狭い意味の「行軍」ではない。車を戦場にすすめる場合の基本がここに述べられている。な
かでも現象によってその本質を見破る観察法はするどい。
人心把握
部下は数が多ければよいというものではない。むやみに進撃することをつつしみ、力を集中し、敵
情をよく把握できてはじめて勝利が得られるのだ。将たる者がここに思いを数さず、多数を
たのんで敵を斜視するならば、逆に捕排にされることは必至である。多数の兵士を掌握する
場合、罰についてはとくに注意しなければならない。すなわち、部下がよくなじんでいない
うちに、わずかの過失があったからといって、これを罰するならば、その部下は心服しない。
心服しない者は使いにくい。逆に、すっかりなじんでいて、過失があってもこれを罰しない
ならば、押れてしまって使いにくくなる。したがって、部下に対してはつねづね、温情をも
ってあたると同時に、威厳をもって軍紀を整えてこそ必勝の態勢ができあがる。平素から命
令が行なわれていれば、いざというときにも人民は服従する。逆に、平素から命令が行なわ
れていなければ、いざというときにいくら説教しても人民は服従しない。つねづね、人々か
ら信じられている者こそが、人々とともに成果を期し得るのである。
部下の掌握 部下の掌握については、『孫子』の各篇で触れられているが、ここでは、
①部下の致が多い少ないということが問題ではなく、一致結束しているかどうかということ。
②剖というものは、一定の条件を前提として、考えなければならない。必要なのに剖しない
と、統制を乱すこと。
③仁と威の両面が必要であること。
④平素から正しい管理が行なわれていなければ、いざという時に及んでも用をなさないこと。
……を説いている。
第6章 不純な「日銀法改正」と痛恨の「失われた20年」
第1節 「失われた二十年」の原因は何か?
前章で見たように、日本銀行が「「資産価格」と「一般物価」を分けて考える」という金融
政策のセオリーに反して、二般物価」が問題ある水準ではなかったのに金融引き締めを行っ
た結果、日本経済はどん底に叩き込まれることになりました。そして、それが間違いだった
ことを認めたくないとばかりに引き締めに固執したために、「失われた二十年」といわれる
デフレの泥沼にはまってしまったのです。
1980年度からバブルが崩壊した1991年度までの平均経済成長率は「名目で6・3%
実質で4・3%」だったのに対し、1992年度から2011年度までの平均経済成長率は
「名目でマイナスO・1%、実質でO・8%」と、大幅に落ち込んでしまいました。日本が
低成長率に甘んじていた期間も、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなどの欧米各国は
年3~4%の成長率であり、日本だけが苦境にあえいでいるような体たらくです。
なぜ、そのようなことになってしまったのか。本章で、「失われた二十年」の謎を解き明か
していくことにしましょう。そのことを考えるにあたり、まず最初に、「失われた二十年」
の原因について考えてみたいと思います。これまで幾度も述べました通り、私は「失われた
二十年」の原因は、日銀の金融政策の失敗(不必要、かつ過度の金融引き締め)にあると考
えています。しかし世の中には、様々な理由を並べる人たちがいます。たとえば、ざっと次
のようなものが菓げられるでしょう。
・不良債権が足自になった
・づフンスシート不況になった
・IT投資、デジタル化に出遅れ、生産性が上がらなかった
・ゾンビ企業が生き残り、イノベーションに後れをとった
・岩盤規制を打ち崩す構造改革が不十分だった
それぞれ、至極もっともな意見ですが、しかし結論を先にいってしまえば、いずれの見方も
経済の「原因」と「結果」を見誤っていると私は思います。
第2節 不良債権が足伽になった」はまったくのウソ
まず、「不良債権が足抱になった」という議論を検証しましょう。「バブル崩壊後に日本経
済の足を引っ張ったのは、不良債権だ」と思っている人はたくさんいます,しかし、不良債
権というのは金融機関の経営の問題であり、経済全体に大きな影響を及ぼすほどのものでは
ありません。「不良債権の先送りが経済低迷の原因だ」などといわれましたが、不良債権の
先送りはいつでも起こっている現象です。ミクロのことだけを見ていえば、不良債権の先送
りはしないほうがいいに決まっています。しかし、マクロ側から見ると、マクロ経済を良く
すれば不良債権は自然に減少していきます,景気が減速して資産価値が落ちるから不良債権
になっていくのです。経済全体が良くなれば、貸付先の企業業績も少しは良くなるでしょう。
株価も上がりますし、不動産の値段も上がって担保価値も上昇します。先送りしている問に
