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スマホ連動型アルコールチェッカー

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                    自由を与えよ、さもなくば死を与えよ      /  パトリック・ヘンリー


          Give me liberty, or give me death!      


                                                                           

                                                                                                              May. 29, 1736 - Jun 6, 1799 

   Oct. 26, 2016



【地中海の死者3800人 過去最悪】


国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」は26日、リビア沖で見つかった過密状態のゴムボート内で、燃料
と海水の中で死亡した移民29人の遺体を発見したと明らかにした。国連は同日、地中海を渡ろうとして死亡した
移民・難民が今年に入ってから少なくとも3800人に達し、通年ベースで過去最多を更新したと発表。

第一次世界大戦以降、中東紛争に関わった欧米・ロシアなどの列強及びイスラエルの諸国民はこの先長く、愚かな
破壊行為の贖罪を負っていかなければならない。人命は地球より重しである。

  Aug. 24, 2016

【イタリア中部で地震相次ぐ】

ことし8月におよそ300人が犠牲となる地震が起きたイタリア中部で26日、地震が相次ぎ、一部の建物が倒壊
しているということで、イタリア政府が被害の状況を調べている。米国のUSGS(地質調査所)によると、イタ
リア中部で日本時間の27日午前2時すぎにマグニチュード5.5の地震が発生したのに続いて、およそ2時間後
にもマグニチュード6.1の地震が起きた。いずれも震源地は首都ローマから北東におよそ120キロほど離れた
場所で、震源の深さはおよそ10キロと推定す。現地のメディアは、震源に近い町、ビッソやウッシタで一部の建
物が倒壊していると伝えているが、イタリア政府は、最初の地震で多くの人が建物の外に避難していたと見られる
という。イタリア中部では、ことし8月に地震が起き、アマトリーチェなどでおよそ300人が犠牲となっている。
イタリア政府は被害の状況の調査中にある。

 

  Oct. 27, 2016

 

【地震科学探索機構:鳥取県中部地震解析】

16年10月21日、鳥取県中部を震源とするM6.6、最大震度6弱の地震が発生。怪我をされた方々、被害に遭
われた方々に心よりお見舞を申し上げます(JESEA Vol.16,No.43)。

さて、「週刊MEGA地震予測」では7月6日発行号で「鳥取県・島根県周辺」をレベル3ら4に変更。そして、前号(
10月19日発行号)のトピックスで、「今回、週間変動図(H)にありますとおり、完全に静謐でした。前兆現象
の後、静謐、地震が発生するという流れは過去にもあった。 ご注意ください。」と、一層の注意を呼びかける。こ
れと同様の文言は熊本地震の直前の4月13日発行版でも報じていました。本特集では、鳥取県中部地震を別の側
面からも検証してみる。まず、以下は累積変位による検証になります。 これまで掲載してきた累積変位マップ(H)
を時系列に掲載。(このマップは3か月ごとに掲載。日々データの高さ(正式には楕円体高)の2年前との変位差を
6ヶ月間(約180日)累積したもの。長い期間にわたってどのくらい異常が溜まっているかを見ることができる。
)これを見ると、鳥取に沈降の変位の累積が判明している。次に水平ベクトル図による検証。周辺エリアはほぼ南
東変位をしているが、鳥取のみ東変位を示している。 沈降だけでなく、これもひずみのたまる要因だと思われる。


最後に鳥取中部地震でどこがどのくらい動いたかを示す。×が震源地を表す。 震源地を中心に鳥取県の東伯Aが
東南東に大きく動き、反対に佐治は西北西に動く。 また鳥取県の羽合は北東に大きく動き、岡山県の中和と八束
は南南西に動いた。熊本地震と比べると全体的に変位は小さい。まだ余震も続くと思われる。

レベル4:鳥取県・島根県周辺 10月22日、鳥取県中部を震源とする地震(M6.6、震度6弱、震源の深さ:
11キロメートル)が起きる。 その後余震が2200回以上も起きている。週間異常変動は鳥取県の羽合のZの値
が7.0 センチメートルと大きいが、この地震の影響によるもの。起沈降図を見ると鳥取県、島根県周辺は大きく
沈降している。水平ベクトル図を見ますと鳥取県中部地震による大きな異常変動が特に3点で見られます。 鳥取県
の羽合は北東方向に大きく変位、東伯Aが東南東に大きく変位、岡山県の中和が南南西にやや大きく変位したこと
が分かります。余震が続いているのでしばらくレベル4とする(参照 図2、図4) 。

このように地震科学探査機構の分析に早くから注目していたが、ここでの解析あるいは分析知財をデジタル化(デ
ーターベース→アルゴリズム開発と是正→リアルタイム→三次元表示→アプリケーション事業→反響情報のオート
ノミズ・リフレクト(自律的反映:ここまでは国内での事業化)→信頼性・堅牢性のクリア(最低10年間検証)
→同事業をグローバル展開(地震多発国への贈与)とこのようなイメージをもっている。

【量子ドット電子デバイス工学講座】

時間の都合で昨夜の荒川・岩本研究室(東大)の技報「Effect of metal side claddings on emission decay rates of single
quantum dots embedded in a sub」を残件としたが、それのつづき、「特開2016-184705 半導体光素子およびその製造
方法」を以下参照する。

波長1.3μm帯や1.55μm帯の光ファイバ通信の送信用光源に用いられる半導体レーザでは、伝送距離を拡
大するために光源の単一波長化が必要とされる。そのため、共振器内に回折格子を形成した分布帰還型(Distributed
Feedback;DFB)レーザなどの単一波長レーザが実用化されている。また、単体の半導体レーザでは実現が難し
い波長帯のレーザ光を得るために、入射光の周波数を2倍(波長を1/2)に変換して出射する第二高調波発生(
Second Harmonic Generation;SHG)結晶と組み合わせる半導体レーザが用いられる。この場合も、SHG結晶に
入射させるレーザ光は単一波長であることが望ましい。例えば、波長532nmの純緑色は単体の半導体レーザで
実現することは難しいが、波長1064nmの単一波長で発振するDFBレーザとSHG結晶を組み合わせること
により532nmの緑色レーザを実現することができる。このように、DFBレーザなどの単一波長半導体レーザ
は、光ファイバ通信や映像デバイスにおける光源として有用である。DFBレーザの発振特性を決める重要なパラ
メータの一つに、回折格子の結合係数(κ)がある。1次の回折モードに対するκは近似的には式(1)で表すこ
とができる。

 式(1)において、n1とn2はそれぞれ回折格子を形成する山部と谷部の2つの材料の屈折率であり、kは波数、
βは導波光モードの伝搬定数、Γgは回折格子層における光閉じ込め係数、Λは回折格子の周期、Λ1は山部の幅で
ある。式(1)からわかるように、一般的には山部と谷部の材料の屈折率差が大きいほど結合係数κを大きくとる
ことができる。DFBレーザの発振しきい値利得を下げるためには、ある程度の結合係数κの値が必要である。そ
のためにも、山部と谷部を構成する半導体材料の屈折率差が大きい方が望ましい。波長0.6μm~1.3μmの
半導体レーザにおいては、大口径で安価なGaAs基板が利用されている。GaAs基板上に回折格子を有するD
FBレーザを作製する場合、一般にGaAs層表面に凹凸構造を形成し、凹凸構造の溝部をInGaPで埋め込む
方法や、AlGaAsで埋め込む方法が知られている。
 Oct. 20, 2016

詳細は、上図参照ということで割愛するとして、再成長界面での歪みの発生を抑制し組成変調を防止した回折格子
を有する半導体光素子を実現するために「GaAs基板上に形成される回折格子層を有する半導体光素子において、
前記回折格子層は、周期的な凹凸パターンを有するGaAs層と、前記凹凸パターンを平坦に埋め込む繰り返し層
とを含み、前記繰り返し層は、1分子層以上の厚さを有するAlAs膜と、1分子層以上の厚さを有するGaAs
膜との積層を1サイクル以上繰り返して前記凹凸パターンを平坦に埋め込んでいることを特徴とすることで、 回
折格子の再成長界面での歪みの発生を抑制し、組成変調を防止して、半導体光素子の回折格子で所望の結合係数を
得るという新規技術が提案ということになる。

【符号の説明】

11 GaAs層 13 凹凸パターン 13a 凸部 13b 凹部 13c 傾斜面 15、15A、15B 回折
格子層 21 AlAs膜(第1の二元結晶膜) 22 GaAs膜(第2の二元結晶膜) 23、23A、23B
繰り返し層 30、40 半導体レーザ 31、41 GaAs基板 32、42 下部クラッド層 33,35,
43、45 光ガイド層 34、44 活性層 65 量子ドット層 70 半導体レーザモジュール GR 回折格子

図面の簡単な説明

【図1】回折格子に生じる組成変調を説明するための図
【図2】実施形態の回折格子層の構成を示す図
【図3】図2の回折格子層を用いた実施例1の半導体光素子の概略構成図
【図4】図2の回折格子層を用いた実施例2の半導体光素子の概略構成図
【図5】図4の半導体光素子の活性層として用いられる量子ドット層の模式図
【図6】実施例3の半導体モジュールの概略構成図                                     

 

  ● 今夜の一品

スマホ連動型アルコールチェッカーが登場。これど、第5産業業革命『デジタル革命渦論』。創造的破壊時代の商
品が登場してくる時代だ。しかし、この株式会社INNOVA GLOBA 会長のマイケル・チャンの正体が断念ながら、
今夜の時点ではがわからない(華僑?)。 まぁそんなことは二義的なことで、「スマホひとりカラオケ」などのア
プリが次々と商品化されている。「デフレーション」の基本特性が遺憾なく発揮される時代でもある。全国のカラ
オケチェーン店も創意工夫しないと生き残れないかもしれない!

 

 



 


南極の氷が解けてゆく。

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       南極大陸の一部では、主に降水量の増加で氷の量は増えているかもしれないが、同大陸全体
       でみた場合、氷の量は大きく減少している。この氷河系は均衡が崩れており、氷が解けるペ
       ースは氷河流による補充を上回っている。

                                                  アラ・カゼンダール(Ala Khazendar)

 


【RE100倶楽部:オールソーラー技術粛々と向上】




●  スターバックスに新型シティチャージを設置

26日、東京都地球温暖化防止活動推進センタは、スマートエネルギー都市の実現に向け、再生可能エネルギーの
普及啓発に取り組んでいるが、同センターはスターバックス コーヒー ジャパン株式会社と連携し、移動可能で店
舗等でも導入しやすい新型シティチャージをモデル設置すると公表。それによると、シティチャージは、太陽光パ
ネルからの電気でスマートフォンなどの充電が手軽にできるソーラー充電スタンド。太陽光発電を身近に感じるこ
とができ、外国人旅行者へのおもてなしにも資するもので、非常用電源としても活用可能。センタでは、昨年10
月より東京タワーなど都内3か所に日本初となるシティチャージを設置。今後、シティチャージの一層の普及を図
るとのこと。

  Oct. 26, 2016

当の シャープは、高効率な化合物太陽電池が発電した電気をスマートフォンなどの充電に利用できる椅子型「ソー
ラー充電スタンド」を開発。今般、公益財団法人東京都環境公社(東京都環境公社)が再生可能エネルギーの普及啓
発に向けて推進する「シティチャージ普及促進事業」の設置事業者に応募し採用され、開発した椅子型の「ソーラ
ー充電スタンド」は、背もたれの裏側に人工衛星などに採用されている高効率な化合物太陽電池を搭載しました。
約30%の高い変換効率を実現、テラス席など屋外に設置することで効率良く発電できる。利用者は座ってコーヒ
ーを飲みながら、手軽にスマートフォンなどを充電できる。また、発電した電気は、座面の下に搭載した蓄電池に
蓄えられるので、日照量が少ない時でも利用可能です。椅子型なので移動も簡単。当社は、昨年も東京都環境公社
の同事業の設置事業者に選定され、日本で初めの「シティチャージ」として、東京タワーの近くにソーラー充電ス
タンドを設置し、旅行者などからご好評をはくし、今後も太陽光発電システムを活用したエネルギーソリューショ
ンの提供に取り組んとでアナウンスする。

 Oct. 15, 2014

NEDO技術開発機構

● カネカ 結晶シリコン太陽電池モジュールで世界最高変換効率

27日、カネカは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトで、結晶シリコン型太陽電池モ
ジュールで世界最高となる変換効率24.37%達成したことを発表。20年に14円/kWh(業務用電力価格並)、
30年に7円/kWh(従来型火力 発電並)とする発電コスト目標の達成に向け高効率結晶シリコン太陽電池の技術
開発。 これまで、結晶シリコン太陽電池(ヘテロ接合バックコンタクト型)1セルにおいて世界 最高の変換効率
26.333%を実用サイズ(180平方センチメートル)で達成している(2016年9月14日付ニュースリリース)。

ところで、太陽電池は、通常複数の太陽電池セルを接続し、強化ガラス等で表面を保護した太陽電池モジュー ルに
組み立て使用。今回の太陽電池モジュールは結晶シリコン太陽電池(ヘテロ接合バック コンタクト型)セル108
枚を使い、さらにモジュール内での抵抗損失を最小限にセル間配線技術やモジュールに照射された光の収集効率を
高める技術などを新たに開発することで、結晶シリコン太 陽電池モジュールとして世界最高の変換効率24.37
%(モジュール面積 513,177平方センチメートル)を実現。今回NEDOが太陽光発電開発戦略で掲げる発電
コスト目標(2020年14円/ kWh)実現の目安の一つであるモジュール変換効率22%を世界で最も普及している結
晶シリコン太陽電池モジュールで上回り今後発電コスト目標達成に向けて大きく前進する。

Oct. 06. 2016

● ペロブスカイト太陽電池1000時間以上性能安定

国立研究開発法人物質・材料研究機構 エネルギー・環境材料研究拠点 韓 礼元 上席研究員をはじめとする研究
グループは、ペロブスカイト太陽電池のホール輸送層に用いる新規添加剤を開発し、安定性を大幅に向上させるこ
とに成功。暗所保存では1000時間を経ても性能の劣化が見られず、連続光照射下においても初期効率の85%
まで劣化するのに要する時間は従来の添加剤より6倍長くなり、安定性が大幅に改善されたことを公表。これで、
ペロブスカイト太陽電池の実用化への取り組みが加速するだろう。

塗布プロセスで製造可能なペロブスカイト太陽電池は20%以上の変換効率が報告されてから大きな注目が集まり、
現在世界中で熾烈な研究開発競争が行われている。その結果、効率は着実に向上してきたが、安定性には大きな課
題が残されている。特に酸化チタン/ペロブスカイト/ホール輸送層で構成された順セル構造のペロブスカイト太陽
電池は最も高い変換効率を示していますが、安定性が非常に低く、光照射のない状態でも劣化が進み、200時間
で約3割も変換効率が低下する。そのため安定性の低さの原因究明と新規材料開発による長期安定性の向上が、実
用化のために大きな課題となっていた。

 

この成果のポイントは、順セル構造のホール輸送層に用いるピリジン系の添加剤T

この成果は、順セル構造のホール輸送層に用いるピリジン系の添加剤TBP(シャリーブチルピリジン)に着目。
実験結果の解析によりTBPとペロブスカイト材料が化学反応を起こすことが安定性を低下させる大きな原因であ
ることを突き止める。さらに、赤外分光やX線回折による分析の結果、反応は主にピリジン環にある窒素原子とペ
ロブスカイト結晶の間で生じる。そこで、この反応を防ぐために、窒素原子の隣接位置にアルキル基を導入するこ
とで、立体障害効果 (二つの反応原子を空間的に近づくことを防ぐこと) が生じ、この化学反応の抑制に成功。そ
の結果、新規ピリジン誘導体を用いたペロブスカイト太陽電池は、暗所において11000時間を経ても性能の低
下が認められませんでした。連続光照射下においても、初期の変換効率から85%まで劣化する時間が、従来の添
加剤の場合は25時間弱だったものが、今回開発した新規添加材を使用すると150時間まで伸ばすことができ、安
定性が6倍以上改善したことになる。この「立体障害」を人工的に作製することができれば、機能性有機化合物特
有の"ターンオーバー"(ルーチン限界回数)が克服できるため、仮に、30%超の変換効率×10年間(1日3.5
時間稼働)できれば、7円/キロワットアワーはたやすく実現する。そのらめには(1)立体障害作製方法と(2)
変換効率向上技術の研究開発が焦点となる。

  Oct. 08, 2016

 

   Oct. 26. 2016



Antarctic glacier thinning more rapidly than thought – study

● 南極の氷河、予想以上に急速に減少

25日、西南極(West Antarctica)にある巨大氷河では、7年間で最大500メートルの厚さの氷が失われ、科学
者らの予想を超える急速なペースで氷河が減少していると発表。米航空宇宙局(NASA)による上空からの調査で
収集されたデータに基づく研究では、南極のアムンゼン海(Amundsen Sea)に注ぐスミス氷河(Smith Glacier)は
02~09年の期間に年間最大70メートル薄くなった。論文の主執筆者で、NASAジェット推進研究所の研究者
アラ・カゼンダール(Ala Khazendar)は「1種類の測定器だけで収集されたデータを使っていたら、目にしている
結果を信用しようとは思わなかっただろう。それほど、薄化の度合いが大きかった」と述べる。つまり、氷の厚さ
を測定するアイスレーダーと、レーザー高度測量の両方で同じ結果ということが決め手となる。カゼンダールは英
科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された論文で報告。

スミス氷河では、09年以降も氷塊の消失が続いたが、そのペースはわずかに減速したと、カゼンダールは話して
いる。より精度の低い測定技術を用いたこれまでの研究では、スミス氷河から延びる2つの棚氷は、同期間に年間
約12メートル薄くなったと推算。この研究結果は、温度が上昇した海水が南極の氷河の底部、特に氷河が海と接
触する「接地線」付近を以前より速いペースで浸食していることを示す新たな証拠となる。「南極大陸の一部では、
主に降水量の増加で氷の量は増えているかもしれないが、同大陸全体でみた場合、氷の量は大きく減少している。
この氷河系は均衡が崩れており、氷が解けるペースは氷河流による補充を上回っている」と。

    doi:10.1038

 Nature Communications 7, Article number: 13243 (2016)

 

 

日ハム優勝とXファイル

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             地は政の本なり。朝は義の理なり。市は貨の準なり。黄金は用の量なり


             地者,政之本也。朝者,義之理也。市者,貨之準也。黃金者,用之量也。
             

                                                                                                 乗馬 / 管子

 

                            
                                                     管子 Guan-zi   720–645 BC

 

   Oct. 29, 2016 at 10:44 am

【劇的!レアードのグランドスラム・ヒット 日ハム優勝】

こんなことが起きるのかという体験をする。8回、中田翔内野手の押し出し四球で勝ち越し、元ニ
ューヨーク・ヤンキースの日ハム内野手ブランドン・レアード登場。ネクストバッターズサークル
には大谷が登場(心理戦?)。そのとき、レアードが右中間に満塁本塁打が高々と打ち上げる幻影
が飛び込こみ、ホームランや!と思わず叫んだが、その10数秒後、制球が定まらない中継ぎの広
島のジェイ・ジャクソンから満塁本塁打を同じような円弧を描き放った。

こんなことがあるのか?!TVドラマシリーズの『Xファイル』を観ているような超常現象が吾と
吾が身に起こったのだ。

ゲームは、日本ハムが広島を下し通算4勝2敗で、東映時代を含め10年ぶり3度目の日本一に輝
く。日本ハムが先手を取った。第5戦でサヨナラ満塁弾を放った先頭西川が右中間を破る三塁打で
出塁。中島の四球で無死一、三塁とし、3番岡の遊撃内野安打で1点を先制。広島は2回、松山、
鈴木の連続安打で1死二、三塁。打者石原の際、日本ハム先発増井の暴投で1点を返した。さらに
石原の三塁ゴロにレアードの適時失策が絡み勝ち越しの2点目を奪い、広島に優勝させたかったが
(黒田投手の胴上げを観たかった)、日ハムが優勝する。お疲れ様でした!

 

 

 ● 百名山踏破記:ラストチャンス 木曽駒ヶ岳にGO!

 

腰痛も治まり、まだ完全復調とは言えないが、観光センター問い合わせ、氷点下を記録していとい
うことではある。ばたばたと身支度を開始。今期、ラスト・チャンスと弾丸登山を計画する。


【世界の朝食:今日はロシア】

● Typical Russian Breakfast

ロシア料理は、ウラル山脈以西の伝統料理を元にして発達。古来の農民料理は、ロシアの気候や風
土や素朴な農民文化を反映、全体としては保存食を多用した煮込みや炙り焼き料理、スープが多い
が、今日のロシア料理は多面的な側面を持つ。特に、ベルリンの壁崩壊後欧米化が急速にしてきて
いる。

ロシア料理は、厳しい気候風土に暮らす農村住民のあいだから生まれた農民の料理。魚、家禽、野
生のジビエ、キノコ、ベリーや蜂蜜を組み合わせたもの。またライ麦、小麦、大麦、キビ等の穀物
は、パン、パンケーキ、粥、クワス、ビールそしてヴォトカの原材料に供され、風味豊かなスープ
やシチューは、旬の、あるいは貯蔵可能な食材、魚、そして肉を中心としする。冬が長く厳しく、
様々な野菜のピクルスや果物のジャムなど多くの保存食料が生まれる。ロシアの伝統的なオーブン
には焜炉が無く、調理法はロースト、パン、鍋にふたをしてオーブンで加熱した煮込み料理である。



代表的な、主な朝食はといえば、カーシャ(Kasha)というロシア流お粥。ソバ、セモリナ、きびな
どの穀物、水、業乳の煮込み料理(ロシアのソバ消費量は日本の10倍以上の消費量)。現代では
牛乳をまぜるだけのシリアルタイプや電子レンジで温めるだけのカーシャが売られ様変わりしてる。
また、そば粉でつくった生地を薄く焼いたロシア流クレープのブルヌイ、あるいは、塩味のそば粉
ミニパンケーキブリニ、シルニキ(パンケーキ)そして、ロシア流オープンサンドのブーチェロブ
ローズ(Buterbrody)、ペストリーなどにジャム 蜂蜜、スプレッドやロシア流カッテージチーズの
ツボーレグ(Tvorog)、サワークリーム、イクラ、サーモンキャビアなどを塗り、載せ、包み、揚
げゆで卵、ゆでソーセージ、スモークソーセージ、魚の燻製などを添え頂くのが定番。また、伝統
の茶文化に近年のコーヒ文化が浸透してきているのも特徴である。日本が米なら、ロシアはそばと
ひとつのアジア食文化圏とみなせなくはない。

 

    

【我が家の焚書顛末記 15:中国思想 管子】    

 立 政    ――施政の要領――

  一国の政治は、いつにかかって為政者の施政いかんにある。いくら誠意があっても施政の技術
 が悪ければ治政の効果はあがらない。いかにすれば短小の努力で汲大の効果をあげられるかを示
 そうとする。

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  ことぱ

 「事に臨みて民に信ぜられざる者は、すなわち大官に任ぜしむべからず」
 「徳厚くして而も位卑しきは、これを過と削う。拙防くして而も位なきは、これを失と謂う。
 むしろ君子に過つも、小人に失するなかれ」
 「卿相、衆を得ざるは、国の危うきなり。大臣、和同せざるは、国の危うきなり。兵主、畏るる
 に足らざるは、国の危うきなり。民、その産を懐わざるは、国の危うきなり」
 「賢を上ぐるに等を過さず、能を使うに官を兼ねしめず、有罪を罰するに独り及ぽさず、有功を
 賞するに専ら与えず」

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    予告してのち事を行なう

  新しい事業を始めるときには、君主はまず「これから……のことを行なう」と命令を出し、賞
 罰の基準を先に示しておく。
  事業の責任者は、いちいち計画にのっとって仕事を進め、きめられた通りに賞罰を行なう。さ
 て、事業が終われば、責任者はその事業のやり方を復命し、賞罰の状況を報告する。もし事業の
 やり方が命令に合致しなければ、たとえ功労があっても、「勝手なことをした」というかどで死
 罪に処す。
  このように、前もってきちんとした計胆と命令さえ定めておけば、事業はとどこおりなく完成
 するものである。

  政治はガラス張りに この早こそは、施政の極意をズバリと伝えているところである。国家的
  事業の始まりに、まず事実の大綱を予告するのは、ぬきうちに開始するよりずっと効果が上が
  るにきまっている。軍事的でない限り、「政治はガラス張りに」と説く哲子は、「民には秘密
  に」と説く孔子や孟子よりは、実際的な政治家であったといえよう。

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 凡將舉事,令必先出,曰事將為。其賞罰之數,必先明之,立事者,謹守令以行賞罰,計事致令,
 復賞罰之所加,有不合於令之所謂者,雖有功利,則謂之專制,罪死不赦。首事既布,然後可以舉
 事。

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※ 「予告」をこの時代に治世の根本に置いたのは事情に開明的で感心する。

    九つの邪説

 非戦論がはぴこれば、いかに堅固な要ぶがあっても役に立だない。
 兼愛思想がはびこれば、兵士は戦息を喪失する。
 無為長生の思想がはびこれば、廉恥心がなくなる。
 民本思想がはびこると、君主の命令は守られない。
 セクト主義がはぴこれば、賢人と愚者の区別がつかない。
 拝金主義がはぴこれば、爵位や家柄の価値は下がる。
 享楽思想がはぴこれば、みだらな人間がのさばる。
 情実万能の考えがはぴこれば、法律はまげられる。
 へつらいとごまかしがはびこれば、わる賢い人間がのさばる。

 ――この九つの邪説は、政治にとっては、有害無用のものであるから、これにまどわされないよ
 うに、役人や人民を指導せねばならない。

             《非戦論》宋銒、尹文の唱えた節。『荘子』天下篇に紹介されている。

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 寢兵之說勝,則險阻不守;兼愛之說勝,則士卒不戰。全生之說勝,則廉恥不立。私議自貴之說勝,
 則上令不行。群徒比周之說勝,則賢不肖不分。金玉貨財之說勝。則爵服下流,觀樂玩好之說勝。
 則姦民在上位。請謁任舉之說勝,則繩墨不正,諂諛飾過之說勝,則巧佞者用。

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※ 君主専制主義は転倒し、民主主義を封殺する典型例。



    乗 馬    ――経済制度――


  すぐれた経済学者であった管子は、独自の経済哩論を主張していた。かれは、国家経済の根本
 は土地にあると考え、有名な四民分業論を嘔えた。この笥は、かれの考えた経済明度を具体的に
 示してくれる。

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  ことぱ

 「地は政の本なり。朝は義の理なり。市は貨の準なり。黄金は用の量なり」
 「地、平均和調ならざれば、政は.正すべからず。政、正しからざれば、事は理むべからざるな
 り」
 「市はもって治乱を知るべく、もって多寡を知るべし。而も多寡をなすこと能わず」
 「貨尽きて而る後に足らざるを知るは、これ量を知らざるなり。事已みて而る後の余りあるを知
 るは、これ節を知らざるなり」

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  治政の五つの原理

  土地は政治の基本である。
  朝廷は社会秩序の中枢である。
  市況は物資の需給状況を示すものである。
  貨幣価値は経済動態の尺度である。
  諸侯の領土で、千乗の国というのは軍備の基準を示すものである。

  ――為政者たるものは、この五つの原理をきわめていなければならない。
     《朝廷は社会秩序の中枢》原文は「朝は義の理なり」。直訳すれば、ものごとにはみな
     一定の基準があり、これを統一してうまく処理するのが朝廷の任務であるという意味。

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  土地は政治の基本

 土地は政治の基本である。土地行政のいかんによって政治のありかたが左右される。土地の生産
 性にたいする評価が公正を欠けば、政治は乱れる。政治が乱れると生産は低下する。生産を直接
 に左右するものは土地と気象条件である。ところで、気象条件はなにによって決定されるか。

 春夏秋冬は陰陽の推移によって生ずる。昼夜の長短は陰陽の相互作用によって生ずる。昼夜の交
 替は陰陽の変化によって生ずる。つまり、陰陽二気のはたらきが気象条件を決定するのである。
 かりにそのはたらきが正常でなかった場合を考えてみよう。

 陰陽二気のどちらか一方が弛すぎるからといって、それをSめることもできないし.弱すぎるか
 らといって、それを強めることもできない。陰陽二気を割印することは、天地といえども不可能
 なのである。
 してみると、生涯力を保持し、政治を安定させるため、人力の介入する余地が残されていろのは、
 土地だけということになる。

 「土地の生産性にたいする評価を公正にせよ]というのはこのためである。
 公正に評価するとは、土地の外見にとらわれず、その収穫実績によって評価することだ。収穫さ
 え公正に把握できれば、地形の長短にこだわる必要もないし、面積の大小を考慮する必.髪もな
 い。土地にたいする評価が公正を欠けば行政に破綻が生ずる。行政がゆきづまると生産は低下す
 る。生産が低下すれば物資が不足する。生産が順調にはかどれば、物資は豊富になるはずであり、
 物資が豊富なのは生涯が順調な証拠である。物資が豊冨で生節が順訓にはかどっていれば、もは
 や他国に求めるもCほほとんどない、それでこそ「道を得たもの」といえるのだ。

 土地の生・躍性にたいする評価》原文は『珀、平均和調す」。後のほうにでてくる[地を正す」
 も同じ意味。賢子は、土地を国家経済の基本として考えていたので、土地の評価は面積によって
 機械的にすることなく、地味の肥沃度、生産条件、収極物の多少……など各方面を参考にして評
 価すべきだと考えていた。

  評価の基本は生産性 管子の説いた生廻転による土地の評価は、中国税法の忿帛としてその後
 長く伝わった。現代の土地改革でも、この方法は土地分配に際して有力な条件として、各地でと
 りいれられた。古代中国は、もともとn業を第一に重視していたので、課税の基礎は土地にある
 ことはわかっていた。しかし、即税碩の算出に当たっては、どうしても土地の而禎にとらわれが
 ちになる。この点、計数に明るく、経済の本質に精通していた管子は、「生産性」を評価の基本
 と考えた。これは、極めて合理的な考えである。

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 地者,政之本也。朝者,義之理也。市者,貨之準也。黃金者,用之量也。諸侯之地,千乘之國者,
 器之制也。五者其理可知也,為之有道。地者政之本也,是故地可以正政也,地不平均和調,則政
 不可正也;政不正,則事不可理也。
 春秋冬夏,陰陽之推移也。時之短長,陰陽之利用也;日夜之易,陰陽之化也;然則陰陽正矣,雖
 不正,有餘不可損,不足不可益也。天地莫之能損益也。然則可以正政者地也。故不可不正也,正
 地者,其實必正,長亦正,短亦正;小亦正,大亦正;長短大小盡正。正不正,則官不理;官不理,
 則事不治;事不治,則貨不多;是故何以知貨之多也?曰:事治。何以知事之治也?曰:貨多。貨
 多事治,則所求於天下者寡矣,為之有道。

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                                                                            この項つづく 

 

籾殻からシリコン

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         バーディを30個取れなくて残念ですけど、優勝できてうれしい

 
                                                        松山 英樹

                                                                                                

                                                                                                        - Feb. 25, 1992
 

 

  Oct. 25, 2016

【現代の錬金術:籾殻からシリコン】
 
テトラアルコキシシランは、セラミックスや電子デバイス用の保護膜・絶縁膜の原料として利用され、
また幅広い産業分野で使用されているシリコーンをはじめとするさまざまな有機ケイ素材料の原料と
しても有用。現在、テトラアルコキシシランの製造では中間原料として金属ケイ素を経由しつくる。
これには大量の電気エネルギーを用いて高温でケイ石(シリカが主成分)の還元反応を行う必要があ
るため、エネルギーを多く消費し、高コストのため、安価なシリカ原料から直接合成する技術開発が
課題となっていたものの、その技術的難易度の高さから、半世紀以上に渡って、金属ケイ素を経由し
たプロセスで工業的な生産が行われてきた。

産総研は、有機ケイ素機能性化学品製造プロセスの研究開発の技術知財を保有しているが、その一環
で非金属ケイ素経由有機ケイ素化学品の製造方法の研究を行ってきた。これまでにシリカとアルコー
ルを原料とし、有機脱水剤、二酸化炭素、少量の触媒を共存させるテトラアルコキシシランの合成法
を開発(14年5月20日 産総研プレス発表)。今回、産総研とコルコート社は共同で、従来より
も短時間に高効率でテトラアルコキシシランを合成できる技術の開発に取り組む。

May 20, 2014

     特開2011-006316

※ 奥谷猛“籾殻中のSiO2の利用”、Material Analysis and Characterization Science, 6, No.1, 24(1993),
  pp.24-50 
※ 中川雅直、“籾殻を原料とする太陽電池用シリコン製造法の提案”,工業材料,45(7)  82 '97,
  日刊工業新聞社
※ L. P. Hunt et. al., “Rice Hulls as a Raw Material for Producing Silicon”, J. Electrochem. Soc.: SOLID-STA-
   TE SCIENCE AND TECHNOLOGY, Vol.131, No.7, July 1984, pp.1683-1686


シリカから直接テトラアルコキシシランを収率良く合成するためには、アルコールとの反応によって
副生する水を反応系から除去する必要がある(下図)。砂や灰などの反応性の低いさまざまなケイ素
源を活用するためには、高い効率で反応系から水を除去できる脱水剤が必要であり、さらに製造プロ
セスの低コスト化のためには、脱水剤は反応終了後に目的物であるテトラアルコキシシランから容易
に分離でき、回収・再利用が可能が前提となる。

図1 さまざまなケイ素源とアルコールからテトラアルコキシシランを合成する反応式

今回、シリカを含有する原料とエタノールに、触媒として少量の水酸化カリウム、脱水剤として固体
状無機物質であるモレキュラーシーブを加えて加熱し反応させた。触媒として加えた水酸化カリウム
は、シリカの分解すなわちケイ素-酸素結合の切断を促進する働きがある。また無機脱水剤であるモ
レキュラーシーブは、反応によって生成した水を吸着して反応系から取り除き、反応が逆方向に戻っ
てしまうことを防いでおり、従来の技術の有機脱水剤よりも水を取り除く効率が高く、ケイ素源に含
まれる不純物の影響も受けにくいため、砂や灰などの反応性が低く、シリカ純度の高くない天然のケ
イ素源を用いても高収率にテトラアルコキシシランを合成することが可能になった。さらにモレキュ
ラーシーブは固体状であるため、反応後には容易に回収して、加熱や減圧で再生して繰り返し使用で
きるため、製造プロセスの低コスト化に対しても有利である。この結果、高い収率のテトラエトキシ
シランが反応時間3時間で得られている(下図)。



珪質頁岩を粉砕した砂では、含有するシリカに対して51%の収率でテトラエトキシシランが生成し
た。またシリカを多く含む植物燃焼灰として、もみ殻の灰を原料とした反応では収率は78 %であった。
合成石英製造時の産業副生成物を原料とすると収率は72%であった。

図2 さまざまなケイ素源からのテトラエトキシシランの合成

図3 今回開発した技術と従来技術との反応効率の比較

この記事をみて、特開2011-006316「金属シリコンの製造方法」 国立大学法人横浜国立大学」を思いだ
す(上図参照)。

 
 シリカから金属シリコンを製造する方法としては、ケイ石(SiO2純度99.5%以上)を木
 炭やコークスと一緒にアーク炉中で還元し、純度98%以上の金属シリコンを製造する方法が知
 られている。 前述したアーク炉を用いる方法では、一般に3000~6000Kの高温になるが、
 シリカの炭素還元は2000K付近で生じる。金属シリコンの融点は1410℃であり、アーク
 炉を用いる方法で得られる金属シリコンは融解、凝固した塊として得られる。

  結晶シリコン太陽電池や半導体として利用するには、このアーク炉を用いたシリカの炭素還元に
 よって得られる純度98%以上の金属シリコンの高純度化が必要である。このアーク炉を用いた
 シリカの炭素還元によって得られる純度98%以上の金属シリコンを、結晶シリコン太陽電池や
 半導体として利用するには、高純度化が必要である。その方法は、得られた塊状の金属シリコン
 を細かく粉砕し、銅系触媒と混合し、300~350℃で塩化水素(HCl)と反応させ、トリ
 クロロシラン(SiHCl3)を製造する。このトリクロロシランは、沸点が31.8℃であり、
 蒸留操作によって高純度化され、得られた高純度トリクロロシランから水素還元又は不均化反応
 により高純度シリコンを製造する。

 シリカから金属シリコンを製造する別の方法として、ケイ石に替えてイネ、ムギ、トウモロコシ、
 サトウキビ、トクサなどのケイ酸植物、例えば籾殻をシリカ原料として用い、これを焼成してシ
 リカ灰を作製し、このシリカ灰から金属シリコンを製造する方法が提案されている。

 ケイ酸植物、例えば籾殻をシリカ原料として用いる金属シリコン製造方法において、籾殻を焼成
 して得られるシリカは、ケイ石よりも表面積が大きく、活性が高いため、籾殻シリカと炭素とが
 1100℃以上で反応し、一酸化ケイ素(SiO)が生成する。このSiOは融点が1730℃
 付近であるが、1100℃付近では昇華し、ガス状になる。ガス状SiOは、反応系中の炭素(
 C)と反応し、炭化ケイ素(SiC)になる。従って、高活性なシリカをアーク炉で炭素還元す
 ることにより金属シリコンを製造することは難しく、シリカのほとんどが炭化ケイ素になってし
 まう。そして、炭化ケイ素の生成で炭素が消費され、シリカから金属シリコンへの反応は停止し
 てしまう。

と、前置きし、「籾殻などのケイ酸植物をシリカ原料として用い、効率よく金属シリコンを製造し得
る方法の提供」を目的とし、「ケイ酸植物を焼成してシリカを主体として含むシリカ灰を形成する工
程、次いで、得られたシリカ灰に、アルミニウム、アルカリ土類金属、アルカリ金属からなる群から
選択されるいずれかの金属を加え不活性ガス雰囲気中で加熱し、金属シリコンを得る工程とを有する
ことを特徴とする金属シリコンの製造方法」を提案している。

これらの方法で半導体原料の再資源化の実用開発が始まるというのだ。これは楽しみである。

 

【世界でもっとセクシーな男 松山英樹】

  Oct. 31, 2016

 Oct. 30, 2016

30日、世界ゴルフ選手権◇WGC HSBCチャンピオンズで松山英樹が世界が驚く圧勝で成し遂げた。2位
に3打差の17アンダー単独首位から出た松山は6バーディ「66」をマークし、通算23アンダー。
後続との差を大会史上最多となる7ストロークに広げ、丸山茂樹に並ぶ日本人史上最多の米ツアー通
算3勝目、日本勢として初めて世界選手権シリーズ(WGC)を制覇した。「バーディを30個取れな
くて残念ですけど、優勝できてうれしい」。米ツアーでの過去2勝は、最終日に追いついてプレーオ
フで勝った。単独首位で最終日を迎えたのは初めての経験。松山はただいま、24歳。

米スポーツ専門サイトの「SBネーション」は「松山英樹が厚いフィールドを圧倒」「彼はツイッター
でカルト的な人気を誇る。ボールを放つ姿が、芝の上の世界では最もセクシーに見えるからだ」と分
析でたたえ、また、米4大ネットワークの「CBSスポーツ」は「松山が歴史を作った」「ロリー・マ
キロイ(15アンダー)とヘンリック・ステンソン(16アンダー)がトップ5に終わった」という書き、
最終日を「66」でプレーして通算23アンダーとした松山英樹が2人のスコアを打ち砕いた(destroy)
と表現し、また、香港の英字紙「ザ・スタンダード」(電子版)は「松山の視線はメジャーへ」との
タイトルで、笑顔で優勝カップを掲げる松山の写真を掲載し、ロイター通信の記事を引用。アジア人
で初めてWGCを制したとし、「次の目標はメジャーで勝つこと。そのためにあらゆる準備をする」と
いう松山の言葉を引用――日本人として初めて世界ゴルフ選手権を制した松山英樹を海外のメディア
はこう報じている。ゴルフは興味はないわたしだが、うれしい話だ 

  

昔の名前と学習能力

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             悪魔でも聖書を引くことができる。身勝な目的のために。

                        『ヴェニスの商人』

         The devil can cite Scripture for his purpose.  
                                                                                               
                                                                                        The Merchant of Venice      
   
                             Watch out, Bassanio. The devil can quote Scripture for his own use.
                             An evil soul using a holy story is like a criminal who smiles at you.
                             He looks like a good apple but he’s rotten at the core.
                             Oh, liars can look so honest!

