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最新デジタルグリッド技術

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                                                    神々は詩人と同じに商人を愛した
                                     地の幸を均等に配り、遠くと近くを一つにした彼を。
 


                                           へルダーリン『エーゲ海』川村二郎訳

 

  

●『吉本隆明の経済学』論 34 

   吉本思想に存在する、独自の「経済学」とは何か。
 資本主義の先を透視する!       

   吉本隆明の思考には、独自の「経済学」の体系が存在する。それはマルクスともケインズとも異
 なる、類例のない経済学である。本書は、これまでまとったかたちで取り出されなかったその思
 考の宇宙を、ひとつの「絵」として完成させる試みである。経済における詩的構造とは何か。
 資本主義の現在と未来をどう見通すか。吉本隆明の残していった、豊饒な思想の核心に迫る。  

   はじめに
 第1部 吉本隆明の経済学
 第1章 言語論と経済学
 第2章 原生的疎外と経済
 第3章 近代経済学の「うた・ものがたり・ドラマ」
 第4章 生産と消費
 第5章 現代都市論
 第6章 農業問題
 第7章 贈与価値論
 第8章 超資本主義 
 第2部 経済の詩的構造
 あとがき    

 

                                                         第1部 吉本隆明の経済学     

 第6章 農業問題

     農業人口と戸数

  それから、徐々に、あるいは一挙に変えられるのは、政治とか制度とか、ぼくの言葉でいえば、
 共同幻想に属するものだけは、やり方によっては一挙に変えることもできる。しかし、自然史の
 延長としての経済史、経済の進展は、一挙に変えることはできない。これは自然に変わる以外に
 ないのです。そして自然に変わる必然に対して、人間がもっといいことをもっと早くさせようと
 するなら、それを促進したり、遅くしたりということは、もちろん人為的に可能ですけど、自然
 史全体の流れとしての経済史を動かすことはできないのです。ぼくだったら、そのことを根抵に
 踏まえたうえで論議を進めるとおもいます。

  だから、貯蓄額だけを拡大してとってきて、都市より農村が富んでいる、それにもかかわらず
 都市の一般大衆、一般労働者は、こういうふうに苦しんでいる、住宅で苦しんでいるし、税金は
 取られるだけだ。竹村さんが丹念に挙げるこういう論議は、一見するといいようだけど、ぼくは
 古いタイプの論議の気がします。もし時間があったら、後でそういう問題にもちょっと触れたい
 とおもいます,こういう問題が、農家の経済問題の中でかんがえなければならない問題だとぼく
 はおもっています、

 (後略)


※ ここでも、「後略」されている箇所を読みたいと思うが無理だ。これで、「あとがき」を残しこ
  の項は終了する。




 あとがき

  この仕事に着手したのは、いまから六年前のことであり、そのときにはまだ吉本隆明さんはご
 存命だった。そのため収録する論文や講演やインタビューの選択にあたっても、吉本さんご本人
 と相談しながら作業を進めることができた。その作業の進行途中で吉本さんが突然に、経済学に
 ついての仕事は自分にとってとても大切なものだからその本は自分で書きたいと言い出されたり、
 東日本大震災と福島第一原発の事故が発生して私の身辺があわただしくなったりと、とかくして
 いるうちに、吉本さんはしだいに弱られて、ついに不帰の人となってしまった。いまこうして
 『吉本隆明の経済学』を書き上げたとき、私の心にはさまざまな思いが去来する。

  ご本人の言葉どおり、経済学は吉本さんの思考にとってきわめて重要な領域をかたちづくって
 いた、日本の敗戦によって自分の思想のよって立つ場所が完全に崩壊してしまったことを深く自
 覚した吉本さんは、戦後の混乱の中で、日本人に決定的に欠如していた「世界認識の方法一を獲
 得するための思想的格闘を孤独に進めた、そのときに吉本さんにもっとも確実な足場を与えてく
 れたのが、経済学の研究であった。
 
  マルクスが打ち立てた雄大な世界認識の方法に圧倒された吉本さんは、その方法の基礎となっ
 ている経済学を、体系的に勉強しなくてはならないと考えた。そのためにマルクスにいたるまで
 の古典派経済学の思想的展開を、数年間かけて徹底的に勉強することを自分に課した。その勉強
 をとおして吉本さんは、自分の考えうるところもっとも確実な世界認識の方法と思えるものを、
 独自のやり方で取り出してくることができた。それからのちに吉本さんが文学論、詩論、政治論、
 国家論などの形をとおして展開する思想の礎は、このときの経済学の研究によって打ち固められ
 た、と言っても過言ではない。

