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自殺念慮の桐一葉

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           人生まれた群なきこと能わず。群して分けなくば争う。

                                           荀子 「王制」


       ※ 人間は生まれると集まって社会生活を営まないわけにはいかず、
         集まってそこに分別がなければ争い、争えば混乱し、混乱すれ
         ば離散し、離散すれば弱くなり、弱くなれば他物に優位を占め
         ることはできない。そこで住宅にも安全に居住していけないの
         である。ほんの少しの間も礼義(社会規範)を棄てることはで
         きないというのはこのためのことである。

 

                                                        

                                                                     荀子
                               B.C. 313 ーB.C..238 

 

 

  Nov. 1, 2016

iPhone 8 to ditch LCD screen in favor of new and improved OLED display

【18年には折り畳み式有機ELディスプレイの量産を開始】

米アップルがスマートフォン(スマホ)「iPhone(アイフォーン)」の表示装置とし
て有機ELパネルを採用する。スマホの技術をけん引するアップルが有機ELを採用するこ
とで、パネル産業の世界市場は勢力図が変化する。従来の液晶パネルに加え、鮮明な画像と
省電力が特長の有機ELを搭載する製品を3年後に発売する計画にある。その背景には、ア
ップルは数年前から有機ELの画質やコストの研究を進め、液晶に比べたメリットが今後、多くなると
の判断に傾く。

  Nov. 26, 2016

11月初旬、Apple はカーボンナノチューブによって基盤の回路をつなぎ、電子信号を伝達
するという技術の特許を取得したことが明らかになったことから、折り畳み式の「iPhone」
を開発しているのではないかという情報があったが、やはり18年に発売される「iPhone」
は折り畳み式になるかもしれない。韓国のニュースサイト「ET News」によると、韓国の LG Display
がApple やGoogle と提携し、スマートフォン向けの折り畳み式有機ELディスプレイの開発を
行っていることが確認されたと。LG Displayは過去3年間にわたり、本のように真ん中で二
つ折りになるディスプレイや、丸めることができるディスプレイなどの様々な折り畳み式有
機ELディスプレイのプロトタイプの発表を行っていることから、折り畳み式ディスプレイに
関する技術のレベルは非常に高いと噂されている。

 Dec 16, 2016

【有機EL素子寿命の再現性確立と長寿命化】

● 有機EL素子の耐久性に真空中の極微量不純物が影響を与えることを解明

14日、九州大学最先端有機光エレクトロニクス研究センタ(OPERA) 有機光エレクトロニ
クス実用化開発センタ(i3-OPERA)らの研究グループは、有機EL素子を短時間で製作するこ
とにより、素子の耐久性が著しく向上することを見出す。この原因は、真空蒸着チャンバー
内に存在している1分子層にも満たないほどの極微量と推定される不純物が有機半導体材料
の蒸着中に混入するためであり、それにより素子劣化が引き起こされることを突き止める。
研究では、液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)で精密質量から不純物の構造を解析した
結果、一般的に樹脂の添加剤として使用される化合物、過去に蒸着した有機材料やその分解
物と思われる化合物等と推定。これらはチャンバー内の構成部品や残留物に由来すると推測。
従来の製造プロセスでは外的劣化要因として主に真空中の水分量を管理してきたが、この成
果により水分量のみならず極微量不純物量や素子製作時間を管理することで、これまで困難
であった有機EL素子寿命の再現性の確立に繋がり、今後、様々な有機エレクトロニクス素子
の長寿命化や劣化メカニズムの解明できると期待されている。

 Dec. 14, 2016

【うつ病 症状の特定成分判明】

● うつ病の客観的診断法開発への応用に期待

14日、九州大学などの研究グループは、うつ病の患者などを対象に、血液に微量に含まれる成分を
調べたところ、死にたい気持ちを抱くといった患者の症状によって特定の成分が増加したり減少した
りすることがわかったとし、うつ病を客観的に診断する方法の開発につながると公表。

日本では65歳以降とされる老年期に発症し、この年代に特有の病像を示すうつ病。老年期うつ病あ
るいは老人性うつ病ともよばれる。臨床症状としては、本当は問題がないのに身体の不調を訴える心
気的傾向を示すほか、不安や焦燥感を訴えたり、周囲への無関心や思考力および集中力の低下などの
認知症が疑われる仮性認知症がみられる。また、意欲の低下や、不眠や疲労感の訴え、体重減少、自
分を貧乏と訴えるなどの妄想性傾向がみられるほか、意識障害や譫妄(せんもう)、自責感や死にたい
と訴える自殺念慮などを呈する。 

発症にかかわる要因としては、配偶者や家族との死別または離別、生活上の突発的なできごと、家庭
内での役割の変化や孤立感、社会的地位の喪失、経済的状況の変化などに加えて、転居などの環境要
因も示唆されている。ほかに加齢に伴う脳の器質的変化や身体機能の衰えも発症要因にあげられ、糖
尿病、高血圧、心筋症などの身体疾患を伴うと予後も悪く、遷延化する傾向を示す。薬物服用が原因
となることも多い。

九州大学と大阪大学、それに国立精神・神経医療研究センタのグループは、うつ病の患者など90人
を対象に、血液に微量に含まれる123種類の成分の変化を調査。その結果、このうち20種類の成
分は、死にたい気持ちを抱いたり気分が落ち込んだりといった特定の症状に応じて増加したり減少し
たりすることを突き止める。



例えば「クエン酸」が多い患者は落ち着かなくなる症状や死にたい気持ちになる症状が強まる。また、
「オキソ酪酸」が多い患者は気分が落ち込むといった抑うつ気分の症状が強く見られる。うつ病の診
断は、主に、医師による面接や患者が記入したアンケートに基づいて行われたが、今回の研究をさら
に進めることで、うつ病を客観的に診断する方法の開発につなげたいとしている。グループのリーダ
ーで、九州大学大学院の加藤隆弘特任准教授は、「今回は患者数が少ないので、より規模の大きな研
究を通じ、客観的な診断の手法を確立したい」とす。

【抗癌最終戦観戦記 Ⅷ:最新DDS技術】

● がん細胞狙い薬運ぶ技術開発 岡山大グループ

岡山大は16日、がん細胞だけを破壊する独自開発のウイルス製剤「テロメライシン」を、標的に効
率よく運ぶ技術を開発したと発表した。バイオ関連事業の林原(岡山市)が発見していた、がん細胞
を選んで入り込む細胞「HOZOT(ホゾティ)」の働きを活用。全身にがん細胞が広がった進行が
ん患者の治療につながる岡山生まれの技術として注目される。開発したのは、同大大学院の藤原俊義
教授(消化器外科学)、同大病院新医療研究開発センタの田澤大准教授らのグループ。テロメライシ
ンを使った食道がん治療の臨床研究を13年から進めており、腫瘍そのものに投与する方法を用いる
一方で、がん細胞に近づいて内部に侵入するホゾティの働きに着目した。

 Dec. 16, 2016

ウイルスを搭載したホゾティを作り、がん細胞の固まりや、おなかの中でがんを広がらせたマウスで、
治療効果を調べた。ホゾティは正常細胞には影響せず、がん細胞のみに入り込んでウイルスを拡散し、
がん細胞を死滅させることを確認した。ホゾティは06年、林原がヒトのへその緒の血液・臍帯血(
さいたいけつ)から発見。へそを意味する「臍(ほぞ)」と、免疫反応を抑える「制御性T細胞」の
一種であることにちなんで名付ける。ただ、ヒトに投与するためには、他人の臍帯血に由来すること
で起きる拒絶反応を抑える必要がある。藤原教授は「この課題をクリアできれば、進行したがん患者
の生存率を改善できる可能性がある」としている。

 doi:10.1038/srep38060:Tumor-specific delivery of biologics by a novel T-cell line HOZOT : Scientific Reports


【ZW倶楽部:フランス プラスチィク製容器禁止】

● 使い捨て文化から脱却し環境保全対策で世界をリード

90年代前半から容器包装廃棄物にかかわる制度の整備をすすめ、ドイツと並び世界で最も早くから
容器包装リサイクルに取り組んでいるフランスで、ブラスチック製の容器、食器、カトラリーなどを
全面禁止する法案が可決した。施行予定の20年1月に向け、世界初の取り組みに注目が集まってい
るという(環境ビジネス、2017年冬季号)。

包装廃棄物リサイクルは生産者の義務

現在のフランスにおけるリサイクル制度は、92年4月に制定され、93年1月に施行された包装廃
棄物デクレに基づいている。包装廃棄物デクレでは、家庭から出るすべての容器包装廃棄物の回収・
リサイクルを、容器包装の製造・利用販売業者に義務付け、青ぼを明確にした。デポジット制によっ
て自ら容器を回収する生産者も存在するが、多くは政府認定のリサイクルシステム管理組織に委託し
ている。その最大の組織が、容器包装製造会社や流通会社などが出資して設ぺしたエコ・アンバラー
ジュ社である。生産者は商品にボワン・ベールと呼ばれるリサイクルマークをつけ、エコ・アンバラ
ージュ社にマークのライセンス料を支払う。廃棄物の回収・選別は自治体がおこない、エコ・アンバ
ラーシュ社回収コストの一部を補助するという形が一般的。また、選別された廃棄物は、素材別に決
められた価格でリサイクル業者に売却され、リサイクルできないものは焼却される。エコ・アンバラ
ージュ社の15年のレポートによると、契約を結んでいる企業は現在5万社に達し、リサイクル資源
の売却益は年間1.93億 ユーロに及ふ。15年にリサイクルされた包装廃棄物は327万トンで、
これは二酸化炭素の排出量を年間で210万トン抑制えることができた。

一方で、市民の意識はまだ決して高いとはいえないのが実情だ。フランスの首都パリでは、街路や公
園にゴミが散乱し、分別も徹底されていない。それでも、ゴミの分別を助けるアフリやウェブサイト
などが開発され、アブりのダウンロード数は3万に達した。エコ・アンバラージュ社によると、包装
廃棄物デクレが施行された93年当時18%たったリサイクル率は、15年には67‰にまで上昇し
ている。



世界でもゴミ削減の流れ

ゴミ問題は地球温暖化、エネルギー、環境汚染などの問題と関係が深く、国際社会の関心も高まって
いる。特にブラスチックは、効率的な肖資源化が難しい燭台が多く、また石油からできているため焼
却すれば温室効果ガスが発生する。その一方、非常に安定な物質であることから、自然界でほとんど
分解されず、焼却せずに埋めればいつまでも残ってしまう。現代の暮らしに欠かせないブラスチック
を使い続けるためには、日本でも取り祖んでいるリデュース(ゴミ削滅)・リユース(再利用)・り
サイクル(再資源化)源化Jの3トぐや、それにリフユ一ス(受け収り拒否)を如えた4R、リペア(修
繕使用)を含む5Rなどに浴って、ゴミを減らしていく必要がある。

また、近年では海洋におけるブラスチック汚染も深刻――川なとによって運ばれたブラスチックゴミ
が海を漂い、海鳥やウミガメなどの生物が、誤って飲み込んだり、ゴミに絡まって動けなくなったり
するケースが数多く細片されている。また、ブラスチックはPCBなどの汚染物質を吸着することか
ら、細かくなったグラスチック片を食べた魚などの体内に汚染物質が取り込まれる可能性も指摘され、
生態系全体への影響が懸念されている。15年6月にドイツで聞かれたらG7エルマウ・サミットで
は、海洋ゴミが海洋および沿岸の生物や生態系を脅かす重大な問題であることを確認し、対策を強化
することで一致したブラスチックゴミの削減は急務なのである。



レジ袋禁止に次ぐ、使い捨て食器の禁止

そのような流れの中で、フランスでは、昨年7月こ使い捨てレジ袋を禁止することを決定し、トレイ
の協議を経で、今年7月1日から施行された。17年1月1日からは、レジ毀以外のすべてのブラス
チック製捨て使い捨て袋の使用が禁出される予定。使い捨て袋の定義は、厚さが50マイクロメート
ル末満であること、それより厚く、かつ原料にバイオマスを一定以上含むむ生分解性ブラスチックの
袋については対象とならない。レジ袋を禁ILする法律やブラスチック製の使い捨て食器・カトラリー
などを禁止める法律は、ヨーロッパ・エコロジー=緑の党が提案し、昨年可決された、エネルギー転
換法の一部。エネルギー転換法では、再生可能エネルギーヘの移行や温室効果ガスの削減などについ
て、具体的な数値目標を定めている。使い捨て製品」を減らすことでブラスチックの製造や燃焼時の
温室効果ガス排出を削減することを目指す。

この法律によってい使い捨て食器の生産に関わる企業は、20年1月までにバイオマスを原料として
使用したコンポスド可能な製品へと切り替えなければならない。原料のバイオマスの含有率は20年
に50%、25年までには60%に引き上げるとされている。

欧米各国はフランスに追随するか

今回の法律について、環境保護団体は歓迎しているが、ベルギーを本拠地とする食品容器の業界団体
は、物品の自由な侈動を定めたEUの規則に違反しているとして反対している。他の EU加盟国がフラ
ンスの動きをどう捉えるか、今後の動きが注目される。
  


電力定額の衝撃

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            庶民政に安んじて、然る後君子位に安ずる。

                                       荀子 「王制」

    ※ 庶民が政治に驚けば、これに恩恵を与えるのがもっともよい。賢良
      な者を抜擢し、篤敬な者を推薦し、孝行な子弟を督励し、孤(みな
      しご)と寡(未亡人)を保護し、貧窮者に支援する。このようにす
      れば、庶民は政治に安んずるであろう。庶民が政治に安んずれば、
      しかる後に君子は位に安んずるのである。言い伝えに、「君は舟、
      庶民は水。水はすなわち舟を載せ、水はすなわち舟を覆す」とある
      のは、このことを言うのである。
       

 

                                                        

                                                                     荀子
                               B.C. 313 ーB.C..238 

 

 

【RE100倶楽部:仮想発電所ビジネス】



We’ve launched the world’s largest virtual power plant!

● 電力定額の衝撃

ドイツで始まった電力定額モデルは関係者の驚きを持って迎えられた。この定額モデルを手が
けるのが再エネ用の電池とEMSを販売する企業であることも、業界の動きの速さを感じさせ
る。そこで、このモデルの鍵となるVPPについてドイツの動向を俯瞰する。

今年9月、ドイツで再エネ電力の小売分野の定額販売が始まっている。これは、ドイツの電力
小売業者にとっても相当なインパクトを与える。電力定額モデルを開始したSonnen(ゾンネル)
社は、南ドイツ、バイエルン州にある蓄電池メーカー。10年の設立からわずか5年後の15
年にはドイツ最大の電池メーカーの1つとなる。同社は世界中の注目を集めており、先日もG
Eを含む投資家から新しく7600万ユーロを調達したばかりである。中国からの投資もあり、
同社は今後中国のバーチヤル発電所(VPP)を牽引する可能性もある。創業者の1人は電気自動車
のテスラ社の元ドイツ支社長であり、電池だけでなく、電池を制御するシステムが高く評価さ
れている。


※ VPP(バーチャルパワープラント:仮想発電所)とは、点在する小規模な再エネ発電や
  蓄電池、燃料電池等の設備と、電力の需要を管理するネットワーク・システムをまとめて
  制御する機関をさす。複数の小規模発電設備やシステム等を、あたかも1つの発電所のよ
  うにまとめて機能させることから「仮想発電所」と呼ばれる。

※ グラフ(上):家庭用蓄電池の世界トップはドンネル(Sonnen)社、米国とオーストラリ
  アの市場でシェア1位となった家庭用蓄電池はドイツゾネン社で23%。同社の世界販売
  実績は15000ユニットだということです。2位がLGケミカル、3位がSenecで4位がテスラ
  のシェアは9%(2016年10月時点)。

Sonnen社のバッテリーにはスマートメーターを合むエネルギーマネジメントシステム(EMS)
が組み込まれており、天候データや家庭内の電力需要を統合した制御を行うことで同社の標準
的な8キロワットアワー蓄電池で80%の自給率を達成できる。また「SonnenCommunity」の顧
客は、全国に分散している電池に蓄えられた余剰電力をプールすることで、ほぼ100%太陽
光の電力供給を受けることが可能となる。Sonnen社は太陽光+蓄電池のプールでは不足する電
力を補うためにバイオガスや風力による電力も調達しており、万一の場合には市場からも電力
を調達することにしている。



sonnenFlat - 0,0 € über alkaSOL & sonnenBatterie - alkaSOL Web

これをさらに発展させたものが電力定額モデルである。彼らがSonnenFlatと呼ぶビジネスは、各
地に設置された蓄電池をプールしたVPPの容量を調整電源市場で販売することで売上を確保し
余剰電力はSonnenCommunityの会員に販売される。同社の売上は蓄電池とEMS、調整電源の販売
をペースとしているため、会員は会費という低額の固定費を払うだけで再エネ電気を使うこと
ができる(消費量には上限が設けられているが、月4250キロワットアワー、または、55
00キロワットアワーで平均的な家庭であれば問題ない)。16年9月以前にSonnneCommunity
に参加した会員もSonnenFlatへの切り替えが可能で、現在では少なくとも2千以上の会員がいる。
Sonnen社ではどの調整電源市場で販売しているか、販売容量などは明らかにしていないが、今
後を見据えたビジネスの先手を打ってきたことで業界の注目を集めている。

※ 米国調査会社ナビガントリサーチ(Navigant Research)の調査レポート「バーチャルパワ
  ープラント(仮想発電所)用ソフトウェアベンダ15社の戦略と実行評価 (ナビガントリ
  サーチのリーダーボードレポートシリーズ)」は、バーチャルパワープラント(仮想発電
  所、VPP)用ソフトウェアの主要な15社のベンダの戦略と実行を評価。これらの企業をビ
  ジョン、市場化戦略、パートナー、製品の統合戦略、技術スコープ、到達地域、販売・マ
  ーケティング・配送、製品の性能、製品品質・信頼性、プロジェクトポートフォリオ、価
  格、耐久性といった12の評価基準でランク付けしている。ナビガントリサーチ独自のリー
  ダーボードメソドロジによりベンダを概説、レイティング、ランク付けし、世界市場の中
  での各企業の強みと弱みを査定している。

● 2種類のVPP ~直接市場化と調整電源~

電源市場での①調整電源市場での販売がメインとなっているが、VPPには大きく分けてこれと
②直接市場化の2種類が存在する。基本的なシステムは両者大きな違いはないが、電力の販売方
法が異なっている。簡単に言うと分散型の小規模な電源に取り付けられたスマートメーターと
制御装置で多数の発電設備を統合・制御し、仮想的に1つの巨大な発電所のように運営する仕
組みである。そのため、1つ1つが小規模な再エネ発電設備のほうが、大型の火力発電設備よ
りも参入のメリットが大きい。



近年は特に北ドイツの風力発電所の解列とそれに伴う補償費が増大していることが問題となり
再エネ発電設備からの電力をより柔軟に販売することが求められている中で、VPPの果たす役
割に大きな期待が集まっている。ドイツ最大手のVPPの1つが、09年にフラウンホーファー
研究所からのスピンアウトした NextKraftwerke社である。同社は再エネ電源を中心に3千以上
の発電設備をネットワークで管理し、合計で2GW以上の発電容量を確保している。勿論、全
ての電源が常に稼働しているわけではないが、一定の発電量は確保できるようになっている。

 NextKraftwerke

NextKraftwerke社では、これらの電源をアグリゲートし、①調整電源市場と②直接販売で売電し
ている。新規設備の再エネの全量買取が廃止されているドイツでは、フィードインプレミアムと
呼ばれる、卸市場の平均価格と買取価格の差額のみを販充電力量に応じて支給する仕組みに移
行しており、発電事業者は自ら相対契約か卸市場で電力を販売する必要がある。しかし、この手
続きは煩雑になりがちなため、これらをまとめて販売代行を行うVPP事業者はありがたい存在。
また買い手としても、不安定で小規模な再エネ発電事業者から直接買うよりもアグリゲーター
から安定した再エネ電力を調達したほうが良い。そのため、直接市場化の中でVPPの果たす役
割は大きい。

 NextKraftwerke 
NextKraftwerke
一方VPPとしては、容量を確保することに対して支払いが行われる調整電源市場の方が安定し
た売上が見込める。そのため、多くのVPPが調整電源市場での販売を行っているが、再エネは
不安定という印象のためにこれまでなかなか規制緩和が進まず、調整電源市場で販売可能な再
エネ電力は、蓄電池に蓄えられた再エネ電力、もしくはバイオマスやコージェネなどに限られ
ていた。しかし、風力でパイロットプロジェクトが始まるなど、新たな動きを見せている。

● 参入が進むVPP市場  

ドイツは「電力市場2.0」 と名付けた電力市場の改革の中で、従来型電源を中心とした容量市場
は設置しない方針を明確にした。その代わり、卸電力価格の価格シグナルを重視し、柔軟性電
源と呼ばれる電源を活用してシステムの安定を図る方針だ。電力卸市場 EPEXでも、柔軟性電
源を視野に入れた商品開発を進めている。柔軟性電源とは、再エネ電源、蓄電池、コージェネ
設備やデマンドサイドマネジメントなどを含む多様な電源を指す。VPPは新しい市場に合わせ
た電源調達を検討しており、同社ではPower2Gas(P2G)設備を自社のバーチャルプールに組み込
んだ。

PwCの専門家は、ドイツ国内に約900ある大小の電力会社のうち、8~12%がVPPを運営
しており、ますます拡大していくと評価する。大半は小規模なVPPであるが、この中から15
~20社程度が調整電源市場で販売できる十分な容量を確保できるだろう。国内ではすでに、
100近いVPPが稼働しており、この中には過去にも紹介したClean Energy Sourcing社や都市公
社のMVV、大手のRWEなどが含まれている。 Sonnen社は現時点では、PwCの専門家が想定す
る十分な容量には届いていない印象だがすでに調整電源市場に参入しており、VPP市場のダイ
ナミックさが伺われる。

● VPPの今度の課題

ドイツでは再エネ法によって再エネ発電設備には遠隔操作用機器の設置が義務付けられており、
発電設備はこの機器にモジュールを後付けするだけでVPPプールに参加可能など、参入障壁も
低い。しかし、通信技術についてはインターネット回線を使うのか送電線を使うのか、コミュ
ニケーション・プロトコルの標準化といった課題も残っている。一方、精緻化する天候情報か
らの発電量予測の技術進歩など、VPP周辺の技術革新に対する政府対応は遅れており、政府は
早急に取引制度を整えてより幅広い柔軟性電源がVPPに参加できるようにする必要がある。柔
軟性電源では、過去に官製ネガワット取引の失敗例などもあり、政府の対応が後手に回と10
%近い電力会社が運営しているVPPが機能しなくなる可能性もある。再エネとVPPの高い親和
性と可能性は電力関係者の共通認識としてすでに出来上がっている。後は、ドイツがこの市場
で世界をどこまで引っ張っていくかが鍵となると見られている(出典:環境ビジネス、2017年
冬季号)。

 

       

【量子ドット工学講座27:京セラ/光電変換装置】


また、クリスマス・キャロルが流れることになりました。この一年を振り返ると、再生可能エ
ネルギーのなかでもとりわけ、太陽光発電のによる発電コストが既存の電力料金と同等もしく
はそれより安価になる「グリッドパリティ」が著しく低下し、世界では1キロワット時で10
セント(日本円で11、12円)程度、最安値では3セントに届くような事態となっている。
後は発電変動を特製する蓄電池のコスト削減が実現すれば、予想より早い時期に「再エネ百%
社会」がやってくる。これはこれで良いことなのだが、関連情報の整理整頓に手を焼いてヘロ
ヘロ状態が続いた一年であった。

さて、下図の最新の特許事例を参考掲載しておこう。 

量子ドットを利用した光電変換装置では、電子や正孔が量子ドット集積部内を移動する際に再
結合し易く、このため光電変換効率を高められないという問題がある。 そこで、近年、量子ド
ット集積部におけるキャリアの収集能力を高めるための構造として、例えば、図5に示すよう
に、量子ドット集積部107と電極層103との間に、特定のキャリア(この場合、正孔)だ
けを選択的に通過させることのできる伝導層(以下、正孔伝導層109という。)を設けたも
のが提案されている。

図5に示す光電変換装置をより詳細に説明すると、この光電変換装置100は、対向する2つ
の電極層101、103間に電子伝導部105、量子ドット集積部107および正孔伝導部
109がこの順に配置された構成となっている。この場合、電極層103側が太陽光の入射側
となる。ここで、電子伝導部105は、一方の電極層101上に積層するように配置された基
部105aと、この基部105aの表面から厚み方向に伸びる柱状体105bとを備えている。
量子ドット集積部107は電子伝導部105の基部105aおよび柱状体105bの表面に複
数の量子ドット107aが付着した状態となって形成されている。正孔伝導部109は電子伝
導部105と電極層103との間において量子ドット集積部107を除く空間を埋めるように
配置されている。

光電変換装置100では、正孔伝導部109が電極層103と電子伝導部105との間におい
て、量子ドット集積部107を除く領域を埋めるように配置されていることから、正孔伝導部
109は厚みの厚い部分が多くなっている(図8における矢印t1、t2のうちのt2)。こ
のため、上記した従来の光電変換装置100では、正孔伝導部109の部位によっては光の透
過性が低くなる部分が存在することから、光電変換効率を高められないという問題がある。従
って本発明は、正孔伝導部を備えた場合でも、光の透過性および光電変換効率を高めることの
できる光電変換装置を提供することを目的とする。



特開2016-207930 光電変換装置

【要約】

光透過性を有し、光の入射面とは反対側の主面に、厚み方向に延伸してなる複数の柱状体1b
を有する基材1と、この基材1の柱状体1bを含む表面形状に沿って設けられた膜状の正孔伝
導部3と、この正孔伝導部3の基材1とは反対側の表面に設けられた、複数の量子ドット5a
を有する量子ドット集積部5と、この量子ドット集積部5の正孔伝導部3とは反対側の表面に
設けられた電極層7と、を備えことで、正孔伝導部を備えた場合でも、光の透過性および光電
変換効率を高めることのできる光電変換装置を提供する。

【特許請求範囲】

光透過性を有し、光の入射面とは反対側の主面に、厚み方向に延伸してなる複数の柱状
体を有する基材と、該基材の前記柱状体を含む表面形状に沿って設けられた膜状の正孔
伝導部と該正孔伝導部の前記基材とは反対側の表面に設けられた、複数の量子ドットを
有する量子ドット集積部と、該量子ドット集積部の前記正孔伝導部とは反対側の表面に
設けられた電極層と、を備えていることを特徴とする光電変換装置。 光透過性を有し、光の入射面とは反対側の主面に、厚み方向に延伸してなる複数の柱状
体を有する基材と、該基材の前記柱状体を含む表面形状に沿って設けられた膜状の正孔
伝導部と、該正孔伝導部の前記基材とは反対側の表面に設けられた、複数の量子ドット
を有する量子ドット集積部と、該量子ドット集積部の前記正孔伝導部とは反対側の表面
に設けられた電極層と、を備えていることを特徴とする光電変換装置。 前記正孔伝導部が前記基材の表面に接するように配置されていることを特徴とする請求
項1または2に記載の光電変換装置。 前記柱状体は、側面に複数の凸部を有していることを特徴とする請求項1乃至3のうち
いずれかに記載の光電変換装置。 参考特許 特表2009-532851

 

 

 【今宵もほっとウイスキーとひとり鍋】

● 野菜ポタージュ湯豆腐

   Vegetable potage tofu

伽羅の茶しゃぶは口ででとろけ食欲が失せたときにも美味い。さて、使い切れなくて余った野
菜は、冷凍しておけばOK。ミキサーにかければ色のきれいなポタージュに。たんはく質を多
く含む豆腐とビタミン豊富な野菜で、血液さらさらな鍋になる。

材 料:残り野菜200グラム、豆腐1丁、水11/2カップ、塩、黒胡椒少々。
作り方:①にんじん、セロリ、キャベツ、タマネギなど残り物野菜と水をミキサーにかけ、滑
    らかになるまで撹拌、②鍋に入れ、中火で温める。―ロ大にちぎった豆腐を入れて火
    を通す。③塩、黒こしょうで味を調え、スーブごといただく。


ホットウイスキーと熱々の鍋を頂きながら、テレビ鑑賞、あるいはダウンライトし静寂とグツ
グツ煮立つ音を聴きながらしっとり頂くもよし、ライトアップし読みかけの本を見ながらゆっ
くりと頂くのもよし。今宵は、「事業のライフサイクルと人材戦略」に目を通しながら頂いて
いる。暖房はなくとも身体全体がほかほかだ。

 

 

空圧電池で〆

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     強暴の国に事(つか)うるは難く、強暴の国をしてわれに事えしむるは易し。

                                               荀子 「富国」

      ※ かねがあっでも、使い方を知らなければ無駄になる。豊かな資源と
        人力があっても、利用のしかたを知らなければ、国は衰えるばかり
        だ。強い国とは、いったいどんな国のことだろうか?

        いかなるものが現在の指導権なのか?と自問し、深く洞察すれば解
               は自ずと見つかるもの(「極東極楽」?これは手前味噌。この十篇
          では「鳥獲(うかく)と焦僥(しょうぎょう)の勝負」が例示)。

         

                                                        

                                                                     荀子
                               B.C. 313 ーB.C..238 

【RE100倶楽部:再エネ社会時代の幕開け】



● 新電力登場:熱発電モジュール

12月16日、ユーグレナインベストメントはベンチャーキャピタルファンド「リアルテック
ファンド」の新たな投資先として、フレキシブル熱電発電モジュールを開発するEサーモジェン
テック社に出資したことを発表する。全一次エネルギー供給量の約60%に相当する量の排熱
が発生しているといわれているなか、こうした広い分野で発生する排熱を再活用できば、大き
な省エネ効果が見込める。出資を受けたEサーモジェンテックは、こうした排熱を活用できる
熱発電モジュール「フレキーナ」の開発を進め13年2月に創業したベンチャー企業、京都府
南区に本拠を置く。10月には大阪大学産業科学研究所に開発拠点を開設する。

一口に排熱といっても、その温度はさまざまなあり、それに応じて最適な発電方法は異なる。E
サーモジェンテックが開発を進めているフレキーナは、300℃以下の「低温排熱」を利用し
て発電することを目指した熱発電モジュール。火力発電所や溶鉱炉などで生まれる300℃以
上の高温排熱は、既に水蒸気による熱回収技術が実用化されている一方、低温排熱は全排熱の
75%を占めるるが手つかずにいる。発電効率の低さを解消するカギとなるのが、フレキシブ
ルさがこれをカバーするのがこの製品の特徴である。

曲がる極薄のフレキシブル基板を採用し、その上に既存のBiTe系の熱電素子を、半導体技術を
活用して高速かつ高密度に実装する。これにより湾曲が自在で、工場内のパイプなどの汎用的
な円筒状の熱源に対し、高い密着性を持って装着できる。そのため低温排熱でも、熱を逃さず
に効率よく発電できるメリットが最大の特徴である。同社の試算では従来のセラミック基板を
利した熱電モジュールを比較すると、熱回収効率は約2~3倍、熱電変換効率は約2倍高い。
実用化に向け、70℃の温度差を利用し発電した場合のコストで、1キロワットアワー当たり
10円を目指す。

このような製品の量産が始まれば、瞬く間にコスト逓減し市場対象規模は拡大する。20年の
世界市場規模は5千億程度は設定可能だろうと考える。

●デンマーク 風力だけで消費電力をまかなう

12月1日、デンマークは、風力だけで消費電力の100%以上を発電するという記録を樹立
上図は、風力発電が消費電力に占める割合を縦軸にパーセント表示。最大値は111%に達す
る。風力発電の比率が100%を超えたことはもちろん、1日を通じて70%以上の比率を維
持しながら問題は生じなかったという。その後も100%を超える日が続き、風力の比率が高
い水準で推移している(スマートジャパン、2016.12.19)。

デンマーク国内には風力発電所の他に、大型のガス火力発電所と小型のガスコージェネレーシ
ョン発電所、太陽光発電所が複数ある。コージェネレーション発電所は電力と同時に熱を生み
出して都市に熱を供給する。下図ではほとんど変化していない。また、大型のガス火力の出力
には変動が見られるものの、風力の出力変化とは直接関係していない。さらに、日本国内では、
太陽光発電や風力発電の出力変化を吸収するため、火力発電の出力調整の他に、大規模蓄電池
の導入を計画しているが、デンマークは系統用の大型蓄電池は導入していない。



それでは、火力発電の規模がそれほど大きくない、さらに大規模蓄電池も導入していないデン
マークだが、出力と消費のバランスは国際連系(電力の貿易)で対応している。デンマークと
スウェーデンの間の国際連系は、カテガット海峡を挟んでいる。ノルウェーとの間にあるスカ
ゲラック海峡はさらに幅が広く水深がある。連系線の全長は全長240キロメートル。そのう
ち海面下だけでも約120キロメートル。最大水深は200メートル以上。これは北海道と本
州を結ぶ連系線の約5倍の距離を結ぶことになる。海面下120120kmの送電が可能であれば、
幅42キロメートルの宗谷海峡(北海道・サハリン間)や、幅550キロメートルと130キロ
メートルの2つの海峡からなる対馬海峡などを結ぶことも想定可能範囲に入る(最大水深は、
200メートル以内)。

以上、日本国内で再生可能エネルギーを利用した発電の比率を高めるには、連系線を増強する
一方、リアルタイムに近い運用が可能な仕組みづくりが課題となると同時に国際連系線の取り
組みも課題となるとこの記事は結んでいる。



● 再エネ社会の実現は空圧電池で〆

上記のデンマークの記事で記載されているように、蓄電システムに依存せず、国際連系(電力
の貿易)で電力変動を抑制することの成功事例が示されているが、再エネの地産地消のキーテ
クノロジーである蓄電システムを確立できれば「再エネ社会」はもはや夢でなく実現できるこ
とが、同上の「太陽光・風力発電のコストが急速に低下、海外で単価3円を切る電力の契約も」
(2016.12.12)の記事、これはブログ「黄金虫と鹿の糞と芝の環境学」(2012.12.12)でも紹
介しているいる通り、グリッドパリティはすでに一部では実現(最低電力料金で3セント達成
している。そこで、神戸製鋼所の空圧電池に注目する。

空圧電池とは、空気を使って電気を貯蔵する技術で。電気でいったん空気を圧縮してタンクや
地下の坑道などにため込んだ後、必要な時に空気を取り出してタービンを回して発電する。神
戸製鋼所や電力中央研究所などが開発に取り組み、一部は17年後にも実証試験が始まる。天
候に左右され発電量が安定しない課題がある再生可能エネルギーと組み合わせれば、その普及
を後押しできる。

空気で電気を貯蔵する仕組みは「圧縮空気エネルギー貯蔵」(CAES)と呼ばれる。アイデア
としては20年くらい前から研究されていたが、再生エネの普及に伴って本格的な実用化段階
に入ってきた。神戸製鋼が取り組むのはタンクに貯蔵する仕組み。風力や太陽光といった再生
エネなどで得られた電気で産業用のエアコンプレッサー(圧縮機)を動かしてタンクに空気を
押し込む。電気が欲しいときには空気を取り出してタービンを回し、発電機を稼働する。充放
電の効率は60~65%で、熱交換器も活用して約200℃に達する圧縮空気からの熱も利用
すれば、効率は70%を超えるというから、上で記載した、熱発電モジュール「フレキーナ」
が利用できる。下の2次電池の性能比較表をみると、大規模(例えば、50平方キロメートル
以上をカバーする)蓄電池システムとしては、安全性、大電流放電、耐用年数の3つの点で優
れていることがわかる。

空圧電池は圧縮行程で温熱、膨張行程で冷熱が発生する。この温熱・冷熱を活用できればエネ
ルギー効率が上がる。このため大型データセンターなど冷房需要や暖房需要、温水需要にも対
応できる。また工場や焼却場などの排熱を膨張過程に取り込めば発電量を増加できる。単に充
放電効率という見方ではなく、トータルでのエネルギー効率として考えれば、化学的電池より
効率が高くなる。