                                                                                                 Act 1, Scene 3, Page 5

                                   
                                 ウィリアム・シェイクスピア                                                      
                                                                    Apr. 26, 1564 - Apr. 23, 1616

 

 

【百名山踏破記:大乱調の巻 木曽駒ヶ岳】

体調が戻らないまま弾丸登山へ。午前4時に出発、7時過ぎに管の台バスセンターに到着、
12分のバスに乗り込みしらび平に到着。ロープウェイに乗り込み日本一高い千畳敷駅到着。
紅葉も終わり晩秋の季節、氷点下6℃という寒さという。天候も予定通り快晴。ところで、
中央アルプスの最高峰で、木曽駒などと呼ばれる木曽駒ヶ岳。伊那谷を挟んで東側に甲斐駒
ヶ岳、西側に木曽駒ヶ岳があることから、西駒ヶ岳と呼ぶこともある。雪解け時期には伊那
市の高遠付近から馬の雪型が表れることから山名が付いた。高山植物の豊富な場所で、2600
メートル付近の千畳敷カールまでロープウェイでいけるので観光客も多く訪れる行楽場所で
もあり、9月から10月にかけての紅葉の季節には大勢の観光客が訪れる。ちなみに、山小
屋が充実し、周囲に宝剣山荘、頂上山荘、天狗荘があり、千畳敷駅もホテル千畳敷という宿
があるのでそれも合わせて四箇所ある。



千畳敷駅(せんじょうじき)は、長野県駒ヶ根市にある中央アルプス観光駒ヶ岳ロープウェ
イの索道駅で、麓のしらび平駅(標高1661.5メートルから高低差950メートルを昇った標高
2611.5メートルの位置(実際は2640メートル台)にある。索道を鉄道に含めれば室堂駅(立
山黒部貫光無軌条電車線、標高2450メートル)を上回り、標高日本一の駅となる。なお、駒
ヶ岳ロープウェイは、通年運行である。14年12月15日、駒ヶ岳山中で発生した雪崩や
雪による倒木で制御用通信線の支柱が倒壊。電源供給が行えなくなり、運行を停止した。雪
の影響から復旧工事に着手できず、15年3月23日に通信線を迂回させる仮設工事を完了
させ仮復旧、約3ヶ月ぶりに運行再開させている。

尚、ホテル千畳敷が併設され、駅同様、日本で最も標高の高い場所にあるホテル。客室は全
室和室で、16部屋あり、食堂、お風呂などを完備されている。また、千畳敷駅周には信州
駒ケ岳神社が奉られ、大山祇大神(オオヤマツミノオオカミ)と、天照大神をロープウェイ
開通時に設置され、ロープウェイの安全を祈願する。大山祇大神は、天照大神の兄神であり、
山の守護神である。

 駒ヶ岳神社/千畳敷カール/長野県駒ヶ根市

 千畳敷カール


  Yamakei Online / 山と溪谷社

駒ヶ岳神社で参拝をすませ予定通り、千畳敷からカール壁を北側へ登って主稜線に出たとこ
ろの乗越浄土(のっこしじょうど)に登るが、50分の距離のところだが、少しする全身が
だるく、呼吸も乱れ風邪と高山病(altitude sickness) の合併症――咳き込みが数日間続き、
扁桃腺も腫れていたところに、高山病、正確には高度障害、俗的には山酔いともいうが、高
い山のような気圧の低いところへいくと、体に様々な変化がおき、ごく初期の症状としては
心拍数があがったり、呼吸数が増えたりする(この程度なら自覚症状がない)が、3000メー
トルを超えるあたりでは、頭痛、吐き気、嘔吐、眠気(めまい)、他に、顔や手足のむくみ、
眠気やあくびなどの睡眠障害、運動失調、低圧と消化器官の機能低下からくる放屁などが現
れることもある。一般には低酸素状態において数時間で発症し、1日~数日後には自然消失
するが、重症の場合は高地脳浮腫(High-Altitude Cerebral Edema; HACE) や高地肺水腫(High-
Altitude Pulmonary Edema; HAPE) を起こし、死に至ることもある――と判断、用意していた
小形酸素供給器から酸素を供給しつつ休憩を取りながら登るそれでも埒があがらす、風邪薬
を通常の半分量を服用。それでも埒があがらない場合は、ウィスキーを服用し、少しずつ、
少しずつ登っていたが、もう駄目かなと思うときがあり、10時半過ぎに携帯電話(圏内)
に彼女に連絡し、駄目だったたら下山するが6時頃に帰宅するよと伝える(頑張れ!という
激励が返ってくる)。

   乗越浄土-宝剣荘

やっとの思いで乗越浄土に到着。ここで、駒ヶ岳方面、駒飼ノ池方面、伊那前岳方面、宝剣
岳方面への4つの登山道に分岐し、曇り空に一転し山風が吹くなか稜線を一路宝剣荘に向か
い休憩する。昼食にと考え買っていたセブンイレブンおにぎりを、サンドイッチを取り出し
食べようとするが、ご飯粒がボロボロと床こぼれ落ちるではないか、さすがのわたしも腹を
立て、ローソンのおにぎりにすべきだったと悔やむ。残りも食べず、仕方がなしに同じメー
カのビーフジャージを口にするがこれも品質にばらつきあり固くて食べることができないも
のを残し、伊藤園の「お~いお茶」といっしょに腹のたしにする。酸素が効いたのか、ベン
ザブロックが効いたのか、はたまたウィスキーが複合的に効いたのか、嘘のようにすこぶる
体調回復する。山小屋の係員に礼を述べ退出し、登山を続行するため、乗越浄土に戻り、よ
く登山する女性の方に相談すると、こんなに風が強くなれば、宝剣岳は登らず、駒ヶ岳と伊
那前岳がベターだという結論に落ち着いた。


  伊那前岳

乗越浄土に立つ指導標と伊那前岳へ伸びる尾根。一番高いところは和合山で、伊那前岳はその向
こう側になる。 

  宝剣岳

  

  宝剣岳

  木曽駒ケ岳

  

宝剣山荘からなだらかな道を登ると巨岩の立ち並ぶ中岳。中岳から木曽駒ヶ岳を望む。鞍部
に見えるのは駒ヶ岳頂上山荘。山荘の左右の斜面に「駒」の名が付いた特産の高山植物、コ
マウスユキソウが群落を作る。山頂には、古来からの神社が木曽側と伊那側のふたつの神社
ある、木曽側と伊那側叉それぞれ里宮があり、氏子もいて祭典も行われ、神社庁にも登録さ
れている。

このように、山頂での休憩を含め、急速な単調回復もあり、順調に2つのコースを足早でこ
なし下山し、午後2時半には千畳敷駅へ到着し管の台バスセンターへ無事戻ってこれ、予定
時間通り6時ごろ帰宅できた。山中、山風にあったが概ね秋晴れの登山日よりであったが、
ある意味、生死を少し考えさせられたり、あるいは、「焦りは禁物」と戒める機会ともなる。

● 韓国・朴槿恵大統領支持率急低下

彼女が韓国の大変なことになっているよという。そうみたいだねと応えるが、本当にわから
ないので、ネット検索をすることにする。「韓国検察は31日夜、朴槿恵大統領の友人で、法
に反して機密文書を受け取っていた民間人女性の崔順実(チェ・スンシル)氏を緊急逮捕し
た。崔氏は国政介入などの疑惑の中心人物で、検察が真相解明に本腰を入れれば、朴氏は弾
劾や辞任などの厳しい選択を迫られる可能性が高まる。崔氏の国政介入は、対北朝鮮関係に
も及んでいたと見られている」((親友の愛人らが指図!?  朴槿恵大統領は「操り人形」だ
ったのか | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト, 2016.
11.01) という記事に目がとまるが複雑というか陰謀論のようであるよな筋書きである。

その1つが、崔氏と親しい財閥夫人や広告プロデューサー、彼女の愛人とされる元ホストが
居並ぶ「素人利権集団」が、大統領にどのように指図するかを秘密裏に話し合って、朴槿恵
大統領を操っていたというのだがそうだとすれば、今回のスキャンダルが、韓国社会に今後
長きにわたる混乱をもたらすのは間違いない。朝鮮半島はいま、南北分断のみならず、なん
の求心力もなくバラバラになってしまう危機に直面しているとこの記事は伝えているが、処
理を誤れば朝鮮半島は混乱きたし引いては極東の不安定リスクは増すことになるぐらいは、
わたしのような素人もわかることだが如何に?

● 昔の名前と学習能力

最近、民進党代議士の野田佳彦や自民党代議士の竹中平蔵の名前や露出が多くなったように
に思える。というのは、わたし(たち)にはすでに”終わった人”とおもっていたからだ。
例えば、「結婚したい、子供を欲しいと思う20代の割合が大きく低下している」(時事通
信, 2016,11、01)という。それによると、国立青少年教育振興機構が実施した2015年の
調査結果を、08年度調査と比較した。同機構の明石要一青少年教育研究センター長は「経
済格差や貧困の問題などが、新しい家族をつくる足を引っ張っているのではないか」と分析。
今回の調査は15年12月、インターネットを通じて全国の20~30代の男女に実施(調
査対象人数:4000人)。前回08年度調査は18~29歳の男女2400人)。

15年度調査で未婚者に結婚願望を聞いたところ、全体では「早くしたい」が16.9%「
したくない」が20.3%だったが、20代は「早くしたい」18.0%(08年度調査20
.2%)、「したくない」17.8%(同10.1%)で、「したくない」が急増。子供がい
ない人への質問では、子供を「結婚したらすぐにでも欲しい」が全体で18.2%だった。
一方、「欲しくない」は24.8%。20代は「すぐにでも欲しい」が16.5%(同17.0
%)で微減だったが、「欲しくない」は21.9%(同11.1%)と倍近くになった。未婚
者で交際相手がいる人に結婚しない理由を尋ねると、「とても」と「やや」当てはまると答
えた合計割合の多い順に、「経済的に難しい」63.8%、「一人が楽」50.4%、「仕事
が忙しい」48.3%だった。というものである。つまり、「デフレと格差拡大」の進行に
歯止めがかからない状況下にあり、すの責任がこの二人の名前は無関係でないと考えていた。
そうでなけれ、学習能力が欠けているのではないか。
 

 

デタッチと道灌と天こ盛り

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                                           我庵は松原つづき海近く 富士の高嶺を軒端にぞ見る


                                                             太田 道灌

                             

           

 

  Nov. 2, 2016

気象衛星「ひまわり9号」を搭載したH2Aロケット31号機打ち上げ成功!

 

   Oct. 14, 2016

【日本/アメリカ 新時代:デタッチとは何か】

なにげなくというか、昨夜ネット検索していると、「デタッチ( detach )」という言葉に漂着する。意味は、分離する、
切り離す、取り外す、派遣する、などの意味を持つ英単語。対義語は「アタッチ」(attach)。特に、ソフトウェア開発
で、デバッガなどが監視・制御の対象としていた(アタッチしていた)実行中のプログラム(プロセス)を監視下から
外すことを「デタッチする」という。データベース管理システムなどで、管理しているデータベースファイルをシステ
ムの管理下から切り離すことをデタッチという。特定の形式のデータベースをファイルの形でコピー・配布したい
場合などに用いる。ファイルの形で手に入れたデータベースをシステムの管理下に置く操作はアタッチという。ア
タッチの対義語は映画やTVでお馴染みの「アンタッチブル」。

 一言で言えば、村上文学はノーベル賞を受けてもいい、機は熟した、そのように思うのです。今回
 はダメでしたが、受賞にはかなり近づいているのではないかと思います。そこには、2つ理由があ
 ります。

 1つ目は、この世界に距離を置く「デタッチメント」という生き方の意味です。村上文学が日本で
 読まれ始めた1980年代から、人気が世界に拡大した2010年代までというのは、経済成長の結果とし
 て生まれた「豊かな世代」が、経済成長に「コミット」して上の世代が作ってきた世界への違和感
 を持ちはじめた時代でした。

 その違和感が、村上文学の持つ「この世界への違和感」とシンクロする中で、世界的に爆発的な人
 気を獲得してきたのだと思います。ですが、そうした読まれ方は悪く言えば「豊かさの帰結」とし
 ての貴族性であり、一歩間違えば高等遊民の思想に近いものとなる危険をはらんでいました。

              『ボブ・ディラン受賞の驚きと、村上春樹の機が熟した2つの理由』
              冷泉彰彦、ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト、2016.10.14


このコラムの執筆者の冷泉彰彦(れいぜい あきひこ 1959.06.22 - )は、アメリカ合衆国の教員、作
家、翻訳家、鉄道評論家。東京大学文学部卒業。コロンビア大学修士課程修了。プリンストン日本語学
校高等部主任で本名、前田文夫である。その彼はこのコラムで、日本のある時代においては「就活」の
中で、「村上春樹のファン」を自称する学生は「評価しない」という会社があったそうですが、その良
し悪しは別として、経済成長へのコミットという生き方とは、村上文学の持つ「デタッチメント」とい
うのは、相性は悪かったわけです。村上文学の本質がそうかという点は別として、そのような読まれ方
がされた時代だったのでした。と書いた上で村上のを次のよう評価する。


 ですが、現代は違います。日米欧をはじめとした先進国では、その経済は新しい段階、すなわち知
 的な創造力が求められる時代になってきています。企業共同体などの集団に「コミット」するよう
 な前世紀的な思想ではなく、一人ひとりが世界の現状と変化に距離を置きつつ冷静な見通しを持っ
 ていく、そのような生き方が実現されなくては、全体の成長も不可能という時代に突入しているの
 です。部分的には中国の社会もその段階に入りつつあります。

 それは村上文学が保守本流になり、時代に追いつかれたということではありません。村上文学は、
 さらにその先へと走り続けています。ですが、村上文学の持っている「デタッチメント」すなわち、
 この世界に距離を置くことから生まれる、個人の自立した姿、無自覚な依存を拒否する生き方とい
 うのが、現代はますます重要な考え方になっている、そのことは間違いないと思うのです。

 第2の理由は、紛争とその解決という問題です。2009年にイスラエルで行われたエルサレム賞の受
 賞式で、村上春樹氏は「卵と壁」というスピーチを行いました。また、2011年の福島第一原発事故
 以降は、村上氏は原子力の平和利用への反対という立場を明確にしています。

              『ボブ・ディラン受賞の驚きと、村上春樹の機が熟した2つの理由』
              冷泉彰彦、ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト、2016.10.14


このように述べ、あらゆる対象に「デタッチメント」を貫いてきた村上が、パレスチナや反原発運動に
連帯するという、単純な「コミットメント」の立場ではなく、イスラエルの「壁」は、これは万里の長
城や、ベルリンの壁、あるいはトランプの夢想する「メキシコ国境の壁」とは根本的に違い、イスラエ
ルのそれは、複雑な「入れ子構造となっている」その入植地をテロから守ると称して作られた複雑な壁
であり、その撤去を行うには西岸地区における両民族の共存を可能にする厳格な法体系と、共生のルー
ルがなくては成立しないとし、また「卵」というのも単純な話ではなく、パレスチナ人が卵や石を投げ
る平和的な抗議とではなく、火炎瓶や自爆テロも伴い、イスラエル側の行動も実弾射撃から戦車隊の投
入へとエスカレートし、そのような複雑な紛争を解決に導くには、「一方が善で他方が悪」だというよ
うな原理主義的な思想ではなく、粘り強いリアリズムを前提としている(はず)だ。あるいは、エネル
ギー政策も同様で、原発に対して最初から否定する態度も、また依存を前提に行動する態度もどちらも
合意形成能力には乏しく、目に見えない放射線に対して人間が本能的に抱く危機回避行動を甘く見ない
一方で、絶望的に資源のない国家が、温室効果ガスの排出抑制という地球規模の使命を果たすためには、
どんなエネルギーの「ミックス」が適正なのかは、極めて複雑な議論を要求するとと援用し、現代の社
会的課題、国際的な紛争、「複雑系」として存在するがゆえ、「一方の立場にコミット」してしまう態
度では、もう問題解決が不可能で、世界に対して距離を置く「デタッチメント」の思想というのは、別
の意味での重要な価値が出てきていると結ぶ。ここで、その思想が、「デコンストラクション」(脱構
築)や「ポストモダン」の思想とどこが異なるのか?あるいは、「絶望的に資源のない国家」という先
入観で思考停止せず「再生可能エネルギー技術」で突破を試みるわたし(たち)の考え方と どのよう
に違うのか違わないのか明確でないという疑問を払拭させるには不十分である。ともあれ「デタッチメ
ント」が「アドホックなキルケゴール」の思想と相似していると認めるならこの蟠りは消失するであろ
う。

                              
  冷泉彰彦 

   マンガだけじゃない! 日本の子どもの読書量は多い

 

 Oct. 30, 2016

【RE100倶楽部】

● テスラ「発電する屋根」を開発

いよいよ、電気自動車ベンチャーのテスラが、16年10月28日(現地時間)、住宅用の屋根タイル
と一体化した太陽光パネル「Solar Roof」を発表。同社が買収手続きを進める米国の太陽光パネルメーカ
ーソーラーシティと共同開発した製品で、17年夏から米国で生産を開始する。最も、瓦型ソーラーパ
ネルは旧三洋電機(現在、パナソニック)が世界で初めて開発しているが、テスラの説明では下図の価
格別商品シリーズを準備――Solar Roofの最大の特徴は太陽光パネルに見えないという点。主に強化ガラ
ス、ルーバーフィルム、高効率太陽電池セルの3層で構成されており、屋根に設置しても遠目からだと
一般的な屋根タイルのように見える。現時点では4種類のデザインを公開(下図)。尚、変換効率は、
22%と高性能。

テスラはSolar Roofとともに、新型の定置型蓄電池を発表した。家庭用の蓄電池「Tesla Powerwall」、業
務用蓄電池システム「Tesla Powerpack」のそれぞれについて新型モデルを用意。新型の「Tesla Powerwall
2」は容量14kWh(キロワット時)のリチウムイオンバッテリーパックを搭載。従来モデルの容量は 6.4
kWh で、容量は2倍以上に増加した。さらに温度管理システム、統合型インバーターなども統合、価格
は5500米ドル、日本円で61万7000円。同年8月にソーラーシティとの合併の合意に関する声明の中でも
この戦略を強調している。今回発表したSolar Roofと新型蓄電池が住宅向け市場を開拓していく上での主
力製品となっていく。さらに既存事業の電気自動車を組み合わせ、「太陽光パネル・蓄電池・電気自動
車」の3つをセットにした、統合的なエネルギーソリューションの提供を武器に市場開拓を進める狙い
をもつ。 

 Oct. 28, 2016

こうしたテスラの戦略の中で、重要なパートナー企業となっているのがパナソニック。両社はリチウム
イオン電池の生産について既に提携を進めているが、さらに16年10月18日には、テスラがソーラ
ーシティを通して傘下に置くバッファロー工場での太陽電池セル・モジュールの生産についても協業の
検討を開始すると発表。パナソニックは結晶シリコン基板とアモルファスシリコン膜を組み合わせた独
自のヘテロ接合型の高効率太陽電池「HIT」シリーズを強みとして持つ。こうした技術がSolar Roofに直
接適用されるかは不明だが、パナソニックの技術力とテスラの販売力を組み合わせたシナジーによる市
場開拓に向け、着実に提携領域は拡大するとみられる。

ただし、この太陽電池生産における提携については、テスラによるソーラーシティの買収が完了するこ
とが条件となり、テスラはソーラシティ買収で製品販売におけるコストを最初の1年間で1億5000万ドル
削減できると見込むる。今後の事業収支や販売ネットワークの強化などにも影響するものであり、テス
ラとしては早期にこの買収を完了したい考え。買収が遅れれば、製品開発や生産計画に影響が出る可能
性もある一方、この買収については株主から疑問視する声も挙がっている。今回の新製品の発表は、ソ
ーラーシティの株主に両社のシナジーをアピールし、買収手続きを前進させる狙いもある。この買収に
関する投票を行うソーラーシティの株主総会は、16年11月17日(現地時間)に予定している。

 Oct. 20, 2016

● 東芝 光で二酸化炭素をエチレングリコールに変換

東芝は、光で二酸化炭素をエチレングリコールに変換する光電気化学システムを開発し、エネルギー変
換効率0.48%を達成。電気化学的に二酸化炭素をエチレングリコールに還元する分子触媒の開発
を進め、今回、光起電力素子としてシリコン系太陽電池を用い、光で二酸化炭素をエチレングリコール
に変換する光電気化学システム。

分子触媒は金属表面上にイミダゾリウム塩誘導体を高密度に吸着させたものです。金属表面に吸着した
イミダゾリウム塩誘導体が分子上で二酸化炭素分子と相互作用をすることで、従来実現できなかった反
応を可能にしました。これは、分子触媒が、二酸化炭素の反応を促進するとともに、2電子還元反応よ
りも複雑な多電子還元反応の反応場としての役割を果たしているからと考えている。得られたエチレン
グリコールは、PETボトルやポリエステル繊維・樹脂の原料にも使用できる汎用性の高い工業原料。分子
触媒の吸着方法を見直して二酸化炭素還元の性能を向上させた電極を利用し、触媒が最も効率的に作用
するように光電気化学システムを制御した事により、光によるエチレングリコール生成が可能となる
(特許出願中)。

  道灌物語

【琵琶湖ワイナリーへGO!:道灌物語を紐解く】

葡萄栽培に最適な土壌づくりを目指して、滋賀県栗東市浅柄野の広大な荒蕪地を開墾し、表土と底地を
取り替える天地返しの大工事を成し遂げた結果、見事完成した理想的な葡萄園が当、琵琶湖ワイナリー。
昼夜の温度差が激しく日照の良いブドウ畑で、除草剤をいっさい使わずに徹底した有機農法によリ丹精
こめた栽培している。琵琶湖ワイナリーとして数多くのワインを現在までに世に送り出している。ここ
で生み出されるワインは一流ホテルをはじめ、各方面から高い評価を受けているという。

永源寺のヒトミワイナリーにつづき、今度は琵琶湖ワイナリーを訪れよう彼女が提案。即決で明日現地
に出かける予定に。

 
ところで、ここの経営太田酒造で大田道灌(1432-1487)――室町時代中期の武将。資清の子。幼名は鶴
千代麿。源六郎と称し、持資、のち資長と改名。左衛門大夫,備中守,正五位下に任じ,入道して春苑
道灌と号した。父資清は武蔵国都築郡太田郷に住み,扇谷上杉氏に仕えた―――の末裔が営むというか
ら面白いではないか。


● 米原ルート4000億円で最安 北陸新幹線


● 木曽駒ヶ岳残照記 

ホテル千畳敷まで下山し、喫煙にデッキへでて、富士を眺望しながら、ケントメントールを吸っていた
時、年格好が60歳を超え五郎丸歩並み大柄の男性と今日の体験や計画のいきさつをわたしの方から話
しかけ、これで冥土への良い土産ができましたと結んだ。暫くするその方の奥様が来られたが、そのバ
ックパックがあまりにもベストヒットしている様を見て、よくお似合いですね、自分にぴったりしたバ
ックパックは疲労を感じさせないといいますが、よくお似合いですねと話かけると、彼女はでもここが
(背中とバックパックの間)空いているのよ。こうすることで汗を外部発散させているのようねと説明
してくれた。最近のスポーツ用品はハイクオリティーだと感心しホテル内に戻り、ロープウェイとバス
を乗り継ぎ下山し、管の台バスセンターに戻り、駐車場から出ようとすると、先ほどの男性が、窓越し
に、それは優しく微笑みかけ、別れの会釈を交わし駐車場を後にした。話はそれだけで終わらない。翌
朝、眼をさますとその男性の「優し微笑み」が心臓から五臓六腑に染み渡るかのように感じられ、目頭
が熱くなる。山を愛するひとたちはかくも優しく素敵なのかと初めての体験に感嘆し涙する。

                                            

高性能PMSM時代

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               自分自身の体験と思索によって到達した考えは、たいがいの場合われわれは
               おだやかにつつしみ深く口にするものである。

                                                                      美しき惑いの年 / ハンス・カロッサ



                                               

                                                                        Hans Carossa  Dec. 15, 1878 - Sep. 12, 1956

 

  Oct. 24, 2016

【水力発電ポンプ工学の此岸:永久磁石埋込型電動機の高性能化】 

先月、東京ビッグサイトで開催された展示会「第6回 水イノベーション」に三相電機とアシアティ
ック・エンジニアリング・ジャパンと共同開発・参考出展した「小型水力発電ポンプ」――ポンプ
に水を逆に流し、通常とは逆方向に回転させて発電を行う「ポンプ逆転式」の発電機で、大きさは
430×441×180ミリメートル、重さ約30キログラム。水車と発電機の一体構造で小型で、狭いス
ペースに設置しやすく大掛かりな工事不要で、最短で1日で設置可能な―――例えばビル空調の循
環水が流れる配管や工場排水設備の配管に接続することで、供給圧の残圧を利用して水力発電が行
え、こうした配管の残圧が利用できる安定水源があれば有効で、さらにため池や河川から配管を通
して取水して発電を行うことも可能という、管水路用マイクロ水力発電システムの発電ポンプが話
題となっている。

 

この発電機の発電機の主な利用条件は2つ。(1)10~21メートルの有効落差を確保でき、(2)
水量が1分あたり300~450リットル確保できることである。売電機能は搭載しておらず、自立型の
独立電源システムとしての利用を想定した製品となっている。発電機の最大出力は750W(ワット)
で、最小が200ワット。未利用エネルギーを電力に変えてバッテリーに充電したり、ビルや工場内
の照明などに利用したりできる他、災害時の電源としても使用可能。なお、設置の際には整流回路
ユニットと、直流電力を交流に変換するための市販のパワコン(インバータ)も併設する。三相電
機とアシアティックは、今月をめどに小型水力発電ポンプの実証を兼ねたモニター販売を開始し、
17年の前半には一般販売開始する考え。正式価格は決まっていないが百万円以下をめざす。 Oct. 24, 2014

これらの高性能な小型発電ポンプの進展には、(1)ポンプインペラー(あるいは、タービン、水
車)の高性能ととも、(2)ネオジウムなどのモーター磁石の高性能化が寄与があり、永久磁石の
コンパクト化(ダウンサイジング)などの研究開発が行われきている。参考までに、下記の新規考
案事例を掲載する。

● 特開2014-039355 駆動装置および駆動方法

冷蔵庫やエアコン等に設けられている圧縮機、車両、車両に搭載されている車載機器)を駆動する
駆動装置は電動機を備えている。このような電動機として、下図のような、永久磁石を有する回転
子を備える電動機が用いられている。軸方向に直角な断面図で示されている電動機は、固定子と回
転子から構成され、固定子は、軸方向に直角な断面で見て、周方向に沿って配置されている複数の
ティース532、隣接するティースで成される複数のスロット535に挿入されている各相の固定
子巻線540で構成。回転子は、軸方向に直角な断面で見て、周方向に沿って交互に配置されてい
る主磁極部と補助磁極部をもつ。主磁極部には、磁石挿入孔561が設けられ、磁石挿入孔は、永
久磁石が挿入され、磁石挿入孔と永久磁石、主磁極部の外周面の周方向中心と回転子の中心Oを結
ぶd軸に直交する方向に沿って直線状に延る。永久磁石には、保持力が大きい希土類磁石が用いて
磁石挿入孔に挿入されている永久磁石の回転子を備える電動機は、永久磁石埋込型電動機(Perma-
nent Magnet Synchronous Motor: PMSM)と呼ばれ、(1)誘導電動機・電磁石同期電動機などより
高効率、(2)整流子・ブラシ・界磁励磁回路・スリップリングがなく、保守が容易である、(3)
界磁の損失による温度上昇がなく、界磁温度上昇に対する保護が不要などの特徴をもつ。   Feb. 27, 2014

近年、このような電動機(永久磁石埋込型電動機)に電力を供給する電力供給装置として、インバ
ータ装置が用いられている。インバータ装置は、回転子550が回転方向Rの方向に回転するよう
に、回転子550の位置に基づいて制御される。さらに、電動機のトルクを高めるために、各相の
固定子巻線540に誘起される誘起電圧より設定角度αだけ進んだ時点で各相の固定子巻線540
に電圧が印加されるように制御される(「進角制御」と呼ばれている)。例えば、図10に示され
ているように、回転子550の主磁極部のd軸が、固定子巻線540により形成される磁極の中心
Zより設定角度(「進角」と呼ばれている)αだけ進んだ位置に達した時点で固定子巻線540に
電圧が印加されるようにインバータ装置が制御される。

ここで、電動機500を進角制御する場合、図10に矢印で示されているように、固定子巻線54
0により発生する磁界が、回転子550の永久磁石571に、永久磁石571の着磁方向と逆向き
に印加される。このように、永久磁石571の着磁方向と逆向きの外部磁界が永久磁石571に印
加されると、永久磁石571が減磁されて電動機の特性が低下する。 永久磁石571の減磁を抑
制する方法としては、永久磁石571の厚さを大きくする方法が考えられる。しかしながら、永久
磁石571の厚さを大きくすると、永久磁石の使用量が増大する。

このため、永久磁石の減磁を抑制しながら永久磁石の使用量を低減することができる技術が要望さ
れている。特に、希土類磁石は価格が高いため、永久磁石として希土類磁石を使用する場合には強
く要望される。なお、特開2004-350345号公報には、最大トルクの低下を抑制しながら
トルク脈動を抑制するために、永久磁石と回転子の外周面の間に、径方向に沿って延びているスリ
ットを設ける技術が開示されている。しかしながら、特開2004-350345号公報には、永久磁石の減
磁を抑制しながら永久磁石の使用量を抑制するための技術は開示されていない。本発明は、この
ような点に鑑みて創案されたものであり、永久磁石の減磁を抑制し、また、永久磁石の使用量を
低減しながら電動機を進角制御することができる技術を提供することを目的とする。

● 特開2012-114970 永久磁石埋込型電動機

回転軸9の方向に永久磁石収容孔8が複数形成された回転子鉄心7と、回転軸9に直角な面におい
て、永久磁石収容孔8に回転子6の周方向で隣り合う永久磁石10の長手方向の端面どうしが同極
どうしとなるように挿入した永久磁石10を備えた回転子6からなり、磁極数の個数に対して永久
磁石収容孔8の個数が同数であり、回転軸9に直角な面において、全ての永久磁石収容孔8の長手
面が、回転子6の内周側から外周側へと延びる方向で、かつ、隣り合う永久磁石収容孔8が干渉し
ない範囲で、回転子外周側8aを径方向に対して同一周方向へ傾けることで永久磁石量を増やすこ
とが可能な形状とし、永久磁石収容孔8に永久磁石10を有する永久磁石埋込型電動機であること
で、永久磁石の個数を磁極数と同一としながら、性能面を改善した永久磁石埋込型電動機を提供す
る。

 

 

【発電機を搭載した電気自動車が登場】 

高性能でコンパクトな電動機の進化は、小型発電ポンプのような再生可能エネルギー分野だけでな
いことは当然。今月2日、日産自動車が新しいタイプの5人乗り電気自動車を発売。発電専用のガ
ソリンエンジンで作った電力をバッテリーに蓄えながら、モーターだけで走る仕組みになっている。
従来の電気自動車のように充電する必要がなく、しかも同型のガソリン車と比べて燃費を約1.4
倍に改善するという。これは電気自動車なのか、それともハイブリッド車なのか。しかし内部の構
造はどちらとも違う。ただしガソリンエンジンでは走らずに、エンジンを回して電力を作ってモー
ターだけで走る。エンジンとモーターを組み合わせて走るハイブリッド車ではなくて、ガソリンエ
ンジン発電機を搭載した電気自動車である(上図参照)。バッテリーだけを搭載した電気自動車と
違い、充電を必要としない点が最大の特徴。ガソリンを補充しながら長距離を走るというもの。発
電専用のエンジンには発電モーターが組み込まれ、ガソリンを燃料にエンジンが回転して、モータ
ーで発電した電力を駆動用バッテリーに蓄電する仕組みは、前述した水力をここではガソリン燃料
の内燃機関を置き換えたモーター発電方式。モーターの最高出力は80kW(キロワット)を発揮。駆
動用バッテリーも同様にリチウムイオン電池を採用したが、リーフのように大量の電力を蓄えてお
く必要がないために小さな容量で済む。



高価なリチウムイオン電池が小容量で済んだことで価格を安く抑えることができた。本体価格はグ
レードによって139万円~224万円と手ごろな範囲だ。一方の日産リーフは247万円~40
7万円の価格帯。新発売の「NOTE e-POWER」には4種類の電力供給モードで、平坦な道を走って
いる状態では、バッテリーの残量によってエンジンをON/OFF。電力の残量が多ければ、通常の電
気自動車と同様にバッテリーから駆動モーターに電力を供給して走行する。エンジンが停止してい
るため走行音は極めて小さい。



電力の残量が少なくなるとエンジンを動かして発電する。発電モーターからバッテリーに電力を送
り充電しながら、バッテリーの電力を駆動モーターに供給して走る。エンジンの最高出力は58kW、
通常の走行状態であれば駆動モーターが消費する電力よりも多くの電力を作ってバッテリーに蓄え
る。急な加速や坂道を登る時には、発電モーターから駆動モーターに電力を直接送って、バッテリ
ーからの電力と合わせてモーターをフル回転させる。逆に減速時や坂道を下る時には、駆動モータ
ーの回転に逆らう作用で回生エネルギーが発生する。そのエネルギーで駆動用モーターが電力を作
ってバッテリーの充電量を増やすことができる。こうした4つの電力供給モードを組み合わせてガ
ソリンの消費量を抑える。「NOTE e-POWER」の燃費はJC08モードで34.0~37.2キロメート
ル/リットル)になる。ガソリン車の「NOTE」の燃費は23.4~26.2km/lで、約30%の燃費節減と
なり、因みに、トヨタ自動車のハイブリッド車「プリウス」の標準モデルの燃費は37.2km/l。
電力供給モード切り替えがあっての燃費削減の実現である。ここでも、第5次産業革命の『デジタ
ル革命渦論』の真価が発揮されるというわけである。

 

大一大万大吉のお守り

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                                          A statesman cannot aflord to be a moralist.

