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建材一体型太陽光発電革命

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『六  韜』(ろくとう)
{虎の巻」ということばは、本書の「虎韜」が出典。太公望に仮託した後世の書。
『六韜』は、周建国の功労者・太公望呂尚が説いたという形になっており、まず、文王と彼との
出会いのエピソードから始まる。六篇から城るが、後半は無意味なものが多く、ここには三篇か
ら訳出する。

 Wikipedia

武力によらず敵を撃つ法
武力によらず敵を征服する十二の方法。

一、相手の欲心を買うことにつとめ、さからったりしないこと。こうすれば、敵は慢心し、必ず
  失策を犯すであろう。それに銀ずれば、相手を滅亡に追いやることができる。
二、敵国の君主の信頼する臣下に近づいて、君主と対立させること。臣下が子oを抱くようにな
  れば敵国は衰える。忠臣がいなければ国家は危機におちいるものだ。
三、買収工作によって敵国の側近を掌握すること。側近とは名ばかりで心はすでに離反している。
 こうなれば、敵国には、きっと混乱が生ずる。
四、敵の君主を遊興にふけらせること。宝物や美女を贈った上で、こちらが下手に出れば、戦う
  までもなく、敵はゆきつくところにゆくだろう。
五、敵の忠臣を君主から引き離すこと。まず、この臣下と君主の双方に贈りものをする。この場
  合臣下の方に高価なものを贈ることだ。そして、もしこの臣下が使者としてきたときは、わざ
  と交渉を長びかせて、交代の使者をさしむけるようにさせる。交代の使者がきたら、友好的態
  度をとって交渉を成立させる。敵の君主は、前の使者よりもこの使者の方を信頼するようにな
  るだろう。こうして、敵国を謀賠にかけることができる。
六、敵国の臣下を懐柔して利用すること。有能な臣下が外国に協力し、内乱がおきるようになれ
  ば、ほとんどの国は滅亡するであろう。
七、敵の君主をツンボ桟敷に置くこと。ワイロを贈って側近の心を収批し、農業生産を低下させ、
  穀物の貯えをからにするのである。
八、相手を信頼させること。まず贈りものをして、相談をもちかけ、その結果が相手の利益にな
  るようにする。そうなれば相手はきっと信頼する。この友好関係かつみ重なれば、いつかは利
 用できる。一国の君主でありながら、他国に利用されるような相手は、かならず国を失うであ
 ろう。
九、おせじをいっておだてること。相手を強いといってこわがってみせれば相手はその気になる
 だろう。こうしておいて、相手の君主に、あなたは聖人だとほのめかせば、きっと増長して政
 治をおろそかにするだろう。
十、誠意をもって相手に仕えること。相手の気にいるようにして、何から伺まで相手のいうまま
 になり、To同体と思わせる。こうして、十分信頼を得たならば、ひそかに準備をすすめる。
 好機を持って攻撃をかければ相手はいともたやすく滅びるであろう。
十ベ敵の君主を孤立させること。それには敵国内に徒党をつくらせることだ。すなわち、臣下と
 いうものは、富貴を願い、失敗をおそれる。これを利用し、高位を約束し高価な贈り物をして
 有能な臣下を懐柔する。また、わが方は、国内に十分物資を貯えながら、相手には貧乏国と思
 わせる。そして、敵国内に策士、勇士をおくりこみ、内部からこちらを軽視する気持をおこさ
 せる。たらいをつけた敵臣の富貴への欲求がみたされ、ふところもあたたかいとなれば、徒党
 づくりは成功である。君主がこの孤立状態の中で、国を持続でふるはずがない。
十二、あらゆる方法で敵の君主を惑わすこと。敵臣が君主にそむくようしかけるのもよい。美女
 や軽薄な音楽をすすめるのもよい。名犬や良馬を贈って狩猟に熱中させるのもよい。こうして
、機会があれば情勢有利とみせかけて挑発し、天の時を副察して孤立化においこむ。

以上の十二ヵ条を用意したのちに、はじめて武力にうったえる。すなわち、天の時、地の利を見
極め、敵が滅亡する徴候が現われたのちに、はじめて攻聯するのである。(武韜)

 



