7.述 而 じゅつじ
ことば------------------------------------------------------
「道に志し、徳に拠り、仁に依り、芸に遊ぶ」(6)
「一隅を挙げて三隅をもって反らざれば、復せざるなり」(8)
「不義にして富みかつ貴きは、われにおいて浮雲のごとし」(15)
「子、怪、力、乱、神を語らず」(20)
「三人行えば、必ずわが師あり」(21)
-------------------------------------------------------------
27 知識にたよらずに独創的な見解を打ち出す考もいるにはいる
が、これはわたしの方法とは違う。わたしはさまざまな意見をきい
たうえで、比較検討して納得のいく部分を採用する。また、つねに
見聞をひろげ、知識をたくわえろように心がける。生まれながらの
知名なら、こんな努力はいらないだろうが・・・・・。(孔子)
子曰、蓋有不知而作之者、我無是也、多聞擇其善者而從之、多見而
識之、知之次也。
Confucius said, "Some people invent their opinion without
sufficient knowledge. But I never do so. I listen to many
stories, and choose useful points from them. I read many
books and memorize them. This is another style of knowledge."
【下の句トレッキング:さざめくごとき金魚の世界】
路地裏のにのぞきて通る窓辺にはさざめくごとき金魚の世界
永守恭子(水甕)
作者の永守恭子は和歌山市在住の歌人で「水甕」同人。「水甕」は
大正3年に尾上最柴舟らによって創刊された伝統ある歌誌。端正な
文語定型で、季節感に溢れる一首。
※ 柘榴裂け呵々とわらへるその下に菊は白猫のやうにかたまる
永守恭子(水甕)
【ポストエネルギー革命序論65】
新型住宅用定置型蓄電システム・エネレッツァⅡ
「ポストエネルギー革命63」(せき止めている窓の激しさ,2019.
10.06)の補足。住宅用蓄電システムのエネレッツァは、1台当たり
容量5.0kWh(キロワット時)の蓄電ユニットとパワーコンディショ
ナーで構成され、蓄電ユニットは最大3台まで接続可能で、5.0kWh、
10.0kWh、15.0kWhの3種類のシステム。市販のリチウムイオン電池
と比較し、クレイ型のこれは、電解液を練り込んだ粘土状の電極材
料を厚塗りする構造でバインダーが不要が特徴。京セラ大阪大東事
業所(大阪府大東市)で現在少量生産しているクレイ型リチウムイ
オン電池を用いる。Enerezzaは2020年秋に本格量産発売する計画で
あり、それに合わせて同年10月から滋賀野洲工場(滋賀県野洲市)
で年産2万台の規模でクレイ型リチウムイオン電池を生産する計画。
投資金額は約100億円。
今回の新型電池は、電極を集電体(一般には金属箔)とともに構成
するスラリーの組成を一新。既存電池のスラリーは、蓄電に寄与(
Liイオンを吸収・放出)活物質の他に、これを金属箔に密着しやす
くするためのバインダー(接着剤)や、塗布しやすくするための溶
剤などを含み、バインダーと溶剤を不要とする。既存の製造工程で
はバインダーや溶剤で液状としたスラリーを使うために金属箔への
塗布後に乾燥工程が必要な上、スラリーの体積が収縮することなど
から厚塗りができなかった。新型ではバインダーを使わないことで
乾燥工程を省けるとともにスラリーを厚い。24Mによると、スラリー
厚は既存電池の60µ~110µmに対して300µ~500µmと約5倍。同じ量
の活物質を内蔵に使う金属箔の量を減らせる。原材料費の削減とエ
ネルギー密度の向上が可能になる。この部分でのエネルギー密度は
既存品の3~4倍。
スラリー厚塗りで容量密度向上
新型電池には、(1)安全性・信頼性を高めるための設計上の工夫
と、(2)既存電池では実現できないレベルの容量密度に向上させ
得る技術的な特徴がある。(3)希少性の高い原料をわざわざ分解
することなく、低コストにリサイクルできる。(1)安全性・信頼
性を確保するため、製造プロセスのバラつきによる不良を生じに
くくし、既存のLiイオン電池は、電極で電解質とセパレーターを挟