                                                                             Will(iam) Durant
             
                                  ※ statesman vs. politican   

 
                           政治家は道徳家になっている余裕はない。

                         アメリカの哲学者・教育家
                          ウィリアム・デュラント 

                                                                                                             Dec. 8, 1861 - Mar. 18, 1947

 

【世界の朝食:今日はミヤンマー】

● もうすぐモヒンガーが世界展開する!

ミャンマーは東南アジア10ヶ国の中でインドネシアに次ぐイギリスとフランスを合わせた二番目の面積の多
民族国家。ミャンマーは農業国で、人口の約90%は農民。様々な農作物の中でも稲作が主に占める。昔から
山間部や平地などの至るところで米が作られ、いろんな形で食されてきた。(焼く、煮る、炒める、火にさら
す)ミャンマーにあるお菓子もその一つで、米を粉にして作った麺もその一つ。この麺は太さによって3種類
に呼び名が分かれる。一番太い順にうどんより少し細いナンジー、そうめんみたいなナンティ、そしてきしめ
んみたいなナンビャー。もしナンジーの麺で作ったサラダはナンジートウと呼ばれる。モヒンガ(下写真)と
して食べる麺はナンジーの麺は使わずナンティと呼ばれる麺が使う。これらの麺を鶏肉、魚、エビ、揚げ物、
野菜等で和えてサラダとして食べる。サラダとして食べる時はスープが付き、この形をモウンティレットと呼
ぶ。このようにサラダとスープという形で食べる。

ミヤンマーとの国名の前はビルマと呼称され、多数派民族であるビルマ族の食文化を「ビルマ料理」と呼ぶの
が定着しているが、その特徴は、スパイスの使用が比較的抑えられ、油を多用する点にある。米が主食に据え
られ、1、2種類の副菜を添えて大量の米を食べるのが基本的なビルマ族の食事スタイル。シャン米、もち米
も食べられているが、ミャンマーの食卓にはインディカ米が上ることが多い。都市部では朝食を外食で済ませ
ることも珍しくなく、屋台や軽食堂では米以外にモヒンガー、オンノ・カウスェーといった麺類、ナンに油条
といった中華系やインド系の軽食も食べられている。一方昼食と夕食には米が欠かせず、米と副菜を一緒に食
べるのが一般的なミャンマーの食卓のスタイルである。

副菜は、日本では便宜上カレーと称されることもある「ヒン」という煮込み料理が中心、ヒンは「おかず」「
副菜」の同義語としても使われる。タマネギ(トマトが加わる場合もある)をベースとして煮込み、具はブタ、
ウシ、ヒツジ、ニワトリの肉と内臓、魚介類、野菜であり、調味料は具に応じて使い分けられる。その種類は、
煮込み時間によって、(1)水気の多いシーレー・イェーレー、(2)水気が無くなるまで煮込んだシービャ
ン(スィービャン)に大別される。どちらも多量の油を使って青トウガラシを多用しない点が特徴。スパイス
の種類は限られる。食材の風味とエキスを含んだ油が美味とされ、具とともに油も食される。インド風のヒン
は「カラーヒン」と呼ばれ、スパイスの種類が多いのが特徴である。ミャンマー内での健康に対する関心の高
まりから油の使用を抑える傾向もあるが、なお多くの油が料理に使われる。



食材にはヒラマメ、インゲンマメ、ヒヨコマメなどの豆が頻繁に用いられ、他の東南アジアの国に比べて種類
と調理法が豊富。ヒンの調理において、油でスパイスを炒める点が他の東南アジア大陸部の国で食べられる「
カレー」の調理法と異なり、むしろ豆の使用頻度とカレーの調理法同様インド料理と共通するが、使われるス
パイスの種類はインド料理よりも少ない。ミャンマーでは豆腐もよく食べられ、ヒヨコマメから作られること
もあり、ターメリックで黄色く着色した豆腐、厚揚げのように調理された豆腐も料理に使われる。ローゼルを
「チンバウン」といい、その葉を炒め物(ジョー)やスープにする。様々な太さや形状のライスヌードルも使
われる。

ビルマ料理では料理に塩味付けに魚醤と塩辛が使われるが、その種類は3つに大別される。(1)塩辛のペー
ストであるンガピ、(2)魚を原型のまま加工したンガピガウン、(3)魚醤のンガピーイェーである。ンガ
ピを加工したンガピジョーという、ふりかけに似たそぼろ状の副食も作られる。この魚醤はビルマ族伝統の食
文化ではなく、モン族、ピュー族など9世紀以前に上ビルマに居住していた先住民族から取り入れた食文化だ
と考えられている。また、かつては魚醤の素材は淡水魚が主であったが、19世紀以降ビルマ族による下ビル
マの開発が進むにつれて海水魚による魚醤が作られるようになり、56年より本格的な海水魚の魚醤の生産が
国営の工場によって開始される。ニンニク、タマネギを炒める際に使用され油「スィー・ジェッ」は、広い用
途のある調味料として有名。甘味料としてサトウキビとパームヤシから作られる砂糖、タマリンドや柑橘類で
酸味を付けるが、この点は他の東南アジア諸国と共通する。

さて、モヒンガについて。モウンティという言葉が、コウンバン時代(18 -19世紀)に、この時代の演劇作家
「ウーポンシャ」が、彼の芝居の中に出てくる一つに「モウンティの汁のような丸い形」と書かれ、モウンテ
ィとモヒンガが同じだとしたら、モヒンガがこの時代に存在していたと推測されるという(モヒンガをモウン
ティと呼んでいる地方がある)。また、米を粉にする道具や、それを水に漬けてこす道具のようなものが、近
年土の中から多量に発見され、米を作って食べていた時代から既に米で作ったお菓子やご飯の代わりになるモ
ウンティ、モヒンガ等があったのではないかと推測され、モヒンガの起源はおそらくピュー時代(1-9世紀)と
考えられている。

モヒンガの材料は色々な種類の豆、にんにく、タマネギ、とうがらし、香菜、ザパリン、バナナの茎等です。
この地方では魚抜きで作る。ミャンマーの南部ではモヒンガを作る時には先程の材料に、ナマズ、ヒレナマズ、
ニシニゴイダマシ、という魚を入れる。因みに、これらの魚が入っていないモヒンガは精進料理として食べる。
このように、モヒンガーは、ナマズなどの魚の出汁のスープに、お米から作られた麺が入った料理で、レスト
ランや屋台だけでなく、一般家庭でも食べられているミャンマーの国民食。お店のテーブルには、唐辛子、パ
クチー、ライムのようなカラマンシーのような柑橘系のトッピングがセットされていました。テーブルに座っ
てから、数分と待つことなく、モヒンガーとワンタンをカリカリに揚げたようなトッピングが一緒に出くくる。

 

【テスタがパナソニックと生産提携をする理由】

先月、米電気自動車(EV)大手の米テスラ・モーターズとパナソニックは、共同で太陽電池の生産を米国で
始める検討に入ったと発表。世界トップレベルの変換効率を持つパナソニックの「HIT太陽電池(結晶シリコ
ンと非晶質シリコンによるヘテロ接合型太陽電池)のセル製造技術を使い、17年に太陽電池の生産開始を予
定している。生産候補地は現在、米ニューヨーク州バッファローとなっている。テスラは、この夏、分散型太
陽光発電システム販売・施工において米国ナンバーワンの米ソーラーシティを26億米ドルで買収すると発表
したばかり。実は、そのソーラーシティは数年前から年間1GWの生産能力を持つ「ギガファクトリーと呼ばれる
太陽電池工場を、同じニューヨーク州バッファローに建設している。

ソーラーシティは、14年6月に米太陽電池ベンチャーであるシレボ社を2億米ドルで買収。同ベンチャーは、アプライ
ドマテリアズ(Applied Materials)の幹部によってカリフォルニア州シリコンバレーに設立された。結晶シリコ
ンと薄膜のハイブリッドの太陽電池セルの開発・生産を行う会社である。「トンネル接続型」という先端技術
を使用し、高効率化しつつ、製造工程を減らし低コストを達成。同社のトリックス (Triex)と呼ばれるセルテ
クノロジーの変換効率は22~23%で、世界トップレベル。既に、カリフォルニア州フレモントでパイロッ
ト生産と、中国で量産が行われていて、24%の変換効率を目標に掲げている。ちなみにフレモントの工場は、
破綻したソリンドラ社(Solyndra)が円筒型CIGS太陽電池を製造していた施設を利用。

 Jan..25, 2016

テスラのイーロン・マスク氏の従兄弟によって設立されたソーラーシティは、太陽光発電のトータル・ソルー
ション・プロバイダーとして、住宅、商業・公共用の分散型太陽光発電システムの設計、販売、施工、ファイ
ナンス、そして運営・メインテナンス・監視など全ての工程を行う。2015年には住宅用太陽光発電市場の35
%、商業・産業・公共用市場の14%のシェアを占め、競合他社を大きく引き離した。14年といえば、米国
では中国メーカーによる太陽光パネルのダンピングとそれに伴う反ダンピング関税の適応などで、パネルの安
定的な調達に問題が生じた。ソーラーシティは、シレボ社を買収することにより、独自に生産することで、パ
ネルの確保と 競争力を高めるという戦略を掲げた。

実際、買収時に行った株主総会で、同社は、「シレボ社買収により太陽光パネルを)国内生産することで、海
外生産より競争力が高まり、(中国産パネルの購入をなくすことで)輸入税が避けられ、運送にかかるコスト
も大幅に削減できる」と発表。つまり、従来のパネルより高効率、低コストで、「導入コスト」が一番低く提
供できる。

ソーラーシティは、ニューヨーク州バファロー地域にシレボ社の技術を使用した太陽電池のギガファクトリー
工場を建設することで、7億5000万米ドルの補助金を同州から支給される。工場の建設には約3億5000万米ドル、
そして製造機械設備に約4億米ドル費やされるという。建設中の120万平方フィートの製造施設は、同州の所有
で、ソーラーシティがリースすることになるが、なんとその月々のリース料は「1米ドル」!。これら手厚い
待遇と引き換えにソーラーシティに求められた条件は、今後10年間に渡り、50億米ドルをキャピタル、運営、
サプライチェーンに費やし、バファローに1500、そしてニューヨーク州全体に5000人の雇用をもたらす。14
年、バッファロー地域のリバーベンドでは、大々的にソーラーシティのギガファクトリー工場の着工式が行わ
る。その際、同社は16年夏にはパネルの製造を開始すると発表。完成時には、1日1万枚のパネルを生産で
きるこの工場は、西半球で最大規模になると言われる。

 



● シレボ社の買収は失敗だった?

今年に入り、工場は、ほぼ完成したものの、ソーラーシティの財務状況が悪化したことで、生産開始は17年
に延期された。さらに、バッファローに期待された新規雇用数も1500から500人へと下げられた。生産開始の
遅れ、さらにテスラのパナソニックの選択に、「シレボ社のテクノロジーは難しすぎたのか、それともコスト
が高すぎるのか」と、ソーラーシティによるシレボ社の買収失敗説を語るメディアが増えている。ただ、10
月末にマスク氏が「ソーラールーフ・タイル」を発表したことから考えると、シレボ社のテクノロジーはこの
新製品に使われ、新築、または屋根の葺き替えを必要とする「新しい屋根」市場に搭載され、パナソニック製
のパネルは「既築の屋根」に搭載されるという使い分けになりそうだ。住宅用の2つの異なる市場にそれぞれ
に合ったテクノロジーで開拓する戦略なのかもしれないと言われている。

 

 

 

【三成の旗印入りお守り:石田地蔵尊残る宗安寺で提供】

戦国武将・石田三成の念持仏がある彦根市本町一の宗安寺(竹内眞道住職)は、三成の旗印大一犬万大吉」を
印刷したお守りの提供を始めた。宗安寺は、慶長5年(1600)の関ケ原の戦いで井伊直政が佐和山城跡の
山麓に入った際、高崎(群馬県高崎市)から移築されて、それまでの安国寺から改名されたのが始まり。慶長
8年に現在の地に移されている。関ケ原の戦い後に佐和山城が焼失し、山麓にあった瑞星マも被害にあったと
され、同寺に残されていた 地蔵菩薩像や千体佛が宗安寺の末寺だった称名院(錦町)に移され、その後、宗
安寺で保管されるようになった。地蔵菩薩像は 石田地蔵尊とも呼ばれ、 千体俤と共に三成が大切にしていた。
宗安寺では、「一人が万民のために、万民がI一人のために・・・」の大一大万大吉の思いを広めるためにお
守りを作成。縦9センチ×横5センチの大きさで、三成が豊臣秀吉と出会ったきっかけにもなった百獣の茶」
などにちなんで緑色を基調にし、表に大一大万大吉、裏に宗安寺と記されている。

宗安寺で1個800円で販売。夢京橋あかり館ではお守り袋が500円で売られており、それを宗安寺に持参
して、300円で願い事を書く紙とお札を受け取って袋の中に入れる方法もある。その際の縦覧料は無料。問
い合わせは宗安寺(0749-22-0801。(出典:しが彦根新聞 2016.11.05) 



ところで、宗安寺に三成が関ヶ原の戦いの前に拝んでいたという千体仏、三成の念持仏として存在することが
「お坊さんバラエティ ぶっちゃけ寺」(テレビ朝日 2015.06.01 )で紹介された折り、宗安寺住職竹内眞道
に千体仏について「石田三成公は阿弥陀様の救いを求めていたことがひしひしと伝わりますし、時に多くの命
にご加護が行き渡ることを祈っていたのかもしれないですね」と答えている。千体仏と石田地蔵尊は、もとは
戦国時代の武将は 身代わり地蔵――危険な目に遭ったときにお地蔵さんが現れ身代わりになる――この世で
最後とする究極の美の力として耐えうるお地蔵様と崇めたものだが、これを三成が母の菩提を弔うために佐和
山の山麓に建てた瑞岳寺に安置した。また宗安寺には、淀殿が拝んた阿弥陀如来立像が井伊家の家臣所藤内に
より運ばれ安置され、さらには、大坂夏の陣のおり木村重成重成を討ち取った彦根藩士が手厚く葬った首塚も
もある。



それにしても偶然とはいえ、小学生の朝のラジオ体操の場所であった大阪の太融寺には淀君の墓が納められ、
賤ヶ岳の戦いでは、豊臣秀吉方として高山右近の部隊として参戦し、宗安寺の墓で両親が眠っているいるとは
不思議な縁を感じざるをえない。明日は、墓参り方々お守り買って帰ることにしよう。『銃士は国王のために
国王は銃士のために』(One for All, All for One.:アレクサンドル・デュマ「三銃士」)、あるいは、『ひとり
ひとりはみんなのために、みんなはひとりひとりのために』(Each foe All and All for Each:フリードリヒ・ヴ
ィルヘルム・ライファイゼ「信用組合論」第2版序文)、そして、今夜の『皆のために、皆は一人のために
「大一大万大吉」』(石田三成)である。

  

 


お守りと四角皿をゲット!

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        楚の黄金あるは、斉に菑石あるに中るなり。いやしくもこれを操りて
        工ならず、これを用いて善ならざるあれば、天下、倪して是んのみ。

                                                軽重 / 管子

 

                            
                                                     管子 Guan-zi   720–645 BC

 

  Oct. 28, 2016

【RL100倶楽部:小規模バイオマス:排熱活用とガス化で採算確保】

エネルギー関連事業を展開する洸陽電機は、このほど同社が計画中の木質バイオマス(ガス化)発電
事業に、グリーンファイナンス推進機構から、3億9千万円の出資を受ける。このプロジェクトは、
洸陽電機が地元企業などと共同により宮崎県串間市で行う、間伐材を中心とした未利用バイオマス資
源を活用した小規模(発電規模2000kW未満)な木質バイオマス(ガス化)熱電併給事業。小規模木質
バイオマス発電事業は、5000kW(キロワット)以上の木質バイオマス発電事業に比べて、スケールメ
リットが働かず十分な収益性が得られないことなどを理由として、全国的な普及が進んでいない。同
プロジェクトでは、発電時の排熱や木材加工時の端材処理により発生する熱をバイナリー発電や燃料
となるペレット加工時の乾燥に活用すること、加えて木質燃料をガス化にすることでより高効率かつ
安定的な事業を目指す。
尚、事業による二酸化炭素削減効果は年間7478トンを想定。 

 



【加速度センサーの誤差を1千兆分の1以上の精度で識別】

● 自宅や自動車の鍵、PCログイントークン、入館カードをウェアラブル端末に集約

KDDI総合研究所は16年10月、ウェアラブル機器に内蔵された加速度センサーの個体差から、固有IDを
生成する技術を開発――技術は、ウェアラブル端末などに搭載されている加速度センサーを活用。加速度
センサは、X軸やY軸、Z軸などの最大値や最小値といった特性が個体により、それぞれ微妙に異なると
いうこうした個体差を利用し、複製が困難な端末機固有のIDを生成するソフトウェア技術。このような技
術開発は世界初でもある。また世界のトップ技術が市場に投入される。これは面白い。

 Oct. 12, 2016

 ● 新技術の特徴

高い一意性と頑健性を実現した端末固有のIDを生成。加速度センサーを、1000兆分の1以上の精
度の端末識別IDを生成可能。また、同一の端末でID生成を10,000回繰り返し、同一の端末識別
IDが生成されること、高温(90℃)、低温(-18℃)、低気圧(高度2,000m)の環境下において
も同一の端末識別IDが生成されることを確認。 ソフトウエアのみで高速・軽量に実現。約10キロバイトのライブラリにより、端末識別IDを約
50ミリ秒で生成。高速・軽量な処理のみで端末識別IDを生成でき、処理能力の制約が大きいIoT
端末でも利用可能。 必要に応じてメモリ上で端末識別IDを生成し、鍵として利用。ストレージに鍵を残さない仕組
みを実現。メモリ保護技術によりメモリ上のデータを保護することで高い安全性を確保。

 

 

 

    

 

【我が家の焚書顛末記 16:中国思想 管子】     

  軽 重    ――管仲の経済政策―― 

 「経済政策」といっても、もらろん二千数百年前のことである。ここに集録されているエピソー
 ドは一見、たわいない。だが、武力侵略と掠奪による富国策しか念頭になかった当時の背景を考
  えると、管仲の発想はなみなみならぬものがある。「まず物質的な基礎をつくる」ために、かれが、人間
  心埋、権力、客観情勢など一切のものを運用した点をくみとることができよう。

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  ことぱ

 「楚の黄金あるは、斉に菑石(しせき)あるに中るなり。いやしくもこれを操(と)りて工(た
 くみ)ならず、これを用いて、善ならざるあれば、天下、倪(げい)して是(み)んのみ」
 「国、塩なければ腫る、守圉の国は塩を用ること独り甚だし」
 「粟重ければ、万物軽し。粟軽ければ、万物重し。両者衡立せず]
 「下はすなわちその囷京実し、上はもって上に給し君のためにす。一挙して名実ともに在るなり。
 民なんぞなさざらんや」

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  物価と治国

  桓公が管子にたずねた。
 「物価の高騰が著しい。抑える手段があるか」
 「物価を人為的に操作することは不可能です。物価とは、なにかがあれば動き、うわさだけでも
 動く大変微妙なものです。したがって、為政者たるもの、一国の安泰をはかるには、物価の変動
 に対処できるよう、ふだんから天下の物資を寄せ集め、天下の人民を招くように努めることが肝
 要かと存じます」
 「天下の物資を寄せ集めるとは、どういうことか」
 「たとえば、かの桀王の時代、宮殿では三万人もの歌い女たちが、朝からにぎやかに歌い踊り、
 その音は城外遠くまで聞こえた。その女たちの衣裳といえば、まことにきらびやかであったとい
 われております。伊尹は、薄地方のこのきらびやかな織物を提供しては、その代償に、桀王から
 大量の穀物を得ました。
 当時、桀王は天子、天下の主であったにもかかわらず、天下を顧みることなく、歌い女や楽器に
 大金を投じました。それにつけこんで、伊尹は、桀王の穀物を手に入れ、本来桀王の得るべき利
 益を奪ったのです。天下の物資を寄せ集めるとは、すなわち、このようなことを申します」
 「それでは、天下の人民を招くとは、どういうことか」
 「州ごとに一人の監督官をおき、里ごとに五つの倉庫を設置します。そのうえで、正業をもたな
 い者には資金を貸し与え、葬式も出せない者には援勘合を与えます。こうして、衣食から死後の
 葬儀まで 保障され、困窮すれば生活資金まで貸与されるとなれば、天下の人民は流れる水のご
 とく、わが国に集まってまいります。天下の人民を招くとは、すなわち、こういうことをいうの
 です。
  このように、他国の物産を巧みに利用し、他国の人民を巧みに使用し、天下万民の心をつかむ、
 これこそ明人の方策にほかなりません」
 「いや、よくわかった」

              《伊尹》湯の宰相として仕え、夏王桀を伐ち、湯を殷王たらしめた。


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  桓公曰:「輕重有數乎?」管子對曰:「輕重無數,物發而應之,聞聲而乘之,故為國不能來天下
 之財,致天下之民,則國不可成。」桓公曰:「何謂來天下之財?」管子對曰:「昔者桀之時,女
 樂三萬人,端譟晨樂,聞於三衢,是無不服文繡衣裳者,伊尹以薄之游女,工文繡纂組,一純得粟
 百鍾於桀之國。夫桀之國者,天子之國也,桀無天下憂,飾婦女鍾鼓之樂,故伊尹得其粟而奪之流,
 此之謂來天下之財。」桓公曰:「何謂致天下之民?」管子對曰:「請使州有一掌,里有積五窌,
 民無以與正籍者,予之長假,死而不葬者,予之長度,飢者得食,寒者得衣,死者得葬,不資者得
 振,則天下之歸我者若流水,此之謂致天下之民。故聖人善用非其有,使非其人,動言搖辭,萬民
 可得而親。」桓公曰:「善。」

 桓公問管子曰:「夫湯以七十里之薄,兼桀之天下,其故何也」?管子對曰:「桀者,冬不為杠,
 夏不束柎,以觀凍溺,弛牝虎充市,以觀其驚駭。至湯而不然,夷競而積粟,飢者食之,寒者衣之,
 不資者振之,天下歸湯若流水,此桀之所以失其天下也。」桓公曰:「桀使湯得為是,其故何也?」
 管子曰:「女華者,桀之所愛也,湯事之以千金;曲逆者,桀之所善也,湯事之以千金。內則有女
 華之陰,外則有曲逆之陽。陰陽之議合,而得成其天子,此湯之陰謀也。」

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   遺族手当

  桓公は、戦死者の遺族に手当を与えようと思い、管子に相談をもちかけた。
 「わが国は国際的に交通要路の地に当たり、しかも食糧を他国にあおぎ、諸侯からは虎視耽耽と
 ねらわれている。このため戦が絶えず、そのたぴに多くの死傷者が出る。あとに残された子供や
 親は、仮宮を望んでいる。手当を与えたいのはやまやまだが、なにぶんにもその手立てがない。
 どうしたらよいだろう」

 管子はこたえた。

 「まず国内の有力者である偵出たちの扱いからお考えください。かれらは封土からのあがりをた
 めこんでいます。そこでかれらに穀物の供出を命じ、これに応じた者を表彰するのです。また穀
 物の供出を条件に、かれらを戦争から保護する約束をします。そうすれば、穀物の値上りをはか
 ることができ、穀物の値を上げておいてから人民にほどこす、これが手立てです。こうした領主、
 豪商たらは、物資の値上りを待ち、余剰物資を大量に蓄積しています。そこでわが君は、まず喪
 服を着用して、功臣ならびに譜代の臣、それに前述の領主および豪商たちを一堂に集め、こうお
 っしゃってください。

 『およそ戦いは、城堅がもろければ突き破られ、兵糧の備えが乏しければ包囲されて苦しまねば
 ならぬ。天下に戦乱が絶えぬ今、わが斉のみが備えを怠っていては大事を招こう。されば貴公た
 ち、あまた穀物を保有している者は、この際、誠意をもって、穀物を平時の価格で誼ってもらい
 たい。ただちに納入数量を書き出して誓約せよ。枡目をごまかすことはまかりならん』と。

  この話が伝われば、人民はただでさえ食糧に不自由しているのですから、買いだめをはかるこ
 とは必至であり、遠路もいとわず先を争うでしょう。となれば、困が買い入れた穀物は、たちま
 ち四十倍に値上りいたしましょう。そこで四十倍になった穀物を故出して、その売上げで孤児や
 寡婦にほどこし、貧民や病人を保浸し、身寄りのない老人が自殺することのないように扶養する
 のです。これが実行されれば、兵士は勇躍戦場に赴いて功名にはげみ、身命を賭して国家のため
 にはたらきます。たとえ多数の死傷者が出、死者がなかばを越えようと、士気はおとろえません。
 これはなにもかれらが戦いを好み、生血を軽視するからではありません。死の重みがそれだけ評
 価されているからです」

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  桓公欲賞死事之後,曰:「吾國者,衢處之國,饋食之都,虎狼之所棲也。今每戰,輿死扶傷,如
 孤荼首之孫,仰倳戟之寶,吾無由與之,為之奈何?」管子對曰:「吾國之豪家頡封食邑而居者,
 君章之以物,則物重,不章以物,則物輕。守之以物,則物重。不守以物,則物輕。故頡封食邑,
 富商蓄賈,積餘藏羨,跱蓄之家,此吾國之豪也,故君請縞素而就士室,朝功臣世家、頡封食邑、
 積餘藏羨、跱蓄之家,曰:『城脆致衝,無委攻圍,天下有慮,齊獨不與其謀?子大夫有五穀菽粟
 者,勿敢左右,請以平賈取之子,與之定其券契之齒,釜鏂之數,不得為侈弇焉。』困窮之民,聞
 而糴之,釜鏂無止,遠通不推。國粟之粟,坐長而四十倍。君出四十倍之粟,以振孤寡,收貧病,
 視獨老。窮而無子者,靡得相鬻而養之,勿使赴於溝澮之中,若此,則士爭前戰為顏行,不偷而為
 用。輿死扶傷,死者過半,此何故也,士非好戰而輕死,輕重之分使然也。」

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  鬼神の利用

※桓公曰く、「寡人、室屋に籍せんと欲す」。管子対えて曰く、「不可なり。これ成を毀るなり」。
「万民に籍せんと欲す」。管子曰く、「不可なり。これ情を隠すなり」。「六蓄に籍せんと欲す」。
管子対えて曰く、「不可なり。これ生を殺すなり」。「樹本に籍せんと欲す」の軽重甲篇はその簡潔
明快な表現から後世に編纂されたものであろう。国蓄篇の第七段、「凡そ五穀は高物の主なり」で始
まる一段には、室康・六畜・田畝・正人・正戸の五者によって税牧を計るのを善くないとする一文が
あるが、軽重甲篇の第六段の問答では「寡人、室屋に籍せんと欲す」という聞いを「不可なり」と退
けたあと、高民・六畜・樹木とつづき、「然らば寡人、安くに籍して可なるや」と管子に問いかける。

 「これまたなりません。せっかくの樹木を伐り倒してしまいます」
 「あれもいかん、これもいかんというなら、いったいなにに税をかければいいのだ」
 「鬼神に税をおかけになるがよろしいでしょう」
  桓公は顔をまっ赤にして怒鳴った。
 「人民、家屋、家畜、樹木でさえ駄目だというのに、この世ならぬ鬼神に課税できるとでもいう
 のか」
 「およそ物事は、理にかない、勢いに乗ずれば、成就するものです。策をたて、機をとらえれば、
 大なる成果が得られるものです。古来、王者は勢いに乗じ、聖人は機微に乗じて、よりよき成果
 を生み出してまいりました]
 「いったい、どうやって鬼神に課税するのか」
 「かつて帝に五人の重臣がおりました。が、こんにち、かれらの祭・祀はとだえたままになっ
 ております。そこで、まず、子孫の絶えた功労者の祭祀を復活させ、かれら五人の祭祀をとり行
 なってください。その場合、春には蘭を献じ、秋には菊を飾り、大小の魚を供え物にするのです。
 こうすれば、魚はたちまち値上りし、その税収は百倍にも達しましょう。されば、現行の税をと
 るまでもなく、国州は十分にうるおいます。このうえ人民に税を課す必要がどこにありましょう。
 これこそ、祭祀と礼成によって増収をはかるやり方と申せます」

     《鬼神》死者の霊魂

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 桓公曰:「寡人欲藉於室屋」,管子對曰:「不可,是毀成也。」「欲藉於萬民」,管子曰:「不
 可,是隱情也。」「欲籍於六畜」,管子對曰:「不可,是殺生也。」「欲藉於樹木。」管子對曰
 :「不可,是伐生也。」「然則寡人安藉而可?」管子對曰:「君請籍於鬼神。」桓公忽然作色曰
 :「萬民室屋,六畜樹木,且不可得藉,鬼神乃可得而藉夫?」管子對曰:「厭宜乘勢,事之利得
 也,計議因權,事之囿大也。王者乘勢,聖人乘幼,與物皆宜?」桓公曰:「行事奈何?」管子對
 曰:「昔堯之五吏,五官無所食,君請立五厲之祭,祭堯之五吏,春獻蘭,秋斂落原。魚以為脯,
 鯢以為殽;若此,則澤魚之正,伯倍異日,則無屋粟邦布之籍,此之謂設之以祈祥,推之以禮義也,
 然則自足,何求於民也?」

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  水  練

  桓公が管子にたずねた。
 「北進して孤竹、離枝の二国を伐ちたい。しかし今、北方に軍をくり出せば、天下で一番強い越
 が南方から攻めてくるに違いない。うまい対策はないか」
 「越は舟戦が得意ですから、わが軍も水泳につとめることです。そのためには川の流れをせきと
 めて沼をつくり、水泳を奨励するのです。そうすれば、いかに舟戦に長じた越といえども侵略で
 きますまい」
 「具体的にはどうする?」
 「まず、領内の川の水をゼきとめて丸い大きな池をたくさんつくります。なかには深い池もつく
 っておきます。そうしておいてから『水泳に秀でた者にはほうびとして十金をとらせる』と布告
 するのです」
  桓公がこの策を実行に移したところ、千金も使わないうちに、斉の人民は以ハ越の人民に負け
 ないぐらい泳ぎが達者になった。
  そこで桓公は北進して孤竹と離枝の攻略にとりかかった。はたして越はその隙をついて斉を攻
 めた。越軍は曲菑の水をせきとめて水攻めの策をとった。管仲はかねて鍛えておいた水練の達人
 五万人を動員し、越軍を曲菑に迎え撃って殲滅した。これは「水練の策」といわれている。
 
      《孤竹、離枝》春秋時代の小国。
      《曲菑》菑水の湾曲した部分。

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 桓公曰:「天下之國,莫強於越,今寡人欲北舉事孤竹離枝,恐越人之至,為此有道乎?」管子對
 曰:「君請遏原流,大夫立沼池。令以矩游為樂,則越人安敢至?」桓公曰:「行事奈何?」管子
 對曰:「請以令隱三川,立員都,立大舟之都,大身之都,有深淵壘十仞。令曰:『能游者賜千金』,
 未能用金千,齊民之游水,不避吳越。桓公終北舉事於孤竹離枝,越人果至,隱曲薔以水齊,管子
 有扶身之士五萬人,以待戰於曲薔,大敗越人,此之謂水豫。」

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   貧民救済

  桓公は、城北地区の貧しい生活ぶりを憂え、町子を呼びりせた。
 「城北地区の人民は本業の野菜づくりのほかに、ぞうりなどをつくって暮らしのたしにしている
 とのこと。なんとか救済してやりたいが、方法はないか」
  管子がこたえていうには、
 「こんな禁令を出してみたらどうでしょう。
  1、米百鍾を生産する農民は、靴をつくるな。
  2、米千鍾を生産する農民は、菜園をもつな。
  3、市場から三百歩以内の近距離に住む者は野菜をつくるな。
  こうすれば、それによって生じた空地を城北の貧民に分け与えることができます。さらに、手
 づくりのぞうりや野菜を高く売ることができます。今までの十倍も利益をあげることができまし
 ょう」

 《ぞうりなどを……》原文は「屨縷の甿」。屨とは麻やわらでつくった靴。縷とはぼろ布。履物
 づくりを暇とする賎民。
 《手づくりの……》原文は「手搔の功」。手細工でできたもの。ここでは履き物づくりを指すす。
  分業化 この説話は。一面では、春秋時代における分業化の進展を物語るものと見ることもで

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 桓公憂北郭民之貧,召管子而問曰:「北郭者,盡屨縷之甿也,以唐園為本利,為此有道乎?」管
 子對曰:「請以令禁百鍾之家不得事鞽,千鍾之家不得為唐園,去市三百灸者不得樹葵菜,若此,
 則空閒有以相給資;則北郭之甿,有所讎其手搔之功,唐園之利,故有十倍之利。」

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※ 参考:『管子』軽重篇の成立、金谷 治 1984.06.30

                                      この項つづく

  ● 庭の山茶花と柚子

秋晴れで、朝から宗安寺に墓参と三成の旗印入りお守りを頂き、帰りに永源寺のヒトミワイナリーに
立ち寄る。ここで「お守り」と「十場天伸作 四角皿」をAR・ゲットではなくリアル・ゲットする。

  

彼女からメールが届く。庭の柚子と山茶花の花の写メールだった。
 

 

カクテル「直政 赤鬼」登場

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           知と愛とは同一の精神作用である。それで物を知るには、
           これを愛せねばならず、物を愛するのはこれを知らねば
           ならぬ。

                                            西田 幾太郎 『善の研究』


                                                                    
                                May. 19, 1870 - Jun. 7, 1945

 

 

