10 先 進 せんしん
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「顔淵死す。子曰く、『ああ、天われを喪ぼせり。天われを喪ぼせり』
」(9)
「いまだ生を知らず、いずくんぞ死を知らん」(12)
「過ぎたるは、なお及ばざるごとし」(16)
「道をもって君に沢え、不可なれば止む」(24)
「なんぞ必ずしも書を読みて、然る後に学ぶとなさんや」(25)
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7 季康子問う、「弟子、たれか学を好むとなす」。孔子、対えて曰く、
「顔回なる者あり、学を好む。
不幸、短命にして死せり。今や、すなわちなし」。(重出、六-3)
季康子問、弟子孰爲好學、孔子對曰、有顔囘者、好學、不幸短命死矣、
今他則亡。
Ji Kang Zi asked, "In your pupils, who likes learning?" Confucius
replied, "There was Yan Hui who learned eagerly. But unfortunately,
he passed away in his youth."
燃料電池劣化を大幅抑制する白金‐コバルト合金水素極触媒
1月14日、NEDOは燃料電池自動車(FCV)用燃料電池の革新的な電極触媒や電
解質膜の開発事業を行っている。今般、NEDOと 山梨大学、田中貴金属工業(株)
は、固体高分子形燃料電池の水素極における電解質膜劣化の原因となる過酸化水
素(H2O2)の発生を半分以下に抑制可能な白金-コバルト合金水素極触媒の開発
に世界初の成功した。この触媒を燃料電池に組み込むことで、従来の燃料
電池向け市販白金水素極触媒を用いた場合に比べ、電解質膜の耐久性を
4倍以上に高められる。これにより、FCV や定置用燃料電池の耐久性の
飛躍的な向上が期待できる。今回、NEDOと国立大学法人山梨大学、田中
貴金属工業株式会社が、①電解質膜を分解劣化するラジカル発生源とな
る過酸化水素(H2O2)の発生速度を大幅に抑制する白金-コバルト合金水
素極触媒を開発。②また、試作触媒でのH2O2発生速度抑制効果をもとに、
白金‐コバルト合金ナノ粒子/炭素触媒(以下、PtCo/CHT触媒)の量合
成を可能にした。③そして、このPtCo/CHT触媒の H2O2発生速度が、従来
使用されてきた市販の白金/高表面積カーボンブラック担体触媒(以下、
市販Pt/CB触媒)に比べて半分以下に抑えられることを確認(上図1(
A))。このPtCo/CHT触媒を水素極として塗布した電解質膜を用いた燃
料電池単セルの加速劣化試験を行ったところ、従来の燃料電池向け市販
Pt/CB触媒を水素極に用いた場合に比べて、耐久性が4倍以上向上する
ことがわかりました(図1(B))。これにより、FCVや定置用燃料電池
の耐久性の飛躍的な向上が期待できる。今後、山梨大学と田中貴金属工
業(株)は、自動車会社などと連携してPtCo/CHT触媒を用いた燃料電池
を試験し、高性能・高耐久化に向けた研究開発を進める。また、種々の
先端的解析法と計算科学により作用機構を多角的に解明して、さらに高
性能な触媒設計指針の確立を目指す。
【要約】
ヒドロキシルラジカル(˙OH)は 燃料電池で使用されるプロトン交換膜
(PEM)の劣化の多くの原因です。従来のアプローチは、PEMに組み込ま
れたラジカルスカベンジャーを使用することでしたが、パフォーマンス
は低下する。ここでは、˙OH の前駆体である過酸化水素の生成が水素ア
ノードで抑制され、吸着された水素原子によってカソードから拡散する
酸素が減少する、直観に反する戦略を提案します。これは、Ptスキンで
覆われたPtCo合金アノード触媒を使用することで実現され、理論計算で
示されるように、Hが弱く吸着されます。特に、80°Cの実用温度での水
素アノードでのH2O2生成は、初めて、チャネルフローダブル電極(CFDE)
技術の適用によって評価されました。市販のPt / Cアノードと比較して、
PtCo / Cアノードを使用したPEMの寿命が著しく長いことは、単一セル(