んで、電池の1ユニットでセルを構成。セル構成時の切断や溶接で
生じる金属粉がセル内に入り込む問題や、電極の位置ずれにより、
正負電極間の短絡が生じ、発火事故の原因になるが、新型電池は、
加工済みの金属箔を用いることで金属の切削工程を不要にし。セル
外部端子の溶接は、各セルを樹脂フィルムでパウチ加工により密閉
してから実施するため、溶接時に生じる金属片がセル内部に入り込
むことがない。セルを密閉してから、多数のセルを組み合わせてモ
ジュール化するため、モジュールの金属ケースの加工時に生じる金
属片がセルに入り込むこともない。万が一、あるセルで短絡が生じ
てもパウチ材で絶縁されて他のセルへの波及を防ぎ、電極はパウチ
加工によりセパレーターとともに固定されて位置ずれが生じにくい。
(2)の容量密度を向上できるのは、既存の電池に対して、電解質
や活物質の材料選択の自由度を高められ、電解質では、正極と負極
の間に固体電解質を置くことで、正負それぞれの電極の活物質に最
適な電解質を選べ、既存のLiイオン電池は、電解質は正負の電極の
間を満たすように注入するため、正負電極で同一になる。例えば
正極には優れていても負極で副反応を起こす問題がある材料は使え
ない。一方の新型電池では、例えば負極のみに適したエーテル系や
正極のみに適したフッ素系の材料などが使える。活物質では、電解
質にバインダーを使わないため、バインダーと反応して使えない高
電位で高エネルギー密度にできる活物質も選択できる。さらに24M
は、将来の大容量化に向けて、負極に高純度のSi(シリコン)を用
いる手法や、長期間の使用によって蓄電に寄与するLiイオンが減少
する現象に、Liを過剰に含有させておく、などの手法も適用。一連
の取り組みで500Wh/kg近いエネルギー密度を2022年に実現する。
また、(3)の材料のリサイクルがしやすいのは、スラリーにバイン
ダを含まず、金属箔との分離が容易で、スラリーはほぼそのまま製
造工程の原料として再利用可能(既存のLiイオン電池は、乾燥した
スラリーと金属箔の分離は難しく、Liなど金属原子レベルに分解す
る必要がある)。使用後の活物質ではLiイオンが減少しすることが
多いため、リサイクル時に補充する手法も24Mは開発している。
❦ 流石、ノリタケや京セラなどの粘土屋(セラミック)さんの企
業技術力はトップレベルですね。
図3 マイクロ流体デバイスを用いたSCN切片の灌流培養(左)と静
置培養(右)遺伝子改変マウスから0.3mm厚のSCN切片を採取し、開
発したデバイスを用いた灌流培養と静置培養を行う。
マイクロ流体デバイスで生物組織を簡単に長期培養
概日時計を25日間にわたって培養し観察
10月10日、理化学研究所の集積バイオデバイス研究グループは
マイクロ流体デバイス]を培養液透過膜と組み合わせることで、少量
の培養液を自動的に灌流させ、生物組織切片を長期間培養すること
に成功する。この究成果は、発生生物学や生物組織工学におけるさ
まざまな研究に広く応用されると期待できる。マイクロ流体デバイ
スを用いた生物組織切片培養は従来、培養に必要な栄養の供給と呼
吸のバランスを取ることが難しく、数週間から数カ月の長期変化を
観察には、培養組織に栄養と酸素を安定供給する培養方法を開発す
る必要がある。今回、同研究グループは、ポリジメチルシロキサン
(PDMS)で、培養液供給と除去を制御するマイクロ流体デバイスを
作製。このデバイスでは栄養供給と呼吸のバランスを適切に保つこ
とができ、概日時計(体内時計)をつかさどる脳組織の視交叉上核
(SCN)を25日間にわたり長期培養することに成功する、デバイ
スを顕微鏡下に常時設置し、培養SCNの概日リズムの2時間ごとの
経時観察を行い、概日時計機能が全培養期間を通して、感度よく計
測されることも実証。この研究は、国際科学雑誌『Analytical Sc-
iences』(10月10日号)に掲載。
概説
生物組織の培養方法の1つとして、灌流培養が挙げられます。灌流
培養は、培養液を連続的に更新できるため、培養条件を長期間一定に
保ち、培養液交換による培養組織への悪影響を減免できるという長
所がある。また、灌流培養液に含まれるシグナル分子の量を適切に
制御すれば、生体内における対象組織の振る舞いを観察することも
可能だが、簡便な長期灌流培養法は確立されていた。また、従来の