【ソーラータイル事業篇:建材一体型太陽電池でエネルギー革命を】

7月25日、建材一体型太陽光発電(BIPV:Building-integrated photovoltaics)分野をリーするヘリ
オス新能源科技有限公司(Helios New Energy Technology:ヘリオス・ニュー・エネルギー・テク
ノロジー)に同社の戦略などを日経BP総研のクリーンテックラボがインタービューを行った。ブ
ログでもいち早く「オールソーラーシステム」「エネルギータイリング事業」として独自の視点
から事業構想を展開していることもありその展望と課題について考察する。



● 建材一体型太陽光発電事業展望 

18年5月、米カリフォルニア州エネルギー委員会(CEC)は、全会一致で新しい建築物に太陽
光発電の設置を義務化する規制を全米初で採択。この基準では、同州の戸建て住宅やアパートな
どの新築住宅には、太陽光パネルの設置を義務するもので20年に実施予定にある。このような
い流れは、各国に広がっていき、建築物の構造体から最大限にエネルギーを獲得し、電力系統へ
の依存を最小化するBIPVは、スマートな建物の主流となり、エネルギー革命を担う可能性がある。
従来の大規模集中型の系統システムと統合されつつ、やがて主役になるとヘリオス新能源科技社
は見ている。
尚、ヘリオス・ニュー・エネルギーは、上海本社を持つエンジニアリング会社・中建凱徳(China
Construction KIDE)の系列企業で、3年前からBIPV研究開発に取組開始。米シリコンバレーの研
究チームなどが製品化し販売開始、昨年の約500メガワット製造能力を今年中に2倍の1ギガ
ワットに増産。16年10月に米Tesla Solar Cityが、屋根瓦を模したBIPVの新製品を公表、世界的
に注目されました。その後、カリフォルニア州で、新築建物への太陽光の搭載が義務化されたこ
ともあり、追い風になる。



● 屋根上太陽光が伸び悩んだ理由

太陽電池モジュールを建物に設置する場合、部分的に影のかかるケースが多いことや、間近に日
常的に人が活動していること、限られたスペースでの施工になることなど、野立て設置の太陽光
とは異なった設置環境への対応が必要となる。また、従来の太陽電池モジュール構造は、日影な
どで「ホットスポット」が生じて焼損を引き起こす可能性や、PID(potential-induced degradation)
による出力低下、高電圧によるアーク(火花)が火災の原因になる可能性がある。これらの不具
合リスクが高まる背景に、セルを直列接続して構成するモジュール設計と、さらにモジュールを
10枚以上に直列接続したストリング回路構成がある。数百Vや1000V、1500Vという直流高電圧が
人間の生活空間に近い場所にあることは、安全上の脅威となる。アークによる火災に加え、ホッ
トスポットやPIDのリスクを高める。現在の太陽電池モジュール製品は、裏面カバーは有機材料の
バックシートで、建材条件の難燃性をクリアできないし、一定レベルの耐風圧の強度確保しているが、パ
ネルの上に人が乗って作業することまで想定されていない。有機材料のバックシート採用モジュールは、
屋根上の高温高湿環境の下では、野立て太陽光に比べ劣化が早くなる問題がある。つまり、BAPVとし
て建物に設置しても、不具合や火災リスクを高め、建材としての採用されるBIPVの場合、安全性
や耐久性に関し、建材としての基準のクリアが前提となる。

 Wikipedia

● パネル上に載って作業/ワット単価約49円を実現

セルとモジュールの回路構成は、並列接続を多用することで、直流側の電圧は48Vという相対的
に低電圧。その結果、安全性が増し、ホットスポットやPIDのリスク低減。パワーエレクロクス
は、自動車グレードを採用し、高水準の信頼性と耐久性を確保。直流電圧48Vで運用モジュール
基板材料は、従来の有機材料やガラスでなく、耐候性の高いアルミニウム材か亜鉛めっき鋼板を
使用、鋼材基板とし、結晶シリコンセルをネット(網)構造の配線技術で直列・並列につなぎ、
薄型の高強度ガラスでカバーし、特殊な封止・包装技術でパッケージング。これにより、従来の
有機材料やEVAに比べ耐熱性・耐水性を大幅改善し、長寿命化と高耐荷重性を実現(70kg/m2の
荷重に耐えられる)。同社は、このよう安全性が高く、低コストのBIPVが建築物や施設で当たり
前に普及していけば、電力系統への依存は大きく低下、新たなエネルギーシステムに移行すると
想定している。



