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再エネ先進国モンゴル

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     幸福な家庭はどれも似たものだが、不幸な家庭はいずれもそれぞれに不幸なものである。   

                         トルストイ著 『アンナ・カレニーナ』

                                                                                                                                                                                                             Sep. 9,1828 - Nov. 20, 1910

 



【滋賀産鮎煮干しラーメン】

鮎ラーメン開発はこのブログのテーマ1つであったが、3年前?ほどから関東で 鮎ラーメンが販売され
ている模様(現地試食したことはない)。元々のモチーフは、滋賀の名産品(食品)といえば、鮒寿司
焼き鯖、近江牛、赤こんにゃく、日野菜漬、瀬田シジミ、糸きり餅、でっち羊羹、焼きサ鯖そうめん、
うばがもち、伊吹そば、バームクーヘン豚、三井寺力餅、鮎の佃煮、日野菜着け、ビワマス、赤丸かぶ、
北之庄かぶ、水口かんぴょう・・・ と地味である。小鮎や養殖鮎が生かせないかと考えた上での設定。そ
れが、他府県に先を越された格好としまりのない話になっている。そんな時、焼きあご塩らー麺「たか
はし」が火を付けたとされるあごに煮干しの話題が飛び込んでくる。飛び魚はわたしの好物で、10年
以上前に、6月の飛び魚の刺身を食べに屋久島に出かけたのだが天候が悪く実現しなかったほどで、幼
少のころ甲子園沖合の飛び魚の銀鱗を眺めていたものだが小さい頃からの好物。

  焼きあご塩らー麺 たかはし

そのあごだしは、九州では飛魚のことをあごと呼び、焼いて乾燥させたものをだしとして使う。一説で
は、「あごが外れるほどおいしい」ことからこの呼び名になったとも。長崎県など北九州を中心に獲れ
る魚なので、この地域では新鮮なものは刺身でも食べる。あごだしの用途は多岐に渡るが、麺類のつゆ
や和風料理に深みを与えると言われて重宝され、九州エリアでは最高級のだしとして、お正月に食べる
お雑煮などにも使われる。また、中華料理の隠し味に使われることもあり、現在では「あごだしラーメ
ンは絶品」と巷で話題。あごだしラーメンを食べた人の感想を見ると、かつお節・煮干し・ハマグリや
アサリなどの貝のだしを混ぜたような味という感想。昆布とかつお節のだしの味に慣れている人は、は
じめてあごだしを口にするとその味の違いに驚く。 焼きあごを使っただしの味は、「上品ですっきり
とした甘みがあり、深いコクと旨みを感じられる味」と言われている。その他の魚の煮干しとは違い、
おすましにも使えるほど臭みやにごりがないだしがとれるのが特徴だ。このように上品であっさりとし
た味わいでありながら旨みとコクは深いので、お吸い物やだし巻き、煮物などをワンランク上の味にし
てくれます。この他にも、鍋料理やラーメン、うどんのつゆや天つゆなど様々な料理に使えるだしなの
で、ストックしておくと便利だとか。



焼きあごや焼きあゆの煮干しのうまみ成分を分析したことも、データも見たこともないが、干し貝など
の味がする感想を見る限り、イノシン(5'-IMP)を主成分にグルタミン酸のほかに微量のコハク酸
が検出される可能性がある。小鮎(成長した鮎)を焼き煮出しで出汁を取り、、焼き豚や焼き鮎、干し
鮎を乗せ、糸切りネギを入れ、極少量のハーブスパイス(山椒の若芽など)やオリーブオイルを添える
と絶品の醤油系、豚骨系のご当地ラーメンが完成する。

    

焼豚も、豚肉スライスと鮎の魚肉をハサミロール上に巻き上げ、豚肉が硬化しないように加圧加熱し、
うま味を閉じ込め、焼肉のバリエーションを工夫しても面白いのではないだろうか。ところで、わたし
の身体が悪くなったら代わりに食事を作って欲しいと彼女が突然言うので、ひとつ返事で快諾する。料
理には、根拠がないが変な自信がある。 

 




【RE100倶楽部:再エネ先進国モンゴル】

9月9日、ソフトバンクの孫正義社長は、都内で講演し、モンゴルの風力発電所で作った電力を日本へ
送る構想について、事業性を調査したところ「技術的にできる。石炭火力よりもだいぶ安く(日本へ送
電でき)いけそうだ。採算あり」と手応えを語る。「2020年にはほんの少しでも、(日本とモンゴ
ルの電力網が)つながっていたい」と実現に向けて決意を語った(「モンゴルから日本への送電、「技
術的にできる」-ソフトバンク孫社長」日刊工業新聞 電子版 2016.09.10)。その孫正義社長が率いる
ソフト・バンクエナジー社は、9月28日、モンゴルの Clean Energy Asia LLC社が国際協力機構(JIC
A)と欧州復興開発銀行(EBRD)とともに、モンゴル国ウムヌゴビ県ツォグトツェツィー郡での出力規
模5万キロワット(50メガワット)の風力発電所建設プロジェクトにかかる融資契約を締結している。

再エネ発電は風力と太陽光として、送電は無線/有線が考えられるが地下ケーブル(できれば、送電損
失のない超伝導電線)で送電するとして、問題は蓄電方式。1つは、リチウムイオン電池やNAS蓄電
池などの蓄電池方式と水素貯蔵方式の2つが考えられるが、後者は、輸送基地が駆歩できれば、船舶で
消費地で輸送し燃料電池で再発電できる(下図の固体高分子型水電解水素発生装置はブログ掲載済み)。

 

折しも、9月29日、東芝、東北電力、岩谷産業の3社は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術
総合開発機構が公募した「水素社会構築技術開発事業/水素エネルギーシステム技術開発」に共同提案
し委託事業として採択を受けたことを発表。今回の事業は、福島県内を実証エリアとして、水素の貯蔵・
輸送・利活用までを含めた水素エネルギーシステムの構成と仕様を検討し、事業可能性を調査する。具
体的には、再生可能エネルギーを中心とした電気を活用し、福島県内に「世界最大規模」という最大1
万キロワット(=1メガワット)級の水素製造装置を設置する。そこで水素を製造し、電気系統の安定
運用に貢献するシステムを検討する。製造した水素は、水素発電装置により、電力系統の調整力とし
て活用するほか、液化して東北エリア内外へ供給することを想定する。新たな制御システムは、「水素
エネルギー運用システム」、「電力系統側制御システム」、「液体水素需要予測システム」の3つを協
調することで、水素製造量と水素発電量、水素ガス供給量の最適運用を目指す(なお、同事業の検討結
果は17年9月までにまとめる予定)もの。今、再エネ先進国をめざすモンゴルが熱い。アジアスーパ
ーグリッド構想が動き出す。 

【折々の読書 齢は歳々にたかく、栖は折々にせばし】    

   Jun. 26, 2016

 

● 朝日新聞「迫る2025ショック取材班」

          『日本で老いて死ぬということ』3 

  [目次]

   はじめに

   第1部 日本で老いて死ぬということ

  第1章 生きがいの喪失と回復
  第2章 難しい「平穏な在宅死」
  第3章 口から食べたい
  
  第2部 介護の現実~在宅・施設それぞれのリアル

   第4章 三人介護
  第5章 遠距離介護
  第6章 ダブルケア
  第7章 虐待を防ぐ
  第8章 在宅でみる 
  第9章 訪問看護師の力
  第10章 特養で看取る

  第3部 老いは地域社会で見守れるか

    第11章 地域で暮らす
  第12章 コミュニティ再生
  最終章 未来へつなぐ

  おわりに

  第1章 生きがいの喪失と回復

    役割得て回復

  生きがいを見いだし、うつから回復した人もいる。横浜市西区の男性(80)は2001年、協腹
 に痛みを覚えた。いくつかの病院を回ったが、異常は見つからない。「自律神経失調症」との診断
 だった。2003年、男性を診た精神科医の三木和平医師は「仮面うつ病一を疑った。
  男性は抗うつ薬を飲むと、痛みもとれてきた。2010年ごろに現役を引退した後は、地元の老
 人クラブの役員になり、地域の清掃活動などをしてきた。「退職後は不安だったが、老人クラブの
 仕事を阿て、心の支えになった」
  2015年4月には老人クラブの会長として、約70人の会員のトップに立った。すると数カ月後、
 いったん改善したうつが再発した。抗うつ薬を増量し、症状は改善した。三木医師は「老人クラブ
 に入ったことが、うつの改善に役立った一方で、会長になって心理的な負担が増えてしまった。適
 度な役割をもつことが大切だ」と話している。

    増える「孫離れうつ」

  高齢者のうつ病に詳しい北里大学北里研究所病院精神科の高橋恵医師によると、高齢者のうつ病
 は、大きく(1)以前にうつ病の既往歴があり、老年期に再発する(2)老年明に初めて発症する
 の2ケースに分かれる。(2)のきっかけで多いのが、失業や退職、配偶者の死などの「喪失体験」
 だ。
  ここ数年目立ってきたのが、「孫離れうつ」ともいえる現象だという。両親が共働きのため、孫
 の面倒を見ていた祖父母が、孫の成長とともに役割を失い、うつになるパターンだ,
  80代の男性患者は、両親の代わりに、孫の幼稚園への送り迎えをしていた。ちょうど仕事を退
 職して、孫の世話に生きがいを見いだしていた。ところが、孫が小学校に入ると、気分の落ち込み
 がひどくなり、高橋医師のもとを受診した。
  70代の女性患者は、娘と2凹帯住宅に住み、孫の世話をすることに生きがいを感じていた。だ
 が、中学生になると、「うざい!」「お前なんか出ていけ!」などと言われるようになり、うつ状
 態になった。

  一方、うつ病だった70代女性は、孫が大学生になったとき、同居するようになった。弁当を作る
 など、孫の世話をするという役割を得て、うつも回復してきたという。
  こうした「孫離れうつ」の予防について、高橋医師は「孫だけに気持ちを集中せず、スポーツを
 楽しんだり、地域社会と交流したり、興味を分散させた方がいい」と助→ぱする。
  さらに高橋医師は「今後、独居高齢者の増加とともに、『孤立うつ』が問題になるだろう」と警
 告する。「独居の患者さんで、健康風呂に通ったり、友達と一緒に住んだりするようになって、元
 気になったケースもある。抗うつ薬の適正な使用だけでなく、独居の人を地域で支える仕組みづく
 りが大凶になる」

  また高齢者の場a、若年層に比べ、精神科の受診につながりづらいことが多いようだ。神奈川県
 精神神経科診療所協会副会長を務める長谷川洋医師は「特に男性の方は、精神科に抵抗感があり、
 自ら受診しない傾向がある。また高齢者の場合、体の痛みや違和感などにうつ症状が出ることが多
 く、メンタルな病気とは思いにくい。体に痛みなどがあって、検査しても賢常がない場合は、精神
 科を受診してほしい]と話している。
  長谷川医師らは、高齢者のうつ病の特徴として、①身近な人や役割の喪失による発症が多い、②
 「老老介護」のストレスが引き金になりやすい、③体の痛み、めまいや耳鳴りなど身体症状に出る
 「仮面うつ病{が多い、④心配性で体の症状を気にしすぎる「心気的」な傾向が強いごj・不安や
 焦燥感が強い、⑥妄想を抱きやすい、⑦認知症と見分けるのが難しいこともある、などを挙げてい
 る。

   「生きがい感じる」が8割 60歳以上

   高齢者は、「生きがい」についてどう感じているのか。2014年版「高齢社会白書」によると、
 60歳以上の高齢者の約8割が「生きがいを感じている」と答えた。「十分に感じている」と「多
 少感じている」が、各4割だった。男女別にみると、男性が79・8%で、女性の83・2%に比
 べ低かった。
  また、ソニー生命は2013年に、50~79歳の男女1000人にインターネットで「シニアの生
 活意識調査」を実施した。「生きがい」と「やる気の源」について尋ねたところ、「(旅行など)
 趣味」(61・1%)がトップで、「パートナー(妻・夫・恋人)」(43・9%)、「夢・志」
 (27・3%)などの回答があった。「ペット」と答えた人も10・6%いて、ペットがシニア世
 代にとって大切な存在であることが浮き彫りになった。
  具体的な中身を尋ねると、「日本一周鉄道の旅」(70代女性)といった回答のほか、「語学の
 学習を通して視野を広げたい」(60代女性)など学びを深めたい志向、「介護ボランティアとして
 社会に貢献したい」(60代男性)といった思いが現れた。「人切に思うもの」を尋ねた結果、「社
 会貢献」と答えた人は10・1%。年代・性別にみると、60~70代男性が15・2%で、50
 代男性の6・O%に比べ、約9ポイント高かった。同社では「仕事の第一線を定年で退くに際して、
 社会貢献を考える機会を得ているのかもしれない」と分析している。


   ペットが生きがい

 「チロ、こっちこっち]。神奈川県横須賀市西部の山あいにある特別養護老人ホーム「さくらの里
 山科」。2015年12月、山ロ宜泰さん(82)が手押し車を押しながら、愛犬チロ(オス、9歳)
 の散歩をしていた。
  「山科」はペットとともに入居できる介護施設。約40人の入居者は、犬6匹、猫10匹と一緒に
 暮らす。入居者が連れてくるほか、殺処分されそうな犬や猫を施設が引き取っている。散歩やエサ
 やりは、介護職員やボランティアが担う。
  山口さんは、30年ほど前から、順にポピー、リョウ、チロという3匹の犬を飼ってきた,199
 5年、妻の節子さん(享年58)を難病で亡くした。ショックにうちひしがれる山口さんを元気づけ
 たのが、リョウだった。1日数回、散歩に連れ出すことで、つらい気持ちが少し紛れた。「もし、
 リョウがいなかったら、父は一日中、だれとも話さなかったかもしれない一と長女の泰子さん(54)
 は振り返る。

  2007年には、長男の達也さん(享年43)をがんで失った。しばらくして、リョウも亡くした。
 泰子さんは「また、ワンちゃんを飼った方がいい」と山口さんに勧めたが、「もう年なので、犬が
 残ったら困る一と承諾しなかった。
  半ば強引に知り合いのブリーダ’-のところに連れて行くと、山ロさんはチロに一目ぼれ。家族
 の一員になった。チロは社交的な性格で、みんなが寄ってくる。おかげで、近所に「散歩仲間」が
 たくさんできた。

  2015年5月、山ロさん自身を病魔が襲った。脳梗塞で倒れて入院。数カ月後、入院中の検査
 で咽頭がんが見つかった。手術は難しい状態で、医師から「余命半年」と言われた,痛みなどをと
 る緩和ケアに移行することを選択した。
  病院では、チロと離ればなれでつらそうだった。「ペットと一緒に住める介護施設はないか」。
 泰子さんは、病院などに聞いたが、「そういう施設はありません」。地域包括支援センターに問い
 合わせると、山科を紹介してくれた。

  いま、山口さんは穏やかな生活を送る。痛みもあるが、チロが癒やしてくれるという。「子ども
 以上の存在です。酒を飲みながら、チロとしやべって、テレビを見るのが一番の幸せ」。チロを抱
 きながら話した。
  業界団体の推計で、飼われている犬猫が2000万匹を超えるとされる日本で、ペットを生きが
 いに暮らす高齢者は多い。だが、自分で附話ができなくなるため、やむなく手放すケースもある。
 神奈川県の調査では、保健所が犬を引き取る理由の約3割は、飼い主が高齢などで病気になったり、
 亡くなったりすることだという。
  山科のように、ペットと暮らすことができる老人ホームは全国でも珍しい。若山三千彦施設長は
 「お年寄りに最期まで人生を楽しんで頂くというのが私たちの理念,ペットとともに、幸せな時間
 を過ごしてもらえれば」と話す。チロが残されても、山科で終生面倒をみるという。


  信仰が支えに

  宗教や歌を支えに生きるお年寄りたちは、少なくない。難病を患い2015年9月に亡くなった
 大沼美智子さん(享年71)と、夫の成彬さん(80)夫妻の心のよりどころになったのは、キリスト
 教と賛美歌だった。
 「Amazing gracc! How swcct thcsound!(素晴らしき神の恵み、なんと甘美な響きよ!)」。201
 5年7月の午後、房総半島を望む神奈川県横須賀市の団地にある大沼さん夫妻の自宅に、賛美歌「
 アメージング・グレース]の調べが響いた。音楽療法士の佐藤由美子さん(38)が、大沼さん夫妻
 のために、ギター片手に賛美歌を歌っていた。成彬さんが一緒に口ずさむ,2人が大好きなエルピ
 ス・プレスリーの「ラブ・ミー・テンダー]も歌った。ベッドに横たわる美智子さんも、時々笑顔
 で口ずさんだ。

  成彬さんは、美智子さんが亡くなるまでの13年間、在宅で介護を続けてきた。介護疲れを心配し
 た在宅医の千場純医師(66)が、米国で音楽療法士として活躍した佐藤さんを呼んだのだ,201
 4年末から3度の機会を持った,「介護する側、される鯛ではなく、本来の夫婦関係に一瞬でも戻
 れたら、うれしい」。佐藤さんは言う。
  結婚して5年、美智予さんが27歳の時に「全身性エリテマトーデス」という難病を発症。徐々に
 全身が弱り、2000年ごろから歩けなくなってきた。成彬さんは2002年、介護のために中小
 企業診断士の仕事を辞めた,

  美智子さんはもともと熱心なクリスチャンだった。体の自由が利かなくなった後は、成彬さんが
 教会に付き添った。週1~2回、教会の友達が自宅に来て、聖書の勉強会を開いてくれた。聖書に
 線を引き、解釈などの書き込みをした。成彬さんは、そうした美智7.Jさんの信仰の強さに心を動
 かされ、自身も洗礼を受けた。
  2002年、腸に穴が開き緊急入院,その後、亡くなるまで入退院を11回繰り返した。201
 5年2月の入院後には体力が急速に衰え、ベッドに寝たままの生活になった。そんな中でも、愚痴
 を言ったり、荒れたりすることはなかった。「信仰の力でしょうね。死ぬことを全然怖がっていな
 かった」と成彬さんは話す。

  一方、介護を続ける成彬さんの心身は、限田作に近づいていた。「背中が痛い」と言う妻の背を、
 さすり続けた,数日おきに、人工肛門の交換もした。「地面を踏んでいない感覚で、フワフワして
 いた」。そんなとき、佐藤さんの音楽療法を受けた。
  2015年8月、美智子さんの容体が悪化し、市内の病院に入院。「悪魔がいる。怖い」とガタ
 ガタ震えた。「神様(のお迎え)は遅い」と珍しく不満を口にした。意識がもうろうとしてきた。
 本人は「絶対、家で死にたい」と言っていた。最後は、自宅に戻り息絶えた,穏やかな表情だった。

  成形さんは連れ合いを亡くして1カ月は、何をするのもいやだった。「家に帰って「ただいま」
 と言って、だれもいないとわかるとつらい」。そんなときは、美智子さんの遺影に語りかける。2
 015年夏に撮ったベッド上の写真と、新婚のとき鎌倉で撮ったかれんな写真に。
  同年10月から、教会で始めた不登校の子どもら向け「居場所カフエ」に関わるようになった。
 若者から「怖くて電命に乗れないから、教会まで行けない」と相談を受けると、「大丈夫だ。頑張
 って来い」と励ました。子どもがいない成彬さんは、時に優しく、時に厳しく助言する。
 「これも私にQえられた役割。神のおぼしめしだと思う」。愛する妻を失って半年,成彬さんは信
 仰を支えに、新たな道を歩み始めている。


障害者やターミナル高齢者のやまゆり圏殺人事件、大口病院事件などの報道に接すると不気味で、気味
悪さを感じてしまう今日この頃、前者では犯人がヒトラーの『我が闘争』の本を読んでいたとの情報も
あるが、よほど注意をしてかからない限り理解そして了解ができないぞ!と考え込んでしまう。この本
を読み進めるなかで、本と関連付けて、あるいは単独に思いついたことを書き認めていこう。

                                       この項つづく                                          

   ● 今夜の一冊     

 


ウエルカム・シベリア鉄道 Ⅱ

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                 う    し    な
                   一年の計は穀を樹うるに如くは莫く、

                 十年の計は木を樹うるに如くは莫く、

                 終身の計は人を樹うるに如くは莫し。 

                   管子|Guan-zi    

                                                                   

                                                                   管子 Guan-zi   720–645 BC

 

● シベリア鉄道 北海道まで延伸案が浮上

今月3日、日本の対露経済協力をめぐる政府間協議の中で、シベリア鉄道を延伸し、サハリンから北海
道までをつなぐ大陸横断鉄道の建設案が浮上していることが2日、明らかになった。両国間の物流だけ
でなく、観光など人的交流の活発化につながるとして、ロシア側が強く要望しているという。シベリア
鉄道の延伸計画は、アジア大陸からサハリン(樺太)間の間宮海峡(約7キロ)と、サハリンから北海
道・稚内間の宗谷海峡(約42キロ)に橋かトンネルを架けて建設する構想だ。実現すれば、日本から
モスクワや欧州を陸路で結ぶ新たなルートとなる。この構想には、プーチン大統領もかつて、「シベリ
ア鉄道を日本の貨物で満載することにつながる」と語り、低コストの大規模な輸送手段として期待感を
示したという。この延伸計画とともに、モスクワの東約800キロにあるカザンからウラジオストクま
でのシベリア鉄道高速化構想も浮上している。日本側は将来の現地生産をにらみ、車両や信号システム
、レールなど日本の技術をパッケージで売り込みたい考えだ。ロシアは中国、米国に次ぐ世界第3位の鉄
道大国。シベリア鉄道が高速化されれば、ロシア国内の経済活性化に貢献するだけでなく、日本企業の商機拡
大にもつながりそうだと伝える(SankeiBiz 2016.10.03)。

このニュースは過去、『ウエルカム・シベリア鉄道』(2012.09.25)でブログ掲載したものとすっかり
とはまでとは言わないが夢が実現すればこれほど愉快なことはない。


【折々の読書 齢は歳々にたかく、栖は折々にせばし】    

   Jun. 26, 2016

 

● 朝日新聞「迫る2025ショック取材班」

          『日本で老いて死ぬということ』4 

  [目次]

   はじめに

   第1部 日本で老いて死ぬということ

  第1章 生きがいの喪失と回復
  第2章 難しい「平穏な在宅死」
  第3章 口から食べたい
  
  第2部 介護の現実~在宅・施設それぞれのリアル

  第4章 三人介護
  第5章 遠距離介護
  第6章 ダブルケア
  第7章 虐待を防ぐ
  第8章 在宅でみる 
  第9章 訪問看護師の力
  第10章 特養で看取る

  第3部 老いは地域社会で見守れるか

    第11章 地域で暮らす
  第12章 コミュニティ再生
  最終章 未来へつなぐ

  おわりに

   第1部 日本で老いて死ぬということ

  第1章 生きがいの喪失と回復

                                              一言きっかけに『あじパーティー』

 「さあ、いつもの歌弾いて」と、スタッフの稲垣圭香さん(33)が声をかけると、小針絹子さんが
 キーボードを奏で始めた。「赤い靴はいてた 女の子」とみんなで声をへ目わせて歌い、楽しんだ。 
 神奈川県藤沢市亀井野にある「おたがいさん」は、利用者24人の小さな介護施設。「小規模多機能
 型居宅介護」と呼ばれるサービス形態で、「通い」を中心に「訪問」「泊まり」を自由に組み合わ
 せられる。16人のスタッフが、お年寄りの思いをくみ取って過ごし方を決めることで 知られてい
 る。「管理ではなく、自立の支援を大切にしている」と、運営する株式会社「あおいけあ」の加藤
 忠相社長(41スタッフのマニュアルはない,



  加藤さんは、25歳で「あおいけあ」の前身企業を起こした。現在は「おたがいさん」のほか、
 系列の「いどばた」、グルーブホーム「結]を運営する。全部で利用者45人ほどの「まちの介護
 屋さん」(加藤さん)だ。
 「おたがいさん」に通う小針さんは、かつて下宿を営み、学生の面倒をみていた。社交的で世話好
 き、施設でも、「姉御」的な存在だ。2015年9月の「あじパーティー」は、「昔はよく、アジ
 をさばいて、たたきを作ったのよ」という小針さんの一言で始まった。漁港の街、静岡県熱海市網
 代の出身。
 「じやあ、みんなに振る舞って。江の島まで買いに行こう」とスタッフが反応し、イベントになっ
 た。買い物に行く人、アジをさばく人、フライにする人、大漁旗を作る人。お年寄りが役割を分担
 し、スタッフがサポートする,「みんなが喜んでくれて、うれしかった」と小針さん。長女のけい
 子さんは「母の一言からイベントにする、スタッフのセンスがすごい」と感心する。
  高齢になっても一人で海外旅行に行くことがあった小計さんだが、2012年ごろから友人との
 待ち合わせに遅れることがたびたびあった。外出することもめっきり減った。認知症の初期症状だ
 った。

  心配したけい子さんが、知り合いの社会福祉士に相談し、紹介を受けたのが「おたがいさん」だ
 った。認知症の利用者も多いが、お年寄りの生きがいを引き出すことに心を砕く。小針さんは転倒
 して太ももを骨折することがあったが、施設に泊まり込み、リハビリのサポートを受けて回復した。
 小針さんの場合、それまで通いを中心に利用していたが、このときは集中的にリハビリするために、
 泊まりのサービスを受けた。
  小針さんの今年の目標は、「おたがいさん」の仙‥間でコーラス隊を作ることだという。「思い
 きり自分自身を表現してほしい一と管理者の飯尾えり子さん(52)。米寿の小針さんは「コーラス
 隊を実現させるまでは死ねない。発表会もしたいです」。目を暉かせた。

 
                        恋の力、80代驚異の回復

  「トヨちゃん、頑張ってI]。スタッフの椎名萌さん(23)の声を受け、井上トヨ子さん(83)
 が、全身を使って団子の粉をこねていた。小正月の2016年1月15日、14人が利用する藤沢
 市亀井野の介護施設「いどばた」。小針さんが通う「おたがいさん」の隣にある系列施設だ。定員
 が限られているため、二つめを造った。
  正月飾りや団子を焼いた「どんど焼き」を庭で終えると、部屋に入り、みんなで童謡や演歌を歌
 うことに。するとトヨさんは立ち上がり、歌に合わせ打楽器のボンゴをたたき始めた。
 「こんな元気なトヨさんも、昔は歩けなかったんですよ,でも、あることがあってから、元気にな
 ったんです」。施設責任者の小池みゆきさん(52)が、こっそり教えてくれた。

  ある男性に、恋をしたのだという。数年前、女性スタッフらとの「女子トーク」の最中、トヨさ
 んは、ぼそっとつぶやいた。「実は、いどばたに好きな人がいてね……」。トヨさんは、彼に元気
 な姿を見せたいと、歩く練習に励んだという。「彼に支えられて歩いたときは、ウハウハ顔でした」
 と小池さんは笑う,
  トヨさんを直撃した。「うん、近くに好きな人はいますよ。一人思い(片思い)だけどね」。そ
 う言うと、顔を赤らめた。「でも、今は別の人が・・・・・・。40歳ぐらい下なんですよ」
 「トヨさんは、地域の人たちにも愛されているんです」と小池さん。イベントがあると、「看板娘」
 として案内役や物品販売などに活躍する,「ありがとう、と言われるのが、何よりもうれしい」と
 トヨさん。

  茶わん洗いや洗濯物の整理なども、進んでやる。自菜漬けは本格的だ。普通に家事をしたり、買
 い物に行ったりすることが、お年寄りにとっては「生活リハビリ」るのだという。
  今は週5回、「いどばた」に通う。「休みの日も行きたくてね。毎日が楽しくてしょうがない」
 とトヨさん。同居する長男の幸夫さん(54)によると、休みの日は、翌日着ていく洋服を楽しそう
 に選んでいるという。「元々そんなに社交的でなかった母が、みんなと幸せそうに働いているのを
 見ると、うれしくなります。恋も回復の力になっているのでしょうね」

  年を重ねても、恋愛が人生の活力になることに変わりはないようだ。ソニー生命の調査でも50
 ~70代でフンニアライフ設計に愛は不可欠」と考える人が全体の6割を占めたという。


                           「お年寄りは社会資源」

  このように、お年寄りたちが仲間の中での役割や恋を生きがいに過ごす施設を運営する「あおい
 けあ」(藤沢市亀井野)。お年寄りの思いや力を引き出すケアで、全国から注目を集める。視察も
 絶えず、社長の加藤忠相さんは、年50~60回は講演で全国を回る。「お年寄りは介護される存
 在ではなく、地域の社会資源。知恵や経験を生かしてもらう」と訴える。

  福祉系大学を卒業後、横浜心内の特別養護老人ホームに就職。そこでの経験が原点にある。職員
 の動きが、マニュアルでガチガチに管理されていた。入浴時間になると、入居者が嫌がっても風呂
 に入れなければならず、お年寄りが体にタオルを巻かれ、並ばされていた。
  入居者に「やめないで」と引き留められて3年弱勤めたが、「自分の思うケアをしたい」と25
 歳で起業した。居心地を良くしようと、床やテーブルは無垢材などを使い、民家のようなたたずま
 いにした。イベントには地域の人も呼び込んで、お年寄りが楽しませる。普段も学校帰りの予ども
 たちがやってきて、農業を営んでいた男性をまねて稲を育てたり、認知症の男性と一緒に遊んだり
 する。

 「2000年の介護保険法で、介護職の仕事は『療養上の世話』から『自立の支援』にフルモデル
 チェンジしたはずなのに、多くの施設はそれを知らず、いまだに古いものを売っている」。加藤さ
 んの持論だ。
 「あおいけあ」は、事業の最終目標を「より良い人間関係の構築」に置き、スタッフに絨砥を与え
 る。企画書や報告書は存在しないという。「おたがいさん」管理者の飯尾えり子さんは「「ねばな
 らない』ものは何もない。スタッフも異業種出身が多く、いろんな個性が出せる]と話す。
  介護施設の多くは、リスクを恐れ、なかなかそこまで踏み出せない,これまで数十回、あおいけ
 あに取材に訪れたという医療福祉ジャーナリストの藤原瑠美さん(68)は「加藤さんをトップに、
 スタッフが自由に決められる空気感がある。理屈ではなく、体が自然に動いている感じがする。お
 年寄りの役割をうまく引き出すやり方は、これからの介護サービスのモデルの一つになると思う」
 と話す。

                       米寿で「介護スタッフ」デビュー

  横浜市鶴見区のデイサービス「うしおだ」で20116年3月1目、米寿の女性が介護スタッフ
 としてデビューした。川崎市川崎区に住む竹島静枝さん(88)。糖尿病や心臓病の持病があり、「
 勉強しておけば、介護される時に相手も自分も楽なはず」と2015年12月、介護の学校・QO
 Lアカデミーで介護職員初任者研修を修了した。働くつもりはなかったが、同校の矢野憲彦代表ら
 の勧めで、気持ちが傾いていった。

 「竹島さん、着付けできます?」。ひな祭りを問近にしたこの日、施設では利用者の男女が着物を
 着て、男びなと女びなの役で写真を撮った。エプロン姿の竹島さんは同僚に声を掛けられると、真
 剣な顔つきで帯を結んだり、着物を整えたりした。
 「同じ昭和一ケタ生まれだから、話が合いそうですね」と利用者の男性(83)。管理者の笠原さつ
 きさん(35)も「利用者と年齢が近いので、コミュニケーションカに期待しています」と話す。

  帰宅する利用者を見送った後は、湯飲みを洗い、テーブルを拭いていく。主婦歴770年弱の手
 際の良さを発揮した,午後2時から3時間余りの仕參を終え、「ゆうべは緊張して眠れなかった」
 と竹島さん。「一つ一つ仕事を覚え、利用者の皆さんとも、だんだん友達になれれば」と笑顔で話
 した。
  週に2回、創作活動を手伝ったり、利用者の話し相手になったりする。業務の中で気づいたこと
 は、日誌に書いて本社に送る。施設を運営する「ジャパウイン](川崎市川崎区)の水口勉社長
 (53)は、「竹島さんが入ることで、若い社員に良い影響を与えるのでは」と期待する。「年齢で
 介護する側と、される厠を分ける時代ではなくなる」と話すのは、QOLアカデミーの矢野代表だ。
 次の竹島さんが生まれることを期待して、70歳以上は受講料を割引する制度を導入した。何歳に
 なっても、誰かの役に立ついる――。そのことが、お年寄りの生きがいになっている。

  ● ワンポイントコラム

  お年寄りの取材を重ねていて、「生きがい」「役割」がいかに大事かを痛感する。小さくても何
 かの役割をもっているお年寄りは、表情が生き生きとしている。特に印象に残っている人がいる。
 70代の末期がんの男性患者を取材したときのことだ。体調が決して良くない状態のところに、在
 宅医と一緒に自宅を訪問し、取材させて頂いた。男性は、そのIカ月後に亡くなった。記事になっ
 たのは、亡くなった後だった。ただ、在宅医に「(取材に協力することで)最後に少しでも何かの
 役に立てれば」と話していたという。奥様からも「記事になって、天国の主人もきっと喜んでいる
 と思う」という丁重なお手紙を頂いた。亡くなる直前まで、人は役割を求めている。そう強く感じ
 た出来事だった,

「お年寄りは社会資源」という言葉に少し戸惑いを感じる。それは機能概念で喩えられている所為だか
からだろうが、言いたいことはよくわかる気がするが、ちょっと違う。それは、「社会の宝」と喩える
ことができるが、「かけがえのない人」と言い換えた方がよいのだが、「社会」に吸い寄せられことに
より「社会ファシズム」の偏狭な思念(あるいは思想)も吸い寄せることになるのではと躊躇させるた
めからだろう。それを解きほぐす(あるいは叩解する)行動(働きかけ)を交換する関係性を持つとい
うことに違いないのだが、それをどのように呼んでいいのか途惑うのである。

                                       この項つづく


  

【地球温暖化ビジネスの此岸】

● 二酸化炭素止めても7℃上昇に批判相次ぐ

先月29日、世界有数の科学誌「ネイチャー」に掲載された論文では、過去2百万年に及ぶ世界の海面
温度が示され、気候変動の記録の一部として高く評価されているが、大気中の温室効果ガスの濃度が今
以上に高くなるのを防いだとしても、地球の気温は最高7℃まで上昇するという大胆な結論については、
データ裏付けがないとしてい物議を醸している。米スタンフォード大学元博士研究員のキャロリン・ス
ナイダー。過去の海面温度の変化と二酸化炭素の自然な排出量に密接な関係があることを調べ、それが
地球の未来に何を意味するのかを示す。その結果、化石燃料による温室効果ガスの排出をいますぐ停止
したとしても、数千年後には地球の気温が3~7℃上昇する結論付ける。「海面温度と温室効果ガスには
密接な関係があり、それが驚くほど安定していることがわかった。この2つと関係があるものについて
調査した。これに対して専門家らは、スナイダーが気候の全く違う現代に過去の関係性を当てはめよう
としたために、著しく高い値が導出されたと指摘されている。

※ Evolution of global temperature over the past two million years, Carolyn W. Snyder, Nature (2016)
        doi:10.1038/nature19798 ↓

基本的には、地球の公転軌道の変化が氷期を終わらせ、それにともない海面温度も上昇することで、海
から二酸化炭素が放出され、大気中の二酸化炭素濃度が高くなる。つまり、現在は二酸化炭素の増加が
地球温暖化の主な原因となっているのに対し、過去には逆に気温が上昇した結果として二酸化炭素の量
が増えたのであり、氷河期当時の温暖化が全て温室効果ガスによるものではなく、さらに二酸化炭素の
現在に及ぼす影響を著しく誇張することになる。人為的な二酸化炭素の排出に地球の気候がどのような
反応を示すのか、という問いに対する明確な答えはまだ出ていない。さまざまなフィードバックが働き
数千年という長期のほうが、温暖化はより加速するという兆候があると言われているが、「気温上昇に
よる二酸化炭素濃度上昇」と「二酸化炭素濃度上昇による気温上昇」とは筋が異なることだけは確かで
ある。

※ Two million years of records show emissions could already warm world to dangerous levels - Science News -
   ABC News (Australian Broadcasting Corporation)Sep. 27, 2016。
※ Climate change study accused of erring on rising temperature predictions - ABC News (Australian Broadcast-
   ing Corporation)Sep. 27, 2016

 

  JCCCA

  

● 今夜の一冊:跋扈する現代の三角貿易商人たち

北極海に眠る資源争奪戦に明け暮れる石油メジャー、治水テクノロジーを「沈む島国」に売り込むオラ
ンダ、水と農地を買い漁るウォール街のハゲタカ……壊れゆく地球すらビジネスチャンスに変わる「温
暖化ビジネス」のえげつない実態を全米注目のジャーナリストが暴く。あらゆる紙誌で絶賛の嵐を巻き
起こした現代の「必読書」。 

「北極が解ければ、もっと儲かるのに」
「地球温暖化は、新たなビジネスチャンスだ」

氷の下の資源争奪戦に明け暮れる石油メジャー、水と農地を買い漁るウォール街のハゲタカ、「雪」を
売り歩くイスラエルベンチャー、治水テクノロジーを「沈む島国」に売り込むオランダ、天候支配で一
攫千金を目論む科学者たち……。温暖化「後」の世界を見据えて、実際に気候変動を利用して「金持ち」
になるべく行動を起こしている国家、企業、人物を世界24か国で徹底取材。これは、「地球環境版三
角貿易」だ!とはいえ、本の排出量はもっと減らす必要ある。

※武器(酒・繊維)輸出→奴隷売買→綿花(砂糖)売買→※
※二酸化炭素排出→温暖化商い(排出権・海底資源・水・食料)→防災事業(治水・防潮など)→※


Fig. Carbon emissions per capita per country on 2007

 

 

先ずは、自己凝縮

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        たくさんの人がやっている領域は『俺が1番』と早さを競うしかない。
        でもそこに興味がない。誰も見たことがない現象を見るのが楽しいんです。


                                                    
                                              Ōsumi Yoshinori?, born Feb.9, 1945

 

                                                                   

 

【受賞理由:オートファジーの働きの解明】

ノーベル医学・生理学賞の賞者に、細胞が不要になった、たんぱく質などを分解する、「オートファジ
ー」と呼ばれる仕組みを解明した東京工業大学栄誉教授の大隅良典が選ばれた。日本人のノーベル賞受
賞は3年連続、米国国籍を取得した人を含め25人目で、医学・生理学賞の受賞は去年の大村智に続き
4人目。パーキンソン病などの神経の病気の一部ではオートファジーの遺伝子が、正常に機能していな
いことが分かっていて、予防法や治療法の開発につながるとして世界的に激しい競争が続いている。



● 3Dプリンターでボディー外装を製造

4日、ホンダは「CEATEC JAPAN 2016」(幕張メッセ、16年10月4~7日)小型電気自動車(EV)
「MC-β」のボディー外装を3Dプリンタで製造し公開。設計から製造まで2カ月と短い期間で開発でき
る。カブクが意匠設計を手掛ける。開発品は2人乗りのMC-βの座席を一つなくして荷室とし、1人乗り
にした。カブクが、「鳩サブレー」などの菓子で有名な豊島屋の要望に応える形で設計。外装部品の大
半を3DDプリンタで製造する。日本で開発された3Dプリンタでオーダーメイドな自動車が作られる時
代に突入する。

● ヘルスケア・ウェアラブル機器のワイヤレス充電ソリュー ション

先月26日、ルネサス エレクトロニクス株式会社はウェアラブル機器や補聴器など防水、防塵等のニー
ズが多い小電力アプリケーション向けに、電力を非接触で送受電するワイヤレス充電システムソリュー
ションを開発し、11月よりサンプル出荷開始すると発表。ワイヤレス充電技術は、小電力アプリケー
ションの電池交換や充電の煩わしさをなくし、充電する機器本体にコネクタ不要で、スマートフォンを
はじめ様々なアプリケーションへの適用や産業用途への応用が期待されている。機器の小型化、高い防
水・防塵性、接触不良低減等のニーズが高い小電力アプリケーションに有用であるが、既存のワイヤレ
ス充電技術は規格ごとにアンテナサイズ規定され小型化が困難。小電力アプリケーション充電は充電流
大きく、放熱が難しいといった理由から小型リチウムイオン2次電池充電システムに適さず課題があっ
た。

 VIDEO

 

【RE100倶楽部:出力変動1%のメガソーラー着工】 

北海道では発電能力が2メガワット以上のメガソーラーを新設する場合には蓄電池を併設しなくてはな
らない。天候により太陽光発電の出力が変動する影響を緩和するためで、変動幅を1分あたり1%以下
に抑えることが条件だ。国内最大級の蓄電池を併設するメガソーラーの建設工事が苫小牧市で始まると
いう(スマートジャパン 2016.10.03)。大型の蓄電池を備えたメガソーラーを建設する場所は、北海
道の空の玄関口である「新千歳空港」に近い苫小牧市内の林地(上図)。空港の敷地から南に1キロメ
ートルほどの至近距離で、平坦な林地を造成してメガソーラーを建設する。用地の面積は78万平方メ
ートルにのぼる。

建設・運営は日本グリーン電力開発で、10月5日に着工、18年8月に運転を開始する予定。発電能
力は38メガワット。年間に37000キロワット時の電力供給、一般家庭の使用量に換算して1万世
帯分を超える。この事業の特徴は、容量1万キロワットアワーの大型蓄電池――韓国LG化学製リチウ
ムイオン蓄電池――を導入する。

● 蓄電池併設で建設費15%増

北海道では固定価格買取制度が始まった12年度から大規模なメガソーラーの建設計画が相次ぎ、13
年4月、北海道電力が全国に先がけて規制に乗り出す。発電能力が2メガワット以上のメガソーラーを
建設する場蓄電池などを併設して出力変動を緩和しないと、送配電ネットワークに接続できなくし、出
力の変動量を1分あたり1%以下に抑えることを条件とする。

メガソーラーから送電する電力は最大で25メガワット設計のため、出力変動を1分あたり250キロ
ワット(25メガワットの1%)以下に抑える条件に合せ蓄電池容量を試算すると、1万キロワットア
ワーが最適となる。蓄電池併設で建設費が15%増え、建設費の総額が百億円超の見積もになるが、固
定価格買取制度の認定を12年度に取得した案件であることから採算がとれるめどが立った。買取価格
が1キロワットアワーあたり40円(税抜き)になり、年間の売電収入は15億円弱となる。ここでの
出力変動抑制は1分間である。わたし(たち)が考えているのは、年間あたり2%以下であるから、い
かに、スケールの大きい水素貯蔵型蓄電システムであることを改めて確認する。

 

【折々の読書 齢は歳々にたかく、栖は折々にせばし】    

   Jun. 26, 2016

 

● 朝日新聞「迫る2025ショック取材班」

          『日本で老いて死ぬということ』5 

  [目次]

   はじめに

   第1部 日本で老いて死ぬということ

  第1章 生きがいの喪失と回復
  第2章 難しい「平穏な在宅死」
  第3章 口から食べたい
  
  第2部 介護の現実~在宅・施設それぞれのリアル

  第4章 三人介護
  第5章 遠距離介護
  第6章 ダブルケア
  第7章 虐待を防ぐ
  第8章 在宅でみる 
  第9章 訪問看護師の力
  第10章 特養で看取る

  第3部 老いは地域社会で見守れるか

    第11章 地域で暮らす
  第12章 コミュニティ再生
  最終章 未来へつなぐ

  おわりに

  

  第2章 難しい「平穏な在宅死」

                         穏やかな死を迎えられない?

