彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる "招き猫”と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え
(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編
成のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクター。愛称
「ひこにゃん」
14 憲 問 けんもん
--------------------------------------------------------------
「士にして居を懐(お)うは、もって士となすに足らず」(3)
「貧にして怨むことなきは難く、富みて馴ることなきは易し」(11)
「古の学者はおのれのためにし、今の学者は人のためにす」(25)
「君子は、その言のその行ないに過ぐるを恥ず」(29)
「人のおのれを知らざるを患えず。おのれの能無きを患う」(32)
--------------------------------------------------------------
34 微生畝びせいほが、孔子の生き方を批判して言った。
「丘のやつ、諸国をうろつきまわるのはやめたらどうかな。弁舌をひ
けらかしているとしか思えないが」
それを伝えきいて、孔子は言った。
「弁舌をひけらかすのが目的ではない。政治家どもの独善性が我慢な
らないのだ」
〈微生畝〉 未詳。「丘」と孔子の名を呼んでいるので、孔子の先輩
にあたる隠者とも推測されている。
微生畝謂孔子曰、丘何爲是栖栖者與、無乃爲佞乎、孔子對曰、非敢爲
佞也、疾固也。
Wei Sheng Mu said to Confucius, "Why are you so busy? Are you
trying to fawn on the people?" Confucius replied, "I'm not
fawning on the people. Because I hate to be stubborn."
・米国の新型コロナ死者数、ベトナム戦争を上回る
過去の戦争との比較で見えてくる新型コロナの恐ろしさ----そのほか、
過去の戦争での死者数と比較してみると、新型コロナの恐ろしさが見
えてくるという。(今年5月1日時点)
・新型コロナ クラスターの関西大学で1500人自宅待機
・米ファイザー 日本で臨床試験
❐ ポストエネルギー革命序論 217:アフターコロナ時代㉚
♘ 現代社会のリスク、エネルギー以外も「分散の時代」
燃料電池トラック、2022年に物流業務に実証導入
10月13日、アサヒグループホールディングス、西濃運輸、NEXT
Logistics Japan(NLJ)、ヤマト運輸、トヨタ自動車、日野自
動車ら6社が、燃料電池大型トラックの走行実証を行うことで
合意したと発表。2022年春頃から走行実証を開始する。今回の
取り組みは、国内商用車全体のCO2排出量の約7割を占める大型
トラック領域におけるCO2排出削減を目指すもの。FC大型トラッ
クはトヨタと日野が共同で開発し、アサヒグループ・NLJ、西濃
運輸、ヤマト運輸、トヨタの5社が、2022年春頃から各社の物流
業務で実証走行を行う。開発するFC大型トラックは、「日野プ
ロフィア」(FR1AWHG)をベースとする25トンの車両を想定。新
たに開発する大容量の高圧水素タンクを搭載し航続距離は600k
mを目指して開発を進める方針。幹線輸送に使われる大型トラッ
クは、十分な航続距離と積載量、短時間での燃料供給が求めら
れる。その電動化においては、エネルギー密度の高い水素を燃
料とする燃料電池システムが有効であり、環境性能と商用車と
しての実用性の高次元での両立を目指す。
2020年10月21日発行(Vol.20,No.43)
10月17日土曜日にMEGA地震予測の「号外」を配信。内容は下記のとお
り。 速報 「北信越地方でおよそ3週間以内に震度5弱以上の地震が起
きる可能性があります。警戒してください。長野県茅野市にあります
プライベート電子観 測点に現在非常に大きな異常が出ています。これ
まで北信越地方は急激な 隆起と沈降などの高さ方向の異常に加え、
水平変動の向きが異なる点が現 れておりますので 要警戒を継続して
います。」 号外の配信理由を下記に記します。 1.長野県茅野市に設
置したプライベート電子観測点に非常に大きな異常変 動が現在も現