また煤煙や二酸化炭素(CO2)などを排出せず、フロンなども使用していない。危険物がない
上、環境保護の観点からも設置への反対運動は起きにくい。今後は60%超にとどまる充放電
効率を高める。また設置場所は機械設備と鋼製タンクで構成されるので比較的自由度が高いが、
化学的電池と比較して劣る設中山間地域の切り札「空圧電池」置面積は高圧化により縮小を目
指す。コストは試験機ベースでは1キロワット時当たり30万円以上だが、将来的には十数万
円、1キロワット時当たりでは数万円になる見込み。

神鋼は神戸総合技術研究所(神戸市)で小型実証機を作って配線・配管し、制御など見直しな
がら先行実験を開始。今後は500キロワットを標準ユニットにして静岡県内に1000キロ
ワットクラスの実証機を設置。2016年秋以降に稼働させ、17年度から本格拡販を図る計
画という。そこで、同社の最新知財特許を参考掲載する。


■ 特開2016-211515 圧縮空気貯蔵発電装置及び圧縮空気貯蔵発電方法

風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーを利用した発電は、気象条件に依存するため、
出力が安定しないことがある。このため、圧縮空気貯蔵(CAES:compressed air energy stor-
age)発電システム等のエネルギー貯蔵システムを使用して出力を平準化する必要がある。従来
の圧縮空気貯蔵発電装置は、電力プラントのオフピーク時間中に電気エネルギーを圧縮空気と
して蓄圧タンクに蓄え、高電力需要時間中に圧縮空気により膨張機を駆動して発電機を作動さ
せて電気エネルギーを生成するのが一般的である。

特許文献1(特表2013-509529 圧縮器-膨張器可逆式ユニットを備える圧縮空気エネルギー貯
蔵システム)には、このようなCAES発電装置のうち、圧縮と膨張の両機能を有する圧縮膨
張兼用機からなるものが開示されている。特許文献1のCAES発電装置は、圧縮膨張兼用機
のみから構成されるため、圧縮専用機や圧縮膨張機を使用した場合に比べてコストが高くなる。
また、再生可能エネルギーによって発電される入力電力や需要先から要求される需要電力に応
じたシステムの最適な運用についても考慮されていない。さらに、圧縮膨張兼用機は、圧縮と
膨張を同時に行うことはできない。従って、CAES発電装置が圧縮膨張兼用機のみから構成
される場合、蓄圧と発電を同時に行うことができず、システム効率が低下するおそれがある。
本発明は、圧縮機または膨張機の設置台数が減り、小型化及びコストダウン可能なCAES発
電装置を提供する。

【要約】

圧縮空気貯蔵発電装置2は、複数の圧縮機6と、蓄圧タンク8と、複数の膨張機10とを備え
る。圧縮機6は、再生可能エネルギーにより駆動されて空気を圧縮する。蓄圧タンク8は、圧
縮機6により圧縮された空気を貯蔵する。膨張機10は、圧縮空気によって駆動される。膨張
機10には発電機22が機械的に接続され、需要先へ供給する電力を発電する。また、圧縮空
気貯蔵発電装置2は、第1熱交換器14と、熱媒を貯蔵する蓄熱タンク16と、第2熱交換器
16を備える。第1熱交換器14は、熱媒に圧縮熱を回収する。第2熱交換器18は、膨張前
の圧縮空気を加熱する。さらに圧縮空気貯蔵発電装置2は、圧縮機6及び膨張機10の両方の
機能を有する圧縮膨張兼用機28と、この圧縮と膨張を切り替える制御装置36とを備えるこ
とで、圧縮機又は膨張機の設置台数が減り、小型化及びコストダウン可能なCAES発電装置
を提供する。

Dec. 15, 2016

【符号の説明】

2 圧縮空気貯蔵発電装置(CAES発電装置)  4 電力系統 6 圧縮機(圧縮専用機)
6a 吸込口 6b 吐出口 8 蓄圧タンク 9 圧力センサ 10 膨張機(膨張専用機)
10a 吸込口 10b 吐出口 12 空気配管 14 第1熱交換器 16 蓄熱タンク
16a 高温蓄熱タンク 16b 戻りタンク 18 第2熱交換器 20 熱媒配管 22 発電機
24 電動機(モータ) 26a,26b,26c,26d,26e,26f,26g,26h
バルブ(切替弁) 28 圧縮膨張兼用機 30 発電電動機 32 ポンプ 34 第3熱交換器
36 制御装置

以上、今年を振り返えると、再生可能エネルギー社会の実現の道筋が明確になった年であった
といえるだろう。そこで、「空圧電池で〆」ることにすることとした。吾が意成れりである。

       

【量子ドット工学講座28:シャープ/太陽電池モジュール】

太陽電池モジュールの弱点は400ナノメートル以下の紫外光による劣化があり、これを防止
する対策として無機蛍光体を中心とした波長変換素子を用いて紫外光を長波長側にシフトさせ
る方法が提案されているが、波長変換層を付加することで太陽光を吸収し変換効率を低下する
というジレンマ(二重苦)を抱える。下図の知財特許はこれを解決する新規考案である。

太陽電池素子(結晶シリコン(c-Si)系太陽電池素子、GaAs系太陽電池素子、CIG
S系太陽電池素子、InGaP系太陽電池素子)の変換効率は、短波長側で大きく低下する。
特に、波長400nm以下の近紫外領域の光は、ほとんど発電に寄与しない。また、太陽電池
モジュールに耐候性の低い材料が用いられている場合、波長400nm以下の近紫外領域の光
は発電に貢献しないばかりでなく、材料の劣化を引き起こす。そこで、太陽電池素子と、太陽
電池素子の一方の面を覆う波長変換層とを備え、波長変換層において、近紫外領域から青色領
域の光を、可視領域から赤外領域の光へ波長変換する波長変換方式の太陽電池モジュールが考
案されている。

波長変換層としては、太陽電池素子の表面に、バインダーに無機蛍光体を分散してなる組成物
を塗布してなるものや、太陽電池素子の表面に、無機蛍光体の表面に塗布した接着材料で、無
機蛍光体を塗布してなるものが挙げられる。太陽光が波長変換層に入射すると、蛍光体とバイ
ンダー(接着材料)との屈折率差に起因して、光の散乱が生じる。蛍光体の屈折率が高く、蛍
光体の粒子径が大きく、波長変換層の厚さが大きい程、光の散乱の程度は大きくなる。そのた
め、本来、太陽光発電に大きく寄与する波長の光(可視領域から赤外領域の光)が波長変換層
で散乱(反射)され、波長変換層における可視領域から赤外領域の光の透過率が低下する。

その結果、太陽電池素子に入射する光の量が減少する。波長変換層において、可視領域から赤
外領域の光の透過率が低下することを防止するための方法としては、例えば、粒子径が100
nm以下の無機蛍光体を、太陽電池素子の表面に積層し、可視領域から赤外領域の光の透過率
を高くする方法が知られている(例えば、非特許文献1~3参照)。

【要約】

本発明の太陽電池モジュール100は、太陽電池素子10と、太陽電池素子10の一方の面
10aの一部を覆う波長変換層20と、太陽電池素子10の一方の面10aのうち波長変換層
20で覆われる領域以外の領域を覆う透明層30と、を備え、波長変換層20は、波長200
nm~400nmの光を吸収し、波長40、0nmよりも長波長の光を発光し、かつ少なくと
も波長500nm~1200nmの光を吸収せず、透明層30は、少なくとも波長320nm
~1200nmの光を透過することで 波長変換層に含まれる無機蛍光体に波長200nm~
400nmの光を充分に吸収し、かつ、波長変換層における波長400nmよりも長波長の光
の透過率が高く、発電効率に優れる太陽電池モジュールを提供する。

 Dec. 8, 2016

【符号の説明】

10 太陽電池素子、20 波長変換層、21 無機蛍光体、30 透明層、40 基材、
50 波長変換基板、100 太陽電池モジュール、310 基材、320 透明層、
321 切込、330 蛍光体樹脂組成物、340 波長変換層、400 太陽電池素子、
500 太陽電池モジュール、610 基材、611 切込、620 蛍光体樹脂組成物、
630 波長変換層、700 太陽電池素子、800 太陽電池モジュール。

以上、量子ドット工学、とりわけ30%超の高変換効率系量子ドット太陽電池の方も着実に量
産化のための技術開発が進展しつつあること確認してきた1年度でもあった。

 

     ● 今夜の一曲

甲斐バンドの「きんぽうげ」のドラマカバー演奏を聴く。70年代もますます遠くなる感じ。
10年、20年先、1曲でも残るのかどうなのかふとそんなことを思った。いま、耳から離れ
ない楽曲に服部隆之のNHK大河ドラマ『真田丸』の主題曲。いつまで残っているのかと考え
ると、つくづく人間って不思議なものである。


 

 

プーチンのドクターX

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          道に従いて君に従わず  /  荀子 「臣道」



      ※ 君主も臣下も人間。人間であろからには、いろいろなのがいる。
        たがいにこれをどう見分け、どう扱っていくか。
               荀子は、冷静な分析力でこれを解明する。

          中では孝、外では弟、というのは人の小行である。 
               目上の者に従順で、目下の者に手厚い、というのは人の中行である。 
               道に従って君命に従わず、義に従って父命に従わない、
        これは人の大行である。

                                                        

                                                                     荀子
                               B.C. 313 ーB.C..238 

 

   Putin's Way

【プーチチンの野望とそのリスク】

日露首脳会談前後でおびただしい書物・情報が出回る昨今、国際共同制作 NHK/Brook Lapping
(イギリス 2011年)のBS世界ドキュメンタリ『プーチンの野望』シリーズ(第1回「新大統
領誕生」、第2回「脅かされる民主主義」、第3回「新たな冷戦の火種 グルジア」、最終回
「新しきロシアへ」)あるいは、『プーチンの道~その権力の秘密に迫る~』は平易にして、緻
密に編集され、ロシア現代史を理解するに格好の教材である。また、エリチィン政権と運命共同
体だった新興財閥「オリガルヒ」と激しい権力闘争を繰り広げているプーチン政権。資源大国ロ
シアの基盤である石油・天然ガスなど国家的利権を支配し、プーチン氏と同じ諜報機関出身の側
近や友人が大統領の指示・庇護の下で、国内経済の中枢を支配する「国家資本主義」が構築――
15年までの10年にわたってモスクワ支局でプーチン政権を追ってきた日経記者による経済暗
部解明の書。プーチンと新興財閥の戦いで、ロシア経済はなにを失い、これからどのような影響
があるのかを事件の解明を通じて明らかにした、石川洋平箸『帝国自滅』、あるいは、67年モ
スクワ生まれのユダヤ系ロシア人で、一家は81年に米国移住。ソ連崩壊後の91年、記者とし
て単身ロシアに戻り、米国とロシアの二重国籍を有するジャーナリストとして、モスクワでネッ
トニュースの編集をしながら『USニュース・アンド・ワールド』誌モスクワ特派員をつとめた、
ゲッセン マーシャ箸/松宮克昌訳の『そいつを黙らせろ―プーチンの極秘指令』(12年度の
「サミエル・ジョンソン賞」にノミネートされ、13年5月末、家族とともに米国に亡命)も教
材となる。  

  89年10月7日、ブーチン37歳の誕生日に東ドイツ建国40年の式典が催されれる
 なか、ベルリンで大規模な抗議デモが始まった。1ヵ月後にベルリンの壁が崩壊したが、
 東ドイッでは翌年3月に最初で最後の自由選挙がが実施されるまでデモが続いた。
  デモ隊が秘密警察の建物を占拠する前から、東ドイッ社会では厳しいシュタージ粛清が
 始まっていた。ブーチンの隣人たちは仕事を失っただけでなく、法執行機関や政府、教職
 で働くことも禁じられた。
  やがてプーチンはレニングラードに戻った。隣人からもらった20年物の洗濯機と、ソ
 連製の最も高い乗用車を買える程度の米ドル、実践の経験がないスパイのキャリアか、4
 年間の外国生活の証しだった。家族4人でブーチンの父親のアパートに身を寄せ、2部屋
 あるうちの狭いほうの部屋で暮らした。
  その隆のブーチンは、自分が愛した人生をを収り戻すべく邁進した――旧ソ連連の閉鎖
 的な世界、そしてKGBの世界を。ドイツから帰国してわずか10年でロシアの主に上り
 詰めただけでなく、民主改革を巻き戻し、旧ソ連を彷彿させる、完全に腐敗した非効率的
 な独裁政権を築きhげたのだ。
  その政治的な才覚はKGB仕込込みだが、個人的なスタイルは、子供時代に身に付けた
 「ワル」の慨敏さと流儀にさかのぽる。だか、かつては決断力と率直さがあり男らしく見
 えた振る舞いも、今ではやぼったいだけだ。
  ワルだったという神話は、プーチンを権力の座に押し上げた以上に、最後は失脚へと導
 くのかもしれない。


             ゲッセン マーシャ/松宮克昌 箸/訳『そいつを黙らせろ』                                                        

        

    Wikipedia

ベルリンの壁崩壊の挫折を味わいながらも、ロシアマルクス主義と決別し権力の頂点たったメ
ルケルとプーチンとの違いをここで指摘するまでもない。それを象徴するかのような事件が、
19日、トルコの首都アンカラで、ロシアのアンドレイ・カルロフ駐トルコ大使が写真展の会
場で警官に射殺さるという事件が起きた。メルケルはシリア難民を受け入れ、プーチンは多数
のシリア国民を殺害したのだ。プーチンを保守反動とレッテルを貼るのは簡単である。オリガ
ルヒのグループ管理会社として「ロスプロム」を設立して、石油会社ユコスを傘下に収め03
年10月に、脱税などの罪で逮捕・起訴されたミハイル・ホドルコフスキーが前出ドキュメン
タリーのなかで、プーチン政権は10年後崩壊すると予言しているように、そのリスクを想定
し、日露両国民のリスクを最小に抑え、平和条約締結を実現する道(シナリオ)を準備してお
く必要がある。

【RE100倶楽部:世界の太陽光発電の潮流】

世界的な二酸化炭素排出削減の流れや異常気象などを背景に、各国で太陽光発電の導入が進む。
その勢力図は、毎年目まぐるしく変化している。太陽光発電ビジネス市場の現状や世界の潮流、
日本の状況。今後の課題などについて資源総合システムの一木修氏が「改正FIT法フォーラ
ム」(環境ビジネス社主催)が詳しく解説されている(同社「環境ビジネス」2017年冬季後)。
それによると、太陽光導入拡大の流れ拍車がかかりエネルギー市場の主流に踊りでたと語る。、

● 新興市場での太陽光の伸びに期待

世界的な太陽光発電市場の流れに触れ、これまでの太陽光発電は、いかに良いもの安く作るか
に傾注していたステージから、技術が確立し利用の多様化が進み、中国や台湾の台頭し、モジ
ュールの安定供給体制のもと、さらに利用形態が多様化するステージにシフトする。パネルを
売るだけのビジネスから、電気を売るサービスまで事業領域が広がっている。その上で、市場
環境と利用環境が、この10年で大きく変わり、メガソーラーの発展や、分散型システムの登
場、グローバル化、運用量の広がり、周辺技術の革新、利用分野の広がり、世界規模での地球
温暖化、価格の低下により、太陽光がますます発展する流れが出来上がっているともに、中南
米、中東、アフリカなどの新興市場での発展が大きく期待できる。かっては、日欧米のメーカ
が牽引してきたが、現在は中国や台湾にシフト、さらには、インドなどの第三勢力も台頭しつ
つある。

さらに、中国や台湾のメーカーは、ダンピングを逃れめにこれ以外の地域に生産拠点を新設し
欧米メーカーなどは、生産コストの安価なマレーシアやフィリピンなどの新たな生産拠点を持
ち始めていると製造拠点が各地に分散し始めている。ただ、中国メーカーの中にも、価格競争
だけでは得をしないと判断する企業が増え、低価格だけの路線から脱却する動きもあると付け
加えている。



● 太陽光の世界的な流れは止められない

パリ協定合意以降、世界太陽光発電連盟やインドを中心とした国際太陽光同盟の設立、世界機
関によるクリーンエネルギー投資など、世界的に普及させる仕組みができつつあり、世界全体
の再生可能エネルギーの導入状況では、15年は大規模水力発電を除いて、134ギガワット
が導入。これは世界で新設された発電所の半分以上を占め、再生可能エネルギーにとってはこの
年は記念すべき年となている。このように、世界の潮流は、電力供給として太陽光発電が選択
肢に入ってきている。大陽光システムは信頼性が重視された形で、値段が穏やかに下がってお
り、さらに、ICTによりコントロールできるようになり、エネルギー供給構造が大変革を迎
える。まさに化石エネルギーから再生可能エネルギーヘの移行が進展する。トランプ大統領が
石炭産業を活性化するという話があるが、米国のエネルギー省長官は再生可能エネルギーは、
雇用を生み出し普及が進んでいる。これは止められるものではないと言っており、トランプ大
統領がどういう施策を取るは未知数ではあるが、世界の流れとし、再生可能エネルギーの主流
として伸長すると断言する。



さらに、太陽光は新たなエネルギー供給を担うと言われてきたが、それに加えて身近な日常生
活にもっともマッチングし、エネルギーとして、人類の生活環境や形成を担う産業になる。こ
れまでの流れに付加価値を付けた形に変わっていくステージにある。普及が進み、太陽光発電
の価格が下がれば、エネルギーとしての安定供給の見通しも立ち、経済成長手段の再生可能エ
ネルギーが活用できると述べた上で、日本は原子力発電を前提に考えていたところに東日本大
震災が発生し、世界的な低炭素の流れもあり、国として再生可能エネルギー導入比率を原子力
を上回る大幅な引き上げを行い、基幹電源化を目指していく状況となるとし、その上で11年
に5メガワットだったのが、FITにより27.3 ギガワットまで拡大。直近では30ギガワッ
トとなり、大きなプロモータとなった。また、固定買い取り制度を始めるにあたり、再生可能
エネルギーの①利用促進、②国際競争力の強化、③産業振興、④地域の活性化、⑤仕組み経済
の健全な発展の5本柱の重要性に触れた中で、①の利用促進は進められているが、それ以外は、
これからしっかり対応する必要があると釘を刺し、今回の再生可能エネルギー法の改定への意
気込みを話している。  

  

 ● 今夜の一曲

ANN系TVドラマ『ドクターX』のシリーズが完結。テーマ極としてエンリオモリコーネの
『荒野の用心棒』のメドレーラインに似ていることは薄々感じていた――イーストウッド主演
の方は凄腕の一匹狼のガンマンで共通――が、改めて確認し合点する。テーマ楽曲の、邦楽グ
ループのスーパーフライの手によるものとか(出典:Wikipedia)。こちらも素晴らしい楽曲だと
感心する。



Titoli (A Fistful of Dollars)---Ennio Morricone



Superfly 『愛をからだに吹き込んで』


以上、今夜は旬子の「道に従いて君に従わず」と「プーチンのロシア」、そして「ドクターX」
をクロスオーバーさせ、「日露平和条約締結実現」をイメージ(仮構)してみた次第。

● 2017年新冷戦時代へ?:トランプとプーチン、核能力の増強に言及


  Dec. 22, 2016

 

  

SWTでクラムスープ

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      勝を急ぎて敗を忘るろことなかれ。その利を見てその害を顧みざることなかれ。

           仁者は人を愛す、人を愛するが故に人のこれを害するを悪(にく)む。          
  
                                 荀子 / 「議兵」



    ※ 「兵法は駆け引きだ」というのはまちがいである。駆け引きでは、大局において、
      勝つことも、身を守ることもできない。では本当の力とは何か?荀子はこの篇で、
      仁君の兵法を論じ、指導者の心がまえにふれ、仁者の戦いを明らかにする。

      『五権』:将軍の地位に恋々として、解任されるのを憎んではならない。勝ちに
      急いで、負ける可能性を忘れてはならない。自軍内を威嚇して、敵を軽視しては
      ならない。戦機の利だけを見てその害を無視してはならない。およそ考慮すると
      きには熟考するべきであり、物資を使うときには気前よく使わなければならない。

            仁義は、最も偉大な技術。仁義というものは、政治を治めるために拠って経つと
            ころ・・・・・・ゆえに、『そもそも大国の王にとっては、軍の統帥などは瑣末な事に
      すぎない』と言うのだ。たしかに、秦国は四世に渡って勝利した。だがかの国は
      今や戦々恐々として、天下の諸国が一体となって自国を踏み潰すことを常時恐れ
      ている。これは、いわば滅亡の前段階の兵なのだ。王者の本統には至っていない
      ・・・・・・仁義の王は平素の修養を積んでいたゆえの勝利であった。これが、いわゆ
      る仁義の兵である。根本なる仁義によって勝利を求めず、瑣末なる変詐の術によ
      って勝利を求めるがゆえ、これが世の乱れる原因となる。

 

                                                         

                                                                     荀子
                                 B.C. 313 ーB.C..238  

 

  ● 今夜の一曲

「ラスト・クリスマス」でおなじみの英人気歌手ジョージ・マイケルが25日、英国の自宅で死去。
享年53。81年にポップデュオ「ワム!」を結成し、82年にデビュー。「ケアレス・ウィスパー」
「ラスト・クリスマス」(ともに84年)などが大ヒット。86年に解散後はソロに転向し、87年
に発表したソロ初のアルバム『フェイス』が大ヒット。世界中で「ラスト・クリスマス」が流れる日
の訃報となる。人気絶頂だった84年のクリスマスに合わせて発売されたクリスマスソング。タイト
ルは「去年のクリスマス」と言う意味、クリスマスの失恋がテーマ。ワム!名義で発売された曲では
あるが、実際にはジョージ・マイケルが一人で録音(演奏は打ち込みによるもので、ギターもこの曲
には入っていないため、ジョージ自身が実際に演奏しているパートはない)。通常のシングル・バー
ジョンのほかに当時流行の12インチ・バージョンが、「プディング・ミックス」という名前で発表
された。現在入手できるのは殆どがプディング・ミックス。

George Michael Jun. 25, 1963 - Dec. 25, 2016

                                                    合掌 



【瀬田しじみスープ商品開発考】

クリスマス・イブもクリスマスも、慌ただしく過ぎる。昨日の昼は、彼女が買ってきたおにぎりとハ
ナマルキの「おすし屋さんの赤だししじみ」を頂く。おにぎりは「ローソン」というのがわたしの指
定なのだが、外見はも品名も同じだが、一口食べただけで品質に差があることがわかる。南高梅と焼
き鮏の2つはそれぞれメーカーが違うのだが、焼き海苔のパリパリ感じ、お米の食感、うまさなど細
かい点(正確に言えば両手ほどあるが)に渡り「ローソンのおにぎり」に劣るのだ。そこで、おにぎ
はわたしが買うよと言うとダメの答えが返ってくるので、次回は多分指定したものが食べるだろう。
話はハナマルキの「赤だししじみ」。カップの蓋を開け赤味噌のパックとしじみの真空パックの2つ
を取り出し、開封し再投入しお湯を注ぎキャップを被せ数分待てば出来上がり、このとき、蜆の飛び
出した身を粉砕し溶け込むほどによくかき混ぜること(ここがポイント)。スープを完璧に飲み込む
干すと貝殻とほんの少しの固形分が残る程度になる。逆に言えば、中途半端な攪拌では固形分が多く
なり、折角の栄養分を無駄に捨てることになるのだが、そうして頂いたスープといえば、これは上出
来で申し分ない。赤味噌(グルタミン酸)と蜆(琥珀酸)は本ごっ美味いでよ。



そこで、一人前ごとに真空パックする技術がここでは鍵となっているが、廃棄物という側面からは好
ましくないだろう、そこで、個食商品と家族食商品にわけカップ型は前者のみとし、5人食以上の味
噌は大袋詰めとし、蜆は10食分の真空パック詰めに集約するとし、別売りでレシピ書きで統合する。
個食用は蜆スープの種類(クラムチャウダー、各種味噌汁、吸物、雑煮、塩汁、豚汁、三平汁、けん
ちん汁、ポタージュ、アイントプフ、ブイヤベース、ミネストローネ、トムヤムクン)、それ以外に
は佃煮、乾物などの商品開発できそうだ。これでクラムスープシリーズは完成。


【RE100倶楽部:スマート風力タービンの開発 Ⅰ】

今年は、米国や中東では太陽光発電の電気料金が1キロワット時3セントを実現し、デンマークやハ
ンガリーでは百パーセント風力発電を実現あるいはそれをめざす国が出現する再生可能エネルギーの
躍進した。しかし、日本、米国での大規模な海洋風力発電プラントはこれから実証試験段階にある。
もっとも、小形水力、バイオマスなども前実用段階にある。さらに太陽光発電は、30%超の高変換
効率モジュールの実用化も実現していないが、2017年はそれに向けての開発激化ということにな
るだろう。従って、オールバイオマスあるいはオールソーラーのシステム化と同様にオールウインド
システムに焦点を当てることになるが、その前の「スマートウインドタービン設計」を考えていくこ
とにする。 

 

左:2016.11.09  3165箇所/8.7ギガワット 右:2016.12.25  3245箇所/9.0ギガワットと続伸中

それでは、その鍵語はどうなのかとイメージしてでてきたのは、デジタル革命渦論/マグネットブレ
ーキ/マルチタービン。それを頭の隅に置いて、設計理念からビジョンに移り、ここでは「風況を選
ばない高出力インテリジェント 風力発電機の実用化研究、 財団法人福岡県産業・科学技術振興財団
IST 産学官事業研究成果報告書」を参考に、①風車ロータの最適化、②発電機の最適化、③制御サー
キットの最適化、④フィールド実験、⑤発電機と制御系の最適マッチ ングなどに亘ってさぐってみる。

● 問題意識

風力発電が 世界的規模で展開されているが、現在活躍している従来風車は、風況が良好な欧州や米国
に適した水平軸単段プロペラに固執した従来技術の延長線上にあるが、

高出力には大径風車ロータが適しているが微風速下では稼働せず。微風速下では軽量小径風車
ロータが適しているが強風下でも出力が低いなど、適用範囲は限られる 発電機の磁界を切る速度を速くして電気の質を保つため、増速機構あるいは大径/多極発電機を
準備 する必要がある 強風速下における風車ロータやタワーの破損と発電機への過負荷を避け、かつ定格運転域で出
力を一定に保つため、ブレーキや可変ピッチブレードなどの複雑な回転速度制御機構を必要と
する 微風速と強風速の差が著しく、風車にとって良好な風況が安定して豊富に得られない地域では、
従来 風車の定格運転開始風速毎秒11メートル以上に達する季節/時間がかなり限定され、風
車の出力は、風速の3乗に比例するので、風速が遅くなるとともに著しく低下するから、日本の
ように風況が好ましくない地域では低風速域での出力増大が望まれる

そこで、この研究では、4点を踏まえ風力発電ユニットの望ましい姿が、①出力増大、②運転域の拡
大、③回転速度、④制御機構を排除することに着目、これらの実現に、前後二段の風車ロータが内外
二重回転電機子をそれぞれ駆動する新たな風力発電機の実用化を目指し進められている。ここで、注
目する鍵語は「風況教安定」であり、自然現象は設計範囲内に都合良く収まらないこと、すなわち「
風況不安定」を前提に、「風況を選ばない」設計構想をすすめることを基本に置きこうさつ。



● 風車ロータの最適化

参考レポートでは、前段風車ロータ径 500ミリメートルを用いた風洞実験と数値シミュレーション
により、タンデム風車ロータとして望ましい姿を求め下記項目を前提としている。

出力と回転挙動から判断し、好適なブレード枚数は前段3枚、後段5枚である 前後段風車ロータ径比(後段径/前段径)は 0.84が最適である. 前後段風車ロータは可能な限り近づけたほうがよい 前段風車ロータのブレードについては,半径内側50%程度までは対称翼型を用いて無負荷と
なるようにひねりを与え、それより外側では仕事をするように反りのある翼型を用いて好適な
迎え角となるようにひねりを与える。このとき、後段風車ロータに十分な風のエネルギーを与
えることができ、タンデム風車ロータとして好適となる(現在、単段風車ロータに比べて4%
の効率向上) 記前段風車ロータに適する後段風車ロータブレードは衝動型にするとよい.

● 発電機の最適化

この課題では、静止摩擦トルクの軽減、回転系の慣性質量の軽減を目標として、2号機(相反転方式
3相10極3キロワット、二重巻線形誘導発電機) を試作し、引き続き、試作2号機単体について、
抵抗測定(1次側/2次側)、2次電圧測定、拘束試験、無負荷試験、機械損測定(1次側/2次側)。
各部位の熱試験(3000ワット/220V/60Hz)などを行い、次のような 評価を得ている。

定格の3キロワット連続運転は余裕を持って可能である 温度上昇が少ないことから,現状のままで3.4ワット出力で連続運転できる 最大トルクに余裕があるので,外側回転電機子(1次側)のみ再生して内側回転電機子とのギ
ャップを0.5ミリメートルにすれば、4キロワット出力の連続運転ができる。つまり、3キロ
ワットを上限を前提に、発電機径を一回り小さくでき、さらにブレーキを工夫すれば、全体と
してのコンパクト化が可能である

● 制御サーキットの最適化

ここでは、2次側の周波数と電圧によって二重回転電機子の挙動制御する方法は初めての試みである
という。したがって、独立電源用と系統連系用の両者を対象として、

発電機内に設けたセンサからの回転速度、回転方向,出力および風速の信号を受け、インバー
タによる2次側周波数変調(二次励磁制御、電圧、周波数)法を最適化した。このとき、定格
運転開始風速以下では最高効率運転、定格運転開始風速以上では一定出力運転を実現させる必
要がある。基盤課題:風車ロータの最適化においてもこのことを十分考慮し、風車ロータのみ
で出力一定を極力目指しているが、発電機側すなわち制御系の力を借りることを考慮する 二重巻線形誘導発電機の特筆すべき利点は高風速域で、2次側からも出力が得られる点である.
この場合、2次側制御に用いるインバータは双方向が要求されるので、新たなインバータを開
発するとともに試作し、系統連系方式の制御サーキットを構築。系統連系サーキットにおける
改良点は、同期 投入方式と系統保護、実証試験用サーキット、双方向インバータ(整流・コン
デンサボード)、試作発 機の容量アップに対応である。また、実用化に際し、制御アルゴリズ
ムの変更と保護、制御パネルにおける表示機能などを決めている

以上のごとく、参考成果報告書を考察を続け「ビジョン」仮構をこのシリーズとして掲載していく。
ここは「待てば海路の日和あり」ではないが、待たず慌てず考えていくことにしよう。

                                      この項つづく 

 ● 今夜の一枚

          

究極のZW革命

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                 人祅(じんよう)はすなわち畏るべし   / 「天論」


         
      ※ 祅とは禍事(わざわい)のこと。

        自然は自然として認識し、その法則を人間のために活用せよ。人間には
        その力がある。天に頼るな、天をうらむな、人事をつくして天命を制せよ。

 

                                                         

                                                                     荀子
                                 B.C. 313 ーB.C..238  

 

 Dec. 24, 2016

【量子ドット工学講座29:太陽熱光起電力発電】

● フォトニック構造で波長変換

24日、京都大学と大阪ガスは熱を特定の波長の光に変換できる技術を開発したことを公表。太陽電
池が効率よく発電できる波長の光にも変換でき太陽光発電の発電効率が高まる。12年に熱輻射を中
赤外線領域の単一波長に制御することに成功し、14年には熱輻射の高速変調に成功している。今回
の共同研究では、シリコン半導体でナノメートルレベルのフォトニック構造を形成することで、高温
にしたときに太陽電池が効率よく発電できる波長の光だけを放出する熱輻射光源を開発。太陽光を集
光し、この光源を加熱した場合、集めた光のすべてが太陽電池にとって有効に利用できる光に変換さ
れて放出される。これにより、その光を太陽電池で受けて発電すると、40%以上という高い効率が
期待される。

 Jul. 9, 2012

 

このように、熱光波長変換方式には、無機/ハイブリット蛍光体を介し紫外線なのような短波長を長
波長に波長シフト(変換)させる(低いエネルギーを高いエネルギーの光に変換するフォトン・アッ
プコンバージョン)方法があるが、この情報は太陽光などの熱輻射(赤外線などの長波長光)をフォ
トニックナノ構造を介し熱光起電させる方法である。

同大学の研究グループは、上図のように12年に極めて広いスペクトルをもつ熱輻射――太陽光スペ
クトルは、約5800Kの黒体からの熱輻射スペクトルに近く、紫外から赤外に至る極めて広い波長
スペクトルをもち、この広いスペクトルの一部の波長成分のみを利用し、その他の成分は無駄に捨て
ている。太陽電池がこれを吸収し電力に変換できない波長成分が多く、光電変換効率は10~20%
程度に留まっている。エネルギー損失がなく、極めて狭いスペクトルへと変換/圧縮することで発電
効率を高効率化(400%以上)につながる。太陽光にとどまらず地熱等などを熱光発電、熱の出な
い高効率ランプ、各種分析用高効率赤外光源などに応用展開できる。

この研究で、外部から投入した電力を極めて狭い輻射スペクトル(黒体輻射の1/30)に集中可能
であることを示し、熱輻射スペクトルの制御による熱エネルギーの有効利用を実証することに成功し
している。上図に示すように、電子の状態の制御のために「量子井戸」と呼ばれる構造を導入し、電
子遷移の波長が連続的ではなく離散化させた上で、さらに「フォトニック結晶」と呼ばれる周期的な
屈折率分布をもつ人為的な光の結晶構造を導入、離散化した電子遷移波長のみで、光が強い共振作用
を起こし、限定された波長域のみで、電子と光の強い相互作用が起こる構造を考案する。

具体的な量子井戸材料としては、AlGaAs/GaAsを用い、離散化された電子遷移の波長を10マイクロ
メートル(ミクロン)程度とし、また、この波長域で強い共振作用を得るため、量子井戸構造に直接
フォトニック結晶構造を形成、その周期は、6.5ナノメートルに設定し、この人工物質に外部から熱
エネルギーを与える電線を設け、物質に通電しジュール加熱の効果で熱エネルギーを与え、与えた熱
エネルギーが熱対流などで失われないように、真空中に保持、電流注入用の電線に電線そのものを介
した熱伝導によるエネルギー損失を防ぐ熱伝導率の低いマンガニン線を用いている。


Published online08 July 2012

上図の技術報告以上のように、これまで難しいと考えられてきた熱輻射スペクトルを狭帯域化して、
その帯域に外部から注入されたエネルギーを効率よく集中させることに初めて成功する。この実験で
は、熱輻射の波長域として10マイクロメートルと長い波長で実験、GaN/AlGaN量子井戸系等へと
展開させ、より短波長(1マイクロメートル未満)に挑戦し、太陽光を一旦、熱輻射制御の人工物質
に照射・蓄積し、狭い波長域の光のみを効率良く放出させ、太陽電池で受光可能な波長域の輻射エネ
ルギーを大幅増大させ、高効率な光電変換(40%超)をめざす。 

  Jul. 23, 2014

14年7月、同研究グループは上図のように、物体からの熱輻射の超高速制御――加熱された物体か
らの熱輻射をオン・オフするには、物体自体を温めたり冷やしたりする必要があり、そのオン・オフ
に相当な時間(数秒~1/100 秒程度、周波数にすると 1~ 100Hz)がかかる。物体の温度を上昇・低
下させることなく、物体と光の相互作用そのものを電気的に変化させることで熱輻射を超高速に制御
する全く新しい方法を見出し、従来と比較し、6千倍以上の高速度(周波数にして 600kHz)で物体か
ら生じる熱輻射のオン・オフの切り替え――に世界で初めて成功する。

この実験は、物体内の電子の物体から熱輻射が生じる過程をミクロな視点から考え、物体の温度を上
昇させると動きが活発 になり→光(電磁波)を放出→電子から発せられた光は、物質内部で再び 電
子と相互作用し吸収される。このような光の放出と吸収は物質内で繰り返し行われ、やがて熱的に安
定した状態に落ちつき、その結果、物体からその温度に応じたパワーの光(熱輻射)が放出される過
程で、物体の温度を変化させなくても、物体内部で生じる電子と光の相互作用の大きさを直接制御で
きれば、熱輻射パワーを変化――物体内で光を放出・吸収する電子そのものの数を高速に変化すれば、
それに伴 い物体から生じる熱輻射パワーも高速に変化することに着目。



 Published online27 July 2014

このように、上記の考えに基づき、熱輻射光源の構造を上図(a)のごとく、光源を、

①2種類の半導体の薄い層を交互に積層した構造(量子井戸)
② ①の層を挟む p 型層と n 型層(PN ダイオード)
③ ①②の層に空気孔を周期的に導入した人工的な光ナノ構造(フォトニック結晶)

の3つの構造の組み合わせ構成。上図(a):電圧により輻射パワーを変化させることができる熱輻
射光源の模式図 (b):量子井戸内に電子が存在する場合(左)と存在しない場合(右)の熱輻射発
生の模式図。量子井戸には、離散化された2つのエネルギー状態が存在し、電子は加熱されるとこの
2つのエネルギー状態間の遷移を繰り返す。(c)PN ダイオードに電圧を印加した際の量子井戸内の
電子密度の変化。電圧を印加すると、量子井戸に存在する電子数が減少する。

この光源を加熱すると、量子井戸内の電子は離散化された2つのエネルギー状態間の遷移を繰り返し、
2状態のエネルギー差で決まる波長を中心に赤外光を放出・吸収(図 (b)左)。このとき発生した光
は、③のフォトニック結晶構造内で強く共鳴し、また電子と相互作用し、最終的に光源の外部に熱輻
射として放射。しかし、量子井戸から電子を追い出すことが出来れば、加熱しても量子井戸から赤外
光が生成しない(図 (b)右)。この2つの状態(図1(b)の左右)を高速に切り替える仕組みが、②の
PN ダイオードであり、ダイオードに電圧を印加しない状態では、量子井戸内に電子が存在して(図
(c)左)、強い熱輻射が発生するが、n 型層が正となるような電圧を印加すると、量子井戸内の電子が
量子井戸の外へと移動するため(図 (c)右])、熱輻射強度が大きく減少する。

このように、光源の顕微鏡写真と百℃に加熱した際に生じた赤外線パワーの測定結果から、ダイオー
ドに電圧を印加しない場合、フォトニック結晶を作製した領域から周囲よりも強い熱輻射が生じるが、
電圧10Vを印加すると、その熱輻射パワーが減少していることが、また、光源の温度を変化させな
くても、電子系と光の相互作用の大きさを直接制御により熱輻射オン・オフできることを実証してい
る。この成果を踏まえ、同研究グループは、熱輻射パワーの変化速度が従来の 6,000 倍、すなわち、
約 1 MHz に達し、量子井戸材料や電極構造の工夫により変調速度をさらに 10~100 倍に高速化する
ことを目指す。



そして、今月27日、同研究グループは以上のことを踏まえ、シリコンという半導体材料を用いてフ
ォトニックナノ構造(円柱型光ナノ共振器)を形成し、高温にしたときに太陽電池が効率よく発電で
きる波長の光だけを放出する熱輻射光源の開発に成功する。太陽光を集光して本光源を加熱した場合、
集められた光エネルギーのすべてが太陽電池にとって有効に利用できる光に変換されて放出され、そ
の光を太陽電池で受けて発電することで40%以上の非常に高い効率が実現する期待が高まる。
尚、詳細は下図をダブクリし成果報告を願参照。

Near-infrared–to–visible highly selective thermal emitters based on an intrinsic semiconductor  Science Advances 23 Dec 2016:

  Jun. 8, 2016

【ZW倶楽部:究極のZW革命】

● 円柱型光ナノ共振器でエネルギーを有効活用

今年一年を振り返ると、「再生可能エネルギー百%時代」をテーマ設定したことが夢でなく実現可能
であったことを確信できたと言えるだろう。それを受け、「RE100倶楽部」「ZW倶楽部」をこ
のブログのサブカテゴリーに設定したことも正しいという確信を抱かせる、今夜の京都大学の研究グ
ループの成果報告だが、これに先立つ、今年6月2日、ハーバード大学工学応用科学のジョンA.ポー
ルソンスクールの研究グループは、世界ではじめて全可視スペクトル範囲内で高効率で動作する平面
レンズ(金属化合物半導体系円形型光ナノ共振器:下図参照)での実証実験の成功がある(『超薄膜
レンズの衝撃』2016.06.07)。しかし、これらの研究成果は突然降って湧いたものではなく、進取な
着想と地道な努力の積み重ねの結果としてある。そして、ありきたりだが「継続は力なり」であることを再確認
させるものでもある。もうこの流れは誰にも止められない。
Jun. 10, 2016

  ● 今夜の二枚

”As nations and as people, we cannot choose the history we inherit.
 But we can choose what lessons to draw from it.”…

                 President Barack Obama December 27th, 2016.