  自宅で穏やかな最期を迎えたい-。そんな思いを抱く高齢者や家族は多いだろう。だが、自宅や
 介護施設での「在宅死」の半数ほどが、実は「異状死」として扱われていることが、在宅医らの調
 査で明らかになった。その中には、本来在宅で自然な看取りをできるはずだったのに、救急搬送さ
 れ望まない治療をされたり、警察が検視に入ったりするケースがあった。今後「多死社会」を迎え、
 在宅死を増やしていく中で、こうした「不本意な最期」をどう減らしていくかが課題である。

  2015年夏、横浜市鶴見区の済生会横浜市東部病院の救命救急センター。重症肺炎の80代女
 性が搬送されてきた。気管切開し人工呼吸器を装着、人工透析など濃厚な治療が行われた。1カ月
 弱入院したが、亡くなった。
  この女性は、在t医の定期的な訪問診療を受けていて、心臓マッサージや気管内挿管はせず、自
 宅で穏やかな最期を迎える、と決めていた。ところが在宅医の紹介で、この救命救急センターに運
 ばれてきた。同センター部長の山崎元靖医師は「ご本人が果たしてこうした治療を望んでいたのか、
 かえって苦しみを与えているのではないか、という葛藤があった。本来、救命救急センターではな
 い病院へ運ぶべき患者だった一と複雑な心境を吐露する。

  山崎医師は、そのときの患者家族の状況をこう説明する。「全力を尽くして治療をするという選
 択肢」を改めて、救急医から提示される。しかも、それを極めて短時間で返答しなければいけない。
 以上の2条件が満たされると、家族は、どうしても「全力を尽くしてください」と答えがちになる。
 時間をかけて在宅医と議論した上で作成した、有形無形のリピングウィル(延命治療の拒否などを
 事前に意思表明しておく文書)が、「患者急変時の短時間の救急医の説明]に負けてしまうのだと
 いう。
  山崎医師によると、こうした「不本意な最期」ともいえるケースは、よくあるという。「在宅医
 が海外旅行中だったため、救急搬送され、病院で最期を迎えた」「リビングウィルがあったのに、
 知らずに挿管された」などだ。
  在宅医は通常、家族に対し「急変したら、まず在宅医か訪問看護師に連絡を」と伝えている。だ
 が家族が突然のことに驚き、救急車を呼んでしまうことは少なくない。
  また在宅医から「夜中なら、救急車を呼んで」と指示を受けることもあるという。救命救急セン
 ターに運ばれれば、救急医はそれまでの病気の経過などを知らないので、「異状死」として警察に
 届け出ざるを得なくなる。

  医師法では、遺体に賢状があった場合、医師に24時間以内の警察への届け出を義務づけている。
 事故や他殺、心疾患や脳疾患などによる急性死のほか、死因を特定できない場ハ目も、異状死扱い
 になる。すると警察は事件性があるかどうかを調べ、遺体の検視をする。ある救急医は「病死の可
 能性が高くても、万が一のリスクを考えると、警察に届け出ざるを得ない」と打ち明ける。
  東京都立川市にある立川在宅ケアクリニックの荘司暉昭医師(50)が、訪問診療をする多摩地域
 で2012年に自宅で亡くなった1106人を分析したところ、56%にあたる615人が、異状
 死扱いだった,また異状死扱いの30%が、「老衰」「がん」「肺疾患」などの慢性疾患で、医師が
 定期的に診ていれば、「病死」として死亡診断書がもらえ、警察を呼ぶ必要はないケースだったと
 いう。横浜市や大阪府岸和田市の出水明医師(63)らの調査でも、異状死は自宅死亡者の約半数を
 占めた。

  一方、行政や医療・介護職にも、「自宅で死ぬと、警察を呼ばないといけない」「24時間以内
 に診察をしていないと、自宅で死亡診断書を発行できない]といった誤解が、いまだにあるという。
  2014年春、ある50代の在宅医は、それを実感する経験をした。がんを患う首都圏の60代の
 独居男性が、自宅で亡くなった。同僚の在宅医が往診し、死亡診断書を書いた。ケアマネジャーが、
 自治体のケースワーカーに電話すると、「自宅で最期を迎えたのであれば、事件性があるかもしれ
 ないので、警察を呼んで]と指示された。ケアマネジャーは指示に従った,最終的には、在宅医が
 診ていて事件性がない、とのことで警察官は引き揚げたが、落ち着くまでに数時間かかったという。

  こうした「不本意な最期」にならないように、地域の複数の在宅医が看取りをカバ-し合ったり、
 リビングウィルを市民に配布したりする取り組みも進んでいる。横浜市鶴見区医師会の訪問看護を
 受ける松本孝彦さん(80)は、リピングウィルに「終末期の心肺蘇生はしてほしくない」「最期は
 自宅か施設で迎えたい」などと記している。
 「こうして書くことで、妻や娘とじっくり話し合うことができ、望んだ最期を迎えられるようにな
 る」と話す。

  全国在宅療養支援診療所連絡会事務局長の太田秀樹医師(62)は「患者や家族、医師や看護師介
 護職員らが何度も話し合い、意思の統一をしておくことが大事だ,特に、普段疎遠な家族が突然車
 て、『何で救急車を呼ばないんだ』と言うケースも少なくないので、なるべく多くの家族を巻き込
 んで話し合う必要がある」と話している。

                        救急病院が高齢者であふれる?

  高齢者の救急搬送の増加は、これから大きな問題になる,前述のように、回復の可能性がほとん
 どないのに、心臓マッサージなどの延命措置がなされ、「不本意な最期」を迎えることにつながる
 からだ。また、入院日数が長引くとベッドが足りなくなり、救急治療を受ければ回復する可能性の
 高い患者を受け入れられなくなる。
  年間約1万人の患者を受け入れる聖マリアンナ医科大病院(川崎市宮前区)の救命救急センター。
 2013年9月中旬の3連休中の午後6時前。特別養護老人ホームから、心肺停止状態の93歳の女
 性が救急搬送されてきた。
  救急外来処置室のベッドの周りには、この日のセンター責任者の下渾信彦医長(48)ら救急医3
 人と看護師が降っていた。女性の目から気管挿管チューブを入れ、人工呼吸器をつける。医師と救
 急隊員が、交代で心臓マッサージを続ける。

 「アドレナリン(強心剤)!」。救急医が足に針を刺し、骨髄からアドレナリンを投与。4分ごと
 に投与を続けた。
 「(アドレナリンを)6度目打ったってことですよね」。看護師のリーダー、平良弥生さん(30)
 が確認する。処置を始めて30分がたった。「もうこれ以上は、やめよう大下渾医長が指示する。結
 局、女性の心拍は再開しなかった。

  しばらくして、女性の長女(73)と四女(61)が病院に到着した。ベッドの横に座ると、医師か
 ら臨終の説明を受け、人工呼吸器を外した。2人は「できる治療を全部やってもらい、ありがたか
 った」と□をそろえた,だが、そういう人ばかりではない。下渾医長は「同様のケースでも、家族
 から「なぜ蘇生処置をしたんだ」と言われることもある。意向がわからないこともあり、悩ましい」
 と明かした。下洋医長が担当した24時間に37人が来院。うちH人が65歳以上だった。この女性のよ
 うに自宅や施設から救急搬送され、「看取り」をするケースは増えているという。継続的な入院治
 療が必要と判断されると、隣接する集中治療室(ICU)と高度治療室(HCU)に運ばれる,両
 室に入院する24入のうち、6割を超える15人が65歳以上だった。65歳以上の割合は、2008年
 度 は51・8%だったのが、12年度は56・1%に上昇したという。
              
  救急で入院する原因は、誤嘸性肺炎や脳卒中などという。案内してくれた平泰彦・同医科大救急
 医学教授(60)は「複数の疾患を持っていたり、人工呼吸器などをつけた患者を受け入れる施設が
 見つからなかったりして、在院日数が長くなるんです」と説明してくれた,入院が長引くと、空き
 ベッドは当然少なくなる。この日の空きは、ICUが1床、HCUは2床,同センターは近隣の3
 0病院以上と連携しているが、患者の転院先がなかなか見つからないこともあるという。
  65歳以上の入院患者15人のうち5人は、これ以上の積極的な治療を希望しない意思表示「D
 NR」を本人か家族が示している。だが、一度装着した人工呼吸器を抜いたり、点滴を外したりす
 ることはできないことになっている。

  超高齢社会に向けて、平教授は「救命救急センターにとって、高齢の救急患者が増えて入院が長
 くなり、重症患者を受け入れる空きベッドがなくなるのは最近の大きな課題だ。『出口』を確保し、
 近隣の病院だけでなく、在宅医や介護施設とのつながりも深め、高齢者の受け入れ先を確保してい
 く必要があるだろう」と話している。
  「平穏な在宅死を迎えたい」と考える患者・家族が、救急車を呼ぶと、その逆の結果になってし
 まうことが多い。救急医は、たとえ助かるのが0・01%の確率でも、積極的な治療をし命を救う
 ことが使命だからである。

                         在宅医療アンケートで実態浮き彫り

  在宅死の難しさについては、朝日新聞横浜総局が横浜内科学会と共同で、2013年H月に実施
 した「在宅での医療と看取り]アンケート(55診療所・病院が回答)からもわかる。
  回答では、在宅で看取りをした医療機関の数が、2003年度の11ヵ所から、12年度は23
 ヵ所に倍増。総数も、この10年間で64人から144人と2倍以上に増えていた。診療報酬など
 で国が「施設から自宅ヘーと医療のシフトを進めてきたことが影響しているとみられる。2012
 年度に看取った患者は「がん」が最も多く61人、認知症47人、脳血管障害18人、循環器疾患
 14人などと続いた。在宅で緩和ケア(痛みのコントロール)のできる医師が徐々に増え、末明が
 んの患者も自宅で過ごせるようになってきたことが大きいようだ。



  在宅での看取りを経験した34カ所の医療機関に、看取りを増やすために必要なことを複数回答
 で尋ねてみた。「かかりつけ医が在宅医療にかかわる仕組み作り」としたのが、17ヵ所で最も多
 かった。「一般向けの啓発」「看取りに関して診療報酬を手厚くする」が、それぞれ16ヵ所。「
 (24時間対応などが義務づけられた)在宅療養支援診療所の要件緩和」(9ヵ所)、「在宅専門
 医の増加」(9ヵ所)と続いた(次のグラフ)。介護する家族への気遣いも、在宅死が広がってい
 かない要因の1つと言えそうだ。

今回は、瀕死と死の決定の狭間についての思いを認めようとしたができなかった。

                                                                            この項つづく


 

【我が家の焚書顛末記 Ⅳ:中国思想 管子】 

『管子』は、西暦紀元前7世紀、現在の山東省に強盛を誇った斉の宰相・管仲の言行録。管仲は、孔子
が生まれる約90年前に死んでおり、いわば諸子百家の大先輩にあたる。彼を注目するのは、諸子百家
の多くとちがい、自ら権力の座にすわり、現実に政権を担当した思想家であるという点にある。とくに、
かれは今日でいう経済政策に独自の手腕を発揮。彼がが仕えた斉の桓公は、当時、群雄割拠のなかでは
じめて覇者、つまり諸侯の盟主の座につく。その大部分は管仲の補佐のたまものであった。「倉廩(そ
うりん=穀物蔵) 実つれば、則ち禮節(=礼節)を知り、衣食足れば、則ち榮辱(=栄辱)を知る」(
『管子』牧民篇)。このことばが端的に示題 すとおり、人倫関係(社会関係)の基礎として物質的条
件を重くみる――というのがヽ管仲の一貫した考え方である。書物としての『管子』は、これは管仲の
当時に完成されたものでなく、当時の書だとすれば、『論語』よりも古くなるが、『管子』はきわめて
雑然とし、管仲自身の著と目される九篇を除き、はるか後世の漢代初期に至る数百年の間に、次第に集
大成されたものされ、このことは必ずしも『管子』の価値を減ずるものではなく、管仲という存在が、
ことほどさように後代の人たちの関心を惹く証左である。

管仲の著書であるとされているものの、実際は戦国期の斉の稷下の学士たちの手によって著された部分
が多いと考えられ、内容的には、各篇によって異なった学派、思想的立場に立つ人たちの著作がまとめ
られ、その面から言えば、「雑家」の著作と呼ぶべきものと言える。また、各々の篇の成立年代に関し
て諸説があり、「経言」は思想史上の史料として、「管子軽重」は社会経済史上の史料として重視され
農業史、農業技術史上の史料も各篇に散見され、「地員篇」は当時の土壌に関する認識をうかがう上で
の貴重な史料である。さらに、『漢書』「芸文志」は、「道家」に分類しているが、『隋書』「経籍志」
以降清代の『四庫全書総目提要』にいたるまで「法家」に分類されるが、宋代の陳振孫がこの書物を法
家に分類することに疑義を呈している。

このように、中国哲学は、中国思想の文脈で書かれた哲学。中国の伝統哲学の多くは「諸子百家」の時
代として知られる春秋戦国時代にまで起源を遡る。諸子百家は顕著な知的・文化的発展によって特徴づ
けられ、中国哲学の多くは戦国時代に始まったが、その構成要素は数千年にわたり存在でありが、その
特徴は、その文化の担当者がいかなる身分職業に属していたかにより決定的な刻印を受ける場合が多く、
インドの思想に宗教色が強いのは,文化の担当者がバラモンという祭司階級であったためとされ、これ
に対し中国思想に政治色が濃いのは,その担当者が士大夫とよばれる政治家・官吏であったことによると
言われ、管子すなわち管仲はその代表的な存在に考えられる。

そこで、中国哲学の近代化で西洋哲学の概念を吸収し始め、1911年の辛亥革命の頃までに、中国の
古い皇帝制度や実践を廃しようと五四運動などを経て。民主制、共和主義、そして産業主義を中国哲学
と統合しようという試みが、20世紀初めの孫文らによりなされ、さらに毛沢東がマルクス主義、スタ
ーリン主義、そしてその他の共産主義思想を加える。そして、中国共産党が権力を握ると、既存の学派
とりわけ法家を除けば後進的だとされ後の文化大革命には粛清された、中国思想に与えた影響は今も残
り、現代の中華人民共和国政府は独自の社会主義市場経済を標榜している。このため、文化大革命の過
激な運動以降、中国政府は精神的・哲学的な慣例は中国共産党に脅威とみなされない限り構築・再構築
が許され、その影響は中国文化に未だ深く染み込んでいおり、新儒家は、儒教の知的運動で20世紀初
期宋代・明代の新儒学から強い影響を受けているが同一ではないが、に中華民国で始まり、ポスト毛沢
東時代の中華人民共和国で復興している。

このように考えていくと、ポスト毛沢東時代の中華人民共和国のナショナリズムや政治行動の変容を読
み解く上で管子を踏まえておく(お温習いしておく)ことは重要になるのではかと思える。

                                       この項つづく。



  ● 今夜の一冊

一般家庭でも、電気を作り・ため・消費することができます。しかも身近な素材や簡単に入手できる材
料から手作りの発電機を製作することも夢でない。日常的に照明や家電品の電源を自作の発電機でまか
なっている著者が、家庭でも実践できる発電・蓄電の知識とテクニック、機材の製作方法をわかりやす
く解説する。

中村昌広
1959年、栃木県那須郡那須町に生まれる。08年、手作り風力発電1号機を完成。09年、風力発
電2号機・3号機を設置。2010年、風力発電4号機(デュアルコア発電)完成(本データはこの書
籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。

目次

第1章 停電にならない家
第2章 ぼくの家は発電所
第3章 自分発電所の作り方
第4章 電気をためる
第5章 作った電気を賢く使う
第6章 LED照明を手作りしよう
第7章 手作りの電気を楽しく使うための注意点
第8章 この週末、あなたもプチ発電工作を!

 

現在の日本では、情熱と時間さえあれば何でも作れる時代だと考えている。この一冊はそれをわかりや
すく実体験から解説されている。ものづくりだけでなく、大げさに言えば社会変革も可能だろう。「先
ず隗より始めよ!」というではないか、時間をかけ、確りと思いを凝縮させ、自分を追い込み、それを
発条に行動にでる、「先ずは、自己凝縮!」と。

傷口を広げる福島第一

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         本当に役に立つことは10年後、あるいは100年後かもしれない。
         社会が将来を見据えて、科学を一つの文化として認めてくれるような
         社会にならないかなあと強く願っています。


                               
                                 
                                            Ōsumi Yoshinori?, born Feb.9, 1945

 

 
東京新聞 福島第一原発の現状  Oct. 1, 2016

【傷口を広げる福島原発事故】

4日、電力業界団体の電気事業連合会が、東京電力福島第1原発事故の損害賠償・除染費用について、
東電を含む大手電力各社の負担額が当初計画を約8兆円上回るとの試算をまとめ、超過分を国費で負担
するよう政府に非公式に要望していることが4日明らかになった。政府はこれまで「賠償・除染費用は
原則的に原発事業者の負担」との立場を取ってきており、慎重に検討するとみられるという(毎日新聞
2016.10.04)。

それによると、福島第1原発事故の賠償・除染費用は、

国がいつでも現金に換えられる「交付国債」を原子力損害賠償・廃炉等支援機構(国の認可法人
)に渡す 東電は機構から必要な資金の交付を受け、賠償・除染に充てる 機構は後に東電を含む大手電力から負担金を受け取り、国に返済する

という仕組み。賠償分は東電と他の大手電力が分担▽除染費用は機構が持つ東電株の売却益を充当▽中
間貯蔵施設の費用は電源開発促進税で賄うことになっている。そして、政府は13年、賠償費用5.4
兆円▽除染費用2.5兆円▽中間貯蔵施設の建設費などを1.1兆円と見込み、機構への資金交付の上限
を9兆円としたが、関係者によると、電事連は、賠償費用が見通しより2.6兆円増の8兆円、除染費用
が4.5兆円増の7兆円になると試算。また、東電株売却益も株価下落で1兆円減少し、合計で8.1兆
円の資金が不足すると見積もる。大手電力各社は「除染費用は東電株の売却益で賄えず、最終的に電力
各社が負担を迫られる」とみる。

一方、原発再稼働の停滞や、電力小売り自由化による競争激化などから大手電力の経営環境が悪化した
として、賠償・除染費用の超過分の政府負担を求めた。 福島第1原発の廃炉費用を巡っては、東電が
2兆円を工面しているが、数兆円規模の財源不足も予想される。東電ホールディングスは7月、廃炉費
用などの負担支援を政府に求めている。今回の電事連の要望に廃炉費用は含まれていない。政府は福島
第1原発の賠償や廃炉費用の負担について、5日から始める「東京電力改革・1F問題委員会」などで
議論することにしており、電事連の要望も今後協議される可能性があると同社は伝え、これは「事故つ
け回しで無責任」と次のように解説する。

  毎日新聞

電気事業連合会が東電福島第1原発事故の賠償・除染費用の超過分を国に負担するよう要望した。だが、
大手電力各社はこれまで「原発のコストは安い」と説明してきた。事故のつけを国に求める姿勢は「無
責任」との批判が免れない。電力各社には「原発は『国策民営』で推進されてきたのに、事故が起きた
ときは事業者が責任を取らされる」との不満がある。東電以外の大手には「東電の事故の責任を負わさ
れるのは理不尽」との思いもある。しかし、大手電力は原発稼働で巨額の利益を上げてきた(どのぐら
いの金額?)。原発の「安全神話」に寄りかかり、事故対策を怠ってきた面は否定できない。福島第1
原発事故に伴う賠償・除染費用が膨大な額に達する見通しになったからといって、国に負担を押しつけ
るのは筋が通らない。国が負担を引き受ければ、最終的に税金が投入され、国民負担につながる。福島
第1原発事故の処理費用は、国が原子力損害賠償・廃炉等支援機構を通じていったん立て替えるが、最
終的に電力各社が負担する仕組みだ。この制度の趣旨にも大きく反すると指摘する。

14年には原発事業を切り離し国有化するというビジョンをもっていたわたし(たち)にすれば、傷口
を広げる過渡期的な現実ということになる。



【台風18号チャバの軌跡】

 
Thu, 06 Oct 2016 09:00:00 GMT

 Oct. 05, 2015 16:42

Powerful typhoon Chaba barrels toward Japan : 台風18号チャバ日本を強襲

【RE100倶楽部:太陽光パネルに塗るだけで発電量3%増】

太陽光パネルの表面に、反射防止と防汚の機能を併せ持つ材料を塗布することで、1枚当たりの発電量
が約3%増加する革新的な技術が注目を浴びている。この基本技術は、中央自動車工業が製品化し、塗
布材料――新コーティング剤は、オルガノシリカゾルと無機添加剤を主成分としたもの。スピンコート
やディップコート、刷毛塗りといった方法で塗布するだけで、成分中のシリカが針状構造を形成し、親
水性によるセルフクリーニング機能を発揮する。前処理が不要なほか、自然乾燥により1分程度で針状
構造を形成し始めるため、施工が簡単で均質性に優れる。アクリルやポリカーボネート(PC)、ポリ
エステルといった樹脂素材にコーティングした場合、基材表面(30?90ナノメートル)に親水性成
分が入り込むことによって、素材自体の美観を損ねずに皮膜の高密着性を実現。また、無機系のため原
則的に黄変や劣化がない透明皮膜を形成するとともに、光がない場所でも親水性を発揮する。評価試験
では、アクリルおよびPCともにコーティングによる透過率(波長550ナノメートル)の減少がみら
れなかったほか、テープ剥離性試験(セロテープ剥離)で問題がないことを確認ずみ。耐久性も「5年
以上は持つ」(同社)ことから、同社では窓や外壁をはじめアクリルミラーやレンズ、繊維、フィルタ、
ディスプレイといった用途での採用を見込む――は、九州大学と共同で開発したもの。

※ARコートとはAnti-Reflecting-Coatの略で、反射防止膜の意味があります。(低反射ガラスという事も
ある)日本では13年頃から徐々に普及しており、各モジュールメーカーが標準装備品として採用して
いるケースがある。品番によって異なるので、ARコートの有無は各モジュールメーカーへ問い合せる。

太陽光発電所で、稼働を停止することなく塗布できる。当初は、先端にスポンジなどを取り付けたモッ
プを使い、人手で塗布していたものの、その後、同社は日鉄住金物産の太陽光パネルの洗浄ロボットを
応用して塗布する手法に変えた(下写真)。事前の洗浄から塗布までこのロボットを使い、適切な薄膜
を均一に形成する。現地では、(1)まず、太陽光パネルの表面のカバーガラスを洗浄する。脱脂が目
的で、純水で洗浄し、乾燥させる。(2)次に微細な凹凸を含む膜を形成する。シリカ系の材料をカバ
ーガラス上に塗布する。無機材料は、液体ではなく、そのままでは塗布できないので、アルコール系の
材料を溶媒に使う。洗浄ロボットで塗布し、溶媒が蒸発すると、カバーガラス上で硬化し、膜が形成さ
れる。

日中に発電しながら塗布できる上、成膜は常温で可能で、光や熱を使った硬化プロセスも不要となって
いる。塗布後の外見は、塗布前に比べて、濃く見えるようになる。紫や黄色といった縞模様を生じるこ
ともある。無機材料のため、経年によって変色したり、機能が劣化したりすることも原則的にはない。
5~10年相当の加速試験では、反射防止効果がほぼ変わらないことがわかっている。ただし10年以
上に相当する加速試験では、効果が落ちる場合がある。留意点は、太陽光パネルのメーカーにより保証
対象外とするメーカーもあるので保証内容について、必ずメーカーに確認した上で塗布施工すること。



● 事例研究:館林ソーラー発電所

群馬県館林市にある出力約2メガワットのメガソーラー「館林ソーラー発電所」では、パワーコンディ
ショナ段階で出力が平均で3.2~3.3%増える効果があったという事例がある。発電事業者は、ダイ
ヤモンドカッターメイカーの三星ダイヤモンド工業(大阪府摂津市)と日鉄住金物産の合弁によるSPC(
特定目的会社)であるMDI-SBソーラー(大阪市西区新町)。

この発電所では、インドのモーザーベアー・ソーラー(Moser Baer Solar)製の多結晶シリコン型パネル
を採用。出力は240ワット/枚。PCSはスイスABB製で、定格出力は630キロワット。全体で、3
台のPCSに入力する8640枚の太陽光パネルのうち、1台に入力しているすべてのパネル(2880
枚)に対し、15年4月にこの材料を塗布し発電量を検証。

この結果、塗布した当日からPCSの出力が増した。塗っていないパネルが入力しているPCSに比べ、元々、
接続しているパネル枚数の違いから、平均で1.4%高い出力となっていたが、その後の1年間で、平均
で4.8%高くなり、年間平均で発電量が3.3%増の効果を記録。冬は特に増加した。具体的なメカニ
ズムは不明だが、霜が溶けやすくなるなど、太陽光の入射が増えているためではないかと推測。この効
果を踏まえて、もう1台に入力しているすべてのパネル(3024枚)にも、16年6月にこの材料を
塗布。最後の1台分の2736枚を残して、すべて塗布施工する。

 日経テクノロジー

発電量が平均で3%以上増える効果に対して、塗布費用は、材料費と塗布費を合わせ、1枚当たり600
円と設定し。例えば、出力1メガワットメガソーラーで、出力250ワット/枚の太陽光パネルを設置
の場合、40000枚全部に塗布すると240万円。買取価格が40円/キロワトアワーで、元の年間発
電量が東京都の平均以下の約110万キロワットアワーと想定、その3%の増加分は年間発電量で3.3
万キロワットアワー、売電額は132万円増える。その結果、塗布費用の2400万円は、2年以内に回
収できる計算。発電量を増やす効果を発揮できるのは、製品設計上、もともと反射防止機能のない太陽
光パネルに限定される。こうしたパネルは、買取価格40円/キロワットアワーなど、FIT開始当初に建
設された発電所では、広く採用されていると見ている。日鉄住金物産では、太陽光パネルメーカーを主
なターゲットとしているほか、こうした反射防止機能のないパネルを採用した発電所に採用を働きかけ
ている。

従って、今後は新製品には、出荷前にこのプロセスを組み込んだものを出荷すれば、既存のパネル性能
より3%向上できるので、低コストで高性能なソーラーパネル販売の競合が続くことになる。ある意味、
『デジタル革命渦論』的側面の過酷な競合をパネルメーカーに強いることとなる。政治がやることは、
キャシュフローの是正(=税制改革)にある。

下図に関連特許事例(1)特開2013-185043 光触媒塗工液、太陽光発電システム用カバー、及びその製
造方法(2)特開2013-203774  有機基材用防曇防汚剤及び当該防曇防汚剤で有機基材を被覆する方法を
掲載しておく。

 特開2013-185043 

 特開2013-203774

  

【折々の読書 齢は歳々にたかく、栖は折々にせばし】    

   Jun. 26, 2016

 

● 朝日新聞「迫る2025ショック取材班」

          『日本で老いて死ぬということ』6 

  [目次]

   はじめに

   第1部 日本で老いて死ぬということ

  第1章 生きがいの喪失と回復
  第2章 難しい「平穏な在宅死」
  第3章 口から食べたい
  
  第2部 介護の現実~在宅・施設それぞれのリアル

  第4章 三人介護
  第5章 遠距離介護
  第6章 ダブルケア
  第7章 虐待を防ぐ
  第8章 在宅でみる 
  第9章 訪問看護師の力
  第10章 特養で看取る

  第3部 老いは地域社会で見守れるか

    第11章 地域で暮らす
  第12章 コミュニティ再生
  最終章 未来へつなぐ

  おわりに

  

  第2章 難しい「平穏な在宅死」
 
     悩ましい胃ろうの選択

  加齢や脳梗塞の後遺症などで口から食べられなくなると、胃に穴を開け、チューブで直接栄養剤
 を入れる「胃ろう」と呼ばれる方法を導入するのが一般的だ。40万~50万人の人たちが利用し
 ているとされる。2025年に向け、利用者はさらに増えていくとみられる.
  ただ、それは「延命」にもなり得る。ベッドに寝たままの状態で胃ろうを使い生きることが、果
 たしてたして本人が望むことなのか。でも、胃ろうをしなければ、自分が命を終わらせることにな
 ってしまう……。その選択に悩む家族は多い。

  ここでは、胃ろうをつける選択をした家族と、つけない選択をした家族のケースを、それぞれ紹
 介する。「

                        つけてよかった。でも、2度目はない」

 「パパ」。妻の呼びかけに、もう反応はなかった。2013年4月28日の夕方、横浜市で在宅介
 護を受けていた大垣進さん(享年82)は、天国に旅立った,妻の佐智子さん(78)や息子らに見守
 られ、穏やかな最期だった。
  進さんは2002年から、脳梗塞などで人退院を繰り返した。左半身のマヒが残った。2008
 年2月から、西神奈川ヘルスケアクリニック院長の赤羽重樹医師(52)の訪問診療を受けていた。
 2009年6月、肺に食べ物や唾液などが入って起きる「誤嘸性肺炎」を起こし、巾内の病院に入
 院した。

  退院を前に、佐智子さんは病院の主治医から告げられた。「このままだと肺炎を繰り返して大変
 です,在宅に戻るなら、胃ろうにした方がいいと思います」
 「胃ろう?]。佐智子さんは、言葉は聞いたことがあったが、どんなものかは知らなかった。でも、
 何となく「終末期の延命治療一というマイナスのイメージがあった。以前、夫に胃ろうをつけた友
 人が「あんなもの、するもんじやない」と言っていたからだ。

  進さんは、胃ろうをするかどうかの判断をできる状態にはなかった。佐智子さんが、難しい判断
 をしなければならなかった。
  胃ろうの選択を迫られる少し前、ケアマネジャーで訪問看護師の大西美智子さん(56)からは「
 自然のままで(逝かせて)もいいんだよ]と言われていた。約7年間、佐智子さんの介護を見てき
 た大西さんの目には、「もう十分やった」と映っていたからだ。
  当初、佐智子さんは「胃ろうはやめよう」という考えに傾いていた。「でもとりあえず赤羽先生
 に相談しよう」。市内の病院から自宅に帰るその足で、赤羽医師のクリニックを訪ねた。「詳しく
 説明しますので、診療が終わるころにまた来てください」と言われた。

  夜、阿びクリニックを訪れると、赤羽医師は、胃ろうに使うチューブなどの器具を何種類か机の
 上に置き、使い方や特徴を説明してくれた。管理にかかる手間や栄養剤の値段なども話してくれた,
  そして、佐智子さんにこう声をかけた,「怖いことは全然ない。もしやるなら、我々医療スタッ
 フが全面的にサポートします」「佐智子さんは、やれるところまでやらないと気が済まない性格で
 しょ? 僕の意見としては、胃ろうをつくった方が、後悔は少ないと思いますよ」

  「先生、お願いします」。佐智子さんの心から、迷いは消えていた。約2時間がたっていた。赤
 羽医師は、このときのことを振り返って言う,「夫婦関係や経済状況、家の造りなども考え、大垣
 さんならやれる、と判断したんです」
  胃ろうの管理は、決して楽ではなかった。1日3回、栄養剤と水を1時間半ずつかけ注入した。
 トラブルの可能性もあるので、その問は目が離せない。実際、栄養剤が管のつなぎ目から漏れて、
 シーツがびしょびしょになったこともある。栄養剤をうまく消化できず、下痢をすることもあった,
 そのときのおむつ替えは大変だった,

  良いこともあった。それは10年ぶりにお酒を少しだけ味わえたことだった,2013年4月1
 日、進さんは、自宅から桜を眺めながら、ウイスキーをほんの少し口に含んだ,「おいしい?」。
 傍らで妻の佐智子さんと歯科衛生士の佐藤由紀子さん(42)が笑顔で見守った。1カ月後、進さん
 は天 国に旅立った。
 「胃ろうのおかげで、夫婦の時間を取り戻せて、本当に良かった一と佐智子さんは振り返る。そう
 言えるのは、佐藤さんら医療スタッフの温かいサポートがあったからだろう。
  最初のうちは、口からも少し食べられた。佐藤さんは、いろいろなものを食べさせてくれた,ゼ
 リーやヨーグルト、うなぎのたれ、手作りのシチュー……,後半は、口に含ませる程度だったが、
 「味やにおいで脳を刺激する{という効果を期待した。進さんののみ込み機能の検査をした鶴見大
 歯学部助教の飯田良平さん(42)のアドバイスを受けた。

  亡くなった後は、佐藤さんから、訪問の際の写真を貼ったアルバムをプレゼントされた。「たく
 さんの優しさと心の学び、楽しい時間をありがとうございました」などのコメントも添えられてい
 た。赤羽医師の存在も大きかった。胃ろうでトラブルが起きると、佐智子さんはすぐ電話した。一
 度こんなことがあった。昼過ぎに買い物に行ってタ方に帰ってくると、昼食用に入れたはずの栄養
 剤が、管が詰まったのか止まっていた。慌てて赤羽医師に電話すると「残りを入れてあげれば、夕
 食は抜いて大丈夫ですよ」。気持ちが落ち着いた。

  結局、自宅で約3年半、胃ろうをつけた生活を過ごした。最後の1年間は反応も乏しくなり、「
 この人は、生かされていてかわいそう」という気持ちも出てきた,それでも今、佐智子さんは「胃
 ろうにして本当によかった」という。進さんは商社に勤めており、単身赴任が長かった。佐智子さ
 んの母親と仲が良く、介護を手伝ってくれたこともあった。胃ろうにすることで、その恩返しがで
 き、一緒にいられなかった夫婦の時間を取り戻せたのだという。
  だが、こうも付け加えた。「未知の世界だから、できた,「もう一回』と言われたらやりません」

   「胃ろうにしない」苦渋の決断

 「胃ろうにしない、という本人の選択を尊重したかったんです」。東京都内に住む父親(享年83)
 を2013年H月に看取った、神奈川県逗子市の長女(49)は、そう振り返る。「胃ろうにしない」
 と決めて退院してから、8日後に穏やかに旅立った。
  2003年に脳梗塞で倒れて以来、人退院を繰り返した。2012年2月に都内の特別養護老人
 ホームに入居したが、2013年10月に誤嘸性肺炎で入院した,肺炎の治療を終えると、主治医か
 ら告げられた,「もうロから摂取するのは難しいと思います。胃ろうにするかどうか、決めて頂け
 ますか?」。母親(77)と長女は「胃ろうにしないと、あとどれぐらい(の命)ですか?」と尋ね
 た。「頑張れる方で、2週間ぐらいでしょうか」