れています。下図1をご覧ください。電子観測点では3次元の地 表の
動きをほぼリアルタイムで捉えております。 観測点の位置を地球の
中心を0点としてXYZの3次元座標値で表しております。 更に高さを表
すHの値も捉えております。今回Xは大きくマイナスとなり、YとZおよ
びHは大きくプラスとなりました。プライベート電子観測点を設置し
て3年以上経過しますが、このような値になったのは初めてであると
のことです。
2. MEGA地震予測でも報じたように北信越地方は最近急激な隆起と
沈降が特定の地点で現れています。茅野に近い「高遠」および「塩
尻」でも現れており、特に「高遠」は9月30日号で1cm以上急激に隆
起、 10月7日号で急激に沈降したことをお伝えしておりました。極
めて不安定と言えます。 以下は、MEGA地震予測に記載した北信越
地方の最近の変動をピックアップしたものです。また、9月30日号
のミニプレート図に今週の震度3以上の地震の震源地を加えたもの
を掲載いたします。 ミニプレートの境界部分はひずみが溜まり、
震源になったり地震発生時に揺れが大きくなる可能性があると考え
ております。ご留意ください。
9/16 5cm以上の週間高さ変動が石川県、富山県、岐阜県北部に5点ま
とまって現れています。 群馬県の「南牧」はこの1週間で1.5cm以上
急激に沈降しました。 新潟県の「塩沢」および群馬県の「片品」は
8月初めに沈降して以降、不安定な高さ変動を繰り返しながら急激に
隆起しています。 新潟県周辺にひずみが溜まり始めていると考えら
れます。 水平変動が石川県、富山県、福井県に活発に見られます。
9/23 この1週間で1.5cm以上急激に隆起した点が長野県の「塩尻」、
岐阜県の「南濃」に現れました。 新潟県に東南東方向、石川県能登
半島に東方向の水平変動が活発に見られます。 茅野のPv 観測点に異
常が出ています。 9/30 北信越地方は隆起と沈降が相半ばしています。
この1週間で1cm以上急激に隆起した点が群馬県の「南牧」および長野
県の「高遠」に現れました。北信越地方の北部は南東方向の水平変動
が活発に見られますが、南部に行くに連れて南南東方向に変化し、太
平洋岸域に至ると南方向に向きが変化しています。このエリアはミニ
プレートごとに異なる水平変動をしています。(ミニプレート図参照
) このエリアは徐々にひずみが溜まっていると考えられます。 10/7
北信越地方は沈降傾向です。 前週と比べて1cm以上急激に沈降した点
が長野県の「高遠」、福井県の「福井小浜」、石川県の「白峰」に現
れました。北信越地方の日本海側はほぼ南東方向の水平変動がやや活
発に見られます。茅野のPv 観測点に異常が出ています。 10/14 北信
越地方は概ね隆起傾向です。北信越地方は全域で南南東方向または南
方向の水平変動が活発に見られます。長野県の「長野栄」および群馬
県の「嬬恋」に大きな水平変動が出ています。また新潟県の佐渡島も
水平変動が活発です。 このエリアは不安定です。
📚 今夜の読書メモ:新しい実在論とはなにか
本格的に哲学を論じた著書が日本で異例の売れ行きを見せた“哲学界
の新星”が来日。滞日記録をまとめて大好評となったNHK番組「欲
望の時代の哲学」を書籍化!あのガブリエルが、誰にでも分かる言葉
で「戦後史」から「日本」まで語りつくす!彼が日本で感じた「壁」
とは?フェイクニュース時代になぜ哲学が有効なのか?世界的ロボッ
ト工学者・石黒浩氏とのスリリングな対論も収録されたれている。先
ずは1冊めの『マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学する』は、「
欲望の資本主義」「英語でしゃべらナイト」「爆問学問」「ニッポン
のジレンマ」「人間ってナンだ?超AI入門」「ネコメンタリー」な
ど、異色の番組を次々と世に送り出してきた敏腕プロデューサー丸山
俊一の手による、ドイツの若き天才哲学者マルクス・ガブリエルのド
キュメンタリー番組「欲望の時代の哲学~マルクス・ガブリエル 日本
を行く~」を、一冊の本にまとめたものである。 本書の主役であるガ
ブリエルは、2009年に29歳の若さでボン大学の哲学科教授に就任した、
ポスト構造主義(ポストモダニズム)以降の「新実在論(new realism)
」の旗手として、今、世界で最も注目されている「哲学界のロックス
ター」。ドイツ語、英語、イタリア語、ポルトガル語、スペイン語、
フランス語、中国語のみならず、古代ギリシャ語、ラテン語、聖書ヘ
ブライ語などの古典語にも精通しており、2013年に刊行した『なぜ世
