ブラックバスやブルーギルなどの外来魚に脅かされている琵琶湖の固有種に、新たな天敵が現れた。
ナマズの一種、チャネルキャットフィッシュ(アメリカナマズ)だ。原産地の北米では食用に広く流
通しているが、琵琶湖でも捕獲数がここ数年増えており、湖内で繁殖している可能性も。貪欲な食性
から生態系に悪影響を及ぼすと懸念されており、滋賀県は本格的な駆除を検討していると公表(「産
経新聞」2015.02.17)。
チャネルキャットフィッシュはカナダ南部からメキシコ北部の湖沼や河川に生息し、成魚は体長1メ
ートルに達する。日本には昭和40年代に食用として持ち込まれ、霞ケ浦(茨城県)などで養殖され
ていたが、逃げ出したり放流されたりして各地で繁殖。これに伴い、背や胸の鋭いヒレで、漁業者が
けがをしたり漁網が破られたりするなど、深刻な漁業被害が相次いでいる。また、肉食で在来の生態
系を大きく損ねることなどから、環境省は平成17年、外来生物法の「特定外来生物」に指定。飼育
や放流などが禁じられた。
滋賀県水産試験場によると、県内では13年に琵琶湖で初めて1匹が見つかり、琵琶湖とそれに続く
瀬田川での捕獲数は25年が18匹、26年41匹と年々増加している。稚魚も捕獲されたことから
担当者は「琵琶湖に持ち込まれた経緯は分からないが、湖内で繁殖が進んでいる恐れが十分にある」
と指摘する。琵琶湖ではこれまで、ブラックバス(オオクチバス)やブルーギルが固有種の生息を脅
かす存在として知られ、県と漁業者が駆除に取り組んでいる。水中に電気を流して浮かび上がった魚
のうち外来魚だけを取り除いたり、外来魚を対象にした釣り大会を開いたりした結果、18年に19
14トンだったこれら2種の推定生息量は、25年には916トンまで減った。
しかし、チャネルキャットフィッシュについては習性などに不明な部分が多く、水産試験場は有効な
駆除方法の調査に着手する。腐った魚も食べるという貪欲ぶりに着目し、エサでおびきよせる方法な
ども検討。「漁業者の継続的な協力が得られるような駆除方法のマニュアルを作りたい」としている。
尚、カナダ、アメリカとメキシコの一部に生息。また チェコやルーマニアなどの東ヨーロッパやマレ
ーシアなどに移入されている 。湖沼や河川に生息。1971年には、食用目的で日本の霞ヶ浦にも導入さ
れて定着、1994年以降に個体数が激増している。琵琶湖でも捕獲された記録がある。体長は最大132セ
ンチメートル。口ひげは8本。脂鰭を備え、尾びれは中央が切れ込み長大で、横V字型。ニホンナマズ
等の属するSilurus属に比べると、口がやや小さく、体型は流線型で各鰭が大きく遊泳力に富んでおり、
総じてその姿はギギ等のPelteobagrusのそれに近い。背鰭と胸鰭の主条が極めて硬質かつ丈夫な鋭い棘
として発達しているのも、Pelteobagrusと同様の特徴である。湖沼や流れの緩い河川の中流~汽水域に
生息する。溶存酸素の不足や水質の急激な変化には耐性が低いが、水質汚濁そのものには大変強い。
おおむね夜行性。夕刻から夜間にかけて活動的となり、盛んに遊泳して摂食行動等をおこなう。食性
は雑食で、ザリガニや小魚、カエル、コオロギなどを捕食する。非常に貪欲であり、釣り餌として付けられた石
鹸に食いつくこともあることが知られている。
身は食用にされる。またルアー釣りの対象魚としても知られる。魚粉として肉骨粉の代わりに畜産(
養鶏・養豚など)飼料や魚類の養殖飼料や有機肥料として利用される。 外来魚駆除の取り組みとして
地産地消品として有効利用されている。なお、日本では水産庁の「魚介類の名称のガイドラインにつ
いて」によって消費者に分類学上無関係であるにもかかわらず高級魚類の類縁種であるような誤認(
いわゆる優良誤認)を防ぐため、アメリカナマズについて「シミズダイ」や「カワフグ」の名称を使
用しないことと定められている。
● キャットフィッシュを畜養し琵琶湖の特産品に育てる
このブログでも掲載してきた「鯰とサロゲート」2010.10.24/「紫花菜と寒もろこ」2009.02.20/「
ビル中の大山椒魚」2012.11.19)。
日本初の完全な人工海水利用型水族館であることは「浸透圧制御」を数年前に畜養バイオ事業の
関係で知っていたことだ。そういえば、その彼と、20数年前「ナマズの畜養事業」の調査がてら、
京都北白川の日本鯰専門料亭『十壱』で生前の田中豊一と実弟と堪能したことがあったことを二
人で思い出を懐かしんだ。
『ビル中の大山椒魚』2012.11.19
ということは、1989年のことであったが、食餌が必要だからということで、このプロジェクト原
