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グリッドパリティ達成!

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● グリッドパリティ達成!

そも、グリッドパリティ(Grid parity)とは、再生可能エネルギーによる発電コストが既存の電力のコ
スト(電力料金、発電コスト等)同等かそれより安価になる点(コスト)を指す。つまり、太陽光発
電の発電コストが、従来の電力料金を下回ったことを意味し、再生可能エネルギーの実現に向けての
裏付けとアクションプランの策定と実行において成功したことを意味する。具体的には、システム価
格の低下を背景に2014年の発電コストが22円台/キロワットアワー(住宅用太陽光発電)を達成した
ことだ。

そこで、グリッドパリティ達成した後、市場拡大のために何を必要とすべきか、独立行政法人新エネル
ギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が太陽光発電開発戦略をまとめ、20年までのシナリオを示して
いる。その太陽光発電開発戦略は、太陽光発電の大量導入時代を踏まえ、普及とともに社会を支えるた
めに何が求められるかを検討し、発電コストの削減だけでなく、社会から必要とされる課題を包括的に
捉え、座業としての基盤強化を盛り込んだシナリオを開示した。

同開発戦略は2013年までの数字を基にまとめているため、新たに2014年の住宅用の発電コストについて
試輝したところ、運転年数20年、割引率年利)3%、耐用年数(法定)17年、償却率/改定償却率0.
118/0.125を前提に、システム容量4キロワット、システム単価(工事費含む)を364千0円/
キロワットとし、年間0.36万円/キロワット/年の維持費で運転した場合、設備利用率を12%とす
ると発電コストは2014年度に20円台/キロワットアワーになった。NEDO斬エネルギー部太陽光発
電グループによると、住宅用の太陽光発電のシステム価格は、2013年に385千円/キロワットだった
のか2014年に364千円/キロワットと低下。電気料金も値上がりし、これらを理由にこれまで月割と
されていたグリッドパリティを達成したと説明している。国内での価格低減は、市場競争と技術開発
の成果だが、世界的な低価格傾向はシリコン原料価格の低下とモジュールの世界的な供給過刺にある。
また、設置設計でもバワコンとモジュールの比率を最適叱しており、これも発電コスト低減に寄与して
いるという。 

  

FIT(固定価格買取制)導入後の太陽光発電市場はメガソーラーなど産業用を中心に大幅な伸びとなり
全体の約74%を非住宅用システムで占めるようになった。住宅用も構成比こそ低いものの看実に増
加し2013度の導入量は導入量は130、7万キロワットになった。これは20112年度(FIT開始後7月~
3月)の96.9万キロワットに対し3割以上の伸びとなる。さらにFITによる認定容量(2013年7月~
2014年10月)も268.8万キロワットになっている。ただ、太陽光発電か大量に普及することにより
社会的課題も浮き彫りになったと同戦略では指摘している。

そのひとつか導入ポテンシャルの問題。住宅用は約2700万戸に潜在的なポテンンャルがあるとす
るが、そのうち導入可能な一戸住宅は約1200万戸で、残りの住宅およそ1200万戸は80年以前
の耐震基準しか満たしていない。さらにこのうち空き家か約150万戸を占め屋根形状からモジュー
ルを設置できない住宅もこの他約150万戸あるとされる。新たにモジュールを設置しようとするな
ら住宅の耐震強度を高めるために建て換えならず、導入可能とされる住宅でもすぺての一戸建ての屋根
に設置されるわけではなく、モジュールの軽量化や設置技術の改良などで潜在的なポテンシャルを高
める心配がある。また、新築の設置コストは364千円/キロワットが既築は400千円と開きがあり、
工事費の逓減が課題となる。

 

一方、太陽光発電の市場は発電事業施・発電支援などで事業を拡大させており、住宅市場でもFIT導入
後に発電支援など新たな○&M事業が注視され、需要のすそ野を広げている。O&Mは保守管理と性能
維持の二つに分けられ、これまで主に産業用の非住宅でニーズを吸収してきた。しかし住宅用でもオ
ペレションサービスやメンテナンス、アセットマネジメントなどに関心が生まれており、将来的な利
用も期待されている。例えばパワコンであればメンテナンス性を高めるため部品交換をしやすくした
り、バワコン専用の部品の開発でき、一般に10年とされているパワコンの寿命を20年に延長し低コスト
化にも繋げらることもできる。

