が可能になる/「九州電力に売電する場合は、出力変動を抑えるための蓄電池を導入すれば、電力会
社が要求する電力の品質を満たすことができ、全量買い取ってもらえる。接続拒否は起こらないこと
が分かった」(同社)――と極めてクールな解説となっている。

 

多くの大規模太陽光発電所の初期コストは、1MW当たりおよそ3億円だ。1日当たり4kWh/m2という日
照条件であれば、変換効率15%の多結晶シリコン太陽電池モジュールを利用すると、年間3500万円程
度の売電収入が得られる。従って、初期コストが1億円増えると、投資回収期間がおよそ3年延びる
という。「当社は徳之島で出力2メガワットMWの太陽光発電所と容量1MWhの大容量リチウムイオン蓄
電池を組み合わせて7億円規模で構築する。実は7億円規模で抑えないと顧客の期待するIRR(内部利
益率)を出すことができない」(エジソンパワー)とした上で、「低価格」に抑えることができた理
由として、同社は2つの理由を挙げている。

※ 一般的なメガソーラーの初期コストから計算すると、1kWh当たり10万円で大容量リチウムイオン
  蓄電池を導入できるとの計算。

1つめは、徳之島の事例では同社が設計・調達・建設(EPC)事業者として取り組むこと。導入期間
全体にわたってコストを管理しやすい。

2つめは、韓国サムスンSDI(Samsung SDI)と合意書を取り交わすことで、長期間(20年)安心し
て運転管理メンテできる。

つまりは、蓄電池は設置してからが勝負。蓄電池を監視し、メンテナンスを施していくためには、特
に温度管理や過充電・過放電の監視が重要となり、不具合が生じた場合は、セル単位の交換はもちろ
ん、複数のセルをまとめたラック単位の交換を施すことで性能を維持する必要がある。このため電池
の供給元の協力がなければ継続が難しい事業だという理由による。

そして、なによりもエジソンパワーがEPCと合意書という強みを今後も生かし、徳之島の事例のよう
に、大容量リチウムイオン蓄電池と組み合わせた大規模太陽光発電所を今後5年間に全国で20カ所建
設する計画していいるが、このような規模の計画を国内で打ち出した企業はこれまでにないと結んで
いる。

 

● エボラ熱に抗インフルエンザ薬「アビガン」が有効?

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汚染バイオマス利用工学

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【オールバイオマスシステム完結論 Ⅱ】

 ● タールフリーと放射性物質の回収

 『木質バイオマスの資源化』(2014.08.31)のお復習いをすると、下図の「特開2014-085329 放射性セ
シウムおよびストロンチウムの捕集材および捕集方法
」――この新規提案は、放射性物質に汚染したバイ
オマスや木材瓦礫、農業廃棄物を改質反応、ガス化反応と焼却する炉内に充填した捕集材にガス化および
改質ガス、燃焼ガスの還元性ガス雰囲気下でセシウムとストロンチウムを高効率で濃縮捕集し、さらにガ
ス化炉や焼却内に残存する炭化物や焼成灰などから捕集材を遠心分離サイクロンあるいは磁性分離操作で
選択的に分離回収して、必要に応じて回収された捕集材を循環利用して最終的に濃縮捕集材を分離の上、
安全に貯蔵および保管することが出来、さらに。汚染された森林廃材や農産物より放射性セシウムおよび
ストロンチウムを高密度に濃縮分離回収すると同時に、ガス化炉や改質反応炉で製造されるバイオマスガ
スを利用して電力・熱およびアルコール合成燃料など、エネルギーやバイオ燃料を地域社会・産業に提供
することができるもの、チタン、ジルコニウム、タンタル、モリブデン、タングステン、ニッケル、コバ
ルト,鉄、およびランタン、イットリウム、ネオジム、セリウムなどの希土類金属の複合金属酸化物、お
よびそれらの金属塩をシリカ、アルミナ、炭素担体に担持する放射性セシウムおよびストロンチウムを捕
集する捕集材とセシウムおよびストロンチウムを捕集する(図1参照)――として、この新規考案の実施
例を記載紹介している。 


ところで、従来、木本類、草本類などの固体系バイオマスのエネルギー変換は直接燃焼による熱利用が主
で、この場合、高度なエネルギー利用は困難である。例えば発電の場合、木質チップ・ボイラで水蒸気を
発生させ、水蒸気タービンによる発電方式が一般的となるが、1千~3千kW規模で、8~12%の発電
効率に止まっているのが実情である。百kW規模の小規模では電力出力を実質的には得ることができない。
現在、小規模から大規模まで、バイオマスのエネルギー高効率利用のためガス化技術が検討されているが、
空気または酸素の理論量以下でバイオマスを半燃焼させる部分酸化法が主流である。部分酸化法では、煤・
タールの発生が多く、また発熱のため使われた相当量のCO2(空気を用いた場合には更に多量の窒素)
が生成ガス(合成ガス)中に混入するため、高品質の合成ガスを得ることは困難であった。

バイオマスの高度エネルギー利用のためには、自動車燃料としての使用や燃料輸送などの観点から、液体
燃料への転換が一つの好ましい形態であるが、現状では、バイオマスからの液体燃料製法は、糖質、でん
ぷん等を原料とした発酵によるエタノール燃料、あるいは植物油をメタノールによってエステル交換した
BDF(登録商標)(バイオディーゼル油燃料)など、主として食料を原料とし、耕作面積当りの収量が
低い植物を利用する手法のみでの実用化にとどまり、食料以外の草本類・木本類のバイオマスを原料とし
て、熱化学的手法で、高品質の化学合成原料となる合成ガスに転換し得るガス化方法はまだ実用化に至っ
ていない。

すなわち、(1)固形物除去装置及びタール除去装置で捕集されるスラッジ状の未ガス化炭素粒子及びタ
ールが、プラント全体の熱効率を低下させること、(2)この捕集されたスラッジ状の未ガス化炭素粒子
は、含水分量も多く難燃性であり、タールもまた粘性が高く、容易には燃焼せず、処理が容易でないこと、
(3)燃料である有機物の種類によっては、その含有灰の融点が低く、燃焼炉の火格子上でクリンカー(
高熱によって半融解状態に固まった鉱物性物質)が発生することがあり、これは火格子の閉塞につながり
長時間運転の支障となる。

これに対し、下記の新規考案は、火格子上で有機物燃料を燃焼させたときにクリンカーなどにより生じる
火格子の閉塞を解消し、高温燃焼ガス発生装置の長時間の安定運転を可能にする方法――火格子12上で
有機物燃料Tを燃焼させることで発生させた燃焼ガスHにより、バイオマスなどの有機原料202を加熱
しガス化する生成ガスの製造方法、または製造装置において、大きさを変化させることが可能な間隙34
が形成された火格子12を使用し、この間隙34の大きさを必要頻度で変化させることで、クリンカー等
による火格子12の閉塞を解消するとともに、補助燃焼室18を設け、発生したスラッジ、タール等を燃
焼させ、熱回収を可能にした構造考案が提案されている。


 

 また、明和工業株式会社(下図参照)の「特開2014-190882 放射性セシウムが付着したバイオマスの処
理方法
」――(1)放射性セシウムが付着したバイオマス原料を粉砕する粉砕工程と、(2)粉砕したバ
イオマス原料を無酸素雰囲気下で、かつ、放射性セシウムが気化しない温度で急速熱分解することで(3)
バイオオイルの原料を含む液体、Si-O-Cs系物質を含む固体及び気体の三相に分ける急速熱分解工程と、
(4)液体を回収するバイオオイル回収工程と、(5)固体を回収する放射性セシウム回収工程とを少な
くとも含み、必要に応じて、粉砕工程と、急速熱分解工程でシリカを添加するシリカ添加工程も含むシス
テムにより、放射性セシウムが付着したバイオマスからバイオオイルを回収すると共に、放射性セシウム
を減容化且つ化学的に安定化した状態で確実に除去できる除染処理方法――が提案されている。 



この提案の特徴――放射性セシウムが付着したバイオマスの処理方法は、(1)急速熱分解法を用いるこ
とでバイオマスから高い収率でバイオオイルを回収できる。(2)また、放射性セシウムが気化しない温
度(400℃~600℃)で加熱するため、当該放射性セシウムがバイオマスに含まれるシリカ及び必要
に応じて別途添加するシリカと固相反応を起こし、Si-O-Cs系物質に変化すため、このSi-O-Cs系物質を含
有するチャー(固体)を回収することで、放射性セシウムを化学的に安定化した状態で確実に回収するこ
とができ、(3)また、回収したチャーはセメント等の周知の固化手段により固化体とすることで、粉砕
処理する前の状態のバイオマスと比較して大幅に減容化できる。(4)また、気体はバイオガスとして急
速熱分解工程の熱源の一部として再利用することができるという。

尚、実施例ではCs(セシウム)の代替物としてナトリウム(Na)を使用し、CsとNaは共に一価のアルカリ
金属であるため、CsはNaと比較して反応性が高いことから、Naを用いた実施例の結果と同様の結果をCsを
用いた場合にも得られることを前提として検証している(※この手法の正当性については別途議論がいる
と考える)。


● 生物学的処理回収技術

東日本大震災によって発生した福島第一原子力発電所の事故は、高濃度の放射能汚染水や広範囲に亘って
汚染した土壌、草木、瓦礫等が大量に発生して復旧作業の障壁となっている。特に放射能汚染に含まれる
放射性セシウム137の半減期は30.1年、放射性ストロンチウム90の半減期は28.8年もあり、
長期に亘って放射線を出し続けることになる。放出された放射性セシウムは、土壌では農地、住宅地、学
校のグラウンド、下水道の汚泥、瓦礫等に付着し、廃水では、プール、浄水場、河川、ダム等に溶け込み、
川や海へ流入して汚染が広がることになる。また、放射性セシウムは食物連鎖によって魚や動物等に蓄積
され、これらを人間が体内に取り込むことによって肝臓癌、腎臓癌、膀胱癌等の健康被害を生じさせるこ
とが分かっているため、そのような被曝や汚染の拡散を防止するために放射性セシウムの早期除染が必要
になってくるが、一般的に、放射性セシウムを除染分離させるには、ゼオライト除去技術、磁気分離除去
技術、活性炭除去、イオン交換樹脂、RO膜による除去技術、植物による取り込み等の各種除去技術が開
発され、かつ試行および一部は実用化されつつある。また、原子力発電所施設から発生する除染処理物や
事故等によって放射能汚染された土壌、草木、瓦礫等の除染処理物をアルカリ除染剤を用いるアルカリ除
染工程と、有機酸および無機酸を組み合わせた酸除染剤を用いる酸除染工程とを組み合わせた除染法も提
案されている。

しかし、従来のゼオライト除去技術、磁気分離除去技術、活性炭除去、イオン交換樹脂、RO膜による除
去技術、植物による取り込み等の各種除去技術構成では、処理の内容が限定的であったり、除去率が低い
等の課題をもち、除染処理物をアルカリ除染剤を用いるアルカリ除染工程と、有機酸および無機酸を組み
合わせた酸除染剤を用いる酸除染工程とを組み合わせて除染処理方法では、多種類の除染剤が必要があり、
かつ、除染洗浄後の廃液処理が必要で、最後は原子力発電プラント内の――既設放射性廃棄物処理設備に
て処理しなければならない。さらに、農地、住宅地、瓦礫等、市街地の悪臭、塩害を中性化したりする混
合菌体よる中性化・防虫剤方法は、利用技術の拡大と効能の確立など課題をもつていた。

それらを踏まえ、下図の新規考案では、放射能汚染された除染処理物2を収容し、かつ酸性洗浄水3が収
容される洗浄槽1と、この洗浄槽1の内部に配設された撹拌器4と、二次洗浄槽9と、内部に加温ヒータ
7が配設されて微生物菌体を混入した汚染洗浄水を収容加温する汚染水処理槽6とを設け、洗浄槽1で一
次洗浄を行った後、酸性洗浄水3で濯ぎ洗いを少なくとも1回行う二次洗浄とを行い、各洗浄工程で排出
された洗浄溶液に微生物菌体を混入し、加温しながら汚染洗浄水を処理するように構成することで、放射
性物質類によって汚染された、構築物、土壌、廃水、草木、瓦礫等を浄化する放射能汚染処理物の除染方
法およびその方法を用いた除染装置が提案されている。