案は没となった。わざわざ、埼玉水産試験場まで、いつものように身銭を切って――ここらへんが、
野々村うんぬんのデフレ県会議員と違うところでもあるが――故田中豊一と調査見学し、近くのめし
屋で鯰料理を試食し帰ってきているが、このとき皇太子がナマズ博士であることをたびたびこの試験
場に足を運んでいたことを知る。また、日本ナマズの稚魚は共食いするが、アメリカナマズはそれは
ない。勿論、共食いしないように育種することは可能だろうがそれはここでは扱わない。問題は成魚
の食餌だが、外来種の水草や魚類を粉砕利用し、そこに、里山のオークナッツやハーブや嗜好性(食
いつきの良さ)を添加し食餌とすればよいだろう。また、畜養は下図のように(「魚工場 漁網ロボッ
ト工学」2015.01.11)畜養槽に魚群センサの高度化させたものでナマズを1尾、1尾の状態を管理す
るようにすれば完全養殖か可能となろう。
食べた経験があれば、ナマズは河豚のように淡泊で美味しい。しかも、河豚のように毒の危険性もな
く、フライはもちろん燻製、発酵、南蛮漬け、焼き物、ナマズソーセージも可能だろう。河豚よりも
廉価に販売できることは間違いないと考える。これが成功すれば、滋賀県は新鮮な魚が美味しく戴け
る国として世界発信すれば、ニシン御殿ならず、ナマズ御殿が建つことも間違いないだろう。
soul food
吉本思想に存在する、独自の「経済学」とは何か。
資本主義の先を透視する!
吉本隆明の思考には、独自の「経済学」の体系が存在する。それはマルクスともケインズと
も異なる、類例のない経済学である。本書は、これまでまとったかたちで取り出されなかっ
たその思考の宇宙を、ひとつの「絵」として完成させる試みである。経済における詩的構造
とは何か。資本主義の現在と未来をどう見通すか。吉本隆明の残していった、豊饒な思想の
核心に迫る。
はじめに
第1部 吉本隆明の経済学
第1章 言語論と経済学
第2章 原生的疎外と経済
第3章 近代経済学の「うた・ものがたり・ドラマ」
第4章 労働価値論から贈与価値論へ
第5章 生産と消費
第6章 都市経済論
第7章 農業問題
第8章 超資本主義
第2部 経済の詩的構造
あとがき
第8章 超資本主義論
1 超資本主義の行方不況とはなにか I
Ⅲ
わたしたちはここで、いちばん確かに不況を判断する経済基準がどこにあるか、あらた
めてかんがえてみるべきだとおもえる。とくに現在の世界の先進的な地域では、その基準
を確定することが、不況かどうか判断するための必須な前提だとかんがえるほかない。な
ぜならその地域ではすでに消費や支出、とくに選択の可能性がある消費や支出が、個人や
企業のおもな身体の血肉になってであっても、企業体は理論的には同一水準で維持されう
る。これは個人が選択消費が0%であったとしても理論的には同一の生活水準を維持でき
ることとおなじだといっていい。わたしたちはこういうことを踏まえたうえで、現在の不
況を測る尺度がどこにあるのかを求めてゆくべきだとおもえる。企業が経済の主体になる
のではなく、企業の意志が経済環境によってどれだけ抑止をうけるかが問われなくてはな
らない。
現在の不況の状態がどんなものか、いちばん最近の主な企業の業況判断のデータからみ
てみる。日銀の短期経済観測の調査では、本年93(平成5)年2月の製造業の業況判断
DI(指標)はマイナス49、非製造業のDIはマイナス33となっている。説明すれば
業況が「良い」と答えた企業の割合から業況が「悪い」と答えた企業の割合を引いたもの
がDI(指標)の数字に当っている。この数字は製造業を例にすれば第T次石油ショック
の不況(マイナス67)より「良い」が、第二次石油ショック(マイナス35)より「悪
い」数字で、これからさらに「悪い」傾向に走ってゆく徴候が大きいとみられている。
わたしたちの不況にたいする認識からすれば、企業でいえば設備投資の前年同期にたいす
る伸び率比の増減が、いちばんはっきりと企業体についてのいるからだ。そこでは消費や
支出は遅延または先行された生産にほかならず、それはいず不況の度合いを象徴すること
になる。それを挙げてみると、先の図18のようになる。
設備投資の伸び率が前年同期の伸び率にくらべて製造業では全部マイナス、非製造業で
はそれよりましだがそれでもほとんど全部マイナスだということは(予想は)、業況判断
のDIとともに企業が現在の不況をかなり深刻にうけとめ、設備投資をいかに手控えしよ
うとしているかという企業体の意志を暗示している。
このデータの観測は日本興業銀行のアンケート調査でも変らない。全産業の92年度の
設備投資(見込み)は前年度比4.3%減、93年度設備投資計画も6.6%減というよう