 

真珠湾慰霊  欧米メディア「両首脳は詩的で感動的な演説」

 

 

ペロブスカイト太陽電池現況

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         およそ物を観るに、疑いありて、中心定まらずば、外物清からず  /  「解弊」


          ※ 心の機能を知らなければ、自分の心を正しく勣かすことはできない。
            迷いを生じないためには、心のはたらを知るのが先決だ。
                    「解蔽」は、蔽いをとりさる、心を蔽っているものをとりされという。
 
            ※  荀子は、人間の認識能力が外在的事物と結びついたとき、はじめて認識は
        可能になるのだと指摘した。この点は、すでに『墨子』が指摘したことだ。
        けれども、人間の認識能力というのが感覚器官と思惟器官であることは、
        かれがはじめて明碩にしたことである。かれは、認識する主観と認識され
        る客観とを、明確に区別していた。

        感性認識と理性認識とのちがいに着目して、理性認識の優越性を示してい
        るのも、すぐれた見識である。だからといって、感覚のはたらきを軽んじ
        たわけではなく、その軍要件は十分わきまえていた。なぜなら、心が事物
        を見分けるのは、感覚器官がとらえる事物の印象にもとづくからだと。

      ※  「虚心/集中/静止」の3つを守れば、どんなことがらでも理解できる。

                                                         

                                                                     荀子
                                 B.C. 313 ーB.C..238  

Dec. 22, 2016

● ペロブスカイト太陽電池の耐熱性を世界で初めて確認

12月22日、兵庫県立大の伊藤省吾准教授らの研究グループは、次世代の薄型太陽電池として注目
される「ペロブスカイト太陽電池」について、弱点とされていた熱の耐久性を大幅に上げる研究成果
を公表。この太陽電池は鉱石の結晶構造を利用。現在、メガソーラーや住宅用ソーラーパネルで使わ
れる「結晶シリコン太陽電池」よりも製造が簡単でコストも低く、薄いシート状で利用できることか
ら応用性が高いと注目されている。ペロブスカイト太陽電池が熱で劣化する要因を取り除き、実験を
重ねた結果、100℃の熱を加えても2600時間の耐久性を世界で初めて実証する。伊藤准教授は
光、熱と水分(湿度・湿気)への弱さが最大の難点だったが、ハードルの一つを超える成果であり、
原子力の発電コストを大幅に下回る発電技術として、実用化が視野に入ってきたと話す。

伊藤省吾准教授は、酸化チタン系色素増感型太陽電池の研究開発の先駆者であり、今年で凡そ10年
の歳月が経過している。わたし(たち)が考える実用化にたどり着くための課題は、①安定性、②耐
久性(熱耐久性・ライフサイクル)、③安全性(鉛などのハイブリッド型太陽電池で使用される重金
の毒性)などある。③の毒性については、金属化合物半導体系やシリコン半導体系も同様で、リサイ
クル回収の義務化などを視野に入れコスト計算しておく必要がある。また、色素増感型太陽電池は、
カラフル化の意匠性のアドバンテージポイントの取り扱いをどうするのかの課題が残る。ここで、シ
リコン無機系半導体製造に関わってきた経験から、彼が指摘している「光」「熱」「水」の3つの弱
点の他に、「不純物(コンタミ)」については触れられていない点についてここでは保留しておく。
尚、「光」と「二酸化チタン」の背反二律は、有機化合物系材料の「劣化」と「変換効率・起電量」
として現れる。

  Oct.20, 2016

A tandem device consisting of two perovskite cells with a combined efficiency of 20.3 percent.

● ペロブスカイト太陽電池の開発経緯 Ⅰ

ここで、光、水分(湿度)および 二酸化チタン:TiO2 の3元要素が同時に存在するため、劣化が加
速されることが判明している有機無機ハイブリッド CH3NH3PbI3  ペロブスカイト結晶太陽電池の開
発の足取りを振り返り、17年以降の展開を考えてみる(出典:「100℃でのペロブスカイト太陽
電池の耐久性確認」伊藤省吾兵庫県立大学准教授)。

尚、ペロブスカイトとは、二百年前にロシア人科学者のペロブスキーが発見した結晶構造で、立方晶
を基本とし、ABX3 の3元系元素組成比率をとる(下図)。一般的なペロブスカイト結晶は、 A サ
イトに 2価金属カチオン、B サイトに 4価金属カチオン、そして O サイトに 2価酸素イオンから
なる酸化物結晶(代表的なものとしては、CaTiO3 および BaTiO3)。それに対し、1価のアルカリカ
チオン(Cs+、K+)、 2価鉛イオン(Pb2+)および1価のハロゲンアニオン(Cl-、Br-、I-) からなるペロ
ブスカイト結晶が発見され、さらに、1価カチオンとして有機分子 イオンであるメチルアンモニウム
カチオン(CH3NH3+)を使用した有機無機ハイブリッド型のペロブスカイト結晶が発見されてきた。



当初は正孔輸送材料としてヨウ素電 解液が使用され、効率はわずか 3.8%%で、その3年後に、宮
坂教授とスネイス教授(オックス フォード大)の共同研究、およびパク教授(成功館大)とグレッツ
エル教授(EPFL)の共同研究が同時に立ち上がり、10%前後の効率を持つペロブスカイト太陽電池
がほぼ同時期に報告されている。開発の大きなポイントとして、ヨウ素電解液を使用せずに、有機の
ホール輸送材である N2,N2,N2’,N2’,N7,N7,N7’,N7’-octakis(4-methoxyphenyl)-9,9’-spirobi[9H-fluorene]-
2,2’,7,7’-tetramine (spiro-OMeTAD) を使用。セルの構造は、宮坂教授とスネイス教授の共同研究による
ものは、<glass/F-doped tin oxide (FTO)/flat TiO2/ porous Al2O3+CH3NH3PbI3/ spiro-OMeTAD / Au>であり、
後者のパク教授とグレ ッツエル教授の共同研究のものは<glass/F-doped tin oxide (FTO)/flat TiO2/ porous
TiO2+CH3NH3PbI3/ spiro-OMeTAD / Au>である(下図)。

その後、ペロブスカイト太陽電池の開発は進み、4年の間に効率は 20%にまで至るように なる。
第3機関に認証されたデータとしての最高値は、ソック教授(ウルサン大学)で、その光電特性は、
開放起電力 (Voc) 1.11 V、短絡光電流密度 (Jsc) 25.0 mA cm-2、曲 率因子 (FF) 0.817、および変換効
率 (PCE) 22.6%。また、非認証データとしては、イム教授(キュンヒー大学)で、開放起電力 (
Voc) 1.28 V、短絡光電流密度 (Jsc) 23.2 mA cm-2、曲率因子 (FF) 0.81、および変換効率 (PCE)24.1
%。変換効率限界値は、25~26%程度と推測されている。

同氏はペロブスカイト太陽電池は、現在のシリコン太陽電池と同等までの変換効率を得ることが出来
たと主張する。その実用化に向けた次のステップとしては、①製造コスト低減と、②材料の無毒化(
非鉛ペロブスカイト太陽電池の開発)、③および、耐久性の向上の3つとし、①の製造コストは、非
真空プロセスであり、各原材料も非常に低価格であることから、現行市場で最も低価格な太陽電池で
あるカ ドミニウムテルライド太陽電池の半分近くの超低価格になる事を、グリーン教授(UNWS)が
学会等で報告。また、ペロブスカイト太陽電池の非鉛化には、いずれも芳しい成果は得られていない
ものの、鉛に関して、RoHS指令 による非常に厳しい制限もある。環境には(人工・自然環境も含め
て)非常 に多くの鉛にあふれており、現に人類の血中にも常時鉛が存在することから、最終的には
鉛毒性の問題は今後の社会的議論にゆだねられるものと考えられるとし、③の最後の科学的な検討項
目は「耐久性」だと結論している。

しかし、コスト的に半導体製造システムを模倣した工程を持つ無機(結晶・非結晶)シリコン系ある
いは、無機化合物系など比較して、量産効果により1/10はおろか1/100の価格達成も可能だ
ろうと思われるが、結晶シリコンの純度が半導体ではイレブン・ナイ、太陽電池でナイン・ナインと
明確なグレード規定あるように、コンタミ(不純物)のグレードを規定しない限り、製造プロセスも
投入材料費も、信頼性、堅牢性、耐久性(ライフサイクル)などの主要品質も決まらない。現在、ヘ
テロ接合有機系太陽電池製造工程へのコンタミの影響が問題視されいることや、まして、鉛の環境拡
散をミネラル(必須元素)扱いで安全性を論じることは、原発の放射性汚染物質規制値議論と同じに
なり、この問題は実用・量産段階で「製造責任」(PL)として問題解決しておかなければならない
だろう。

● 耐久性問題のアプローチ

次に、CH3NH3PbI3 を基本構造とするペロブスカイト太陽電池は水と反応してPbI2 になっ てしまう
ことが知られ、特に、CH3NH3PbI3 ペロブスカイト結晶を構成するメチルアンモニウムイオン( CH3
NH3+ )は水と共に以下の反応(式1)を起こし、その平衡定数は Ka = [CH3NH2][H3O +]/[CH3NH3+
] = 2.2 x 10-11 ということまで有機化学の教科書にまで記載されている。

 CH3NH3++H2O ⇄ CH3NH2+ H3O+ (式 1)

なお、ここで形成されるメチルアンモニウム(CH3NH2)とヨウ化水素(HI)は共に沸点がそれぞれ
-6℃および -34℃であり、常温では気体である。つまり、CH3NH3PbI3 ペロブスカイト結晶は
以下 の反応(式2)で簡単に分解してしまうことを示す。

 CH3NH3PbI3 ⇄ PbI2 + CH3NH2↑ + HI↑ (式 2)

実際に、封止をしていない CH3NH3PbI3 ペロブスカイト太陽電池は、光照射下では一晩もその光電
変換特性を維持することが出来ない。その光照射下での脆弱さを、同氏のグループは初めて論文とし
て示す。わずか12 時間の光照射で、変換効率はゼロ%にまで減少し、色合いも初期の黒色 から、
PbI2 の黄色に変化した。つまり、CH3NH3PbI3 ペロブスカイト結晶は光照射により分解して PbI2
に変化し、太陽電池として不活性化する。

その一方、数百時間もの変換効率維持を示すペロブスカイト太陽電池の論文が数多く報告され、
CH3NH3PbI3 ペロブスカイト太陽電池は非常に耐久性が良いように見られてきたが、論文 を精査す
ると、それらの耐久性の良い状態は、「封止無しでは暗所保持」もしくは「封止をすれば光照射下保
持」で、同グループが別の実験を行ったところ、「TiO2 が無ければ、 封止無しでも光照射下で耐久
性有り」ということが判明。つまり、CH3NH3PbI3 ペロブスカイト結晶は、光と空気と TiO2 の3要
素が同時に存在するときに不安定化することが判明。つまり、3つの要素うちのどれか2つであれば、
CH3NH3PbI3 ペロブスカイト結晶は即時分解しない。

また、ハック教授(ロンドン帝国大学)は、酸素と光と TiO2 の共存下では、その CH3NH3PbI3 ペ
ロブスカイト結晶は劣化しないことを光化学的に解明し、CH3NH3PbI3 ペロブスカイト結晶の空気
との劣化は、空気内の酸素は問題無く、湿度が問題であることを証明。さらに、キイ教授(沖縄先端
科学技術大)は、ペロブスカイト太陽電池に通常使用される有機ホール輸送材料(spiro-OMeTAD
は湿度の進入を効果的に防ぐことが出来、太陽電池作製方法の最適化により、spiro-OMeTAD 層のピ
ンホールを減らすことで耐久性を向上させることが出来ることを報告。

CH3NH3PbI3 ペロブスカイト結晶中のイオン拡散が、光照射により活性化し、さらに、結晶 の微小
欠陥があると、ヨウ素]やメチルアンモニウムイオンが結晶内を拡散することがウェル シュ教授(バ
ス大)およびファン教授(ネブラスカ・リンカーン大学)から報告され た。また、TiO2 の表面と
CH3NH3PbI3 ペロブスカイト結晶およびそこから出来る PbI2 とは接着力が弱く、さらにその材料間
の表面は乖離することが瀬川教授(東大)、チェン教授(モナシ大)、および同氏(兵県立大)より
報告。また、特に TiO2 表面には 水分子が吸着しやすいことは良く知られ、ドライルームの除湿ロ
ータ材料に使用さ れているほどであり、TiO2 と CH3NH3PbI3 ペロブスカイト結晶の間が乖離して
空間が出来た場合には、セル外部から進入した水分子が優先して吸着すると考える。よって、考えら
れるCH3NH3PbI3 ペロブスカイト太陽電池の分解スキームとしては、

①光照射により、CH3NH3PbI3 ペロブスカイトから TiO2 に電子が移動する
②TiO2 と CH3NH3PbI3 ペロブスカイトの電位差をドライビングフォースとしてヨウ素イオン(I-)
 が背面電極に、メチルアンモニウムイオン(CH3NH3+)が TiO2 電極側に移動する
③TiO2 の表面に吸着した水分子とメチルアンモニウムイオン(CH3NH3+)が式1の反応により、メ
  チルアンモニウム(CH3NH2)ガスが発生し、その結果、式2のように PbI2が発生して太陽電池特
   性が劣化する。

以上のスキームから、TiO2 と湿度と光の3つのヨウ素が共存することで、CH3NH3PbI3 ペロブスカ
イト結晶の分解が促進されることが予測されるとし、同氏のグループは、TiO2 の表面を Sb2S3 でコ
ートすることで、封止しない CH3NH3PbI3 ペロブスカイト太陽電池の寿命を向上させる事を見出す
が、これ は TiO2 の表面で発生する水分子と CH3NH3PbI3 ペロブスカイトとの反応(式1、式2)
を防いだことによるものと考える。



以上、出典の成果報告書を看てきたが、この続きは次回とする。

                                      この項つづく、

 Dec. 14, 2016

 【今宵もほっとウイスキーとひとり鍋】

年の瀬を迎え、ことしの精神はと考えるとやはり「整理」だろうなと納得するところあり。書棚や部
屋だけでなく家や家族関係あるいは社会との繋がりや仕事に不要なものを切り捨る覚悟と言ったもの。
取り敢えず食の領域で、個食を徹底しよう。つまり、自炊を楽しもうと。そこで、今夜は、インフル
エンザ、肺炎、癌予防に効果があるという①アリシン:ビタミンB1を活性化させ疲れや肩こりなど
の症状改善や血栓、糖尿病の予防、②フルクタン:インフルエンザウイルスの侵入・増加を抑え、抵
抗力をアップする長ネギをたっぷりに鮭のアラの鍋でタンパク、ビタミン、コラーゲン、DHA、カ
ルシウムを摂取。朝食に、長ネギウェルシュ・レア・ビットを常食するできるよう準備しよう。

 

● 鮭の粗(アラ)鍋

材 料:鮭のアラ 100グラム、長ネギ 1本、生姜 1片、水 400ミリリットル
作り方:①アラを熱湯に入れ、色が変わったらすぐに引き上げ、水にとる。②長ネギは斜め一口大に
    切る。③鍋に水、アラを入れてひと煮立させ、長ネギと生姜を加えて食べる(好みで、醤油、
    白胡麻を加える)。



● 長ネギウェルシュレアビット

材 料:無塩バター 大さじ1杯、長ネギ 半本(スライス)、小麦粉、大さじ 1/2杯、牛乳 
    約40ミリリットル、ビール 約40ミリリットル、マスタード 小さじ1/4杯、赤唐辛
    子 ウスターソース、コンテチーズ/グリュイエールチーズの裁断 1/4カップ、卵黄 
    1/4個、塩 少々、新鮮パセリの裁断 
作り方:①小さなフライパンを中低温でバターを溶かす。長ネギと塩を加え柔らかくなるまで、かき
    混ぜながらゆっくりと約7~10分加熱する。②中火に加熱した小鍋にバターを溶かし、小
    麦粉をかき混ぜながら約1分間加熱。牛乳を注ぎ混ぜ合わせ、そこにマスタード、赤唐辛子
    ウスターソース、チーズ、卵黄を加え混ぜる。ビールを注ぎ、塩を加える。③トーストした
    パンに溶かしネギをスプーンで分けのせ、イタリアンパセリをトッピングすすれば完成。

 

レッグウォーマー試着

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         名に固実なし。これを約してもって実に命じ、約定まり俗或る、これを実名と謂う。

                                     荀子/正名


      ※ 現在、通用していろ名称は、本来、この名称でなければならないと定まってい
        たわけではない。本来、現在指している実体を指すと定まっていたわけでもな
        い。ただ、人びとが約束によってきめたにすぎない。だが、約束が社会的に認
        められろと、その名称は最適であり、約束に反した名作は不自然であると感じ
        られるようになり、名称と実体は切り放せなくなったのである。(「名称を定
        める際の原則」)


      およそ人の取るや、欲するところいまだかつて粋にして来たらず。その去るや、悪
      むをところいまだかつて粋にして往かず。 

                                     荀子/正名


      ※ 望みを実現しようとしても、望んだものそれだけがやってくるとはか分からな
        い。また、嫌なものを除こうとしても、嫌なものそれだけが去ってゆくとはか
        ぎらない。だから、われわれは行動に先立って、必ずそれにともなう利害を秤
        りにかけてみなければならない。(「みすみす損をせぬために」)

      ※ 共通のことばをもたない集団は分裂する。白を黒ということの通用する世の中
        は混乱する。荀子は、ことばを正すことによって、世の姿勢を正そうとした。
        さらにこの篇は、後半、欲望の問題にふれる。本篇に現われた認識に関する主
        張は、「解蔽」篇と密接な関係がある。論理学上の貢献についてふれておけば、
        荀子は、先秦の論理学を総合して、自らの論理体系をつくりあげた。なかでら、
        概念が社会的な約束で成立することを指摘して、ことばと概念を分類していっ
        たのは、かれの功績である。 

                                                            

                                                                         荀子
                                    B.C. 313 ーB.C..238  

 


【省エネ実践記:レッグウォーマー】

レギンス(leggings)は、下半身を寒さからまもるウォーマー(防寒下半身着)のこと。そして、下
半身着全般を指すボトムス(bottoms)分類される。ここで、上半身着をトップと呼ぶ(tops)。それ
じゃ、レギンスと「スパット(spats)との違いは?と問われて直ぐに答えられる人はどれぐらいいる
だろうか。それでは、オーバーニーソックス(over-knee socks)とニーソックス(knee socks)の違い
は? 実は、後者は、膝上丈の長靴下であり、オーバーニーソックスよりも長い靴下、太もも丈のサ
イ ハイソックス(thigh-high socks)(下図)を指すというのだが、レギンスには足首まで覆う10分
丈から膝上の5分丈など、いろいろな長さが存在する。また、スパッツはぴちぴちしたズボンみたい
に見える。それじゃ、スパッツ(spats)とトレンカ(trecker)の違いは?後者は踵にひっかけるよう
な仕様になってるというもので、スティラップ・パンツ(stirrup pants)とも呼ばれる。このように、
わたしのようなものにはさっぱわからない世界である。



難しいことはこれぐらいにしておいて、本題に入ろう。レギンズは蒸れるのでろいうことで、ハイソ
ックスかレッグウォーマーか迷ったがレッグウォーマーを選び、それを試着しその効果を体験する。
効果はあるがハイソックスを試着比較していないのでその違いが分からないが、試着するまでもなく
ハイソックスの方が暖かいだろうと考えるが、当面、これで冬の寒さを防ぎ省エネを実践する。とこ
ろで、足の爪の手入れをしていないと引っ掛かるので要注意。

 

● ペロブスカイト太陽電池の開発経緯 Ⅱ

さらに、ハン教授(武漢科学技術大学、中国)は封止無しで、擬似太陽光照射下で 1000 時間以上の
耐久を示すペロブスカイト太陽電池の作製に成功した[36]。耐久性の向上には、以下の4つのポンイ
トが考えられる。

(1)最初のポイントの(1)はハン教授の論文中でも議論されている内容であるが(2)および
  (3)については論文中に記述はなく、著者の予測も含めた内容である。(1)有機ホール輸送
  材料を使
  用しない構造であったために、その2重結合鎖の分解やドーパントイオン の拡散を考える必要が
  無くなった事が挙げる。
(2)多孔質カーボン背面電極を使用して<glass/ FTO/ compact-TiO2/ porous-TiO2+ perovskite / porous-
   ZrO2+ perovskite / porous-carbon+perovskite > 構造をとる太陽電池を作製した(下図3。ペロブス
  カイト上に積層する正孔輸送材料もペロブスカイトと相互拡散して、結晶構造が変化する劣化す
  ることが知られている[37]。しかし、ハン教授のペロブスカイト太陽電池は最後に多孔質電極構
  造内部に流し込むことになり、ペロブスカイトは他材料の積層時の影響を受けなくてすむことに
  なる (下図)。さらに、ペロブスカイトは多孔質カーボン表面と非常に強いコンタクトを持つ
  ことが XRD およびXPS 測定により判明し、その結果、使用したカーボン電極は多孔質構造であ
  るにも関わらず、その多孔質内部はペロブスカイトで満たされると、湿度のブロックにおいて非
  常に強い効果を得ることになる [38]。つまり、水に弱い CH3NH3PbI3 ペロブスカイト結晶は、
  多孔質カーボンの細孔内部に埋める事が出来、さらにカーボンとの強固な結合を有するために、
  カーボン内部では水に対する耐久性が向上したものと考えられる。
(3)ハン教授は CH3NH3PbI3 に HOOC(CH2)4NH2 (5-aminovaleric acid; 5-アミノ-n-吉草酸)を少量
  添加した [36]。これは、色素増感型太陽電池の TiO2 と色素の接合のように、TiO2 表面とペロ
  ブスカイトの接合を向上させる働きがあるものと考えられる。この HOOC(CH2)4NH2 の添加に
  より、TiO2 とペ ロブスカイトの間の乖離が発生しにくくなり、水分子が入り込まず、耐久性が
  非常に向上 したものと考える。
(4)ハン教授の論文[36]にはペロブスカイト結晶の2次元化のコメントは挙げられていないが、材
  料のXRD データを見ると、その2次元結晶化は明白である。つまり、3次元結晶である CH3N
   H3PbI3 ペロブスカイトに、HOOC(CH2)4NH2 を添加することで、結晶を 2 次元化したことが挙げ
   られる。この 2 次元化による湿度に対する耐久性の向上はマッギーヒー教授(米国)により報告されてお
   り[39]、ペロブスカイト結晶の 2 次元化はその耐久性向上において重要な開発項目であるといえる。 ま
   た、このような構造 <glass/ FTO/ compact-TiO2/ porous-TiO2+ perovskite / porous-ZrO2+ perovskite /
   orous-carbon+perovskite >   のペロブスカイト太陽電池は、85 度での熱耐久性においても効果を発揮
   し ている [40]。これを使用したモジュールの変換効率は 10%ということである。 

  Dec. 14, 2016

伊藤省吾準教授らの兵庫県立大学伊藤グループでは、ペロブスカイト太陽電池における耐久性におけ
るカー ボン電極の役割を検証し、カーボン電極とペロブスカイト層が強固に相互作用して結合してい
ることを、特にカーボンと鉛、およびカーボンとヨウ素が強く影響していることをXPSおよびXR
Dによる測定により見出した[38]。さらに、兵庫県立大学伊藤グループではカーボン電極を使用した
CH3NH3PbI3 ペロブスカイト太陽電池が 100℃の高温下での熱耐久性試験を行った。そのときには、
太陽電池内部の封止材の位置は発電部位の外側のみに存在すること(side sealing)が重要であり、封止
材が発電部位(ペロブスカイト結晶)の上側を覆っている場合(over sealing)には熱劣化が進むこと
が判明した(図4)。そのover sealing の場合の熱劣化による光電特性は、30時間程度で安定状態
に達するが、封止無し(naked)では徐々に直線的に劣化していくことが判明した。これは、ペロブスカ
イト太陽電池デバイスの劣化モードが外気と反応しているか、もしくは封止材と反応していることに
よる違いであると考えられる[41]。さらに、暗所のもと封止材有りで 2500時間以上の耐久性 を
示すことを確認した(図5)。

 Dec. 16, 2016


Dec. 14, 2016

今後は、ペロブスカイト太陽電池の実用化を目指して、このような環境高耐久型ペロブスカイト 太
陽電池の開発が加速するものと考えられるとこのように報告している。

ここで、耐熱温度を80℃ではなく、より負荷を重くして100℃にしていると推察するのと120
℃近辺から有機材料が離炭領域に入り、部分的な環縮合や分解が生じやがて450℃付近で発火燃焼
する。当然、正極層とペロブスカイト層との相互拡散による劣化も同時に起きているだろう。さらに、
2500時間といえば3.5時間/日として2年程度で、結晶シリコン系太陽電池のライフサイクルが
30年を目標しているなか、類似商品市場での競合は難しく、フレキシブル(ウエアブル)太陽電池
市場(カラフル化が可能であれば)特化できそうであるが、市場規模が小さければ直ぐさま過剰生産
になるだろう。

従って、2017年は、品質安定/向上、量産化に向けての駄目出し過程に入り、頂上は見えてくる。

                                                                                この項了


【参考文献】 

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[31]    S. Ito, S. Tanaka, H. Nishino, Chem. Lett.. 44 (2015) 849–851.
[32]    U. Diebold, Surface Science Reports 48 (2003) 53-229.
[33]    H. Belhadj, A. Hakki, P. K. J. Robertson, D. W. Bahnemann, Phys.Chem.Chem.Phys., 17 (2015) 22940.
[34]    http://www.sinko.co.jp/product/desiccant/
[35]    S. Ito, S. Tanaka, K. Manabe, H. Nishino, J. Phys. Chem. C, 118 (2014) 16995–17000.
[36]    A. Mei, X. Li, L. Liu, Z. Ku, T. Liu, Y. Rong, M. Xu, M. Hu, J. Chen, Y. Yang, M. Grätzel, H. Han,  Science
          345 (2014) 295.
[37]    S. Ito, S. Kanaya, H. Nishino, T. Umeyama, H. Imahori, Photonics, 2 (2015) 1043-1053.
[38]    S. Ito, G. Mizuta, S. Kanaya, H. Kanda, T. Nishina, S. Nakashima, H. Fujisawa, M. Shimizu, Y. Haruyama,
          H. Nishino, Phys.Chem.Chem.Phys. 18 (2016) 27102.[39]    I. C. Smith, E. T. Hoke, D. Solis-Ibarra, M. D.
          McGehee, H. I. Karunadasa, Angew. Chem. Int. Ed.,   53 (2014) 11232–11235.
[40]    X. Li,  M. Tschumi, H. Han, S. S. Babkair, R. A. Alzubaydi, A. A. Ansari, S. S. Habib, M. K. Nazeeruddin,
          S. M. Zakeeruddin, M. Grätzel, Energy Technol. 3 (2015) 551 – 555.
[41]    A. K. Baranwal, S. Kanaya, T. A. N. Peiris, G. Mizuta, T. Nishina, H. Kanda, T. Miyasaka, H. Segawa, S. Ito,
          ChemSusChem 9 (2016), DOI: 10.1002/cssc.201600933.

 

 


常在戦場そして則天去私

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       邪説を飾り、姦言を文りて、もって天下を梟乱し、矞宇嵬瑣(きつうかいさ)、
       天下をして混然として是非冶(ぜひち)乱の存するところを知らざらしむ。


       ※ 十二人の思想家を斬る:今日、なんと多くのものが、既の乱れに乗じて、
         ことば巧みに邪説を粉飾し、人心を惑わせていることか。かれらの能弁と
         欺瞞とのために、人ひとは頭が混乱して、是非善悪の見わけがつかなくな
         っている。

       酒食声色の中にては、𥈞(まん)𥈞然、瞑(めい)瞑然。礼節の中にては、疾
       (しつ)疾然、訾(し)訾然。 


       ※ 当世の学者ども:たまたま、宴会、む楽、女に恵まれようものなら、われ
         を忘れてとびつくけれども、礼節を守るだんになると、窮屈でやりきれな
         いと、不満たらたらだ。

                                                  荀子/ 「非十二子」


       ※ この一篇は、思想家、役人、在野の知識人、学者などを撫切りする。当時
         の知識階級のもつ醜さ、いやらしさが、なまなましく描写される。

                                                                                                                                                   B.C. 313 ーB.C..238   

    北斎 「鶏竹図」

● 十二支の酉に想う

来年は酉年というのでネットサーフしてみる。古来中国では、北東方面からの異民族侵略にさらされた
鬼門の方位に対し南西方位をさす申(さる)、酉(とり)は守護を意味していたとか。それが日本に伝
わり現在の鶏(とり)として解釈され民俗化し、「古事記」にあっては、常世長鳴鳥の寓話として表た
りしているものの、酉は雄鶏(rooster)だとか。そこで鶏に纏わる故事を漢文から拾うと「鶏口となるも
牛後となるなかれ」がヒットする。これは「鶏口牛後」であり、その書き下し文は次のようになる。


 秦人諸侯を恐喝して地を割かんことを求む。洛陽の人蘇秦なるもの有り、秦の恵王に游説して、用
 ゐられず。乃ち往きて燕の文侯に説き、趙と従親せしむ。燕之に資して以て趙に至らしむ。粛侯に
 説きて曰はく、諸侯の卒は、秦に十倍す。力を并せて西に向かはば、秦必ず破れん。大王の為に計
 るに六国従親して以つて秦を擯(しりぞ)くるに若(し)くは莫(な)し。粛侯乃ち之に資して、
 以つて諸侯を約せしむ。蘇秦鄙諺(ひげん)を以つて諸侯に説きて曰はく、寧ろ鶏口と為るとも、
 牛後と為ること無かれと、是に於いて六国従合す。


このように、志高くすれば、所属集団の大きさ(牛)に関わりなく、例え少数でも(鶏)意志を貫き大
成することができると諭しているとでも解釈する。ところで、今年は「沈黙の2016」と心に留め置
く言葉としたが、来年は、「常在戦場の2017」と設定してみた。その心は読者諸氏のご想像お任せ
するとしてても、「未だ人生を語らず」と突っ張ってみても、周りはそのような気分ではないので、そ
れを補完するように晩年の漱石が理想とした「則天去私2017」を裏側に貼り合わせて懐に仕舞う。

 

● 高効率海洋鉱物資源探索ロボ見参!

