● 日本周回新幹線構想 Ⅱ
兵庫県の井戸敏三知事が7日、北陸新幹線でルートが決まっていない敦賀(福井県敦賀市)-大阪間に関し「金沢や福井
から関西を見ると、大阪や京都が視野に入ってくる。米原(経由のルート)なんかでは駄目だなという感じがする」と述
べ、福井県知事選の応援のため訪れた福井市での演説で触れた。同区間は小浜、湖西、米原の三つのルート案がある。井
戸氏が連合長を務める関西広域連合は費用対効果が優位だとして東海道新幹線の米原駅へつながる米原ルートを推してい
る。 福井県は、若狭湾沿いから京都府亀岡市を経て大阪に至る小浜ルートを求めている。湖西ルートは琵琶湖西岸を通
り、京都を経て大阪へつながる。
大きく見れば、金沢-敦賀-舞-鳥取-松江-萩-下関とつなぐ「山陰新幹線整備」は必要として、北九州-敦賀-新
潟-小樽の港湾の再整備を結ぶ「環日本海経済圏構想」と国内経済圏の強化できる「日本周回新幹線構想」を乗せた上、
「敦賀-大阪」と「敦賀-名古屋」を45分で開通できる「敦賀-米原縦断ルート」は魅力的で、先回掲載した、フリー
ゲージトレイン(軌間可変電車)を前提とすれば、東海道新幹線および東海道本線の双方にも乗り入れ可能な「敦賀-米
原-名古屋・大阪ルート」は大変魅力的なものになるだろう。また、ロシア極東部、朝鮮半島、中国河北部との経済継体
強化は「極東アジア経済構想」にも魅力的だろう。
だ。
【進撃のヘーリオス Ⅳ】
● 高変換効率太陽電池用色素シート 変換効率従来法より10倍 ?
近年、「ナノシート」が注目を集めている。2010年のノーベル物理学賞の対象となったグラフェン法を含め
現在主流のナノシートは結晶性層状化合物から層を剥離する方法で作製する「トップダウン型」ナノシート。
一方で、分子・イオンから二次元構造を直接紡ぎ上げることで合成する「ボトムアップ型」ナノシートに関
しては、「トップダウン型」に比べ、構造・組成・バリエーションの高い自由度という利点があるものの、
これまで構造構築手法の開発に主眼が置かれ、機能創出は達成されていなかった。東大の西原寛教授らのグ
ループは、有機分子(ジピリン)と亜鉛イオンからボトムアップ的に組み上げられるジピリン亜鉛錯体ナノ
シートを創製し、その光電変換材料としての応用可能性を実証したことを公表。
図 (a) ジピリン亜鉛錯体ナノシートの構成要素と構造、 (b) 液液界面合成法、 (c) 気液界面合成法.
(d) 光電流応答。緑色光(500ナノメートル)照射時のみ電流が観測される。
同上の研究グループは、2種類の「界面合成法」を用いて「ジピリン亜鉛錯体ナノシート」(図1a)を作製
し、その光電変換材料としての応用可能性を 実証。ひとつは、「液液界面合成法」という手法を用いる。
まず、水と油(有機溶媒)それぞれに酢酸亜鉛、ジピリン配位子を溶解させ、両者を重ねると油と水の分離
が起こり二層となる。これを数日放置すると二層が接している面(界面)にてナノシートが成長する(図1b)。
ジピリン配位子の濃度を調整することで自在に厚みが制御できる(6−800ナノメートル、5−670 層に相当)。
なお、髪の毛の直径は100 マイクロメートル程度。一方で、究極的に薄い単原子層ナノシートを得るために
は、「気液界面合成法」を用いる。この手法で は酢酸亜鉛の水溶液の表面にジピリン配位子の有機溶液を
ごく微小量散布。有機溶媒はただちに揮散し、今度は気液界面にて反応が進行し、単原子層ナノ シートが生
成される(厚さ1.2ナノメートル、図1c)。界面合成法は室温・大気下で行うことができるため、簡便で低コ
ストかつ環境にやさしい手法が特徴。これらのナノシートは透明電極に貼り付けることができ、この修飾電
極が光電変換特性を示すことを見出す(図1d)。具体的には、色素増感太陽電池の陽極と同等の機能を発現
することを実証した。
具体的には、オレンジ色の色素を含んだ原子配列からなる極薄のシートで、従来の10倍以上の効率を達成し
た。色素増感型はシリコンを使わず、色素が光を吸収し電子を放出することで発電する。材料が安く、製造
も容易で、低コストの電池として期待されるが、発電効率が10%程度と低いのが課題。開発したシート状素
材はオレンジ色で亜鉛や窒素を含み、厚みは原子1個分。波長500ナノメートルの光を当てると従来の10
