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デクサマニー降臨 Ⅲ

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● 大型二次電池の世界市場動向

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済が、次世代環境自動車分野、電力貯蔵分野、動力分
野を対象とし大型二次電池搭載製品と大型二次電池市場、その構成部材について調査。併せて家電分
野の二次電池搭載製品や二次電池の市場動向をまとめた。それによると「大型二次電池市場 8兆5,2
69億円(6.2倍) 次世代環境自動車分野がけん引 電力貯蔵システム向け二次電池 8,192億円(13.8
倍) リチウムイオン電池を中心に伸長 次世代環境自動車向け二次電池 6兆6,141億円(10.8倍) P
HV、EV向けが大幅拡大」すると予測する。ただし、伸長比は、2013年に対するものである。下表は
調査対象概要表。

 

さて、この調査結果(1)上表(下)の「大型二次電池の世界市場」では、次世代環境自動車分野、
電力貯蔵分野、動力分野の製品に搭載される大型二次電池の市場は、今後各分野で大幅な伸びが予想
されている。2013年時点では鉛電池やリチウムイオン電池の市場が大きい。2025年には次世代環境自
動車分野や電力貯蔵分野で採用されるリチウムイオン電池が大幅に伸びるとみる。次世代環境自動車
分野向けでは、2013年時点では市場の45%を占めるが、2025年には2013年比10倍以上の伸びが予
想、78%を占めるとみる。

(2)また、正極活物質が全体の36%を占める(2014年見込)。需要増加が期待される次世代環境
自動車向けでは、三元系(コバルト、マンガン、ニッケル)と、マンガン酸リチウムにその他材料を
混合するタイプが中心になるとみる。他の部材では、負極活物質やセパレータの市場が大きい。部材
市場でも、次世代環境自動車に搭載されるリチウムイオン電池向けがけん引し、2025年には2013年比
10倍以上の市場に拡大するとみる。部材別シェアには今後も大きな変化がみられず、各部材で低コ
スト化(原料買い付けや製品製造プロセスを解析しなければ詳細は分からないだろう)が進むと予想
する。

● 住宅用蓄電システム

次に、下表(上)の電力貯蔵システム向け二次電池の市場動向に注目し、(3)住宅用蓄電システム
は、非常用電源用途、ピークシフト用途(系統電力・太陽光発電電力)の導入を中心とし、非常用電
源用途は、鉛電池が米国の一部の州やアジアなどを中心に多く採用されているが、今後はリチウムイオン電
池採用が増え、逆にに鉛電池の需要が縮小するとみる。ピークシフト用途や独立電源用途でも、リチ
ウムイオン電池の採用増加するが、系統電力や太陽光発電電力のピークシフト用途の需要増加に伴い
今後伸びと期待している。2020年以降は電池パックの価格低下、またHEMSやスマートメーターの普
及、家庭向け電気料金型DR(デマンド・レスポンス)の導入拡大する。拡大量×単価原価額により予
想を下回ることもあるが、それよりも、再生エネの占める割合の数値により大きく依存する。寧ろ、
ドイツのような脱原発を掲げ積極的な投資を持続し、先進で安定的した国家建設の成功事例により、
この市場は、同社の予測を大きく上回ることもあり得ると考えている。つまり、"デクサマニー降臨"
(『デクサマニー降臨 Ⅱ』2014.10.20)が実現しているだろう。

 

● 需要家用電力貯蔵

同様に、(4)商業施設・産業施設・公共施設などに併設される定置型の需要家用電力貯蔵は、現時
点では、a)グリーンニューディール基金を背景に導入が進んだ日本の公共施設の非常用電源用途、
b)ドイツでのピークシフト/ピークカット用途が中心、c)鉛電池とリチウムイオン電池が多く、日
本ではリチウムイオン電池が主流。d)今後はピークシフト/ピークカット用途でリチウムイオン電池
電力貯蔵システムの導入が進むと予想。e)米国では補助金制度や可変ピーク帯・リアルタイム料金
制度、EMS(エネルギーマネジメントサービス)ベンチャーなどの参入により、2016年以降に大幅な
需要増加が見込める。f)日本でも、電力事業改革の進展や、可変ピーク帯・リアルタイム料金制度
の導入拡大が進む2020年以降、大幅な市場拡大を見込む。なお、アンシラリーサービスやネガワット
取引、メガワット級の大規模需要家のピークシフト/ピークカット用途は、大型化に適したNAS電池
やNaNiCl2電池が採用されるとみている。また、ここには記載されていないが、電気自動車用走行型
非接触給電システムが道路管理施設分野(『電気自動車再考論Ⅰ』2015.03.24)で拡大していけばその要
所要所に再エネとのコンビネーションの電力貯蔵システムによる市場増も見込まれるだろう。

