彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる "招き猫”と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え
(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編
成のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。
愛称「ひこにゃん」
17 陽 貨 よ う か
-------------------------------------------------------------
「性、相近し、習、相達し」(2)
「鶏を割くにいずくんぞ牛刀を用いん」(4)
「道に聴きて塗に説くは、徳をこれ棄つるなり」(14)
「ただ、女子と小人とは養い難しとなす」(25)
「年四十にして悪まるるは、それ終わらんのみ」(26)
-------------------------------------------------------------
7 孔子は胇肸ひつきつから招聘されたとき、これに応ずる態度を見せた。
子路がするどく反論した。
「われわれにこうおっしゃたのは先生です。 "君子は、自分から進ん
で悪を働く者には手をかさない" と。胇肸ひつきつは中牟ちゅうぼうを略奪して謀叛した
人物です。先生の行動はさきほどのことばと矛盾しているではありま
せんか」
孔子は言った。
「なるほどわたしはそう言った。しかしこんな諺がある。真に堅けれ
ば砥石にかけても薄くはならぬ。しかし真に白ければいくら染めても
黒くはならぬ。ましてやわたしは匏瓜にがうりなどではない。人に見向きもさ
れず、いつまでもぷらさがっているのが能ではあるまい」
〈胇肸、中牟〉 胇肸は晋の大夫茫氏(一説に趙氏)の家臣。中牟の
代官であった。
Fo Xi invited Confucius and Confucius wanted to accept it.
Zi Lu said, "Master, you said before, 'Gentlemen never go
around with people who do bad deeds.' Fo Xi rebelled at Zhong
Mou. Why do you want to go?" Confucius said, "Yes, I said that.
But a proverb says, 'A matter which is truly hard will not get
thin even if you polish it. A matter which is truly white will
not get black even if you dye it black.' I am never a bitter
gourd. I have to be eaten [employed] by someone."
ポストエネルギー革命序論 276:アフターコロナ時代 86
♘ 現代社会のリスク、エネルギー以外も「分散の時代」
どこでもソーラー事業 ➲カラーマント事業化へ一歩
✺ 太陽電池に自由なデザインとカラーリング
3月30日、日本ペイントホールディングス株式会社のグループ会社で
自動車用塗料を手掛けている日本ペイント・オートモーティブコーテ
ィングス株式会社は、トヨタ自動車株式会社 未来創生センタと共同
で、太陽電池の表面にデザイン性と、カラーリングを実現させる「太
陽電池向け加飾フィルム」を開発したことを公表。この技術はNPACと
トヨタが有する自動車用塗装技術を応用することにより、太陽電池の
性能を維持しつつも光によって表情を変える、ピンク、ブルー、グリ
ーンなど様々なデザインの実現に成功する。さらに、2021年3月12日
より、NPACとトヨタは、F-WAVE株式会社と共同で、加飾フィルムをF-
WAVE量産「軽量フレキシブル太陽電池」に実装し、加飾フィルムの各
種耐久性、発電特性、および、意匠性の評価を目的に、F-WAVE熊本工
場敷地内での実証実験を開始している。
1.加飾フィルムについて
1-1.開発背景
再生可能エネルギーのひとつである太陽電池の普及が進むなか、その
設置場所は建物の屋根上から壁面、モビリティなどへと広がりつつあ
る。そのため従来の黒色や紫色などの太陽電池に加えて、周囲の景観
に合った高意匠の太陽電池のニーズが高まっている。通常、太陽電池
