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レイアの抱擁 Ⅰ

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● レイアの抱擁 Ⅰ バイオエタノールの一気通貫生産酵母登場 

龍谷大学農学部の島 純教授、京都大学の谷村 あゆみ研究員、小川 順教授らの研究グループは、食品廃棄物
などに多量に含まれるデンプンからバイオエタノールを生産する際、多糖分解酵素での処理工程が不要となる
酵母を発見した(「デンプンからバイオエタノールを一気通貫生産できる酵母を発見」JST 2014.03.30)。

これは情報収集洩れ、甚だしい失態をさらすことに。



それはさておき、メンバーの島純教授は東北大学法学部、農林省官僚という異色の経歴をもつ。周知の通り、
日本を含め先進国では、膨大な食品廃棄物や食品ロス(食べられる状態にありながら廃棄されている食品)の
問題が顕在化し、国内では年間約1700万トンにもおよぶ廃棄物を排出、そのうち約800万トンが食品ロ
スであると考えられている。その食品廃棄物のほとんどは焼却や埋め立て処分されているため、フードチェー
ン全体のコスト増や温室効果ガスの発生の加速など、自然環境への悪影響が甚大となっているが、この問題解
決に当たり、食品廃棄物や食品ロスに豊富に含まれるデンプンをバイオマス資源として、低コスト・バイオエ
タノール生産技術の構築に向けて研究をすすめてきたが、デンプンの糖化に必要なアミラーゼなどを添加しな
い一気通貫プロセス(下図)に焦点をあてて、有用微生物の探索を行ったという。

尚、遺伝子組み換え微生物を用いた場合には、物理的封じ込めにより高コストにつながる可能性が高いため、
自然分離株を活用することを想定して研究を進めてきたという。

 

 
さて、(1)まず、デンプンを単一炭素源とした寒天培地を用いて、デンプンで生育ができる酵母菌株の選択
する。その結果、自然界から分離した530株の酵母のうち、79%にあたる419株に生育。(2)次に、
10%のデンプンを含む液体培地において静置培養を行い、生産されたエタノール量を測定しました。419
株のうち3株が、6g/Lのエタノールを生産しており、特に、JCM18690株は、9.78 g/Lという高
い値を達成。残りの2株は、ゲノムDNAを抽出し塩基配列を決定することで、同定を行い、
属であることを突き止める。コントロールとして Sheffersomyces shahae NBRC1983株を用いこの3株につ
いて、10%のデンプンを含む液体培地における生産エタノール量、アミラーゼ活性の経時変化の測定を行い
ました。10日間、観測をした結果、JCM8690株は、エタノール量が7日目で約8g/Lに達し、他の菌株
よりも高いエタノール生産能力であるを明らかにする。α-アミラーゼ活性に差はなく、グルコアミラーゼ活性
は、JCM18690株は他の株よりも約1.6倍高く、高いエタノール生産能力につながったとする。この他、
JCM18690株は、グルコースからのエタノール生産能力も高く、エタノール耐性を持つことも突き止める。



以上の結果から、低コスト・バイオエタノールの実用化につながる重要な成果で、JCM18690株を用いることに
より、従来の酵素の添加を必要とするプロセスや、遺伝子組み換え株を用いたプロセスに比べ、酵素のコスト
削減だけでなく、生産プロセスの簡易化も期待でき、JCM18690株には、キシロースからの高い発酵能力と高
温耐性があることが既に分かっていまる。デンプンだけでなく、さまざまな未利用バイオマスからのバイオエ
タノール生産に寄与すると考えられる。本株のゲノムシークエンスも進んでおり、遺伝資源としての活用も視
野に入れ、これらはバイオ燃料生産を介して、化石燃料を代替し、温室効果ガス排出の抑制を期待するとのこ
と。食品廃棄物などに含まれるデンプン質バイオマスを用いることができれば、環境負荷の軽減に寄与し、循
環型社会の実現へ大きく貢献できます。今後は、より実用的プロセスにするために、培養日数の短縮化を目指
すと同時に、不溶性デンプンや、実際の食品廃棄物を原料にして研究を進めていく予定だという。

※ 参考

1)一気通貫プロセス:糖化工程と発酵工程を同時に行うプロセス。
2)キシロース:植物系バイオマスを糖化すると生じる単糖。グルコースの次に多く含まれている。
3)高温ストレス耐性:通常の温度帯(20~30度)よりも高い温度で発酵能力があること。
4)α-アミラーゼ:デンプンを分解する酵素。デンプンをグルコースが数個つながったオリゴ糖に分解する。
5)グルコアミラーゼ:デンプンを分解する酵素。デンプンやオリゴ糖を、グルコースに分解する。
6)Sheffersomyces shahae NBRC1980株採取場所:京都大学構内の土壌より単離
7)特開2015-037398 2'-置換型ヌクレオシドの製造方法:http://astamuse.com/ja/published/JP/No/2015037398

