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安坊峠/焼岳弾丸登山Ⅰ

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『三 略』(さんりゃく)
略は「機略」「戦略」の意味。『六韜』(ろくとう)と並んで『韜略』といわれる。六世紀ごろの
成立。『三略』は神秘的な成立伝説にいろどられており、今日の目でみると、時代がかっている部
分が多い。上略・中略・下略の三笥から成るが、その中から現代にも通ずる部分を選んで訳出する。

「衆心を察して百務を施す」
戦時体制にある国では、民心の動向を見定め、それぞれの状況に応じた牛メの紬かい対策を講ずる
ことが、肝要である。すなわち、こうだ。

動揺する者がいれば、安心感をうえつけ、恐怖におそわれる特がいれば、気持に余裕をもたせる。
食務を放棄した者がいれば、持ち場に戻らせる。無実の罪をこうむった者がいれば、釈放し、訴え
ごとのある者がいれば、事実をよく調べる。低い身分におかれている者がいれば、高い地位に抜擢
し、権力を乱用する者がいれば、低い地位にねとし、敵対者がいれば、処分する。貧しい者がいれ
ば、暮しに事欠かぬようにし、不満を抱く者がいれば、その解消につとめる。秘密の露見を恐れる
者がいれば、機密保持を保証し、知謀に長けた者がいれば、側近に採用する。言言する者がいれば、
退け、人を中傷する者がいれば、裁判にかける。反抗する者がいれば、身分を剥奪し、乱暴をはた
らく者がいれば、追放処分に付し、権勢をふるう者がいれば、その権力を弱める。帰順を申し出た
者がいれば、受け入れ、服従を誓った者がいれば、生命を保証し、投降した者がいれば、罪を不問
に付す。 

敵地を奪ったら、次の原則を守る感荷がある。
要害堅固の地は、二度と敵に渡さぬように守備を固める。険阻狭屋の地は、封鎖して人が通れぬよ
うにする。戦路上の荷である地には、兵を常駐させる。敵から奪った城、土地、戦利品は、独り占
めせずに分配する・
   
敵国に対しては、次の原則を守る必要がある。   
敵がどんな働きをするか、たえず注意する。敵が軍を進めてきたときには、守備を万全にし、敵が
強大であるときには、下手に出て衝突を避ける。敵が疲れをみせないときには、軍を引き揚げ、敵
が裁りたかぷっているときには、その勢いの衰えを待つ。敵が暴言非道であるときには、その自滅
を待ち、敵が信義に背いたときには、その不義を明らかにし、敵が結束しているときには、上下の
離間を策する。
こちらが挙国一致の体割にあれば、敵の野望は挫折する。相手の出方に応じて意表をつけば、敵を
打ち破ることができる。贈を立てて動揺させれば、敵は混乱状態におちいる。こうして四方に網を
張って獲物をとるように、敵を絶体絶命の境地に迫いやるのである。(上略)

酒を川に注いで欽んだ名将
用兵の眼目は、礼を尽くし、禄を爪くすることにある。礼を尽くしてむかえれば、知謀にたけた人
物が集まり、高禄を与えれば、義にそむかぬ人物は命を賭して戦うであろう。こうして、有為の人
物には財をおしまず、功労には速やかに宣を与えるならば、全人民の力を結果し敵国に損害を与え
ることができる。およそ人材登用に当たっては、爵位と禄の二つがポイントとなる。爵位を与えて
身分をあげ、禄を十分に与えるならば、求めずとも自然に人材は集まるものだ。こうして集まった
人材には、礼を十分に尽くし、義によって奮起させることだ。かれらは対生のために一命を投げ出
すであろう。

