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今そこにある危機 気候変動②

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7.述 而 じゅつじ
ことば--------------------------------------------------------
「道に志し、徳に拠り、仁に依り、芸に遊ぶ」(6)
「一隅を挙げて三隅をもって反らざれば、復せざるなり」(8)
「不義にして富みかつ貴きは、われにおいて浮雲のごとし」(15)
「子、怪、力、乱、神を語らず」(20)
「三人行えば、必ずわが師あり」(21)
---------------------------------------------------------------  
10 孔子が顔淵(がんえん)に向かってこう言った。
「いったん登用されれば全力を発揮するが、認められぬときはジッと
静観している。こういう境地に安住できるのは、わたしとおまえぐら
いのものだろうな」  
これをきいて子路はだまっていなかった。
「それならもし先生が大国の総司令らになられた場合は、どんな人物
をたよりにしますか」
[素手で虎に立ち向かったり、歩いて黄河を渡るたぐいの命知らずは
ごめんだね。むしろ、臆病なほど注意深く、成功率の高い周到綿密な
計画を立てる人閤のほうがたよりになるよ」      

《静謐している》原文「これを用うれば行い、これを舎つれば蔵るよ」
から「用舎行蔵」(ようしゃこうぞう)は行動決定の準則を示す語と
して使われる。      
《大国の総司令官》原文は行三軍(三軍を行なう)。周の制度では、
一軍は一万二千五百人であり、天子は六軍、大国は三軍、小国は一軍
を動かす、と定められていた。



●樹木トレッキング:ヒノキ(檜)

ヒノキ(Chamaecyparis obtusa)は、ヒノキ科ヒノキ属の針葉樹。人
工林として多く植栽。ヒノキは日本と台湾にのみ分布。日本では本州
中部(福島県)以南から九州まで分布。台湾本島には変種タイワンヒ
ノキ(Chamaecyparis obtusa var. formosana)が分布。また中国で
は、「檜(桧)」という漢字はビャクシン属を指す。日本では木曽に
樹齢450年のもの最高であるが、台湾では樹齢2,000年のものが生息。
乾燥した場所を好み、植林する場合にはスギを谷側に、ヒノキを尾根
側に植える。典型的な陰樹の特性を持ち、幼樹は日当たりを嫌う。建
材を目的として植林されるが、樹皮も檜皮葺の材料に使われる。ヒノ
キは、日本では建材として最高品質のものとされる。



特長として、加工が容易な上に緻密で狂いがなく、日本人好みの強い
芳香を長期にわたって発す。正しく使われたヒノキの建築には1,000年
を超える寿命を保つ。木目が通り、斧や楔で打ち割ることによって製
材できるヒノキは古くから建築材料として用いられてきた。『古事記』
のスサノオ神話の中で、ヒノキを建材として使うことが示唆]。 特に
寺院、神社の建築には必須で、古くから重宝され、大阪府の池上・曽
根遺跡で発掘された弥生時代の神殿跡に見ることができる。飛鳥時代
のヒノキ造りの建築はすぐれたものが多く、飛鳥時代に建立された法
隆寺は世界最古の木造建築物、奈良県内に存在する歴史的建築物はい
ずれもヒノキを建材として現存するといって過言ではない。樹木から
採取される精油成分に「ヒノキチオール」がある。20世紀後半、日本
産のヒノキには「ヒノキチオール」は含まれていないという認識が広
がったが、これはタイワンヒノキから分離されたのが最初、国産のヒ
ノキの含有量が少ないことによる。木曽産のヒノキからも発見されて
いるが、日本ではヒバから得る。



 

●今そこにある危機:気候変動② 

5年前海洋生態系に甚大な影響を及ぼした「海洋熱波」再び発生

アラスカ州からカリフォルニア州南部までの米国西海岸沖で2014年か
ら2016年半ばにかけて発生した海洋熱波「ブロブ」は、海洋生態系に
甚大な影響を及ぼした。藻類がかつてない規模で異常発生し、数多く
のカリフォルニアアシカがビーチで座礁。そして2019年夏、同じく米
国西海岸沖で「ブロブ」と同様の新たな海洋熱波が発生し、アメリカ
海洋大気庁(NOAA)では、これを「NEP19(北東太平洋海洋熱波2019)」
と名付けて、注意深く観測している。



