『六 韜』(ろくとう)
{虎の巻」ということばは、本書の「虎韜」が出典。太公望に仮託した後世の書。
『六韜』は、周建国の功労者・太公望呂尚が説いたという形になっており、まず、文王と彼との
出会いのエピソードから始まる。六篇から城るが、後半は無意味なものが多く、ここには三篇か
ら訳出する。
人の内心を見破る法
外から見ただけでは人の本心はわからない。それを見破るには、八つの徴候をとらえることだ。
一、質問してみて、どの程度理解しているかを観察する。
二、追及してみて、とっさの反応を観察する。
三、問者をさしかけて内通を誘い、その誠実さを観察する。
四、秘密を打ち明けて、その人徳を観察する。
五、財政を扱わせて、正直かどうかを観察する。
六、女を近づけてみて、人物の堅さを観察する。
七、困難な仕事を与えてみて、勇気があるかどうかを観察する。
八、酒に酔わせてみて、その態度を観察する。
以上、八つの徴候を端察してみれば、有能な人材をふるいわけることができる。(竜韜)
全軍を奮起させるには
「全軍の兵士が、攻城にさいしては先を争ってよじ登り、野戦にさいしては先を争って進み、退
却を令ぜられれば憤激し、進撃を兪ぜられれば勇みたつ。このように戦わせたいものだが、どう
すればそうなるだろうか」低圧の問に太公はこたえた。「将が勝利をもたらす条件は三つありま
す」
「というのは?」
「将が、礼を心得ること、骨おしみしないこと、欲望をおさえることであります。
礼を心得た将とは、冬は暖かいかわごろもなど着ずに兵士と寒さを共にし、夏は扇を使わずに兵
士と暑さをともにし、雨が降れば兵士と共に濡れるような人物です。このように自らを規制しな
ければ、部下のおかれている現送を知ることができません。
骨おしみしない将とは、けわしい地形や泥道を行軍するとき、軍からおりて歩くような人物です。
骨おしみするようでは、部下の労苦を知ることができません。
欲望をおさえる将とは、全軍の宿舎が決まったあとで宿舎に入り、全員の食事が用意されたのち
に食事し、火が使えぬため部下が火の通ったものを食べられないときは、自分も口にしない。こ
ういう人物のことです。将が欲望をおさえなければ、部下の腹具合を知ることができません。
将たる者が部下の士卒と、暑さ寒さを共にし、労苦をともにし、腹をへらすも高股するも一緒と
いことになってこそ、全軍が、進撃の合図をきけば喜び勇み、退却の合図をきけば憤激するので
す。城が高く帽が深く、矢や石が雨のように降ってこようとも先を争ってよじ登り、収り合いに
なれば先を争ってかかってゆくのです。
士は何も好きで死ぬのではありません。喜んで負傷するのではありません。将たる昔が、部下の
状態をつぶさに知り、その労苦を十分に体得しているからこそ、そうさせることができるのです」
(竜脳)
【上の句トレッキング:痛む全身労り眠る】
壊れたる翅をべッドに整えて痛む全身労り眠る
雨上がりの朝には翼も掻もなし背に確かなる空飛ぶ記憶
相沢光恵『空飛ぶ記憶』(歌壇、2018年07月号より)
7月24日、富士経済は、17年の既存太陽電池(単結晶シリコン、多結晶シリコン、薄膜シリコ
ン、CIG、CIS、CdTe)の世界市場は5兆7830億円だったのに対し、新型・次世代太陽電池(フレキ
シブル結晶シリコン、フレキシブルGaAs、ペロブスカイト、色素増感、有機薄膜)市場は3億円
だと公表。18年の新型・次世代太陽電池市場は15億円の見込み。30年には17年比811
倍の2433億円に拡大すると予測。今後、既存太陽電池の置き換えが実現すれば、巨大市場を
形成する可能性があり、既に商用化されている色素増感太陽電池(DSC)と有機薄膜太陽電池
(OPV)では、室内光利用といった新たな用途開拓も進んでいる。その一方で、既存太陽電池の
販売価格は数10円/ワット台と新型・次世代と比べて大幅に安価であり、現状の価格競争力では