界は存在しないのか』(原題:Why the World Does Not Exist)は、
哲学書としては異例の世界的ベストセラーとなっている。
☈NHK出版新書 マルクス・ガブリエル 危機の時代を語る
丸山 俊一/NHK「欲望の時代の哲学」制作班【著】
【目次】
1章 コロナ危機と新自由主義の終焉―マルクス・ガブリエル緊急イ
ンタビュー
☈コロナショックで浮かび上がった危機
新型コロナウイルス、COVID- 19 は現代の世界秩序の発展の形
を根本から変える。これまで「近代」の枠組みの中で経験してきたど
の出来事とも異なるのですから。いま目の当たりにしているのは、「
新自由主義」の終焉。新自由主義、}連帯や国家、組織の構造を純粋
な市場戦略によるシステムに置き換えることができるとする経済概念。
そのシステムはまさにコロナウイルスに直面して、ひどく機能不全に
なるのです。というのも生物学的な構造は、経済的な構造とは完全に
異なるモデルに依存するから。新型コロナウイルス、COVID- 19
は現代の世界秩序の発展の形を根本から変える。これまで「近代」の
枠組みの中で経験してきたどの出来事とも異なるのですから。いま目
の当たりにしているのは、「新自由主義」の終焉です。新自由主義は
、連帯や国家、組織の構造を純粋な市場戦略によるシステムに置き換
えることができるとする経済概念でした。そのシステムはまさにコロ
ナウイルスに直面して、ひどく機能不全になるのです。というのも生
物学的な構造は、経済的な構造とは完全に異なるモデルに依存する。
デジタルの変革を加速させるべきだという考え方には、心底異議を唱
えたいと思う。たとえば学習システム、従来の大学での学びのスタイ
ルをオンラインに切り替えるなど、人間のコミュニケーションを遠隔
通信に取り替えるべきだという考え方です。人類にとって悲惨なこと
になるでしょうし、機能しないでしょう。というのも技術的なインフ
ラがこの新たな必要性に対応できていない。どうやって私たちは医学、
自然科学、哲学といった学問をオンラインで行うことができるのか?
新自由主義の空想による「不可能な回帰」に過ぎません。現実にはな
らないでしょう。単なる幻想です。現在グローバル資本主義はすべて
のプロセスの速度を緩めることで、むしろ加速にあらがっています。
さらなる攻撃に対し準備をするためです。その意味で、グローバル資
本主義が新自由主義的秩序の後にただ幕を閉じると考えるのは幻想で
ある。世界中で現在起きているのは、国民国家への容赦ない回帰です。
ヨーロッパは外部の、そして内部の国境を閉じています。そして突然、
多くの人々が生物学的な現象に対応する唯一の方法は古い国境を復活
させることだと思い始めている。グローバル資本主義は加速によっ
て破滅に向かいかねないもの。完全な破滅に、です。だから、私たち
は減速している。これ自体は経済的な概念の一部ですが、この減速の
間に、新しい哲学の形を生み出すことが重要です。いま、資本主義の
システムは再生に向けて準備をしているところである。現在、私たち
には新しい方法で自己を理解し始めるチャンスがある。ローカルの現
象、ローカルな形の協力が新しい役割を担い始めることになる。真の
民主主義の復活のチャンスもある。真の民主主義はネットやソーシャ
ルメディアの活動の中では起こらない。地上で起きるものです。これ
が、資本主義システムが社会的距離(ソーシャル・ディスタンス)の
新しい形を生み出し続けようとしている理由の一つなのです。私たち
が自身のコミュニティーの中にとどまるよう強制されるのと同時に、
人々が集まって、異議を唱えるような集まりが阻まれているのです。
2章 「すべてがショー」というファンタジーを生きる―カート・ア
ンダーセン×マルクス・ガブリエル
3章 人文知なき資本主義は破綻する―クリスチャン・マスビアウ×
マルクス・ガブリエル
4章 科学主義的唯物論を乗り越える―デイヴィッド・チャーマーズ
×マルクス・ガブリエル
5章 ドイツ哲学を読め!―ダニエル・ケールマン×マルクス・ガブ
リエル
6章 カラフルで複雑な民主主義へ―張旭東×マルクス・ガブリエル
ところで、編集工学者で著作書評家の松岡正剛は、彼を次のよう評し
ている。
新実在論のニューフェイスとして登場したガブリエルは、あらゆ
るものは存在するが、あらゆるものを規定する全体、つまり「世
界」だけは存在しないという表明で話題になったけれど、これは
ヘーゲル学が絶対者や絶対知によって世界を律したところ、そこ
をスポッと抜き去ったのである。