  吉本さんの思想の中では、詩の科学と経済の科学は最初から密接に結びついていた。初期詩集
 にはじまり『言語にとって美とはなにか』で一つの頂点を迎える吉本さんの思考の本質は、ハイ
 デッガーの言う「詩人性」の本質の解明にあったが、その詩人性の本質を維持したまま、吉本さ
 んは経済の領域での探求をおこなった。言語と経済を通底する深層の「原―交換」にまで降り立
 つことによって、言語芸術と資本主義の本質を同時に究めていこうという戦略と言える。そこか
 ら資本主義の現在形の理解とその未来についての見通しを得るために、吉本さんは「詩人性の経
 済学」の能力を最大限に生かした、ユニークな思考を展開した。

  しかし吉本さんは、それを一つの体系にまとめあげることには、あまり関心を持だなかった、
 そのため、吉本隆明の思想の世界に統一性のある経済学思考が存在するという事実に、いままで
 あまり注目がなされなかったのも事実である。私が本書の第二部「経済の詩的構造」という論文
 を書かなければならないと考えたのは、そのためであった。

  私はこの論文において、「詩人性」なるものを一つの明確な構造として思考の土台に据えたと
 きに、ごく自然な形で生まれてくることになる未知の経済学を素推してみようとした ケネーか
 らスラッフアにいたる経済学思考の系譜を吉本さんはあまり重視していなかったが、私の考えで
 は、『言語にとって美とはなにか』の思考を徹底すると、自然とそこにはこの系譜の経済学思想
 が浮上してこなければならないのである。そしてそこまでくれば、吉本さんの超資本主義をめぐ
 る予言的思考が、さらなる一貫性と確実性を獲得するようになる、というのが私の考えである。

  私は言語と経済の領域における吉本隆明の思考を受け継ぎ、拡張することによって、それを新
 しい可能性のなかに間いていこうと思う。スペースの関係で本書に収録することのできなかった
 論考や講演は、まだまだたくさんあって、そのなかには私のまだ気がついていない可能性を秘め
 た着想が隠されているにちがいない。その意味では、本書はけっして到達を示しているのではな
 く、むしろ始まりを示しているにすぎない。それほどに、吉本隆明の残していった思想の世界は、
 豊饒なのである。

  本書のプロジェクトははじめ、筑摩書房の四緑詠子さんを協力者として始められた。吉本さん
 との打ち合わせのほとんどは、彼女を介しておこなわれた。四緑さんが出産と育児のための長期
 休暇に入ってからは、同じ編集部の小船井健一郎さんにバトンタッチされて作業が進められた。
  とくに吉本さんが已くなられた後は、ご長女のハルノ宵子さんとの連絡などは、小船井さんが
 担当してくれた。ご両人とも長い間ほんとうにお世話になりました。また私たちの作業が暗礁に
 乗り上げそうになったとき、陰からそおっと力強い助けをあたえてくれた間宮幹彦さんにも、こ
 の場を借りてお礼申し上げます。
 
  本書を吉本隆明さんの御霊に捧げたいと思う。吉本さんはいまも、人類が「霊」などと言って
 きたちの が、ほんとうのところは何であるのかを探求されていることてあろう。その探求の精
 神は、私を含めて多くの人に確実に受け継がれている。だからそれは死なないのだ その死ぬこ
 とのかいものをかりに御霊と呼んで、本書をそれに向かって棒けようと思う。

  2014年7月5日 奈良にて
                                       中沢新一

 引用文献一覧

 (底本は以下のものを使用しました)

 第一章 1 幻想論の根柢――言葉という思想
       『言葉という思想』(弓立礼、1981年/中公文庫、1995年)所収
     2 言語と経済をめぐる価値増殖・価値表現の転移
       『吉本隆明の文化学――プレ・アジア的ということ』(三交社、1996年)所収
 第二章 1 三木成夫の方法と前古代言語論
       『新・死の位相学』(春秋礼、1997年)所収
 第三章 1 経済の記述と立場――スミス・リカード・マルクス
       『超西欧的まで』(弓立礼、1987年)所収
 第四章 1 エコノミー論
     2 消費論
       共に『ハイ・イメージ論Ⅲ』(福武書店、1994年/ちくま学芸文庫、2003
       年)所収
 第五章 1 像としての都市――4四つの都市イメージをめぐって
       1992年1月21日、日本鋼管主催の講演。『吉本隆明全講演ライブ集』第11巻
       (発行=吉本隆明全講演CD化計画、編集=弓立社、2005年)所収
 第六章 1 農村の終焉――〈高度〉資本主義の課題
       1989年7月9日、「修羅」同人主催、長岡市で行われた講演。『吉本隆明全講
       演ライブ集』第5巻(発行=吉本隆明全講演CD化計画、編集=弓立社、2002
       年)所収
 第七章 1 贈与論
       『母型論』(学習研究社、1995年/思潮社、2004年)所収
     2 消費資本主義の終焉から贈与価値論へ
       『マルクス――読みかえの方法』(深夜叢書社、1995年)所収
 第八章 1 超資本主義の行方
       『超資本主義』(徳間書店、1995年/徳間文庫、1998年)所収
     2 世界認識の臨界へ
       『世界認識の臨界へ』(深夜叢書社、1993年)所収

