● 白色発光ダイオード工学 蛍光体シート工法で廉価で高輝度を実現
東レ株式会社が、投入電力を上げることなく、白色LEDデバイスの輝度を10%以上向上させ
ることが可能な白色LED 用蛍光体シートを開発。既に本材料を適用した白色LED デバイスが、
従来製品と同等以上の長期信頼性を確認し本格的に販売を開始するという。白色LEDは、青
色LEDと黄色蛍光体あるいは赤・緑色蛍光体を組み合わせて白色発光させる方法が主流で、
LEDパッケージの製造工法としては、蛍光体分散液を用いたディスペンス方式やスプレーコ
ーティング方式が主に採用されている。
白色LEDデバイスの高輝度化は従来からの課題だが、従来工法では(1)蛍光体の沈降・凝
集により白色光の品質にバラツキが生じる。(2)白色LEDに使用する蛍光体が高価で、一
般的にレアアースが使用され、蛍光体の削減が課題だった。これに対し東レは、(1)独自
の蛍光体分散技術のシート状(厚み40μm~)の白色LED用蛍光体シートの開発。(2)こ
の材料をシリコーン樹脂で屈折率を制御することで、LEDデバイスの輝度を10%以上向上さ
せることに成功。(3)蛍光体の高濃度充填による薄膜形成が可能で、従来工法に比べ放熱
性に優れ、投入電力を上げ輝度向上を図れ、(4)蛍光体を均一分散し、膜厚精度に優れ、
白色光の色バラツキを最小化したと同社は説明している。
高品位で廉価な発光ダイオードの進歩が加速する。目が離せない!
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食品と食品添加物の境界
もっとも懸念されるのは、食品添加物についてである。厚労省によれば食品添加物と
は、「保存料、甘味料、着色料、香料など、食品の製造過程または食品の加工・保存の
目的で使用されるもの」としているが、具体的には、日本政府が安全と認定したものに
限られる。
ただし、食品同様に食品添加物も、食文化と強い関係があるので、国ごとにいろいろ
な腫煩がある。そのあたりの事情を反映して、国際的な定義はやや複雑だ。
国際良品規格等を定めているコーデックス(CODEX)委員会は、「食品添加物と
はそれ自体が栄養的価値をもつかどうかに関わりなく、通常は食品そのものとして、あ
るいは食品の典型的な成分をなすものとしては使用されない物質であり、食品の製造過
程、加エ、保存、調製、梱包、包装、輸送における意図的な目的による技術的操作(感
覚的刺激を含む)により食品に付加され、あるいはこうした一連の操作の結果、(直接
的・間接的に)食品に対して合理的な結果を生むものとして期待される物質を指す。た
だしこれには「汚染物質』あるいは食品の栄養的品質自体を保持あるいは追加する物質
は含まれない」としている,
これに比べたら、日本の定義は何と単純なことか。国際規格では食品の栄養的品質を
変えないことを明確にしているが、日本はこの点については触れていない。日本の食品
添加物は保存とか甘味とかうまみなどの付加、まさしく「添加」するという目的が強調
されすぎて、食品本来の品質を変えないという本質的なことが軽視されている。
では、中国はどうだろう。中国の食品安全法によると、食品添加物とは、「食品の品
質、色、香りと味を改善し、腐敗を防ぐための保鮮を施し、食品に加える人工的合成物
質あるいは天然の物質」と定義している,こちらの方は、食品自体のあり方を積極的に
変えるという点がより明確にされている。ここに国際規格とは異なる中国の意図をみる
ことができる。食品添加物にさまざまな物質を使用する可能性が高いということだ。現
に中国の食品添加物の種類の多さがそれを物語っている。
このように、食品添加物の定義は国によって賢なる。つまり日本では食品添加物であ
っても中国では食品添加物ではない、あるいはその逆が起きる。たとえば中国で認可さ
れているが、日本では食品添加物として認められていないものにホルムアルデヒド(中
国でも使用禁止になったが、パスタ、米、麺、春雨、油揚げ、メンマ、小麦粉、タケノ
コ、シロキクラゲ、魚介類などの食品のホワイトニング、濃縮、保存などに使用される
例が絶えない)がある。ホルムアルデヒドを使った食品が日本に輸入された場合、日本
にはないことになっている食品添加物が実際にはあることになるのだ。これは一例だが、
定義が異なる以上、中国では食品添加物に当たらず、日本では食品添加物と考えられて
いるものが多数存在する可能性がある。その反対に、中国政府は原則として禁止してい
るが日本では認可している亜硝酸ナトリウム(肉加工品の塩せきなどに使われている)
のような食品添加物もあるのだ。
コーデックス委員会の最新のリスト(コーデックス・マニュアルに記載)によると、
世界には465腫類の食品添加物があり、さらに用途別にグループ分けした添加物を小
分類すると996種類となる。
内訳は酸味調整剤95、固化防止剤35、消泡剤7、抗酸化剤41、漂白剤5、増量剤25、
炭酸化剤1、添加物媒介剤24 色素47、色素保持剤16、乳化剤118、乳化塩1、凝固
剤18、風味増強剛31、小麦粉処理剛34、発泡剛15、ゲル化剤15、光沢剤34、表面処理剤
49、ガス閉じこめ剤3、防腐剤,`、推進剤4、上昇剤24、イオン封鎖剤57、安定化剤
130、け味料25、増粘剤95である。その他、香料は2098種類もある。これはコー
デックス委員会が認可しているものに限られるので、このうち世界中で実際に使われて
いる食品添加物がどれだけあるかは不明である。
食品に限らず、動物や魚介類の飼料向けの添加物もある。飼料添加物は、国別に基準
があることが一般的だが、その実態は閤の中だ。
これらの食品添加物や飼料添加物の入っていない食品はこの附では皆無といってよく、
食品を構成する準成分的な存在になってしまっている。つまり、現在の食品添加物や飼
料添加物は、食品そのものあるいは食品と一体化した存配になっているといっていいだ
ろう,現代人の我われが食べている食品はもはや純粋な食品ではないことになる。食品
添加物は食品の保存や長距離輸送を可能にするなど、利点も多いことは間違いない。し
かし、農産物や魚介類そして肉類などの生鮮産品が本来もつ呈味成分、風味や色を変え
てしまう無駄で危険なものも多いと指摘されている。
その無駄で危険な食品添加物が海を越えて、我われも気づかないうちに体内に吸収さ
れている。食品添加物を使わない食品が輸入されても、それが保管され調理される過程
で数えきれないほどの種類と量の食品添加物が文字通り添加される。日本では875種
類頻頻(2014年現在。天然香料を除く)の食品添加物が認可されているため、それ
以外は違法となるのが原則だが、中国で認可されている食品添加物は1802種類以上
だ。この種類の多さと輸入額からしても、日本では認可されていない食品添加物が入っ
てくる可能性が高いことはおわかりだろう,
中国の食品添加物の種類 ÷ 日本の食品添加物の種類 > 2.06
高橋五郎 箸『日中食品汚染』
抜き取り検査法でも良いが、添加物の履歴が瞬時にわかる検査法やその装置システムの開発が待
たれる。これについては残件扱いとする。それにしても、「科学技術進歩で加速した欲望」をどのよう
に制御するのか? 頭の痛い問題が次々と顕在化しているようだ。
(この項つづく)