選択肢を前にした 若者が答えるべき問題は、 正確には、何を
したらよいかではなく、 自分を使って 何をしたいかである。
ピーター・ドラッガー
Peter Ferdinand Drucker
Nov. 19, 1909 - Nov. 11, 2005
【量子ドット工学講座30:最新高効率太陽電池技術事例】
● 特開2016-225546 光電変換素子 シャープ株式会社 他
量子ドットを有する太陽電池は、化合物太陽電池に、量子ドットを有する量子ドット層を挿入した構造
である。このような構造により、量子準位を介した二段階の光励起によって、未利用だった波長域の光
吸収(母体材料のバンドギャップより小さいエネルギーのフォトンの吸収)が可能となり、光電流を増
加させることができる。量子ドット間の電子的結合により、超格子ミニバンド形成する場合、量子ドッ
トで生成されたキャリアは、超格子ミニバンド中を移動し、光励起によってp型及びn型の母体半導体
領域へと移動し、外部より取り出される。
現在、量子ドット層を有する太陽電池では、量子ドット層で生成されたキャリアの取り出し効率が極め
て低く、光電変換効率が低い。①この要因の一つとして、量子準位(超格子ミニバンドを含む)を介し
た二段階の光吸収効率が低いことが考えられ、特に、二段階光吸収のうち、二段階目の光吸収に該当す
る量子準位から伝導帯への吸収帯域が一段階目の光吸収に該当する価電子帯から量子準位への吸収帯域
と比べて狭く、また、二段階目の光吸収帯域と太陽光スペクトルとの整合性が低いことから、一段階目
の光吸収は十分である一方、二段階目の光吸収が不十分であることが課題となっている。
②一方、波長変換材料を用いることで、太陽電池の効率を向上させる研究開発も行われている。透過損
失となる2つの光吸収ピーク間の波長領域内の光を、長波長側の光吸収ピークの光に波長変換すること
により、光電変換できる光の波長範囲を広くして、光電変換効率の向上を図っている。しかし、光電変
換効率を向上に、波長変換材料によって、二段階目の光吸収に該当する量子準位から伝導帯への光学遷
移に対応する波長の光に変換する開示がない。
【課題を解決するための手段】
ここで提案される光電変換素子は、障壁層と量子層とが交互に繰り返し積層された超格子半導体層と、
入射した光の波長を変換する波長変換材料を含む波長変換層と、を備え、波長変換層は、入射した光を、
この超格子半導体層の伝導帯の量子準位から伝導帯の連続準位への光学遷移に対応する波長光に変換す
る。つまり、下記の9つの構成ような量子準位を介した二段階光吸収における二段階目の光吸収を効率
的に起こすことで、光電変換効率を向上させることができる構成技術が提案されている。
波長変換材料を含む波長変換層を備え、波長変換層は、入射光を、超格子半導体層の伝導帯の量
子準位から伝導帯の連続準位への光学遷移に対応する波長光に変換する。 第1の構成において、この波長変換層は、入射光を、光のエネルギーと光吸収係数との関係を示
す光吸収スペクトルの、超格子半導体層の伝導帯の量子準位から伝導帯の連続準位への光学遷移
に対応し、光吸収係数がピークとなるエネルギーの光に変換できる。 入射光を、超格子半導体層の伝導帯の量子準位から伝導帯の連続準位への光学遷移に対応して光
吸収係数が最も大きいエネルギーの光に変換するので、最も大きいエネルギーの光に変換するの
で、量子準位を介した二段階光吸収における二段階目の光吸収をより効率的に起こし、光電変換
効率を向上させることができる。 第1から第3のいずれかの構成で、この波長変換層は、超格子半導体層に対して、光の入射側と
は反対側に設けてもよい。 第4の構成では、波長変換層は、光電変換層を透過した光を波長変換し、二段階光吸収の二段階
目の光吸収を効率的に起こすので、光電変換効率を効果的に向上できる。 第1から第5のいずれかの構成において、この量子層は、複数の量子ドットが前記障壁層により
囲まれた構造の量子ドット層であってもよい。この構成によれば、光吸収フォノンボトルネック