 
今夜で読了となる。経済学ということで特異な経済思想に触れ大変な驚きをもってここまで読み進め
てきたが、大きな枠組みの考え方に異論がないが、具体的な政策論としてはその原理的な考えに違和
感も抱いたが、そんなものだろうと自然体で受け止めてきた。具体的には原子力発電政策であり、産
業政策である。それは、地下化石燃料本位制→先端技術本位制→環境リスク本位制という世界的な政
治経済の潮流を40年前に想定していたわたし(たち)にはむしろ、こちらがぶれることなくここま
できている。大きく変わったのは、第5次産業革命のデジタル革命(これを後に、わたしは「デジタ
ル革命渦論」と呼称する)がもたらす激しい時代変化であった。産業交易で例えば、産業システムを
機械工学的なとすれば、このが移転され、それを用いた生産環境が整備されていれば即
座に、後進国であろうともコピーされ大量生産できてしまう――もっとも、"仏彫って魂入れずに喩え
られるような「マクドのチキンナゲット問題」も後をたたないが――そして、大きく異なるのは労務
費だけということになる。このやこのを用いた生産システム(あるいは消費システム)
のデジタル技術の依存度が高ければ高いほどその効果は絶大なものとなる。その6つの基本特性の1
つであるデフレーション(第4則)の典型例として、例えば、下図のごとくわずか12年間で、遺伝
子解析費用は2万分の1にまで逓減している、と。いうふうにだ。

  

しかし、そのような、金融をはじめとする産業構造の大変動に対応できずに、失敗を重ねてきたので
ある。その意味では、マルクス経済学やケインズ経済学あるいはそこから派生した新自由主義を全否
定してみても、そこからはなにも得られないとうのがわたし(たち)の立場であり、『ケインズをデ
ジタル蘇生』(2013.03.23)として展開させてきた。また、トマ・ピケティの『21世紀の資本』の
出版に先立ち、消費税の見直し、所得税の累進性強化などの政策変更においては、マルクス経済学的
政策(併行してポスト・ケインズ主義政策も)などをこのブログで掲載している。




それはさておき、さて中沢新一はこの項で、「吉本さんの思考の本質は、ハイデッガーの言う「詩人
性」の本質の解明にあったが、その詩人性の本質を維持したまま、吉本さんは経済の領域での探求を
おこなった。言語と経済を通底する深層の「原―交換」にまで降り立つことによって、言語芸術と資
本主義の本質を同時に究めていこうという戦略といえる。」とあとがきしているが、ハイデッガーの
言う「詩人性」の本質の解明――という件にとまどってしまった。そして、ネット検索で下記の一節
に目が留まった。まずは、ハイデッカーと仲正昌樹を理解しなければと考えるに至る。これを実行す
るのは桜の盛り過ぎる頃となるだろう。

 「しかし、一つの詩(ein Gedicht)を知るということは、たとえそれが最も背後の細部に至るまで
 なされようと、それはまだ詩作の威力圏......(Machtbereich)の中に立つ.....こと
 を意味しない。つまり、我々は単に手前にある読み物としての詩を克服しなければならない。詩
 は変容し、詩作として開示されねばねらない」(GA39, 19)。詩作の威力圏に参入するというこ
 とは、日常性に絡め取られている我々の「現存在」からいったん離れるということでもある。ハ
 イデガーは、日常性を離れて、ヘルダリンが(存在を)「詩作」した根源的瞬間に立ち会うよう
 に呼びかける。「詩人自身が闘い..を通して詩作の主かつ僕になるように、もっぱらそのよう
 にすることによってのみ我々も手前にある詩を超えて詩作の空間に到達することができるのであ
 る。詩の中での詩作をめぐる闘いは、我々自身に対する闘いである。我々が現存在の日常性の中
 にあって、詩作から放逐されている〔…〕限りでは」(GA39, 22)。こうしたハイデガーの呼び
 かけは、見方によっては、超越的な体験のためのイニシエーションの呼びかけのようにも見える。