海面水温 平均よりも2.8℃以上高い

「NEP19」は「ブロブ」の初期段階と似ている。「ブロブ」では2014年
から2015年にかけてのピーク時に、海面水温が平均よりも3.9℃上昇。
「NEP19」は、海面を冷やす風が弱まったことにより、2019年6月頃か
らアラスカ州からカリフォルニア州までの広範囲を覆うようになり、
その規模は、過去40年で「ブロブ」に次いで2番目に大きい。海面水
温は、平均よりも2.8℃以上高くなっている。これまでは、海水が
深層から表層に涌き上がる「湧昇」によって、深海からの冷たい水が
「NEP19」の沿岸への到来を防いできたが、すでにワシントン州には
「NEP19」が上陸したとみられ、「沿岸湧昇」が衰退する秋には、他の
地域でも沿岸生態系に影響が及ぶおそれがあると懸念されている。 

Sep. 13, 2019

漁業資源にもたらす影響の懸念

カリフォルニア州の海洋大気庁南西水産科学研究所(SWFSC)では、衛
星データを使って太平洋の熱波を追跡・測定するシステムを開発し、「
NEP19」が海洋生態系や漁業資源にもたらす影響について、漁業関係者
らに情報を提供している。海洋大気庁海洋漁業局「『ブロブ』やこれ
に類似する海洋熱波の事象をみると、かつて想定外であったことが普
通のことになりつつあるとし、このような熱波がどのように進化し、
どのようなことが予想されうるのか、一般の人々に向けて広く情報を
提供していきたいと述べる。また、豪ウエスタンオーストラリア大学
らの研究チームが3月に発表した研究論文で、この百年で地球の海水
温が著しく上昇し、とりわけ太平洋、大西洋、インド洋で海洋熱波の
発生頻度が高まり、海洋生態系を脅かしている。海洋大気庁南西水産
科学研究所は英紙ガーディアンの取材に対し、この3ヶ月、海水温が
やや高い状態が続いている。このような気象パターンと長期の気候変
動との間に関連があるのかどうか明らかではないが、その可能性はあ
る。まだ新しい分野でもあり、解明されていないことがまだ数多く残
されていると見解を示す。

 

【ポストエネルギー革命序論52】  

【蓄電池事業:水素/空気2次電池Ⅱ】
国産「水素/空気2次電池」、 22年度の実用化へ

特開2019-46559 固体電解質の製造方法、全固体電池用電極材料の製
造方法、および全固体電池の製造方法 FDK株式会社

【概要】

選択図1のごとく、0<x≦1として、一般式Li1+xAlxGe2-x
(PO4)3(LAGP)で表される固体電解質の製造方法であって、
GeO2と複数の水溶性化合物とを原料とし、GeO2を水に混合する
ステップ(s2)にて得た混合液にアンモニアを加えて液中のGeO2
を溶解させて第1の溶液を得るとともに、第1の溶液のアンモニア濃
度を全ての水溶性化合物が溶解する濃度に調整するアンモニア濃度調
整ステップ(s3)と、第1の溶液に複数の水溶性化合物を混合して
第2の溶液を得るステップ(s4)と、第2の溶液を熱処理して非晶
質の固体電解質を得るガラス化ステップ(s7)と、非晶質の固体電
解質を焼成してLAGPを結晶化させる焼成ステップ(s8)とを含
む固体電解質の製造方法で、電極活物質に被膜を形成するのに適した
LAGPからなる固体電解質を簡素な手順でより安価に製造する。

【符号の説明】    
s2  第1混合工程、s3  アンモニア濃度調整工程、s4  第2混
合工程、s7  コーティング焼成工程、s8  焼成工程

さて、リチウム二次電池は、各種二次電池の中でもエネルギー密度が
高いことで知られている。しかし一般に普及しているリチウム二次電
池は、電解質に可燃性の有機電解液を用いているため、リチウム二次
電池では、液漏れ、短絡、過充電などに対する安全対策が他の電池よ
りも厳しく求められている。