(1708夜『精神現象学』G・W・F・ヘーゲル
松岡正剛の千夜千冊
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さて一冊めは、『マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学する』は、
「欲望の資本主義」「英語でしゃべらナイト」「爆問学問」「ニッポ
ンのジレンマ」「人間ってナンだ?超AI入門」「ネコメンタリー」
など、異色の番組を次々と世に送り出してきた敏腕プロデューサー丸
山俊一の手による、ドイツの若き天才哲学者マルクス・ガブリエルの
ドキュメンタリー番組「欲望の時代の哲学~マルクス・ガブリエル
日本を行く~」を、一冊の本にまとめたもの。著者のガブリエルは、
2009年に29歳の若さでボン大学の哲学科教授に就任した、ポスト構造
主義(ポストモダニズム)以降の「新実在論(new realism)」の旗
手として、今、世界で最も注目されている「哲学界のロックスター」。
ドイツ語、英語、イタリア語、ポルトガル語、スペイン語、フランス
語、中国語のみならず、古代ギリシャ語、ラテン語、聖書ヘブライ語
などの古典語にも精通しており、2013年に刊行した『なぜ世界は存在
しないのか』(原題:Why the World Does Not Exist)は、哲学書と
しては異例の世界的ベストセラーとなっている。
「世界が存在しない」意味
ドイツのマルティン・ハイデガー(1889-1976年)に始まる「実在論
(realism)」は、第二次世界大戦後に、フランスのジャン・ポール・
サルトル(1905-1980年)らの「実存主義(existentialism)」に受
け継がれ、様々な国の運動として広がった。これは、人間の実存(事
物一般が現実に存在することそれ自体)を哲学の中心に置く思想的立
場であり、これを一言で表現すれば、「実存(existentia)は本質(
essentia)に先立つ」ということである。この考えは、キリスト教な
どにおける、人間には本質(魂)があり生まれてきた意味を持つとい
う宗教的な考えを真っ向から否定するものである。第二次世界大戦で
すべての意味が破壊される悲惨な状況を見て、人々は神が人生に意味
を与えてくれなかったことを悟り、「自分の人生以外に、自分の人生
に意味を与えるものは何ひとつない」、まず、あなたが存在する。そ
して、人生に意味を与える」と考えるようになった。その後、1960年
代に入ると、実存主義は、クロード・レヴィ=ストロース(1908-2009
年)、ジャック・ラカン(1901-1981年)、ミシェル・フーコー(1926-
1984年)などの「構造主義(structuralism)」による厳しい批判に
さらされ、それに取って代わられるようになる。構造主義によれば、
自分の主観は、自分を取り巻く文化的な価値観、家族、育った場所な
ど、様々な要素からできあがった構造に依拠しており、それが人生に
意味を与えるのだとされる。構造主義の祖・社会人類学者のレヴィ=
ストロースが、世界各地の神話に共通で普遍的な構造が存在すること
を発見したことを契機としており、構造主義はそれを研究対象とし、
そうした構造が何であるかを見つけ出そうと努めた。更に、これへの
反動として、1960年代後半から 70年代後半のフランスにおいて、静
止的な構造を前提とする構造主義に対し、近代的な物語を解体し、「
脱構築(deconstruction)」しようとしたジャック・デリダ(1930-
2004年)に始まる「ポスト構造主義(post-structuralism)」(ポス
トモダニズム)が興る。
それ自体で完結した、時間の流れや歴史的な変化を考慮しない構造を
分析しようとする構造主義は、生成や変化といったリアルタイムで進
行しつつある出来事を扱い得ないものとして批判されるようになり、
ポスト構造主義は20世紀の哲学全体に及ぶ大きな潮流となった。しか
しながら、その後、世界の歴史は、1989年のベルリンの壁崩壊とそれ
に続く東西ドイツの再統一、ソヴィエト連邦の崩壊という大きな転換
点を迎えることになる。こうした大転換期を経て、当時は自由民主主
義こそが人類の平和と繁栄を実現するための唯一の選択肢であり、希
望でもあるように思われた。ところが、2001年の同時多発テロ、2008
年の国際金融危機(リーマンショック)へとつながっていくことで、
人類がよって立つ、資本主義と自由民主主義という世界を支える二つ