灌流培養では、消費される培養液の量が多いため、例えば高価なシ
グナル分子を混ぜた培養液を、長期間にわたって組織に与える実験
は現実的でない。さらに、培養液の入れ替わりに時間がかり、培養
液中のシグナル分子などの成分の切り替えが組織機能に与える影響
を高い時間分解能で観察は困難。マイクロ流体デバイスは、組織培
養に必要な培養液量を大幅に抑え、従来の灌流培養の欠点を補うこ
とができる、従来のマイクロ流体デバイスを用いた培養方法では、
生物組織片に十分な量の酸素などを長期間にわたり安定供給するた
め複雑な構造や運用を用いる必要がある。
一方で、生物組織によっては週~月単位の長期観察を必要とする現
象がある。例えば、器官形成のように時間をかけて進行する現象や、
生体リズムの形成など周期的に起こる現象などの機能観察には、生
物機能を十分に維持したまま長期間培養する方法が必要だった。そ
こで、同研究グループは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)と培養
液透過膜を組み合わせたマイクロ流体デバイスを作製し、マウスか
ら摘出した組織の長期培養を試験する。一方で、生物組織によって
は週~月単位の長期観察を必要とする現象があります。例えば、器
官形成のように時間をかけて進行する現象や、生体リズムの形成な
ど周期的に起こる現象などの機能観察には、生物機能を十分に維持
したまま長期間培養する方法が必要であった。そこで、研究チーム
は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)と培養液透過膜を組み合わせ
たマイクロ流体デバイスを作製し、マウスから摘出した組織の長期
培養を試験する。
研究手法と成果
研究チームは、生物組織の長期培養が可能なPDMS製マイクロ流体デ
バイスを作製するため、ガラス基板上に流路パターンを転写したPDM
S流路チップを貼り合わせ、そのチップ上にSCN切片を静置するため
の培養液透過膜を設置(下図1左)。PDMSは可視光を透過しやすく
生物組織の観察に適す。培養液透過膜は、直径0.4マイクロメート
ル(μm、1μmは1,000分の1mm)の細孔を多数持つ親水性のポリテ
トラフロロエチレンでできている。この培養液透過膜に、流路パタ
ーンに沿ってPDMSを塗布・硬化する。この加工により、透過膜が流
体デバイス基板に密着し、培養液がPDMSの流路パターンに沿って流
れる。さらに、デバイスを37℃に維持する定温培養器中に静置し、
顕微鏡を使ってSCN切片を観察した(下図1右)。
図1 視交叉上核(SCN)の長期培養を行ったPDMS製マイクロ流体デ
バイス
左:デバイスの俯瞰図(上)と断面図(下)。PDMS(ポリジメチル
シロキサン)製マイクロ流体デバイス上にSCN切片を載せた培養液
透過膜を密着させる。培養液はPDMSに浸透しないため、PDMSを塗っ
ていない部分の透過膜にのみ広がる。断面図からわかるように、2
種類のPDMS流路チップを貼り合わせ、上層と下層に高さ60μmのPDM
S流路を形成している。右:SCN長期観察時の様子。(上)顕微鏡下
の定温培養器中にデバイスがセットされている。(下)SCN切片を載
せたデバイスの写真。
培養液の灌流は、流路の入口と出口につなげたポンプによって制御
しました。生物組織は、乾燥すると栄養の交換ができなくなるが、
一方で組織表面に過剰量の液体が存在すると呼吸が妨げられ、機能
維持が難しくなる。今回のデバイスでは水を灌流させる実験から、
供給流量は毎分2マイクロリットル(μL、1μLは1000分の1mL)、
除去流量は毎分2.5μLが適切であることが分かる(下図2)。供給
流量に対して除去流量の方が多いときに灌流が安定するのは、透
過膜越しに流入する空気が培養液流に気泡として吸引される分、培
養液流量が増えるためと考えられ、同様の流量で培養液を灌流させ
ると、適切な量の培養液がSCN切片に与えられることも確認する。
図2 長期SCN組織培養に適した培養液流量の検証
毎分2μLでデバイスに液体供給した場合、(a)毎分2μL以下の除
去流量では透過膜上で液滴が大きくなり、(b)毎分2.5μLの除去
流量で液滴が形成されず、(c)4μL以上の除去流量では液滴の形
成と消失が定期的に起こった。この実験により、除去流量は毎分2.