以上、この提案によると、土壌、廃水、草木、瓦礫等の除染処理物全般を除染対象に、コンクリートや瓦
礫等には放射性物質類が深く付着していることもあるため、アルカリ性である中性洗剤のエマルゲンを併
せて使用すれば比較的容易に除染することができて効果的であり、骨材としての再利用が可能となり、温
泉水に硫黄が含有されている場合は、排水放流前に一般公知の技術によって脱硫処理をすることが必要と
なる。また、必要に応じて汚染水処理槽での無害化処理が終了した後、遠心分離機を使用して真水と粘調
の菌体(ゲル状固体物)とに分離し、放射能濃度によってこの少量の粘調の菌体は放射能遮蔽された貯蔵
庫に長期に亘って指定廃棄物保管容器で保管するようにすれば完璧に安全管理が行える。したがって放射
能汚染された除染処理物が除染されると共に汚染された洗浄溶液も中性無害化され、河川等への放流が自
由に行えることになる。遠心分離機により無害化された処理水は、環境省の定めた基準値以下になり河川
に放流できるという。

以上、ここでは「汚染バイオマス利用工学」として実施例を調査し考察し、放射性物質による汚染された
木質バイオマスのエネルギー変換技術の実用性を多角的に考察してみた。

 

 ● HF120販売開始へ

 

 

 

 

ニッケルリチウム電池正極工学

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● 標高二千メートルの甚之助谷地すべり対策

今夜は『山岳信仰と教会堂』(2010.10.08)で掲載した一首のバック・グラウンドの話。
石川と岐阜の県境にそびえる白山。その標高2千メートルの辺境で、人と自然の闘いを象徴す
る工事が進んでいる。日本最大級の土塊量を誇る甚之助谷の地すべりを抑制――甚之助谷地す
べりは、標高1,200~2,600メートルに位置する高山地での大規模地すべり。現在でも毎年、特
に融雪期に最も早いブロックでは10~15センチメートル/年の大きな移動を観測。土塊総量は
3,800万立方メートル超と想定され、流動化した場合には、下流域へ甚大な被害を及ぼす恐れ
があり。地すべり地区で、地下水を取り除き、地すべり土塊の急激な移動する地すべりの挙動
を監視するために、国土交通省北陸地方整備局が2008年度から実施する排水工事(飛島建設が
施工)。甚之助谷の地すべり防止区域の標高は1200~2600メートルと高い。高山地の地すべり
は全国でも珍しい。現在、排水トンネル工事は主に甚之助谷の左岸ブロックの安定を図るため
のもの。同ブロックの地すべりを助長するのは、隣の万才谷(まんざいだに)から岩盤を通し
浸透する流水だというメカニズムが分かってきた。そこで、万才谷の上流部から、甚之助谷の
反対側に位置する赤谷へ水を流すために、387メートルの排水トンネルを掘っている。  

従って、この工事は過酷だとこの記事は掲載している。 この現場に工事用道路は存在しない。ア
クセス手段は自らの足を使った登山のみ。付近の市街地から現場へ向かおうものならば、工事
関係者専用の登山口まで車で約40分。それから登山で約2時間掛かる。どれほどの場所にあるの
か分かるだろう。毎日、麓から通うのはほぼ不可能だ。そのため工事関係者は標高二千メート
ルの現場最前線に構えた南竜事務所に泊まり込みで工事に携わっているが、現場はそこにはな
く、事務所から排水トンネルの飲み口と吐き口の現場へは、さらに30分以上の登山による「通
勤」のみ(ケンプラッツ「白山・甚之助谷地すべり対策(前編) 」 2014.10.17)。  

 

 
【オールソーラーシステム完結論 25】 

● 集約するリチウムイオン電池部材市場 

三井造船がリチウムイオンバッテリー(LIB)部材から撤退を決めたことで、LIB市場を
めぐり企業の優勝劣敗が鮮明になってきた。既に三菱ケミカルホールディングス(HD)が正
極材料の製造を停止。一方、住友金属鉱山は正極材の能力増強を予定する。大口受注を獲得す
る一部を除き、収益確保に苦しむ企業は少なくない。正極材の製造から撤退を決めた三菱ケミ
カルHDは、EVの需要拡大が遅れたことから既に2012年末に新規投資を凍結していた。
同じくLIBの主要部材であるセパレーターでは車載用に加えてスマートフォンなどの民生分
野を取り込むため、中国に販売拠点を設置するなど戦略を一新した。宇部興産や戸田工業とい
ったLIB材料大手もEV普及の遅れもあって収益悪化に苦しんでいるという。(2014.10.23
日刊工業新聞)

それによると、一方で住友金属鉱山は正極材のニッケル酸リチウムの増産などに総額2百億円
を投じる。主な供給先はパナソニックで、米EVメーカーのテスラモーターズといった大口需
要家をにらむ。負極材最大手の日立化成は日産自動車のEV「リーフ」の販売復調により、一
時期の需要低迷から盛り返しつつあるなど、各社で明暗が分かれている。 当初から日本企業
は価格競争の激しい民生用途よりも、耐久性や安全面などで差別化しやすい車載用途を開拓し
てきた。ただHVは1台当たりのLIB搭載量が少なく、市場規模は限られ、しかも「価格要
求は厳しい」(森田美智男JNC社長)と明かす。




● 非水系二次電池のニッケルリチウム電池正極工学

デジタル革命を担う携帯電子機器の発展にともない、それに用いられる二次電池の高出力長寿
命等の高機能化が望まれ、そのため二次電池用の正極活物質に関しても粉体特性の解明とその
製造技術の向上が求められている。例えば、ハイブリッド自動車用二次電池に代表される大型
二次電池の主力製品としては、安全性と出力のバランスの良いニッケル水素二次電池が使用さ
れているが、そのほかに、小型軽量であるリチウムイオン二次電池がニッケル水素二次電池を
代替品として注目されていた。その実用化のため、まず、リチウムイオン二次電池に用いる正
極活物質の高出力化が課題として挙げられ、その解決が求められた。この課題に関しては、こ
こ数年の材料開発によりおおよその目処がたち、非水系二次電池であるリチウムイオン二次電
池を搭載したハイブリッド自動車が市場で販売されている。しかしながら、このようなリチウ
ムイオン二次電池の正極材料の新たな課題として、実用に際して起る過充電又は高温環境下に
おいて安全性のより一層の向上が挙げられている。すなわち、これを解決することで、リチウ
ムイオン二次電池の保護回路の簡素化及び小型化を実現することができ、ハイブリッド自動車
用二次電池としてその有用性が高まる。

● 特開2006-004689
  非水系二次電池用の正極活物質、その製造方法及びそれを用いた非水系二次電池

非水系二次電池の正極活物質としては、一般に、リチウムイオンを可逆的に挿入及び脱離する
ことができる層状構造を有するリチウム複合酸化物が用いられている。この中で、大型二次電
池用の正極活物質としては、低価格と高容量化を実現することができるとともに、充放電時の
電圧のプラトー領域が少ないため電圧制御が比較的容易であることから、主成分としてニッケ
ルを含むリチウム複合酸化物であるニッケル酸リチウムが最有力とされているが、ニッケル酸
リチウムには、他のリチウム複合酸化物、例えばコバルト酸リチウムやマンガン酸リチウムと
比べて加熱に際して熱的安定性が劣るという問題点を有している。そのため、非水系二次電池
の正極活物質としてニッケル酸リチウムを用いる際には、出力は確保することができるが安全
性が低下するので、保護回路の強化が必要不可欠であるとされ、過充電と高温での保存に、ニ
ッケル酸リチウムの分解による酸素放出を発端とする発熱現象により有機電解液の分解とそれ
に伴うガス発生が連鎖的に起こり、破裂又は発火の危険性があるため、ニッケル酸リチウムの
正極活物質としての熱的安定性の確保が求められ、この解決策として以下の提案がなされてき
た。

(1)ニッケル酸リチウムの添加元素にバナジウムまたは、インジウムを用いる。
(2)バナジウムまたは、インジウムを含むニッケル酸リチウムの製造方法に、これらの元素
  をニッケル酸リチウム中に固溶させる方法を用いる。
(3)または、ニッケル酸リチウム粒子中に分散させる方法を用いる。
(4)さらに、バナジウムまたは、インジウムの酸化物等の無機塩を、球状又は楕円球状の二
  次粒子形状のニッケル無機塩とリチウム無機塩と混合し焼成し反応させる方法を用いる。

(2)は、ニッケルの一部をバナジウムまたは、インジウムと置き換えるようにして共沈させ
て原子レベルで粒子内拡散を実現したニッケル含有を原料として用いて、リチウム無機塩と反
応させることにより、バナジウムまたは、インジウムが固溶したニッケル酸リチウム粉末を製
造すが、この方法で得られたバナジウムまたは、インジウムが固溶したニッケル酸リチウムは、
正極活物質としての熱的安定性を向上させることができるが、非常に多くの固溶量を要し電池
容量が大きく低下する。

また(3)は、得られるニッケル酸リチウムに含まれるリチウム以外の金属の無機塩をボール
ミル等で粉砕混合した後、リチウム無機塩と混合し焼成し、ニッケル酸リチウムの二次粒子内
部にバナジウム含有リチウム複合酸化物または、インジウム含有リチウム複合酸化物を分散さ
せニッケル酸リチウム粉末を製造するが、この方法で得られた粉末は、嵩密度が非常に低くな
り、単位体積当たりの電池容量を示す体積エネルギー密度が大幅に低下し、多量の微粉を含む
ので発熱又は発火を起こし易い。

さらに(4)は、バナジウムまたは、インジウムの固相内拡散速度が極めて遅いので、ニッケ
ル酸リチウム粒子表面にバナジウムまたは、インジウムのリチウム複合酸化物が被膜状に存在
するので、熱的安定性は向上するものの、表面に存在する被膜が充放電時に、リチウムイオン
の挿入脱離を阻害し、内部抵抗が高くなり、電池容量とサイクル寿命が低下する。

この新規考案――ニッケル酸リチウム粒子にバナジウムまたは、インジウムを添加した正極活
物質は、特定の組成式で表される層状構造のニッケル酸リチウムの粒子内部に、添加元素がリ
チウム複合酸化物を形成して均一に分散し、調製粉末を非水系二次電池用の正極活物質として
用いたところ、二次電池の過充電と高温保存時の熱的安定性を向上させる一方、電池容量、サ
イクル寿命及び出力の低下を抑えることができ、特定の工程に基づいて製造された球状または、
楕円球状のニッケル含有無機塩粉末とリチウム無機塩とを混合し焼成する方法で、正極活物質
を効率的に製造できる――製造条件は以下の通り。

(1)組成式:LiNi1-aMaO2  ただし、式中、Mは、Mg、Ca、Ti、Mn、Cr、Fe、
  Ni、Co、Cu、Zn、Mo、Ag、W、B、Al、Ga、Nb、Sn、Pb、Sr、
  Sb又はPから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、aは、0.01≦a≦0.5である。
(2)添加元素の添加量は(V又はIn)/(Liを除く全金属元素)原子比で、0.002~
  0.1である。
(3)タップ密度(できるだけ詰め込んだ時の嵩密度)が2.0g/mL以上である。
(4)(イ)ニッケル無機塩に、バナジウム又はインジウムの無機塩と、リチウムを除く正極
  活物質の成分である全金属元素の無機塩とを所定比率で混合した後、湿式超微粉砕してニ
  ッケル含有無機塩スラリーを調製する。(ロ)上記ニッケル含有無機塩スラリーを噴霧乾
  燥に付し、球状又は楕円球状のニッケル含有無機塩粉末を調製する。(ハ)上記ニッケル
  含有無機塩粉末とリチウム無機塩とを混合し焼成する、以上の3工程を含む水系二次電池
  用の正極活物質の製造方法。

 

 

● 特開2014-146441
  ニッケル複合水酸化物粒子とその製造方法、非水系電解質二次電池用正極活物質とその
  製造方法、および非水系電解質二次電池

続いて、この新規考案は、下記の組成式(1)をもつ、リチウムニッケル複合酸化物の非水電
解質二次電池用の正極活物質で、リチウムニッケル複合酸化物の炭素含有量が0.08質量%
以下である。この正極活物質は、焼成粉末をスラリー化し、10~40℃の温度範囲、スラリ
ーの液体部の電気伝導度を30~60mS/cmに制御して水洗した後、濾過、乾燥すること
で、高容量かつ熱安定性に優れたリチウムニッケル複合酸化物の非水電解質二次電池用の正極
活物質とその工業的生産に適した製造方法と安全性の高い非水電解質二次電池を提供する。

LibNi1-aM1aO2  ・・・(1)式 

ただし、式中、M1は、Ni以外の遷移金属元素、2族元素、又は13族元素から選ばれる少なくとも1種
の元素を示し、aは、0.01≦a≦0.5、bは、0.85≦b≦1.05である

 
厳しい開発競争現場(リスクは常に現場持ち)をこのように俯瞰しているのだが、青色発光ダ
イオード開発の中村修二米加工大教授のコメントを思い浮かべたりしているのだが、こういう
現実を踏まえ科学技術が進展していくのだが、厳しい反面、ある意味実に面白い興味深い光景
を目の当たりにしているわけだ。



● エコな話シリーズ:年間運転効率を大幅に向上するビル用マルチエアコン

――新制御技術で年間41%の消費電力量削減を達成――


産業技術総合研究所(NEDO)とダイキン工業(株)は、負荷に合わせて冷媒温度をコントロー
ルする新しい冷媒制御技術と、停止時の待機電力を削減する制御技術を開発、従来機に比べ年
間で41%の消費電力量削減を達成した。これら新制御技術をベースにダイキン工業(株)は、
新型圧縮機に関する独自開発の技術を組み合わせることで、年間運転効率を大幅に向上したビ
ル用マルチエアコンを2015年3月2日より販売販売していくとしている。これは面白い!