に企業体がいっそうの不況と冷え込みを予想し、それに対応しようと意志していることを
示している。
わたしたちが不況の測度としていちばん注目すべきだとする個々の世帯の消費支出につ
いてもわかっているデータを挙げてみる。総務庁が発表した九二年度の家計調査では、全
国の全世帯の消費支出は一世帯平均で31万1305円で、物価上昇分を差し引いた実質
分で、前年同月比0.2%増にとどまっている。内訳はサラリーマン世帯で実質2.2%増、
自営業者など一般世帯でマイナス3.8%となっている。
もうひとつ消費者態度指数がある。これは、(1)暮らし向き(2)収入(3)物価(4)
雇用(5)耐久消費財の買い時について、今後半年の見通しをアンケートして数字化した
指数である。いずれの項目も前期より悪化し、とくに雇用の悪化という意識が大幅に増加
し、92年の7月から9月の時点で、前期に比ベマイナス18.9%となった。これは企業
群が設備投資の引きしめの環のなかに雇用者の退職の勧誘や一時休暇や新規採用者の手控
えや、極端なばあい、取消しの通告などを組み入れていることが、サラリーマンの消費を
手控えさせる最大の要因になっていることを示しているとおもえる。
言うまでもなく個人の選択消費や企業の設備投資を中心とする選択的な支出をゼロに手
控えして、年期や年半期のあいだ持続しても、現在の世界の先進的な地域では、個人の世
帯の生活や企業体は、政策主体としての政治国家の担当者よりさきに破産することはあり
えない、先進的な地域がこの重要な段階にはいったという世界認識が、わたしたちに不況
判断の視点を変更すべきたというわたしの見解の基礎に横だわっているものだ。
不況とはなにか Ⅱ
Ⅰ
保守政府は平成5(1993)年4月13日に過去いちばん大規模だといわれる「新総
合経済対策」なるものを決めた、総額で13兆2千億と新聞は発表している。なぜこんな
大規模な不況の対策を追っかけるように決めなければならなかったか、はっきりしている。
これまでの規模の2回にわたるテコ入れくらいでは、おもうような不況脱出のきざしがみ
られなかったからだ、どうして公共事業費の役人を主にしたケインズ型の不況対策がそれ
はどの目立った効果をあげないのかは、これまたとてもはっきりしている。
わが国でいえば、すでに5、6年まえに国内総生産からみた産業の構成比で、第一次産
業(農・漁∴杯業)は三%くらい、第二次産業(製造工業・建設業など)は42%くらい、
第三次産業(サービス・金融・小売・教育・流通など)は55%くらいになっていた。ま
た就業している人口からみても第一次産業は9%くらい、第二次産業は33%くらい、第
三次産業は57%くらいになっていた。いいかえれば、そのときにもう就業者の人口から
みても、国内総生産からみても第三次産業が過半量を占めていたのだ。こんな世界の経済
的な先進地域国家で、建設や土木工事や道路や港湾の改修など、第二次産業に属する建設
業に公共事業費を投入しても、国内総生産で42%くらい、労働人口で33%くらいが直
接の効果に晒されるだけで、大部分の総生産や労働人口を占める第三次産業にたいしては、
めぐりめぐった間接的な効果しか期待できないか、途中で効果が消滅してしまうのは、じ
つにはっきりしたことだからだ。いいかえれば不況対策として建設や土木工事を主体にし
た公共事業費の投入に期待をかける方策は第三次産業が半分以下しか占めることのない地
域国家か、経済段階にしか通用しないケインズ的な(逆にいえばマル経的な)寝ぼけたや
り方にしかすぎない。仮に不況脱出の効果があったとしても寝ぼけた、あいまいな、そし
て遅々とした速度にしかならないことは、はっきりしている。
もうひとつ付け加えることがあるとおもう。第三次産業を物流と金融や信用や証券の流
れのような非物流の二面から眺めたばあいの特徴はふたつかんがえられる。ひとつは物流
と金融や信用や証券の流れのあいだに一対一の対応性が成り立たないことだ。
もうひとつはそこから派生するわけだが、物流も金融や信用や証券の流れのような非物
流も、それぞれに独り歩きして、より有利な経済的な場面に集中して過剰になったり、そ
れにともなう過少な部分をつくってしまうことだといえる。これだけの条件があれば第三
次産業が過半量を占めている世界の先進的な地域国家で、ケインズ的な(遂にいえばマル
経的な)不況対策が急速な効果をあげえないのは自明のことだというほかない。
さらに先に述べたように、こんな世界の経済的に先進的な地域(アメリカ、日本、EC
のような)では、個人の消費や企業体の総支出が所得や収益の過半量を占め、そのうえ選