また、モジュールの技術面からみた課題は発電の高効率化、低コスト化技術、信頼性の向上の3点で、結
晶シリコン型太陽電池の高効率化は製品レベルでモジュール変換効率20%を超えるものが販売され始
めたことから、20%以上の高性能セルの開発と量産化技術が求められるようになったとする。低コスト
化技術は基板薄切り型や切代(カーフロス)の低減で、製造プロセスの確立が急務。システム全体ではパ
ワコンや架台、設置工事などのコスト低減も必須と指摘した。このうちパワゴンはダウンサイジング
や変換効率、架台や設置工事は軽量化と施工性の向ト、が重要になるとしている。

 

 

● 『吉本隆明の経済学』論 27

   吉本思想に存在する、独自の「経済学」とは何か。
 資本主義の先を透視する!       

  吉本隆明の思考には、独自の「経済学」の体系が存在する。それはマルクスともケインズとも異
 なる、類例のない経済学である。本書は、これまでまとったかたちで取り出されなかったその思
 考の宇宙を、ひとつの「絵」として完成させる試みである。経済における詩的構造とは何か。資
 本主義の現在と未来をどう見通すか。吉本隆明の残していった、豊饒な思想の核心に迫る。 

    はじめに
 第1部 吉本隆明の経済学
 第1章 言語論と経済学
 第2章 原生的疎外と経済
 第3章 近代経済学の「うた・ものがたり・ドラマ」
 第4章 生産と消費
 第5章 現代都市論
 第6章 農業問題
 第7章 贈与価値論
 第8章 超資本主義 
 第2部 経済の詩的構造
 あとがき     

 

                                                        第1部 吉本隆明の経済学   

 第4章 生産と消費 

     2 消費論
    
     Ⅰ

     

  この生産にたいする消費または消費にたいする生産の時空的な遅延については、もうすこし論  
 議をすすめることができそうだ。ここに個人的な消費が多様化してゆく動向を語るグラフがある。
 昭和55年(1980)年から昭和63(1988)年にわたる八年間の消費支出が多様化しな
 がら増加してゆく傾向をしめしたものだ。消費支出は高度(産業)化社会になるにつれて、必需
 的支出と選択的支出に分岐してゆき、その分岐の度合はますます開いてゆくことがわかる。そし
 てもうひとつ選択的支出のうち選択的な商品支出と選択的なサービス支出とが、また分岐してゆ
 くことがわかる(図6参照)。ここで、

  (1)選択的サービス支出  旅行、カルチャー・センター、外食等
  (2)選択的商品支出    家電製品、乗用車、衣料品等

 

   ここでもうすこしグラフについて立ち入ることができる。必需的支出、選択的サービス支出、
  選択的商品支出の割合はさきの図のようになる(図7参照)。
   この図は、さきのグラフとあわせてつぎのことを語っている。

    (1)必需的消費支出は、絶対量を増加させているにもかかわらず、割合(パーセント)とし
    ては 減少の傾向にあること。
  (2)選択的な商品支出と選択的なサービス支出は増加の傾向にあること。
  (3)さらに数字にこだわれば、必需的支出の割合は減少しながら半分(50%)の境界をこえ
    て、もっと低い割合に移ろうとする過渡にある。いいかえればわたしたちの消費生活は必
    需のだめの消費線からそれ以外のための消費線へと移行しつつあるといっていい。

  それ以外のための消費線とはなにか?わたしたちはなにのために消費生活をやっているのか?
  こう問われるべき段階にはいりつつあるのだから、それは問われなくてはならない。だがその
 まえに言うべきことがいくつかあるとおもえる。
  
  このばあいにマルクスのいう消費がすなわち身体の生産、生活の生産、生存の生産であるよう
 な消費は、このばあい表やグラフの必需的な消費支出にあたっていることがわかる。すると必需
 的な消費支出と生産とのあいだには時間的な遅延や空間的な遅延をかんがえなくても、対応が成
 り立つことがいえる。そこでさきの図5の生産と消費との関わりはすこし修正しなくてはならな
 いことになる(図8参照)。