  母親と長女は、ベッドに横たわる父親に確認した。「お父さん、胃ろうの手術をする?」。黙っ
 て首を横に振った。「このままでいいの?」。うなずいた。通常の会話は厳しい状況だったが、判
 断能力はあった。胃ろうにしなければ、父親との別れは早まってしまう……。でも2人は「10年
 間、よく頑張った。本人の意思を尊重しよう」という気持ちに傾いた。
  それを長男(52)に伝えると、「胃ろうにしなかったら、終わりになるんだぞ」と言われた。母
 親は「やっぱり、やった方がいいよ」と長女に迫った。
  母親は、枕元で本人に確認した。「本当にいいの?『さよなら』」いやだから、胃ろうつくろう
 よ」。だが、父親の意思は変わらなかった。母親の心は、揺れた。
  長女の考えは、ほぼ一貫していた。2003年に脳梗塞で倒れた際も、主治医から胃ろうをつく
 る話があった,だが拒否して、ロから食べる訓練を続け、食べる喜びを取り戻していた。

 「10年間、食べる楽しみだけで来た。その楽しみを奪って何年か生き続けることが、本人にとっ
 てどうなのか。父の尊厳を考えたときに、胃ろうにしない方がいい、と思ったんです」
 胃ろうの提案があって、約1週間後。母親と長女は、主治医からこう言われた。「実は私と副主治
 医で、ご主人に改めて意思を確認したんです。やはり胃ろうにしない、というご本人の意思は固か
 ったです」

  これで母親は吹っ切れた,「胃ろうはつくらなくて結構です」。長男も理解してくれた。
  今、長女は複雑な胸の内を明かす。『父の決断を尊重してあげられた喜びの一方、『これでよか
 ったのかな』という思いもあります。でも、私がす.へてを背負うしかない」


死は自分では決められない。それを、残された側で「決断」し「死亡証明書」を作成しなければならな
い。そうして「絶対矛盾」を超えていく。しばらく、悔やみに包まれる。

                                       この項つづく

     ● 今夜の一冊

環境ビジネス白書2016年版は、1997年版の創刊版から数えてシリーズ第19弾となる。収録内
容は前回版に続けて、主に~2016年春までの事象とした。最近3カ年は、

  ●リシェイプの時代-環境ビジネスでリシェイプする企業戦略(2013年版)
  ●環境最前線有望ビジネスを掌握する(2014年版)
  ●格差の時代-格差をつける環境有望ビジネス10選(2015年版)

と続け、好評を博している。今回は副題に“ゼロベースの時代-ゼロベースで考える環境ビジネスの視
点”を掲げた。現在は世界的に先進国の成熟化、新興国の発展による世界秩序及び勢力関係の変化が顕
著になっている。国内においては少子化・高齢化により経済活動が停滞気味である。それらを背景に様
々な企業・ビジネスを巡る問題も起こっている。ここでいうゼロベースとは、

  ・一からのスタート
  ・原点回帰
  ・ゼロからの挑戦
  ・これまでの常識の払拭
  ・高度成長期の成功体験からの脱却
  ・ビジネスモデルの転換

等々である。日本企業・ビジネスがさらなる発展を図るためのキーワードと考え、今回の当「環境ビジ
ネス白書2016年版」についてもこの切り口で整理・分析を行った。本文は2章で構成した。

  Ⅰ.環境ビジネス2016年版の総括
   表:ゼロベースの時代-ゼロベースで考える環境ビジネスの視点
  Ⅱ.ビジネス事例&市場・ビジネスデータ

Ⅰ章は本年版の結論的総括であり、Ⅱ章は本書独自の視点から、環境ビジネスを9大分類、26中分類
に区別し、最新事例を吟味・収録した。また、当該ビジネスへの新規参入及び取り組み強化の参考とし
て「市場・ビジネスデータ」を付加している。
 

 

新徐福伝説のはじまり

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            心の中の自我を抑えることのできぬ者ほど、自身の驕慢な
               心のままに、隣人の意志を支配したがるのです。

                                                    ゲーテ 『ファウスト』 

                                                                                            
                                                                                                            Aug. 28, 1749 -Mar 22, 1832

 

 

【折々の読書 齢は歳々にたかく、栖は折々にせばし】    

   Jun. 26, 2016

 

● 朝日新聞「迫る2025ショック取材班」

          『日本で老いて死ぬということ』7 

 [目次]

   はじめに

   第1部 日本で老いて死ぬということ

  第1章 生きがいの喪失と回復
  第2章 難しい「平穏な在宅死」
  第3章 口から食べたい
  
  第2部 介護の現実~在宅・施設それぞれのリアル

  第4章 三人介護
  第5章 遠距離介護
  第6章 ダブルケア
  第7章 虐待を防ぐ
  第8章 在宅でみる 
  第9章 訪問看護師の力
  第10章 特養で看取る

  第3部 老いは地域社会で見守れるか

    第11章 地域で暮らす
  第12章 コミュニティ再生
  最終章 未来へつなぐ

  おわりに  

  第2章 難しい「平穏な在宅死」

     胃ろうのプロフェッショナル

  2014年9月9日夕方、横浜市のマンション,大垣さんのケースで紹介した赤羽重樹医師は、
 男性患者(66)宅で胃ろうのチューブを交換していた。一胃の中はきれいだね」。内撹鏡でのぞき
 ながら、妻(65)に声をかけた。



  赤羽医師は、胃ろうや「摂食・嘸ド(のみ込み)」に詳しい在宅医として、訪問診療をこなす。
 患者や連携する看護師らの信頼は厚い。横浜市内の在宅医らでつくる「在宅医ネットよこはま」(
 岡田孝弘代表)の東部地区代表も務め、胃ろうなどに関するシンポジウムを問くなどしてきた。
  そんな赤羽医師だが、胃ろうについては、ある「トラウマ」がある,病院勤務医だった2000
 年前後、毎年50~80件の胃ろう手術を手がけていた。数年後、その患者たちの生命予後を調べよう
 と、約200入に電話をかけた。すると、数人の家族から「何で胃ろうをつくる前に、こんな大変
 な状況になると説明しなかったんだ!」と怒られた。「転院先を3ヵ月ごとに自分で探し続けた]
 「介護施設には『胃ろうの人は入れない』と断られた」――当時は、今より病院や施設の支援態勢
 が弱く、「胃ろう難民]が出ていた。

 「自分は多くの患者さんを救ってきた」と思っていた赤羽医師は、大きな衝撃を受けた。胃ろう難
 民のことも知らなかった。同時に罪悪感が膨らんでいった。
 「これからは胃ろうにした後のサポートをしていこう]。そう考え、2007年に今のクリニック
 を開業した。「自分としては、懺悔のつもりで今の仕事をしているんです」
 在宅医療の現場に入り、患者により深く関われるようになった。胃ろうの管理で困ったことに相談
 に乗るだけでなく、つくろうかどうか迷う人の支援もする。
 胃ろうにするかどうかは、(1)夫婦・親子間の愛情、(2)経済力、(3)空間的なゆとり(家
 の造り)などを元に助言するという。「自分だったら、どうする?」と聞くことも多い。「母親に
 胃ろうをつくって」という息子がいた。「自分だったら、どうしますか?」と聞くと、「つけませ
 ん」。「本当にお母さんのことを考えるなら、「自分だったら』の選択の方が、思いやりなのでは
 ありませんか」赤羽医師が言った。もう、度考え、結局胃ろうにはしなかった。

  赤羽医師は、今まで多くの「胃ろうの選択」に立ち会ってきた。わかったことは、「胃ろうはつ
 くってもつくらなくても、必ず後悔は残る」ということだ。つくると「自分が罪悪感から逃れるた
 めにやった」と思い、つくらないと「死期を早めてしまった」などの思いを抱いてしまう。
  だからこそ、亡くなった後のケアが大事だという。前述の大垣進さんの妻、佐智子さんは今も月
 1回、健康チェックのため赤羽医師の元を訪れると、当時の思い出話をする。胃ろうの選択は、重
 い。でも、こうした心のケアや周囲の支えがあれば、和らげることができる。



   胃ろうのメリット・デメリット

  胃ろうは、介護保険が導入された2000年前後から、食事がとれない高齢者らに急速に広がっ
 た。毎年10万人前後が新たにつくり、40万~50万人が利用していると推定されている。だが数年
 前、安易に胃ろうをつけることに批判が高まった。長所と短所を見極め、家族で話し合って判断す
 ることが必要だ。

   〈患者、不快感少なく〉

  胃ろうは、ロから食べられなくなったとき、おなかに穴を開け、管から胃に栄養や水分を入れる
 方法だ(次の図)。「ろう(秦)」とは、「本来ないところに道ができる」という意味だという。
 元々は、障害があってロから食べられない子ども向けに開発された。 人工的に栄養を補う方法に
 は、大きく(1)管で胃や腸に栄養を送る「経管栄養法」、(2)首などの静脈や不足の細い血管
 に点滴する「静脈栄養法」がある。(1)の中に、胃ろうと、鼻から管を入れる方法などがある。
  胃ろうは、ほかの方法に比.へ、患者の不快感が少なく長期問使いやすい。メリットとしては、
 「口から食べるリハビリをしやすい]「家族が食事介助する時間を減らせる」「栄養状態が改善し、
 床ずれが治る」などが挙げられる,一方デメリットとしては、「胃ろうに頼り、ロを使う機会が減
 る」「介護施設では入居制限がある」「一度開始すると、やめにくいIなどがある。

  手術は20分程度で済む。管はIカ月~半年に一度、交換が必要だ。栄養剤には「医薬品扱い」
 と「食品扱い」がある。医薬品扱いだと医療保険がきくが、食品扱いは全額自己負担。医薬品扱い
 のものを中心に使えば、1割負担で月1万円以内に収まるという。

    〈安易につくる例も〉

  一気に広がった胃ろうだったが、「平穏死」「自然死]という言葉が広まるようになった数年前
 から、風当たりが強くなってきた。本来は、口から食べるまでの一時的な手段のはずだったが、老
 衰で死期が追っている患者に、安易につくるケースなどが明らかになってきたためだ。実際、20
 12年度の医療経済研究機構の調査では、胃ろうにした人の59%は「将来ロから食べられる可能性
 はない」と判断したのにつけられていた。「口から食べる可能性があった」のは24%に過ぎなかっ
 た。のみ込み機能の検査を受けずに胃ろうにした患者も23%いた。

  このほか、家族と十分に話し合わずにつくったり、再び食べられる可能性があるのにリハビリを
 しなかったり、といったケースがあった。認知症が進み食べられなくなった患者に、何年も胃ろう
 にし続けることの是非も、議論になった。
  こうした状況を受け、厚生労働省は、2014年春の診療報酬改定で、可能な限り「ロからの食
 事摂取」を促そうと、胃ろう手術の点数を引き下げた。そして胃ろうの必要性を調べるのみ込み機
 能の検査や、術後のリハビリヘの加算を手厚くした。
  また、日本老年医学会は2012年、胃ろうを含む人工栄養法について、患者の人生に有益でな
 いと判断される場合には、差し控えや中止も選択肢とする指針をまとめている。

  一方、ベテランの医師ですら、将来口から食べられるかどうか、回復の予測は難しいという。胃
 ろうに詳しい赤羽重樹・西神奈川ヘルスケアクリニック院長によると、つくるかどうか決める時点
 で、人まかにいえば「確実に回復する]「回復はまず無理」とはっきりわかる患者は各1割、残り
 8割は「どちらになるかわからない」のだという。

   〈補完的に使う選択肢〉

  批判の高まりもあり、ここ数年、胃ろうを選択する患者・家族は減ってきているようだ,
  さきにも触れた朝日新聞横浜総局が横浜内科学会と共同で2013年11月に実施した「在宅で
 の医療と看取り」アンケートでは、胃ろうをつけない選択が増加傾向にあることが、わかる。「過
 去10年間ほどで、家族が胃ろうをつけない選択をするケースは増えているか」と尋ねた。回答し
 た診療所・病院40ヵ所のうち、「増えている」が14ヵ所(35%)で最も多かった。「変わら
 ない」12ヵ所(30%)、「減っている」3ヵ所(7・5%)、「わからない」11ヵ所(27・
 5%)だった。具体的な事例についても尋ねた。「家族と十分話し合い、胃ろう造設を病院に依頼
 したが、担当医が胃ろうに批判的で、ほぼ追い返されてしまった」(横浜市南区のクリニック)な
 どの回答があった。

  胃ろうに詳しいクローバーホスピタル(拍‥奈川県藤沢市)消化器科の望月弘彦医師(53)によ
 ると、最近「胃ろうはやめてほしい」という患者・家族が増えている。だれか1人を胃ろうにして
 看取ると、2人目のときに拒否するケースが目立つという。
  こうした流れに対し、赤羽医師は、冷静な判断を呼びかける。「たとえやせてしまったお年寄り
 でも、胃ろうにして栄養補給することで、のみ込みに関わる筋肉がついて、2年後に食.へられる
 ようになった、という例もある。完全にロから食べられるようにならなくても、胃ろうを補完的に
 使う選択肢もある。メリットとデメリットを家族で十分に話し合い、介護力などを勘案し、決めて
 ほしい」

  口から食べられなくなったとき、胃ろうをつけるか、つけないか-。2025年に向け、こうし
 た選択を迫られる人たちは増えていくだろう。「自分なら、どうするだろうか」。元気なうちに、
 ある程度のシミュレーションをし、家族や医師、看護師らと話し合い、その意思をきっちり伝えて
 おくことが大事だと思う。

リアルな描写に、やはり健康が一番を痛感する。
                                      この項つづく 

 Sep. 27, 2016

【新徐福伝説の始まり】

つい最近、ブログ『徐福伝説は真実だった ?』(2016.09.27)を記載したばかりだというのに、今月5
日、米アルバート・アインシュタイン医科大学の研究グループが、世界各国で、最も高齢の人たちの寿
命は延びが止まっていて、人間が125歳を超えて生きることは将来的にも難しいとする研究結果(下
図)を発表している。医療が発達しても人間の寿命には限界があるとしており議論になりそうだという。
世界の40の国と地域の、最長でおよそ100年分の人口統計をもとに、年齢層ごとの寿命の延び方を
分析、各国の平均寿命自体は延び続けている一方で、百歳を超えるような最も高齢の年齢層については、
80年代以降、寿命は延びなくなっている。

長寿の人が多い日本やフランスなど4か国で最高齢の人が亡くなった年齢が、70年ごろから90年代
前半までは毎年0.15歳ずつ延び続けたが、 122歳まで生きて歴史上最も長寿と確認されているフ
ランス人のジャンヌ・カルマンさんが亡くなった97年ごろからは下がる傾向にある。統計的に解析す
ると、将来的に125歳を超える人が出る確率は1万分の1未満だとしています。人間の寿命について
はこれからも延び続けるという説もありますが、研究グループは、医療が発達しても寿命には限界があ
ると結論している(下図ダブクリ)。

 


Evidence for a limit to human lifespan, NatureYear published:(2016)DOI:doi:10.1038/nature19793 

そうすると、125歳と言えば大還暦に5歳足せばいいのだ。この限界を突破すれば一応、マスコミに
取り上げられ名前が残る可能性が出てくるんだなぁっと?それじゃ、チャレンジするのも悪くない。ま
てよ、健康でいなければ、それも、肌が艶々させておかなければ・・・・・・と。妄想モードに入る。デスク
ワーク中心の今のままじゃだめだし、健康上の不安は?環境上の不安は?と展開していく。後者の放射
能汚染や地球温暖化による罹災は社会問題だから個人では非力だが、後者は個人として解決できるが・・・
そうだ、二度寝癖がある、とりあえずそれを直そうととネット・サーフすると、「オルニチン」という
非必須アミノ酸がヒットする。
 
つまり、こうだ。日本人の半数以上が「寝つきが悪い」「熟睡できない」「目覚めが悪い」といった眠
りに対する不満を抱えていて、そこで、疲れ気味の方を対象に、オルニチンが睡眠や朝の目覚めに及ぼ
す影響について検討試験を行なったところ、その結果、就寝前にオルニチンを摂取する事により、眠り
の体感が良くなり、翌朝起床した際 に頭がより早く目覚める可能性が示すという。

 

それじゃ、シジミ、しめじ、だだ茶豆などから摂取できるし、サプリメントも市販されているので手に
入る。念のため、オルニチを合成できないか特許技術をリサーチすると可能なことが解る。なお、オル
ニチンの製造の技能習得には、高等学校レベルの教養があり、有機合成(生命工学)の知識があれば、
あとは英語力とデジタルツール・リテラシがあれば3年程度の実務体験で製造可能。それと、滋賀県で
ではシジミがとれるので、セタシジミの養殖工場とシメジの植物工場、さらに地元の味噌を商品開発し
これらをセットにし販売。毎食時に「シジメ味噌汁」として県名名産品として販売すれば、20年後に
は、世界で一番125歳超のパワフルお年寄りが多い県として名を馳せることとなるだろうと妄想する。
尚、関連特許技術を下記に参考掲載しておく。


 特開2005-237379 L-アミノ酸生産菌及びL-アミノ酸の製造法

【RE100倶楽部:燃料電池航空機も 4人乗りで最長1500kM 】

ドイツの国立航空宇宙研究センターが燃料電池で飛ぶ4人乗りの航空機の飛行に成功した。低温で動く
固体高分子形の燃料電池と水素格納装置を搭載して、水だけを排出しながら最長1500キロメートル
を飛ぶことができる。最大出力は80キロワットで、離陸時や上昇時には蓄電池から電力を補給する。

 

 

9月29日、ドイツの南西部にあるシュトゥットガルト空港をドイツ国立航空宇宙研究センターが開発
した「HY4」1機が飛び立った。水素で発電する燃料電池を搭載した航空機で、4人乗りでは世界で初
めてのフライトに成功。HY4は機体の中央部に燃料電池による駆動システムを内蔵して、前方のプロペ
ラを回転させる仕組みだ。左右に分かれた2つの胴体の前部に、パイロットや乗客を2人ずつ分散して
収容。人間を乗せる部分を左右に分散させた構造が最も効率よく飛ぶことができるとのことである。

動力源の燃料電池はカナダのハイドロジェニックス社が供給。低温で動作する固体高分子形の燃料電池
――燃料電池自動車に使われているのと同じタイプ――。HY4に搭載した燃料電池の出力は80キロワ
ットで、トヨタ自動車の燃料電池車「MIRAI」の出力(114キロワット)と比べると少し小さい。
これは面白い。

 

 

エネルギー問題に終止符?

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          自分一人のものが夢。みんなで共有できる夢が志だ。

                           孫 正義 

                                   

                                                                  Aug. 11, 1957 - 

 

  Dec. 27, 2015

【RE100倶楽部:水素運搬プラスチックの開発】

● エネルギー問題に終止符かそれとも?

20年前頃に盛んに研究開発されたポリケトンもしくはポリケトンポリマーが話題となっている。9月
30日、早稲田大学の研究グループが、水素をためた状態でも手で触ることができる素材「水素運搬プ
ラスチック」――研究グループは、プラスチックシートとして成形できる「ケトンポリマー」を水に浸
し、マイナス1.5ボルトの電圧をかけると、水素が固定された「アルコールポリマー」が生成される
ことを明らかにし、このポリマーを80℃に加温すると水素ガスを放出し、水素の固定と放出のサイク
ルを簡単にに繰り返すことを突き止めた――を開発したことを公表。両ポリマーは、室温・大気下で長
期保存できる。特別な装置が必要なく、身近な場所で水素が貯蔵できるため、地域分散型のエネルギー
システム構築できる期待される。従来法では、水素は高圧ボンベなどでの保管・運搬や爆発の危険など
課題が多く、安全で効率良く水素を運搬できる素材の開発が望まれていた。つまり、今回の研究成果は、
プラスチックシートとして成形できるケトンポリマーを水に浸し-1.5Vの電圧をかけると、水素(2
H)が固定されたアルコールポリマーが生成されることを発見し(水素固着)アルコールポリマーを80
℃で加温すると水素ガスを放出したことが世界に先駆けて実現したことである。


図:(a)は5グラムスケールでフルオレノンとフルオレノールヒドロゲルのシート(水素放出後)ガス
  バリア袋を用いて封止したフルオレノールシート。(b)水素固着-放出サイクルの模式図。(c)フ
  ルオレノンとフルオレノールポリマーの調製スキーム。

● 技術背景

「水素」をエネルギー源の一つとする社会の実現に向けて、施策と研究・開発が進んでいる。しかし、
水素は高圧ボンベなどでの保管・運搬や爆発の危険など課題が多く、安全で効率の良い水素キャリア(
運搬体)の開発が望まれている。有機物の中には化学結合で水素を固定し、また放出するものがある (例
えばアンモニア(NH3)は窒素(N2)に水素ガス(H2)が固定され生成)。しかし水素の固定・取り出しには高
温・高圧を要し、揮発・毒性などの観点からも扱いは容易ではない。水素の貯蔵・運搬・放出において
エネルギー負荷が少なく、かつ安全で軽量な、まったく新しい形式の水素キャリア(運搬体)を実現しよ
うとした。

● 新しく開発した手法 

プラスチックシートとして成形できるケトンポリマーを水に浸し-1.5Vの電圧をかけると、化学結合
によって水からプロトンが取り込まれ、水素(2H)が固定されたアルコールポリマーが生成されることを
見出した。さらにアルコールポリマーは80℃の加温により水素ガスを放出した。水素固定と放出のサ
イルは温和な条件下で簡易に進み、繰り返せた。

「水」をプロトン源として水素(2H)をケトンポリマーに固定できた。水素をアルコールポリマー
の形で貯蔵。このプロセスは-1.5Vの電圧印加(簡易、一時間程度)で進む。 80℃の加温により水素ガスが発生し、ケトンポリマーに戻る。1gのプラスチックから約30
mlの水素ガスが発生(一時間程度)する。 上記の水素固定-水素発生は繰り返せる(50回試験、性能減少はわずか)。 アルコール、ケトンポリマーはともに安定、室温・大気下で長期保存することが可能(1ヵ月後
も変性なし)。

● 今後の課題

質量水素密度(1.1 wt%)が低いことが課題であり、よりコンパクトな――例えば水素定着ユニット
として、ピペラジンテトラノール(2.8重量%)など―― 分子構造のアルコール、ケトンポリマーで
検討中であるという。

 Sep. 30, 2016

図:AN電解質中で測定された10クーロンの速度でフルオレノンポリマーの曲線を放電/充電する。
  挿入図:ポリマー層中の電荷伝播の概略画像、フルオレノンポリマー層中のフルオレノールユニッ
  トのフルオレノン変換プロットは電解AN/水電解液で減少。フルオレノンポリマー被覆電極の理論
  容量は、0.2mg のポリマーあたり52 mC。破線は、通過した電荷を持つ理論的な変換を示す。
  s.d.のエラーバー5つのサンプルから計算。

   doi:10.1038/ncomms13032

図:同様のプロトン伝播は、ハイドロキノンのポリマーを用いて検討。しかし、それらのほとんどが原
  因ホッピング非常に遅い電子/プロトンのとポリマーの疎水性の水性媒体中で電気化学的に不活性
  であった、と酸化還元活性の例は、非黒鉛炭素上にコーティングされた非常に薄いキノン層に制
  限。フルオレノン高分子ヒドロゲルは、おそらくフルオレノン単位の適切なネットワーク構造と親
  水性ゲル状態に、電気化学的に有効電荷およびプロトン伝播またはホッピング両方が発生する(図
  2 挿入図 図3(b))。電解還元及びフルオレノンポリマーの連続水素化は、室温で水性電解質の
    存在下で進行していることに要注意。


 

このニースリリース資料と技術論文で、一番の疑問は、ケトンポリマー(二官能性フルオレノン、フル
オレノール誘導体、2,7-ビス[2-(ジエチルアミノ)エトキシ] -9-フルオレノン)の膨潤→繰り返し使
用の耐久性→機能性有機化合物特有のターンオーバーの有無。本当に「半永久使用可能?」である。ま
あ、この問題はここではおいておこう。次に、非黒鉛化炭素(=グラシアカーボン)に非被覆し電極形
成するフルオレノンポリマーの厚み。これは1μm の均一な膜で被覆し実験し、フルオレノンポリマー
層は水で膨潤したが、アセトニトリル(AN)またはそれらの混合物が不溶出であったとする。つまり、
実用的な最適膜厚と言い切れるのかという点。非黒鉛化炭素(=グラシアカーボン)に変わる導電体と
模索した場合、カーボンナノファイバー(ナノワイヤーあるいはナノドット)あるいはグラフェンフィ
ルムを使ってフルオレノンの表面積の最大化を図ることで、水素放出の最大化(=単位重量あたりの水
素生成量)を考える上の重要因子であることへの疑問である。さらに、今後の開発戦略について。ここ
では分散型のコンパクトな可搬ツールを想定しているが中・大規模の水素固定(固着)/水素放出シス
テムへの展開が示されなかった点である。その他、詳細な疑問などはここでは保留しておくが、この3
つの疑問の最後の点に触れてみよう。

What to expect from your biomass boiler

水素固定(固着)工程での電源は、太陽光、風力、水力などの再生可能エネルギーで賄うとして、水素
放出の加熱エネルギーにバイオマスボイラーからの熱エネルギーを使用し、水素ガスは燃料電池で電力
変換するシステム考えてみた(要特許申請)。こうすれば、百パーセント再生可能エネルギーで賄える。
後はエネルギ&マテリアル収支と個別機構・機能・品質設計へと続く。この発明がここまでいけば、エ
ネルギー革命となり世界を席巻することとなる。ビバ!エネルギー革命、百パーセント再生可能エネル
ギー倶楽部は終焉する、これは愉快だ。

【我が家の焚書顛末記 Ⅴ:中国思想 管子】 

 ● 管仲の生涯

 「管鮑の交り」という故事がある。管仲と親友鮑叔牙の友情物語をもとにしたことばで、真の友情
 をたたえる意味に使われ、唐の詩人杜甫などは、軽薄に堕した人情をなげいて「君見ずや管鮑貧時
 の交り、この道いまの人捨てて土のごとし」とうたっているほどだ。
  が、管仲の真骨頂は、こうした故事とは別のところにある。かれは、社会経済の発展過程と客観
 的条件とを冷静に見きわめ、いかにして斉の富国強兵をはかるかに一生を終始した。意地の悪い見
 方をすれば、そのために友情をも踏み台にしたとさえ考えられるふしがある。
  管仲、名は夷吾、字を仲、または敬仲といった。『史記』によれば頴上の生まれということにな
 っている。

  頴上は、安徹宵の西部にある高菜の中心地で、穎水のほとりに位している。頴水は頴上から東南
 に五十キロ流れて池水に合流する。『漢書』地理志によれば、頴水も混水もその流れは背とほとん
 ど変わっていない。頴上は水運の使がよく、ここから池水に沿って東流すれば江蘇や山東に出られ
 るし逆に頴水を題ると河南平野に達する。おそらく春秋の時代にもここは商業都市として栄えてい
 たのだろう。計数に明るく、需給のバランスを言祝するというかれの考え方は、その生い立ちの環
 境に関係があるといってよい。



  管仲の青少年時代については、いわゆる「管鮑治の交り」以外には、知るすべはない。かれは鮑
 叔牙とともに斉の唇公に仕え、管仲は公子紅、鮑叔牙は公子小白の、それぞれ教育係になった。紅
 と小白との相続争いで、管仲は治政牙と敵味方になって戦い、結局、紅・管仲側は敗れ、紅は殺
 された。しかし、管仲は親友鮑叔牙の推挙で、敵だった小白に仕えるようになった。小白は斉君と
 なり(斉の桓公)、管仲は桓公の宰相にとりたてられた。それから四十数年、管仲は桓公を補佐し
 て、斉の黄金時代を築きあげるのである。

  当時、四百年以上にわたって中原に君臨してきた周王室の統刺刀は次第に衰え、斉、楚、晋、秦、
 燕、魯など太小数十の諸岡が群雄割拠し、兼併をすすめていた。周王室の東遷から始まる春秋時代
 の初期から中期にかけての時代である。内には、後述するような社会変革が徐々にすすみ、外から
 は夷秋の脅威がせまっていた。
  斉は、周王朝の成立とともに太公望呂尚が封ぜられた地であり、臨瑙(現在の山東省)に都して
 いた。降って春秋中期から戦国時代に至ると、臨晶は古代中国における最大の都市のひとつとなる
 のだが、桓公以前の斉は、黄河下流にあって海をひかえるとはいえ、海運がさはどの役割をもたぬ
 当時の中国では、中原の中心から東にへだたった後進地域にすぎなかったであろう。その斉の君主
 となって早くも七年目(前679年)に、桓公は衛の直に諸侯を召集して会議を主宰し、"覇者"の
 地位を確保している。覇者とは、名目的な周王室に代わって実質的に諸侯を統制する盟主である。 

  いうまでもなく、ここには宰相管仲の政治力があった。たとえば、それより二年前、桓公が魯に
 戦勝して平和会議を開いたときのエピソードがある。会議の岸上、魯の将軍曹沫が短刀をかぎして
 桓公に迫り、「侵した領土を返せ」と迫った。桓公は一度承知しながら約束を履行せず、曹沫を殺
 そうとした。管仲はそれをおしとどめて信義を説き、領土を返させた。その結果、桓公の名声が諸
 侯の間にひろがったのである。

  桓公は在位四十三(前685~前642)年の問に、北は現在の河北省北部、西は大行山脈、南は河南省
 中央部あたりまで出京している。当時としては全中国といってもよい。もともと桓公自身は、凡庸
 といってもよく、自力で覇者になり得るほどの素質をもっていない。「桓公が諸侯をひきいて天下
 の政道を正したのは、管仲のはかりごとによる。……管仲は貨物を交易して財をつみ、国を富まし
 兵を強くし、世間の好悪にさからわぬような政策(※重商主義)をとった」(『史記』貨殖列伝)。
 「管仲が宰相となるや、経済官庁(※財務省)を設置し、物価調整法を立案して、みごと再建に成
 功した。その結果、斉君桓公は覇者として諸侯を統率し、天下をひとつにまとめることができたの
 である」(『史記』貨殖列伝)。

  管仲は「周官」にある制度を再編成し、より合理的な法律や制度を制定した。内政の充実をはか
 ると同時に、対外的にも適切な政策を実施した。またかれは、周王朝の威信をもりたてることによ
 って斉国が天下に覇を成すための大儀名分とした。まず自ら周王室に朝貢し、周に入貢しないこと
 をとがめて諸侯を伐っている。また管仲は、今口でいう「小国の集団防衛」に近い考えをもってい
 た。諸侯は一つの先進国家――つまり斉――の指導のもとに、ブロック国家をつくるべきだと説い
 た。管仲の治政は、小は斉一国の強大化から、大は天下の平和維持へと、大きな実績を残すことが
 できた。管仲の人となりや思想には反感をもっていた孔子も、その政治上の功績は認めざるを得な
 かった。『論語』憲間篇にこんな話がある。

  子貢がいった。「管仲は仁義のある入門ではありません。主君に殉死することができなかったば
 かりでなく、そのうえ、自分の主君を殺した桓公に仕えています」
  すると、孔子は、「管仲は桓公をたすけて、諸侯を指導し、天下の平和を維持させた。庶民なら
 は今でもその恩恵をうけている。もし管仲がいなかったら、とうの昔にわが中国は夷狭に占領され、
 今頃、われわれはザンバラ髪に左前というエビスの風俗を強制されていたであろう」
  ――桓公の治世四十一年目(前645年)に、管仲は死んだ。かれが死ぬと、桓公はたちまち無
 能ぶりを発揮し、管仲の遺言に従わなかったため、五人の公子の相続争いが表面化している。管仲
 の死後二年して、桓公も世を去るが、相続争いに熱中した公子たらはその屍を六十七日間も放置し、
 「蛆がわいて戸外にはいだした」(『史記』斉太公世家)という。

尚、「※」の箇所は小生の注釈、加筆。

 ● 『管子』の思想

  管子は法家の祖とされている。これは『回書』経籍志で法家に列されてからの一般的な伝統でゐ
 る。また一部では、かれを道家の筒躊にいれている。これは『漢書』芸文志で道家に列しているこ
 とに端を発している。
  しかし、『管子』を法家または道家の言という分類で概括してよいだろうか。これは『管子』の
 思想を一つの型にはめようとするものであり、いわゆる諸子百家ということばにとらわれすぎるた
 めである。こうした分類には、今日的な意義はあまりない。
 既述のように、管仲は思想家というより政治家であり、経済政策のプロモーターであった。したが
 って、『管子』は信書のような道徳教科書ではなく、広い意昧での政治綱領というべきものである。
  ここでは、その経済政策や政治綱領の中にあらわれた気長な思想を、いくつかとりあげてみよう。

  唯物的な立場 管仲を、厳密な意昧での唯物論者ということはもちろんできないが、かれは古代
 中国の思想家のなかで、はじめて唯物的な立場を明確に打ち出した人物である。かれはいう。
 「日々の慕らしが楽になれば、自然に礼儀をわきまえる、生活にゆとりができさえすれば、道徳意
 識はおのずと高まる」(牧民篇)。
 「"金持ちケンカせず"といわれるように、物質的な面で苦労がなければ争いはおきるものではない。
  "食物の怨みは長い"ともいうが、食うのに事欠くことがなければ、人を怨む者はいなくなる」(禁
 蔵笥)。
 「物質の豊富なことで天下一の国でなければ、精神的に天下をリードすることはできない」(七法
 篇)。
 ここには、いわゆろ「先王の道」という発想はない。物質的条件を重くみるというこの考え方は、
 当時、急速にすすんだ農業生産力の発展を反映しているとみることができよう。
  儒家の説く仁・訟・礼・智・信も、法家の強調する法律も、兵家の目的とする戦争に勝つ方法も、
 すべて物質的な基礎を確立しなければ、机上の空論に終わるだけだというのが、『管子』の根底に
 流れる思想である。


この時代と比較しても意味ないかもしれないが、現代の日本は「軍事力整備」という点では経済的側面
では、金額的にも、生産力に占める割合からも、突出していな唯一の先進国であり、経済力や文化的側
面では突出した国力(政治・経済・文化・環境・人権)の総合的な意味合いで)をもつ特異な国家――
細かな点での問題点を列挙すれば、世界の中位に格下げされるきらいは否定できないにしても、評価さ
れて良い――である。さて、この本と関連しで、あるは、まったく独立して考えを認めていく。速度を
上げて読み進めていこう。

                                       この項つづく                                         
 

 

秋宵の読書

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       世界にはたった二つの家しかいない――「持てる家」と「持たざる家」。

      There are only two families in the world, the Haves and Have-Nots.