そこで近年、電解質に酸化物系や硫化物系の固体電解質を用いた全固
体電池に関する研究開発が盛んに行われている。固体電解質は、固体
中でイオン伝導が可能なイオン伝導体を主体として構成される材料で
あり、従来のリチウム二次電池のように可燃性の有機電解液に起因す
る各種問題が原理的に発生しない。そして全固体電池は層状の正極(
正極層)と層状の負極(負極層)との間に層状の固体電解質(電解質
層)が狭持されてなる一体的な焼結体(以下、積層電極体とも言う)
に集電体を形成した構造を有している。 

積層電極体の製造方法としては金型を用いて原料粉体を加圧して得た
成形体を焼成する方法(以下、圧縮成形法とも言う)や周知のグリー
ンシートを用いた方法(以下、グリーンシート法)などがある。圧縮
成形法では、金型内に正極層、固体電解質層、および負極層の各層の
原料粉体を順次層状に充填して一軸方向に加圧することによって得た
成形体を焼成して積層電極体を得る。グリーンシート法は、正極活物
質と固体電解質を含むスラリー状の正極層材料、負極活物質と固体電
解質を含むスラリー状の負極層材料、および固体電解質を含むスラリ
ー状の固体電解質層材料をそれぞれシート状(グリーンシート)に成
形するとともに、固体電解質層材料のグリーンシートを正極層材料と
負極層材料のグリーンシートで挟持した積層体を焼成して焼結体にす
ることで作製される。なお正極層および負極層(以下、電極層とも言
う)に含まれている固体電解質は、粉体状の正極活物質および負極活
物質の粒子間に介在して電極層にイオン伝導性を発現させる機能を担
っている。 

正極活物質や負極活物質(以下、総称して電極活物質とも言う)とし
ては従来のリチウム二次電池に使用されていた材料を使用することが
できる。また全固体電池では可燃性の電解液を用いないことから、よ
り高い電位差が得られる電極活物質についても研究されている。固体
電解質としては、一般式LiaXbYcPdOeで表されるNASIC
ON型酸化物系の固体電解質があり、当該NASICON型酸化物系
の固体電解質としては、Li1+xAlxGe2-x(PO4)3(但し、
0<x≦1、以下、LAGPとも言う)がよく知られている。なお、
以下の特許文献1にはx=0.5のLAGPについて記載されている、
そしてLAGPは、複数の化合物を含む粉体状の原料を高温で焼成す
る固相法によって製造するのが一般的である。

なお、LAGPの製造方法としては、他に、金属アルコキシドを原料
とした周知のゾルゲル法があり、以下の非特許文献1にはゾルゲル法
によるLAGPの作製方法について記載されている。また、以下の特
許文献2には、電極活物質の表面にイオン導電性を有する被膜を形成
する方法について記載されている。

ところで、全固体電池の基本構成である積層電極体は、固体電解質層
を正極層と負極層で挟持した構造の焼結体からなる。上述したように、
固体電解質は、固体電解質層だけではなく電極層にも含まれている。
そして、電極層のイオン導電性を高めるためには電極活物質の粒子間
に固体電解質の粒子を介在させるのではなく、電極活物質の粒子表面
に固体電解質の被膜を形成することがより好ましい。そしてLAGP
は、焼成によって結晶化することでイオン伝導度を発現することから、
電極活物質の粒子表面にLAGPの被膜を形成するためには、焼成前
の電極層中の粉体材料(以下、電極材料とも言う)にLAGPを非晶
質の状態で含ませる必要がある。

一方、ゾルゲル法では、①原料となる金属アルコキシドを含んだゾル
と電極活物質を混合した上でゾルをゲル化し、②さらに熱処理によっ
て生成させた非晶質のLAGPを焼成するという手順でLAGPの結
晶を得る。③そして、ゾルゲル法を用いて電極活物質の粒子表面にL
AGPの被膜を形成する場合、非晶質のLAGPが生成される以前に
LAGPの原料と電極活物質を混合することができるため、金属活物
質の粒子表面に非晶質のLAGPの被膜を効果的に形成できる。 

ところが、ゾルゲル法を用いてLAGPを作製する場合、①原料に高
価な金属アルコキシドを用いるため原料コストが増大。②また、金属
アルコキシドが水と反応することから、その反応を抑制するために乾
燥雰囲気内で被膜層となる化合物を作製する必要がある。したがって、
ゾルゲル法によってLAGPを製造したり、LAGPの被膜を電極活
物質の粒子表面に形成したりするためには、その製造設備に掛かるコ
ストも増大する。