 

 ● 大規模貯蔵(系統設置)

(5)電力貯蔵システム(系統設置)、太陽光発電システム、風力発電システムを対象とする再生可
能エネルギーの系統接続増加に伴う系統安定化用に、大型の電力貯蔵システムの導入が進んでいるが、
電力貯蔵システム(系統設置)用は、開発が先行している鉛電池、NAS電池の導入実績が多いが、近
年はa)高出力・短時間放電であればリチウムイオン電池、b)長時間放電が必要であればレドック
スフロー電池が採用される。c)太陽光発電システムでは、出力される電力を安定させ、系統設備へ
の影響を軽減させる出力安定化用途(出力平滑化、余剰電力対策、タイムシフト、計画的運転)で採
用。短時間の 出力平滑化用途では、入出力特性に優れるリチウムイオン電池の採用が多く、ニッケル
水素電池の採用も予想される一方、比較的長時間の出力平滑化が求められる場合、鉛電池、NaNiCl2
電池が採用されやすい。長時間の放電が求められる余剰電力対策、タイムシフト、太陽光発電システ
ムの計画的運転用途には鉛電池、NAS電池、レドックスフロー電池、NaNiCl2電池が選定されやすい。
d)風力発電システムでは、 出力安定化用途(出力平滑化、下げ代不足対策、タイムシフト)、ブレ
ードの向きを調整するピッチ制御システムの非常電源用途で採用。 出力平滑化用途では、導入実績が
豊富で信頼性が高い鉛電池、入出力特性に優れたリチウムイオン電池、ニッケル水素電池が採用され
る傾向にある。長時間の出力平滑化が求められる場合、NaNiCl2電池の採用も想定される。電力の需
要と供給のバランスを調整する下げ代不足対策、風力発電システムの計画的運転用途では大容量が必
要で、鉛電池、NAS電池、レドックスフロー電池、NaNiCl2電池が採用されやすく、ピッチ制御システ
ムの非常用電源用途では、鉛電池が主流であるが、メンテナンス性が重視されるシステムを中心に電
気二重層キャパシタの採用が増えているという。 

● 次世代環境自動車向け二次電池 

2013年時点では、a)大容量のリチウムイオン電池を搭載するEV向けの比率が高い。2025年には、市
場拡大が予想されるPHV向けも大幅に伸び、EVとPHV向けのリチウムイオン電池が市場をけん引する
とみる。b)また、鉛電池は、アイドリングストップ自動車/マイクロHV向けが中心である。c)エ
リア別ではアメリカ、日本、欧州が需要の中心である。d)アメリカはEV向けのリチウムイオン電池
の市場が大きく、e)日本ではHV向けのニッケル水素電池が中心である。欧州はアイドリングストッ
プ自動車/マイクロHV向けの鉛電池の市場も大きい。 f)今後は中国において次世代環境自動車の生
産が拡大するとみられ、日本を抜いて欧州、アメリカに次ぐ規模へ拡大すると予想するが参考になっ
た。 

 

 

 

●『吉本隆明の経済学』論 33 

 吉本思想に存在する、独自の「経済学」とは何か。
 資本主義の先を透視する!       

  吉本隆明の思考には、独自の「経済学」の体系が存在する。それはマルクスともケインズとも異
 なる、類例のない経済学である。本書は、これまでまとったかたちで取り出されなかったその思
 考の宇宙を、ひとつの「絵」として完成させる試みである。経済における詩的構造とは何か。
 資本主義の現在と未来をどう見通すか。吉本隆明の残していった、豊饒な思想の核心に迫る。 

   はじめに
 第1部 吉本隆明の経済学
 第1章 言語論と経済学
 第2章 原生的疎外と経済
 第3章 近代経済学の「うた・ものがたり・ドラマ」
 第4章 生産と消費
 第5章 現代都市論
 第6章 農業問題
 第7章 贈与価値論
 第8章 超資本主義 
 第2部 経済の詩的構造
 あとがき   

                                                         第1部 吉本隆明の経済学    

 第6章 農業問題

   農家の経済

   労働生産性は、どうして追いつくようになったのでしょうか。ふたつ理由があります。ひとつ
 は農業就業人口、農業人口が滅ってきたということです。それから一方では、固定資本の増加と
 いいますか、機械とか農機具とかの増加と、質の上昇でもって労働生産性が上がっています。就
 業人口が少なければ、割る率が少なくなるから、労働生産性はLがるわけです。だから一概には、
 いいぞ、いいぞといえないのです。農業の就業人口がものすごく減ったからそうなったという面
 があるのです。そのことはよくかんがえないといけない気がします。