をフィルムで覆うと太陽光が透過せず発電しなくなる。今回NPACとト
ヨタが開発した加飾フィルムは太陽光の大部分が透過できるため、太
陽電池の発電量を大幅に損なうことなく、太陽電池をカラフルな色で
加飾できるという特長がある。
1-2.発色方法について
人が物体の色を知覚するのは、光源からの光が物体にあたり、その物
体が反射した光が網膜上の視細胞を刺激することによって「色(反射
物体色)」として認識するためです。今回NPACとトヨタが開発した加
飾フィルムに含まれる顔料は特定の波長の太陽光を反射することで人
に「色」を認識させつつ、残りの太陽光は透過することができる。従
ってこの加飾フィルムを太陽電池に装着すると、太陽電池の発電を確
保しつつ、太陽電池を加飾することが可能だ。
また、加飾フィルムに使用している顔料は、特定の波長を反射して発
色する半透明の自動車塗装向けのものを利用している。この顔料は鱗
(うろこ)のような形状のため、色ムラなく均一な発色を実現するに
は、顔料が同一方向を向くよう配列させ、塗膜の厚みを高精度に均一
(数マイクロメートル)にコントロールする必要がある。そこで、自
動車外装を加飾ラッピングする樹脂フィルムの製造技術を応用し、透
明樹脂の中に顔料を浮遊させ、顔料が同一方向に配列されるよう透明
樹脂をシャープな刃で一方向に伸ばすことで、色ムラなく均一に発色
する加飾フィルムを実現する。
さらに、加飾フィルムの色は、使用する顔料の選定によって幅広く変
化させることが可能であるとともに、印刷技術と融合することで木目
やレンガ調、迷彩柄など意匠を表現できとのこと。
1-3.発電量への影響について
今回開発した加飾フィルムは太陽光を透過するため、太陽電池に装着
しても発電できるというメリットがある。一方、発色のため加飾フィ
ルムの表面でわずかに光が反射するため、約10%の発電量低下が発生
する。例えば、加飾フィルムを装着した太陽電池は、加飾フィルム無
しの場合と比べて、木目調(写真左)では約90%※2、緑色(写真右)
では92%※2の発電量が確認されている。発電量の低下率は発色の濃さ
や色相によって異なる。
加飾フィルムをF-WAVEが量産する軽量フレキシブル太陽電池に実装し
た状態、木目調加飾フィルム(左)と単色フィルム(右)を貼り付け
た加飾太陽電池
1-4.加飾太陽電池の応用先
加飾フィルムは、幅広い色のバリエーションを持つため、周辺環境と
調和した色や意匠性を再現することが可能です。例えば、軽量な太陽
電池に加飾フィルムを装着すれば、店舗や家屋壁面やモビリティの外
板などへの搭載が期待されます。またシート状の太陽電池に装着すれ
ば、いままで太陽電池を設置できなかった衣類や鞄、アウトドアグッ
ズなどへの活用が期待される。
2.実証実験について
今回開発した加飾フィルムは、自動車塗装向け顔料を主体としている
ため、高い耐久性と意匠性が期待されます。実環境での各種耐久性、
発電特性、および、周辺環境への意匠の調和の評価を目的に、F-WAV
E熊本工場敷地内で実証実験を開始した。本実証実験から得られた知見
をもとに、より環境に調和した太陽光発電の実現に向け開発を進める。
実証期間:2021年3月12日 ~ 2022年3月 ※予定
※1.T. Masuda 他 IEEE Journal of Photovoltaics 8 (5), 1326-
1330, 2018
T. Masuda 他 Coatings 8 (8), 282, 2018
※2.複数の測定結果の平均的な値を示している。
■参考:共同研究先リリース
• トヨタ自動車株式会社 未来創生センター
https://www.toyota.co.jp/jpn/tech/partner_robot/news/202103
30_01.html
• F-WAVE株式会社
https://www.fwave.co.jp/news/498
そだてる水産革命:缶蓋技術
「おかそだちサーモン」が話題になっているが当然だろう。世界的な
食糧難が反動が現実化しているからだ。今回はニッスイのサバの缶蓋
の話し。お腹が空き冷蔵庫をあけると見つけ取り出し明けようとする
と、味は勿論おいしい「スルッとふたSABA(さば)」の缶蓋----
おしゃれなパッケージと簡単オープン設計、さらにはこだわりの製法
で、2017年11月の発売と同時に大ヒット。ニッスイ(日本水産)のサ
バの缶詰シリーズが絶好調。青缶の「水煮」に黄色の「みそ煮」、そ
して赤い缶の「味付」が揃う全3品。これまでのサバ缶のイメージを