 Dec. 19, 2016

                                    

 

  Dec. 20, 2016
図2

【RE100倶楽部:ホワイト・バイオマスでバイオプラスチック】

● 海洋性細菌由来酵素でリグニンから機能性化学品を創製

12月20日、海洋研究開発機構の大田ゆかりグループらは、海洋から分離した細菌のもつ特異な酵素
を組み合わせて利用し、木材から分離した天然リグニンから、さまざまなバイオプラスチックにも変換
できる機能性化学品を生産する方法を開発。今回研究グループが天然リグニンから酵素生産することに
初めて成功した化合物は、フェニルプロパノンモノマーと呼ばれる物質。これまでその活用法について
ほとんど検討されていなかった。本研究では、天然リグニンから酵素でこの化合物を生産する手法に加
え、簡便な化学的手法によりバイオプラスチックや医薬・化粧品などの機能性化学品に変換できる。こ
れらの成果は、酵素や微生物などの生体触媒の機能を化学産業に活用する異分野融合新技術(ホワイト
バイオテクノロジー)に新しい展開をもたらす。


尚、この研究成果の副題に「ホワイトバイオテクノロジーの新展開」とあるが、色でバイオテクノロジ
ーの領域を識別いることを今日はじめて知る(下図)。それによると、「白の生物工学」は遺伝子に基
づく産業を意味し、バイオテクノロジーは10色に色別しているのだと。

さて、再生産可能なバイオマスから燃料アルコールや化学品などを作り出す統合的バイオリファイナリ
ー構築が急がれる中、食糧と直接競合しないバイオマスを持続的に利用し、高付加価値物を生産する技
術開発は、炭素循環に大きな負荷をかけない持続的社会の創生にとって極めて重要なテーマ。リグニン
はほとんどの地上植物の主要成分の1つで、その存在量ではセルロースに次いで1番目に位置する。ま
た、リグニンは植物に物理的強度を与えるほか、外敵からの生物学的攻撃を防ぐ難分解性の物質の機能
を果たしている。

同グループは、リグニンやリグニン派生物質の有効利用を目的として、これらを代謝する微生物や酵素
を海洋から探索してきたが、駿河湾に沈んだ木片から分離した海洋性細菌ノボスフィンゴビウム MBES
04株の遺伝子組換え酵素を組み合わせて用いることで、リグニンを模して合成した低分子化合物(リグ
ニンモデル化合物)を酵素切断できることを報告。これまでにスフィンゴモナドと呼ばれるグループの
細菌からリグニン内主要結合の選択的切断反応に関わる酵素が発見されているが、これらの酵素は限ら
れたサイズや形の低分子化合物しか反応できないことが既報されている。さまざまな部分構造を持つ天
然リグニンには作用しないとされてきた。

【研究成果】

上述のMBES04株由来の5つの酵素を組み合わせて利用した一連の反応(下図)を用いて、天然リグニ
ンを原料として特定のフェニルプロパノンモノマーを生産することに成功(この項の巻頭図)。リグニ
ンの内部構造は多様で複雑な構造であるため、リグニンを過激な条件で分解して得られる物質は複雑な
混合物となってしまうことが多く、高機能な化学品原料としての活用が遅れていた。この研究で行った
温和な酵素反応では、針葉樹(スギ)から単離したリグニンを原料とした場合には1種類(下図、GHP:
グアヤシルヒドロキシプロパノン)、広葉樹(ユーカリ)の場合には2種類(下図、GHPとSHP/シリン
ギルヒドロキシプロパノン)のフェニルプロパノンモノマーを選択的に得ることができる。

これらの酵素群が天然リグニン中のどのような分子構造に対してその性能を発揮するのか、そのメカニ
ズム解明のため、反応過程で生じる中間産物を詳細に解析。その結果、炭素数10~30個の天然リグ
ニン部分構造を持つ物質が反応中間産物として検出。これらの酵素群が、従来考えられていたよりも幅
広い分子サイズや形を持つリグニン内部構造を酵素変換反応の対象とすることにより、天然リグニンに
おいても酵素反応を進められることが解明される。


Dec. 16, 2016

図1.リグニンモデル2量体から基幹化合物(GHP、SHP)を生産するための酵素反応カスケード SDR,
ショートチェーンデヒドロゲナーゼ/レダクターゼ; GST, グルタチオン-S-転移酵素; NAD+, 酸化型ニ
コチンアミド; GSH, 還元型グルタチオン; GSSG, 酸化型グルタチオン

続いて、得られたGHPに対してシンプルな有機化学反応を行い、新規なビスフェノール類、ビニルモノ
マーとその重合物、工業原料として有用なアルコール類などのさまざまな誘導体が得られることを示し
ました(上図)。この誘導体は新たなバイオプラスチック、例えば、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポ
リウレタンなどの原料、医薬品や機能性食品原料として活用されると考える。天然リグニンから機能性
化学品を生産するツールとしての酵素の有用性を示すとともに、これまで注目されていなかった化合物
が基幹化合物として、多大な再生可能資源であるリグニンの有効利用に寄与できる可能性を示す。

--------------------------------------------------------------------------------------------
DOI: 10.1002/cssc.201601235 :
Enzymatic Specific Production and Chemical Functionalization of Phenylpropanone Platform Monomers



図3.GST3活性の最適pHおよび温度

  (a)GS-GHPgst4および(b)GS-GHPgst5を基質として用いた精製GST3のpH-活性曲線。 使用した緩衝
  液は0.1モルの2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES; pH5.5-7.0)、3- [N-モルホリノ]プロパ
  ンスルホン酸(MOPS; pH7.0〜8.0;□)、TAPS -9.0;▲)、N-シクロヘキシル-2-アミノエタンスル
  ホン酸(CHES; pH 9.0-10.0;○)、N-シクロヘキシル-3-アミノプロパンスルホン酸(CAPS; pH 10.0
   -11.0、▪)。25℃を含む緩衝液中で活性を測定した。これらの値は、GS-GHPgst4についてはpH7で、
  GS-GHPgst5についてはpH8で観察されるGST3の最大活性のパーセンテージとして示され、これは
    100%とみなされる。基質として(c)GS-GHPgst4および(d)GS-GHPgst5を用いた精製GST3の温度 - 活性曲
   線も示されている。値は、GS-GHPgst4については25℃で、GS-GHPgst5については30℃で観察される
  GST3の最大活性の百分率として示され、100%として示される。

 

図4.製粉された木質リグニンからの酵素カスケード反応によるGHP(スキーム1、化合物7)の合成

  (a)C-MWLおよび(b)E-MWLからのGHPおよびSHPのワンポット酵素生産。反応は酵素なしで
  同じ条件下で反応したが、MWLおよび補因子を伴う補因子(SDR 3、SDR 5およびGST 3-5)が示
  されている(上)。(c)同じ条件下で分析された本物のGHP(上)およびSHP(下)。


--------------------------------------------------------------------------------------------

この様に、海底堆積物に生息する微生物の多くは、海洋表層や陸域の森林土壌などで、分解されずに残
った有機物に依存し、地球表層の生態系では分解が困難な物質をなんらかの形で効率的に利用する優れ
た代謝機能を有していると見られる。多様な海洋環境に生息する微生物がもつ代謝機能の理解を深め、
その知見を基盤とするバイオマス活用技術開発を進め、持続可能な社会の構築へ向けた新たなイノベー
ションの創出に繋げることができると結んでいる。「海洋性細菌ノボスフィンゴビウム MBES04株の遺
伝子組換え酵素を組み合わせて用いる手法」の事例のごとく、所望の成分に自在に分解でききれば、ブ
ログテーマの「オールバイオマスシステム」が完成するだろう。その実現はそう遠くないと考える。

 

 

近江神宮初詣

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       窮困凍餧(きゅこんとうい)すといえども、必ず邪道をもって貧(たん)をなさず。

    ※ 儒者はいったん登用されれば、見当に職務をとりしきるし、登用されなければ
      されないで、民間人として誠実な暮らしをする。けっして秩序を乱したりはし
      ない。どんなに貧乏しようとも、悪事をはたらいて金もうけなどしない。たと
      え錐の光ほどの土地ももたなくても、国家経綸の大刀剣をたくわえている。た
      とえ自分の主張を聴いてれるものがだれひとりいなくても、生産向上と人民生
      活の安定のために何をなすべきかをよく心えている(儒者の姿勢)。 


    聞かざるは聞くにしかず、聞くは見るにしかず、見るは知るにしかず、知るは行う
    にしかず。学は行なうに至りて止む。

    ※ 聞くだけ聞いても、見なければ、どんなに物知りでも、まちがうにきまってい
      る。見るだけ見ても、わかろうとしなければ、どんなに物覚えがよくても、見
      当ちがいするにきまっている。わかるだけわかっても、実践しなければ、どん
      なに考えが深くても、ゆきづまるにきまっている。聞きもせず見もしなくても、
      まぐれ当たりをすることがあるだろうが、それはまともなやり方ではない。ま
      ぐれ当たりに頼っていては、する事なす事失敗するにきまっている(すぐれた
      儒者とは)。

                                                   荀子「儒効」 

                                                                                                                      B.C. 313 ーB.C..238   

 


      秋の田の 仮庵(かりほ)の庵(いほ)の苫(とま)をあらみ 

                わが衣手(ころもで)は 露にぬれつつ



      ※ 秋の田圃のほとりにある仮小屋の、屋根を葺いた苫の編み目が
        粗いので、私の衣の袖は露に濡れていくばかりだ。

 

  内拝殿前の献花

※ 草月流の平石丹珠朋・織田丹珠由らにより献花される。写真右は酉年にちなんだ尾長鶏、左は
  今回で第30回となるので3重の輪をイメージして創作

【滋賀のパワースポット:近江神宮で初詣】

上天気がつづく、暖冬の正月休み。元旦は近くの北野神社、白山神社へ、二日は近江神宮に初詣に
出かける。近江神宮近くには日吉大社があるがここは立ち寄らず通過のみ。アクセスは湖岸道路→
琵琶湖大橋(守山/堅田)→近江神宮。所要時間は2時間半(社内駐車料金は5百円)。参拝客も
大勢で混雑していた(初詣参拝者数は15万人/多賀大社46万人/明治神宮319万人、但し、
09年警察庁調べというネット記事よりの引用
)。この神社は、皇紀2600年を記念して同年に相当
する40年――天智天皇(667年)に同天皇が当地に近江大津宮を営み、飛鳥から遷都した由緒
に因み、同天皇を祭神とし――創祀された新し神社である。

終戦直後に神道指令が発令された45年12月15日のまさにその当日に、戦後復興を祭神(天智
天皇)に祈願した昭和天皇の勅旨により、同神宮は勅祭社に治定され、例祭は大津宮に遷都された
記念日の4月20日に勅使が参向して行われている。このほか主な祭典として、6月10日時の記
念日の漏刻祭、7月7日の燃水祭、11月7日の御鎮座記念祭、12月1日の初穂講大祭、1月前
半の日曜日のかるた祭(かるた開きの儀)などが行われる。また、日本古式弓馬術協会による武田
流鎌倉派流鏑馬神事が11月3日に行われていたが、2015年から6月第1日曜日に変更される。

  漏刻 Jan. 2, 2017

※ 天智天皇が日本で初めて水時計(漏刻)を設置した歴史から境内には各地の時計業者が寄進し
  た日時計や漏刻などが設けてあり、時計館宝物館と近江時計眼鏡宝飾専門学校が境内に併設さ
  れている。

  内院回廊

  楼門 Jan. 2, 2017

  内拝殿

小倉百人一首 第1首目を詠んだのが天智天皇にちなみ、競技かるたのチャンピオンを決める名人
位・クイーン位決定戦が毎年1月に行われ、高松宮記念杯歌かるた大会・高校選手権大会・大学選
手権大会なども 開催されるなど、百人一首・競技かるたとのかかわりが深い。競技かるたに取材し
た漫画・アニメ『ちはやふる』の舞台ともなっている。

天智天皇の百人一首の歌の歌碑も設置され、柿本人麻呂・高市黒人の万葉歌碑、弘文天皇(大友皇
子)の御製漢詩碑、芭蕉句碑、保田與重郎の歌碑など多くの歌碑・句碑が作られている。

 Wikipedia

  ● 今夜の一曲

16年3月19日(土)公開の『ちはやふる』主題歌「FLASH」(Perfume)はの主題歌。“競技かる
た=百人一首”を題材とした大人気コミックスを実写映画化した作品、「ちはやふる –上の句・下
の句-」と二部作連続での公開されている。二部作ともに主題歌として抜擢。和歌に込められている
煌びやかで、鮮やかな世界観や、登場人物達のキラキラした青春群像を表現したいという北島直明
プロデューサーの思いとPerfumeのメンバーが「ちはやふる」のファンであり、原作者の末次由紀が
Perfumeのファンだということでこのコラボが実現する。作詞/作曲は中田ヤスタカ。

 

彼女が、月と金星(宵の明星)が大接近していると興奮している。表に飛び出しデジカメで撮る。
肉眼でもハッキリと見て取れるほどの明るさだ。少し興奮する。

  

SWTⅡと勝鳥神社

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         金利がゼロに近い状況で金融緩和は効かず、マイナス金利の深掘りも
        金融機関のバランスシートを損ねるが、財政出動も併せて行えば効果はある。

                              クリストファー・シムズ
                               

                                 
                                 Christopher Albert Sims 
                                                               Oct. 21, 1942 ー                                 

                             
     

 

   

彦根市三津町に、17年の干支(えと)の酉(とり)にちなんだ名前の神社があることを知り、
その名も「勝鳥(かつとり)神社」。管理する三津町自治会によると、縁起のいい名前にあや
かろうと、一月だけで観光バス三百台が訪れる。自治会などは、もてなしの準備に大わらわと
なっているといことで、物見遊山も兼ね初詣にでかける。神社は1878(明治11)年、現
在の名前になった。つがいのニワトリの石碑や鳥をかたどった屋根瓦など「トリ」にまつわる
物が境内の至る所にある。氏子は約60軒。神主は常駐せず、普段は地元の人たちが掃除など
の世話を行っている。正月三が日、3500人が参拝との情報(2017.01.04 中日新聞)。

それによりと、一日からの三日間に約3500人、観光バス八80台弱が訪れた。12年前に
記録した一年間の参拝者数5千人は、一月上旬にも突破する勢い。2月までバスツアーの連絡
が入っており、小さな集落にしては、今年は2万人の参拝者を見込んでいるから半端じゃなく
なっている。面白い。

  

●  勝鳥神社の由緒

勝鳥神社は天雅彦命を主神とし、事代主命・大山昨命をまつるす。天雅彦命が出雲国から東方
へ征伐に出陣されたとき、事代主命らとともに、三津に立寄り、美濃国での戦死した天雅彦命
のなきがらを、高照姐命の兄が三津に葬り、勝鳥石を立てたと語り伝えられている。その後天
雅彦命を崇敬する近郷の領主や人々が多数所願し、明治11年に神籤神社を勝鳥神社と改めて
今日に至る。主祭神天雅彦今は古えよリ武勇の神として尊崇されている神であり、また事代主
命は大国主命の御子で、一般に恵比須さんと呼び親しまれている福の神、商売繁昌の神であり
ます。今年はトリ年であり、また「勝」という元気、勝負に勝つという縁起がかつがれ、前向
きな気が頂ける神様として、一気に注目され観光バスでの参拝が絶えず、今、人気のスポット
である。



参拝を終えランチは家で縁起を担ぎ「かっちんうどん」と日登実ワイナリーの「La Shi Sa」で
寒さをしのぐ。ところで、稲霊信仰による神祭や通過儀礼の食品であり、餅を食べることで神
の霊力を体内に迎え、生命力の再生と補強を兼ねた「かっちいうどんた」は、江戸時代には諸
国の街道筋では食べると力がつくと売り出された「力もち」なる名物餅も売り出され始め、
諸国を旅する旅人が餅が入ったうどんは力がつく(腹もちの良い)うどんということで全国で
に普及。「力うどん」と呼ばれることになる、カロリーと滋養補強(ネギ・蒲鉾。卵黄)を簡
単にいただける彼女の愛溢れるファーストフードである。

【RE100倶楽部:スマート風力タービンの開発 Ⅱ】

1.風車ロータの最適化

フィールド実験結果(統合課題A)を随時導入し、風洞実験と数値シミュレーションを併用し所
望する回転挙動を示し、かつ高効率 (45%以上を目標)の前後段風車ロータ形状を提案する。
このとき、 汎用設計法と低騒音化も視野に入れる.

1.2.1 タンデム風車ロータの位置付け

風況が良好な欧米に適した従来技術の延長線上にある現状の①水平軸プロペラ風車は、日本に
代表されるような風速の変動が大きく、風向も一定せず、水平軸プロペラ風車にとって、良好
な風況が得にくい地域において、必ずしも適しているとはいえない。これに対応するため、②
新たな風レンズ風車が提案されるとともに、③従来からのプロペラ風車、④ダリウス風車、⑤
クロスフロー風車などの性能向上が盛んに試みられている。

「風況を選ばない高出力インテリジェント風力発電機の実用化研究」では、タンデム風
車ロータが固定子を持たない独特な発電機の内外回転電機子をそれぞれ独立して駆動す
る全く新しい風力発電ユニットを考案し、その実用化を目指し、ここではタンデム風車ロー
タの独特な回転挙動に着目しながら、その形状と特性の関係を把握しながら好適なブレード形
状の設計指針を求めている。
 
1-2-2  タンデム風車ロータの所望回転挙動

この風力発電ユニットの特徴は、内外回転電機子に働く相反回転トルクが一致する点で運転さ
れるが、その回転方向と速度は任意であることを利用する風車ロータの回転挙動にある。風力
発電ユニットの姿を上図1-1に示し、所望する運転挙動を下図1-2に示す。カットイン風
速を過ぎると、両風車ロータは互いに逆回転を始め、後段風車ロータの最高回転速度付近で、
定格運転に達する。それ以上の風速になると、小径の後段風車ロータは風車運転として発生す
る回転トルクには限界があるため、大径の前段風車ロータと回転トルクと一致するように、回
転速度を減速し、停止状態を経て前段風車ロータと同方向に回転を始める。系統連系では別途
開発を進めている二重回転電機子方式二重巻線形誘導発電機との的確な連携プレーにより、発
生する電気の質を容易に保つことが可能となる。 


1-2-3 風洞実験装置と試供風車ロータ

風車ロータの特性を把握に、風洞出口(出口ノズル径 800 mm)端から測って280 mmの位置が
前段風車ロータとなるように下図1-3に示す実験装置を設けている。この風力発電ユニット
の姿は、大小二段の風車ロータと、二重回転電機子方式発電機によって構成されるが、ここで
は前後段風車ロータの発生動力を、それぞれインバータで回生制動のできる電動機に吸収させ
た。このとき二重軸構造となるが、後段風車ロータ軸(外軸)は、タイミングベルトを介し別
軸に連結され、各風車ロータ軸と電動機の間にはトルクと回転数の検出器が設けている。

前後段風車ロータのブレード枚数はZZ=3,ZR=5とし、下図1-5に示すブレードを準備。
ブレードEは、翼型からなる二次元ブレード(翼弦長 32 mm、市販の模型ヘリコプター 用な
ので翼型不明)である.ブレードGは MEL002 翼型からなり、周速比(=ティップ位置での
周速度/風速)λ=6のとき、半径位置によらず迎え角α=7degとなるようにひねりが与え
られ、ハブからティップにかけて、翼弦長が一定の割合で減少されている(35~26 mm)。

尚、後段風車ロータのブレード高さは、前後段風車ロータの好適直径比を調べたブレードEに
ついては 97.5~180 mm のものを使用 し、ブレードG は 180 mm である.以降,前後段風車
ロータ順にこれらのブレード識別E、Gを用いて、たとえば Tandem Wind Rotor GE(前段風車
ロータにブレードG、後段風車ロータにブレードEを用いた場合)と呼ぶ。さらに、前後段風
車ロータのハブ径は 50 mmで、両者のブレードの取り付け角度βF,βR(上図1-4)は自由
に設定することができる。実験は前述した本風力発電ユニットの運転条件を考慮し、前後段風
車ロータが発生した回転トルクが一致する点(方向は逆)で行った。このとき,予め調べた軸
受やプーリ機構などの機械トルクを加算した正味回転トルクで評価、風洞出口の流れはノズル
径範囲(直径 800 mm)で半径方向にほぼ一様かつ軸対称となることを確認。この流れは後方
になるにつれて、風車ロータ(直径 500mm)により排除される分、半径方向外向きに編流する。
その量は十分に広い一様流の場合と異なることが懸念されるが、風車ロータ外端より半径が大
きい位置で軸方向速度が入口基準断面の軸方向速度 VM0 とほ ぼ一致するため支障はないと判
断。 風車ロータのティップ位置における翼弦と相対速度から求ま る最高出力点での実験レイ
ノルズ数は、Re=5.8×104~1.4×105 程 度であり、実用機設計への資料として幾分問題は残る
が、基本 特性を把握する本研究の主目的に支障はないであろう。尚、この研究の実験範囲内
において相似則が成立することを確認しされている。



1-2-4 前後段風車ロータの好適な直径比と軸間距離

 Tandem Wind Rotors EE,GE を用いて後段風車ロータ(ブレード E)の直径を変化させて出力
と回転トルク特性を調べ、上図1-6 に示す。ここに DRF は前後段風車ロータの直径比[=
dR / dF]、CPmax は各 DRFにおける出力係数 CPmax[=P / (rAV 3)、 r:空気密度、P: 出力、A:
タンデム風車ロータの流れに垂直な投象面積] の最高値、V は風速、L は無次元軸間距離
[=l /dF、l:軸間距離],NFopt, NRopt,NTopt はその時の前後段風車ロータの回転速度(前段
風車ロ ータの回転方向を正)および両者の相対回転速度である。後段 風車ロータ径が大きく
なる(DRF 大)につれ、前段風車ロータに対する後段風車ロータの影響が強く現れるため、最
高出力を与える前後段風車ロータの回転速度 NTopt はブレード形状によらず遅くなる。これに
対し、直径比 DRF に対する後段風車ロータの回 転速度 NRopt の傾向はブレード形状によって
変化する.すなわち、前段風車ロータにひねりのあるブレードGを使用すると(Tandem Wind
Rotors GE)、後段風車ロータに比較的良好な流れを与えるため、段風車ロータの回転速度は、
 DRF  が小さい 領域で速いが、後段風車ロータのブレード E はひねりを持たないため、径の
増加に伴って、粗悪なブレード作用(径の大きい所では圧力面側で剥離、径の小さい所では負
圧面側で剥離)の影響が強く現れ、前段風車ロータのブレード形状によらずNToptはほぼ同じ
となる。

前段風車ロータを通過する流れは,半径外向きに偏る傾向を持つ(後述)が、後段風車ロータ
径が大きくなると、その流れのエネルギーをも受け取るため後段風車ロータの出力CPRmax は
増大するから,タンデム風車ロータとしての出力 CPmax は DRF =1付近で極大値をとるが、
上図.1-7 [NF,NR: 前後段風車ロータの回転速度(前段風車ロータの回転方向を正)NT:相対
回転速度]に示す前後段風車ロータの回転は、 DRF=0.84付近まで、相対回転速度が遅い領域
において後段風 車ロータが前段風車ロータと同方向に回転するのに対し、DRF =0.84 より
も大きくなると、前段風車ロータが後段風車ロータと同方向に回転する。これは、後段風車ロ
ータ径(受風、面積)が大きくなる分、後段風車ロータの回転トルクも大きくなるため、前段
風車ロータはその回転トルクに一致するように後段風車ロータと同方向に回転(一種の送風運
転)すると考えられる。このような、前後段風車ロータの回転挙動は、前述の本風力発電機の
着想から大きく逸脱するものである。したがって,着想に添い、かつ高出力の得られる最適な
前後段風車ロータ径比は、DRF =0.84である。上図1-6, 1-7には二種類のタンデム風車ロータの
場合を示しているが、上述した前後段ロータ径比に対する出力および風車ロータ回転挙動の傾
向は前段風車ブレードの形状に依存しない。 前項で得た好適風車ロータ径比 DRF=0.84 の場合
について、タンデム風車ロータの特性に及ぼす前後段風車ロータの軸間距離 L [=l / dF,図1-5
参照] の影響を下図1-8 に示す。前後段風車ロータの軸間距離 Lが短いほど半径方向への流れ
の偏りの影響が少なくなるので、出力CPmaxは増加する。実用上は、風による風車ロータのたわみ
や振動を考慮して、前後段風車ロータを可能な限り近付けることになる。



1-2-5 ブレード取付け角度と特性の関係

タンデム風車ロータとしての特徴把握の準備として、Front Blade G 単段の場合について、各ブ
レード 取付け角βF(上図1-4)に対する最高出力係数 CPmax およびそれを与える周速比 lopt を
下図1-9に示す。設計の際に所望した通り、βF =0 deg.で CPmax は最高値をとる。次に前章で得
られた好適なタンデム風車ロータの姿において、CPmaxを与えるブレード取付け角の影響を調べ
た(下図1-10)。ここに、lFopt,lRopt,lTopt は最高出力を与える周速比を示す。上述のように
Front blade G を単段とした場合の最適な取付け角度はβF=0 degであるのに対し、後段風車ロー
タを設けた Tandem Wind Rotors GE では、βF =10 deg. βR=16 deg.で CPmax が最大となり、
相対周速比lToptは前段ブレー ド取付け角に影響され,後段風車ブレード取付け角が大きくなる
につれて遅くなる。前段風車ロータの 周速比 lFoptはブレード取付け角が大きくなるにつれ遅
くなるが、後段ブレード取付け角度には影響されず、ほぼ一定の値をとる。後段風車ロータの
周速比  lRopt は前段風車ロータのブレード取付け角が単段として最適な値である 0 deg.で極端
に減速しているが、前段風車ロータのブレード取付け角が大きくなるにつれその影響は見られ
なくなる。これは,前段風車ロータの取付け角度を最適にすると、後段に流入する流れのエネ
ルギーが減少してタンデム風車ロータ全体としてみると良好な出力が得られなくなることが考
えられる.従って、前段風車ロータの設計に際しては、後段に流入する流れを考慮する必要が
あろう。


1-2-6 周速比と特性の関係

前項で最高出力が得られた単段の風車ロータ(Front blade G,bF=0 deg.)と、Tandem Wind
Rotors GE(βF=10 deg. βR=16 deg.)の速度特性を図 1-11に示す。タンデム風車ロータにすると最
高出力を与える相対周速比は速くなる。しかし、最高出力を与えるときの前段風車ロータの周
速比 lFopt は、後段風車ロータの影響を受けて単段風車ロータの場合よりも遅くなる。
また、Tandem Wind Rotors GEでは、かえって出力は低下する。これは、後段風車ブレードが二
次元対称翼であるため、後段風車ロータが十分な仕事をせず、それが前段風車ロータに流入す
る流れも減少させていることが主因である。そこで,後段風車ロータに,後述する前段風車ロ
ータ出口の流れに対して半径によらず好適な迎え角α=11deg.が得られるブレード(Rear bladeG)
を採用すると、最高出力は向上する下図 1-12)。このときのタンデム風車ロータとして好適な
取付け 角はβF =5 deg. βR =15 deg(図略)となり、後段風車ロータは前段風車ロータの好適
化に影響する。このことからも、高効率を示す単段風車ロータを単に組み合わせるのではなく、
タンデム風車ロータとして独自の設 計法を求める必要があることがわかる。



ここまで、水平プロペラ型風力発電の設計を要件を知るために俯瞰したが、当面、詳細に実験
成果を少し細かく考察していく。わたし(たち)が考えている新風力発電システムは、この延
長にない。いずれその概要を呈示するまではもう少し先になる。

                                   この項つづく

● シムズ論文:金融緩和を続けながら財政出動は有効※

昨年末の週刊エコノミスト2016年12月27日号(毎日新聞)「インタビュー 浜田宏一内閣官房
参与・米エール大学名誉教授」の記事が気になっていたので掲載しておこう。「アベノミクス
で日銀が掲げた「物価上昇率2%」の目標は達成されていない」「ではどうすればいいのか」
「これまでは財政出動を主張していなかった」「財政出動というが、国と地方を合わせた債務
残高は国内総生産(GDP)に対して200%を超え、日銀の国債買い入れの限界も指摘され
ている」「金融緩和のためには、日本国債でなく、米国債など外債を購入するという選択肢も
あるのでは」「11月15日付『日本経済新聞』朝刊のインタビュー記事で「かつて『デフレはマ
ネタリーな現象だ』と主張していたのは事実で、学者として以前言っていたことと考えが変わ
ったことは認めなければならないと発言したことが、一部で、リフレ政策や量的緩和を否定す
る発言”と解釈されて話題になっている」「トランプ氏は中国と日本を"為替操作国"と主張し
ていた」「トランプ氏はTPPにも反対している」「米国経済の見通しは」「17年の日本経
済に楽観的か、悲観的か」などの質問に応えている(詳細は下図ダブクリ参照)。

計量経済学者である浜田の受け答えは至って冷静である。初期のアベノミクスで効果が出たの
は、人々により新しいインフレ的なレジーム(政策)を期待させたこともあるが、一義的には
量的緩和が円レートの下落と結びついていたが、米大統領選でのトランプ氏当選までは円投機
の影響なのか、金融緩和が円安に結びつかなかった。この1年間、量的緩和の効果が頭打ちに
なる。一番よいのは、金融緩和を続けながら政府が財政支出、あるいは減税をすることで、公債発行
増大に伴う利子率上昇が民間投資阻害が相殺され金利上昇を抑えられ、強いては金融緩和で財政政
策効果を補強できる。ここで、眼を惹いたのはつぎの箇所。


 2016年8月に米ワイオミング州ジャクソンホールで開かれた会合でクリストファー・
 シムズ米プリンストン大学教授が発表した論文を知り、考えが変わった。シムズ教授は日
 本の現状について「金利がゼロに近い状況で金融緩和は効かず、マイナス金利の深掘りも
 金融機関のバランスシートを損ねるが、財政出動も併せて行えば効果はある」という指摘
 をしている。それは政府、日銀を除く国民のバランスシートを考えると自然な発想で、財
 政政策も重要だ。

※ FISCAL POLICY, MONETARY POLICY AND CENTRAL BANK INDEPENDENCE, CHRIST-
       OPHER A. SIMS,
Embargoed until presentation time of 1:00 p.m. Mountain Daylight Time, August
       26, 2016


※ Sims highlights fiscal dominance at Jackson Hole, Gavyn Davies, Author alerts, Aug 29 2016 10:42

そして、浜田は、次のように結ぶ。米国が財政出動をすれば景気もよくなり、日本経済にも波及するの
で、目先は楽観的。だが、トランプ政権は矛盾だらけの政策を追求しそうなので、予想外の波乱もある
だろうと。 同感である。


 

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          トランプは口を開けば嘘をつくのです。/ トニー・シュウォルツ

                   "Lying is second nature to him"    Tony Schwartz


                                    
                                                         born 1952 -

  
        ※ 嘘つきは泥棒の始まりと言いますが。        

 


【常在戦場2017:超マクロ編】

● 米国に吸い寄せられるマネー:ブラックスワン警戒

国の招商銀行が、12月中旬に売り出したドル建て年利2・37%の理財商品は60秒で完売
――。米大統領選後のドル高・人民元安を受けて、中国で人民元からの資本逃避が加速してい
る。リアルな金融商品ばかりではない。仮想通貨のビットコインにまで殺到している。11月
の欧米のビットコイン取引高は過去最高を更新した。それに貢献したのが、中国マネーだった。
中国にはビットコインの大手取引所が3つあり、世界取引量の9割以上を占める。11月の取
引高は、1億7471万ビットコイン(約16兆円)に達し、これまでの過去最高だった3月
の1億4856万ビットコイン(約11兆円)を上回りた。人民元相場は12月に入って1ド
ル=6・9元台後半と、8年7ヵ月ぷりの安値をつけた。元安を加速させたのは、11月の米
大統領選でのトランプ氏の勝利だ。同氏が公約に掲げた大型減税や巨額インフラ投資に期待が
集まり、米国経済が活性化するとの思惑から、中国もきめた既界中のマネーが、米国株式市場
に流れ込む。

 

出典:週刊エコノミスト

三井住友アセットマネジメントの渡辺英茂調査部長は「トランブ氏の勝利後、世界の資金フロ
ーは大きく変化した」と話す。上図は、トランプ政権誕生が決定した直後の2016年11月
10日~12月11日の政界各国・地域の株式・債券ファンドの資金流出入額だ。米国の金融
商品調査会杜「EPFRグローバル」のデータを基に渡辺氏が分析した。米国の株式市場には、
1ヵ月余りで600億ドル(約7兆円)もの資金が流人。渡辺は「積極的な財政政策が取られ
るという期待が高まり、トランプの掲げる『強いアメリカ』に資金が吸い寄せられているよう
に見える」と指摘する。

金利上昇(債券価格下落)、インフレの高まり予測から、米国内で債券から株式への大資金移
動が起きる一方で、ドル金利上昇(ドル高・自国通貨安)を見越し欧界中からマネーが米国に
向かっているのである。投資家はこれまでの低成長・超低金利持続を前提とした運用スタンス
の見直を迫られた。日本でもファンド経由では流出となっているものの、東京市場では外国人
投資家が、米国大統領選の結果が出た11月週2週日以降、5週連続(累計3兆円超)の大幅
な買い越しに転じた。また、ファンド経由でもでは流入超になりている。

● ビジョンを失った欧州の政治家

一方で中国のほか、マレーシアやインドネシアなどマネーが吸い取られた新興国は通貨安にあ
えぐ、急激な資金流出は通過安、インフレを招き、実体経済をむしばむ。通貨安が止まらず、
それが連鎖するような事態になれば、1990年代後半のアジア通貨危機の危機の再来となり
かねず、「ブラックスワン(めったに起こらないが、発生すると大きな悪影響が出る事象)」
を警戒する声もある。英国の欧州連合(EU)離脱や、ドイツ・フランスで相次ぐテロとい
った政治・社会問題を抱える欧州からは債券資金が大映に流出した。欧州巾‐吸銀行(ECB}
による金融緩和は継続しているが、景気は上向かず手詰まり感が漂う。シリアなどからの移民
難民問題も影を落とす。これらの問題に既存政党が解決策を示せず、大衆の不満が尚まる中、
17年の「選挙イヤー」を迎える。

仏大統領選(4~5月)で極右政党・国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首が有力候補と
なるなど、移民排斥や反グローバリズムを掲げる勢力が台頭する。菅野泰夫大和総研ロンドン
リサーチセンター長は、政治家はもはや理念や理想を語る余裕はない。移民問題や経済政諏へ
の不満を不満をぶちまけないと、支持を集められないからだと逼迫した現地の様子を伝える。
16年は外国のEU離脱や米大統領選で、エスタブリッシュメント{既成勢力}を、否定し、
大衆の不満と不安を取り込むボピュリズムが台頭。17年は各国で国民の分断と反逆の動きが
さらに加速し、反グローバリズムが先鋭化し分岐点にあると結んでいる(世界経済総予測20
17「米国に吸い寄せられるマネー "警戒されるブラックスワン"」、週刊エコノミスト 2017.
01.03/10合併号)。

【トランプの経済政策予測】

● 楽観論:ポール・シェアードS&Pグローバルチーフエコノミスト

不確実性はあるものの、前例にとらわれない大胆な政策実行で閉塞感を突破しれない。その1
つが、金融政策に過度に依存しすぎた反省から、金融と財政の一体運営(リバランス:再均衡
)へのシフト――政府主導による大規模な財政出動やインフラ投資の促進が求められているが、
これはEUの緊縮財政からの転換を意味する。

● 悲観論:スティーブン・ローチエール大学シニアフェロー

トランプノミクスは一晩で米国経済を強靱にできる魔法ではない。今年の早い時期に税制改革
を着手するがこれが直ちに経済浮揚させることができるかは別問題で、財政出動より官民パー
トナルシップの税制控除で投資を活性化させるだろうが4%の経済成長目標を達成できるかと
いうと難しい。従って、企業は技術・人材双方への投資を必要とするが、消費マインドが先行
する中での法人税の引き下げは効果がないだろう。17年の世界経済リスクは①貿易通商の急
減速を伴う脱グローバル化、②保護主義の台頭、③米中関係の急激な悪化が懸念される。

● 資本主義の終焉:水野和夫法政大教授

水野和夫は、英米で起きている現象は近代資本主義国家が作り上げた秩序が崩壊しようとして
いる表れであるが、安く仕入れて、高く売る成立条件崩壊後の新しい秩序がどのようになるの
かが明らかになるには時間を要する。経済学者ケインズはゼロ金利は「利子生活者の安楽死」
をもたら、革命を経ずに大きな社会改革が可能と指摘しているが、現代の日本とドイツがまさ
にそうした状態にあるとし社会のすみずみに資本がいきわたりゼロ金利の状態で、分配による
社会改革が可聡な状態にあるものの、旧来の価値観から離れなければ新時代の秩序は見えてこ
ない。

● 被害者意識に彩られたナショナリズムへの回帰:小野塚知二東大教授

比較劣位業種を生む国際分業は、地域の衰退や失業という苦難を与え、輸出産業も過当競争に
陥る。国際分業の深化にともなって発生するさまざまな苦難への配慮と対処を怠るなら、苦難
か生み出す被害者意識と政治との相互作用の結果、戦争によって国際分業そのものが壊されて
しまう危険性があることを第一次大戦は示している。「民主政治の本質は大衆迎合」との言説
は、19世紀末から20世紀初めにかけて、欧州諸国で史上初めて民衆が政治の決定権を握る
時、ナショナリズムは大衆に迎合すると見せながら、実は、捏造した「敵」への敵意に大衆を
扇動する。問題が国内であるのなら直視して、まずは国内で内需拡大、雇用創出、所得の再分
配などの地道な方法で解かなければならない。経済政策に失敗して外向きに逃避する結果が、
第一次大戦のような未曽有の災厄だとするなら、そのツケはあまりに大きい。