新型・次世代が早急に主流になる可能性は低く、まずは既存太陽電池と競合しない IoT機器・無
線センサーの電源や、ZEB/ZEH実現に寄与するBIPV(建材一体型太陽電池)といった用途から市
場形成が進むと予測している。
【ソーラータイル事業篇:自己蓄電型薄膜太陽電池技術事例】
昨年7月14日、華中大学らの研究グループは、東京大学らの研究グループが色素増感型蓄電融合太
陽電池の開発に続く、ペロブスカイト型を試作したと公表している(下図参考)。
グリーン電力需要の増加とエレクトロニクス産業における小型化と多機能化の傾向により、光起
電部品とエネルギー貯蔵部品の両方を統合したパワーパックは、科学的かつ技術的にされてきた
が、ペロブスカイト型太陽電池とパワーパック用固体スーパーキャパシタの新規な集積を実証。
光電変換とエネルギー貯蔵をハイブリッド化――炭素電極をベースにしたスーパーキャパシタ―
と一体化。パワーパックは、スーパーキャパシタが0.071平方センチメートルの活性領域を有するAM
1.5G白色光照射下でペロブスカイト太陽電池で充電され、76%のエネルギー貯蔵割合と5.26%の
全体的変換効率に達すると0.84Vの電圧出力。 スーパーキャパシタを1.0Vでプリチャージし、ペ
ロブスカイト型太陽電池とスーパーキャパシタの直列接続で22.9%の瞬間総合出力効率を達成、
今年4月25日、カルフォルニア大学らの研究グループは、ナノワイヤシリコン・有機ハイブリ
ッド系自己充電型太陽電池を試作実証したことを公表(下図参考)。
それによると、シリコンナノワイヤーアレイ/導電性ポリマーハイブリッド太陽電池とレーザース
クライブグラフェンスーパーキャパシターのモノリシック集積化自己充電パワーパック――シリ
コンナノワイヤーアレイ/ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリスチレンスルホネート
(PEDOT:PSS)ハイブリッド太陽電池とレーザースクライブグラフェン(LSG)スーパーキャパシ
ターからなる新しい自己充電パワーパックを作製。 Siナノワイヤアレイ/ PEDOT:PSSハイブリッド太
陽電池構造は、12.37%の高い電力変換効率(PCE)を示し、LSGは、活性炭や導電性ポリマーな
どの他のスーパーキャパシタの電極と比較して、高い電流密度、エネルギー密度と周期的安定性
を保持、優れたエネルギー貯蔵能力――パワーユニットの総合効率が2.92%を実証に成功する。
第14章 トマト31パーセントに添加物69パーセントのトマト缶
第6節 フランス、ヴィルバント。国際食品見本市第
ウルグアイで商社を経営し、加工トマト業界に詳しいファン・ホセ・ァメザガは、こう言った。
「アフリカでは、大豆食物繊維、ニンジンパウダー、デンブン、デキストロース、着色料、その
池わけのわからない添加物が入ったトマトペースト缶が、何百万個も販売されている.そういう
商品を取りあつかっている商社やスーバーチェーンといった流通業者は、不正行為の犠牲者では
なく共犯者だ。むしろ流通業者のほうから中国の缶詰メーカーに頼んで、品質と価格が折り合う
商品が作られている」
中国の缶詰メーカーは、異なるクライアントにまったく同じ商品を供給することもあるという。
どの流通業者もできるだけ安い商品を欲しがるため、必然的にそうなってしまうのだ。
つまり、流れとしてはこうだ。中国の缶詰メーカーは、クライアントである流通業者に、安く供
給できるために添加物を加えることを提案する。流通業者は、メーカーが提示する価格に応じて
どのくらい添加物を入れるかを決める。添加物の割合を増やすほど価格は低くなる。希望に応じ
て、メーカーがさまざまな添加物と完成品の試食サンプルを提供することもあるだろう。メーカ
ーはちょっとした和学者のようなものだ。むしろ麻薬ディーラーに近いだろうか。