くつがえす「スルッとふたSABA」は、EPAやDHAを豊富に含
むなど栄養価が高く、そのままでおいしいサバ缶を若い世代にもアピ
ールしたい、そんな思いから誕生した。また、具体的な効果として、
原料を缶に詰めたあと、従来品にはない「煮こぼし」という蒸しの工
程が入る----鍋のあくとりのようなもの----蒸すことでタンパク質が
かたまって除去されるため、見た目がきれいになり「よりおいしさを
感じてもらえる」という。期待どおり、デザインもふたも中身も大好
評。生産が追いつかないほど、売れに売れているという。
いや、メイドイン・ジャパンは完璧だね。念のため特許技術をさらっ
と調査し、下記の1件を掲載する。
【参考特許】
❐ 特開2019-177892 ヒートシール容器用缶体およびヒートシール
容器 日本製鉄株式会社
現在、食缶の多くは、缶切が不要なイージーオープンエンド(EOE)
缶が主流であるが、EOEのタブを起こして缶上方に引き上げながら
缶蓋をスコア加工した溝に沿って切り剥がすには、かなりの力を要し、
かつ、開缶した蓋の端面や缶側に残ったEOE引き剥がし後の端面で
切創しやすい等の理由から、近年、ペットフード用缶やツナ缶などで、
開缶性の容易さを特徴とした樹脂ラミネートアルミ箔を熱融着(以下、
ヒートシール)したヒートシール>缶詰が増えてきている。現行のヒー
トシール缶詰容器では、缶、および缶と巻き締められてヒートシール
蓋と融着される枠部からなる基材は、ティンフリースチールや錫めっ
き鋼板を塗装焼付した塗装金属板が用いられていて、基材の中央部に
内容物を取り出す開口部を有し、基材の枠部に樹脂ラミネートアルミ
箔からなるヒートシール蓋を融着して用いている。現行のヒートシー
ル蓋は少ない力で開缶できるので有用とされているが、缶開口部の縁
には、基材の枠部が残るため、内容物の取り出し性が悪い欠点がある。
また、樹脂ラミネートアルミ箔からなるヒートシール蓋を製造する際、
基材のプレス工程以外にヒートシール蓋となる樹脂ラミネートアルミ
箔を当該枠部に熱融着させる工程が余分に入るため、EOEに比べて
蓋部分の生産性が悪い欠点があるとされる。そのほか、現行のヒート
シール蓋の基材は、図1に示すように、内外面とも樹脂を2コート塗
装焼付する必要があり、製造コストが高い欠点がある。
図1 現行のヒートシール缶蓋の構成の例
また、ヒートシールする際、ヒートシール部の強度ばらつきを小さく
するために、ヒートシール蓋となる樹脂ラミネートアルミ箔を基材の
枠部にヒートシールする時間を長くする必要があることから蓋部分の
生産性が低い欠点があった。
加えて従来の缶用塗料の主原料であったビスフェノールA(以下、B
PAと称する)は環境ホルモン物質であることから、現在、BPAフ
リータイプの塗料が使われるようになってきている。しかしながら、
BPAフリー塗料は、鋼板との密着性、耐食性が低く、まだ、課題が
多いのが実情であり、缶体についても環境ホルモン物質を含まない基
材が望まれている。樹脂ラミネートアルミ箔を基材枠部にヒートシー
ルした蓋と樹脂をラミネートした缶胴部を巻締める缶に対して、特許
文献1には蓋部が容器内側から外側に向かってポリプロピレン層、変
性ポリプロピレン層、アルミニウム層、接着剤層及びポリプロピレン
層を有し、胴部が容器内側から外側に向かってポリプロピレン層、変
性ポリプロピレン層及び鉄又はアルミニウム層を有している、蓋部と
胴部のフランジ部を熱融着させることができる多層構造の蓋部及び多
層構造の胴部からなるプラスチックイージーオープン蓋付ラミネート
金属複合容器が提案されているが、特許文献1に示されるプラスチッ
クイージーオープン蓋付ラミネート金属複合容器は、蓋外面にプラス
チックイージーオープン用のプルタブを形成させる必要から、蓋の樹
脂ラミネート板外層にポリプロピレン層を形成させる必要がある。ま
た、缶胴フランジ部と蓋部の接合部がポリプロピレン樹脂であること
から接合時の温度が低いと融着ムラになる恐れがあり密閉性が安定し
ない課題がある。そのほか、缶胴フランジ部と蓋部の接合部がポリプ
ロピレン樹脂どうしの場合接合強度は高いが、ピールシーム蓋として
は、ピール強度が強すぎて蓋を剥離し難くなる課題がある。
上記理由から、工程の簡略化、コスト削減および環境ホルモン対策、
ピールシーム蓋付として、食缶の胴材や蓋材に用いられつつあるポリ
エステル系樹脂フィルムラミネート金属板を適用することを検討した
が、通常のポリエステル系樹脂フィルムをラミネートした樹脂フィル
