11 九 地
敵味方のおかれている状況を九つの場合に分類し、それぞれに応ずる法(九地の法)をあげ
とくに捨て身によって全力を発揮する”奥の手”を論じている。
状況に応じた内部指導
敵国に攻め入る場合、奥深く入れば軍隊の団結は強まるが、深く進入せずに止まればバラバ
ラになりやすい。国境を越えて戦うということは、孤立して戦うことを意味する。そして、
戦場が進の目方に通じているのは「衢地」(くち)、敵地に奥深く入れば「重治」、まだ入
ったばかりの所が「軽地」、堅固な地 山を後ろにし狭い呑を前にしたのが「囲地」、逃げ
場のないのが「死地」である。その他「争地」「交地」「圯地」(ひち)、敵地で戦うこの
ハつの場合について、味方のあり方を考えてみよう。
「散地」では味方の志を一にし団結を強めることが肝要である。
「軽地」では味方をよく掌握して、バラバラにならぬように心がけることである。
「争地」を攻めるには、蔵の後ろにまわって旱つことである。
「交地」は、敵もきやすいのであるから、占領したら慎重に守りを固めることである。
「衢地」では友好国との結合を強化することである。
「重地」では食禄の補給が絶えないようにすることである。
「圯地」では進軍をつづけ、一刻も早く自由な行動のできるところへ出ることである。
「囲地」では自から出目をふさぎ、味方から死になって戦うようにすることである。
「死地」では、戦う以外に生きる途がないことを全軍に示すことである。
要するに、敵に囲まれれば防ぎ、ほかに方法がなくなれば必死に戦い、危険におちいれば統
率者を頼りにする、これが兵士の心理なのである。
諸侯の計略をよく知らないで、これと交りを結ぶことはできない。山林、高山、湿地帯など
の地形を知らないで、行軍することはできない。案内人を使わずに坦の利を得ることはでき
ない。九地のうち一つでも知らないものは、天下を副司する軍とはいえないのである。
No.197
【蓄電池事業篇:最新電固体型電池技術】
神を欺いたことで、シーシュポスは神々の怒りを買い、大きな岩を山頂に押して運ぶという
罰を受け。彼は神々の言い付け通りに岩を運ぶのだが、山頂に運び終えたその瞬間に岩は転
がり落ちてしまう。同じ動作を何度繰り返えす『シーシュボスの神話』(Le Mythe de Sisyphe)
――作者のカミュはここで、人は皆いずれは死んで全ては水泡に帰す事を承知しているにも
拘わらず、それでも生き続ける人間の姿を、そして人類全体の運命を描き出しているが、こ
れをヒントに蓄電池事業を考えてみると、太陽光や風力などの再生可能(=自然)エネルギ
ーからの余剰電力を位置エネルギーをエネルギー変換する水力発電の貯水池(ダム)からの
放流水を下方の貯水池から揚水ポンプで上方の貯水池に戻し貯めこれを半永久的に繰り返す
揚水水力発電型蓄電池方式をイメージ。
Apr. 25, 2018
Le mythe de Sisyphe トーマスエジソンの1906年特許のアルカリ
このような揚水発電による電力需給量のバランス調整という「シーシュポスの苦役」からの
解放(=”エネルギー革命元年宣言”)がマサチューセッツ州政府のように一部の地域で実
現先行している地域がすで存在する(下の「RESILINTPOWER」(復元力)ロゴ※参照)。
※同州政府のクリーンエネルギーグループとメリディアン研究所の共同イニシアチブである
「RESILINTPOWER」(復元力)事業は、脆弱な地域社会を対象とした、廉価な住宅とコミュニ
ティ施設に太陽光発電(マサチューセッツ州の太陽光発電能力は2,076メガワット)と蓄電池
を整備することで、経済的、健康的で便益性のある広範な復元に、クリーンエネルギーグル
ープはリーダーシップ構想を公表。
ところで、クリーンエネルギーと蓄電池の普及は、1893年、トーマス・アルバ・エジソンが
電球発明し、電気を蓄える蓄電池を発明している。エジソンは、1879年に蓄電池を主電源と