契約が成立すると、流通業者は缶詰のパッケージデザインをメールでメーカーに送付する。メー
カーはパッケージ印刷込みで生産を請け負っているのだ。メーカーは、スチール缶とパッケージ
印刷、プラスティック製蓋、梱包用ダンボール箱を、地元の下請業者に発注する。
完成したパッケージには、フランス語、英語、イタリア語、アラビア語などの言語で、たいてい
は嘘八百が並べたててある。スベルミスかおる燭台も多い。「中国産」という文字はどこにも見
当たらない。原皇国をごまかすために、トマトらしい赤い色を用いたり、トリコローレで彩った
りしている。「ハラル」「ナチュラル」「フレッシュ」「グリーン」といったイメージのよい単
語を多用したり、商標権を侵害するようなロゴマークを使ったり、アフリカ入女性や肉厚のトマ
トが描かれていたりする。だが、缶詰メーカーにとってはどんなデザインであろうがかまわない
メーカーにとって重要なのは、それがクライアントに指示されたとおりのデザインであるかどう
かだけだ。そして、その缶のなかには、二倍濃縮トマトによく似た何かが詰めこまれるのだ。
第7節 イタリア、エミリアuロマーニャ州パルマ
であるかどうかだけだ。そして、その缶のなかには、2倍濃縮トマトによく似た何かが詰めこま
れるのだ。
「最初にアフリカ向け缶詰メーカーを天津に設立したのは、カルキスのリウ・イ将官でした。
カルキスグループ傘下のチャルトン・トマト・ブログクツです。その直後、中糧屯河も続いて設
立しました」
パルマにある濃縮トマトの世界最大の商社、ガンドルフィ社の3代目代表アルマンドーガンドル
フィは、2016年7月26日の取材時にそう言った。
「ただ、カルキスも中糧屯河も、市場のニーズに対して生産力が大きすぎました。2社は激しい
価格戦争を繰り広げました。その後、大手二社の後を追うようにして続々と中小の缶詰メーカー
がアフリカ市場に進出しました。最初は、こうした中小のメーカーが市場での生き残りをかけて
、トマトペーストに混ぜものをするようになったのです。大豆食物繊維、デンプン、砂糖、着色
料などの添加物を入れて、安く売りはじめました。現在、アフリカで売られているトマトベース
ト缶には、本物の濃縮トマトが50パーセント以上含まれているものはほとんどありません。
実際の需要に対する生産力が大きすぎたために始まった戦争です。武器になるのは価格だけでし
た。ほかには何もないからです。ブランドカもなければ、高い品質もない。アフリカのトマトベ
ースト缶市場での競争は、価格がすべてでした。いかにも中国らしいやりかたです。そして彼ら
は自滅しました。中糧屯河もガルキスも、グループ会社の缶詰メーカーは倒産してしまいました
。システムが破綻したんです。中国にはまだアフリカ向けの缶詰メーカーがあることはあります
が、わたしが思うに、遅かれ早かれそうした会社もみなつぶれるでしょう。
ええ、理論的に考えても当然です。価格競争を逸脱し、ルールを少しも守ろうとせず、ただ安く
作ることだけを考えて、商品の付加価値を生もうともしない……そんなやりかたでは、必ずいず
れは破綻します。ある会社が濃縮トマトの割合を50パーセントに下げたら、別の会社は48八
パーセントにし、また別の会社は46パーセントにせざるをえないでしょう。それがどどん続け
ば、最終的に残るのは、元に戻せないほど腐った市場だけです。そのうえ、消費者の健康にも被
害を及ぼします………これが、アフリカのトマトペースト缶市場の現状です。
中国の国家政策には優先順位があります。一番大事なのは、経済成長と雇用剔出です。そのため
ならほかのことには目をつぶります。缶詰メーカーがたくさん商品を輸出し、多くの雇用を創出
してくれさえすれば、好きなようにさせておくということです。これはトマトに限ったことでは
ありません。他の多くの商品についても同じことが行なわれているのです」とガンドルフィは締
めくくった.