加圧ガス下での開回路)の加速ストレステストで実証されている。
❏耐酸性を高めた白金スキン/白金‐コバルト合金触媒
燃料電池は、電解質膜の両側の電極に水素と空気を供給して発電する(
下図2(A))。水素極では、水素が酸化されて水素イオン(H+)と電子
(e−)が生成する。
H2 → 2H+ + 2e− 反応式(1)
もう一方の電極には空気を供給しますが、酸素の一部が電解質膜を透過
して水素極の触媒に吸着した水素原子(Had)と反応して過酸化水素が副
成する。
2 Had + O2 → H2O2 反応式(2)
H2O2が鉄イオン(Fe2+)などの不純物と接触すると、発生した OHラジカル
(・OH)が電解質膜を攻撃して分解します。現在、 電解質膜として主に
用いられているパーフルオロスルホン酸膜は、フッ化物イオン(F−) を
放出しながら分解し(図2(B)) 最悪の場合、水素と空気を分離する
機能が失われます。このような分解を抑制する手段の一つとして、電解
質膜にラジカル捕捉剤を加える方法があるが、この方法には、燃料電池
の使用中に捕捉剤が膜内を移動して効果が低下、捕捉剤の加えすぎによ
り燃料電池の出力性能が低下する、といった問題があった。そこで、山
梨大学は、ラジカル発生源である過酸化水素の発生速度自体を抑制する
ことが最も有効な電解質膜の劣化抑制対策であると考え、今回の研究を
実施する。
水素発生とOHラジカルによる電解質膜の分解劣化
固体高分子形燃料電池の電解質膜は強酸性である。この環境で反応式(1)
の水素酸化反応活性が高いのは白金であり、これまでは市販Pt/CB触媒
が使用されていた。今回、山梨大学は白金‐コバルト合金ナノ粒子の表
面構造を制御して耐酸性を高めた白金スキン/白金‐コバルト合金触媒
を試作し、市販の Pt/CB触媒に比べH2O2発生速度抑制効果が非常に大き
いことを発見。尚、この試作触媒の白金使用量当たりの水素酸化活性が
市販Pt/CBより高いことも確認している。白金スキンは、合金表面の数
原子層が白金で覆われている構造のために耐酸性が高く、その電子状態
が純粋な白金とは異なっている特徴がある(図3)。田中貴金属工業(株)
で量合成されたPtCo/CHT触媒にもそのような白金スキン層が生成されて
いるため、試作触媒と同様の特性を示す。固体高分子形燃料電池の電解
質膜は強酸性です。この環境で反応式(1)の水素酸化反応活性が高いの
は白金であり、これまでは市販Pt/CB触媒が使用されている。
今般、山梨大学は白金‐コバルト合金ナノ粒子の表面構造を制御して耐
酸性を高めた白金スキン/白金‐コバルト合金触媒を試作し、市販のPt
/CB触媒に比べH2O2発生速度抑制効果が非常に大きいことを発見した。
なお、この試作触媒の白金使用量当たりの水素酸化活性が 市販Pt/CB
より高いことも確認。白金スキンは、合金表面の数原子層が白金で覆わ
れている構造のために耐酸性が高く、その電子状態が純粋な白金とは異
なっている(図3)。田中貴金属工業(株)で量合成されたPtCo/CHT触
媒にもそのような白金スキン層が生成されているため、試作触媒と同様
の特性を示す。
図3 PtCo合金とPtスキン/PtCo合金
図4 PtCo/CHTと市販Pt/CB触媒を水素極に用いた燃料電池の加速劣化
試験(90℃)での開回路電圧と水素透過速度の変化
❏加速劣化試験による性能比較
量合成したPtCo/CHT触媒を厚さ25μmの電解質膜に水素極として塗布し、
空気極側には市販Pt/GCBHT(白金ナノ粒子を黒鉛化カーボンブラックに
担持し、熱処理)触媒を塗布して、標準サイズの燃料電池単セル(電極
面積29.2cm2)に組み込んで、加速劣化試験を行いました。この試験法は、
反応ガスを加圧して90℃、開回路状態(電流を流さない状態)でOHラジ
カルによる分解を加速するものです。 200時間ごとに水素透過速度を測
定し電解質膜の劣化度合いを調べた結果を示す(図4)。まず、比較対
象として市販Pt/CB触媒を水素極に用いた場合は、過酸化水素の発生な
どに起因する電解質膜の劣化により160時間で燃料電池の電圧が0.8V 程
度に急激に低下すると共に電解質膜の水素透過速度が使用開始時の 100