 

第13章 天津のトマト缶工場の秘密
中国、天津
第6節

日没後、会社代表のチャンと工場長のマーが、わたしたちを食事に招いてくれた。工場に併設さ
れたその建物のファサードには「研究開発部」と金文字で記されていた。だが「研究室」も「開
発案」もあるはずはなく、看板は無意味に見えた。この工場では、濃縮トマトを希釈し、添加物
を加え、小さな缶に詰めかえているだけなのだから。そうして完成した缶詰は、いずれも高々と
積み上げられ、コンテナに無理やり詰めこまれ、船に乗せられて数週間の長い旅に出る。なかに
は、乱暴に取りあつかわれてつぶれた缶詰もあるだろう。缶の蓋に傷がつき、隙間から空気が入
ったかもしれない。コンテナの高温、長期の船旅、港からの輸送などのせいで、膨張したり破裂
したりするものもあるだろう。

大きなホールに入ると、ふたりの女性がテーブルセッティングと給仕をしていた。ふたりとも顔
色が悪くて、疲れきっているように見える。ホールと厨房を何度も往復し、次々と料理を運んで
いた。チャンが「食事前にどうぞ」と、ドイツビールの大聯を運んできた。きっとドイツのクラ
イアントから贈られたものだろう。工場で作られたという缶入りトマトジュースも勧められた。
缶の七に一国境はない」という文字が書かれている。わたしはジュースをグラスに注ぎ、色と濃
さを確かめた。茶色くてだまができており、表面に透明の水の層が浮いたひどい代物だった。ま
だ一口も飲んでいないが、この「ジュース」と言われるものが3倍濃縮トマト希釈していること
は一目瞭然だった。
本来のトマトジュースは、水分と固形分の比率が生のトマトと同じであるはずだ。飲み物にする
ために生のトマトを圧搾しただけで、濃縮もされず、何も添加されない。3倍濃縮トマトからト
マトジュースを作るなんて考えられない。 
それに、品質のよい濃縮トマトはこんなにくすんだ色はしていない。もっと澄んだ赤色をしてい
る。おそらくこの「ジュース」に使われた濃縮トマトは、新疆ウイグル自治区の生産工場で「焼
けて」しまったのだろう。濃縮加工する際に加熱しすぎてトマトが焦げると、茶色く変色し、新
鮮さを失ってしまう。だからこれもこんなふうに黒っぽい色をしているのだ。もっとも、加工時
に「焼けて一いなくても、数年前に作られて消費期限切れになった濃縮トマトもこんなふうに黒
ずんでしまうものだが………その可能性もゼロとは言えない。

わたしたちは、加エトマト産業のために乾杯をした。思ったとおり、ひどい味だ。
「弊社のトマトジュースのお味はいかがですか?」と、チャンが尋ねる。わたしは飲みこむ決心
がなかなかつかなかった。しばらく口のなかに含んでいたが、やがて観念して飲みほした。
「すばらしいです」と、わたしは親指を立てるジェスチャーをしながら言った。
「そうですか、お気に召してうれしいです。もうすぐトマトジュースの輸出も始める予定なんで
すよ」



第14章 トマト31パーセントに添加物69パーセントのトマト缶
第1節 フランス、ヴィルバント。国際食品見本市
この見本市のスローガンは「世界中の人々が出会う場所」だ。本年度はとくに「フードビジネス
に活気を与えよう」というテーマが掲げられている。
2016年10月、世界のアグリビジネスの祭典、国際食品目`本市のシアル・パリにやってき
た。近代的に整備された街並みを通りぬけ、ヴィルパント国際展示場へ向かう。人口には長蛇の
列ができている。スーツを着た男性の姿が多い。聞こえてくる言語はさまざまだ。15万500
0人の来場者のうち、70パーセントは外国人だという。194の国々からこのパリ郊外の町に
集まってきたのだ。