第15章 農薬入りのトマトか、添加物入りのトマト缶か
第1節 ガーナ共和国、ブロングuアハフォ州テチマン地区タオポダム村
下から差しだされた手を、上にいる者たちが次々と引っぱりあげる。さあ、これで全員荷台に乗
りこんだ。日雇い労働者たちはみんな立ったまま、金属製の手すりにつかまったり、隣の人にし
がみついたりしている。三輪トラックがアクセルを踏んだ途端、大きなエンジン音とともに、重
さで車体がうしろに大きく傾いた。車がひっくり返らないよう、全員があわてて荷台の前のほう
へ移動する。誰かがわたしの足を踏みつけ、わたしは誰かの顔をつかみ、わたしの脇腹に誰かの
肘がぶつかった。大丈夫、どうってことはない。荷台にすし詰めになったわたしたちは、もみく
ちやになりつつも、どうにか重心を立てなおすことができた。そして三輪トラックは、うなるよ
うな低い音を左ててよろよろと前進を始めた。
三輪トラックはガーナでは「モーターキング」と呼ぼれる。中国の自動車メーカーのプランド名
だ。この中国製三輪トラックは西アフリカで広く普及しており、とくにガーナの農民たちに愛用
されている。125CCバイクにトレーラーを結合させたもので、まさに農村のケンタウルスと
いった趣だ。この三輪トラックが大量に流通したことで、アフリカでモータリゼーション革命が
起きたのだ。
車はがたがたと揺れながらでこぼこ道を行く。両脇に並ぶ低木がどんどんうしろへ流れていく。
少しずつ景色が変わり、やがてあたりが徴蒼としてきた。まるで緑のトンネルを進んでいるよう
だ。広く張りだした木の枝にぶつからないよう、みんなが頭を低くする。上り坂に差しかかり
三輪トラックはよろよろと苦しそうに上っていく。てっぺんまで上ったら、次は下り坂だ。重さ
のせいで加速し、あまりブレーキが効かないのか、転がり落ちそうな勢いで下りていく。この恐
怖から逃れるには、車体に貼られたお守り代わりのステッカーに祈りを捧げるしかない。そこに
は、イエス・キリストとカダフィ大佐の姿が掲げられていた。
ようやく畑に到着する。じめじめと重苦しい暑さのなか、日雇い労働者たちはしやがみこんでト
マトの収穫を始めた。摘みとったトマトを次々と木箱のなかに入れる。箱がいっぱいになると、
先ほど乗ってきた三輪トラックの荷台に積みこまれる。労働者の代わりに商品を乗せて、三輪ト
ラックは来た道をまた戻っていくのだ。
いまやトマトは世界中で栽培されている。トマトの起源はアステカにある。現在のメキシコ中央
部だ。この地がスペインによって植民地化される前、8紀ごろから栽培されていた。16世紀に
スペイン人がヨーロッパに持ち帰ったときは、食用ではなく観賞用とされ、18世紀になっても
ほとんど食べられていなかった。状況が大きく変わったのは、蒸気機関車が発明され、鉄道網が
発達した19世紀だ。ヨーロッパの地中海沿岸で好んで食べられるようになり、19世紀末には
イタリアで加エトマト産業が誕生した。その後、ヨーロッパによってアフリカが植民地化され、
世界で缶詰産業が発達する過程で、アフリカにもトマトが伝わった。こうして、加工トマト産業
の一大叙事詩はこの地に引き継がれたのだ。ガーナの首都アクラから車で八時間、緑が億蒼とし
た小道の先に広がるこの畑のなかへ。
トマト畑は2ヘクタールほどの広さだった。ガーナ北部のテチマン地区郊外にある、トマトを名
産とする農業地帯だ。ガーナでは、9万人ほどの小規模生産者によって、年間50万トン以上の
トマトが生産されている。だが、そのうちおよそ30パーセントは、主に雨季を原因とする過剰
生産のために廃棄される。2014年、公式に発表されたトマト生産量は36万6772トンだ
った。
ガーナのトマト生産業界では、畑仕事を行なう生産者のほかに、販売や流通に携わる30万人ほ
どの労働者がいる。そのほとんどが女性だ。ガーナでは主に女性がトマトを仕入れ、運搬し市場
で販売するトマト1個が栽培されてから消費者の食卓に届くまで、約25人の労働力が必要とさ
れるという[1] 。ガーナの人口は2800万人で、アフリカで13番目だ。ガーナの大衆料理の
ほとんどにトマトが使われており、国民の野菜消費量の38パーセントをトマトが占めている。
[1] Mohammed lssah, Right to food of tomato and Poultry farmeres, Send Foundation et Union europ6enne,
novembre 2007.
