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電力強靱化論Ⅰ

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12 顔 淵 がんえん
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内に省みて疾しからずんば、それ何をか憂え何をか懼れん」(4)
「君子敬して失うなく、人と恭しくして礼あらば、四海の内みな兄
弟なり」(5)「百姓足らば、君たれとともにか足らがらん。百姓
足らずば、君たれととも君、君たり、臣、臣たり、父、父たり、子、
子たり」(11)「君子の徳は風なり。小人の徳は草なり。草これに
風を尚うれば必ず催す」(19)
------------------------------------------------------------
20.子張がたずねた。
「われわれ士は、どうしたら世間から達人と評価されましょう」
「その達人とは、どういう内容かね」と、孔子がきき返した。
「自分の周囲はもちろん、国中に名が知られている人物のことです」
「名が知られている? それは有名人なだけで、達人とはいえまい。
達人とは実質内容をそなえていて、義に則って行動するものだ。人
の意見をよくきき、謙虚であって、相手の感情を害さない。それだ
からこそ、周囲はもちろん、国中の人から達人と認められるのだ。
だが、有名人はそうではない。表面いかにも仁者ぶるが、実際は売
込みばかりやっている。そして、それを疑おうとしない。周囲はも
ちろん、国中の人から有名人あつかいされるだけだ」

子張問、士何如斯可謂之達矣、子曰、何哉、爾所謂達者、子張對曰、
在邦必聞、子曰、是聞也、非達也、夫達者、質直而好義、察言而觀
色、慮以下人、在邦必達、在家必達、夫聞者色取仁而行違、居之不
疑、在邦必聞、在家必聞。

Zi Zhang asked, "What sort of person is called 'a master'?" C
onfucius said, "How do you think?" Zi Zhang replied, "I think
a master must have a good reputation both in his country and i
n his hometown." Confucius said, "Such a person is not a mas-
ter. He is just popular. I think a master must be honest, va-
lue justice, listen to others carefully, read others' faces
and be humble. He must do so both in his country and in his
hometown. A person who is just popular looks benevolent. But
his deeds differ from benevolence. He does not suspect his
inconsistency. He just has a good reputation both in his cou-
ntry and in his hometown."

       

【ポストエネルギー革命序論165】


世界初!実証222nm紫外線照射の安全性実証
皮膚がんなどの発症なし
3月29日 神戸大学らの研究グループは、高い殺菌力を持つ222nmの
紫外線(UV-C)を反復照射しても、皮膚がんが発症しないことを世
界で初めて実証し、ヒトの皮膚や眼にも安全であると報告した。今
後、医療や日常生活においてヒトへの直接照射による消毒・殺菌の
用途拡大など、幅広い応用が期待される。
【要点】
①世界で初めて、222nm紫外線(UV-C)を反復照射しても皮膚がんが
発生しないことを実証
②使用した222nm殺菌ランプにおける動物実験で、非常に紫外線に弱
いマウスにおいても皮膚および眼にはがんや白内障などの影響が全
く出なかった
③これまでヒトには有害とされた殺菌ランプをヒトに対して直接照
射できるようになり、医療や日常生活において殺菌やウイルスの不
活化の幅広い応用が期待される
【概説】
UVC(波長280~200nm)はオゾン層で吸収されるため、地表には届か
ないが。その強い殺菌力を人工的に活用するため、UVCの中でも波長
254nmを照射する殺菌ランプが開発され使用されている。その254nm
殺菌ランプは強い殺菌力を持つ反面、皮膚がんや白内障を生じさせ
るなど人体に対して有害性が強いことから、これまでは照射中はヒ
トが立ち入れない場所でのみ使用されてきた。

紫外線に対して非常に感受性が高く、野生型マウスに比べて約1万
倍皮膚がんになりやすいとされる色素性乾皮症A群モデルマウスに
対して222nm殺菌ランプを繰り返し照射し、皮膚と眼についての安
全性を検証。対照として、太陽光中の皮膚がんを起こさせる波長で
あるUVB(波長 280~315nm)を照射した群では、すべてのマウスに
皮膚がんができ、また角膜の損傷や白内障などの影響も広範に認め
られた。それに対して222nm殺菌ランプ照射群マウスでは皮膚がんが
全く出来ず、眼については島根大学(谷戸 正樹教授)の協力のもと
検証、顕微鏡での観察レベルでも全く異常が出なかった(上図)。