ムラミネート金属板では、フィルムの融点が250℃付近のため、通
常のヒートシール条件(160℃~200℃、約1秒数秒間圧着)で
は密着不足で十分なヒートシール強度が得られない。このため、缶の
レトルト滅菌処理時の内圧上昇によりヒートシール部が剥離し内容物
が漏れることがあり、適用困難であった。
参考文献:特開1998-30587 プラスチックイージーオープン蓋付ラミネ
ート金属複合容器 昭和電工プラスチックプロダクツ株式会社
下図6のごとく缶体上部の開口端が樹脂ラミネートアルミ箔製の蓋材
と直接ヒートシールできる面を有しており、缶内面側のフィルムが開
口端まで連続して鋼板表面を覆う構造であり、缶体のヒートシール面
のフィルムが蓋用樹脂ラミネートアルミ箔と接する側から順にポリエ
チレン系樹脂添加ポリプロピレン系樹脂層、ポリプロピレン系樹脂層、
変性ポリプロピレン系樹脂層で構成されており、缶体のヒートシール
部のヒートシール側と反対面のフィルムがヒートシール側のポリプロ
ピレン系樹脂よりも融点が40℃以上高く、ヒートシール用のツール
の加熱温度より高融点である熱可塑性ポリエステル樹脂である、内容
物の取り出し性、開缶性に優れ、短時間でヒートシール可能であり、
製造性に優れる食品容器用のヒートシール缶体を提供する。
図6 実施形態に係るヒートシール缶体およびヒートシール容器の構
成を示した図
図2 ヒートシール樹脂表層中のポリエチレン樹脂添加率と缶体ヒー
トシール部密閉性の関係を示す図
✔ 「そだてる魚介事業」は、ウエストゼロ・ローカルSGDs・ゼロカ
ーボン・サーキュラルエコノミー・RE100と環境製作ゴールがオ
ンパレードだが、どれひとつとってもわたし(たち)は実現可能だと
確信しているが、京都議定書提案後の国政の<反動>をみるにつけ暗澹
たるものが去来するが、どっこい ,
僕たちは未来をみていると弱々し
くとも主張しておこう。
出典:若い世代に人気 日本水産「スルッとふたSABA」誕生秘話、日刊
ゲンダイDIGITAL、2018.9.15
● ここだけの新情報 2020.12.4
ハーレー初の電動バイク日本上陸!『ライブワイヤー』予約開始
【ウイルス解体新書 ⑨】
2.序章
2-2 人間と共生する生き物か
ウイルスは遺伝子を10個以下、少ない場合は1、2個しか持っていない
が、最新の研究では、遺伝子を2500個以上も有する「パンドラウイル
ス」という巨大ウイルスが見つかっている。遺伝子数で見れば、小型
のバクテリアとほぼ変わらない存在なのだが、この巨大ウイルスが、
遠い未来に意思を持つような生物になるかもしれない。さらに、彼ら
に“寄生するウイルス” (これは普通サイズ)というのが見つかり、
寄生されると巨大ウイルスが病気になることが分かった。その後、巨
大ウイルスは寄生したウイルスをやっつけるための免疫システムのよ
うなものを持っていて、彼らは自己、非自己の認識ができ、非自己は
やっつける仕組みを持っていること。巨大ウイルスが持つ“免疫”の
仕組みは、バクテリアのシステムに似ているることもわかっていると
中屋敷神戸大教授は話し、インタビュアは、この巨大ウイルスのよう
に、「進化」していることが分かると、今後の研究で、人間の健康に
役立つことも見つかるのではないだろうか反質する。
今までウイルスは、それを原因とした病気の発生を通して見つか
るという歴史でしたが、次世代シーケンサー(遺伝子の塩基配列
を高速に読み出せる装置)と呼ばれる技術の発展により、病気を
起こさないウイルスというのが生物界に広く存在していることが
明らかになりつつあります。そういったものの中には、病気やス
トレスに対するワクチンのような効果を持つことが分かったもの
も少なくありません。ウイルス研究が進めば、これからさらに“
共生体としてのウイルス”の良い面がどんどん分かってくるかも
しれません。今からのウイルスの研究は、これまでと一味違うも
のになっていく可能性があります、その動きは既に始まっていま
す。
「人間と共生する生き物?可能性未知数の
ウイルスの正体」EMIRA
2-3 インフルエンザウイルスが持つ本当の脅威
この節では、国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センタ長
の小田切孝人氏に、誰もが知るウイルスが人体の中で一体何をしてい
るのかをインタビューし、来るべき脅威に対する防御策を考える。
インフルエンザウイルスというのは、簡単に言うとインフルエンザを
引き起こすウイルスであり、その特徴は、一気に発熱して筋肉痛や関