                           ミゲル・デ・セルヴァンテス

                            
                                                       Miguel de Cervantes Saavedra
                                                                                                               Sep. 29, 1547 - Apr. 22, 1616
 

【折々の読書 齢は歳々にたかく、栖は折々にせばし】    

   Jun. 26, 2016

 

● 朝日新聞「迫る2025ショック取材班」

          『日本で老いて死ぬということ』8 

 

 [目次]

   はじめに

   第1部 日本で老いて死ぬということ

  第1章 生きがいの喪失と回復
  第2章 難しい「平穏な在宅死」
  第3章 口から食べたい
  
  第2部 介護の現実~在宅・施設それぞれのリアル

  第4章 三人介護
  第5章 遠距離介護
  第6章 ダブルケア
  第7章 虐待を防ぐ
  第8章 在宅でみる 
  第9章 訪問看護師の力
  第10章 特養で看取る

  第3部 老いは地域社会で見守れるか

    第11章 地域で暮らす
  第12章 コミュニティ再生
  最終章 未来へつなぐ

  おわりに  

   第3章 口から食べたい

   栄養指導、生活変わった

  食卓に背筋を伸ばして座り、熊倉良造さん(73)=神奈川県綾瀬市=は「パピプペポ……。タ
 タタ・・・・・・」と口を動かす。食事前の「準備運動」を隣で管理栄養士の宮脇貴美子さん(44)が
 見守る。台所からは妻・妙子さん(70)がゆでたモロヘイヤを包丁で桐かくたたく音が響く。
  昼食に全がゆ、ウナギのかば焼き、モロヘイヤのおひたし、とろみをつけたみそ汗などが並ん
 だ,ウナギは軟らかい真空パックで、皮を取って盛りつけられていた,良造さんは脳出血の後遺
 症でのみ込みに障害があり、歯ごたえのあるものをかむことや、うまく水分を飲むことができな
 い。大好物の脂がのったウナギを箸で小分けにし、目に運んだ,

  宮脇さんは、自宅で暮らす患者を訪問して栄養指導をする「地域栄養ケアPEACH厚木」(
 神奈川県厚木市)の一員,良造さんに1年前から栄養指導をしている。
  宮脇さんはみそ汁をスプーンですくって飲む良造さんを見ながら、妙子さんに「スプーンを変
 えた?」と聞いた。今までより厚みがあり、飲み方が普段と追っていた。
 以前のスプーンに戻すよう助言した。
  近くに住む長女の樋口優江さん(42)は「話しかけると『誤嘸』しそうで怖い」
 と、良造さんが食べ物を過って気管内にのみ込んでしまうことを恐れて、食事中は見つめるだけ
 だった,宮脇さんは「ペースがゆっくりになるから話しかけた方がいいんですよ」と会話を促し
 た。
  宮脇さんの訪問時間は約一時間だが、食べる機能を回復させるため、指導は調理方法や食べ物
 の形態だけではなく、姿勢や食器、口の中のケアまで幅広い。脚の太さも計測する。
  食事を終えた良造さんは宮脇さんと次の目標を話し合った。良造さんは「レタスやキュウリが
 食べたい」。シャキシャキした食感を味わいたいのだという。
  新しいメニューの際は、必ず宮脇さんが見ている前で食べる。妙子さんは「ちやんとのみ込ん
 でいるのか素人には分からない。栄養指導してもらうだけでこうも追うなんて」と話す。
  次回はサンドイッチに挑戦することになった。

  2011年3月、脳出血で救急搬送後に入院した良造さんは、ロからの食事ができなくなり、
 胃からチューブで栄養を取る「胃ろう」の生活が続いた。
  退院後、妙子さんたちは「好きな物を食べさせたい」と情報を集め、言語聴覚士からPEAC
 Hを紹介された,「すがる思い」(妙子さん)で連絡を取り、2012年5月から栄養指導が始
 まった。最初は一ロ大のカップゼリーから始まり、ゼリーの量が増え、おかゆに移行していった。
 副菜も増えた。今は朝、昼は食事をしているが、夜間には誤嘸の不安があるため、夕食は胃ろう
 で栄養をとっている。

  翌年の正月、優江さん一家は良造さんの前で食事をすることに気兼ねし、お茶だけ飲んで帰っ
 た。でも、2014年は硬さは違えど、一緒にまぐろやおせちを味わった。優江さんは言う。「
 こんな日が来るとは思わなかった」

   退院後の食支える

 「地域栄養ケアPEACH厚木」の代表・江頭文江さん(43)は、元々は病院の管理栄養士だっ
 た。聖隷三方原病院(浜松市)で同期から誘いを受け、のみ込みに障害がある人の食事の研究に
 携わるようになった。
  同院には入院のほか外来を担当する栄養士もいて、食べられるようになった人を継続して支援
 できる仕組みがあった。一方、せっかく食べられるようになったのに、自宅に戻ったり施設に移
 ったりした人が、環境が整わずに誤嘸性肺炎で再入院してしまうケースもあった。「患者さんが
 地域で安心して暮らすには、食の支援が大事だ」と訪問の栄養指導に興味を持った。

  結婚を機に神奈川県内に転居。2000年に前身の「ビーチ・サポート」を設立。
  当時は「管理栄養士が自宅に来て、何をするかは全く知られていなかった]という。
  患者の家族からは「あれもこれも食べてはだめ]と食事制限する人と思われ、玄関で腕を組ん
 で待ち構えられたこともあった。
  医師ら他職腫にも江頭さんの役割は浸透していなかった。「料理を作るだけではなく、食事時
 の患者の姿勢や身体機能にも着目して改善していく」という仕事を理解してもらうと、医師やケ
 アマネジャーから患者の訪問依頼が相次いだ,
  2003年に名称を変え、現在は3人の管理栄養士がいる。60~70人の患者を受け持ち、
 神奈 川県内の厚木、伊勢原、秦野、平塚市を中心に横浜市にも訪問する。
  2014年10月9日、厚木市内の会議室に在宅や施設などで食に関わる栄養士や看護師、介
 護職ら25人が渠まった。江頭さんたちが手がける「あつぎ食支援ネットワーク」の研修会だ。

  講師を務めた東名厚木病院摂食嚥下療法科の芳村直美課長(45)が、認知症で食べられなくな
 った高齢者に、おせんべいを食べさせた経験を話した。「しょっぱいものが好きで、たくあんも
 しやぶった。現在の患者さんの状態を見極めることと、その人の食生活の歴史を知ることが大事」
  研修会の開催は、前身の研究会を含め120回を数える。地域で暮らす人の食を継続して支え
 るためには、在宅や施設、病院の連携が不可欠だという,江頭さんは「同じ栄養士でも、在宅か
 施設で立場が違うと、仕事をイメージしにくい。毎月集まることで、互いの環境を見えるように
 している。地域で質の高い食支援ができるよう技術の底トげが目的だ」と話す。

   水ゴクン、訓練いける

 「ここまで食べられると、昔食べられなかったのがうそみたい。3桁(100歳)までいきます
 ね」
  2014年10月16日夕方、川崎市中原区の宮川サクさん(93)の自宅。鶴見犬歯学部助教
 の飯田良平さんは、一口大の栗のお菓子をしっかり食べるのを見て、長女・喜美子さん(68)に
 話しかけた。
  この日は、高齢者歯科が専門の飯田さんのほか、吉武歯科医院の吉武学院長(57)や歯科衛生
 士の斉藤理子さん(42)が訪問した。以前は、胃からチューブを入れる「胃ろう」で栄養をとっ
 ていたが、ほぼ普通の食事をとれるようになっていた。
  斉藤さんが買ってきたお菓子を食べてもらい、のみ込みの様子や音を確認。「お茶も(むせず
 に)ちゃんと飲めていますね」。飯田さんらは、太鼓判を押した。
  2011年2月、サクさんは自宅でくも膜下出血で倒れ、川崎市内の病院に入院した。口から
 必要な栄養がとれなくなり、4月に胃ろうをつくって退院した。

  サクさんは、ほぼ寝たきりの要介護5。在宅で喜美子さんが介護した。食事は3食とも胃ろう
 でとった。
  サクさんは、喜美予さんが食事をしているのを、うらやましそうに見ていた。「少しでも、口
 から食べさせてあげたい」。喜美子さんは、そう思うようになった。
  2012年春のことだった,訪問看護師が、ロをきれいにしようと、うがいをさせていた。す
 ると、うがいをした水を間違ってゴクンとのみ込んでしまった。「え? もしかしたら、口から
 何か食べられるかもしれませんよ」。驚いた看護師は、喜美子さんに言った。

  早速在宅医に相談、そこから吉武院長に、のみ込み評価の依頼があった。約1年間、ロからは
 食事をとっていなかった。3月に口や后の動き具合を見るテストを行い、「専門家に評価しても
 らった方がいい」と判断、飯田さんに詳しい検査を依頼した.、
  9日後に飯田さんが訪問,内院鏡検査などでプリンののみ込み状態を確認した,のどに少し残
 っていたが、唾液を誤嘸してしまうほど重症ではなかった。
 「これは、(食事訓練が)いける」。飯田さんの助言で、斉藤さんはサクさんに、プリンやヨー
 グルトから食べさせ始めた。毎週訪問するうちに、サクさんの表情が、少しずつ変わり始めた。

                                      この項つづく

 

 

 

【我が家の焚書顛末記 Ⅵ:中国思想 管子】  

    解題 3 『管子』の思想

  管仲の経済政策 『管子』には、生産と流通に関する多くの見解が述べられている。二千数百年
 前という ことを考えるならば、これはおどろくべき卓見であった。管仲の経済k改革を列挙すれば
 つぎのようになろう。

  1.農業の保護奨励
  1.塩、鉄、金、その他重要物資の生産管理
  1.均衡財改の維持
  1.流通、物価の調整
  1.税制および兵賦の整備

  当時、鉄製農具の普及と役牛の使用によって農衆生産が進むとともに、所有制度は貴族・領主の
 土地占有から封建地主の土地所有刺へと移行しつつあった。一方、商工業がさかんになり、大商人
 が勃興してきた。市-商業都市が形成されつつあった。
  斉の地は、『史記』貨殖列伝によると「潟鹵」(せきろ:塩分の多い湿地)だったという。紀元
 前11世紀(?)この地に封ぜられた太公望呂尚は機織り、漁業、製塩をおこした、という記録が
 同書にある。また、桑の原産地は、この山東地方であるといわれている。



  こうした基盤にたって、管仲は、製塩業、金、鉄の探知、地方の特産物(青茅、赤弓の材料、玉)
 などを生産管理したものと思われる。これらのものは、従来、自給自足程度の細々としたものであ
 った。その産業化か斉の国力を充実させたことはいうまでもない。漢代に至って、「斉は山と海を
 ひかえ肥沃な土地は千里にわたり、桑・麻が育ち、人民は多く、いろとりどりの布畠や魚塩がある」
 (『史記』貨殖列伝)といわれるようになったのも、管仲の事績が実を結んだためであろう。

  管仲はまた、流通の調整にも着目した。中国の歴史で、物価(とくに穀物の価格)の調整を考え
 だし、それを実際政策に実現させた政治家は、管仲をもって嚆矢とする。「軽重斂散法」といわれ
 るこの方法は、農民の保護と表裏一体を成すものである。『管子』の価格調整法は、一口にいえば
 需給のバランスをとりながら人為的に市場を操作することである。これは近代経済学でいう「管理
 価格」Administered Priceと一脈通ずるものがある。

  流通手段としての貨幣について論及したのも、『管子』が最初である。発生の起源は明らかでな
 いが、斉で作られた刀銭(刀の形をした貨幣)が、今日各地で発掘されていることも、これと無関
 係ではあるまい。『管子』は貨幣の役割を重視し、「貨幣発行権は統治者にのみあるべきである」
 と説いている。
  封建社会では、国家収入の大宗は地租である。このばあい、税額の査定が当を得ているか否かに
 よって、その田家の政治的安定が左右される。管仲は、ここでもきわめて合理的な考え方をしてい
 る。

  それは、税額の査定に当たっては、所有地の面積の大小だけにとらわれずに、その土地の生産性
 を考慮にいれることである。反当り十石の土地と、反当り一石の荒地に同率の税金をかけられたの
 では農民はたまらない。
 『管子』は、土地を普通の土地と開墾困難地の二極に大別している。そして役者をさらに、沼地、
 藪準河川地、準山地、山地、河川、森林、……といくつかの段階にわける。各段階によって税率に
 違いがある。また、査定の公平を期するために、三年に一度の調整、五年に一度の土地調査を主張
 している。

 君権の確立 管仲は主君の桓公にむかって、周王室に忠誠をつくすことを説いている。かれが本心
 から斜陽にひんした周王室の権威回復を望んだとは考えられない。かれは、その大義名分を利用し
 て斉の富強をはかろうとしたのである。
  経済政策で、きわめて進歩的な見解を示した管仲は、政治の面では保守的な姿勢をとっているか
 のようにみえる。が、血縁的な氏族の紐帯をたちきり、君権支配を確立することは、当時において
 は前むきの姿勢であった。これを郡県割によって確立し、ついに天下を統一したのが後の秦である
 ことを考えればこのことは判然とする。

 人民のコントロール 当世風の表現をかりるなら、『管子』は、「人民は為政者に飼育されている」
 と考えていた。牧民笥にある有名なことば、「およそ地を有し民を牧する者は、務め四時に在り。
 守り宮座に在り」はこれを端的に示している。これは『管子』だけでなく、中国の古代社会ではき
 わめてポピュラーな考えであったわけで、「牧民」とか「畜民」とかいう表現がよくでてくる。郭
 沫若はこれを奴隷社会制度の意識として非難しているが、当時の支配眉からみれば、飼育されてい
 る長沢は、放牧されている家畜と、大差なかったのかもしれない。

  管仲は、人民をうまく飼育することを統治者の義務と考えた。そのためには、かれらの生活を保
 証してやることであり、さらに、法律による規制と、制度による抑圧があると考えた。後世の法家
 思想の源泉がここにある。
 
 階層分業の思想 『管子』は階級的な差別を積極的に肯定する。乗馬箱にこういう説明がある。
 「国中の人開かみな高位高官ばかりなら、勤労者はいなくなる。したがって、生産は停止し、国家
 は危機に顔する。反対に、高位の者がいなかったらどうなるか。人民ばかりで統治する者がいない
 から、国家はいたずらに混乱するばかりだ。適正な序列や格差をつけることによって、長幼の序、
 貴賤の別を明らかにすることが肝要である」
 『管子』の階縁談は政治的特権の有無によって差別される、いわゆる「身分」とも違う。それは
 「身分」より一歩進んだものである。『管子』の階級観は、「身分」に一定の生産意識と社会的任
 務を加えたものである。 

 『管子』は社会を君主・卿大夫・士・農・工・商のいくつかの階層にわけている。この中で、士・
  農・工・高の四階層は、各分担すべき業務があり、互いに違う所に住まわせるべきであり、兼業
 することは望ましくないと主張している。中国の学者はこれを「四民分業定居論」といっている。
 これは管仲の発想ではなく、周王朝の社会制度の一特長だが、『管子』はとくにこれを強く打ち出
 している。
  四民分業には序列があるか。『管子』は、農業を最も重んじ、工業を一番軽く見る。この考え方
 はその後、中国よりも日本に強い影響をあたえたようだ。「士・農・工・商」は漢代以降になると
 中国ではあまり口にされなくなったが、日本では、江戸時代に至って社会的身分をこのことばで概
 括していたのである。

 『管子』は後世、じつにさまざまな批判を受けた。孔子・孟子を合む儒家はもちろんのこと、先秦
 時代では、崇子、列子、荘子、菊子、韓非、漢代では劉向、司馬選、楊雄、近世では程伊川、蘇洵、
 蘇似、呂祖謙、梅士卒、朱長谷、郭正域、兪椙、王念孫、日本では伊藤仁斎、荻生組徐、細井徳民、
 猪飼敬所、安井息軒……と、批判者の数は枚挙にいとまない。現代でも郭沫若、詩仙潜などから批
 判されている。

  まず管仲という人物にたいする批判がある。これは主として、かれが二君に仕えたことに由来す
 る。が、管仲にとって肉体的な "君主その人" は問題でなかったのだ。かれはいう。「紅さまお
 ひとりのために 死ぬ必要はない。もし死ぬとすれば、それは、国が敗れるか、宗廟が滅びるか、
 先祖の祭りが絶えるかしたときだ」(大匡篇)。一種の"君主機関説"とみることができよう。また、
 ともに公子総に仕えた召忽が自害したのに、管仲だけが桓公の招きに応じたという点にも攻撃が集
 中した。そこには、「判富びいき」を哀がえした、アンチ勝利者の心理も作用しているようだ。

  儒家はほとんど例外なく『管子』に反感をもつ。孟子は、管仲と比較されるのは不愉快だといわ
 んばかりだし(公孫丑篇)、孔子は『論語』の中で、「管仲の器量は小さい」「管仲は礼儀をわき
 まえないやつだ」などといっている。これは、『管子』の説く覇道が、儒家の唱える「仁」や「王
 道」とは対蹠的なものであることからして当然であろう。『管子』の覇道の根底を成すのは富国強
 兵策であり、物質優先の考え方であり、儒家にとっては、許し得ぬ "不仁の書" なのである。
  また、『管子』の経済政策も後世の論議をよんでいる。たとえば、明代万暦年間の学者朱長春は
 こういう。 

 「管子の軽重箱を見てみると、あまりにも米や塩のことに力をいれすぎていることがわかる。政策
 的にも下層階級の救済にばかり気をとられ、ちゃんとした商人や地方の素封家の生活を省みようと
 しない」
  こうした批判にたいして、同じ万暦の進士で、経済に精通したといわれる郭正城はいう。 
 「わたくしも『管子』を読んだ。この書は商品の流通をはかり、富国強兵を策してい元その政策は                                                                 
 当時の人民の希望にかなったものである。管子を非難する者はこういう。『管子は小利にこだわり
 大節を失している』『管子の政策は大商人や金貨業者にきびしすぎ、人情をわきまえていない』。
 だが、これらはみな木を見て森を見ない論である。管子は人民大衆の気持をよく察しており、すこ
 しも苛酷ではない。一言一句に千古の道理を秘めているから、その辺り実行すれば、必ず国を富ま
 し、兵を強くし、民を安んじることができよう」

        解題 4、『管子』の構成

 『管子』は管仲とその弟子たちの著書といわれている。おそらく一世の大政治家の言行録として戦
 国時代には『管子』は一種のベストセラーになっていたと思われる。
  漢の劉向か訓べたところ、管仲の著作といわれていたのは実に五百六十四指もあった。そこで、
 劉向は記述の回復した部分を除き、『管子』八十六指を紺染した。これが『漢書』芸文志でいう
 『管子』である。(後略)


古代中国(先秦時代)の唯物主義のマルクス・レーニン的官僚の風貌が浮かんでくるように、これが現
代の中国共産党の革新官僚像とダブルようで、なかなか面白い。

                                       この項つづく

 ● 秋宵の2つの新聞

もの憂う秋の夜も悪くはないが、そればかりではねと、前向きに室内運動に精をだす。7日、ワイヤド・
ジャパンは、「魚の言葉にも"方言"がある」ことを伝えている。エクセター大学の海洋生物学者スティ
ーヴ・シンプソン教授によれば、魚にはそれぞれの生息地固有の「方言」があるという。そして彼は
、地球温暖化に伴う海水温度の上昇により、一部の魚が北上を余儀なくされているなかで、異なる「
方言」をもつ魚が出会ったときに何が起こるのかを突き止めたいと考えているとか。アメリカのタラが
発する音は、『ドシンドシン』という感じの低い短音です。一方ヨーロッパのタラの音は周波数が高く、
そのうなり声は長く続く。このことから、地域方言は存在すると考えられ、こうした地域方言とは、
鳥類や哺乳類でも見られる現象と同じで、人間も含まれるという。魚の生態がわかりすぎて、そのうち
食べにくくなるぞと、これは犬、猫だけでなく牛、豚、山羊、鶏も同じで、菜食主義に転向するんじゃ
ないかとメランコリーに包まれる?てなっことはないか!(上写真ダブクリ)。

これは旧聞になるが9月27日、ベルギーの独立系研究機関imecらの共同研究グループは、ペロブスカ
イトと銅インジウムガリウムセレン(CIGS)をタンデムに積層し、変換効率17.8%となる薄膜太陽電
池モジュール(上写真/右下)――同積層モジュール(3.76cm2)(図参照)はぺロブスカイトをトップ・
モジュール、CIGSをボトムモジュールとして用い、それぞれ7枚および4枚のモジュールを用いてい
る――試作したことを伝えている。これは、imecが持つぺロブスカイトモジュールの15.3%という
世界記録を超え、ZSWのCIGSモジュールの持つ15.7%をも超す値。今回の成果は研究のほんの入口
で、17年には変換効率25%を超す多重接合ぺロブスカイト/CIGS太陽電池モジュールの開発を目指
す。開発檀家ではあるが、ここでも頑張っている。さぁ、実用レベルの30%超開発競争もわたし(た
ち)日本人が終焉(=ゴール)させようではないか、諸君!


理想のエレキケトル

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                多くの人間はソーセージに似ている。何をつめこもうと、
                それをちゃんと入れているであろう。  

                                       アレクセイ・K・トルストイ

                          Many men are like unto sausages:  
                          whatever you stuff them with,that they
                          will bear in them.

      ※ ヘンなものをつめられても困る、(事前に)蓄えられているのだから。
        like unto ・・・ (古い体)「・・・に似た」stuff A with B 「AにBをつめこむ」

                                                 
                                                Sep. 5, 1817 - Oct. 10, 1875

 

 

 

スタイリッシュなバルミューダ製のエレキケトル「BALMUDA The Pot」が発表された。ティファール
のエレキケルトと吹くこぼれがあり、お湯の注ぎ口から漏れというが問題だと嘗てブログ掲載したが
これで理想がかなうことになり、この商品に限って、英仏国の戦いは英国側の勝利(って、勝手に書
いているが)。「BALMUDA The Toaster」や「GreenFan」シリーズなど、シンプルで美しいデザイン
の家電を世に送り出しているBALMUDA。今回はトースターに続くキッチン家電の第2弾、エレキケ
トルの「BALMUDA The Pot」を発表。小さな本体と、長い注ぎ口が可愛いケトル。

このケルト特徴は、その小さな本体。一般的なエレキケトルの容量は1.1リットル程度、少ないもの
で0.8リットルだが、このケトルの容量は0.6リットル。一般的なケトルの半分。つまり、今までに
ケトルいっぱいに水を注いで沸かしたことは何回だろうか?また、お湯を沸かしすぎて、無駄にして
しまうことが多かった経験を何度もしている。今までの一般的な容量を見直し、ちょうどいい量のお湯
が沸かせるようにデザイン。0.6リットルは、コーヒー3杯、カップヌードルを2食作ることがサイズ
で日常生活にヒットする。


少し話はずれるけれど、トースターも扇風機もあるいはダイソンの掃除機も、「ガラカボス」と揶揄
されるけれど、日本の文化伝統精神は「縮む」つまり「比較マイナス思考」が特徴。従って、商品は
自然と洗練される。「(余計な)おまけ機能」を付加価値と錯覚するのは「精神の弛緩(バブル思考」
で家電販売戦略のミスリードにつながったが、これも通過儀礼と考えれば、「ガラカボス国・日本」
は世界のアンテナ・ショップと考えればわかりやすい。要するに「リバランス」が肝となる。これか
らも「オンリー・ワン」(一品)を追い求めていくことにしよう。



● 傷つけられても元に戻る透明で曇らない膜の形成

-水溶性ポリマーと粘土粒子からなるハイブリッド膜で表面処理-



Feb. 1, 2013 大和製罐株式会社との共同開発事例:粘土の吸湿による防曇

これから寒くなる季節がやってくるが、めがねとマスクを一緒にすると、環境により曇ってしまい作
業できなくなることがしばしば。このように、めがね、ゴーグル、車両・建物用ガラス等の表面に付
着した微小な水滴が引き起こす"光の散乱"や"曇り"による光透過性の低下を防ぐさまざまな親水性素
材を用いて材料表面への防曇処理が行われているが、これまでの防曇処理技術では、処理された表面
の耐久性が低い、(1)一度物理的損傷を受けると、恒久的に防曇機能を失ってしまうという課題や、
(2)皮膜の密着性が十分でないなどの問題がある。

今月7日、産総研の研究グループは、透明で耐久性に優れた防曇膜を開発したことを公表。これで簡
便な処理により、ガラス等の透明基材の防曇膜として利用可能となり、めがね、ゴーグル、車両・建物
用ガラス、太陽光発電パネルや、その他の産業機器への活用できそうだという。今回、防曇機能の向上を目
的とし、水溶性ポリマーであるポリビニルピロリドン(PVP)と、アミノプロピル基を表面に付けた
タルクに似たフィロケイ酸塩を基本組成とするナノメートルサイズの粘土粒子(AMP-ナノクレイ)か
らなるゲルを皮膜とし、コーティングする技術を開発。この皮膜は、高い光学特性や防曇性に加え、
自己修復性、密着性、水中での安定性、水中はつ油性(油が付着しない性質)にも優れ、様々な基材
表面にも容易にコーティングすることができる。

 Oct. 7, 2016

今回開発した防曇処理を施したスライドガラス(左上)、通常のスライドガラス(左中)、防曇膜の
構造(右上)と自己修復する様子の電子顕微鏡像(下)

※防曇処理の例には、(1)紫外線照射によって表面が超親水化する二酸化チタンを塗布する方法や、
 (2)親水性素材(二酸化ケイ素や酸化亜鉛)を微細構造化、層状構造化するといった手法がある
 が、これらは、塗布プロセスが複雑で、大面積処理には適さない。さらに、表面形状が複雑な場合
 は汚れやすく、表面に形成した膜の耐久性が低く、一度、物理的に損傷を受けると、恒久的に防曇
 機能を失ってしまう。そこで、表面の親水性を保ったまま、耐久性を向上させた防曇処理技術が求
 められている。↓
------------------------------------------------------------------------------------------
● 新非有機フッ素化合物・シリカ系防曇剤の開発

 Dec. 11, 2016

・固体表面から液体をにじませて、粘性液体の付着抑制や氷の付着力を大幅に低減
・有機フッ素化合物を使わず、一般的な元素を使用するため低コスト低環境負荷
・材料やエネルギー損失の削減、太陽光発電の稼働率向上、交通機関の安全運行への貢献に期待
------------------------------------------------------------------------------------------

→今回開発したPVP/AMP -ナノクレイハイブリッド膜の自己修復性を確認するため、膜をシリコン基
板上に成膜し、表面に外科用メスで傷をつけて基板のシリコン表面を露出させた。その後、試料を相
対湿度約80%、室温の環境下に置き、表面の様子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。図2に、
PVP/AMP-ナノクレイハイブリッド膜の表面形状の観察結果を示す。SEM像の白い部分は、露出した
基板のシリコン表面である。傷つけた直後はシリコン基板が露出している(図2(a))。しかし、2
4、48時間が経過すると、損傷が修復され始め、基板の露出箇所の大部分が埋まっていることが分
かる(図2(b))。さらに、48時間後には、傷幅が20~30 μmの広い領域で傷が完全に消失し、
この膜が自己修復性をもつことが分かった(図2(c))。

今回開発したPVP/AMP  -ナノクレイハイブリッド膜の想定される自己修復メカニズムを図3に示す。
膜が傷ついたときに、空気中の水分を吸収して、膜が膨潤、移動、接触して、傷を埋める。さらに、
PVP とAMP -ナノクレイの間の水素結合が再形成されて膜が再生すると考えられる。現状では、20
~30μm 程度の傷は回復することを確認している(下図参照)。また、開発したPVP/AMP-ナノクレ
イハイブリッド膜の水中でのはつ油性を確認するため、水中で油滴を形成させ、PVP/ AMP-ナノクレ
イハイブリッド膜の表面に油滴を押し付けて引き離したところ、油は全く付着しなかった(図4)。
このことから、PVP/AMP -ナノクレイハイブリッド膜は、水中でのはつ油性機能にも優れていること
が明らかとなった。これは、皮膜の表面に安定な水の膜が形成され、油や汚れの付着を抑制したため
と考えられる。



自己修復(Self-repairing)とは、生物工学の話かと驚く。3年かけて実用化といわずにすぐにでも欲
しい防曇処理剤だ。、

※ 関連特許:特開2013-213181  有機-無機透明ハイブリッド皮膜とその製造方法 独立行政法人産業
  技術総合研究所 2013年10月17日

 

 

【我が家の焚書顛末記 Ⅶ:中国思想 管子】  

   大  匡    ――管仲の前半生――

 「忠臣は二君に仕えず」というのは、観念論もてあそぶ初学者の"たわごと"である。真の政治家
 は国のために生会を投げだすが、一君主のために死ぬことはしない。この篇は管子がかつて敵対
 した鮑公のもとで宰相となるまでのいきさつである。

  ことば

 「子を知るは父にしくなく、臣を知るは君にしくなし」
 「社稷宗廟を持する考は、事を譲らず、閒を広しくせず」
 「人にたる者は、君に力を尽くさずば、親信せられず、親信せられずば、言聴かれず」
 「召忽の死や、その生くるに賢る(まさ)なり。管仲の生や、その死するに賢るなり」

   良臣は仕事を選ばぬ

  斉の憘公には、諸児、糾、小白という三人の公子がいた。憘公は末子・小白の教育係として、
 臣下の鮑叔をえらんだ。だが鮑叔は、病気を口実に辞退し、家に引きこもってしまった。
  同僚の管仲と召忽は鮑叔を訪れ、そのわけをたずねた。鮑叔は、「昔から、子供のことなら親
 に聞け、臣下のことなら君主に聞け、というではないか。わたしのことは、だれよりもわが君が
 ご存知のはず。わが君は、わたしが無能だとお考えになったからこそ、小白さまの教育係という
 閑職を申しつけられたのだ。これは、わたしなどいなくてもいい、ということではないか]
 召忽はすっかり同情した。

  「よし、わかった。そういうことならあくまで辞退すべきだ。このさい、わたしから、きみの病 状が思わしく
 ないと申し上げてねこう。きっとこの人事は撤回なさるにちがいない」
  「そうしてもらえればありがたい。ぜひ頼む」
  そばで聞いていた管仲が、口をはさんだ。
  「それはまずい。国の大事をあずかる以上、どんな仕事でも辞退すべきではないし、いかに閑職とはい
 え任務をおろそかにすべきではない。だいいち、だれがつきの国君になる決まったわけ ではないのだ。
 やはり、引き受けるべきだと思う」

  そこで、召忽と管仲の議論となった。召忽がいった。
 「いや、わたしはそうは思わん。斉の国にとって、われわれ三人は、いわば鼎の三本足のような
 ものだ。一本欠けても鼎は倒れてしまう。ここは、慎重に考えねばならぬ。小白さまは、とうて
 い後結ぎになれる方ではないのだから」
 「いや、そうと決まったわけではない。紅さまは、母君が国中の人々から憎まれているため、ご
 自分も不利を被っている。一方、小白さまは実の母君がいないので、世間の同情を買っている。
 諸児さまは、なんといってもご長男で、いちばん有望だが、母君のご身分が低いという弱点かあ
 る。いずれも一長一短、にわかに判断を下すことはできない。

  しかし、結局、将来の斉を背負って立つのは軋さまか小白さまだろう。わたしは小白さまを買
 っている。あの方は、小智を弄せず、大所高所から物事をとらえるというタイプのお方だ。人物
 のスケールが並みはずれて大きいので、なかなかひとに理解されない。あの方のことが、ほんと
 うにわかっているのは、わたしくらいのものだろう。
  順序からいけば糾さまが先だが、不幸にして将来、わが斉が天からわざわいを受けた場合、紘
 さまではとても乗り切れるとは思えない。そうなったとき、国家安泰のため、鮑叔の力がいるの
 だ」
      いずれも斉の憘公(「史記」では釐公)の公子。その関係を整理す
      れぼ、下図のごとくである。公孫無知は次々章に登場する。

  《鮑叔》管仲の親友。名は叔牙。管仲の才能を汲もよく和解した男で、管仲は、「われを生みし
  者は父母、われを知る者は鮎子」とWった。管仲を引き立てるために飽叔はいつでも損な役を引
  き受けた。管仲は自分の才能よりも、鮑叔の友情によって出世したというのが、もっぱらの評価
 だったという。
 《召忽》飽叔とともに管仲のよき理解費であり、心からの友でもあった。管仲といっしょに公子
 紅の叔育係になっていたが、後年、紅の後を追って殉死した。
 《母君が国中の人々から僧まれている》紅の生母は魯国の公女。魯は斉の隣国で、両国間には、
 いざこざが絶えなかった。したがって、魯国出身の女性は斉では人気がなかったのだろう。
 
  先物買い 支配体制がゆらぎつつある春秋時代、お家騒勁は常識であった。その間にあって、
 それぞれ異母公子の後見役に任命された重臣同士の議論は、"先物買い"をめぐって興味深い。
 すでに次男・糾つきの教育係を命ぜられていた管仲は、むしろ小白の将来性に期待し、親友鮑叔
 に教育係就任を説いているのだ。

  --------------------------------------------------------------------------------------
 齊僖公生公子諸兒,公子糾,公子小白。使鮑叔傅小白,鮑叔辭,稱疾不出。管仲與召忽往見之曰:
 「何故不出?」鮑叔曰:「先人有言曰:『知子莫若父,知臣莫若君』,今君知臣不肖也,是以使
 賤臣傅小白也賤臣知棄矣。」召忽曰:「子固辭無出,吾權任子以死亡,必免子。」鮑叔曰:「子
 如是,何不免之有乎?」管仲曰:「不可,持社稷宗廟者,不讓事,不廣閒。將有國者,未可知也。
 子其出乎。」召忽曰:「不可,吾三人者之於齊國也,譬之猶鼎之有足也,去一焉,則必不立矣,
 吾觀小白,必不為後矣。」管仲曰:「不然也,夫國人憎惡糾之母,以及糾之身,而憐小白之無母
 也;諸兒長而賤,事未可知也;夫所以定齊國者,非此二公子者,將無已也。小白之為人,無小智
 惕,而有大慮。非夷吾莫容小白,天不幸降禍加殃於齊,糾雖得立,事將不濟,非子定社稷,其將
 誰也?」
  ---------------------------------------------------------------------------------------

                                     この項つづく

  


わたしの魔方陣

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         悪を悪とすれども、去ること能はず。亡びし所以なり。



                            

                                                     管子 Guan-zi   720–645 BC

     ※ 先秦思想の「割れ窓論」「蟻の一穴論」と解すことも可。気の弛みが命取りに。

 

  

【我が家の焚書顛末記 Ⅷ:中国思想 管子】  

   大  匡    ――管仲の前半生――

    だれのために死ぬか

  管仲の意見を煎じつめれば「紅が失敗すれぱ次は松柏。いま飽叔が小白の教育係になっておけ
 ばきっとそのとき役に立つ」というものである。これを聞いて、召忽はびっくり仰天、はげしい
 調子で反論する。かりに紅さまが地位を形われるのを黙って見ているようなことがあれば、それ
 は君命に背くことになる。そのときには、わたしは生きていないつもりだ。たとえ斉の国を、い
 や天下をおまえにやるといわれても主君は裏切れない。君命を奉じからには、その責任を・身命
 を賭して遂行すろ。これが臣下たるものの義だ」 

  管仲はいった。
 「いや、わたしはそうは思わない。臣下というものは、君命を溺じた以上、国の安泰をはかり宗
 廟を守ることをまず第一に心がけるべきだ。紅さまおひとりのために死ぬ必要はない。もし死ぬ
 とすれば、それは国が敗れるか、宗廟が鍼びるか、先祖の祭りが絶えるかしたときだ。この三つ
 の場合でなければ、命をすてようとは思わない。この管仲がいてこそ斉の国は安泰なのだ。わた
 しが死ねば国も危うい」

  鮑叔は、二人のやりとりを間いていたが、ここで管仲に向かってたずねた。
 「それでは、わたしはどうすればよい」
 「出仕してむ命を受けることだね」
  と、管仲はこたえた。
  結局、鮑叔は管仲の意見に従い、君命を受けて小臼の教育係となった。
  就任にあたって鮑叔は、どのように仕えたらよいかを管仲にたずねた。管仲は、
 「まず主君のために全力をつくすことだ。さもないと信頼されない。信頼されなければ、なにを
 建議しても採用されない。そうなれば国を安泰にすることはできない。なによりもまず二心を抱
 かないこと、これが臣下の道だと思う」
  飽叔は、大きくうなずいた。

    忠誠のあり方

  自分が直按つかえる主人に殉じようという鮑叙。自分も主人もふくめた全体的組織こそ忠誠の
 対象であるとする管仲。ふたりの考え方は、忠・誠のあり方の二つの対照的方向を示している。

  召忽曰く、「百歳の後、わが犯して、わが立つところを廃し、わが糾を奪うや、天下を得ると
 いれどもわれ生きざるなり。いわんやわれに斉国の政を与うるをや。君命をうけて改めず、立つ
 ところを奉じて済さざるは、これわが義なり」。
  管仲曰く、「夷吾の君が臣たるや、君命を承け、社稷を泰じ、もって宗廟を持せんとす。あに
 一礼に死せんや。夷吾の死するところは、社稷破れ、一糾に死せんや。夷吾の死すところは、社
 稷破れ、宗廟滅し、祭起絶ゆれば、夷吾これに死せん。この三者にあらざれば、夷吾生きん。夷
 吾生くれば、斉国利なり。夷吾死せば、斉国利あらず」。
  鮑叔曰く、「然らばいかん」。管子曰く、「子出でて令を令ぜぱ可なり」。鮑叔許諾す。すな
 わち出でて令を奉ず、ついに小白に傅り。

  鮑叔、管仲に謂いて曰く、「伺をか行なわん」。管仲曰く、「人臣たる者は、君に力を尽くさ
 ずば、親信せられず。親信せられずば、言聴かれず。言聴かれずば、社稷定まらず。それ君に事
 (つか)うる者は二心なし」。飽叔許諾す。

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 召忽曰:「百歲之後,吾君卜世,犯吾君命,而廢吾所立,奪吾糾也,雖得天下吾不生也。兄與我
 齊國之政也。受君令而不改,奉所立而不濟,是吾義也。」管仲曰:「夷吾之為君臣也,將承君命,
 奉社稷,以持宗廟,豈死一糾哉?夷吾之所死者,社稷破,宗廟滅,祭祀絕,則夷吾死之,非此三
 者,則夷吾生。夷吾生,則齊國利,夷吾死,則齊國不利。」鮑叔曰:「然則奈何?」管子曰:「
 子出奉令則可。」鮑叔許諾,乃出奉令,遂傅小白。鮑叔謂管仲曰:「何行?」管仲曰:「為人臣
 者,不盡力於君,則不親信,不親信,則言不聽,言不聽,則社稷不定,夫事君者無二心。」鮑叔
 許諾。

  --------------------------------------------------------------------------------------

「匡」は正す、教化する、との意味。斉の桓公は、春秋の五覇の一に数えられ、名宰相管仲の補佐で
天下に覇を称えることができた。生産力が小さい中国の先住民は、生命体の「類」として、生産力向
上(富国強兵論)として君主制国家を選択・集中させ、諸子百家を生み出す。法治主義に片足を置き、
覇権君主制政策集団の「管子思想」が登場する。さて、次回から本格的に編集諸説の読み解きに入る。

                                                                                                               この項つづく



【RE100倶楽部:世界潮流 再エネ導入促進!】

世界の全電源に占める太陽光と風力の割合は、現在の約4%から、60年までに最低でも25%、多
ければ39%まで高まると、このような予測を国際団体の世界エネルギー会議(World Energy Council)
今月10日に公表。 それによると、同報告書では、エネルギー分野における60年までの見通しに、
次の3つのシナリオと7つの予測を提示。

(1)世界の一次エネルギー需要の成長が鈍化し、一人当たりのエネルギー需要が300年より前にピ
  ークを迎え、このの変化は、新技術やより規制的なエネルギー政策により省エネの進展による。
(2)エネルギー消費の最終的な段階では、60年までに電力需要が倍増。また、電源構成に占める
  太陽光と風力の比率が、現在の約4%から25~39%の幅で増加する。
(3)最も低炭素電源の割合が多くなったケースで、化石燃料の使用が一次エネルギーの60%にま
  で減少。
(4)3のシナリオでも、今後30~40年で二酸化炭素の増加を抑えられず、気温の2℃以上の上
  昇は避けられない。



それを受けるかのように、11日、「再生可能エネルギーの導入目標を、30年に30%を超えるよ
うな意欲的な水準に引き上げるべき」――。「パリ協定」の年内発効が決まったことを受け、自然エ
ネルギー協議会の飯泉嘉門会長(徳島県知事)が環境省の関芳弘副大臣に提言書を渡している。パリ
協定は、20年以降の地球温暖化対策の国際枠組みで、「今世紀後半に人為起源の温室効果ガスの排
出をゼロにする」などの目標を掲げ。、欧米では30年に40%を超える高い再エネ導入目標を掲げ
ている国や地域がある。これに対し、日本政府は、温室効果ガスを30年までに13年比で26%削
減する約束草案――ベストミックス(30年の望ましい電源構成)では再エネ比率22~24%と設
定―――を国連に提出。提言書の中、「地球温暖化対策を強力に進めていくためには、その切り札と
なる再エネの導入拡大が不可欠。再エネ導入は、温暖化対策やエネルギー自給率の向上はもとより、
地域経済の活性化や雇用の創出、防災力の強化を実現する」と強調し、パリ協定の早期批准と、再エ
ネ比率30超える目標を設定。


● 孤軍奮闘のソーラーフロンティア

同11日、海外の太陽光パネルメーカが急成長するなか、10年以降、なりを潜めるかのような国内
メーカの惨劇状態の中、太陽光パネルメーカーのソーラーフロンティアは化合物半導体(CIS)系で
奮戦仲、パネル約60カ国に出荷している。 累計出荷量が4ギガワットに達したと発表。直近の約
1年間で、約1ギガワットパネルを出荷―――ノルウェー、ソマリア、モンゴルといった、初めて出
荷した11カ国を含む―――出荷先が広がってきていることを強調。同社によると、累計出荷量の増
加、出荷国の広がりは、(1)CIS 化合物型太陽光パネルの特徴である薄くて軽い、高温や影に強い
(2)実際の設置環境下における発電能力の高さ、(3)日本製の製品・サービス(保守・管理)の
高品質性、(4)長期保証の好評価によるという。同社製パネル製造の国富工場(宮崎県)は11年
に商用生産開始後、現在では当初の設計を上回る生産を実現。公称年産能力は900メガワット。ま
た、パネルの変換効率も徐々に向上、1枚あたりの出力を増し、10月には、出力175ワットの量
産を開始。また、16年6月には、同社として4番目の宮城県大衡村の東北工場で量産開始。同新工
場では、フル生産時の出力で180ワット/枚以上目指す(下写真ダブクリ)。

 Oct. 11, 2016

【折々の読書 齢は歳々にたかく、栖は折々にせばし】    

   Jun. 26, 2016 

● 朝日新聞「迫る2025ショック取材班」

          『日本で老いて死ぬということ』9  

 [目次]