倍以上に増加した。また、解体後の検査では電解質膜が薄くなり小さな
穴あきの発生を確認した。
他方、今回開発したPtCo/CHT触媒を水素極に用いた場合は、過酸化水素
の発生などに起因する電解質膜の劣化などが抑制され、600 時間後でも
0.9V程度と高い電圧を長時間維持すると共に水素透過速度は初期の 1.5
倍の増加に抑えられました。約720時間後には電圧が0.85V以下へ低下し
たが、その電圧に達するまでの運転時間が市販Pt/CB触媒を用いた場合
の4倍以上に延びた。また、1000時間後に水素透過速度が初期の約10倍
まで増加したが、市販Pt/CB触媒を用いた場合に比べて劣化が極めて緩
やかであった。また計算科学により、表面に白金スキン層が存在するPt
Co合金では水素原子の吸着が弱められて、H2O2を生成しにくくなる作用
機構も解明できた。
【結論】
① PEFCの水素アノードにPt-Co合金触媒を使用すると、過酸化物の生成
率が50%も低下する可能性があることを示す。②DFT(密度汎関数理論:
density functional theory)計算は、H2O2 生成の抑制がPt皮膚表面の
HOPDの結合エネルギーの低下に起因することを示す。③PtCo /CHT
をアノード触媒として利用する燃料電池は、膜の化学的劣化の緩和によ
り、加速OCV条件 下で優れた耐久性を示した。④水素アノードでの過酸
化物生成の抑制を介してラジカル攻撃を抑制するこの一見反直感的なア
プローチは、次世代PEFCの開発に大きく貢献すると予想される。
【関連特許】
❏特開2019-111510 担持金属触媒及びその製造方法 国立大学法人山
大学
【概要】
下図1のごとく、担体微粒子の集合体である担体粉末と、前記担体粉末に担持
された金属微粒子130と、前記担体微粒子を被覆するように形>成された被覆
層140を備え、被覆層140は、プロトン伝導性を有するポリマーで構成さ
れ、被覆層140の平均厚さをdとし、金属微粒子130の平均粒径をDとす
ると、以下の条件(1)~(2)の少なくとも一方が充足される、担持金属触
媒。(1)0.18≦d/D≦0>32(2)0.18≦d/D≦0.55であ
り、かつ2.5nm≦D≦4.9nmで発電性能を高めることが可能な担持金属
触媒の提供。
【図1】担持金属触媒100の触媒構造のモデル図
【図2】図1から担体微粒子150を抜き出した図
【図3】図1における担体微粒子150の分枝160の状態を示す図
【符号の説明】1:製造装置 2:バーナー 2a:バーナーガス 3:原料
供給部 4:反応筒 5:回収器 5a:フィルタ 5b:ガス排出部
6:ガス貯留部 6a :冷却ガス導入部 6b:スリット 6c:内周壁
6d:バーナー挿通孔 6g:冷却ガス 7:火炎 13:外筒 13a:ミス
ト化ガス 23:原料流通筒 23a:原料 溶液 23b:ミスト 100
担持金属触媒 110:空隙 120:結晶子 130:金属微粒子 140:
被覆層 150:担体微粒子 160:分枝 200:固体高分子形燃料電池
201:アノード 202:カソード 203:負荷 210A:アノード側
ガス拡散層 210K:カソード側ガス拡散層 220A:アノード側触媒層
220K :カソード側触媒層 230:電解質膜
表1に示すように、0.18≦d/D≦0.55である場合に、質量活性が高
く、0.18≦d/D≦0.32である場合に、質量活性が特に高く、0.20
≦d/D≦0.32である場合に、質量活性がさらに高かった。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体微粒子の集合体である担体粉末と、前記担体粉末に担持された金属微粒子
と、前記担体微粒子を被覆するように形成された被覆層を備え、
前記被覆層は、プロトン伝導性を有するポリマーで構成され、
前記被覆層の平均厚さをdとし、前記金属微粒子の平均粒径をDとすると、
以下の条件(1)~(2)の少なくとも一方が充足される、担持金属触媒。
(1)0.18≦d/D≦0.32
(2)0.18≦d/D≦0.55であり、かつ2.5nm≦D≦4.9nm