節痛といった体の痛みなど全身症状から発症し、一般的な風邪の症状
である鼻水や咳(せき)は治りかけたころにやってくる。そもそも風
邪というのは、ウイルスによる「上気道感染症」、つまり気道、呼吸
器に起こる感染症を指す。その原因となるウイルスには、代表的な「
ライノウイルス」、夏場のプールで感染する「アデノウイルス」など、
さまざまな種類が存在する。また、そもそもインフルエンザウイルス
はすごいスピードで進化するので、流行シーズンの最初と最後でウイ
ルスの抗原性(免疫の元となる抗体としての性質)が変わることもあ
る。当然、より効果的なワクチンを製造するためには、流行型に対し
て使用するウイルスの抗原性がマッチするかどうか。そこが思いどお
りにいかない。
人体の細胞が持つのはDNA(デオキシリボ核酸)ですが、インフルエン
ザウイルスはRNA(リボ核酸)です。DNAは、進化がものすごく遅く、
間違った進化をしても元に戻すメカニズムがあるが、インフルエンザ
はワンウェイで進化し続けるため免疫機構が追いつかず、効果の高い
ワクチンを供給したいが、毎年約2600万本分のワクチンを作る必要が
あるから、国からの要請で、時にワクチン株の変更するという妥協も
生じる。
2-3-1 どんな薬でもいずれ耐性を持ったウイルスが出現
インフルエンザウイルスは、感染した細胞内で自身の遺伝子を複製し、
増殖・放出することで同体内の他の細胞に感染を拡大すると言われて
いるが、この新薬は、細胞内でのウイルス遺伝子複製に必須となる酵
素(RNAポリメラーゼ)の働きを抑えることで、その増殖を防ぐことが
できる。
「タミフル」や「イナビル」などの従来薬(右上の灰色枠)は外に出
ていったウイルスの広がりを抑えていたのに対し、「ゾフルーザ」(
下の赤色枠)の作用は、細胞に入ったウイルスが中で増えるプロセス
を抑える。ゾフルーザが酵素部分に直接作用することで、ウイルスは
子孫を残せなくなり、それ以上伝染できなくなる。“予防”のための
ワクチンと違い、あくまで発症してからの“治療”。空気中に浮遊す
るウイルス自体をなくすこともできない。それでも、体内で発症して
からウイルスを根絶できるのは画期的である。インフルエンザウイル
スは、進化がとても速い。どんな新薬にも一定の割合で自発的に抵抗
性を示す『耐性ウイルス』が出現する。つまり、ゾフルーザにもいず
れ、抵抗性を示すウイルスが出てくるかもしれないと件の小田切氏は
説明追加している。ただ、面白いのは、薬が効かないインフルエンザ
ウイルスは、薬が効くウイルスよりも早く死んでしまう。やっぱりど
こか“生きるために”ちょっと無理をしている。耐性を作るために負
荷がかかっている分、短命になる。命を削って、彼らも薬と戦ってい
る。
2-4 ワクチンが秘める可能性とは
インフルエンザウイルスは間違いなくことしもやって来る。そして、
予防のためのワクチンを人々は接種する。この「ウイルス」と「ワク
チン」は、そもそもどのようにせめぎ合っているのか。
ワクチンとその効用に大きく関わる因子「アジュバント」の研究開発
を専門とする、国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 ワク
チン・アジュバント研究センタの石井健氏に、抗ウイルスの現在、そ
してこれからをインタビューする。
アルツハイマー病や肥満の予防にも!
ワクチンが秘める可能性とは EMIRA
2018.10.29
2-4-1 ワクチンはウイルスからつくられる
インフルエンザのワクチンは何からできているかというと、“無害化
した”インフルエンザウイルスからできている。ウイルスを一度バラ
バラにして、そこから熱の原因などになるものを取り除き、人の免疫
システムが認識できるHA(ヘマグルチニン)というタンパク質にして
いる。ウイルスによる感染症にはいろいろあるが、多くの場合、一度
かかるとそのウイルスに対して体が強くなり、二度はかからない。そ
れと原理はほぼ同じで、ワクチンとは簡単に言うと、体にウイルスを
覚えさせるためのもの。ワクチンを体に入れることで、ウイルスに
“感染するマネ”を体に認識させる。するとそのワクチンのもとにな
ったウイルスに対して免疫ができるため、病気になる原因を持ったウ
イルスが体に入ってきても、やっつけたり、弱めたりできる。
現在ワクチンで予防できる疾患というのは世界中で27種類あり、イン
フルエンザ、天然痘、破傷風などがそこに含まれます。新しいワクチ
ンもどんどん登場していて、帯状疱疹(たいじょうほうしん)のワク