【システムの特徴】

(1) 圧縮漏れ・ロスを極小化した新型スクロール圧縮機を搭載
(2) 必要負荷をリアルタイムに把握し、圧縮機回転数を抑える新制御を搭載
(3) 待機電力を約15%削減し、運転していないときも省エネ
(4) デシカント空調機との組合せにより、快適性の維持と大幅な省エネを実現

※ダイキン工業(株)製 DESICAをZEB向けに改良したもの

 


火山噴火予知工学

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母が生死を行き交う間、 御嶽山の噴火のニュースが持ち切りであったため、これほど多くの人が被
害に遭った火山災害が、1991年(平成3年)の雲仙普賢岳以来です。登山者が巻き込まれた噴火とし
ては、 明治以降悪の火山災害にもかかわらず、コメントできずにいた。多くの人が被害に遭った理
由は(1)突然の噴火だったから、(2)大勢の登山者が山頂付近にいたためだと解説されている
(NHK「時論公論」2014.09.30)。それによると、気象庁や専門家は噴火を予知できなかった理由
が、火山学上、噴火の規模が小さかったから――専門家や防災機関などで作る火山噴火予知連絡会は
「小規模な噴火だったがらと分析している。

噴火には3種類あります。一つは、マグマだまりの熱で地下水が熱せられて起きる「水蒸気噴火」。
今回は「水蒸気噴火」。一方、「マグマ噴火」は、マグマそのものが激しく噴き出し、溶岩流や高温
の火砕流も起こす。1991(平成3)年の長崎県の雲仙普賢岳、1985(昭和61)年の伊豆大島の噴火な
どのように、規模も大きく長期間続くことがある。もう一つは、この中間にあたる「マグマ水蒸気噴
火」。 噴火の予知に有効なのは、このマグマだまりや上がってくるマグマの動きを見極めることで
だが、マグマが上がると、火山性の地震が増えたり、山が少しだけ膨らんだりします。それに、マグ
マが岩盤の割れ目に入り込むと、火山性の微動が増える。ところが、今回は、山が膨らむなどの地殻
変動は観測できず、マグマがそれほど上昇しないまま起きる水蒸気噴火は、地殻変動や火山性微動が
起きないこともあり、兆候を確実にとらえられるほど研究も進まず予知は難しいとされる。

これに対し、直前まで地殻変動や火山性微動がなくても、もう一つの判断材料である火山性地震は1
か月前から起きていた。予知に生かせなかったのか?今月10日には52回、11日は85回観測。
ただ、その後は減って、噴火の前の日は6回、当日も直前の11時40分までは6回しか起きていな
い。しかも、火山性微動が始まったのは11時41分と、噴火のわずか11分前。 ただ、この11
日の85回というのは、前回噴火した7年前以来の多さ。気象庁や専門家は、地殻変動がなかったの
で噴火はすぐには起きないと判断――また、御嶽山はこの35年間に4回、水蒸気噴火が起きている
が、昭和54年10月に起きた中規模の噴火の際は、まだ観測態勢が整っていなかった。平成3年の
ごく小規模な噴火では、噴火の2週間以上前から増えていたほか、地殻変動も観測されていたという。
つまり、過去2回は、今回よりさらに規模が小さかったにもかかわらず、だいぶ前から、微動や地殻
変動といった兆候があった――したが、今回は地震はあったものの、地殻変動はなく、微動も直前で
あったため裏目にでたと解説しているが、現在ののように科学技術が進歩して日本で予測不可能だっ
たのかという問いに、結果論でしかないが、わたし(たち)はそれは半々だと考えている。つまり、
それは、取り組み姿勢次第というわけだ。




● 巨大カルデラ噴火のメカニズムとリスク 

ところで、神戸大学の巽好幸教授と鈴木桂子准教授は、日本列島で過去12万年間に起こった火山噴火
の規模と発生頻度を統計的に解析し、以下の知見を公表(10月22日、文部科学記者会)している。そ
れによると次の3点に集約される(下図参照)。 

通常の山体噴火とカルデラの形成を伴うような巨大噴火は、異なるメカニズムでマグマの集積・
噴火が起きることが判りった。巨大カルデラ噴火を引き起こすマグマ溜りは、自らの大きさに
起因する浮力によって亀裂が生じ、噴火にいたると考えられる。 巨大カルデラ噴火を起こす火山は、地殻の変形速度が小さい地域に位置することが判った。こ
のような場所では、粘り気の高いマグマが効果的に、次々と地殻内を上昇して、巨大なマグマ
溜りを形成すると考えられる。 日本列島で今後百年間に巨大カルデラ噴火が起こる確率は約1%。この確率は、兵庫県南部地
震 (阪神・淡路大震災) 発生前日における30年発生確率と同程度。すなわち、いつこのような
巨大噴火が起こっても不思議ではないと認識すべきもの。最悪の場合、巨大カルデラ噴火によ
り1億2千万人の生活不能者が発生すると予想される。

 

さらに、巨大地震は日本に甚大な被害を与えます。例えば、今後30年の発生確率が70%といわれる南
海トラフ巨大地震の死亡者数は30万人を超えるとも言われ、一方で巨大カルデラ噴火は、日本という
国を消滅させると言っても過言ではない。死亡者数に発生確率を乗じた災害の「危険度」を比較する
と、巨大カルデラ噴火が如何に重大な脅威であるかを理解できるとまで言っている。今後すべきこと
の1つは、厚さが約30キロメートルもある地殻の真ん中あたりに形成される厚さ数キロメートル以
下で薄く広がるマグマ溜りの状態を正確に捉える技術を確かなものにし、巨大カルデラ噴火の危険地
帯である九州島の地下のモニタリングを行うこと。また、過去の巨大カルデラ噴火の規模と発生年代
そして噴火の経緯に関するデータを精密化することも忘れてはならないと結んでいる。

 

因みに、7300年前に噴火した「鬼界アカホヤ噴火――完新世(約1万年前以降)における地球上
で最大の噴火」(上図参照)では、この噴火の総噴出量は堆積物量に換算して170 km3 を超える。幸
屋火砕流とアカホヤ火山灰は,南九州の縄文文化と自然環境に壊滅的なダメージを与えるとともに,
西日本から東日本にかけても降灰による甚大な影響を及ぼしたと言われている。最新の噴火からすで
に7300 年が経過していることから,日本列島全体でみれば次のカルデラ噴火は徐々に迫っていると
言えるであろう。また,鬼界カルデラを含め,個々の火山ではカルデラ噴火が必ずしも特定の周期で
発生しているわけではないようにも見える。ここでたとえばカルデラ噴火がランダムに発生しており,
ポアソン分布モデルに従う事象であるという仮定をした場合、今後百年でVEI 7 級の噴火が日本列島
でおこる確率は1% である。一方世界では,このクラスの噴火は最近2千年間で少なくとも4回発
生しており,今後百年での発生確率は18% である。VEI 7 のタンボラ噴火から2百年経つが、同規模
の噴火が近い将来おこる可能性は決して低くなく、もしVEI 7 の噴火がおこれば、その影響は全球規
模で何らかの異常現象として捉えられるはずであるというから、目が眩むんでしまうようかな情報である。



● 火山噴火予知工学 

国土地理院は、日本全国各地に電子基準点(GPS受信機)を設置し、これら電子基準点を観測点と
して地殻変動を監視するGPS連続観測システム(GEONET:GPS Earth Observation Network System)
を構築し、このGPS連続観測システムによる観測データ(測位データ、変動データ)を公開してい
る。また、世界各地にも電子基準点を設置し、例えば大陸プレート、海洋プレートの地殻変動の観測
データなども公開されている。従来、このような観測データを用いて様々な研究機関で異常地殻変動
解析が実施されているが、多くの異常地殻変動解析では、電子基準点で観測された地球重心座標を平
面直角座標系等に変換した上で、ある電子基準点を固定点(観測基準点)に設定し、固定点に対する
他の観測点の相対変位を求めるとともに地殻の歪み速度、応力速度を算出して、地殻の変動を追跡す
る方法を用いるか、固定点に対する他の観測点の相対変位を求め、時系列変位グラフを作成し、安定
と想定される過去の期間の変位の空間微分(歪)と、観測したい年の同期間の変位の空間微分との比
較等から歪の変化を捉えて、地殻の変動を追跡する方法を用いている。

しかしながら、上記の異常地殻変動解析では、固定点と観測点の相対位置から変位を求めているため、
固定点の選び方によって変位場(歪場)が影響を受けることになり、解析時に用いる「安定と想定さ
れる変位場」の抽出を誤ると、解析精度の低下ひいては解析結果の信頼性の低下を招くことになる。
また、電子基準点で観測された地球重心座標を平面直角座標系に座標変換することによっても解析精
度が低下する。

この対策に、地球重心を固定点とし、この固定点に対する観測点のX,Y,Z直交座標(3次元直交
座標)を観測し、異常地殻変動解析を行う新規考案が提案されている、この手法によれば、常に安定
した地球重心を固定点にし、さらに、固定点から観測点のX,Y,Z座標を求めて座標変換を不要に
することで、解析精度、解析結果の信頼性を向上させることができるというのである(下図参照)。

しかし、歪を検出のための日々の安定変位場が定量的に取得できないため、あるいは、日々の地殻変
動追跡システムが構築されていない現状では、日本全国の日常的な歪場の変化を追跡できない。そし
て、これに伴い異常地殻変動解析の研究結果のほとんどは、地震が発生した後に歪が地震発生前から
どのように変化してきたかを求める過去予知作業に限定され、次の問題を抱えている。

(1)東日本大震災のような広域にわたる地殻変動である場合には、観測基準点自体も滑ってしまい、
  相対的に見ている観測点の大きな滑りを検出できない。
(2)各電子基準点の安定変位トレンドや安定歪みトレンドを把握しないまま、日々(前日比として
  )の変位・歪み変化のみを追跡しているため、異常を捉えることができない。
(3)地殻変動や地震予測研究を行う際には、東西南北高さ座標系(ENU座標)の利用が原則化さ
  れており、例えば東北全域など、広範囲の地殻変動監視に対しては限界がある。

● 新規考案の要約と特徴

地球の重心を原点とする各観測点の3次元直交座標上の位置を観測し、各観測点の位置の変動量を3
次元直交座標の各成分毎に求める。複数年分の時系列的な各観測点の各成分毎の変動データから、異
常地殻変動が発生していない年の安定変動データを複数抽出し、地殻の可逆変動/非可逆変動のノイ
ズ成分を除去した複数の安定変動処理データに基づいて年変動歪周期の基準線11を設定する。新た
な変動データ12を基準線11と対比し、基準線11に対する新たな変動データ12の乖離によって
異常地殻変動が発生すると判定する。また、複数の安定変動処理データに対し、予め設定した期間の
移動平均値を求め、この移動平均値から年変動歪周期の基準線11を求めることで、解析精度、解析
結果の信頼性を向上させつつ、地殻変動を監視して異常地殻変動が発生する前の地殻変動を精度よく
監視する方法及び地殻変動監視システムを提供するものである。