一軍の将たる者は、常に士卒と生活をともにし、運命をともにすべきである。こうしてこそ、士卒
は敵を恐れず戦う。かならずや勝利はわがものとなろう。ある名将について、こんな逸話がのこさ
れている。あるとき、かれのところに一簞の酒が贈られて
きた。かれは、それを川の流れに注いで、士卒とともに川の水を飲んだという。わずか一箪である。
川の水に酒の味がするわけがない。それでも、兵士たちはかれのために命を投げだしたいと思った。
兵士たちの心に、かれの思いやりがしみとおったのである。
『軍議』にこう記されている。「将たる者は、井戸掘りが終わらぬうちは、水が飲みたいといって
はならぬ。幕舎の設営が終わらぬうちは、疲れたといってはならぬ。食事の用意が整わぬうちは、
食べたいといってはならぬ。冬に毛皮を着てはならぬ。夏に扇を持ってはならぬ。雨が降っても、
阜を求めてはならぬ。これが将たる者の礼である」と。

運命をともにしているのだという連帯感があってこそ、士卒は離散せず、どこまでも将にしたがい、
疲れることを知らずに戦うのだ。平素から、士卒に恩恵を与え、士卒に連帯感を抱かせてこそ、こ
れが可能となる。(上略)
「たえず恩恵を与えておけば、一人で万人に対抗することができる」というのはこれを意味する。

〈簞〉竹でつくった器。

 

【高品位蓄電池事業:電動自動車向けリチウムイオン電池製造事業】

● パナソニック、EV電池セル3割増産 世界最大テスラ共同工場

7 月2日、パナソニックと米テスラが2016-17年の電気自動車(EV)向け電池供給で2位以下を大き
く引き離してトップとなった。両社はテスラが米ネバダ州に置く電池工場「ギガファクトリー」で
協業している。ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)が最近のリポートで示
した。テスラとパナソニックによるEVバッテリー販売は1万4890メガワット時。2位は中国の比亜迪
(BYD)で7360メガワット時。同社には米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が出資している。(
(出典:ブルームバーグ)

 Jul. 2, 2018

また、7月31日、パナソニック、EV電池セル3割増産 テスラ共同工場が世界最大にパナソニ
ックは2018年末に、米テスラと共同運営している米国ネバダ州の電池工場「ギガファクトリー
」で、パナソニックが担う電池セルの生産能力を現在比3割超引き上げる。年産能力は35ギガワ
ット時で、供給先はテスラの電気自動車「モデル3」。この増産は、Tesla Model 3およびエネルギー
貯蔵システムの拡大用需要のため。他の2つのモデル(モデルSとモデルX)には、日本からのバッ
テリー(18650対21700の異なるセル形式)が付属しています。バッテリーの35GWhは、数十万テス
ラモデル3のには十分であるが、11週間に1万本のコピーとエネルギー貯蔵システム用には不足し
そうだ。Tesla Gigafactoryの究極の目標は、105GWhのバッテリーと150 GWhのパックを生産す
る(一部のセルは他の施設からも供給:出典: Nikkan, Electrek, Teslarati)。

 
第17章 「アグロマフィア」の象徴、南イタリア産トマト缶
第1節 
現在、ヨーロッパの大手スーパーチェーンで売られているイタリア食品の多くは、何十万人という
労働者が搾取されたうえで生産されている。オリーブオイル、オレンジ味の炭酸飲料、フルーツ、
野菜……オーガニックを謳っていようが、原産地呼称保護(DOP)が記された「イタリア産」で
あろうが、同じことだ。搾取されるのは、イタリア人の場合もあるし、ほかの国籍の労働者の場合
もある。
 
そうした搾取は、一カポララート」というシステムのもとで行なわれる。一カポラーレ」と呼ばれ
る手配師が、求職者に違法で仕事を斡旋し、手数料を取っているのだ。カボララートは食品業界を
耳る巨大な犯罪ネットワーク、アグロマフィアとつながっている。イタリアではよく知られた存在
で、労働組合の激しい非難の的となっている。イタリアのほとんどの農産物や品分野に関わってお
り、マフィアの拠点が集中する南イタリアだけでなく、北イタリアでも活勤している。この問題は
国内メディアでしょっちゅう取りあげられ、議会でもカボララート取締法が可決されている。だが、
いまだ撲滅されるにいたっていない。