【請求項2】
請求項1に記載の担持金属触媒であって、
0.20≦d/D≦0.32である、担持金属触媒。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の担持金属触媒であって、
2.5nm≦D≦9nmである、担持金属触媒。
【請求項4】
請求項3に記載の担持金属触媒であって、
2.5nm≦D≦4.9nmである、担持金属触媒。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れか1つに記載の担持金属触媒であって、
前記担体微粒子は、無機化合物の微粒子である、担持金属触媒。
【請求項6】
請求項5に記載の担持金属触媒であって、
前記無機化合物は、ドープされている、担持金属触媒。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の担持金属触媒であって、
前記無機化合物は、酸化スズを含む、担持金属触媒。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載の担持金属触媒であって、
前記担体粉末は、見掛け密度が2~3.8g/cm3である、担持金属触媒。
【請求項9】
請求項1~請求項8の何れか1つに記載の担持金属触媒であって、
前記担体粉末は、比表面積が12m2/g以上である、担持金属触媒。
【請求項10】
請求項1~請求項9の何れか1つに記載の担持金属触媒であって、
前記担体粉末は、空隙率が50%以上である、担持金属触媒。
【請求項11】
請求項1~請求項10の何れか1つに記載の担持金属触媒であって、
前記担体粉末は、安息角が50度以下である、担持金属触媒。
【請求項12】
請求項1~請求項11の何れか1つに記載の担持金属触媒であって、
前記担体粉末は、導電率が0.00001S/cm以上である、担持金属触
媒。
【請求項13】
請求項1~請求項12の何れか1つに記載の担持金属触媒であって、
前記担体微粒子は、複数の結晶子が鎖状に融着結合されて構成された鎖状部
を備える、担持金属触媒。
【請求項14】
請求項13に記載の担持金属触媒であって、
前記結晶子は、サイズが1~30nmである、担持金属触媒。
【請求項15】
請求項13又は請求項14に記載の担持金属触媒であって、
前記鎖状部は、複数の分枝と、複数の前記分枝の間に存在する孔と、空隙と
を備え、
前記空隙は、前記複数の分枝と前記孔とによって取り囲まれる、担持金属触
媒。
【請求項16】
請求項15に記載の担持金属触媒であって、
前記担体粉末は、前記空隙を複数備え、前記空隙は水銀圧入法による球相当
径が11nm以下の空隙と11nmより大きな空隙とを有する、担持金属触媒。
【請求項17】
混合工程を備える、担持金属触媒の製造方法であって、
前記混合工程では、金属微粒子が担体粉末に担持されて構成される構造体と、
プロトン伝導性を有するポリマーを含有するインクとを混合する、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、
前記ポリマーの体積をIとし、前記担体粉末の体積をSとすると、
前記混合工程は、0.01≦I/S<0.2となるように行われる、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、
前記混合工程は、0.07≦I/S≦0.18となるように行われる、方法。
【請求項20】
請求項17~請求項19の何れか1つに記載の方法であって、
前記担体粉末は、担体微粒子の集合体であり、
前記担体微粒子は、無機化合物の微粒子であり、 前記インクは、親水性溶
媒を含む、方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、
前記無機化合物は、ドープされている、方法。
【請求項22】
請求項20又は請求項21に記載の方法であって、 前記無機化合物は、酸
化スズを含む、方法。
✓ 確かに、1桁代にしても性能が向上しているのだろう。が、レアーアース
などの触媒での話である。耐触媒毒系の非貴金属元素での研究成果が待たれる。