 

この考案によれば、観測点変動観測工程では、常に安定している地球の重心Gを固定点(あるいは地
球の重心Gを通るX,Y,Zの直交座標上の任意の位置を固定点)として各観測点MのX,Y,Zの
軸毎の位置を観測し、複数の観測点Mが歪計として利用され、日々変化する各観測点Mの各成分毎の
変動量△L、ひいては歪が精度よく算出される。演算手段により精度よく算出された歪を縦軸に、時
間を横軸にした下図4に示すような時系列的な各観測点MのX,Y,Zの軸毎の変動データ10の作
成が行われ、次に、年変動歪周期の基準線設定工程を行っている。この年変動歪周期の基準線設定工
程では、年変動歪周期の基準線設定手段3により、複数年分の時系列的な各観測点MのX,Y,Zの
軸毎の変動データ10から、図4に示す、異常地殻変動が発生していない年の安定変動データ10a
を複数抽出する。さらに、これらの安定変動データ10aから地殻の可逆変動/非可逆変動のノイズ
成分を除去し、下図5に示すノイズ成分を除去処理した複数の安定変動処理データ10bを取得。図
4に示す各安定変動データ(X軸)10aはバラツキが認められるが、これら安定変動データ10a
からノイズ成分を除去すると、図5に示すバラツキが大幅に小さくなった安定変動処理データ10b
が得られる。ここで、例えば、地殻の可逆変動のノイズ成分は、(1)積雪(2)磁気嵐(3)豪雨
(4)気圧の谷などに伴う地殻の変動が挙げられ、地殻の非可逆変動のノイズ成分には、受信機交換、
ピラー(pillar:柱)傾斜、樹木の繁茂、噴火、地震、低周波微動などに伴う地殻の変動が挙げられる
という。

 

 

以上の清水建設株式会社の新規考案システムを適用すれば、近未来には地殻の非可逆変動のノイズ成
分から「火山活動による噴火予知データ」の取得可能かも知れないが、これ以外の変動検出データを
加える――例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン、水素などの同位体濃度検出とか特定周波数の電磁波
強度検出――を加えることで予知精度が格段に上がるのではないかと思ったりしている。
 

ナノアスペクトレシオ工学

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● マッサンのハイニッカ  

 

 

NHKの朝の連続ドラマ『マッサン』(「マサタカサン」が発音しにくかったので、妻の竹
鶴リタが「マッサン」と呼んだという)でスコッチが話題になっているのだろうか、いつも
のリカーショップ『白い金麦』を購入する際、レジカウンターにで「ハイニッカ」が置か
れていたので、彼女がウイスキーはここにあると指さし、サントリーの角瓶やブラックニ
ッカではなく、これに決まったという次第。

一口、口に含むと、爽やかな森林のイメージが彷彿する感じがするが、癖がないつまり雑
味の少ないが澄んだ香りが印象的だ。

 


 

ところで、ハイニッカは1964年に発売された。当時は酒税に基づいた等級として2級ウイ
スキーとして売り出され、現在よりもアルコール(スピリッツ)を多く含ませてウイスキ
ー原酒の割合を少なくして販売。ブレンデッドとして売り出す上で創業者の竹鶴正孝は、
通常のグレーンウイスキーで使われる複式蒸留器の中でも比較的クラシカルなカフェ式蒸
留器を導入。カフェ式では、単式ほどではないものの、素材となる醸造酒(もろみ)の香
りや味を残しやすい特徴であったが、このカフェグレーンウイスキーが、ニッカの各銘柄
に大きな影響を与える。ハイニッカが発売されると、当時500円の価格と妥協しないうまさ
が人気を呼び、ニッカの売り上げに貢献。この人気に焦ったサントリーが、対抗商品とし
て復活させたのがサントリーレッド。

ほとんどがカフェグレーン原酒でありながらも、ウイスキーとしての体をしっかりし、同
価格帯にあるサントリーレッドやトリスと比べても十分に格上を見せつけられる味――カ
フェグレーンウイスキーを使っているためのメリット。価格は720mlで900円程度で、ブラ
ックニッカに価格では負けるが、しっかりした味が、何かを混ぜているような疑いを持っ
てしまうクリアに対し、 ハイニッカは甘さ控えめで香りや味も控えめで、それでもウイス
キーとしての最低限のレベルを確保している。

 

 

 

 

● ナノアスペクトレシオ工学

産業技術総合研究所集積マイクロシステム研究センタの研究グループが、世界最低損失のアモ
ルファスシリコンの光配線を開発したことを公表。それによると、従来より光損失が1桁低いシリコ
ン薄膜を作り、大規模集積回路(LSI)用の光配線を試作。光損失は実用化に耐えるレ
ベルで、透過率の高いアモルファスシリコンの薄膜の作製に成功した。1センチメートル
当たりの光損失を1%以下に抑えた――これは従来の10分の1以下に相当する。配線に
加工した後の損失は13%と、現在主流の結晶性シリコン配線に匹敵。結晶性シリコンは
1千℃以上の高温が必要だが、アモルファスシリコンは250℃で成膜できる。LSIの
ような複雑な電子部品に採用できる。アモルファスシリコンの光損失を抑えるために成膜
条件を工夫。添加する水素がシリコン基板表面に留まりつつも、水素とシリコンに反応し
やすい温度条件を見いだした。温度が高いと反応性は上がるが、基板表面に留まることが
なかったことがこの発明のポイントとなっている。

光導波路のコア部に単結晶シリコンあるいはアモルファスシリコンを用いたシリコン細線
光導波路を主要構成部とする光回路の研究開発が活発だ。シリコンコア材料と石英系クラ
ッド材料の間で大きな比屈折率差が得られ、小さな曲率半径で光導波路を曲げても光が放
射損失なく、光回路の著しい小型化が実現できるためである。またシリコンCMSLSI の製
造プロセスの転用が可能なため、量産による低廉な製造コストが期待されている。

通常シリコン細線光導波路を主要構成部とする光回路は、製作プロセス上の理由から同一
平面内に形成され、光回路への光の入出力は、光回路が形成される面と同一面内で光導波
路の断面と垂直な方向――光回路の形成されている面に対して真横の方向から、光導波路
の断面を経由して行うことが最も一般的であるが、シリコン細線光導波路を主要構成部と
する光回路と光ファイバー・光源・受光器などの他の光デバイスとの光の入出力では、光
回路の形成されている平面内とは別の方向――特に垂直方向から結合できると、

(1)ウェハ段階でのシリコン細線光導波路デバイスの検査が可能となる
(2)光源や受光器が垂直方向から実装できる

などの点で技術上多くの利点がある。これまでに、シリコン細線光導波路を主要構成部と
する光回路の形成面内と異なる方向に光を結合させる方法として、光導波路の末端部に平
面回折格子型結合器を形成し、垂直からやや斜めに傾いた方向から光ファイバー等の光デ
バイスを結合させる方法が知られているが、これらの方法の中で、シリコン細線光導波路
自体を上方に立体的に湾曲させる方法は、平面回折格子型結合器のような波長帯域の制約
がなく、ミラー反射型における光導波路端とミラーの間の空間に起因する結合損失の増大
という問題もない優れた方法を用いれば、例えば、シリコン細線光導波路を主要構成部と
する下図に示す光回路のように、シリコン細線光導波路の末端部を上方に湾曲し、上方か
ら光の入出力を実現できる。

このような湾曲構造を、光回路を製造するプロセスと同時に製造することは不可能であり、
あらかじめ製造された光回路のうちシリコン細線光導波路の末端部を、上方に立体的に湾
曲させる加工技術が必要であった。特に実際上は、金属配線を施した回路基板上に形成さ
れた光回路や、能動光素子を駆動するための金属配線を同一基板上に含む光回路基板のよ
うに、高温処理を施すと構成要素が破壊されてしまうような光回路に適用可能な加工技術
の開発を必要としていた。

特開2014-137496

さて、シリコン細線光導波路を立体的に湾曲させる加工方法には、シリコン細線光導波路
の上部にプラズマCVDでシリコン酸化膜を形成し、シリコン細線光導波路の下地の熱酸
化シリコン酸化膜との残留応力の差を利用して自発的に湾曲させる方法がある。下図を用
いて、SOI(Silicon on Insulator)基板を用いる方法は (1)下図(A)(B)のように、
シリコン基板1の上に形成した熱酸化シリコン酸化膜2の上のシリコン層を、リソグラフ
ィ技術で加工し、シリコン細線光導波路3を形成する。(2)下図(C)(D)のように、
プラズマCVD法でシリコン酸化膜4でカバーする。(3)下図(E)(F)のように、
シリコン細線光導波路の両側の、プラズマCVDで形成したシリコン酸化膜4と熱酸化で
形成されたシリコン酸化膜2を、ドライエッチングで垂直に除去する。ただし、シリコン
細線光導波路の両脇はシリコン酸化膜2、4が残る構造にする。(4)下図(G)のよう
に、熱酸化で形成したシリコン酸化膜の下部のシリコン基板1を、等方的なドライエッチ
ングで除去する。その結果、シリコン細線光導波路の上下をプラズマCVDで形成したシ
リコン酸化膜4と熱酸化で形成されたシリコン酸化膜2で挟み込んだ片持ち梁構造が形成
する。この片持ち梁構造は、上下のシリコン酸化膜の内部の残留応力が成膜方法の相違に
起因して異なり上方に反った構造をとる。(5)下図(H)のように、上記構造を400
℃から800℃の高温で加熱処理し、上下のシリコン酸化膜の残留応力の差を拡大させて
湾曲量を増大させ、結果的に上下のシリコン酸化膜に挟まれたシリコン細線光導波路を上
方に立体的に湾曲することで、湾曲したシリコン細線光導波路の末端部5が得られる。加
熱温度が高いほど、末端部5の湾曲量が大きい。上記のように、シリコン細線光導波路自
体を上方に立体的に湾曲させる方法は、シリコン細線光導波路の形成面内と異なる方向に
光を結合させる方法として優れているが、シリコン細線光導波路の上部にプラズマCVD
でシリコン酸化膜を形成し、シリコン細線光導波路の下地の熱酸化で形成されたシリコン
酸化膜との残留応力の差を利用して自発的に湾曲させる方法には次のような問題点がある。

 
特開2014-137496
半導体先鋭構造及びその作製方法、並びにスポットサイズ変換器、無反射終端

(1)シリコン細線光導波路の上下をプラズマCVDで形成したシリコン酸化膜及び熱酸
    化シリコン酸化膜で挟み込んだ片持ち梁構造をドライエッチングで形成する必要があ
    り、厚いシリコン酸化膜を深堀りした後に、さらに片持ち梁構造の酸化膜の下のシリ
    コン基板の上部をくり抜くという複雑な加工プロセスが必要である。
(2)残留応力の差を利用するという原理に基づくため、湾曲曲率が片持ち梁構造全域で
    一定となり、湾曲曲率を局所的に変化させることは困難である。
(3)湾曲部の先端を任意の方位に向けるためには、片持ち梁の長さや上下の酸化膜層の
    厚さ及び加熱温度等を厳密に制御する必要があり、高い加工精度が要求される。
(4)上下の酸化膜の残留応力差を利用するため、上下の酸化膜を同じ成膜方法で形成し
    た場合には湾曲させるのが困難である。
(5)大きな湾曲量を得るためには高温加熱プロセスが必要であり、金属配線を施した基
    板上に形成された光回路や、能動光素子を駆動するための金属配線を同一基板上に含
    む光回路のように、構成要素が高温処理で破壊されてしまう光回路への適用が不可能
    である。また、プロセスコストの増大を伴う。