   はじめに

   第1部 日本で老いて死ぬということ

  第1章 生きがいの喪失と回復
  第2章 難しい「平穏な在宅死」
  第3章 口から食べたい
  
  第2部 介護の現実~在宅・施設それぞれのリアル

  第4章 三人介護
  第5章 遠距離介護
  第6章 ダブルケア
  第7章 虐待を防ぐ
  第8章 在宅でみる 
  第9章 訪問看護師の力
  第10章 特養で看取る

  第3部 老いは地域社会で見守れるか

    第11章 地域で暮らす
  第12章 コミュニティ再生
  最終章 未来へつなぐ

  おわりに  

   第3章 口から食べたい

    回復へ連携ピタリ

  2012年3月、吉武歯科医院の歯科衛生士、斉藤理子さんを中心に、サクさんヘの口から食
 べるリハビリが始まった。
  最初は、プリンやヨーグルト。スムーズに食べられるようになると、約1年間つけていなかっ
 た上下の義歯を調整した。違和感が強いので、最初は短い時間からつけ始め、徐々に長くしてい
 った,斉藤さんは「特に下の義歯は、口の中を刺激してつばでむせることがあるので、時々外し
 てもいいですよ」と助言した。
  普通の食事に近づけていく時は、鶴見犬歯学部助教の飯田さんが、長女・喜美子さんが調理し
 た試験食を使い、のみ込みの評価をした。飯田さんは「私が専門的な評価をして、それを元に斉
 藤さんたちが実践する。大学と現場が一体となることでリハビリの効果が上がる」と強調する。

  リハビリを始めて約4ヵ月。在宅主治医の了解も得て、サクさんは毎日昼食は、ロから食べる
 ようにした。朝と夕は、無理せず胃ろうからとった。
  のみ込みが難しかったのは、おかゆやおでんの大根など、水分と固形物が混じった食事だ。固
 形物を咀咽している問に、水分が染み出して先にのどに流れる。「通常は、咀嘔とのみ込みを同
 時にできるが、それが難しくなるんです」と飯田さんは説明する。
  リハビリでは、食べる訓練だけでなく、全身運動をしたり、童謡を歌ったりする。
  きちんと食べるには、良い姿勢を保つなど、全身の力が必要だからだ。 
  サクさんがお気に入りだったのは、笛のおもちや「吹き戻し」を吹く訓練だ。回数も徐々に増
 え、約1年たつと「2個付き」を15回吹けるようになった。

  こうした訓練は、訪問看護師や家族も協力してくれた,斉藤さんは随時、訪問看護師にサクさ
 んの状態を伝えた。斉藤さんは血圧を測るなど全身状態にも目を向け、訪問看護師は口腔ケアも
 するなどして、お互いの職種をカバーし合った。
 「90代でここまで回復するケースはあまり経験したことがない。在宅医と歯科医、歯科衛生上
 と訪問看護師、そして家族を含め、すべての連携がうまくいったからでしょう。全員が『サクさ
 んに食べさせたい』という思いを共有していた]と飯田さんは振り返る。
  2013年9月の敬老の口には、家族や親戚が集合し、大好物のおすしを食べた。
 「せいぜいみかんゼリーぐらいかなあ、と思っていたので、本当にうれしい」。喜美子さんは、
 しみじみ語った。

   のみ込み、音で確認

  ロから食べる支援に積極的に取り組む神奈川県藤沢市の療養型病院「クローバーホスピタル」
 (120床)。中でも重要な役割を果たすのが、口のリハビリの専門家二百語聴覚士(ST)だ。
 20114年8月末、入院患者のリハビリをする場面に立ち会わせてもらった。
  のみ込みが難しくなり、胃ろうをつけている鳥居実さん(80)の病室を、STの掛田貴大さん
 (28)が訪れた,小さなスプーンでりんごゼリーをすくい、鳥居さんの口に運ぶ。その後、聴診
 器をのどにあてた。のみ込みきれずゼリーが残っていたため、雑音が聞こえる。このままだと、
 食べ物が過って気管に入る「誤嘸」が起きる可能性がある。掛田さんは、すかさず「もう一回ゴ
 ックンしましょう]と声をかけた。
  胃ろうをしていた患者が、リハビリで目から食べられるようになり、胃ろうを外したケースも
 ある,言語聴覚主任の杉山理恵さん(28)が開わった男性(69)=藤沢市=だ。
  脳幹梗塞の後遺症でのみ込みが難しくなり、2013年12月、クローバーホスピタルに入院し
 た。翌年1月から食べる訓練を始め、2月に胃ろうをつくった。
  男性の場合、食道の入り口の開きが悪いのが特徴だった。ものをのみ込むときは、のど仏が上
 下するが、上に上げたまま止める訓練を続け、食道が開く時間を延ばすようにした。「普通「ゴ
 ックン』とやるのを、『ゴッッックン』とやるイメージですね」と杉山さん。

  最初の3ヵ月は、ほぼ毎日訓練をした。食事は、ゼリーから始まり、とろみをつけたおかゆや
 おかず………胃ろうも併用しながら、口からとる回数を除々に増やしていった,
  杉山さんが繰り返し言ったのが、「のみ込むことに集中して」だ,例えばテレビを見ながら食
 べると、むせやすい,「男性は忠実に実行していた」と杉山さんは振り返る。
  5月にはほぼ通常の食事がとれるようになり、胃ろうを外し退院。男性は今、妻(64)らと自
 宅で元気に暮らす,むせやすいものは避けるなど、まだ注意は必要だが、大好きなまぐろのおす
 しも食べられるようになった。 
  一度はあきらめかけた口からの食事-。今、男性はいう。「食べる幸せを実感しています,病
 院の人たちが一生懸命やってくれたおかげです」

  垣根なくチームで

 「クローバーホスピタル」には、のみ込みが難しくなった患者らを支援する「NST(栄養サポ
 ートチーム)」がある。消化器科の望月弘彦医師のほか、看護師や管理栄養士、薬剤師や言語聴
 覚士らで構成する。
  NSTは、2000年前後から各病院に広まった。この病院では月2回、NSTの定例会議と
 回診がある。2014年10月H日の会議に同席させてもらった。メンバー7入が、ナースステー
 ションに集まり、3入の入院患者について話し合った,
  85歳男性のケースー。介護施設で誤嘸性肺炎を起こし、同月1日に入院した。まず看護師の
 五十嵐千恵予さん(34)が「出した食事の3~6割しか召し上がっていません」と現状を説明。
 管理栄養士の小林マリさん(45)が「ST(言語聴覚士)が介助すると食べますが、そうしない
 と食べません。とろみつきのミキサー食よりも、ゼリーの方が好きみたいですと続けた。 

  手首の静脈から栄養を入れて、何とか必要栄養量を確保している状態,身長160センチで、
 休航が約37キロしかない。
  望月医師は「(体重が)37キロは少ないなあ。3食の量を減らし、高カロリーのゼリーをつ
 けたら?」と提案。栄養課主任の高橋範子さん(56)は「じやあ、10時と15時にゼリーを食
 べてもらいましょう」と引き取り、全員が同意した。
  この男性は、退院して、施設に戻ってもらうことが目標,栄養が不足するため、望月医師は「
 胃ろうをつけ、1~2食は胃ろうでとってもらうことを考えてもいいのでは、と投げかけた。

  NSTのメリットについて、望月医師は、栄養、看護、薬、リハビリなどそれぞれの視点から
 意見を出し合えることを挙げる。例えば、薬剤師から「この薬はおなかが張ってしまう」という
 助言があれば、食が進むように薬を変える。また、理学療法士から「リハビリの負荷を増やした」
 という情報提供があれば、3食以外に捕食(おやつ)をメニューに加えるj――より良い栄養プ
 ランを決める際の参考にできる。
  望月医師は「管理栄養士が調理室から病昧に出るようになったことが大きい」と話している。

                                     この項つづく

   Magic square

昨日は、食あたり状態で午後から仕事にならなくなり、おかげで慢性?の眼精疲労からくる偏頭痛は
なくなる。目の疲れが出ない範囲で、数式の魔方陣に熱中する。魔方陣(Magic square)とは、正方形
の方陣に数字を配置し、縦・横・斜めのいずれの列についても、その列の数字の合計が同じになるも
ののことである。特に1から方陣のマスの総数までの数字を1つずつ過不足なく使ったものさす。こ
れを数式に表すと次のようになる。



※ 完全魔方陣

ところえが、途中で、こだわれば、こだわれるだけ対象が増え深みにはまると切り上げる。齢は歳々
にたかく、世界は深く遠くなりにけり、か。と、自嘲する。思えば、色素増感形太陽電池の調査研究
を中間総括し、予知したことは現在ことごとく現実のもとなっている。逆に言えば、これは他人には
理解し得ない、わたしだけの「魔方陣」であり、こうして、わたしが構築してきた「魔方陣」(例え
ば、東北部流域下水道計画の改変を迫る運動の戦略に通じる)だったのではと過ぎった。これは、自
惚れかもしれないが、米国仕立ての「RE100倶楽部」もわたしの最後の魔方陣であるのだと思っ
ている。

ボブ・ディランと村上春樹

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        僕にはヘンな癖があるけど、捨てなかった。それがぼくの個性だから。

        僕にとって未来とは、既に過去のことなんだ。

        何もかも失ったって、まだ未来だけは残っている。
        

                                ボブ・ディラン

                                                    
                                                  May 24, 1941 ー
                                  

 


● 最強の産業用無人レシプロヘリコプター登場

11日、ヤマハ発動機株式会社は、無人航空機(通称ドローン)の産業用ハイエンドモデルの自動航
行型無人ヘリコプター「FAZER R G2(フェーザー・アール ジーツー)」を開発し、17年4月から
計測・観測・監視・撮影・運搬等の産業用途向けに機体のレンタル、業務受託を開始すると発表。F
AZER R G2」は目視範囲外の無人地帯を自動飛行するための産業用ドローンであり、最大積載量35
キログラム、高度2,800メートル、航続距離90キロメートルなど優れた性能をもつ。16年発
売の新型「FAZER R」をベースに、自動飛行制御システム、12L燃料タンク、撮影・計測機器搭載
用アタッチメントなどを追加装備、「RMAX G1」で実績ある制御系を継承しながら運用領域を拡大。
また、許容積載量は10キロから35キログラムへ、運用高度は1,000メートルから2,800メ
ートルと、これまで運用出来なかった標高の高い火山(浅間山、十勝岳、草津白根山、阿蘇山等)の
観測に対応可能。さらに、衛星通信を可能とする受信機の搭載により、航続距離は従来機「RMAX G
1」の3キロメートルに対し、90キロメートル(燃料12L)まで拡大。
ただ、レジプロなのが残念!

 

 

【量子ドット工学講座 23:シリコン系量子ドット太陽電池】

下図は、周知のごとく、量子ドット層はバンド構造をもち、電子正孔対を生成。n型半導体層と量子
ドット層とが接触する界面で、(1)n型半導体層の伝導帯の底は、量子ドット層における量子準位
の伝導帯の底に対し、0~0.6eVのエネルギー幅ΔEcで、電子に対するエネルギーが高く、こ
れに対し、(2)p型半導体層と量子ドット層と接触する界面のp型半導体層の価電子帯の頂上は、
量子ドット層における量子準位の価電子帯の頂上に対し0.1~0.7eVのエネルギー幅ΔEvで、
電子に対するエネルギーが低いという構成・構造であれば、ヘテロ結合で界面準位が多いほど、電子
あるいは正孔を、量子ドット層から取り出す効率に大きく影響する。よって界面準位が多い場合であ
っても当該効率を低下させず、界面準位が多い場合であっても電子あるいは正孔を量子ドット層から
効率よく取り出すことが可能となるという構成・構造の新規考案である。

【図面の簡単な説明】

【図1】この発明にかかる太陽電池1の構成を例示する断面図
【図2】量子ドット層、n型半導体層、p型半導体層についてのバンド構造を示す図
【図3】エネルギー幅と、太陽電池の効率との関係を示すグラフ
【図4】エネルギー幅と、太陽電池の効率との関係を示すグラフ
【図5】太陽電池の構成を詳細に例示する断面図
【図6】太陽電池の構成を部分的に示す断面図
【図7】量子ドット層のバンド構造を部分的に示す図
【図8】量子ドット層のバンド構造を部分的に示す図

尚、図7及び図8はいずれも、積層体のn型半導体層11側(図中左側)の面内方向のサイズよりも、
積層体のp型半導体層12側(図中右側)の面内方向のサイズの方が広い場合の量子ドット層10の
バンド構造を部分的に示す。図7及び図8のいずれにおいても伝導帯の底Ecと、量子井戸内のエネ
ルギー準位Laとを示する。

Oct. 6, 2016
【特許請求の範囲】

バンド構造を有して電子正孔対を生成するコア層の複数と、前記コア層と交互に積層されて前
記コア層よりもバンドギャップが広いバンド構造を有する障壁層と、を有する量子ドット層と、
前記量子ドット層に対して接触し、当該接触の位置において前記量子ドット層における量子準
位の伝導帯の底に対して0~0.6eVの第1のエネルギー幅で電子に対するエネルギーが高
い準位を底とする伝導帯を有するn型半導体層と、前記量子ドット層に対して前記n型半導体
層とは異なる方向から接触し、当該接触の位置において前記量子ドット層における量子準位の
価電子帯の頂上に対して第2のエネルギー幅で電子に対するエネルギーが低い準位を頂上とす
る価電子帯を有するp型半導体層とを備える太陽電池。  バンド構造を有して電子正孔対を生成するコア層の複数と、前記コア層と交互に積層されて前
記コア層よりもバンドギャップが広いバンド構造を有する障壁層と、を有する量子ドット層と、
前記量子ドット層に対して接触し、当該接触の位置において前記量子ドット層における量子準
位の伝導帯の底に対して第1のエネルギー幅で電子に対するエネルギーが高い準位を底とする
伝導帯を有するn型半導体層と、前記量子ドット層に対して前記n型半導体層とは異なる方向
から接触し、当該接触の位置において前記量子ドット層における量子準位の価電子帯の頂上に
対して0.1~0.7eVの第2のエネルギー幅で電子に対するエネルギーが低い準位を頂上
とする価電子帯を有するp型半導体層とを備える太陽電池。 請求項1又は請求項2に記載の太陽電池であって、前記コア層はシリコンで形成され、前記障
壁層は炭化シリコンで形成され、前記n型半導体層は炭化シリコンまたは非晶質シリコンで形
成される太陽電池。 請求項1又は請求項2に記載の太陽電池であって、前記コア層はシリコンで形成され、前記障
壁層は炭化シリコンで形成され、前記p型半導体層は燐化ガリウムまたは非晶質シリコンで形
成される太陽電池。

 【参考国際特許】

WO/2012/173162  量子子ナノドット、二次元量子ナノドットアレイ及びこれを用いた半導体装置並
          びに製造方法

 

【折々の読書 齢は歳々にたかく、栖は折々にせばし】  

   Jun. 26, 2016  

● 朝日新聞「迫る2025ショック取材班」

          『日本で老いて死ぬということ』10   

 [目次]

   はじめに

   第1部 日本で老いて死ぬということ

  第1章 生きがいの喪失と回復
  第2章 難しい「平穏な在宅死」
  第3章 口から食べたい
  
  第2部 介護の現実~在宅・施設それぞれのリアル

  第4章 三人介護
  第5章 遠距離介護
  第6章 ダブルケア
  第7章 虐待を防ぐ
  第8章 在宅でみる 
  第9章 訪問看護師の力
  第10章 特養で看取る

  第3部 老いは地域社会で見守れるか

    第11章 地域で暮らす
  第12章 コミュニティ再生
  最終章 未来へつなぐ

  おわりに  

  第3章 口から食べたい

    地域でも助言し合う

  「食べる」を支援するための職種を超えた連携は、病院の中にとどまらない。地域でも、組織
 の枠を超えた連携が進んでいる。そのIつが、神奈川県の小田原地域にある研究会「口福会]だ。
 「とろみ政は、のみ込みの悪い人には効果があるが、上手にかめない人には意味がありません」
 2014年9月下旬、湯河原町の町文化福祉会館,小田原巾立病院の看護師・小渾公人さん(50)
 が「摂食・嘸下障害と評価一をテーマに、介護職員ら約10人を前に講演していた。小渾さんが
 世話人を務める口福会が、毎年開くセミナーの一場面だ。

  小渾さんは、食べる支援を専門とする「摂政・嘸ド障害看護認定看護師」。神奈川摂食・嘸下
 ジハピリテーション研究会の小田原地区代表世話人になったことをきっかけに、2008年に有
 志と口福会を結成した。小渾さんのほか、県西地域の歯科医師や歯科衛生士、管理栄養士や言語
 聴覚士ら10人が世話人を務める。職種の異なる世話人同士が話し合い、支援の質をLげることに
 もつなげている。
  9月下旬のセミナーの後、近くのファミリーレストランで世話人6人が集まった。特別養護老
 人ホームに勤める歯科衛生士の加藤明美さん(55)が、認知症の70代女性の入れ歯が合わない、
 という事例について切り出した,
 「入れ歯をつけたり外したりするとき、残った歯に当たって痛いんです。全身状態が悪かったの
 で、抜歯はしないで、(入れ歯にぶつかる部分だけ)歯をカットしたんですよ」。西村歯科医院
 の西村隆之院長(54)は「同じようなケースがあったら生かせますね」と小洋さんに山をかけた。
 「経験に法づいた実践的な助言をし合えるのが大きい」と小渾さんは話す。ロ福会の連絡先は、
 特別養護老人ホーム潤生園(0465-34-6001)。

   県境越えて態勢整備

  2014年9月中旬の夜、相模原市南区にある北里大病院の会議室。「食事と栄養夏の疲れを
 乗り切ろう]をテーマに医療、介護関係者ら約25人が集まった。テレビ会議システムを使い、同
 市や東京都町田市の医療機関や介護施設など14カ所約180人と結ばれた,
  隣接する両市の関係者らでつくる連携組織「介護医療圏インフラ整備コンソーシアム」が主催
 する研修会だ。各会場ごとに「夏の疲れが出て食欲が落ちた患者に、どう対応すべきか」につい
 て話し合い、テレビ会議で1分ずつ発表した。その後、管理栄養士によるミニレクチャーがあっ
 た。
  コンソーシアムは2013年12月、超高齢化に対応した在宅医療・介護態勢をつくろうと、
 生活圏が同じ両市の医療・介護関係者ら約230人で結成された。離れている自治体にいても連
 携できるよう、テレピ会議やクラウド(インターネット上に情報を保管するサービス)を活用し
 ているのが特徴だ。現場でも医師やヘルパーらが、リアルタイムで患者の情報を交換する取り組
 みが、一部で始まっている。研修参加施設は徐々に増え、今回は町田巾役所も参加した。研修テ
 ーマは、在宅での服薬管理や介護職員の「医療行為」など様々だ。

  背景には、両市で進む急速な高齢化への危機感がある。国立社会保障・人口問題研究所の推計
 では、75歳以上の人口は、相模原市は2010年の5万4000人から2025年は12万人
 に、町田市も3万9000人から7万4000人に急増する,いずれも2倍前後の伸びだ。
  コンソーシアムの代表を務める小野沢滋・同大病院トータルサポートセンター長(51)は「隣
 り合う両巾が手を組み、効率的な在宅医療・介護態勢を整えたい。栄養指導も、管理栄養士だけ
 ではできないので、現場の訪問ヘルパーらをもっと巻き込んでいきたい」と話している。
  コンソーシアムの問い合わせは、メール(mcdcarcconsortium@gmail.com)で。

  よだれがヒントに

  のみ込みが難しくなった高齢者向けに特別な調理をした「介護食」を初めて作ったのは、神奈
 川県小田原市穴部にある特別養護老人ホーム「潤生園」とされる。
 同園では、1980年前後から、脳卒中の後遺症で、ロから食べられなくなって入院する入居者
 が増えてきた,職員たちが玄関で「早く帰って来てね」と見送ったが、ほとんどの人は病院でそ
 のまま亡くなった。
 「見送られた人たちは、『見捨てられた』と感じたのでは。何とか口から食べさせてあげられな
 いか」。そんな思いに駆られた時田純理事長(87)は、管理栄養士らと、介護食の開発に取り組
 み始めた。

  なかなかうまくいかなかったとき、ある光景が時田理事長の目にとまった。車いすに載った入
 居者がよだれを垂らし、それが床まで延びている,「これだ!」と直感した。人間が一番のみ込
 みやすいのは唾液だ。唾液と同じような食事形態を作れば、のみ込めるのではないか。市販のプ
 リンよりもソフトで、のどの奥までは固まったまま届く。そんなイメージだ。

  数年の試行錯誤を経て、1980年代初め、介護良の原型「救命プリン」の開発に成功した,
 「煮こごり」をヒントにして、牛乳にゼラチンを加えて仕上げた。
  その後、ゆでたそうめんの寒天寄せなど様々な介護食を開発。入院する入居者は減り、施設内
 での看取りが増えていった。
  2014年10月10日のお昼時、同園にお邪魔した。ヒジキやカプの煮物、キジ焼き。とろ
 み剤やだし汗を混ぜてミキサーにかけ、固めている。
  入居者の女性(89)は「おいしい、のどごしもツルッとして」と笑顔で話した。元々のみ込み
 が悪いが、前年の夏か 私(佐藤)も介護食を試食させてもらった。キジ焼きは豆腐のように四
 角く固めてあったが、目に入れると、両の香りが広がる。煮物も、ニンジンやコンニヤクなど別
 々にミキサーにかけられた後、それぞれの形に成形していて、見た目も美しい。
  時田理事長は「通常の調理より、2~3倍の時間がかかる。その手間を食べてもらっている」
 と話す。

   高齢者らに嘱下フレンチ、シェフや歯科医師ら開発 

  異業種のコラボによる、ロから食 べる支援も始まっている。横浜市のシェフや歯科医師らが
 タッグを組み、食材を桐かく砕いて成 形した「嘸下フレンチ」を生み出した。ロから食べるこ
 とが難しくなったお年寄りに、「おいしく食べて、生きるカに」と願う。
  ばさつかないように秘密の良材を加えたスポンジケーキの上に、いちごのムース。
  さらに色鮮やかな果物3種のゼリーを載せて。鶴見犬歯学部助教の飯田良平さんが、横浜市港
 北区のフランス料理店「HANZOYA」の加藤英ニシェフ(45)らと開発した嘸ドケーキ「フ
 ェリシテ」だ。ら胃の調子が悪くなり、食欲不振が続いた,介護食に変えたところ食事量が増え
 たという。

創意工夫は現場で生まれ、そして、その情報が発信され共有され共生につながっていく。蓋し「僕に
とって未来とは、既に過去のことなんだ」「何もかも失ったって、まだ未来だけは残っている」は名
言である。

                                      この項つづく

 

 ● 今夜の一曲

 Come gather 'round people where ever you roam
And admit that the waters around you have grown
And accept it that soon you'll be drenched to the bone
If your time to you is worth savin'
Then you better start swimmin' or you'll sink like a stone,
For the times they are a' changin'! 

Come writers and critics who prophesy with your pen
And keep your eyes wide the chance won't come again
And don't speak too soon for the wheel's still in spin
And there's no tellin' who that it's namin'
For the loser now will be later to win
For the times they are a' changin'!
  Come senators, congressmen please heed the call
Don't stand in the doorway don't block up the hall
For he that gets hurt will be he who has stalled
There's a battle outside and it's ragin'
It'll soon…

 

                                The Times They Are A-Changin'
                                Words & Music : Bob Dylan.

   時代は変わる                             

   人々よ集まり来たれ   

   いつも彷徨う者よ

   この水の流れをみよ  
   
   君のまわりに溢れる

   受け入れよ、
         
   もうじき

   骨までびしょ濡れになる

   君が今を生きる者ならば

   救われんために
       
   泳ぎ始めよう

   石のように沈まぬために

   時代は変わるのだ・・・・・・


今年こそ、村上春樹が受賞するだろうと確信していたから、彼女からボブ・ディランに決まったと聞
かされたときは本当に驚いてしまった。それもそのはず、百年以上にわたるノーベル文学賞の歴史の
中で、歌手として初めてなのだから。スウェーデン・アカデミーのサラ・ダニウス事務局長は13日、
発表に際し、ディランがつむぎ出す詩の数々は、古代ギリシャの詩人ホメロスらの創作活動と共通す
ると高く評価し、古くから詩人は、自身の作品が単に読まれるだけでなく、朗読などとして吟遊され
ることを念頭に創作が行なわれてきたが、ディランもその系譜にあると言う。確かに、ベトナム反戦・
公民権運動の高まりの時代の流れを耳にし、ギターを持って歌ってたきたわたし(たち)にとって、
岡林信康などと同じようにプロテスト・シンガーのカリスマ的存在だった。フォークソングは、吟遊
詩人らによる文化継承方法のひとつでもあったのだ。村上春樹はノンポリの戦無派世代の色濃い作風
と対照的なディランが、選考委員には反戦・平和のテーマ性や時代と向かい合う反骨吟遊詩はノーベ
ル財団にとって魅力的に映ったのだろう。すべては、『風の歌を聴け』なのだからと割り切る。そん
なことが頭を過ぎり、「意外だったね」と彼女に伝えた。

 

 

進化するオールバイオマスシステム

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          フォークソングは、古い歌を作り変えることができる。
          ぼくは、それにのっとって曲作りをしているだけだ。
          決して画期的なことじゃない。       

                           ボブ・ディラン

                                                    
                                                  May 24, 1941 ー

 

【RE倶楽部:エネルギー列島滋賀版】

滋賀県は、30年までに再生可能エネルギーとコージェネレーションで電力の自給率を30%以上に
高める構想を推進中。琵琶湖の周辺に太陽光発電と小水力発電を拡大し、災害に強い社会を作り上げ
る。市民の出資による太陽光発電や、農業用水路に展開する小水力発電が続々と運転を開始する。関
西電力の原子力発電所が集中する福井県の若狭湾から、滋賀県の北部までは10キロメートルほどし
か離れていない。滋賀県民の原子力発電に対する危機感は根強いものがある。県内に再エネの発電設
備――16年3月に策定したエネルギービジョンのテーマは「原発に依存しない新しいエネルギー社
会の実現」であり、県を挙げ節電を推進して電力の消費量を減らすのと同時に、再生可能エネルギー
とコージェネレーション(熱電併給)の電源を増やし自給率を高める構想――を拡大し、原子力の依
存度を引き下げる取り組みを加速(詳細、下写真ダブクリ)。

 

  Mar. 16, 2016

【RE倶楽部:先端技術本位制の此岸】

● 宇宙の太陽光発電 レーザー電力伝送実験目標をクリア

「宇宙太陽光発電システム」(Space Solar Power Systems)は宇宙に浮かぶ太陽光発電所。人工衛星に
搭載した装置から太陽光(核融合)エネルギーを地上に伝送して、電力に変換して利用できる発電方
法である。地上の太陽光発電のように天候の影響を受けにくく、必要に応じて地球上のあらゆる場所
まで電力を届けることが可能になる。JAXA(宇宙航空研究開発機構)は小規模なシステムを構築し
やすいレーザーを利用した伝送方法の技術開発を選択。レーザーを使って太陽光エネルギーを伝送に
は、宇宙から地上の受光装置まで位置ズレをなくす必要がある。この時に求められる精度が高度3万
6千キロメートルの位置から、地上の3.6メートル以内に制御しなければならず、角度で表すと百万
分の6.7度(0.1μRAD=マイクロラジアン)に相当。

 Oct. 11, 2016

JAXAは10倍の1μRADを目指して、16年5月中旬から約1カ月かけて電力伝送の地上実証実験を
地上を繰り返し、ビーム方向制御の精度は目標の1μRADよりも少し大きい約2.5μRADに収めること
に成功。これは2200メートルのタワーの下で0.5ミリメートルのズレに相当。一方の電力伝送は
出力340ワットのレーザーをタワーの屋上から地上の光電変換装置まで送り、変換後に60ワット
(約82%減衰)の出力を目標設定し。実験では最大で74.7ワットまで出力(約78%減衰)を
高められることを実証。30年代にはメガワット級の発電システムを実用化させる国の目標を達成さ
せる予定である。 

  Dec. 27, 2015

● オールバイオマスの実現へ:石炭を天然ガスに変えるメタン生成菌

今月14日、産業総合技術研究所は、単独で石炭から直接メタンを生成するメタン生成菌を発見こと
を公表。それによると、コールベッドメタンは近年、石炭層中の非在来型天然ガス資源として世界各
国で開発が進められている。コールベッドメタンの形成については、石炭層に生息する微生物の活動
がその成因の1つと考えられているが、その詳しいメタン生成メカニズムは不明であった。今回、深
部地下環境に生息するメタン生成菌がこれまで全く知られていなかったメタン生成経路を介して、多
様なメトキシ芳香族化合物からメタンを生成することを発見。さらに、このメタン生成菌が単独で、
メトキシ芳香族化合物を含む石炭から直接メタンを生成できることを実証し、この新たなメタン生成
機構をもつメタン生成菌がコールベッドメタンを含む地下の天然ガス資源の形成に地球規模で貢献し
ている可能性を明らかにするものである。

※ メタン生成菌

メタン菌、メタン生成アーキアとも言う。細胞内に核を持たない原核生物の仲間で、生物学的にはバ
クテリア(細菌)ではなくアーキア(古細菌)に分類され、酸素がない嫌気環境下で有機物分解の最
終過程を担う。メタン生成菌が利用できる基質(餌)はこれまで水素+二酸化炭素や酢酸、メタノー
ルなどのメチル化合物に限られていたが、今回、新たに多様なメトキシ芳香族化合物を利用しメタン
を生成できるメタン生成菌を発見。

   Oct. 14, 016

この研究成果は、まず、石炭は主に植物のリグニンに由来する有機物からなり、その高分子構造内に
はメトキシ芳香族化合物が含まれ、まず石炭の構成成分であるメトキシ芳香族化合物からメタンが生
成するメタン生成菌をさがす。AmaM株を含む11種のメタン生成菌を各種メトキシ芳香族化合物と
共に培養。その結果、AmaM株とその近縁株のMethermicoccus shengliensis ZC-1株(以下「ZC-1株」と
呼称)が、30種類以上のメトキシ芳香族化合物からメタンを生成できることを発見。

メタン生成菌が初めて発見されこれまでに、150種以上のメタン生成菌を発見するも、既知のメタ
ン生成菌が利用できる基質(餌)は、①水素と二酸化炭素、②酢酸、③メタノールなどのメチル化合
物、といった単純な化合物に限られており、メトキシ芳香族化合物のような比較的炭素数の多い化合
物から直接メタンを生成できるメタン生成菌の発見は今回が初めて。また、従来のメタン生成経路(
代謝経路)も基質の種類に対応して、①二酸化炭素還元経路、②酢酸分解経路、③メチル化合物分解
経路の3種に限られていたが、AmaM株やZC-1株はこれらとは異なるメタン生成経路を介してメトキ
シ芳香族化合物からメタンを生成することを明らかにした。この新規メタン生成経路の詳細について
は未だ研究中で、①二酸化炭素還元経路と、②酢酸分解経路が混合し、並列して進行する第4のメタ
ン生成経路である可能性が明らかにされている(同図)。

 ※ メトキシ芳香族化合物
   ベンゼン環にメトキシ基(-OCH3)が付いた化合物(上図参照)。植物のリグニンを構成する分
   子の1つ。

 

さらに、AmaM株が単独で石炭からメタンを生成できるかどうかを調べるため、各種石炭を含む石炭
培地でAmaM株を培養。その結果、AmaM株は褐炭や亜瀝青あれきせい炭たん、瀝青れきせい炭たん
を含む培地でメタンを生成。これらの培地からは数種類のメトキシ芳香族化合物が実際に検出され、
石炭化度が低くメトキシ芳香族化合物が比較的多く検出された褐炭においてメタン生成が顕著となる
(上図)。この結果は、AmaM株のようなメタン生成菌が石炭中のメトキシ芳香族化合物を直接メタ
ンに変換することで、微生物起源のコールベッドメタンの形成に寄与している可能性を示す。さらに、
メトキシ芳香族化合物は石炭だけでなく堆積物中の有機物で最も多いケロジェンにも含まれるため、
今回発見したメトキシ芳香族化合物を利用するメタン生成菌は、石炭層だけでなく地下の天然ガス資
源の形成に貢献している可能性がある。 

AmaM株のようなメタン生成菌で石炭をガス化できれば、原理的には、シェールガスやメタンハイド
レードと同様に、バイオリアクターを石炭層に液(水)中プラズマ技術などで破砕後、添加注入(イ
ンプラント)、ガス化したメタンを減圧吸収・精製したのち水蒸気とともに燃料電池で電気エネルギ
ー変換し、排出された二酸化炭素を固定(方法は様々)し貯蔵するか、メタンガスを下図の新機構案
のように、ナノカーボンに変換し、非黒鉛系の電池電極として、また、ナノカーボン繊維あるいは、
熱硬化樹脂などの他の素材とのハイブリット形ナノカーボン樹脂として利用できるかもしれない。

● メタンからナノカーボンの製造へ


【要約】

流動触媒、または流動媒体を併用する流動触媒1が収容され、低級炭化水素と酸素とが供給されて自
己燃焼可能な流動層反応器2と、流動層反応器2に接続され、流動層反応器2内に低級炭化水素と酸
素とを供給するガス供給部5と、流動層反応器2に接続され、流動層反応器2内の排ガスを外部に排
出する排ガス路8と、流動層反応器2に接続され、流動層反応器2内に流動触媒、又は流動媒体を併
用する流動触媒1を補給する補給部2aとを有するナノ炭素の製造装置を用い、流動触媒、また流動
媒体を併用する流動触媒1に低級炭化水素と酸素とを供給して流動層を形成し、低級炭化水素と酸素
との自己燃焼を伴う低級炭化水素の分解反応によって、ナノ炭素と水素とを生成することで、製造に
必要なエネルギーを低く抑えつつ、ナノ炭素を量産することができ、また二酸化炭素の発生量を抑え
ることができるナノ炭素の製造方法及び製造装置を提供するものである。

尚、図2は、本実施形態のナノ炭素の製造装置を示す概略図で、ナノ炭素の製造装置における粒子分
離部10の排ガス排出側には、排ガス路10bに代えて、水素分離部13、二酸化炭素・水分離部15、
及びガス還流路17a、17b、17cが設ける。

また、図9に示す製造装置では、第1のガス供給手段303により、流動層反応器301内に還元性
ガス302を供給して触媒の形態を金属とする。続いて、炭素原料供給手段305により、流動層反
応器301内に炭素原料304をガス状態で供給し、所定の反応温度にて触媒に繊維状ナノ炭素を成
長させる。その後、加熱手段300により、流動層反応器301内を反応温度よりも高温とすること
で、触媒兼用流動材310を形成していたバインダーを熱分解等により微細化し、流動材としての機
能を消失させる。流動機能が消失したものは、担体の凝集体又はこれらの結合体となり、微細化され、
流動層反応器301のフリーボード部301BからガスGとともに、飛散粒子308として排出ライ
ン309から外部へ排出される。排出された飛散粒子308は、粒子回収手段311により回収され
る。こうして回収された飛散粒子308から繊維状ナノ炭素が分離される。

● 金属マグネシウムと水と二酸化炭素でメタン合成

【要約】

金属マグネシウムと水と二酸化炭素とを接触させ、二酸化炭素を還元して炭化水素を製造する方法で
あって、金属マグネシウムとして、鉄、リチウム、銅、ニッケル、マンガン、カルシウム、ジルコニ
ウム及びアルミニウムから選ばれた1種また2種以上を合金元素として含有するマグネシウム合金を
用いる。アルミニウムを合金成分とするとき、マグネシウム合金における亜鉛の含有量をアルミニウ
ムの含有量未満且つ0.7質量%未満とする。この合金元素は、意図的に添加したもので、常温常圧
の条件でも、炭化水素の収量が大きい炭化水素の製造方法を提供する。

勿論、このような方法以外に、水と二酸化炭素と光合成水素だけでなく、メタン合成するバイオ工学
的方法も考えられるがここでは、以上の豊田合成株式会社の新規構案を事例研究し、今回、発見され
たAmaM株のようなメタン生成菌で「メタン精製→エネルギー変換(電気・熱)→ナノカーボン/メ
タンガス製造という太陽核融合利用によるバイオマスだけでなく、広く石炭様態のネグロマスをも包
括利用した「オールバイオマスシステム」を考案してみた。

デフレ脱却と未来国債

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         あのころ自分はずいぶん年をとっていた。今はもっと若い。

               Ah, but I was so much older then, I’m younger than that now.