  ここでは生産が同時に消費だというばあいの消費は必需的消費だけをさすことになり、選択的
 消費は生産にたいして犬なり小なり時空的な遅延作用をうけることになるといえよう。ところで
 ここでもうひとつ犬切だとおもわれることがある。それは遅延という概念だ。わたしたちはこの
 時空的な遅延が産業社会の高度化のカギをにぎっているものとみなしたい。なぜかといえば、こ
 の時空的な遅延のところで生産と消費のあいだの組み込みは、複雑な時空的なフラクダルに変容
 し、その結節点で価値化か起こるとかんがえることができる。そしてこの遅延の領域で産みださ
 れた価値は、生産が同時に消費であるというマルクスの価値領域にたいして、高次の価値領域と
 みなすことができる。高次の価値領域の成立はすなわち高次の生産業の成立を意味している。い
 いかえれば時間的な遅延を介してみられた空間的な遅延は価値を構成し、空間的な遅延を介して
 みられた時間的な遅延は意味を構成するといっていい。すこし具体的な例をつかってこの問題を
 より具体的に語ることができる。

  いまここに産業の高度化にいたるプロセスを掲げた表がある。産業の分野として、わかりやす
 くするため、さきにあげた選択的商品消費支出の品目に対応する家電と自動車の産業がどう高度
 化されるかを例として抽出してみる(図9参照)。
  ここで産業の高度化にあたるものは、高付加価値化、生産手段の高度化、関連技術の開発、多
 角化などに分類されていることがわかる。そしてこれらの生産の高度化は選択的な商品消費支出
 とのあいだの時空的な遅延のところで対応していて、そこで連結されている。高付加価値化や生
 産工程の改善はより時間的な遅延であり、技術開発や多角化はより空間的な遅延にあたっている。

 

  そしてもうひとつ犬切とおもわれることは、これらの産業の高度化の姿は、末端のところで、
 (サービスなどを介して)消費にひとりでにスイッチされているといえる。わたしたちはこの末
 端で消費にスイッチされる領域が、確定した輪郭をもちうるようになったとき、それを産業の高
 度化から、より高次産業への移行とみなす。そう定義できるようにみえる。

  ここであらためて産業の高度化と高次産業への転移、また高次産業の発生と成立とが、なにを
 意味するのかをかんがえてみる。わたしたちはたぶん常識でかんがえられないほどの高度化の契
 機にさらされている。

  第一に挙げられるのは、生産の多角化がいわば自然に移行するように、末端から選択的な消費
 につながっているところで、いつも高度化をかんがえることができる。もうひとつ第二にかんが
 えられることは、生産の本来の流れが自然に支流に移行しているときに産業の高度化とみなすこ
 とができる。たとえば製造業種を例にとってみる。するとこれらの全業種について、売圭尚から
 みた非本業比率の数字は与えられている。非本業とは、本来その業種の主流であるべきものから
 枝葉を多角化していった度合をあらわすとみなされる。昭和五四年度に全業種の非本業比率は、
 13.3%であった。昭和59年度には15.5%に上昇し、昭和61年度には19%になった。

  いいかえれば本来の業種の主流からの多角化がすすんでいったことを意味している。この多角
 化は高度化のひとつの支柱であることはいうまでもない。精密機械、繊維、非鉄金属、一般機械、
 鉄鋼などの分野で非本業比率は、全製造業種の非本業比率の平均売上高を超えている。いいかえ
 れば高度化が進行したことを意味している。とくに精密機械の分野では昭和六一年度に井本業比
 率は60%を超え、繊維分野では40%を超えようとしている。このことはいうまでもなく、売上
 高からみたばあい精密機械という分野が解体し、高次産業へ移行したことを意味している。たぶ
 ん使用価値として情報産業用の電子事務機器やOA機器や、高度情報装具、医療機器の部品とい
 ったような、高次(第三次)産業の次元へと解体し、転化してゆく過程をたどりつつあるとみな
 すことができよう。

  わたしたちはこの種の考察を堂々めぐりしながら、だんだんと高次産業についてひとつの像と
 輪郭をはっきりさせられるような印象をうける。ひと口にいえば産業の高次化(咄Ww)は素材
 を製造業の分野からあつめて、高付加価値化、生産手段の高度化、電子技術化、多角化などによ
 って空間的な遅延と時間的な遅延を産みだし、ひとつの構造に組み立てることを意味している。

 この組み立てはもちろん生産と消費とを連結することを目的にしている。そしてこの生産も消費
 もたぶん抽象的、井然性的なものだ。そしてそれにもかかわらず、わたしたちは人間の段階化さ
 れた自然のどの場面にも適応できる原型を、高次の自然(人工)と高次の人間(情報機械化)と
 のあいだに想定していることになる。