また、222nmが無害であった理由は、その深達度にあることが分かっ
た。皮膚においては、従来の紫外線が皮膚の表皮の基底層という一
番下層にまで到達し、細胞のDNAを損傷させてしまうのに対し、222nm
は角質細胞層という極めて表層の(垢になる)部分までしか到達し
ないため、表皮細胞のDNAを損傷させないことを解明。


⛨台風15号・19号の被害と電力レジリエンス
☈2019年、台風15号は、19地点で観測史上1位の最大瞬間風速を記
録するなどし、千葉県を中心とした広域に甚大な被害を与えた。こ
れに伴い、関東広域では最大約93万戸の停電が発生し、特に千葉県
内では送配電設備の被害が大きく、復旧作業に時間を要した。

【電力強靱化論Ⅰ】
電力自由化で新たに活性化する再エネ電力市場
多様な需要家の再エネ活用モデル
広域自然災害の停電時に住宅用太陽光発電の自立運転機能が活躍
過酷な災害時におけるネルギーの安定供給にかかわる課題が浮き彫
りになっている。企業における事業継続(BCP)の重要性を改めて見直
し、巨大災害時代における企業の備えと防災人材の育成が急務であ
る(以下、出典:環境ビジネス、2020年春季号)。

⛨近年、顕著な自然災害の発生回数は増加傾向にある
☈2018年には、福井県の豪雪、大阪府北部地震、西日本から中部地方、
北海道を含む広範囲で記録。平成30年豪雨、台風第21号・24号、平
成30年北海道胆振東部地震も発生。19年には、令和元年九州豪雨、
東日本を襲った令和元年台風第15号、19号では、強風と洪水による
未曽有の自然災害が続発し、これに伴う大規模停電も発生。台風15
号による千葉県内の大規模停電は長期化し、台風上陸後に約93万戸
が停電。台風襲来から1週間後にも約9万8000戸で停電が続き、市
民生活に甚大な影響が出た。東日本大震災の時でさえ、東電管内で
全面復旧に要した日数は9日間であったことから、今回の台風によ
る被害規模がどれだけ大きいかが分かる。災害発生時のエネルギー
の安定供給の重要性が再認識されるとともに、過酷な災害時におけ
る安定供給にかかわる課題が浮き彫りになった。☈北海道胆振東部
地震(2018年9月)によって発生した大規模停電(ブラックアウト)に
際し、太陽光発電システムを設置していた住宅は、蓄電池を併設し
ないケースでも約85%が自立運転機能を利用し、停電時に有効に活
用できたことが報告された。また、マスコミや SNSでは、地震発生
直後に北海道の地場コンビニ「Seicomart(セイコーマート)」の活動が
「神対応」と絶賛された。セイコーマートを運営するセコマの丸谷
智保社長は、11年の東日本大震災をきっかけに、セイコーマート全
1,100店舗に災害対応マニュアルを策定。地震発災直後はマニュアル
に基づき、本部社員や店舗スタッフが車から非常電源を確保し、停電
中も店舗を営業し続けた。店舗厨房のガス釜を使った「「塩おにぎり
」の炊き出し販売を行い、「停電中に温かい食事ができた」など感
謝された。この映像は、全国放送のTVで繰り返し放映され、全国
に知れ渡った。こうした顕著な自然現象の発生回数の増加、ならび
に未曽有の自然災害の頻発の事態を受け、政府は企業における事業
継続(BCP)の重要性を改めて見直し、「巨大災害時代における
企業の備えと防災人材の育成」(内閣官房国土強靭化推進)をスタ
ートさせている。

特集「再エネ100%実現への提言Ⅰ」
⛨自社の社屋や工場、店舗などの屋根に太陽光発電設備を設置し、
発電した電気を自社で消費
☈東海地方を拠点にスーパーマーケット・ホームセンター・ドラッ
グストア・スポーツクラブなどを店舗展開するバローホールディン
グス(岐阜県多治見市)は、2020年6月に「スーパーマーケットバロ
ー下恵士店」(岐阜県可児市)、「スーパーマーケットバロー三園
平店」(静岡県富士宮市)の2店舗にBCP機能を備えた太陽光発
電システムの第三者所有モデル(PPAモデル)を導入。☈再エネ利用
やEMSの省エネ機能により、C02排出量を抑制。また、自然災
害などによる停電が発生した際には、自動的に蓄電池から電力が供
給される系統に切り替わるため、非常時でも店舗運営を継続するこ
とができ、地域に食料品や生活用品を供給することが可能になる。
☈今回のPPAモデルは試行的に導入するもので、オリックスが、各
店舗に太陽光発電システム、リチウムイオン蓄電池、EMSを設置・
運営し、太陽光により発電された電力を各店舗に供給する。サービ
スのアレンジャーを中部電力が担い、太陽光発電のみでは賄えない
電力を店舗に供給する。本サービス料金の請求、回収業務も行う。