の概念が大きく揺さぶられる中で生まれたのが、ガブリエルが主導す
る新実在論である。実存主義にせよ、構造主義にせよ、ポスト構造主
義(ポストモダニズム)にせよ、その根底にあるのは、社会構造とい
うのは人々が共同行為によって作り上げている夢のようなものであり、
そこには当初から意味を持った現実など何もないという理解である。
こうした前提に基づいて、人々は1960年代から1980年代にかけて、第
二次世界大戦やベトナム戦争のような社会を抑圧する大惨事から逃れ、
皆が自由になるために社会をどのように変えられるだろうかと構想し
たのである。そして、こうしたポスト構造主義(ポストモダニズム)
の思想が経済体制として結実したのが、今のネオリベラリズム(新自
由主義)であり、更に、この社会的現実など何もないのだというポス
トモダニズム的な思考を、政治の世界に持ち込んで大成功したのが、
第45代アメリカ合衆国大統領ドナルド・トランプなのである。(哲学
界のロックスターが語る「世界が存在しない」意味、 週末はこれを
読め!、 ダイヤモンド・オンライン)
ポストモダニズム以後、こうした対立が解決できないまま残され、特
に人文学においては、科学的世界像も含め、「あらゆるものは幻想で
ある」という相対主義的傾向が強まり、それへの批判が繰り返し行わ
れてきた。こうした半世紀にもわたってくすぶり続けてきた哲学上の
難問に挑んだのがガブリエルであり、それが故に彼の発言が今最も注
目されているのである。ここで、ガブリエルの『なぜ世界は存在しな
いのか』で言うところの「世界は存在しない」の意味が明らかになる。
「世界」とは、実在のすべてを包括する最大の集合を意味するのだと
すれば、実在的視点は際限なく増加するから、そのような包括はでき
ないということである。ガブリエルの新実在論は、「存在する」とい
うことを「意味の場に現象する」ことととらえているという意味で、
新しい実在論ということができる。他方で、こうした無限の意味の場
をすべて包摂する意味の場(世界)は存在しないという意味で、無世
界観を唱えているのである。一方は様々だという相対主義だけならま
だ「認識論(epistemology)」の内側にとどまるが、ガブリエルはこ
のように、存在論(ontology)」にまで相対化を徹底しているのであ
る。こうしてガブリエルは、特定の意味の場を特権化し、自然科学こ
そが唯一実在にアクセス可能だとする、世の中で広く支持されている
科学主義の立場にNOを突きつける。そうした科学主義は、特定の「意
味の場」を特権化しているからだ。非科学的な実在性もあるし、ファ
ンタジー的な実在性もあるが、この主張には少なからぬ人々が反発す
るのではなかろうか。見方はいろいろだという相対主義ならばまだ「
認識論的」だったわけだが、ガブリエルはさらに「存在論的」に相対
主義を徹底している、そんなバカなことがあるかと。ガブリエルの哲
学は、ファシズム批判の哲学でもあると思う。ひとつの特権的な「意
味の場」の覇権を拒否し、複数性を擁護するという意味において。そ
れは、戦後ドイツの歩みを隠喩的に示しているとも言えるかもしれな
いと解釈される。(半世紀もくすぶっていた難問に挑んだ「天才哲学
者」驚きの論考(千葉 雅也) 、現代新書、講談社)。
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「世界で最も注目を浴びる天才哲学者」と呼ばれるマルクス・ガブリ
エル。すべてがフラットになり、あらゆる情報が氾濫し、何が真実な
のか、真実など存在するのかわからなくなった現代を、彼はどう見て
いるのか。日本の読者に向けて行われた独占インタビューを基にした
マルクス・ガブリエルの最新作『世界史の針が巻き戻るとき~「新し
い実在論」は世界をどう見ているか』から一部を抜粋して、世界が直
面している危機に対する意見を傾聴する。(マルクス・ガブリエル、
訳/大野和基)
GAFA(Google・Amazon・Facebook・Apple)は、 今や世界を統治
しているとも言える。すべてがフラットになり、あらゆる情報が氾濫
し、何が真実なのか、真実など存在するのかわからなくなった現代を
どう見ているのか。マルクス・ガブリエルの最新作『世界史の針が巻
き戻るとき~「新しい実在論」は世界をどう見ているか』(抜粋)し、
世界が直面する危機に関するインタビューに次のように答えている
「日本はソフトな独裁国家」天才哲学者マルクス・ガブリエルが評す
るワケ 、ニュース解説、 ダイヤモンド・オンライン)。