 

 Isolation of a novel strain of Candida shehatae for ethanol production at elevated temperature

 
・ 微生物材料開発室 (JCM) 

京都大学の構内の土壌から、そんなダイヤモンドが発見されたって?それも、ノンコンベンショナル酵母で ?!
それは盆と正月がいっしょに来たものみたい。これから実用化できるか?3年先をゴールに置くと、予算は最
低3億円はいるだろうか(10人/年×3年)。試作装置での収率などの検収をクリア出来きたとして、その経
済効果(市場経済+社会経済+環境リスク回避費用)を想定すると莫大なものになるだろと想像されるがどう
だろうか ? ^^; 。


● 独立型水素製造システムへバイオエタノールを投入


ノンコンベンショナル酵母でバイオマスエタノールを内燃機関の燃料として使用するのではなく、燃料電池の
原料として使用し、そこで発電された電力と廃熱を利用して、水電解装置で水素を製造することも可能であり
調査してみた。下図は、ジーエス・ユアサコーポレーションの特許だが、原料はメタノールを使用している。
それによると、 水素製造装置を構成する水素製造セル(10)と、水素製造装置を運転するための補機(16)、
(17)と、この補機に電気エネルギーを供給するための燃料電池(33)とを少なくとも備えた独立型水素
製造システム。この水素製造装置が、メタノール(有機物)を含む燃料を分解して水素を含むガスを製造する。
隔膜(11)の一方の面に設けた燃料極(12)、この燃料極に有機物と水を含む燃料を供給する手段、隔膜
の他方の面に設けた酸化極、この酸化極に酸化剤を供給する手段、この燃料極側から水素を含むガスを発生さ
せて取り出す手段を備えた構造で、低温で水素を含むガスを製造でき、燃料電池から供給される電気エネルギ
ーだけで運転が可能で、大きな電気エネルギーを必要としない水素製造装置を使用した独立型水素製造システ
ムを提供するもの。

 



次に、これをエタノールで代替するにはそうすればよいか考える。下図は秋田大学が提案するその新規考案である。
それによると、燃料電池の一つに固体高分子形燃料電池(PEFC)は、低温領域で運転可能で、高いエネルギ
ー変換効率を示し、起動時間が短く、システムが小型軽量であることから、電気自動車の動力源や携帯用電源
として注目されているが、水素に替わる「次世代燃料電池の燃料」として炭化水素系燃料の適用が試行されて
いる――メタノールやエタノール等のアルコール系燃料が注目され、燃料電池の燃料としてアルコール系燃料
を用いる場合、燃料電池のアノードで、触媒被毒を抑えつつ効率的に燃料を酸化させるかが重要となる。アノ
ード触媒の性能向上が一つの課題となっている――特に直接型メタノール燃料電池の性能を飛躍的に向上させ
ることが可能なアノード触媒が提案されているが、作動環境が酸性となりアノード触媒の酸腐食されない貴金
属を用いるがコスト増大となる。

アルカリ燃料電池であれば、作動環境がマイルドになり、電極材料にNiやFe等の金属を用いることができ
貴金属の使用量を削減することができる。さらに、メタノールに比べて毒性が低く、バイオマスからも製造可
能であることから、製造コストや貯蔵の問題が少ないエタノールに着目。貴金属の使用量を削減した「アルカ
リ直接型エタノール燃料電池」で、アノード触媒の性能向上を図る開発――アルカリ直接型エタノール燃料電
池の性能を向上できるアノード触媒――アノードに燃料のエタノールが供給され、燃料電池の性能を向上でき
る、白金酸化物を還元した白金部分酸化物をアノード触媒として使用とする方法が提案されている。 
  

以上、今夜はバイオエタノールのノンコンベンショナル酵母を使用しバイオエタノールを食品廃棄物からエタ
ノールを製造し、燃料電池の原料として発電し水素を製造するというもので、「オールバイオマスシステム」
の代表するシステムを考案してみた。これは大きなプロジェクトになるだろう。食品廃棄物だけでなく、自然
有機系廃材や廃棄物にも応用できるのものでもある。これは面白い。 

● 今夜の一品

上図(クリック↑)はUSB充電機能を追加できるコンセントカバーだ。なくてもよいが、あってもよいコンセント
カバーだ。

 


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