  資本生産性は、逆に低下していて、製造業との格差も大きくなっている。つまりある単位資本
 でできる生産物の生産量は、低下しています。また労働生産性は高くなっている。それは農業人
 目が少なくなっていることが加味されているから、そういえるのです。だから、喜ぶわけにはい
 かないので、単位資本・投下資本に対しての生産性はそんなに七がっていません。
  逆に見ますと、農業以外の製造業とかエ業とかとの格差は、資本生産的にも非常に大きくなり
 つつあるといえるのが特徽です。

  円高ということが今さかんにいわれて、円高による効果があります。円高によって輸入する農
 機具とか機械類が安くなりますから、生産費が低くなります。そうすると、農産物の価格の引き
 下げが超こります。それは一面では有利なことですけど、農産物の価格引き下げは、同時に農産
 物による収益の低下を意味しますから、そういう面から見たら、あまりよくないのです。
  ここはまた竹村さんがI生懸命拡大して問題にしているところです。内外の価格差が、生産者
 段階で国際流通価格と比較して5.6倍ぐらい、消費者価格だと2.0倍ぐらい、日本と国際的な
 農産物価格の違いがある。それはデータとしてあります。この点は、農業の生産構造が社会全体
 の高度化につれて、どう変化したかの主な眼目になります。

  とくに日本の農業生産構造でどこが問題かといいますと、今の農業就業人口は労働生産性を高
 めるというデータ、労働生産性は先進国並みになりましたし、製造業の労働者と同じくらいな労
 働生産性を持つようになってきてますが、資本生産性は低い。
  それから、現在起こっている円高効果が、生産性の向上には役立っている面もありますが、生
 産費が低く、農産物農家の所得の額が減ることを意味しています。同時に、労働生産性ばかり高
 くなって、労働者並みになったということは、別な見方からすると、要するに一生懸命働かされ
 ているけど、その割にはあまり収益がない。そういう実感になってはね返ってくるところもあり
 ます。そういうことを特徴として踏まえておくことが、とても重要だという気がします。


  農業とエコロジー

  次に、機械化といいますか、農業の仕方の多少モダンなやり方ですけど、労働時間の短縮がど
 のくらいできるようになったか、データで申しあげてみます。これも一農業白書』に明晰にある
 のを、ぼくが適当にピックアップしてきたのです。
 まず農地を耕すとか、整備する時間です。これは10アール単位でとっています、昭和40年
 ごろには一六時間ぐらいかかっていたのが、現在では八時聞か9時間ぐらいになっています.こ
 れは乗用トラクターの普及と大型化によります。平均でいって、それだけ労働時間も短縮化して
 います。
 
  それから、田植えについては田植え機の使用体系が整ってきたので、昭和40年では10アー
 ル耕すのに25時間くらいかかっていたのが、現在では9時問ぐらいで田植えができます。使用
 体系が整ったところではそうなっています。
  除草も除草剤使用体系ができて、昭和40年には30時間かかっていたのが、現在では6時問
 ぐらいでできるようになっています。

  ここは、エコロジストが大規模に拡大して問題にしているところです。つまり、農作物の農薬・
 薬品公害の問題です。ここで起こる可能性は、いつでもあるのです。ここを拡大すれば、エコロ
 ジストの主張になります。これを労働時間だけでいえば、30時間のものが大体6時間か7時間
 ぐらいになっています。除草剤・処理剤といっても、なかなか難しいので、いつでも公害になり
 得る可能性があります。

  ぼくは失業中に特許事務所に動めたことがあり、除草剤の特許関係を扱ったことがあります。
 化学的にいいますと、除草剤というのは、使用闇値、使用の限界値があるのです。ある限界内
 で除草剤を使用していれば、このデータのとおり、30時間のものが6時間ぐらいで除草できる。
 ぼくは、戦争中に農村動員で、除草をやったことがあります。これはものすごくくたびれるんで
 す。くたびれて、しかも目に見えた成果がない。つまり、おれがこうやったからこれだけ何かが
 できたということはない仕事で、ものすごくいやなんです。これが、30時間が6時間に減ると
 いうのは、大変いいことです。