入場証を受けとって会場に入る。大きな建物のなかに、7000に及ぶブースがずらりと並んで
いる。まるで巨大な蜂の巣のようだ。シアルは世界最大の食品産業展示会だ。出展しているメー
カーの40パーセントは一中間加工品」を取りあつかっている。中間加工品とは、加工途中の未
完成のまま販売される商品で、いわゆる一半製品」のことだ。近年、中間加工品分野は急速に成
長しつつある。カット済み肉、小麦粉、香料、着色料、保存料、そして濃縮トマトなどが代衣帯
だ。食品業界では、消費者の知らないところで、さ束ざまな中間加工品が生産され取引されてい
る。その名称は、最終製品のパッケージにちっぽけな文字で記される。現在、世界の中間加工品
の売上高はおよそ1兆ドルで、これは食品業界全体の25パーセントに相当する。

隔年で開催されるシアルには、毎回、世界中からアグリビジネス業界のあらゆる分野の人たちが
やってくる。出展者には、南イタリアをはじめとする、ヨーロッパの大手缶詰メーカーもいる。
濃縮トマトを取りあつかう大手商社、ドラム缶入り濃縮トマトを生産している新疆ウイグル自治
区のメーカー、そうした濃縮トマトを原材料にしている中国のトマト缶メーカーも、新たな販路
を開拓するために出展している。
シアルは、アフリカで食品ビジネスを展開する足がかりとしてもよく知られている。中国のトマ
ト缶メーカーにとっては、販売額を拡大できるまたとないチャンスだ。そしてわたしにとっては
中国のトマト缶メーカーの販売戦略を知るまたとないチャンスになった。

 Apr. 4, 2016

第2節
わたしは天津金土地食品で、安価な添加物を濃縮トマトに混入させる現場を発見した。業界通に
よると、中国でこんなことはふつうに行なわれているという。だがわたしは、こうした行為がど
の程度広まっているのか、自分の目で確かめてみたかった。シァルは絶好の機会だ。あらゆる中
国の大手缶詰メーカーがここにブースを出している。ウルグアイ入の商社代表、ファン・ホセ・
ァメザガはこう言う。

「中国人はみんなシアルに集まるよ。アフリカのスーバーチェーンや商社といった流通業者は
たいていこのイベントにやってくるからね。アフリカのァグリビジネス市場を狙うなら、シアル
は必ず出展すべきところなんだ」

ここでのわたしの目的はごくシンブルだ。中国の缶詰メーカーのブースヘ行き、アフリカ市場に
対してどういう販売戦略を行なっているかを調べる。だがそのためには、ブースにいる営業担当
者に話を間かなくてはならない。しかし、ジャーナリストに対して会社の秘密を正直に打ち明け
る従業員などいないだろう[1]。アフリカに輸出するトマト缶に濃縮トマト以外のものを混ぜ
ていると率直に告白する者や、法律や規則を違反していると白状する者がいるとは考えられない。
ということは、正体を偽ってアブローチするしかない。
そこでわたしは、中国の缶詰メーカーのブースをひとつずつ訪れ、丸二日間練習したセリフをそ
れぞれに投げかけることにした。目当てのブースは、会場マップにあらかじめ○印をつけておき
、話が聞ければ×印をつけた。作戦は成功し、結果はすぐに現れた。マップはどんどん×印で埋
め尽くされ、パンフレットとサンブルが手元にみるみる増えていった。

[1]Emma Slawinski,Exporters denoullce  substandard Chinese canned tomated paste, FoodNews, 6 juillet 2012,


第3節
「こちらではトマトペースト缶が専門なのですね。じつはわたしの一族は祖父の代からガボン共
和国で会社を経営してましてね。いろいろなことをしていますが、缶詰の輸出入がメインなんで
す。今後はぜひトマトペースト缶も扱いたいと思ってるんですよ。シアルに来たのは、トマトペ
ースト缶の取引について詳しく知りたかったのと、できればいい取引相手が見つからないかと思
って。こちらは中国のどこにある会社ですか?どういう商品があるのですか?」
とりあえずこう言っておけば、あとは勝手にしやべってくれるので、こちらはそれをふむふむと
間いていればよかった。