【常在戦場2017:マネー編】

● トランプショックは陰陽双方のゲームチェンジャー:長谷川克之みずほ総合研究所  

トランブ大統領誕生は世界経済の大きな節日、ゲームチェンジャーになる可能性かある。世界
的に財政・金融政策のポリシーミックス(政策の伜組み)の軸足が金融政策から財政政漿にシ
フトしつつある。トランプショックは、ポジティブでのゲームチェンジャーとなる可能性だけ
でなく、ネガティブなのゲームチェンジャーとなるリスクもある。17年は米国でサブブライ
ム問題が顕在化した07年から10年目、97年のアジア通貨危機から20年目、87年のブ
ラックマンデー(株価暴落)から30年目の節目の年にあたる。背景はさまぎまだが、国際協
調の瓦解、米ドル高リスク、規律の弛緩などがあった。トランブ・ショックが新たな危機の芽
となることがないか、注視する必要がある。

● 新興刻通貨安を促し、トルコ・リラ・人民元は要注意:山田雪乃大和証券

 

トルコは昨年7月のクーデター未遂事件後、エルドアン大統領が権限を強めており、与党・公
正発展党は12月10日に憲法改雨案を国会に提出した。実現すれば、トルコは大統領が大き
な権限を持つ体制へ移行し、中央銀行の機能.不全がさらに進むとの懸念が高まるだろう。メ
キシコと中国は、トランプが掲げる「保護主義的な貿易政策」の繁影響が最も懸念される。同
氏は「為替操作が製造業の不振を招いている」ため、メキシコ製品には35%、中国製品には
45%の関税をかけることを選挙公約とした。しかし、高関税の実現は難しく、比較的低税率
の関視導入にとどまるだろう。メキシコの経常赤字や成長率見通しは良好であり、足元ではメ
キシコ・ペソは売られ過ぎと考えられる。産油国のメキシコにとって、原油価格の上昇は追い
風である。一方、中国人民元は、米国との金利差拡大観測か今後も中国からの資金流出の動き
につながりやすい。

貿易政敵では、仮に中国から米国への輸出関税が男灯の平均4・2%から10%程度への引き
上げにとどまったとしても、中国の経済規模を考えれば輸出停滞や世界貨易量の減少などの悪
影響は懸念される。中国の米国向け輸出品では、機械や医療、靴、玩具、家電、廉価な電子機
器など幅広い製品が.悪影響を受けやすい。中国の貿易黒字の縮小に加え、高関税が同様に適
用される多国籍企業による直接投資の減少も懸念され、人民元安がさらに進むリスクもあろう。
その場合、人民元安か他のアジア国通貨売りへと広がるリスクを警戒すべきだろう。人民几安
は中国の輸出競争刀を強める方で、対人民元で通貨高となるアジア諸国の輸出競争力を低下さ
せる。人民元の下落が他のアジア通貨の下落につながるとの懸念か高まり、リスク回避的なセ
ンチメント(心理)も高まりやすい。ただ、輸出依存度か低いインドの通貨は、相対的に底堅
くなりそうだ。

【常在戦場2017:米国編】

● 新興国の債務不履行リスク増/米不動産価格割高:堀井政孝SBIボンドI・M社長


● 大幅減税・1兆ドルインフラ投資・共和党:秋山勇伊藤忠経済研究所

 トランプノミクスの大きな柱である 「大幅減優 ・ インフラ投資 ・ 規制改革」 を概観すると、国内経済
最優先政策」は目に見える分かりやすさが特徴(下表)。税制改革の主な中身は、連邦法人税
の大幅減税(35%から15%へ)、企業の海外留保利益還流時の税率軽減(―回限りで10
%に)、個人所得税の簡素化(税区分を7から4へ)と減税、相続税や贈与税の軽減など。米
シンクタンクのタックス・ポリシー・センタは、トランブ氏の公約かすべて実現すると、17
年に国内総生産(GDP)の1・8%に相当する約3400億ドル(約10兆円)の減税効果
かあると試算。通常、大幅な税制改正は膨大で複雑な法案修正か必要で、準備から法案可決ま
で、年単位に及ぶ時間がかかることもある上、上院での法案採決の前に立ちはだかる野党の壁
(議事妨害)を打ち破るには上院議員100人中60人の賛成が必要だが、共和党は52議席
と安定多数に届かない。

事態打開には「財政調整法」と呼ばれる議会における予算関連法案の審議スピードを速める手
続き,このプロセスを採用すると、時限立法になるものの、上院の過半数数の賛成で減税法案
が決議できる。共和党主流派を説得し、この切り札を使って減税法案を速やかに決めてしまう
手がある。 

インフラ関連では、老朽化した鉄道、高速道路、橋梁、空港など交通インフラの補修・刷新や
水・電力など杜会インフラの拡張・整備を推進するために、10年で1兆ドルの投資が見込ま
れる。この政策は、国民の便益を高め、雇用も刺激する効果があるので、まさにトランブが目
指す「国内重視」と「目に見える分かりやすさ」に合致する。問題の財源は、共和党の教科書
に従えば、財源目当ての赤字国債発行は控えたいので、そこでトランブか主張するのは官民バ
ートナーシップ――公共的な施設の整備・運営や公共サービスの提供に当たって、民間事業者
の資金やノウハウを幅広く活用する手法:Public Private Partnership。PPPは、政府業務において市
場機能を活用して、行政サービスの供給を最適化すべきという考え方(New Public Management)に基
づき推進され、その特徴は、専門家による行政組織の実践的な経営を目指すこと、業績の評価基準を
明示すること、権限の委譲を図ること、競争を強化することなど――による民間資金の活用や、税額
控除メリット。既に「インフラ債}を発行して、インフラビジネスに興味がある内外の投資
家の資金を呼び込むアイデアも聞こえる。「お得感」を分かりやすく見せてディール(取引)
を迫る。

大胆な規制緩和も公約に掲げている。金融規制改革法(ドッド・フランク法)撤廃など、金融
規制の見直しも含まれる。ビジネス・フレンドリーな環境作りに向けた規制見直しをすること
は確かだろうが、トランプは自前の資金で選挙を戦い切っており、良くも悪くもウォール街と
貸し借りがない。どこまで金融界寄りの緩和となるのか現段階では判断がつかない。政権発足
初期はトランプと共和党が.一枚岩となってオバマ時代の失地回復に向けた協調体制を取ると
しても、根底で理念を共有しない両者の対峙は避けられない。財政規律に対する思想の違いも
明らかなため、2月の大統領予算教書より始まる17年度予算策定を巡る両者の駆け引きが最
初の試金石になるとなる。

● トランプ外交 「ディール(取引)」は安保に通用せず:手嶋龍一外交評論家

「日本もアメリカを防衛する義務を負うべきだ,我々がこう求めたなら、日本の人々はきっと
断ってくるに違いない。それじゃ交渉は決裂だと訪えばいい。日本は必ずや米国を防衛すると
我々の要求を受け入れるはずだ」(大統領選挙で隠れた激戦州となったウィスコンシン州ミル
ウォーキーでの選挙演説)。トランプが安全保障について、どのような考えを抱いているか、
この演説にくっきりと表れている。
         I
トランプ流のビジネスのディールは、大国がしのぎを削る安全保障の世界では通用しない。た
とえ日本に譲歩させても、日本国内の反米ナショナリズムをあおってしまえば、新興の軍事大
国、中国に付け入る隙を与えてしまう。米国はTPPから公約の通り時に離脱するのだろう。
そうなれば東アジア第2の大国日本、中国か主導する「東アジア地域包括的経済連携」に大き
く傾かざるを得ないだろう。南シナ海に、そして東シナ海にとせり出しつつある海洋強国・中
国は、軍事、貿易の両面で優位に茫つことになる。これでは太平洋に巨大な戦略的空白を生じて
しまい、トランプ次期大統領が目指す「強い米国」など到底望めない。

オバマ大統領が自ら推敲を収ねて練り上げた「ヒロシマ・スピーチ」は、日米両国の政治の底
流に蓄積きされつつある「歪んだナショナリズム」に警告を発するもので同盟関係を単に軍事
的な盟約にとどめることなく、自由や民主主義といった共通の理念を分かち合う揺るぎない礎
の上に築き上げていくべきだと説いている。「米国と日本は単なる安全保障同盟だけでなく、
私たち市民に戦争を通じて得られるよりもはるかに多くのものをもたらす友情を築いてきた」
とのオバマスビーチは15年4月19日、安倍首相が米議公で行った演説への答えに他ならな
い。この安倍演説では、ワシントンのフリーダム・ウォールの壁面に刻まれた第2次世界大戦
の犠牲者を追悼る4000の星々に触れている。「その星ひとつひとつが先の戦陣に斃れた兵
士7百人の命を表すと聞いたとき、私を戦慄が襲いました。金色の星は、自由を守った代償と
して、誇りのシンボルに違いありません」安倍首相はこのスビーチを通じ、日米同盟もまた自
由と民主主義を共に分かち合う「理念の同盟」としなければと訴え、議会人の共感を勝ち得る。
そして4年間に及んだ安倍・オバマ時代の棹尾を飾る会談を真珠湾で行うことで「理念の同盟」
をさらに揺るぎないものにしたいと訴えている。

● 金融政策 FRBは無謀な政策に「警告」:鈴木敏之三菱東京UFJ銀行




● メディア戦略 オルタナ右翼に既存メディア機能不全:前嶋和弘上智大教授



16年の大統領選では、CSI テレビや新聞など既存の大手メディアの影響力低下が浮き彫りに
なった一方、ネッ卜上で支持者を拡大する過程で白人至上主義や移民排斥など極端に差別的な
傾向を持つ二ュースサイトが注目を集め、白人至上主義や移民排斥、反ユダヤなど人種差別的
な運動は「オルト・ライト(オルタナティブ・ライト、オータナ右翼)ごと呼ばれる。この運
動を牽引してきた代表的なメディアがオンラインニュース「ブライトバート・ニュース」。

現在でも新聞や地上波のニュースは「客観性」が行動原理。24時間ニュース専門局やインタ
ーネットの台頭で、情報源としての地位は相対的に下がりつつある。ネット上の情報を「差別
的」「虚偽の内容」と切り捨てるだけではかえって批判の矛先が自分たちに向くことになりか
ねず、既存メディアは有効な対抗策が見えない状態にある。トランブ当選の背景には、このよ
うな既存メディアを取り巻く機能不全があることを忘れてはならない.政権の情報概略の全容
はいまだ明らかではないが、新興ネットメディアに通じたスティーブン・バノンを政権中枢に
迎えたトランプ陣営か、世論の動きを分析しながらネットを積極的に活用していくのは間遠い
ない。例えば自分が支持する政策に対して議会が異を唱えた時、オルト・ライト支持者を一気
に動員して世論の圧力をかけてくる可能性もある。オルト・ライトが跋扈するネットの情報空
間は、大統領就任後もトランブを援護射撃していくだろう。

Steve Bannon Nov. 27, 1953 -

以上、「2017常在戦場」に関する情報をまとめてみた。わたし(たち)の視座(=いかに
して前社会主義社会に移行するか)からどのように評価・是正すべきかという問題解決のイメ
ージはすでにブログで掲載しているので変わらないが、個別局面では今後の展開如何で緊張を
強いられるだろう。年頭で頭を整頓するために「週刊エコノミスト」を参考にさせてもらった。

 

再エネ百%社会へ突入

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                             運は動より生ず    / 『易経』(えききょう)



      ※ 易経の「易」という字は、トカゲを側面から見た象形文字で、
        上部の「日」はトカゲの頭部、下部「勿」は足と尾であると
        いう(『説文解く字』)。ある種のトカゲは十二時虫とも呼
        ばれ、体色を一日に12回も変えることから、易という字は
        「変化する」という意味を持つようになった。

                                                                

  

【RE100倶楽部:太陽光利用革新的イチゴ栽培】

● 山口県で実証、暖房費80%削減:先ずは太陽光型植物工場で

昨年12月14~16日都内で開かれた展示会・アグリビジネス創出フェア2016(農林水
産省主催)で、山口県農林総合技術センターは、「太陽光エネルギーを蓄熱利用するイチゴ省
ネ栽培システム」の実証成果を報告。同システムは、日中のハウス内の余剰熱を蓄熱槽に蓄え
ておき、温度低下時の加温に活用する。隣接する未利用ハウスの屋根に1.62キロワットの
フィルム型太陽電池を設置し、蓄電池(450アンペアアワー)と組み合わせ独立電源とし、
送風ファンなどを稼働させるもの。イチゴ栽培は、腰ほどの高さの台上で育成する高設型を採
用した。台の下にグリ石(岩石を割った小石)による蓄熱槽を配置し、イチゴ苗を下から加温
する仕組み。ハウス内の温度が、グリ石の温度より高くなった場合、送風ファンを稼働して蓄
熱する。

ハウス表面には布団状保温資材を装着し、日中は巻き上げて、太陽光を取り入れた。布団資材
と太陽光蓄熱利用システムの相乗効果により、栽培期間中、ハウス内の温度を4℃以上に維持
が可能とし、15年12月から16年3月まで実証、暖房用の燃料使用量ゼロを実現。化石燃
料を使用せず、暖房費を80%削減し、基準単収4トン/10アールを確保できた。このシス
テムの特徴は次の通り。

山口型移動式高設栽培システム「スライドらくラック」による高位生産と省エネ技術:
ラック(栽培槽)を左右に移動させることにより、同じ面積のハウス内により多くの株
を植栽できるようにする。 2重アーチ構造によるパイプハウスのリノベーション技術:既存のパイプハウスを利用
し、より強度や採光性に優れるように作り変える。 高保温性内張り資材(布団資材)による保温と暑熱対策:布団資材とは、布の間にポリ
エステル綿を挟んだ布団のような資材を使うことにより、従来のフィルム資材より断熱
性を高めたもの。この布団資材をハウスの内張りに使用して、ハウス内の気温を植物の
生育適温に保つ。 局所加温用テープヒータシステムによる省エネ技術::スポット加温が可能なテープを、
イチゴの株元に沿わせて設置し、株元部分のみを加温することで、暖房コストを削減す
る。  太陽光エネルギーの蓄熱利用省エネシステム:日中ハウス内暖気を栽培槽下の蓄熱槽(
ぐり石)に蓄えておき、夜間放熱して栽培槽を暖めることで暖房コストを削減する。 

 

  滋賀県産章姫

 

 Wikipedia

 Jan. 4, 2017

● テスラ「ギガファクトリー」でリチウムイオン蓄電池量産開始

【電気自動車と家庭用太陽電池で先行】

1月4日、テスラは、米ネバダ州リノ(Reno)の東方約35kmに建設していた工場「ギガファク
トリー(Gigafactory)」で、パナソニックと共同でリチウムイオン蓄電池の量産を開始したと
発表。年間35ギガワットアワーの生産を見込む。 2170セル」(21mm×70mm)と呼ぶ円筒形
のセル(単電池)を量産する。同社がこれまで採用していた汎用品のセル「18650」(18mm×
65mm)より一回り大きい寸法となる。テスラとパナソニックが共同開発したもので、電気自
動車(EV)や定置型蓄電池など向け製品で、最高の性能を最低の製造コストで量産することを
目指す。

昨年12月、2170セルの品質検査のための製造を開始していた。当面、ギガファクトリーでは、
定置型蓄電池である「パワーウォール2(Powerwall 2)」と「パワーパック2(Powerpack 2)」
向けの2170セルを量産する計画。定置型蓄電池は、住宅用の太陽光発電システムや産業用のメ
ガソーラー(大規模太陽光発電所)、マイクログリッドなどでの利用が見込まれている。 また、
EV「モデル3(Model 3)」向けの2170セルの量産は、17年第2四半期に開始予定とする。18
年までに同工場では年間35ギガワットアワーの蓄電池を量産を見込む。この量産規模は、世
界中で現在、生産されているリチウムイオン蓄電池をすべて合計した量匹敵する。

 Jan. 5, 2017

テスラは、いくつかのフェーズに分けてギガファクトリーの建設を進める。フェーズごとに運
用で、完成した部分から同社とパナソニック、他のパートナー企業が迅速に量産フェーズに入
り、その後も漸次、生産規模を拡張できる。フェーズごとの運用により、工場建設や運用スキ
ルの継続的な改善や、セルの製造コスト低下といったメリットも得られるとする

テスラによると、現在利用している施設内の建築面積は190万平方フィート(約17万65
00平方メートル)で、複数階にまたがる延べ床面積は490平方フィート(約45万520
0平方メートル)である。これは、まだギガファクトリー総面積の30%未満に過ぎないとい。
完成時に同工場は世界最大の建築物になると同社は見込む。ギガファクトリーの稼働で量産が
進めば、セルの製造コストは大幅に下がると見込む。これは単に規模の経済だけでなく、自動
化率の向上、歩留まりを改善するプロセス設計、製造原単位(ワットアワー)当たりの設備投
資の削減、製造プロセスの集約・最適化など、いくつかの要因が効果を上げると目論む。

テスラは、米国内でリチウムイオン蓄電池を量産で数千人単位で雇用を創出し、同社とパナソ
ニックは、17年だけで数千人を地元から雇用すると見込む。生産量のピーク時では、ギガフ
ァクトリーは直接雇用で6500人、間接的に2万人から3万人の雇用創出を計画している。

  Dec. 21, 2016


● 浮体式洋上風力の発電コストを20円/キロワットアワーに低減

昨年12月21日新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、浮体式洋上風力発電シ
ステムの発電コストを20円/キロワットアワーに低減する要素技術の開発に着手することを
発表。風車・浮体・タワーを一体化した方式による軽量化、台風時の風荷重の低減などを実現
するシステムの概念設計、小型のモデル装置を使った水槽試験やシステムの安全性・信頼性・
事業性の評価などに取り組む。

洋上風力発電で先行している欧州などと比べて、日本の海には、遠浅の沿岸域が少なく、かつ、
海底も急峻な地形が多い。このため、欧州などで使われている風力発電システムをそのまま持
ち込むことが難しい。これらは、着床式の洋上風力発電だけでなく、より深い海域に対応でき
る浮体式の洋上風力発電システムについても言え、それぞれの方式で日本の海に対応できるシ
ステムを開発することで、導入できる海域を広げる狙いがある。

また、浮体式洋上風力発電では、出力2~5メガワット規模の実証研究が国内外で始まってい
る。この中で、技術の検証に加え、コストを低減できるような取り組みが盛り込まれる。今回
は、1点係留技術による風車ヨーシステム(風車の回転面を風向きの変動に追尾させる制御シ
ステム)の省略、2枚ブレード風車の採用による台風時の風荷重の低減、一体化した風車・浮
体・タワー方式による軽量化などを実現する発電システムの概念設計、部品の試作、水槽試験
などに取り組む方針という。

 

【RE100倶楽部:スマート風力タービンの開発 Ⅲ】

1.風車ロータの最適化

1-2-7  風車ロータ周りの流れ

 Fig.1-13 に示す測定断面 M0~M3 上の流れを自作の5孔ピトー管を用いて定常的に測定した。
単段風車ロータ(Front blade G)、Tandem Wind Rotors GE, GG の 各最高効率点における流れ
を Fig.1-14,1-15,1-16 に示される。ここに,R は風車ロータ半径で除した無次元半径(=2
r / dF)、①αは流れの測定結果から算出した迎え角、②VMtm,VRtm,VΘtm,は、M0 断面での
風速で除した、軸方向、半径方向(半径外向きを正)、および旋回(前段風車ロータの回転方
向を正)速度成分である。単段風車ロータの場合(Fig. 1-14)、風車ブレードを出た後の流れ
(M2断面)はロータの全域で旋回方向速度成分が発生し、特にハブ付近で顕著に現れている。
軸方向速度成分は、ティップに近づくにつれ減速が著しくなる。また、風車ロータに流入する
直前(M1 断面)から既に半径外向きの速度成分を持ち、前述の軸間距離が出力に対する影響
を持つものと考えられる。

次に、Tandem Wind Rotors GEとした場合(Fig. 1-15)、最適なブレード取付け角度が βF=10deg、
βR=16deg. (図略)であり、βF は単段として最適な値よりも大きな値を示しているため、前
段風車ロータの後流 (M2 断面)での軸方向速度成分の減速、旋回速度成分の発生が抑制さ
れている反面、後段風車ロータへの流入状態が改善されていることがわかる。しかし、Tandem
Wind Rotors GE では後段風車ブレードに二次元対称翼を使用しているため、ハブ側からティッ
プ側にかけて迎え角が減少、R=0.6 を超えた付近 で迎え角は負の値を示す。このため、後段
風車ロータは効果的な風車運転ができず、後段風車ロータの存在による一種の流れの閉塞によ
って前段風車ロータへの流入状態も悪化し、性能は期待できない。

そこで、後段風車ロータに Rear blade G を使用している(Tandem Wind Rotors GG,Fig. 1-16)。
Tandem Wind Rotors GEと比較すると、前段風車ロータに流入する 流れ(M1 断面)での軸方
向速度成分の減速は免れな いものの幾分は改善され、半径方向速度の増速が抑 えられている.
また、後段風車ロータを出た流れにおいて旋回方向速度成分の増速が顕著に現れていることを
確認。これは,後段風車ロータが十分 に仕事をしていることを物語る。前後段風車ロータは
設計よりも幾分大きい迎え角で、運転されている(設計点:前段α=8deg、 後段α=11deg.)。
 MEL002 翼型の揚抗比が最大となるのがα=10 deg. 付近、失速点がα= 21deg.付近である。
Tandem Wind Rotors GG, GE 双方とも、前段風車ロータは失速点付近で運転されており、所望
の性能を得られなかった可能性がある。これは,風車ロータ設計時に前後段 風車ロータの互
いの干渉を考慮していなかったためであり、前段風車ロータの設計段階において、後段 風車
ロータの存在を考慮する必要ある。

1-2-8 空力騒音

このインテリジェント風力発電ユニットは基本的に、増速機構や回転速度制御機構等の削除を
前提としているため、ナセル内部の機械音による騒音は考えなくてよいが、前後二段の風車ロ
ータを持つため、風車ロータ間の干渉による干渉騒音の発生、前後段風車ロータから放出され
る渦、前段風車ロータで発生した乱流成分が主流とともに後段風車ロータに流入する際の主流
乱れに起因する乱流騒音の発生が考えられる。

以上のことを踏まえ、タンデム風車ロータの空力騒音を把握し、前後段風車ロータ形状の違い
による騒音への影響について調べるとともに、ブレード周りの流れを計測し、騒音と流動状態
との関係を調べ、次のようなことを明らかにした。ここでの実験条件は、反回転時(NF=1800
rpm,NR=‐1800rpm)、周方向から測った前後段ブレード取付け角は βF=βR=11.3deg.、風速
は V=10.7m/s、前後段風車ロータ径比 は DRF=0.53、0.70、1.13、前後段風車ロータ間の軸間距
離は L=0.15,0.23,0.30 である。風車ロータ間距離の影響:等価騒音レベルは風車ロータ間距
離が狭いほど高くなる.これは風車ロー タ間距離を広くすることにより前段風車ロータで発生
した乱れが拡散され、後段風車ロータに流入する主流の乱れの影響が弱められたためと考える。

性能は風車ロータ間距離が狭いほど高出力となり、性能と騒音で妥協点を見つける必要性があ
る。後段風車ロータ径の影響:等価騒音レベルは前後段風車ロータ径比が大きくなるほど高く
なる。これは、後段風車ロータ径が大きくなれば、前段風車ロータで発生した渦や乱れの影響
を受けやすくなるためと考えられる.この風力発電ユニットは、前段に大径風車ロータと後段
に小径風車ロータをもち、前後段風車ロータ径比は DRF=0.84 と決定されているので、騒音レ
ベルが高い、後段に大径風車ロータを持つ場合については議しなくてよい。  

1-2-9  結言

大小二段の風車ロータと固定子を持たない新たな発電機によって構成される、タンデムロータ
型インテリジェント風力発電ユニットの実用化を目指し、前後段風車ロータの好適化を対する
指針を得た。

1-2-10 参考文献

(1)芽 陽一,新エネルギー辞典,(2002),P.365 (2)大屋裕二ほか,高出力つば付きディフューザ風車の
開発,日本風工学研究会誌 No.99, pp. 121-122 (3)前川博,揚力線理論に基づく水平軸風車の最適設
計,機論,52-474,B(1986),pp. 602-608
(4)奥林豊保ほか,ダリウス風車の変動トルクに関する研究,日本機械学会九州支部論文集,(2000),
pp. 103-104
(5)竹内一喜ほか,クロスフロー風車の高性能化に関する研究,日本機械学会 2003 年度年次大会,
(2003),pp. 67-68 (6)Kanemoto, T. et al, Almighty high output intelligent wind turbine generator with
tandem wind rotors, (2007), Proceedings of the 5th ASME/JSME Joint Fluid Engineering Conference,
CD-ROM FEDSM 2007-37541 (7)Kubo,  K.  et  al,  Development  of  Intelligent  Wind  Turbine  Unit 
with  Tandem  Wind  Rotors  and   Double Rotational Armatures (2nd Report, Characteristics of Tandem
Wind Rotors), (2008), Journal of Fluid Science and Technology, Vol.3, No.3, Special Issue on Utilization
of Renewable Fluid Energy, pp.370-378
(8)Kubo, K. et al, Intelligent Wind Turbine Generator with Tandem Wind Rotors Applicable to Offshore
Wind  Farm (Profiles and Performances as Tandem Wind Rotors), (2008), Proceedings of the 18th Intern-
ational Offshore and Polar Engineering Conference, pp.441-446(9)金元ほか,機論,66-644, B(2000), p.
1140
(10)http://riodb.ibase.aist.go.jp/db060/index.html
 (11)牛山 泉,風力エネルギーの基礎,(2005)
(12)牛山 泉,風車工学入門 ~基礎理論から風力発電技術まで~ ,(2002)
(13)西山哲夫,翼型学,(1992)
(14)Erich Hau,Wind Turbines (Fundamentals, Technologies, Application, Economics),(2006)

1-3 今後の課題と取組

定格風速以下の風速域における最高効率運転を目指して風車ロータの開発を進めてきたが、こ
の風力発電ユニットでは定格風速以上の風速における後段風車ロータの回転挙動が重要となる。
今後、風速の増加とともに後段風車ロータが停止を経て前段風車ロータと同方向に回転するた
めの形状を探究する。

以上、コメントなしで掲載。
                                    この項つづく

風車の上に寒昴

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                    石油のため,一国の運命を賭して戦争をする馬鹿がどこにあるか。

                                                    横山臣平 『秘録 石原莞爾』

                                                                        
                                                                    Jan.18,1889 - Aug. 15,1949 

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                         瑕疵多き 我が庵にも 寒昴

 

 

● 水と暮らしの繋がりに命を懸けて

昨日は彦根市民の飲み水を守る会の新年会の資料づくりのため、小雨降り続く中、住民運動史
の編纂のため長老格の谷口三平さんと機械工学士の佐々木浩さんのご自宅を訪問し、「びわ湖
と下水道」講演会(講師:中西準子東大教授、故鈴木紀雄滋賀大教授、会場:彦根市民会館、
開催日:1980.09.07)の開催期日の確認など行う。谷口さんのご自宅では当時の写真アルバム
をお借りし、ホームページやブログ掲載写真とする(写真上/下)。当時は中国プラントの仕
事で風土病の換券から微熱が収まらず辛い記憶を思い出すとともに、やはり、当然、あの時僕
たちは若かったと当時を懐かしく回顧。佐々木さんのご自宅では当時の貴重な資料を閲覧し、
改めて画期的な住民運動が展開できたことを感謝するも彼は謙遜する。具体的な活動ができて
いないものの、本会を維持することで「水」と「暮らし」上の課題との繋がり(災害、放射能
汚染、地球温暖化など)ができるので細くても続けていきと伝え帰ってくる。新年会には、現
在、個人的に行っている「ナショナルトレッキング」も紹介する。 なんなら、高齢者の仕事(事
業)作りについても話し合っても良い。

 

【RE100倶楽部:スマート風力タービンの開発 Ⅳ】

今夜は、「風況を選ばない高出力インテリジェント風力発電機の実用化研究」の成果報告をは
なれ、水平型プロペラ型風力発電システムの特許事例(特開2016-014331 風力発電システムお
よび風力発電方法)を俯瞰してみることに(下図ダブクリ参照)。 

再生可能エネルギーのうち、風力や太陽光などの自然エネルギーを利用した発電は、運転期間
中安定した出力が得られないことが想定され、その変動は数秒から数十秒周期と不規則であり、
出力自体も大きく変動すると考えられている。このような出力特性を持った電源は、単独ある
いは既存の電力系統と連係して運用する場合のいずれにおいても、電圧変動や周波数変動を引
き起こすなどの悪影響を与えると考えられ、積極的に導入していくには、この変動を吸収し出
力を安定化させることが重要だ。

風力発電の出力を安定させる技術の一つに、例えばフライホイール装置を用いてエネルギーを
貯蔵することで出力変動を吸収する技術がある。この技術におけるフライホイール装置は、1
つのモータに回転する円盤が直結した構造であり、電気エネルギーを回転エネルギーとして蓄
積する装置である。フライホイール装置の慣性モーメントについては特に規定がない。このよ
うな回転体を用いてエネルギー貯蔵を行う場合、回転体に付与する回転トルクが回転慣性モー
メントを超える場合、回転体が回転を開始し、その回転運動エネルギーとしてエネルギーが貯
蔵され、この運動エネルギーを回転トルクとして駆動軸等で取り出すことにより、貯蔵された
エネルギーを消費すると考えられる。

この場合、フライホイール装置の慣性モーメント力が一定であると、風力が小さく、フライホ
ール装置に付与できる駆動力(回転トルク)が小さい場合には、ホイール自体の回転抵抗に対
し駆動力が小さくなり、フライホイール装置が駆動しないためエネルギー貯蔵ができなくなる。
 また回転トルクが十分に大きい場合には、フライホイール装置の慣性モーメントが相対的に
小さくなり、さらに回転エネルギーを貯蔵しようとしてもその上限が限定されてしまうことが
想定される。

上述のように慣性モーメントが一定のフライホイール装置を備えた風力発電システムにおいて
は、風力の変化(強弱)に対応した効率的な運用ができないという課題があった。風力の変化
に対し、効率的な運用が行え、安定した出力を得ることができる風力発電システムおよび風力
発電方法を提供するものである。実施形態の風力発電システムは、発電機、回転軸、質量移動
装置を備える。発電機は風力で回転する風車部を支持し風車部の回転により発電する。回転軸
には風車部の回転力が伝達される。質量移動装置は回転軸に軸支された円環部を有し、回転軸
の回転に応じて円環部と回転軸との間の径方向の質量を変化させる。Jan. 28, 2016

【符号の説明】

1…風力発電システム、3…タワー部、4…発電機本体部、5…ナセル、6…風車部、7…ブ
レード 8…ハブ、9…可変ピッチ機構部、10…倍速機、11…ブレーキ装置、12…発電
機、13,14…回転軸 23,24…液体室、25,26…通路、27…剛体、28,29,
52,53,62,63…ばね、41…金属懸濁液(機械油)、50…フライホイール装置、
51,61…錘(おもり)、54…ダッシュポット、64…スロープ

【要約】

風力発電システムは、発電機、回転軸、質量移動装置を備える。発電機は風力で回転する風車
部を支持し風車部の回転により発電する。回転軸には風車部の回転力が伝達される。質量移動
装置は回転軸に軸支された円環部を有し、回転軸の回転に応じて円環部と回転軸との間の径方
向の質量を変化させることで、風力の変化に対して効率的な運用が行え、安定した出力を得る
ことができる風力発電システムおよび風力発電方法を提供する。

【特許請求範囲】

風力で回転する風車部を支持し前記風車部の回転により発電する発電機と、前記風車部
の回転力が伝達される回転軸と、前記回転軸に軸支された円環部を有し、前記回転軸の
回転状況に応じて前記円環部と前記回転軸との間の径方向の質量を変化させる質量移動
装置とを具備する風力発電システム 前記質量移動装置が、前記円環部と回転軸との間に径方向に並べて設けられ、流動体が
充填された第1および第2の液体室と、前記第1および第2の液体室間を前記流動体が
流通可能な通路と、前記円環部と前記回転軸との間に、前記第1および第2の液体室を
径方向に弾性を持って支持する弾性支持部材と、前記第1および第2の液体室との間に
固定して設けられ、前記第1および第2の液体室の互いに対向する壁面を摺動自在に
構成する壁面を有する剛体とを具備する請求項1記載の風力発電システム 前記流動体が、機械油である請求項2記載の風力発電システム 前記流動体が、機械油に金属粉を懸濁させた金属懸濁液である請求項2または請求項3
いずれかに記載の風力発電システム。 前記質量移動装置が、前記回転軸と前記円環部とに弾性支持部材を介して支持されたお
もりと、前記回転軸および前記円環部との間に前記弾性支持部材と並行して配置され、
前記おもりの移動速度を緩和する緩和装置とを備える請求項1記載の風力発電システム 前記質量移動装置が、前記円環部の内周面の側から前記回転軸の外周側へ向かって高さ
が低下するように設けられた傾斜部と、前記傾斜部の傾斜に沿って摺動自在に、前記回
転軸と前記円環部との間に弾性支持部材を介して配置されたおもりとを具備する請求項
1記載の風力発電システム 風力で回転する風車部を支持し前記風車部の回転により発電する発電機と、前記風車部
の回転力が伝達される回転軸とを有する風力発電システムにおける風力発電方法におい
て、前記回転軸に軸支された円環部と前記回転軸との間の径方向の質量を、前記回転軸
の回転状況に応じて変化させる風力発電方法

【実施形態】

まず、図1および図2を参照して第1実施形態を説明する。図1に示すように、第1実施形態
の風力発電システム1は、基礎2に固設されたタワー部3と、このタワー部3の上端に設けら
れた発電機本体部4と、風車部6と、変電部30とを備える。風車部6はハブ8と、このハブ
8にほぼ等間隔に支持された3つのブレード7と、可変ピッチ機構部9とを備える。可変ピッ
チ機構部9はブレード7の角度(迎角、ピッチ角およびヨー角など)を可変(調整)してブレ
ード7の回転を制御する機構である。

発電機本体部4は、ナセル5の内部に、回転軸13(第1回転軸)を有する発電機12と、ブ
レーキ装置11と、倍速機10とを収容してなる。回転軸13には風車部6が支持されており、
風車部6の回転に応じて回転軸13が回転する。倍速機10は回転軸13と回転軸14とを機
械的に接続し回転軸13の回転速度に対して回転軸14の回転速度を数倍に高める増速機器(
例えば2倍ギアなど)である。ブレーキ装置11は回転軸13に対してブレーキ(回転抑制)
をかけるための機器である。発電機12は風力で回転する風車部6を支持し風車部6の回転に
より発電する。

タワー部3は、内部がくりぬかれた柱状のタワー15と、このタワー15内に設けられた回転
軸14(第2回転軸)と、この回転軸14の端部に支持された質量移動装置またはエネルギー
貯蔵装置としてのフライホイール装置50と、発電機本体部4側の発電機12に通電ケーブル
17を介して接続された変圧器としてのトランス16とを備える。回転軸14は発電機本体部
4の回転軸13に機械的に連結されており、回転軸13の回転に伴い回転する。つまり回転軸
14は風車部6の回転力が伝達される回転軸である。トランス16は発電機12で発電された
電圧を所定の電圧へ変圧(昇圧)し変電部30へ送る。