  しかし、除草剤は使い方が難しいのです。純化学的にいっても、限界値があって、限界値内だ
 ったら有効性があるけど、限界値をこえると、システマティックという言葉を使いますけど、組
 織内にあまった薬品が入ることが、除草剤の種類によってはあり得るのです。つまり組織内に除
 草剤が入ってなかなか出てこないことがあります。実験室か実験田んぼでやる同値は、そのまま
 本当の田んぼとかに通用しないのです。ちょっと違っちゃうんです。

  ぼくがなぜそんなことを知っているかというと、そういう特許を扱ったときに、特許の範囲が
 問題になって、争いになったのです。片一方の主張は、ここまでの範囲はおれたちの特許範囲だ
 というし、片一方は、いやおまえのは実験田んぼでやったからそういう結果になったけど、実際
 にやったら公害になっちゃうとか、遂に雨がざっと降ってきたら全部流れ出して無効になるとか
 いうことがあるから、おまえが決めたこの範囲は無効だといいます。そういうことを扱ったこと
 があるので、よく知っているのです。

  除草剤とか成長促進剤というのも同じです。ある闇値の中で使うと成長促進に役立つんですけ
 ど、その闇値を決めるのが大変難しいし、本当の田んぼでやったのと実験田んぼでやったのでは
 まるで遂っちゃうし、野原でやるといつ雨が降るかわからないのです。そうしたら、無効になっ
 たり、逆に多過ぎて植物の成長どころか、枯らしちゃったり、余計な分か植物の中に入ってきた
 りして、限界がものすごく難しい問題なのです。

  だから、エコロジストがいうのももっともなんです。この除草剤をどれだけ使うかという範囲
 を決めるのはものすごく難しいのです。ただ労働時間短縮という観点から見たら、30時間だっ
 たものが6、7時間でできるというふうに短縮されます。
  それから、収穫の問題です。バインダーが普及して、収穫が50時問かかっていたのが現在で
 は10時間ぐらいに短縮されている。それ以外の作業でも、30何時間のものが20何時間かに
 減っています。合計でいいますと、昭和40年では141時間くらいかかっていたのが、現在で
 は55時間でできるというくらい、労働時間が機械化で短縮されています。労働時間短縮という
 ことは、いいかえれば労働の生産性の上昇を意味します。だけど、除草剤を使った場合の公害問 
 題もあります。また、柄に合わないトラクターとかコンバインを質ったら、もてあましちゃうと
 いうこともありえます。

  それから、皆さんのほうが切実にご存じで、ぼくはあまり切実には知らないのですが、適正閾
 値は個々の地域とか、個々の農家のやり方で違うはずです。それは皆さんのほうで、具体的なイ
 メージで考えるべき問題だとおもいます。そこはぼくらの力の及ばないところです。
  次に、農業の新技術はどういうふうに現になされているかということです。ぼくは外側からし
 かわかりません。『白書』が記載していますので、ピックアップして申しあげてみます。

  第一は、「代かき」ということですが、ぼくには何だかぜんぜんわかりません。代かき浚、水                  
 田の土中に直接種まきをする。それを「水稲湛水L壌直まき」というんだそうですけど、これが
 地域によってどのくらい行われているかというデータがあります。たぶん有効だからやられてい
 るのでしょう。                                 
  第二に、田植え作業と同時に肥料を土中に施すという、「水稲鴻巣施肥一というのがあるそう
 です。これも地域によってどのくらいやられているかというデータがあります。これは新農法で、
 農業の総合生産性を高めるという意味合いを持つのが大部分だとおもいます,要するに、少ない
 時間で安くていい作物をとるという問題です。
  第三に、組織培養技術によるウイルスフリー苗を増殖する技術です,これもどの地域でどのく
 らい使っているかというデータが出ています。ぼくは外側からしかわかりませんから、さきに降
 参しておきます。

  また、優良な雌牛から移植する、受精卵移植技術の発達によって、いい牛がたくさんとれるよ
 うになっている。これもやられているところはとこか、どこでどのくらいやられているかという
 データがあります。
  あとは機械の問題です。高性能な汎用コンバインみたいなものが出てきて、高性能・高速な田 
 植機が実用化してきたと『白書』でいわれています。
  これらはいずれもぼくらのいちばんだめなところです。つまり外側からいっているだけで、外
 側からしかいえないんだったら、農業問題をやるべきじゃない、いうべきじゃないとおもうので
 す。だけど、今日は研究会とか、読書会とか、読書報告会という、ぼくが『白書』を読んで報告
 しているようなものだと考えられて、そこは勘弁していただきたいのです、これは皆さんのほう
 がよくご存じの問題だとおもいます。

 