択的な消費や支出が、総消費や総支出の過半量のパーセンテージを占めているため、個々
の国民大衆や民間企業体が選択的な消費や総支出をひき締めてしまえば、どんな政策を採
用しても不況を脱出することができないという条件をもつようになっている。いいかえれ
ばどんな政治体よりも国民大衆や企業体のほうが優位になってしまっている。
こんな条件をもった先進的な地域国家で、すこしでも有効な不況政策があるとすれば、
投入する公共費の半分以上(わが国でいえば55%以上)を第三次産業関係に向けること
しかかんがえられない。この見方から今度の保守政府の「新総合経済対策」をみてみると
どういうことになるのか、すこし言及してみることにする。
次ページの図19をみてみると、まず公共投資など、10兆6千2百億のうち公共事業関
係に4兆1千7百億が割りあてられている。これは40%くらいに当る。この数値の割り
あてはなかなか妥当なものだといっていいことが、第二次産業の国内総生産としての割合
が42%くらいであることからすぐに判断される。ところで第三次産業関係にたいする割
りふりを拾いあつめてみると、大学や研究所施設、教育、医療、福祉などを整備するため
の施設費1兆1千5百億、政府関係金融機関など2兆4千3百億、中小企業対策1兆9千
百億(55%掛け)、民間設備投資の促進5千2百億(55%掛け)、住宅金融公庫など
1兆8千億(55%掛け)などが最大限の概算に入ってくる。
最小限は1兆1千5百億とみなされるから、第三次産業関係の投人分は最大限に見積っ
ても45%くらい、最小限では10%くらいなものにすぎないことになる。理想のイメー
ジを大胆にいえばこの数字は逆さまだ。第三次産業関係の公共投資がむしろ50%を超え
た額になるような割りふりをもつことが、不況を脱出するための経済対策としていちばん
の早道だということはいうまでもないとおもう。
中沢新一 編集 『吉本隆明の経済学』
ところで、公共事業が有効需要でないという結論も誤解を生むだろう。例えば、"箱もの"とよ
ばれるビルディングの耐震化という公共事業(法整備というよりハードなソフトウエア事業)
を考えた場合、キラーパルスという長周波対策を実施ししていくには、コンピューターシミュ
レーション(三次産業:プログラミングなどの情報通信分野)でモデル構築→検証実験(2次
産業:建築分野)→実施設計・施工・評価(第1+2次産業+3次産業)と各産業部門のコラ
ボレートの上で実行されるように、産業の相互浸潤がありこれを産業別に金額で評価するのは
困難であろう。また、高速道路をの架橋工事でも、日々進化しており、単に鉄骨、コンクリー
トだけでなく、外部環境からの湿気を遮断する表面工法を付加することで耐久年数を伸ばすこ
とが可能であるように、同じ費用でも付加価値を高めることもできる。つまり、実質上の価格
下落という変化が科学技術進歩により生じているが、これらは3次産業の情報通信技術の影響
している時代でもある(『デジタル革命渦論』)。"箱もの"、"筋もの"も同様に道路の多機能
化高度化が進行する時代でもあり、そう単純に土建屋だけが儲かるという図式でないことだけ
は確かな時代であることを補足しておこう。3次産業の医療分野でも同様である。高齢者の介
護施設は、2次産業、素材、食品などは1次産業と深く関わるし、介護工学には、心理学やケ
アーマネージメント教育、リハビリー技術などの3次産業分野も絡んでいる・・・・そういうこと
踏まえ考える必要がある。
「赤字国債をバンバン発行」してでも、この不況を脱出するためにはマルクスかぶれやケインズかぶ
れあるいはその亜流の新自由主義(英米流資本主義)の政策の無効性を検討する前に、わたし
たちの前には財務官僚機構が立ちはだかったことが問題だったのだ。口を開けば、やれ、プラ
イマーバランス――財政収支において、借入金を除く税収などの歳入と過去の借入に対する元
利払いを除いた歳出の差のこと。そのバランスが均衡していれば、借金に頼らない行政サービ
スをしているということを表すが、赤字なら後々に借金が増えていることを示す。プライマリ
ーバランスの赤字が続いている限り、それを埋めるために国債発行残高は増加せざるをえない
状況が継続する。やれ、次世代、孫世代に「借金を残すな」、やれ、「国債償還の禁じ手」は
するなと言い続け、手を回し、標的とする要人を冤罪、スキャンダルで追い落とした。そこで
「日銀解体論」「歳入庁創設論」をこのブログで記載してきたのだが、その岩盤を、現在の安
部政権が突破したのである。これは大いに評価されていいし、この功績だけで、彼の名前は記
憶されることになった。
(この項続く)