⛨PPAモデルの特徴
☈太陽光発電システムに加えて、容量20kWの(約25kWhを蓄えるこ
とができる)蓄電池を設置することで、BCP機能を備えたPPAモ
デルとなっている。そのため、自然災害などにより停電が発生した
際には、自動的に蓄電池から電力が供給される系統に切り替わり、
非常時でも店舗運営を継続することがでる。※一般的なPPAモデル
は、小規模(5kWh程度)の蓄電池を備えるケースもあるが、今回のよ
うなBCP機能を備えたケースは目新しい取り組みである。

⛨PPAモデルを導入する目的・狙い
クリーンエネルギーの地産地消やBCP対策に積極的に取り組むこ
とで、オリックスは、脱FIT化において分散型エネルギーの確立に
一層注力でき、中部電力は、需要家ニーズである、太陽光発電設備で
発電した電気を自家消費することで環境負荷を低減したい、災害時
の非常用電源として活用したい等に応える新たなサービスを構築し
ていく。バローホールディングスは、再エネの利用やEMSの省エネ機
能により、大幅にC02の排出量を抑制することが期待できる。併
せて、自然災害などによる停電が発生した際には、自動的に蓄電池
から電力が供給される系統に切り替わるため、非常時でも事業を継
続することが可能になり、当該店舗の近くに住む顧客に、安定的に
食料品や生活用品を供給することができるようになる。☈契約期間
は2020年6月~30年5月(10年間)で、契約終了後、オリックスが設置・
運営する。太陽電池、蓄電池、EMSはバローホールディングスヘ譲
渡される。☈首相官邸「国土強靭化」➲インフラの強靭化に関する
緊急対策平成30年北海道胆振東部地震によって北海道全域の大規模
停電(ブラックアウト)が発生した。電力供給の強靭化に向けて、
供給力・予備力の確保や地域関連系の強化等に加え、電力・ガス、
燃料の安定供給や、サプライチェーン上重要な事業所・工場、生活
必需品の生産拠点等の経済活動が継続できるよう、約55万kW分の自
家用発電設備や蓄電システム、省電力設備の導入等を支援するとと
もに、情報共有システムを構築する。(経済産業省)再エネ・蓄エ
ネ設備等の設置(公共施設47都道府県等の避難所約250ヵ所(避難所
のよう
な公共施設で、災害時等にエネルギー供給途絶によって、避難所等
としての機能発揮しない恐れが高い施設)に、再エネ・蓄エネ設備等
を設置(公共施設)(民間施設避難所に設置した太陽光発電)。(
けた電力レシリエンス小委員会」中間整理2019年8月より)

電力供給会社の今後の展開
今後、電力供給会社は、再エネなどの分散型電源や蓄電池の普及な
どにより、個人間や個人と企業間での取引など電力取引の形態が多
様化していくと予想される中で、従来型の電力会社から需要家へ、一
方的に電力を販売するモデルにとらわれない、新しい取引の形を模
索していく必要がある。そのため、中部電力では、本試行を踏まえ、
BCP機能を備えたPPAモデルの検証を行い、展開を検討していきた
いといしている。なお、中部電力は既に19年2月に太陽光発電設備
のみの自家消費サービス「太陽光発電の自家消費サービス」を開始
している。

再エネ100%を目指す需要家からの提言
再エネ導入が加速する企業にあって担当者が直面している悩み、課
題。脱炭素を進めるための選択肢は多種多様であるが、再エネ100
%依存で目標を達成するのは現実的には不可能である。(出典:以
下、出典:環境ビジネス、2020年春季号)

エネ利活用の向き合い方について」アンケート調査結果
SDGsやESGへの対応、脱炭素経営の推進等で、企業の再エネ電力ニ
ーズが急速に高まっている。「RE100」や「SBT」への参加企業も急速に
増えてきた。環境ビジネス編集部では、エネルギー導入・管理の担
当者に現状を伺った。アンケート送付先(環境ビジネス誌の会員、
セミナー参加者等/355件)資本金:10億円以上の事業者、担当者の所
属部署:環境/CSR・CSR推進/総務/経営戦略・経営企画/管
理/サステナビリティ推進/安全環境/購買/設備管理)。アンケ
ート期間2020年2月17~20日(e-mail調査)