このように風力によって回転力を得て発電する風力発電システム1では、発電機本体部4の回
転軸13はその回転トルクを発電機12に伝達するとともに、フライホイール装置50を支持
する回転軸14にも回転トルクを伝達する。風力の低下によって回転軸13の角速度が低下す
る場合、回転軸14はその慣性力に起因した回転トルクを回転軸13に付与する。変電部30
は系統連係保護装置31と電力系統32などを備える。系統連係保護装置31は発電機本体4
側と電力系統32の側との間で送配電関連の連携を行う上での系統保護を行う装置である。電
力系統32は例えば送電線や配電設備などである。

風力発電において、より効率のよいエネルギーの貯蔵には、フライホイール装置50の回転速
度に応じて、慣性モーメントが可変であり、特に回転速度が小さい場合には慣性モーメントが
小さく、回転速度が高い場合には、慣性モーメントが大きく設定されることがよく、より多く
の回転エネルギーを効率的に貯蔵できるフライホイール構造が適している。そこで、第1の実
施形態では、図2に示すように、フライホイール装置50は、このフライホイール装置の外壁
を構成する筒状の筐体(円環部)であるガイド20と、このガイド20内に回転軸14を介し
て対向(軸対称に)配置された液体室23(第1の液体室)と、液体室23よりも遠心側に設
けられた液体室24(第2の液体室)と、液体室23と液体室24との間を流動体が流通可能
な通路25、26と、液体室23と液体室24の間に固定して設けられた剛体27と、弾性支
持部材としてのばね28、29を備える。ガイド20は回転軸14に軸支されている。液体室
23、24はガイド20と回転軸14との間に径方向に並べて設けられている。液体室23、
24には、流動体(質量があり、流動する性質をもつ、または流動しやすいもの)、例えば金
属懸濁液41などの機械油が充填されている。

金属懸濁液41は機械油に金属粉を懸濁させた液体であり、比重が大きく、遠心力が作用する
径方向(以下「遠心方向」という)の移動で、より慣性力を高めることができる。液体室24
のガイド20の内周面側の面と回転軸14とは、ばね28を介して接続されている。液体室23
の回転軸14側の面と回転軸14とはばね29を介して接続されている。ばね28とばね29
は互いに釣り合いがとれる程度の付勢力を持っている。剛体27は液体室23、24の互いに
対向する壁面を摺動自在に構成する壁面を有している。剛体27の壁面は液体室23、24の
対向する面を摺動自在に塞いでおり、剛体27の位置は固定されている。このため液体室23、
24が遠心力で移動すると剛体27の壁面の位置との関係で液体室23、24の容積(内容量)
が変化する。

液体室23、24、ばね28、29および剛体27などにより遠心方向および求心方向の質量
移動装置が構成されている。遠心方向および求心方向などを包含して径方向という。すなわち
このフライホイール装置50は、回転軸14に軸支されたガイド20を有し、回転軸14の回
転状況に応じてガイド20と回転軸14との間の径方向の質量(重量)を変化させる質量移動
装置である。フライホイール装置50は、回転軸14の回転速度が増加すると、径方向の質量
(重量)を大きくし、回転軸14の回転速度が低下すると、径方向の質量(重量)を小さくす
る。続いて、この風力発電システムの動作を説明する。 この風力発電システムの場合、風力
によって回転トルクを得た回転軸13はその回転トルクを発電機12に伝達するとともに、回
転軸14を介してフライホイール装置50にも回転トルクを伝達し、フライホイール装置50
が回転する。




フライホイール装置50の回転により、液体室23、24全体が得る遠心力が、ばね28、29
の収縮力(付勢力)を上回ると、図3に示すように、液体室23、24全体がガイド20の側、
つまりホイール外周方向(矢印Pの方向)に移動し、液体室23、24の内容量が剛体27の
壁面によって変化する。このとき内容量が小さくなった液体室23の液体が通路25、26を
通じて内容量が大きくなった液体室24に送られる。これにより、回転軸14(重心)から離
れた位置の質量が大きくなり、慣性モーメントが大きくなり、フライホイール装置50に、よ
り多くの回転エネルギーを蓄積できる。

一方、フライホイール装置50の回転の角速度が低下すると、液体室23、24に作用する遠
心力が低下し液体室23、24全体が回転軸14へ向かう求心方向(または遠心方向と逆の方
向)に移動する。このとき液体室24の側面が棒状の剛体27の壁面によって圧迫されて液体
室24の液体が液体室23に送り込まれる。このようにこの第1実施形態によれば、風力が低
下し液体室23、24全体が得る遠心力がばね28、29の収縮力を下回ると、液体室23、
24全体が回転軸14の側、つまり回転中心の方向に移動し、液体室23、24内の液体が剛
体27の壁面によって圧迫されて回転軸14に近い液体室23に液体が移動し、慣性モーメン
トは小さくなり、低い回転トルクにおいてもフライホイール装置50を駆動することができる。

一方、風力が高まった場合には、液体室23の容積が小さくなり液体室24の容積が増えるこ
とで、回転軸14から遠い液体室24に液体が移動するので、慣性モーメントが大きくなり、
より多くの回転エネルギーを蓄積できる、という効果を得ることができる。また筒状のガイド
20内の液体室23、24内に充填する液体として機械油を用いることで、遠心力の変化に対
応して油が速やかに液体室23、液体室24間を移動し速やかに慣性力が変化するフライホイ
ール装置50を実現できる。特に実施形態のような金属懸濁液41を用いて流体の比重を大き
くすることで、慣性モーメントの最大値を大きくし、より多くの回転エネルギーを蓄積できる
効果が得られる。すなわち、風力が低下したときにも、回転エネルギーが蓄積されたフライホ
イール装置50からの回転トルクを受けることで発電機12の回転軸13は比較的安定した角
速度を得ることができ、発電出力の安定化を図ることができる。

このように、フライホイールを「フライホイール蓄電装置」と呼ばれ、さらに、フライホール
の用いられる「軸受」なかでも「磁気軸受」が技術焦点となっているいる。この特許事例につ
いては後日触れてみる。

                                    この項つづく

 

  Debbie Reynolds

映画「スター・ウォーズ」でレイア姫を演じた米女優キャリー・フィッシャーさんが死去し、
一夜明けた12月28日、母親で女優のデビー・レイノルズがロサンゼルスの病院で死去。こ
の娘の後を追うような急死に、驚きと悲しみが広がる。母のレイノルズは、娘キャリーの葬儀
の話し合いのために息子宅にいて、脳卒中を起こす。息子は、キャリーが亡くなったショック
が「大きすぎた」と話す。今年になって、何度か脳卒中を起こし、娘の死に、ひどく取り乱し
ていたという。倒れる前は「キャリーと一緒にいたい」と話しこれが最後の言葉になる。息子
は「母は今キャリーと一緒にいるが、私たちは全員、心を痛めている」と話す。レイノルズは
テキサス州出身、1948年に女優としてデビュー。ジーン・ケリーと共演したミュージカル
映画「雨に唄えば」(52年)での歌やダンスが高く評価されたほか、57年には主演映画の
主題歌「タミー」を歌い、大ヒットした。

 ● 今夜の一曲

I hear the cottonwoods whisperin' above,
"Tammy ... Tammy ...
Tammy's in love"

The ole hooty-owl
hooty-hoos to the dove,
"Tammy ... Tammy ...
Tammy's in love".

Does my lover feel
What I feel
When he comes near?
My heart beats so joyfully,
You'd think that he could hear.

Wish I knew if he knew
What I'm dreamin' of
Tammy ... Tammy ... Tammy's in love. 

デビー・レイノルズ 32年4月1日、米テキサス州エルパソ生まれ。57年に映画「タミー
と独身者」の中で歌った「タミー」はアカデミー音楽賞にノミネート。タイタニック号の生存
者を演じた「不沈のモリー・ブラウン」(64年)でアカデミー主演女優賞にノミネートされ
るなど、長く人気女優として活躍した。キャリーは、最初の結婚相手エディ・フィッシャーと
の娘。3度結婚している。

横隔膜トレーニング

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           盈(み)つるは欠(か)くる兆  /   乾為天(けんいてん)

 

                                           

 

   ※ 乾とは健、健強で疲れを知ら応こと。剛健、充実、能動である。すべて陽爻(一)は
     剛強で積極的なものを象徴するが、とくに全部陽爻でできているこの卦(か)は、その
     純粋なものを意味する。自然にあてはめれば天の働きがそれであり、人間では牡年期、
     事業ではフル創業である。もちろん、盛運を示す卦であるが、それだけに責任は重く、
     緊張も絶えない。しかも、物盛んなれば必ず衰う。頂点に達ずること衰落への一歩であ
     る。調子に乗りすぎのよう慎重を要する。乾は竜に象って説明される。

 

● 座ったままできる!胸・肩ほぐしエクササイズ

あさイチの面白い企画放送-「スゴ技Q ~肩凝り・だるさスッキリ呼吸法~横隔膜をサボらせない!」-
が飛び込んでくる。なかでも、フェンシングの世界選手権で日本人初の金メダルを獲得した太田雄貴の「座
ったままできる!太田さんオススメ 胸・肩ほぐしエクササイズ」は忙しい屋さんには面白いファスト・ト
レーニンフ。引退後デスクワークが多くなった彼が、座ったままできる、肩凝り、頭痛解消に役立てている
簡単・エクササイズ。それは、①イスのふちに手をかけて胸を突き出し、②肩甲骨をググッと寄せて、③呼
吸を止めずに10秒カウント。上半身の血行がよくなり、頭痛解消に役立っていると考えているというのだ。
これは即実行。 

 

【RE100倶楽部:スマート風力タービンの開発 Ⅴ】

16年12月27日、富士経済は、陸上および洋上風力発電システムの世界市場の調査結果を発表した。16年の風
力発電システムの世界市場規模(新設)は、5兆9119億円と予測している。15年より13.5%の減少となるが、
その後17年以降は拡大していく見通し(下図)。また、同調査の予測は、30年の世界市場は9兆7200億円にま
で拡大すると予測する。

● 世界風力発電市場は30年に10兆円に迫る

中国

16年の市場減少の要因として、中国市場の陸上風力の動向。中国では15年に過去最高となる風力発電の導入
量を記録し、世界市場の5割を占めた。一方、⑯年はFIT価格の低下や、系統の弱い好風況エリアの新設を規
制したためマイナス成長が見込まれる。しかし今後は、低風況エリアに市場が形成されると考えられる他、
「第13次5カ年計画」においては風力発電の導入目標を20年に210GWに引き上げている。このことから、今後
も年間20~25GWのペースで風力発電所の新設が進む見通し。

米国

米国は風力発電の発電量に応じて税金を還付するPTC(Production Tax Credit)制度が15年末に失効したことか
ら、16年はマイナス成長が見込む、その後19年まで延長が決まったこともあり、中期的にはプラスに転じる。
今後は低風況エリアでも採算がとれる大型風車による大規模システム開発を中心に、リパワリング市場も活
発になる。

欧州

欧州は、風力発電システム市場の黎明期より拡大を牽引してきたが、各国はFITから入札制度に変更しつつあ
り、イタリア、ルーマニアなど、財政事情の厳しい国から大規模な政策転換が始まっている。現在は政策支
援が残るドイツ、フランス、ポーランドなどで需要が期待できるが、17年以降ドイツはFITから競争入札への
移行が検討されている。

その他

現在需要が拡大しているのはブラジル、インド、カナダ、トルコ、メキシコなどで、特にブラジルの伸びが
大きい。また、30年になると中南米、インド、アフリカ、中東などが中国と肩を並べる需要規模になると予
想。洋上システムの世界市場は、これまでの導入拡大をけん引していたイギリスに加え、ドイツで稼働案件
が集中したことから15年に3GW超えとなった。16年は、14年の洋上FIT開始により中国市場が本格化してきた
ことに加え、米国でも初の開発案件の稼働が見込む。洋上風力発電は1サイトの開発に多くの時間を必要と
するため、本格的市場形成は20年代後半になると予想。欧州、中国以外のエリアは、洋上風力発電の導入を
後押しする政策を整備中であり、今後は日本、台湾、韓国、米国、インド、ブラジルなどで市場形成が期待
される。

 Dec. 27, 2016

 ● 国内市場は7倍に

風力発電システムの国内市場(新設)陸上システムの国内市場は、12年に始まったFITを追い風に、14年頃か
ら拡大基調にある。今回の調査では16年の市場規模は321億円で、30年に2160億円まで拡大すると予測。こう
した市場拡大に向けて、課題となるのが出力制御の問題だ。15年は太陽光発電大量導入により系統容量が抑
えられたことから、2016年に風況のよい北海道では新規接続申請分から出力制御が無制限でかかる状況であ
り、東北電力と九州電力も無制限出力制御の時期が迫っている。現在環境アセスメント審査中の案件を含め
22年頃まで導入が進むとみられるが、さらなる導入には系統増強、間接オークションの導入、1000時間出力
制御、無制限出力制御時の政府補償など、何らかの制度が必要と分析(下図)。 

 

20年以降は、00年以前に導入した小規模風力発電システムのリパワリング市場の形成も予想。洋上システム
の国内市場は、15年の洋上風力発電専用FITの設定、2016年の港湾法改定などで市場環境が整い、新規参入企
業が増加しているが、北海道、東北、九州といった風況のよい地域は、陸上・洋上ともに系統容量不足のた
め、無制限出力制御またはその対象となっており、開発が停滞傾向にあると指摘。また、洋上風力発電シス
テム市場の本格拡大には港湾外の一般海域の法整備が不可欠であり、系統問題を含めた法整備が必要とする。

 




 ● フライホイールおよびその製造方法並びに発電装置

富士経済グループの風力発電市場調査結果について、現在、関連装置・システムの調査開発作業虫のため、主体的
なのコメントを持ち合わせていない。なので、後日何らかのコメントを掲載したい。

さて、今回はフライホールとその製造方法とフライホール蓄電装置に関する特許事例「特許5966210 フライ
ホイールおよびその製造方法並びに発電装置 株式会社 Flayconver 他
」を考察する。 

フライホイールは、所定の慣性質量を有する独楽のような回転体を高速で回転させることで、大きな運動エ
ネルギを貯蔵できるように構成。このようなフライホイールを用いた発電装置は、フライホイールが余剰な
(または再生成された)電気エネルギを回転体の運動エネルギとして貯蔵し、発電器がこのフライホイール
の運動エネルギを電力エネルギに変換して、蓄電池を充電。蓄電池に蓄積された電力エネルギは、負荷の消
費電力として再利用され得る。従来のフライホイールでは、ロータ側には永久磁石が使用されているが、ス
テータ側には電磁石が使用されるので、この電磁石へ交流電流を供給する手段をフライホイールの回転軸な
どに取り付ける必要がある。このため、装置の構成が複雑になり、このことがフライホイールの小型化、汎
用化の障害となっている。

この課題を解決するために、この実施形態に従ったフライホイールは、①回転可能に設けられた回転軸と、
②回転軸に固定され回転軸とともに回転可能なロータと、③ロータに対向して置されて回転しないステータ
と、を含み。④このロータは、ステータに対向する第1面に設けられた複数の第1永久磁石を有し、⑤ステ
ータは、ロータに対向する第2面に、第1永久磁石にそれぞれ対応し設けられた、第1永久磁石と同一極性
の複数の第2永久磁石を有し、⑥第1永久磁石は、ステータに対向する第3面を除く表面の少なくとも一部
がカーボンナノチューブで覆われ、⑦第2永久磁石は、ロータに対向する第4面を除く表面の少なくとも一
部がカーボンナノチューブで覆われることを特徴とする。

このる実施形態に従った発電装置は、①電力を供給する充電可能なバッテリと、②フライホイールと、バッ
テリから電力を供給されて前記回転軸を回転させるモータと、③ロータの運動エネルギを電気エネルギに変
換し、バッテリを充電する発電器と、を含む。フライホイールの第1実施形態による製造方法は、①カーボ
ンナノチューブの塗布、滴下、または吹きつけにより、②第1および第2永久磁石の表面のうち第1および
第2面を除く表面の少なくとも一部を、水系エポキシ樹脂に含まれた状態のカーボンナノチューブで覆う工
程と、③第1および第2永久磁石上の前記カーボンナノチューブを熱圧着する工程と、を含み、さらに、フ
ライホイールの第2実施形態による製造方法は、 ①複数の第1および第2磁気性金属チップに着磁を実行し
第1および第2永久磁石を形成する工程と、②カーボンナノチューブの塗布、滴下、または吹きつけにより、
第1および第2磁気性金属チップの表面のうち、第2および第1磁気性チップの対向面となる第1および第
2面を除く表面の少なくとも一部を、水系エポキシ樹脂に含まれた状態のカーボンナノチューブで覆う工程
と、③第1および第2磁気性金属チップ上の前記カーボンナノチューブを熱圧着する工程と、⑤第1磁気性
金属チップの前記第1面が露出するように前記第1磁気性金属チップをロータの表面に回転対称に配設する
工程と、⑥前記第2磁気性金属チップの前記第2面が露出するように、第2磁気性金属チップをステータの
表面上で第1磁気性金属チップに対応する位置に配設する工程と、を含み、この着磁は、第1磁気性金属チ
ップのロータへの配設および第2磁気性金属チップのステータへの配設後に実行されることを特徴とする。

以下、この事例の要約は次の通り(下図)。

【要約】

フライホイール70は、回転可能に設けられた回転軸60と、回転軸60に固定されて回転軸60とともに
回転可能なロータ72と、ロータ72に対向配置されて回転しないステータ74と、を含む。ロータ72は、
ステータ74に対向する面TS72に設けられた複数の永久磁石73を有し、ステータ74は、ロータ72
に対向する面TS74に、永久磁石73にそれぞれ対応して設けられ、永久磁石73と同一極性の複数の永
久磁石75を有する。永久磁石73は、ステータ74に対向する面TS73を除く表面の少なくとも一部が
カーボンナノチューブCNTで覆われ、永久磁石75は、ロータ72に対向する面TS75を除く表面の少
なくとも一部がカーボンナノチューブCNTで覆われている。簡易な構成で大きな運動エネルギを貯蔵でき
るフライホイールを提供する。

Aug. 10,2016

 

【符号の説明】

10…バッテリ、30…モータ、60…回転軸、70…フライホイール、72…ロータ、73…(第1)永
久磁石、74…ステータ、75…(第2)永久磁石、82…エンコーダ、84…負荷電流計、86…ステッ
ピングモータ、88…カップリング、90,93…発電器、92…タイミングベルト、96…ボールねじ、
98…ガイド、100…コントローラ、173…(第1)磁気性金属チップ、175…(第2)磁気性金属
チップ、300…着磁装置、CNT…カーボンナノチューブ、OP…開口、TS72…対向面(第1面)、
TS74…対向面(第2面)。

【図1】本発明に係る第1実施形態に従った発電装置の構成の一例を示すブロック図の一例
【図2】第1実施形態に従ったフライホイールの構成例の一例を示す平面図の一例
【図3】第1実施形態に従ったフライホイールの構成例の一例を示す正面図の一例
【図4】図2および図3に示すロータの裏面図の一例
【図5】図2の切断線に沿ったロータおよびステータの部分断面図の一例を示す図
【図6】ロータおよびステータの永久磁石相互間の磁力線による引力および斥力の作用を説明するための図

                                                               この項つづく 



 


五坐踏破計画

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                 母なる大地   /  坤為地(こんいち)

  

                                          

       ※ 「坤」の卦(か)は大地の象徴である。大地は静止レているが、しかも豊かな力を蓄え
         てあらゆるものを生み育てる。全部陰爻(--)でできているこの卦(か)は「乾」
         (けん、三 三)の剛強。積極、男性的に対して、柔弱、消極、女性的を意味する。も
         ちろん柔弱であるということは、剛強よりも劣っていろことではない。天のエネルギー
         も地に受けとめられてこそ発現する。男吽の精気も女性を得てはじめて新しい生命を作
         る。陰陽は対立しながら統一されているものである。この卦、消極を守ることによって
         積極をしのぐ、遅れることによって先に立ち、柔よく剛を制する道を示している。




【トレッキング情報:ファーストエイドキッドと医薬品】

● もしもに備える必需品

絆創膏や胃腸薬程度で済ませ、わざわざファーストエイドの一式を持ち歩く人は少ない。だか今まではそれ
で乗り切れたかもしれないが、あくまで結果論。次の山ではどうなるかわからない。そろえ方にもよるが、
本当に大事なものにとどめれば、200グラムほどだ。使わなければ無駄に持ち運ふことになるか、万か一
ヘの安心感にはかなわない。

キットの中身はドラッグストアで集められる。切り傷、擦り傷、出血に備えた包帯やテープ、消毒薬。捻挫
の炎症を抑える塗り薬、頭痛や腹痛の薬、下痢止めなど、すべて市販のものでOKだ。持病を抱えている人
は、病院で受け取った専用薬を予備に入れておく。期限切れには注意。忘れてはならないのが、ビンセット
やハサミ。清潔なものを用意していないと、応急処置がスムーズに行なえない。また刃先の消毒などに使え
るライターも大切。

これらをまとめて袋に入れる。荷物のなかでも最重要といえるものだから、厚手で破れず水も入らない、小
型で強靭なドライバッグが適している。バックパックの取り出しやすい場所に入れ、他の人もすぐに使える
ようにすべき。致命的な問題にはならないか、害虫や日焼け対策用具も万全に。気を抜くとかゆみや痛みでト
レッキングどころではない。サングラスとともに、夏場の山には必携。

 【五坐踏破計画】

昨年は、目標の20%しか達成できなかった。この原因はいろいろあるが、計画のなさにあると反省。目標
の五坐(6月:甲武信岳、7月:焼岳、8月:乗鞍岳、9月:霧ヶ峰、10月:仙丈ヶ岳)に絞る。

 

  

 



【世界のトップを走る加工食品】

● 大豆で作ったジャーキー登場

16年9月6日、カバヤ食品株式会社は、大豆でつくったまるで、ビーフジャーキーのような美味しさの
『ソイジャーキー ブラックペッパー味』全国販売していたことを年末に知ることになるのは、彼女が正月
用お菓子を買ってきたきたことによる。食間や味付けという点では未完商品だが、画期的だと感心する。
と、言っても、ドイツでは大豆ソーセイジやハム、ハンバーガーなど開発し先行している。それにしても、
どのように作っているのか気になるのでいつものようにネットサーフすることに。

May. 23, 2016

上図は、「特開2016-086662  新規焼き菓子およびその製造方法」穀粉を主成分とする構成成分の種類およ
び/または含有量の異なる2種類以上のベース生地を重ね、または重ねて折りたたみ、あるいは無作為に混
合、圧延し、規則的又はランダムな層状構造となった圧延物を焼成することで、重なり合った焼成圧延物の
層間ごとに空間層が形成された層状構造を備えることが特徴の新規焼き菓子により課題を解決し、生地中の
油脂部分が溶けて水蒸気により押し広げられ、何層もの空間層が形成されるというパイの製造原理とは全く
異なる方法により、特別な装置や特別な原材料を使用することなく、生地層と空間層から成る多層構造とク
リスピーな食感を有する新規焼き菓子および新規焼き菓子を容易に製造できる製造方法の提供である。

これは、あくまでも事例の1つでこの方法で「ソイ・ジャーキー」で作られているかどうかは不明。このよ
うに加工方法の延長線上で生産させているわけで、味の素株式会社、日清食品株式会社などの国内メーカの
技術・品質・信頼の実力は半端でないことは誰しも肯首するところ。話を大豆加工食品に戻し、①どのよう
な特性を持った材料を混ぜ合わせるのか。②そして、最終特性の要求はどのようなものか。③どのように材
料を混ぜ合わせるのかのを考える。

 

 



完全なソイ・ジャ-キーに仕上げるにどうすればよい?そこで頭に浮かんだのが、「干し芋」、つまり、あ
の厚みで粘りけ(剪断応力の大きさ)にするためにはどうすればよいか、大豆ペーストと繊維状に裁断した
乾瓢やイカやナモコに動物性タンパク質やつなぎの小麦粉を加え混ぜ、香辛料などを加え、最適な食感と物
性をもったものにすることを考えてみた。これを1日8~10グラム補助食品として持ち歩るく健康老人が
世界に溢れるという(取らぬ狸の?)算段である。


【RE100倶楽部:スマート風力タービンの開発 Ⅵ】 

2.発電機の最適化 

2-1  プロジェクト全体における本研究開発部分の位置づけ 

風車ロータと的確に連携プレーをする二重回転電機子方式二重巻線形誘導発電機を新たに開発し、その最適
化を図る.風力発電機用として、永久磁石同期発電機、直流励磁同期発電機、誘導発電機、巻線形誘導発電
機等が考えられる。昨今の大容量風力発電機については、永久磁石同期発電機の例があるが、コスト、性能
利便性の点で巻線形誘導発電機が採用される傾向にある。相反転方式永久磁石同期発電機については既に保
有しているので、ここでは、将来の大形化を想定し二重巻線形誘導発電機の二重回転電機子方式化を試みる。

2-2 試作1号機(1.2キロワット)

2-2-1  設計仕様

本発電機の試作は事業開始前から準備を進めていたが,事業遂行に際し使用するとともに、2号機開
発の礎になるのであえてここに記しておく。その設計仕様は、

である.初期計画ではフィールド実験の簡便性を考えて独立電源とし,2 次側(内側回転電機子)からすべ
り周波数の2次励磁を行い、一次側は抵抗負荷で所定の負荷に合わせ60Hz で起電圧、起電流を得ることにし
た。次のステップでは,系統連系によって1次側を励磁し、2次側よりすべり周波数の2次励磁を行い、回
転速度可変、負荷制御を行う予定である。なお、ここで試みる二重回転電機子方式二重巻線形誘導発電機は、
独立電源用:2次励磁/定電圧/定周波数巻線形誘導発電機(SEIG, Secondary Excited Induction Generator)、
系統連系電源:二重給電巻線形誘導発電機(DFIG, Doubly Fed Induction Generator)として応用でき,上述のよ
うに当面は前者,将来は後者となる。

2-2-2 発電機の電気設計

設計の基本は小形化の観点から4極クラスが望ましいが、本風車ロータの回転速度範囲から許容される限界、
すなわち同期回転速度のすべりで±0.3 (約300min-1)から8極とした。このときの同期回転速度は、一般的
な発電機の設計法に則れば、両軸の相対経典速度は負荷によって決まるので、両軸間の相対回転速度は同期
で900 min-1 となる.設計に際しては,2次側電圧を低く抑え、通常の制御電源が使用できることを考慮し、
多極では励磁電流が大きくなることによる力率低下をカバーするため、内外回転電機子間のギャップを極力
小さくした。

2-2-3 発電機の機械設計

二重回転電機子方式では1次、2次側への電力授受はスリップリングを介して行うことにした。しかし、比
較的容量の小さいスリップリングの市販品が少なく、軸方向へのリング配置形が標準であるものの、寸法的
に全体の構造が難しくなる。コンパクト化のためには平面形(半径方向リング配置)が望まれるが、最初で
もあり、ここでは、販品を流用することにした.以上を盛り込んだ二重回転電機子方式二重巻線形誘導発電
機の試作1号機を図2-1に示す。

2-3 試作2号機(3kW)

本風力発電機の要の一つである二重回転電機子方式二重巻線型誘導発電機について,上記試作1号機をベー
スにして、カットイン風速1m/s以下の実現に向けて、

①発電機特性の向上
②軸受けの摩擦損失トルクを低減させるための最適軸受種類,最適径の採用
③慣性モーメント低減のための回転径の極限寸法の追求
④スリップリングの摩擦損失トルクを低減させるため、取付け位置と方法、押しつけ圧力の最適化を行う。

2-3-1 設計仕様

系統連系を目指した実証試験が可能となるように、出力3kW(風車ロータ径4m 程度に相当)を試作するこ
とにした。その設計仕様は、

である。機構の概念を図2-2 に示すが,危険防止と容易な実証試験の遂行を考慮して、ブレーキ機構を内蔵
させている。また、制御系に回転速度の情報を伝えるため,回転方向と回転速度の検出器も内蔵させた.図
2-3 に試作2号機を示す。



2-3-2 発電機の特性

2次側を短絡させた場合の出力と電流の関係,電源の回生特性を調べ,所期の特性が得られていることを確
認した。また、長時間連続運転が要求されるので、熱試験も行った(表2-1)、全閉で1次側および2次側
巻線の温度上昇が 105 K 以下に定めた設計条件をクリアしており、冷却能力も申し分ない.

 

2-3-3  摩擦損失トルクの軽減

軸受の摩擦損失トルクを完全に排除するため,磁気軸受の採用を検討したが,機構が複雑となり大型化が避
けられないばかりでなく、発電機の価格が倍程度になることが予想されるので採用は断念した。そこで、軸
受とスリップリングの摩擦損失軽減および回転体の慣性モーメント軽減を図ることにし、次に述べる試作2
号機に盛り込むことにした。そこで、前述した試作1号機に対してトルク比が 3.13 倍と なる低速大容量を目
指した(図 2-3、3相10極、定格出力 3kW、全閉形二重回転電機子方式巻線形誘導 発電機)。 

2-3-4  評価

試作2号機は、

(1)出力 3kW で連続運転ができる。
(2)温度上昇から判断すると、3.4kW 出力でも連続運転できる。
(3)最大トルクに余裕があるので、外側開店電機子のみ変更して、ギャップを 0.5mm とすれば、4.0kW の
 連続運転も可能となる。言い換えれば,現状の33kW を望むなら、発電機径を小さくすることができ、外
 側回転電機子側のブレーキを工夫することにより、全体としてコンパクトな実用機を製作できる。

※ 以上は「風況を選ばない高出力インテリジェント 風力発電機の実用化研究」、財団法人福岡県産業・科
  学技術振興財団 IST 産学官事業より抜粋。

                                                               この項つづく 

嚥下体操に白い花

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              生まれいずる悩み   /  水雷屯(すいらいちゅう)

                                      

      ※ 屯とは、とどこおる、行き悩むこと。草木の芽が固い地所を突き破ることがで
        きない挽回を示す。内に生命力を抱さながら、まだ十分に伸びることができな
        い。人間ならば悩み多い青年期、事業ならぽ困難の山積する創業期にあたる。
        上卦(じょうか)の坎(かん)は、陥ること、下卦(かか)の震(しん)は動
        くことを示し、動こうとして困難に陥る状態である。この卦は四大難卦(屯、
        習炊、蹇、困:ちゆん、ゆうかん、けん、こん)の一つであるが、悪いぱかり
                ではない。若々しい生命力で苦難に耐えてこそ、新しい発展が約束される。

                          電子易経


   

【折々の読書 齢は歳々にたかく、栖は折々にせばし】  

   Jun. 26, 2016  

● 朝日新聞「迫る2025ショック取材班」

          『日本で老いて死ぬということ』11

 

  [目次]

   はじめに

   第1部 日本で老いて死ぬということ

  第1章 生きがいの喪失と回復
  第2章 難しい「平穏な在宅死」
  第3章 口から食べたい
  
  第2部 介護の現実~在宅・施設それぞれのリアル

  第4章 三人介護
  第5章 遠距離介護
  第6章 ダブルケア
  第7章 虐待を防ぐ
  第8章 在宅でみる 
  第9章 訪問看護師の力
  第10章 特養で看取る

  第3部 老いは地域社会で見守れるか

    第11章 地域で暮らす
  第12章 コミュニティ再生
  最終章 未来へつなぐ

  おわりに  



    飲み込み、どんな仕組み 

  そもそも口から食べ、のみ込む「摂食・嘩下」とは、どんな仕組みなのか。食事をうまくのみ
 込めず、肺に入ってしまう「誤嚥」はなぜ起こるのか。どんな食事だったら、のみ込みやすいの
 か。専門家に解説してもらった。
  のみ込みの仕組みについて、摂食・喚下障害看護認定看護師で小田原市立病院に勤める小澤公
 人さんに解説してもらった。
  まず、食べ物がロに入ると、歯でかみ砕き、舌や唾液などで、のみ込みが可能な大きさの「食
 塊」にまとめる。それがのどに送り込まれると、喉頭蓋というふたが倒れ気管をふさぎ、食道の
 入りロが開く(下図)。同時に鼻とロの入りロも閉じ、食べ物がスムーズに食道に流れるよう促
 す。「すべてO・6秒の間に起きる反射運動。途中でのみ込みをやめよう、と思ってもやめられ
 ない」と小潭さん。

  12ある脳神経のうち六つがいっぺんに働く、微妙なバランスの上に成り立つメカニズムだそ
 うだ。「どれか一つ欠けても、うまくのみ込めなくなり、食べ物が気管に入る誤嘸につながりま
 す」。脳卒中の後遺症でのみ込みが難しくなるのは、そのためだ。
  のみ込み障害は、脳卒中のほか神経性の難病や呼吸器疾患などで起きる。加齢自体でも、のみ
 込みの反射が鈍くなったり、むせる力が衰えたりする。
  ずっと寝たきりで、口を使わないこともリスクだという。認知症になると、食べ物を日mても
 その認識がなくなり、食べなくなることがある。「やはりロを使い続けることが大切です」
 食べ物や唾液とともに細菌が気管に入り肺炎を起こすのが「誤嘸性肺炎」だ。小滞さんによると、
 高齢者の肺炎のうち、6~7割は誤啄によるものだという。
  鶴見犬歯学部助教の飯田さんによると、眠っている間に唾液と一緒に細菌が入り、誤唇性肺炎
 を発症することもあるという。加齢や脳卒中などでのみ込み機能が低下している患者だ。「こう
 したことを防ぐには、日ごろからの口腔ケア、特に寝る前のケアが重要だ」という。

   介護食、工夫こらす

  通常の食事(常食)をとれない高齢者には、とろみをつけたり、ミキサーにかけたりして、の
 どを通りやすくした「介護食」を提供する。施設によって呼び方が違うが、のみ込みやすいもの
 から「ソフト食(ゼリー食、ムース食)」「ミキサー食」「きざみ食」「一口大食」などと呼ば
 れる。
  病院や介護施設は、患者ののみ込み機能の評価をして、その人に合った食形態を選び、可能で
 あれば常食に近いものに上げていく。「栄養ネットワーク湘南」代表世話人でクローバーホスピ
 タル消化器科の望月弘彦医師は「安全に食べられるものだけ、食べさせていればいいわけではな
 い。うちの病院では、患者や家族とリスクについても話し合いながら、どのレベルの食事まで食
 べさせるか決めている」と話す。

  介護食には、粘り気を出し、まとまりやすくする「とろみ剤」を混ぜることが多い。食道に到
 達するまでの時間を長引かせ、のみ込みの準備をする時間を稼げるからだ。小田原一巾立病院看
 護師の小海さんによると、多すぎても少なすぎてもだめだという。多いと、のどに張りついて残
 りやすくなり、少ないとすぐに流れてしまう。いずれも誤嘩のリスクが高まる。
  誤啄を防ぐためには、「三角食べ」など、日本の食習慣が理にかなっている、と小海さんは指
 摘する。ごはんやおかず、みそ汁やお茶(とろみをつけたお茶ゼリー)を交互に食べると、味や
 食感の刺激で、のみ込み反射が起きやすくなるのだという。

                            ●ワンポイントコラム

 「口から食べる」ことは、人間の基本的な欲求の一つだ。「最期まで少しでも口から食べさせて
 あげたい」と、奔走する人たちの情熱には心打たれた。そんな中、先日お邪魔した「三鷹の嘔下
 と栄養を考える会」の集まりは、ユニークだった。「KA-GOスナック」と銘打って、ダイニ
 ングバーを会場にして、「泡付きビールゼリー」や「やわらか寿司」などが振る舞われた。お酒
 が入りリラックスした雰囲気の中、参加者は 「食」について本音で語り合った。同会代表で歯科
 医師の亀井倫子さんらも「スナックママ」に扮した。「ゆるく楽しく活動し、じわじわと、いつ
 の間にか結果が出る。我々は、そんな形を目指しています」と亀井さんは話す。こうした支援に
 は、いわゆる「真面目さ」だけでなく、「ゆるさ」も大事だなあ、と感じた。