し配線した住宅に設置し、昼間に充電し、夜間や夜間に白熱電球として電力消費するシステ
ムを考案した語っている。また、第一世代の電気自動車を発明したのにもかかわらず、より
信頼性の高い量産型のガソリン車フォートモデルTにより、技術史のゴミ溜まりに追い込ま
れたが、百年の後この技術が初期の欠点を克服するに至る。
マッキンゼーの世界有数の技術コンサルタントは、蓄電池が電力分野の次なる「破壊的技術」
であり、低コスト化にともない電力状況を一変させると、2017年の報告書で述べ(上図参照)
今日の低価格では、蓄電池は、グリッドバランシングなどのニッチな用途から、信頼性のた
めに従来の発電機の交換、電力品質のサービスの提供、再生可能エネルギーの統合サポート
など、幅広い用途で、より広範な役割を果たし始めているとする。尚、 2017年の蓄電量は
27%増の431メガワットアワーに達し、2018年には倍増すると見込む。また、2018年の
調査によれば、長期的な将来の市場成長の可能性も大きいと予測。この調査では、蓄電コス
トが引き続き下落し、今後10年間で蓄電池市場は5万メガワット拡大すると予測。
1980年代以降、エネルギーと環境擁護者は、技術特有のクリーンエネルギー政策と公共投資
を促進。30年前、これらの初期動向はエネルギー効率に焦点を当てた。戦略は1990年代に
実用規模の風力に拡大され、その後世紀の変わり目に太陽光と分配。エネルギー効率の目標
を定めたユーティリティインセンティブは、クリーンエネルギー市場を急速拡大、今日の主
流をしめる。 州と連邦の政策は、風力や太陽光、州レベルの公益投資費用、再生可能なポ
ートフォリオ基準、太陽光発電システムの正味計量の税額控除を創出。これは特別なコスト
削減とクリーンエネルギー市場の拡大につなる。最近では、環境保護令と株式戦略を求め
てクリーンエネルギープログラムの公平設計に基づき、低所得コミュニティに利益をもたら
すように管理保証する。現在、百年の技術革新の後、古い有効技術である蓄電池が新たに登
場。クリーンエネルギーの「聖杯」と呼ばれる技術は、エネルギーシステムの最終的で脱炭
素化を実現する可能性を伴い、全経済分野にうまく転換できるかもしれない。上図1に示す
ように、蓄電池は、増大するアプリケーションを持つ複雑な技術で、
• 建物レベルからベースロード電力まで、さまざまな発電システムで動作するように拡張す
ることができる。
• 化石燃料の排出を削減するために太陽光や風力などの分散型発電技術(オンショアまたは
オフショア)と組み合わせることができる。
• それは、経済的、健康的、安全性、およびエネルギー弾力性を含む多様な利益をもたらす。
• これは、商業顧客および脆弱な低所得住民の公共料金請求および電気代を減らす。
• ユーティリティーが地域のキャパシティー支払いを削減するために使用することができる。
• 周波数調整などのグリッドアプリケーションから収益を生み出すことができます。
• それはプエルトリコに計画されているようなコミュニティのマイクログリッドに弾力を提
供する。
• 電気自動車(EV)充電ステーションが電気料金を削減、その最も野性的なブースターの一
部によれば、電気飛行機に電力供給できる。時間と共に拡大するこれらの様々な用途
は、電池貯蔵技術をエネルギーと気候変動を解決できる、
このように技術開発の初期段階にあるものの、蓄電池は重要技術で、電池保管コストを歴史
的に削減。もはやエジソンの遠い夢ではなく、コスト削減により、ラップトップから電気自
動車、据え付け型、建物サイズ蓄電池まで開発している。上図2に示すように、リチウムイ
オン電池の価格は、2010年から2016年の間に70%以上低下、世界全体容量が倍増するにつ
れて19%のコスト削減パターンが続いた。ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナ
ンスの最新の2017年の数値によれば、蓄電池のコストは、2016年以来驚異的な24%に低下。
これは予測をはるかに超える。 BNEFは、2018年3月末のコスト・アップデートで、「結論
は化石燃料部門にとっては冷たい」と表現されている程、バッテリー技術はエジソンの時代
のように手作業(流れ作業)でなく、その費用は化石燃料価格の変動とは無関係で、寧ろパ
ーソナルコンピュータ、携帯電話、スマートフォンなどのより安価でユビキタスな情報化時
代の技術則の、コスト削減という経済的利点を有し、太陽光などのエネルギー技術と蓄電池
やディスクドライブの3つはその恩恵に与る。まず、メータの背後にある商用-顧客向けア
プリケーションでは、電池需要の変化を減らし、弾力性を提供すると同時に太陽光発電設備
に価値付加する。第2に、蓄電池は、今後数年間に数百のガスパイカープラント(特に、公
共料金が高い混雑したグリッドエリアに配置された汚染の少ない、頻繁に稼動しないプラン
ト)を置き換わる。第3に、多くの州では、多くの再生可能エネルギー資源を送電網に投入
し、送電と容量のコストを削減する、実用規模の蓄電池事業が数多く存在し。これら3つの
合理的に関連市場が、蓄電池をコア推進し、重要な環境および経済上の利益をもたらす。
さらに、再生可能エネルギーと貯蔵がベースロードの化石燃料プラントへの依存を減らす方
法――約20年前のソーラー業界は、蓄電池の採用を阻む障壁が数多くあったが、これらの
障壁(技術オプション、コスト、安全性、利益、およびその他の市場障壁に関する情報格差
が含まれる)が、これらの障害を克服し、気候やその他の緊急のエネルギー需要対処に技術
を適時拡大に、より支持的な政策と戦略を必要とし、この技術提供する複数のアプリケーシ
ョンに合わせ設計された技術革新そのものと同じように、アプリケーションごとに異なるタ
イプの分析とポリシーを必要とする。
Battery cell manufacturing process
【特許事例:最新全固体蓄電池技術】
以上、最新のクリーンエネルギー情報を考慮し「太陽光+蓄電池」の技術及び事業並びに市
場動向を探り、「エネルギー革命元年論」の意味付けを行い備忘録とした。ここではそのこ
とを踏まえ、❶環境配慮製造プロセス、❷安全第一、❸高性能(①高密度、②長寿命、③高
速充電)、❹廉価、❺大規模化の要件に焦点を絞り全固体型二次電池の最新技術(日米特許)
動向を調査俯瞰する。
Video
❑ 特開2018-063757 全固体リチウム二次電池 日立金属株式会社
リチウムイオン二次電池は、他の二次電池と比較して高いエネルギー密度をもち、二次電池
の小型軽量化、大容量化や高出力化に有利で、リチウムイオン二次電池の用途は、❶小型電
子機)に加え、❷大型電気機器(例えば、HEV(ハイブリッド自動車)やEV(電気自動車)な
どの自動車用動力電源や、電力貯蔵用電源)にも拡大。高温環境(例えば、エンジンルーム
内や屋外)での設置が検討され、高温環境に耐えられるリチウムイオン二次電池が求められ
ているが、非水電解液を用いる従来のリチウムイオン二次電池は、①一般的に非水電解液の
耐熱温度が60℃程度と言われている上に、②非水電解液を構成する溶媒が引火性をもち、
耐熱性や耐火性の観点で弱点がある。
この弱点の克服に、非水電解液の代わりに固体電解質を用いた全固体リチウム二次電池が、
現在、精力的に研究されている。全固体リチウム二次電池は、用いられる固体電解質(例え
ば、固体高分子電解質、無機電解質)が百℃を超える耐熱温度を有し引火性もないことから
非水電解液を用いる従来のリチウムイオン二次電池よりも高温環境での利用が可能になる。
全固体リチウム二次電池は❶薄膜型と❷バルク型とに大別できるが、電池容量の観点からは
電極活物質の絶対量を多くできるバルク型が有利で、大型電気機器用の大容量二次電池を想