☈自らの事業で使用する電力を100%再エネで賄うことを宣言する
「RE100」に参加する企業は、単に電力を再エネに転換するだけでな
く、経済合理性を追求し他の電源よりも安く調達することや、再エ
ネヘの取組みを顧客と共有し、支持を獲得する機会とするなど、競
争力強化につなげていく狙いがある。一方、日本の再エネの発電コ
ストは他の電源方式よりも割高で、調達する選択肢も限られた状況
にある。他の電源に比べ価格等で競争力のある再エネの実現と再エ
ネの大規模な普及のためには、まだ多くの課題がある。☈RE100に
加盟する企業は、政府による適切で迅速な政策導入による再エネの
事業環境整備に、総動員することを求めている。具体的には、再エ
ネ比率50%を実現可能とする送配電網整備や需要家と発電事業者の
直接電力購入契約(PPA)等、再エネの調達手段の多様化である。

技術及び投資を動員しビジネス環境を改善することの重要性
経団連は、「経団逓伝炭素社会実行計画」2019年度フォローアップ
結果総括編<2018年度実績>速報版(2019年11月19日)にて、脱炭素
社会の実現に向けて、各国の英知を結集し、民主導の非連続なイノベ
ーションを創出するとともに、国際社会の協力とあ技術及び投資を


動員しビジネス環境を改善することの重要性
☈経団連は、「経団逓伝炭素社会実行計画」2019年度フォローアップ
結果総括編<2018年度実績>速報版(2019年11月19日)にて、脱炭素
社会の実現に向けて、各国の英知を結集し、民主導の非連続なイノベ
ーションを創出するとともに、国際社会の協力とあらゆる主体によ
る行動が不可欠であるとしている。☈昨年6月のG20大阪サミットで
は、20カ国が技術革新を通じて「環境と成長の好循環」を加逓させるこ
と、そのために世界中からベストプラクティスと知識を集め、公的
及び民間の資金、技術及び投資を動員し、ビジネス環境を改善する
ことの重要性を共有している。こうしたもとで、わが国経済界は引
き続き、実行計画の取組みを通じて、国内での事業活動におけるC
02削減、ならびにグローバルに広がるバリューチェーンを通じた
地球規模での削減への貢献、革新的技術・イノベーションの創出に
取組んでいくとしている。☈ 併せて、経団連は、2018年10月より、
2050年といった長期を展望した取組み姿勢を示すべく、会員企業・
団体に対し、「長期温暖化対策ビジョン」の策定を呼びかけている。
らゆる主体による行動が不可欠であるとしている。☈ 昨年6月の
G20大阪サミットでは、20カ国が技術革新を通じて「環境と成長の好
循環」を加逓させること、そのために世界中からベストプラクティ
スと知識を集め、公的及び民間の資金、技術及び投資を動員し、ビ
ジネス環境を改善することの重要性を共有している。☈ こうした
もとで、わが国経済界は引き続き、実行計画の取組みを通じて、国
内での事業活動におけるC02削減、ならびにグローバルに広がる
バリューチェーンを通じた地球規模での削減への貢献、革新的技術・
イノベーションの創出に取組んでいくとしている。併せて、経団連
は、2018年10月より、2050年といった長期を展望した取組み姿勢を
示すべく、会員☈企業・団体に対し、「長期温暖化対策ビジョン」の策
定を呼びかけている。

☈19年10月末時点で、86の企業・団体がビジョンを策定・公表済みで
あり、176の企業・団体が策定に向けた検討を行っている。経団連は、
実行計画はもとより、長期も見据えた企業による主体的取組みを推
進し、「環境と経済の好循環」の実現に取り組んでゆく。☈期待は
大きいが実効性が課題: 経済産業省産業技術環境局が開催してい
る「産業構造審議会産業技術環境分科会」第8回(2019年7月4日)
で、同分科会委員の筑波大学名誉教授内山洋司氏は、2050年までに
C02排出量を80%削減する目標を達成するために国はイノベーシ
ョンを通じて実現していくとしているが容易でないと指摘している。
戦略に示されている対策は、発電部門に偏っていると分析している。
日本のC02排出量は、一次エネルギー供給ベースで11.29億トン(
2017年度)であるが、そのうち発電部門が占めている割合は49%で、
残りの51%は発電以外のエネルギーによるものである。政府が掲げ
る実質ゼロの脱炭素社会を実現するためには、電力の脱炭素化だけ
では不十分で、電力以外で消費しているエネルギーのゼロ炭素化も
重要になる。☈ 日本は欧州と違い島国で国土面積が狭いために、
再エネの経済的なポテンシャルは小さい。経済的に導入できる水力
発電はほぼ開発されている。国土の7割を占めている森林は、険し
い地形からバイオマス資源として利用することが難しい。山が多く
地形が複雑なため風力開発は容易でない。台風や地震が多いため太
陽光発電の設置には強固な基礎と架台が必要になる。再エネを無理
に導入すれば、大きな経済負担が伴う。