等の効果により、励起されたキャリア寿命を伸ばすことができる。 第1から第6のいずれかの構成において、前記波長変換材料は、量子ドットを含んでもよい。こ
の構成によれば、波長変換後の光の発光ピークは、状態密度に強く依存した半値幅の狭い発光ピ
ークとなるので、効率的に光吸収することができる。 第1から第7の構成において、この波長変換層には、光入射側から、より短波長の光に波長変換
する、異なる種類の波長変換材料をそれぞれ含む複数の層が含まれていてもよい。 第8の構成において、この波長変換層に含まれる複数の層のうちの少なくとも1つの層は、入射
した光を光のエネルギーと光吸収係数との関係を示す光吸収スペクトルにおいて、超格子半導体
層における価電子帯の量子準位から価電子帯の連続準位への光学遷移に対応し、光吸収係数がピ
ークとなるエネルギーの光に変換するようにしてもよい。この構成によれば、超格子半導体層の
価電子帯の量子準位に生成されたキャリアを効率的に取り出すことができる。
【符号の説明】
1…基板、2…バッファ層、3…BSF層、4…ベース層、5…超格子半導体層、6…エミッタ層、
7…窓層、8…コンタクト層、9…p型電極、10…n型電極、11…波長変換層、12…金属膜
12、51…障壁層、52…量子ドット層、53…量子ドット、100…太陽電池
【要約】
光電変換素子は、障壁層51と量子ドット層(量子層)52とが交互に繰り返し積層された超格子半導
体層5と、入射した光の波長を変換する波長変換材料を含む波長変換層11とを備える。波長変換層11
は、入射した光を、超格子半導体層5における伝導帯の量子準位から伝導帯の連続準位への光学遷移に
対応する波長の光に変換することで、光電変換素子の光電変換効率を向上させる。
【RE100倶楽部:スマート風力タービンの開発 11】
● 事例研究:磁気軸受を使った風力発電装置
【特開2017-002885揺動運動による発電機構】
従来、この種の風力発電システムとしては、下記特許文献1に示すように、主軸の上下端に永久磁石を
配置し、これらに対向する永久磁石を軸受け部分に設けた磁気軸受けを備える風力発電装置が知られて
いる(特開2001-132617 風力発電装置)。
しかし、従来の風力発電システムでは、非接触の磁気軸受けにより接触抵抗を無くして発電効率を高め
ることができるものの、①磁気軸受けに加えて、②発電装置を別途構成する必要があり、装置構成が複
雑となるという問題があった。特に、縦型の小型風力発電装置では、簡易な構成で複数台設置可能とす
ることで発電量を増やす事業形態であるところ、装置構成が複雑で1台当たりのコストが嵩むことはビ
ジネス上大きな障害となる。
そこで、この新規考案では、①簡易な構成で、②回転負荷を低減して、③低風速起動を可能とし、発電
量を向上させることができる風力発電システムを提供する。上記目的を達成のために、第1発明の風力
発電システムは、垂直方向に立設された主軸と、主軸に取り付けられた風車と、主軸の下部に設けられ
た発電装置とを備える風力発電システムにおいて、発電装置が、主軸の下部に取り付けられ、①周方向
に交互に極性が異なるように永久磁石を配置させたロータと、②これを取り囲む複数のヨークと、③こ
の回りに巻線されたコイルとを有するステータとを備え、④これとヨークとの間の磁気吸引力(能動型
磁気軸受)により、主軸を浮上させることを特徴とする。
クを有するステータにより発電装置を構成することで、主軸を発電装置の磁気吸引効果で
浮上させることができる。 第2の風力発電システムは、、①第1のシステムでのロータの外周面が上部から下部に拡
径したテーパ形状であり、②ヨークの内周面がロータの外周面に対応して上部から下部に
拡径したテーパ形状であり、③ロータとヨークとの間の磁気吸引力として、水平方向成分
に加えて垂直方向成分を発生させたことを特徴とする。このシステムでは、永久磁石を配
置したロータと、これと対向するヨークを有するステータは、磁気吸引力はロータとヨー