   第2部 介護の現実~在宅・施設それぞれのリアル

  約650万人いる「団塊の世代」がすべて75歳以上になる2025年には、介護のどんな現実
 が待ち受けているのだろうか。その「予兆」は至る所で表れている。
  第2部では、取材班の記者たちが、それぞれ数カ月から1年かけて密着取材した「介護の現場
 」をリアルに描いている。介護する側、される側の息づかいまでもが聞こえてくるように、詳細
 な 取材を重ねた。
  取材にあたって意識したことが、大きく2点ある。まず、「介護される側」や「患者・利用者」
 の視点よりも、あえて「介護する側」や「家族」の視点を中心に、取材・執筆するようにしたこ
 とだ。本書では、例えば「末期がんの親を介護する30代の娘」という立場に立ち、「娘が、どう
 感じ、どう悩み、どう行動したか」ということを中心に書いている。患者・利用者に寄り添い書
 くことも大事だが、それだけだと、高齢者以外の読者層にとっては、どうしても「他人事」にな
 りがちだ。親の介護の問題は、程度の差こそあれ、だれにでも訪れる。読者に「他人事」ではな
 く「自分事」として感じてもらうために、あえてそういう書き方にした。

  もう1点は、介護の大変さやつらさだけではなく、そこから見える「一筋の光明」にもふれる
  ようにしたことだ。現実は現実として目の前にある。しかし、認知症や末期がんになって、そこ
 から新たな家族関係が見えてくることもある。そういう視点を大切にした。
  また、在宅や施設で、自分の家族のように親身にケアする医療・介護スタッフの奮闘ぶりも取
 り上げた。取材した家族だちからは「スタッフさんの温かいケアのおかげで、本当に幸せな最後
 の時間を過ごせました」という声が多く聞かれた。

  各章ごとのあらましは、次の通りである。
 ま ず、第4~7章は「在宅介護」の話である。第4章「3人介護」では、50代で若年性認知症
 を発症しか妻と両親の3人を、一度に介護した60歳の男性を取り上げた。自分自身が仕事を持ち
 つつ、心身の限界を超えながら、3人を介護する様子は想像を絶する。だが、そのプロセスで、
 新たな夫婦関係を見つけたり、家族会の仲間と支え合ったりしながら、希望を持って生きていく。
 そんな姿を追った。

  第5章「遠距離介護」は、岩手県に住む両親を介護する横浜市の女性の話などを描いた。モデ
 ルケースも示しながら、経済的、精神的に大変な遠距離介護の実態に迫った。
  第6章に出てくる「ダブルケア」という言葉は、子育てと親・祖父母の介護が同時期に訪れる
 介護形態のことを指す。これまでは、主に団塊世代の人たちが、親と
 孫のケアをする形態が多かったが、最近では晩婚化などで、団塊ジュニア世代が、親と小さな子
 どものケアを担うケースが増えている。この章では、介護と子育ての窓口が違うなど、役所の縦
 割りに苦労した女性の話が出てくる。同時に、そうした経験を分かち合う「ダブルケアの会」を
 つくるなど前向きな勤きにも焦点をあてた。

  第7章「虐待を防ぐ」では、介護施設職員や元会社員が、自身の実体験などから在宅介護での
 虐待防止のノウハウを編み出し、それを広く伝える姿にスポットをあてた。
  第8~9章では「在宅医療」の実態をつぶさに見ている。第8章「在宅でみる」は、自宅を定
 期的に訪問する在宅医に密着し、看取りのプロセスや患者・家族の逡巡する姿を見つめた。第9
 章「訪問看護師の力」は、自宅を訪問し心身のケアをする「訪看(ほうかん)さん」の日常を追
  った。「在宅医療・介護の要」として、医師とケアマネジヤーをつなぐ役割を果たし、家族間の
 関係にもスーッと入り込むその「人間力」に感嘆した。

  第10章「特養で看取る」では、特別養護老人ホームでの介護の実態や、様々な先進的な試み
 を描いた。自宅で最期を迎えさせてあげたいけれど、家族にその余力がない。そんな人たちの受
 け皿にもなっている特養。そこでの看取りは、徐々に増えてきている。終末期に救急車で運ばれ
 「望まない最期」を迎えることがないようにするために重要な取り組みである。
  このように第2部は全体として、在宅と施設それぞれの介護の現実や対策を、違った角度から
 多くの具体的なケースを通じ、わかりやすく解説している。

ひとごとではない。長時間のデスクワークがつづくと猫背になり、背筋を通す鍛錬を怠り、早食いの
癖も直さず、ゆっくり咀嚼しな、あるいは、食道の過敏性という持病?などの悪癖から、ここ1週間、
食事中に咳き込むことが多くなるのが気がかりだ。そこで、現在続けている、室内トレーニング。メ
ニューに「嚥下体操」(下図)を加えることに。

                                      この項つづく
                                       

 

【RE100倶楽部:スマート風力タービンの開発 Ⅶ】 

 

3.制御サーキットの最適化

3-1  プロジェクト全体における本研究開発部分の位置づけ

タンデム風車ロータと内外二重回転電機子方式二重巻線型誘導発電機の連携プレーを見守りつつ、風
速に応じて回転速度、出力を制御するための独立電源方式と系統連系方式に対する二次側周波数変調
サ ーキットを構築。この場合、二次側に用いる双方向に適用できるインバータがキーポイント。

3-2  研究成果

3-2-1  目的と目標

2次側の周波数と電圧によって二重回転電機子の挙動を制御する方法は初めての試みであり、独立電
源用と系統連系用の両者を対象として、

(a)発電機内に設けたセンサからの回転速度、回転方向、出力および風速の信号を受け,インバータに
よる2次側周波数変調(二次励磁制御,電圧,周波数)法を最適化する。このとき,定格運転開始風速
以下では最高効率運転,定格運転開始風速以上では一定出力運転を実現させる必要がある。基盤課題
Aにおいてもこのことを十分考慮し、風車ロータのみで出力一定を極力目指しているが,発電機側す
なわち制御系の力を借りることをも考慮する。

(b)二重巻線形誘導発電機の特筆すべき利点は高風速域で 2次側からも出力が得られる点である。こ
の場合、2次側制御に用いるインバータは双方向が要求されるので,新たなインバータを開発すると
ともに、系統連系方式制御サーキットを構築する。

とくにタンデム風車ロータと二重回転電機子方式二重巻線型誘導発電機の連携プレー能力を最大限発
揮させるため、次の目標を達成する。

1.定格運転開始風速以下では最高効率点運転、定格運転開始風速以上では一定出力が実現できる制
 御サーキットの構築
2.独立電源方式,系統連系方式制御サーキットの構築
3.2次側双方向インバータの開発と系統連係方式制御サーキットの設計

3-2-2 風速回転速度信号による二次側周波数変調方式の構築

基盤課題B(発電機の最適化)、統合課題B(発電機と制御系の最適マッチング)おける二重回転電
機子方式二重巻線形誘導発電機の特性試験結果を導入して、二次側周波数変調方式を構築した(下図
3-1)、風速すなわち前後段風車ロータの回転速度NF、NR信号を受け、発電機からの出力である一次
側周波数f-1と電圧V1を一定に保つ(f1=60Hz、V1=200V)ために必要な二次側入力周波数f2 と電
圧V2 の制御値を定め、それらを発電機にフィードバックする方法である。とくにタンデム風車ロータ
と二重回転電機子方式二重巻線型誘導発電機の連携プレー能力を最大限発揮させるため,次の目標を
達成する。

1.定格運転開始風速以下では最高効率点運転,定格運転開始風速以上では一定出力が実現できる制
 御サーキットの構築
2.独立電源方式,系統連系方式制御サーキットの構築
3.2次側双方向インバータの開発と系統連係方式制御サーキットの設計

3-2-2  風速回転速度信号による二次側周波数変調方式の構築

基盤課題B(発電機の最適化)、統合課題B(発電機と制御系の最適マッチング)おける二重回転電
機子方式二重巻線形誘導発電機の特性試験結果を導入して、二次側周波数変調方式を構築した(下図
3-1)、風速すなわち前後段風車ロータの回転速度 NF,NR 信号を受け、発電機からの出力である一
次側周波数 f1 と電圧 V1 を一定に保つ(f1=60Hz、 V1=200V)ために必要な二次側入力周波数 f2と
電圧 V2 の制御値を定め、それらを発電機にフィードバックする方法である。 

3-2-3  独立電源方式の制御方法検討

本風力発電ユニットを独立電源に供するため、試作1号発電機(8極 3相、同期速度 900min-1、定
格出力 1.2kW)を搭載した装置(下図 3-2)を用いて、まず、 (1) 1次側、2次側の投入順序な
どの制御方 式の確定、(2) 2次側電圧/周波数調整用のインバータ交換、(3) 2次側電圧/周波数調整
用のスライダック追加、(4)2次側データ収集用のパワーメータ追加(低周波数帯域での電圧、周波数
電流、電力の精度確保のため)、(5) すべり周波数の測定、(6) 将来を想定した系統連系用の制御回
路追加、(7) 風車方向制御用のモータ駆動回路追加などを行う。


以上の成果を踏まえて、外部負荷に応じた、1次側出力電圧(V1=200V)と周波数(f2=60Hz)を一定に
保つ独立電源に供するために必要な、2次側励磁周波数 f2 と電圧 V2 データの収集を実施した。

3-2-4  2次側双方向インバータの開発

3-2-4-1 開発概要

二重巻線形誘導発電機では,高速回 転域で2次側からも出力が取り出せる利点がある(下図 3-3)、
この場合、2次側 に接続するインバータは従来と異なる双方向が要求されるので、その開発に着手し
ているが、発電機と結合試験 はまだ実施していない。なお、現在の発電ユニットは回生抵抗方式に
よって2次側からの出力を吸収している。

3-2-4-2  構成

開発した双方向インバータの制御 ブロック(下図 3-4)は以下の通り。

(1)相対回転数演算部:前段後段ロータの回転速度より風車相対回転数を演算し、相当する周波数を
 計算する。
(2)出力パターン発生部:風車ロータの相対回転周波数より、その周波数における出力可能電力の最
 大値を内臓パターンより算出する。
(3)制御演算部:本装置の主演算部であり、(a)発電機の1次側巻線に商用電源が印加され回転磁界を
 発生しているという前提のもとに演算を実行する.(b)出力電力指令と風力発電周波数の情報から、
 VVVFインバータの 周波数と電圧を演算。(c)ある風車回転速度以下の加 減速を助勢し(駆動モード)
 出力可能な回転速度まで風車回転速度が上昇していれば発電を開始(発電モード)、(d)出力パタ
 ーン部より指示された発電量となるように VVVF インバータの周波数と電圧を制御する。(e) 制御
 方式は、すべり周波数一定制御,可変周波数,可変 電圧制御である。(f)発電を開始すると、負荷
 により風車回転速度は低下するが、制御演算部は風力発電周波数を情報として入力しているので、そ
 の周波数に合わせて出力を減じるから、出力周波数は自動的に安定する。



(4)VVVF インバータ制御部:指示された周波数と電圧となるようにPWM 信号を発生させる(キャリア
  周波数は10.7kHz)。
(5)電力検出部:総合した発電電力を検出するが、発電量は風車が誘導発電機として発電する量と2
 次側から回生される発電量を合計した電力量となる。
(6)電力演算部:出力パターン部の出力指示量と実質発電量を比較し、同等となるようにCVCFインバ
 ータの位相をシフトして発電機の2次側から電力回生をする。
(7)CVCF インバータ制御部:CVCF インバータは商用電源に同期して運転するが、(a)商用電源とインバー
 タ間の位相をシフトすることで電力を可逆的に移動させることができる、(b)CVCF インバータの周波
 数と電圧は商用電源を常時追従する。(c)電力潮流は、直列に挿入されたインダクタンスを介して
 行い。このインダクタンスの両端電圧を監視して制御情報とする。(d)回生電力量の指示に従い、
 インバータの位相をシフトし,電力演算部の出力がゼロとなるように制御する。(e)CVCFインバータの
 直流入力電圧を監視して逆流を防止する。



                                      この項つづく

室内に入れたブラットオレンジの花が咲き出した。今年こそは果実が採れるか楽しみだ。新年に入っ
て、過労から体調(胃腸/鬱病)を崩している。ホームページ1、ブログ2つの更新、いつもの再エ
ネのR&Dをはじめ、外出が続くなか、PC、ノートンの不調が入ったまらない。胃痛と血便だ。内
向く気持ちなんとか前向きにし、ルーチンのトレーニングも強化させた。いけるところまで行くしか
ない。まさに水雷屯(すいらいちゅうだ。

 

 

はじめてのオールウインドシステム

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                 The "Unaffordable" Care Act will soon be history!

            「負担しきれない医療保険制度改革法」(オバマケア)は
         もうすぐお払い箱さ!
                         
                           ドナルド・トランプ 
                             Jan. 13, 2017 21:00       

                                                                                                                                                              

    

 

 

【RE100倶楽部:スマート風力タービンの開発 Ⅷ】 

【「オール・ウインドシステム」の狙い】

● Looop社 ケニアで40メガワットのメガソーラー建設

1月12日、Looop 社が、ケニアに出力約40メガワットの大規模太陽光発電所を同国キツイ郡(
Kitui County)と共同プロジェクトの実施に関して合意し、覚書(MOU)に調印し、建設すると発表。
Looop社が事業計画を策定し、18年度中の着工を目指す。用地確保についてはキツイ郡が支援し、
同郡の所有する土地を活用する。現在、想定している用地で、40メガワット程度の発電設備の設置
と系統連系などに関し、すでにめどが立っている。総事業費は数十億円になる見込みで、同社の出資
額など、具体的な資本金、ファインナンススキームについては、今後詰めていく。国立ジョモ・ケニ
ヤッタ農工大学とソーラーシェアリングの共同実験を行った経緯がある。今回の共同プロジェクトは、
その実績が評価されたという。南アフリカを除くアフリカで、メガソーラー事業を実施するのは、日
本企業単独としては初めての試みとなる。株式会社Loopは、11年4月4日設立というニューカマー
だ、と言っても、シャープ、パナソニックなどの大手を除いて、ソフトバンク・エナジーを始めほと
んど、福島第一原発事故以降に続々と設立されてきた。



発電した電力はケニア電力電灯会社(KPLC)に固定価格買取制度を利用して売電する。同国の制度で
はメガソーラーの発電電力は12セント(約14円)/キロワットアワーで20年間、売電できる。
Looop 社が自社製の太陽光パネルを供給するほか、建設コストが日本より下げられるため、事業性を
確保できるとみているという話だが、売電価格の逓減ぶりは激しく、その分、イニシャルコストの相
対的な割高を相殺する資金調達力の小さな企業は太刀打ちできない出ないのではと老婆心ながら心配
するほどだ。それほどまでに「オールソーラーシステム」は予想を上回るほど順調に事業発展してい
るなか、ソーラーの課題は、①量子ドット太陽電池を代表する変換効率30%超のソーラ、②蓄電シ
ステム価格の逓減の2つとなっている。ゆえに、国内における風力発電システム事業拡大は相対的に
後退しているように見え、これを挽回すべく、新年から「オールウインドシステム」事業開発に傾注
することになる。

● よりコンパクトに!どこでも!風況に依存せず!風さえあれば発電

【特許事例】特許5773362 エネルギー貯蔵装置

● 特許請求範囲

一対あるいは複数対の永久磁石を、同極どうしを対向させるとともに軟磁性材からなる歯車形
のスペーサ部材を永久磁石の端面間に介在させて、永久磁石とスペーサ部材とを一体形成した
磁界発生モジュールと、コイル部材を有する電力回収モジュールとを備え、磁界発生モジュー
ルは、軸線の回りに回転自在に支持され、貯蔵したいエネルギー源を用いて駆動部を介して回
転させ、このコイル部材は、前記磁界発生モジュールから発生する交流磁界と鎖交する配置と
して、スペーサ部材に近接する位置と、スペーサ部材から離隔した退避位置との間において移
動可能に設けられていることを特徴とするエネルギー貯蔵装置。 前記電力回収モジュールは、前記コイル部材により回収された電気エネルギーを利用する負荷
を備えることを特徴とする請求項1記載のエネルギー貯蔵装置。 前記電力回収モジュールは、前記磁界発生モジュールが発生する磁界の周波数に合わせて、こ
のコイル部材のインピーダンスと前記負荷のインピーダンスとを整合する機能を備えることを
特徴とする請求項2記載のエネルギー貯蔵装置。 前記磁界発生モジュールは、前記駆動部との連繋を遮断可能に設けられていることを特徴とす
る請求項1~3のいずれか一項記載のエネルギー貯蔵装置。 前記磁界発生モジュールは全体として円柱状に形成されていることを特徴とする請求項1~4
のいずれか一項記載のエネルギー貯蔵装置。

【符号の説明】

10 磁界発生モジュール 12 スペーサ部材  12a 歯部  12b 凹部  14、15 永久磁
石  20,21 支持部  22 永久磁石(第2の永久磁石)  23 永久磁石(第3の永久磁石)
30 駆動部  40 電力回収モジュール  42 空心コイル  44 負荷  50a、50b 回転
軸  52 支持部材

【技術背景】

IoTを実現するための重要な課題のひとつが、電源の確保である。あらゆるモノがインターネットに
接続するためには、それら全てのモノに電源が必要となる。しかし、電源配線、電池交換、充電操作
などが必ずしも容易ではない場所も多い。そのため、代替となる低コストで普遍的な電源技術の確立
が急務となっているのが、そのような代替電源技術のひとつとしてエネルギーハーベスティング技術。
エネルギーハーベスティングは、光、振動、熱(温度差)、電波など、周りの環境に様々な形態で存
在する希薄なエネルギーを「収穫」(ハーベスト)して、電力に変換する技術である。環境発電とも
呼ばれる。発電量はマイクロワット~数ワットのオーダーであり、量的にもコスト的にも再生可能エ
ネルギーとしての意味はないが、近年の低消費電力化技術の進歩で、利用用途が広がってきた。とく
に、IoTやサイバーフィジカルシステム、トリリオンセンサなどへの関心が高まってきたことで、無
線センサの自立電源駆動を実現するためのキーテクノロジとして、エネルギーハーベスティングへの
期待が高まる。現状のエネルギーハーベスティングの技術水準では、あらゆる場所で普遍的に使える
電源技術にはならないが、世界的な研究開発競争が起きており、技術進歩も著しい。



エネルギー・ハーベスティングのシステムの代表的な動作の流れは,①まず、エネルギー源を検出し
電力を発生させ、②収穫した電力を電源回路で変換しコンデンサや2次電池に蓄える。③たまった電
力を使って制御マイコンやセンサを起動して、④処理した情報を無線送受信によって外部に伝達する。
周辺部品の進化とは,発電した電力を高効率に利用するための電源回路や,信号の送受信に利用する
無線IC、制御マイコン、センサなどが大幅に低消費電力化したことを指す(図3)。これまでは、発
電デバイスがせっかく電力を収穫しても、こうした周辺部品の自己消費で使い切ってしまい、所望の
機能に利用するには至らなかったが、高効率で低消費電力の回路を持つICが出そろったことで、ようやくエ
ネルギー・ハーベスティングが“使える”段階に入ってきた。

この技術は、利用可能な量に限りのある化石燃料と異なり、無尽蔵に存在する自然エネルギーを利用
可能なため、次世代のエネルギー源として近年注目されており、IDTechExによると、エナジーハーベ
スティング技術の市場
は、20年には$4.4b(10年では$605m)に急成長すると予測されている。
一方、エナジーハーベスティング技術では、太陽光などの自然エネルギーを用いるため、周囲の天候
等によって回収できるエネルギー量が大きく変動するという課題がある。このため、エナジーハーベ
スティング技術を用いて安定した電力を供給するためには、併せてエネルギー貯蔵技術についても議
論される必要がある。

【課題を解決するための手段】

本発明に係るエネルギー貯蔵装置は、

①一対あるいは複数対の永久磁石を、同極どうしを対向させるとともに軟磁性材からなる歯車形のス
ペーサ部材を永久磁石の端面間に介在させて、永久磁石とスペーサ部材とを一体形成した磁界発生モ
ジュールと、②コイル部材を有する電力回収モジュールとを備え、前記磁界発生モジュールは、軸線
の回りに回転自在に支持され、貯蔵したいエネルギー源を用いて駆動部を介して回転させ、前記コイ
ル部材は、前記磁界発生モジュールから発生する交流磁界と鎖交する配置として、前記スペーサ部材
に近接する位置と、前記スペーサ部材から離隔した退避位置との間において移動可能に設けられてい
ることを特徴とする。

なお、複数対の永久磁石とは、スペーサ部材を複数個備える場合で、スペーサ部材ごとに永久磁石が
対向配置されているという意味である。また、磁界発生モジュールは、

①直接的に駆動部に連繋して設ける場合と、
②間接的に連繋して設けられる場合がある。

本発明は、永久磁石を対向配置することにより、①中心軸に対して径方向に大きな磁界を発生させる
ことが可能であること、②スペーサ部材の形状により周囲の径方向磁界の大きさに変動を持たせるこ
とが可能であること、③磁界発生モジュールを回転させることで回転中心軸に対して径方向に交流磁
界を発生可能であること、④磁界空間中に回転中心軸から径方向から近づけたコイル部材を置くこと
により高い電力密度で高効率にエネルギーを回収することが可能になるとの知見に基づく。

すなわち、自然エネルギーなどを利用して、軸線の回りで回転する回転体として駆動される磁界発生
モジュールの回転エネルギーを、コイル部材を介して電気エネルギーとして回収して利用する。なお、
コイル部材としては適宜ターン数の空心コイルが好適に使用できる。

①第一のモジュールは磁界発生モジュールであり、軸線方向に着磁された永久磁石を対向配置し、そ
の間に歯車形状に加工した軟磁性材からなるスペーサ部材を挟みこむことで、径方向磁界の分布に強
弱を持たせた構造を有する。回転エネルギーを回収するという発想は、水力、風力発電に代表される
技術で古くから行われているが、通常、こうした技術は、発電した電力をすぐに系統へ送るか蓄電池
に貯めるという手法をとるため、水量、風量が小さい場合には極めて効率が悪いか回転エネルギーを
得ることができない。この点、本出願に係る第一のモジュールによれば、理論上空気抵抗と軸受の損
失のみで回転エネルギーとして蓄えておくことができ、必要な時に磁界発生モジュール対して非接触で
エネルギーを取り出すことが可能になる。

②第二のモジュールは電力回収モジュールであり、コイル部材を備える。このモジュールによれば、
渦電流による発熱や電力損失を受けにくい低周波磁界を利用することが可能である。この第二のモジ
ュールでは、電力の回収にコイル部材(空心コイル)を用いるため、磁界振幅の2乗に比例する電力
を回収することが可能になる。第一のモジュールを回転させることで周囲に変動磁界を発生し、第二
のモジュールにより非接触で磁界のエネルギーを回収することが可能になる。

電力回収モジュールとしてコイル部材に負荷を接続することにより、コイル部材により回収された電
気エネルギーを負荷に供給できる。磁界発生モジュールは、この磁界発生モジュールを軸線の回りに
回転駆動する駆動部に連繋する構成とする。駆動部のエネルギー源として風力や水力等の自然エネル
ギーを利用することにより、自然エネルギーを有効活用することができる。

前記一対の永久磁石に円柱磁石あるいは円筒磁石を使用し、磁界発生モジュール全体を円柱状とし、
中心に軸を設けて中心の回りに自由回転可能にすることにより効率的に回転エネルギーを保持するこ
とができる。永久磁石の大きさは限定されるものではなく、多角柱状、多角筒状とすることもできる。
回転体としての慣性を大きくするために錘をつけることも可能である。本出願に係るエネルギー貯蔵
装置は、磁石と磁性材料、コイルから構成されるため、安価であり、構成が容易である。また、磁界
発生モジュールは3600rpm以下といった低速回転で利用することを想定しており、渦電流損が小
さく、少ない電力ロスで使用することが可能である。また、コイル部材のインピーダンスと負荷のイ
ンピーダンスを整合することにより、共振現象を利用できれば、最大電力供給の定理より最適な電気
エネルギーの供給が可能である。

なお、低周波磁界を利用することで、生体への影響が懸念される(ICNIRP2010による生体への電磁界
ガイドライン値は200μT)が、磁界発生モジュールが発生する磁界は、距離が離れると2つのダイポ
ール磁気モーメントと仮定できるため、距離の3乗で反比例して減衰する。そのため適宜距離を離す
ことで、生体への磁界曝露の基準を解決できる。

【発明の効果】

本発明に係るエネルギー貯蔵装置によれば、低コストかつ電力ロスの少ない高効率なエネルギー貯蔵、
回収を行うことが可能なエネルギー貯蔵装置を提供することが可能である。

これに対し、九州工業大学らの研究グループの「風況を選ばない高出力インテリジェント風力発
電機の実用化研究」による(下表)カットイン風速は毎秒1メートル以上で、比較年間発
電量や約30%アップを示す。それでは、「相逆転二段羽根車と内外二重回転子からなる発電
装置」に関する特許事例を見みることに。

【特許事例】特開平10-201197 相逆転二段羽根車と内外二重回転子からなる発電装置

ノズルや案内羽根を設けず、前後段の羽根車11、12を互いに逆方向に回転させて、両羽根車間を
通過する流体に角運動量変化を発生させることにより、軸方向流入流出を実現させる。このときの角
運動量変化からえられた回転動力それぞれを内外二重の回転子7、8に伝え、両回転子間の相対速度
を倍にすることにより、発電機の外径を従来のものに比べて半減させ、流体エネルギーを利用する発
電装置について、羽根車へ流入する流体に角運動量を与えるためのノズルや案内羽根を取り除くとと
もに、発電機の外径を半減させることにより、発電装置の簡素化を図る。


【符号の説明】

1 前段羽根車の羽根要素 2 後段羽根車の羽根要素 3 ケーシング 4 ハブ 5 スリップリン
グ 6 ステー羽根 7 外側回転子 8 内側回転子 9 前段羽根車の回転軸 10 後段羽根車の回
転軸 11 前段羽根車 12 後段羽根車 13 軸受 14 封水リング

この発明は、流体のもつ運動および位置エネルギーを電気エネルギーに効率よく変換するため、回転
中心軸を共有し互いに逆方向に回転する二段の羽根車を設け、その両回転動力を内外二重の回転子に
伝えて電力を発生させる装置に関するものである。

①従来、流体がもつエネルギーを羽根車で吸収する形式の発電装置では、羽根車へ流入する流体に角
運動量を与えるため、上流側にノズルあるいは案内羽根を設けるのが普通であった。このため、構造
は複雑となり摩擦損失の増加を招く欠点があった。

②また、羽根車の回転軸と発電機の回転子を連結し、回転子の外周側に設けた固定子との相対運動に
よって電力を発生させていた。このため、羽根車の回転は一方向に限定され、その回転数は羽根車性
能の要求から一義的に決まる。したがって、水車などの低速回転羽根車の場合には、所望する電力、
すなわち、固定子との相対速度を速めるために、また交流発電では極数を多くするためにも、回転子
の外径を大きくとらなければならない欠点があった。

本発明は、互いに逆方向に回転する二段の羽根車と内外二重の回転子からなる発電機を設けることに
よって、従来から当然のこととして容認してきた上記の欠点を取り除いた発電装置に関するものであ
る。本発明装置に設ける羽根車の作用について、軸流羽根車の場合を例にとり図1によって説明する。
流体は左方から軸方向に絶対速度V1(=Vm:軸方向速度成分)で流入し、前段羽根車1を上流側
から見て周速度Uで右回転させる。そして、前段羽根車の出口では、回転方向とは逆方向の旋回速度
成分(V2×sinA2)を発生させる。この流れはそのまま後段羽根車2に対する流入条件(絶対
速度V3=V2)となり、後段羽根車を、前段羽根車とは逆方向に周速度Uで左回転させる。



そして、後段羽根車の出口では再度軸方向流れ(V4=Vm)となるようにする。このようにすると、
流体が前後段の羽根車それぞれを通過するときの角運動量変化は同じになるから、周速度(回転数)
を同じにすれば、流体からえられる回転動力も同じになる。このように互いに逆方向に回転する前後
段の羽根車の回転動力を内外二重の回転子にそれぞれ伝えることにより、両回転子間における相対速
度は倍になる。したがって、固定子と回転子からなる従来の発電機に比べて半分の外径で同一の電力
が発生し、交流発電の場合には極数は半分となる。

本発明装置の一具体例として、上記の軸流羽根車と回転子を設けた場合について図2によって説明す
る。流体は左方から軸方向に流入し、前段羽根車11と後段羽根車12を互いに逆方向に回転させた
後、軸方向に流出する。これらの羽根車からえられた回転動力は回転中心軸が一致しているそれぞれ
の回転軸9、10によって内外二重の回転子7、8に伝えられる。ここでえられた電力は外側回転子
7に設けたスリップリング5を介して外部に取り出される。これらの回転子はケーシング3とステー
羽根6で固定されたハブ4内に設けられている。本発明の発電装置は、従来の装置に比べて次のよう
な利点を有す。

(1)前後段の羽根車を互いに逆方向に回転させることにより、軸方向流入流出が実現できるので、
  羽根車の上流側で流体に角運動量を与えるためのノズルや案内羽根が不要となり、構造の簡素化
  や摩擦損失の軽減を図ることができる。
(2)互いに逆方向に回転する内外二重の回転子にすることにより、従来の発電機に比べて外径を半
  減でき、交流発電では極数も半減できる。このことは、低速回転の場合にとくに有利となる。
(3)上記内容は発電装置全体のコンパクト化に連なり、簡易発電装置として有効であるばかりでな
  く、従来の業務用バルブ水車などの発電機部分の外径を半減させることができるので、装置自身
  に限らず、発電所建設における掘削経費節減や発電機輸送の容易さなどにも多大に貢献する。

時間が来たので、この続きは、明日のブログに掲載する。

                                                           この項つづく

 

これからのオールウインドシステム

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          (言葉の)本質は沈黙にあるということ、そのことを徹底的に考えること。

                                  

                                                      

                                 Takaaki Yoshimoto
                                             25 Nov, 1924 - 16 Mar,2012  

 

 

  

● これからのオールウインドシステム Ⅰ

【RE100倶楽部:スマート風力タービンの開発 Ⅸ】

昨夜は、ケニアにおける新興邦人企業の大規模太陽光発電の建設の記事の掲載と「エネルギーハーベ
スティング技術とその事業展開の現況確認を行った後、「フライホール蓄電装置」と「相逆転二段羽
根車と内外二重回転子発電装置」の特許事例について考察。今回は後者の風力発電と小形水力発電に
ついて触れてみる。

● よりコンパクトに!どこでも!風況に依存せず!風さえあれば発電 

【特許事例】特開2013-194609 風力発電システム

【要約】

風車発電機構と充放電装置とを備え、風車発電出力の充放電装置への送電と、充放電装置から系統へ
の出力とにより、系統への出力を平滑化する風力発電システムであって、揚水発電機構を備え、充放
電装置から電力供給を受けた揚水発電機構による揚水と、揚水の落差を利用した揚水発電機構による
水力発電及び水力発電出力の充放電装置への送電とを、数十秒乃至数分の比較的短い所定時間ピッチ
で選択的に行い、前記選択は、直前のピッチでの風車発電出力平均値と、直前のピッチ終了時点での
充放電装置蓄電量とに基づいて行い、風車発電機構と充放電装置とを備え、風車発電出力の充放電装
置への送電と、充放電装置から系統への出力とにより、系統への出力を平滑化する風力発電システム
であって、充放電装置の大容量化を招くことなく、系統への出力を安定的に平滑化できる風力発電シ
ステムの提供である。

図1

 【符号の説明】

A  風力発電システム  B  風車発電機構  C  揚水発電機構  D  制御装置  E  ポンプ水車機構  
1 風車発電機  2  風車用インバータ  3  電力量計  4  充放電装置  5  連系用インバータ  6  上
部貯水タンク  7  下部貯水タンク  8  連通路  9  電磁弁  10  ポンプ水車  11  誘導発電電動機
12  発電電動機用インバータ  13  双方向チョッパ  14、15  羽根車  16  ポンプ・水車部  17  モー
タ・発電機部  18、19  回転子

風車発電出力の経時変動は大きいので、系統への出力を安定的に平滑化するためには、風車発電の余
剰電力を蓄電する充放電装置の大容量化が必要であるが、充放電装置は一般に高価であり、大容量化
は、風力発電システムの高価格化を招き、風力発電システムの普及促進を妨げる。そこで、①風車発
電機構と②充放電装置とを備え、③風車発電出力の充放電装置への送電と、④充放電装置から系統へ
の出力とにより、系統への出力を平滑化する風力発電システムであって、充放電装置の大容量化を招
くことなく、系統への出力を安定的に平滑化できる風力発電システムを提供することを目的とする。

上記課題を解決するために、①風車発電機構と②充放電装置とを備え、③風車発電出力の充放電装置
への送電と、④充放電装置から系統への出力とにより、系統への出力を平滑化する風力発電システム
であって、⑤揚水発電機構を備え、充放電装置から電力供給を受けた揚水発電機構による揚水と、揚
水の落差を利用した揚水発電機構による水力発電及び水力発電出力の充放電装置への送電とを、数十
秒乃至数分の比較的短い所定時間ピッチで選択的に行い、⑥直前のピッチでの風車発電出力平均値と、
直前のピッチ終了時点での充放電装置蓄電量とに基づいて行うことを特徴とする風力発電システムで
である。

この風力発電システムでは、風車発電の余剰電力を充放電装置に蓄電すると共に、揚水発電機構の貯
水の位置エネルギーに変換して蓄積するので、必要に応じて揚水の落差を利用した揚水発電機構によ
る水力発電出力を風車発電出力と共に系統に出力することにより、充放電装置を大容量化することな
く、系統への出力を安定的に平滑化できる。

従来の揚水発電は、例えば夜間と昼間と言った長い時間スパンでの電力供給の平滑化を図るものであ
ったが、充放電装置から電力供給を受けた揚水発電機構による揚水と、揚水の落差を利用した揚水発
電機構による水力発電及び水力発電出力の充放電装置への送電とを、数十秒乃至数分の比較的短い所
定時間ピッチで選択的に行うことにより、揚水発電を、時々刻々変動する風車発電出力の平滑化に利
用するものであり、揚水発電の新規な利用方法を提案するものである。

風車発電出力は数十秒乃至数分の比較的短い所定時間ピッチで山谷に変動する場合が多いので、充放
電装置から電力供給を受けた揚水発電機構による揚水と、揚水の落差を利用した揚水発電機構による
水力発電及び水力発電出力の充放電装置への送電とを、数十秒乃至数分の比較的短い所定時間ピッチ
で選択的に行うのが合理的である。

尚、直前のピッチでの風車発電出力平均値と、直前のピッチ終了時点での充放電装置蓄電量とに基づ
いて、フィードバック方式で行えば、風車発電出力と充放電装置蓄電量の時々刻々の変動に応じた選
択が可能になる。ここで、好ましい態様において、ピッチは1~2分ピッチである。

風車発電出力の経時変化の計測データによれば、1~2分のピッチで中程度の山谷が発生する場合が
多いので、充放電装置から電力供給を受けた揚水発電機構による揚水と、揚水の落差を利用した揚水
発電機構による水力発電及び水力発電出力の充放電装置への送電とを、1~2分ピッチで選択的に行
うのが合理的である。好ましい態様では、選択開始直後の1ピッチは、系統への出力に等しい出力の
揚水発電機構による水力発電を行い、水力発電出力を充放電装置を介して系統へ出力する。

選択開始直後は、直前のピッチが存在しないので、とりあえず系統への出力に等しい出力の揚水発電
機構による水力発電を行い、水力発電出力を充放電装置を介して系統へ出力するのが好ましい。また、
好ましい態様においては、揚水発電機構は、上下一対の貯水タンクと、上タンクと下タンクとの間の
連通路の途上に配設されたポンプ水車機構とを備え、ポンプ水車機構は、互いに周方向逆向きに回転
する一組の羽根車がケーシング内に同軸に配設されたポンプ・水車部と、内外二重回転子形発電電動
機を有するモータ・発電機部とを有し、この一組の羽根車はそれぞれ前記モータ・発電機部の内外の
各回転子に結合されている。