ガブリエルの新実在論のポイントは、「本質主義(essentialism)」
(個別の事物は必ずその本質を有し、それによりその内実を規定され
ているという考え方)対「相対主義(relativism)」(認識や価値は
その他の見方と相対的関係にあるという考え方)という対立の図式か
ら抜け出す第三の道を開くことである。この点について、立命館大学
大学院准教授の千葉雅也による『半世紀もくすぶっていた難問に挑ん
だ「天才哲学者」驚きの論考』の解題がわかりやすいので、その一部
を紹介している。
そこでガブリエルはこう論じる。「Aのパースペクティヴにおける富
士山」と「Bのパースペクティヴにおける富士山」があるのは確かな
のだが、それはたんに主観的な構築なのではない、それぞれに実在的
なのだ。というのは、物事の実在はそもそも、特定の「意味の場」と
切り離せない。以上の場合では、「Aから見る」、「Bから見る」とい
うのが「意味の場」の形成であり、富士山の実在性はそれに依存して
いる。では、富士山「自体」はどうかと言うと、富士山「自体」とは、
諸々の実在的なパースペクティヴの交差のことなのである―「意味の
場」から完全に孤立しているような富士山「自体」は考えようもない。
これは、非常に民主的な哲学ではないだろうか。複数の「意味の場」
を共存させるオントロジー(存在論)ではないか。ここで、「世界は
存在しない」というテーゼの意味が明らかになる。「世界」とは、実
在のすべてを包括する最大の集合であるが、そのような包括はいまや
できないのだ。実在的パースペクティヴは際限なく増加するからであ
る。 ガブリエルは、自然科学こそが唯一実在にアクセス可能だとい
う(広く支持されている)立場に否を突きつける。そうした科学主義
は、特定の「意味の場」を特権化しているからだ。非科学的な実在性
もあるし、ファンタジー的な実在性もあるが、この主張には少なから
ぬ人々が反発するのではなかろうか。
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「哲学界のロックスター」と称され、世界中から注目を集めているド
イツの哲学者、マルクス・ガブリエル。彼が提唱する「新しい実在論
」は、何が真実なのか分からなくなった「ポスト・トゥルース」の時
代において、「真実だけが存在する」ことを示す、画期的な論考とさ
れる。本書は、気鋭の哲学者が日本の読者のために語り下ろした、ス
リリングな対話と提言を収録。今世界に起こりつつある「5つの危機」
----❶価値の危機、❷民主主義の危機、❸資本主義の危機、❹テクノ
ロジーの危機、❺表象の危機----を取り上げ、「新しい実在論は世界
をどう見ているのか」を様々な観点から描き出す。哲学的視点から世
界の現在と未来を見通す。
GAFA(Google・Amazon・Facebook・Apple)は、世界を統治して
いるとも言える状況にありGAFAの統治を止めるため、何か規則や
法律を設けるべきだと考える。それも身動きできないくらい徹底的に
規制すべきだと主張する。彼の提案は、GAFAはデータで利益を得
ており、データム(データの単数形)とは、アルゴリズムと主体(私)
が行うインプットの間の差異と定義し、まず、インプットとは---バ
ーベキューパーティを主催したとする。写真を撮ってアップする。フ
ェイスブックやグーグルは、そのアップされた写真から利益を得る。
バーベキューパーティ自体からではない。でも、バーベキューパーテ
ィを主催して写真を撮る主体が労働(手を動かす)し、歯牙にもかか
らないような企業が利益を得ている。フェイスブックが存在する前は、
写真のアップなんてしようとも思わなかった。今や人々はフェイスブ
ックのために写真を撮っている。これは、人々がフェイスブックに雇
われているということと同じで、この世界の共同社会はフェイスブッ
クに税金を課すのは"正義"であり、もっといいのは、税金の代わりに
ベーシックインカムを払わせるのだと提案する。
また、GAFA企業が、彼らのサービスを使っている人々に分単位で
ベーシックインカムを払わなければならなくなったとしたら。ドイツ
での最低賃金は一時間約10ユーロです。ですから、私がGAFAのい
ずれかのサービスをネット上で一時間使ったとする。彼らはユーザー
が何時間消費するか簡単にわる。GAFAのユーザーなら当然アカウ
ントがあるから、彼らが提供する価値からマイナスして、私が生み出
した価値を主体のアカウントに紐づけれる。彼らは主体にデータを提
供する仕組み。レストランに行きたいと思ったら、レストランに関す