チンもことし日本で認可されたので、来年には世の中に登場するので
はないでしょうか。帯状発疹とは、ヘルペスウイルスの一種、水痘(
すいとう)・帯状疱疹ウイルスによって発症する。子供のころに水疱
瘡(みずぼうそう)にかかった場合、大人になって免疫力が低下して
くることで、体内に残っていた水痘・帯状疱疹ウイルスが再び活発化
する。「大人の水疱瘡」として話題になった帯状疱疹だが、このワク
チンにより、水痘・帯状疱疹ウイルスの再始動を予防することができ
る。ちなみにワクチンには、ウイルスの毒性を弱めた生ワクチン、不
活性化および消毒した不活化ワクチン、毒性をなくしたトキソイドが
ある。生ワクチンはウイルスが弱いものの生きていて、体内で増えな
がら免疫力を高めていくため、免疫ができるまでに時間がかかるが、
接種は1回で済む。不活化ワクチンとトキソイドはウイルスの能力
をなくしているので、免疫ができても力は強くなく、複数回接種する
ことで免疫力を維持する。これらワクチンの開発には実に20年近い歳
月を要するそう。数え切れない実験を行い、人間の体に入れても安全
だというお墨付きが得られて初めて認可される。だから世界中で日々
研究・実証が行われているが、何がいつ認可されるかはその進捗次第。
2-4-2 ワクチンの効果を高めるアジュバントの存在
実はワクチンだけを投与しても、その効果は持続しない。ワクチンの
効果を高め、持続性をよくするために、ほとんどのワクチンには「ア
ジュバント」と呼ばれるものが含まれている。アジュバントとは、ひ
と言で言うと“ワクチンの効き目を高めるもの”。効果を増強する因
子の総称。一般的には耳慣れない言葉ですが、開発の歴史は80年以上
もある。アルミニウム塩をベースにつくられるものが現在は主ですが、
他に人間の体内にもともと存在する核酸などでもアジュバントはつく
られる。アジュバントを含んだワクチンを投与すると、含んでいない
場合に比べて免疫反応は早く起き、その効果も高く、しかも免疫力が
長く持続する。現在、この免疫力をどこまで長くできるかという点に
重点を置いて開発研究されている。ワクチンの種類のうち、生ワクチ
ン以外は全てアジュバントを含んでいる。具体的な病名で言うと、ジ
フテリア毒素や破傷風、百日咳、B型肝炎、肺炎球菌など、よく知られ
る感染症のワクチンのほとんどに含まれる。仮に「抗原15マイクログ
ラム:アジュバントなし」のワクチンがあったとしよう。ワクチンの
効きをよくするアジュバントを入れれば、同種のワクチンが大量に必
要となった場合、理論上では抗原を半分から10分の1にしても、効果
がさほど変わらないワクチンをつくることができる。ちなみに、アル
ミニウム塩をもとにつくられているアジュバントは、約90年前に偶然
その効果が発見された。製造方法が確立して保存性も優れているため、
1932年にジフテリアワクチンに用いられてからというもの、現在世界
で最も普及しているアジュバント。ただ、現在のアジュバントにも限
界点がある。
2-4-3 ワクチンとアジュバント研究が医療を変える
現在主流のアルミニウム塩アジュバントが抱える問題、それは「ワク
チンの効き目を高めてウイルスの活動を抑えることはできたが、ウイ
ルスが感染している細胞をやっつけるような免疫力までは引き出せて
いない」ということ。また、発熱やアレルギー反応を起こす可能性も
あり、“次世代アジュバント”の研究開発が急ピッチで進んでいる。
例えば、件の石井センタ長は、ワクチンは万能でない。他のどのよう
な物質からアジュバントをつくり出せば、より多くのウイルスに効果
を発揮できるのか研究していかなければならない。それで、核酸や脂
質の分子からアジュバント開発が進められていて、CpGDNA』という、
ウイルスや細菌のDNAに多くある配列(CpG配列)を組み込んだDNA断片
をアジュバントとして研究開発している。日本ではすでに、ミネラル
オイルと植物由来界面活性剤をもとにしたアジュバントの臨床研究が
行われるなど、さまざまな種類のアジュバント開発が進んでいる。今
後は予防医学の観点から、アルツハイマー病をはじめ、高血圧や動脈
硬化、肥満などの生活習慣病を予防するためのワクチン開発も期待さ
れている。といってもすぐに完成するわけでない。
さて、エルヴィン・シュレディンガーは『生命とは』で「生物は負エ
ントロピー(ネゲントロピー)を食べて生きている」としどんな物質
も放置(=閉鎖系のシステムで)しておけば無秩序な状態に向かい同
化(=熱死)する熱力学第二法則の支配領域であるが、これを覆し、