上記課題を解決するための手段は、(1)支持層を介して複数のシリコン細線光導波路が
形成された光回路基板を用意するステップと、シリコン細線光導波路のうち末端部の所望
のシリコン細線光導波路に対し、シリコン細線光導波路の末端部と、隣接する部位の下の
支持層の除去ステップと、シリコン細線光導波路の末端部と隣接する部位に対し特定の方
向からイオンを打ち込むことで、特定の方向にセルフアライメント的にシリコン細線光導
波路の末端部と隣接する部位を湾曲させるステップとを備えたシリコン細線光導波路の加
工方法で、(2)支持層を介し複数のシリコン細線光導波路が形成された光回路基板準備
ステップと、シリコン細線光導波路のうち末端部の所望のシリコン細線光導波路に対し、
シリコン細線光導波路の末端部と隣接する部位の下の支持層の除去ステップと、シリコン
細線光導波路の末端部と隣接する部位に対し特定の方向からイオンを打ち込むことで、特
定の方向にセルフアライメント的にシリコン細線光導波路の末端部と隣接する部位を湾曲
するステップと、湾曲シリコン細線光導波路の末端部が埋設するように、光回路基板上の
低屈折率材料層を形成するステップとを備えたシリコン細線光導波路の加工方法であり、
(3)湾曲した末端部に光デバイスを設置する工程をさらに備えた(1)または(2)に
記載のシリコン細線光導波路の加工方法であり、(4)この光デバイスが、光ファイバー
であることを特徴とする上記(3)に記載のシリコン細線光導波路の加工方法で、(5)
この光デバイスが、フォトディテクターであることを特徴とする(3)に記載のシリコン
細線光導波路の加工方法であり、(6)このイオンが、Siイオンであることを特徴とす
る(1)ないし(5)のいずれかに記載のシリコン細線光導波路の加工方法で、(7)シ
リコン細線光導波路の厚さを200~220nmとし、60keV~100keVの加速
電圧でSiイオンを打ち込むことを特徴とする(1)あるいは(5)のいずれかに記載の
シリコン細線光導波路の加工方法である。

このことにより、シリコン細線光導波路の上下を酸化膜で挟み込む従来の加工方法と比べ
て次のような利点を有する。

(1)シリコン細線自体の内部ひずみ応力を利用しているため、上下の酸化膜が不要。
(2)イオンビームの打ち込み方向や照射量を調節で湾曲曲率がを節できる。
(3)曲率半径5μm以下の急峻な湾曲も可能で、さらに素子を小型化できる。
(4)イオン打ち込み方向にセルフアライメント的に湾曲先端部が伸長できる。
(5)低温プロセスで加工可能で、高温処理で破壊される光回路への適用が可能。


以上のことを踏まえ、産業技術総合研究所集積マイクロシステム研究センタの研究グルー
プは、新しい湾曲構造の形成方法――片持ち梁構造を有するシリコン細線光導波路構造の
外部の特定の方位からイオンビームを打ち込むことにより、細線構造自体の内部に応力を
発生させて湾曲させることに成功する(以下、実施形態についてここでは割愛する)。
尚、この新規考案における細線光導波路のコア構造に使用するシリコン材料は、結晶シリ
コンに限らずアモルファスシリコンでよく。アモルファスシリコンの場合、材料の吸収損
失を低減化できるので水素化アモルファスシリコンが望ましいとしている。

※参考 WO2014156233 A1 シリコン系細線光導波路の加工方法 
 

 

   ● 今夜の一曲 


  Since she's been gone I want no one to talk to me.
  It's not the same but I'm to blame, it's plain to see.

  So go away, leave me alone, don't bother me.

  I can't believe that she would leave me on my own.
  It's just not right when every night I'm all alone.

  I've got no time for you right now, don't bother me.

  I know I'll never be the same if I don't get her back again.
  Because I know she'll always be the only girl for me.

  But 'till she's here please don't come near, just stay away.
  I'll let you know when she's come home. Until that day,

  Don't come around, leave me alone, don't bother me.

   I've got no time for you right now, don't bother me.

 

  I know I'll never be the same if I don't get her back again.
  Because I know she'll always be the only girl for me.

 

  But 'till she's here please don't come near, just stay away.
  I'll let you know when she's come home. Until that day,


                          ” Don't Bother Me” 
                     Music&Word  George Harrison

 

1963年11月22日に発売された2作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『ウィズ・ザ・
ビートルズ』のA面4曲目に収録されたジョージ・ハリスンの楽曲。リード・ヴォーカル
もジョージ・ハリスン。ジョージの最初の作品。米国では1964年に発表されたキャピトル・
レコード編集アルバムで当国でのデビュー・アルバム『ミート・ザ・ビートルズ』に収録
された。ジョージは生前に「他の二人を見ていたからやり方は分かっていたけど、これは
あまりいい歌とはいえない」と語っていた。ジョージが本格的にシンガーソングライター
として活動するのは2年後に発表されたアルバム『4人はアイドル』にて「アイ・ニード・
ユー」と「ユー・ライク・ミー・トゥ・マッチ」の収録曲2曲を発表してからである。この
作品はジョージが病気を理由にイギリス国内ライブツアーを休んでいた最中に作られた曲
である。ジョージは、ビル・ハリー(ジョンの友人)から「ジョンやポールが曲を書くの
に、君はなぜ作らないの?」と手紙でたずねられていて、その返答として書いたのがこの曲
だとか。タイトルを直訳すると「煩わさないでくれ」「五月蠅く言わないでくれ」という意味合い。こ
れがジョージのハリーへの返歌となる。

”Bazaar” と ”Bother” の違いなのだが、文化ホールの駐車場で「バザー」の準備をしていたを見て
突然、車のなかで、ジョージのこの楽曲が聴きたいと思ったというのがその理由。それにしても「歌
の力」って、なんて言うか、不思議な魅力というのか、超時空力といっていいのか、不思議だね。

 

パウダー水素エネルギー工学

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● こんなものあったら欲しい ?

 

 

 

 



● たまには熟っくりと本を読もう

高橋洋一著 『「成長戦略」の罠―「失われた20年」は、さらに続く』

一週間ほど前に『成長戦略・規制緩和は経済成長に寄与するか 』(ダイヤモンド・オンラ
イン 高橋洋一の「俗論を撃つ 」No.104 2014.10.16)を目を通してみていたが、景況回復
には遠く及ばない――「第一の矢」の金融政策は功を奏しているが、「第二の矢」は相変わ
らず緊縮財政で、「第三の矢」は官僚主導である限り成功しない――と主張している。つま
り、金融政策は、経済成長するとマネーの需要が増えるという逆方向の因果関係があり、マ
ネーはすべての財・サービス交換の裏側にあり、マネーの増減は経済活動に重要な説明因子
であり、「人口減少が経済成長を妨げている」という説は、世界を見る限りまったく説得力
がない――下図表4のグラフが示すように、人口減少でも成長している国は多いし、一人当
たりGDPの成長率は人口増減率と相関はないとも指摘している。

141027


アベノミクスの三番目の矢である成長戦略は、官僚=霞が関主導の〝産業政策〟なので、期
待できないということだ(→現実にビジネス経験もない官僚が、戦略を描けるはずがないこ
とにつきる。だから、世界中で〝産業政策〟なるものは〝日本独自の〟と形容詞が付けられ
るのがおちだ。と、言い切る反面、規制緩和や民営化であれば、世界中に実例があり、百に
3つ当たればいいくらいの確率で効果がでるものの、成果が出るまでに数年を要する――だ
からこそ、長期的な成長には重要で、下手な〝矢〟でも打ち続けなければいけないと述べて
いる。下の4つの図表は参考になったので掲載しておく。因みに、彼は 「実質GDP成長
率」(実質GDP成長率 =資本分配率*(資本ストック伸び率+稼働率変動) +(1-資
本分配率)*(労働力人口伸び率+就業変動+労働時間変動) +技術進歩率)を重要指標
とし掲載していた。



これはこれで理解はできるものの、彼と私とに横たわる「差異の此岸」がイマイチ明確でな
く、ここは熟っくりと彼の近著(『成長戦略の罠』)を取り寄せ、「まえがき」より読み始
める。

 

                          「3本目の矢」が放たれた。

  日本政府は2014年6月24日、産業競争力会議による「成長戦略」改訂版を
 「骨太の方針」(経済財政運営の基本方針)と同時に閣議決定。これでアベノミクス
 「3本の矢」、すなわち①金融政策(大胆な金融政策)、②財政政策(機動的な財政
 政策)、③成長戦略(民間投資を喚起する成長戦略)がすべて出そろったことになる。
  私は①の金融政策を高く評価しつつ、②の財政政策については消費増税の悪影響を
 予測し、その効果のほどに疑問符をつけた。この2本の矢は抽象度が高く、一般には
 難解なマクロ経済政策なのだが、実施後1年ないし2年で効果が検証できる性質のも
  のだ。はたして私の予測と分析どおりの結果がデータに現われはじめている。本文で
  詳述してゆく。
  そこで3本目の矢、③の成長戦略を見てみると、こちらのほうはミクロ経済政策で
 素人目にも分かりやすい。しかしマクロ経済政策である2本の矢に比べ、成果の検証
 に時間がかかるうえ、「効果に疑問符がつく」どころか、実行効果はほとんど期待で
 きないと言ってよい。そこには大いなる欠陥と落とし穴が潜んでいる。理由はただひ
 とつ、官僚=霞が間主導のよ戦略゛であるからだ。
  もともとアベノミクスの「成長戦略」は、すでに放たれた2本の矢に対し、大幅な
 後れをとっていた。今回の閣議決定は、2013年6月に「日本再興戦略」として一
 度、閣議決定していた政策群に、さらに改訂を施したものである。この間、部分的に
 関連法も成立している。安倍音三内閣(第二次)発足と時を同じくして立ち上げた成
 長戦略だが、本格的に「矢を放つ」までに1年半も要した格好だ。
  やや強引な喩えをお許し願おう。W 杯の日本代表は残念な結果に終わったが、
 成長戦略(今回の改訂版。2013年の「日本再興戦略」を踏まえ「新成長戦略」と
 するマスコミもある)は、サッカーの戦術で言えば3枚目のカード、3入ある交代枠
 を監督が使い切ったようなものだ。
  劣勢のゲーム展開(デフレで低迷する日本経済)を打開すべく、2人の攻撃的な選
 手(金融政策と財政政策)を早めに投入した。その甲斐あってチームは持ち直し、つ
 いに最後の交代選手(成長戦略)がピッチに入る。この選手はウオームアップする時
 間が長かった(改訂版ができた)せいか、運動量が豊富でサポーターを沸かせた(分
 かりやすい政策)。ところがドリブル突破も効果的なクロスを上げることもできず、
 かえってパスミスでチームの足を引っ張る始末。なぜなら、彼を送り出したベンチス
 タッフに、ピッチに立った経験のある者が誰一人いなかったから……。
  私は前著『官愚の国』(2011年3月刊。現在は祥伝社黄金文庫)で、かつて
 「産業政策」と呼ばれていた官僚主導のよ成長戦略゛は過去の遺物であり、無用の長
 物であることを論証した。実技経験がなければサッカーの指導もできないように、ビ
 ジネスの現場に身を置いたことのない官僚に産業を成長させることはできない。しか
 し産業政策の悪しきDNAは「成長戦略」と名を変えて生き残り、現在に至っている。
 本書は『官愚の国』の続編として、日本の官僚ならびに官僚制の不備を指摘し、彼ら
 霞が関が主導する成長戦略の欠陥を衝くものである。
  あえて言おう。これはW杯ではないので、成長戦略の選手交代はまだできる。民営
 化・規制緩和という世界でも通用する選手を入れて、世界で通じない霞が関主導を変
 えるべきだ。


          高橋洋一 著 『「成長戦略」の罠―「失われた20年」は、さらに続く』

                                この項つづく

 

 
【オールソーラーシステム完結論 26】 

● パウダー水素エネルギー工学


東京理科大学理工学部電気電子情報工学科 星研究室のグループは、水素を燃料として発電し、水のみを排出して走行す
る燃料電池自動車(FCV)を研究開発している。 次世代エコカーの大本命として期待されている。 FCVの水素積載法の主流
は70MPaの高圧水素タンクであり、2015年末を皮切りに各自動車会社が市販を開始するが、FCV普及のためには大きな壁―
(1) まず、水素タンクに水素を充填するための「水素ステーション」に巨額投資が必要(2)また、気体水素のエネル
ギー密度は非常に低く、輸送・貯蔵においても高圧化・液体化した特殊インフラが必要で、運営維持費にも莫大なコスト
がかかる――これらの要因がFCV普及の足かせとなると言われている。特に普及初期段階は、FCV販売に先立ち水素インフ
ラの先行整備が不可欠だが、普及初期段階で広く消費者に受け入れられなければ、普及政策自体が断念されるリスクがあ
る。 そこで星研究室では、加水分解により水素を生成する粉末状の水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4、Sodium Tetrahydro-
borate)に着目。 この粉は"高エネルギー密度"、"取扱い容易性"、"リサイクル可能"といった長所を持ち、これを燃料電池
車の水素源とすることでFCV普及に貢献出来るというもの。 