 【量子ドット電子デバイス工学講座】

● 色素増感型量子ドット太陽電池の特許事例

化石燃料を使用することなく再生可能エネルギーの一つである太陽エネルギーを使用する太陽光発電
技術術の色素増感型太陽電池は、クロロフィル(葉緑素)色素が行う光誘起電子移動と同様のメカニズ
ムで発電するため、安価で高性能なルーフ・トップ型の次世代を担う太陽電池の一つとして脚光を浴
びている。このような色素増感型太陽電池の一般的な構成は、基板、第一電極、増感色素が担持され
た半導体層(光電変換層)、正孔輸送層、および第二電極が順次積層から構成され、基板の外側から
光が照射されると、素子内部の光電変換層の増感色素が励起されて電子を放出する。励起された電子
は第一電極に移動し、この電子は、外部回路を通じて第二電極に移動して、正孔輸送層に供給され、
(電子を放出して)酸化された増感色素は、正孔輸送層から電子を受け取り、基底状態に戻る。この
ようなサイクルを繰り返すことで、光エネルギーが電気エネルギーに変換される。

例えば、量子ドットがチタン酸化物で被覆されてなる量子ドット含有チタン化合物を増感色素として
用いる光電変換素子があるが光電変換効率が低い(下図1Aは本発明に係る被覆量子ドットを示す概
略図、図1Bは従来の量子ドット含有チタン化合物を示す概略図)。このような問題解決方法として、
特定の量子ドットを増感色素とし光電変換層に用いることで問題の解決を図る。

● 解決手段の実施例

基板1、第一電極2、半導体5および半導体として機能しかつ量子効果を有する量子ドット4を含有
する光電変換層6、正孔輸送層7、ならびに第二電極8を有する光電変換素子10。量子ドットとし
て、下記式(1)で示される半導体ナノ粒子を用いる。

 

ただし、Xは、前記半導体に吸着しうる基を表し、Yは、前記半導体ナノ粒子に配位しうる基を表し、
nは、1~5の整数である。上式(1)において、Xは、トリアルコキシシリル基(-Si(R)3:
Rは、それぞれ独立して、炭素原子数1~18のアルコキシ基である)、カルボキシル基(-COO
H)、リン酸基(-OPO(OH)2)、シアノ酸基(-CH2=C(CN)(COOH))またはス
ルホン酸基(-SO3H)である、請求項2に記載の光電変換素子。式(1)のYは、スルフィド基
(-SR’:R’は、水素原子または炭素原子数1~6のアルキル基である)、カルボキシル基(-
COOH)、アミノ基(-NH2)、ホスホン酸基(-PO(OH)2)、またはホスフィニル基(-
PH2(O))である、

さて、正孔輸送層は、固相で、導電性高分子を含有する、光電変換素子。また、酸化剤存在下で光電
変換層と導電性高分子前駆体とを接触した後、量子ドットに光を照射し導電性高分子前駆体を重合す
ることにより形成。酸化剤は、過酸化水素、酸素、メタノール、金属塩または有機過酸化物。導電性
高分子前駆体は、下記式(2)である。



ただし、Zは、硫黄原子(S)、NQ、または酸素原子(O)を表し、この際、Qは水素原子または
アルキル基であり、R1~R4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置
換の炭素原子数1~30のアルキル基、置換もしくは未置換の炭素原子数3~10のシクロアルキル
基、置換もしくは未置換の炭素原子数1~30のアルコキシ基、炭素原子数2~30のポリエチレン
オキシド基、または置換もしくは未置換の炭素原子数4~30の環式化合物含有基を表す、に示され
る繰り返し単位を有する。

導電性高分子前駆体は、上記式(2)を有してポリマー化する役割を担うものであることが好ましい
が、上記式(2)を単独または複数種類の繰り返し単位が結合した多量体(下表参照)を用いてもよ
いし、予め上記繰り返し単位を有するモノマーを必要に応じて、単独あるいは複数種類のモノマーと
共に重合したプレポリマー(二量体以上の多量体やいわゆるオリゴマーを含む)であってもよいが、
この場合、導電性高分子前駆体がプレポリマーであり、光電変換層に導電性高分子前駆体をプレポリ
マーの形態で塗布して、光電変換層上で化学重合して導電性高分子を形成する方法が簡便である。




● コアシェル半導体ナノ粒子の平均粒径の測定方法

公知の方法、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)により半導体ナノ粒子の粒子観察を行い、そこか
ら粒径分布の数平均粒径として求める方法、電子間力顕微鏡(AFM)を用いて平均粒径を求める方
法、動的光散乱法による粒径測定装置(例えば、Malven社製ZETASIZERNano Series Nano-ZS)を用い
て測定する方法、X線小角散乱法により得られたスペクトルから半導体ナノ粒子の粒径分布シミュレ
ーション計算を用いて粒径分布を導出する方法などを用いることができるが、ここでは、ランダムに
抽出した所定数の半導体ナノ粒子をTEMで観察し、体積換算した粒径の平均値をとることで算出し
た平均体積粒径で表している。実施形態で用いるコアシェル半導体ナノ粒子の平均体積粒径としては、
具体的には、1~10ナノメートルの範囲内である。

● コアシェル半導体ナノ粒子の製造方法

液相法、気相法等、従来行われている公知の任意の方法を用いることができる。液相法の製造方法に
は、沈殿法である、共沈法、ゾル-ゲル法、均一沈殿法、還元法などがある。そのほかに、逆ミセル
法、超臨界水熱合成法、ホットソープ法などもナノ粒子を作製する上で優れた方法である。気相法の
製造方法としては、対向する原料半導体を電極間で発生させた第一の高温プラズマによって蒸発させ、
減圧雰囲気中において無電極放電で発生させた第二の高温プラズマ中に通過させる方法、電気化学的
エッチングにより、原料半導体からなる陽極からナノ粒子を分離・除去する方法、レーザーアブレー
ション法などが用いられる。また、原料ガスを低圧状態で気相反応させて、粒子を含む粉末を合成す
る方法も好ましく用いられるが、コアシェル半導体ナノ粒子の製造方法としては、液相法による製造
方法が好ましいとされる。


 

【光電変換素子の製造方法】

この工程事例では、第一電極を表面に備えた基板上に、半導体および上記式(1)の色素を含む光電
変換層を形成する。工程(1)は、基板上に第一電極を形成する工程(第一電極の形成工程)と、第
一電極上に電子輸送層を形成する工程(電子輸送層の形成工程)と、電子輸送層上に光電変換層を形
成する工程(光電変換層の形成工程)とに分けられる(上図3参照)。

● 工程(1)

(第一電極の形成工程)

基材の上に第一電極を形成する方法としては、第一電極の材料に応じて適当な方法を選択でき、この
うな方法として、スパッタ法やCVD法(気相成長法)、SPD法(スプレー熱分解堆積法)、蒸
着法などが挙げられる。これらの方法により、ITO、FTO、SnO2などの酸化物半導体からな
る薄膜を形成する。当該第一電極は、厚過ぎると光透過性が劣り、一方、薄過ぎると導電性が劣って
しまうことになる。このため、光透過性と導電性の機能を両立させることを考慮すると、第一電極は、
0.03~3μm程度の膜厚範囲であることが好ましい。

また、第一電極をスリット状に形成する場合は、第一電極の材料に応じて適当な方法を選択できる。
具体例としては、エキシマレーザー、YAGレーザー、CO2レーザー、エアジェット、ウォータジ
ェットによる加工、エッチング加工、機械的加工などが挙げられる。これにより、透明導電層は、複
数の領域に分離することができる。スリットのピッチは、光電変換素子のセルのサイズに応じて、適
宜設定することができる。

(電子輸送層の形成工程)

この工程は、第一電極を表面に備えた基板上に電子輸送層を形成する工程であるが、省略することが
可能である。電子輸送層を形成する方法は、電子輸送層形成成分である電子輸送層前駆体を第一電極
上に被覆させて必要により熱処理を行う方法が挙げられる。具体的には、第一電極が基板表面に形成
された透明導電性基板上に電子輸送層形成成分の(塗布)層を形成した後、CVD法または焼成法に
より反応が進行して電子輸送層を形成する方法、電子輸送層形成用の塗布液を用いたインクジェット
法やスピンコート法による塗布、原子層堆積(ALD)法が好ましい。なかでも、第一電極が基板表
面に形成された透明導電性基板上に、電子輸送層形成成分の(塗布)層を形成した後、CVD法また
は焼成法により反応が進行して電子輸送層を形成する方法がより好ましい。ここで電子輸送層形成成
分とは化学反応により電子輸送層となる化合物のことをいう。

(光電変換層の形成工程)

光電変換層の作製方法は、通常、電子輸送層上への半導体層の作製、および半導体への本発明に係る
量子ドットの担持処理に大別される。

  [半導体層の作製方法]

工程(1)における半導体層の作製方法について以下説明する。この特許の好適な光電変換層は、表
面に色素が担持された半導体を凝集したものである。

半導体層の作製方法は特に限定されず、当該半導体層の半導体が粒子状の場合には、(1)半導体の
分散液またはコロイド溶液(半導体含有塗布液)を導電性基板に塗布あるいは吹き付けて、半導体層
を作製する方法;(2)半導体微粒子の前駆体を導電性基板上に塗布し、水分(例えば、空気中の水
分)により加水分解後、縮合を行う方法(ゾル-ゲル法)などが使用する。また、半導体が膜状で、
導電性基板上に保持されない場合、半導体を導電性基板上に貼合して半導体層を作製することが好ま
しい。半導体層の作製方法の好ましい形態は、導電性基板上に半導体の微粒子を用いて焼成により形
成する方法があり、半導体層が焼成作製される場合、この半導体への色素担持処理は、焼成後に実施
することが好ましく、焼成後、半導体に水が吸着する前に素早く化合物の吸着処理を実施する。

●半導体微粉末での焼成形成方法

(半導体含有塗布液の調製〉
 
まず、半導体、好ましくは半導体の微粉末を含む塗布液(半導体含有塗布液)を調製する。この半導
体微粉末はその1次粒子径が微細な程好ましく、その1次粒子径は2~100nmである。半導体微
粉末を含む塗布液は、半導体微粉末を溶媒中に分散させることによって調製することができる。ここ
で1次粒子径は顕微鏡観察により1000個の粒子を測定し平均した値を採用している。溶媒中に分
散された半導体微粉末は、その1次粒子状で分散する。溶媒としては半導体微粉末を分散し得るもの
であればよく、特に制約されない。溶媒は、水、有機溶媒、水と有機溶媒との混合液が包含される。
有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール、ポリエチレングリ
コール等の多価アルコール、メチルエチルケトン、アセトン、アセチルアセトン等のケトン、ヘキサ
ン、シクロヘキサン等の炭化水素等などが用いられる。また、塗布液中には、増粘剤として、アセチ
ルセルロース、ニトロセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロー
ス等のセルロース誘導体を含んでいてもよい。塗布液中には、必要に応じ、界面活性剤、酸(酢酸、
硝酸など)、粘度調節剤、キレート剤(アセチルアセトンなど)を加えることができる。溶媒中の半
導体微粉末濃度の範囲は、0.1~30質量%である。

〈半導体含有塗布液の塗布と半導体層の焼成処理〉

このようにして得られた半導体含有塗布液を、導電性基板(電子輸送層)上に塗布または吹き付け、
乾燥等を行った後、空気中または不活性ガス中で焼成して、導電性基板上に半導体層(半導体膜)が
形成される。ここで、塗布方法としては、特に制限されないが、ドクターブレード法、スキージ法、
スピンコート法、スクリーン印刷法など公知の方法が挙げられ、導電性基板上に半導体含有塗布液を
塗布、乾燥して得られる皮膜は、半導体微粒子の集合体からなるもので、その微粒子の粒径は使用し
た半導体微粉末の1次粒子径に対応する。

● 工程(2)

この工程では、上記工程(1)で形成された光電変換層上に、導電性高分子前駆体を重合して正孔輸
送層を形成。なお、下記工程(3)において、正孔輸送層は、この特許に係る量子ドットを担持した
半導体からなる光電変換層に侵入し、かつ、その上に存在、この正孔輸送層の上に第二電極が付着し
ていることが好ましく、この半導体層は多孔質体で、第一電極および第二電極に端子を付けて電流を
取り出すことができるものである。

ここで、導電性高分子前駆体の重合方法は、特に制限されない。具体的には、(1)光照射単独ある
いは重合触媒、加熱、電解等を組み合わせた光化学重合法、(2)化学重合法、(3)少なくとも
作用極と対極とを備えて両電極間に電圧を印加することにより反応させる電解重合法などが挙げられ
る。これらのうち、(1)(3)の方法が好ましい。この方法によれば、半導体への結合に関与して
いない量子ドットの配位子(例えば、式(1)中の置換基「X」)近傍を起点にして導電性高分子前
駆体の重合(正孔輸送層の形成)が行われる。このため、量子ドットおよび正孔輸送層の間に配位子
分の層が存在するが、特に式(1)の量子ドットでは、配位子に小分子を用いているためトンネル効
果により電荷輸送をさらに効率的に行うことが可能であり、発電電極としてより有効に作用できる。

また、上記(1)の方法によれば、得られる光電変換素子の光電変換効率や耐久性(光や熱などの刺
激に対する安定性を向上)をより向上できる。また、上記(3)の方法によると、特に光照射と組み
合わせて使用することにより、酸化チタン表面に緻密に重合体の層を形成できる。得られる光電変換
素子の光電変換効率、耐久性(光や熱などの刺激に対する安定性)のさらなる向上を考慮すると、
(1)の方法がより好ましく、酸化剤の存在下で光照射単独で導電性高分子前駆体を重合する光化学
重合法が特に好ましい。

尚、 図3Aおよび図3Bは、工程(1)~(4)を説明するための模式断面図または模式上面図。
図3Aに示すように、工程(1)において、電子輸送層3上に光電変換層6を形成させる。工程(2
-1)においては、酸化剤を第一電極2上に接触させる。これにより、第一電極2上に酸化剤が存在
する状態になる。好適な形態では、図3AおよびBに示すように、酸化剤含有液は、素子の構成部材
(電子輸送層、光電変換層)とは異なる位置の第一電極上に接触させる。このように素子の構成部分
とは別に酸化剤を配置することによって、酸化剤の素子への影響を排除することができ、また、導電
性高分子前駆体の重合後に、洗浄などによって酸化剤を容易に除去することができる。酸化剤の第一
電極上への接触位置は特に限定されるものではないが、効率的に導電性高分子前駆体の重合が行われ
ることから、素子の構成部材(電子輸送層または光電変換層)とある程度近い距離であることが好ま
しい。素子の構成部材と酸化剤との距離は、酸化剤含有溶液と第一電極との濡れ性、第一電極のシー
ト抵抗などを考慮して適宜設定すればよい。なお、酸化剤溶液が素子の構成部材に接触しないように、
第一電極上に両者の物理的接触を阻害する部材(例えば、テープ等)を設けてもよい(図3B参照)。

 ● 工程(2-1)

この本工程では、上記工程(1)で形成された第一電極上に酸化剤を接触させる。基材と相対する第
一電極上に電子輸送層が形成されている場合には、この電子輸送層上に酸化剤を接触させてもよく、
また、酸化剤の第一電極への接触は、特に限定されるものではないが、第一電極に塗布することが好
ましい。

 ● 工程(2-2)

上記工程(1)で作製した光電変換層と、正孔輸送層を構成する導電性高分子の前駆体である導電性
高分子前駆体と、を接触させる工程である。導電性高分子前駆体を接触させる方法としては、特に限
定されるものではないが、塗布で導電性高分子前駆体を含有する溶液を塗布する形態が好ましい。電
性高分子前駆体を含有する溶液を光電変換層に塗布する場合の塗布方法としては、具体的には、ディ
ッピング、滴下、ドクターブレード、インクジェット、スピンコート、刷毛塗り、スプレー塗装、ロ
ールコーター、エアーナイフコート、カーテンコート、ワイヤーバーコート、グラビアコート、イン
クジェット塗布などがある。

 ● 工程(2-3)

この工程は、工程(1)、(2-1)、(2-2)の後、この特許に係る量子ドットに光を照射して
導電性高分子前駆体を重合して正孔輸送層を形成する。具体的には、正孔輸送層の前駆体であるモノ
マーもしくはプレポリマー(多量体)の形態で必要により溶媒や電解質などを添加した溶液に光溶液
を光電変換層上に塗布した状態で外部から本発明に係る量子ドットに対して光を照射することが好ま
しい。

この際、酸化剤存在下で導電性高分子前駆体と光電変換層とを接触させてもよいが、正孔輸送層中に
酸化剤が残存しないと耐久性がより向上することを考慮すれば、酸化剤非存在下で導電性高分子前駆
体と光電変換層とを接触させることが好ましい。ここで、酸化剤存在下とは、光電変換層に導電性高
分子前駆体を接触させる際に導電性高分子前駆体と酸化剤とが物理的に接触している状態を意味し、
具体的には、導電性高分子前駆体および酸化剤の混合物を光電変換層に接触させる形態を指し、酸化
剤非存在下とは、導電性高分子前駆体と光電変換層とを接触させる際に導電性高分子前駆体と酸化
剤とが物理的に接触していない状態を意味し、例えば、導電性高分子前駆体の塗布液に酸化剤を含有
させない形態などが挙げられる。

● 工程(3)

この特許に係る光電変換素子の製造方法における工程(3)は、上記工程(2)の後、正孔輸送層上
に第二電極を形成する工程である。本発明に係る第二電極形成方法は、特に制限されず、公知の方法
が適用でき、第二電極の材料を蒸着(真空蒸着を含む)、スパッタリング、塗布、スクリーン印刷等
の方法が好ましく使用される。この光電変換素子は、効率よく光を吸収することができる。具体的に
は、光電変換素子の1000nmにおける吸光度(A1000)が、下記数式(B):

を満たすことが好ましい。上記数式(B)中、A1000は、1000nmにおける光電変換素子の
吸光度であり;FTSCは、半導体層の膜厚(μm)である。

【実施例/比較例】

このの効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、この技術的範囲が以下の実施
例のみに制限されるわけではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25
℃)で行われた。また、特記しない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「質量%」および「質
量部」を意味する。

 ● 合成例1

CdSe/ZnS半導体ナノ粒子をトルエンに0.6質量%の濃度になるように分散させたCdSe
/ZnS量子ドットのトルエン溶液(NN-LABS,LLC;平均体積粒径=4nm)300μl
に、トリメトキシシリルプロピルスルフィド(MPS)を3μl加えて、22℃で24時間撹拌して
反応を行うことによって、被覆量子ドット1を得た。得られた被覆量子ドット1について蛍光強度測
定を行ったところ、3250であった。

尚、、蛍光強度の測定は、蛍光分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製「F-4500」)を用い
て行った。測定する被覆量子ドット1の分散液は、トルエンを用いて、粒子モル濃度が133nmol
/Lになるように調製した。励起波長450nm、フォトマル700Vとして、試料の蛍光極大波長
550nmにおける蛍光強度を測定した。(後略)

● 実施例1

基体としてガラス基板(光透過率:10%以上、厚さ:1.1mm)上に、第一電極としてフッ素ド
ープ酸化スズ(FTO)(光透過率:10%以上)をスパッタリングして透明導電層(FTO)(F
TOの塗布量:7g/m2基板、膜厚:1.1μm)を形成し、導電性ガラス基板(第一電極基板)
を得た。得られた導電性ガラス基板の透明電極層(FTO)上に、半導体として酸化チタン(アナタ
ーゼ型(粉末状)、1次平均粒径:18nm(電子顕微鏡により観察した平均値))を用い、ポリエ
チレングリコールの分散液(酸化チタンの濃度:10質量%)である酸化チタンペーストをスクリー
ン印刷法により塗布(塗布面積:5mm×5mm)及び乾燥(120℃で3分間)して塗膜を形成し
た。この塗膜を、200℃で10分間、次いで500℃で15分間、空気中で焼成して、厚さ2μm
の酸化チタンの半導体層(空孔率:60体積%)を透明導電膜(FTO)上に形成した(積層体1)。

上記積層体1を、上記合成例1の溶液中に室温(25℃)で3時間浸漬して、被覆量子ドット1(増
感色素)の半導体への吸着処理を行い、光電変換層を形成して、半導体電極を作製した。この半導体
電極を、正孔輸送材料の原料となるモノマー(導電性高分子前駆体)である2,2’-ビス-3,4
-エチレンジオキシチオフェン(M1-1)を1×10-3(mol/l)、及びLi[(CF3S
O2)2N]を0.1(mol/l)の割合でそれぞれ含有するアセトニトリル溶液に浸漬した。作
用極を上記半導体電極、対極を白金線、参照電極をAg/Ag+(AgNO3  0.01M)、保持
電圧を-0.15Vとした。半導体層方向から光を照射しながら(キセノンランプ使用、光強度32
mW/cm2、520nm以下の波長をカット)、15分間電圧を保持して、重合(光電解重合)を
行い、正孔輸送層を半導体電極表面に形成した。ここで、モノマー(導電性高分子前駆体)が重合し
て導電性高分子を形成していることを確認した。その後、重合により正孔輸送層が形成された半導体
電極をアセトニトリルで洗浄した後、乾燥させた。得られた正孔輸送層は、溶媒には不溶の重合膜で
あった。

 次いで、正孔輸送層が形成された半導体電極(半導体電極/正孔輸送層)を、Li[(CF3SO
2)2N]を15×10-3(mol/l)、tert-ブチルピリジンを50×10-3(mol
/l)の割合で含有するクロロベンゼンとアセトニトリルとの混合溶液(クロロベンゼン:アセトニ
トリルの混合比=19:1(体積比)に10分間浸漬させた。得られた半導体電極/正孔輸送層を自
然乾燥させた後、さらに真空蒸着法で金(Au)を90nm蒸着して、第二電極を形成した。これに
より、光電変換素子1を得た。(後略)

● 比較例

上記実施例1において、被覆量子ドット1の代わりに被覆量子ドット4を使用する以外は、実施例1
と同様の操作を行い、光電変換素子7を得た。

「色素増感光電変換素子の評価」

(初期光電変換効率の測定)

各光電変換素子を、ソーラーシミュレータ(英弘精機製)を用いて、得られた光電変換素子に、キセ
ノンランプからAMフィルター(AM-1.5)を通して強度10mW/cm2の擬似太陽光を照射
した。そして、I-Vテスターを用いて、光電変換素子の室温での電流-電圧特性を測定し、短絡電
流密度(Jsc)、開放電圧(Voc)を測定した。

Nov. 4, 2016

i以上、特定の量子ドットの増感色素を用いることで変換効率を向上事例を掲載(詳細は上表ダブクリ参照)。 

 

 

  Naomasa ~The Red Ogre~ 

● 直政カクテル「赤鬼」

忍冬酒は家康公が愛飲したというお酒。その忍冬酒に、信頼を意味する花言葉を持つジンジャーを漬
け込んだスピリッツを使い、子孫繁栄の象徴ザクロの風味を合わせた。主君・徳川家康公に忠誠を捧
げ、戦場では猛将「井伊の赤鬼」と恐れられた。新参ながらに徳川四天王の中でも筆頭まで昇りつめ
た彦根藩祖・井伊直政公にリスペクトして創作。

   Naotora  ~女城主直虎

彦根市旭町の「サロンバー・シスル」のオーナー宮下純さんが、初代彦根藩主・井伊直政にちなんだ
オリジナルカクテル「直政 赤鬼」を創作。徳川家康を支えた「徳川四天王」の一人だった直政の功
績を表したという(2016.11.05 しが彦根新聞/中日新聞)。来年彦根城築城410年祭に合わせて、
10月24日から提供している。今年3月には直政の養母で来年のNHK大河ドラマの主人公・井伊
直虎にちなんだカクテルを創作。来年三月から始まる「国宝・彦根城築城四百十年祭」の開催が迫っ
てきており、満を持して直虎よりキレのある、直政のカクテルを10月下旬から提供。

浜松城主だった家康が愛飲したとされる「忍冬(にんどう)酒」がカクテルのベース。花言葉で「信
頼」を意味するジンジャーのウオッカを使い、子孫繁栄の象徴であるザクロのシロップを入れた。切
れのある少し強めのカクテルに仕上げた。井伊家の繁栄の礎となる物語を表現。 

 Oct. 24. 2016

※ 浜松忍冬酒

忍冬は「スイカズラ」。この花弁や茎、葉から造る酒は体を暖め滋養強壮に効果があると言われ、徳
川家康は数々戦い、三方原の戦いではピンチピンチの連続。そんな中で忍冬酒を口にして家康がピン
チを脱出。5月から6月に花を付けるスイカズラ自体、抗菌、抗炎症、解熱、利尿効果のある薬草の
漢方薬で関節の痛みに効くといわれている。全草の煎じ液は、のどや痔の痛みをとる民間薬に、乾燥
させたものは夏バテ、むくみ、食中毒を防ぐ「忍冬茶」や「金銀花茶」になる。葉っぱや花を上白餅
米とともに焼酎に漬け込んだ「忍冬酒」は、浜松市の名産品。不老長寿の健康薬酒と称され、徳川家
康が愛飲したことで知られている。


   Lonicera japonica Thunb.


浜松で忍冬酒が製造されたのは戦国時代の永禄元年から。家康が三河から浜松に本拠地を移した頃、
浜松で薬草の研究、忍冬酒を造っていた神谷権兵衛が家康の命を承けて本格的に製造を始まり。家康
はこの酒がことの他気に入り、その後家康が神谷家を優遇し、太刀や家屋敷を与え保護。家康愛用の
薬酒との評判をとった忍冬酒は浜松の名物の一つになる。家康の覇権が確立されて各藩から進物用な
どに使われ注文が殺到し神谷家は地元の童歌にも歌われるほど繁盛する。明治以降も製造されたが、
第二次世界大戦の戦乱の中、1943年製造中止。1997年12月、「遠州忍冬酒」として新しく
生まれ変わり復活する。



「吸葛」という和名は、子どもたちが花を加えて、甘い蜜を吸っていたことから付けられた。「忍冬」
は、寒い冬を耐え忍ぶように緑の葉っぱを茂らせ続ける姿にちなむ。「金銀花」とは、花色が白から
黄色へと徐々に変化する姿が由来。

 

 

 

2つの最新ネオコン技術事例

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          自分の生命を愛しても憎んでもいけない。だが生きている限りは生命を
                           大切にするがよい。長く生きるか短命に終るかは、天に委せるがよい。

                                          ミルトン 「失楽園」

                                               

                                              
                                                                                                                                    John Milton
                                                                                                                     Dec. 9, 1608 - Nov. 8, 1674
                                                                                                                              
                                              

 

  

【RE100倶楽部:人工光合成の効率を百倍以上】

● 人工光合成における太陽光のエネルギー変換反応を高効率化する新しい材料

将来に向けた持続可能な地球環境社会を構築していくためには、二酸化炭素などの温室効果ガスを低
減していくことが急務であり、化石燃料に頼らない貯蔵可能なクリーンなエネルギーの創出が望まれ
ている。人工光合成は太陽光と水と二酸化炭素を用い、酸素と水素および有機物などの貯蔵可能なエ
ネルギーを人工的に生成する技術であり、注目を浴びている。

  Oct. 19, 2016

これまで、太陽光と水が反応する明反応の電極は、半導体材料や、比較的大きい粒子状の光励起材料
を密度の低い構造で固めた材料が用いられていましたが、太陽光(可視光波長)の中で利用できる波
長の範囲が狭いことから化学反応に十分な電流量を取り出すことが困難であったが、この方法では、
フレキシブル実装シート上にキャパシタなどの受動素子を形成するための電子セラミックスの成膜法
(ナノパーティクルデポジション(NPD)を改良し、光励起材料の原料粉末をノズルで吹き付ける際、
原料粉末を薄い板状に破砕しながら基板上に積層させる薄膜形成プロセス技術を開発。開発した技術
の特長は以下のとおり。

尚、材料内部の構造解析は国立大学法人東京大学幾原研究室と共同で行っている。

(1)利用可能な太陽光波長域の拡大(左/下図)

光励起材料の原料粉末を、成膜後に原子レベルのひずみを持つ結晶構造となるような組成にすること
で、新技術適用前と比べて太陽光のエネルギーを吸収できる最大波長を490 nmから630 nmへと広げ、
利用可能な光の量を2倍以上に向上させることに成功。

 Nov. 7, 2016

(2)高い電子伝導特性 (右/上図)

形成された薄膜は、ミクロ・マクロな欠陥がないため結晶性が良く、材料中の粒子間の電子伝達特性
に優れた緻密な構造となっている。これにより太陽光で励起された電子を効率的に電極に伝えること
が可能となる。

(3)水との大きな反応表面積を確保するナノサイズの粒子で構成された構造体

薄膜の表面構造は、材料と水との反応表面積が大きく、また、材料結晶中の電子密度の高い結晶面が
膜表面に規則的に形成。その結果、水と光の相互反応を大幅に促進させることに成功(下図)。



今回開発した新技術により、光励起材料をそのまま用いる場合と比べて、太陽光の中で利用可能な光
の量が2倍以上に広がり、さらに、材料と水との反応表面積を50倍以上に拡大することに成功。こ
れにより、電子および酸素の発生効率を百倍以上に向上できることを確認。今後、光励起材料とプロ
セス技術のさらなる改良を進め、明反応の電極の特性向上を図るとともに、暗反応部(ニ酸化炭素還
元反応)・全体システムの技術開発についても取り組み、人工光合成技術の実用化を目指す。 


※ 参考特許

・ 特許5491189  固定化装置 谷岡 明彦 他 2014年05月14日

【スーパーエンジニアリングプラスチック】

● 単層CNT添加で世界最高水準の耐熱性と機械強度を達成

  Darth Vader  Nov. 7, 2016

単層CNT融合新材料研究開発機構(TASC)らの研究グループは、スーパーエンジニアリングプラス
チックの一種であるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)にスーパーグロース法で作製した単層カー
ボンナノチューブ(SGCNT)を加えることで、世界最高水準の耐熱性(4500℃)と機械強度(曲
げ強度1.8倍)を同時に達成し、かつ射出成形可能な新しいスーパーエンジニアリングプラスチック
「PEEK/SGCNT複合材料」を開発に成功したと公表(上写真)。

ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)は溶融成形可能なスーパーエンジニアリングプラスチックと
しては最も高い耐熱性を有し、さらに耐疲労性、耐環境性、難燃性および成形性に優れ、金属に比べ
て軽量であるため、電気・電子分野、自動車分野および航空宇宙分野において広く用いられている樹
脂です。しかし、適用範囲の拡大のためには、さらなる高機能化、特に耐熱性の向上が求められてい
た。今回、技術研究組合単層CNT融合新材料研究開発機構などの研究グループ、PEEKにスーパーグロ
ース法で作製した単層カーボンナノチューブを添加、世界最高水準の耐熱性(450℃で2時間でも
安定)、PEEK単体に比べ引張強度(約1.2倍)、曲げ強度(約1.8倍)の機械強度を併せ持つスー
パーエンジニアリングプラスチック「PEEK/SGCNT複合材料」を開発。この材料はPEEKと同様に射
出成形により様々な形態を簡便に作り出すことも可能。これまで軽金属材料などを使用せざるを得な
かった種々の用途に対してPEEK/SGCNT複合材料が適用でき、特に軽量化が求められる自動車部材、
航空・宇宙産業用部材などへの適用が想定されている。この開発の特徴は以下の通り。

(1)樹脂へのSGCNT高分散化

CNTは、これまでその電気伝導性、熱伝導性、機械特性に注目した材料開発が進められていたが、近
年、CNTの添加による高分子材料の耐熱性向上効果が注目されている。特にSGCNTはCNTの中でも添
加による複合材料の耐熱性向上効果が高いことが分かっている。この耐熱性向上効果の発現にSGCNT
をできるだけ均一に、かつ一本一本孤立に近い状態で高分子材料中に分散させる必要がある。これま
でCNTの複合材料研究では有機溶媒にCNTを分散し、これに高分子材料を溶解させ、有機溶媒を除去
することにより複合材料を得ていたが、溶解する有機溶媒のないPEEKに対しては、新しい作製手法を
開発する必要があった。今回、量産化可能で、SGCNTをPEEK中に連続的に解繊・分散する超高分散
技術を開発成果につながった。

(2)耐熱性 

樹脂の耐熱性の指標として、荷重たわみ温度※6と連続使用温度※7の二つがよく知られていた。PEEK
の荷重たわみ温度は150℃、ガラス繊維や炭素繊維を添加することにより300℃まで大きく向上
させることができる一方で、連続使用温度は240℃程度であり、ガラス繊維や炭素繊維の添加で向
上させることはできないことが課題となっていた。これを荷重たわみ温度の上限値300℃まで向上させ
ることができれば、アルミニウム材料のうち、300℃以下で使用され、より軽量化が求められてい
る用途でのアルミニウムなどの代替材料となると見込まれている。 

連続使用温度を向上させるためには、PEEKの熱分解を抑制する必要がありますが、熱に対して安定し
ており分散性に優れたSGCNTをPEEKに超高分散することで、PEEK/SGCNT複合材料では連続使用温
度をPEEKより向上させることに成功。下図は、PEEKもしくはPEEK/SGCNT複合材料を一定温度下
で2時間保持した際の重量変化率を示しています。450℃で2時間保持した場合、PEEK単体では重
量変化率が-18%だったのに対し、PEEK/SGCNT複合材料ではSGCNTの添加量を1wt%から5wt
%まで増やすにつれ重量変化率は小さくなっていき、5wt%では、重量変化率は -0.5%まで低減
できました。重量変化はPEEKが熱分解し、発生した低分子成分の気化により生じるので、この重量変
化率の低減は、SGCNTがPEEKの熱分解を抑制したことを意味しています。


また、下図に熱処理前と熱処理後のPEEKおよびPEEK/SGCNT複合材料の状態を示す。図中赤枠は試
料が連続使用温度以上に達し、溶融や変形が生じたことを意味し、一方SGCNTの添加量が2wt%およ
び5wt%のPEEK/SGCNT複合材料は、450℃においても試料に溶融や変形が生じず(図中青枠)、
PEEK単体に比べ連続使用温度が向上しています。

(3)機械特性

SGCNTは他のCNTと同様に高い機械特性を有しているので、PEEK/SGCNT複合材料ではPEEK単体に
比べ引張強度と曲げ強度を向上させることができ、SGCNTを5wt%添加した場合、引張強度で約1.2
倍、曲げ強度で約1.8倍の向上が見られました。このような機械強度は、SGCNTのPEEK中での分散
性や、成形条件を最適化することでさらなる向上が見込まれている。


(4)成形性

PEEK/SGCNT複合材料は、成形の条件は異なりますが、通常のPEEKと同様の形状に射出成形を行う
ことが可能です。金属材料や高耐熱性の熱硬化性樹脂はダイカスト法※8やプレス成形などによって成
形を行うことから、成形コストがかかり、また成形形状に制約が生じます。しかしながら、射出成形
可能なPEEK/SGCNT複合材料は、連続的に、かつ安価に成形を行うことができる。

 May. 5, 2008

スーパーグロース法

 

   ● 今夜の一品

【シャープナーの特徴】 

従来の一般的な研ぎ器では波刃の頂点(凸)部しか研げず、凹部は全く研げません。そのまま研いでい
くと波形状が崩れてしまい、切り刃の性能を損ねてしまう。貝印の独自の独立サスペンション構造は
刃線に沿って砥石ユニットが可動するために、刃線を崩すことなくタッチアップする。これは便利。
おすすめだ。


 

 

エースか ジョーカーか

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              ヘーゲルはどこかでのべている、すべての世界史的な大事件や大人物は
         いわば二度あらわれるものだ、と。一度目は悲劇として、二度目は茶番
         としてと、かれは、つけくわえるのをわすれたのだ。

                      『ルイ・ボナパルトのブリュメール十八日』
                                 カール・マルクス


                                                                       

                                                     Karl Heinrich Marx
                                                 May 5, 1818 - May 14, 1883                                              


【RE100倶楽部:ソーラー屋根瓦】

16年4月14日の熊本地震、同年10月21日の鳥取中部地震にしろ瓦屋根が無惨に崩れブルーシート
が貼られているいる光景を眼のあたりにし、老朽化や耐震性に問題があるのかもしれないが日本家屋の脆
弱さを感じるられる方が多いのではないか。また、台風などの風水害に対して心配はないのだろうか?と
疑問がわいてくる。そこで、それは本当だろうか?問題があるとすればその解決法について考えてみよう
いうことになった。