1957年3月6日、イギリスから独立したガーナは、アフリカの解放を訴えるパン・アフリカ
主義のリーダー的存在になった。初代大統領のクワメ・ンクルマの下で国家主導型の経済政策が
進められ、教育、医療、インフラ整備などに多額の投資がされた。アフリカ社会主義を掲げるン
クルマは、「反帝国主義」に基づいた工業化を推進した。その一環で、ヨーロッパやアメリカな
ど大国による経済支配を防ぐため、外国企業の投資や輸入は大幅に制限された。そして1960
年代初め、過剰生産されるトマトを無駄にしないよう、政府によってトマト加工工場がふたつ建
設された。
1966年2月24日、アメリカの中央情報局(CIA)が支援する軍事クーデターによってン
クルマが失脚し、ガーナは政治・経済的に不安定な状態に陥った。1979九年にはジェリー・
ローリングス空軍大尉による軍事クーデターが起こる。国家元首に就任したローリングスは、1
983年より国際通貨基金(IMF)と世界銀行の支援を受けた「構造調整計画」によって経済
を立て直し、国情を安定化させることに成功した。ガーナはアフリカにおけるネオリベラリズム
政策の規範となったのだ。
1960年代に建てられたふたつのトマト加工工場は、最初のクーデターで閉鎖されたのちに一
時再開され、構造調整計画によって1980年代に再び閉鎖された。その後も再開と閉鎖を繰り
かえし、現在は廃墟となった建物だけが残っている。ふたつの工場のうちの一方、プワルグエ場
は、壁がはがれ落ち、看板が腐食し、雑草に覆われているが、看板と壁に書かれた「ノーザン・
スター・トマト・ファクトリー」という文字をかろうじて読みとることができる。
周辺の住民の多くは、この工場がかつて多くの雇用を生み、地域の富の象徴だったことを今も記
憶している。ガーナは、経済誌などでよく「西アフリカ第二の経済国」と称される。1980年
代以降、IMFと世界銀行による構造調整計画に積極的に取り組んできたことから、IMFの「
秘蔵っ子「フンョーウィンドウ」とも呼ばれた。だがユニセフによると、2016年には360
万人の子どもが貧困生活を送り、うちこ10万人は家庭で十分な食事を与えられていない。また
世界銀行によると、国民2800万人のうち25パーセントが、国際貧困ライン(一日1・9ド
ル未満)以下の生活を余儀なくされているという。上下水道や電力などのインフラもいまだ整っ
ていない。
Aug. 23, 2007
経済に関しては、イギリス植民地時代とほぼ変わらず、農産物や天然資源などの一次産品の輸出
に全面的に依存している。とくに、金(アフリカ第2位の産出量)、カカオ(世界第2位の生産
量)、原油だけで輸出額の70パーセント以上を占めており、ダイヤモンド、ボーキサイト、マ
ンガンも豊富に採掘される。ここ数年間は不況が続いたので、2015五年、公的支出削減によ
る緊縮財政を実施することを条件に、新たにIMFから10億ドルの融資を受けることになった。
独立から60年、ガーナの農業は今も輸入農産物との厳しい競争にさらされている。
ガーナでは過去20年間にわたって、濃縮トマトの輸入量が増加しつづけている。国際遥か食糧
農業機関(FAO)の統計によると、1996年に1225トンだったのが、2003年に2万
4000トン、2013年には10万9500トンに達している。20年間でなんと9000パ
ーセント増加している計算になる。マサチューセッツエ科大学(MIT)の経済複雑性観測所に
よると、2014年、ガーナは1億1300万ドル相当の濃縮トマトを輸入しているがうち8