地球上の生命活動(=開放系)することが逆現象である。生命は熱力
学原理に抵抗する情報生命体の秩序をつくり、これを維持させたり代
謝させ、情報生命たちは38億年ほど前からずっと宇宙エントロピー
に逆らい。光合成を発明したことが、この逆らいを成立させた最初で
大の出来事を経て、細胞膜(生体膜)ができ、ミトコンドリアが取り
こまれ、多細胞生物が登場し、情報を複製する遺伝子が縦横無尽に働
き、ついには巨大な進化の傘を広げて、われわれをつくり、生命はト
ータルな系として「負のエントロピー」をずうっと食べてきた(1043
夜『生命とは何か』エルヴィン・シュレディンガー、松岡正剛の千夜
千冊)という。ここで、シュレーディンガーは物理化学(=周期性結
晶科学)を転倒(=「非周期性結晶」)し、その後、DNAの二重螺
旋の謎が解かれいくが、「暗号文の写本」はコピー(DNA転写)さ
れるだけでなくてコピーミス(突然変異)され、また「型」を継承す
るために生物活動が何をしようとしているかという推理をめぐる見方
などは、これを「情報」とか「ゲノム」と言い直すことで、いくらで
も真相に近い説明に変えられる。なんとも冴えていたと、松岡氏は驚
嘆し、そのシュレーディンガーが第33節からハイトラー=ロンドン
の仮説を紹介した直後、量子力学こそが遺伝と突然変異のしくみの要
訣を支えているとし、「非周期性」と「量子飛躍性」を暗示的に重ね
それを実行させている最大の仕掛けに「負のエントロピー」の関与が
あることを提示しようとしたと指摘している。ところが生物体という
ものは、物質とは違って、自分の力で動けなくなるような平衡状態に
なることを、あえて免れるしくみをもち、生命は量子から生まれ、そ
れが情報高分子となって複写活動や代謝活動をするようになるうちに、
「負のエントロピー」を取り込む。この解説にきて、わたしが仮構し
た『ウイルスは意思をもつか』で件の中屋敷均神戸大の「ウイルス間
の連携」「多細胞ウイルス」の発見で意思が生まれているとの気付き
とオーバークロスしていることを確認し、「第1章 ウイルスの現象
学」に移る。
この項つづく
遺伝子の謎 Ⅷ
第2章
第1節 己を知る
私たちが両親から遺伝子を受け継ぐことはなんら不思議ではない。両
親もまた祖父母から遺伝子を受け継ぎ、祖父母は曽祖父母から遺伝子
を受け継いだ。各世代はゆっくりと次の世代へと進化してきた。遠い
親戚やそれほど遠くない親戚が進化するおいたも、一族の遺伝形質は
進化してきた。
遺伝子は細胞がDNAの複製をつくるときに進化する。細胞がDNA
の複製をつくるとき、偶然、同じ遺伝子が2度コピーされてしまうこ
とがある。最初は相同だったこれらの遺伝子は、最終的には異なる配
列へと変容を遂げる。なかにぱ変容が劇的過ぎて、まったく新しい機
能を担う遺伝子もあるほどだ。しかし、普通ぱ自分白身の複製をつく
り、いわゆる「遺伝子ファミリー」を形成する。1つのファミリーに
は似たような遺伝子が数百個も属している(私たちの嗅覚をつかさど
る各種の遺伝子などはその一例)。
何十億年も昔、生命が初めて地球に現れたとき、最初の微生物が持つ
小さな遺伝子が自己複製を何度も繰り返し、ついにぱ現在地球上に存
在するすべての遺伝子を芽生えさせた----かつてはそう考えられてい
た。確かに遺伝子の多くは生命の揺藍期の残金物なのだが、もっと若
い、生まれてからせいぜい数百万年しか経っていない遺伝子も存在す
る。
特殊な細胞分裂上は配偶子(生殖細胞)が形成される減数分裂の過程を
示すコンピューター・シミュレーション。減数分裂の際、娘細胞は分裂
前の細胞の半分の数の染色体とともに形成される。そういった遺伝子
は急速に進化を遂げたと見るほかない。
これは、ゲノムの配列解析が始圭ったとき、思いがけず判明した事実
だ。単一の種にしか存在しない遺伝子が時々見つかり、複製理論が崩
れたのだ。こうした遺伝子ぱ「孤児遺伝子」と名づけられた。例えば
トネリコの木には、9600個を超える固有の遺伝子が存在する。なぜ孤
児遺伝子が特定の種だけにあってほかの種にないのかは、まだ分かっ
ていない。
オーダーメイドの遺伝子検査
こうした遺伝子進化の過程はあまりにも複雑なので、遺伝学者一族の
遺伝子構造を解き明かすのは難しいように思えるかもしれない。でも
心配無用。自分白身が生物学的に見て何者なのかを知るための洗練さ
れた手法はすでに開発されている。それを使えば、自分の遺伝子配列
の奥深くにどのような病気がひそんでいるか (またはひそんでいない
か) が分かり、子供がどんな髪の色をして生まれてくるかが予想でき