クとの間の水平方向となるところ、ロータを外周面が上部から下部に拡径したテーパ形状
とし、ヨークの内周面をロータの外周面に対応させて上部から下部に拡径したテーパ形状
とすることで、ロータを引き上げるようにテーパ面に垂直な斜め上方の磁気吸引力を発生
させることができる。これにより、主軸に掛る重力が多くなった場合にも、磁気軸受けを
別途設ける必要がなく、簡易な構成で回転負荷を低減して低風速起動を可能とし、発電量
を向上させることができる。
第3の風力発電システムは、第1または第2のシステムで、ロータの下部に設けられたロ
ータ側補助永久磁石と、ステータに設けられ、補助永久磁石と逆極性に対向配置されたス
テータ側補助永久磁石とを備え、ロータ側補助永久磁石とステータ側補助永久磁石により、
主軸の浮上を補助することを特徴とする。このシステムによれば、主軸に掛る重力が多く
なった場合にも、主軸の下端に設けられた①ロータ側補助永久磁石と②ステータ側補助永
久磁石の反発力により、主軸が上方に押し上げられ、主軸に掛る重力が多くなった場合に
も、磁気軸受けを別途設ける必要がなく、簡易な構成で回転負荷を低減して低風速起動を
可能とし、発電量を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
図1を参照して、本実施形態の風力発電システムについて説明すると、風力発電システムは、フレーム
Xを介して垂直方向に立設された主軸1と、主軸1に取り付けられた風車2と、主軸1の下部に設けら
れた発電装置3とを備える。主軸1は、フレームXとの間にベアリングYを介して回転自在に支持され、
風車2の回転に対応して回転する。風車2は、縦方向に延びる一対のブレード21,21と、主軸1に
連結されブレード21,21を支持する支持アーム22,22とを備える(下図1)。
特開2016-194262
【符号の説明】
1…主軸、1´…回転軸、2…風車、3…発電装置、3´,3´´…ケーシング、21…ブレード、
22…支持アーム、30…ロータ、31,31´…回転体、32,32´…永久磁石、40…ステータ、
41…筺体、41a,41a´,44a…アジャストスクリュー、42,42´…ヨーク、43…コイ
ル、X…フレーム、Y…ベアリング(軸受)
下図2に示すように、発電装置3は、主軸1の下部に取り付けられたロータ30と、ロータ30を取り
囲むように設けられたステータ40とを備える。ロータ30は、ジョイント部10を介して主軸1と連
結された回転軸1´に取り付けられた回転体31と、回転体31の外周面において周方向に極性が異な
るように放射状に配置された複数の永久磁石32とを備える。ステータ40は、筺体41の内面に支持
された複数のヨーク42と、ヨーク42の回りに巻線されたコイル43とを備える。
筺体41は、発電装置3本体のケーシングの上面3´にアジャストスクリュー41aを介して、上下方
向に調整可能に支持される。なお、ケーシングの上面3´と筺体41との突き当たり部分にはガイド(
防振ゴム)41bが取り付けられている。ヨーク42は、ロータ30の永久磁石32と対向してロータ
30を外周から取り囲む。なお、ヨーク42の外側端部は互いに連結されて環状となっていてもよい。
これにより、ロータ30をステータ40内に挿入すると、ロータ30の永久磁石32と対向するヨーク
42との磁気吸引力により、図2のようにロータ30がヨーク42の中央位置(中心方向および上下方
向の中央位置)で浮上保持される。
図2
なお、筺体41と発電装置3本体のケーシングの上面3´との間のアジャストスクリュー41aを調整
することにより、前記中央位置を調整することができ、ロータ30を介して主軸1の上下方向の位置を
調整することができる。コイル43は、ヨーク42の回りに巻線され、ロータ30の回転によるヨーク
42内の磁束の変化により交流の誘導電流が発生する。また、ロータ30およびステータ40には、必