トマト缶の世界輸出量の77パーセントが南イタリア産だ。しかも南イタリア産トマト缶こそが、
カポララートを象徴する商品なのだ。
アフリカからイタリアにやってきた移民たちは、誰もが現地で仕事に就く。たとえ滞在を許可され
なくても、賃金労働者になる。何千人というアフリカ人は、イタリアで「ゲットー」と呼ばれる無
許可労働者キャンプに住みつく。ゲットーはマフィアの支配下にあるが、政府や慈善団体が提供す
る収容センターより人気が高い。カポラーレが斡旋する仕事にありつけるからだ。ゲットーは一般
社会からは隔離されているが、グローバル経済とはつながっている。ゲットーで暮らすことは、雑
居生活をし、不便に耐え、食うや食わずで汚い水を飲み、ぎりぎりの生活を余儀なくされるという
ことだ。マフィアの不当な要求にも耐えなくてはならない。日常的に暴力沙汰かおり、移民の殺人
事件も頻繁に起きている。それでも暮らしていくには家賃を払わなくてはならない。

 その一方で、ゲットーで暮らすことは、同じ境遇の、同じ社会階級の者といっしょに暮らことで
もある。同国人で同じ言語を話し、ゲットーの利点も欠点も知り尽くした人々と、肩を寄せあって
生活できる。疲れるし、苦労は多いけれど、安心はできる。そして何よりも仕事ができる.。働け
るうちは、将来に希望を持つことができる。イタリアのこうしたゲットーは、貧困と搾取の上に形
成された、社会に対する反抗集団なのだ。

  Jul. 11, 2018

国際人権NGO《アムネスティ・インターナショナル》の2012年の報告書によると、イタリア
の農業は移民労働者を搾取することで成り立っているという[1]。ある公式な統計によると、20
12年、ィタリアの農業従事者81万3000人のうち、EU圏外からの正規移民は15万300
0人で、EU圏内からは14万8000人だった[2]。この数字には不法就労者は含まれていな
いが、その数はかなりのものと考えられる。2015年、欧州基本権機関はこの問題に関する報告
書で、「労働者が犠牲になる深刻な搾取」と述べている[3]。南ィタリアのブッリャ州にあるフオッ
ジャは、加工用トマト栽培の中心地として知られる。

「多くの移民が、夏にはトマトの収穫のためにブッリャ州にやってきて、冬にはまた出ていきます,
みんなたいていは北ィタリアのほうへ行きます」

フィジャのイタリア労働総同盟=食品農某紙§(FLAI‐CGIL)のメンバー、ラッファエー
レ・ファルコーネはそう言った。

「フィッジャでは、およそ3万人のアフリカ人移民がトマトの収穫をしています。でも公式な統計で
はわずか2000人です。登録簿に記載されている名前しか記録されないからです」



第3節 イタリア、プッリャ州フオッジャ。ポルゴ・メッザノーネのゲットー
2016年7月30日、朝の四時。セネガル人のアルファは、同国人の男といっしょに寝泊まりし
ている古いキャンピングカーから外に出た。水が入ったドラム缶のところへ行き、洗面器に汲んで
顔を洗う。

「この水はぼくが昨日汲みにいったんです」と、ほかの人たちを起こさないよう小声で言う。
 一ゲットーで水を手に入れるのは本当に大変なんです。こんなこと、アフリカでも経験したこと
ないですよ。まさかと思うでしょう? でも、ニジェールやリビアを歩いて旅しても水に困ること
はないんです。ほとんどの村には井戸があって、赤十字が自動ポンプを設置してくれてますから。
でもプッリャのゲットーで水を手に入れるのは難しい。一番近い給水所に行くのに、ここから歩い
てI0分もかかるんです」
ゲットーに関する公式データは存在しない。合法であろうが、違法であろうが、存在しないことに
なっているからだ。ゲットーの規模はさまざまで、数十人しかいないところから、何千人も暮らす
ところまである。労働組合員たちの話によると、ブッリャ州だけで十数ヵ所あるという。たとえブ
ルドーザーで解体されたり、火事で焼きはらわれたりしても、またすぐに別のところに作られる。