5μLが適切であることが分かった。
次に、開発したデバイスの有用性を特殊な遺伝子改変マウスから採
取した SCN切片を用いて検証しました。この遺伝子改変マウスは概
日時計遺伝子の一つであるPer2がルシフェラーゼ遺伝子と融合して
おり、概日時計に従った化学発光の振動を観察することで組織の機
能評価が可能です。この遺伝子改変マウスから0.3mm厚のSCN切片を
採取し、開発したデバイスを用いた灌流培養と従来法の一つである
静置培養を用いて比較した(図3)。
- 中略 -
今後の期待
本研究では、シンプルな構造のマイクロ流体デバイスを使用し、培
養液透過膜と組み合わせることで、微細流路を用いた長期組織培養
を実現。培養液交換もポンプにより自動で行われ、デバイスの複製
や組織培養・観察が簡便となり、従来の培養方法と比べて必要な労
力と培養液量が大幅に抑えられる。また、流路幅を調節することで、
大きさが数mm程度の組織切片まで静置できるため、SCN以外の生物
組織にも応用可能と考えられる。ほかにも長期にわたり培養組織を
動かすことなく観察できる、複数の組織を同一デバイス上で培養し
並行して観察できる、高効率な培養液切り替えができる特徴がある。
並列観察により、病変組織にさまざまな薬剤を投与して組織の反応
を観察できます。また、培養液切り替えによる組織機能変化を高い
時間分解能で観察できる特徴を生かし、オルガノイドに成長因子を
与えながら培養し、その発生過程を制御・長期観察することも可能
です。このように、発生生物学や生物組織工学へ広く応用されると
期待されている。
人口減少時代のまちづくり⑥
9 「地方定住」のために求められる条件は
【要点】
①医療機関(施設)の存在。
②居住に必要な家屋、土地を安価に購入できること。
③生活していく上で必要な交通手段の確保。
1.UJ-ターンの現状
「UJIターン」とは、都市部の居往者が地方へ移住する行動パタ
ーンの総称。ライフスタイルやワークスタイルの変化と価値観の多
様化が進み、大都市に居住しなくとも、豊かな自然環境の中で暮し、
働くことが可能な社会となりました。地方でも人材の都市部への集
中を緩和する取組としてU JIターンが注目されている。
「農山村に関する意識調査(2014年、内閣府)」、によると、
現在、「都市地域」、「どちらかというと都市地域」に住んでいる
人の約3割が、農山漁村地域に定住してみたいという願望があるこ
とが明らかになました。05年と比較してみると20・6%から、
31・36%へと上昇。年齢別では、20代が38・7%と最も高く、
次いで40代の35%、60代の33・7%で、20代の約4割近くが農
山 漁村地域へ定住願望がある。NPO法人「ふるさと回帰支援セン
タ」の相談件数の推移を見てみると、2008年の「面談・セミナ
ー参加者」、「電話などの問い合わせ」件数の合計が、2008年
には 2475件から14年は1万2430と5倍に急増している。
特に20歳から40歳代までの若い世代の利用件数が増加しています。
経済一辺倒の啓かさでなく、田園回帰とよばれように、地方を志向
する若者が増加しています。
2 定住を促進する際の問題は何か
定住する際の問題点は何か、「農山村に関する意識調査」結眼を目
にると、「医療機関(施設)」の存在が68%、「生活が維持でき
る仕事があること」が61・6%、「居住に必要な家屋、土地を安
価に購入できること」が47・2%、「生活していく-ことで必燧
な交通手段の確保」が39・2%、「買い物、娯楽施設等の存在」
が37・8%などの順です。特に、生活や暮らしに係わる医療環境
と仕事が突出して問題点として挙げている。一方、国土交通省の「
国民意識調杏」から、移住希望者は、収入額を屯視する者が、突出
して多くなっています。両調査から、地方へ移住することにより現
在の職を離れ、収入が低下することを懸念している。
3 UJ-ターンの今後の動向と定住促進のための対応
移住時期について、いつ頃移住を実現したいかについて聞いたとこ
ろ、「すぐにでもしたい」8・3%、「5年以内にしたい」が 16・
9%、「10年以内したい」が24・9%、「20年以内にしたい」
18%、「20年以上先にしたい」19・6%となっている。移住
希望者が地方に住むことの最大の魅力は、自然環境の啓かさ、生活
費が安くゆとりを持って生活できる。田園回帰によるスローライフ
の生活ができることを挙げ、地方への「あこがれ」を抱いており、
移住願望は今後も続くと推察されます。UJIターンを促進する上
で、移住先における衣食住の環境整備や交通インフラの充実により
都市的な利便性を一定程度提供することに加えて、地域において就
業先を確保することで、地方回帰に流れが加速されます。UJIタ
ーンを促進することは、都市部の人材を地方の中小企業・小規模事
業者 が確保し人材不足を補うことにつながります。多くの移住希望
者が地方の魅力を感じつつ、自然の豊かさにも魅力を感じているこ
とから、地方都市と農山漁村の間のネットワークを構築することに
より、地方の都市部との接近性を高めことで、一定の効果が期待さ
れる。
キーワード 地方志向/田園回帰/仕事と暮らしの充実