  農業人口と戸数

  次に取りあげるのは、農業の人口と戸数の変化です。61年1月現在を申しあげますと、全農
 家を単位2000戸戸数で4331だとして、それは全農家ですから、構成比を100とします
 と、一種兼業は660で15.2%です。それから二種兼業、つまりサラリーマンとして働いても
 いるし、うちで農業もやっているという農家が69.9%。専業農家は14.5%だというデータ
 が出ております。

  そして51年から61年の減少年率です。年にどれだけ減少していったかというと、だいたい
 1%から順繰りで1.6%ぐらいずつ減少していっています。それは最初に申しあげましたから、
 それでだいたいよろしいんじやないかとおもいます。
  今度は逆に、第二種兼業が半分以上を占めていて、専業農家が14.5%ぐらいしかないという
 のに、助成金を与えるのはけしからんというのが竹村さんの主張の大きな柱になっています。竹
 村さんは、たとえばドイツは専業農家が大部分を占めるように、農家の育成をやりながら農業の
 新しい時代に対応させようとしているといっています。日本の農政は兼業農家、しかも二種兼業
 農家のほうが大部分を占めているのに、まだ助成金がどうだ、農産物価格がどうだとかやってい
 るし、食管法がまだ通用している。これは農政の失敗なんだというのが竹村さんの論議の大きな
 柱です。

  それから、農家の就業人口です。これは57年度483万、それがずっと減ってきて、61年
 度は平均して計算しますと、136万くらいになり、これは60年度に比べて少し減っています。
 だから、年々減りつつあるのが現状だということがわかります。これもまた竹村さんが非常に対
 立型の論議がどうしてだめかというと、歴史の必然がだんだん対立型の限界を示しつつあるとい
 うこと。歴史の必然、文明の必然が示しつつあります。ぽくの理解の仕方では、ほっとけば竹村
 さん型の論議が勝利するとおもいます。これは自民党の政府だから勝利して、共産党の政府にな
 ったら勝利しないということではないのです。文明史の必然によって、竹村さん型の論議はほう
 っておけばだんだんそうなってくるとぼくは思っています。それは、文明史の推移的必然をひと
 つ勘定に入れなければいけないという問題です。

  現在の一見軽薄な素人論議の対立みたいなものの中、あるいはへんてこりんな政治運動家の入
 りまじった論議の根抵のどこかには、文明史の必然というものがちゃんと入っているということ。
 そのことを加味しなければ論議にならないということ。それから、都市が栄えるためには農村を
 ぶち壊せとか、農村を保持するためには都市の横暴をぶち壊せという、この種の論議は、たぶん
 終焉に向かいつつあるとぼくは思っています。
  それは現にそういうふうに起こりつつあります。なりつつあるとはいいませんけど、そういう
 兆候が見えているとおもいますし、またいちばん先端的なところで想像力を働かせば、そうなっ
 ていく必然をだれも止めることができないとおもいます。

  ぼくはマルクスの徒です。マルクスは経済史は自然史の廷長なんだ、だから経済史は、人為的
 には動かせないんだといっています。動かせるのは、たかだかそれを遅くするか早くするか、そ
 れだけのことだ。それだけが人為的にできることで、自然史の流れとしての経済史は、必然的に
 しか推移しない。これを遅くするか早くするかという問題だけが人為的な問題、つまり政策の問
 題だったり、やり方作問題がっかりというのが、マルクスの基本的な観占です。ぼくらは概算し
 ておおよそその考え方は正しいと思っています。

  都市と農村の対立がぎりぎりで都市が発生し、そして農村の対立がぎりぎりになり、都市が農
 村の人口を吸収して、産業革命で産業を拡大していって、あらゆる弊害があらわれたという時期
 がありました。その現状がマルクスの理論的な基礎になったのです。マルクスは、経済史が自然
 史の延長だということ、そして人為的に勤かせるのはせいぜいそれを遅くするか早くするかとい
 う問題だけだ、つまりそれが革命の問題なんだといっています。そして、マルクスは構造改革論
 者ではなく、政治革命優先論者ですから、政治革命としては、支配的な階級を一挙に打倒して、
 労働者が権力を握って、さまざまな施策をやらなきやだめなんだといっています。革命だったら、
 政治を一挙に変えるということでしょう。

                                 第一部 吉本隆明の経済学 

わたし(たち)は、植物工場のように環境を制御し、無農薬で栽培するこは可能だと考えているから
除草剤の使用範囲の規定の難しさは承知しているが、その解決方法も提案できるだろう考えている。
さて、先を読み進めよう。

                                                          (この項続く)  
  


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