そこで、全固体電池の電極層に含まれる電極活物質に被膜を形成する
のに適したLAGPの固体電解質、電極活物質の粒子表面にLAGP
からなる固体電解質の被膜が形成された全固体電池用電極材料、およ
び全固体電池を簡素な手順でより安価に製造するための方法を提供を
目的とする。

【特許請求の範囲】

【請求項1】   0<x≦1として、一般式Li1+xAlxGe2-x
(PO4)3で表される固体電解質の製造方法であって、 GeO2と
複数の水溶性化合物とを原料とし、 前記GeO2を水に混合する第1
混合ステップと、前記第1混合ステップにて得た混合液にアンモニア
を加えて液中の前記GeO2を溶解させて第1の溶液を得るとともに、
当該第1の溶液のアンモニア濃度を調整するアンモニア濃度調整ステ
ップと、前記第1の溶液に前記複数の水溶性化合物を混合して第2の
溶液を得る第2混合ステップと、前記第2の溶液を熱処理して非晶質
の固体電解質を得るガラス化ステップと、前記非晶質の固体電解質を
焼成してLAGPを結晶化させる焼成ステップと、を含み、前記アン
モニア濃度調整ステップでは、前記第1の溶液のアンモニア濃度が、
全ての前記水溶性化合物が溶解する濃度となるように調整することを
特徴とする固体電解質の製造方法。
【請求項2】   請求項1に記載の固体電解質の製造方法において、
前記複数の水溶性化合物は、CH3  COOLi・2H2O、Al(N
O3)3・9H2O、NH4H2PO4であり、前記アンモニア濃度調整
ステップでは、前記第1の溶液のアンモニア濃度を0.2M以上1.3
5M以下に調整する、ことを特徴とする固体電解質の製造方法。
【請求項3】  全固体電池用の電極活物質の粒子表面に、0<x≦1
として、一般式Li1+xAlxGe2-x(PO4)3で表される固体電
解質が被膜されてなる電極材料の製造方法であって、GeO2と複数
の水溶性化合物とを前記固体電解質の原料とし、前記GeO2を水に
混合する第1混合ステップと、前記第1混合ステップにて得た混合液
にアンモニアを加えて液中の前記GeO2を溶解させて第1の溶液を
得るとともに、当該第1の溶液のアンモニア濃度を調整するアンモニ
ア濃度調整ステップと、前記第1の溶液に前記複数の水溶性化合物を
混合して第2の溶液を得る第2混合ステップと、粉体状の前記電極活
物質を前記第2の溶液に混合する活物質混合ステップと、前記活物質
混合ステップにて得た混合液を前記固体電解質が結晶化する焼成温度
よりも低い温度で熱処理して非晶質の固体電解質を得るガラス化ステ
ップと、を含み、前記アンモニア濃度調整ステップでは、前記第1の
溶液のアンモニア濃度が、全ての前記水溶性化合物が溶解する濃度と
なるように調整する、ことを特徴とする全固体電池用電極材料の製造
方法。
【請求項4】  一体的な焼結体で、正極用の電極活物質と固体電解質
を含む正極層、固体電解質を含む固体電解質層、および負極用の電極
活物質と固体電解質を含む負極層がこの順に積層されてなる積層電極
体を備えた全固体電池の製造方法であって、  0<x≦1として、一
般式Li1+xAlxGe2-x(PO4)3を前記固体電解質として、非
晶質状態の前記固体電解質と前記正極用の電極活物質とを混合した正
極材料と、非晶質状態の前記固体電解質と前記負極用の電極活物質と
を混合した負極材料を作製する電極材料作製ステップと、層状の前記
正極材料と層状の前記負極材料との間に、前記固体電解質を含んだ層
状の固体電解質材料を挟持してなる積層体を焼成することで前記積層
電極体を作製する焼成ステップと、を含み、前記電極材料作製ステッ
プでは、GeO2と複数の水溶性化合物とを原料とした固体電解質を
溶液法により作製する固体電解質作製ステップと、前記固体電解質作
製ステップにより前記固体電解質を作製する過程で前記原料に粉体状
の電極活物質を混合する活物質混合ステップと、を実行し、前記固体
電解質作製ステップでは、前記GeO2を水に混合する第1混合ステ
ップと、前記第1混合ステップにて得た混合液にアンモニアを加えて
液中の前記GeO2を溶解させて第1の溶液を得るとともに 当該第1
の溶液のアンモニア濃度を調整するアンモニア濃度調整ステップと、   
前記第1の溶液に前記複数の水溶性化合物を混合して第2の溶液を得
る第2混合ステップと前記第2の溶液を前記固体電解質が結晶化する
焼成温度よりも低い温度で熱処理して非晶質の固体電解質を得るガラ
ス化ステップとを含み、前記アンモニア濃度調整ステップでは、前記
第1の溶液のアンモニア濃度が、全ての前記水溶性化合物が溶解する
濃度となるように調整し、前記活物質混合ステップを前記第2混合ス
テップと前記ガラス化ステップとの間に実行する、ことを特徴とする
全固体電池の製造方法。