                                                ボブ・ディラン

                                                    
                                                  May 24, 1941 ー

 

  Future government bonds

● デフレ脱却と未来国債

先月21日、日銀が金融政策決定会合で、金融政策の枠組みを、銀行などに流すお金の「量」
を重視する政策から、「金利」を重視する政策に転換したことに対し、「量」拡大を主張し
てきた「リフレ派」エコノミストらから批判の声があがっているという(毎日新聞 「リフレ
派、日銀政策批判 エコノミストも「金利」重視反発」2016.10.12)。これに対し、批判の
矛先は、リフレ派にもかかわらず政策転換に賛成した日銀の政策委員会メンバーにも向かい、
今後の政策運営にも影響を与えそうだという。デフレ脱却のため、2%の物価上昇目標を目
指すのが、わたし(たち)リフレ派の立場っが、今月12日、長野県松本市の記者会見で、
原田泰審議委員(リフレ派日銀政策委員)が「やり方はいろんな議論がある」と政策変更に
理解を求めている。

ところで、9月21日の決定会合で日銀は、短期金利をマイナス0.1%、10年物の長期
国債利回りを0%程度に操作する「長短金利目標」を新たに導入する一方、従来「年間80
兆円ペースで国債を購入する」としてきた量的緩和の目標を「80兆円をめど」に後退させ
る。13年の黒田東彦総裁就任以来、大量の国債を購入しお金を世の中に流す量的緩和政策
でデフレ脱却を目指してきた日銀だが、国債保有額が400兆円に膨らんでも物価上昇率が
マイナス圏に低迷する中の政策転換である。

※ 参考:わが国の経済・物価情勢と金融政策 日本銀行政策委員会審議委員 原田 泰

 Oct. 12, 2016

前出の原田は、新たな枠組みで物価上昇率が安定的に2%に達するまで金融緩和継続を明言
したことが「量に対する強い公約だ」と述べ、量的緩和後退でないと強調するが、リフレ派
の元審議委員の中原伸之は、原田、岩田は敢然と反対すべきだった。日銀職員の説得と圧力
に負けたと厳しく批判し、また、三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所長の
嶋中雄二も、自分が委員なら反対、今後の行動を注視していかないといけないと指摘。さら
に、政府首相の経済ブレーンでリフレ派の本田悦朗・駐スイス大使は、日銀は次回会合で追
加緩和を行う必要がある。国債購入額はまだ拡大できると強調しており、円相場や株価の展
開次第でリフレ派の巻き返しが強まる可能性もあるとの見方もあると、この記事は伝えるが、
ここは安易に、「インフレ目標値」を放棄し、政策の理念・ビジョン・戦略を転換すべきで
ない、なぜならば、日本列島はいまだ「デフレ不況」から脱し切れず「失われ30年」の最
中にあり、アベノミクスは中途半端にあり、やり残している課題(→国家公務員の給与を上
げることでなく、民間の平均所得水準の引き上げ)を実現すべきであるというのがわたし(
たち)の立場である。

   Sep. 21, 2016


● デフレ脱却には緊縮財政と金融引き締め禁止

これと同調するかのように、「すべての政治家が一つだけ覚えておくべきことは、『デフレ
脱却まで緊縮財政と金融引き締めはやってはいけない』である」(「民進党は経済政策を見
ても前途多難だ」、ダイヤモンドオンライン 「高橋洋一の俗論を撃つ!」2016.09.22)で、
ここで高橋は、「安倍政権がまともなのは、金融緩和を継続していること、積極財政は14
年の消費増税で一時失敗したが、その後の再増税では過ちを繰り返さなかったことだ。それ
らの結果、GDP成長率は今一歩であるが、失業率や倒産率は史上最低となっている」と述
べ体制擁護し「(民進党が)特に深刻なのは、金融政策について雇用政策の基本であること
を理解していないことだ。金融政策を活用しない政党が先進国に存在するだろうか。世界標
準から見れば、まともな金融政策を行わない民進党は明らかに雇用無視であり、左派政党に
値しない。」と批判した上で「今の自民党と差別化するならば、金融政策を重要視して日銀
法改正でインフレ目標と雇用義務を加えること、歳入庁創設して税・社会保険料を一体徴収。
不公平をなくし所得累進課税を強化する方向がいい。所得再分配の強弱は、最高の累進課税
税率の高低や資産課税の取り組みで見てもいい。自由貿易、規制緩和では、労働者の権利保
護に配慮して、自由化一辺倒でない是々非々路線とする。エネルギー政策では、産業界に迎
合するのではなく、脱原発の方向で再稼働には慎重スタンスでいい」と民進党に提案してい
るほどである。

● キャッシュ・フロー改善の4原則

ここで、彼の提案は不十分で、現状のキャッシュフロー、つまり、「全国→東京→国際金融
資本主義」というの富収奪の経路依存」の流れの是正に、地方分権化税制(消費税の完全移
譲と逆進性制法人税――後の所得税、資産税、法人税は高橋提案と同調)導入を提案してい
る通りで、これを道州制の自治体ベースの範囲やこれに伴う新交付税制の検討となどと絡め
推進させることを踏まえた上で、彼の論点を追ってみよう。

※ 参考:「全ての起業家に捧ぐ!キャッシュフローを劇的に改善する51の全手法|キャ
     ッシュ・フロー改善の4原則

※ 参考:「地方分権改革と地方法人課税の在り方について 佐藤主光
※ 参考:「<特集>財政の法と経済学からの分析」『フィナンシャル・レビュー』No.101
※ 参考:「ISFJ政策フォーラム2009発表論文|地方財政格差をいかに是正するか」 




 民進党は再分配が重要という。しかし、その実行が伴っていなかった。これを、厚労省
 が3年に1回行っている「所得再分配調査」から見てみよう。その調査では「ジニ係数」
 が計測されている。これは、イタリアの統計学者ジニが考案した社会全体における所得
 分配の格差を表す指標である。係数の範囲は0から1で、係数の値が0に近いほど格差
 が少なく、1に近いほど格差が大きいことを意味する。所得再分配調査のジニ係数は2
 種類あり、課税前・社会保障給付前の「当初所得」、課税後・社会保障給付後の「再分
 配所得」について計測されている。2001年から3年ごとの調査によるジニ係数の推
 移 は以下のようになっている。
 

 当初所得ジニ係数は増加傾向である。これは、高齢者ではそれぞれの社会キャリアが異
 なり、その結果所得格差が大きくならざるを得ないが、その高齢者世帯の割合が増えて
 いることが要因である。一方、再配分所得ジニ係数は上昇に歯止めがかかっている。当
 初所得ジニ係数と再配分所得ジニ係数の差の当初所得ジニ係数に対する比率は、所得格
 差是正効果を見ることができ、それを再分配改善率とすれば、上の表のように、調査の
 たびに改善している。ただし、前回調査に比べた改善率アップを見ると、2010年が
 他に比べて見劣りしているのがわかる。2010年度予算・税制は民主党政権時代だっ
 たが、そのほかは自民・公明政権である。

                           高橋洋一の俗論を撃つ!No.153 
                     『民進党は経済政策を見ても前途多難だ』


● 日本の再分配機能は国際的に見て本当に弱いのか

 

さらに、彼は 上図表のごとく、ジニ係数を国際比較し、こうしたデータから、国際的に見
ると日本の所得の再分配機能は弱いというわけでなく、平均的なところであり、再配分機能
は強化されつつあるというのが事実(※データーで見る限りその傾向にある)であると指摘
していがこの分析結果に異論ない。 

※ プリンストン大のノーベル賞学者ナッシュを描いた映画「ビューティフル・マインド」を見てもらった
  ほうがいいかもしれない。ナッシュが大学院生の時に書いた論文はゲーム理論となって、ナッシュ
  が予想できなかったほど社会に役立っている。

● ノーベル賞を増やす基礎研究の財源は国債が最適

話は本筋とそれるかもしれないが、 また、彼はノーベル医学・生理学賞を大隅良典東大名
誉教授が受賞し、大隅が記者会見で「科学が『役に立つ』という言葉が社会を駄目にしてい
る。本当に役立つのは百年年後かもしれない。将来を見据え、科学を一つの文化として認め
てくれる社会にならないかと強く願っているとの談話を紹介し、現在の科研費、とりわけ基
盤研究の絶対額が不足しており、採択率がまだ圧倒的に低い。今の2、3倍になれば大学な
どの雰囲気も変わるとの意見(「ノーベル賞を増やす基礎研究の財源は国債が最適だ」 同上
高橋洋一の俗論を撃つ!No.154回 2016年10月06日 )に同調し、「こうした基礎研究が、そ
の後社会に役に立つかどうかは、誰も予測することはできない。はっきりいえば、基礎研究
で将来役に立つものはかなり少ない。しかし、大量に基礎研究しなければ、そもそも当たら
ないし、社会への貢献もない。この意味で、基礎研究は未来への投資の典型である。下手な
鉄砲でもいいから、数多くやれば、確実に一定の成果はあるものだ」と擁護し、最近、日本
人のノーベル賞が相次いでいるが、これは20~30年前の研究成果であり、今回の大隅の
受賞の業績は95年のもで過去の投資が今になって生きている事例とする。

科研費とは、科学研究費助成事業に基づく研究資金である。人文学、社会科学から自然科学
まで全ての分野にわたり、基礎から応用までのあらゆる独創的・先駆的な「学術研究」を対
象とする。学術研究とは、「人間、社会、自然の中に潜む真理を探究することを目標にした
知的な営み。自らの発想で自由にかつ責任を持って、原理や知見を徹底的に追究するという
固有の特色。」と説明され。大学関係者であれば、多くの人がお世話になっている。15年
度の予算額は2273億円で、採択率は低く、15年度の新規応募件数は10万7千件であ
ったが、新規採択件数は3万件と3割弱。今の時点で、科研費を増やせるだろうか。他の経
費を削って持ってくる方法は好ましくないので、こうした財源探しで最も本格的なものは、
国債を財源とすることである。基礎研究のように、懐妊期間が長く、大規模で広範囲に行う
必要のある投資は、民間部門に任せるのは無理があり、やはり公的部門が主導すべきである。
その場合、投資資金の財源は、税金ではなく、将来に見返りがあることを考えると、国債が
適切と結論する。



失われた20年間でGDPがほとんど伸びなかったので、教育費の伸びはここ20年間で日
本はほとんどゼロであるという。これは他の先進国でかなり見劣る。これから10年先を考
えると、日本人ノーベル賞受賞者は徐々に減っていくのではないか。そのとき、後悔するよ
り、今のうちに、国債発行による基礎研究や教育投資を真剣に考えておくべきではないかと
の提案しているが、国民の合意形成を前提に教育投資を積極的に推し進め、国民福祉、ひい
ては世界福祉に貢献できれば願ってもないことであり、これらは、このブログで「ピラミッ
ドの経済学」「百年国債」「新楽市楽座」「双頭の狗鷲」などお政策論として問題提起して
いる通りでもあり彼の提案には多くの読者が同意しているところである。 

 ● 今夜の一品

砂丘畑で作られるブランド里芋『砂里芋(さりいも)』。里芋は一般的には、粘土質の土質
が生育に向いているとされ、数ある野菜の中でも水分管理が重要な野菜だが、砂里芋は水は
けの良い砂丘畑で栽培され、通常とは真逆の環境で育ちます。 スプリンクラーでの灌水と、
栄養の徹底管理を行う事で、この環境でも栽培を実現。 厳しい環境によって、砂里芋は強く
育ち、次世代へ命を繋ぐために栄養を蓄え、 その結果、緻密な肉質となり、比重が重くなな
る 素材の味を余す事無く楽しむために、まずは「きぬかつぎ」で食べるのがオススメとか。
食感はねっとり、もっちりとしていて、口溶けが良く、上品な甘さが特徴とか。やはり「環
境ストレス制御」という生物工学を駆使し、品質改良できるのだとテレビを見ながら感心す
する。



● 百名山踏破計画の危機

一昨日の朝、いつものように腕立て伏せをこなし、デスクワークにはいると、突然、両肩に
痛みが走り何だろうと考えしばらくすると、今度は腰痛が再発。それでも、翌日、竜王の約
束通り「湖華舞」へ走る。生憎、「米麹床モッツァレラ」は品切れとかで買って帰ることは
できなかったが、アイスクリームとチーズセットを買い楽しんだものの、痛みは残り、自信
が回復するまで様子をみるしかなく、計画が立たない状態にある。どうしょう?!

              

 

パクチからセカオワ

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        最低の犯罪者とは、間違ったものを目にし、それが間違っているこ
        とに気づいたにもかかわらず、そこから目を背けてしまう人たちだ 

                                                ボブ・ディラン

                                                    
                                                  May 24, 1941 ー

 

 

昨夜は、「NHKスペシャル マネー・ワールド 資本主義の未来(1)世界の成長は続くの
か」を観ている途中でそのまま寝込んでしまい目を覚ます。電子日記帳、つまり、ブログだが、
久しぶりに『デフレ脱却と未来国債』と国内経済政策について掲載したばかりだから、TBS
『IQ124』を観ずにこれを暫く観ていたというのが背景。「第1集:米大統領選挙を左右
する大富豪とホームレスの『巨大格差』。2500億円の詐欺事件の首謀者が語る『大企業の
不正』の内幕。世界中で相次ぐ“お金”をめぐる大異変に、爆笑問題の二人が分かりやすく切
り込む!いま「マイナス金利」「モノを買わない若者」など、日本でも異変が。それは250
年続いてきた経済成長の終わりではないか?今後も世界は成長を続けられるのか!?資本主義
のスケールで現代を読み解く」と公式HPでイントロしている――因みにシリーズは3部構成
で、第2集「経済の“支配者”は誰か ~国家 VS 市場経済・ ルールをめぐる闘い~」、第
3集「富は分かち合えるのか~巨大格差の果てに~」と後続する。わたしの答え「前社会主義
社会段階」の世界的現象とマルクス思想の延長で考えているので、その政策もきわめて明快。
、なので、ここでは、2つのイントロをペーストしクリアしておく。



第2集:成長のルールをめぐる国家と市場経済の攻防を追う。これまで市場経済を統御してき
た国家が力を失い、資本主義をコントロールできなくなっている。ある南米国家は欧米の巨大
企業の進出で成長を狙ったが逆に税収や失業率が悪化し国家破綻の危機にさらされている。経
済が低迷する南太平洋の島国では、経済規制をゼロにすることで投資を呼び込む、「国内国家」
の検討を始めている。背景にあるのは“国家のルールは少ない方が競争を促し成長できる”と
考える「新自由主義」の広がりがある。今や北欧の福祉国家さえも社会保障の財源のため新自
由主義の導入を検討し始めた。そして法律や規制はいっさい要らないと国家不要論を主張する
グループまで現れ、世界の国々と自治区設立を目指し、交渉を始めている。経済が行き詰まる
なか、国のルールや規制を大きく変えてまで成長を求める資本主義は私たちに何をもたらすの
かを考える(消費税一辺倒の欧州形福祉の修正と新しい市場調整装置と社会安定装置の模索?)。



第3集:変容する富の分配と巨大格差。資本主義は、人類が史上経験したことのない「巨大格
差」を生み出した。その象徴が、世界におよそ150人いるという年収2400万ドル以上の
「プルトクラート」と呼ばれる超富裕層だ。巨大な富と力を得たプルトクラートは今年注目の
アメリカ大統領選挙を背後で支え、影で世界の趨勢を握っている、とも言われる。一方で、利
益の追求を放棄するニューウェーブが世界各地で起き始めている。自らの年収を10分の1に
すると宣言するCEO、給与体系を変更し全従業員の賃金を同額にする企業、利益を分かち合
う自治体。過剰な富の追求は「幸福」に繋がらないという経済学が注目を集め始めているのだ。
世界の富の分配は、今後どう変容していくのか検証する(「足ることを知る vs.足らざること
を知る」の均衡と疎外構造?)。

  Oct. 17, 2016

ビデオ録画を再生し観残し部分を確認、朝食をとり、腕立て伏せをするもやはり腰が痛いの直
ぐさま中止し部屋にもどり、「あさイチ」のいま大ブームという『スゴイぞ!パクチー』をみ
る。ベトナムで愛用されるコリアンダーの秘密は、その解毒作用なあるのかと感心していたが、
興味はそこでなく、抗酸化力の測定装置に飛んでしまう。

 Coriander Chutney: Gujarati Style

 

ヒトの老化や生活習慣病に体内で発生する活性酸素・フリーラジカル等の酸化ストレスが関与
すると言われ、酸化ストレスの防止や抑制の観点から、食品に含まれる抗酸化物質(活性酸素・
フリーラジカル等の酸化ストレスを抑制・除去する物質)の評価・測定が多く行われるように
なっている。抗酸化物質は、たんぱく質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維に加え
て、第7の栄養素とも言われ、非常に注目されており、食品中では緑茶に含まれるカテキン、
赤ワインなどのポリフェノール、植物油やナッツ類などのビタミンE、緑黄色野菜のβ-カロテ
ンやビタミンCなどが有名。

さらに食品分野においてはこれら抗酸化物質を開発し、有効に利用するためにも抗酸化活性を
評価する簡易かつ迅速に測定する方法が望まれてくる。これまでに抗酸化活性を評価する一手
段として、米国を中心に海外で知名度が高まり、抗酸化活性を測定する評価法はORAC以外に
も多種多様存在し、それぞれ、利点や不利点を兼ね備えているため、従来の抗酸化指標(下表
参照)を掲載する。

● 抗酸化指標

測定法 原理 測定機器 特徴 対象 ORAC ORACは水素原子移動メカニズムを原理とし、連鎖切断型の抗酸化剤の活性を直接測定する。検体、又はTrolox(スタンダード)に蛍光プローブを添加し、さらにラジカル活性剤を加えた際の蛍光強度の変化でORAC値が算出される。濃度既知のTroloxでの量(マイクロモル当量)に換算して示される。 蛍光
プレートリーダー 長所 水溶性、脂溶性のどちらのサンプルも測定できる。一回測定で抗酸化作用の持続時間とその力価を合わせて評価できる。実験操作が容易である。 食品
(水溶性及び脂溶性) 短所 AAPHは温度感受性のラジカル発生剤であるため、反応温度により測定結果に影響が出る。抗酸化作用を有するβ-カロテンや不飽和脂肪酸はその反応の機序が異なるため、測定できない。 DPPHラジカル消去活性 安定な有機ラジカルであるDPPH・と抗酸化物質との反応によるDPPH・の吸光度(520nm)の低下を分光光度計により測定し、ラジカル消去能を評価する。濃度既知のTroloxでの吸光度に対する相対値として算出する。 分光光度計 長所 測定が簡便であり、食品分野では汎用されている。分光光度計があれば測定可能である。 食品(水溶性) 短所 DPPH・は生体内には存在しないラジカルである。サンプルとDPPH・の吸光度が重なると測定できない。抗酸化物質の中にはDPPH・と反応しない化合物がある。 FRAP 抗酸化物質存在下でferric-tripyridyltriazine( )が還元され、生成されたferrous-tripyridyltriazine( )の吸光度(593nm)を一定の時間測定し評価する。濃度既知のTroloxでの吸光度に対する相対値として算出する。 分光光度計 長所 簡便で、使用機器や試薬が安価である。また、血清や植物の抗酸化能分析に適している。 生体内試料 短所 サンプルによって反応時間が異なる。チオール基(- SH)を有する化合物(グルタチオン、タンパク質)では反応時間が長期となり、測定に不向きである。また、測定しているのは還元力であり、反応機構と生理学観点から抗酸化力とは関連しない。 TRAP AAPH由来のペルオキシラジカル(ROO・)と標識物質であるルミノール(luminol)から生成される酸化ルミノールの蛍光強度上昇が生じるまでの上昇時間を測定することに基づく。       
抗酸化物質存在下では、AAPH添加から酸化luminolの光度上昇が生じるまでの上昇停滞時間(lag phase)を生じることから、濃度既知のTroloxでのlag phaseに対する相対値として算出する。 蛍光光度計 長所 in vivo、血漿、血清の抗酸化能測定に利用される。
lag phaseから抗酸化能を算出するため、反応液中の抗酸化物質濃度を下げることで測定時間を短縮できる 生体内試料 短所 lag phaseの終点が研究機関で異なり、他の測定データと比較できない。
また、lag phaseを有さない抗酸化物質には対応できない。 SOD様活性 キサンチンオキシダーゼをヒポキサンチンに作用させて生成する、スーパーオキシドラジカルを標識物質で検出する。標識物質の生成を50%に抑制するときの抗酸化物質の濃度IC50を活性評価に利用する。 ESR装置
or
分光光度計 長所 生体内で生じる活性酸素種の基となるスーパーオキシドラジカルの消去能を測定できる。 食品(水溶性) 短所 水溶性の化合物以外測定できない。対象となる物質に応じて方法を選ぶ必要がある。ESR法は特異性と感度は良いが、装置が大型で高価である。 β-カロテン退色法 リノール酸が自動酸化されて生じるリノール酸過酸化物を、β-カロテンと一定時間反応させて減少するβ-カロテンの490nmでの吸光度を測定する。抗酸化物質存在下での吸光度から、同じ吸光度を示すBHA濃度に換算する。 分光光度計 長所 短い反応時間で測定が可能。少量の試料で済む。一度に数点の試料を測定可能。 食品 短所 再現性が低い。 β-カロテンと同じ吸光度の化合物は測定できない。リノール酸過酸化物は界面活性剤で乳化された状態で存在するため、抗酸化物質と界面活性剤との親和性によって反応の影響を受ける。

尚、抗酸化力の測定方法の原理は、生体内活性酸素に被検物質を作用させ、その結果どの程度
活性酸素が消去されたかを測定し、被検物質の抗酸化力の評価基準とするものである。これら
は、大別し(1)被検物質を生体内に入れ、その結果生体と活性酸素との反応にどのような変
化を生じたかを測定すrものと、(2)被検物質を活性酸素(活性酸素モデル物質)に添加し、
どの程度活性酸素が消去されるかを測定するものに分類されるが、測定の容易さの点で、多く
は後者の方法が採用されている(参考:特開2007-279008 抗酸化力評価方法及び評価のための
測定装置 アイシーエス株式会社)。

SH-9000Lab

【RE100倶楽部:太陽光パネルの下でレタスを水耕栽培】

 

   Sep. 17, 2016

営農型の太陽光発電で注目すべきプロジェクトが進んでいる。千葉工業大学を中心とする研究
チームが追尾式の太陽光パネルを農地に設置して、その下で水耕栽培によるレタスの生産に取
り組む。通常よりも年間の発電量を11%増やすことができ、エネルギー消費量をゼロに抑え
る植物工場を目指している。

● デジタル革命渦論:太陽光で作動する土壌計測システム

イノテックとネクステック、岩崎の3社は10月12日、太陽光発電で電力を賄う無線LAN装置
と土壌センサーを組み合わせ、外部電源不要の土壌計測システムを構築し実証実験を始める。
土壌の状態をセンサーで取得し、スマートフォンやパソコンで可視化する。畑やハウスから離
れた場所でも土壌の状態を確認でき、追肥や水やりなどの作業内容を記録していくことも可能。
センサーは、雨風に強く太陽光で発電する電気を利用。イノテックが販売した土壌センサーを
採用した。取得したデータ(土壌のEC値や水分量、大気の照度・温度・湿度)は、Wi-Fiや3G回
線を介してクラウド上に蓄積する。


 Sep. 15, 2016

 

  Oct. 16, 2016 YouTube

大谷翔平 最速新165キロ連発 日本シリーズ進出決定!

 ● 今夜の一曲

 

   ぼろぼろの思い出とか
   ばらばらに壊れた気持ちも
   大事にしたから大切になった
   初めから大切なものなんてない

   どこか遠い世界のことなど
   どうでもいいやと呟いた
   大事にしないとああ、こんなにも
   大切なものなんて無いんだなあ

   嵐の海を渡っていく
   世間は正義の雨を降らす
   汚れた荷物、笑えるくらいゴミみたい
   でもどうしようもなく大切で

   Hey Ho Stormy Seas
      誰かからの SOS
      ずっと耳を塞いできたこの僕に  Whoa-oh
  
       Hey Ho Stormy Seas
      誰かからの Scream Of Silence
      この厘の中、船を出す勇気なんて僕にあるのかい

      例えば君がテレビから流れてくる悲しいニュースを見ても心が動かなくても
      それは普通なことなんだと思う
      誰かを助けることは義務じゃないと僕は思うんだ
      笑顔を見れる権利なんだ自分のためなんだ

      君が誰かに手を差し仲べる時はイマじやないかもしれない
      いつかその時がくるまでそれでいい

      Hey Ho Stormy Seas
      誰かからの SOS
      きっとこのまま「誰か」のまま放っておけば
      忘れてしまうだろう

      Hey Ho Stormy Seas
      また閔こえる SOS
      この嵐の中、船を出す勇気なんて僕にあるのかい

      Hey Ho Stormy Seas
      誰かからの SOS
      ずっと耳を塞いできたこの僕に Whoa-oh

      Hey Ho Stormy Seas
      誰かからの Scream Of Silence
      この嵐の中、船を出す勇気なんて僕にあるのかい


                                                  
                                                         Hey Ho
                                                                                            SEKAINOOWARI
                                                                                             Word   Saori Fukase
                                                                                                Music  Nakajin

それにしても「世界の終わり」とは意味深なバンド名である。ブログ掲載は2度目になる。こ
の曲テーマは「人を助ける勇気を持ちたい」という。ある意味、ボブ・ディランのようなメッ
セージ性を押し出しているいるから、新しい、JF(ジェイ・フォーク)のようなにおいがす
るが、演奏スタイルはJP(ジェイ・ポップス)まっMだろ。ちょっと。つかみ所がない感じ。

       

非公開情報下の国会中継

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                      民これを愛し、隣国これを親しみ、天下これを信ず。これ国君の信なり

                              民愛之, 隣国親之, 天下信之, 此国君之信         

                                              中匡 / 管子          
                     

                            

                                                     管子 Guan-zi   720–645 BC

● 半導体バブルが来るって本当 ?!

米国の半導体関連株を集めたフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)は過去10年間で最高値水
準の800ポイント超で推移している。これに引っ張られるように、上値の重い東京市場でも半導体関
連株ばかりが上がっている。半導体産業で今、何が起きているのかと銘打って、週刊エコノミストが、
半導体バブルを予想し特集している(2016.10.25特大号)。


中国政府が先端半導体の製造に本腰を入れ始めた。米日韓台を中心とした世界の半導体産業の枠組みを
変える可能性がある。今年7月、中国政府などの出資により、中国最大の半導体メモリーメーカー、長
江ストレージ(長江存儲科技、湖北省武漢市)が設立された。半導体産業に特化した数兆円規模の政府
系ファンド「国家集成電路産業投資基金(通称ビッグファンド)」、清華大学系のハイテク企業グルー
プ・紫光集団(ユニグループ)、そして湖北省武漢市政府系ファンドが出資した長江ストレージは、2
40億ドル(約2・5兆円)を投じて武漢に20年に月産能力30万枚、30年に同100万枚の巨大
メモリー工場を建設する計画を打ち出している。中国はハイテク産業へのシフトや情報安全体制確立の
ため、先端半導体を国産化し、20年に向けて年平均20%で半導体産業を成長させるとの目標を打ち
出している。国内総生産(GDP)成長率が6%台に減速する中、半導体は2桁成長を約束している。
政府目標では、中国の半導体IC〈集積回路〉は20年に1460億ドル規模になる見通し。



グーグルは5月118日、米国で開催した開発者会議「グーグルI/O 2016」で、TPU(テンソ
ルプロセッシングユニット)と呼ぶ人工知能(AI)型のプロセッサーを発表した。グーグルがTPU
を開発したのは、外部から調達している既存のチップでは消費電力が大きすぎた。検索エンジンは学習
能力を備えたAIに似ている。ならばいっそのことAIに適したプロセッサーを作ろう、ということにな
る。TPUは従来のプロセッサーと比べ、性能を同じにすると消費電力は10分の1に収まるという。
グーグルは今年になってチップを発表、実は1年前に検索エンジンに実装していた。グーグルの言語検
索エンジンに比べて精度が低いのが写真や動画の検索。言語検索に比べて、画像の検索では光の強弱や
肌の色など大量の情報量を考慮した情報処理をするため、大量情報処理に、自前の半導体は不可欠。ア
マゾンも14年にイスラエルの半導体メーカーであるアンナパーナ研究所を買収し、無線ルーター(ネ
ットに接続する機器)向けの半導体チップを今年1月に発表している。現段階ではここまでだが、いず
れ用途を広げるのは必至。自前の半導体は、自社で運営するクラウドサービスや電子商取引用に使うデ
ータセンターを高性能・低消費電力にし自社が望む性能を盛り込む。

以上のように『デジタル革命渦論』の進展により半導体製造業界は依然活況であるが、供給過剰のリセ
ッションは足早にやってくることは必至。着実な舵取りが経営者に求められる。



● ナノカーボン電子デバイス工学の此岸

カーボンナノチューブは、これまで数十年間にわたり、トランジスタで試験的に採用されてきたが、そ
の用途はトランジスタ用チャネルに限られていた。しかし今回、ローレンスバークレー国立研究所
(Lawrence Berkeley National Laboratory)の科学者たちが、カーボンナノチューブをゲートとして使用し
「世界最小」(同研究所)のトランジスタの開発に成功した。これまで、物理法則に基づいた実現可能
な最小のトランジスタの寸法は、5nmであると考えられていた。しかし、同研究所のAli Javey教授は、
「カーボンナノチューブのゲートを採用したことで、その限界を打ち破ることに成功した」と述べる。
同氏はデモを披露し、混合する材料を変えれば、ムーアの法則を想定以上に延長できることを実証。

  Oct. 07, 2016

Javey氏は、カーボンナノチューブをゲートに採用しただけでなく(MoS2)をチャネルに使用した。こ
れにより、LED やレーザー、太陽電池などへの適用も可能になるという。二硫化モリブデンをチャネル
に使用した理由は、ナノチューブが1つの場合、シリコンチャネルと連携できるだけの十分な強度を持
つ電界を作り出すことができないためだ。加えて、誘電率の低いゲート絶縁膜(二酸化ジルコニウム(
ZrO2))を、膜厚わずか0. 65 nmで被覆する必要があった。この手法はうまくいったが、既存のシリコ
ントランジスタに匹敵する性能を実現するために、さらに、重要な最適化手順を踏まえなければならな
い。これをクリアすれば、デジタル革命の基本特性が支配する世界が続くことを意味し、本格的なナノ
カーボンのネオコンバーテックの時代に突入するというのが、"わたしの魔方陣"なのである。

  Oct. 08, 2016

 

  

【我が家の焚書顛末記 Ⅸ:中国思想 管子】   

   大  匡    ――管仲の前半生―― 

   覇者の道

  桓公(小日)は鮑叔の意見に従って、管仲を迎えた。一度は自分の心をねらった人物、しかもかね
 てから自分の将来性を認め、そのために友人を教育係に就任させていたという。桓公は大きな期待を
 もって、管仲を宮廷に呼んだ。この会見を機に、桓公の考えは、大きく転換することになる。


  管仲が進み出ると、桓公はさっそく本題に入った。

 「国の安泰を求めるには、どうすればよいだろうか」
  管仲がこたえた。
 「あなたが天下の覇者になることです。それ以外に、国家安泰の迎はありません」
 「天下の覇者だと?そこまでは9んでおらぬ。わたしは斉一国のことを聞いているのだ」
  管仲はもう一度、覇者になるよう要請した。
 「いや、それはできない」と桓公がこたえる。と、管仲は、
 「一命をお助けいただいたことは、心から感謝しております。しかしながら、わたくしがあえて死を
  選ばなかったのは、あくまで国家の安泰に微力を尽くさんがため。もし国政に参与しながら、肝心
 の目的が釆たせないのでは、なんのために生きながらえたのかわかりません」
  こういうなり、もはやこれまでと席を立って退出した。

  だが、宮廷の門まできたところ、使者が追いかけてきて、戻るように兪した。管仲は再度、桓公の
 前に進み出た。桓公は具合涵げにいった。
 「わかった。国家安泰の道がほかにないのなら、わたしは畷考になるようにつとめよう」
 管仲は深々と顛を下げた。そして頭をあげると、
 [覇道をおつとめになるなら、わたくしも全身全霊を投げ打ってお仕えいたします」
 そういって、ただちに宰相の座につき、政務の指揮をとりはじめた。

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 管仲至,公問曰:「社稷可定乎?」管仲對曰:「君霸王,社稷定,君不霸王,社稷不定。」公曰:「
  吾不敢至於此其大也,定社稷而已。」管仲又請。君曰:「不能。」管仲辭於君曰:「君免臣於死,臣
 之幸也;然臣之不死糾也,為欲定社稷也,社稷不定,臣祿齊國之政而不死糾也,臣不敢。乃走出,至
 門,公召管仲。管仲反。公汗出曰:「勿已,其勉霸乎?」管仲再拜稽首而起曰:「今日君成霸,臣貪
 承命,趨立於相位,乃令五官行事。

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 《解説》「大匡」は、管仲がいかにして桓公に仕えるようになったかを説明し、桓公に什えた後の管
 仲の献策を、断片的に記している。ここでは、両者の出会いの部分を訳出した。このエピソードは、
 管仲の性格を研究するに相応しい。解題でも触れたように、管仲にたいする褒貶はさまざまである。
 そして、管仲が攻撃されるのは、この篇によるところが大きい。飽叔に仕官をすすめたのはかれ一流
 の処世術であったと難ずる説もあるし、召忽とともに斉に送り返されるとき、「きみはこわくないか」
 と召忽に聞いたのは、ひとつには管仲自身も不安だったからだという見方もできる。いずれにせよ、
 後人をして「管仲の生や、その死するに賢る」といわしめたのは、宰相としてのその後の成果があっ
 たればこそである。中国史上、最も偉大なる宰相のひとりとして名声を残した管仲の人間くさい面を
 示す意味でも、この篇は興味深い。 

   中  匡    ――管仲と覇者桓公―― 

  桓公はもともと管仲を信頼していたわけではない。まかりまちがえば戦場で殺されるところだった。
 私怨を捨てて管仲を迎えたのは、鮑叔の推薦と管仲の名声に負けたからだ。したがって、管仲として
 は、新しい主君のU頼を得ることが必要であった。そのためには、ある程度の腹芸もいるし、ときに
 はゴマスリもやらねばなるまい。

  ことば

 [人に君たる者は、名をこれ貴しとなす。財いずくんぞ有すべけん」
  「善の不善を伐つや、古より今に至るまで、いまだこれを改むることあらず」
 「楽しみに沈む者は憂いに洽(あまね)し。味わいに厚き者は行いに薄い」
 「民これを愛し、隣国これを親しみ、天下これを信ず。これ国君の信なり]

   接待費の効用

  管仲が国費の会計検査をしたところ、全支出のじつに三分の二が、賓客の接待費、経常支出は残り
 の三分の一でまかなっていることがわかった。管仲はこれではいけないと思い、桓公に反省を求めた。
 桓公は、
 「おまえまでがそんなことをいうのか。考えてみるがいい。接待に力を入れれば、賓客たちは気をよ
 くし、帰国してからわが国のことをほめそやすにちがいない。わが国の名声は、天下にひびきわたる
 というものだ。
  接待をおろそかにしたら、いったいどうなるか。賓客たちは気を悪くし、帰国してから悪口をいい
 ふらすにちがいない。そうなればわが国は天下に汚名をさらすことになる。土地さえあれば穀物は育
 つ。材木さえあれば道具はできる。だから、穀物は食べつくしてもまたとれるし、道具は使い古して
 もまた手に入れることができる。なにも物惜しみすることはない。君主たるもの、なによりも重んず
 べきは名声なのだ」
 「ごもっともなお考えです」

  ------------------------------------------------------------------------------------------

  管仲會國用,三分二在賓客。其一在國,管仲懼而復之。公曰:「吾子猶如是乎。四鄰賓客,入者說,
  出者譽,光名滿天下。入者不說,出者不譽,污名滿天下,壤可以為粟,木可以為貨,粟盡則有生,貨
  散則有聚,君人者,名之為貴,財安可有。管仲曰:「此君之明也」。

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     敵を討つには、まず味方を固めよ

  桓公が管仲にたずねた。
 「わが囮の人民もよく戦うようになった。いよいよ極悪非道の大国を討ちたいと思うが、どうか」
 「いいえ、まだいけません。武器が不足です。罪人たちの刑罰をゆるめるかわり、戦力増強に一役
 買わせるとよいかと存じます」
  桓公は管仰の意見を採用し、罪人の処刑処罰をとりやめ、罪のつぐないとして、武器を供出させる
 ことにした。死罪を犯した者には犀の皮でつくった甲と戟をひとふり、その他の重罪を犯した者には
 胸当てと戟ひとふりを供出させた。過失によって罪を犯した者には黄金一釣を課し、理由なしに訴訟
 を起こした者には罪として矢五十本をださせるようにした。

 「これで武器は十分そろった。もうよかろう」
 「国外の不逞の輩をこらしめるには、まず国内の人民をいつくしむことです。敵国をうち破るには、
 まず家中の卿大夫の生活を安定させることです。横暴な大国を撃つには、まず小国に土地を与えるこ
 とです。法を乱す不良分子をなくすには、まず賢人を抜提することです。曹の名君たちも、害のある
 ものをとり除こうとするときは、まず味方の陣営を固めためたものでございます」

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 公曰:「民辦軍事矣,則可乎?」對曰:「不可,甲兵未足也。請薄刑罰以厚甲兵。」於是死罪不殺,
 刑罪不罰,使以甲兵贖。死罪以犀甲一戟,刑罰以脅盾一戟。過罰以金軍。無所計而訟者。成以束矢。
 公曰:「甲兵既足矣,吾欲誅大國之不道者可乎?」對曰:「愛四封之內,而後可以惡竟外之不善者,
 安卿大夫之家,而後可以危救敵之國。賜小國地,而後可以誅大國之不道者。舉賢良而後可以廢慢法鄙
  賤之民,是故先王必有置也,而後必有廢也。必有利也,而後必有害也。」

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   《卿大夫》春秋時代以前の古代中国は一種の氏族共同体であった。これを構成する諸族の長が大
   夫であり、そのうちとくに有力なものが命といわれた。のちには官僚的職制となる。

    目的への早道「廃するためには、まず置く」、「害するためには、まず利する」。気短かに、
   目的物への直線コースをとらない。歴史で練りあげられた立体的な発想がここにある。一見、迂
   遠な道が、より正確に、目的に達する道なのである。


※ 参考:「真の共生社会についての思索 ―東アジアの日本・中国・韓国を中心に― 」徐 送迎 
     桜美林論集 / 「桜美林論集」編集委員会 編

                                         この項つづく



  ● 今夜の一枚

稲部遺跡 大規模な鉄器工房を発掘!

●  非公開情報下の国会中継

たまたま、国会中継を放送していたので、暫く観ていたが、民進党の代議士がTPP締結の可否につい
て質問していたが、余りの人を喰った政府答弁に、チャンネル切り替えてしまう。一万ページ(?)に
も及ぶ関連資料が提出されているらしいが、それも「黒塗りの伏せ書き資料」(一部)をテレビで見せ
つけられ、一体これは、どこの国の国会審議なのだと思わせるほどである。日の丸半導体メーカが沈没
していく様を「半導体不平等条約」締結(売国的行為)の様を観てきたわたし(たち)有権者をこれほど
までに馬鹿にしていることに気付かぬ代議士や国家官僚らは、有権者から手酷いしっぺ返しに合うこと
になるだろう。

※ 参考:東京都狛江市議会「TPP参加に反対し、情報公開と国会審議の徹底を求める意見書
          2015.12.18

 

  Aug. 29, 2013 

ナノカーボン電子工学千一夜

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                倉廩が実つれば礼節を知り、衣食足れば栄辱を知る

             倉廩實、則知禮節;衣食足、則知榮辱  
                                 
                          牧民 / 管子          
                     

                            

                                                     管子 Guan-zi   720–645 BC

 

 Oct. 06, 2016

【温暖化:温室効果ガスのメタン、排出量推定の2倍 ?】

十月に入り、米国では秋の涼しさが少なくなっていることが話題となっている(下写真ダブクリ)。そう
いえば、強力な温室効果ガスのメタンの全世界排出量が、現在の推定値の2倍である恐れがあるとする研
究論文が5日、科学雑誌「ネイチャー」に発表されている。論文は、気候変動を抑制する取り組みへの課
題が上乗せされたとしている(上写真ダブクリ)。産業活動由来の排出と地質学的な自然要因による排出
を合計したメタンの全排出量は、現在の推定値より60~110%高い。この研究結果は、11月4日に
発効の「パリ協定(ParlsA9「eement)」でも掲げられている。平均気温上昇値を産業革命前比で「2℃未
満」とする地球の温暖化抑制に向けた目標への世界的な取り組みに深刻な影響を及ぼす恐れがあると指摘。

メタンは、二酸化炭素に次ぐ地球温暖化の原因。18世紀半ばに産業革命が始まって以降の積算温度約5
分の1に寄与しているとする。なお、湿地や山火事、シロアリ、野生動物などの自然要因も、年間のメタ
ン排出量では大きな割合を占める。ただ、大気中のメタンの大半は、化石燃料の生産や畜牛、埋め立て地、
水田など、人間の活動によって排出されたもので、その濃度はこれまでの推定値の最大約2倍に上るとい
う。

 Oct. 05, 2016

● 温暖化で秋の涼しさが消えていく!?