その前に、日本の家屋は好きか嫌いかと聞かれれば、個人的には欧州のような、自然に対峙した幾何学的
な形状のモダンなデザインの住宅を好しするところがあり重たい粘土系瓦葺き屋根や形状はその良さは理
解できるのだが好まないところがあるが、まず、瓦葺き業者などの施工業者側からのこういった見方に対
する反論を列記すると、

瓦屋根が地震に弱いのではなく、弱いのは躯体である 強風に耐えられるよう瓦を重くすればよい 地震の揺れを相殺する制震構造にすればよい 瓦の材質は、色も落ちず、防水も切れない、半永久的で耐久性はよい 一定の角度にまで建物が揺れたとき、瓦がズレ落ちるように、わざと瓦を固定していなかったのだ
と伝えられている

などに集約されそうだが、1.のように地震の場合、躯体に耐震性があれば瓦が崩れないかというと、震
度、振動周期、振動波形により異なりケースバイケースのように思える(要データ)。ところで、屋根材
には大きく分けて「日本瓦・粘土系」・「セメント系」・「スレート系」・「金属系」の4種類ある。ま
た、「日本瓦|粘土系」は天然の粘土を高温で焼き上げた屋根材のことで、高温多湿の気候風土にあった
古くから日本で使われてきた「粘土瓦(和瓦・日本瓦とも)」も粘土系の瓦。耐久性も抜群で、塗り替え
を行うことなく50~100年は十分に使うことができる(下地のメンテナンスや補修が必要)。釉薬を使い
色付けをした「陶器瓦」、渋い銀色の光沢が印象的な「いぶし瓦」、ナチュラルな朱色が特長の「素焼瓦」
など。粘土系の瓦は耐久性に優れるが重く、地震に対する防災・減災からその利用は減少傾向にあるとい
われれている(要データ)。

「セメント系」はセメントと砂を原料にした瓦で、「セメント瓦」や「コンクリート瓦」とも言われ「モ
ニエル瓦(洋瓦)」という種類のものも含まれ、「日本瓦」のような厚みもあり重厚感があるが、表面を
塗装して使うため、長期間の使用により色落ち変色しあり、定期的に塗り替えを行うと美しさを保つ。塗
料で着色でき、色のバリエーションが豊富で、外壁の色や住居のデザインによりカラーコーディネートが
楽しめる。「スレート系」とは、薄い板状の素材で、「天然スレート」と「人造スレート(化粧スレート)
」の2種類があり、天然スレートは、玄昌石などの天然石を薄く加工して作る屋根材で、落ち着いた風あ
いと重厚感のある表情が魅力的だが、高価なため家庭用ではあまり使われない。家庭用の主流は、セメン
トに繊維を混ぜ強化した薄い板状の「人造スレート(化粧スレート)」で、「カラーベスト」「コロニア
ル」「フルベスト」といった商品がある。耐久性もあり、軽量で加工しやすく、重ねぶきでも使われ、色
やデザインも豊富に用意され、断熱性にも優れる。

「金属系」とは、金属系の屋根材は、軽量かつ加工のしやすさが特長で、複雑な形状の屋根にも対応でき、
金属屋根と言えば「トタン(鋼板に亜鉛メッキを施したもの)」や「銅板」が代表的だったが、近年は「
ガルバリウム鋼板」のアルミニウム・亜鉛合金メッキ鋼板が注目され、トタンに比べて数倍の耐久性を持
つ。ベースとなる金属にガルバリウム鋼板を使い、表面を耐久性が高いフッソ樹脂塗料を塗装したものや、
表面に天然石のチップをコーティングしたものなどさまざまで、非鉄系ではアルミ合金が主流で、銅・チ
タン素材もある。

● エネルギーゼロハウスの屋根

これに対し、再生可能エネルギーの太陽光パネルを据え付けたエネルギーゼロ住宅(ZEH)を考えてみよ
う。政府のエネルギー基本計画で、「省エネ住宅の自宅でエネルギーを創って、自宅で使う」時代向けの
高効率で電気を創る「創エネ」機能を備えた架台一体型屋根システムや瓦型太陽光パネル葺き屋根の普及
が予想される。例えば、前者の一例としてのパナソニックの「架台一体型屋根システム|HITルーフ」
の耐震性評価では下図のように、重量はストレート屋根と同等厚型平板の半分の重さで、震度6強×40
秒×2回(30年間で起こりえる阪神・東日本大震災レベルの地震発生回数(波形は阪神大震災を採用)
及び震度3×3時間×1回(30年間で起こりえる震度3レベル地震の累計時間(波形は十勝沖地震を採
用)の2条件でいずれも、割れ欠け/落下/変形/ねじのゆるみはすべてなしとされている。また、耐用
年数は、モジュールとして25年の長期保証が歌われているが、架台一体としての保証については不詳(
要調査)。さて、瓦型太陽光発電モジュールはいかなるものだろうか?それを次に考えてみよう。

● 瓦葺き住宅の種類

オランダのZEP.BV社は11月2日、テスラへの対抗意識――「米テスラのマスクCEO(最高経営責任者)
は最近、ソーラー屋根瓦(solar roof tile)の発表で注目を集めた。だが、我が社はすでに昨年、開発を済ま
せ販売している」――を露わにした声明を発表(しかし、ソーラールーフの特許はすでに三洋電機(現パ
ナソニック)などの日本のメーカが特許取得しているのだが)。テスラの傘下に入るとみられる米ソーラ
ーシティがテスラ社と共同でソーラー屋根瓦を発売するのは、来年と見込まれる(「従来の屋根材より美
しい」太陽光パネル、米テスラが発表」 日経テクノロジー 2016.10.31
).。一方、ZEP.BV社は、地元の
オランダに加え、ドイツ、英国、スカンジナビア半島など北欧でソーラー屋根瓦を既に販売中で、今日、
ソーラーセルを統合したオランダの特許取得済みのセラミック製ルーフは、太陽光発電を生むエネルギー
出力を持ち、すべての設置済み家庭用蓄電池に対応する。さらに、ZEP.BV社のルーフタイルは、ソーラ
ールーフタイルの下に残存する暖気から抽出する特許取得済み統合テクノロジーを内蔵しており、暖気は
ボイラーに直接保存される。この開発によってハウスオーナーは、家庭にエネルギーを供給する事業者に
対するニーズを最低限に抑えることができるので、ZEP.BV社は2歩も3歩も先を行くことになる。 

ZEP.BV社はマスク氏が生み出した世界の耳目を集めたパブリシティーを歓迎して、ZEP.BV社のヨースト・デグラ
ーフは「当社ウェブサイトへのビジターは1日当たり数千人単位で増えており、彼らはすべて当社の一体化したソ
ーラールーフタイル・ソリューションに関心を示している。われわれは、太陽光発電(PV)が将来そのものであり、
PVタイルによってハウスオーナーが多様なエネルギー用途向けの太陽光発電をできるようにしなければならない
というマスクのビジョンあふれる識見を共有している。要するに、われわれは等しく理想主義的ミッションを持ってい
る」と語った。ZEP.BV社のソーラールーフタイルは、1個1個のルーフを太陽光で発電するのに適したものにする。
しかし、昨年黒色のタイル盤を提供した後、ZEP.BV.社は最近これを自然の赤色のソーラールーフタイルを提案。
現在、都市景観保護地区にある大きなアイコン的建築物でも、発電に太陽エネルギーを利用し、同時にボイラー
を加熱することができる。

ZEP.BV社は外部からの資金供給を得て、投資家の関心を集めている。ZEP.BV社は追加した資金調達を企
業の拡大と生産開発に割り当て、国際市場で高まる需要をさらに喚起し、サポートしていく。特にハウス
オーナーが赤色のソーラールーフタイルを欲しがるスカンジナビアを念頭に置いている。ZEPのデグラー
フは「この追加的な資金調達は、信頼できる投資家が当社の国際的に成長する可能性があると信頼してい
ることの証明である」と語る。

Dec. 3, 2015

前述したように、このZEP BV社の公開特許(WO2015034366)を見ると、セラミックに添加剤を加えモー
ルディングし薄膜太陽光太陽電池を貼り付け、ソーラールーフの裏側に集熱パイプを配管し熱媒体(水)
をポンプ循環させ給湯機能を付加させたハイブリット型太陽光エネルギー変換システムとなっているのが
特徴である。従って、この特集の耐震性や耐風水害性及び耐久性(20年以上)についての考案の有無も
不詳となっている(要確認)。しかしながら、テスラ社とソーラーシティー社はパナソニックとの生産提
携を準備しているということであれば、高変換効率、災害対策や長期保証などの技術力やアフターケアと
いう面でパナソニックは互角以上の商機がある。 さあ、変換効率30%超、長期間保証30年をめざし、世界に
貢献しようではないか。これは面白い。

 

  ● 今夜の一枚

トランプが勝利した。それほどまでにもア米国の勤労者はコンピュータ仕掛けの英米流金融資本主義のグ
ローバリズムに収奪され疲弊していたことの証でもある。それを是正するビジョンを鮮明にしなかったヒ
ラリーの敗北でもあった。この先どうなるかも、わたし(たち)はすでに予見できている。しばらく模様
眺めだ。「はたして、トランプはエースか?ジョーカーか?」と。

大津から黒の革命

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                                            羯諦羯諦波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提薩婆

                                                                                                                         般若心経

                                  往き往きて、彼岸に往き   

                 全うし彼岸に到達した者こそ 

                 悟りそのものである、めでたし
                     
                     
                 ※ 真言の結び(唯識論の核心部分に相当)

 

                                                                                                                                    
                                                                                                           釈迦 abt. B.C 500 ? -

  

     

【我が家の焚書顛末記 17:中国思想 管子】      

  軽 重    ――管仲の経済政策――  

 「経済政策」といっても、もらろん二千数百年前のことである。ここに集録されているエピソー
 ドは一見、たわいない。だが、武力侵略と掠奪による富国策しか念頭になかった当時の背景を考
  えると、管仲の発想はなみなみならぬものがある。「まず物質的な基礎をつくる」ために、かれが、人間
  心埋、権力、客観情勢など一切のものを運用した点をくみとることができよう。

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  ことぱ

 「楚の黄金あるは、斉に菑石(しせき)あるに中るなり。いやしくもこれを操(と)りて工(た
 くみ)ならず、これを用いて、善ならざるあれば、天下、倪(げい)して是(み)んのみ」
 「国、塩なければ腫る、守圉の国は塩を用ること独り甚だし」
 「粟重ければ、万物軽し。粟軽ければ、万物重し。両者衡立せず]
 「下はすなわちその囷京実し、上はもって上に給し君のためにす。一挙して名実ともに在るなり。
 民なんぞなさざらんや」

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   泥棒を生む社会

 「ひとりの農夫が耕作しないために、人民の中に餓死者が出ることもある。ひとりの女が機を織
 らないために、人民の中に餓死者が出ることもある。
  逆に、二人前の仕事をする者は、たとえ収入が少なかろうと、自分の子供を売るようなことは
 ないだろう。三人前の仕事をする者は、衣食にこと欠くことがないだろう。四人前の仕事をする
 者は、租税を完納できるだろう。五人前の仕事をする者は、かなりの物が買えるようになり、死
 者を葬る余裕もできるだろう。
  ところが、人民は実際には二人前の仕事もできない状態にある。にもかかわらず、人民からき
 びしく租税をとりたてるなら、追剝が跋扈して独り歩きもままならず、余財を蓄えていても守る
 べくもない。このうえ法をきびしく適用しようものなら、それは人民を殺すに等しい。
  もし、一日に三合の穀物しか食べられないとしたら、"村"ごとに、食を求めて盗みをはたらく
 泥棒が出よう。一日に二合しか食べられないとしたら、"里"ごとに泥棒が出よう。一日に一合し
 か食べらりないとしたら、家ごとに泥棒が出よう。それが道理というものだ。ところが現在、人
 民はろくな収入もないのに、、普段の四十倍もする穀物を食べなければならない。これでは盗み
 をはたらくなというほうが無理である。
  このうえ、朝にに政令を発して、その日の夕方までに納税するよう命じたとしよう。蓄財のあ
 る者はすぐ納めるだろが、ない名は衣類を売り払わなければならなくなる。農夫は穀物を、市価
 の三割で売らなけれぱならなくなる。こんな不穏な政令が出されると、せっかく生産した織物も
 すぺて他国へ流れてしまう。それでも誅求を続けるなら、人民はもはや耐えきれず、国の威令の
 及ばぬ山中へ逃げてしまう。こういう君主の下では、兵士たらもまた、大切に扱われることはな
 く、家族が誰敗して、会うことができない。人民は山にかくれ、兵士は国外に逃亡する。これこ
 大戦もしないのに内部から国が崩壊するということなのだ」

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 管子曰:「農不耕,民或為之飢。一女不織,民或為之寒;故事再其本,則無賣其子者。事三其本,
 則衣食足。事四其本,則正籍給,事五其本,則遠近通,死得藏,今事不能再其本,而上之求焉無
 止,是使姦涂不可獨行,遺財不可包止,隨之以法,則是下艾民,食三升,則鄉有正食而盜,食二
 升,則里有正食而盜。食一升,則家有正食而盜。今操不反之事,而食四十倍之粟,而求民之毋失,
 不可得矣;且君朝令而求夕具,有者出其財,無有者賣其衣屨,農夫糶其五穀,三分賈而去,是君
 朝令一怒,布帛流越而之天下。君求焉而無止,民無以待之,走亡而棲山阜。持戈之士,顧不見親,
 家族失而不分,民走於山中,而士遁於外,此不待戰而內敗。」

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     独占の排除

  「一国の支配者たるものは、問季を辿じて生産計画を円滑に行なわせ、経済を豊かにさせろよ
 う配慮しなければならない。
  物資が載寫な国には、どんなに遠くからでも人民は集まってくるし、開発が進んだ国からは、
 逃げだす人民はひとりもいない。日々の暮らしにも事欠くものに礼儀を説いたとてなんになろう。
 生活にゆとりがでみさえすれば、道徳意識はおのずと高まるものだ。
  今日、わが国は主君みずから率先して開墾事業を進め、穀物の生産を増大させた。土地は、人
 民一人につき数畝にも達しているにもかかわらず、街には餓死する者がいる。それは穀物を独占
 してしまう看がいるからだ。
  また、わが君は多量の貨幣を鋳造した。その貨幣はひろく流通し、人民一人につき数十枚数百
 枚にも達している。にもかかわらず、金に困ってわが子を売る者さえいる。それは、貨幣が少数
 者の手に握られているからだ。
  されば君主たるもの、穀物・貨幣の集中を防ぎ、貧富の差をやわらげるべく手を打だなければ、
 いかに農業を奨励し、貨幣を発行しようとも、人民はなおも貧苦にあえがなければならない」

 --------------------------------------------------------------------------------------

 管子曰:「今為國有地牧民者,務在四時,守在倉廩。國多財,則遠者來。地辟舉,則民留處。倉
 廩實,則知禮節。衣食足,則知榮辱。今君躬犁墾田,耕發草土,得其穀矣。民人之食,有人若干
 灸畝之數,然而有餓餒於衢閭者何也?穀有所藏也。今君鑄錢立幣,與民通移,人有百十之數,然
 而民有賣子者何也?財有所并也;故為人君不能散積聚,調高下,分並財,君雖彊本趣耕,發草立
 幣而無止,民猶若不足也。」

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   夷狄掌握の法

  桓公が管子にたずねた。
 「四方の夷狄を支配下にねさめないと、かれらほ天下に害毒を流し、わが覇業をも失敗させかね
 ない。かれらを従わせるために、なにかよい方法はないか」
  管子はこうこたえた。
 「各地の特産物を利用することです。すなわち、呉や越には、真珠・象牙を、発や朝鮮には、虎
 や釣の皮・皮ごろもを、禺氏には、白璧を、そして、崑崙虛には、璆・琳・琅玕を納めさせるの
 です。
  真珠は、手のひら口の中にも隠れるほど小さなものですが、値は千金。呉や越に、これをわが
 国への貢物とさせ、それにたいして当方が千金をむくいるならば、かれらは八千里の道をも遠し
 とせず、入朝してくるでしょう。
  虎や豹の皮は、それで金を包むと、なかの金と同じ値うちがあります。発や朝鮮に、これをわ
 が国への貢物とさせ、それにたいして当方が千金をむくいるならば、かれらは八千里の道をも遠
 しとせず入朝してくるでしょう。
  白璧もまた、懐や腋の下に隠れてしまうほど小さいむのですが、やはり千金の価値があります。
 禺氏には、これをわが国への貢物とさせ、それにたいして当方が不全をむくいるならば、かれら
 は八千里の道をも遠しとせず入朝してくるでしょう。
  さらには、璆・琳・琅玕でかんざし、耳環をつくれば、それぞれに千金の価値をもつものです。
 崑崙虛にたいし、これら宝玉をわが国への官物とさセ、当方からは千金をむくいるならば、かれ
 らもまた、八千里の道をも遠しとせず入朝してくるでしょう。
  要するに、各地の特産物を買い入れて流通を促進し、かれらの当方にたいする依存度を深めて
 ゆけば、かれらは自然に入朝してこようというものです」

 --------------------------------------------------------------------------------------

 桓公曰:「四夷不服,恐其逆政,游於天下,而傷寡人,寡人之行,為此有道乎?」管子對曰:「
 吳越不朝,珠象而以為幣乎!發朝鮮不朝,請文皮毤。服而以為幣乎!禺氏不朝,請以白璧為幣乎!
 崑崙之虛不朝,請以璆琳琅玕為幣乎!故夫握而不見於手,含而不見於口,而辟千金者,珠也,然
 後八千里之吳越可得而朝也。一豹之皮容金而金也,然後八千里之發朝鮮可得而朝也,懷而不見於
 抱,挾而不見於腋,而辟千金者,白璧也,然後八千里之禺氏可得而朝也。簪珥而辟千金者,璆琳
 琅玕也,然後八千里之崑崙虛可得而朝也;故物無主,事無接,遠近無以相因,則四夷不得而朝矣。」

 --------------------------------------------------------------------------------------

ここは管子(管仲)の温故知新ですね。

                                      この項つづく

  

【大津から黒の革命:薄い黒鉛シートを開発】 

  Nov. 10, 2016 

黒鉛の材料メーカー「日本黒鉛グループ」が、バッテリーの電極に使う製品をてこ入れする。高性能を
売りに自動車向けに売り上げを伸ばしており、来年末に完成予定の新工場で生産量を十倍に増やす。黒
鉛を細かく粉砕する工程に改良を加え、黒鉛の層を百ナノメートルほどに薄く剥がし取った「薄片化黒
鉛」の生産に成功。電極に薄く黒鉛を塗ったシートを売り出した。硫酸などの化学薬品で溶かす他社製
品に比べ、生産工程は減らせる一方で性能は引けを取らず、環境への負荷を抑えられる利点がある。リ
チウムイオン電池向けに2012年から販売を始め、現在は塗工シートで年5トン、1千万円を売り上
げる。生産を拡大するために、現在の瀬田工場(同市栗林町)の隣接地に新工場建設に着手。17年末
の完成後は年50トンの生産を見込んでいる。

日本黒鉛工業(グループ)株式会社は、ブレーキ用材料や部品の成型に使う塗料など、自動車部品関連
の黒鉛を主力とする。ただ、伸長するハイブリッド車や電気自動車(EV)は、エンジン系をはじめ部
品が少なくなるため、部品メーカーは対応が急務になっている。そこで同社が目を付けたのは、EVに
欠かせないバッテリーだ。リチウムイオン電池の電極にも黒鉛が使われる。黒鉛を薄くできれば、導伝
率を高められるため、電池を大型化しなくても容量を増やすのと同じ効果が得られる。独自技術で勝負
できると、10年から開発を始めた。グループの販売会社、日本黒鉛商事の松尾滋久取締役営業本部長
は「小さなメーカーだが、黒鉛の粉末から塗料まで一貫して生産できるのは弊社だけ」と胸を張る。グ
ループの現在の売上高は70億円。シートが占める割合はまだわずかだが、松尾取締役は「今後、EV
が普及する10~15年後には、売上高を倍増させる大きな柱の製品に成長させられる」と期待をかけ
ている(中日新聞 「薄い黒鉛シートを開発 大津の材料メーカー」2016.11.10)。

ここでは、群薄片化黒鉛製造技術に関連する新規考案を俯瞰、掲載する。まずは、薄片化黒鉛製造装置
を積水化学工業株式会社の特許を参照(下図)する。


● 特開2014-118315 薄片化黒鉛の製造装置及び製造方法 積水化学工業株式会社



 
【概要】

原料としての黒鉛が貯留されている原料槽1と、25℃及び大気圧下で液体である第1の流体52を供
給する流体供給源22と、第1の流路2Aを構成している第1の流路構成部材と、第1の流路2Aの下
流側に接続されており、第1の流体52を150℃以上の高温及び5MPa以上の圧力となるように加
熱する機能を備えた加熱部2と、加熱部2に接続されており、下流端が第1の流路2Aに連ねられて連
続流路を構成している第2の流路2Bと、第2の流路2Bに接続されており、加熱された黒鉛を冷却し
かつ減圧することにより剥離する冷却槽3と、薄片化黒鉛を取り出すことを可能とするように第2の流
路2Bに接続されている取出流路29とを備える、薄片化黒鉛の製造装置で積層数が少なく厚みの薄い
薄片化黒鉛を容易に得ることを可能とする薄片化黒鉛の製造装置の提供。

次に、日本黒鉛工業株式会社の保有特許より、恣意的に参照する。

● 特開2015-098129  円筒状メッシュシリンダ及び円筒状メッシュシリンダの製造方法



【概要】

端縁に沿って複数の穴が形成されて設けられた接合部を有するシート状部材の端縁同士を突き合わせて、
薄膜状の連結部材を押圧体により押圧しながら超音波振動を用いて接合して円筒状を形成したのち、さ
らに連結部材とその周辺部を樹脂2で覆うことにより樹脂層8を形成する円筒状メッシュシリンダで、
従来技術では、連結部材で覆われている部分でも連結部材とシート状部材の接合が不十分であると、円
筒状メッシュシリンダを一定期間使用していると、毛細管現象等でその部分からもインキやペーストが
漏れ出すという問題があり、連結部材を用いた超音波振動による接合だけでは、長期間に亘っての十分
な印刷耐久性を得られない場合があった問題を解決するというもの。新規考案としては新規性は薄い事
案である。

● 特開2015-111554
  カーボンコート層、塗料、集電体、電池及びカーボンコート層の形成方法



【概要】

リチウムイオン電池用のアルミ箔、銅箔、ステンレス箔等の集電体に内部抵抗を低減する目的等で設け
られるカーボンコート層において、このカーボンコート層用の塗料に、使用温度を超えて高温になると
ガス発生する材料を添加し、この塗料を集電体上に塗工し、カーボンコート層を作成することにより、
リチウムイオン電池内が急激に温度上昇した場合、活材と集電体との間の通電を発生ガスにより遮断で
きるようにした、カーボンコート層又はその塗料に係るものである。リチウムイオン電池の安全性対策
として、電解液の温度が急激に上昇するとガスを発生し、活材層と集電体の通電を遮ることができるカ
ーボンコート層を提供技術である。

最近のリチウムイオン二次電池の市場は、ノートパソコン、携帯電話等の民生用から電気自動車、ハイ
ブリッド自動車さらに定置用蓄電池(Energy Storage System、ESS)にも展開されている。また、リチウ
ムイオン二次電池等では、集電体の処理について検討されているが、充放電を繰り返す中で、電極にデ
ンドライトが析出し、短絡若しくは過充電等による電池の内部温度が上昇することによって発火、破裂
または爆発が発生する危険性がある。充放電を繰り返す中で、電極にデンドライトが析出し、短絡若し
くは過充電等による電池の内部温度が上昇することによって発火、破裂又は爆発が発生する危険性があ
る。また、電池組み込み工程でも、コンタミが原因で熱暴走を起こし、発火を引き起こした事例も報告
され、電池の内部温度が上昇することによる発火等の危険性を未然に防止する有効な手段がなかったが、
本事案は、リチウムイオン二次電池の集電体上に、使用温度を超えて高温になるとガスを発生する材料
を含むカーボンコート層を設け、電池内温度が使用温度を超えて上昇した場合に、電池の導通を妨げる
ガスを発生させるようにしたことを最も主要な特徴としており、重要かつ新規性に富んだ特許である(
詳細は上表1をダブクリ)。


● 特開1995-147159  一次電池 日本黒鉛工業株式会社 



【概要】

正極活物質と導電性物質とを含有する正極合剤を備えている一次電池であって、導電性物質として、厚
さ1μm以下、平均粒径1~50μm及び比表面積5~50m2 /gの薄片状黒鉛粉末を含有している
ことを特徴とする。好ましくは、正極合剤中において、正極活物質100重量部に対して、薄片状黒鉛
粉末が0.5~10重量部含有されることで、正極活物質と導電性物質とを含有する正極合剤を備えて
いる一次電池で、導電性物質を変更することによって、一次電池の性能を向上させ、特に寿命を長くで
きるようにすることであり、一次電池の正極合剤に添加する導電性物質――薄片状黒鉛粉末を使用し、
従来の黒鉛粉末と比較し、極めて有効に電子を運ぶことができ、成形性も向上、一次電池の寿命が延び、
正極合剤の生産性も高く、不良品も発生しない。また、導電性物質の添加量削減を可能とする製法であ
る。

従来のリチウム電池に対し負荷特性、特に低温での連続放電特性及びパルス放電特性を改善するため、、
前述の日本黒鉛工業株式会社の特許―――正極合剤成形体を構成する導電炭素材として、所定のサイズ
及び比表面積を有する薄片状黒鉛粉末を含有させる製法技術を踏まえ次の特許技術が提案されている。

● 特開2009-295307 
  リチウム電池用正極合剤成形体及びリチウム電池 FDKエナジー株式会社



【概要】

リチウム電池用正極合剤成形体12は、リチウム電池10の構成要素であり、正極活物質及び導電炭素
材を主構成材料として含む。このリチウム電池用正極合剤成形体12は、正極活物質である焼成二酸化
マンガンと、導電炭素材である黒鉛粉末と、バインダとを含む成形用材料を成形して得られる。焼成二
酸化マンガンの平均粒径は35μm以上40μm以下である。黒鉛粉末の平均粒径は35μm以上、見
掛け密度は0.05g/cm3以下である。バインダの含有量は1重量%以下であることで、負荷特性
を向上させることができるリチウム電池用正極合剤成形体を提供するというものである。

従来においてリチウム電池用正極合剤成形体を製造するにあたり、所定の成形性及び成形体強度を得る
ためには、少なくとも数重量%程度のバインダ成分を添加する必要があった。しかし、バインダの増量
は通常電解液含浸の妨げとなり、放電特性にとってマイナスの影響を及ぼす。また、導電炭素材である
黒鉛の比率を高くすれば結着性を向上できるが、その反面で正極活物質である焼成二酸化マンガンの充
填容量が減少してしまい、同様に放電特性にとってマイナスの影響を及ぼす。

以上、足早に俯瞰してきたがこのナノグラファイト・ナノカーボン・ナノグラフェンの領域は急テンポ
で進化している、百ナノメーターを切るダウンサイジングの加工技術は未来を決定すると言っても過言
ではない世界が広がっている。 

 

クリックベイトの政治家

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              ほんとうに黙することのできる者だけが、ほんとうに語ることができ、
              ほんとうに黙することのできる者だけが、ほんとうに行動することができる。

                                               キルケゴール  『現代の批判』

 

                                                              

                                 Søren Aabye Kierkegaard
                                   May. 5, 1813 - Nov.11, 1855

 

 

  ザクースカ Zakuski :前菜

スメタナとイクラを乗せたブリン

【世界の朝食:今日はサハリン地方】

冷たい雪が降るサハリン11月。半年以上続く長くげ厳寒の冬。野菜やきのこの漬物、木の実のジャムはす
でに家庭ごとに用意され、キッチンや納屋の一角に納められ冬支度、中身は「ペリメニ」。シベリア風水餃
子と言われるロシアの国民食。豚や仔羊、牛などの肉を小麦粉の皮で包む。魚介類が豊富なサハリンでは魚、
特に鮭を使う。氷点下20℃以下になる二重式の外玄関で凍らせ、冷凍庫で保存。食べるときは塩とハーブ
を加えたスープでさっと煮る。シンプルでいて味わい深く、熱々。凍てつく冬の日の馳走。「パンの耳」と
呼ばれる愛らしい形。ペリメニや漬物の一つ一つにそんな家族の愛が詰まる。これらの料理には必ずあるず
っしり重たいライ麦パン。小麦粉を使ったさまざまなパンが手に入るようになった今でも、主食と言えばこ
れ。サハリンの大地が独特の酸味と香り豊かな味わいを醸し出す。

 ペリメニとライ麦パン

 

 


【SiCでEVカーレースを制す インバーターを30%小型化】

ロームは16年11月8日、「electronica 2016」でプレスカンファレンスを開催し、出展する商品群を
紹介。中でも、時間をかけて説明したのが、SiCパワーデバイスや同デバイスを適用する「フォーミュ
ラE」への取り組みである。SiCパワーデバイスに関しては同社の第3世代品をアピール。SiC MOSFET
の同世代品は、「ダブルトレンチ構造」を採用した、いわゆるトレンチ型である。従来のプレーナ―型
のSiC MOSFETに比べて、同じチップサイズでオン抵抗を50%、容量成分を35%削減できるという。
耐圧650V品として、オン抵抗が17m~120mΩを、耐圧1200V品として22m~160mΩ品を用意する。

SiCショットキー・バリア・ダイオード(SBD)の第3世代品も紹介。こちらは耐圧650Vで、2~10A品
を用意する。「チョッパータイプ」と呼ぶ、SiCモジュールもアピール。SiCショットキー・バリア・ダ
イオード(SBD)とSiC MOSFETを搭載する、フルSiCのモジュール。同タイプの耐圧は1200Vで、定格
電流は120A/180A/3こうしたSiCパワーデバイスの適用先として紹介したのが、電気自動車(EV)のフ
ォーミュラマシンによる世界選手権レースのフォーミュラE(国際自動車連盟が開催)への取り組みで
ある。ロームは、同レースに参戦するフランスVENTURI社のチーム「Venturi Formula E Team」と3年
間の技術パートナーシップを結んでいる。

16年10月9日に開幕したシーズン3から、インバーター部分にロームのSiCパワーデバイスを提供し
ている。この関係で、今回のプレスカンファレンスでは、Venturi Formula E TeamのTEAM COORDINATOR
のFrank BALDETやレーサーMaro Engelが登壇し、SiCへの期待を述べた。シーズン3では、SiC SBDを
インバーターに搭載した。シーズン2で使用していたインバーターに比べて効率が1.7%改善した上、
2kgの小型化も達成したという。加えて、放熱系の小型・軽量化によりインバーターの体積を30%小
型化したという。次のシーズン4では、インバーター内のSi IGBTをSiC MOSFETに置き換える予定で、
さらなる改善を見込めるという。小型化により、配置が自由になり、フォーミュラカーの重心バランス
の調整が容易になるという。軽量化も利点がある。許容される全体の重さはほぼ一定なものの、シーズ
ンが進むごとにバッテリーの容量やモーターの出力は大きくなる。そのため、SiCパワーデバイスの適
用による高効率化での軽量化が、威力を発揮するという(出典:ローム社プレスリリース 2016.10.11
/日経テクノロジー2016.11.09)。炭化ケイ素パワー半導体はいよいよ成熟期に入った。ここ10年の
技術進化は著しい。

以下、参考に2つのローム社の炭化ケイ素パワー半導体関連の最新特許公開事例を掲載しておく。

 Aug. 25, 2016

【概要】

ソース領域13を有する半導体装置1において、ソース領域13に接するように形成されたソース配線
17を、互いに異なる導電性物質であるソース領域13に接するポリシリコン層18と当該ポリシリコ
ン層18上のメタル層20を含む積層構造とする。また、SiC基板2に接するように形成されたドレ
イン配線23を、互いに異なる導電性物質であるSiC基板2に接するポリシリコン層24と当該ポリ
シリコン層24上のメタル層26を含む積層構造とすることで、SiCの結晶欠陥の拡大を防止し、オ
ン抵抗の上昇を抑制する。


図11は、SiCが使用された従来のトレンチゲート型VDMOSFETを有する半導体装置の模式断
面図である。半導体装置201は、トレンチゲート型VDMOSFETの単位セルがマトリクス状に配
置された構造を有している。半導体装置201は、半導体装置201の基体をなすN+型のSiC基板
202を備えている。SiC基板202のSi面(シリコン面)上には、SiC基板202よりもN型
不純物が低濃度にドーピングされたSiC(シリコンカーバイト:炭化ケイ素)からなる、N-型のエ
ピタキシャル層203が積層されている。エピタキシャル層203の基層部は、エピタキシャル成長後
のままの状態が維持された、N-型のドレイン領域204をなしている。また、エピタキシャル層20
3には、ドレイン領域204上に、P型のボディ領域205がドレイン領域204に接して形成されて
いる。

エピタキシャル層203には、ゲートトレンチ206がその表面217(Si面)から掘り下がって形
成されている。ゲートトレンチ206は、ボディ領域205を層厚方向に貫通し、その最深部(底面2
16)がドレイン領域204に達している。ゲートトレンチ206内には、ゲートトレンチ206の側
面214および底面216を熱酸化させることにより、SiO2からなるゲート絶縁膜207がゲート
トレンチ206の内面全域に形成されている。そして、ゲート絶縁膜207の内側をN型不純物が高濃
度にドーピングされたポリシリコンで埋め尽くすことにより、ゲートトレンチ206内にゲート電極2
08が埋設されている。エピタキシャル層203の表層部には、ゲートトレンチ206に対してゲート
幅と直交する方向(図11における左右方向)の両側に、N+型のソース領域209が形成されている。
ソース領域209は、ゲートトレンチ206に沿ってゲート幅に沿う方向に延び、その底部がエピタキ
シャル層203の表面217側からボディ領域205に接している。

また、エピタキシャル層203には、その表面217から、ゲート幅と直交する方向におけるソース領
域209の中央部を貫通し、ボディ領域205に接続されるP+型のボディコンタクト領域210が形
成されている。エピタキシャル層203上には、SiO2からなる層間絶縁膜211が積層されている。
層間絶縁膜211上には、ソース配線212が形成されている。ソース配線212は、層間絶縁膜21
1およびゲート絶縁膜207に形成されたコンタクトホール213を介してソース領域209およびボ
ディコンタクト領域210にコンタクトされるニッケルシリサイド層218と、ニッケルシリサイド層
218上に形成されたアルミニウム層219とを有している。SiC基板202の裏面(カーボン面:
C面)には、ドレイン配線215が形成されている。ドレイン配線215は、SiC基板202にコン
タクトされるニッケルシリサイド層220と、ニッケルシリサイド層220上に形成されたアルミニウ
ム層221とを有している。ソース配線212とドレイン配線215との間(ソース-ドレイン間)に
所定の電位差を発生させた状態で、ゲート電極208に所定の電圧(ゲート閾値電圧以上の電圧)が印
加されることにより、ゲート電極208からの電界によりボディ領域205におけるゲート絶縁膜20
7との界面近傍にチャネルが形成される。これにより、ソース配線212とドレイン配線215との間
に電流が流れ、VDMOSFETがオン状態となる。


【概要】

SiC電界効果トランジスタ1は、N+型ソース領域15とN-型ドリフト領域14とがエピタキシャ
ル層11の表面12(主面)に垂直な縦方向にP型ボディ領域13を介して離間して配置された、縦型
MISトランジスタ構造を有する。この縦型MISトランジスタ構造は、エピタキシャル層11の表面
12からソース領域15およびボディ領域13を貫通してドリフト領域14に達するソーストレンチ5
が形成されている。ソース電極26は、ソーストレンチ5内において、ソース領域15、ボディコンタ
クト領域16およびドリフト領域14に接し、ドリフト領域14との間に、ボディダイオード32の拡
散電位よりも低い接合障壁のヘテロ接合を形成している。

 

「アテンション・エコノミー時代」の憂鬱

   Nov. 9, 2016

The future entrusted to Mr. Clickbait President.