 

もつとも、この技術―NaBH4燃料のFCVは、米国の自動車会社(ダイムラー・クライスラー)等が研究していたが、当時
の開発コンセプトは"水溶液方式"であったため体積エネルギー密度は低く、水素生成 に高価な触媒と大掛かりな装置が必
要であり、強アルカリ性であったため取扱い安全性にも問題があった。その結果、実用化には至らなかったという過去が
あり、基本的な技術知財は出そろっていた。ここで少しお復習いすると、燃料電池は、反応の化学エネルギを直接に電気
エネルギに変換する電気化学デバイス。燃料電池の物理的構造は、多孔質アノード及び多孔質カソードに接触する電解質
層から構成される。一般的な燃料電池において、燃料は、アノード(負極)に連続的に給送され、酸化剤(酸素/空気)
は、カソード(正極)に連続的に給送される。燃料電池は、ポリマー電解質膜型燃料電池(PEM)、直接型メタノール
燃料電池(DMFC)、アルカリ型燃料電池(AFC)、リン酸型燃料電池(PAFC)、溶融炭酸塩型燃料電池(MC
FC)、及び固体酸化物型燃料電池(SOFC)のような6グループに分類される。

燃料電池は、携帯式電子機器、車両、電力/熱生成プラント、並びに軍用及び民間施設のような様々な用途をもつ。この
点で、水素貯蔵が重要な問題であることを強調すべきで、前出の星研究室の研究グループは「タンクレス」と呼んでいる
――この目的のために、ホウ素鉱物から製造される水素化ホウ素ナトリウムが、最も重要な水素貯蔵薬剤の1つとして公
知である。(1)水素化ホウ素ナトリウムのアルカリ性水溶液は、接触的に分解して貯蔵された水素を放出する。(2)
水素化ホウ素ナトリウムは、水素20%(重量で)までを貯蔵することができ、(3)また易燃性あるいは爆発性ではな
い。(4)水素発生速度は、容易に制御することができる。(5)出現水素の半分は水素化物に由来し、他の半分は水に
由来する。(6)触媒とメタホウ酸ナトリウムは、回収されて再使用することができる。燃料電池においては、水素が最
初に原位置で生成されてそれ自体が使用されるか、また水素化ホウ素ナトリウムを燃料として直接に使用することができ
るかのいずれかである。

特に、携帯式燃料電池用途においては、(A)直接型水素化ホウ素ナトリウム燃料電池(DSBHC)は、(B)直接型メ
タノール燃料電池(DMFC)の良好な代替物である。(A)直接型メタノール燃料電池と直接型水素化ホウ素ナトリウム
燃料電池とが比較された時に、電圧、理論比容量、及びエネルギ密度は、直接型メタノール燃料電池に対しては、それぞ
れ1.24V、5030アンペア時/kg、及び6200ワット時/kgであるが、(B)他方、直接型水素化ホウ素ナト
リウム燃料電池に対しては、これらの値は1.64V、5667アンペア時/kg、及び9285ワット時/kgである。
さらに、DMFCは、低いアノード反応速度、メタノールの有毒効果、及びアノードからカソードへのクロスオーバーの
ために幾らかの欠点を有する。(A)トルコは、最高品質の世界の確定ホウ素埋蔵量の殆ど70%を有する。直接型水素化
ホウ素ナトリウム燃料電池は、電極触媒層(アノード及びカソード)、電解質(膜)(膜と電極の組合せはMEAと呼ば
れる)、バイポーラ板、集電板、ガスケット、及び他の接合要素から構成される。燃料電池スタックは、電力要件を満足
させるための十分な数のセルを結合することで製造されている。

 

この研究グループでは、NaBH4を「粉体で車載」することで、NaBH4が持つ高いエネルギー密度を最大限生かしつつ、さ
らに高効率に水素を生成する" STEPシステム"(Sodium TEtrahydroborate Power system)を開発し、前述した長所の創出が可
能にした。 下図に示すように、水素リアクターで加水分解することにより高密度な水素を発生さる。 この時にNaBH4だ
けでなく、水からも純水素を取り出すことができる。 また燃料電池から出た水を加水分解に再利用できるので、水の補給
が必要なく、システムをコンパクトに設計可能で、STEPシステムを車載したFCV(=STEP-FCV)の試験走行に、2012年末、
世界で初めて成功する。 現状は、システムにおける水素生成速度は毎分100L、発電量は最大5kW、車両走行性能は最大
20km/hを達成している。2015年からは、STEPシステムの高性能化・小型化を目標に取り組んでいきたいとのこと。

 

また、システムの将来像として、下図に示すように、自動車以外にもあらゆる電源用途への適用を考えられている。 例え
ば、今日、東日本大震災を機に、巨大発電所への依存はリスクが顕著化するため、「分散型電源」を増やすべきとの考え
が広がっているが、STEPシステムによる発電は、粉体NaBH4がハンドリング・長期貯蓄に優れるため、 家庭用定置型電源
などの分散電源や非常用電源用途として非常に有効となる。そこで星研究室では自動車への使用だけでなく、スマートハ
ウスの定置型電源としての使用も応用の一例として研究しているのだ。





また、それと同時に工業化に耐える低コストな水素化ホウ素ナトリウムの製造方法(実用化)も着々と準備(下図参照)さ
れつつある。このように考えていけば、安定化させた水素化ホウ素ナトリウムの粉体(個体)利用技術でコスト逓減と高
効率に、「ダウンサイジング」(第2則)が工学的課題として俎上する。

  JP 2014-181174 A 2014.9.29

【符号の説明】

1 高温高圧反応容器 2 メタホウ酸ナトリウム 3 乾燥器 4 無水メタホウ酸ナトリウム 5 アルミ微粉末 6 高
圧水素 7 副生物 8 サンプル

 

 

 

真菰筍解体新書

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 畳薦 牟良自が礒の 離磯の 母を離れて 行くが悲しさ         刑部虫麻呂/万葉集  


 吾が聞きに 懸けてな言ひそ 刈り薦の 乱れて思ふ 君が直香ぞ   大伴像見/万葉集   

 

 

■ 真菰筍解体新書

農協の「野菜館」で買ってきたいというマコモダケ(真菰筍)をごま油で炒めた金平風―
惣菜の一つで、繊切りにした材料を砂糖・醤油を用い甘辛く炒めたもの。材料としてはゴ
ボウ、レンコン、ニンジンなどの根菜類が一般的だが、厚めに剥いたダイコンの皮や、ヤ
ーコンなどで作っても美味しい。味付は味醂、醤油を基本とし、好みで鷹の爪、ゴマなど
を加える――の小鉢料理が余りにも美味しかったので、突拍子に「美味い」と声を出して
しまったほどだ。そのことを彼女に聞くと、最近よく売られているのでということだった
が、興味を惹いてしまった。

マコモ(Zizania latifolia、真菰)は、イネ科マコモ属の多年草で、別名ハナガツミと言い、
東アジアや東南アジアに分布、日本では全国に見られるという。水辺に群生し、沼や河川
湖などに生育。また食用にも利用される。成長すると大型になり、人の背くらい成長し、
花期は夏から秋で、雌花は黄緑色、雄花は紫色。葉脈は平行。マコモダケとして食用され
るほか、マコモダケから採取した黒穂菌の胞子をマコモズミと呼び、お歯黒、眉墨、漆器
の顔料などに用いられてきたというので、無知さ加減はさておき、大いに感心する ^^;。

最大の特徴は、黒穂菌(くろぼきん)の一種(Ustilago esculenta)に寄生されて肥大した新
芽がマコモダケ(真菰筍、茭白。マコモタケ)と呼ばれ食材にされていることで、古くは
万葉集に登場し中国、ベトナム、タイ、ラオス、カンボジアなどのアジア各国でも食用や
薬用とされている。食材としては、たけのこを優しくしたような適度の食感と、ほのかな
甘味、ヤングコーンのような香りがあり、くせがなく、さっと茹でたり、グリル焼き、炒
めものにも向いているほか、新鮮なものは生食してもおいしい。細かく刻んで餃子、ハン
バーグ、チャーハンなどに用いることもできる。収穫は秋で、新芽の根元が充分に肥大し
たらすぐに収穫し、収穫が遅れると組織内に真っ黒な胞子が混じるようになり、食感・食
味も落ちて商品価値は失われるという。 

● マコモの育ちやすい環境

マコモには水質浄化の働きと多くの生物の生育環境をつくってくれるといわれる。対象に
は、霞ヶ浦や琵琶湖を始め、ラムサール条約に指定されている伊豆沼・内沼(宮城県)が
ある。マコモの柔らかい芽や茎の回りは餌場、産卵場所、そして隠れ場所として様々な水
棲生物に活用されてて、冬は白鳥などの水鳥が餌としてついばみにやってくるが、最近で
は、環境破壊が進んだことで、湖、沼や河川の生態系が徐々に崩れていき、河川や田んぼ
などの水路はコンクリートなどで覆われてしまう環境の増加で、マコモが減少していると
いう現状があるという。

● マコモダケの浄化作用

マコモは水を腐らせる湯垢や体から出る老廃物を、マコモの耐熱菌が分解して浄化するこ
とにより起こるといわれ、 例えば、マコモの葉やマコモの粉は漆のつや出しや、粽(ちま
き)、羊羹(ようかん)をマコモの葉で巻き、そしてマコモの根を粉末状にしてお風呂に
入れると、水が腐らないなどともいわれ、マコモはすぐれた体内浄化作用も持ち合わせて
いるので、アトピーや切り傷などに最適だともいわれている。

● マコモダケの効果

マコモダケには便通を促す食物繊維が含まれており、腸内環境をスムーズにして、美容の
大敵である便秘の解消に役立ち、食物繊維は腸内に溜まった不要なものを排出するだけで
なく、余分なコレステロールを体外へと運び出したり、糖質の吸収抑制作用など、生活習
慣病の予防にも働きかけたりと、様々な生理機能を持つ。マコモダケに含まれるカリウム
は、人間にとって欠かせない成分のひとつで、カリウムは、多くの酵素を活性化させる働
きを持ち、筋肉のエネルギー代謝や神経伝達、そして筋肉の収縮を間接的に補助する働き
があり、カリウムは肝臓における老廃物の排出を促し、むくみをとる働きがあるともいわ
れている。また利尿作用を持ち、体内の不要なものや余分な水分を排出する働きがあるた
め、デトックス効果が期待できとも言われている。これらの機能性のほかにも最近の研究に
より、マコモダケには神経細胞に働きかける作用のほか、骨粗しょう症予防効果も報告されている。

 
●マウス神経膠腫細胞を対象に、マコモダケの有効成分Makototindoline を投与したところ、マ
ウス神経膠腫の細胞増殖を抑制したことから、マコモダケは神経細胞調節作用を持つと
考えられている(上図)。

 

●マコモダケには、破骨細胞抑制作用を持つ機能性成分が含まれていることから、マコモダケは
骨の健康、更年期障害予防効果を持つことが期待されている(上図)。これ以外にマコモダ
ケは乳白色で柔らかく,タンパク質やビタミンB2を含む風味の良い野菜として中国料理で
利用され、豚肉や鶏肉とのいため物が美味しく、最近では日本でも特産品として栽培が始
まっているといわれる。

以上、掲載できる許容範囲を超えるボリュームのため、後日再度考察することになる。

 



● たまには熟っくりと本を読もう

高橋洋一著 『「成長戦略」の罠―「失われた20年」は、さらに続く』


さて、この刺激的な章のタイトルから読み進めていくのだが、「第1の矢」の金融政策に
関わる日銀の政策については著者と同じ立ち位置であり、このブログでも「日銀解体論」
として掲載してきたのでコメントなしで読み飛ばすことにする。