要に応じて、それぞれロータ側補助永久磁石34およびステータ側補助永久磁石44が設けられる。ロ
ータ側補助永久磁石34は、ロータ30の下部に下向きに取り付けられ、ステータ側補助永久磁石44
は、ステータ40の底面40´にロータ側補助永久磁石34と逆極性に対向配置される。これにより、
ロータ30の永久磁石32と対向するヨーク42との磁気反発力により、ロータ30および主軸1の浮
上が不十分な場合に、ロータ側補助永久磁石34およびステータ側補助永久磁石44の反発力によりロ
ータ30を上方に押し上げて浮上させることができる。
なお、ステータ側補助永久磁石44は、ステータ40の底面40´にアジャストスクリュー44aを介
して、上下方向に調整可能に支持される。そのため、ロータ側補助永久磁石34とステータ側補助永久
磁石44との間のギャップを調整することで、ロータ30を上方に押し上げる反発力を調整することが
できる。以上のように構成された風力発電システムによれば、風がブレード21,21が受けることに
より回転すると、支持アーム22,22を介してその回転が主軸1の回転となる。このとき、主軸1は、
回転軸1´を介して下部に設けられたロータ30が、ヨーク42との間の磁気吸引力(ロータ側補助永
久磁石34およびステータ側補助永久磁石44が設けられる場合にはこれらの間の反発力)により、浮
上状態とすることができる。
このように主軸1を浮上状態とすることにより、主軸1の軸受け部分であるベアリングYの軸受け荷重
を軽減することができ、回転負荷を大幅に低減して低速起動を可能とすることができる。さらに、ベア
リングYに掛る軸受け荷重は、筺体41と発電装置3本体のケーシングの上面3´との間のギャップを
アジャストスクリュー41aにより調整することができる(図中の矢印参照)。加えて、ロータ側補助
永久磁石34およびステータ側補助永久磁石44が設けられる場合にはアジャストスクリュー44aに
より、ロータ側補助永久磁石34とステータ側補助永久磁石44との間のギャップを調整することでも、
ベアリングYに掛る軸受け荷重を調整することができる(図中の矢印参照)。
また、水平方向において、ロータ30を取り囲むようにステータ40を設けるオーバーハング構造とす
ることで、ロータ30とステータ40との間のベアリングを省略することができ、軸受け負荷部分を無
くすることができ、回転負荷をさらに低減することができる。加えて、ロータ30を取り囲むようにス
テータ40を設けるオーバーハング構造とすることで、主軸1の縦方向の振動に対して許容性を持たせ
ることができ、ロータ30とステータ40との間のベアリングと併せて用いられるフレキシブルカップ
リングやフレキシブルシャフト等についても不要となる。このように、本実施形態の風力発電システム
によれば、簡易な構成で回転負荷を低減して低風速起動を可能とし、発電量を向上させることができる。
次に、図3を参照して、本実施形態の発電システムの変更例について説明する。なお、上記実施形態と
同一の構成については、同一符号を付してその説明を省略する。この場合、回転軸1´に設けられたロ
ータ30´は、その外周面が上部から下部に拡径したテーパ形状となっている。
具体的には、ロータ30´は、回転体31´の外周面が上部から下部に拡径したテーパ形状となってお
り、その外周側に永久磁石32´が外周面において周方向に極性が異なるように放射状に配置される。
また、この場合のステータ40´は、筺体41´の内面に取り付けられたヨーク42´の内周面がロー
タ330´の外周面に対応して上部から下部に拡径したテーパ形状となっている。なお、ヨーク42´
の内周面は、ヨーク42´の制作上、階段状となっていてもよい。
図3
筺体41´は、発電装置3本体のケーシングの下面3”上において、アジャストスクリュー41a´を
介して上下方向に調整可能に支持される。また、筺体41´とケーシングの下面3”との間の付き当た
り部分にはガイド(防振ゴム)41b´が取り付けられている。かかる本実施形態の発電システムの変