                 (仲正昌樹「哲学にとっての母語の問題――ハイデガーの
                        ヘルダリン解釈をめぐる政治哲学的考察」)

                                                        この項了  



● デクサマニーとアンシラリー

 

英語でアンシラリー(Ancillary)とは、「補助的な」「付属の」という意味である。電力用語のアン
シラリーサービスは、電力品質(周波数や電圧)を維持するために電力系統運用者が日々行っている、
周波数制御などの系統運用サービスのことであり、電力ビジネスにとって非常に重要なサービスのこ
と。アンシラリーサービスをおろそかにすると、周波数や電圧が変動し、家庭の照明が明滅したり、
モーターを使う工場では製品の品質にムラが発生するなど、様々な悪影響が発生する。極端なケース
では大停電になることもある。かつては、電気エネルギーの供給機能とアンシラリーサービス機能は
一体不可分のものとされ、垂直統合型の電力会社がアンシラリーサービスを独占的に担うのが一般的
だったが、発送電分離を進めてきた海外では、アンシラリーサービス機能を細かく分類し、取引市場
を通じて売買する仕組みが発達した。これがアンシラリーサービス市場である。


 

しかし、すべてのアンシラリーサービスが市場取引に適している訳ではないし、すべての発電所がア
ンシラリーサービス市場に参加できる訳でもない。例えば、周波数制御市場に参加できるのは、系統
運用者からの制御信号に応じて自動的に出力増減できる機能(AFC:Auto Frequency Control)などの特
別な能力を持つ発電所だけである。瞬動予備力市場に参加できるのは、短時間で出力を増減できる発
電所だけである。加えて、米国では最近、デマンドレスポンス(ネガワット)のアグリゲーターが、
負荷削減の応答性が良い需要家を集めてアンシラリーサービス市場に参入するようになっている。ほ
かに、バッテリーをアンシラリー市場に参加させる動きもある。ちなみに、米国東部のISOであるPJM
が公表したアンシラリーサービスの取引価格(2010年の平均価格)は、周波数制御市場が約1.8セント
/kWh、瞬動予備力市場が約111セント/kWh程度。日本では現在のところアンシラリーサービス市場と呼
べるものは存在しない。一般電気事業者のみがアンシラリーサービスを提供し、そのコストは電気料
金や託送料金の形で広く需要家から回収されている。

ところで、アンシラリーサービス市場がないということは、一般電気事業者以外の市場参加者にとっ
て、発電設備にアンシラリー機能を装備させようというインセンティブが存在しないことを意味する。
(1)例えば、迅速に出力を変動できる発電所は、そうではない発電所に比べて価値が高いが、電力
スポット市場では、kWh単位で計測される電力量だけが取引されるため、価格にはまったく差がつかな
い。これでは、市場で販売する発電者にとっては、わざわざ高価なアンシラリー機能を付ける気にな
らない。(2)また、高速な負荷制御ができる需要家が存在したとしても、その能力を発揮する舞台
がないことを意味する。

 


 
● デジタルグリッド技術時代

アンシラリーサービス市場が脚光を浴びるポイントは、(1)地球温暖化や資源枯渇を背景とした、
再生エネ(再生可能エネルギー)と、(2)スマートグリッド、(3)電力の自由化の拡大普及の時
代背景があり、それを担保する、多端子型電力変換装置、自励式双方向電力変換器、デジタルグリッ
ドルータをはじめとしたデジタルグリッド技術の進化がある。くどいが、ここでデジタルグリッドと
は、電力系統内において情報により指定された複数のインバータ等を同時に動作させて電力を非同期
に制御することによで、制御した電力を識別可能とし、情報と電力の融合したインターネットライク
な電力インフラストラクチャーを意味し、その効用は、(1)デジタルグリッドルーター(DGR)で
区分された、分散形電源・貯蔵装置・負荷を持つ自立運転可能な最小グリッド単位(家庭・商業施設・
ビル・ゲートタウン・村・町・市・県・地方等)を意味するセルの自然エネルギー変動を内部でとど
め、停電連鎖を起きにくくする。(2)セルは基幹配電・変電・送電系統にピークカット・周波数垂
下特性・電圧維持などのアンシラリーサービスが提供される。(3)セル内部に無停電とハイパワー
が供給できる。(4)系統側から見ると、自前でユニバーサルサービス設備を調達してくれ、必要な
時にはグリッドサポートしてくれる需要家として機能するなどが挙げられる。



● 今夜のイチ押し情報

最新の 03/17日版で量子ドット系PbS太陽電池がη=9.9%で記録更新。





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