実体経済が成長すれば、不良債権問題は片付いていきます。不良債権のすべてがすっきりと
なくなることはありませんが、問題にはならなくなります。
「原因」と「結果」でいえば、不良債権問題の「根本原因」は、主として金融政策の失敗で
あり、不良債権というのは単なる「結果」にすぎません。おそらくバブル崩壊後に日銀がき
ちんと金融緩和して経済成長を促していれば、不良債権問題は5年くらいで問題のないレベ
ルにまで解消したでしょう。それが10年も20年も長引いてしまったのは、低成長、マイ
ナス成長で経済が伸びなかったからです。この20年間に他の先進国が大幅にGDPを伸ば
しているのに対して、日本だけがほとんどGDPを伸ばしていません。間違えてはいけませ
んが、それは日本が不良債権問題を抱えているから伸びなかったのでは決してありません。
これほど長期間にわたってGDPを伸ばせなかったからこそ、不良債権問題が早期に片付か
なかったのです。金融機関が不良債権を抱えているから、貸出しを抑制し、貸し剥がしが起
こるといわれていました。たしかに金融機関が回収を急ぎたかったのは事実でしょう。
しかし、本当に儲かる貸出先であるのなら、金融機関Aが貸し剥がしをしたとしても、金融
機関Bが貸し出すはずです。儲かるとわかっているのに貸さないことはありません,おそら
く、その貸出先は、どの金融機関も貸出しできないほどの厳しい経営状態にあったのです,
なぜそうなったのか。もちろん、経営の失敗という事もあると思いますが、経済全体が低迷
しているという要素が多分にあるはずです。過度の円高が続いていたことも原因でしょう。
マクロ経済全体を良くすれば、より多くの企業が息を吹き返します。経済全体を良くすれば、
儲かる企業が増えてきて、自然に不良債権は減少し、貸し渋りも減っていきます。不良債権
や貸し渋りが経済成長を妨げたという見方は正しくありません。金融機関の不良債権をすべ
てゼロにしたところで、日本経済のGDPが伸びるという保証はどこにもありません,
その反対に、日本経済全体を成長させれば、不良債権は必ず減少していきます。このような
説明と軌を一にするのが、「バランスシート不況」についての見方です。「失われた二十年」
の時期に、よくフ、ハランスシート不況」ということがいわれました。これは、資産価値が
落ちたために企業が債務超過になると、財務内容(バランスシート)を正すために収益を借
金の返済に充てようとするのでゾ設備投資や消費が抑制されて景気が悪化する、という考え
方です。たしかに、そうとも見えるのですが、これも「原因」と「結果」の見誤りです。マ
クロ経済政策で景気が上向けば、資産価値が上がるので、自ずと解消される問題です。不良
偵権もバランシートも、個別企業の経営の問題であり、「ミクロ」の世界です。それが日本
経済全体という「マクロ」の原因になることはほぼないと思っていいでしょう。その反対に
「マクロ」経済は「ミクロ」に必ず影響を与えます。金融政策と財政政策でマクロ経済を良
くすることが、個別企業にとって一番恩恵かおる道なのです。
第3節 経済が収縮するデフレ不況下で、できるはずがないこと
次に、「IT投資、デジタル化に出遅れ、生産性が上がらなかった」「ゾンビ企業が生き残
り、イノベーションに後れをとった」「岩盤規制を打ち崩せなかった」という議論について
見ていくことにしますが、これらも結論は「ひと言」で終わりです。「経済が収縮するデフ
レ不況下で、そんなことができるはずがない」――それだけです。たしかに事実関係を見れ
ば、「失われた二十年」の期間を諸外国と比べると、日本のIT分野をはじめとする投資額
が低かったことは否定できません。投資が低ければ、必然的に生産性は低くなります。そう
すると諸外国に勝てるはずもなく、経済が悪化していく――という見立てになるのですが、
しかし、考えるべきは「なぜ投資額が低かったのか」です。つまり、それが「原因」なのか
「結果」なのかです。
設備投資の理論は非常に単純で、要は投資に見合うだけの収益が得られるかどうかで、投資
額の多寡が決まってしまいます。ということは、将来の成長性が期待できるかどうか、実質
金利が低いかどうかのいずれかが、大きな要因になります。将来の成長性が高いと期待でき
れば、投資しても必ず大きなリターンかおりますから、みんなが喜んで積極投資に走るはず
です。また、実質金利が低ければ、資金調達コストが下がり、その分、収益が見込めること
になりますから、これまた投資に積極的になるはずです。 しかし、現在の日本のような「
安定成長期」には、将来の成長性はたかが知れています。となれば、民間の投資を増やせる