2030年までに30%削減する目標ですらその達成が危ぶない
☈脱炭素社会の実現に向けて、従来の取組の延長でない「非連続な
イノベーション」による環境対策と経済成長の両立を図っていくた
めには、「最先端の技術を創出するイノベーション」と併せて、技
術を社会実装していく「実用化・普及のためのイノベーション」の
推進が不可欠になるという。しかし、イノベーションを興すのであ
れば、エネルギー企業のコスト削減努力も必要になる。国家財政が
大幅な赤字になっている現状において、政府はどこまで経済的リス
クを負えるのか。その代替案として民間企業によるESG投資の拡大
を主張しているが、内部留保が多い企業が金融機関の支援でどれだ
け脱炭素ビジネスに投資するか期待値は低いと言わざるを得ない。
☈脱炭素ビジネスは、実用化過程で他のビジネス以上に厳しい現実
が待っている。それは付加価値が付け難いエネルギー財特有の問題
である。☈高度な発電技術で生産した電力であっても、いったん、
電力系統に流されれば、他の在来発電技術と同じ電気になってしま
う。また、エネルギー市場の拡大の見通しがあれば、企業はリスク
を受け入れて投資するであろうが、省エネの推進や産業のサービス
化、それに少子高齢化の進展によって、エネルギー需要の伸びが低
下しており、エネルギー市場は縮小している。☈一方で、エネルギ
ー産業の自由化で、企業間の競争が激化している。とはいえ、エネ
ルギー企業にとって経済的リスクを負う余裕はない。脱炭素ビジネ
スの今後は当面、内部留保が多い企業と金融機関のESG投資の実
現性にかかっている。

再エネ利活用の実態は急ごしらえの感が否めない
企業はSDGsやESGへ向き合うことが求められ、脱炭素経営、再エ
ネ電力へのニーズが急速に高まっている。「RE100」や「SBT」への参加
企業も急速に増えてきた。このような再エネ需要拡大の企業にあっ
て、エネルギー導入・管理の担当者は、再エネ電力や脱C02電力の
調達に向け、満足いく計画、選択、導入が行われているのか。弊誌
「環境ビジネス」の読者、「環境ビジネスセミナー」参加者に伺っ
た(アンケート送付先・N=355件、2020年2月中旬実施、資本金10
億円以上、所属部署:環境/CSR・CSR推進/総務/経営戦略・
経営企画/管理/サステナビリティ推進/安全環境/購買/設備管
理他)。結果は、多くの企業で現在、脱炭素経営、電カレジリエンス・
BCP構築等で、C02排出ゼロ電力である再エネ電力の利活用に
取り組んでいることがわかった。再エネ利活用の導入・実施に向け
ては、対応策の選択肢が多様なものの、比較の難しさから、実務担
当者にとっては、満足のいく選択が行われていない現状があるよう
である。  
                                    
⛨世界を迎えつつある事業者単位の省エネエネルギーミックス(長
期エネルギー需給見通し)では、さらに、年 1.7%の経済成長を前提
としつつ、2013年度を基準年として、2030年度のエネルギー需要を
対策前と比べて原油換算で 5,030万KI程度削減するという見通しが
示されている。これを実現するためには、エネルギー消費効率(最終
エネルギー消費量/実質GDP)を35%程度改善する必要がある。こ
の改善率は、オイルショック後の20年間の水準に相当します。省エ
ネが進んでいる現状において達成することは、きわめてハードルが
高い。

緊急事態宣言下でも半導体工場は事業継続可能
4月7日、日本政府は、新型コロナウイルスを巡る緊急事態宣言時に
事業継続が求められる事業者の対象として、半導体工場を追加指定。
これはSEMIジャパンが、政府に対し、宣言時でも半導体/製造装置
/材料の製造に関して事業継続できるよう働きかけを求めていたも
の。SEMIジャパンは「サプライチェーンに与えるリスクを少しでも
緩和する一助になったと考えている」としている。