倍以上の効率で電子を放出することを確認。窒素を合む有機化合物や、亜鉛のイオンか溶けた2つの溶液を
混ぜるだけで同単に合成できる。
新素材は色素同士が互いに離れているため、効率よく電子を放出できるとみられる。従来は酸化チタンなど
の粒子に色素を貼り付けており、色素が密集して効率が低下していた。他の色素もシート状にすれば効率を
高められる可能性かある。研究チームは今後、色素だけでなく電極や電解液などに相当する電池部品も極薄
の高分子シートで作り、簡単に製造できて自在に曲げられる色素増感型太陽電池の開発を目指す。同グルー
プの坂本助教は「10年後に20~30%の効率の電池を実現したい」と話す。
● 米 退役軍人の太陽光発電業界就職を後押し
バラク・オバマ大統領が誕生したとき、オバマは手強いと感じていた。理想主義と実際主義が混在した政権
であると。そして、米ソの核軍縮、パキスタン・イラクからの撤退、地球温暖化対策、景気回復を優先し着
々と手を打ってきた。それは支持率の低下とは別に、二丁拳銃のカーボーイ、新自由主義を信奉するティー
パーティを象徴とするねじれを生みながらも負の連鎖を断ち切り、失業率は3.5%までにこぎ着け、格差是
正に着手している。
今月3日、オバマはユタ州のヒル空軍基地で演説を行い、退役軍人の太陽光発電産業への就職を後押しするための
職業訓練プログラムを開始すると公表した。大統領は「国家安全保障の最も重要な側面の1つが強固な経済安全
保障である」と述べ、「経済が好調でなければ、米国は史上最高の軍隊を維持することはできない」と強調。
さらに、成長産業である太陽光発電産業が退役軍人の社会復帰を手助けできると述べ、太陽光発電産業では
他の業界に比べて10倍の速さで雇用が増えており、賃金も高いと話し、エネルギー省は2020年までに同業
界で働ける技能を持つ労働者を最大7万5千人養成する計画を推進しており、退役軍人向けの職業訓練プロ
グラムはその一環として実施される。昨年、5万人を養成すると発表したが、これを拡大修正する恰好とな
っている。
Israel's Knesset hosts 450kW solar roof
● イスラエルの国会議事堂屋根で太陽光発電
今月7日、イスラエルの首都エルサレムにある国会議事堂の屋根上に設置された、出力450キロワットの太陽
光発電システムに、中国の大手太陽光パネルメーカーのJAがソーラーが太陽光パネルを納入したと発表。
イスラエルの国会議事堂の屋根のうち、4,650平方メートルに設置。国会議事堂に導入済みの太陽光発電シス
テムは世界最大規模。先月29日より発電を開始。間発電量は、国会議事堂の消費電力の10%に相当量を見
込む。国会議事堂の省エネルギー化と合わせて、2015年末までに電力購入量を従来に比べて3分の1減らす
という。中東の紛争が見通せないなか、イスラエル原子力発電所が攻撃されれば、大惨事になるほか、戦禍
拡大になりかねないが、変換効率が低いことや品質についての不安が残るものの、原発と全面切り替えでき
ればその懸念は払拭される。
● 20メガワットで連系点共有 荒尾市と大牟田市のメガソーラー
SBエナジーと三井物産は、熊本県荒尾市と福岡県大牟田市にまたがる地域にメガソーラーを建設。2015年
2月に出力約22.4メガワットの「ソフトバンク熊本荒尾ソーラーパーク」(上図)を、同年3月に19.6メガ
ワット「ソフトバンク大牟田三池港ソーラーパーク」(下図)の稼働を開始。いずれも、旧・三井鉱山の石
炭産出地域にあり、日本コークス工業社が所有する土地を賃借。海沿いの約2キロメートルしか離れていな
い場所に立地する。20メガワット規模の二つのメガソーラーが、一つの連系点と連系設備の一部を共有す
る珍しい運用事例となる。
● 再生可能エネルギーの投資額、2014年度世界で17%増加
過去2年間は減少を続けていた再生可能エネルギーに対する世界全体の投資額が2014年に再び増加に転じた。
年間の投資額は2700億ドル(約32兆円)にのぼり、前年から17%の高い伸び率になった。国別では中
国、米国、日本の順に多く、種別に見ると太陽光と風力で全体の9割以上を占める。