定した場合、バルク型の全固体リチウム二次電池が対象となる。言い換えると、バルク型の
構成であれば電池容量に余裕が取れるので、電気機器の大小(消費電力量の大小)による制
約が少なくなり、幅広く適用することが可能となる。
また、全固体リチウム二次電池は、固体電解質層が流動性を有しないことから❸固体電解質
層自体が電池セパレータの機能を兼ねることができるため(言い換えると、非水電解液リチ
ウムイオン二次電池では必要な別体の電池セパレータを配設する必要がないため)、非水電
解液リチウムイオン二次電池よりも体積エネルギー密度を高めることができるポテンシャル
がある。
一方、全固体リチウム二次電池では、高出力化のため、固体電解質自体が高いイオン伝導性
を有する必要があると共に、固体電解質層と電極層との間で電気的接合性を確保する必要が
ある。より具体的に言うと、固体電解質層と電極活物質層との間(固相/固相界面)で良好
なイオン伝導パスを構築し(イオン伝導の障害を極力低減し)、かつ電極活物質層と集電体
層との間(固相/固相界面)で良好な電子伝導パスを構築することが非常に重要である。
上記要求(特に、電気的接合性の確保)を実現するためには、電極層と固体電解質層とを積
層した電極群全体を一体焼成することが好ましい。(中略)
【特許文献1】国際公開第2012/020700号
【特許文献2】特開2015-049981号公報
特許文献1~2の技術は、それぞれ全固体リチウム二次電池に関して有用な作用効果を有す
ると思われる。ただし、特許文献1~2の技術は、いずれも電極活物質および固体電解質と
してリチウムリン酸化合物を利用するものであり、使用する材料の選択肢が制約されること
で、電池性能の向上が頭打ちになることが懸念される。
なお、特許文献1~2の技術は、その記載内容から小型電子機器用の比較的小型の二次電池
を想定していると思われ、その技術を単純に大型電気機器用の大容量二次電池へ転用するこ
とには困難があると考えられる。
一方、二次電池に対する技術的要求レベルは今後ますます高まることが予想される。すなわ
特許文献1~2を凌ぐ技術の開発は継続すべき重要な課題である。
したがって、本発明の目的は、全固体リチウム二次電池において、電極活物質や固体電解質
として使用する材料の選択肢を広げながら、電極層と固体電解質層とを積層した電極群全体
を一体焼成したとしても該電極層と該固体電解質層との間の望まない化学反応を抑制して二
次電池の高出力化に貢献可能な全固体リチウム二次電池を提供することにある。(中略)
本発明によれば、全固体リチウム二次電池において、電極活物質や固体電解質として使用す
る材料の選択肢を広げながら、電極群全体を一体焼成したとしても電極群内の電極層と固体
電解質層との間の望まない化学反応を抑制して二次電池の高出力化に貢献する全固体リチウ
ム二次電池を提供することができる。
【要約】
本発明に係る全固体二次電池は、集電体層と正極層と固体電解質層と負極層とが積層された
電極群を有する全固体リチウム二次電池であって、前記電極群は、焼結接合体を形成してお
り、前記正極層は、前記集電体層に当接する第1正極層と、前記固体電解質層に当接する第
2正極層との二層構造を有し、前記第1正極層と前記第2正極層とは、互いに組成の異なる
正極活物質を含有し、前記第2正極層の前記正極活物質がリチウムニッケル図2複合酸化物
からなることを特徴とする全固体リチウム二次電池で、電極活物質や固体電解質として使用
する材料の選択肢を広げながら、電極層と固体電解質層とを積層した電極群全体を一体焼成
したとしても該電極層と該固体電解質層との間の望まない化学反応を抑制して二次電池の高
出力化に貢献可能な全固体リチウム二次電池の提供。
【符号の説明】
10b…集電体層グリーン基板、10c…集電体層、 21b,25b…第1正極層グリーン基板、21c,