このボルゴ・メッザノーネは、もっとも泥道が少なく、舗装された路面が多いゲットーだ。
旧軍用飛行場の跡地に築かれたからだ。冷戦時代、アドリア海対岸のユーゴスラビアやアルバニア
まで、飛行中隊はここから数分で飛んでいくことができた。敷地のまわりは今も有刺鉄線で囲まれ
ているが、そこにはもう飛行機の姿はない。ボロボロの車、キャンピングカー、コンテナなどが、
滑走路の上にひしめき白っている。たくさんのコンテナは、もはや荷物を積んで世界中に輸送され
ることはない。イタリアに流れついたアフリカ人移民労働者のすみかになっている。コンテナー台
につきマットレスが10枚ほど敷かれ、男たちは畑仕事に出かける前にそこに横たわって休息する。
 アルファはコンロに火をつけ、靴ひもを結び、自転車の準備をする。それから朝食をとり、歯を
き、きちんと帽子をかぶる。目覚めてから一五分足らずでそのすべてをすませてしまう。

「トマト畑まで自転車で一時間です。夜明けまでには着くでしょう」と、やはり小声で言う。

近くのコンテナでまだ眠っている沖間たちがいるからだ。

「ぼくは自転車のほうがいいんです。一時間早起きしなくちやいけないけど、交通費の5ユー
ロを節約できますから」

5ユーロを節約できるとはどういう意味だろうか?
イタリアのゲットーは、違法労働を斡旋するカポラーレの支配下に置かれている。カポラーレは、
移民労働者がゲットーと畑を往復するためのライトバンも手配する。だがそれに乗るには、「交通
費」として一日五ユーロを支払わなくてはならない。夕方、収穫されたトマトの重さを測って一日
の報酬が支払われるときに、五ユーロが差し引かれるのだ。
フォッジャでは、アフリカ人移民のほか、ルーマニアやブルガリアなど東欧諸国からの移民もトマ
トの収穫をする。

「そのほとんどが、きちんとした手続きを踏んでいない不法就労者、あるいは半・不法就労者です。
半・不法就労者というのは、就労の申告をしたのは数時間分だけなのに、シーズン忠ずっと働いて
いる労働者のことです」と、FLAI‐CGILのラッファエーレーファルコーネは言う。
イタリアでトマトの収穫をする移民の賃金は、1ケース300キロにつき平均3・5ユーロから4
ユーロくらいだという。つまり、1キロ当たり・16セントから1・33セントだ。

中国の新疆ウイグル自治区では1キロ当たり1セントだったので、ほぼ同額と言えるだろう。
自転車に乗るアルフア・Cのうしろ姿が小さくなり、とうとう見えなくなった。みんなに置いてい
かれないよう、集合場所のゲットー入ロヘ急いで向かったのだ。行きに一時間、帰りに一時間、一
日2時間自転車に乗ることを選んだ者たちが、並んで走って畑へ向かう。カポラーレに賃重な賃金
をむしり取られないために。

ライトバンに乗ってあちこち行き来したり、ショートメッセージをやりとりしたり、誰でも自由に
ゲットーに出入りできたりと、プッリャ州ではカポララートの活動を容易に感じることができる。
イタリア国家憲兵カラビニエリから逃げも隠れもせず、いつも白昼堂々としているからだ。労働組
合員やジャーナリストでさえ、あまり目立たないようにしていれば、ライトバンに乗ったカポラー
レがゲットーを出入りするのを間近で確認できる。

「取り締まりが不十分なうえ、憲兵が腐敗してるせいでしょう」

わたしが取材をした10人ほどのFLAI‐CGIL組海員は、みな異口同音にそう言った。

「畑で取り締まりがあるときは、事前にその旨がトマト生産者に通達されます。取り締まりといっ
ても形だけなんですよ。大金がやりとりされたこともありました。罪に問われないのが当たり前に
なってるんです」と、ファルコーネが言った。
イタリアでは、加工用トマトの85パーセントは機械で収穫されているが、残り15パーセントは
いまだ手摘みされている。北イタリアは全面的に機械化されているので、手作業で収穫されるのは
もっぱら南イタリアだ。カリフォルニア州のトマト畑は広大なので、機械化することで人件費を減
らすことができ、収穫コストを下げることに成功している。一方、南イタリアでは、たくさんの生
産者が少しずつ土地を所有し、生産者団体を組織して缶詰メーカーと契約を交わしている。小さな
畑が無数に集まっているため、機械化しても生産性の向上にはつながらない。南イタリアのように
区画が小さい畑では、巨大な機械を使って広大な畑で生産をするカリフォルニア式の「大規模農業
」は向いていないのだ。