7日に開催した新型コロナウイルス感染症対策本部では、「新型コ
ロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」の改定が行われたが、
この中の「緊急事態宣言時に事業の継続が求められる事業者」の1
つに半導体工場が加えられた。政府は、「製造業のうち、設備の特
性上、生産停止が困難なもの」と説明しており、「三つの密」を避
けるための取り組みを講じたうえで事業の継続を求めている。SEMI
ジャパンは、経済産業省に今回の要請に至る背景や、要請内容を直
接伝えていたという。SEMIは、「半導体に関する各工場が今回の宣
言によって活動停止することが、世界のエレクトロニクス製造産業
に深刻な影響を与えることになり、製造サプライチェーンに混乱を
もたらし、経済および未来の国民全体の生活に影を落とすリスクが
高い、と書簡や協議の場で強調した」と説明。また、「現在各国政
府は、国民の生活の保護と経済的打撃の抑制の両立をバランスさせ
る難しいかじ取りを行っている。各種政策や関係企業の尽力により、
必要最善の対策が取られサプライチェーン分断の最悪の事態は回避
されているが、ウイルスとの闘いが長期化すると新たな課題が生じ
る可能性が考えられる。SEMIはグローバルで各政策立案者と協力し、
今後のこうした課題に対して、各種情報を収集し、関係企業の声に
耳を傾け、健全なサプライチェーンの維持に向け最善の道を模索し
続けていくとも述べる。(出典:緊急事態宣言下でも半導体工場は
事業継続可能 - EE Times Japan、2020.04.10)

4月10日、中国工程院の鐘南山院士は韓国の新型コロナウイルス
感染防疫専門家とオンライン会議を実施した際、世界の防疫対策に
ついて、新型コロナウイルスが人体内で生存しやすい状態に変異し
ていることと、欧米諸国の政府の感染拡大防止抑制に対する態度の
2点について指摘し、中国新聞網が報じている。
【要約】
①新型コロナウイルスは既に突然変異を起こして人体で生存しやす
い状態になっており、伝播力が非常に強く、致死率がインフルエン
ザの20倍以上になっているという問題を重視する必要がある。
②欧米諸国の態度について、どの国で爆発的流行が起きていても、
世界中が安心することができず、封じ込めたとは言えないとし、世
界が共に努力し、共にワクチンを研究しなければ、本当の意味で新
型コロナウイルスを封じ込めることはできないと強調。(「人民網
日本語版」2020年4月11日)

4月9日、国際データベースに登録された160例の新型コロナウ
イルスの全遺伝情報(ゲノム)を解析、変異パターンが3種類に大
別されることが分かったと英ケンブリッジ大などの研究チームが発
表。それによると、変異パターンが病状や感染力に関与していれば、
最適な治療法を探ったり、ワクチンを開発したりする上で役立つ可
能性がある。新型コロナウイルスはもともとコウモリが宿主とみら
れ、ウイルスのリボ核酸(RNA)の塩基配列について、変異パタ
ーンをABCの3種類に大別すると、中国のコウモリに近い①Aは
中国や日本の感染者でも見つかったが、米国やオーストラリアの感
染者が多かった。②Aから変異したBが武漢市を中心として中国や
近隣諸国で爆発的に増えたとみられ、欧米などに飛び火した例は少
なかった。③Bから変異したCはイタリア、フランス、英国など欧
州で多かった。ただ、解析したのは昨年12月下旬から今年3月初
めまでに感染者から採取され、国際データベース「GISAID」に
登録されたウイルス。その後、感染者が世界的に急増しており、A
BCのパターン別分布は変化している可能性がある。また、感染者
から採取した初期のウイルスでさえコウモリから大きく変異してい
た。人に感染して重い症状を引き起こすようになった過程を探るに
は、昨秋以前の感染例を見つけるか、コウモリと人の間の中間宿主
のウイルスを解析する必要があると考えられる。 

●今夜の寸評:引き寄せられた中国禍
鐘南山氏が変異しているという情報と米国の感染者184万と世界
一との速報を目にし、最悪のシナリオが引き寄せことを想像する。
ウイルス・パンデミック+異常気象(洪水・干魃・自然火災・害虫
大量繁殖)+地震+火山噴火)+恐慌➲紛争・戦争の激化➲難
民➲という複合的災害シナリオである。ならばどう対応すべきか。


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