るデータをくれます。その彼らがくれる価値を10ユーロからマイナス
して払ってもらえばいい。きっと金額に換算できるはず。推定では、
1時間当たり7ユーロか8ユーロくらいになる。各国政府は、我々国
民がGAFAに雇われているという事実を認識すべきであろう。近い
うちに、GAFAはすべてを変えるか我々にお金を支払うかのどちら
か選択すると考えている。ネット検索をするだけでお金持ちになれる
のですから。富豪は言い過ぎかもしれないが、十分食べていくこと
はできると提案し、我々は自分たちがデジタル・プロレタリアート(
無産階級)であることに気づいたほうがいい。1つあるいは複数の企
業のためにタダ働きしているのは。人類史上、こんな状況は一度も起
こったことはなかった。GAFAは「我々はビッグデータを吸い上げ
る代わりにたいへん便利なサービスを無料で提供している」などと言
いうが。実質無料でなく。気づかないうちに彼らのために働いている
のだから。あなたが今フライドポテトを食べたいと思った時。ボンの
町にあるフライドポテト屋台に行くと、「この店のポテトは無料です」
と言われ、でも店員は。「ポテトを受け取る前にあの畑からじゃが芋
を採ってきなさい、そうしたら揚げてフライドポテトにしてあげまし
ょう」と命令し、「じゃが芋を採るのも無料です。ただ行って採れば
いい、無料開放されており、採って持ってきなさい」と言っているの
と同じ理屈であり、その実態は、フライドポテト会社のために働いて
いる。いくばくかの広告収入はあるかもしれないが、本当の収益は我
々のタダ働きから来ているのです。我々はそのことに気づいていませ
ん。それがトリックで、私達はマルクス主義的な労働概念を持ってお
り。マルクス主義における労働とは、肉体的・活動的な現実を別の形
に変換----木を削ってテーブルを作る----することが労働であり、イ
ンターネットではこれが、バーベキューパーティ、つまり肉体的・活
動的な現実を開催し、写真を撮り、写真をアップし変換する。それで
も我々はインターネットに関して、「それが物質的なものではない」
という素朴な労働観を持っているがそもそもそれが間違いだと指摘。
(情報空間でのやりとりは)精神的なものだと考えるが、インターネ
ットは完全に物質的なもの。サービスも半導体チップも物質的なもの
でそれがインターネット。一定の方法で組み立てられた配線、チップ、
電磁放射線の集合体です。その事実にまったく気付いいないと。最近
の調査では、我々は1年間のうち約4カ月もネットをして過ごしてい
るという。1年のうち4カ月も、びた一文くれない人間のために働い
て過ごしている。実際は、そのサービスで得られるものより多くの代
償を我々は支払っていると。
日本はテックイデオロギーを生み出す巧者
グーグルがベルリンのクロイツベルク地区に新たな拠点を設立しよう
としたとき、ベルリンでは反対運動が起きた。このような巨大テック
企業への反対運動は、日本では見られない。人々の認識には、日独で
かなりのギャップがある。それは、日本がテクノロジーに関するイデ
オロギーを生み出すのが抜群にうまいからだと彼は考える。このよう
なストーリーの紡ぎ手は、日本は第一級の国の1つで、90年代はカリ
フォルニア以上、少なくとも同等に重要な存在だった。今はそこまで
の存在感はないが、とはいえ、モダニティに対する日本の貢献がなけ
ればテレビゲームは今日の姿にはなっていなかったし、それゆえイン
ターネットで我々が得る経験も今の状態にはかすりもしないものにな
っていただろう。日本は、地球上でテクノロジーがもっとも進んでい
る地域の一つであり、「たまごっち」は、機械に愛情を投影すること
で、人間としての欲望が置き換えられた。日本は社会として、こうし
たモデルを受け入れる傾向が他の地域よりもあると考え、ドイツで起
きた反GAFA運動に関して思うことは、ドイツは実に長い期間、テ
クノロジーと独裁主義、イデオロギーとの関わりを味わってきた主張
する。ドイツは自動車を発明したが、ドイツが行った人類滅亡への多
大な「貢献」である。ドイツのイデオロギーというのは――私は今こ
れをかつての姿に修復しようと使命感を持ちやっているが――ドイツ
の発明というのは人類史上最悪に近いと論断し、人類滅亡に「貢献」
している国があるが、ドイツにも、カントやヘーゲルらがモダニティ
に素晴らしい貢献をした面もあるが、二度の世界大戦で重大な役割を
果たし、人間を破壊するためにテクノロジーが使われた戦争であった。
これは"悪の力"だと考え、テクノロジーで利益を得ている一部の人