25c…第1正極層、 22b…第2正極層グリーン基板、22c…第2正極層、 21a…第1正極層グ
リーンシート、26a…第1正極活物質部グリーンシート、 27a…電気絶縁部グリーンシート、
26b…第1正極活物質部グリーン基板、26c…第1正極活物質部、 27b…電気絶縁部グリー
ン基板、27c…電気絶縁部、 30b,35b…負極層グリーン基板、30c,35c…負極層、 36b…
負極活物質部グリーン基板、36c…負極活物質部、 40b…固体電解質層グリーン基板、40c…
固体電解質層、 50b…バイポーラ電極グリーン基板、50c…バイポーラ電極、 61b…正モノ
ポーラ電極グリーン基板、61c…正モノポーラ電極、 65b…負モノポーラ電極グリーン基板
、65c…負モノポーラ電極、 63…正極外部端子、67…負極外部端子、 70…キャリアシート、
80…接合層、90…パッケージング材、 100b,105b…電極群グリーン基板積層体、100c,105c
…電極群焼結接合体、 100d…全固体電池構造体、100e…全固体リチウム二次電池。
※グリーンシート(生のシートという意味)とは誘電体シートのこと。
【特許請求範囲】
集電体層と正極層と固体電解質層と負極層とが積層された電極群を有する全固体リチウム二次電池であって、前記電極群は、焼結接合体を形成しており、前記正極層は、
前記集電体層に当接する第1正極層と、前記固体電解質層に当接する第2正極層との
二層構造を有し、前記第1正極層と前記第2正極層とは、互いに組成の異なる正極活
物質を含有し、前記第2正極層の前記正極活物質がリチウムニッケル複合酸化物から
なることを特徴とする全固体リチウム二次電池。 請求項1に記載の全固体リチウム二次電池において、前記リチウムニッケル複合酸化
物は、Li2NiMn3O8、LiNiO2、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2、およびLiNixCoyMn1-x-yO2(0.34
<x<0.90、0.10<y<0.33、0.44<x+y<1)から選ばれる一種であり、前記固体電
解質層に使用される固体電解質は、ガーネット型リチウム複合酸化物からなることを
特徴とする全固体リチウム二次電池。 請求項2に記載の全固体リチウム二次電池において、前記ガーネット型リチウム複合
酸化物は、Li7La3Zr2O12、Li7+xLa3Zr2O12-xMx(0<x<1.2、MはN,Cl,S,Seのい
ずれか)、Li5La3Ta2O12、Li5La3Nb2O12、およびLi6BaLa2Ta2O12から選ばれる一種で
あることを特徴とする全固体リチウム二次電池。 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の全固体リチウム二次電池において、前
記電極群は、前記集電体層の一方の主面上に前記正極層が積層形成され該集電体層の
他方の主面上に前記負極層が積層形成されたバイポーラ電極と、前記固体電解質層と
が交互に積層されたバイポーラ積層型電極群であることを特徴とする全固体リチウム
二次電池。 請求項4に記載の全固体リチウム二次電池において、前記バイポーラ積層型電極群を
積層方向から見たときに、前記バイポーラ電極および前記固体電解質層はそれぞれ四
辺形形状を有し、前記集電体層はその外縁が前記正極層および前記負極層の外縁より
も内側になるように形成されており、 前記バイポーラ電極中の前記正極層および前
記負極層のそれぞれは、前記集電体層に接する面において前記四辺形の所定の対辺領
域に電気絶縁部を具備していることを特徴とする全固体リチウム二次電池。 請求項5に記載の全固体リチウム二次電池において、前記積層方向から見たときに、
前記正極層の電気絶縁部は前記四辺形の一対の対辺領域に配置され、前記負極層の電