【実施形態】

実用的な全固体電池を実現には、電極活物質の表面に被膜として形成
されるLAGPをより簡素な方法でより安価に作製する必要がある。
このような要求に対し、LAGPを溶液法あるいは液相法と呼ばれる
方法(以下、溶液法と総称することがある)を用いて作製することと
している。そして、当初の溶媒として水を用いながら、原料を溶媒に
混合する順番や、その混合過程にて溶媒を改質させている。それによ
り、全ての原料を溶媒に溶解させ、単相のLAGPを作製することが
できる。
下表1にLAGPの原料のアンモニア水に対する溶解性を示した。


表1に示したように、各原料を、アンモニア濃度が0Mの水と、アン
モニア濃度が0.255M~7.2Mのアンモニア水に溶解させてみ
た。そして水に溶解しなかったのはGeO2のみであり、他の化合物
は水に溶解した。また、GeO2と酢酸リチウムは、7.2Mの高濃
度のアンモニア水まで溶解し、硝酸アルミニウムは、1.35Mの濃
度のアンモニア水に溶解し、それよりも高い濃度のアンモニア水には
溶解しなかった。またリン酸二水素アンモニウムは、1.8Mよりも
濃度が高いアンモニア水には溶解しなかった。以上の溶媒に対する溶
解性の検討結果より、上記原料を用いて溶液法でLAGPを作製する
ためには、GeO2を水に混合した後、その水に高濃度のアンモニア
水を加えるなどして、アンモニア濃度が0.2M以上1.35M以下
に調整されたアンモニア水にGeO2以外の原料を混合して溶解させ
ることになる。そして、全ての原料を溶解させた溶液を熱処理するこ
とでLAGPを作製することになる。