かどうかのポイントは「実質金利が高いか低いか」に絞られることになります。
ところで、「実質金利」は、「名目金利-(マイナス)予想インフレ率」で求められます。
つまり、予想インフレ率が上がれば実質金利は下がります。反対に、どれほど名目金利が低
くても、デフレの影響で予想インフレ率が大きく下がっていれば、実質金利は上がることに
なります。このように「デフレによって予想インフレ率が下がり、実質金利が上がる」とい
う状態になると、経済にとんでもないマイナス圧力がかかります。諸外国と比べて実質金利
が上がれば、設備投資がしづらくなると同時に、円高にもなります。円高になれば、輸出競
争力が低下してしまい、輸出企業を中心に大きな打撃を受けることになります。さらに予想
インフレ率が高いということは、インフレ効果で投資金額が将来的には実質的に縮減してい
くことが期待されるということでもありますが、デフレであれば逆になります。しかもデフ
レであれば消費停滞、賃金削減の負のスパイラルが発生し、経済の活性化など夢のまた夢に
なります。
「失われた二十年」の日本は、このような状況でした。まさに、金融政策の失敗以外の何も
のでもありません。こんな、何から何までマイナスの状態で、どうやって設備投資を増やせ
るというのでしょうか。「産業構造の転換が遅れてゾンビ企業が生き残ってしまったこと」
も、「岩盤規制を打ち崩せなかったこと」も、すべて「原因」は同じです。将来の成長性が
期待できる状況、すなわち経済の「パイ」が大きくなっているときであれば、思い切って投
資をし、構造を転換して新たなジャンルに足を踏み出すことも容易です。実質金利が高くて
も、思い切った投資をすることができます。しかし、何から何までマイナスの状態では、そ
んなことをしてみせろ、というほうが一問というものです。「原因」と「結果」でいえば、
明らかに「投資の出遅れ」「ゾンビ企業」「岩盤規制改革失敗」は原因ではなく結果です。
根本的な「原因」はデフレであり、それを招来した誤った金融政策なのです。
この項つづく
Apr. 5, 2018
【健康寿命生物工学論Ⅰ:細胞の若返り技術に道】
●マウス造血幹細胞コンパートメントの高齢化を解決する大規模クローン解析
4月5日、加齢によって白血球の一種になる能力を失った血液のもとになる細胞を、若いマ
ウスに移植すると、その能力を取り戻したとする研究成果を、東京大と米スタンフォード大
の共同研究チームが発表。チームは、仕組みを解明できれば、血液細胞を若返らせ、免疫機
能の回復につながる可能性があるとしている。今月、米科学誌セル・ステムセルに掲載。
❦ 研究成果のポイント
加齢により、造血幹細胞の能力のうち自己複製能は比較的維持されるのに対し、リンパ球系への分化能力は大きく低下する。 リンパ球系細胞への分化能力を失った造血幹細胞が加齢により著明に増加する。 しかし加齢による造血幹細胞の分化能力の低下は可逆的である。 血液細胞の加齢による変化を正しく理解することにより、新しい加齢メカニズムの同
定や白血病発症の原因究明につながる。
【概要】
血液中の赤血球や白血球などは骨髄にある造血幹細胞から作られる。加齢により、白血球の
一部で免疫をつかさどるリンパ球をつくる能力は落ちることが知られている。東京大学幹細
胞治療部門の中内啓光特任教授らの研究チームは、生後20~24カ月の高齢マウスの骨髄
から造血幹細胞を採り、血液をつくれなくした別の若いマウスに移植➲高齢マウスの造血幹
細胞を移植したマウスは、リンパ球をほぼつくれなかった。しかし、そのマウスの造血幹細
胞を含む骨髄を別の若いマウスに移植し、観察を続けたところ、造血幹細胞がリンパ球にな
る能力を持ったことを確認した。➲1回目でなく2回目の移植で能力を持った理由は解明さ
れておらず、今後の課題。研究チームの一員、スタンフォード大の山本玲研究員は「リンパ
球になる能力が回復したことは細胞の『若返り』を示唆している。加齢メカニズムの解明に
つながる」と話す。
※フローサイトメトリー(flow cytometry)とは
細胞を懸濁させた液体を細胞が一列になるように流れている状態にし、それにレーザー光を
当てて反射する光を測定し、光の強さを電気信号に置き換えて定量化し、細胞一つ一つの情
報を自動的にサンプリングする方法。細胞1個1個の相対的大きさや形状、内部構造の違い
、細胞の同定や細胞群を構成する種々の細胞の存在比を短時間で解析できる。また、細胞を
蛍光抗体で標識することによって細胞表面にある抗原量を定量的に測定することもでき、細
胞の形態の差としては現れない細胞の性質の差を識別することが出来る。また、液滴となっ
た細胞懸濁液に電荷を与えることで、性質の異なる細胞を分取も可能。