                                      第1章 「三本矢」は、そろわない

                     ■ 戦国大名の故事とアベノミクスの関係

  アベノミクスの「3本の矢」を1本ずつ論じる前に、おさらいしておこう。
  政治的イシューにしては珍しく、「3本の矢」という表現は多くの日本人に受け入
 れられ、耳目に馴染んだ。これはやはり毛利元就の故事に負うところが大きいのでは
 ないか。
  毛利元就が死の間際、隆元、元春、隆景、3人の息子を枕元に呼び、「1本の矢は
 すぐに折れる。しかし3本を束ねれば簡単に折れることがない。お前たち兄弟3人は
 力を合わせ、毛利家を守れ」と言い残した。息子たちは父の教えを忠実に守ったとい
 うものである。
  ところが、この故事は史実とは異なるらしい。元就の没年は1571年(元亀2
 年)だが、長男の隆元はその8年前に40歳で夭折している。したがって元我が3人の
 息子を前に遺言を残すことはありえないのだ。
  それでも、戦前の教科書に「三矢の教え」(毛利元就の三本の矢の教え)として掲
 載されるほど日本人の記憶に刻まれたのは「父の遺訓」「子どもたちの結束」「家を
 守る」などのモチーフが、国民性にマッチしたからだろう。ちなみに元就は還暦を過
 ぎた1557年(弘治3年)『三子教訓状』という息子たちに宛てた書状を認め、兄
 弟結束の大切さを説いている。

  日本史のおさらいはここまでとして、アベノミクスのほうを今一度おさらいする。
 こちらの「3本の矢」とは「まえがき」に記したように、①金融政策(大胆な金融政
 策)、②財政政策(機動的な財政政策)、③成長戦略(民間投資を喚起する成長戦略)
 である。
  首相官邸のウェブサイトは、ご丁寧なことに図解入りで次のように謳っている。
 (「どれだけ真面目に働いても暮らしがよくならない」という日本経済の課題を克服
 するため、安倍政権は、「デフレ※からの脱却」と「富の拡大」を目指しています。
 これらを実現する経済政策が、アベノミクス「3本の矢」です。
 
                      ※物価が持続的に下落する状態のこと》

 《すでに第1の矢と第2の矢は放たれ、アベノミクス効果もあって、株価、経済成長
 率、企業業績、雇用等、多くの経済指標は、著しい改善を見せています。
  また、アベノミクスの本丸となる「成長戦略」の施策が順次実行され、その効果も
 表れつつあります。
  企業の業績改善は、雇用の拡大や所得の上昇につながり、さらなる消費の増加をも
 たらすことが期待されます。こうした「経済の好循環」を実現し、景気回復の実感を
 全国津々浦々に届けます。》
                  (首相官邸HPから。振り仮名と傍点は引用者
          http://www.kantei.go.jp/jp/headline/seichosenryaku/sanbonnoya.html


 個別に見てみると、以下のような平易な説明文が付されている。

 《第1の矢 大胆な金融政策

  金融緩和で流通するお金の量を増やし、デフレマインドを払拭》

  《第2の矢 機動的な財政政策

   約10兆円規模の経済対策予算によって、政府が自ら率先して需要を創出》

  《第3の矢 民間投資を喚起する成長戦略

   規制緩和等によって、民間企業や個人が真の実力を発揮できる社会へ》

                               (同前) 

  首相官邸HPには、国民に期待を抱かせるような文言が満載である。「第1の矢」
  でスーツ姿だった図解のサラリーマンが、「第3の矢」ではスーパーマン(もどき)
   に変身しているのが笑える。
    これら3本の矢は、毛利元就の故事よろしく、合体して強剱な経済効果を産み出
 すのだろうか。「デフレ脱却」と「富の拡大」を実現するのか。サラリーマンのお兄
 さんがスーパーマンになれるのか。それができるにこしたことはないのだが、私は不
 可能だと断言する。
  今のままの「3本の矢」は、そろわない。
  3本を束ねても、1本の脆弱性ゆえに折れてしまうだろう。その脆弱な1本こそ、
  本書の眼目である成長戦略なのである。

                            ■「改訂版」の成長戦略

   
  6月24日に閣議決定した成長戦略を、政府は(「日本再興戦略」改訂2014―未
 来への挑戦―)と名づけた。「改訂」の2文字が入っているのは、1年前の2013
 年6月に一度、「日本再興戦略」を閣議決定しているからである。
  このときの臨時閣議では、経済財政諮問会議による「経済財政運営と改革の基本方
 針」(骨太の方針)と、規制改革の細目である「規制改革実施計画」も併せて決定し
 ている。
  マスコミの中には、安倍総理の「経済の好循環を力強く回転させ、全国津々浦々に
 届けるのがアベノミクスの使命だ。すべては成長戦略の実行にかかっている。成長戦
 略に聖域もタブーもない」という談話を受け「日本再興戦略」「骨太の方針」「規制
 改革実施計画」の3点を十把ひとからげにして「新成長戦略」と扱う向きもあった。
  その捉え方は、総論としては誤りではないのでよしとしよう。いや、むしろ3点は 
  相互に関運しあうし、「新成長戦略」イコール「アベノミクス第3の矢」なのだか
 ら、3点をひとまとめに見るのも分かりやすくていいだろう。
  マスコミが伝える《新成長戦略の主な施策》は次のとおりだ

 ・法人税減税(実効税率を20%台に)
 ・雇用制度改革(労働時間規制の見直し、女性の就労支援、外国人の活用)
 ・医療制度改革(混合診療の拡大)
 ・農業改革(農業委員会や農協の改革、農産物の輸出促進)
 ・公的資金の運用見直し(GPIF=年金積立金管理運用独立行政法人の運用方針
  改革)
 ・国家戦略特区(いわゆる「岩盤規制」の打破)


  こうした施策のために、予算編成や制度設計、法整備が新たに検討されてゆく。私
 がここで指摘しておきたいのは、制度設計も法整備(立法・法改正)も、その実務を
 官僚たちが担うということである。官僚=霞が関の主導であるからこそ、「第3の矢」
 が脆くならざるを得ないのだ。
  官僚主導による成長戦略の欠陥については次章で詳しく検証するが、その脆弱性を
 浮き彫りにする意味でも、まずは金融政策と財政政策、「2本の矢」を概観してゆき
 たい。

                         ■ 日銀の政策が変化した理由

   2013年3月20目に第31代日本銀行総裁に就任した黒田東彦氏は、翌月の日銀金
  融政策決定会合で「量的にも質的にも、これまでとはまったく次元の違う金融緩和を
  行なう」と明言し、マネタリーベース(資金供給量)を2年間で2倍に拡大する金融
  政策を導入した。アベノミクスの中核「第1の矢」として、目本の金融政策は大きく
  変わった。
  すなわち2%のインフレ目標がしっかりと定められた。それまでの日銀はインフレ
 目標を否定的に考え、結果として金融政策に失敗していたのだから、黒田総裁の蛍八
 次元緩和〃はそれを一変させたという意味においても、日銀としては画期的なことで
 あった。
  これで日銀は、周回遅れながら、ようやく世界の中央銀行に並ぶことができたと言
 える。このアベノミクス「第1の矢」=大胆な金融政策は、高く評価してよい。
 「第1の矢」を放ち、日本の経済状況はどうなったか。一定の客観的データで裏づけ
 るために、黒田総裁の就任からちょうど1年後の2014年3月末時点に立ち返り、
 1年間の期限を区切って金融政策の実績を見てみよう。
  まず日銀は、2013年4月の「経済・物価情勢の展望」(いわゆる「展望リポー
 ト」。4月と10月の年2回、金融政策決定会合を経て日銀政策委員が発表する)で、
 2013年度(2013年4月1日~2014年3月31日)の経済見通しとして、次
 のように発表した。

 

  ・実質GDP 2・4%~3・O%(中央値2・9%)
  ・生鮮食料品を除く消費者物価指数 O・4%~O・8%(中央値O・7%)

 
  どちらの数字も対前年度比の成長・上昇率を示している。
  そこで実質GDPだが、2013年4月~6月期から10月~19‐月期までの3四
 半期の平均は2・O%だった。このとき私は、2013年度の実質GDPは2・3%
 程度だろうと予測したのだが、やはり2014年4月、2・3%という結果が出た(
 内閣府「国民経済計算」)。つまり日銀が1年前に見通した数字には、やや達しなか
 ったことになる。
  一方、消費者物価指数については、2013年4月から2014年1月までの10
 カ月の平均がO・7%で、日銀見通しの中央値と一致。さらに2013年度通年では
 全国平均でO・8%となり、高めのほうの数字が確定した(総務省統計局が2014
 年4月25日に公表)。
  総じて言えるのは、実質GDPには下振れがあるが、物価は許容範囲内だろうとい
 うことだ。前述のように日銀はインフレ目標を掲げている。だからそれに忠実に、し
 かも形式的に目標達成だけを考えていればよい。そうした意味で、この1年間の日銀
 の金融政策は及第点であろう。
  ちょっと難しい話になるが、このことは物価連動債から見た予想インフレ率(BE
 I/Break Even Inflatio rate ブレーク・イーブン・インフレ率)からも分かる。
 2014年3月末時点のBEI(5年物)は2・4%程度。消費税増税の物価上昇寄
 与分はO・6%~1・O%程度と推計されたので、これを引くとインフレ率は1・4
 %~1・8%程度となる。やはり物価面では及第点にあることが窺えるのだ。


                         ■ インフレの予感と実質金利

 「まえがき」でも指摘したように、マクロ経済政策である金融政策と財政政策は抽象
 度が高く、一般には難解な代物である。金融政策が効くかどうか、あるいは効いてい
 るのか、実際のところよく分からない。
  ひとつ言えるのは、日銀が金融政策で「資金供給量を増やす」(マネタリーベース
 を2倍にする)とアナウンスすれば、予感として誰でも「インフレになりそうだな」
 と思いはじめるということだ。インフレ=金利上昇を予感する。ただしひと口に「金
 利」と言っても、金利には「名目金利」と「実質金利」があることを理解しておかな
 ければならない。
  名目金利とは、預金金利や債券の表面利率などのことだ。この名目金利から予想イ
 ンフレ率を引いたものが実質金利である。
  金融緩和のアナウンスに接し、「インフレになりそうだな」と思っても、このとき
 はまだ名目金利は上がらない。実はそれに対して、実質金利は下がるのである。実質
 金利が下がれば、経済理論から、為替が安くなるとともに「消費」と「投資」と「輸
 出等(投資収益)」が増えるということが証明されている。その消費・投資・輸出等
 の増加へ至る過程で、株価も高くなる。
  すなわち実質金利が下がると、副産物として株高・円安が見られるのだ。事実、ア
 ベノミクス「第1の矢」で日経平均は上昇し、外国為替相場は円安に振れた。また金
 融緩和を実行すると、少し時間はかかるものの、結果的にGDPは上がり、インフレ
 で失業率は下がる。
  こうした意味でも「第1の矢」は、政策的にミスはなく、たしかな効果があったと
 言えるのだ。


       高橋洋一 著 『「成長戦略」の罠―「失われた20年」は、さらに続く』

                                                                この項つづく

 

 

 

 

 

続・真菰筍解体新書

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   Wild Rice Salad with Asparagus and Baby Corn

 

■ 続・真菰筍解体新書

● マコモは捨てるところがない

最近、耕作放棄地だった田んぼを再利用してマコモを栽培する農家が、全国的に増えてい
る。その理由として、耕作放棄された田んぼを再利用する際に、米から転作する農作物と
して「手間がかからない、環境にやさしい、食べておいしい」作物であるという。 もう1
つマコモはイネ科の多年草だが、池や湖沼にも自生するが、雑草系マコモの茎は肥大化し
ないという特徴がある上に、葉はしめ縄やムシロを編むほか、畑のマルチング(地表を稲
わらやビニールシートなどで覆うことで温度調整、水の蒸発の抑制、害虫対策)にも使わ
れ、さらに、葉や根には殺菌効果があり、ネットに入れて風呂に沈めておくと水が腐らな
く、マコモが窒素やリンを吸収して水質悪化を防ぐ効果もあるし、実はワイルドライス(
穀物)として収穫されるという――(1)耕作放棄地や休耕田を利用して転作できる(2)
葉から根まで捨てるところがないエコ作物(3)水をきれいにする働きがある(4)稲作
と違って田んぼの水を抜かないので水棲生物が増える(5)無農薬で栽培できる(6)栽
培に手間がかからない(7)おいしくて、さまざまな料理に使える7つの特徴をもつとい
う(2012.03.31「愛が地球を救うように、マコモが耕作放棄地を救う」)。