下表2に各サンプルの作製条件を示した。

図4と図5に各サンプルの作製手順を示した。図4は、表2における
サンプル1~3の作製手順を示しており、図1に示した第1の実施例
に係るLAGPの製造手順に対し、アンモニア濃度調整工程(s3)
と第2混合工程(s4)との間に電極活物質を混合する電極活物質の
混合工程(s10)が挿入されている。そして、サンプル1、2、お
よび3では、焼成工程(s8)における焼成温度を、425℃、62
5℃、および800℃としている。なお、焼成工程(s8)における
焼成温度以外の条件については、第1の実施例と同様であり、窒素雰
囲気中で2時間掛けて焼成している。なお、第1混合工程、第2混合
工程、および活物質混合工程(s10)では、焼成工程(s9)によ
って得られる電極材料中のLAGPとTiO2との質量比が70wt
%と30wt%となるようにLAGPの原料およびTiO2を混合し
ている。また、アンモニア濃度調整工程(s3)では、溶媒のアンモ
ニア濃度を0.45Mに調整している。 図5は、表2におけるサン
プル4の作製手順を示しており、この手順が第2の実施例に係る電極
材料の製造方法に対応している。図5に示した手順では、第1の実施
例に係るLAGPの製造手順に対し、第2混合工程(s4)と溶媒除
去工程(s5)との間に活物質混合工程(s10)が挿入されている。
また、図5に示したサンプル4の作製手順においても、第1混合工程
、第2混合工程、および活物質混合工程(s10)では、焼成工程(
s9)によってLAGPとTiO2との質量比が70wt%と30wt
%となるようにLAGPの原料およびTiO2を混合し、アンモニア
濃度調整工程(s3)では、溶媒のアンモニア濃度を0.45Mに調
整。次に、以上の手順で作製したサンプル1~4の特性を評価するた
めに、その評価の基準となる特性を備えた粉体材料(以下、第2の参
考例とも言う)を作製。第2の参考例に係る粉体材料は、上記第1の
参考例として固相法により作製した粉体状のLAGPと、LAGPの
焼成温度と同じ条件で熱処理した後の粉体状のTiO2とを70wt
%:30wt%の比で混合した粉体材料である。図6に、サンプル1
~3と第2の参考例に係る粉体材料のXRD測定結果を示した。まず
、第2の参考例のXRD測定結果から、固相法により作製したLAG
Pと単体のTiO2のそれぞれのX線回折強度のピークの位置(2θ)
が特定され、そのLAGPとTiO2に対応するピークの位置(2θ)
を参考にしてサンプル1~4におけるピーク位置(2θ)を見ると、
焼成温度を425℃としたサンプル1ではTiO2のピークは確認で
きるものの、LAGPに対応するピークがなく、この焼成温度ではL
AGPが結晶化しないことが確認できた。また、異相であるGeO2
に対応するピークも確認された。焼成温度が625℃のサンプル2お
よび3では、TiO2のピークが確認できるとともに、図中αで示し
たX線回折角度(2θ)の位置にてLAGPのピークも確認でき、L
AGPが結晶化していることがわかった。なおサンプル2では、Ge
O2に対応するピークも確認できる。また、焼成温度が700℃より
も高い800℃であったサンプル3では、LAGPのピークに代わり
、LAGPとTiO2との反応によって生成したと思われるLi1.4(
Al0.4Ge0.2Ti1.4)(PO4)3に対応する結晶相が確認でき
た。






次に、サンプル2と焼成条件が同じであるものの、LAGPの製造過
程でTiO2を混合する時期が異なるサンプル4に対してXRD測定
を行った。下図7は、サンプル2、サンプル4、および第2の参考例
のXRD測定結果を示す図であり、図7(A)は、測定した全てのX
線回折角度範囲についてのXRD測定結果を示しており、図7(B)
は、図7(A)において符号δ1で示した角度範囲のXRD測定結果
を拡大した図であり、図7(C)は、図7(B)において矩形の枠で
示した領域δ2を拡大した図である。 

そして、図7(A)に示したように、サンプル4では、サンプル2に
おいて出現しているGeO2のピークが見当たらなかった。また、図
7(B)に示したように、サンプル2に対してサンプル4では、Ti
O2のピークがより急峻となっている。これは、サンプル2とサンプ
ル4とでは、活物質混合工程(s10)の実施時点での溶媒のpHが
異なっていたことに起因するものと考えられる。そこで、図1に示し
たLAGPの作製手順において、第2混合工程(s4)の前後で溶媒
のpH値を測定したところ、第2混合工程(s4)の前ではpH値が
11.3であったのに対し、第2混合工程(s4)の後ではpH値が
10.3になっていた。すなわち、図5に示した第2の実施例に係る
電極材料の製造方法では、pHが低い溶媒中に電極活物質を混合して
いる。そして第2の実施例に係る電極材料の製造方法によって作製し
たサンプル4では、電極活物質とアルカリ性溶液との反応に伴う特性
劣化が抑制されたことで、サンプル2よりもTiO2のピークが急峻
になったものと思われる。さらに、図7(C)に示したように、サン
プル4では、サンプル2における極めて小さなGeO2のピークも確
認できなかった。このように、第2の実施例に係る電極材料の製造方
法によれば、電極活物質の粒子表面に極めて純度の高いLAGPの被
膜を形成することができる。