「弊社では、お客さまのニーズに合わせてさまざまなクオリティの商品をご提供していますI
たいていの会社は、最初にこう切りだした。中国の缶詰メーカーの価格表は、いずれも商品のク
オリティによってABC順にランク分けされている。だが、話を少し間いただけで、その「クオ
リティコの意味がちょっと特殊であることがわかった。缶詰に詰められている濃縮トマトの「品
質」ではなく、缶詰に詰められる濃縮トマトの「割§」を指しているのだ。Aランクとは濃縮ト
マトをもっとも多く含む缶詰のことだ。だがそれがどの程度の「割合」かは、会社によって違う
ようだ。そして、B、Cと下がるにつれて、その「割合」は低くなっていく。

今回、15の会社から話を聞くことができた。いずれも、アフリカに多くのトマトベースト缶を
輸出している缶詰メーカーばかりだ。だが、添加物をいっさい加えていない、100パーセント
濃縮トマトだけを詰めた缶詰を輸出している会社は皆無だった。ラベルに添加物の記載がなけれ
ばこれは不正行為に当たる。少なくとも、わたしがシアルの会場でもらったサンプルには、いず
れも記載がなかった。中国の主要缶詰メーカーではどうやらこれが通例になっているようだ。

各ブースの営業担当者の態度はまちまちだった。自分たちがしていることを正直に話してくれた
担当者もいた.わたしが新規のクライアントになってくれると期待したのだろう、その手口のコ
ツを詳しく教えてくれさえもした。またある者は、恐ろしいほどの校揖さでわたしをだまそうと
した。何も知らないふりをして近づいていったので、暴利をむさぼれると思ったのだ
ろう
だがわたしは、逆にそういう態度を利用することで相手を質問攻めにして困らせた。最終的には
営業担当者が商品をアピールするとき、濃縮トマトの割かのランクによって勧めかたが異なるこ
とを見破った。

Dランク――「この缶詰にはイタリアの国旗が描かれているんです。イタリアはトマトの国です
からね」
Cランク――「これはアフリカ市場で流通している商品のなかで、もっとも良質なもののひとつ
です。味見をされますか?」
Bランク――「(缶詰を開けながら)ごらんください、きれいな邑のトマトペーストでしょう?
(実際はくすんだ色) アフリカですごく人気のある商品なんですよ」
Aランク――デンブンと大豆食物繊維だけで、違法な添加物は何も入ってません。確かに ラベ
ルには何も書いていませんね。たいしたことじやありませんよ。みんなやってることですから」

Dランクはパッケージ、Cランクは昧、Bランクは色がそれぞれセールスポイントにされていた
。どういうわけか、Aランクを勧める営業担当者がいちばん正直だった。

「デンプンを入れてほしいという要望もあれば、大豆食物繊維やニンジンパウダーのほうが好き
だという燭台もありますよ。弊社では、アフリカの消費者の好みに台わせた商品をご提供できま
す」

取引の進めかたについてあらかじめ念を押す者もいた。
「新規契約者には、Aランクの商品しかご提供しません。まずはそれで取引がうまくいきそうか
どうかを判断します。仮に、もしコンテナ数台分しか注文していただけないなら、それより条件
のよい商品のご提供はできかねます。逆に、たくさん注文していただけて、互いに信頼関係を築
くことができたら、もっと安く提供できるようこちらも努力します。たとえば、デンプンを混ぜ
たりして」かと思えば、もっと現実的な営業担当者もいた。

「Aランクのサンプルが欲しいだって?ガボン共和国にはダメだ。あげても無駄だからね。ほら
こっちを持っていきな」(と、カウンターの上に缶詰を放り投げる)。そうだよ、一番安いやつ
だ。ガボン共和国ならこっちじゃないと」
わたしはそれでも、Aランクのサンプルが欲しいと何度も頼んだのだが、「いや、ガボン共和国
にはダメだ」と、最後まで突っぱねられた。

第4節
Aランクのトマトペースト缶の「クオリティ」がもっとも高いというのは本当らしいが、いっさ
い添加物を加えていないと言う営業担当者はひとりもいなかった。
「広州港は、天津や上海より税関審査が厳しいんですよ」と、広州近郊の会社の営業担当者が言
った。
そのため、この会社のトマトペースト缶には、デンプンが58パ-セントしか含まれていないと
いう。本当だろうか?それとも単なる営業トーク?本人は優秀な営業員を自称していたが。もら
ったパンフレットには、中国語、英語、アラビア語、そして間違いだらけのフランス語で、商品
説明が書かれていた。年間30億個以上のトマト缶が生産され、原材料のトマトは汚染されてい
ない農園で栽培されているという。