No.192
【ソーラータイル事業篇:テスラのソーラールーフタイル事業】
テスラ社の屋根型ソーラータイル事業はさらに進化した「3 IN 1 ROOFシステム」はコスト半
分、空調冷暖房費33%削減、性能は3倍と社長も舌を巻くほどパーフォマンスを実現。そ
れじゃテスラとパートナーとなり、その地域、その顧客の希望かなえるトータールシステム
ムの提供を事業展開させた方が早く、世界規模の環境保全を実現でき、雇用と社会の安定・
安心に貢献できるのではと考えてみた。
【ソーラータイル事業篇:従来製品の総費用半分の屋根用ソーラ】
ステラ社の新しい「3in1ルーフ」ソーラータイルは、テスラ屋根の半分の価格で住宅に電
力を供給できる。同社のソーラー屋根はいち早く注目浴びるてきたが、同社社長のイーロン
・マスクですら想像を超えるスピードで進歩してきている。例えば、「3in1ルーフ」は断
熱、強風、太陽光の3つを一括対応――従来のスレートタイルよりも軽量で屋根裏部屋への
伝熱はゼロを達成し冷暖房費を削減、二酸化炭素排出量を大幅削減を実現。同社の屋根用ソ
ーラの価格は平方フィート当たり約11ドル(93平方メートル当たり約1,100円)。従来の
スレートルーフィングより軽く、10平方フィートあたりわずか110ポンド(約16,800円
)で、より軽い荷重構造で。屋根は屋根裏のデッキと断熱材との間の結露をなくし、カビや
腐敗を防止、風速200 mph (毎秒89.4メートル)強度、耐紫外線、耐久性、断熱仕様(対従
来製品の3倍増)、冷暖房空調(HVAC:heating, ventilating, air conditioning)コストを最大3
8%削減(対従来製品)の仕様となっている。また、新商品購入は 500ドルの手付け金を支
払えば2019年度に設置でき、先着購入者千名のお一人様に駐車場用充電装置を無償取り付け
する。
3in1 Roof
シングルおよびダブルワイドサイズのモジュラー住宅は、縮小した壁、天井、屋根の垂木の
ため、市場で最もエネルギー効率の低い構造。3 IN 1 ROOFシステムは、モジュラー製造業
者が屋根裏部屋の換気口をバイパスすることができるため、モジュラーディーラーの屋根覆
いになりつつあり、モジュラーの居住スペースの残りの部分と同じように暖房や空調がほと
んど簡単に行えます。所有者は、劇的な気温の変化による被害の恐れなしに、必要な貯蔵ス
ペースのためにその気候制御上部領域を使用することができます。
Supremacy 1000™
Supremacy 1000(上写真)は、99.99%の信頼性設計された24Vdc(直流)リチウムイオン電
池――高エネルギー密度、軽量、高速充電、長寿命、信頼性解析保証の特徴をもつ――で構
成されたコントローラは、「3in1屋根用ソーラー」と構造物のエネルギー駆動機器と照明
間のインテリジェントゲートウェイ機能を発揮。同装置は、隣のドアや何千マイルも離れた
コントローラ、選択的共有電力、双方向インターフェイスの機能をもつ。また、特定者内の
情報共有や緊急事態下で病院や学校などのエネルギー受容者とのネットワーク拡張も可能で
ある。
Mar 19, 2018
【スマートグリッド篇:電力とデータの両方を無線伝送技術】
3月19日(ドイツ時間)、インフィニオン(Infineon Technologies)は。独Würth Elektronik
eiSosと共同でワイヤレス電力伝送開発キット「760308EMP-WPT-200W」の提供を公表。この
特徴は送信側と受信側のコイル間で、200Wの電力とデータの両方をワイヤレス伝送できる。
同キットは、送信ユニットと受信ユニット、電源の3ユニットで構成。送信ユニットは、WPT
(ワイヤレス電力伝送)コイルから構成されたフルブリッジと共振回路に加え、直列接続の
共振コンデンサーから成り、ZVS(ゼロ電圧スイッチング)モードで動作する。これにより、
キット全体の効率を高めると共に優れたEMC特性(電磁両立性:electromagnetic compatibility)
が提供できる。
受信ユニットには、ダウンストリームフィルタリングとふるい分けを行う同期整流器が含ま
れ、ユニット間の交番磁界をAM変調することでデータ伝送が可能。同キットの想定用途とし
て、センサー機器の充電中にデータを基地局に送信することなどを挙げている。Würth Elekt-
ronik eiSosのWPT部門責任者は、この回路は10ワットから数キロワットにまで拡張が可能で、
医療機械、IoT(モノのインターネット)など環境条件の厳しい分野で今後活用を見込むと話
す。同キットは2018年第3四半期に提供を開始する予定。