● 最新炭素繊維複合材料工学
東レ株式会社は、従来の一方向連続繊維を用いたプリプレグ(UDプリプレグ)と同等の力学特
性を維持し複雑形状への優れた成形性を達成した新規プリプレグシート UACS(Unidirectionally
Arrayed Chopped Strands)を開発。この製品の工学ポイントは、UDプリプレグに特定のパターン
で切込を挿入したこと。このことで、一方向に所定の繊維長の繊維束が制御されて配列したシ
ートの製造が可能となる。板金加工では実現できない急激な凹凸変化を有する3次元形状を成
形できる、幅広い用途への展開できるという。
尚、世界関連市場は、37千トン超(東レ 2011年推定)と見込まれている上に、東レはトッ
プランナーに立っている。さらに、「再生エネ=水素社会」事業のコア新材料である。
熱可塑性樹脂は優れた成形加工特性から種々の加工法(射出成形、ブロー成形、シート成形、
フイルム成形、異形押出成形、プレス成形)などにより成形され、電気・電子、OA、自動車、
機器、雑貨など広範囲な用途の製品製造に使用されている。その中、射出成形は生産性の高さ、
形状自由度の高さから、熱可塑性樹脂のメインの加工方法に位置する。またこの樹脂は、高い
強度、剛性、耐熱が求められる場合、繊維状充填剤を添加し改質する――例として熱可塑性樹
脂をペット化する際に、押出機で熱可塑性樹脂とガラス繊維や炭素繊維とを一緒に溶融混錬し
た繊維強化熱可塑性樹脂ペレットが挙げられる。
しかし、(1)前述の樹脂は繊維が不連続なため、強度、剛性の改良効果は限定的となり、強
度、剛性の成形材料には、一方向連続繊維強化熱可塑性樹脂板と、その製造方法には、ファイ
バープレースメント法があるが、強度、剛性が必要としない部分にも一方向連続繊維強化熱可
塑性樹脂板を使用するため成形体の価格が高価となる。(2)一方、軽量で高剛性と材料費を
バランスさせる方法には、炭素繊維複合板の表面に熱可塑性樹脂を射出成形して一体化した成
形品の製造方法があるが、炭素繊維複合板と射出成形する熱可塑性樹脂の成形収縮率差により
大きなソリが生じる欠点がある。
この熱可塑性樹脂板10と熱可塑性樹脂組成物20からできた複合成形体1で、樹脂板10の
繊維方向がリブ25と平行な付け根部分に積層構造をもつ複合成形体1の製造方法は、軽量で
強度、剛性が高い、ソリのない複合成形体が供給できる。このような方法で製造することで、
複合成形体の強度、剛性が優れに、反りが極めて少ない成形体が得られ、また、一方向連続繊
維強化熱可塑性樹脂板がリブ面に配置することで、表面外観を損なうことなく、自動車、航空
機、産業機器、スポーツ、レジャー用途に利用でき、特に電気、電子機器のハウジングやシャ
ーシ、ギア、自動車部品のフード、ドアパネル、ルーフ、バックドア、ドアインナー、ラジコ
アサポートなどに使用できる。
● ワイヤレス給電受電時代
IDT(Integrated Device Technology)は2015年3月6日、スマートフォンなどのモバイル機器でワ
イヤレス給電の送電機能と受電機能の双方を実現する技術「Wireless PowerShare」を発表。こ
れについては『パピタブルゾーンの色』(2015.03.03)でも紹介している。IMS Researchの 最
近のリポートによると、ワイヤレス給電製品の出荷数は今後数年間で高い成長を示し、2016年
には、3億台を超え、2018年には10億台に達すると予想されています。この市場が、2011年
まではほとんど存在していなかったことだから驚異的であろう。最も、光の部分より、陰の部
分であるマイクロ波、ミリ波などの電磁波障害(例えば、遺伝子傷害、白血病、脳腫瘍などの
疾病)に対する法整備が急がれる(引き寄せられる混沌:例、ピンポイント遺伝子改変、遺伝
子組み替え食物)。
これまで、ワイヤレス給電対応機器は、送電機能、受電機能のどちらか1つの機能のみの対応
に限られていた――スマートフォンなどモバイル機器であれば、受電機能だけを備えることが
一般的――が、Wireless PowerShare は、モバイル機器で送受電の両機能を実現でき、同技術対
応スマートフォンであれば、卓上ワイヤレス充電器から受電し、ウェアラブル端末に送電する
といった利用が可能になる。将来的には、同技術対応スマートフォン同士で、互いにワイヤレ
スで電力を融通できるようになる。
IDTでは、Wireless PowerShareを実現するICとしてP9700シリーズを製品化する方針。同シリー
ズとして、A4WP(Alliance for Wireless Power)、PMA(Power Matters Alliance)、WPC(Wireless
Power Consortium)の3つの主要ワイヤレス給電規格を、シームレスに利用できるようにする
という。出力は5~10Wで、プロプラエタリモードを備えるとのこと。
● 消臭寝具市場動向
消臭寝具のネット、テレビでの露出が多くなっている。単刀直入に言うと、この手の。マイナ
スイオン・口臭・防菌/抗菌・防汚効果というものに何となく胡散臭いという気持ちが拭えな
い。例えば、添着成分の劣化寿命などの信頼性データという視点から見てみると資料が少ない。
ともあれ、これらの商品に関する知財を見てみた。例えば、「銀ナノ粒子の生体影響解析」(
三浦伸彦・小泉信也,第81回日本産業衛生学会予稿集,2008.6.24-27)に示される通り、安全
性に問題があり、また、天然酵素系抗菌剤は高コストの問題があり、また、光触媒抗菌剤には、
例えば、「高性能光触媒紙の開発研究」(愛媛県工業系研究報告No43,2005)等に記載される通り
高酸化力による基材劣化の問題があることが指摘されているが、抗菌フィルタは鉄、アルミニ
ウム、チタンおよびカルシウムを含む金属組成物などの抗菌剤を繊維性ろ材に添着して、抗菌
性を保有し、安全性、低コストを満足し、基材劣化の問題がないとして、金属組成物が、鉄10
~200ppm、チタン0.05~0.4ppm、アルミニウム15~200ppm、カリウム0.2~2
ppmでろ材に対して、2×10-5g/m2以上となるように添着し、金属組成物は赤黄土から無
機酸を用いて抽出したものが新規考案として提案されている。購入してみて効果があるのかど
うか検証したいと考えたが、スケジュール上、当面出来そうもないので残件扱いとする。
尚、調べてみて、触媒成分のサイズにより効果が異なるレポートが提出(下図)されている。
つまり、量子サイズとマイクロサイズの差異が議論になっていることである。そういうネオコ
ンバーテックな時代なのだ。
※ "Development of the antifouling, deodorant, antibacterial high-performance textile fabric by adhering
Quantum Catalys"