多くのメディアや分析家の予想に反して、ドナルド・トランプが大統領選で勝利を収めた。それが意味
するのは、現代が、内容の優劣よりも「注目」を集めることが支持につながる「アテンション・エコノ
ミー」――インターネットに代表される情報発信媒体(メディア)が増えたことで、情報過多の状態が
起こっており、そうした世界では人々の「アテンション(=関心・注目)」が情報量に対して稀少にな
ることで価値が生まれ、交換財となりえるという概念。 関心経済、アテンションエコノミー、Attention
 Economy。米国の社会学者、ゴールドハーバー(Michael H. Goldhaber)が97年に提唱――の時代にあ
るという。ウェブメディア『Gawker』(日本語版記事)がつくったTwitterボットはイタリアのファシス
ト、ムッソリーニの「羊として百年生きるより、ライオンとして1日生きる方がいい」という引用がト
ランプのTwitter発信し、トランプはそれをリツイートし、千万人以上のフォロワーに拡散させる。のち
にトランプはNBCの「Meet the Press」という番組でそのことについて尋ねられ、「いい言葉だよな」「誰の
言葉かは知らなかったが、それがムッソリーニだったからといってなんか違いはあるのか?」「いいや
むしろこの興味深い引用と結びつけられたいな」「だってあんたらも、この言葉に興味を引かれたんだ
ろ?」と応じている。

 

● コンテンツは「空気」になった

注目を集めることは19世紀後半以来、広告産業として行われていたが、この25年間で、それはすべ
てのデジタル経済の基盤となるものに変わる。この変革の核となったのは、驚くほど低コストでメディ
アを制作、消費できるようになった。科学技術進歩による「デフレーション効果」の計測は喫緊のテー
マであるが、例えば、出版業界は長期不況にあえいでいるが、このことへの研究論文は皆無にある。当
初、人々はこの新しい時代を「情報の時代」と呼んだものの、知識を低コストでつくることができれば、
みんなが知識にアクセスできるようになると考えたのだが、実際には、いまでは情報がタダ同然でつく
られ、その相対価値が逓減する。そこで重要になってきたのが、情報を消費してもらうために注目して
もらうこということである。

今日、テクノロジーおよびメディア企業は、アプリやウェブサイトの開発に時間を費やし、注目を求め
てしのぎを削っているがビジネスモデルは単純だ。注目を集め、それを広告を通してマネタイズ―「無
料のサービスで収益化する方法」という意味。もとは「金属から貨幣を生み出す」という意味で使われ
ていたが、07年ごろからIT業界で使われるようになった背景には、「当時から無料のサービスが発達
していた」というのがあり。当時は、まだまだ質の高いサービスは有料というのが当たり前という時代
で、ビジネス的に無料で使えるサービスは限られていた。IT業界ではその頃にちょうど「ブログ」や「
動画配信サービス」などといった無料で使える高クオリティなサービスを提供するビジネスの流れが発
生していた。そして、この高クオリティを維持に、自然とIT業界では収益化を意味する「マネタイズ」
が使われるようになる――と。ほとんどの人は広告をクリックしないが、ある程度の人はする(という
ことを彼らは願っている)。その意味では、YahooやHotmailの受信箱を、精力剤やビタミン剤の広告で
埋めた初期のスパムメールから対して変わっていない。唯一の違いは、今日ではそのスパムが「コンテ
ンツ」と呼ばれているという。

かつて、「コンテンツ」という言葉は「役に立つ内容」という意味をもっていたが、いまでは「空気」
のようなものだで、芸術、文学、映像、ジャーナリズムの代わりに、空気で満たされている。もはや、
それが「何を語りかけるか」は重要ではなく、大切なのは注目を集めることだけとなる。このダイナミ
クスは、インターネットの世界で勝利を収めたテック企業によって生み出されている。スマートフォン
のホーム画面にあるアプリを思い出してみてほしい。Snapchat、Facebook、Instagram、Twitter,Gmail、Tinder。
彼らはあなたに通知を送るたびに、「それは善意だ」「あなたの生活を便利にするためだ」と口では説
明しても、実のところは注目を集めたいだけなのである。Tinderのスワイプ機能やInstagramのインフィニ
ティ・スクロールは、アプリにたどり着いた途端にユーザーを離さないようにするためのデザインとな
る。

● クリックベイトの政治家

トランプはコンテンツの魔術師だ。彼が使うキャッチフレーズを思い浮かべてほしい。「壁をつくる」
「ほら吹きテッド・クルーズ」「胡散臭いヒラリー」。それらは「◯◯をするための裏技」や「このあ
と何が起こるか、あなたにはわかりますか?」といったネット広告の常套句の政治版なのだ。彼は「ク
リックベイトの政治家」だ。16年の初めの2カ月、彼は広告料に換算して2億ドルに相当するメディ
ア露出を果たす。ライヴァルたちの2倍以上である。内容がよかったわけではない。それでもメディア
に出ることは彼を後押ししする。ネットでの荒らしと同様に(トランプは間違いなく荒らしの類だ)、
彼は無視されるよりも「ネガティヴな注目」(主要新聞 vs.タブロイ紙)のほうがいいと了解している。

世論分析家のネイト・シルヴァーは、「トランプの人気はメディア主導によるものだ、という考えがあ
ります。その説明は完全に間違っているわけではありませんが、不完全です。それはブームや注目を生
み出すメディアと、世間や候補者の間の複雑な関連性の表層をなぞっているだけです。トランプのよう
な熟練の荒らしが、メディアをどう自分の利益になるように濫用しているかを無視しています」と述べ
ている(以上は、池田純一, トランプ勝利が示した「アテンション・エコノミー時代」の憂鬱, WIRED,
2016.11.10 を参考に加筆掲載させてもらった)。

そうして考えてみると、一営利企業グループ経営者が、アメリカ合衆国の「国家・社会の共通利益」の
理念・ビジョン・戦略を、既存の巨大企業や団体組織や共和党などの政治家や行政官、あるいは国内外
の民間人の力を借り、集約し打ち出すことができたとしても、議会や既得権益者や国民、あるいは、諸
外国との合意形成がスムーズに行くのだろうかと考えるのは無理からぬことである。


※ クリックベイト(click bait):中身の乏しいWebページだが、ユーザにとって興味深いタイトルを付け
  てユーザを誘導する行為。タイトルと中身は一致しない。タイトルとして全く無関係の写真を付け
    る場合もある。SNSで良く使用され、スパム行為と見なされる(対策: 一部のSNSではシステム的に
    クリックベイトのリンクを検出し削除することを自動で行っている)

 池田 純一 (1965 - )

  ● 今夜の一曲

1967年6年、ポリドールから発売。ヒット曲を連発していた「六八コンビ」が満を持して世に送り出し
たもので、菅原洋一にとっては、1965年の『知りたくない』に続くヒット曲。ラテンミュージック調(
タンゴなど)が巧くはまった仕上がりとなっている。


 あなたのまつげがふるえてとじて
 なみだのしすくがつたっておちて
 私に芽生えたあなたへの愛

 芽生えてひよわな愛の心を
 やさしくやさしく育てる月日
 やがては私を抱きしめる愛

 その愛が私を育てた愛が
 今は私を苦しめ悩ませるの

 あなたのまつげがふるえてとじて
 なみだのしすくがつたっておちて
 それが終わりのあなたへの愛

 その愛が私を育てた愛が
 今は私を苦しめ悩ませるの

 あなたのまつげがふるえてとじて
 なみだのしすくがつたっておちて
 それが終わりのあなたへの愛
 あなたへの愛

                                       芽生えて そして

                              作詞 永  六輔
                           作曲 中村 八大
                                                     編曲 早川  博二 

 

 

錬金術立国への夢

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                   未だ生を知らず、焉んぞ死を知らん / 論語    
                    

              ※ 季路問事鬼神、子曰、未能事人、焉能事鬼、
              曰敢問死、曰未知生、焉知死。

               いまだ人に仕えることもできないのに、
              どうしてよく神や先祖の霊に仕えることができようか。

                                                                               
          
                                                                                                                  孔子 B.C. Sep. 28, 552 - Mar. 9, 479

    

 

 
【錬金術立国への夢:水素大量製造型酸化物ナノ複合化陽極材料】

時代は確実に、不確定な、憂鬱な、動乱色に染まりつつある。それを横目に寡黙に問題解決の任務をこなす
アドホックな技術集団がいるとすれば、それは現代の墨子であろう。さて、

9日、産業技術総合研究所の島田寛之らの研究グループは、水素社会の実現に向け、水を電気分解(電解)
て水素を合成する技術の1つである固体酸化物形電解セル(SOEC)による水電解で、水素製造に必要なエネ
ルギーを従来の水電解技術より20~30%削減でき、白金などの貴金属電極が不要な、セル面積あたりの
水素製造量(合成速度)が多い酸化物ナノ複合化陽極材料の開発の成功を公表。

それによると、サマリウムストロンチウムコバルタイト(SSC)とサマリウム添加セリア(SDC)の
一次粒子をナノレベルで均質化させたナノ複合構造の二次粒子を設計し、噴霧熱分解法――球状で
粒子径が揃った微粒子が合成可能2相以上からなる複合微粒子を単一プロセス――で合成する二次
粒子である酸化物ナノ複合粒子内には電子とイオンそれぞれの伝導経路が構成、広い反応場と高い
電気伝導性を示す。この材料を用いてSOECで高温水蒸気電解を行い、電解電流密度は2.3 A/cm2
(450 ℃、電解電圧1.3 V)であった。また、セル面積あたりの電解水素の合成速度も、高分
子形の水電解での合成速度の2倍以上を達成し、電解セルのコンパクト化を可能とする。

【成果】 

二種類の10ナノメートルレベルの酸化物ナノ微粒子を均質に複合化した二次粒子の陽極材料を開発 二次粒子内にイオンの伝導経路を構築し、電極反応点数を飛躍的に増加 既存の水の電気分解技術を超える電解電流密度を酸化物形で実証し、水素社会の実現を促進 

水電解による水素製造技術としては、固体高分子形やアルカリ形があるが、作動温度が低く電解電圧が高い
ためエネルギー変換効率に限界がある。一方、SOECを用いた高温での水蒸気電解は、電解電圧が低くシス
テム内で無駄なく熱を利用できるため、高効率でエネルギーキャリアを製造できる次世代の水電解技術とし
て期待されているが、電解電流密度が低いためセル面積あたりのエネルギーキャリア合成量が十分ではなか
った。 

SOECの陽極は、電気伝導率が高く電極抵抗が小さいほど、高い電流密度が得られる。現在、SOEC陽極材料
として一般的に使用されている電子伝導性のペロブスカイト型構造材料La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3(LSCF)では、
イオン伝導性材料のガドリウム添加セリア(酸化セリウム):GDC)と複合化して、電極内に電子とイオンそ
れぞれの伝導経路を形成すると同時に、反応する点を増やすことにより、電極抵抗を低減させている。

 Nov. 9, 2016

これによると、SOEC の電解電流密度を飛躍的に増加させる高性能陽極として、高電子伝導性のペロブスカ
イト型構造材料SSCと高イオン伝導性材料のSDC をナノメートルレベルの一次粒子とし、両者が均質な三次
元ネットワークを構成する酸化物ナノ複合構造の二次粒子を設計。噴霧熱分解法により、このナノ複合化構
造二次粒子を合成、この粒子からなる陽極材料を作製。

今回用いたSSCは、LSCFよりも高い電子伝導性を示す材料であり、また わずかながらイオン伝導性も併せ
持つ。しかし、このSSC自体がもつイオン伝導性のために、SDCやGDC等の高イオン伝導性材料と複合化し
ても陽極性能を向上させる効果を得ることが難しかった。また、これらのイオン伝導性材料と複合化すると、
電極内のSSCのネットワークが途切れ電子伝導率が低下してしまうために、これまではSSC単体で用いられ
ていた。今回、マイクロ構造による電極内の電子伝導経路を構築して、SSC自体の電子伝導率を低下させる
ことなく、ナノ構造により二次粒子内にイオンの伝導経路を構築して電極の反応点数を大幅に拡大させた
(上図1)。これにより、SSC単体では得られなかったSDCとの複合化効果が得られるようになり、電極性
能が著しく向上する。

ナノ複合化により、これまでSOECを用いた高温水蒸気電解の最大の損失要因であった陽極の電極抵抗を大
幅に低減できた。今回開発した材料を陽極として用いたSOECの電流密度は、2.3 A/cm2(750 ℃、電解電圧
1.3 V)であった(下図)。これは、既存の水電解技術であるアルカリ水電解や高分子形電解、これまでの
SOEC 高温水蒸気電解の2~10倍である。また、実用化の目安であるSOECの容積1dm3(想定電極面積
1200 cm2)あたりの水素製造量1 Nm3/hを達成するには2 A/cm2の電解電流密度が必要とされている。



今回開発した陽極を用いたSOECの電解電流密度はこれを上回っており、水素ステーション用などの水素製
造装置に適用でき、電解装置を従来よりもコンパクトにできる。また、開発した陽極材料を用いたSOECで
の電解水素の合成速度は、高分子形電解やアルカリ水電解と比べ、セル面積あたり2倍以上の水素を合成で
きた。電解熱中立点で電解することで、外部から供給する電力を従来より20~30%削減できるという
SOECによる水電解の利点に加え、今回の陽極材料により大量水素製造できることで、再生可能エネルギー
を活用した水素製造時のコストを低減、水素社会の実現を促進する。  

ここで、鍵となる「高温水蒸気電解法」と「噴霧熱分解装置」の最適と思われる特許事例の2例を以下のよう
掲載しておく。いつものことなのだが、短時間で膨大なデータから2つだけ取り出すのも「情報処理リテラシ
ー」が問われ、あれも掲載したい、これもふれておきたい拡散し、肝心なことが抜けてしまうことをおそれる
が、今日は土曜とあって湖北ドライブを楽しんできた(疲れた)こともあり、「ナノテク」は「デジタル」(
電算機)抜きには語れず、かつまた冒頭の「錬金術立国への夢」の実現できない。そんなことを踏まえ、「ネ
オコンバーテック」を駆使した環境システムの開発と未来を担えるのはわたし(たち)だと確信しつつ、今夜
は適当なところで切り上げる。

● 高温水蒸気電解法を用いるメリット 

高温水蒸気電解法を用いるメリットを具体的に説明する。水の電気分解に必要なエネルギー(ΔH)
は次式(1)で表される。ここで、ΔGはギブスエネルギー差、TΔSは可逆反応熱を意味し、Δ
Gは電気エネルギーで、TΔSは熱エネルギーで与えられる。

    ΔH=ΔG+TΔS                    (1)

ΔHは温度による変化が小さいのに対し、ΔGは高温になるにつれて小さくなる。このため、高温
環境下で水蒸気の電気分解を行うことにより、水の電気分解に比べて電気分解に必要な電気量を低
減することができる。この性質により、室温での水の電気分解よりも30%程度少ない電力で同じ
水素製造量が得られるため、高いエネルギー効率で水素製造を行うことができる。

さらに、原料が水であるため、二酸化炭素を生じない再生可能エネルギーによる電力と二酸化炭素を生じな
い熱源を用いれば、全く二酸化炭素を排出せずに水素製造が可能となる。また、製造した水素を一時的に貯
蔵する方法としては、(1)圧縮して高圧水素ガスにする、(2)液化水素にする、(3)水素吸蔵材料に
吸蔵する、という3つの水素貯蔵方法が知られている。これらのうち、水素吸蔵材料は一般的に水素を吸蔵
するとき発熱して、水素を放出するときに吸熱する。

このため、水素を水素吸蔵材料に吸蔵する水素貯蔵方法は、熱エネルギーが水素製造に及ぼす寄与が大きい
高温水蒸気電解法との組み合わせに適している。

下図の特許事案は、株式会社 東芝の「水素製造装置、水素製造方法及び電力貯蔵システム」で、水素製造
に係る入熱を低減して、高い水素製造効率を実現する製造装置、方法及び電力貯蔵システムである。 

【解決手段】水素製造装置10は、供給された原料水を加熱して水蒸気を発生させて、所定の温度
まで昇温させる第1加熱部12と、水蒸気を入力して、高温水蒸気電解により水素と酸素とを生成
する電解セル17と、生成された水素と電解未反応分の水蒸気とを入力して、水素吸蔵材料の水素
化反応に必要な温度よりも高い温度で、水素と水蒸気とを分離する水分分離器18と、分離された
水素と水素吸蔵材料との混合物を水素化反応させて、水素を水素吸蔵材料に吸蔵させる水素化反応
器21と、を備えている。


● 噴霧熱分解装置の最適化

噴霧熱分解装置には、セラミックス製の炉心管と、電気ヒーターとが備えられている。そして、噴
霧熱分解装置では、炉心管を電気ヒーターにより加熱して、原材料を炉心管内部で熱処理される。
電気ヒーターによる加熱、熱分解処理を行うため、原材料の大量処理が困難である。また、イニシ
ャル・ランニングコストの面においても、スケールアップが困難である。さらに、セラミックス製
の炉心管のため、昇温、降温に時間がかかるなど作業性が低減する。炉心管としてセラミックスチ
ューブが使用されていることが一般的となっている。この場合には、電気ヒーターで加熱する際に、
ヒートショックが起こり、炉心管が割れてしまう等の不具合も生じやすい。更に、セラミックスチ
ューブ製の炉心管の一部が剥離してしまう等の問題もある。炉心管の一部が剥離してしまうと、炉
心管の割れた破片が製品へ混入してしまい、製品の品質を著しく低下させてしまう。

また、直火式噴霧熱分解装置では、原材料を熱分解処理する熱分解処理部で、加熱の際に、局所的
な高温部が生じてしまい、品質低下を生じさせやすい。さらに、局所的な高温部を生じさせないよ
うにするために、温度制御することも難しい。このため、大川原化工機株式会社の下図特許事案
「噴霧熱分解処理装置、及び噴霧熱分解処理方法」では、噴霧熱分解装置の大型化、製品の高品質
化、及び製品の大量処理が可能となる噴霧熱分解処理装置を提供されている。

【解決手段】原料液滴を噴霧する噴霧器9と、噴霧器9から噴霧された原料液滴を、高温雰囲気下
で加熱、分解させる円筒状の反応炉3と、反応炉3の外周3aを、反応炉3の鉛直方向下側から上
側に向けて、熱風を通過させる通風部7と、を備える。上記反応炉3は、金属製からなり、通風部
7を通過する熱風を反応炉3に当てて、反応炉3内で原料液滴を加熱、分解させる噴霧熱分解処理
装置1。 


  ● 今夜の一曲 

 「イッツ・マイ・ライフ」はアメリカ合衆国のロックバンドのボン・ジョヴィの楽曲である。こ
の楽曲は、彼らの7枚目のアルバム『クラッシュ』に収録され、アルバムからの最初のシングルと
して日本では2000年5月10日にリリースされた。各国の週間シングルチャートは、ドイツ
で2位、イギリスで3位、オーストラリア、アイルランドで5位などとなった。
 


 

 


大満月に吠える

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            詩は神秘でも象徴でも鬼でもない。
            詩はただ、病める魂の所有者と孤独者との寂しいなぐさめである。

                                           萩原 朔太郎  『月に吠える』

 

      私は詩を思ふと、烈しい人間のなやみとそのよろこびとをかんずる。
      詩は神秘でも象徴でも鬼でもない。詩はただ、病める魂の所有者と孤独者との寂しいなぐさめである。
           詩を思ふとき、私は人情のいぢらしさに自然と涙ぐましくなる。


                                                                                                               
                                                                                                                  萩原朔太郎
                                                                                                         Nov. 1, 1886 - May 11, 1942






 

 

この季節になとかならずオリーブと柿の話となる。ところで、原産地が鹿児島県長島のみかんは江戸
時代には紀州みかんとよばれ、その温州ミカンは、米国ではクリスマス・オレンジとして広まり、い
までは「TVオレンジ」(炬燵みかんに由来)として親しまれているが、柿は海外でどの程度食べら
れているのだろうか。FAO(国際連合食糧農業機関)の統計では、生産量の第1位は中国、次いで
韓国で、日本は第3位、日本に次いで第4位はブラジル、第6位がイタリア。ヨーロッパでは熟した
柿をスプーンですくって食べるというスタイルが多いという話がよく聞かれます。フランスの市場に
おいて、パーシモンではなく「KAKI」として流通していたという話もあるから日本が原産と考え
られている。 欧州やアジアで伝統的に柿が食されている地域では、熟した柿をスプーンで救って食べ
るスタイルが多くみられ、米国では、先住民が在来種のアメリカガキの干し柿を保存食として食べて
いたとされており、パーシモン(persimmon)という名前も米国先住民の言葉だといわれている。 柿は
沢庵漬けに柿の皮を入れたり、なますの材料に使われたりするように、ダイコンとの相性がよく、大
根おろしに柿を使っている。


ところで、彼女は柿は値段が高いという(果物全体、他の食品と比べ高いとも)。柿、イチヂク、ビ
ワは世界的にマイナーな作物だったり、日本人しか生食しなかったりで、輸入されず――リンゴの自
給率は60%程度、40%は輸入。柑橘類も、ミカンや柚子は国産が多いが、オレンジ、レモン、グ
レープフルーツ等は輸入が多く、輸入が多い作物は連動し価格は下がらないというメカニズムが働き
も手伝って下がらない。それでは、沢山流通するようにすれば良いのでは?そのために、加工技術を
磨き、用途を広めれば良いのでは?それだけではなく、無駄のできないようにすれば良いのではない
か?とそんなことを考えていると、柿を1000種類ほどがある中、〝会津みしらず柿”――福島県
会津若松市では400年以上前から栽培されてきた―――が、たまたま、NHKの「うまいッそ」と
いう番組で今朝、紹介放送されていた。この〝会津みしらず柿”は 実は渋柿。その渋抜き法に見入
った。渋消し方法やレシピについては番組の紹介の公式HPを参照(下図ダブクリ)してもらうこと
として、番組で紹介された「渋消し法」「渋戻り防止法」の食品工学に焦点をあてる。


その種類と産地によって様々なものがあるが、大きく分けて甘柿と渋柿とに分けられている。甘柿は
成熟した実の段階で既に柿渋である柿タンニンが不溶性の化合物に変化していることで渋味はないが
渋柿は柿タンニンが水溶性のまま存在するために渋味が強くそのままでは食用にはならない。甘柿も
未成熟のものは渋味が残るが、渋味を持つ柿は渋抜きと呼ばれる処理をして食される。

渋抜きには古来より様々な方法がとられてきた。(1)焼酎などのアルコールを吹きかけ一定期間密
封することで渋を抜く方法や、(2)収穫の前の柿に袋を被せて、この中の固形アルコールを封入す
る方法、あるいは二酸化炭素を使う方法、(3)皮をむいて長期間、天日や遠赤外線にさらす方法な
どがあり、いずれも柿渋の分子構造を変化させて不溶化し不活性にするものである。

しかし、(1)これらの方法は渋抜きに数日から数ヶ月と長期間を要することと、(2)渋を抜いて
から加工する段階で、特にジャムやプリンを製造する場合に加熱を伴うと、渋戻りという渋味が戻っ
てしまうという現象が頻繁に起こることから、食材としての加工性に少なからぬ障害がある。

(3)また粉砕した果肉に、ゼラチンや牛乳、卵白、大豆蛋白などの蛋白質を加えて加熱攪拌する方
法も提案されているが、この方法はゲル化する性質があり、粘性が強いなど性状的に良好に混合でき
ない。添加剤としては大量に加える必要があることなどが原因となり、本来の柿の味が大幅に損なわ
れたり、新たに悪味を生じ、そのままでは渋味を無くす添加剤として実用には至っていない。さらに、
(4)アルコールに酢酸、アミノカルボン酸やオキシカルボン酸を加えた溶液で処理する方法も提案
されているが、この方法も加熱により渋味が戻り、後味が悪くなる問題がある(下表参照)。



表1の結果からアミノ酸や、ミルクカゼインは、悪味があり食品としては不適、またゼラチンを10
重量%添加したものは、渋味は少ないが粘性が高く混合不良。またアルコールで脱渋した渋柿を加熱
した場合に、渋戻りする現象に対して、タンパク質などを添加しておいて、渋戻り防止した場合の、
残留する柿タンニンの量と官能評価の結果は表2となる。 

表2の結果からアルコールで脱渋した渋柿の柿タンニンの量は1.4(mg/g)であるが、これを
加熱すると2.1(mg/g)に増加して渋戻りする。卵白タンパク質、アミノ酸、大豆タンパク質
、大豆粉末を脱渋剤とし添加して加熱したものは柿タンニンの量が1.6~2.6(mg/g)で何
れも程度の差こそあれ、渋味を感じるまでに渋戻りしている。

 


というわけで、上記問題を改善し、少量の添加で、柿の風味を損ねずに短時間で簡単な操作により渋
味を無くし、さらに 脱渋後の加熱による渋戻りの現象を防止した柿の脱渋方法が「特開2010-227068 
柿の脱渋方法」を提供されている。表2の結果からアルコールで脱渋した渋柿の柿タンニンの量は、
1.4(mg/g)であるが、これを加熱すると2.1(mg/g)に増加して渋戻りする。卵白タ
ンパク質、アミノ酸、大豆タンパク質、大豆粉末を脱渋剤とし添加して加熱したものは柿タンニンの
量が1.6~2.6(mg/g)で何れも程度の差こそあれ、渋味を感じるまでに渋戻りしている。
問題を改善し、少量の添加で、柿の風味を損ねずに、短時間で簡単な操作により渋味を無くし、さら
に脱渋後の加熱による渋戻りの現象を防止した柿の脱渋方法を提供するものである。

 特開2010-227068

【図2】実施例で説明したコラーゲンペプチドの添加量と、残留する柿タンニン量との関係を示すグラフ

【概要】

柿渋である柿タンニンを含む柿に、平均分子量が3000~5000のコラーゲンペプチドを加え、
粉砕・混合して水溶化している柿タンニンを1.2mg/g以下に調整することで、少量の添加で柿
の風味を損ねずに短時間で簡単な操作により渋味を無くし、さらに脱渋後の加熱による渋戻りの現象
を防止した柿の脱渋方法を提供する。

ここで、添加剤として使用するコラーゲンペプチドは、摂取された場合に人体に必要なコラーゲンの
原料となるアミノ酸やペプチドを効率的に補給することができるため皮膚の状態を改善する効果があ
るとされており、多く摂取したり例え未反応なものを摂取したりしても人体に安全でむしろ有益であ
る。柿の脱渋方法は、コラーゲンペプチドの平均分子量を3000~5000に規定することにより
水に溶けやすく、ゲル化せず、極めて高い安定性と保水力を有すると共に、悪味の発生を防止するこ
とができる(例えば、コラーゲン原料として豚皮などがある)。

柿渋は一般にタンニンと呼ばれる化合物の1つであり、図1のような分子構造を持っている。このタ
ンニンの性質の1つでタンパク質と良好に反応するという特徴がある。その反応機構は、タンニンと
加えるタンパク質の組み合わせにより様々であると考えられているが、その1つとしてタンニンのフ
ェノール性水酸基とタンパク質のアミノ基との間で静電的に強固な結合が生じて分子同士が絡み合う
というものがある。すなわち、図1の水酸基(-OH)が-O-となり、タンパク質のアミノ基が-
NH3+となり結合を形成するというものである。一般にタンニンの渋味はフェノール性水酸基に由
来するものとされているため、この反応により脱渋ができることとなる。 渋味を持つ柿への添加剤
として、食用となる化合物で、アミノ基を有した反応に有効な分子構造を持つコラーゲンペプチドを
用いることにより、加熱後も渋戻りせず、柿の風味を保持することができる。また、コラーゲンペプチ
ドは、近年になり酵素分解、酸分解や発酵によりタンパク質を低分子化する技術が開発され、コラーゲン、ゼ
ラチンを原料として低分子化し、余分な成分が取り除かれたものである。


柿タンニンの主成分であるShibuolの分子構造である。


般的にコラーゲンペプチドといっても様々なものがあるが、本発明で使用できるものは、タンパク質
の構成化合物であるアミノ酸が50残基以下でつながったものを指し、平均分子量が3000~50
00のものに限られる。このコラーゲンを分解して作るコラーゲンペプチドは、水に溶けやすく、ゲ
ル化せず、極めて高い安定性と保水力を有する。コラーゲンペプチドの平均分子量が3000以上と
したのは、添加剤が食用となるタンパク質由来であっても、反応に有効な分子構造を多く持ち、味に
変化を生じない程度の分子量を持つもので、アミノ酸をはじめとして分子量が小さすぎるものは化学
反応自体には優位であるが、添加剤自体が悪味となり味覚に悪影響を及ぼすからである。また分子量
が5000を超える大きいものは柿との混合操作に影響するため、化学反応に不均一が生じる上、製造
過程での操作に負担がかかり添加量も多くなるので、この範囲が好ましい。渋味を持つ柿に対するコ
ラーゲンペプチドの添加量は、その柿が含有する柿タンニンの量に応じて決められる。処理後の柿に
残留する水溶性の柿タンニンの量が1.2mg/g以下になるようにコラーゲンペプチドで過不足無
く反応させることにより、渋味が残らず、加熱による渋戻りを防止することができる。なお、処理後
の柿に残留する水溶性の柿タンニンの量が1.2mg/gを超えると、強い渋味が残るのでこの範囲
に規定した。   

処理する柿は、収穫したままの渋柿でも、アルコールで渋抜きした柿を用いても良い。この原料とな
る柿に、コラーゲンペプチドを柿の重量に対して0.5~3.0%程度の少量を添加して、粉砕・混
合することにより、短時間で渋抜きすることができる。さらに、使用するコラーゲンペプチドは、摂
取された場合に人体に必要なコラーゲンの原料となるアミノ酸やペプチドを効率的に補給することが
できるため皮膚の状態を改善する効果があるとされており、多く摂取したり、例え未反応なものを摂
取したりしても人体に安全でむしろ有益である。

【実施例】

脱渋していない渋味を持つ柿に対してコラーゲンペプチドを加えることで脱渋をする試験を行った。
コラーゲンペプチドは平均分子量3000のものを用い、柿の重量に対して0.2~2.5%まで添
加し、残留する柿タンニンの量を測定し、分析の数値では補えない微妙な渋味の判定については官能
評価を併せて行ない、その結果を表3および図2に示した。柿タンニンの定量はFolin-Denis法により
行なっている。

表3の結果からは、当初、柿タンニンを10.1mg/g含む渋味を持つ柿に対してコラーゲンペプ
チドを0.7%以上添加することにより残留する柿タンニンの残留量が1.2mg/g以下となり、
やや渋味が残るが、アルコールで脱渋した渋柿の1.4mg/gに比べれば渋味が少なく、柿の風味
もほとんど変化がなかった。特にコラーゲンペプチドを1.7%以上添加したものは、ほとんど渋味
は感じられなかった。コラーゲンペプチドを0.5%以下添加した比較例のものは、残留する柿タン
ニンの量が1.5mg/g以上で、渋かった。また図2のグラフからコラーゲンペプチドを1.5%
以上添加しても柿タンニン残留量が1.1mg/g程度でほとんど効果は変わらず、本発明では柿タ
ンニンの残留量が1.2mg/g以下のものに規定する。


次に渋戻りを防止する効果についての試験をした。アルコールで脱渋した渋柿にコラーゲンペプチド
を0.5%、0.7%、1.0%添加して、粉砕した後、沸騰水中に浸漬して、中心温度が85℃に
達してから30分間保持する加熱処理を行なった。この加熱後に柿に残留する柿タンニンの量を測定
し、その結果を表4および図3に示す。

表4の結果からは、アルコール脱渋した渋味を持つ柿を加熱すると、比較例のように柿タンニンの量
が2.1mg/gに増加するが、コラーゲンペプチドを加えることにより、加熱によっても残留する
柿タンニンの量が1.2mg/g以下で渋戻りしないことが確認された。

 

柿渋対策が完了すれば、次は、調理法・保存法などの加工法を確立し新たな商品開発・販売を完成す
れば、量産効果とともに価格逓減も輸出も可能となる。安定的に生産したければ各種の植物工場方式
を導入すればよいことである。そう考えている。巷で流布される「資源がない?!」とのそれは「知
恵がない?!」の裏返しであると常々考えるひとりである。

で、短期間であるがわたしも豚皮コラーゲン(残り物を有効活用)で感光材の基材開発に従事した経
験――例えば、写真フィルムメーカの富士フィルムが現在どの分野で活躍しているか想像してもらえ
ればわかりやすい――があるが、食品加工産業に廃棄するところ原理的にはない。

   ● 柿のグラタン

 

     

【我が家の焚書顛末記 18:中国思想 管子】      

  軽 重    ――管仲の経済政策――  

 「経済政策」といっても、もらろん二千数百年前のことである。ここに集録されているエピソー
 ドは一見、たわいない。だが、武力侵略と掠奪による富国策しか念頭になかった当時の背景を考
 えると、管仲の発想はなみなみならぬものがある。「まず物質的な基礎をつくる」ために、かれ
 が、人間、 心埋、権力、客観情勢など一切のものを運用した点をくみとることができよう。

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  ことぱ

 「楚の黄金あるは、斉に菑石(しせき)あるに中るなり。いやしくもこれを操(と)りて工(た
 くみ)ならず、これを用いて、善ならざるあれば、天下、倪(げい)して是(み)んのみ」
 「国、塩なければ腫る、守圉の国は塩を用ること独り甚だし」
 「粟重ければ、万物軽し。粟軽ければ、万物重し。両者衡立せず]
 「下はすなわちその囷京実し、上はもって上に給し君のためにす。一挙して名実ともに在るなり。
 民なんぞなさざらんや」

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   重農軽商

  桓公が管子にたずねた。
 「大商人のもうけをへらして農民のふところをうるおしてやりたい。よい策はないか」
 「穀物の価格があがれば諸物価はさがります。逆に諸物価があがれば穀物の価格はさがります。
 この二つは両立しません。ですから、大商人のもうけをへらして農民のふところをうるおすには
 穀物の価格を一釜三百円にあげてやることです。そうすれば農民はきっと耕作にはげむようにな
 ると思います」穀物の価格をあげるにはどうするか」
 「まず諸侯、大臣、上大夫に命じて穀倉をつくらせるのです。そのあとで諸侯や重臣には千鍾、
 上大夫には五百鍾、中大夫には百鍾、豪商には五十鍾ずつ段物を貯蔵させます。こうすれば、国
 原の貯蔵をふやすことにもなりますし、農民のふところをうるおすこともできましょう」
 「なるほど」
  桓公はすぐさま、諸侯、大臣、上大夫に命じて穀倉をつくらせた。買い手が多くなったために
 農民は手持の穀物を高く売ることができ、価格は三倍にはねあがった。その結果、大商人は打撃
 を受け農民は莫大な利益をあげることができた。


  《穀物の価格があがれば・・・》重要物資や生活必需品の価格が騰貴すれば、諸物価も高騰するは
 ずである。ここは、咬物の値上りの帽にくらべて他の物価はさほど値上げになっていない、とい
 う意味である。

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 桓公曰:「吾欲殺正商賈之利,而益農夫之事,為此有道乎?」管子對曰:「粟重而萬物輕,粟輕
 而萬物重,兩者不衡立,故殺正商賈之利,而益農夫之事,則請重粟之價金三百,若是,則田野大
 辟,而農夫勸其事矣。」桓公曰:「重之有道乎?」管子對曰:「請以令與大夫城藏,使卿、諸侯
 藏千鍾,令大夫藏五百鍾,列大夫藏百鍾,富商蓄賈藏五十鍾。內可以為國委,外可以益農夫之事
 。」桓公曰:「善。」下令卿諸侯、令大夫城藏;農夫辟其五穀,三倍其賈,則正商失其事,而農
 夫有百倍之利矣。

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  玉造りの計(石壁謀略)

  桓公が管子にたずねた。
 「都へのぼって局の天子に拝謁したいが、どうも献上する品物が少ないようだ。なにかよい策は
 なか」
 「こうしてはどうでしょう。まず人民に命じて陰里に新しい城を築かせるのです。その際、城壁
 は三重、城門は九重にして外部へ秘密がもれないようにします。城ができ上ったら、城内に玉造
 りの職人を住まわせて石の玉をつくらせます。直径一尺の玉は一万円、八寸の玉は八千円、七寸
 の玉は七千円それに珪玉は四千円、親玉は五百円とそれぞれ値段をきめておきます」