食用油脂大手の不二製油が、豆乳を発酵させたチーズの量産に日本で初めて成功(読売新聞 2016.10.19)。
牛乳から作る本物のチーズと同様に、加熱するととろける。学校給食用などに10月から売り込んでおり
乳製品アレルギーの悩みから解放されそうである。この発明の特徴は、豆乳に含まれる発酵を妨げる油分
の分離。チーズにするのが難しかった油分を含む生クリーム状の「豆乳クリーム」の分離することで、牛
乳由来と遜色ないチーズに仕上がる。尚、詳細は今のところわからない(参考:特開2015-065949 大豆蛋
白質含有チーズ様食品 不二製油株式会社)。これは何を意味するのか? 大豆などの種子で、乳製品、食
肉製品のアレルギーフリーの付加価値を加えた代用品として賄えるという日本発の食品革命が勃興する?


尚、文部科学省が2013年に行った調査では、食物アレルギーに苦しむ児童・生徒の割合は07年から
1.9ポイント増の4.5%(約45万人)に増えた。給食でチーズを食べた児童が死亡する事故も起き
ているとこの記事は伝えている。

  Oct. 08, 2016

 【ナノカーボン電子工学千一夜】

 昨夜の「ナノカーボン電子デバイス工学の此岸」では、ローレンスバークレー国立研究所(Lawrence Ber-
keley National Laboratory)の研究ブルー婦らが、カーボンナノチューブをゲートとして使用し「世界最小」
のトランジスタの開発に成功(2016.10.07)を取り上げている(下図ダブクリック)。この発明の特徴は、
これまでの最小のトランジスタの寸法が5ナノメートルと考えられていたものので、カーボンナノチュー
ブのゲートを採用することで限界を打ち破ることに成功していることにある。尚、同研究所のAli Javey教
授は、米国特許(US9299940B2「Carbon nanotube network thin-film transistors on flexible/stretchable substrates
Mar.29,2016)を公開しているので願参照の程。 

  Oct. 07, 2016

● 多孔質グラフェン電極の量産

国国国国内でも、ナノカーボンなどの領域の研究成果があいついで報告されている。まず、11日には、東北大
学原子分子材料科学高等研究機構(WPI-AIMR)の伊藤良一准教授らの研究グループが、ワンステップで
大量作製が可能な3次元構造をもつ多孔質グラフェン作製手法を開発し、またその多孔質グラフェンから
水素発生電極を作製に成功。それによると、現在水素は二酸化炭素を排出しないクリーンエネルギーとし
て注目されており、さらに、再生可能エネルギー電力を貯蔵・運搬するエネルギーキャリア――貯蔵でき
ない電気を化学物質に変換し、エネルギーの貯蔵・運搬を可能にする化学媒体。例えば、水素、アンモニ
ア、メタン、ギ酸、過酸化水素、アルコール、ジエチルエーテル、トルエンなどの化学物質があり、燃料
電池などを用いてそれらの化学物質から再度電気が取り出せる物質――の有力候補として期待されていま
す。しかし、水素を発生させるために必要な水の電気分解装置は高価で希少な白金を水素発生電極として
使用しており、より安価な代替電極の開発要求に応えることができる。

 Oct. 08, 2016

その製造方法はの特徴は、(1)ニッケルナノ粒子を加熱することで多孔質化しそのまま連続してグラフ
ェンを蒸着させることで作製工程とコストを削減できる。(2)さらに、曲率半径50ナノメートルで曲
がったグラフェンの格子が化学ドーパントを吸収しやすい特性を利用して従来の2~3倍以上の化学元素
種をドープする手法を開発し、従来のグラフェンでネックだった触媒特性の改善する。この新たな多孔質
グラフェンを用いると効率よく水素発生できる電極(白金フリー)で安くて環境負荷が少なく、また大量
生産できると期待されている。

 Oct. 11, 2016

※ "Correlation between chemical dopants and topological defects in catalytically active nanoporous graphene”

 
DOI: 10.1002/adma.201604318

   Oct. 12, 2016

● 3次元集積化グラフェントランジスタ――従来比千倍、軽量で省電力なデバイス

12日、前出原子分子材料科学高等研究機構の田邉洋一助教らの研究グループは、次元ナノ多孔質グラフ
ェンを用いたグラフェントランジスタの3次元集積化に成功する。従来の炭素原子一層からなる2次元シ
ートであるグラフェンは優れたトランジスタ性能を示するが、実用的な性能を得るには何千枚ものグラフ
ェンを集積化し実用レベルまで性能を向上させる必要があり、多孔質を持つ3次元グラフェンをトランジ
スタに用いることで、集積してない2次元グラフェントランジスタの最大1000倍の電気容量を達成で
きる。近年、携帯情報端末の普及や小型化・高性能化に伴い、省電力で軽量かつ高性能なデバイスの開発
が求められています。グラフェンは2次元のシート材料であり、安価で軽量かつその優れた電気特性から
トランジスタなどの半導体集積回路に必要不可欠なシリコンの代替材料として有力視されているが、応用
研究や商品化では、必ずしも2次元シート状が最適ではない。



3次元ナノ多孔質グラフェンを用いて電気2重層トランジスタを作製しました。そしてこのトランジスタ
が従来の平面構造のグラフェントランジスタと比較して100倍高い伝導度の応答と1000倍高い電気
容量を示す(上図1)。3次元ナノ多孔質グラフェンはシリコン基板に比べ、表面積あたりの重さが1万
倍程度軽く、高い易動度から消費電力の低減が見込まれていることから、省電力かつ軽量・高性能なデバ
イス開発に寄与する。この研究では、3次元ナノ多孔質グラフェンの表面積を最大限に活用するために、(1)ナ
ノ多孔質構造を破壊しないように超臨界二酸化炭素乾燥させたナノ多孔質グラフェンを作製し、(2)こ
れをトランジスタの伝導経路(チャネル)と作用(ゲート)電極に用い、室温で安定な陽イオンと陰イオンか
ら構成される液体(イオン液体)を試料全体に浸透させることにより、図1に示すような作用電極とチャネ
ル間に電場を印加することでチャネルの電子濃度を変化させる電気2重層トランジスタを作製。

 DOI: 10.1002/adma.201601067

図2(c)の3次元ナノ多孔質グラフェントランジスタの振る舞いからは、ディラック電子を利用した電界
効果トランジスタの特徴である電気伝導度の極小と伝導キャリアが電子型から正孔型に反転するという2
次元グラフェンシート特有の現象が観測。(図2(b))このことから3次元構造を持つグラフェントランジ
スタは2次元グラフェンの特性を良く保持する。図2(d)の静電容量の測定からは、これまでの2次元グ
ラフェンシートを用いた平面構造のデバイスと比較して100-1000倍程度高い値を示すことが分か
りました。これは、今回のデバイス構造を用いることで高度に集積化されたグラフェンシート全体の電子
状態を制御することが可能である。

さらに、3次元ナノ多孔質構造の特徴を考慮した理論を用いることで、異なる電子濃度状態で測定した磁
気抵抗効果とホール抵抗が1つの曲線で表されることを観測(図3(a), (b))。これは、「曲面上に閉じ込
められた伝導電子が外部からかけた磁場方向に対して様々な向きを持つ」という3次元ナノ多孔質グラフ
ェンに特徴的な振る舞いである。今回開発したトランジスタは電子の易動度が、必要とされる性能値20
0cm2/Vsをはるかに上回る5000-7500 cm2/Vsである。この成果は、ゲート電圧に対し
て非常に直線的なデバイス動作と十分な電子数の制御幅を併せ持つ高密度集積型グラフェントランジスタ
の動作と輸送現象を世界で初めて実現・実証し、グラフェンを用いたシリコンや貴金属への代替デバイス、
例えば光応答デバイスや高集積された立体回路、さらには、光-電気変換デバイスの性能を飛躍的に向上
させる可能性がある。

以上、グラフェンやナノカーボンなどのの非黒鉛系炭素電子デバイス開発成果事例を足早に俯瞰する。シ
リコン系を上回る品質と価格特性をもつ。研究開発と同時に、コストレス、プロセスレス技術を伴走開発
させるならば、世界のトップランナーとなることはできるだろうと。そう思える。

  

【我が家の焚書顛末記 Ⅹ:中国思想 管子】   

    牧  民    ――民を養うには公―― 

  「牧」は「牧場」「牧畜」の牧、つまり飼育するという意味。「牧民」とは、要するに、人民を飼
 育することである。きわめて即物的な考え方だが、古代社会では当然のことであったろう。それはと
 もかく、この篇は『管子』の思想大系の中で枢要な部分を占めている。 
 
 ことば

 「およそ地を有し民を牧する者は、務め四時に在り、守りに倉廩在り」
 「倉廩が実つれば礼節を知り、衣食足れば栄辱を知る」
 「政の興るところは、民心に順うに在り、政る廃るところは、民心に逆らうに在り」
 「予うるの取るたるを知るは、政の宝なり」
 「民を御するの轡は、上の貴ぶところに在り、民を道くの門は、上の先んずるところに在り。民を召
 くの路は、上の好悪するところに在り」

 「衣食足れば栄辱を知る」

  一国の支配者たるものは、四季を通じて生産計画を円滑に進ませ、経済を豊かにさせるよう配慮し
 なければならない。
  物資が公営な国には、どんなに遠くからでも人民は集まってくるし、間発が迎んだ国からは、逃げ
 だす人民はひとりもいない。日々の暮らしにも事欠くものに、礼儀を説いたとてなんになろう。生活
 にゆとりができさえすれば、道徳意識はおのずと高まるものだ。
  君主が財政上の無理をしないこと、これが民生安定の根本である。生活が安定すれば、人民は礼・
 義・廉・恥の徳をよく守り、かくして、君主の威令は国のすみずみまでゆきわたる。
  支配者たるものは、なによりも経済を重視しなければならぬ。刑罰などは二義的なものにすぎない。
 まず民生を安定させ、道徳意識を高めること、これが国家存立の基礎である。さてその上で.神霊・
 宗廟・祖先を崇拝する。つまり宗教心を涵養し、人民を教化することだ。


     牧民の方程式「倉廩実つれば礼節を知り、衣食足れば栄辱を知る」-まず物質的な基礎を固
    めることだ、というのは今日では新しい考えでもなんでもないが、紀元前七世紀ごろ、これを
    はじめて解明したのは、まさに卓見であった。春秋中期いらい、鉄の使用が普及しはじめ、農
    業生産力と交易の発展がいちじるしくなった。この時代的な背景を的確にとらえたのが管子で
    ある。人民を治めるには、抽象的なお説教ではなく、①生産を奨励して物質的に豊かにする→
    ②その結果、自然に人民が集まり、生活が豊かになれば道徳が高まり秩序がととのう→②物質
    的に恵まれ道徳的に高められた人民をさらに教化すれば万全である。――これが管子による牧
    民(人民飼育)の方程式であった。

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 凡有地牧民者,務在四時,守在倉廩。國多財,則遠者來,地辟舉,則民留處;倉廩實,則知禮節;衣
 食足,則知榮辱;上服度,則六親固。四維張,則君令行。故省刑之要,在禁文巧,守國之度,在飾四
 維,順民之經,在明鬼神,祇山川,敬宗廟,恭祖舊。不務天時,則財不生;不務地利,則倉廩不盈;
 野蕪曠,則民乃菅,上無量,則民乃妄。文巧不禁,則民乃淫,不璋兩原,則刑乃繁。不明鬼神,則陋
 民不悟;不祇山川,則威令不聞;不敬宗廟,則民乃上校;不恭祖舊,則孝悌不備;四維不張,國乃滅
 亡。
 右國頌   

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    国を支える四本の綱

  国家は四本の綱によって維持されている。
  四本のうち一本切れると安定を欠く。二本切れると危機に瀕する。三本切れると転回する。日本と
 も切れると滅亡してしまう。安定は、とりもどすことができる。危機は、脱することも可能だ。転覆
 したところで建てなおす方法はまだ残されている。しかし、滅亡してしまったものは、どうすること
 ができようか。
  四本の網とはなにか。
  礼・義・謳・恥の四つの徳がそれだ。礼とは節度を守ることである。義とは自己宣伝をしないこと
 である。廉とは自己のあやまちをかくさないことである。恥とは他人の朋影にひきずられないことで
 ある。
  みなが節度を守るなら、身分秩序は安泰である。だれも自己宣伝をしなければ、うそいつわりはな
 くなる。自己のあやまちをかくす考がいなければ、不正はおのずと影をひそめる。他人の憑事にひき
 ずられる者がいなければ、だいそれた悪事も企みようがない。

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 國有四維,一維絕則傾,二維絕則危,三維絕則覆,四維絕則滅。傾可正也,危可安也,覆可起也,滅
 不可復錯也。何謂四維?一曰禮、二曰義、三曰廉、四曰恥。禮不踰節,義不自進。廉不蔽惡,恥不從
 枉。故不踰節,則上位安;不自進,則民無巧軸;不蔽惡,則行自全;不從枉,則邪事不生。 
 右四維

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   民心を得る基礎

  人民の願いを・祭して、それをかなえてやること、これが政治の要諦である。人民の願いを無視し
 た政治は、ゆきづまらないわけがない。
  人民はだれしも苦労をいとう。だから君主は人民の苦労を除く方法を講じなければならない。
  人民はだれしも貧乏を嫌う。だから君主は人民の生活を豊かにさせなければならない。
  人民はだれしも災難を逃れたい。だから君主は人民の安全をはからなければならない。
  人民はだれしも一族滅亡の憂き目を見たくない。だから君主は人民の繁栄をはからなければならな
 い。

  以上の条件が満たされた結果はどうなるか。
  苦労を除いてくれる君主のためなら、人民はいかなる苦労もいとわないだろう。生活を豊かにして
 くれる君主のためなら、人民はいかなる貧乏にも耐えしのふだろう。安全をほかってくれる君主のた
 めなら、人民はいかなる災難をも甘んじて受けるだろう。繁栄をはかってくれる君主のためなら、人
 民は合をかけても闘うだろう。

 ------------------------------------------------------------------------------------------

 政之所興,在順民心。政之所廢,在逆民心。民惡憂勞,我佚樂之。民惡貧賤,我富貴之,民惡危墜,
 我存安之。民惡滅絕,我生育之。能佚樂之,則民為之憂勞。能富貴之,則民為之貧賤。能存安之,則
 民為之危墜。能生育之,則民為之滅絕。故刑罰不足以畏其意,殺戮不足以服其心。故刑罰繁而意不恐,
 則令不行矣。殺戮眾而心不服,則上位危矣。故從其四欲,則遠者自親;行其四惡,則近者叛之,故知
 「予之為取者,政之寶也」。
 

 -------------------------------------------------------------------------------------------

古代・春秋時代の中国と現代の中国がことなる、なので「倉廩が実つれば礼節を知りうるか、衣食足れば
栄辱を知りうるか」と反問する必要があるというのが、内村剛介の問題提起であり、わたし(たち)にい
まも問われているようである。これがわたしの主テーマでもある。

                                                                                                             この項つづく 

 

【世界の朝食:今日は韓国】

● Typical Korean Breakfast

 

 


世界最強の小水力発電

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            蛟竜は水を得て、神立つべきなり。虎豹は幽を得て、威載うべきなり。 

             蛟龍得水,而神可立也;虎豹得幽,而威可載也。 
    
                                 
                              形勢 / 管子          
                     

 

                            
                                                     管子 Guan-zi   720–645 BC

 

  Sep. 28, 2016

【RE100倶楽部:再エネの本命は小型水力 Ⅱ】



● 世界最強の落差1メートル小水力発電

協和コンサルタンツは10月より、1メートルと小さな落差でも発電可能な相反転落差形小水力発電機の
販売を開始する(プレスリリース 2016.09.28)。反転方式は、(1)従来 発電機の磁石を回転させて発
電していた技術と異なり、磁石の外側にあるコイルちを(磁石とは逆回転〉させることで、発電機の回転
数が増え→電圧が高くなり電気として利用できやすくなる。(2)また、発電機の回転方向に発生する力
(トルク〉が、磁石とコイルの逆回転で相殺→強固な設置工事が不要とせず、簡易かつ短期間で装置の設
置を実現する。この商品昂は4年前より産学協同で研究開発、既に国内外の特許取得を終えている。

この商品の仕様では、1メートルの落差で一定の流量さえあれば 450~600ワットの発電が可能で、
1台で、家庭1軒分の電力使用量に相当する。

 

国内には約40万キロメートルの農業用水路が整備されてきたものの、その多くはま十分に活用されてい
ない。こうした農業用水路を再生可能エネルギー源とした高効率/小型の小水力発電機が少しずつ市場に
登場し始めている。NTNは新規事業として用水路向けのプロペラ式小水力発電機開発(下図ダブクリ)
を進めて、16年12月から販売開始する予定である。

 Sep. 09, 2016

【ワンポイントレッスン:クロスフロー型発電装置】

ここで、相反転(クロスフロー)型水力発電について考えてみよう。従来から、小水力発電用の羽根車と
して、下図に示すクロスフロー型発電装置20に係る羽根車21が知られている。このタイプは、最初に
流水が羽根車21の外側から羽根に当たって流水の圧力を羽根で捉えた後に、 内部に形成された空洞22
に流体を取り込み、再度羽根車21の内側から外側に向かう流水で羽根に当たり、外部に放出する方式で
ある。この方式において従来例では羽根車21が備える羽根23に対して流体が一度外側から羽根に当た
った後に、内部に形成された空間を流水が通過する際に乱流状態になり易く、二度目に流水が内側から羽
根に当たるときに効率良く羽根に当たらないために損失が大きいという欠点がある。

そこで、発電効率を高めるべく、従来から種々のクロスフロー型発電装置が提案されている。例えば、下
図の特許文献の垂直流路型クロスフロー水車は、液体流入管及び液体流出管を一直線上に配設し、上方か
ら下方へ下る水路上に設置できるようにする。水車室を水車外形寸法と略同容積とし、流入する液体を受
け入れる水車室受水部を設け、液体流入管と水車室受水部の間に流路仕切板を介設することで、液体が持
つエネルギーの回収効率の向上を図っている。しかしながら、これら下図のクロスフロー型の水車でも、
水車(羽根車)の内部に流入した流体が外部へ流出する際には乱流が発生する可能性があり、前出上図に
示した従来の羽根車21の場合と同様、損失が生じて回転効率が低下する問題がある。


特開2016-079892の主な目的は、フィンに当たる流体の損失を低減し、効率のよい回転運動を可能ととす
るクロスフロー型の発電装置を提供する。下図の円形プレート2の外周に沿って複数枚のフィン3が立設
され、複数枚のフィン3の内側に空洞4が形成されたクロスフロー型の羽根車5と、円形プレート2の中
心に設けられた羽根車5の回転軸6と連結された発電機7と、を備え、羽根車5は、回転軸6を回転自在
に支承した片持ち式とし、円形プレート2により、空洞4の一方の面が閉塞され、他方の面が開口され、
開口面8から、整流板9を空洞4に挿入し、羽根車5を、回転軸6を中心に回転させた状態で、整流板9
を空洞4内で静止状態に固定されている。

以上のことを踏まえて下図、株式会社協和コンサルタンツの特許の特徴を考えてみよう。

発電機構と、発電機構を支持体に係止させる係止機構とを備え、発電機構は、上下に延在し上部周壁に水
流入口が形成され下端が水流出口を形成する筒状ケーシングと、筒状ケーシング内に配設された羽根車と
を有する水車部と、発電機部とを有し、係止機構は支持体である水路に設けた堰板に水車部の筒状ケーシ
ングを係止させることを特徴とする水車発電装置が、下図特許文献が開示されている。

この水車発電装置は、発電機部の固定電機子と羽根車により回転駆動される発電機部の回転電機子との間
に、相反回転トルクを働かせるために、固定電機子の回転を防止する必要(用)があり、ひいては筒状ケ
ーシングの回転を防止する。係止機構は筒状ケーシングを堰板に強固に固定することが前提条件。この結
果、係止機構の寸法増大や、保守点検時の堰板からの離脱困難性等の不具合を生ずる。

このため、発電機構と、発電機構を支持体に係止させる係止機構とを備えた発電機構は、上下に延在し上
部周壁に水流入口が形成され下端が水流出口を形成する筒状ケーシングと、筒状ケーシング内に配設され
た羽根車とを有する水車部と、発電機部とを有し、係止機構は支持体である水路に設けた堰板に水車部の
筒状ケーシングを係止させることを特徴とする水車発電装置であって、係止機構の寸法増大や、保守点検
時の堰板からの離脱困難性等の不具合を防ぐ必要がある。

この様な課題解決に、同社の発明では、発電機構と支持体に係止させ、発電機構が、上下に延在し上部周
壁に水流入口を配置し、下端に水流出口を配置する筒状ケーシングと羽根車とで構成された水車部と、発
電機部を有し、係止機構は支持体の水路に設けた堰板に水車部の筒状ケーシングを係止させる。水車部は
筒状ケーシング内に軸心を一致させて配置・構成した軸心の延在方向に、翼の捩れ方向が互いに逆方向の
一組の羽根車を配置する。発電機部は内外二重回転電機子形発電機で構成、それぞれ連結し、係止機構が、
発電機構を支持体に固定せず係止することを特徴とし、また、堰板よりも上流側の水路と下流側の水路の
水位との間の落差を利用して発電する。

水路堰板よりも上流域の水流が堰板を乗り越え、この水流入口を通って筒状ケーシングに流入し、筒状ケ
ーシング内を下降し羽根車を互いに逆方向に回転駆動し、水流出口を通って筒状ケーシングから流出し、
水路の堰板よりも下流域を流下する。軸心を一致・配置した軸心の延在方向に対する翼の捩れ方向が互い
に逆方向の一組の羽根車が互いに逆方向に回転し、この回転が発電機部の内外二重回転電機子に伝達、
二重回転電機子が互いに逆方向に回転して発電する。発電中、二重回転電機子に働く相反回転トルクは一
致し、ひいては、内側回転電機子と電機子に連結した羽根車が形成する内側回転系と、外側回転電機子と
この電機子に連結羽根車が形成する外側回転系とに働く相反回転トルクは一致・相殺する。

この水車発電装置では、発電中、内側回転電機子と電機子に連結された羽根車が形成する内側回転系と、
外側回転電機子と相反回転トルクは一致・相殺し、筒状ケーシングには反作用の回転トルクが発生しない。
従って、係止機構は、筒状ケーシングを堰板に強固に固定する必用がなく、単に係止させれば良い。止機
構の寸法増大や、保守点検時の堰板からの離脱困難性等の不具合がなくなるという構成・構造特許である。

※ 図面は注意深く読み込まなければ了解できない(要細心)。

以上、足早に、細心の小型水力発電工学を俯瞰してきた。このことから、システムを構成する部材の機能・
品質・コストの向上展開できれば、より高性能で、高出力でいて、コンパクト化、コストダウンがかのう
であることが了解できる。それが出来る国はどこだ?言わずもがなである。凄いぞ!協和コンサルタンツ。 

※ 参考:再表2014/061116  没水式発電機 株式会社協和コンサルタンツ
 

  

【我が家の焚書顛末記 11:中国思想 管子】   

    形 勢      ――為政者の姿勢―― 

  事物には勢いというものがある。勢いに乗れば発展のテンポは遠く、勢いがないのは衰亡をあらわ
 す。勢いは必ず形によってきまる。為政者にはそれにふさわしい形――姿勢がいる。そぴえたつ山に
 もそれ相応の姿勢があるように。 


 ことば

 「蛟竜は水を得て、神立つべきなり。虎豹は幽を得て、威載うべきなり」
 「飛蓬の問(ほまれ)は、賓するところに在らず。燕雀の集まりは、道行くものも顧みず」
 「心得の事は、頼むに足らざるなり。必諾の言は、信ずるに足らざるなり」
 「君、君たらず。父、父たらざれぱ、子、子たらず。上その位を失えば、下その節を踰ゆ」
 「今を疑う者は、これを古に察し、来を知らざる者は、これを往に視る」
 「巧者は余りあり、而して拙者は足らず」
 「言いてふたたぴすべからざるは、君言わざるなり。行ないてふたたびすべからざるは、君行なわざ
 るなり」

 威厳と恩沢

  山は高くそびえたってこそ、信仰の対象となる。淵は涸れることがなくてこそ、帰依の対象となる
 (犯しがたい威厳と尽きない恩沢、この両者を兼ねそなえてはじめて、君主の地位は万全となる)。
  天地の法則は永久に変わらないし、四季の循環も一定している。これは今も昔も同じである。
 竜は雨を将なければ威力を発揮できず、虎や豹は深山幽谷に潜んでこそ、畏怖の的となる(為政者に
 も一定の姿勢があり、それをくずすと、威厳はそこなわれてしまう)。

  風雨がいかに吹き荒れようとも、あえて逆らう者も、あえて非難する者もいないのは、なぜか。そ
 れは、風雨が自分たちの及びもつかぬ力を持つと同時に、まったく公平無私な存在であることを、人
 人がよく知っているからだ(上は威厳を保って私心のない政令を発し、下は恩沢に感じて上のために
 尽くす。かくてこそ、国家の秩序は永遠に安泰となる)。

  長寿と短命、貧賎と富貴、これらはみな偶然に支配されるものでない。それ相当の理由があっての
 ことだ。
  ものごとにはみな原因と結果がある。たとえば、人民が君主の会令を守り、君主のことばに従うの
 は、その君主が威厳を保ら、名声を籾しているからである。しからぱ、君主の威厳と名声はなににも
 とづくのか。
  人民から収奪しなければ、かれらは進んで君玉のために尽くそうという気持になる。そうなれば、
 たとえば、君主が祭礼を持っているだけで人民はその意を休して廟堂を修復するように、君主が示唆
 を与えるだけで人民は進んで事に当たるようになる。かくてこそ、君主の城趾は保たれ、名声は高ま
 るのである。

  空飛ふらの鳴き声に、地上の人間は声を合わせて歌う。それと同じように、人民は君主の徳を謳歌
 する。文王のもとに多くの人材が集まり、殷の人民が周になぴいたのは、股の紅玉が君主たるべき威
 眼と恩沢とを失ったからである。

   《信仰の対象》原文は「祈羊り」。祈羊とは山の抑をまつるためにいけにえとして供える山羊。
   信仰する者が必ずやってくるという意味。
   《帰依の対象》原文は「沈玉極る」。沈玉とは水の精をまつるために水底に沈める玉。淵が深
   ければこれを信じあがめる人が必ずくるという意味。
   《祭器》原文は「蜀」。蜀は兪樾の説によると「櫝(とく)」の誤り。櫝とは祭器をいれる箱の
   こと。ここは兪樾に従った。
   《雁》原文は「鴻鵠」、鴻は雁の大きなもの、ひしくい。鵠は白い雁、くぐい。

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 山高而不崩,則祈羊至矣;淵深而不涸,則沈玉極矣,天不變其常,地不易其則,春秋冬夏,不更其節,
 古今一也。蛟龍得水,而神可立也;虎豹得幽,而威可載也。風雨無鄉,而怨怒不及也。貴有以行令,
 賤有以忘卑,壽夭貧富,無徒歸也。銜命者,君之尊也。受辭者,名之鉉也。上無事,則民自試。抱蜀
 不言,而廟堂既修。鴻鵠鏘鏘,唯民歌之。濟濟多士,殷民化之,紂之失也。

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  末節にとらわれるな

  枯れ草が風にとぱされても、見返る者はいない。燕や雀が嘔いでも、だれも相手にしない。・・・・・・・
 君主たるもの、末節に拘泥していては、大業は成し遂げられない。いかに祭祀を手厚くしたところで、
 損本の政策が適切を欠くならば、神の助けは杓られない。玉璧幣帛だけではなんの役にも立だないの
 だ。

  行政のテクニックを政治そのものと同一視してはならない。弓の名人・羿が極めたのは射弓の技術
 だけではない。馬術の名手・造父の達したのは手綱をとる技術だけではない。車造りの達人・奚仲が
 秀でたのは造車の技術だけではない。三人とももっと本質的な道を会得していたのである。同様に、
 政治にあっては、個々の行政上のテクニックよりも、治政の根本を把捉することがなによりも肝要で
 ある。
 
  遠方から人材をMしかかえるには、迎えの使者をだすだけでは不十分だ。まへ近くの者を手なづけ
 るには口でおだてるだけではききめはない。ふだんから陰徳を栢んでいる君主なら、人材はむこうか
 ら集まってくる。
  すこしぐらいの起伏があろうとも、平原は平原であろ。すこしばかりの窪みがあろうとも高山は高
 山である(要は根本にある。根本さえ把握しているかぎり、多少の失敗は意に介する必要はない。だ
 が、この反対に、根本を見失っていると、部分的には成果をあげても、大業は成就しないのである)。

     《玉璧幣帛》神に供えるいけにえと玉。ともに祭祀のときに侵う。
     《羿》弓の名人。が天下を冶めていたとき、空に十個の太同が哺き、人々は暑さに苦しんだ。
     羿は命をうけ、九個を弓で射落としたという。
     《造父》周の穆王の御者。馬術の名手として有名であった。
     《奚仲》夏の国の車大工で、車をつくらしては、天下に府を並べる者がいなかったという。

      根本を把握せよ 人間のかぎられたエネルギーを、どこに集中するか、という問題を管
     子は提起している。派生的なものや表面的な現象に心を労することは、からまわりであり、
     無益である。なにが基本的なものであり、なにが宋一であるかを見抜くことが、大人と小人、
     上手と下手の分かれ目であろう。

 

 -------------------------------------------------------------------------------------------

 飛蓬之問,不在所賓;燕雀之集,道行不顧。犧牷圭璧,不足以饗鬼神。主功有素,寶幣奚為?羿之道,
 非射也;造父之術,非馭也;奚仲之巧,非斲削也。召遠者使無為焉,親近者言無事焉,唯夜行者獨有
 也。平原之隰,奚有於高?大山之隈,奚有於深?

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【世界の朝食:今日は中国】

● Typical Chinese Breakfast

最近、「積極的な先端技術への投資」という言葉を目にすることが多くなったような気がする。これは、
わたし(たち)にはリバイバルかなと言う思いがするが、最初に「先端技術本位制」を定義し口にしたの
はわたし(たち)が始めてである。オイル・ショックの経験を踏まえ、「地下化石燃料本位制」→「先端
技術本位制」→「環境リスク本位制」の世界の政治経済の幻想的基軸に由来することを思い出させた。あ
れから40年、瞬く間の40年、昭和はさらに遠くなりにけりである。

環境リスク満載の好日

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                民衆くして而も兵弱きは、民取ることなければなり

                 民眾而兵弱者,民無取也

                           権修 / 管子

                            
                                                     管子 Guan-zi   720–645 BC

 

【地震・火山噴火・大規模異常気象・民主主義の危機】

 

● 美麗眺望 水ヶ浜

16日、湖華舞の帰り、水ヶ浜のシャーレに立ち寄りランチを取る。秋晴れの好日、店は超満席状態。
湖岸では多くの釣り人がボートでひねもす。すいていればちょこっと昼寝していたい気分だが、考え
ようによっては「地球規模の嵐の前の好日」 なのかもしれないとの思いが過ぎる。



● 阪神→東日本→阿蘇→鳥取→X? 巨大地震

21日午後に最大震度6弱の地震が起きた鳥取県は、これまでも大きな地震が繰り返し起きてきた地
域。震源付近に活断層は確認されていないのに、なぜ、起きたのか。」。気象庁では午後3時40分
から青木元・地震津波監視課長が記者会見で、今回のような地震は活断層がない所――震源付近で明
確な活断層が確認されていないことや、地下の浅い場所が押し合って起きる「横ずれ断層型」である
―――も起きると語っている。 気象庁によると今回の震源付近では、地震の約2時間前にマグニチ
ュード(M)4・2の地震が起きたが、M4クラスの地震が繰り返しており、前震かどうかを区別す
るのは難しい。発生後も震度1以上の地震が相次ぎ、青木課長は活発な地震活動が続いていると注意
を促がす。これより先立つ、19日の地球科学探査機構の「週刊MEGA地震予測」(Vol.16,No.42)
で、震度5以上の地震が発生する可能性がきわめて高い、レベル4の地域に、鳥取県・島根県周辺が
含まれていたから、この地域は的中したことになる(下図ダブクリック)。


さて、気象庁によれば、鳥取付近は中国地方でも地震活動が活発な地域ととらえられてきた。政府の
地震調査研究推進本部は今年7月、鳥取県や島根県東部を含む中国地方北部で今後30年以内にM6・
8以上の地震が起こる確率を40%と発表している。実際、過去にも大地震が起きている。1943
年にはマグニチュード(M)6級の地震が2回起きた半年後、鳥取地震(M7・2)が発生して千人
あまりが死亡。2000年の鳥取県西部地震(M7・3)では182人が負傷している。この原因は、
紀伊半島から四国沖の南海トラフ周辺では、陸側のプレートの下にフィリピン海プレートが沈み込み、プレート
同士が押し合い、専門家によれば、GPS(全地球測位システム)データの解析で、中国地方の日本海側は瀬
戸内側より年3~4ミリ東にずれ動いており、ひずみが集中しやすい地域。鳥取は地盤が比較的軟ら
かくひずみがたまりやすい。今回の震源付近はここ数百年はM7クラスの地震が起きておらず、ひず
みがたまっていたと見られ、また、山陰地方は常時、地殻がひずんでいる。地震がよく起きる地域が
日本海側の内陸に帯状に広がっており、今回の規模の地震は起きやすいと解釈している。

● 原発・地震列島 分からないから無視?隠れ断層

22日、政府の地震調査委員会は22日、臨時会を開き、鳥取県中部の地震は、これまで知られてい
ない長さ10キロ以上の断層がずれて起きたとする見解を示している。調査委は今年7月、中国地方
の活断層を対象に、今後30年以内にマグニチュード(M)6.8以上の地震が起きる確率を公表。
同県など北部区域の確率を40%と高く算定いていたことは前出通りだが、北部区域にはM7以上の
大地震を起こす恐れがあるとされる長さ20キロ以上の主要活断層はないが、M7級の鳥取県西部地
震も同様に地震前に断層の存在が知られていない場所で起きたと、同委員長の平田直・東京大地震研
究所教授は、地表に活断層が現れていなくても、被害を及ぼす地震が起こる可能性は全国どこでもあ
るが、中国地方の北部区域はその典型的な例といえるという(下図)。さらに、断層は西側に70度
以上の急角度で傾斜し、断層の西側の地盤が南へ、東側が北へずれ動く「左横ずれ」だったと考えら
れ、断層全体が一様に動いたとした場合、ずれは約30センチだったと推定。その後の余震もほぼこ
の断層に沿って起きているが、断層は余震の震源域よりやや北側に長くなっている。角度が急な点や左横ず
れという点で鳥取県西部地震(2000年、M7・3)と似ており、長さの推定はまだ暫定的で、もう少し短い可能
性があるとし、さらに、地震の揺れを示す波形から震源となった断層を推定し、長さは12〜13キロ、震源に近
い地下の浅い場所が最大70センチ滑ったとの結果を明らかにした。

 

● 我が家の震災対策

このことを受け、いつ何時にも備えるようにと彼女に伝え、まず、何があっても自分の命は自分自身
で確保するように家族(息子たち)にそのように注意喚起喚起すること。特に、夜間の罹災にそなえ、
寝床のそばに、スニーカー(靴)とヘルメットそのほか、防災グッズを常備しておくようにと伝える。 
わたしの部屋(環境工学研究所・事務所兼寝所のコーナデスク下に、下写真のように常設強化する。特に、便
利なのは、登山用バックパックの常備品、ヘッドLEDランプ、ポンチョ、軍手、手袋、ジャージ上下、酸素マスク、
サバイバルナイフ、各種収納袋、携帯電話、デジカメなどを入れるポシェット、ウィスキーのポケットタイプなど
を常備していることである。



こんなことを書いていると、つくづくと、自分が想定したことに外れが1つもなかったと改めて思う。
ただし、巨万の富を手にすることもなかったわけで、両親には迷惑かけたことを悔やんだことも事実
だが、それも運命。しかし、個人的な手順は誰しもあるわけで、それが個性であると諦念する他なし。
急ぐべきは、このまま突き進むしかない。季節は『環境リスク本位制』とおいたのだからと。かかっ
て来なさい、わが禍よ!  