上下一対の貯水タンクと、上タンクと下タンクとの間の連通路の途上に配設されたポンプ水車機構と
により、揚水発電機構を構成することができる。互いに周方向逆向きに回転する一組の羽根車がケー
シング内に同軸に配設されたポンプ・水車部と、内外二重回転子形発電電動機を有するモータ・発電
機部とを有し、この一組の羽根車はそれぞれモータ・発電機部の内外の各回転子に結合されたポンプ
水車機構は、前後段羽根車の相反回転トルクが同じ状態で、ひいては羽根車を流れる水流の角運動量
変化が前後段で同じ状態で、運転される特徴を有しており、ポンプ及び水車運転の両運転状態で、ガ
イドベーン等の補助機械なしで軸方向流入流出を実現できる。この特徴は、ポンプ(揚水)運転と水
車運転とを瞬時に切り換える必要が生じた場合に、瞬時切り換えを確実に実現するのに有利である。

【実施例】

上図1に示すように、風力発電システムAは、風車発電機構Bと、揚水発電機構Cと、両者の作動を
制御する制御装置Dとを備えている。風車発電機構Bは、風車発電機1と、風車発電機1の交流出力
を直流に変換する風車用インバータ2と、電力量計3と、充放電装置4と、充放電装置4の直流出力
を系統への交流出力に変換する連系用インバータ5とを備えている。

揚水発電機構Cは、上部貯水タンク6と、下部貯水タンク7と、上下貯水タンク間の連通路8と、連
通路8を開閉する電磁弁9と、連通路8の途上に配設されたポンプ水車10と、ポンプ水車10を駆
動し又ポンプ水車10により駆動される誘導発電電動機11と、充放電装置4の直流出力を誘導発電
電動機11の励磁電流(交流)に変換し、また誘導発電電動機11の交流出力を直流に変換する発電
電動機用インバータ12とを備えている。発電電動機用インバータ12と充放電装置4とは、双方向
チョッパ13を介して接続されている。

1.風車発電機構Bの作動を説明する。

風車発電機1の交流出力が、風車用インバータ2を介して直流出力に変換されて、充放電装置4に送
電される(風車発電機1の出力が直流の場合は風車用インバータ2は不要である)。風車発電機1の
出力値は電力量計3により検知され、制御装置Dに入力される。充放電装置4の蓄電量も制御装置D
に入力される。制御装置Dから系統への出力指令が充放電装置4に出力されると共に、電圧/周波数
制御指令が連系用インバータ5に出力され、充放電装置4の直流出力が連系用インバータ5を介して
所定電圧/周波数の交流出力に変換されて、系統に出力される。

2.揚水発電機構Cの水車運転作動(水力発電作動)を説明する。

制御装置Dから開度制御指令が電磁弁9に出力されて電磁弁9の開度が制御される。制御装置Dから、
励磁電流出力指令が充放電装置4に出力されると共に、励磁電圧制御指令が発電電動機用インバータ
12に出力される。充放電装置4の直流出力が双方向チョッパ13により昇圧され、次いで発電電動
機用インバータ12により三相交流に変換されると共に電圧と周波数が調整されて、励磁電流として
発電電動機11に供給される。電磁弁9によって流量制御された水流が、上部貯水タンク6から連通
8を通って下部貯水タンク7へ流れ、連通路8の途上に配設されたポンプ水車10を回転駆動し、ポ
ンプ水車10は発電電動機11を駆動して発電する。発電電動機11の三相交流出力は、発電電動機
用インバータ12により直流出力に変換され、双方向チョッパ13により降圧された後、充放電装置
4に送電される。

揚水発電機構Cのポンプ運転作動(揚水作動)を説明する。

制御装置Dから、励磁電流出力指令が充放電装置4に出力されると共に、励磁電圧制御指令と相入替
指令とが発電電動機用インバータ12に出力される。充放電装置4の直流出力が双方向チョッパ13
により昇圧され、次いで発電電動機用インバータ12により三相交流に変換され電圧および周波数が
調整されると共に相入替えされる。相入替えにより、発電電動機用インバータ12の3相のうち2相
が入替わって、ポンプ水車10の回転方向が水車運転の時とは逆方向になり、ポンプ運転(揚水作動
)が開始される。直後に、制御装置Dから全開制御指令が電磁弁9に出力されて電磁弁9が全開し、
下部貯水タンク7内の水が上部貯水タンク6へ押し上げられ、上部貯水タンク6に貯水される。

図2

所定日の15時40分から16時10分まで行われたフィールド試験により得られた、風車ロータ径
2m、定格出力1.2kW(風速11.5m/s)の風車発電機1の出力の経時変化生データを図2に
示し、上図2の生データから得られた1分間平均出力の経時変化を図3に示す。下図3において、黒
塗領域は、系統への平滑出力を63Wとする場合の不足電力を示し、ハッチング領域は系統への平滑
出力を63Wとする場合の余剰電力を示す。

雨3

揚水発電機構Cを使用せず、風車発電機構Bと制御装置Dのみを用いて、15時40分から16時
10分まで、系統への63Wの平滑出力を維持する場合には、15時40分から15時46分までの
不足電力3.56Whが15時40分の時点で充放電装置4に蓄電されており、以降不足電力は充放
電装置4からの出力で賄い、余剰電力は充放電装置4に蓄電すると仮定すると、16時10分の時点
で、7.15Whの電力が充放電装置4に蓄電されていることになり、充放電装置4の必要蓄電容量
は、7.15Whとなる。

図2から1~2分のピッチで中程度の山谷が発生していることが分かる。そこで、風車発電機構Bに
よる発電を継続的に行うと共に、揚水発電機構Cによる揚水と、揚水の落差を利用した揚水発電機構
Cによる水力発電とを、1分ピッチで選択的に行い、系統への63Wの継続的な平滑出力を維持する
場合をシミュレーションする。シミュレーションは以下の条件下に行う。

(1)ポンプ水車10として揚程及び落差が2mのポンプ水車を使用する。当該ポンプ水車10のポ
  ンプ運転作動時のエネルギー効率は、実測に基づき0.7とし、ポンプ水車10の水車運転作動
  時のエネルギー効率は、実測に基づき0.9とする。即ち、風車発電の余剰電力1Whをポンプ
  水車10のポンプ運転作動によって上部貯水タンク6内の貯水の位置エネルギーに変換し、次い
  で、この位置エネルギーをポンプ水車10の水車運転作動によって電力エネルギーに変換した場
  合、0.63Whの電力エネルギーが得られることとする。インバータ5、12、電磁弁9、制
  御装置Dの駆動に必要な電力は平滑出力やポンプ駆動に要する電力に比べて微少なので無視する
  こととする。

(2)15時40分の時点で、充放電装置4の蓄電量は零であり、上部貯水タンク6には、ポンプ水
  車10の水車運転作動とポンプ水車10による発電電動機11の駆動とにより5.0Whの電力
  に変換される量の位置エネルギーに相当する量、即ち1019リットルの水が貯水されているこ
  ととする。

(3)15時40分~15時41分の間は、系統への出力63Wに等しい出力の揚水発電機構Cによ
  る水力発電を行い、当  該水力発電出力を充放電装置4、連系用インバータ5を介して系統へ
  出力する。揚水発電機構Cによる揚水と、揚水の落差を利用した揚水発電機構Cによる水力発電
  との1分ピッチでの選択は、後述ごとく、直前のピッチでの風車発電出力平均値と、直前のピッ
  チ終了時点での充放電装置蓄電量とに基づいて、フィードバック方式で行うが、選択開始直後は、
  直前のピッチが存在しないので、とりあえず系統への出力に等しい出力の揚水発電機構による水
  力発電を行い、当該水力発電出力を充放電装置4、連系用インバータ5を介して系統へ出力する。

(4)15時41分以降の各1分間は、直前の1分間の風車発電出力平均値と直前の1分間終了時点
  での充放電装置4の蓄電量とに基づいて、充放電装置4から電力供給を受けた揚水発電機構Cに
  よる揚水と、揚水の落差を利用した揚水発電機構Cによる水力発電及び水力発電出力の充放電装
  置4への送電と、を選択的に行う。
  より具体的には、直前の一分間の風車発電出力平均値が63W未満の場合には、直前1分間分の
  不足電力を次の1分間に揚水発電機構Cによる水力発電によって補充して、系統に63W出力す
  る。

直前の1分間の風車発電出力平均値が63W以上であって、且つ直前の一分間終了時点での充放電装
置4の蓄電量が3Wh以下の場合には、次の1分間では揚水発電機構Cによる水力発電は行わず、揚
水発電機構Cによる揚水も行わない。直前の1分間の風車発電出力平均値が63W以上であって、且
つ直前の1分間終了時点での充放電装置4の蓄電量が3Whを超える場合には、次の1分間では揚水
発電機構Cによる水力発電は行わず、3Whからの超過分の蓄電力を揚水発電機構Cに供給して揚水
し、貯水の位置エネルギーに変換して上部貯水タンク6に蓄積する。

シミュレーション結果を下図4に示す。図4において、上部貯水タンクへ揚水された水の位置エネル
ギーの欄と、ピッチ終了時の上部貯水タンクの貯水の位置エネルギーの欄と、に記載したエネルギー
値(Wh)は、揚水の落差を利用した水力発電による電気エネルギーへの変換後の値である。図4か
ら分かるように、充放電装置4の蓄電量の最大値は、16時10分の時点での3.95Whである。



尚、16時10分の時点での上部貯水タンクの貯水量は367リットルである。

上記シミュレーションにおいては、揚水発電機構Cによる揚水と、揚水の落差を利用した揚水発電機
構Cによる水力発電とを、1分ピッチで選択的に行うことにより、充放電装置4の蓄電容量を3.9
5Whに設定すれば、換言すると風車発電機構Bのみで系統への63Wの継続的な平滑出力を維持す
る場合の約半分まで充放電装置4の蓄電容量を減らしても、系統への63Wの継続的な平滑出力を維
持することができた。

上記シミュレーションの結果を踏まえて以下が言える。

(1)風車発電機構と充放電装置とを備え、風車発電出力の充放電装置への送電と、充放電装置から
  系統への出力とにより、系統への出力を平滑化する風力発電システムに、揚水発電機構を付設し、
  充放電装置から電力供給を受けた揚水発電機構による揚水と、揚水の落差を利用した揚水発電機
  構による水力発電及び水力発電出力の充放電装置への送電とを、比較的短い所定時間ピッチで選
  択的に行うことは、充放電装置の大容量化を抑制するのに有効である。

  尚、本揚水発電機構は、300°C以上の環境を保持するために大規模な周辺機器を必要とするNA
   S 電池、高価で充放電の時間が遅くかつ劣化しやすいLiイオン電池などに比べ、運転コストがか
  からず簡素で耐用年数が長く、メンテナンス性も格段に優れている。また、これら電気的なキャ
  パシタは大容量化が極めて困難であるが、本揚水発電機構は落差/揚程、タンク容量、流体密度
  を変えることで処理能力を簡単かつ自由に設計でき、風力発電の規模を問わず如何なる風量発電
  所にも適用できる。また、数か所の発電所を一括して集中処理することも可能であり、充放電装
  置のみで系統出力の平滑化を図る従前の風力発電システムに比べて経済的である。この選択を、
  直前のピッチでの風車発電出力平均値と、直前のピッチ終了時点での充放電装置蓄電量とに基づ
  いて、フィードバック方式で行えば、風車発電出力と充放電装置蓄電量の時々刻々の変動に応じ
  た選択ができる。

(2)従来の揚水発電は、例えば夜間と昼間と言った長い時間スパンでの電力供給の平滑化を図るも
  のであったが、充放電装置から電力供給を受けた揚水発電機構による揚水と、揚水の落差を利用
  した揚水発電機構による水力発電及び水力発電出力の充放電装置への送電とを、比較的短い所定
  時間ピッチで選択的に行うことにより、揚水発電を、出力が時々刻々変動する風車発電による電
  力供給の平滑化に利用できる。

(3)図2から分かるように、風車発電出力は1~2分のピッチで中程度の山谷が発生する場合が多
  いので、揚水発電機構による揚水と、揚水の落差を利用した揚水発電機構による水力発電及び水
  力発電出力の充放電装置への送電とを、1~2分ピッチで選択的に行うのが合理的である。

ポンプ水車10と誘導発電電動機11とを、下図5に示す互いに周方向逆向きに回転する一組の羽根
車14、15がケーシング内に同軸に配設されたポンプ・水車部16と、内外二重回転子形電動機を
有するモータ・発電機部17とを有し、前記一組の羽根車14、15はそれぞれ前記モータ・発電機
部17の内外の各回転子18、19に結合されたポンプ水車機構Eによって構成しても良い。ポンプ
水車機構Eは、前後段羽根車14、15の相反回転トルクが同じ状態で、ひいては羽根車を流れる水
流の角運動量変化が前後段で同じ状態で、運転される特徴を有しており、ポンプ及び水車運転の両運
転状態で、ガイドベーン等の補助機械なしで軸方向流入流出を実現できる。この特徴は、ポンプ運転
(揚水作動)と水車運転(発電作動)とを瞬時に切り換える必要が生じた場合に、当該瞬時の切り換
えを確実に実現するのに有利である。



尚、ポンプ水車機構Eの詳細については、特許第424524号公報を参照されたい。

誘導発電電動機11に代えて、永久磁石式同期発電機を使用しても良い。この場合は、充放電装置4
から永久磁石式同期発電機へ向かう励磁電流は必要ない。揚水発電機構による揚水と、揚水の落差を
利用した揚水発電機構による水力発電及び水力発電出力の充放電装置への送電とを、風車発電出力と
充放電装置の蓄電量の時々刻々の変動に応じて時々刻々に選択的に行う態様は上記実施例に限定され
ない。制御の時間ピッチ、制御開始時の上部貯水タンク6の貯水量や充放電装置4の蓄電量、揚水選
の判断基準となる充放電装置4の蓄電量等は適宜選択して良い。 

● よりコンパクトに!どこでも!水況に依存せず!水圧さえあれば発電 

この方式の風力発電は、小形水力発電にも展開されていることをこのブログで――世界最強の落差1
メートル小水力発電――掲載している(「世界最強の小水力発電」2016.10.20、下図参照)。

 

【特許事例】特許5541760 没水式発電機 

 【要約】

没水式発電機であって、外側回転電機子と外側回転電機子に対峙し外側回転電機子とは逆方向に回転
する内側回転電機子とを有する内外二重回転電機子形発電機構と、軸心を一致させて配設され軸心の
延在方向に対する翼の捩れ方向が互いに逆方向の一組のプロペラとを備え、前記一組のプロペラの一
方は前記内外の回転電機子の一方に、前記一組のプロペラの他方は前記内外の回転電機子の他方に、
それぞれ連結されており、更に、内外二重回転電機子形発電機構を外部環境に対して密閉して収容す
るケーシングを備え、没水状態で水流中に置かれて稼働し、稼働時に没水式発電機に働く浮力Fは
没水式発電機に働く重力Wよりも大(係留索を用いて係留する場合にはF>W+係留索に働く重力-係
留索に働く浮力)である。

【符号の説明】

A  没水式発電機 B  没水式発電システム 1a  外軸 1b  内軸 2a  外側回転電機子 2b  内
側回転電機子 3  発電機構 4a  前段プロペラ 4b  後段プロペラ 5  ケーシング 6、6’ アー
ム 7  スリップリング 8  係留索 9  アンカー 10  ストッパー 11  支柱 100  海底や河
底 200  フロート

ここで、一旦、金元敏明(元)九州工業大学大教授らの  「風況を選ばない高出力インテリジェント 風力発電機
の実用化研究」  から離れ、フライホイールに使われる磁気軸受技術(下図参照)、反撥型磁気軸につ
いて考えてみる。

 

【反撥型磁気軸受技術動向】

地球温暖化や燃料資源の不足の面から、様々な産業で省エネルギー商品の開発が活発に行われており,
省エネルギーを実現するための手段として小型・軽量化が求められ、かつ、高速化による高性能化も
進んでいる。自動車においては、燃費を左右する軽量化は最も重要な課題の一つであり、自動車の電
動化の流れが進み、アクチュエータアプリケーションは従来のエンジンや油圧システムから電気モー
タに置き換わろうとしている。航空機においても,飛行制御の高度化によりアクチュエータアプリケ
ーションは油圧システムから電動アクチュエータ方式へ移行しつつある。このように小型、高速なモ
ータを用いた回転機械は今後様々な産業分野において増加する。

反面、回転機械の小型・軽量化により剛性低下するため、高速化が進むと,固有振動数と実用回転速
度領域の周波数が近接し、振動が発生する。特に高速域では系の変位が大きくなり、ばね特性が線形
と見なせる領域を超え、非線形振動が発生しやすい。また、系の変位が比較的小さい範囲でも回転機
械を構成する要素が非線形ばね特性を持ち、非線形振動が発生する場合もある。ばね特性が非線形と
なる要因として、磁気軸受の磁気力、ロータとステータのクリアランス(補助軸受等)、玉軸受のクリ
アランス、静止部品間のクリアランス、回転軸の幾何学的非線形性、回転軸のクラック等がある。こ
れらのことから、振動解析、振動対策の重要性が以前にも増している(「反発型磁気軸受で支持され
る回転軸系の危険速度通過のための振動解析と制振」水貝智洋、2017.06.22)。

1-2-1 磁気軸受

磁気力により軸を非接触に支持できる磁気軸受は、摩擦・摩耗がなく高精度・超高速回転が可能で、
機械的損失が極めて少なく、メンテナンス不要。永久磁石の反発力を利用した反発型磁気軸受(RMB)
は、半径方向を永久磁石の反発力で受動支持する。1軸制御の反発型磁気軸受は、半径方向を反発型
磁気軸受で支持し、軸方向のみを電磁石で制御することで非接触浮上を得る簡易な支持方式である。
上図1-1に1軸制御の反発型磁気軸受の構成例を示す。摩擦・磨耗がない。メンテナンス不要など
の従来の吸引型磁気軸受(能動的)の利点を有するとともに、制御設備等の簡素化によりコストの削
減が可能。装置全体の小型化が可能という利点がある。

真空中での使用が可能,環境を潤滑油等で汚染しないなど優れた特徴を持つことから、さまざまな産
業において実用化されつつある。ターボ分子ポンプ、ターボ冷凍機、工作機械用スピンドル、人工心臓、
エネルギー貯蔵用フライホイール、人工衛星などで利用,実用化への検討が進められている。最近で
は、自動車の電動化と燃費向上の要求に対応し、自動車用の運動エネルギー回生システムへの適用も
試みられている。磁気軸受の方式には電磁石の吸引力を利用して軸を支持する吸引型と,永久磁石の
反発力を利用して軸を支持する反発型がある。電磁石の吸引力を利用した能動型磁気軸受(AMB) は、
位置検出手段を用いた閉ループ制御により軸を定位置に保持するため、種々の制御手法を適用するこ
とによってある程度任意に軸受特性の設計可能だ。

これまで、能動型磁気軸受における制御技術に関する研究は盛んに行われており、回転中の振動制御
に関するものも多い。野波は、各モードごとに臨界減衰を実現するように制御力を決定し、少ないセ
ンサとアクチュエータで多くのモードを制御する準モード制御法を提案している。また、反発型と比
較して、剛性を高くすることができ、主危険速度より低速側でも比較的高速域まで利用することがで
きる。一般に軸受は、回転体の持つ6自由度のうち回転を除く5自由度を拘束する必要があり、5軸
全てを電磁石で支持すると装置が大がかりになり非常にコストがかかる。

装置の小型化を図るため、永久磁石内蔵型(ハイブリッド)磁気軸受を提案している。電磁石は電流
の2乗に比例した吸引力を発生するため、従来の能動型磁気軸受はバイアス磁束を与える電流を常に
流す必要があるが、バイアス磁束を永久磁石で与えることによりコンパクト化に成功している。また、
磁気軸受とモータを含めたドライブ装置全体の小型化を図るため、磁気軸受とモータの機能を一体化
した非接触浮上モータ(ベアリングレスモータ) の研究開発も活発に行われている。


永久磁石の反発力を利用した反発型磁気軸受(RMB) は,半径方向を永久磁石の反発力で受動的に支持
する。1軸制御の反発型磁気軸受は、半径方向を反発型磁気軸受で支持し、軸方向のみを電磁石で制
御することで非接触浮上を得る簡易な支持方式である。図1-1に1軸制御の反発型磁気軸受の構成
例を示す。摩擦・磨耗がない,メンテナンスが不要などの従来の吸引型磁気軸受の利点を有するとと
もに、制御設備等の簡素化によりコストの削減が可能,装置全体の小型化が可能という利点がある.し
かしながら、永久磁石対によって受動安定となる軸の剛性は、能動型の剛性に比べて小さい.そのた
め,高負荷荷重が求められる装置や瞬時的な外乱が加わる装置での利用には適していない。さらに、
反発型磁気軸受は永久磁石の反発力を利用しているため強い非線形性を有する。は反発型磁気軸受の
復元力特性を理論的に解析し,それがハードスプリング様式(漸硬系)の非線形剛性を有することを
明らかにする。

また、着磁方向を周期的に変化させて並べ、その周期と剛性、非線形特性の関係を調べる。また、ラ
ジアル軸受、アキシアル軸受と磁気継ぎ手について、2つのリング状磁石を用いて様々な着磁方向、
配置パターンの磁石の場合の剛性を調べる。さらに、磁石を重ねることで剛性が向上することを明ら
かにし、着磁方向を回転させて重ねる剛性向上法を提案した。この方法により4倍の体積増加に対し
剛性を12倍高めることに成功する。さらにこの復元力特性は、磁石の大きさやギャップ(空隙)、
製作時や組立時の誤差,軸方向の変位により変化し、これにより振動特性も変化すると考えられる。
これらの点については、反発型磁気軸受のギャップを変化させた場合の半径方向剛性と軸方向剛性を
調べ、軸方向変位に対する復元力特性の変化を調べたが、これらは線形特性の変化を明らかにするにと
どまっており、非線形性の変化についてはほとんど調べてられていない。

以上、今夜もこの辺で切り上げ、この続きは次回に、そして、もう一度、「風況を選ばない高出力イ
ンテリジェント風力発電機の実用化研究」に戻り、「事業理念・美順ビジョン」に移る。


  ● 今夜の一品

エネルギーハーベストデバイスの1事例、「振動発電+スーパーキャパシタ-無性通信」(上写真ダ
ブクリ)。

 

これからのオールウインドシステム Ⅱ

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                               まず何よりも、変化を脅威ではなく機会としてとらえなければならない。

 

                                                                                        ピーター・ドラッガー
                                                    

                             Peter Ferdinand Drucker
                                          Nov. 19, 1909 - Nov. 11, 2005 

 



● 久しぶりの大雪

14日午後5時の積雪は、長浜市余呉町柳ケ瀬49センチ、高島市今津36センチ、彦根市31セン
チ、米原市朝日29センチである。昨夜は融雪剤を散布し対応し、早朝から除雪作業、10時から、
ホームページ更新し作業に入る。それにしても体力不足を痛感。クランチ用筋トレツールを購入強化
(メニュー作成は数日後)。 

 

 



【今宵もぷぁ~っつとビールでひとり鍋】

寒中の作業もひとつの楽しみをもたらした。それまで遠ざかっていたビール(白い金麦)を飲もうと
して、いつものビールでないことに気づく。「クリア アサヒ」なのだ。どうしてなのだと彼女に聞く
と知らなかったというのだが、飲んでみる美味い。やはり日本のビールは世界一だと満喫する。

● キャベツとソーセージのスープ鍋

材 料:キャベツ 200グラム、魚肉ソーセージ 1本、水 2カップ、調味料 一粒コーンカッ
    プスープの素1/2袋、塩 こ小さじ2/3
作り方:①キャベツはざく切りにする。魚肉ソーセージは半分の長さに切ってから、縦4等分に切る。
    ②鍋に水と塩を入れ、キャベツを加えて火にかける。やわらかくなったら、魚肉ソーセージを
    加え、コーンスープの素を溶かし入れる。
アレンジ:鍋の残りの具と残された汁を丸ごとミキサーに入れて拡販する。別の鍋に移し、水分が少
     なくなったら、牛乳を適量加え暖める。塩、黒こしょう各々少々で味を調える。

 

 

  

【RE100倶楽部:スマート風力タービンの開発 Ⅹ】

● これからのオールウインドシステム Ⅱ 

 【反撥型磁気軸受技術動向】

1-2-2 危険速度通過時の振動と制振

反発型磁気軸受は剛性が低いため剛体モードの固有振動数が低い。そのため、共振が大きく発生する
回転速度である危険速度が低く、回転機械の高速化のニーズに伴い通常使用回転速度領域を剛体モー
ドの危険速度より上に設定すると良いと考えられる。そのため、運転開始時および停止時に主危険速
度を通過する必要がある。また、最近の回転機械では定格回転速度が主危険速度より高速側に設定さ
れるものも多い。

例えば,航空機用ガスタービンエンジンでは、2次あるいは、3次のモードに対応する危険速度を超
えたところで運転されることが多く、また頻繁に加速や減速を行なうため、危険速度をどのように通
過するかは重要な課題である。回転軸系の危険速度通過時の振動についても、様々な報告がなされ、
2自由度回転軸系の危険速度通過時の非定常振動を解析的な分析結果、2つの危険速度の接近度に比
べ加速が緩やかな場合、1次危険速度通過後、1次の固有振動数の自由振動と強制振動の重ね合わせ
としてうなりが生じ、加速が速い場合、あたかも1つの危険速度を通過した時のように2次危険速度
通過後になって初めて、振幅の極大値が生じる。

また,、回転軸系がハードスプリング様式の非線形復元力特性を有する場合、危険速度通過時の非定
常振動は高速側に傾いた共振曲線に引き込まれたまま振動が増大し続けることを報告している。反発
型磁気軸受で支持された回転軸系を危険速度以上で高速回転させる場合、危険速度通過時に何らかの
制振手段を講じることが望ましい。回転機械が危険速度を通過する際の振動を抑えるには、つり合わ
せを行い振動源の振動レベル(加振力) を低減させることが重要であり、軸回転の角加速度(減速度)
を大きくすることが考えられる。

しかし、反発型磁気軸受のようなその減衰が小さい系では、十分な釣り合わせを行なっても振動が避
けられない場合があり、このような振動を抑制する方法として、ダンパによる減衰の付与や制御(減
衰や外力の付与)により共振を抑える制振法――例えば減衰を付与する方法として、振動箇所に導体
板を外付けし、導体板と対向した位置で磁石の磁極の向きを変えて磁石の片面だけを利用して構成で
きる実用的な磁気ダンパ――のようなパッシブ制振法は、パラメータ変動の影響を受けやすく、回転
速度が変化する回転機械では、全ての速度領域で最適な制振効果を得ることは難しい。一方、外部か
ら振動抑制のためのエネルギーを供給するアクティブ制振は、パッシブ制振法に比べて大きな制振効
果を得られるが、エネルギーを必要とし構造が複雑になる欠点がある。

また、制御パラメータが適切に設定されていないと系を不安定にする危険がある。セミアクティブ制
振法は、系のパラメータを変更する制振法であり,本質的には安定でありながらパッシブ制振法に比
べて大きな制振効果が期待できる。セミアクティブ制振法に関しては多くの報告がある。オーバーハ
ングロータにおいて、変位に応じて電磁石の吸引力変化をさせて支持剛性を低下させることにより、
コンプライアンスのピークを低下さる。永久磁石と電磁石を組み合わせ,その磁気反発力を利用した
磁気動吸振器を提案し、制振効果を確認されている。反発型磁気軸受を制振手段として利用する例で
は、危険速度より高い回転数では、内部減衰が系を不安定化する場合があり、反発型磁気軸受の軸受
剛性に方向差を与えることで、ロータの減衰特性を改善し、限界速度を高める方法を提案している。

また、共振を避けるため、共振点を定格回転速度からずらす制振法も利用される。回転機械の増速ま
たは減速時には、回転速度に応じて支持剛性パラメータを切り替えることにより振動を低減できるこ
とが期待できる。たとえば、軸の接触支持点の追加および除去を行っており、空気バネの制御により
剛性を変化させ、反共振点を利用することによって制振を行なっている。ピエゾアクチュエータを用
いた危険速度の変化を利用した制振を行なっている。

さらに、非接触の方法として、能動型磁気軸受の制御ゲインを可変として危険速度を通過する方法を
提案している。また、反発型磁気軸受1軸制御系の構成で、軸方向を支持する電磁石に対する吸引板
を円錐形状にし、電磁石にバイアス電流を印加して半径方向に寄与する吸引力を変えることにより、
結果的に半径方向の剛性を変化させ、危険速度を通過させる振動回避法が提案されている。

1-2-3 接触振動

磁気軸受系では、回転体が磁石等と接触防止の補助軸受が設置される。この軸受はタッチダウン軸受
とも呼ばれる。磁気軸受の補助軸受としては、すべり軸受、流体軸受が使われる場合もあるが、接触
時の摩擦を低減するためボールベアリングが使用されることが多い。磁気軸受の正常動作中には軸と
補助軸受が接触しないよう隙間が設けられる。この隙間は。回転機械の小型化、性能・効率向上を目
的にますます小さくなる傾向にある。反発型磁気軸受は剛性が低いため剛体モードの危険速度が低く、
回転機械の高速化のニーズに伴い通常、使用回転領域を剛体モードの危険速度より上に設定すると良
く、運転開始時および停止時に主危険速度を通過する必要がある。反発型磁気軸受で支持された回転
軸はその減衰が小さいため、危険速度近傍で大きな振れまわり振動を起こし、補助軸受と接触して接
触振れまわり振動が発生する恐れがある。また、回転軸が補助軸受と接触する場合、回転体の異常、
制御装置の異常等の場合も想定される。

転軸と補助軸受等の接触振動は、接触することにより系の復元力が区分線形様式の強非線形ばね特性
を持ち、かつ衝突と摩擦が作用する複雑な動的挙動であり、これまで多くの研究者が調べてきた。ロ
ータとステータの接触に起因する振動には、ラビング(接触前向き振れまわり振動、接触後向き振れ
まわり振動、衝突振動、分数・超調波振動、カオス振動などがある。

①後向き振れまわり振動やカオス振動は大きな振れまわり速度を持つ場合があり、発生すると周りの
 装置に大きな損害を与える危険がある。
②前向き振れまわり振動は,不釣合いの応答として発生する強制振動であり、これまでに多くの報告
 がある。

回転体が静止部と常時接触する回転同期前向き振れまわりの理論解を解析し、ハードスプリング様式
(漸硬形)の応答曲線を求め、ロータとステータの減衰、摩擦の有無による変化を調べ、接触により
運動方程式は連成し非線形性を持つが、振れまわり速度は回転速度に完全に同期する。また、前向き
振れまわりの安定性の調査で、自転速度が一定の定常状態では、全ての回転速度領域で安定している
が、一定加速度の過渡応答では、摩擦により、ある回転速度で不安定になることを示す。摩擦が小さ
く、減衰が大きいほど不安定領域は小さくなることもわかっている。補助軸受の支持剛性に方向差を
与え、早期に前向き振れまわりから離脱させる制振法の提案がある。また、接触による摩擦にり、後
向き振れまわりの自励振動発生が知られている。後ろ向き振れまわりついて、一定回転速度で突然不
釣合いが増加した場合の数値シミュレーションによれば、摩擦係数が大きいほど後向き振れまわりの
発生が早まる。

あるいは、定常的な後ろ向き振れまわりを仮定し、振れまわり振動を解析的に調べている。ロータの
振れまわり速度は下限と上限が存在し、下限はロータの固有振動数、上限はロータとステータが一体
となったときの固有振動数(合成固有振動数) である。さらに、その存在範囲は摩擦係数に依存し、
摩擦係数が小さいほど存在範囲が狭くなる。また、後ろ向き転がりふれまわりの定常状態の振動数を
理論的に検討し、①固有振動数、②減衰、③駆動トルク等の影響は、分数調波振動は、ケーシングを
バネとダンパで弾性支持し、動特性を考慮し、ケーシングの形状と剛性、減衰により、発生する分数
調波振動の変化を調べると.ケーシングが対称形の場合、奇数次のみ発生し、ケーシングの剛性が高
いほど発生速度領域が高速側へ移動する。また,非対称形の場合、奇数次に加えて偶数次も発生する.
また、オフセットの影響は、カオス振動の場合、衝突現象をばねとダンパで表した実現象に近い有限
時間の接触モデルを用いてカオス振動、さらに、反発係数と乾性摩擦で表した衝突現象のみを考慮し、
軸の復元力がないモデルで、不釣合いが小さく摩擦係数が大きい場合、後ろ向きラビング、逆に不釣
合いが大きく、摩擦係数が小さい場合は前向き振れまわり,さらにいずれも小さい場合は、カオス振
動が発生する。

以上のように、それぞれの接触振動の特徴で、定常的な振れまわりを仮定し系のパラメータの影響の
研究も多い。一方、ロータがステータと接触した後、どのような振動が発生しやすいかという問題が
ある。定常回転時に回転機械の欠損や変形を想定し不釣合いが急増した場合、外乱が加わった場合、
ロータとステータが接触した後の応答の、外乱の大きさや系のパラメータと発生する振動様態の関係
がわかっている。危険速度通過時は、これまでに、ロータが振れ止めに衝突した後、後向き振れまわ
りを生じる場合と、危険速度を通過できる場合があり、通過するための許容偏重心と角加速度の関係
を明らかにされている。また,モータのトルクが有限の系について、偏重心の大きさにより接触から
離脱し危険速度を通過する場合、前向き振れまわりが生じる場合、後ろ向き振れまわりが生じる場合
があることを数値シミュレーションと実験でわかっている。さらに、摩擦係数、ケーシングの支持剛
性の影響、さらに、数値シミュレーションと実験で摩擦、偏心、ばね特性、減衰等の各パラメータが、
円軌道型前向き接触ふれまわり運動、楕円軌道型前・後向き接触ふれまわり運動、円軌道型後向き振
れまわり運動の発生を増長させる影響が明らかにされている。

                                                           この項つづく

● 事例研究:フライホイールを使った波動発電装置

【特開2017-002885揺動運動による発電機構】

一般的な揺動体の揺動を発電機に発電エネルギーとして変換する発電機構として、波力で揺動する板
や浮力体の相対的な動きで油圧ポンプを駆動して圧力に変換後、発電機を回転させるような機構が提
案されているが、例えば特許文献1では、波受け部材と波受け部材の揺動運動で作動油を圧縮するポ
ンプと、蓄圧部と油圧モーターと、それらのユニット間を流れる作動油と、配管および発電機からな
り、波受け部材の揺動運動を発電機を回転させるための回転エネルギーに変換する構成が複雑で、そ
の結果、①故障確率が高くなり、②常にメンテナンスが必要不可欠となり、③作動油の漏れで河川や
海を汚染する可能性がある。

特許文献2おでは、波受け部材の一方向の揺動で発電機を回転させ、フライホィールで発電機の回転
を保持する構成が提案されているが、①揺動する波受け部材の両方向の揺動に対応せず、効率が悪い、
②一方、コイルに対して、マグネットを往復動させて、磁界を変化させることで、発電を行うような
単純な構造の懐中電灯もあるが、大きな電力は発生できないという欠点がある。

この新規考案は 揺動手段と発電機とのエネルギー伝達機構が、非常に単純な構成で揺動手段のいず
れの方向の揺動に対しても発電できるという利点がある。発電機は多極化されたハブダイナモのよう
に、1回転で複数回の磁極の反転が生じることで、発電する効率の高いものを用い、波受け板の揺動
軸が往動時は発電機の軸(コイルと鉄心を支える軸)を回転させ、復動時は発電機外装(磁石を支え
る外装)を発電機の軸とは逆方向に回転するように構成することで実現している。

 Jan. 5, 2017
【符号の説明】

10 発電機外装  11 磁石  12 ギヤA  13 フライホィールA  20 軸  21 コイルと
鉄芯  22 ギヤB  23 フライホィールB  24 スリップリング 30 入力軸パイプ  31
ギヤC  32 一方向クラッチC  33 ギヤD  34 一方向クラッチD  40 出力端子  50
揺動軸  51 揺動板

【要約】 

揺動軸と、軸を回転させて発電するタイプの発電機の軸および発電機外装に対し、揺動軸からそれぞ
れ回転連結方向の異なる一方向クラッチを介して回転力が伝わるように構成したことを特徴とする揺
動体で海の波やうねりあるいは風等を揺動板で受けて、単純な構成で効率よく発電する機構である。
これは面白い。 

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