  こうして石の玉を十分につくらせてから、管子は都にのぽって天子に拝謁した。
 「わが君桓公は諸侯をひきつれてご先帝の廟に詣で、周室に朝貢したいと望んでおります。つき
 ましては、諸侯に『ご先帝の廟に詣で、周室に朝貢しようとする者は、必ず彤弓と石の玉を献納
 せよ。しからざる者は朝貢を許さない」と、ご命令をだしていただけませんか」

  天子はもっともだと思い、その旨を天下に布告した。
  天子の命令をうけとった諸侯は、黄金、真珠、穀物、鎔縮、貨幣を器もたせた使いを斉に出し、
 これらのものと交換に石の玉を買いとった。
  かくして、陰里特産の石の玉が諸国に輸出されるにつれて、斉には天玉下の財宝が集まった。
  おかげで斉の財政は豊かになり、八年ものあいだ人民から税金をとりたてる必要がなかった。
 それというのも、管子の考えた、陰里城の「玉造り」の政策によるものである。

 《邦》当時、周の天子は洛陽にいた。斉の国は周よりずっと東よりである。原文は「西のかた天
 子に則せん」となっている。
 《陰里》斉国の地名。
 《円》原文は「泉」。泉は銭の古字。一説にはお金は泉から湧き出る水のように瓜く流通するの
 で、銭を泉と同意義に使ったという。
 《珪玉》上が尖って下の四角な玉。祭祀や褒賞用に天子がよく便った。
 《瑗玉》辺は環、輪状をなしている玉。輪の太さと穴の径と同じくらいである。
 《彤弓》宋塗万の弓で飾りがついている。諸侯への褒賞品として彤弓と彤矢が使われていた。形
 弓は斉の特産ではない。他国の産物も献納物とさせたところに管仲の心づかいの細かさがある。
 権威の物質化今日の目からみれば。素朴なアイディアにすぎないともいえるが、時代的背景を考
 えると、興味深い。当時、すでに周王室の威信は衰え、諸侯の朝貢も形式的なものになっていた。
 諸侯のなかでも、"覇者"である最有力者・斉の桓公が、心から局王室に敬意を表わしていたわけ
  ではない。つまり、管仲は、衰えたりとはいえ天子の権威と、斉の"覇者"としての強い発言力と
 を利用して、特産品の輸出市場拡大をはかったわけである。力を、むだしの武力として行使せず、
 貿易に転化したところが、いかにも管仲らしい。政策の遂行は、客観情勢の活用によってのみ有
 効となることを教えてくれる。

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 桓公曰:「寡人欲西朝天子,而賀獻不足,為此有數乎」?管子對曰:「請以令城陰里。使其牆三
 重而門九襲。」因使玉人刻石而為璧。尺者萬泉,八寸者八千,七寸者七千,珪中四千,瑗中五百
 。璧之數已具,管子西見天子曰:「弊邑之君,欲率諸侯而朝先王之朝,觀於周室,請以令使天下
 諸侯,朝先王之廟,觀於周室者,不得不以彤弓石璧;不以彤弓石璧者,不得入朝。」天子許之曰
 『諾』。號令於天下,天下諸侯載黃金珠玉五穀文采布泉輸齊,以收石璧。石璧流而之天下,天下
 財物流而之齊,故國八歲而無籍,陰里之謀也。

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                                                                        この項つづく

 

 ● 今夜の一枚

Supermoon science: November 2016 moon biggest and brightest in 60 years

theguardian Nov.10,  2016

さあ、今宵は大満月(60年ぶりのスーパームーン)に吠えることにするが、きみはどうする。


 

百万人の「退陣の歌」

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             貧者が富者を嫉み、富者が貧者を怖れることは、永久に絶えないだろう。
             愛の福音というようなことは、それと無関係である。

                            ギュスターヴ・フローベール 『ジョルジュ・サンド書簡』    

                                                     
                                                      Gustave Flaubert
                                                  Dec. 12, 1821 - May 8, 1880

 

     



【塗るだけで製作できる省エネデバイス】

● 有機両極性半導体回路で低消費電力化を実現

今月8日、理化学研究所の能研究グループは、有機両極性半導体を用いたデジタル回路デバイスの基
板にアルキル処理を施すことで、流れるキャリアの種類(電子、正孔)を制御し、消費電力を大幅に
低減する手法を開発したことを発表する。

これまで、有機半導体は、材料の溶液を塗布することにより、容易に、かつ低エネルギーなプロセス
で半導体層を形成できる。さらに、インクジェットや輪転機など既存の印刷プロセスを適用すること
で大面積化も可能、製作コストも無機半導体に比べ低いが、デジタル回路の製作には、正孔伝導型・
電子伝導型の2種類の有機半導体を用意し、それぞれの塗り分けをしなければならず、印刷による回
路製作は容易に実現できなかった。一方、両極性半導体は、正孔、電子の両方のキャリアを利用でき
るため、1つの材料でデジタル回路を製作可能で、有機半導体と両極性半導体の両方の特性を持つ有
機両極性半導体を用いれば、単一の材料を塗布するだけでデジタル回路を製作できる。

ならば、両極性半導体で製作すればと考えるのは当然としても、両極性半導体は、電子と正孔が無差
別に流れ消費電力が大きくなる、という致命的な欠点があるため敬遠されてきた。一方、2015年
に、基板上に製作した単分子膜が有機半導体中に電荷層を形成し、有機半導体の特性に影響を与える
ことが報告されてきた。研究チームは、両極性半導体のキャリアの種類を制御する方法として、この
電荷層に着目。マイナスに帯電したフッ化アルキルの単分子膜によって有機両極性半導体中にプラス
の電荷層を発生させ、電子キャリアを捕集し、正孔のみを伝導させることに成功。また、プラスに帯
電したアミノアルキル[3]の単分子膜を用いることで、電子のみを伝導させることも可能。このキャリ
ア制御法により、有機両極性半導体を用いながらも低消費電力なデジタル回路を実現する。

 【手法と成果】

15年、マックスプランク研究所のハーゲン・クラークらは、基板上に製作した単分子膜が有機半導
体中に電荷層を形成し、有機半導体の特性に影響を与えることを報告。そこで研究チームは、有機両
極性半導体のキャリアの種類を制御する方法として、この電荷層に着目する。有機両極性半導体デバ
イスのシリコン基板上に、マイナスに帯電したフッ化アルキルの単分子膜を製作したところ、半導体
中にプラスの電荷層が発生し、電子(マイナスのキャリア)が電荷層に捕集され動けなくなることが
分かった。

結果として、有機両極性半導体中を流れるキャリアを正孔(プラスのキャリア)のみに限定すること
に成功(図2b)。さらに、プラスに帯電したアミノアルキルの単分子膜を用いた場合にはマイナスの
電荷層が発生し、半導体中のキャリアが電子のみに限定されることを発見する(図2c)。このように
して、有機両極性半導体中のキャリア種を、正孔・電子のどちらかのみに制御が可能となる。

さらに、上記の手法を組み合わせ、基本的なデジタル回路であるCMOSインバータを製作し(図3a)、
有機両極性半導体を用いたデバイスでもキャリア種を適切に制御することで、消費電力を大幅に低減
できることを実証しました(図3b、図3c)。


有機両極性半導体は「単一の材料を塗るだけで複雑な回路を実現できる」という魅力的な性質が認め
られていながらも、消費電力が大きいというデメリットによってその応用は現実的ではないとみなさ
れていた。この研究では、この有機両極性半導体のデメリットを解消し、十分な低消費電力化が可能
であることを実証。今後、有機両極性半導体を用いた、次世代に最適な軽量、柔軟、低コスト、省エ
ネルギーなエレクトロデバイスの実現できそうだ。これは面白い。

※ Masahiro Nakano, Itaru Osaka, Kazuo Takimiya, "Control of major carriers in ambipolar polymer semicon-
   ductor by self-assembled monolayers", Advanced Materials, doi: 10.1002/adma.201602893

 Nov. 10, 2016

【表面を制するもの世界を製す:熱界面材料の熱抵抗】

● カーボンナノチューブとゴムで熱界面材料

10日、日本ゼオンは、スーパーグロース(SG)法を用いたカーボンナノチューブとゴムを複合した
シート系の熱界面材料(TIM)の開発に成功したと発表した。現行のグリース系TIMより優れた熱抵
抗値、高い作業性と信頼性を実現し、サーバやパワーデバイスの課題とされている熱問題を解決する
部材での利用が期待されるという。現在、主要顧客にサンプルを提供している段階。日本ゼオンの荒
川公平は、「ゼオン化成の茨城工場敷地内に数億円を投じて建設中のパイロットプラントが今年12
月5日に完成し、17年4月末までに設備立ち上げと安定生産技術を確立する見込み。

世界初 スーパーグロース・カーボンナノチューブの量産工場が稼働

カーボンナノチューブは91年に飯島澄男が発見後、軽量で高い熱伝導性、強度、電気伝導性といっ
た優れた特性を持つことから、技術開発が進められてきた。産業技術総合研究所(産総研)の畠賢治
がSG法による単層CNT(SGCNT)を04年に発見。その後、量産に向けた技術開発が進められ、15
年11月に日本ゼオンがSGCNTの量産工場を立ち上げ本格的な生産が始まる。

SGCNTを用いたTIMの開発は、産総研と単層CNT融合新材料研究開発機構(TASC)が開発した事例
がこれまでにある。ゴムに炭素繊維と少量のSGCNTを添加したTIMで、面方向には高い熱伝導率を達
成したが、厚み方向の熱伝導率が低く実用化が難しかった。そう、日本ゼオンは、新エネルギー・産
業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受けて、独自の製造技術を用いて、SGCNTとフッ素系のゴム、
黒鉛を組み合わせた。これにより、厚み方向に高い熱伝導率を持ち、硬度が低く密着するTIMの開発
に成功する。

助成前の厚み方向熱伝導率は2W/m・K、アスカーC硬度は88だったのに対して、厚み方向熱伝導率38
W/m・KアスカーC硬度59と2つの性能を両立できたという。荒川は、「ゴムより柔らかく、鉄より
熱伝導性が良いシート系に熱界面材料」と語る。日本ゼオンによると、サーバやパワーデバイスに求
められる熱抵抗値は0.2℃/W以下である。今回開発したTIMは、0.2℃/W以下を実現するために求めら
れる厚み方向熱伝導率とアスカーC硬度を達成。0.1MPa以下の低圧力下でも良好な密着性を実現し、
グリース系TIMの0.10℃/Wより優れた0.05℃/W以下という熱抵抗を実現したとしている。ちなみに、
現在あるシート系のTIMの95%以上は、0.4℃/W以上である。

また、グリース系TIMは塗りにくく液垂れもあるため作業性に課題があったが、今回日本ゼオンが発
表したのは、シート系TIMのため「貼るだけ」で済む。TIMの価格見通しについて日本ゼオンは、現
行のTIMで性能が良い製品の価格は1平方メートル当たり8~10万円。いよいよ『黒の革命』が世
界を接見する。

     

【我が家の焚書顛末記 19:中国思想 管子】      

   重  令    ――法令尊重――

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 「古代氏族社会」の名残りをとどめる春秋時代、血縁による政治がまだ幅をきかしていた。これ
 にたいし、管子は、"近代化"を主張する。それは法令尊重であり、秩序整然とした基礎づくりで
 あった。 

 こ と ば ---------------------------------------------------------------------

 「およそ国に君たるの重器は、令より重きはなし。令重きときはすなわち君尊し」
 「国は虚しく重からず、兵は虚しく勝たず、民は虚しく用いられず、令は虚しく行なわれず」
 「地大に国富み、人おおく衆く兵彊きは、これ覇王の本なり。然るに危亡と隣をなすは、天道の
 数、人心の変なり」
 「およそ先王、国を治ひるの器三つあり。三器とは何ぞや。曰く、号令なり、斧鉞なり、禄賞な
 り」

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  「令重きときは下恐る」 

  一国の君主にとって、法令ほど宦視すべきものはない。法令を重視すれば、君主の尊厳は保た
 れる。
 君主の尊厳が保たれろことは、つまり国の安泰を意味する。反対に法令を軽視すれば、君主の尊
 厳はそこなわれ、したがって国は危殆にひんする。
  したがって、国の安泰をはかるには、法令を厳格に施行して、君主の尊厳を保つことである。
 法令を厳格に施行するには、刑罰をきびしくすることだ。
  刑罰をきびしくし、法令を厳格に施行すれば、役人は処分をおそれてしごとに励む。刑荊をゆ
 るめ、法令の施行をおこたれば、それをよいことに役人はしごとを怠ける。
  明君は、政治の根本が法令にあることを認識している。そのため、つぎの者は死刑に処す。
  一、法令の条文をかってにけずりとった者。
  ー、法令の条文をかってにつけ足した者。
  一、法令どおりに実行しなかった音。
  一、法令の強行を遅らせた者。
  一、法令に従わなかった者。
  明君はなによりも法令を重視するから、この五者にたいしては、決して容赦しない。したがっ
 て「君主が法令を宗祖すれば、臣下は処分をおそれてしごとに励む」のである。

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  しかし、君志みずから法令を定めても、暗君のもとでは、実際の副斑柘が臣下の手ににぎられ
 る。臣下が、君主の定めようとする法令に口をはさんで、内容を左右できるとすれば、臣下は自
 分に都合のよいように中身を変えるだろう。これこそ臣下の思うツボである。
  つまり、君主が法令を定めても、臣下が自分の意見で中身を左右できるなら、それは君主の権
 力を臣下にあたえたのと同じである。これでは、国の安泰は望めない。
  法令の施行を遅らせた者が罪に問われないとすれば、それは、人民に「主君を敬うな」と教え
 るようなものである。
  法令どおりに実行して罪に問われる、あるいは逆に、法令どおりに実行しなくても罪に問われ
 ないとすれば、それは、人民に「主君のいうことを聞くな」と教えるのとかわらない。
  法令を定めても、匝下がかってそれを左右できるなら、それは、君主の権力を臣下にあたえた
 のと同じである。
  法令の条文をかってにつけ足したり、けずり取ったりしても罪に閥われないとすれば、それは、
 人民に涵の遊を敢えるようなものである。その結果はどうなるか。
  一、賢い人間は、私利をはかる。
  二、悪事をたくらむ人間は、徒党を組む。
  三、欲の深い人間は、私財をふやすことにふける。 
  四、追従をいとわぬ人間は高官におもねり、金持にとりいる。
  五、虚栄心の強い人間は、虚名を得ようとする。
  法令を公布しても、右にあげた五つの悪がはびこるとすれば、国の安泰は望めない。
  食糧が不足しているにもかかわらず、農業の発展をはからずに商工業を伸びるにまかせるとす
 れば人民は飢えに苦しむ。こんなときに彫物師が彫物のでき映えを自慢し合うのは、固にたいす
 る叛逆である。
  布が不足し、衣服にこと欠くとすれば、人民は寒さに屎える。こんなときに女が美しい装いを
 自慢し合うのは、国にたいする叛逆である。
  大国が軍隊を撞していながら、敵の不意討ちを防ぎきれないとすれば、その国は危殆にひんす
 る。こんなときに将兵が勤務のないことを自慢し合うのは、国にたいする叛逆である。
  爵禄を各人の能力と功絹に応じて与えるのでなければ、軍紀を守り忠節をつくす軍人はいなく
 なる。こんなときに臣下が外国と通じ、賄賂をとり、自己の栄利栄達をはかるのは.国にたいす
 る叛逆である。

     近代化略路線 春秋戦国時代は、集中合併の歴史である。春秋初期に百以上あった諸国
    は春秋末期に四十国となり、やがて七国となり、ついに、秦によって統一される。時代の
    発展方向に即応するものが生き残り、古い体制にしがみつくものは滅ぴていく。春秋時代
    の古い体制とは、君主の血縁的支配である。管子は、君主や重臣の血縁関係による支配体
    制を打破し、国を"近代化"ようとしだ。当時における。近代化’は、つまり制度化であり、
        法令化であったわけだ。今日のわれわれが、この章を読むと、いかにもガリガリの法治主
        義であるかのように思いがちだが、以上のような時代的背景を考えると、そこに。前向き‘
        の姿勢をくみとることができろ。

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 凡君國之重器莫重於令,令重則君尊;君尊則國安。令輕則君卑,君卑則國危;故安國在乎尊君,
 尊君在乎行令,行令在乎嚴罰;罰嚴令行,則百吏皆恐;罰不嚴,令不行,則百吏皆喜。故明君察
 於治民之本,本莫要於令,故曰:「虧令者死,益令者死,不行令者死,留令者死,不從令者死」,
 五者死而無赦,惟令是視;故曰:「令重而下恐」。 

 為上者不明,令出雖自上,而論可與不可者在下。夫倍上令以為威,則行恣於己以為私,百吏奚不
 喜之有。且夫令出雖自上,而論可與不可者在下,是威下繫於民也。威下繫於民,而求上之毋危,
 不可得也。令出而留者無罪,則是教民不敬也。令出而不行者毋罪,行之者有罪,是皆教民不聽也。
 令出而論可與不可者在官,是威下分也。益損者毋罪,則是教民邪途也。如此,則巧佞之人,將以
 此成私為交,比周之人,將以此阿黨取與。貪利之人,將以此收貨聚財。懦弱之人,將以此阿貴事
 富。便辟伐矜之人,將以此買譽成名。故令一出,示民邪途五衢,而求上之毋危,下之毋亂,不可
 得也。

 菽粟不足,末生不禁,民必有飢餓之色,而工以雕文刻鏤相稚也,謂之逆。布帛不足,衣服毋度,
 民必有凍寒之傷,而女以美衣錦繡綦組相稚也,謂之逆。萬乘藏兵之國,卒不能野戰應敵,社稷必
 有危亡之患,而士以毋分役相稚也謂之逆。爵人不論能,祿人不論功,則士無為行制死節。而群臣
 必通外請謁,取權道,行事便辟,以貴富為榮華以相稚也,謂之逆。  

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                                      この項つづく

   ● 今夜の一枚

100만 촛불의 함성,퇴진  百万のキャンドルの歓声、退陣 퇴진(退陣)を口々に『퇴진(退陣)
の歌』を合唱しキャンドルを手に大統領退陣のデモをする韓国民衆(上写真ダブクリ)。

 

 

錦織圭ベスト4入り確定

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                盲蛇に怖じず  /  Fools rush in where angels fear to tread

 

        ※ 天下一の野心ぐらいは、餓鬼大将は誰でも持っているものだ。けれども、
          自信は、それにともなうものではない。むしろ達人ほど自信がない。
          怖れを知っているからだ。盲蛇に怖じず、バカほど身の程を知らないも
          のだが、達人は怖れがあるから進歩もある。

                               坂口安吾 『織田信長』

        ※  For Fools rush in where Angels fear to tread.
                 Distrustful Sense with modest Caution speaks;
                                          It still looks home, and short Excursions makes;

                                                                Alexander Pope  ’An Essay on Criticism ’        


                                                       
                                                                                                アレキサンダー・ポープ
                                                                                                May 21, 1688 - May, 1744

        ※ 人間の向こう見ずな過ちを恐れる神々の彼岸とはよそに、此岸の当事者は、
                  「盲蛇に怖じず」と「優柔不断」の両義的な批判がおおよそ待ち受けている
                  もの。「メキシコに壁を!」と叫んでいた当事者のトランプ・ビルは皮肉に
                  もバリケードの壁で覆われることになる。 

 

Nov. 11, 2016

● 雷から装置システムを守り・発電量を上げる

11日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、落雷被害による風車の停止時間を低減
し稼働率を上げるため、雷検出装置等の評価技術開発に着手すると発表。日本では、風力発電が落雷
の被害を受けることが多く、ブレード破損や火災事故等が生じるおそれがある。そのため、公共安全
確保の観点から、発電用風力設備の風車に雷検出装置の設置が義務付けられるようになった。
今回、雷検出装置の評価手法を確立するために、①雷インパルス波形試験、②交流電源を用いた周波
数特性評価、③長波尾電流による評価等を行い、雷検出装置の所要性能を検討する。また、接地シス
テムの健全性確認方法の開発、雷リスクマネジメント方策の取りまとめ等を行う。雷を適正に検出す
ることにより、新たな検知技術の研究開発等に着手し、落雷による風車の停止時間低減、稼働率向上
を図る。

【RE100倶楽部:三層構造セルで30.2%】

             

● シリコン利用の太陽電池で、理論限界を突破

9日、ドイツのフラウンホーファー研究所は、ケイ素(シリコン)を利用した太陽電池セルで変換効
率が30.22%に達したとことを公表。それによると、セルの面積は4平方センチメートル。一般的
な太陽電池セルと同様、表面電極と裏面電極を備えるもので、「シリコン層+それ以外の半導体層A
+それ以外の半導体層B」という3層構造。シリコン太陽電池の理論効率を見ると30%を超える変
換効率は実現できないので、この限界を打ち破る方法として(1)2種類以上の半導体を垂直に積み
重ねた多接合太陽電池方式――バンドギャップの大きな半導体を上面(トップ層)に、小さい半導体
を下面(ボトム層)に置くことで、30%を超える変換効率を実現できる。

 Nov. 9, 2016

この考えに沿って開発されたのがこれで、試作した太陽電池は3種類の半導体が垂直に積み重なった構造
を採る。トップ層はガリウムインジウムリン(GaInP)、ミドル層はガリウムヒ素、ボトム層がシリ
コン。同研究所によれば、トップ層が波長300~670ナノメートルの太陽光を吸収する。波長の短い近
紫外線から黄色の光に相当する。ミドル層は、波長500~890nmの光を吸収。これは青緑から近赤外線。
ボトム層は波長650~1180nmの光を吸収(赤から赤外線までを担う)。



多接合太陽電池で、異なる半導体層を組み合わせる際、手法は大きく2つに分かれる。1つは積層。
半導体を形作る原子や分子を直接重ねていく方法。2つけはメカニカルスタック。半導体層同士を物
理的に重ねる方法。ところが前者のの積層法は、一気に複数の層を形成でき、太陽電池を薄く作り上
げることができるが、半導体の組み合わせにより、層の品質が低下してしまう欠点がある。後者のメ
カニカルスタックはどのような半導体の組み合わせも可能だが、物理的に重ね合わせるため、接触不
良が起こるり、太陽電池セルが厚くなるという欠点がある。

● 肝となるウエハー接合装置

  ウエハー接合装置

この開発では、この2つの手法を盛り込んでいる。まず、ガリウムヒ素基板の上に規則正しくガリウ
ムインジウムリンを積層(エピタキシャル堆積、下図左)。次にこの基板と、シリコン基板をメカニ
カルスタックで接合した(下図中央)。最後にガリウムヒ素基板を化学エッチングして薄膜とする。

このプロセスで使用するのが、ダイレクトウエハーボンディングプロセスだ。同技術は、プロジェク
ターやセンサーなどに使われるMEMS(微小電気機械システム)などのマイクロエレクトロニクス業
界で量産工程に使われている。接着剤を使わずに接合することが特徴。具体的にはそれぞれ基板の表
面をプラズマ活性化させた後、圧力を加える。こうして真空中でそれぞれの基板上の原子が直接接合
し、完全に1枚にまとまった基板(一体形成――モノリシックデバイス)が完成する。つまり、シリ
コン太陽電池セルの製造プロセスを見つけたのである。セルの表面が滑らかで高濃度にドープされた
表面を作り出すことが課題。こうなっていればウエハー・ボンディングに適しており、シリコンと(
GaInPなどの)Ⅲ-Ⅴ族半導体のさまざまな異なる要求を満せる。同研究所の次の目標は、今回の方
式を採用した太陽電池セルを組み合わせ、太陽電池モジュールとして、ルーフトップ型のパネルまで
完成させることにある。

いよいよ、30%超系の太陽電池の実用化段階に入ってきた。ゴールは間近だ。これは断言できる。
と、心の昂揚を感じながら打ち込んでいるわたしがいる。

 

     

【我が家の焚書顛末記 20:中国思想 管子】      

   重  令    ――法令尊重――

 --------------------------------------------------------------------------------------

 「古代氏族社会」の名残りをとどめる春秋時代、血縁による政治がまだ幅をきかしていた。これ
 にたいし、管子は、"近代化"を主張する。それは法令尊重であり、秩序整然とした基礎づくりで
 あった。 

 こ と ば ---------------------------------------------------------------------

 「およそ国に君たるの重器は、令より重きはなし。令重きときはすなわち君尊し」
 「国は虚しく重からず、兵は虚しく勝たず、民は虚しく用いられず、令は虚しく行なわれず」
 「地大に国富み、人おおく衆く兵彊きは、これ覇王の本なり。然るに危亡と隣をなすは、天道の
 数、人心の変なり」
 「およそ先王、国を治ひるの器三つあり。三器とは何ぞや。曰く、号令なり、斧鉞なり、禄賞な
 り」

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  ノーマルな臣下・作風・産業

  朝廷には「経臣」、国家には「経俗に、人民には「経産」というものが必要である。
 「経臣」とはなにか。
  自己の才能に応じた官職につき、君主のためにつくす。法令に従って仕小にはげみ、徒党を組
 んだりはしない。つねにベストをつくし、私利をはからない。困難に際しては死をも恐れず、功
 績以上の俸禄はうけない。能力以hの地位にはつかない。実力以上の恩賞にはあずからない。こ
 れが、すなわち「経臣」である。

  「軽信」とはなにか。
   法令の禁ずることを好んだり、尊重したりしない。反政府的な行動をとらず、徒党を組んで自
  説をおし通すこともしない。ぜいたくな食事はせず、身分をこえた服装もしない。親兄弟には
 孝養をつくし、君主には忠節をつくす。これがすなわち「経俗」である。

 「経産]とはなにか。
  商工業は避けて農業、牧畜、植林にはげむ。これが、すなわち「経産」である。
  経臣を重んじない朝廷では、追従者がのさばり、功のない者が賞にあずかる。姦臣が稲をきか
 せ無能な者が登用される。
  経俗を守らない国では、下の者は服従せず、上の命令は守られない。
  経産につとめない人民は、穀倉を空にし、財政を悪化させる。
  追従者がのさばり、功のない者が賞にあずかり、姦臣が帽をきかせ、無能な者が登用されると
 すれば、臣下の団結ははがれない。
  下の者は服従せず、上の命令は守られないとすれば、いざというときにすばやく対応すること
 はできない。人民が穀倉を空にし、財政を悪化させるなら、国は経済的な危機におちいる。
  この三つの事態がひとつでも発生すれば、国は敵につけこまれて滅びるのだ。

  常識の尊重 「経巨」「経俗」「経心この「経」とはフーマル」の意味である。つまり、国を
 安定して発展させるためには、とっぴな才能や変わったやり方ではなく、ノーマルな人材、ノー
 マルな作風、ノーマルな産業が必要だというのである。人材についていえぼ、異常な才能をもつ
 人間は、ある時期には成果をおさめることもあるが、永続性はなく、また危険性も多い。B主た
 るもの、すべからく永続性を考え、普通の才能を重視し、だれにでもできるやり万を重んじ、最
 も基本的な所業を考えよという、常識の尊重である。

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 朝有經臣,國有經俗,民有經產。何謂朝之經臣?察身能而受官,不誣於上;謹於法令以治,不阿
 黨;竭能盡力,而不尚得;犯難離患,而不辭死;受祿不過其功,服位不侈其能,不以毋實虛受者,
 朝之經臣也。何謂國之經俗?所好惡,不違於上;所貴賤,不逆於令,毋上拂之事,毋下比之說,
 毋侈泰之養,毋踰等之服。謹於鄉里之行,而不逆於本朝之事者,國之經俗也。何謂民之經產?畜
 長樹蓺,務時殖穀,力農墾草,禁止末事者,民之經產也。故曰:「朝不貴經臣,則便辟得進。毋
 功虛取,奸邪得行。毋能上通。」國不服經俗,則臣下不順,而上令難行。民不務經產,則倉廩空
 虛,財用不足。便辟得進,毋功虛取,姦邪得行,毋能上通,則大臣不和。臣下不順,上令難行,
 則應難不捷,倉廩空虛,財用不足,則國毋以固守,三者見一焉,則敵國制之矣。

 --------------------------------------------------------------------------------------      基礎づくりが第一

  国威を発揚するには、それ相々-の基礎が必要だ。軍隊を強くするにも、それ相当の基礎が必
 要だ。人民をうまく掟うにも、法令を施行するにも、それ相当の基礎が必要だ。
  では、その基礎とはなにか。
  国威を発揚するに軍隊をつよくすることだ。軍隊をつよくするには、人民をうまく便うことだ。
 人民をうまく使うには、法令を娠椙に施行することだ。法令を厳格に謐行するには、まず側近の
 者から法を実践させることである。 
  側近の者には禁令も罰則も適用せず、名もない臣下には厳しく流用する。身分の低い者には恩
 賞もあたえない。もし、こうだとすれば、いかに法令を徴底させようとしても、不可能である。

  有能な人材を官吏に登用せず、功績のない者に爵禄を与える。人民の期待に灰した命令を出し、
 時代の流れに逆行した行動をと芯。功績をあげた者に恩賞を与えるとは限らず、卸を犯した者を
 処罰するとも限らない。命令や禁令も徹底して守られず、上司が郡下を使いこなせない。もし、
 こうだとすれば人民をうまく伎おうとしても、不可能である。
  将軍にに威信がなく、人民にも女将されない。指揮官は兪を惜しみ、兵士は敵の勢いにのまれ
 る。もし、こうだとすれば、軍隊をつよくしようとしても、不可能である。
  国の守りは不完全、他国を攻めても制圧することができず、野戦でも敵に肋てない。もし、こ
 うだとすれば、円成を発揚しようとしても.不可能であろ。
  また弱小国に恩恵を施す徳ももたず、強国に対抗しうる力もなく、諸国征討の軍をおこしても
 相手を服従させることができない。もし、こうだとすれば、諸侯に利をとなえようとしても、不
 可能である。

  国威も発揚しておらず、兵力もとるに足らない。遠国と友好関係を結べるほどの徳望.もなく、
 諸侯団結の号令をだせるほどの成眠もない。これでは.天下に王たらんとしても、不可能である。
 「領土広大で、人口が多く、兵力が強大である」
  これは覇王にになるための根本条件である。
  ところが、この条件を備えていても、覇王の地位を確保できず、逆に滅亡においやられること
 がある。
  それは、天道にもとり、人心の支持を失うからである。満つれば欠け、盛んになれば衰える。
 これが天道の法則である。余裕ができればおごり、おごればおこたる、これが人心の常道である。
 覇者たるものが、諸侯をあなどる振舞に出れば、当然、諸侯の支持を失う。政策をいいかげんに
 すれば、民心は離れてしまう。諸侯にそむかれ、民心が離れるにいたる事態。天道にもとるとは、
 これをいうのだ。もはや滅亡するしかないではないか。
  この例とは逆にこんな国があったとする。
  領土広大で、人口も多いが、他国の領土の奪取や併呑は企てず、君主はおごりもおこたりもし
 ない。財政が豊かでも、ぜいたくに溺れたり欲望に負けたりはしない。軍隊が強くとも諸侯を侮
 ったりはしない。天下の大義のためにのみ人民を勁員し軍隊を出勤させる。
  こういう国こそ天下を教化する資格があり、諸侯に覇王者たりうるのだ。

  法家の面目 このロジックの展開はきわめて明屏である。①国の強いのは←軍隊が強いから。
 ②ボ隊の強いのは←民心を収攪しているから。③民心をつかめるのは←人民が法を重んじるから。
 ④人民の存続は←君主自身が法を公平に実施するから。……結諭的にいえば、いかなる大国強国
 でも、君主が自己のだした法律を尊鳶しなければ、いつかは危機に瀕すると管子はいいたかった
 たのである。「法家」としての面目がうかがわれる。

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 故國不虛重,兵不虛勝,民不虛用,令不虛行。凡國之重也,必待兵之勝也,而國乃重。凡兵之勝
 也,必待民之用也,而兵乃勝。凡民之用也,必待令之行也,而民乃用。凡令之行也,必待近者之
 勝也,而令乃行。故禁不勝於親貴,罰不行於便辟,法禁不誅於嚴重,而害於疏遠,慶賞不施於卑
 賤二三,而求令之必行,不可得也。能不通於官,受祿賞不當於功,號令逆於民心,動靜詭於時變,
 有功不必賞,有罪不必誅,令焉不必行,禁焉不必止,在上位無以使下,而求民之必用,不可得也。
 將帥不嚴威,民心不專一,陳士不死制,卒士不輕敵,而求兵之必勝,不可得也。內守不能完,外
 攻不能服,野戰不能制敵,侵伐不能威四鄰,而求國之重,不可得也。德不加於弱小,威不信於彊
 大。征伐不能服天下,而求霸諸侯,不可得也。威有與兩立,兵有與分爭,德不能懷遠國,令不能
 一諸侯,而求王天下,不可得也。地大國富,人眾兵彊,此霸王之本也,然而與危亡為鄰矣。天道
 之數,人心之變。天道之數,至則反,盛則衰。人心之變,有餘則驕。驕則緩怠。夫驕者驕諸侯,
 驕諸侯者,諸侯失於外。緩怠者,民亂於內。諸侯失於外,民亂於內,天道也,此危亡之時也。若
 夫地雖大,而不並兼,不擾奪。人雖眾,不緩怠,不傲下。國雖富,不侈泰,不縱欲。兵雖彊,不
 輕侮諸侯。動眾用兵,必為天下政理;此正天下之本,而霸王之主也。

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以上「重令」は、ここまで、次回は「五輔」、「政治を正す五つの段階」を読み解く。

                                      この項つづく

  ● 今夜の一枚

※ Kei Nishikori beats Stan Wawrinka in 67 minutes at ATP World Tour Finals | Daily Mail Online, Nov. 14, 2016

錦織圭のベスト4入り確定!ツアーファイナル。つぎの対戦者はアンディ・マリー。


BBC Sport at O2 Arena, London Nov. 15, 2016

レンズレスカメラ完成か

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       権勢とは何ですか。福の神の前で低頭し、人のいのちを供え物にすること、
       それが権勢じゃないですか。

                             郭沫若 『歴史小品』

 
     ※ 人を殺してはいけない、人殺しは嫌だ、と思っていても、人殺しがある。
       殺人は、社会生活での様々な規制によって強く封じ込められているだけで、
       人間の潜在意識に殺人への欲望がないとは言えない。どんな時代の権力者
       も多数の人々をやすやすと殺せるのは、彼が社会の規制に縛られないので、
       その欲望を勝手に現わすからだ。

                                                             

                             

 Nov.15, 2016

【デジタル革命渦論最新版:レズレスカメラの完成!】

15日、日立製作所は、従来のようなガラスのレンズを使わないカメラ技術を開発したと発表。国
内メーカーとして初となる「レンズレスカメラ」方式は、代わりに同心円パターンの特殊なフィル
ムを使い動画像を取り込みピント調整後、このモアレ(干渉縞)やフーリエ変換をコンピュータ上
で画像処理し撮影画像とする。これにより、薄く、軽くなり、車やロボッに搭載しやすくなる画期
的な撮像システム(基本特性は『デジタル革命渦論』に記載済み)となる。この技術を使うと平面
だけでなく奥行きのある画像情報が取得でき、撮影後でも映像のピントを自由に調整できる。例え
ば監視カメラに採用すれば、ぼやけている人物の顔を後からくっきりさせることができ、あらゆる
機器をインターネットでつなぐ「モノのインターネット(IoT)」向けの製品として、2018年ご
ろの実用化を目指すと同社は説明している。

スマートフォンに代表されるモバイル機器や、デザイン性が求められるロボットなどに搭載される
カメラには、搭載場所の制限を受けることのない薄型軽量化と、高性能化の両立が求められている。
それらの要求に対応したカメラ技術として、近年、撮影後に画像処理を行うことを前提としたコン
ピュテーショナルフォトグラフィ技術――計算機による演算を前提とした光学系を導入することで、
今までのカメラでは不可能だった機能を実現――の研究開発が展開されている。同心円パターンを
重ね合わせることによって生じるモアレ縞――規則正しい繰り返し模様が重なると、その繰り返し
間隔の違いによって現れる粗い縞模様――の原理を利用することで、薄型軽量のレンズレスカメラ
でありながら、画像処理の計算量を300分の1まで減らすとともに、ライトフィールドカメラの
ように撮影後のピント調整機能を合わせ持つカメラ技術この技術の特徴はおおきく2つある。