全固体電池の製造方法

全固体電池は、上述した圧縮成形法やグリーンシート法によって、シ
ート状の正極材料、固体電解質、および負極材料をこの順に積層した
積層体を作製し、その積層体に対して焼成を行うことで作製される。
そしてLAGPを固体電解質として用いた全固体電池では、積層体を
焼成する工程によって非晶質のLAGPを結晶化させることになる。
すなわち、図1、図4、図5における焼成工程(s8)は、積層体を
焼成することを想定した工程であり、第1の実施例に固体電解質の製
造方法や第2の実施例に係る電極材料の製造方法を用いて全固体電池
を作製する場合には、コーティング焼成工程(s7)と焼成工程(s8)
の間にシート状の正極材料、固体電解質、および負極材料をこの順に
積層した積層体を作製する手順が挿入されることになる。また、図4、
図5では、コーティング焼成工程(s7)によって作製された粉体材
料が電極材料となる。

                          この項了

特開2019-153535 全固体電池 トヨタ自動車株式会社

【概要】

選択図1のごとく、正極集電体層、正極活物質層、固体電解質層、負
極活物質層、及び負極集電体層を、この順で積層してなる単位全固体
電池を1以上有する全固体電池積層体;並びに全固体電池積層体の側
面を被覆している樹脂層を有し、樹脂層が、全固体電池積層体の側面
に近い側から、第1の樹脂層、及び第2の樹脂層をこの順で有する複
層構造であり、かつ第1の樹脂層の弾性率が、第2の樹脂層の弾性率
よりも小さい、全固体電池。このことで、全固体電池積層体が樹脂層
で被覆されている全固体電池おいて、全固体電池積層体の体積変化に
よる樹脂層の亀裂を抑制できる全固体電池を提供する。



【符号の説明】

1a、1b、1c、1d    正極集電体層  2a、2b、2c、2d    
正極活物質層   3a、3b、3c、3d   固体電解質層  4、4a、
4b、4c、4d    負極活物質層   5a、5b、5c、5d   負
極集電体層   6a、6b、6c、6d    単位全固体電池   10、
20    全固体電池積層体   11    樹脂層   11a    第1の樹
脂層   11b    第2の樹脂層   100、200    全固体電池

近年、樹脂を用いて電池を封止する技術が種々開示されている。例え
ば、特許文献1では、全固体電池素子を熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹
脂から構成する外装体で被覆する技術が開示されている。また、特許
文献2では、ゲル電解質を挟んで積層している電極集電体の側面に樹
脂でコーティングする技術が開示されている。さらに、特許文献3で
は、全固体積層電池の側面のみに液状の樹脂を供給し、その後、樹脂
を硬化させる技術が開示されている。全固体電池積層体が樹脂層で被
覆されている全固体電池では、充放電の際に全固体電池積層体の体積
変化が生じると、全固体電池積層体を被覆している樹脂層に亀裂が生
じてしまう可能性がある。したがって、本開示は、上記事情を鑑みて
なされたものであり、全固体電池積層体の体積変化によって樹脂層に
亀裂が生じることを抑制できる全固体電池を提供することを目的とす
る。

【特許請求の範囲】

【請求項1】   正極集電体層、正極活物質層、固体電解質層、負極活
物質層、及び負極集電体層を、この順で積層してなる単位全固体電池
を1以上有する全固体電池積層体;並びに 前記全固体電池積層体の
側面を被覆している樹脂層 を有し、 前記樹脂層が、前記全固体電池
積層体の側面に近い側から、第1の樹脂層、及び第2の樹脂層をこの
順で有する複層構造であり、かつ  前記第1の樹脂層の弾性率が、前
記第2の樹脂層の弾性率よりも小さい、全固体電池。
【請求項2】  前記負極活物質層が、合金系負極活物質を含む、請求
項1に記載の全固体電池。
【請求項3】  前記合金系負極活物質が、Si合金系負極活物質を含
む、請求項2に記載の全固体電池。
【請求項4】  前記樹脂層の材料が、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂
である、請求項1~3のいずれか一項に記載の全固体電池。
【請求項5】  前記全固体電池積層体が、積層方向に拘束されている、
請求項1~4のいずれか一項に記載の全固体電池。
【請求項6】  前記拘束の拘束力が、1.0MPa以上である、請求
項5に記載の全固体電池。 【請求項7】   前記全固体電池が、全固
体リチウムイオン二次電池である、請求項1~6のいずれか一項に記
載の全固体電池。

                         この項つづく



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