 

 

ピカチューのスイス製高級時計の限定販売開始

 

  

【我が家の焚書顛末記 12:中国思想 管子】   

    権 修      ――覇者への道―― 

  君主がその桐力を維持するためには、いかなる心づかいをせねばならぬか。それを君主擁護の立
 場から述べたのが、『権修』である。この篇では、管仲の「同着の師」たる気概がよくあらわれて
 いる。

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 ことば

 「民衆くして而も兵弱きは、民取ることなければなり」
 「地辟けて而も国貧しきは、舟輿飾られ、台榭広ければなり」
 [天下を為めんと欲する者は、必ずその国を用うるを重る。その国を為めんと欲する者は、必ず
 その民を用うるを重る。その民を為めんと欲する者は、必ずその民力を尽くすを重かる」
 「地の財を生ずるは時あり、民の力を用うるは時あり、而して人君の欲は窮りなし」

  ----------------------------------------------------------------------------------------

  主権はその国力に相応する

  万乗の国は、軍隊にすぐれた司令官をおかなくてはならない。国が広いから国土開発をつかさど
 る役人をおかなければならない。人目が多いから管使機構を整備しなければならない。政府は人民
 の生命を左右するのだから、りっばな政治家が政務を担当しなければならない。
  広大な土地があるのに国が貧しいのは、国土の開発がおくれているからだ。人口が多いのに軍隊
 が弱いのは、人心に拠り所がないからだ。

  為政者が農業を軽視し、商工業に力を入れすぎると、国土の開発はおくれる。為政者が賞罰を公
 平に行なわなければ、人民は心の拠り所を失う。国土の開発がおくれ、人民が心の拠り所を失えば、
 外敵の侵略を防ぐことはおろか、内政の充実をはかることもできはしない。だからこういわれる。

 「いくら万乗の国を気どっても、千乗の国の実力さえないようでは、主権を侵害されるのも当然だ」

  国土の開発が進んでいるのに、貧しい国がある。なぜだろうか。君主が自分の染物や宮殿に金を
 かけすぎるからである。賞罰を公平に行なっているのに、軍隊が弱い国がある。なぜだろうか。
 君主がむやみに人民を労役にかりたて、人民が疲れきっているからである。
  君主が乗物や宮殿に金をかければ、結果は人民に重税を課することになる。人民をむやみに使役
 して疲れさせれば、民力はつきてしまう。重税に苦しめば人民は君主を怨む。力がつきてしまえば
 人民は令今に従わなくなる。人民が君主を怨み命令に従わないのに、外敵の侮りを受けまいと願う
 のは、虫がよすぎるではないか。

    《万乗の国》兵車一万輌を出せる国のこと。もともとは天子のことを指していたが、その後
    力を示すことばに使われるようになった。諸侯の国としては大きいほうである。
    《人心に拠り所がない》原文は、「民取るなし」。この「取」は「恥」または「趣」の誤り
    だという説もあるがここでは採らなかった。

    実体を見よ 国土がいくら広くても、主権がそれに伴わなければ無意味である。むしろ小
    粒でも君主がそれ相応の実力をもつ国のほうがよい。計数に明るく、物質的な力を重視した
    管仲は、名よりも実を重んじていた。

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 萬乘之國,兵不可以無主,土地博大,野不可以無吏,百姓殷眾,官不可以無長,操民之命,朝不可
 以無政。地博而國貧者,野不辟也,民眾而兵弱者,民無取也。故末產不禁,則野不辟。賞罰不信,
 則民無取。野不辟,民無取,外不可以應敵,內不可以固守,故曰有萬乘之號,而無千乘之用,而求
 權之無輕,不可得也。 

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  民はほどほどに使え

  天下を治めようとする者は、かるがるしく国を動かしはしない。国を治めようとする者は、かる
 がるしく人民を使役しない。人心をつかもうとする者は、かるがるしく民力を疲弊させない。為政
 者が民生の安定をはからないかぎり、人民が他国に去るのを引き止められるはずがない。たとえ他
 国に去らないまでも、使役できるはずがない。その逆に、他国の人民までが遠方から集まって来て
 住みつき大勢の者が一致団結するのは、その国の民生が安定しているからである。
 〔善いことをした者には喜んで賞を与え、悪事をはたらいた者には憎しみをこめて罰を加える。行
 為となってあらわれた善悪に、公平無私に賞罰を適用する。この原則を以くかぎり、悪事をはたら
 く者はいなくなる。

  その逆に、善行ある者にたいし、喜ぶだけで賞を与えない、遊軍をはたらく者にたいし、憎むだ
 けで罰しない、行為となってあらわれた善悪に、公平に賞jを適用しない、これではいくら「人が
 見ていなくても善いことをせよ」と教えたところで、むだというものだ。
  慈愛深く、人民の利益を重視する君主は、人民の支持を得ることができる。知識を重んじ礼儀を
 貴ぶ君主は、人民を教化することができる。
  君主が率先躬行して人民に筒を示す。制度を定めて人民に秩序を守らせる。村に教師を置いて人
 民の教育につとめる。そのうえで法令を公布し、褒賞によって善行を奨励し、刑別によって悪事を
 おさえる。……こうすれば人民は自発的に善行につとめ、非行は影をひそめてしまう〕

  いったい、農作物の生産は、季節による制約がある。人民の労勤力には限界がある。ところが、
 君主の欲望には際限がない。限りある生産量と労働力で、君主の限りない欲望を満たそうとすれば、
  無理が生じるのは当然だ。その間にひとつのルールが確立されなければ、結果は、君主と人民とが
 互いに憎みあうことになる。とどのつまり、臣下が君主を殺したり、子が父を殺すことにもなるの
 だ。
  ほどほどに税金をとり、人民をむやみに労役にかりたてない。これならたとえ国は小さくても、
 絨ぴることはない。反対に、無制限に人民からしぼりとり、無制限に人民をこき使う。これならど
 んな大国でも、前途は危ういものである。

    組織の重要性 訳文中〔〕の部分は混入したものと考えられ、その訪と後の部分がつづい
   て一貫レだ一理をもつ。労樋力の根源を籾らしてはならないというこの主張は、君主の窓怠的
   支配から組織的統治へ、やがては法家思想を生みだす配流となった。

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 欲為天下者,必重用其國,欲為其國者,必重用其民,欲為其民者,必重盡其民力。無以畜之,則往
 而不可止也;無以牧之,則處而不可使也;遠人至而不去,則有以畜之也。民眾而可一,則有以牧之
 也。見其可也,喜之有徵。見其不可也,惡之有刑。賞罰信於其所見,雖其所不見,其敢為之乎?見
 其可也,喜之無徵;見其不可也,惡之無刑;賞罰不信於其所見,而求其所不見之為之化,不可得也。
 厚愛利,足以親之。明智禮,足以教之。上身服以先之。審度量以閑之。鄉置師以說道之,然後申之
 以憲令,勸之以慶賞,振之以刑罰,故百姓皆說為善,則暴亂之行無由至矣。地之生財有時,民之用
 力有倦,而人君之欲無窮,以有時與有倦,養無窮之君,而度量不生於其間,則上下相疾也。是以臣
 有殺其君,子有殺其父者矣。故取於民有度,用之有止,國雖小必安;取於民無度,用之不止,國雖
 大必危。 

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※ 参考:『管子』 経営類の法思想について, 横山 裕, 2010.02.23
  
                                                                             この項つづく

 

【世界の朝食:今日は日本】

 

  日本の朝食は世界一だよ。

 ● Typical Japanese Breakfast

 

● 今秋の好日ドライブ:永源寺ヒトミワイナリー

       Cheese Boolean

Cuvee Y 2015 

 

  十場天伸 四角皿

 日登美美術館

昨日は、浴室内壁のペンキ塗り作業でほぼ一日を潰してしまったが、彼女が「ヒトミワイナリー」へ
出かけたいというので、ささっと朝の作業をすませ車を走らせる。滋賀県のワイナリーは近江ワイナ
リー(栗東)とこのヒトミワイナリーの二箇所しかないという。天気は曇り空ではあるが、風はなく
30分程度で到着し、「ひとみ工房」で焼きたてのパンとワイン(赤・辛口)と丸干しオイル行け漬
けを買う。買ったパンの一部と試飲にとグラスワイン(赤・甘口)をブルーベリージュースを店内の
カフェで頂く(ワインは彼女が飲んだが少し回ったようで面白いことを口走っている)。ワインとパ
ンともう1つバーナードリーチ・コレクションを特徴に持つ日登美美術館が併設されていて、美術館
までの廊下のカフェと陶器類の展示コーナがあり、十場天伸の四角皿(上写真)が気に入ったが、購
入は次回来たときにと思いとどまる(ブログアップしてしまったから完売:ソールドアウトしている
かも)。

勿論、帰宅後、「キュビー・ワイ・2015」と「チーズブール」と「旅する丸干し、南イタリア風」
の三点セットを頂きご機嫌。ただし、ワインは、店員の説明通り、角が立って(アルコール度数11
%)酸味が刺す。開封後5日目が一番の飲み頃というので今週末まで残しておくことにする。

 

愛しのクレメンタイン

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                                別れはかくも甘く切つなきもの   

                                                  Prting is such sweet sorrow.      

                                     
                                   ウィリアム・シェイクスピア                                                      
                                                                               Apr. 26, 1564 - Apr. 23, 1616

                                           ※ Sweet, so would I,
                                               Yet I should kill thee with much cherishing.
                                               Good night, good night! Parting is such sweet sorrow,
                                               That I shall say good night till it be morrow

                                                                                              Romeo And JulietAct 2, scene 2, 176–185

     ●  DIY日誌:浴室内壁・天井塗装



汚れが目立つ浴室の内壁・天井の再塗装を行うが、準備など彼女が先行していたため何もわからず途
中から参戦?!ペンキもメーカ違い、色も白、ミルキーホワイト、アッシュホワイトなど混ざり合っ
ていたが、途中から、アサヒペンの「ビック10」へと落ち着きそれを使用するというと、手順が逆
さまの作業だったが一連の作業を完了する。この浴室の作りは、向こう隣の赤尾さんという腕の良い
左官屋にお願いしていたので、塗装はスムーズにでき改め感心。ところで、ペンキは無臭ということ
なのだが「アミン臭」(防腐剤や界面活性剤に使われる)がしたので、公式HPを検索してもMSD
S(製品安全データシート)すら掲載されていないので、メーカに電話で問い合わせると、準備中な
のでファックスして欲しいと回答であった(現在返答待ち)。

● ペンキ特徴

特殊フッ素樹脂、反応硬化型シリコン変性アクリル樹脂、紫外線劣化防止剤(HALS)の相乗効果に
より、汚れにくく、耐久性が格段にすぐれた高性能塗料。

白系塗料には自動車用塗料にも使用されている高性能二酸化チタンを使用 いやな臭いのしない無臭タイプで、1回塗りで仕上がり サビドメ剤、防カビ剤を配合していますので、サビやカビの発生を防ぐ 厚塗りしてもタレにくく、たいへん塗りやすい 大変塗りやすく、ソフトなツヤに仕上がり、耐久性に優れた屋内外兼用の水性シリコンアクリ
ル樹脂塗料 フッ素樹脂配合、紫外線劣化防止剤配合、サビドメ剤配合、カビドメ剤配合剤

そこで、メーカの「特開2005-306971 水性塗料組成物」を閲覧することに。

【要約】ガラス転位温度が18℃以下で、最低造膜温度が5℃以下の合成樹脂エマルションと、ガラ
ス転位温度が30~100℃の水溶性アクリル樹脂とを含有することを特徴とする水性塗料組成物と
することで、揮発性有機化合物の含有量が少なく、しかも、被塗装物の表面に塗膜性能に優れた塗膜
を形成することができ、床面や壁面などの様々な被塗装物の塗装に供することができる水性塗料組成
物の提供。

ここで、「エマルゲンA-60」は乳化・分散剤、「プライマルSF-016」はプライマリー 「TOCRYLBC
X2636」は東洋インキ社製のアクリルエマルション樹脂。その他の成分は時間がないので割愛。なの
で「無臭」は過剰表示と考える。服装はシロアリ対策レベルの応用展開で可能。用具については、刷
毛塗りで今回は特別なものはつかわなかった。シンナーの安全データも割愛。特に、乾燥には家庭用
扇風機を使用。作業自体は難しくないので? 安全(危険)・悪臭に関して少し懸念が残った。

 

   

【我が家の焚書顛末記 13:中国思想 管子】   

  立 政    ――施政の要領――

  一国の政治は、いつにかかって為政者の施政いかんにある。いくら誠意があっても施政の技術
 が悪ければ治政の効果はあがらない。いかにすれば短小の努力で汲大の効果をあげられるかを示
 そうとする。

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  ことぱ

 「事に臨みて民に信ぜられざる者は、すなわち大官に任ぜしむべからず」
 「徳厚くして而も位卑しきは、これを過と削う。拙防くして而も位なきは、これを失と謂う。
 むしろ君子に過つも、小人に失するなかれ」
 「卿相、衆を得ざるは、国の危うきなり。大臣、和同せざるは、国の危うきなり。兵主、畏るる
 に足らざるは、国の危うきなり。民、その産を懐わざるは、国の危うきなり」
 「賢を上ぐるに等を過さず、能を使うに官を兼ねしめず、有罪を罰するに独り及ぽさず、有功を
 賞するに専ら与えず」

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   治国、安国、富国の秘訣

  国が治まるか乱れるかは、三つの基本にかかっている。これを無視すれば、いかに刑罰や死刑
 をふやしても役に立だない。国の安危は四つのカギにかかっている。これを無視すれば、いかに
 高い城壁や堅固な要塞を徊いても国は守れない。国家財政の消長は五つの事柄にかかっている。
 これを無視すれば、いくら税金や賦役を幌くしても川をなさない。
   いいかえれば、国を冶めるには三つの基本、国を安泰にさせるには四つのカギ、国を富ますに
 は五つの事柄がある。五つの剥柄とは、五大綱領という意味である。

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  國之所以治亂者三,殺戮刑罰,不足用也。國之所以安危者四,城郭險阻,不足守也。國之所以富
  貧者五,輕稅租,薄賦斂,不足恃也。治國有三本,而安國有四固,而富國有五事,五事五經也。

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    むしろ君子に過つも、小人に失するなかれ」

  君主たる者がたえず吟味しなければならない点が三つある。 

  一、臣下がその地位にふさわしい徳を偏えているか。
  二、臣下がその俸禄にふさわしい功績をたてているか。
  三、臣下がその官職にÅさわしい才能をもっているか。
  これが国を治める三つの基本である。

  徳と義の知れわたっていない者は、高い地位につけてはならない。功績のはっきりしていない
 者には、俸禄を多く与えてはならない。いざというときに人民に信頼されない者を大官に任じて
 はならない。
  徳が厚いのに高位につけない臣下がいたとすれば、これは君主が臣下を正しく評価していない
 証拠である。これは君主の過失である。 
  反対に、蜂が薄いのに高位についている臣下がいたとすれば、これは君主がその臣下に目をく
 らまされているせいである。これも君主の過失である。
  しかし、君子の処遇に欠けることがあっても、小人を過大評価するよりはましである。なぜな
 ら相手が君子なら、処遇を誤っても深くは包まないが、小人の場合、厚遇しすぎると大きな害を
 残すからである。
  徳の蒋い者が高い地位につけば、良い臣下は栄進の道を塞がれる。功績のない者が重い禄をは
 めぱ、功績のある臣下のはたらく余地がなくなる。人民に信頼されない者が大官に任じられたら、
 有能な臣下は抜擢されなくなる。 

  この三つの基本の処置を誤ればどうなるか。斑思い人間がのさばり、へつらい考がはぱをきか
 す。
  こうなれば、君主は盲人同然にされ、その恩恵は人民には及ばなくなる。正道はすたれ、邪道
 がはびこる。 迦に、君主がこの三つの基本をたえず吟味し、その処理に万全を期せばどうなる
 か。
  臣下はしいて高位高禄を求めず、売名に身をやつすこともない。へつらい考はかげをひそめ、
 罪んはいなくなる。君主にうとまれたからといって投獄されることもな6ヽ身よりのない孤児や
 未亡人でも虐待されることはない。
 「刑罰は成り、事件もおきない。だから役人をたくさん集める必要もない」とは、こういう状態
 をいうのである。

 《罪人》原文は「行禽」。捕えられて引きずり囲される囚人。
 《君主にうとまれたからといって投獄されることもなく》原文は「疏遠には蔽獄なし」。疎遠と
 は権力に縁遠いこと。蔽獄は、控訴も上申も許されずに投獄されること。
 〈身よりのない孤児や未亡人〉原文の「孤寡」は、「鰥寡孤独」の略。
 《虐待》原文は「隠治」。不公平な取り扱いをいう。
  人を遇する三基準  人を遇するには、その人格、実績、火力を価値判断の基準にするべきで
  ある。三つの基準に照らし、各人にふさわしい待遇を与えよ、と管子は主張する。

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 君之所審者三:一曰德不當其位;二曰功不當其祿;三曰能不當其官;此三本者,治亂之原也;故
 國有德義未明於朝者,則不可加以尊位;功力未見於國者,則不可授與重祿;臨事不信於民者,則
 不可使任大官;故德厚而位卑者謂之過;德薄而位尊者謂之失;寧過於君子,而毋失於小人;過於
 君子,其為怨淺;失於小人,其為禍深;是故國有德義未明於朝而處尊位者,則良臣不進;有功力
 未見於國而有重祿者,則勞臣不勸;有臨事不信於民而任大官者,則材臣不用;三本者審,則下不
 敢求;三本者不審,則邪臣上通,而便辟制威;如此,則明塞於上,而治壅於下,正道捐棄,而邪
 事日長。三本者審,則便辟無威於國,道塗無行禽,疏遠無蔽獄,孤寡無隱治,故曰:「刑省治寡,
 朝不合眾」。

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 「大徳も至仁ならざるは、もって国柄を授くべからず」

  君主たるものには、慎むべきことが四つある。

  一、たとえ有能であっても、人格がおとる者には、国の政治をまかせてはならない。
  二、自分より適任者がいても地位を譲ろうとしない者には、高位を与えてはならない。
  三、君主の親族や良い身分の者だと処罰に手加減する者には、兵権をゆだねてはならない。
  四、農業を奨励せず、かるがるしく税金をとりたてる者を、地方の長官に任じてはならない。

  この四つは、国を安泰にさせるか否かのカギである。
  国を危機に追いやるのは、こんな場合である。――宰相は民心をつかんでいない。大臣は協カ
 一致しない。兵権を握る者には威信がない。人民はまじめにはたらかない。
 その逆の場合には、国家は安泰である。――有能であり、しかも人格がそなわっていれば、国政
 スムースに励き、民心を把握できる。適任者に地位が誼られるようになれば、大臣は協力一致す
 る。相手が君主の親族や高い身分の者でも処分に手加減をくわえなければ、威信は敵国にまで及
 ぶ。農業を振興し、税金のとりたてをむやみにしなければ、人民はまじめにはたらく。

   《かるがるしく税金をとりたてる》原文は「賦斂を賦斂を軽しくする」。文末の「賦斂を重
   る」に相対していることばである。

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 君之所慎者四:一曰大德不至仁,不可以授國柄。二曰見賢不能讓,不可與尊位。三曰罰避親貴,
 不可使主兵。四曰不好本事,不務地利,而輕賦斂,不可與都邑。此四務者,安危之本也。故曰:
 「卿相不得眾,國之危也。大臣不和同,國之危也。兵主不足畏,國之危也。民不懷其產,國之危
 也。」故大德至仁,則操國得眾。見賢能讓,則大臣和同。罰不避親貴,則威行於鄰敵。好本事,
 務地利,重賦斂,則民懷其產。

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※ 参考:『管子』 経営類の法思想について, 横山 裕, 2010.02.23

いま読んでも背筋がシャンとするかのような思いにとらわれる。次回も「立政」を掲載する。

                                      この項つづく

 

   ● 今夜の一曲

「別れは甘く悲しい」と映画『荒野の決闘』のなかでの、荒くれたトゥームストンの町に旅巡業で来
ていたシェイクスピア役者が、駅馬車で町から去るときの台詞(字幕表示)に聴き覚えがありTVの
放送後しネット検索し戯曲『ロミオとジュリエット』の第二幕第二場「キャピュレット家の庭園」で
のジュリエットの台詞――「おやすみ、おやすみなさい。夜が明けるまでずっと言いつづけていたい
ほどの甘くせつないものですもの」からの引用であり、前の台詞、"Sweet, so would I, Yet I should kill
thee with much cherishing." の「kill 」と「cherishing」の対と「sorrow」と「morrow」のそれと韻と言い、
さすがのシュイクスピアと感心する。日曜の、ヒトミワイナリーに行った関係で、「シェイクスピア
とワイン」と銘打ったワイン・シリーズ本が出版されないかと起想する。なお、26日は、1881
年のこの日に「OK牧場決闘」が起きている。

 
Mar. 19, 1848 - Jan. 13, 1929

 

さて、この「愛しのクレメンタイン」は、「三つの鐘」のカントリーシンガーのエド・ブラウン
(「ザ・ブラウンズ」)が歌う。

 

ミルキーフィッシュな朝食

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                    賢を上ぐるに等を過さず、能を使うに官を兼ねしめず、有罪を罰するに
                    独り及ぽさず、有功を賞するに専ら与えず

                                                                                  立政 / 管子

 

                            
                                                     管子 Guan-zi   720–645 BC

 Oct. 24, 2016

● シェークスピア17作品は共著

作品のシーンに似合わせて、ワインの銘柄を紹介してはと提案していたころ、地球の反対側では「英
劇作家ウィリアム・シェークスピアの著作とされている17作品が、他の作家との共著であることが
このほど分かった。今月刊行の作品集の新版で明らかにされた。共著については、ビッグデータの利
用から判明という。新版の編集は09年1月に始まり、5か国の研究者18人が著作者の問題をめぐ
り議論を重ねてきた。編集者らによると、シェークスピアとマーロウは互いに影響を与え合うライバ
ルではなく、1591年に書かれたとされている「ヘンリー六世」を共に手掛けたことが明らかにな
ったとのこと。複数の手による作品であること謂われてきたので別段驚くことではないが(デジタル
解析を利用したことには驚くものの)、ヒトミワイナリーのことを書いた「愛しのクレメンタイン」
(2016.10.24)と重なったことが驚きだ。

 



● 劇的 大谷翔平のグッドバイ・ストローク!

やあ~すごいですね。一桁超えている。黒田も立派だったが、崖プチの日ハム・日本シリーズ。これ
で気分的には優勝はイーブンとなった。目が離せない。

● 17年初めより、燃料電池バスをトヨタブランドで販売

トヨタは、実用化に向けて走行実証を重ねてきた燃料電池バス(FCバス)を、17年初めより販売。
このFCバスの台数は2台で、東京都交通局が運行する路線バスとして使用される予定。20年の東京
オリンピック・パラリンピックに向け、東京都を中心に百台以上のFCバスの導入を予定。これに向け、
公共交通としてのFCバスの活用について一般社会からの理解を高めていく。さらに、今後、着実に
導入台数を増やし、東京オリンピック・パラリンピックでの活用を通じて「水素社会」の実現に向け
18年からは新型のFCバスによる導入拡大を目指し開発を進めるとのこと。

 Oct. 20, 2016

● 日本土着の根粒菌を用いてダイズ畑でのである一酸化二窒素発生を削減

一酸化二窒素(N2O)は、二酸化炭素の約300倍の温室効果をもつ強力な温室効果ガスで、またオゾン
層の破壊の原因物質でもある。世界のN2Oの最大の人為的発生源は農業で約60%を占める。そこで、
農研機構農業環境変動研究センタ(能研)らの研究グループは、農耕地から発生するN2Oを削減する
ため様々な技術開発が進めている。

ところで、ダイズ根粒菌はダイズの根に根粒という組織を形成し、窒素固定を行いながらダイズと共
生。ダイズの収穫期には老化した根粒は壊れ、このとき有機物(窒素化合物)が分解され、一酸化二窒
素が発生する。農研と東北大は、根粒菌を利用したダイズ畑でのN2O削減技術の開発に取り組み、こ
れまでに、人為的に開発した「N2O 還元する能力強化したダイズ根粒菌」を用いてダイズ畑からの収
穫期のN2O 発生量を半減する技術を開発。

今回、人為的に開発した菌に代わり、日本の農耕地の土壌に生息している土着ダイズ根粒菌から一酸
化二窒素(N2O)を還元する酵素を持つ株を全国から採集、これらの混合株をダイズに接種し発生量の
削減技術開発。ダイズ畑からの収穫期のガス発生量を30%削減できることを野外実験で証明。もと
もと農耕地土壌に生息している土着の根粒菌を利用することで「接種効率が上り、現場に導入しても
周辺環境への影響が小さくより農業現場で利用しやすいものと期待されている。

  

doi:10.1038

 

   

 

【我が家の焚書顛末記 14:中国思想 管子】   

 

  立 政    ――施政の要領――

  一国の政治は、いつにかかって為政者の施政いかんにある。いくら誠意があっても施政の技術
 が悪ければ治政の効果はあがらない。いかにすれば短小の努力で汲大の効果をあげられるかを示
 そうとする。

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  ことぱ

 「事に臨みて民に信ぜられざる者は、すなわち大官に任ぜしむべからず」
 「徳厚くして而も位卑しきは、これを過と削う。拙防くして而も位なきは、これを失と謂う。
 むしろ君子に過つも、小人に失するなかれ」
 「卿相、衆を得ざるは、国の危うきなり。大臣、和同せざるは、国の危うきなり。兵主、畏るる
 に足らざるは、国の危うきなり。民、その産を懐わざるは、国の危うきなり」
 「賢を上ぐるに等を過さず、能を使うに官を兼ねしめず、有罪を罰するに独り及ぽさず、有功を
 賞するに専ら与えず」

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   努力目標

  君主たるものには、努力すべきことが五つある。

  一、防火、植林事業。
  二、治水・濯漑工今
  三、農業生顔の振興。
  四、牧畜事業の奨励。
  五、建築工芸の実用化。

  つぎの場合には、国家財政は技窮におちいる。

  一、山火事を防げず、植林もできない。
  二、用水のはけがわるく、堤防は決壊していろ。
  三、五穀や桑麻が育だない。
  四、家畜は育たず、野菜や果物もできない。
  五、建築はぜいたくを競い、工芸品にはむだが争い。

  そして、逆の場合には国家財政は裕福になるわけである。

  《治水、灌漑工事》原文は「溝瀆、溢きに遂ます、鄣水、その蔵に安んぜざる」。溝瀆灌漑用
  水。鄣水とは堤防のそばを流れる水。
  《野菜や果物》原文は「瓜瓠、葷菜・百果」。瓠はふくべ、葷菜は葱やにらの類。
  《工芸品》原文は「女事」。婦女のしごと、すなわち・裁縫や刺紐の類。その前の「工事」に
  相対している。

  重農主義 管子は重農主義者であった。それはここでいう君主の五つの任務でもよくわかる。
 二、三、四は基本的には農業に関係したことであり、五については、とくに「ぜいたく」を戒め
 ている。普通の政治家や経済学者なら、各種産業の振興を平均して強調するところだが、管子の
 場合は、建築工芸については、むしろその発展をおさえようとしている点がおもしろい。

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 君之所務者五:一曰山澤不救於火,草木不植成,國之貧也。二曰溝瀆不遂於隘,鄣水不安其藏,
 國之貧也。三曰桑麻不植於野,五穀不宜其地,國之貧也。四曰六畜不育於家,瓜瓠葷菜百果不備
 具,國之貧也。五曰工事競於刻鏤,女事繁於文章,國之貧也。故曰:「山澤救於火,草木植成,
 國之富也。溝瀆遂於隘,鄣水安其藏,國之富也。桑麻植於野,五穀宜其地,國之富也。六畜育於
 家,瓜瓠葷菜百果備具,國之富也。工事無刻鏤,女事無文章,國之富也。

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  行政区画と指導方法

  国を五つの郷にわける。郷ごとに「帥」という長官をおく。郷をさらに五州にわける。州ごと
 に「長」という責任者をおく。州をさらに十游にわける。游ごとに「即」という責任者をおく。
 里をさらに十游にわける。游ごとに[宗」という責任者をおく。十世帯を什とし、五世帯を伍と
 する。什、伍にもそれぞれ責任者をおく。

  外敵の侵入を防ぐため、とりでを築き、間近をふさぐ。道を一本にし、出入口を広くする。里
 の入□にはしっかりした門をつくり頑丈な錠前をつける。鍵は里の責任者である尉があずかる。
 門には門番をおき、時間をきめて開閉する。門番はそこを通る者をよく観察し、に報告する。
 出入の時問がでたらめで、服装もきちんとしてなく、ぞろぞろ仲間を引きつれて通る者がいれば、
 門番はすぐさま里尉に報告する。
  その人間がもしある家の家長であったばあい、もしくはその家の子弟、使用人、下僕、妾、食
 客であったぱあいには、里尉は游宗に注意を与え、游宗は什伍の長に注意を与える。什伍の長は
、その家の家長に、

 「二度とかかることのなきように」

  と注意を与える。二度までは許すが、三度同じ過ちをくりかえせば、処罰する。
  反対に、ある家の家長、子弟、使用人、下僕、妾、食客のなかに、孝子、忠義者、質人、秀才
 などがいれば、什伍の長は游宗に報告する。游宗は里尉に報告し、里尉は州長に報告し、州長は
 郷帥に申告する。郷帥は士師に上申し「優良人物リスト」に登録させる。
  もし、ある家に犯罪考が出れば、家長もその罪に問われ、家長が罪を犯せば什伍の長も連坐す
 る。同様にして、什伍の長が罪を犯せば游宗が、游宗が罪を犯せば里尉が、肌尉が罪を犯せば州
 長が、州長が罪を犯せば郷帥が、郷帥が罪を犯せば士師がそれぞれ罪に連坐する。
 宗、里尉、州長への各級報告は三ヵ月に一度、州長から郷帥への申告は六ヵ月に一度、郷帥から士
 師への上申は年に一度とする。
  賢人を登用するばあいでも、破格の待遇は行なわない。能吏を採用するばあいでも、二つ以上
 の職を兼任させない。
  罪を犯せば、首謀者だけでなく共犯者も同する。功を立てれば、当人だけでなく関係者一同に
 賞を与える。
  毎年初春の朝、君主はみずから政務全般の報告をきき、五日間にわたって論功行賞をやり、官
 職の査定を行なう。また、晩冬の夕には、みずから政務全般の報告をきき、五日間にわたって罪
 状を取訓ぺ刑罰を言いわたす。

 《郷》「小匡」篇では「国を二十一の郷にわける。商工業者の郷として六、士と負の郷として十
 五をおく。五郷で一人の『帥』をおく。……」と説明している。両篇の言い分が違っているので、
 学者によって諸説あろが、ここではその当否にふれない。
 《帥》原文の「陣」は、おそらく「帥」の誤りと思‐ロれる。
 《里》周王朝の制度では、一里は二十五戸であるが、管子は二百五十戸を一里とした。
 《游》一游は二十五戸。
 《士師》斉の官名。士を教育指導する長官。「士師に著く」とは士師のもっていろりストに記録
 すること。

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  分國以為五鄉,鄉為之師,分鄉以為五州,州為之長。分州以為十里,里為之尉。分里以為十游,
 游為之宗。十家為什,五家為伍,什伍皆有長焉。築障塞匿,一道路,博出入,審閭閈,慎筦鍵,
 筦藏于 里尉。置閭有司,以時開閉。閭有司觀出入者,以復于里尉。凡出入不時,衣服不中,圈
 屬群徒不順於常者,閭有司見之,復無時。若在長家子弟臣妾屬役賓客,則里尉以譙于游宗,游
 宗以譙于什伍,什伍以譙于長家,譙敬而勿復。一再則宥,三則不赦。凡孝悌忠信、賢良俊材,若
 在長家子弟臣妾屬役賓客,則什伍以復于游宗,游宗以復于里尉。里尉以復于州長。州長以計于
 師。鄉師以著于士師。凡過黨,其在家屬,及于長家。其在長家,及于什伍之長。其在什伍之長,
 及于游宗。

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                                                         この項つづく

 

【世界の朝食:今日はフィリピン】

● Typical Filipino Breakfast

フィリピンの特徴は、農村部では白米か主食としたガーリックライス、都市部は、パン・デ・サル
(Pandesal)の塩パンを主食として頂く。 フィリピンはもともと台湾原住民と同じ起源を持つタガロ
グ語を話す人々が暮らしていたが、スペイン支配時に多くのメスティーソ(白人との混血)が生まれ
、西洋と東洋が複雑に絡み合う文化圏で、後に中国系のメスティーソの移民も混じり中華系の料理文
化も混じる。

このように朝食文化も多様を極め、牛の内臓のお粥、塩パンとココアと、伝統的なココア文化。コー
ヒーも飲れていたが、アメリカ化により、ココア文化が廃れコーヒー文化と変化してきているが、チ
ャンポラードというチョコレート粥(甘いおかゆ)が今もよく食べられている。また、フィリピンで
は付け合せにイワシの燻製を常食としているが、日本の魚の干物の常食と似て、環太平洋文化圏でも
ある。

特徴的な朝食メニューとして(1)タプシログ:ソイソースに漬けて焼いたビーフ、目玉焼き、ガー
リックライス(2)ダイン・ナ・バンガス:はミルクフィッシュ(Milkfish)――フィリピン語でバン
ガス(Bangus)と言い、にんにく、酢、塩胡椒に一晩漬け味付けし、フライパンで焼く、目玉焼き、
ライス(上写真ダブクリック)などがある。そう考えると、フィリピンのミルキーフィッシュな朝食
文化は日本と繋がっているのだと思い深める。ここは、ウエルカム、ドゥテルテ大統領だろうと。

  Oct. 25, 2016

 

 

今宵はシェルブールの雨傘 

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               「あなたは、幸せ?」  
                「幸せだよ」

                               『シェルブールの雨傘』〔ラストシーンのガスステーションで〕 


                                                            
   
                                                          Oct. 4, 1964 Japan aired    

 

  Oct. 24, 2016    

【RE100倶楽部:ミニ水素社会実験】

今月24日、ホンダが東京都江東区で燃料電池車を用いた実証実験を開始。70メガパスカルの水素をごく
小型の設備を用いて水道水から直接製造できることが特徴。太陽光発電システムとも組み合わせた。水素を
エネルギー源とする燃料電池車。この普及ペースを決める要因の1つが、水素ステーションだ。必要な設置
スペースを抑えることができ、稼働までの立ち上げ期間の短い水素ステーションが必要。

● 実験設備の特徴

床面積:約6平方メートルと小型化 高さ:2.3メートル 工場で70メガパスカル SHS (スマート水素ステーション)の箱形ユニットを作り上げ、土台を固めた現
場に設置するだけで水素ステーションとして利用 必要なインフラは水道管と、200ボルト交流電源 日当たりの製造水素の量が2.5キログラム 5キログラムの水素を10分で充填:小型化のために冷却温度が一般のものよりも高くなり、充填時
間を長くすることで対応 燃料電池車として750キロメートルの走行が可能:SAE規格(J2601)の標準条件(外気温20℃、
高圧水素タンク内の圧力10メガパスカルからの充填)のもと、JC08モード走行パターンによる同社
測定値 製造方式:常圧の水を電気分解、高圧の水素を得る(差圧式高圧水電解システム):コンプレッサが
不要で、タンクに70メガパスカルの水素を蓄えるためのエネルギー(電力)が不要

 

   差圧式高JDJ<電解スタック



実証実験の特徴は、充填圧を70メガパスカルまで高めた他にもう1つある。再生可能エネルギー由来の電
力を用いる。この設備は水素を現地で製造に、水素の運搬インフラを必要としない。再生可能エネルギーを
利用すれば、電力のインフラも不要になる可能性がある。出力20キロワットの太陽電池モジュールを設置
し、晴天時には1日当たり水素を2.5キログラム 製造できる計算。実際には太陽光を利用できない可能性
があるため交流の系統電源も利用する。実証実験では燃料電池車側というよりも、主に装置側を調べる。水
素の製造効率や太陽電池の稼働率の他、季節などの環境条件が70メガパスカル SHS  にどのような影響を
与えるのかを調べる。

燃料電池車側の検証内容は主に2つ。燃料電池車の運用による二酸化炭素削減効果の測定と、外部給電の実
証だ。実証実験では70メガパスカル SHSを1基、CLARITY FUEL CELLを1台用い、さらに同車に搭載す
る可搬型外部給電器「Power Exporter 9000」を組み合わせて利用。CLARITY FUEL CELLを導入している自
治体では、緊急時の給電用途にPower Exporter 9000を併用することが多い。このため、実証実験でも組み合
わせる。

※ 水素を「水」から作り出す、四畳半のステーション (スマートジャパン 2014.09.22
※ 差圧式高圧水電解セルの構造とその性能評価 Honda R&D Technical Review Vol.23 No.2

 Oct. 25, 2016 

【太陽熱光起電力発電:高効率タンデム型太陽電池への応用】

今月25日、東北大学は、幅広い波長の光を含む太陽光を、太陽電池に最適な波長の熱ふく射に変換して発
電する太陽熱光起電力発電システムで、世界トップレベルの発電効率5.1%を達成したと発表。太陽から
放射される光(熱ふく射)は、幅広い波長分布(=スペクトル)を持つ。単接合太陽電池は、使用される半
導体材料のバンドギャップより短波長の光しか電気に変換できず、それ以外の光は電気に変換されず損失と
なる。一方、太陽電池を複数枚重ね合わせた多接合太陽電池は、吸収できる波長域を拡げることで太陽光ス
ペクトルを無駄なく電気に変換できる。しかし、単接合太陽電池と比べて生産コストが高いという課題があ
った。

図3 試験に用いた(a)太陽光選択吸収材料と(b)波長選択エミッタの光学特性。図中の写真は耐熱金属基板
(直径9ミリメートル)の両面に作製した太陽光選択吸収材料(直径6ミリメート)と波長選択エミッタ
(直径9ミリメートル)である。

この太陽熱光起電力発電(Solar-TPV:Solar-thermophotovoltaic)システムは、集光太陽光によって太陽光選択
材料・波長選択エミッタが加熱された後、波長選択エミッタからの感度波長域に合わせた熱ふく射により光
電変換セルが発電を行う。太陽光を一旦熱に変換して太陽光の持つ光子エネルギー総量を保存したまま、別
波長の光(熱ふく射)へ変換するのが特徴。これにより、安価な単接合太陽電池を用いても高効率な発電が
可能になる。今回の研究では“熱ふく射のスペクトル制御”と“熱ふく射の一方向への輸送”という概念に
基づいた熱ふく射の変換・輸送効率を新たに提案し、その概念に基づきSolar-TPVシステムの全体設計を行
う。つまり光子から光子への波長変換システムであり、太陽光を熱に変換する従来の集光型太陽熱発電とは
異なる。

 

【量子ドット電子デバイス工学講座】

● 下部に埋め込まれた単一量子ドットの発光減衰率に金属製側面クラッド効果

 Effect of metal side claddings on emission decay rates of single quantum dots embedded in a sub

※ この事案は残件扱いとし、後日掲載、  

  ● 今夜の一曲

Non, je ne pourrai jamais vivre sans toi scene.avi

● 今宵はシェルブールの雨傘

午前中はにわかに曇るなか、換気扇のシーリング作業をすまし昼食。気分が乗らず午後は、作業はを頓挫し、
途中から囲碁ゲームをして時間を潰す。眼精疲労もあり気分転換もあり夕食前から飲酒。気分よく彼女とと
りとめない話をしていたが、入浴頃になると、俄雨で騒ぎ出したので、作業をやめ、『シェルブールの雨傘
』をユーチューブするが、これがいけなかった。昔別れたひととときがみがえる。しかたないので、しばら
くネット検索し気分転換を図るという次第。



Les Parapluies de Cherbourg Vincent Niclo & Marie Oppert 

全編音楽のみで地の台詞が一切ない完全なミュージカルであり、映画としては画期的な形式であった。ルグ
ランによる音楽が大評判となり、特に主題曲は世界中で大ヒットした。のちに舞台化もされ、世界各国で上
演されている。第17回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞。撮影は『突然炎のごとく』のジャン・ラビ
エ、音楽は『5時から7時までのクレオ』のミシェル・ルグラン。主演はカトリーヌ・ドヌーヴ、ニーノ・
カステルヌオーボ。

J'avais tellement peur de ne pas te retrouver.
Je suis si heureuse d'être avec toi.
Maintenant je ris parce que je me rends compte combien je suis bête quand je suis toute seule.
J'ai parlé à maman de notre mariage.
Elle m'a dit évidemment, “Très, très folle!”
Et puis, ce soir, elle m'a interdit de te voir.
Tu vois, j'ai eu si peur.
J'aime mieux partir n'importe où, ne plus la voir, maman, que de te perdre.
Nous nous marierons en cachette.


Oh, tu sais maintenant, ça n'a plus d'importance.
Nous avons même de notre temps.
Ce matin, j'ai reçu cette feuille de recrutement.
Et je dois partir pour deux ans.
Alors le mariage on en reparlera plus tard, avec ce qui se passe en Algérie en ce moment.
Je ne reviendrai pas d'ici longtemps.

 
                           The Umbrellas of Cherbourg

                                                                                    Writen & Music: Jacques Demy
                                             Michel Legrand  

  

Le magasin de parapluies fictif abrite maintenant un magasin de tissus.

二度目は喜劇だとはカールマルクスの言葉があてはまりそうな、徴兵制のない日本での「青春時代の蹉跌」。
軽重の違いがあれど、『あなた以上冷ややかな人はいない』(「さらばシベリア鉄道」)という歌詞が『わ
れは我が咎を知る。我が罪は常に我が前にあり』(expiation)と誘因し、嗚呼、已んぬるかな、宜なりと
懺悔(kama)する。

  

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