再生可能エネルギーの種別に見た投資額では、太陽光が1500億ドル(約18兆円)で全体の半分強を占めた
(上図/下)。2013年と比べて25%も伸びている。次いで風力が990億ドル(約112兆円)で、前年から
11%増加。そのほかのバイオマスや小水力、地熱や海洋エネルギーは圧倒的に少なく、現在のところ太陽
光と風力が世界の再生可能エネルギーの主流になっている。
ここ数年新しい農業について考えてきたことを、独自に事業化の基本イメージを確定させておきたいという
思いに駆られ、上記の本をそのたたき台として、時宜、読み進めたい掲載を開始した。独自の事業化イメー
ジはできあがっているだが、この本にも事例紹介されているので、時々の気付いた点を添え書きとしてここ
に記載していくので通読された方に理解できるだろうと考えている。それでは読み進めることに。
「植物工場」とは、光、温度、湿度、二酸化炭素濃度、培養液などの環境条件を施設内で人工的に制御
し、作物を連続生産するシステムのことで、季節や場所にとらわれず、安全な野菜を効率的に生産でき
ることから多方面で注目を集めています。その「植物工場」そのものにスポットをあてた本書では、設
備投資・生産コストから、養液栽培の技術、流通、販売、経営などを豊富な写真や図解を用いて様々な
角度からわかりやすく解説。また、クリアすべき課題や技術革新などによってもたらされるであろう将
来像についても、アグリビジネス的な視点や現状もふまえながら紹介、文字通り植物工場のすべてがわ
かる一書となっています。
古在豊樹 監修「図解でよくわかる 植物工場のきほん」より
【目次】
巻 頭 町にとけ込む植物工場
第1章 植物工場とはどういうものか
第2章 人工光型植物工場とは
第3章 太陽光型植物工場とは
第4章 植物生理の基本を知る
第5章 植物工場の環境制御(光(照明)
第6章 CO2/空調管理
第7章 培養液の管理
第8章 植物工場の魅力と可能性
第9章 植物工場ビジネスの先進例
第10章 都市型農業への新展開
第11章 植物工場は定着するか
巻 頭 町にとけ込む植物工場
環境・健康・交流をテーマにしたスマートタウン構想がすすむ千葉県柏市「柏の葉」地区。このまち
づくりで重要な位置を占めるのが植物工場だ。さまざまな研究や、それらを活かした身近な生活にかか
わる店づくりの実践など、未来に果たす植物工場の役割までをも見据えた取り組みが、ここではじまっ
ている。
命を育み、食文化を大切にする農耕文化都市
柏の葉が目指すもの
柏の葉エリアは、2000(平成12)年に、柏通信所跡土地区画整理事業にもとづき開発された、新
しいまちだ。273hという広大な土地が区画整理された。2005年には、柏の葉キャンパス駅もで
き、利便性が増した。2008年、千葉県・柏市・東京大学・千葉大学による「柏の葉国際キャンパス
タウン構想」が発表され、以後、研究機関とまちが併存する立地ならではの構想に、注目が集まってい
る。柏の葉が目指すものとは何か。まずは、NPO法人植物工場研究会理事長の古在豊樹さんにうかが
った。
「柏の葉が目指すべきは、農耕文化歳です。都市と農村の文化基盤を共有し、自らが命を育み、食文
化を大切にするようなまちづくりが、今後の豊かな社会のカギ。植物工場が重要な役割を果たすと思い
ますよ」。
植物工場の基地、千葉大学
柏の葉スマートシティの拠点のひとつに、千葉大学環境健康フィールド科学センターがある。環境健
康総合科学と都心環境園芸学を融合した、環境健康フィールド科学の創成を目指し、研究施設や農場、
加工所などを備えている。なかでも、大きな面積を占めるのが植物工場部門である。
2003年の開設以来、広く一般にも門戸を開き植物工場の見学会や勉強会を行ってきた。2011
年には年間1万人が来所。「小学生から大学生、近所の人から研究者まで、数多くの人が訪れています。
「誰にでもオープンに植物工場をみてもらうことが目的ですから」と、古在さん。
海外からも、これまでに1000人以上の視察者が訪れた。
もちろん、企業や研究者にとっての拠点でもあり、60杜以上の企業が千葉大学における植物工場研究
に携わっている。また植物工場では、約50大が管理や収穫の作業に従事している。
古在豊樹 監修「図解でよくわかる 植物工場のきほん」
この項つづく