ナンドーペレッティ基金の支援で実施された研究によると、南イタリアの平均的な広さの畑で機械
を使って収穫をする燭台のコストは、カポラーレが手配した移民労働者が収穫するときのコストと
ほぼ同額になるという[4]。機械と労働者は互いに競合しているのだ。仮にカポラーレが暴力や
脅迫という手段に訴えて移民に賃金を支払わなければ(これは実際に頻繁に行なわれており、それ
が原因でゲットーで暴力沙汰になることも多い)、ただ同然で働かされる21紀の奴隷たちは、最
先端技術を駆使した機械よりさらに高い競争力を誇るだろう。

ゲットーでは夏になると、雨乞いをする移民の姿をよく見かける。キリスト教徒だろうがイスラム
教徒だろうが関係ない。雨が降ると畑はぐちやぐちやにぬかるんで、重い収穫機械が泥にはまって
動けなくなる。生産者はリスクを冒したくないので、そういうときはカポラーレに頼んで労働者を
雇う。雨の日は報酬が値上がりし、1ケース当たり4ユーロ以上支払われることもある。つまり、
移民にとっての雨は、賃金を上げてくれる恵みの雨なのだ。だが、雨が降ろうが降るまいが、手作
業による収穫は機械よりずっと質が高い。手摘みをする労働者は、機械とちがって赤く熟したトマ
トしか収穫しない。そっと注意深く摘みとるので、機械のように実を傷つけることもない。そのた
め、最高級品質のホールトマト缶や、最上級ブランドの商品には、手摘みされたトマトが使用され
るのだ。

  Oct. 24 , 2017

第3節 プッリャ州りニャーノ。グラン・ゲットー
グラン・ゲットーは、その名のとおり、ブッリャ州殼大の労働者キャンプだ。海原のように広がる
トタン屋根とビニール製防水シートを、森のように立ち並ぶ木製の板や梓が支えている。夏になる
と5000人ほどの移民がここに寝泊まりする。全員アフリカ人だ。とくに、セネガル人、ブルキ
ナファソ人、マリ人、トーゴ人、ナイジェリア人の姿が目立つ。ボルゴ・メッザノーネのゲットー
と同じように、英語かフランス語か、話す言語によって居住エリアが分かれている。
2016年8月1日、わたしはフオッジャのFLAI‐CGIL(労働総同盟=食品農業組合)組
合員、マグダレーナーヤルチャックといっしょにグランーゲットーを訪れた。ヤルチャックは19
80年にポーランドで生まれた女性だが、2000年代初め、農業労働者としてイタリアに移住し
た。

「あれは15年前のことです。同国人の男に連れられて、ほかの人たちといっしょにここにやって
きました。フオッジャのオルタ・ノーヴァ、カラベッレ、ストルナーラ、ストルナレッラといった
村で農作業をするためです。その男はカポラーレだったのですが、そのときはそんなことは知りま
せんでした。男はたくさんの男女をポーランドから迪れてきて働かせていました。わたしは打ち捨
てられた古い家で暮らしはじめました。いわゆるカソラーレですが、飲用水もありませんでした」