  Ⅱ

  

  消費社会と呼ばれているものはなにか。みたされない規定をわたしたちの考えてきた経路にそ
 って言いなおしてみなくてはならない。ある著書はこの言葉を、犬多数のひとびとが消費行動の
 ほうにこころを傾けている社会のようにうけとっている。またべつの著書は、ひとびとが消費を
 する社会の部分的な局面の意味に解している。そこではひとびとに消費をしいる設備や場所が集
 まっていて、おもに消費行動だけがおこなわれる。またべつの著書では、むしろ高次な産業社会
 とおなじ意味で消費社会という言葉がつかわれている。いままでとってきた考え方から消費社会
 をわたしたちなりに定義することができる。それをいってみれば、生産にたいする消費の時間的
 な、また空間的な遅延の割合が50%をこえた社会が消費社会ということになる。ちがう言い方も
 できる。

 必需的な支出(または必需的な生産)が50%以下になったのが消費社会だ。必需的な支出(また
 は生産)というのは、さきの消費論I図5、図6から食料、家賃・地代、光熱・水道通勤・通学
 の交通費など、日常生活として繰り加えし再生産するのにかかる支出(または生産)のことにな
 る。するとこの支出(または生産)は、マルクス的な概念による生産が消費である(または消費
 が生産である)部分、いい加えれば生産と消費が遅延なしに密着し組み込まれている部分にあた
 っていることがわかる。

  さきの図6(消費論I)の数値をみるとこの必需的支出は、夫婦の片方だけが働いているばあ
 い、昭和55年度で53.7%、昭和63年度で50.2%、また夫婦共働きのばあい、昭和55
 年度で50.1%、昭和63年度で47.2%となっている。すると共働きの夫婦のばあいをとれ
 ば必需的な支出は50%以下になっていて、わたしたちの規定の仕方では日本は消費社会にはいっ
 ていることがわかる。

  さきの図5(消費論I)はこの消費社会的な図像をしめしている。人口構成からいうと第一次
 産業(農・漁・林)は9.3%、第二次産業(製造・建設業など)は33.1%第三次産業(サー
 ビス・小売・卸・流通業)は57.3%となっていて、消費社会という呼び方は、第三次産業が
 50%をこえた社会の画像と対応していることがわかる。これは国内総生産の図像からもうらづ
 けることができる(図10参照)。



  もうすこし立ち入ってみる。約30年前の昭和31年をとると第二仄産業である農林水産業の
 国内生産の割合は約18%あり、それが30年間に3%まで減少している。第二次産業の主役で
 ある製造業は昭和32年には約19%だったが昭和62年には35%に増加している。また第二
 次産業を構成しているもうひとつの桂である建設業は、昭和32年から昭和62年まで大体8%
 から7%のあたりに固定している。一方で第三次産業のうち昭和32年から昭和62年にかけて
 30年のあいだに、はっきりと増加をしめしているのは小売卸業と金融保険業であり、減少して
 いるのはサービス業だといっていい。これをおおきく傾向としてとりだせばつぎのようになる。


  (1)第二次産業(農・漁・林業)は30年のあいだにはげしく減少している。
  (2)第二次産業の主役である製造業は、第二次産業(農・漁・林)の激減と建設業の現状維
    持をテコにして、割合としては30年間に増加している。
  (3)第三次産業(小売、卸業、金融、サービス、流通)は小売、卸業と金融保険業の増加な
    どをテコにして全体の50%をこえてきている。


  わたしたちは第二次産業の基幹である製造業の国内総生産はもっと比率がすくなく、また傾向
 としては現状維持か、すこしずつの滅少とかんがえていたが、むしろ増大していることは意外で
 あった。これは農業、漁業、林業などをはげしく喰いちぎって増加しつづけてきたことを象徴し
 ている。それならば製造業のうち何か増加のもとになっているのかを言ってみれば、昭和32年
 から昭和62年のあいだに、加工組立ての分野が11%から45%にはげしく増加していること
 がわかる。これと遂に、生活に関連した製造業は昭和32年の60%から昭和62年の18%に
 はげしく減少している。いってみれば必需的な生産にかかわる製造業は、はげしく減少し、組立
 て加工にかかわる製造業は、はげしく増加して第三次産業化へのかかわりの通路をつけてきたと
 いっていい。

                                  第一部 吉本隆明の経済学  

                                      (この項続く)  

 

  

 


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