● たまには熟っくりと本を読もう

高橋洋一著 『「成長戦略」の罠―「失われた20年」は、さらに続く



この項では、リーマンショック前後の小泉政権からの著者の経験が多く語られており、
へぇ~、そんなことがあったのだと、自分の似たような経験を記憶から探し出し重ね合
わせみたりするが(例えば、協力企業への資材コスト削減要求を「やり過ぎてはいけな
い――実際はやり過ぎてしまったことを間接的に忠告され、経済活動には"匙加減"が必
要なのだと悔やんだことなど)――財政再建のために必要なのは、増税ではなく「名目
経済成長」なのである。このことは、過去のデータから一目瞭然だ――との核心にすべ
てが集約されるのだが、それがまた、財務省の「不都合な真実」を炙り出すことに繋が
ることになる。


                        第1章「3本の矢」は、そろわない

                      ■ 官僚主導を覆した日銀総裁人事

  私が「第1の矢」を評価するのは、経済データ上の効果からだけではない。「霞が
 関を敵に回した男」(私のこと)としては、政治家と官僚組織の関係という側面から
 も「第1の矢はよかった」と断言する。それは安倍総理の日銀総裁人事である。
  ご承知のとおり、日銀の正副総裁と6人の審議委員は、衆参両院の議決を経て内閣
 が任命する(国会同意人事)のだが、こと総裁人事に関しては、歴代総理は必ず日銀
 官僚(日本銀行も官僚の集団である)の意見を取り入れてきたという歴史がある。と
 ころが安倍総理は黒田氏を起用するにあたって、日銀官僚の意見をまったく聞かなか
 った。総理として初めてのことだった。
  私が知るところでは、安倍氏は自民党総裁選(2012年9月)のころから「大胆
 な金融政策が必要であり、そのために適した日銀総裁を任命しなければならないと 
 いうことを承知していた。その安倍氏が政治的に勝利を収めたので、黒田氏の人事と、
  かつてない金融政策が実現したわけである。
 
  これがもしも、安倍氏ではない総理が日銀官僚の意向を受け、総裁人事と金融政策
 を"日銀任せ"にしていたら、どうなったか。結果は言わずともお分かりだろう。
  前著『官愚の国』で指摘したように、日本の官僚は「無謀性の神話」に胡坐をかい
 て、とにかく自らの間違いを認めない。そのうえ「今までやってきたことは絶対的に
 正しい」という前例踏襲主義の人たちだから、変わることができない。つまり政策を
 官僚に任せている限り、「私たちのやっていることは正しい」と言いつづけるため、
 アベノミクス「第1の矢」のような政策は出現しない。

  本来なら政治家が官僚に対して「まあ、そんなことを言わないで。前例にないこと
 でも、俺の責任で変えてあげるよ」と言わなければいけない。それが政治主導でもあ
 るのだが、この国では政治主導ができず、政治家が官僚の前に屈するのが当たり前だ
 った。
  この官僚主導の構図を、安倍総理は日銀総裁人事をきっかけに、上手にひっくり返
  した。「第1の矢」を私が評価する所以である。


                 ■「第1の矢」の首を絞めかねない「第2の矢」

  では「第2の矢」である財政政策のほうはどうか。財政政策とは国が歳入・歳出を
 通じて行なう経済政策のことだが、平たく言えば、金融緩和をきちんと実行していれ
 ば財政政策も効いてくる。だからきちんと予算を組み、粛々と行なえばよい。
  アベノミクスの1年目は、前述した金融政策の効果もあり、経済政策(金融と財政)
 総体としてはよかった。ところが、2年目(2014年度)は消費増税というまった
 く逆効果の政策に手をつけてしまった。「金融緩和をすれば財政政策が効く」と書い
 たが、消費増税をすると、マイナスという意味で""効いて"くるのだ。
  効果にはプラスもあればマイナスもある。金融緩和しながら消費税を増税するとい
 うことは、プラスとマイナスを一緒に行なうようなもので、愚策である。
  なぜ、こんなことになってしまったのか。消費増税の本丸、財務省は錦の御旗のご
 とく「財政再建のための消費増税」と言っている。しかし、それは論弁である。
  旧大蔵省時代から、財務省は歴史的に「財政再建」を立派な目標に掲げてきた。財
 政再建自体はどの国も掲げているし、中には憲法の条文に盛り込むところまである。
 ただし、財務省が言う「その手段としての増税」というのが論弁であり、はっきり言
 って真っ赤な嘘なのだ。
 
  時間を遡って見てみよう。政府が2014年度予算案を閣議決定したのは2013
 年12月24日である。一般会計の総額は95兆8,823僚円で過去最大となった。当時のマ
  スコミ報道は、予算案の概要を伝えつつも、すでに「財政再建のための消費増税」を
 織り込んでいた。
  私の経験則で内幕を明かすと、マスコミが年末の時期に報じる予算関連のニュース
 は、ほとんどが「予定原稿」なのだ。テレビであれ新聞であれ、「経済部」の記者は
 国家予算に関する知識をほとんど持ち合わせていない。国民からすればまことに不思
 議なことだが、事実だから仕方がない。そうした記者たちに対して財務官僚が一度に
 多くの予算内容をレクチャーしても、記者が消化不良を起こしてしまい、満足に記事
 にできないのである。
  それでどうするかと言えば、役所(財務省)があらかじめ記事にできそうなところ
 を資料にまとめ、「記事原稿資料」として「解禁日時つき」で記者たちに渡しておく
 のである。経済関係の記者は、その資料に基づいて記事を書き、解禁日を待って報道
 する。要するに、年末の予算ネタは、"官製広報"の垂れ流しにすぎないのだ。
  2013年末の新聞各紙を見てみるとよい。どのマスコミも、2014年度予算案
 を《消費増税などによる家計の負担増に対して、それを軽減する対策》と位置づける
 構成になっている。それに続けて、"役所寄り"と思われる有識者による《歳出の切り
  込み不足》(財政再建は不透明)といった論評が載る。ステレオタイプの記事ばかり
 であった。
  そもそも、増税が財政再建に寄与するかどうかは、シンプルな命題である。すなわ
 ち、

  ・景気がよければ、財政再建の効果はある。
  ・景気が悪ければ逆になる。

 たったこれだけのことである。 

  もっと本当のことを言うと、景気のよいときには税収が上がっているのだから、増
 税をする必要などない。以上の意味で、増税は財政再建にプラスの効果をもたらさな
 い。普通に考えても分かるだろう。
  それでも日本のマスコミは「消費増税は財政再建のため」という財務省の論弁を無
 批判に受け入れ、さらには同調し、官製広報を流しつづけた。
  私は著書やデジタルメディアのコラムなどを通じて何度も警鐘を鳴らしてきたが、
 ここであらためて言おう。消費増税は財政再建のためではなく、ひとえに財務省とい
 う官僚組織の権限拡大を目的としたものなのだ。財務省官僚が予算総額を膨らませ、
 お金を自由に差配できるようにするための増税なのである。
  お金を差配できる権限を「歳出権」と呼ぶ。「歳出」とは、家計で言えば「支出」
 のことだ。すなわち「増税は財政再建ではなく歳出権拡大のため」なのである。こう
 いう視点で見れば、増税による経済対策は歳出権拡大の実践であって、財政再建が遠
 のいても当然の話となる。


                          ■ 財政再建は「建前」なのか

  私は1980年に財務省(当時は大蔵省)に入省した。同期23人のうち、唯一の理
 系出身(数学科)という"異分子"で、官僚になったのも「大学の同級生が国家公務員
  試験を受けるから、自分も受けてみようかな」程度の動機からである。まあ、まった
 くの偶然で財務省に入ったようなものだ。
  そんな私も予算編成に関わる仕事をする時期があった。あるとき、当時の幹部から
 言われたことを思い出す。
 「高橋くん、君は数字に強くてとても優秀だが、ひとつだけ分かっていない」
 何のことかと首を傾げていると、その幹部は、
 「(予算を)本気で削るな。相手が頭を下げに来る程度でいい。そこで予算をつけれ
 ば感謝されるから」
  それでは財政再建はどうするのですか? と私が聞いたところ、
 「重要な建前だ」
  と、かわされてしまった。

  財務省の庁舎にいると、いろいろな記者がやって来るのが見て取れる。もちろん彼
 らは遊びに来ているわけではなく、目的は取材(情報収集)である。ただし全員が
 「増税は財政再建のため」という「建前」を信じ込んでいる人たちだ。おそらく、そ
 の建前に疑問を感じる記者は、「財研」(財政研究会。財務省の記者クラブ)にはいら
 れないのだろう。
  前項で紹介した「解禁日時つきの原稿資料」は、財研に加盟する記者しか人手でき
 ないことになっている。だから「増税は財政再建のため」という「踏み絵」を、多く
 の記者は何の疑問もなく踏むし、万が一疑問に思ったとしても、記事を書くためには
 踏まざるを得ない。
  後述するが、財政再建のために必要なのは、増税ではなく「名目経済成長」なので
 ある。このことは、過去のデータから一目瞭然だ。 


                  ■ 財務省にとっての「不都合な真実」とは?

  私はかつての小泉純一郎政権時代、政権運営に関わっていたが、そのときの体験も
 「財政再建のための増税」が真っ赤な嘘であることを示している。
  小泉氏は政治家としての勘が非常に優れていた。そして「自分の任期中は消費増税
 をしない」と言い切った。その一方で、官邸スタッフには「財政再建はよろしく」と
 も伝えていた。この言葉を耳にして、財務省から官邸に出向していた官僚が憤慨して
 いたことを覚えている。それは、増税なしでは財政再建などできないと思い込んでい
 たからである。
  私は元より、増税しないほうが財政再建は簡単にできると考えていた。
 「増税する」と言い出せば、予算上の歳入(家計なら収入)が膨らむ。それは誰の目
 にも明らかなので、各省庁の予算要求も膨らむ。すると、膨らんだ要求をなかなかカ
 ットできなくなり、結局、財政再建が遠のくと思っていたからだ。
  反対に「増税しない」と言えば、歳出要求は収まり、財務省は概算要求シーリング
 (要求上限)を低く設定できる。となると歳出総額は抑えられる。当時は現在ほど大
 胆ではないにしても、日銀が量的緩和策をとっていたため、円安になって経済成長が
 でき、それで税収も上がる。その結果、財政再建は容易になる。 

  前者(増税する)と後者(増税しない)の違いは、単に「事前の予算上の歳入を増
 やす」か「事後的な決算上の歳入を増やす」かの違いである。「増税」と「増収」の
 どちらを目指すかと表現してもいい。私は、財政再建を目指すなら増税より増収だと
 考えていただけである。と同時に、歳出権の拡大を目指すなら、増収ではなく増税に
 なることも、財務省での経験から知っていた。
  小泉政権では、小泉氏の「消費増税しない」発言が裏付けるように、本当の意味で
 財政再建を目指していたと言えるだろう。この方針に対し、財務省は消極的だったの
 で、やはり財務省の本音は歳出権拡大なのだと私は確信した次第である。
  2001年4月に発足し、2006年9月までの5年半にわたった小泉政権だが、
 増税なしの財政再建の成否はどうだったか。
  基礎的財政収支(プライマリー・バランス。税収など正味の歳入と、国債償還費と
 利払いを除いた歳出の収支。家計で言えば借金。利払いを除いた収入と支出の釣り合
 い)で見ると、その赤字幅は政権発足時の2002年度に28兆円もあったのが、20
 07年度には6兆円にまで縮小した。リーマンショック(2008年9月)がなけれ
 ば、日本は2008年度にも財政赤字を解消し、財政再建を達成することができたと
 思う。
  これは「歳出権拡大」を目論む財務省にとって「不都合な真実」となった。そのせ
 いか、財務省は「小泉政権時代に、これだけの財政再建のパフォーマンスがあった」
 とはマスコミにレク(レクチャー)しようとしない。したがって記事にもならなかっ
 たのである。


       高橋洋一 著 『「成長戦略」の罠―「失われた20年」は、さらに続く』

                                                               この項つづく

 

 

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