るだけでなく、一族がどこから来たのかまで推定できる。考えてもみ
てほしい。遺伝子と人間の進化の歩みぱ数百万年にも及ぶ。その間に、
あなたの一族は数えきれないほど世代を重ねてきた。にもかかわらず、
科学者たちぱ、あなたの遺伝子プールがどこで始まったのか、具体的
な場所を地図上で指し示すことができるのである。必要なのは、頬の
粘膜1こすり分か、圭たは少量の唾液、それに、遺伝子検査を手がけ
る民間企業だけ。そういった会社は独自のアルゴリズムに遺伝子コー
ドを通し、一族のルーツが地球上のどこで生じたかを示してくれる。
もちろん、あなたが偉大なマンディンゴ族の戦士の末裔かどうかとか、
古代メソポタミアの芸術家の子孫かどうかといったことまでは分から
ない。それでも、一族がどこからやってきたのかについては、相当に
精度の高い示唆が得られるだろう。
遺伝子検査会社はまず、あなたのゲノムの配列解析を行う。そのうえ
で、1つひとつの遺伝子をデータベース上の遺伝子と照合・比較し、分
析する。その結果、もしアイルランド系の血が30パーセント人ってい
ると言われたら、あなたのDNA断片の30パーセントぱ、アイルラン
系という民族集団由来である可能性が非常に高いことを意味する。
もっとも、遺伝子検査会社の良し悪しぱ、持っているデータベース次
第というところがある。彼らが使う情報は外部の研究者から人手する
か、またぱ自分の遺伝的背景を知られても構わないという個人から得
たものだ。その会社の遺伝子ライブラリーに十分な数の個人が登録さ
れていなければ、問題が生じる可能性はある。いくつかの民族集団、
とりわけ南アジアとアフリカの血筋は、実際よりも少なく表示される
ケースが目立つ。また、こうした検査があくまでも大まかなものであ
り、統計的確率に基づく答えを提示するに過ぎないことも、わきまえ
ておく必要かあるだろう。もう1つ、心に留めておかなければならな
いことがある。私たちの原初の祖先ぱ、進化の道筋をたどるなか、常
に移動していた。政治的あるいぱ地理的な境界線というのは、比較的
新しい概念でしかない。人類の歴史は移住の歴史と言ってもいい。し
たがって、遺伝子検査会社にルーツだと言われた民族なり国なりは、
一族に代々伝わる話とは異なるかもしれないのだ。
『知っていますか』--------------------------------------------
41.骨髄移植を受ける人は、術後、まったく違う2つのDNAプロ
ファイルを持つことになる。
42.AGXTと呼ばれる遺伝子の失敗コピーが2つそうろうと、特
に幼児期に、腎不全を起こすことがある。
43.人間のDNAのおよそ60パーセントはバナナと変わらない。
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風蕭々と碧い時代:
YOASOBI「優しい彗星」
作詞・作曲:Ayase
「優しい彗星」は、日本の音楽ユニットYOASOBIの楽曲。2021年1月
20日に、各種音楽配信サービスにてリリースされ、また同年3月24日
発売のシングル「怪物/優しい彗星」にも収録されている。YOASOBI(
ヨアソビ)は、ボーカロイドプロデューサーの Ayaseとシンガーソン
グライターのikura(幾田りら)による2人組の音楽ユニット。ソニー
ミュージックが運営する小説&イラスト投稿サイト「monogatary.com」
に投稿された小説を音楽にするプロジェクトから誕生。以降、同サイ
トに限らず様々な小説、タイアップで新たに書き下ろされた小説など
から楽曲を発表。『BEASTARS』(ビースターズ)は板垣巴留による日
本の漫画作品。『週刊少年チャンピオン』(秋田書店刊)にて2016年
41号から2020年45号まで連載された。擬人化された肉食獣と草食獣が
生活・共存をする世界を舞台に、全寮制の学校「チェリートン学園」
へ通う動物たちの群像劇が描かれているというが、読んだこともない
が、時間があればそうしよう。70年、90年につぐ第3期ジャパン・
ポップス時代の始まりのはじまりだろう。
● 今夜の寸評 :ウイルスと独裁
ウイルスの「負のエントロピー」のごとく,人類の「負のエントロピー
」(=「連帯と自由)は、必ずや国家主義的独裁(=「蒼氓の死」)
を乗り越えていくだろう。
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ウイルスと独裁
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