カソラーレとは、プッリャ州特有のレンガや石造りの簡素な小屋だ。ファシスト政権下の農地改革
の一環で農家として建てられたが、今はほとんどが廃墟になっている。

「わたしが暮らしたのは、オルターノーヴァの田台でした。畑で三ヵ月間働き、トマト、ブドウ、
アーティチョークなどを収穫しましたが、報酬はもらえませんでした。カポラーレに躾どりされた
のです。わたしやほかの子たちの書類を取りあげて、三ヵ月の就労期間が終わったら支払いをする
と約束したのに、すべて嘘でした。お金をもらったことは一度もありません。結局、わたしはほか
の子だちといっしょに逃げだしました。女の子たちが売春させられていることに気づいたからです。
男は働かされ、女は売られていたのです。今ゲットーで暮らしている人たちも同じです。ルーマニ
ア人、ブルガリア人、アフリカ人など国籍は変わりましたが、状況はむかしとまったく変わってい
ません」

2000年代初め、ポーランド人のカポラーレが起こした暴力事件が、イタリアとポーランドの外
交問題にまで発展した。その後、多くのボーランド人労働者が行方不明になっていることも発覚し、
何人かは遺体で発見されている。マグダレーナ・ヤルチャックはFLAI‐CGILに助けられ、
感謝の気持ちから組合の活動を手伝うようになった。イタリア語が堪能なこともあって、今はフオ
ッジャの農業労働組合を支える重要なメンバーのひとりになっている。
リニャーノのグランーゲットーで生活を始めるには、まず、25ユーロで入居権を購入する必要か
おる。さらに、月に20ーロから30ユーロの家賃を支払わなければならない。季節によって異な
るが、グラン・ゲットーの人居者はだいたい4000人から5000人だ。カポーレの家賃収入は
月に数万ユーロになる。ゲットーでは何をするにもお金がかかる。たとえば、携帯電話の充電は□
‥)ユーロセントから20ユーロセントだ。カボラーレはゲットーで一財とサービス」を提供して
商売をしている。

プッリャ州のほかのゲットーと同じように、アフリカ入労働者の仕事に選択の自由はまったくない。
男は畑仕事、女は売春だ。季節によって男の賃金が変わるのに合わせて、女の報酬も変動する。需
要と供給の法則が適用されているのだ。売春の仕事もカポラーレに依存することで成り立っている。
男がライトバンでの送迎に一日5ユーロ支払うのと同じように、女は売春の部屋代として一日10
ユーロ支払わなくてはならない。客がない日でも部屋代は必要だった。

「東ヨーロッパからやってきてゲットーに住んでいる女性は、プッリャ州の畑で仕事をします。で
もアフリカ入女性は基本的に畑では働きません」と、組海員のファルコーネは言う。
「ゲットーで生活をするために、アフリカ人女性にはふたつの選択肢しかおりません。ひとつは男
の情婦になること。でもこれは稀なケースです。もうひとつは売春で、こちらのほうがずっと多い
です。乗ヨーロッパの女性の場合はまた状況が異なりますが、だからといってアフリカ入女性より
条件がよいわけではありません。畑で仕事をしたり、パトロンができたりしても、売春を強要され
ることはあるからです」

 Dec. 10, 2016

冬になると、ブッリャ州のゲットーでは、暖をとるための道具があちこちに備えつけられる。火を
燃やしただけの簡単なもので、安全装置などついていない。そのせいで、ゲットーが大火事に見舞
われることがしばしばある。施設が木材やビニールなど燃えやすい素材で作られいるので、ほんの
数十分で全体に燃え広がってしまうのだ。2016六年、リニャーノのグラン・ゲットーで、大火
傷やケガなどの負傷者や死者を出した火事が発生している。2016年12月には、フォッジャ近
郊のブルガリアーゲットーに発生した火災で、20歳の青年が炎に包まれて死亡した[5]。201
2017年3月2日木曜夜には、またしてもグラン・ゲットーで火の手が上がり、敷地はほぼ全焼
し、アフリカ人移民ふたりが命を落とした[6」。

                    ジャン=バティスト・マレ著 『トマト缶の黒い真実』 
                                 
                                     この項つづく

   ● 今夜の一曲

『The long and winding road』
Singer:Olivia Newton-John ↑/Paul McCartney↓

The long and winding road
That leads to your door
Will never disappear
I've seen that road before
It always leads me her
Lead me to you door  ......

 

 


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