更例によれば、磁気吸引力がロータ30とヨーク42との間の水平方向となる前記実施形態に比して、
ロータ30´を引き上げるようにテーパ面に垂直な斜め上方の磁気吸引力を発生させることができる(
図中の矢印)。
このとき、筺体41´と発電装置3本体のケーシングの下面3”との間のアジャストスクリュー41a´
を調整することにより、その中央位置を調整することができ、ロータ30´を介して主軸1の上下方向
の位置を調整することができる。これにより、主軸1に掛る重力が多くなった場合にも、簡易な構成で
回転負荷を低減して低風速起動を可能とし、発電量を向上させることができる。なお、かかる本実施形
態の発電システムの変更例においても、主軸1に掛る荷重が大きい場合などに、ロータ側補助永久磁石
34とステータ側補助永久磁石44を補助的に設けるようにしてもよい。
ここで掲載した垂直型風力発電システムがわたしがこれら開発しようとするイメージに近いものである。
● これからのオールウインドシステム Ⅲ
【反撥型磁気軸受技術動向】
2 反発型磁気軸受の磁気力
2-1 反発力の計算
反発型磁気軸受の軸受部は軸方向に着磁したリング状の2つの永久磁石を極性を合わせて内外輪で組み
合わせた構造とし、ローター側磁石とステーター側磁石の間の磁気反発力により軸を支持する.以下で
はローター側磁石を内輪、ステーター側磁石を外輪と呼ぶ.図2.1 のように内外輪磁石を微小要素に分
割し、微小要素の間に生じる磁気反発力をクーロンの法則を用いて求め、それを磁石の極面全体につい
て積分して反発型磁気軸受に生じる磁気力を計算する。図2.1 は同一水平面に投影して表している。
なお、以下では、内輪に関する物理量を添え字A、外輪に関する物理量を添え字Bを用いて表す。時刻
tにおける内輪の不つりあい~e 方向のx 軸方向からの回転角度をψ=ωt とする。半径方向の分割数
をnr、円周方向の分割数をnψとする。x半径方向は内側から、内輪の微小要素の要素番号をj(=1
、2・・・、nr)、外輪の要素番号をκ(=1、2・・・、nr)、とし、円周方向はt=0の配置において、
x 軸上から、内輪の要素番号をj(=1、2・・・、nr)、外輪の要素番号をl(=1、2・・・、nr)と
する.x 軸方向から角度 ψ+ψA の位置にある内輪微小要素(i、j)の形心Aij とx 軸方向から角
度ψB の位置にある外輪微小要素外輪要素(k、l) の形心Bkl について考える。形心とは、微小要素
の電荷を円周方向に沿って集めたときの中心点である。ここで角度A、Bは、 内外輪の隣り合う要素の
形心間の角度Δψ=2π/nψを用いて、次のように表すことができる。
ψA=jΔψ、ψB=lΔψ (2,1)
また,内輪要素の形心Ai*、外輪要素の形心Bk(*=1、2・・・nω) のz軸からのxy平面での位置ベク
トル~a、~b の大きさをγa(=|~a|)、γb(=|~b|)とすると次式となる。ここでベクトル~a,~b
はxy 平面にある。
以上のように、参考論文は数式と羅列されていくがこれは割愛し、解説図と要点のみ掲載する。
この項つづく
ピアノ四重奏曲 ピアノと弦楽のための四重奏断章
ハープと弦楽器のみで演奏される、静謐感に満ちた美しい楽章であることから、別名「愛の楽章」とも
呼ばれる。『亡き子をしのぶ歌』第2曲「なぜそんな暗い眼差しで」及び『リュッケルトの詩による5
つの歌曲』第3曲「私はこの世に忘れられ」との関連が指摘される。 中間部ではやや表情が明るくなり、
ハープは沈黙、弦楽器のみで憧憬を湛えた旋律を出す。この旋律は、終曲でも使用される。休みなく第
5楽章へ繋がる。ルキノ・ヴィスコンティ監督による映画『ベニスに死す』で使用されたことで有名と
なり、しばしば単独で演奏される。 なお、楽章の表題は「アダージェット」であるが、演奏指示は、
Sehr langsam (非常に遅く)となっている。一般に10分前後の演奏時間であるが、マーラーとメンゲル
ベルグは約7分で演奏(出典:Wikipedia)。