々を除き、ドイツにおける批判的思考の持ち主は誰でも、デジタルテ
クノロジーに強い抵抗----これは独裁だ、と本能的に反応する----独
裁に対して反発を起こしているが。優しい独裁国家・日本が好きだが、
日本へ行くと独裁国家にいるような感覚を覚える。とても民主主義的
だし、人々も優しい。中国にいるときのような感覚はないが、非常に
柔和で優しい独裁国家、ソフトな独裁国家のような感覚だと言う。
ガブリエルは、インタビューで、現代の形而上学者の殆どは、自らの
研究テーマを特徴づけることに失敗している。彼らは『世界』や『現
実』のような言葉を、特に明確な説明を与えることなく、しばしば、
同じ意味で用いており。こうした全体性を表す表現は、存在するとい
う性質を指示できていない。また、メタ存在論(Meta-ontology)と
メタ形而上学というカント以来の伝統を復活させようともくろむが、
メタ存在論という言葉を導入したのはハイデガーであり、またカント
の哲学が「形而上学についての形而上学」であるとも明言している。
彼が用いるメタ形而上学的ニヒリズムという言葉の意味とは、世界な
ど存在しない、つまり、世界についてその究極的本性、本質、構造、
構成、カテゴリー的輪郭などが問われるとき、その問いかけには意図
されているような概念的内容が欠けている言う。万物を絶対的に構成
している何か大きなものがあるという考えは、それが自然的なもので
あれ理性が不可避的に有する性質であれ、幻想なのだ。現代の議論に
おいて影響力を持っているネオ・カルナップ主義者たちも同様の結論
に至っていますね。彼らの研究で言われていることの多くに私は賛同
しており、それをカント的、ポスト・カント的哲学におけるメタ存在
論/メタ形而上学の伝統と連結させようと試みていると答えている。
📌 著者がなぜこんなに注目されるのか。ポストモダンの、全てが相
対化した世界の中で、普遍的な道徳的価値観が『ある』とはっきり打
ち出したところが新しいが、松岡正剛の指摘するように、過去に回帰
しているようなところが気になる。
小さい秋みつけたよ! ひとときの湖畔ドライブ
風蕭々と碧い時代:小林明子 恋におちて
湯川れい子(作詞)小林明子(作曲)
「恋におちて -Fall in love-」(こいにおちて フォール・イン・ラ
ヴ)は、小林明子の楽曲で、デビューシングル。1985年8月31日にリ
リース。表題曲は、1985年8月30日から放送されたTBS系テレビドラマ
『金曜日の妻たちへⅢ・恋におちて』主題歌である。この曲は、ドラ
マ放映より1年も前に当時音楽制作会社に勤務していた小林明子があ
る歌手のために作曲したが、その歌手が引退してしまった。しばらく
して偶然にドラマ関係者の耳に入り、湯川れい子が詞をつけ、歌手を
誰にしようかと検討したところ、デモテープ用に歌った声がいい、と
作曲者自身が歌うことになった。累計ではミリオンセラーを記録。
この年は、繁忙を極め、毎年日過去最大利益更新下。候恣意の2月20
日 ミノルタが世界初のAF一眼レフカメラ「α-7000」を発売。3月4日
アメリカ食品医薬品局、献血された血液に対するHIV検査を承認。3月
10日 ソ連共産党書記長・チェルネンコが死去。4月19日 ソビエト連
邦、東カザフスタンで核実験を行う。6月18日 豊田商事会長刺殺事件。
8月12日 日本航空123便墜落事故が発生。乗客乗員524人のうち520人
が死亡、4人生存。9月19日 メキシコでマグニチュード8.1の巨大地震、
メキシコシティ付近を中心に大被害、9千人以上死亡.。10月18日 任
天堂が北米で"Nintendo Entertainment System"(略称:NES、日本の
ファミリーコンピュータに相当)を発売(欧州では翌年に発売)。
『スーパーマリオブラザーズ』が同時発売され大ヒット。 11月13日
コロンビアのネバドデルルイス火山が噴火、2万人超の死者が出る大
惨事。12月12日 アロー航空1285便、DC-8が、カナダ・ニューファンド
ランド・ラブラドール州のギャンダー国際空港の離陸直後に失速、墜
落。エジプト・カイロから帰国の途にあったアメリカ陸軍第101空挺師
団所属248名と乗員8名の256人全員死亡。カナダ国内で発生した最悪の
航空機事故。
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ポストコロナと新しい仕事⑦
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