気絶縁部は前記四辺形の他の一対の対辺領域に配置されていることを特徴とする全固
体リチウム二次電池。 請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の全固体リチウム二次電池において、 前
記集電体層は主要成分が炭素系材料および/または導電性酸化物からなり、 前記第1
正極層の前記正極活物質がリチウム遷移金属複合酸化物からなり、 前記負極層は主要
成分が炭素系材料、リチウム遷移金属複合酸化物および/またはリチウム遷移金属複
合窒化物からなり、 前記固体電解質層は主要成分がリチウム複合酸化物電解質からな
ることを特徴とする全固体リチウム二次電池。
❏ 特開2018-063927硫化物固体電池 トヨタ自動車株式会社
全固体電池では、電解液が用いられないことから、❶電解液を用いる二次電池と比較し、過
充電に起因する電解液の分解等が生じない。❷更に、全固体電池は、高いサイクル耐久性及
びエネルギー密度を有していることが特徴。全固体電池に用いられる固体電解質においては、
固体電解質材料として、硫化物固体電解質材料が知られている。硫化物固体電解質材料は、
リチウムイオン伝導性が高いため、電池の高出力化を図る上で有用。これに関して従来から
種々の研究がなされているが、硫化物固体電解質材料は、リチウムイオン伝導性が高いとい
う利点を有する反面、これが水(例えば、空気中の水分)と接触した場合には、硫化水素を
発生するという問題があるが、この問題に関して、❶発電要素が収納されている外装体の内
部に、硫化水素ガスを吸収して無害化する材料を有する硫化水素無害化部が配置され、これ
が発電要素から生じた硫化水素を無害化し、これによって、外装体外への硫化水素の流出を
防止する技術が開示されている。❷また、特体電池を収容する筐体と、固体電池を冷却す
る温度調整手段を有し、筐体の内側の温度が所定値以下となるように固体電池を冷却するこ
とで、硫化水素の発生を抑制する。前者は、硫化物固体電池において、硫化水素が発生した
場合に対する対策が試みられているが、硫化水素の発生自体を抑制できない可能性がある。
また、後者は、固体電池を収容する筐体に、吸気ダクトから空気を流入させ、固体電池を冷
却している。これによれば、空気が筐体内の全体に広がると、固体電池全体が冷却されると
考えられる。しかし、固体電池においては、電池全体の温度が低下すると、電池抵抗が高く
なり、電池性能が低下する可能性がある。
【要約】
正極集電体層16、正極活物質層14、硫化物固体電解質層13、負極活物質層15、負極
集電体層17がこの順で積層されている電池素子10を有する積層電池18と;積層電池18
を積層方向から挟持して拘束している第一及び第二の拘束部材20,21とを有する硫化物
固体電池100において、第一及び第二の拘束部材20,21の少なくとも一方が冷却部22
を備え、冷却部22は、(i)第一及び第二の拘束部材20,21の少なくとも一方の面方
向の端部、(ii)第一及び第二の拘束部材20,21の少なくとも一方と積層電池18の
面方向の端部との当接部に対応する部分、又は(iii)(i)及び(ii)の両方に配置
されており、積層電池18の面方向の中心温度よりも積層電池18の面方向の端部温度が低
くなるように冷却する硫化物固体電池100。
【符号の説明】
1 断面線 2 積層電池の面方向の端部 4 積層電池の面方向の中央部 6 拘束部材と積層
電池の面方向の端部との当接部に対応する部分 10 電池素子 11 正極層 12 負極層
13 固体電解質層 14 正極活物質層 15 負極活物質層 16 正極集電体層 17 負極
集電体層 18 積層電池 20 第一の拘束部材 21 第二の拘束部材 22 冷却部 30
ボルト 100 硫化物固体電池
【その他の関連特許】