● モアレ縞を用いた撮影画像処理技術

外側ほど間隔が狭くなる同心円パターンのフィルムを画像センサーの直前に置き、入射する光線が
作る影に、画像処理内で同じ同心円パターンを重ね合わせると、光線の入射角に対応した間隔のモ
アレ縞が生じることに着目しました。このモアレ縞を利用し、フーリエ変換――空間周波数領域と
空間領域との間で信号を変換する数学的操作――と呼ばれる広く普及した簡単な画像処理で撮影画
像を得ることができる技術を確立。

● 撮影後のピント調整技術

入射する光線がフィルムを通じて画像センサー上に作る影に重ねる同心円パターンの倍率を変える
と、ピント位置を移動させることができる技術を確立しました。撮影後に倍率の異なる同心円パタ
ーンを重ね合わせて画像処理を行うことで、自由にピントを調整することが可能。今回開発した技
術の性能を測定するため、1センチメートル角の画像センサーと、そこから1ミリメートル離した
位置に同心円パターンのフィルムを配置して実証実験を行った結果、標準的なノートパソコンで毎
秒330フレーム――TVなど一般的に動画で使用される1秒あたりのフレーム数―― で動画撮影
できることを確認。今回開発したカメラ技術を、モバイル機器や車、ロボットを初めとしたあらゆ
るものへの適用をめざすとともに、IoT( Internet of Things )技術を基盤とした超スマート社会――
必要なモノ・サービスを、必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供し、社会の様々なニーズにき
め細やかに対応でき、あらゆる人が質の高いサービスを受けられ、年齢、性別、地域、言語といっ
た様々な違いを乗り越え、活き活きと快適に暮らすことのできる社会実現できる。

「レンズレスカメラ」については、『超薄膜レンズの衝撃』(2016.06.07)や『超界面工学の此岸
』(2016.06.16)で「ネオコン工学の此岸:超薄膜メタレンズ」にふれている。「同心円パターンを
印刷したフィルム」と触れているだけでその詳細はわからない。ここでは単に印刷インクとして解
し、以下のように考察していくこととする。 

● ベース技術の特許事例


【概要】

同一平面上に、赤外線放射率が高い第1の領域材料と、第1の領域に隣接し赤外線放射率が低い第
2の領域材料とを用いて、隣接する第1の領域と第2の領域とからなるパターンを有することを特
徴とするサーモグラフ用のレンズの分解能評価用パターンで、1枚のチャートにより、温度差のコ
ントラストを観測できるパターンを作り込むことができる技術。

【図面の簡単な説明】

【図1】赤外線サーモグラフ装置の一構成例を示す機能ブロック図
【図2】0.2ミリメートル幅のみに高温部を持つ理想的の温度分布(ステップ入力)に対して、
    様々なカットオフ空間周波数(fc)をもつガウシャンフィルタを通過させた場合の出
    力応答を計算した例を示す図
【図3A】本実施の形態によるステップ応答の測定技術を示す図であり、レンズの分解測定用の
     パターンを含む分解能測定系の斜視図
【図3B】本実施の形態によるステップ応答の測定技術を示す図であり、レンズの分解能を測定
     するための測定パターンの断面図
【図4】サーモグラフのステップ応答のレンズ依存を示す図
【図5A】測定用ストライプパターンであり、fbとして、0.125、0.25、0.5、
     1、2、4、8、16回/ミリメートルの8種を作製した様子を示す図
【図5B】コルトマンの補正によりSWRF(矩形波レスポンス関数)をMTF(変調伝達関数)
     に変換する様子を示す図
【図6】図5A,Bの測定結果を示す図
【図7】市松模様の格子縞パターン例を示す図
【図8】様々な大きさの市松模様をLTCC上に形成し、実測値と波形合成値とを比較した結果
    を示す図
【図9】本実施の形態による処理の流れの一例を示す図
【図10A】下図は、1608mmサイズ面実装抵抗器の斜視図。上図は、各種のレンズを用い
      た場合の温度の位置依存性の実測値を示す図。
【図10B】ガウシャンフィルタの通過計算値の温度の位置依存性を示す計算値であり、25μm
      レンズにて測定した結果を真値と仮定し、この真値(2次元温度分布画像)を様々
      な半波長を持つガウシャンフィルタを通過させた場合の計算結果を示す図
【図11】市松模様のパターンの変形例である同心円状パターンの一例を示す図
【図12】抵抗器などの部品における表面ホットスポットを測定する様子を示す図

上図は、例えば、太陽電池パネルの不具合箇所(ホットスポット)を赤外光をカメラで取り込み検
出する方法ですでに応用されているものである。

  画像評価/鮮鋭度評価法


この特許の第5実施形態に次のように例示されている(下図参照)。

図11に示すように、赤外線放射率の異なるドーナツ状の領域が同心円に配置されている。例えば、
絶縁基板上に金属からなる領域29が同心円状に形成されている。市松模様では水平方向、垂直方
向の測定のみが可能であるが、同心円パターンを用いて中心を固定すれば、角度方向に対して柔軟
な測定が可能になる。レンズの評価の一つとして、中心部分と周辺部分の解像度の差があるが、そ
れに対応することが可能になる。赤外線放射率の違う材料で赤外線的コントラストが出るように配
置したパターンを基板上に形成し、基板全体の温度を上昇させることで、放射率の違いが鮮明に画
像に表れ、現実には作れない高温と低温のくっきりした境界をもつ微細画像を測定観測上で得るこ
とができる。

また、そのパターンを用いて測定した測定値に適切な関数のフィルタを掛けて変換した値が、有限
要素法を用いて計算したシミュレーション値と良く一致することが確認でき、この発明パターンの
測定値が真値に近い値として測定できることが確認された。放射の違いから温度測定値の違いとし
て測定できるため、同一面にエッジのある温度差を作り出すことができるため、光学的MTF測定
と同様に微細なパターンのみならず、同心円形状、放射状、格子縞模様等必要とする様々な形状の
パターンを簡便に作り出すことが可能である。



さらに、基板にめっき、塗布をしての形成であるが、赤外線放射率の高い材料と赤外線放射率の低
い材料を薄板上に加工して材質を重ね合わせた形状や、赤外線放射率の高い基板上に赤外線放射率
の低い金属インクを塗布するということも可能である。という、従来からある群画像処理技術を応
用し「レンズレスカメラ」(あるいは「デジタルレンズレスカメラシステム(DRLCS)」と呼称して
もよいだろうか)を実現させた。画質など実際に見たことがないのでこの発明の実力がどの程度の
ものわからないが、デジタル革命の第5則である「イレージング」に該当する革命産物であること
に変わりない。

 Wikipedia

 【量子ドット工学講座24:自己免疫疾患における診断的決定】

今日は、そんなもんで、こんなもんで、「レンズレスカメラ」の画像処理技術記事で釘付け状態に
なり、予定の最新光電変換素子技術の調査作業は一頓挫するが、なんとか作業をはじめるが、いき
なり「特開2016-185147 自己免疫性T細胞の単離および処理のためのペプトイドリガンド」(下図)
に記載された「量子ドット」の記述に眼にとまり釘付けになる。

 

 

【概要】

第一の検出可能標識により標識された健常対象に由来する第一のT細胞――リンパ球の一種で、骨
髄の幹細胞に由来し、胸腺で分化する免疫担当細胞。同じ骨髄幹細胞由来のB細胞と形態的に酷似
する。機能をもとに4種類に分類でき、B細胞の抗体産生細胞への分化を助けるヘルパーT細胞、
抑制するサプレッサーT細胞、アレルギー反応を誘発するエフェクターT細胞,標的細胞を破壊す
るキラーT細胞が存在する――集団、および第二の検出可能標識により標識された自己免疫疾患を
もつ対象に由来する第二のT細胞集団を準備し、第一と第二のT細胞集団を、複数の候補リガンド
(特定の受容体(receptor; レセプター)に特異的に結合する物質)に接触させ、第一および第二の
T細胞集団と候補リガンドとの結合を査定し、このリガンドが第二のT細胞集団には結合するが第
一のT細胞集団には結合しない場合、このリガンドは自己免疫性T細胞によっては認識されるが健
常T細胞によっては認識されない、

自己免疫性T細胞により特異的に認識されるリガンドを同定する方法で、自己反応性T細胞により
認識されるペプトイドは、様々な型の自己免疫疾患を同定するために使用され得、そのような集団
を治療の標的とするためにも使用、多発性硬化症や自己免疫性脳脊髄炎のような自己免疫疾患――
異物を認識し排除するための役割を持つ免疫系が、自分自身の正常な細胞や組織に対してまで過剰
に反応し攻撃を加えてしまうことで症状を起こす、免疫寛容の破綻による疾患の総称――をもつ個
体からの自己反応性T細胞集団の同定方法に関する特許技術。

 ELISA

この「自己免疫疾患における診断的決定」において、医師が、オーバーラップする症状のセットを
もつ様々な疾患(複雑な医療現象)を容易に識別→患者の症状の根底の生理学的基礎を正確に同定
→早期介入/疾患管理着することを実現する。実際、多くの自己免疫疾患の処置は、進行を遅くし、
症状を解決するが、疾患を防止/治癒できないケースが多く、重度症状発生の遅延に、これらの疾
患の早期診断能力が決定的となる。さらに、不正確診断に起因の「試行錯誤」なしに、症状解決の
正確な薬物の投与きれば、(1)医療費を削減、(2)患者の不快/危害が回避される。

このため、この発明に直ちに適用可能であると考えられる3種の具体的なアッセイ(検定)――①
酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、②量子ドット、③検出キット――が提案され、その1に「
量子ドット」がある。以下その箇所を以下のように抜粋転記する。


 種の局面において細胞集団を標識するため、量子ドットを有利に使用する。量子ドットとは、
 励起子が、三つ全ての空間的次元において制限されている半導体である。結果として、それら
 は、バルク半導体のものと、不連続分子のものとの中間の特性を有する。それらは、当時Bell
  LabsにいたLouis E.Brusにより発見された。研究者は、トランジスター、太陽電池、LED、およ
 びダイオードレーザーにおいて量子ドットを研究している。量子ドットは、医学的画像化のた
 めの薬剤としても調査されており、キュービットとして使用されることが望まれる。

 量子ドットを作製するためのいくつかの方式が存在する。一般に、量子ワイヤ、量子井戸、お
 よび量子ドットは、化学的方法もしくはイオン注入により作製されたナノ結晶において、また
 は最先端リソグラフィー技術により作成されたナノ装置において、高度エピタキシャル(adva-
  nced epitaxial)技術により成長させられる。コロイド半導体ナノ結晶は、伝統的な化学的過程
 と同様に、溶液に溶解した前駆化合物から合成される。コロイド量子ドットの合成は、前駆物
 質、有機界面活性剤、および溶媒から構成される三成分系に基づく。反応媒体を十分に高い温
 度に加熱すると、前駆物質が化学的にモノマーへ変換される。

 モノマーが十分に高い過飽和レベルに到達すると、ナノ結晶成長が核形成過程から始まる。成
 長過程中の温度は、ナノ結晶成長のための最適条件を決定するための重大因子のうちの一つで
 ある。それは、合成過程中の原子の再配置およびアニーリングを可能にするのには十分に高く、
 結晶成長を促進するのには十分に低くなければならない。ナノ結晶成長中に厳密に制御されな
 ければならない別の重大因子は、モノマー濃度である。ナノ結晶の成長過程は、二つの異なる
 型「フォーカシング」および「デフォーカシング」で起こり得る。高いモノマー濃度では、臨
 界サイズ(ナノ結晶が成長もしないし縮小もしないサイズ)が比較的小さく、ほぼ全ての粒子
 が成長する。この型においては、より小さな粒子は、大きい粒子より速く成長し(より大きな
 結晶は小さな結晶より多くの原子を成長するために必要とするため)、ほぼ単分散の粒子を与
 えるサイズ分布の「フォーカシング」がもたらされる。

 存在する平均ナノ結晶サイズが臨界サイズより常にわずかに大きいよう、モノマー濃度が維持
 された場合、サイズフォーカシングは最適となる。モノマー濃度が成長中に枯渇した場合、臨
 界サイズが、存在する平均サイズより大きくなり、オストワルド熟成の結果として、分布の「
 デフォーカシング」が起こる。

 セレン化カドミウム、硫化カドミウム、砒化インジウム、およびリン化インジウムを含む種々
 の半導体を作製するためのコロイド法が存在する。これらの量子ドットは、10~50原子の直径
 を有する量子ドット体積内に100~100,000個の原子しか含有し得ない。これは、約2~10ナノ
 メートルに相当し、10ナノメートルの直径では、ほぼ3百万個の量子ドットを一列に並べ、ヒ
 トの親指の幅に適合させることができる。大量の量子ドットが、コロイド合成を介して合成さ
 れ得る。コロイド合成は、現在のところ、最も安価であり、ベンチトップ条件で実施され得る
 という利点を有する。それは、全ての異なる型の合成の中で最も低毒性であることが認められ
 ている。

 自己集合した量子ドットは、典型的には、10~50ナノメートルのサイズである。リソグラフィ
 ーによりパターン化されたゲート電極により、または半導体ヘテロ構造における二次元電子ガ
 ス上でのエッチングにより画定された量子ドットは、百ナノメートルを越える横寸法を有し得
 る。ある量子ドットは、より大きなバンドギャップを有する別の材料に埋め込まれた一つの材
 料の小さな領域である。これらは、いわゆるコアシェル構造であり得、例えば、コアにCdSeを
 有し、シェルにZnSを有するか、またはオルモシル(ormosil)と呼ばれる特別な型のシリカに
 由来し得る。

 量子ドットは、ウェルの厚みにおける単層変動のため、量子井戸構造で自然に発生することが
 ある。分子線エピタキシー(MBE)および有機金属気相エピタキシー(MOVPE)において、
 ある種の条件の下では、材料が格子不整合の基質上で成長する時、自己集合した量子ドットが
 自然に核形成する。得られた歪みは、二次元「湿潤層」の上に、コヒーレントに(coherently)
 歪んだアイランドを生ずる。この成長モードは、ストランスキ・クラスタノフ(Stranski-Krast-
 anov)成長として公知である。アイランドは、その後、量子ドットを形成するため、埋め込ま
 れ得る。この製作法は、量子暗号(即ち、単一光子源)および量子計算における適用の可能性
 を有する。

 この方法の主要な限界は、製作のコスト、および個々のドットの位置付けの制御の欠如である。
 個々の量子ドットは、遠隔ドープされた量子井戸または横方向量子ドットと呼ばれる半導体ヘ
 テロ構造に存在する二次元電子ガスまたはホールガスから作出され得る。試料表面は、レジス
 トの薄層によりコーティングされる。次いで、横方向パターンが、電子ビームリソグラフィー
 によりレジストにおいて画定される。次いで、このパターンが、エッチングまたは電子ガスと
 電極との間への外部電位の適用を可能にする金属電極の沈着により(リフトオフ(lift-off)過
 程)、電子ガスまたはホールガスに移され得る。そのような量子ドットは、主に、電子または
 ホールの輸送、即ち、電流を含む実験および適用にとって興味深い。

 量子ドットのエネルギースペクトルは、幾何学的サイズ、形、および制限ポテンシャルの強度
 を制御することにより操作され得る。また、原子とは対照的に、トンネルバリアにより量子ド
 ットを伝導動線に接続することは比較的容易であり、従って、それらの調査のためのトンネル
 分光法の技術の適用が可能である。量子ドットにおける制限は、(外部電極、ドープ、歪み、
 または不純物により生じた)静電ポテンシャルからも発生し得る。

 電気化学的技術により、量子ドットの高度に規則正しいアレイを自己集合させることもできる。
 金属上で量子ドットを含むナノストラクチャーの自発的集合をもたらす電解液-金属界面におけ
 るイオン反応を引き起こすことにより鋳型が作出され、次いで、その金属が、選ばれた基質上
 でのこれらのナノストラクチャーのメサエッチングのためのマスクとして使用される。

 従来の小規模な量子ドット製造は、「高温二重射出」と呼ばれる過程に頼っていたが、これは
 大量の量子ドットを必要とする大部分の商業的適用にとっては非実用的である。より大量の一
 貫した高品質の量子ドットを作出するための再現性のある方法は、分子クラスターの完全性が
 維持され、予め製作された種鋳型として機能するような条件の下で、分子クラスター化合物の
 存在下で、化学的前駆物質からナノ粒子を作製することを含む。クラスター化合物の個々の分
 子は、ナノ粒子成長が開始し得る種または核形成点として機能する。このように、適当な核形
 成部位が分子クラスターにより系内に既に提供されているため、高温核形成工程はナノ粒子成
 長を開始させるのに必要でない。この方法の有意な利点は、高度に大規模化可能であるという
 点である。

 現代の生物学的分析においては、様々な種類の有機色素が使用されている。しかしながら、年
 々、さらなる柔軟性がこれらの色素に要求されるようになってきており、伝統的な色素はその
 期待に応えられないことが多い。このため、量子ドットは、急速に代用されるようになり、い
 くつかの点で伝統的な有機色素より優れていることが見出された。その中で最も直ちに明白な
 ものの一つは、(高い量子収量による)明るさ、および(はるかに少ない光退色を可能にする)
 安定性である。量子ドットは、伝統的な蛍光性レポーターより20倍明るく、百倍安定してい
 ると推定されている。単一粒子の追跡のためには、量子ドットの不規則な明滅が、軽微な欠点
 である。

 高感度の細胞画像化のための量子ドットの使用は、過去十年で大きく進歩した。量子ドットの
 改善された光安定性は、例えば、高分解能三次元画像へ再構築され得る、多くの連続する焦点
 面画像の取得を可能にする。量子ドットプローブの極めて高い光安定性を活用する別の適用は、
 長期間にわたる分子および細胞のリアルタイム追跡である。研究者は、4ヶ月以上にわたり、
 マウスのリンパ節に量子ドットを観察することができた。半導体量子ドットは、予め標識され
 た細胞のイン・ビトロ――in vitroとは、“試験管内で(の)”という意味で、試験管や培養器
 などの中でヒトや動物の組織を用いて、体内と同様の環境を人工的に作り、薬物の反応を検出
 する試験のことをさす。 分子生物学の実験などにおいて用いらる。 in vitroの語源はラテン語
 で「ガラスの中で」という意味――の画像化のためにも利用されている。リアルタイムで単細
 胞遊走を画像化する能力は、胚形成、癌転移、幹細胞治療薬、およびリンパ球免疫学のような
 いくつかの研究 領域にとって重要であると予想される。

 ※ 以上文面では、注釈加筆修正箇所あり。

これは、特許申請文書というより学術書といった方が良いだろうが、大凡、医療関係の特許文書は
このような特徴と傾向をもつが、参考になったので打ち込むことにした。全文は上載の参考図をダ
ブクリされたし。

 

   ● 今夜の一枚

16日、男子テニスのATPワールドツアー・ファイナルズ(イギリス/ロンドン、室内ハード)、グ
ループ・ジョン マッケンローの予選ラウンドロビンが行われ、第5シードの錦織圭は第1シードで
世界ランク1位のアンディ・マレー(英国)に7-6 (11-9), 4-6, 4-6で敗れ、1勝1敗となった。
グループ2位をめざし頑張れ!

 

最新量子ドット太陽電池特許

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        公法行なわれて私曲止み、倉廩ちて囹圄空し  /  管子 『五輔』



     ※ 囹圄とは監獄のこと。倉廩とは米蔵のこと。米蔵がいっぱいになると、
       監獄につながれる罪人はいなくなる、と。いうことで、「人は豊かに
       なればおのずと罪は犯さなくなる」との意。  


                                          
                                                                                
                                              管子 Guan-zi   720–645 BC

 

 

       

【量子ドット工学講座25:最新量子ドット太陽電池技術事例】

● US9496434B2 Solar cell and method for producing solar cell 

  ―― 太陽電池と該太陽電池の製造方法 WO 2013027717 A1 村田製作所 ――

昨夜の残件をこなす。この作業は日曜まで続く、さて。

資源量が豊富で、省資源、低コスト化が可能なシリコン系太陽電池の開発が盛んに行われている。
この種のシリコン系太陽電池では、p型半導体とn型半導体とが接合されてp-n接合が形成される。
また、p-n接合の界面に形成された空乏層に太陽光が照射され、キャリアが励起されて光電流が発
生、これを光電変換し外部に出力するが、このようなp-n接合型のシリコン系太陽電池は、原理的
にエネルギー変換効率が理論的には30%程度と低く、 低コストでエネルギー変換効率の高い
太陽電池の実用化が望まれている。

このように、p型半導体とn型半導体との間にシリコン量子ドット層を介在させたシリコン量子ド
ット太陽電池が注目されている。この種の量子ドット太陽電池は、量子ドット構造の作製方法は、
(1)例えば、二酸化シリコン(SiO 2)マトリックス中に分散したナノ結晶シリカ、アモルファ
スシリコン(a-Si)層と二酸化シリコン(SiO 2)層とを交互に積層し、約1100℃の温度で熱処理
し、a-Si層のシリコンを二酸化シリコン(SiO 2)マトリックス中に析出させ分散させた態様で量
子ドットを得ることが知られている。(2)また、二酸化シリコン(SiO 2)層とシリコンリッチ
酸化物(SRO)層とが交互に積層されている。1050 ℃の温度で熱処理し、 窒素雰囲気下で反応
させ、(1)と同様に、シリコン量子ドットは、SRO 層 中のシリコンが堆積されるモードで得
られる二酸化シリコン(SiO 2)マトリックス中に分散され、二酸化シリコン(SiO 2)層 の代わ
りに窒化シリコン(Si 3 N 4)層または炭化シリコン(SiC)層を用いることが知られている。

【要約】

基板上に形成されたアルミニウムニオブ等からなる負極、n 型シリコン等からなる電子輸送層、
グラフェン等からなる量子ドット配置層、 負極の表面に、ドット層、p  型シリコン等からなる
正孔輸送層、酸化インジウム等からなる正極が順次形成され、正極の表面の少なくとも一部が露
出するよう出力電極を形成する。量子ドット層は、シリコンクラスター粒子の量子ドットが3次
元的に周期的に配列されて構成されている。シリコンクラスター粒子の平均粒子径は3ナノメー
トル以下であり、シリコンクラスター粒子間の粒子間距離は1ナノメートル以下である。
【符号の説明】

1基板 2,25負電極 3,23電子輸送層 4,24量子ドット配置層 5,26量子ドット層 
6,27正孔輸 送層 7, 28正電極 8a、8b、29a、29b 出力電極 11伝導帯 
12価電子帯

【図面の簡単な説明】

・図1は、本発明による太陽電池の一実施形態(第1の実施形態)を示す断面図
・図2は、電子輸送層/量子ドット層/正孔輸送層のバンド構造を示す図
Nov.15, 2016

・図3(a)(b)は、グラフェンの六方格子とエネルギー分散の関係を示す図


・図4は、比較例の太陽電池の断面図

 

・図5(a)~(d)は、太陽電池の製造方法の一実施形態(第1実施形態)を示す製造工程(1/2)
 を示す図




・図6(e)~図6(g)は、太陽電池の製造方法の一実施形態(第1実施形態)を示す製造工程図(2/2)


・図7は、シリコンクラスタービーム成膜装置の概略構成図
・図8は、本発明による太陽電池の第2の実施形態を示す断面図

 

・図9(a)~(c)は、太陽電池の製造方法の第2の実施形態を示す製造工程図
・図10は、第2実施形態の変形例を示す断面図

【符号の説明】

1基板 2,25負電極 3,23電子輸送層 4,24量子ドット配置層 5,26量子ドット層 
6,27正孔輸 送層 7, 28正電極 8a、8b、29a、29b 出力電極 11伝導帯 
12価電子帯 

【特許請求範囲】

基板と、基板上の負電極と、電子輸送層と、太陽光を吸収する量子ドットの集合体か
らなる量子ドット層と、正孔輸送層と、透光性を有する材料からなる正極と、を備え、
負極の主面;陽極の表面の少なくとも一部が露出するように正極上の出力電極とを備え、
量子ドット層は、3次元的に周期的にシリコンクラスター粒子となるように構成され、
ケイ素クラスター粒子の平均粒子径が3ナノメートル以下であり、シリコン素クラス
ター粒子間の粒子間距離が1ナノメートル以下であり、シリコン素クラスター粒子が、
ハイブリッド軌道sp3を有するコア部を有するコアーシェル構造と、ハイブリッド軌道
sp2を有するシェル部分とを含むことを特徴とする。 前記電子輸送層と前記量子ドット層との間に量子ドット配置層が配置され、量子ドッ
ト配置層がグラフェン系材料であり、シリコンクラスター粒子がシ第1の層を形成す
る。 前記シリコンクラスター粒子中のシリコン原子は、量子ドット配列層のグラフェン系
材料の炭素原子核に吸着されていることを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。 前記基板は、石英ガラス、非アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミナ、ガリウ
ムヒ素、シリコン及び炭化ケイ素からなる群から選択された材料である、請求項1に
記載の太陽電池。 前記電子輸送層は、n型シリコン系物質であることを特徴とする請求項1に記載の太
陽電池。 前記量子ドット層は、価電子帯と伝導帯との中間のエネルギー準位を有する多重エネ
ルギー準位構造を含むことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。 前記正孔輸送層は、p型シリコン系物質であることを特徴とする請求項1に記載の太
陽電池。 請求項1に記載の太陽電池であって、 前記負極は、アルミニウムを主成分とし、さら
に、ニオブ、タンタル、銅を含み、不純物の含有量が0.01~3%である。 請求項1に記載の太陽電池において、前記正極は、酸化物透明導電膜、グラフェン、
ナノワイヤー網組織からなる透明導電膜とを備えている。 請求項1に記載の太陽電池であって、前記量子ドット層は、前記シリコンクラスター
粒子が100~300層積層されていることを特徴とする。 請求項1に記載の太陽電池において、前記コア部は正四面体のダイヤモンド構造を有
し、前記シェル部の表面層はかご構造を有することを特徴とする。

 

 

 

     

 

【我が家の焚書顛末記 21:中国思想 管子】       

   五 輔    ――政治を正す五つの段階――

 -

 政治は、ある角度から見れば、一種の蓄積である。実績を積み重ねていく、これが偉大な
 為政者の歩む道である。善政を残すには、いろいろな段階を経なければならない。それを
 確実に一歩一歩路みしめていく。ここに国家安定の起がある。 

 こ と ば -------------------------------------------------------------------------

 「公法行なわれて私曲止み、倉廩ちて囹圄空し」
  「上下義なければ乱れ、貴賤分なければ争い、長幼等なければ倍き、貧富度なければ失う」
 「心一に意専らにして、然る後に功観るに足るなり」
 「時を審らかにしてもって事を挙げ、事をもって民を動かし、民をもって国を動かし、民
 をもって天下を励かす。天下動かして、然る後に功名成るべし」

 ----------------------------------------------------------------------------------

  民心を得る道

  昔の聖王が偉大な名声を天下に残し、すぐれた功績を後世に残したのは、かれらが人心の
 掌握に成功したからである。逆に、暴虐非道な君主は、人心の掌握に失敗している。それだ
 からこそ、国家、社稜、宗廟を失い、身を滅ぼす結果を招いたのだ。
  ところで、今日の為政者はどうだろうか。
  かれらはみな、国内に揺るぎない政治体制をしき、それを背景に強力な外交を展開したい
 と望んでいる。攻撃力においても守偉力においても、決してひけをとらぬ実力を備え、そ
 れによって諸侯に覇を称え、ゆくゆくは天下を統一しようというのである。
  だが、実際はどうか。
  戦いには敗れ、領土は専われ、あげくの果てに身を械ぼし、国を失う破目におちいる者が
 多い。それというのも、人心の掌握につとめなかったからである。人心の掌握こそは、天下
 を握る要諦であるといってよい。

  人心掌握の方法とは、いうまでもなく、人民の利益をはかることである。人民の利益をは
 かるとは、よい政治をしくことである。
  よい政治をしけぱどうなるか。
  田畑はよく耕され、都城は活気にあふれる。悪事をはたらく者がいないので、法廷はひま
 になり、役所はきちんとしている。
  社会の公法は守られ、無法者はいなくなる。穀倉はいっぱいになり、牢獄は空になる。賢
 人は抜擢され、悪人はかげをひそめる。
  官職にある者は公正を尊び、へつらい者を退ける。兵士は武勇を重んじ、私利私欲にはし
 らない。人民はぜいたくをやめ、勤労にいそしむ。
  その結果、物資は豊かになり、国家財政がうるおうのである。こうなれば為政者は人民
 から収奪しなくてすむし、人民はお上に従順になる。寛大な為政者と、これに協力する人民、
 この二つの条件が満たされてこそ、社会道徳は守られ、身分秩序は安定する。
  こうして、明君は民心の掌握につとめるから、国内に揺るぎない政治体制をしくことがで
  き、それを背景に強力な外交を展開できる。攻めても守りても、相手を圧倒し、諸侯の盟主
 となることができるのだ。

            《収奪しなくてすひ》原文は「照合あり≒解舎とは賦役を免ずること。

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 古之聖王,所以取明名廣譽,厚功大業,顯於天下,不忘於後世,非得人者,未之嘗聞。暴王
 之所以失國家,危社稷,覆宗廟,滅於天下,非失人者,未之嘗聞。今有士之君,皆處欲安,
 動欲威,戰欲勝,守欲固,大者欲王天下,小者欲霸諸侯。而不務得人,是以小者兵挫而地削,
  大者身死而國亡,故曰:人不可不務也。此天下之極也。曰:然則得人之道,莫如利之。利之之
 道,莫如教之以政,故善為政者,田疇墾而國邑實,朝廷閒而官府治,公法行而私曲止,倉廩
 實而囹圄空,賢人進而奸民退,其君子上中正而下諂諛。其士民貴武勇而賤得利。其庶人好耕
 農而惡飲食。於是財用足,而飲食薪菜饒。是故上必寬裕,而有解舍。下必聽從,而不疾怨。
 上下和同,而有禮義,故處安而動威,戰勝而守固,是以一戰而正諸侯。

 ----------------------------------------------------------------------------------
 
  五つの段階

  人心を掌握し、よい政治を行なうためには[徳」「義」「礼」「法」「権」の五つの段階
 を路まなければならぬ。
 「善」を其すには六つの方図(六興)がある。「義」を高めるには七つの内容(七体)があ
 る。「礼」を正すには八つの基本(八経)がある。「決」を実施するには身分に応じた五つ
 の責務(公務)がある。そして最後に「権」、すなわち臨機応変の措置には三つの尺度(三
 回がある。

  一、「徳」を興す六つの方法(六興)

 「徳」を興すには以下の方法をとらねばならぬ。
  一、人民の厚生をはかること。その内容としては、宅地の造成、植林、勧業、励農、住宅
 の建設が合まれる。
  二、経済の発展をはかること。その内容としては、資源の開発、輸送力の増強、道路の補
 修、交易の奨励、宿場の整備が介まれる。
  三、水利の便をよくすること。その内容としては堤防や貯水池の建設、河川の浚渫、水路
 の開鑿、橋梁の架設が含まれる。
  四、寛容な政策を実施すること。その内容としては担税賦役の軽減、刑罰の減免が含まれ
 る。
  五、人民の危急を救うこと。その内容としては身よりのない老人や孤児・やもめの救済、
 病人への施療・災害援助が含まれる。
  六、人民の困窮を救うこと。その内容としては、貧民にたいする衣料や食糧の給付、浮浪
 者の更生が含まれる。
  ここに列挙した厚生、経済、水利、寛政、救急、救窮の六つの政策こそが、道徳を興す方
 法である。
  なぜなら、人民が為政者に望んでいることは、この六つで尽きているからである。それが
 満たされれば、人民は、当然君主を支持するようになる。政治は人民の支持があってはじめ
 て成り立つのだ。
 「徳を振興せよ」というのは、このためである。

 道徳をもたらす前提 人心を拘る辺は、かれらを利することだと説いた管子は、さらに進ん
 で徳→義→礼→法→権という五つの段階にふれる。これらは、いずれも抽象的な徳目として
 ではなく、具体的な実践綱領として把握されているところに特徴がある。ただし、「義」以
 下には、後世の儒家的粉飾が強いが、第一の「徳」について、経済の発展と生活の安定こそ
 が、退治をもたらす前提であるとした点は、きわめて管子的である。

 ----------------------------------------------------------------------------------

 德有六興,義有七體,禮有八經,法有五務,權有三度,所謂六興者何?曰:辟田疇,利壇宅。
 修樹蓺,勸士民,勉稼穡,修牆屋,此謂厚其生。發伏利,輸墆積修道途,便關市,慎將宿,
 此謂輸之以財。導水潦,利陂溝,決潘渚,潰泥滯,通鬱閉,慎津梁,此謂遺之以利,薄徵斂,
 輕征賦,弛刑罰,赦罪戾,宥小過,此謂寬其政。養長老,慈幼孤,恤鰥寡,問疾病,弔禍喪,
 此謂匡其急。衣凍寒。食飢渴,匡貧窶,振罷露。資乏絕,此謂振其窮。凡此六者,德之興也。
 六者既布,則民之所欲,無不得矣。夫民必得其所欲,然後聽上,聽上,然後政可善為也,故
 曰德不可不興也。

  ----------------------------------------------------------------------------------

  二、「義」を高める七つの内容(七体)

  こうして、人民は『徳」というものを理辨するに至る。だが、かれらはまだ、人間として
 の自覚すなわち「義」を知らない。そこで、君主は、義とはなにかについてひとつひとつ明
 らかにする必要がある。
  義の内容は七つ、つまり「七体」がある。「七体」とはなにか。
  一、親を大切にすること。
  二、主君に忠節をつくすこと。
  三、礼節を守ること。
  四、行ないを慎み、法を犯さぬこと。
  五、ひだを宵き、飢饉に備えること。
  六、質実削節を尚び、災害や戦乱に億えること。
  七、協力一致して敵の侵略に備えること。
  義を体得すれば、人民は必ず限度をわきまえる。そういう人民がいてこそ挙国一致の体制
 ができあがるのである。こうなれば君主の地位はもはや安泰である。したが{て、国威を外
 に発揚することもできる。攻めても守っても敞に敗れるようなことはない。
 「義を高めよ」というのはこのためである。

 「義」の内容「義」の定義は、諸丿百尿によってさまざまである。孔子は、最高高道徳「仁」
 の補助手段と考えた。孟子は人間の守るべき根本の道徳として「仁」と「義」を説いた。ま
 た荀子は、「礼」とともに人間教育のための基本要素と解した。いずれにせよ、これらは「
 道徳的要素」の範疇を出ない。これにたいして、管子の説く「義」はより広範囲であり、一
 種の経済政策や行政手段までを含めようとしている。かれのいう「義を高めよ」は、モラル
 の向上だけでなく、物質的な発展要素を求め、政治の安定までを.要求するものである。
 -----------------------------------------------------------------------------------

 曰:民知德矣,而未知義,然後明行以導之義,義有七體,七體者何?曰:孝悌慈惠,以養親
 戚。恭敬忠信,以事君上。中正比宜,以行禮節。整齊撙詘,以辟刑僇。纖嗇省用,以備飢饉。
 敦懞純固,以備禍亂。和協輯睦,以備寇戎。凡此七者,義之體也。夫民必知義然後中正,中
 正然後和調,和調乃能處安,處安然後動威,動威乃可以戰勝而守固,故曰義不可不行也。

 ----------------------------------------------------------------------------------
                                        この項つづく

 


 

● 今夜の雑感

トランプ大統領制は、第一印象通り、縁故資本主義的強欲的色合いが、
パク・クネ韓国大統領制は縁故社会的体質が命取りに
室町殿(米国)が衰退、右京大夫(ロシア)と左京大夫(中国)が覇を競い合う世界は、
21世紀の時代と、冗談半分にこんなことがぼやっと頭に浮かんだ。

                                    

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