5パーセントが中国からだ。西アフリカにおいて、ガーナは中国産濃縮トマトの主要窓口のひと
つになっており、2014年には中国の年間生産量の11パーセントを輸入している。なお、中
国にとって最大の濃縮トマト輸出先はナイジェリアで、2014年、中国の年間生産量の14パ
ーセントを輸入している。だが、これらの数字の信頼性はあまり高くない。その理由としてまず、
ナイジェリアやガーナが輸入する中国産トマトペースト缶には濃縮トマト以外のものが多く含ま
れていること、そして、ガーナが輸入した中国産濃縮トマトの一部に本来より低い関税率がかけ
られていることがある。関税率については税関のミスではなく、腐敗・汚職が公務員に蔓延して
いるせいだという。
Apr. 27, 2016
Africa–China economic relations
ガーナでは、農業従事者が就業人口の45パーセントを占めている。それなのに、濃縮トマトを
これほど大量に輸入する必要があるのだろうか?農業があまり盛んではないほかの西アフリカ諸
国ならまだしも?国内でもたくさんトマトが生産されているというのに? このことはガーナに
どういう影響を与えているのか?そして、かつてあったふたつのトマト加工工場はなぜ閉鎖され
てしまったのか?現在の加エトマト産業のグローバル化して複雑になった構造を理解するのに、
アフリカは格好の対象と言える。この産業の進化はめまぐるしく、価格競争はますます熾烈にな
っている。複数の情報通によると、アフリカはここ数年のうちに、アメリカとヨーロッパを抜い
てトマト加工品の世界最大の市場になると考えられている。
ジャン=バティスト・マレ著 『トマト缶の黒い真実』
この項つづく
7月10日、肥満はがん細胞の増殖を早めることが知られている、大阪大学らの研究グループは、
肥満になるとがん細胞の増殖を促す特殊なたんぱく質が増えることをマウスを使った実験でで解
明。同グループでは、食生活の改善が治療効果を高める可能性があるとする。それによると、大
阪大学大学の藤田和利のグループは、前立腺がんを発症させたマウスを使って、脂肪分の多いエ
サを与えて肥満にしたマウス/通常のマウスで、がん細胞の増殖に違いがあるかを調査。その結
果、およそ5か月後、肥満のマウスでは、通常のマウスと比べてがんの大きさはおよそ3倍にな
り、がんの周辺で「インターロイキン6」という、免疫を抑えるたんぱく質が数倍に増えた。肥
満のマウスにこのたんぱく質の働きを抑える薬を投与したところ、がん細胞が増える通常のマウ
スと同程度になったことから、肥満のマウスで増えていたこのたんぱく質が、がんの増殖を促し
ていることを突き止める。今後、食生活の改善といった身近な部分から新たな治療方法が見つか
る可能性があり、医療費の抑制、健康寿命普及の促進に効果が期待される。
High-fat diet-induced inflammation accelerates tumor proliferation of prostate cancer via IL6
【膝軟骨の再生医療製品化治験へ】
7月24日、青森県弘前市の再生医療ベンチャー「ひろさきLIなどは、スポーツや事故などで損
傷した膝軟骨の再生治療に用いる再生医療製品「IK-01の製造販売に向け、国の承認を得るため
要な検証治験を今秋から開始することを公表。弘前大学医学部付属病院や弘前記念病院など全国
6施設での治験を経て、22年にも承認を申請予定。同社は再生医療の中核都市ひろさきを目指す。