特開2018-064035 全固体型発電素子 三菱製紙株式会社 2016.04.19 特開2018-063920 非水電解質二次電池用負極及びこれを用いた非水電解質二次電池
日産自動車株式会社 2018.04.19/a> 特開2018-063850 積層体グリーンシート、全固体二次電池及びその製造方法 凸版印
刷株式会社 2018..04.19 特開2018-060774 二次電池電極用組成物 積水化学工業株式会社2018.04.12 特開2018-060699 2016/10/06 積層型二次電池の製造方法 株式会社日立製作所 2018.04.12 特開2018-055865 イオン伝導体、イオン伝導体の製造方法、電池及び電子機器 セイ
コーエプソン株式会社 2018.04.05
● 営農型太陽光」「地域新電力」推進を明記 環境基本計画改訂
4月17日環境省は、「第5次環境基本計画」を閣議決定したと発表した。6つの重点戦略の
最初に「グリーンな経済システムの構築」を挙げ、「再生可能エネルギーの最大限の導入」
を掲げた。具体策として、水素や地域バイオマスの利用、営農型太陽光の推進を明記した。
環境基本計画は、環境基本法に基づき、環境保全に関する長期的な施策を定めるもので、中
央環境審議会の答申を受け、約6年ごとに見直している。今回の見直しは、国連でパリ協定
が採択された後に初めて策定される計画となった。そのため、「21世紀後半に温室効果ガス
排出を実質ゼロ」と明記した同協定の挑戦的な目標を意識し、「新たな文明社会を目指し、
パラダイムシフトが必要」との方向性を打ち出した。
再エネに関しては、温暖化対策の柱としつつ、「エネルギー自給率の向上」「地域経済の活
性化」の効用を重視した。その具体策として、「営農型太陽光(ソーラーシェアリング)」
「地域新電力」「地域の未利用バイオマス資源」「廃棄物系バイオマス」の活用・推進など
を盛り込んだ。また、太陽光・風力を大量導入する上で課題になっている「電力系統への負
荷」に関して多くの記述を割き、「送電網の広域利用」「需要側の調整(デマンドレスポン
ス)」「蓄電池の導入」「水素としての貯蔵」などの有効性を示しつつ、「電力系統に依存
しない自立分散型の再エネの導入を進める」との方向性も挙げている
● 今夜の一曲
ピアノソナタ第14番 ハ短調 K. 457
1784年にウィーンで作曲された(モーツァルト自作の作品目録では、同年10月14日に完成し
たと書かれている)。翌1785年に「幻想曲 ハ短調 K. 475(英語版)」と共に「ピアノフォ
ルテのための幻想曲とソナタ」作品11としてアルタリアから出版された。短調であるが故に、
その後のピアノソナタの新地平を切り開いたこのモーツァルトの記念碑的な2曲のピアノソ
ナタは、モーツァルトの楽譜の写譜をしていたフォン・トラットナーの妻でモーツァルトの
ピアノの弟子でもあったテレーゼ・トラットナー夫人に献呈された。
アナスタシア・リジコフ (Anastasia Rizikov)はカナダのクラシック音楽のピアニスト。1998
年12月8日生まれ。ロシア系移民としてトロントで生まれる。5歳からピアノを始めたが急激
な上達を見せ、13歳でラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を演奏するなど、カナダの天才少女
として騒がれた。 Sergei Babayan, Arie Vardi, Robert Levin, Ferenc Rados, Anatoly Ryabov, Oxana
Yablonskayaほかのマスタークラスを受講しているが、彼女の名を決定的にしたのは28歳まで
のカテゴリーのコンクールを12歳で優勝したことである。その後も次々と国際コンクールの
最年少記録を更新したものの、BNDES、グリーグ、ヴィオッティ(その年の最年少出場)では
本選に進めず、2017年のマリア・カナルス国際ピアノコンクールでは第3位に終わったという。