「弊社は、原材料を選ぶところから完成品ができあがるまで、一貫して厳しい管理体制の下で生
産をしている、中国南部唯一の缶詰メーカーです」
この文章は読んだことがある。天津からほど近い河北省にある缶詰メーカーのバンフレットにそ
っくりだ。真似をしていると思うのは考えすぎだろうか?だが、あちらの文章のほうがもっとず
っと詩的だった。
「弊社の商品には、新疆ウイグル自治区の美しく豊かな自然で育ったトマトが使用されています。
土壌はまったく汚染されておらず、大地には雪解け水が流れ、一日の終わりには素晴らしい夕日
が見られます」。このメーカーの缶詰の原材料表記には「トマト、塩」しか書かれていない。だ
が、営業担当者は嘘がつけないタイプなのだろう、その缶詰を差しだしながらこう言った。

「うちの缶詰はりーズナブルですよ。濃縮トマトが45パーセントしか入ってませんからね。ア
フリカの市場ではごく平均的な割合です」

第5節
濃縮トマトが45パーセントで、添加物が55パーセント………ガーナでリウ将官から話を間い
た缶詰は濃縮トマトが31パーセントで、添加物が69パーセントだったが、それについては後
述する。いずれにしても、何百万個という中国産トマトペースト缶には、原材料表記に一トマト、
塩」しか書かれていないが、実際はトマトは半分以下しか含まれていないのだ。
各ブースでサンプルをもらって立ち去るたび、缶詰のひんやりした固さを手のひらに感じながら、
わたしはとまどいと後味の悪さのようなものをかみしめていた。これほどまでに広まってしまっ
たなら、これはもはやトマトペーストの「偽造品」というより、「本物」のトマトペーストとい
うことになるのではないか?

たった数年間でこうした不正行為が、アフリカ大陸に、いや少なくともアフリカ南部のサブサハ
ラ地域に広まったのは、いったいどうしてか。
中国の各メーカーのパンフレットには世界地図が掲載され、自社製品が流通している国に赤いマ
ークが記されている。それを見ても、アフリカ諸国はずぼぬけて多い。
濃縮トマトの一連の取材において、わたしはまずは中国へ行って工場を目`てまわり、それから
フランスの食品見本市、シアル・パリで商社の人間を装って中国のさまざまな缶詰メーカ-に話
を聞いた。その結果、トマトペースト缶に関する不正行為がとてつもなく大規模である
ことがわかった。しかも、過去に一度も捜査のメスが入っていないのだ。現在、アフリカの何億
人もが、真実を知らないままこうした缶詰を消費している。

複数の業界通によると、中国当局もこの不正を知ってはいるか、自国の缶詰メーカーの「競争力」
を守るために目をつぶっているという。だが、これではまるで19世紀のようではないか?当時
はまだ世界中どこでも食品衛生法が確立していなかったので、缶詰で食中毒にかかる人も少なく
なかった。シアルで会った中国の缶詰メーカーの営業拒当者たちは、缶詰に入れられているもの
に毒性はないと主張していた。だが、ナイジェリアの不正行為取締局の調査によると、ここ数年
アフリカで流通しているトマトペースト缶から有毒物質が検出されている。
 
                   ジャン=バティスト・マレ著 『トマト缶の黒い真実』 

さて、検出された有毒物とは何か?ならば、アフリカでなどの関連国での中国産トマト缶ボイコ
ットの動きはどうなっているのか? 次回以降へ疑問は持ち越される。

                                    この項つづく

 

 Jul. 25, 2018 6:00 am
● Greece wildfires
At least 74 dead as blazes rage in holiday resorts near Athens

嘘が世界を半周したころ、真実はまだズボンを履こうとしている。
A lie gets halfway around the world before the truth has a chance to get its pants on.

                                                                         Winston Churchill (ウィンストン・チャーチル)

【再挑戦:五坐踏破計画 2018】

 ● 焼岳へGO!





7月28、29日のどちらか天気次第で実行。

● 今夜の一曲

Al Di La - Ray Charles Singers & Connie Francis (恋愛専科 / Rome Adventure)

 


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